説明

ポリシリコンの製造装置及び方法

【課題】電気加熱の負担を減少させ、電気消耗量を減少させるとともに、従来に比べて短期間にポリシリコンを製造できる装置及び方法を提供する。
【解決手段】反応チャンバーと、前記反応チャンバー内にシランガスを供給するためのガス供給部と、前記ガス供給部で供給されるシランガスにレーザービームを照射し、前記シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を形成するためのレーザー照射部と、前記ポリシリコン粒子を収容するためのポリシリコン粒子収容部とを含んでポリシリコンの製造装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシリコンに関するもので、より具体的には、レーザーを用いてポリシリコンを製造する装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリシリコンは、結晶構造が多結晶状態であるとともに、純度が非常に高いので、現在、半導体素子、太陽電池などに商業的に広く用いられている。
【0003】
以下、一般的なポリシリコンの製造方法を説明する。
【0004】
まず、珪石/珪砂(主成分:SiO2 )と黒鉛(主成分:C)とをアーク放電炉で反応させ、純度が約99%の金属級Si(Metallurgical Si:MG−Si)を製造する。
【0005】
次に、前記Me−Siを出発物質としてガス化工程を通してシラン原料を合成、分離及び精製し、高純度を有するガス状態のシラン原料を製造する。製造される高純度シランガスとしては、化学式SiHCl3 で表現される三塩化シラン(trichlorosilan:TCS)ガスまたは化学式SiHで表現されるモノシラン(monosilan:MS)ガスがある。
【0006】
前記三塩化シランガスは、MG−SiをHClと反応させて得るもので、前記モノシランガスは、MG−SiをSiCl4 及びH2 と反応させたり、またはMG−SiをSiF4 及びNaAlH4 と反応させて得るものである。
【0007】
次に、化学気相蒸着工程を用いて前記高純度シランガスからシリコンを析出し、固体状態のポリシリコンを製造する。
【0008】
シランガスは、高温の環境下で水素還元反応及び熱分解反応を通してSi微粒子を生成させるが、このように生成されたSi微粒子が結晶シードの表面に析出され、多結晶のポリシリコンが得られる。
【0009】
以下、このようにシランガスを用いて固体状態のポリシリコンを製造する従来の方法を、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、従来のポリシリコン製造装置の概略図で、これは、鐘形反応器(Bell−Jar Reactor)10を用いてシランガスからポリシリコンを製造する装置に関するものである。以下、図1による装置を用いてポリシリコンを製造する従来の方法を説明する。
【0011】
まず、前記鐘形反応器10の内部に約6〜7mmの細い太さを有するSiコアフィラメント20を∩形状に位置させ、前記Siコアフィラメント20の末端を電極30に連結する。次に、予熱器を用いて300℃以上で予熱することで、前記Siコアフィラメント20の比抵抗を低下させ、電気抵抗加熱を可能にする。次に、電極30を通して所定の電位差の電気を供給し、前記Siコアフィラメント20を高い温度で加熱し、シランガス及び水素ガスからなる反応ガスを前記鐘形反応器10の内部に供給する。そうすると、前記Siコアフィラメント20の表面にSiが析出されながら、次第に前記Siコアフィラメント20の太さが増加するようになる。このような電気抵抗加熱及びSi析出工程を数日〜数十日以上維持し、直径が約10〜15cmになる棒形ポリシリコン製品が得られる。
【0012】
しかしながら、このような従来の方法によると、電気抵抗加熱を用いてシランガスを分解してSiを析出する方式上の限界によって、次のような短所がある。
【0013】
第一に、電気抵抗加熱を用いてシランガスを分解し、Siを円滑に析出するためには、反応器内部の温度を1000℃以上に維持すべきであるが、それによって、電気加熱の負担が非常に大きく、電気消耗量が莫大であり、初期設備投資費が非常に高いという短所がある。
【0014】
第二に、電気抵抗加熱を用いてシランガスを分解し、Siを析出することで所望の大きさのポリシリコン製品を得るためには、場合によって数十日以上の長期間の時間が必要であるので、生産性が低下するという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記のような従来の短所を解決するために考案されたもので、その目的は、電気加熱の負担を減少させ、電気消耗量を減少させるとともに、従来に比べて短期間にポリシリコンを製造できる装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明は、反応チャンバーと、前記反応チャンバー内にシランガスを供給するためのガス供給部と、前記ガス供給部で供給されるシランガスにレーザービームを照射し、前記シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を形成するためのレーザー照射部と、前記ポリシリコン粒子を収容するためのポリシリコン粒子収容部とを含んで構成されるポリシリコンの製造装置を提供する。
【0017】
このとき、前記レーザー照射部は、レーザービームが前記反応チャンバーの一方側から他方側に進行することで、前記ガス供給部と前記ポリシリコン粒子収容部との間の領域に照射されるように設置される。
【0018】
前記ポリシリコン粒子収容部は、前記反応チャンバーで生成されるポリシリコン粒子が進入できるように開放された入口を通して前記反応チャンバーと連通され、前記反応チャンバーから分離可能に構成された容器と、前記容器が前記反応チャンバーから分離された後、前記容器の開放された入口を密封するとき、前記容器の内部に酸素が流入することを遮断するために、前記容器を取り囲みながら前記反応チャンバーに連結された補助チャンバーと、を含んで構成される。
【0019】
また、本発明は、反応チャンバーと、前記反応チャンバー内にシランガスを供給するためのガス供給部と、前記ガス供給部で供給されるシランガスにレーザービームを照射し、前記シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を形成するためのレーザー照射部と、前記ポリシリコン粒子を収容し、収容したポリシリコン粒子を溶融してインゴットを形成するためのインゴット形成部とを含んで構成されるポリシリコンの製造装置を提供する。
【0020】
このとき、前記レーザー照射部は、レーザービームが前記反応チャンバーの一方側から他方側に進行することで、前記ガス供給部と前記インゴット形成部との間の領域に照射されるように設置される。また、前記インゴット形成部は、ポリシリコン粒子を収容し、収容したポリシリコン粒子が溶融される溶融炉と、前記溶融炉を加熱するための加熱部とを含んで構成される。
【0021】
前記ガス供給部で供給されるシランガスが前記反応チャンバーの側面と接触することを遮断するために、前記反応チャンバーにエア・カーテン形成部が追加的に形成される。
【0022】
前記レーザー照射部で照射されるレーザービームが前記反応チャンバーの内部に透過されるように、前記反応チャンバーの所定領域にはウィンドウが形成される。
【0023】
前記レーザー照射部は、レーザービームを発振するレーザー発振部と、前記発振されたレーザービームの均一度を向上させるための光学系と、レーザービームを受信するレーザーパワー受信部と、を含んで構成され、このとき、前記レーザー発振部及び光学系は前記反応チャンバーの一方側外部に位置し、前記レーザーパワー受信部は前記反応チャンバーの他方側外部に位置する。
【0024】
また、本発明は、ガス供給部を通して反応チャンバー内にシランガスを供給する工程と、前記反応チャンバー内にレーザービームを照射することで、前記シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を形成する工程と、ポリシリコン粒子収容部で前記ポリシリコン粒子を収容する工程とを含むポリシリコンの製造方法を提供する。
【0025】
このとき、前記レーザービームを照射する工程は、レーザービームを前記反応チャンバーの一方側から他方側に進行させ、前記ガス供給部と前記ポリシリコン粒子収容部との間の領域にレーザービームを照射する工程からなる。
【0026】
前記ポリシリコン粒子収容部は、前記反応チャンバーで生成されるポリシリコン粒子が進入できるように開放された入口を通して前記反応チャンバーと連通され、前記反応チャンバーから分離可能に構成された容器と、前記容器を取り囲みながら前記反応チャンバーに連結された補助チャンバーとを含んで構成され、前記ポリシリコン粒子を収容する工程以後に、前記ポリシリコン粒子を収容している容器を前記反応チャンバーから分離した後、前記補助チャンバー内で前記容器の開放された入口に対する密封工程を追加的に行うことができる。
【0027】
また、本発明は、ガス供給部を通して反応チャンバー内にシランガスを供給する工程と、前記反応チャンバー内にレーザービームを照射することで、前記シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を形成する工程と、インゴット形成部で前記ポリシリコン粒子を収容した後、収容したポリシリコン粒子を溶融してインゴットを形成する工程とを含むポリシリコンの製造方法を提供する。
【0028】
このとき、前記レーザービームを照射する工程は、レーザービームを前記反応チャンバーの一方側から他方側に進行させ、前記ガス供給部と前記インゴット形成部との間の領域にレーザービームを照射する工程からなる。
【0029】
前記シランガスを供給する工程は、供給されるシランガスが前記反応チャンバーの側面と接触することを遮断するために、前記反応チャンバーの側面にエア・カーテンを形成する工程を追加的に含むことができる。
【発明の効果】
【0030】
上記のような構成の本発明によると、次のような効果がある。
【0031】
本発明によると、シランガスにレーザービームを照射し、前記シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を形成するので、従来の方法に比べて短期間にポリシリコンを得ることができるという長所がある。
【0032】
すなわち、レーザーは、単一波長の光であるので、分解する原料ガスに対する選択性を有し、高エネルギーのビームであるので、多光子吸収による原料ガスの分解が比較的短期間に容易に行われるという特性がある。したがって、本発明によると、このような特性のレーザービームを用いてシランガスを分解し、ポリシリコン粒子を析出することで、電気抵抗加熱のみを用いてシランガスを分解する従来の方法に比べてシリコン粒子の析出時間が短縮される。
【0033】
特に、レーザービームを反応チャンバーの一方側から他方側に進行させるように照射することで、ガス供給部から反応チャンバーの内部に広く供給されるシランガスとレーザービームとの接触面積が増大し、大量のシランガスが短い時間に熱分解されるという利点がある。
【0034】
また、本発明によると、従来のように結晶シードの表面にポリシリコンを析出するのでなく、結晶シードなしに直接ポリシリコン粒子を析出し、析出されたポリシリコン粒子を溶融してインゴットを製造するので、別途に結晶シードを製造する必要がないという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来のポリシリコン製造装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施例に係るポリシリコンの製造装置の概略図である。
【図3】本発明の別実施例に係るポリシリコンの製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付された図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、実施例は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、適宜設計変更可能である。
【0037】
図2は、本発明の一実施例に係るポリシリコンの製造装置の概略図である。
【0038】
図2に示すように、本発明の一実施例に係るポリシリコンの製造装置1は、反応チャンバー100、ガス供給部200、レーザー照射部300及びポリシリコン粒子収容部400を含んで構成される。
【0039】
前記反応チャンバー100は、シランガスが熱分解されながら、ポリシリコン粒子が析出される反応空間である。図示していないが、前記反応チャンバー100の内部を真空状態に維持するために、真空ポンプが前記反応チャンバー100に連結され、反応ガスを排気するための排気口が前記反応チャンバー100に連結される。
【0040】
前記ガス供給部200は、前記反応チャンバー100内に三塩化シランガスまたはモノシランガスなどのシランガスを供給するためのもので、前記反応チャンバー100の上側に形成される。前記ガス供給部200は、前記反応チャンバー100の内部に位置するガス供給ノズル230と、前記ガス供給ノズル230と連通され、前記反応チャンバー100の外部まで延長されるガス供給配管260とを含んで構成される。また、図示していないが、前記ガス供給配管260の末端には、シランガスを収容しているガス供給タンクが連結される。
【0041】
前記ガス供給タンクに収容しているシランガスは、前記ガス供給配管260を通して前記ガス供給ノズル230に移動した後、前記ガス供給ノズル230から前記反応チャンバー100内に供給される。供給されるシランガスは、前記反応チャンバー100の上側から下側に移動するが、このとき、シランガスが反応チャンバー100の側面と接触することを遮断するために、前記反応チャンバー100には、エア・カーテン形成部150が追加的に構成される。すなわち、エア・カーテン形成部150では、アルゴン(Ar)などのガスを前記反応チャンバー100の上側面から下側面に噴射してエア・カーテンを形成することで、シランガスが反応チャンバー100の側面と接触することを遮断する。
【0042】
前記レーザー照射部300は、前記ガス供給部200で供給されるシランガスにレーザービームを照射し、前記シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を析出するためのものである。前記レーザー照射部300で照射されるレーザービームは、前記反応チャンバー100の一方側から他方側に進行することで、大量のシランガスを短い時間に熱分解するようになる。すなわち、前記反応チャンバー100の一方側から他方側に進行するレーザービームは、前記ガス供給部200と前記ポリシリコン粒子収容部400との間の領域に照射されることで、シランガスを熱分解するようになるが、前記ガス供給部200で供給されるシランガスは、反応チャンバー100の上部で広く供給されて下部に移動するので、前記ガス供給部200と前記ポリシリコン粒子収容部400との間の領域にレーザービームが照射される場合、レーザービームとシランガスとの接触面積が増大し、大量のシランガスが短い時間に熱分解されるという利点がある。
【0043】
前記レーザー照射部300は、CO2 レーザーなどの赤外線レーザー照射装置からなり、レーザー発振部320、光学系340及びレーザーパワー受信部360を含んで構成される。前記レーザー発振部320は、レーザービームを発振するためのもので、前記光学系340は、発振されたレーザービームの均一度を向上させるためのもので、前記レーザーパワー受信部360は、レーザービームを受信するもので、前記レーザー発振部320及び光学系340は、前記反応チャンバー100の一方側外部に位置し、前記レーザーパワー受信部360は、前記反応チャンバー100の他方側外部に位置する。
【0044】
このように、前記レーザー照射部300が前記反応チャンバー100の外部に設置されるので、照射されるレーザービームが前記反応チャンバー100の内部に透過されるように、前記反応チャンバー100の所定領域にはウィンドウ180が形成される。前記ウィンドウ180は、石英またはZnSeなどの透過性物質を用いて形成する。ただし、前記反応チャンバー100の全体を石英またはZnSeなどの透過性物質を用いて形成することもできる。
【0045】
前記ポリシリコン粒子収容部400は、前記シランガスの熱分解によって析出されたポリシリコン粒子を収容するためのもので、前記反応チャンバー100の下側に形成され、自由落下するポリシリコン粒子を収容するようになる。
【0046】
前記ポリシリコン粒子収容部400は、容器410及び補助チャンバー430からなる。前記容器410は、開放された入口410aを通して前記反応チャンバー100と連通される。したがって、前記反応チャンバー100で生成されるポリシリコン粒子は、前記開放された入口401aを通して前記容器410の内部に進入するようになる。このように得られたポリシリコン粒子は、別途の溶融炉で溶融してインゴット形態で製造することができ、このために、前記ポリシリコン粒子を収容している容器410を別途の溶融炉に移動させる必要がある。したがって、前記容器410は、前記反応チャンバー100から分離可能に構成される。また、前記容器410を別途の溶融炉に移動させる場合、前記容器410の内部に酸素が流入すると、前記容器410内に収容されたポリシリコン粒子が酸化されるという問題が発生するので、前記容器410を前記反応チャンバー100から分離した後には、前記容器410の開放された入口410aを密封する工程が要求される。さらに、前記容器410の開放された入口410aを密封するときにも、前記容器410内に酸素が流入しない雰囲気で行うべきであるので、前記容器410を取り囲むように前記補助チャンバー430が形成される。前記補助チャンバー430は、前記容器410を取り囲みながら前記反応チャンバー100に連結されており、前記容器410が前記反応チャンバー100から分離された後、前記補助チャンバー430内で前記容器410の開放された入口410aに対する密封工程が行われるようになり、前記容器410内に酸素が流入することが遮断される。
【0047】
以下、このような図2による製造装置を用いた本発明の一実施例に係るポリシリコンの製造方法を説明する。
【0048】
まず、前記ガス供給部200のガス供給ノズル230を通して反応チャンバー100の内部に三塩化シランガスまたはモノシランガスなどのシランガスを供給する。このとき、反応チャンバー100内部の圧力は、数mTorr〜数百Torrの範囲内に制御することができる。
【0049】
また、前記シランガスを供給するとともに、供給されるシランガスが前記反応チャンバー100の側面と接触することを遮断するために、エア・カーテン形成部150を通してアルゴン(Ar)などのガスを噴射し、前記反応チャンバー100の側面にエア・カーテンを形成することができる。
【0050】
次に、前記レーザー照射部300を通して前記反応チャンバー100内にレーザービームを照射することで、前記シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を形成する。
【0051】
このとき、前記レーザービームを前記反応チャンバー100の一方側から他方側に進行させ、前記ガス供給部200とポリシリコン粒子収容部400との間の領域にレーザービームを照射することで、大量のシランガスを短い時間に熱分解してポリシリコン粒子を析出する。
【0052】
一方、前記シランガスの供給工程とレーザービームの照射工程は同時に進行することもでき、シランガスの供給工程及びレーザービームの照射工程のうちいずれか一つの工程を他の工程より先に進行することもできる。
【0053】
次に、ポリシリコン粒子収容部400で前記ポリシリコン粒子を収容する。具体的には、前記反応チャンバー100と連通される開放された入口410aを通して前記容器410内にポリシリコン粒子を収容する。その後、前記容器410を前記反応チャンバー100から分離した後、前記容器410を取り囲んでいる前記補助チャンバー430内で前記開放された入口410aに対する密封工程を行うことができ、密封された前記容器410を別途の溶融炉に移動させ、インゴット形態のポリシリコンを製造することができる。
【0054】
図3は、本発明の他の実施例に係るポリシリコンの製造装置の概略図である。
【0055】
図3による製造装置は、ポリシリコン粒子収容部400の代わりにインゴット形成部500を構成したことを除いては、上述した図2による製造装置と同一である。したがたって、同一の構成に対しては同一の図面符号を付与し、同一の構成に対する具体的な説明は省略する。
【0056】
図3に示すように、本発明の他の実施例に係るポリシリコンの製造装置は、反応チャンバー100、ガス供給部200、レーザー照射部300及びインゴット形成部500を含んで構成される。
【0057】
前記インゴット形成部500は、前記反応チャンバー100の下側に形成され、自由落下するポリシリコン粒子を収容するとともに、収容したポリシリコン粒子を溶融してインゴットを形成するためのものである。
【0058】
前記インゴット形成部500は、溶融炉510及び加熱部530を含んで構成される。前記溶融炉510は、自由落下するポリシリコン粒子を収容し、収容したポリシリコン粒子が溶融される空間で、前記加熱部530は、前記溶融炉510を加熱するためのもので、熱線ヒーターからなる。前記加熱部530の周りは、絶縁体550によって取り囲まれて構成される。一方、前記インゴット形態のポリシリコン粒子を搬出するために、前記インゴット形成部500を前記反応チャンバー100から分離可能に構成することができる。
【0059】
以下、このような図3による製造装置を用いた本発明の他の実施例に係るポリシリコンの製造方法を説明する。上述した実施例と同一の部分に対する具体的な説明は省略する。
【0060】
まず、前記ガス供給部200のガス供給ノズル230を通して反応チャンバー100の内部に三塩化シランガスまたはモノシランガスなどのシランガスを供給する。
【0061】
次に、前記レーザー照射部300を通して前記反応チャンバー100内にレーザービームを照射することで、前記シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を形成する。
【0062】
このとき、前記レーザービームを前記反応チャンバー100の一方側から他方側に進行させ、前記ガス供給部200とインゴット形成部500との間の領域にレーザービームを照射することで、大量のシランガスを短い時間に熱分解してポリシリコン粒子を析出する。
【0063】
次に、インゴット形成部500で前記ポリシリコン粒子を収容した後、収容したポリシリコン粒子を溶融してインゴットを形成する。このとき、加熱部530を通して溶融炉510を1000〜1200℃の温度で加熱することができる。
【符号の説明】
【0064】
100 反応チャンバー
200 ガス供給部
300 レーザー照射部
400 ポリシリコン粒子収容部
500 インゴット形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバーと、
その反応チャンバー内にシランガスを供給するガス供給部と、
そのガス供給部で供給されるシランガスにレーザービームを照射し、シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を形成するレーザー照射部と、
得られたポリシリコン粒子を収容するポリシリコン粒子収容部と、を備える
ことを特徴とするポリシリコンの製造装置。
【請求項2】
レーザー照射部が、レーザービームを反応チャンバーの一方側から他方側に進行させ、ガス供給部とポリシリコン粒子収容部との間の領域に照射する
請求項1に記載のポリシリコンの製造装置。
【請求項3】
ポリシリコン粒子収容部が、反応チャンバーで生成されたポリシリコン粒子が進入可能な開口を介して反応チャンバーと連通され、反応チャンバーから分離可能に構成された容器と、その容器が反応チャンバーから分離された後、容器の開口を密封するとき、容器の内部に酸素が流入することを遮断するために、容器を取り囲みながら反応チャンバーに連結された補助チャンバーと、を備える
請求項1または2に記載のポリシリコンの製造装置。
【請求項4】
ポリシリコン粒子収容部が、収容したポリシリコン粒子を溶融してインゴットを形成するインゴット形成部を備える
請求項1ないし3のいずれかに記載のポリシリコンの製造装置。
【請求項5】
レーザー照射部が、レーザービームを反応チャンバーの一方側から他方側に進行させ、ガス供給部とインゴット形成部との間の領域に照射する
請求項4に記載のポリシリコンの製造装置。
【請求項6】
インゴット形成部が、ポリシリコン粒子を収容し、収容したポリシリコン粒子を溶融する溶融炉と、溶融炉を加熱する加熱部と、を備える
請求項4または5に記載のポリシリコンの製造装置。
【請求項7】
ガス供給部で供給されるシランガスが、反応チャンバーの側面と接触することを遮断するエア・カーテン形成部を、反応チャンバーに設けた
請求項1ないし6のいずれかに記載のポリシリコンの製造装置。
【請求項8】
レーザー照射部で照射されるレーザービームを、反応チャンバーの内部に透過させるウィンドウを、反応チャンバーに設けた
請求項1ないし7のいずれかに記載のポリシリコンの製造装置。
【請求項9】
レーザー照射部が、レーザービームを発振するレーザー発振部と、発振されたレーザービームの均一度を向上させる光学系と、レーザービームを受信するレーザーパワー受信部と、を備え、
レーザー発振部及び光学系が、反応チャンバーの一方側外部に位置し、レーザーパワー受信部が、反応チャンバーの他方側外部に位置する
請求項1ないし8のいずれかに記載のポリシリコンの製造装置。
【請求項10】
ガス供給部を通して反応チャンバー内にシランガスを供給する工程と、
反応チャンバー内にレーザービームを照射することで、シランガスを熱分解してポリシリコン粒子を形成する工程と、
ポリシリコン粒子をポリシリコン粒子収容部で収容する工程と、を有する
ことを特徴とするポリシリコンの製造方法。
【請求項11】
レーザービームを照射する工程が、レーザービームを反応チャンバーの一方側から他方側に進行させ、ガス供給部とポリシリコン粒子収容部との間の領域に照射する工程である
請求項10に記載のポリシリコンの製造方法。
【請求項12】
ポリシリコン粒子収容部が、反応チャンバーで生成されるポリシリコン粒子が進入可能な開口を介して反応チャンバーと連通され、反応チャンバーから分離可能に構成された容器と、その容器を取り囲みながら反応チャンバーに連結された補助チャンバーとを備えた構成において、
ポリシリコン粒子を収容する工程以後に、ポリシリコン粒子を収容している容器を反応チャンバーから分離した後、補助チャンバー内で容器の開口に対する密封工程を行う
請求項10または11に記載のポリシリコンの製造方法。
【請求項13】
ポリシリコン粒子をポリシリコン粒子収容部で収容する工程において、インゴット形成部でポリシリコン粒子を収容した後、収容したポリシリコン粒子を溶融してインゴットを形成する工程を有する
請求項10ないし12のいずれかに記載のポリシリコンの製造方法。
【請求項14】
レーザービームを照射する工程が、レーザービームを反応チャンバーの一方側から他方側に進行させ、ガス供給部とインゴット形成部との間の領域に照射する工程である
請求項13に記載のポリシリコンの製造方法。
【請求項15】
シランガスを供給する工程が、供給されるシランガスが反応チャンバーの側面と接触することを遮断するために、反応チャンバーの側面にエア・カーテンを形成する工程を有する
請求項10ないし14のいずれかに記載のポリシリコンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−241673(P2010−241673A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199282(P2009−199282)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(509244891)ティーエスティーアイ テック コーポレート リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】TSTI Tech Co., Ltd.
【Fターム(参考)】