説明

ポリマー粒子、および、有機ボランアミン錯体を使用しているカプセル化組成物

重合生成物が、(i)フリーラジカル重合可能なモノマー、オリゴマー、もしくはポリマー;(ii)有機ボランアミン錯体;(iii)(i)の重合生成物用難もしくは非溶媒;ならびに(iv)アミン反応性化合物を含有している混合物から得られる。該混合物は、該重合生成物によりカプセル化されるべき(v)活性成分、および、(vi)任意成分(単数もしくは複数)を包含してよい。ポリマー粒子が、(A)成分(i)〜(iv)を含有している組成物を形成させ;(B)成分(i)〜(iv)を酸素存在下に攪拌し、一様な分散およびこれら成分の反応を与えるに充分な速度および時間において、重合を開始させ;(C)該反応を完結に向かって室温において進行するようにさせ;(D)これらポリマー粒子を成分(iii)を除去していくことにより回収していくことにより、得られる。該組成物は、これらポリマー粒子によりカプセル化されるべき(v)活性成分を包含してよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
なし。
【0002】
連邦出資研究に関する陳述
なし。
【背景技術】
【0003】
本発明は、重合時にポリマーマイクロ粒子を生成させる組成物に関する。より具体的には、本組成物は、フリーラジカル重合可能なモノマー(単量体)、オリゴマー、もしくはポリマーを含有し、アミン反応性化合物に晒される際、または、熱もしくは照射に晒されることにより、有機ボランアミン錯体存在下に重合もしくは架橋する。この反応が、この結果得られてくるポリマー用の少なくとも1種の難もしくは非溶媒を含有している媒体中において実施され、マイクロ粒子を形成させる。本発明は更に、これらマイクロ粒子を調製していくプロセスに関し、活性成分を本組成物を使用しているポリマーマトリックス中においてカプセル化させていく方法に関する。
【0004】
ポリマーマイクロ粒子は、多くの使用を、医薬、農薬、ビタミン、触媒、硬化剤、硬化可能な材料(素材)用反応種、接着剤における接着促進剤、プラスチックにおける難燃剤、香料、オイル、および化粧用ローションのような活性成分のカプセル化領域において持つ。例えば、1部、つまり1パッケージにおける硬化可能なシリコーンエラストマーの保管寿命が実質的に、錫もしくは白金のような硬化触媒をポリマー樹脂粒子中においてカプセル化させて、延びていることがある。このようなカプセル化プロセスが、欧州特許第339 803号明細書(1992年1月15日)において記載されており、ここで、白金族金属触媒が、熱可塑性樹脂中においてマイクロカプセル化されており、ポリマーエマルションを噴霧化させて回収されており、ここで、これら触媒含有マイクロカプセルが保たれ、次いで、この結果得られてくる細かくされた液滴を、加熱ガス流中において飛沫化させ、これらマイクロカプセル外側上の液体を急速に蒸発させ、自由流動粉末を形成させる。しかしながら、このスプレー乾燥操作は極めてコストがかかり、得られる粒子サイズ範囲において限られている。
【0005】
ポリマー微粒子も、これ自体の必然性として、種々の適用(応用)において有用であり、液晶ディスプレーにおけるスペーサービーズ、電気泳動ディスプレーにおける電子インク、接着剤用修飾剤、ゼロックスおよび印刷装置用トナーおよびトナー添加剤、塗料、色素、粉末コーティング、熱可塑性材料、および熱硬化性材料用添加剤、ならびに、クロマトグラフィーカラム用パッキングとしてのその使用を包含している。
【0006】
このようなポリマーマイクロ粒子を調製していく方法が、当業界において知られている。バルクポリマーの機械的粉砕もしくは破砕が使用されていることがあり、細かい粒子を形成させる。高速回転ミル、つまりジェットミルのような機械的プロセスはしかしながら、当該ポリマーにとっての後での加工ステップであるとの固有の欠点を持つ。加えて、このような加工設備はエネルギーを食い、同様に、実施し維持するのにコストがかかる。これゆえ、マイクロ粒子の直接の重合がしばしば、可能な場合、好ましい。
【0007】
これらの重合は典型的に、エマルション重合、無水分散重合、沈澱重合、および懸濁重合のような不均一反応として実施されている。このような手法の詳細な総説が、Journal of Colloid and Polymer Science,Volume 270,Pages717〜732(1992)におけるR.Arshadyによる記事において含まれている。
【0008】
エマルション重合が結果的に細かい一様なポリマーマイクロ粒子を与え得る一方、この手法は、しばしば環境的に望まれていない界面活性剤を必要とするとの不利に苦しむ。無水分散重合および沈澱重合は有機溶媒を利用し、これゆえ、大量の有機溶媒の除去を必要とする。そのモノマー(単量体)が機械的に水中に分散もしくは懸濁されていないので、懸濁重合が界面活性剤を必要としない一方、この結果得られてくる粒子サイズは、他の手法により与えられているものよりも大きい傾向にある。
【0009】
最近のマイクロ粒子重合技術は超臨界二酸化炭素をその反応媒体として利用しており、大量の有機溶媒を扱う必要性を排し得、J.M.DeSimoneら、Science、New Series、Volume 265、No.5170、Pages356〜359(1994年7月15日)により記載されている。しかしながら、これらの手法は、加圧反応設備を必要とする。マイクロ粒子を形成させるフリーラジカル重合は、以前に記述された不均一重合手法のいずれによっても、従来の過酸化物もしくはアゾタイプのフリーラジカルイニシエーターを通じて達成されており、典型的に、上昇した温度を必要としており、重合を開始させる。これらの手法の各々に関して改良がなされてきた一方、これらは未だ、そのプロセスの複雑さにおいて限界に苦しむ。
【0010】
例えば、米国特許第5,852,140号明細書(1998年12月22日)は、平均直径約0.1〜10ミクロン(μm)を有するポリマー粒子の懸濁を調製していく多段階プロセスを記載する。このプロセスの第1ステップは、約10〜50重量%のモノマー(単量体)が重合されてしまうまで、少なくとも1種の当該モノマー(単量体)、フリーラジカル重合可能な阻害剤、および安定フリーラジカル(剤)の混合物のバルク重合を効果的にさせる。第2ステップは、高剪断ミキサーを用いての、安定化成分を含有している水中への、該バルク重合の生成物の分散であり、平均粒子直径0.1〜10μmを持っている液滴の懸濁を得、次いで、この結果得られてくる懸濁を、水中において重合させていく。このイニシエーター(開始剤)が安定であるので、該重合のバルク段階および懸濁段階の両方が、温度約60〜160℃、最適には120〜140℃において実施される。しかしながら、公の部分においては何も、マイクロ粒子不均一重合においてイニシエーター(開始剤)として有機ボランアミン錯体を使用するプロセスを記載しない。
【0011】
有機ボランアミン錯体自体が、知られている。例えば、アクリルモノマー(単量体)のバルク重合に使用された有機ボランアミン錯体が、米国特許第3,275,611号明細書(1966年9月27日)において記載されている。トリアルキルボランのような有機ボロン(硼素)化合物自体はしかしながら、酸素存在下に発火性であり、それで、有機ボロン(硼素)化合物とアミン化合物との間で予め形成された錯体は、トリアルキルボランのような有機ボロン(硼素)化合物に対する向上した安定性を付与していく有益さを持つよう求められている。
【0012】
有機ボランアミン錯体構造上での最近の修飾は、米国特許第6,706,831号明細書(2004年3月16日)においても記載されており、その使用は、アクリレート主体の接着剤である。アクリル接着剤の室温での重合を開始させるアミン反応性脱錯体化剤とのアルキルボランアミン錯体の組み合わせも、第’831号特許において記載されている。このような組成物が、急速硬化、および、低エネルギー表面に対する接着という利点を提供する一方、これら組成物は重合し、離散マイクロ粒子よりもむしろ、接着剤のような連続モノリティック構造を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明ははっきり、その重合プロセスの間、その重合生成物用難もしくは非溶媒の存在を必要とすることにおいて、先行技術のアルキルボランアミン錯体とは異なる。例えば、難もしくは非溶媒の存在が、当業界において既知の組成物における接着結合ジョイントもしくはラバー部のようなモノリティック品の直接形成には望ましくない一方、本明細書において、これが結果的に、平均1次粒子サイズ約10μm直径未満を持っている離散ポリマー粒子の予期されなかった急速な形成を与えることが見出された。これゆえ、ポリマー粒子を調製するのに現在使用されるプロセス、および、これに基づいたカプセル化プロセスの前述した限界により、活性成分のカプセル化に使用され得るポリマー粒子に至る簡単で低コストなルートを求める必要性がある。この点において、本発明による組成物およびプロセスは、急速低温手段を提供し、ポリマー粒子を調製および回収する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、(i)フリーラジカル重合可能なモノマー、オリゴマー、もしくはポリマー;(ii)有機ボランアミン錯体;(iii)(i)の重合生成物用難もしくは非溶媒;および(iv)アミン反応性化合物を含んでいる混合物の重合生成物である組成物に関する。該混合物は、(v)該重合生成物によりカプセル化されている活性成分、および、(vi)任意成分(単数もしくは複数)を包含してよい。
【0015】
本発明は、ポリマー粒子を調製していく方法にも関し、(A)(i)フリーラジカル重合可能なモノマー、オリゴマー、もしくはポリマー;(ii)有機ボランアミン錯体;(iii)(i)の重合生成物用難もしくは非溶媒;および(iv)アミン反応性化合物を含有している組成物を形成させ;(B)該組成物の成分(i)〜(iv)を、酸素存在下に攪拌し、重合を、室温以下のような温度において開始させ、既知の方法を用いて容易に可能であるよりも少ない時間で、一様な分散とこれら成分の反応とを与え;(C)該反応を、ポリマー粒子形成に向かって進行させ;ならびに任意に、(D)これらポリマー粒子を、該難もしくは非溶媒を該組成物から除去していって回収していくことによる。この実施形態において、該組成物が、(v)これらポリマー粒子によりカプセル化されるべき活性成分を包含してよい。本発明のこれらおよび他の特徴が、詳細な説明の考慮から、明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明による組成物および生成物を形成させるのに使用される成分は、(i)フリーラジカル重合可能なモノマー、オリゴマー、もしくはポリマー;(ii)有機ボランアミン錯体;(iii)(i)の重合生成物用難もしくは非溶媒;(iv)アミン反応性化合物;(v)活性成分;および(vi)任意成分(単数もしくは複数)を包含する。これらの成分がより詳細に、以降のように説明される。
【0017】
フリーラジカル重合可能な、モノマー、オリゴマー、もしくはポリマー(i)
成分(i)は、有機化合物、もしくは、有機シリコン(硅素)化合物のような有機金属化合物たり得る。いずれの場合にも、単一モノマー、オリゴマー、もしくはポリマーたり得、不飽和を含有しており、フリーラジカル重合させていくのが可能である。モノマー、オリゴマー、およびポリマー混合物も、使用され得る。多くの場合、モノマー、オリゴマー、およびポリマー混合物を使用するのが好ましく、ガラス転移温度、硬度、もしくは溶解度のような物性、ならびに、親水性もしくは疎水性のような表面特性の望まれる組み合わせを付与する。成分(i)が有機化合物である場合、選ばれる化合物は、その硬化生成物の使用に依ることとなる。ある幾つかの適切な有機化合物が、米国特許第6,762,260号明細書(2004年7月13日)において記載されており、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、過フルオロブチルアクリレート、過フルオロブチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、テトラヒドロ過フルオロアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ビスフェノールAアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAメタクリレート、ヘキサフルオロビスフェノールAジアクリレート、ヘキサフルオロビスフェノールAジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、メチル−3−ブテノエート、アリルメチルカーボネート、ジアリルピロカーボネート、アリルアセトアセテート、ジアリルカーボネート、ジアリルフタレート、ジメチルイタコネート、ジアリルカーボネート、もしくはこれらの組み合わせのような有機化合物を包含している。他の有用な有機化合物は、アクリレート尖端化ポリウレタンプレポリマーを包含し、ヒドロキシアクリレートのようなイソシアネート反応性アクリレートモノマー、オリゴマー、もしくはポリマーを、イソシアネート官能基プレポリマーと反応させていくことにより調製されたものである。
【0018】
有機シリコン(硅素)化合物が成分(i)として使用されている場合、再び、選択される化合物は、その硬化生成物の使用に依る。一般的に、有機シランもしくは有機ポリシロキサンを含み、平均して少なくとも1つのフリーラジカル重合可能な部分を持っている。本有機シリコン(硅素)化合物は、モノマー、オリゴマー、もしくはポリマーたり得、あるいは、モノマーおよび/またはオリゴマーおよび/またはポリマーの混合物たり得る。より高分子量種のこのようなフリーラジカル重合可能な化合物がしばしば当業界において、<<マクロモノマー>>と言われている。これら本有機シリコン(硅素)化合物は、1官能基もしくは多官能基単位を、そのフリーラジカル重合可能な基において含有し得る。これが、直鎖ポリマー、種々の構造の分岐ポリマー、種々の構造のコポリマー、もしくは架橋ポリマーネットワーク(網)への重合を可能とする。これらモノマーおよびオリゴマーは、付加もしくは縮合硬化可能なポリマーを調製するのに通常使用される如何なるモノマーもしくはオリゴマーたり得、あるいは、他のタイプの硬化反応において使用されるモノマーもしくはオリゴマーたり得るが、但し、少なくとも1つのフリーラジカル重合可能な基を含有する。
【0019】
適切な有機シリコン(硅素)モノマーは、一般的に式R’’Si(OR’’’)4−nに対応している構造を持っている化合物を包含し、式中、nが0〜4であり;式中、少なくとも1つのR’’もしくはR’’’基が、フリーラジカル重合可能な基を含有する。これらR’’およびR’’’基は独立に、水素;ハロゲン原子;あるいは、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アクリレート官能基、およびメタクリレート官能基を包含している有機基たり得る。これらR’’およびR’’’基は、グリシジル基、アミン基、エーテル基、シアネートエステル基、イソシアノ基、エステル基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、琥珀酸基、無水物基、メルカプト基、スルフィド基、アジド基、ホスホン酸基、ホスフィン基、マスクされたイソシアノ基、およびヒドロキシル基を包含している他の有機官能基を含有してもよい。
【0020】
代表例のフリーラジカル重合可能な有機シリコン(硅素)モノマーは、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメチルシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、テトラ−(アリルオキシシラン)、テトラ−(3−ブテニル−1−オキシ)シラン、トリ−(3−ブテニル−1−オキシ)メチルシラン、ジ−(3−ブテニル−1−オキシ)ジメチルシラン、および3−ブテニル−1−オキシトリメチルシランのような化合物を包含する。これらの有機シリコン(硅素)化合物に関する好ましいフリーラジカル重合可能な部分は、脂肪族不飽和基であり、ここで、その2重結合が、その官能基に相対的に、その末端の位置、中間の位置、もしくは、両方の位置において位置している。これら本有機シリコン(硅素)化合物に関する最も好ましいフリーラジカル重合可能な部分は、アクリレート基もしくはメタクリレート基である。
【0021】
フリーラジカル重合可能な本有機シリコン(硅素)成分が、モノマー、オリゴマー、もしくはポリマーである場合、本化合物が、直鎖、分岐、超分岐、もしくは樹脂構造を持っている有機ポリシロキサンたり得る。本化合物は、ホモポリマーもしくはコポリマーたり得る。本有機ポリシロキサンに関するフリーラジカル重合可能な部分は、2〜12炭素原子を持っているアルケニル基のような不飽和有機基たり得、ビニル基、アリル基、ブテニル基、もしくはヘキセニル基により、例示される。本不飽和有機基は、2〜12炭素原子を持っているアルキニル基をも含み得、エチニル基、プロピニル基、もしくはブチニル基により、例示される。本不飽和有機基は、そのフリーラジカル重合可能な基を、オリゴマーもしくはポリマーポリエーテル部分上で保有し得、アリルオキシポリ(オキシアルキレン)基もしくはこれらのハロゲン置換類似体のようなものである。フリーラジカル重合可能な本有機基は、アクリレート官能基もしくはメタクリレート官能基を含有し得、アクリルオキシプロピル基のようなアクリルオキシアルキル基、および、メタクリルオキシプロピル基のようなメタクリルオキシアルキル基により、例示される。本不飽和有機基は、そのポリマー骨格に相対して、その末端の位置、途中の位置、あるいは、その末端および途中の位置の両方において、位置され得る。モノマー、オリゴマー、およびポリマー有機シリコン(硅素)化合物に関する好ましいフリーラジカル重合可能な部分は、アクリレート基およびメタクリレート基である。
【0022】
いずれの残っているシリコン(硅素)結合有機基も、1価の有機基たり得、脂肪族不飽和がない。この1価の有機基は、1〜20炭素原子、好ましくは1〜10炭素原子を持ち得、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、およびオクタデシルのようなアルキル基;シクロヘキシルのようなシクロアルキル基;フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、および2−フェニルエチルのようなアリール基;プロピルオキシポリ(オキシエチレン)、プロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、プロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基、これらのハロゲン置換類似体のようなアルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基;シアノエチルおよびシアノプロピルのようなシアノアルキル基を包含してシアノ官能基;ならびに、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、ジクロロフェニル、および6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルのようなハロゲン化炭化水素基により、例示される。
【0023】
フリーラジカル重合可能な本有機シリコン(硅素)化合物は整合して、粘度0.001Pa.sを25℃において持っている流動体〜ゴムまでで変化し得る。フリーラジカル重合可能な本有機シリコン(硅素)化合物は固体でもあり得、上昇した温度において、もしくは、剪断の適用により、流動可能となる。
【0024】
成分(i)は、有機ポリシロキサン流動体を包含し、式:
(a)RSiO(RSiO)(RSiO)SiR
(b)RSiO(RSiO)(RSiO)SiR、もしくは
(c)このような流動体の組み合わせ
を持っている。式(a)において、aが平均値0〜20,000を持ち、bが平均値1〜20,000を持ち、cが平均値0〜20,000を持ち、dが平均値0〜20,000を持つ。各R基は独立に、1価の有機基である。R基は独立に、不飽和の1価の有機基である。R基は、R基と同一たり得る。各Rは独立に、不飽和の有機基である。
【0025】
適切なR基は、1価の有機基であり、アクリロイルオキシプロピル基およびメタクリロイルオキシプロピル基のようなアクリル官能基;メチル、エチル、プロピル、およびブチル基のようなアルキル基;ビニル、アリル、およびブテニル基のようなアルケニル基;エチニルおよびプロピニル基のようなアルキニル基;フェニル、トリル、およびキシリル基のような芳香族基;シアノエチルおよびシアノプロピル基のようなシアノアルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、ジクロロフェニル、および6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル基のようなハロゲン化炭化水素基;アリルオキシ(ポリオキシエチレン)、アリルオキシポリ(オキシプロピレン)、およびアリルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基のようなアルケニルオキシポリ(オキシアルキレン)基;プロピルオキシ(ポリオキシエチレン)、プロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、およびプロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基のようなアルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基;過フルオロプロピルオキシ(ポリオキシエチレン)、過フルオロプロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、および過フルオロプロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基のようなハロゲン置換アルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、およびエチルヘキシルオキシ基のようなアルコキシ基;3−アミノプロピル、6−アミノヘキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル、2−エチルピリジン、および3−プロピルピロール基のようなアミノアルキル基;3−グリシドキシプロピル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル、および5,6−エポキシヘキシル基のようなエポキシアルキル基;アセトキシメチルおよびベンゾイルオキシプロピル基のようなエステル官能基;ヒドロキシおよび2−ヒドロキシエチル基のようなヒドロキシ官能基;3−イソシアネートプロピル、トリス−3−プロピルイソシアヌレート、プロピル−t−ブチルカルバメート、およびプロピルエチルカルバメート基のようなイソシアネートおよびマスクされたイソシアネート官能基;ウンデカナールおよびブチルアルデヒド基のようなアルデヒド官能基;3−プロピル琥珀酸無水物および3−プロピルマレイン酸無水物基のような無水物官能基;3−カルボキシプロピルおよび2−カルボキシエチル基のようなカルボン酸官能基;ならびに、3−カルボキシプロピルおよび2−カルボキシエチルの、亜鉛、ナトリウム、もしくはカリウム塩のようなカルボン酸金属塩を包含している。
【0026】
基は、ビニル、アリル、およびブテニル基のようなアルケニル基;エチニルおよびプロピニル基のようなアルキニル基;ならびに、アクリロイルオキシプロピルおよびメタクリロイルオキシプロピル基のようなアクリル官能基により、例示される。記したように、R基は、R基と同一たり得る。R基は、ビニル、アリル、およびブテニル基のようなアルケニル基;エチニルおよびプロピニル基のようなアルキニル基;アリルオキシ(ポリオキシエチレン)、アリルオキシポリ(オキシプロピレン)、およびアリルオキシポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基のようなアルケニルオキシポリ(オキシアルキレン)基;ならびに、アクリロイルオキシプロピルおよびメタクリロイルオキシプロピル基のようなアクリル官能基により、例示される。
【0027】
成分(i)としての使用に適切なある幾つかの代表的な有機ポリシロキサン流動体は、α,ω−メタクリルオキシプロピル−ジメチルシリル末端化ポリジメチルシロキサン;α,ω−アクリルオキシプロピル−ジメチルシリル末端化ポリジメチルシロキサン;ポリ(アクリルオキシプロピル−メチルシロキシ)−ポリジメチルシロキサン共重合体およびポリ(メタクリルオキシプロピル−メチルシロキシ)−ポリジメチルシロキサン共重合体のような途中にアクリレート官能基を有するポリマーおよびメタクリレート官能基を有するポリマー;ならびに、アミン末端化ポリジメチルシロキサンへの多重アクリレート単量体(モノマー)もしくは多重メタクリレート単量体(モノマー)のマイケル付加を経由して形成された組成物のような、多重のアクリレート官能基もしくはメタクリレート官能基を持っているテレケリック(telechelic)ポリジメチルシロキサンを包含する。このような官能基化反応は、予めもしくはin situにおいて実施され得る。
【0028】
官能基化度、および/または、このフリーラジカル重合可能な基の性質において異なっている有機ポリシロキサン流動体混合物を使用するのが望ましいことがある。例えば、同様な重合度(DP)を持っている2官能基メタクリルオキシプロピル−ジメチルシリル末端化ポリジメチルシロキサンに相対的に、本組成物の成分(i)としての2モル当量のトリメチロールプロパントリアクリレートとのN−(メチル)イソブチル−ジメチルシリル末端化ポリジメチルシロキサンのマイケル付加反応により調製された4官能基テレケリックポリジメチルシロキサンを使用して、遙かに速い架橋効率および抑えられたゾル含量が、得られる。しかしながら、後者の組成物は、より低弾性率の粒子を生成させる。これゆえ、2組成物の組み合わせが極めて、有用であることがある。このような有機ポリシロキサン流動体を調製していく方法が知られており、対応している有機ハロシランの加水分解縮合、もしくは、環状ポリジ有機基シロキサンの平衡化を包含する。
【0029】
成分(i)は、RSiO1/2単位およびSiO4/2単位を含有しているMQ樹脂;RSiO3/2単位およびRSiO2/2単位を含有しているTD樹脂;RSiO1/2単位およびRSiO3/2単位を含有しているMT樹脂;RSiO1/2単位、RSiO3/2単位、およびRSiO2/2単位を含有しているMTD樹脂;あるいは、これらの組み合わせを包含して、有機シロキサン樹脂たり得る。これらの有機シロキサン樹脂における各R基は、1価の有機基を表す。この1価の有機基Rは、1〜20炭素原子、好ましくは1〜10炭素原子を持ち得る。
【0030】
ある幾つかの例の適切な1価のR基の代表的な有機基は、アクリルオキシアルキル基のようなアクリレート官能基;メタクリルオキシアルキル基のようなメタクリレート官能基;シアノ官能基;ならびに、1価の炭化水素基を包含する。1価の炭化水素基は、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、およびオクタデシル基のようなアルキル基;シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基;ビニル、アリル、ブテニル、およびヘキセニル基のようなアルケニル基;エチニル、プロピニル、およびブチニル基のようなアルキニル基;フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、および2−フェニルエチル基のようなアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、ジクロロフェニル、および6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル基のようなハロゲン化炭化水素基;ならびに、シアノエチルおよびシアノプロピル基のようなシアノアルキル基を包含しているシアノ官能基を包含する。
【0031】
基は、プロピルオキシ(ポリオキシエチレン)、プロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、およびプロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基のようなアルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基;過フルオロプロピルオキシ(ポリオキシエチレン)、過フルオロプロピルオキシポリ(オキシプロピレン)、および過フルオロプロピルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基のようなハロゲン置換アルキルオキシポリ(オキシアルキレン)基;アリルオキシポリ(オキシエチレン)、アリルオキシポリ(オキシプロピレン)、およびアリルオキシ−ポリ(オキシプロピレン)−コ−ポリ(オキシエチレン)基のようなアルケニルオキシポリ(オキシアルキレン)基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、およびエチルヘキシルオキシ基のようなアルコキシ基;3−アミノプロピル、6−アミノヘキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル、2−エチルピリジン、および3−プロピルピロール基のようなアミノアルキル基;テトラメチルピペリジニルオキシプロピル基のような立体障害アミノアルキル基;3−グリシドキシプロピル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル、および5,6−エポキシヘキシル基のようなエポキシアルキル基;アセトキシメチルおよびベンゾイルオキシプロピル基のようなエステル官能基;ヒドロキシおよび2−ヒドロキシエチル基のようなヒドロキシ官能基;3−イソシアネートプロピル、トリス−3−プロピルイソシアヌレート、プロピル−t−ブチルカルバメート、およびプロピルエチルカルバメート基のようなイソシアネートおよびマスクされたイソシアネート官能基;ウンデカナールおよびブチルアルデヒド基のようなアルデヒド官能基;3−プロピル琥珀酸無水物および3−プロピルマレイン酸無水物のような無水物官能基;3−カルボキシプロピル、2−カルボキシエチル、および10−カルボキシデシル基のようなカルボン酸官能基;ならびに、3−カルボキシプロピルおよび2−カルボキシエチルのようなカルボン酸の、亜鉛、ナトリウム、およびカリウム塩のような金属塩をも含み得る。
【0032】
本有機シロキサン樹脂は平均、1〜40モル%の不飽和有機基のようなフリーラジカル重合可能な基を含有し得る。これら不飽和有機基は、アルケニル基、アルキニル基、アクリレート官能基、メタクリレート官能基、もしくはこのような基の組み合わせであってよい。本有機シロキサン樹脂における不飽和有機基のモル%は本明細書において、(i)本樹脂における不飽和基含有シロキサン単位のモル数の、(ii)本樹脂におけるシロキサン単位の全モル数×100に対する比であると考えられる。成分(i)として有用であるある幾つかの特定例の適切な有機シロキサン樹脂は、MメタクリルオキシプロピルQ樹脂、MTメタクリルオキシプロピルT樹脂、MDTメタクリルオキシプロピルフェニルT樹脂、およびMビニルフェニル樹脂であり、式中、M、D、T、およびQは、上で定義されたと同一の意味を持つ。
【0033】
このような有機シロキサン樹脂を調製していく方法が知られており、シリカヒドロゾルキャッピングプロセスにより生成された樹脂共重合体(コポリマー)を、アルケニル含有末端封鎖試薬を用いて処理していくことにより調製された樹脂を包含しており、米国特許第2,676,182号明細書(1954年4月20日)において記載されたとおりである。この方法は、シリカヒドロゾルを、酸性条件下に、トリメチルクロロシランのような加水分解可能なトリ有機シラン、ヘキサメチルジシロキサンのようなシロキサン、もしくはこれらの混合物と反応させていき、次いで、MおよびQ単位を持っている共重合体(コポリマー)の回収に関与する。該コポリマーは典型的に、約2〜5重量%のヒドロキシル基を含有する。2重量%未満の硅素結合ヒドロキシル基を含有している有機シロキサン樹脂が次いで、該コポリマーを、不飽和有機基を含有している末端封鎖剤、および、脂肪族不飽和のない末端封鎖剤と、3〜30モル%の不飽和有機基を生成物において与えるに充分な量で反応させていくことにより、調製されてよい。ある幾つかの適切な末端封鎖剤は、シラザン、シロキサン、およびシランを包含し;好ましい末端封鎖剤が、米国特許第4,584,355号明細書(1986年4月22日)、米国特許第4,585,836号明細書(1986年4月29日)、および米国特許第4,591,622号明細書(1986年5月22日)において記載されている。単一末端封鎖剤、もしくは、末端封鎖剤混合物が使用されてよく、このような有機シロキサン樹脂を調製する。
【0034】
もう1つ別のタイプの有機シリコン(硅素)化合物が、成分(i)として使用され得、ポリマー骨格を持っている有機化合物を、有機ポリシロキサンと共重合させていくことにより形成された組成物であり、ここで、平均少なくとも1つのフリーラジカル重合可能な基が、1分子当たり取り込まれている。ある幾つかの適切な有機化合物は、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、およびポリイソプレンのような炭化水素主体のポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエチレンポリプロピレン共重合体(コポリマー)のようなポリオレフィン;ポリスチレン;スチレンブタジエン;およびアクリロニトリルブタジエンスチレン;ポリアクリレート;ポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシドのようなポリエーテル;ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリウレア(尿素);ポリメタクリレート;および、ポリテトラフルオロエチレンのような一部フッ素化されたかもしくは過フッ素化されたポリマー;フッ素化ラバー;末端不飽和炭化水素;オレフィン;ならびに、ポリオレフィンを包含する。本有機化合物は、これらのポリマーのいずれのコポリマーでもあり得、多重の官能基、多重の有機ポリシロキサン官能基、あるいは、有機ポリシロキサンと有機化合物との如何なる組み合わせをも含有しているポリマーを包含している。これらコポリマー構造は、繰り返し単位の配列において、ランダム〜グラフト化〜ブロックであるとして、本来的に、変動し得る。
【0035】
成分(i)が、平均して少なくとも1つのフリーラジカル重合可能な基を保有していることに加えて、物理的転移温度を持ってよく、物理的転移温度を有する有機官能基を保有してよく、あるいは、重合もしくは架橋時に、物理的転移温度を持つ粒子を形成してよく、つまりガラス転移もしくは融解転移であり、こうして、本組成物が、それの粘度における軟化もしくは非直線的減少により、ある特定温度に到達すると、使用条件下に顕著となる変化を起こす。このような材料は特に、活性物質のカプセル化に有用であり、熱の導入により、放出される。例えば、成分(i)の有機ポリシロキサン主体のものは、有機官能基シリコーンワックスであってよい。該ワックスは、非架橋有機官能基シリコーンワックス、架橋有機官能基シリコーンワックス、もしくはワックスの組み合わせたり得る。これらのようなシリコーンワックスが市販されており、米国特許第6,620,515号明細書(2003年9月16日)において記載されている。該有機官能基シリコーンワックスが少なくとも1つのアクリレートもしくはメタクリレート基のようなフリーラジカル重合可能な基を保有する場合、当該ワックスは相変化を付与するに有用であり、成分(i)として使用された場合である。成分(i)は、上記有機化合物、有機シリコン化合物、および/または有機ポリシロキサン化合物のいずれの混合物をも、含み得る。
【0036】
有機ボランアミン錯体(ii)
有機ボランアミン錯体(ii)は、有機ボランと、当該錯体を通常条件において安定させる適切なアミン化合物との間で形成された錯体である。錯体(ii)は、成分(i)の重合もしくは架橋を、アミン反応性化合物の導入および/または加熱により、開始させていくことができる筈である。ある1例は、トリアルキルボランおよび種々のアミン化合物から形成されたアルキルボランアミン錯体である。成分(ii)を形成させていくのに有用なトリアルキルボランの例は、トリアルキルボラン式BR”を包含し、式中、R”が、直鎖および分岐脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を表し、1〜20炭素原子を含有している。ある幾つかの例は、トリメチルボラン、トリ−n−ブチルボラン、トリ−n−オクチルボラン、トリ−2級−ブチルボラン、トリドデシルボラン、およびフェニルジエチルボランを包含する。
【0037】
これら有機ボランアミン錯体の有機ボラン成分としても、2005年1月4日に出願され、<<有機シリコン官能基ボロンアミン触媒錯体およびこれから調製された硬化可能な組成物>>と題され、本願と同一出願人に帰属された、係属している米国特許出願において記載されたあるクラス(分類)の有機シリコン(硅素)官能基ボロン(硼素)化合物は有用である。一般的に、これらの化合物は、少なくとも1シリコン原子を含有している有機シリコン官能基有機ボラン部分を持っている錯体からなり、当該シリコン原子がシリコン原子含有基、シロキサンオリゴマー含有基、もしくはシロキサンポリマー含有基として、当該錯体の有機シリコン官能基有機ボラン部分において存在している。この係属出願において説明されたとおり、そこにおける有機シリコン官能基ボロンアミン触媒錯体は、式:
【0038】
【化1】

【0039】
を持っている化合物であり、式中、Bが、ボロン(硼素)を表し;R6、R7、およびR8が、水素;シクロアルキル基;1〜12炭素原子をその主鎖上で持っている直鎖もしくは分岐アルキル基;アルキルアリール基;有機シラン基;有機シロキサン基;ボロン(硼素)原子に対する共有結合として官能基化していくことができるアルキレン基;ボロン(硼素)原子に対する共有結合として官能基化していくことができる2価の有機シロキサン基;ならびに、これらのハロゲン置換類縁体からなる群から独立に選択された基であり;但し、R6、R7、もしくはR8基のうちの少なくとも1つが、1つ以上のシリコン(硅素)原子を含有し、そのシリコン含有基が、ボロン(硼素)に対して共有結合しており;R9、R10、およびR11が、ボロン(硼素)を錯体化していくことができるアミン化合物もしくはポリアミン化合物を与える基であり;ここで、R6、R7、もしくはR8基のうちの2つ以上が、R9、R10、もしくはR11基のうちの2つ以上が、これらが組み合わされて、ヘテロ(複素)環状構造を形成し得るようであり、但し、これら2つの組み合わせていく基由来の原子数の和が、11を超えない。もし必要であれば、更に詳細に関して、該係属出願に言及されてよい。
【0040】
これら有機ボラン化合物との有機ボランアミン錯体(ii)を形成させるに有用なある幾つかの例のアミン化合物は、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、メトキシプロピルアミン、ピリジン、およびイソホロンジアミンを包含する。有機ボランアミン錯体を形成させるに有用なアミン化合物の他の例は、米国特許第6,777,512号明細書(2004年8月17日)ならびに米国特許第6,806,330号明細書(2004年10月19日)において記載されている。
【0041】
シリコン含有アミン化合物も使用され得、該有機ボランアミン錯体を形成させるが、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、アミノプロピルシラントリオール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、および(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレン−トリアミンのような組成物を包含している。
【0042】
アミン官能基有機ポリシロキサンは、有機ボランアミン錯体(ii)を形成させていくにも有用であり、式(a)および(b)において上記された化合物、ならびに、有機ポリシロキサン樹脂として前記された化合物を包含している。これは、この分子が少なくとも1つのアミン官能基を含有するとの規定に関わり、3−アミノプロピル、6−アミノヘキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル、2−エチルピリジン、および3−プロピルピロールのようである。
【0043】
有機ボランアミン錯体(ii)を形成させるのに、他の窒素含有化合物も有用であり、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、上記式(a)および(b)に類似の式のシロキサン、ならびに、少なくとも1つの基が、イミダゾール、アミジン、もしくはウレイド官能基である有機ポリシロキサン樹脂として前記された化合物を包含している。このアミン化合物がポリマーである場合、その分子量は限られておらず、充分高濃度のボロン(硼素)を維持し、本組成物の重合を可能とするようなものたるべきことを除く。例えば、2部組成物において、該有機ボランイニシエーターが、モノマーおよび任意にカプセル化されるべき活性成分を用いて稀釈されてよく、あるいは、当該イニシエーター錯体単独からなってよい。
【0044】
もし望まれれば、本組成物は、物理的もしくは化学的に本有機ボランアミン錯体を固体粒子に結合させていくことにより、安定化されてよい。これは、反応時間を制御する道を与え、ならびに、液相有機ボランアミン錯体を、本組成物の残りから保管中に大きく分離していくことに対して安定化させる道を与える。例えば、化学的結合は、粉砕シリカ、沈降シリカ、炭酸カルシウム、もしくは硫酸バリウムのような固体粒子を、アミン基を含有しているアミノプロピルトリメトキシシランのような縮合反応性化合物と前処理していくことにより、実施され得る。該前処理に伴い、有機ボラン化合物との錯体化、または、これら固体粒子の直接処理が行われ、縮合反応性である予め形成された有機ボランアミン錯体を使用する。これら固体粒子が表面官能基を含有する場合、固有にアミン反応性である表面処理剤もしくは不純物のような添加剤が適切な前もっての注意を喚起し、結合されている有機ボランアミン錯体の未熟な脱錯体化を避ける。アミン反応性物質を含有している固体粒子は、該有機ボランアミン錯体の結合前に、精製もしくは中和され得る。あるいは、該有機ボランアミン錯体の結合は、無酸素環境中において実施され得る。
【0045】
重合生成物用の難溶媒もしくは非溶媒(iii)
成分(iii)は、成分(i)および本システム中の成分(i)と共重合できる如何なる他の成分の重合生成物用の難もしくは非溶媒である。成分(iii)は、水性でも、もしくは、非水性でもよい。本明細書において使用された場合の<<難溶媒>>は、該重合生成物が、反応温度において、成分(iii)に実質的に可溶性でないと意味すると意図されている。本明細書において使用された場合の<<非溶媒>>は、該重合生成物が、反応温度において、成分(iii)に可溶性でないと意味すると意図されている。
【0046】
成分(iii)は、単一の流動体、もしくは、1種以上の異なる種類の流動体の混合物であってよい。本組成物の重合前に、成分(iii)の溶解度の特徴は、本組成物の残りに相対して拘束されておらず、つまり、他の成分が、成分(iii)に、混和性、一部混和性、もしくは非混和性であってよい。成分(i)が少なくとも一部、成分(iii)に溶解性であるか、あるいは、成分(i)が別々の安定化剤の存在により相容化されているのが好ましい。さもなければ、本組成物の激しい機械的攪拌が必要とされることがあり、これら液滴の一様な当初の分散を得る。
【0047】
成分(iii)の量が必ずしも限られておらず、実用目的で、溶媒中の他の成分の組み合わされた濃度が、これら1次粒子の過剰な凝集なしで、離散粒子形成を可能とするに充分低いのが好ましい。例えば、成分(iii)が、反応条件において、本組成物全体積の25体積%以上、より好ましくは50体積%以上の量で存在しているのが好ましい。
【0048】
ある幾つかの例の成分(iii)は、水;極性および非極性有機溶媒;有機シラン;直鎖および環状有機シロキサン流動体、オリゴマー、樹脂、およびポリマー;ならびに、いわゆる<<グリーンな溶媒>>、つまり、イオン液体および超臨界流動体のような環境に優しい溶媒を包含する。多くのポリマーの系用の難もしくは非溶媒が知られており、例えば、Polymer Handbook、第3版、J.BrandrupおよびE.H.Immergut共著、John Wiley&Sons、VII/379−382+ページ(1989年)のような多くの標準的なポリマーのハンドブックにおいて見出され得る。ある幾つかの例の「グリーンな溶媒」から、これら難もしくは非溶媒が、種々のポリマー用に選択され得、トシル酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、テトラフルオロ硼酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、塩化1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロ燐酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムのようなイミダゾリウム誘導体;ならびに、塩化1−ブチル−4−メチルピリジニウム、ヘキサフルオロ燐酸1−ブチル−4−メチルピリジニウム、テトラフルオロ硼酸1−ブチル−4−メチルピリジニウムのようなピリジニウム誘導体のようなイオン液体を包含する。成分(iii)として使用され得る超臨界流動体は、超臨界二酸化炭素、超臨界水、超臨界エタン、超臨界酸化窒素、超臨界アンモニア、超臨界1,1,1,2−テトラフルオロエタン、超臨界ジフルオロメタン、超臨界ペンタフルオロエタン、およびこれらの混合物を包含する。超臨界流動体の溶媒としての強さは、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、もしくはベンゼンのような如何なる数の共溶媒によっても、修飾されてよい。
【0049】
例えば、メチルメタクリレートのようなモノマーの重合用には、成分(iii)の例は、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、もしくはこれらの混合物を包含する。シロキサンモノマーもしくは有機ポリシロキサンマクロモノマーの重合用には、成分(iii)の例は、アセトン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、メタノール、および水を包含する。該難もしくは非溶媒が、無毒であるのが好ましい。これらマイクロ粒子がニート(原液)の形で分離されなければならない場合、成分(i)が充分低い沸点を持つのも好ましく、その重合生成物のガラス転移温度のような物理的転移温度以下の温度において容易に除去される。その中においてこれらマイクロ粒子が形成されている成分(iii)として働いているシリコーンポリマーがシリコーンエラストマー処方に加えられる場合のように、ある幾つかの場合、成分(iii)が、引き続いての使用への供給用担体たり得、これにより、これら粒子の重合後の成分(iii)の除去を求める必要性がないようにしていく。
【0050】
アミン反応性基を持っているアミン反応性化合物(iv)
重合可能な本組成物は、有機ボランアミン錯体(ii)と混合され、酸素化された環境に晒された場合、重合もしくは架橋を開始することができるアミン反応性化合物(iv)を含有してよい。成分(iv)の存在は、重合もしくは架橋の開始を可能とし、急速に、室温以下を包含している有機ボランアミン錯体(ii)の解離温度以下の温度において、起きる。酸素存在下での未熟な重合を防ぐには、重合を開始させるのが望ましい時点の直前まで、成分(ii)および(iv)が物理的もしくは化学的に単離されているのが好ましい。例えば、本組成物は当初、別々の2溶液として調製されてよく、これらは、重合開始の直前に、1溶液へと組み合わされる。本組成物の残っている成分は、(ii)および(iv)が互いに接触しない限り、如何なるやり方でも、これら2溶液間で分配されてよい。
【0051】
例えば、成分(i)および(ii)を含んでいる第1溶液、ならびに、成分(iii)および(iv)を含んでいる第2溶液は、空気に安定であるが、これら溶液が一緒に空気中において混合されると、重合して、細かい粒子を形成する。あるいは、成分(ii)および(iv)または両方がカプセル化され得、または、別々の相において供給され得る。これは、固体の形の成分(ii)および(iv)の1種もしくは両方を導入していくことにより達成され得、成分(ii)および(iv)の親密な混合を妨げる。本組成物の重合は、(a)その固体相成分もしくはカプセル化剤の軟化温度を上回って熱していくか、あるいは、(b)その固体相用の可溶化剤の導入により、活性化され得、成分(ii)および(iv)の混合を可能とする。成分(ii)および(iv)は、有意な重合なく、単一容器中においても組み合わされ得、これら2成分をある1容器中においてパッケージしていくことにより、ここでの混合条件は嫌気的である。この場合、重合は、本組成物に、酸素を導入することにより、開始され得る。
【0052】
急速に、酸素存在下に、粒子の重合もしくは架橋を開始し得るアミン反応性基を持っているある幾つかのアミン反応性化合物(iv)の例は、鉱酸、ルイス酸、カルボン酸、無水物およびスクシネートのようなカルボン酸誘導体、カルボン酸金属塩、イソシアネート、アルデヒド、エポキシド、酸クロリド(酸塩化物)、およびスルホニルクロリド(塩化スルホニル)を包含する。ある幾つかの適切なアミン反応性化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸無水物、ウンデシレン酸、オレイン酸、イソホロンジイソシアネートモノマーもしくはオリゴマー、メタクリロイルイソシアネート、2−(メタクリロイロキシ)エチルアセトアセテート、ウンデシレンアルデヒド、およびドデシル琥珀酸無水物を包含する。
【0053】
本アミン反応性化合物は、有機シランもしくは有機ポリシロキサンであり、アミン反応性基を保有している。ある幾つかの例は、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;プロピル琥珀酸無水物官能基化された直鎖、分岐、樹脂状、および超分岐有機ポリシロキサン;シクロヘキセニル無水物官能基を有する直鎖、樹脂状、および超分岐有機ポリシロキサン;カルボキシデシル末端化オリゴマーもしくはポリマーポリジメチルシロキサンのようなカルボン酸官能基化された直鎖、分岐、樹脂状、および超分岐有機ポリシロキサン;ならびに、ウンデシレンアルデヒド末端化オリゴマーもしくはポリマーポリジメチルシロキサンのようなアルデヒド官能基化された直鎖、分岐、樹脂状、および超分岐有機ポリシロキサンを包含する。
【0054】
第’512号特許が、使用され得るシリコン(硅素)含有化合物を記載し、湿気に晒された場合酸を放出するある特定化合物を包含している。第’512号特許は、「脱錯体化剤」といわれる他のアミン反応性化合物も記載する。
【0055】
他の化合物が使用され得、紫外照射に晒された場合アミン反応性基を発生させることができる、光酸発生剤のような化合物を包含する。ある幾つかの例のこのような化合物は、[SbFカウンターイオン(対イオン)を含有しているヨードニウム塩を包含する。このような実施形態において、任意に、イソプロピルチオキサントンのような光感受性化合物を包含するのが有用であることがある。
【0056】
ある幾つかの場合、これら固体粒子に該アミン反応性化合物を結合させることにより、重合速度、もしくは、粒子形成の位置決め、つまり核化を制御するのが望ましいことがある。これら固体粒子は、伝導特性もしくは電磁特性のような特性を持ってよく、そのポリマーの殻中においてこれら固体粒子がカプセル化されているその結果得られてくる粒子重合生成物を、本方法によるカプセル化の前のものよりも、引き続いての適用に有用にし得る。これらアミン反応性基の結合は、数多くの既知の表面処理により、in situ系中において、もしくは、a priori前もって、達成され得る。ある幾つかの表面処理方法は例えば、粉砕シリカもしくは沈降シリカ、炭酸カルシウム、カーボンブラック、カーボンナノ粒子、シリコン(硅素)ナノ粒子、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化ボロン(硼素)、銀、金、白金、パラジウム、およびこれらの合金;あるいは、ニッケル、アルミニウム、銅、および鋼のような基礎金属のような固体粒子を、縮合反応化合物を用いて前処理していくことを包含する。これに次いで、アミン反応性基を持っている化合物とのこれら前処理された固体粒子の反応、または、加水分解可能な部分を持つアミン反応性化合物を使用してのこれら前処理された固体粒子の直接処理が行われる。このような場合、該アミン反応性化合物が結合されているこれら粒子が、重合媒体に類似の密度を持つのが好ましく、本組成物中におけるこれら粒子の分散を容易化させる。
【0057】
ある幾つかの例の縮合反応化合物が、結合用に使用され得、イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシリルウンデカナール、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピル琥珀酸無水物、および2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシランを包含する。これら固体粒子に対する該アミン反応性化合物の結合も、酸官能基化合物を適切な表面官能基を持っている充填剤と、酸塩基錯体、水素結合錯体、もしくは酸塩の形成に対して実施可能な条件下に混合していくことにより達成され得る。
【0058】
ある幾つかの粒子充填剤が市販されており、潤滑剤といわれる表面処理剤を用いて前処理されているか、または、カルボン酸のようなアミン反応性基を含有する不純物と共に得られる。こうして、成分(iv)および活性成分(v)もしくは任意成分(vi)が一緒に、処理充填剤の形で供給され得る。その例において得られた利点は、該充填剤上での該有機ボランアミン錯体と該アミン反応性基との間での反応が、該潤滑剤を該充填剤粒子表面から除去するのを補助し得ることである。該充填剤は濃縮された形の該粒子の安定性に必要であるが、該充填剤の意図された機能と干渉し得る。成分(ii)と該アミン反応性潤滑剤との反応は有効に、該潤滑剤を該粒子表面から除去し得、これにより、該粒子を活性化していく。ある1典型例は、脂肪酸処理銀充填剤粒子であり、ここで、該脂肪酸潤滑剤は、最終形態における電気伝導を樹立させていくのに必要とされている粒子対粒子接触と干渉する。
【0059】
安定性のために、アミン反応性基を含有している充填剤と、アミン化合物に関して不活性である充填剤との組み合わせを使用するのも、有利であることがある。例えば、成分(ii)および(iv)が別々の溶液中において維持されている場合、アミン化合物に関して不活性である該充填剤がアルキルボランアミン錯体(ii)と組み合わされ得、この間、アミン反応性基を保有している充填剤は、成分(ii)とは別々の容器中においてパッケージされ得る。その場合、成分(i)は、その処方のいずれか一部、もしくは、両部と共に包含させられ得る。あるいは、アミン反応性化合物(iv)が、その気体相において供給されるようにする条件下に、残りの本組成物を含有している反応容器に、導入され得る。ある幾つかの場合、もし該アミン反応性化合物も本システムにとって難もしくは非溶媒であれば、成分(iii)および成分(iv)が同一であってよい。このような場合、該アミン反応性化合物がエバポレーションもしくは昇華のような方法により除去し易いのが好ましく、これは、より大過剰の該アミン反応性化合物が使用されているからである。
【0060】
活性成分(v)
これら重合された粒子によるカプセル化用に本組成物に加えられてよい活性成分(v)は、ビタミン、医薬品、バクテリア、ウィルス、溶媒、肥料、除草剤、殺虫剤、および他の農薬、硬化触媒、接着促進剤、フリーラジカル重合可能な基を含有していない架橋剤、フリーラジカル重合以外のメカニズムにより硬化可能な組成物用のモノマーもしくは反応試薬、固体粒子、伝導固体粒子、磁気固体粒子、誘電固体粒子、吸収粒子、色素、染料、インク、香料(flavors)、香料(fragrances)、および水を包含する。化粧料、ヘルスケア、およびホームケアも、カプセル化され得、抗面皰剤、抗虫歯剤、抗フケ剤、抗真菌剤、抗微生物剤、抗酸化剤、抗汗剤、脱臭剤、殺生物剤、外用鎮痛剤、口腔ケア、口腔ケア薬剤、酸化剤、還元剤、皮膚漂白剤、皮膚保護剤、日焼け止め、UV光吸収剤、酵素、光沢剤、柔軟剤、および界面活性剤を包含する。
【0061】
例えば、活性成分(v)は、(a)ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、β−カロテン、ルテイン、およびリコピンのようなビタミン;(b)アスピリン、イブプロフェン、上皮成長因子、パクリタキセル、組織プラスミノーゲン因子、ペニシリン、bacitracin、およびヒト成長ホルモンのような医薬品;(c)E.coliおよびBacillus cereusのようなバクテリア;(d)インフルエンザウィルスもしくはタバコモザイクウィルスのようなウィルス;(e)水、ヘプタン、およびエタノールのような溶媒;(f)肥料;(g)2,4−D、クロリムロン、およびフェノキサプロップのような除草剤;(h)アトラジン、ジアジノン、およびクロルピリフォスのような殺虫剤;(i)N,N−ジエチル−m−トルイジンおよびピレトリンのような昆虫忌避剤;(j)錫、白金、ロジウム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、および、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネートのような有機金属錯体、ならびに、ゼオライトのような固体粒子上で支持されたそれらのような触媒;(k)アルコキシシラン、これらの部分加水分解もしくは縮合オリゴマー、チタネート、アルコール、シラザン、クロロシラン、フッ素化シラン、メルカプタン、他の硫黄化合物、およびアミンのような接着促進剤;(l)有機水素ポリシロキサン、多官能基アミン、およびイソシアネートのような架橋もしくは硬化剤;(m)フリーラジカル重合以外のメカニズムにより硬化可能な、エポキシド、ウレタン、およびポリオールのようなモノマー(単量体);(n)炭素、粉砕シリカ、沈降シリカ、石英、硫酸バリウム、および炭酸カルシウムのような固体粒子;(o)金、銀、インジウム、錫、銅、アルミナ、亜鉛、カーボンブラック、およびこれらの合金のような伝導粒子;(p)フェライトのような磁気粒子;(q)融合ガラスマイクロ球、チタニア、炭酸カルシウム、もしくはポリスチレンのような誘電粒子;(r)活性炭もしくはモレキュラーシーブズのような吸収固体粒子;(s)インディゴおよびカーボンブラック溶液のような、染料、塗料、およびインク;(t)砂糖、食塩、アセトアルデヒド、レモンオイル、ピナコール、およびシンナムアルデヒド(桂皮アルデヒド)のような香料および香料化合物;(u)メントール、カンファー(樟脳)、イランイランオイル、およびムスク(麝香)キシロールのような香料;(v)サリチル酸、硫黄、ウンデシレン酸亜鉛、Poloxamer188、システイン、アルミニウムジルコニウムテトラクロロhydrexPEG、重炭酸ナトリウム、燐酸セチルベンザルコニウム、ベンジルアルコール、カンファー、サリチル酸メチル、グリセリン、臭素酸カリウム、チオグリコール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミチン酸イソプロピル、ジメチコーン、およびラノリンのような化粧料およびヘルスケア;(w)フッ化ナトリウム、モノフルオロ燐酸ナトリウム、およびフッ化錫のような歯科;アミノ安息香酸、二酸化チタン、およびエチルメトキシシンナメート(桂皮酸)のようなUVプロテクター;ならびに(x)氷、蒸留水、脱イオン水、酸性化水、および塩基性水の形の水を含んでよい。該活性成分がカプセル化条件において固体の形である場合、それの粒子サイズ、分布、もしくは形状は限られない。例えば、カーボン(炭素)粒子は、活性炭粉末〜ナノ粒子の範囲であってよく、カーボンナノチューブもしくはバクミンスターフラーレンのようなものである。本システムにおける他の成分の分別ある選択により、本ポリマーマイクロ粒子の特性が制御されてよく、望ましいメカニズムの活性成分(v)の放出を可能とする。活性成分(v)がその殻から望まれる速度において放出するようにする放出メカニズムの例は、抽出、溶解、融解、軟化、摩耗、または、熱的もしくは機械的ストレスを介するクラッキングを包含する。
【0062】
任意成分(vi)
ある幾つかの任意成分も、本明細書における硬化可能な組成物において包含され得、界面活性剤;乳化剤;分散剤;ポリマー安定化剤;架橋剤;ポリマー、架橋剤、および、これら粒子の2次重合もしくは架橋を与えるに有用な触媒の組み合わせ;増粘剤のようなレオロジー修飾剤;密度修飾剤;UV安定化剤;アジリジン安定化剤;ヒドロキノンおよび嵩高いアミンのような硬化修飾剤;有機過酸化物およびオゾニドのようなフリーラジカルイニシエーター;ポリマー;稀釈剤;酸受容体;抗酸化剤;熱安定化剤;難燃剤;スカベンジャー;シリル化剤;気泡安定化剤;溶媒;稀釈剤;可塑化剤;および乾燥剤を包含する。
【0063】
加工
本明細書におけるポリマー粒子は、以降の量の成分(i)〜(v)を含有している硬化可能な組成物を形成させていくことにより、調製され得る:
A.0.1〜50重量部のフリーラジカル重合可能な有機シリコン(硅素)モノマー、オリゴマー、もしくはポリマー(i);
B.本組成物を硬化させるに充分な、0.1〜50重量部の有機ボランアミン錯体(ii)、この量は、当該錯体の分子量および1分子当たりのボロン(硼素)原子数に依っている;
C.フリーラジカル重合可能な有機シリコン(硅素)モノマー、オリゴマー、もしくはポリマー(i)の重合生成物のための、0.50〜10,000重量部の難もしくは非溶媒(iii);
D.0〜50重量部のアミン反応性化合物(iv);
E.重合生成物(i)によりカプセル化されるべき、0〜50重量部の活性成分(v);ならびに
F.0〜50重量部の任意成分(1種もしくは複数種)
硬化可能な本組成物全体の重量に基づく。
【0064】
本発明の硬化可能な組成物の重合速度は、更なるアミン化合物を導入していくことにより制御され得、硬化可能な本組成物における、ボロン原子に対するアミン基のモル比を上昇させる。加えられるべき有効量は、成分(i)において使用されるアミン:ボロン比に依る。全体のアミン:ボロン比が充分低いままであるのが好ましいが、重合が起きるようにする。適切なアミン:ボロン比は、10:1未満、好ましくは4:1未満とされる。本アミン反応性成分が既に本組成物において存在している場合、つまり、残留カルボン酸が本充填剤粒子上で存在している場合、より高いレベルのアミン化合物が加えられるべきであり、そのアミン反応性基を中和もしくは一部中和し、その重合速度を低減させる。該アミン化合物は、1アミン官能基もしくは多重アミン官能基を含有してよく、1級アミン、2級アミン、および/または3級アミンたり得る。もし望まれれば、該アミン化合物は、フリーラジカル重合可能な基、または、加水分解可能な基のようなもう1種別の官能基を含有し得る。該アミン化合物は、事実上、モノマー、オリゴマー、もしくはポリマーたり得る。該化合物上のアミン基は、有機、有機シリコーン、もしくは有機ポリシロキサン化合物上で生えていてよい。
【0065】
これらポリマー粒子は、重合に適切な容器中において、成分(i)〜(iv)、および、任意成分(vi)のうちのいずれかを含有している硬化可能な組成物を形成させていくことにより、調製され得る。硬化可能な本組成物は、これら成分の一様な分散を与えるに充分攪拌され、空気もしくは酸素含有雰囲気中において、終結に向かって反応するようにされ、室温以下のような、既存の方法を用いて可能であるよりも低温において、既存の方法を用いて可能であるよりも少ない回数において、ポリマー粒子を形成させる。安定性に関して、もし酸素がその雰囲気から除かれなければ、成分(ii)および(iv)は、重合が望まれる直前まで、組み合わされるべきでない。優れた保管安定性が、成分(i)および(ii)を、如何なる活性成分(v)とも、予め混合していき、次いで、このプレミックスを、成分(iii)および(iv)を含有している別々のプレミックスに加えていくことにより、マイクロ粒子重合を開始させていくことにより、達成されることがある。あるいは、成分(i)および(iv)が、予め混合され、次いで、成分(ii)および(iii)を含有している混合物に加えられ、これらマイクロ粒子を形成させてよい。また、成分(iv)が、差し控えられ、次いで、残っている全成分を含有している溶液中に滴下されてよい。更に、全成分が、一緒に無酸素雰囲気中において混合され、次いで、酸素化気体を導入していくことにより、重合されてよい。粘度修飾剤もしくは分散剤のような任意成分が、成分(ii)もしくは成分(iv)を含有している一部と共に予め混合され得る。典型的には、この反応は、約20分以内に完結に向かって進行され、成分(ii)および(iv)が一緒に混合される速度に依っている。
【0066】
活性成分(v)は、これらポリマー粒子によりカプセル化され得、硬化可能な本組成物における、好ましくは成分(i)を含有している部におけるある1成分として包含していくことによる。ある特定の組み合わせが、与えられたシステムに関して、これら成分間の相容性に基づき、より便利であることがあるが、粒子重合用全成分の混合前の残っている成分の精確な分配は、成分(ii)および(iv)が酸素存在下に組み合わされない限り、限定されない。その精確な添加速度は、重合もしくはカプセル化の成功には決定的ではないが、例えば、予め混合された触媒された前記モノマー溶液が、前記難もしくは非溶媒を含有している反応容器中に一気に投入され得、あるいは、ゆっくり量られてよく、成分(ii)および(iv)が組み合わされる速度が、該反応容器における攪拌強度同様、最適の再現性および粒子サイズの制御のために制御されるべきである。
【0067】
同様に、これら成分がまず組み合わされる時点、つまり、これらの導入時点は、与えられたシステムに関しての便利さおよび有効さに従って変動し得る。例えば、成分(i)、(ii)、および(v)を含有している触媒されたプレミックスが、成分(iii)および(iv)を含有している反応容器中に滴下されてよく、該プレミックスが、成分(iii)および(iv)のブレンドを含有している反応容器の液体の喫水線以下に位置された沈んだ導入管により導入されてよく、あるいは、成分(iv)が、気体としてもしくは液体として沈んだ供給管を通して別々に導入されてよい。もし望まれれば、この結果得られてくるポリマー粒子は、難もしくは非溶媒(iii)および如何なる他の揮発成分をも、単に除去していくことにより回収され得、これら粒子の引き続いての融合を避けるに充分低温におけるエバポレーションによる。もし望まれれば、これら粒子が、洗浄および濾過のような分離ステップにより、まず精製および/または濃縮されてよい。もしカプセル化生成物の更なる被覆が望まれれば、このプロセスが、同様もしくは異なる組成物を用いて数多くの回数繰り返されてよいが、但し、このプロセスは、本活性成分の未熟な放出を避ける条件下に実施される。
【実施例】
【0068】
以降の実施例が説明され、本発明をより詳細に例示する。
【0069】
実施例A1−走査電子顕微鏡−マイクログラフ
乾燥されたポリマー粒子が、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて特徴付けられた。少量のサンプルが、SEMスタブに載せられ、当該SEM中のまま、伝導性を促進するよう15nmサイズの白金/パラジウムを用いてコーティングされた。JEOL JSM−6335電界発光SEMが、当該サンプルのデジタル画像を捉えるのに使用された。当該SEMが、5kVにおいて設定され、画像、つまりマイクログラフが、20×〜30,000×の拡大率において撮影された。JEOL JSM−6100SEMが、Noran Vantageエネルギー分散分光(EDS)システムと共に、元素データを獲得するのに使用された。当該SEMが、15kVにおいて設定され、スペクトルが各々60秒間、その凝集粒子表面上で集められた。
【0070】
以降の比較例1〜5および実施例1〜13において、全ての反応が、よく換気された実験室フード(ドラフトチャンバー)中において、室温において実施された。実施例1〜10においてカプセル化されるべき反応成分(v)は、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネートであった。
【0071】
比較例1
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、0.06gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートが、1.00gのステアリルメタクリレート、および、0.21gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、つまり、E.I.du Pont de Nemours&Company,Wilmington,DelawareのVazo(登録商標)52低温重合イニシエーターに加えられた。この溶液は2回の20秒のサイクルの間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が、16.1gのデカメチルテトラシロキサンに加えられ、およそ200〜300rpmにおいて磁気攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。この結果得られてくる材料は、確認できるほどの重合を全く、24時間に亘り、示さなかった。
【0072】
比較例2
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、0.06gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートが、1.37gのメチルメタクリレート、および、0.16gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)低温重合イニシエーターに加えられた。この溶液は2回の20秒のサイクルの間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が、16.0gのデカメチルテトラシロキサンに加えられ、およそ200〜300rpmにおいて磁気攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。この結果得られてくる材料は、確認できるほどの重合を全く、24時間に亘り、示さなかった。
【0073】
比較例3
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、0.06gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートが、1.12gのメチルメタクリレート、および、0.16gの過酸化ベンゾイルに加えられた。この溶液は2回の20秒のサイクルの間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.5gのアクリル酸が、15.3gのデカメチルテトラシロキサンに加えられ、およそ200〜300rpmにおいて磁気攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。この結果得られてくる材料は、この瓶の基底においてフィルムを形成した少量の材料の形成を示したが、確認できるほどの高分子ポリマー生成物は全く、24時間に亘り、形成されなかった。
【0074】
比較例4
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、0.06gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートが、1.01gのメチルメタクリレート、および、0.16gのt−過酸化ブチルに加えられた。この溶液は2回の20秒のサイクルの間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が、16.0gのデカメチルテトラシロキサンに加えられ、およそ200〜300rpmにおいて磁気攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。この結果得られてくる生成物は、この瓶の基底においてフィルムを形成した少量の材料の形成を示したが、確認できるほどの高分子ポリマー生成物は全く、24時間に亘り、形成されなかった。
【0075】
比較例5
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.15gの触媒が、0.25gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートを含有している混合物に加えられ、0.75gのステアリルメタクリレートと混合された。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ200〜300rpmにおいて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、この容器の底に沿っている黄色っぽい1枚岩の円盤状重合体が、多くの熱の発生を伴い形成された。比較例5は、以下の実施例2に類似しており、例外は、成分(iii)として作用するテトラメチルジシロキサンが省略されたことである。この比較例は、難溶媒もしくは非溶媒成分(iii)が、ポリマー粒子生成に必須であることを実証する。
【0076】
実施例1
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、0.06gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートが、1.0gのステアリルメタクリレート、および、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.16gの触媒に加えられた。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が、16.0gのデカメチルテトラシロキサンに加えられ、Teflon(登録商標)によりコーティングされた攪拌棒を用いて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給され、この間、Teflon(登録商標)によりコーティングされた攪拌棒を使用しながら手動により穏やかに攪拌し続けた。直ちに、ポリマー粒子繭状白色分散体を、該溶液中において形成した。これらポリマー粒子が、ロータリーエバポレーター中において、50℃において、2時間、圧力1mm水銀(Hg)未満において、揮発成分を除去していくことにより、収集された。実施例A1の方法により得られたこれらポリマー粒子のマイクログラフが、平均直径およそ0.1ミクロンおよび大体球形の外観を持っているくっきりした1次粒子を含んでいる凝集粒子を示した。これら1次ポリマー粒子は、極めて密に充填されているように見え、ある幾つかの場合、一緒に融合していた。
【0077】
実施例1は、本発明の成分(i)〜(v)の非常に粗い手動混合にもかかわらず、ミクロン以下のサイズの1次ポリマー粒子が急速に室温において重合されることを指し示す。元素ジルコニウム(ジルコン)が、波長分散x線蛍光分光を使用すると、この乾燥した粉末のバルクでの元素分析により検出されたが、剥き出しのジルコニウム(IV)アセチルアセトネート結晶は全く、如何なる拡大率においても、そのSEM画像においては見られなかった。これらの結果は、活性成分(v)、つまりジルコニウム(IV)アセチルアセトネート結晶が、この重合された混合物によりカプセル化されていたことを指し示す。対照的に、比較例1〜4は、既知の過酸化物が重合用イニシエーターとして使用されると、室温においては僅かもしくは全く、重合を示さない。
【0078】
実施例2
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.15gの触媒が、0.25gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートを含有している混合物に加えられ、0.75gのステアリルメタクリレートと混合された。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が、16.0gのテトラメチルジシロキサンに加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ200〜300rpmにおいて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、ポリマー粒子白色分散体を、形成した。これらポリマー粒子が、ロータリーエバポレーター中において、室温(22〜24℃)において、2時間、圧力1mm水銀(Hg)未満において、揮発成分を除去していくことにより、収集された。実施例A1の方法により得られたこれらポリマー粒子のマイクログラフが、平均直径およそ1ミクロンおよび大体球形の外観を持っているくっきりした1次粒子を含んでいる凝集ポリマー粒子を示した。これら1次ポリマー粒子は、極めて密に充填されているように見え、ある幾つかの場合、一緒に融合していた。
【0079】
実施例3
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.17gの触媒が、0.25gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートを含有している混合物に加えられ、0.75gのメチルメタクリレートと混合された。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が、16.0gのテトラメチルジシロキサンに加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ200〜300rpmにおいて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、ポリマー粒子白色分散体を、形成した。これらポリマー粒子が、ロータリーエバポレーター中において、室温(22〜24℃)において、2時間、圧力1mm水銀(Hg)未満において、揮発成分を除去していくことにより、収集された。実施例A1の方法により得られたこれらポリマー粒子のマイクログラフが、平均直径およそ1ミクロンおよび大体球形の外観を持っているくっきりした1次ポリマー粒子を含んでいる凝集ポリマー粒子を示した。これら1次ポリマー粒子は、極めて密に充填されているように見え、ある幾つかの場合、一緒に融合していた。
【0080】
実施例4
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.17gの触媒が、0.25gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートを含有している混合物に加えられ、0.75gのn−プロピルメタクリレートと混合された。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、0.17gのアクリル酸が、16.0gのテトラメチルジシロキサンに加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ200〜300rpmにおいて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てプラスチックピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、ポリマー粒子白色分散体を、形成した。これらポリマー粒子が、ロータリーエバポレーター中において、室温(22〜24℃)において、2時間、圧力1mm水銀(Hg)未満において、揮発成分を除去していくことにより、収集された。実施例A1の方法により得られたこれらポリマー粒子のマイクログラフが、平均直径およそ0.7ミクロンおよび大体球形の外観を持っているくっきりした1次ポリマー粒子を含んでいる凝集ポリマー粒子を示した。これら1次ポリマー粒子は、実施例1〜3におけるよりも一般的に密に充填されていないように見え、僅かにより小さな粒子間接触を呈した。
【0081】
実施例5
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.16gの触媒が、0.25gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートを含有している混合物に加えられ、0.75gのn−プロピルメタクリレートと混合された。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が、16.0gのテトラメチルジシロキサンに加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ200〜300rpmにおいて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てプラスチックピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、ポリマー粒子白色分散体を、形成した。これらポリマー粒子が、ロータリーエバポレーター中において、室温(22〜24℃)において、2時間、圧力1mm水銀(Hg)未満において、揮発成分を除去していくことにより、収集された。実施例A1の方法により得られたこれらポリマー粒子のマイクログラフが、平均直径およそ0.7ミクロンおよび大体球形の外観を持っているくっきりした1次ポリマー粒子を含んでいる凝集ポリマー粒子を示した。これら1次ポリマー粒子は、実施例1〜3におけるよりも一般的に密に充填されていないように見えたが、実施例4におけるよりも僅かに多くのポリマー粒子間の融合を呈した。
【0082】
実施例6
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.17gの触媒が、0.25gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートを含有している混合物に加えられ、0.76gのエチルメタクリレートと混合された。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、0.17gのイソホロンジイソシアネートが、16.0gのテトラメチルジシロキサンに加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ200〜300rpmにおいて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てプラスチックピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、ポリマー粒子白色分散体を、形成した。これらポリマー粒子が、ロータリーエバポレーター中において、室温(22〜24℃)において、2時間、圧力1mm水銀(Hg)未満において、揮発成分を除去していくことにより、収集された。実施例A1の方法により得られたこれらポリマー粒子のマイクログラフが、平均直径およそ0.7ミクロンおよび大体球形の外観を持っているくっきりした1次ポリマー粒子を含んでいる凝集ポリマー粒子を示した。これら1次ポリマー粒子は、実施例1〜3におけるよりも一般的に密に充填されていないように見え、遙かにより小さな粒子間接触を有していたが、ある幾つかの融合が、より密に充填された領域において、観察された。
【0083】
実施例7
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.48gの触媒が、0.75gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートを含有している混合物に加えられ、2.25gのメチルメタクリレートと混合された。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、0.48gのイソホロンジイソシアネートが、48.0gのテトラメチルジシロキサンに加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ200〜300rpmにおいて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てプラスチックピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の継続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、ポリマー粒子白色分散体を、形成した。これらポリマー粒子が、ロータリーエバポレーター中において、室温(22〜24℃)において、2時間、圧力1mm水銀(Hg)未満において、揮発成分を除去していくことにより、収集された。実施例A1の方法により得られたこれらポリマー粒子のマイクログラフが、平均直径およそ1ミクロンおよび大体球形の外観を持っているくっきりした1次ポリマー粒子を含んでいる凝集ポリマー粒子を示した。これら1次ポリマー粒子は、実施例1〜3におけるよりも一般的に密に充填されていないように見え、遙かにより小さな粒子間接触を有していたが、ある幾つかの融合が、より密に充填された領域において、観察された。大体100ミクロンの矩形ポリマー粒子表面は直接、該ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート結晶のサイズおよび形状に対応しており、密に充填されたマイクロ粒子の重合した鞘により覆われていることが見出されたが、活性成分(v)、つまりジルコニウム(IV)アセチルアセトネート結晶のカプセル化の直接の証拠を与えている。
【0084】
実施例8
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.18gの触媒が、0.25gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートを含有している混合物に加えられ、0.75gの3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと混合された。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が、16.0gのテトラメチルジシロキサンに加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ200〜300rpmにおいて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てプラスチックピペットにより、およそ10秒という時間に亘り、該ガラス瓶の連続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、ポリマー粒子分散体を、形成した。これらポリマー粒子が、ロータリーエバポレーター中において、室温(22〜24℃)において、2時間、圧力1mm水銀(Hg)未満において、揮発成分を除去していくことにより、収集された。実施例A1の方法により得られたこれらポリマー粒子のマイクログラフが、平均直径およそ1ミクロンおよび大体球形の外観を持っているはっきりした1次ポリマー粒子を含んでいる凝集ポリマー粒子を示した。この結果得られてくるポリマー粒子サイズ分布は、実施例1〜7におけるよりも多分散であり、0.2〜2mmの範囲の1次ポリマー粒子および50nmほどの小ささの幾つかのポリマー粒子を有し、これより大きなポリマー粒子に接着していた。これら1次ポリマー粒子は、実施例1〜3におけるよりも一般的に密に充填されていないように見え、より小さな粒子間接触を有していたが、ある幾つかの融合が、より密に充填された領域において、観察された。
【0085】
実施例1〜8は、本発明の組成物および方法が、ポリマーマイクロ粒子を生成することを例示し、これらは、活性成分を、成分(i)として使用されたある範囲のモノマーと共に、および、成分(iv)に関して2種の異なるタイプのアミン反応性化合物と共に、種々の濃度においてカプセル化する。
【0086】
実施例9
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.16gの触媒が、0.06gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートを含有している混合物に加えられ、1gのメチルメタクリレートと混合された。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が、16.0gのヘプタンに加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ200〜300rpmにおいて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てプラスチックピペットにより、およそ5秒という時間に亘り、該ガラス瓶の連続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、ポリマー粒子分散体を、形成した。
【0087】
実施例10
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.16gの触媒が、0.06gのジルコニウム(IV)アセチルアセトネートを含有している混合物に加えられ、1gのメチルメタクリレートと混合された。この溶液は20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、1.6gのアクリル酸が、粘度200センチストーク(mm/秒)を25℃において持っている16.0gのポリジメチルシロキサンに加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ300〜400rpmにおいて攪拌された。このモノマー溶液は、使い捨てプラスチックピペットにより、およそ5秒という時間に亘り、該ガラス瓶の連続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、ポリマー粒子分散体を、形成した。
【0088】
実施例1、9、および10は、種々の難溶媒もしくは非溶媒が成分(iii)として使用されてよく、本発明による活性成分をカプセル化するポリマーマイクロ粒子を生成させることを示す。
【0089】
実施例11
1オンスのポリプロピレンカップ中において、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる1.60gの触媒が、10.00gのステアリルメタクリレートに加えられ、20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。この溶液に、10.60gの脱イオン水、および、0.89gのC14〜172級アルキルスルホン酸ナトリウムアニオン界面活性剤、トレードマークHostapur(登録商標)SAS30の下に販売、Clariant Corporation,Mount Holly,North Carolinaの製品、が加えられた。この溶液は直ちに、超音波プローブと接触するように置かれ、10秒間均一化され、白色エマルションを形成した。この溶液に、1.4gのイソホロンジイソシアネートが加えられ、20秒間、Hauschildミキサー中において混合された。その蓋を開けていくと、その容器内の最も穏やかな熱の生成が、手袋をした手により検出された。このサンプルの一部分が、70℃強制空気対流オーブン中において10分間乾燥するようにされ、ポリマーフィルムを与えた。
【0090】
実施例12
ステアリルメタクリレート、Hostapur(登録商標)SAS30、および前記トリエチルボラン−1,3−プロパンジアミン錯体を含有している実施例11の含水エマルションに、5滴のアクリル酸が加えられた。これは直ちに、粘性ポリマーを形成した。実施例11および12は、本発明による重合が、前記触媒および前記モノマーが予め乳化されている場合、含水媒体中において実施可能であることを実証する。
【0091】
実施例13
0.25オンスのポリプロピレンカップ中において、数平均分子量8220g/モルおよび多分散指数1.9を持っている0.23gのジメチルメタクリロキシプロピルシリル末端化ポリジメチルシロキサンが、0.20gの活性炭を含有している混合物に加えられ、構造M0.20.2(メタクリルオキシプロピル)0.30.3、数平均分子量1330g/モル、および多分散指数1.4を持っている0.22gの有機ポリシロキサン樹脂と混合された。分子量平均および分布が、テトラヒドロフラン(THF)中のゲル濾過クロマトグラフィーにより、ポリスチレン標準を使用しながら求められた。この混合物は20秒間、当モル量の1,3−プロパンジアミンと錯体化されたトリエチルボランを含んでいる0.062gの触媒、および、0.33gのデカメチルテトラシロキサンを加えていく前に、Hauschildロータリーミキサー中において混ざるようにされた。この溶液は再び20秒間、Hauschildロータリーミキサー中において混合された。2オンスのガラス瓶中において、0.32gのアクリル酸が、17.3gのアセトンに加えられ、磁気攪拌子を用いておよそ200〜300rpmにおいて攪拌された。このモノマー(単量体)溶液は、使い捨てプラスチックピペットにより、およそ5秒という時間に亘り、該ガラス瓶の連続して攪拌されている内容物中に配給された。直ちに、架橋有機ポリシロキサンマトリックス中においてカプセル化された活性炭粒子分散体を、形成した。これらカプセル化されたポリマー粒子が、該アセトンおよびデカメチルテトラシロキサンを室温においてエバポレーションさせていくことにより、回収された。カプセル化の効果は、SEMおよびEDS解析により、証明された。この解析が、これら活性炭粒子を覆っているシリコン(硅素)に富んだコーティングを明らかにしたが、これは、50倍〜25,000倍の全ての拡大率において、非カプセル化活性炭粒子とははっきり異なる表面トポロジー(形状)および組成を持っていた。この実施例は、本発明の組成物および方法が、活性炭のような活性成分をカプセル化していくのに、フリーラジカル重合可能な非極性ポリマー種に適用され得ることを実証する。
【0092】
他のバリエーションが、本発明の必須の特徴から逸脱していくことなく、本明細書において記載された化合物、組成物、および方法においてなされてよい。特に本明細書において例示された本発明の実施形態は、例であるだけであり、その範囲における限定として意図されず、添付された請求項において定義されたとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】2つの異なる拡大率での、実施例7の生成物の、SEM顕微鏡写真である。本マイクロ粒子ポリマーの鞘中においてカプセル化された本活性成分の結晶を示す。
【図2】2つの異なる拡大率での、実施例7の生成物の、SEM顕微鏡写真である。本活性成分の結晶上の本マイクロ粒子コーティングの微細構造を示す。
【図3】カプセル化前の、2つの異なる拡大率での、本活性成分粒子のSEM顕微鏡写真である。本活性成分の結晶を示す。
【図4】カプセル化前の、2つの異なる拡大率での、本活性成分粒子のSEM顕微鏡写真である。結晶表面の微細構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)フリーラジカル重合可能なモノマー、オリゴマー、もしくはポリマー;(ii)有機ボランアミン錯体;(iii)(i)の重合生成物用難もしくは非溶媒;ならびに(iv)アミン反応性化合物を含む混合物もしくは混合物の重合生成物を含む組成物。
【請求項2】
前記混合物が、前記重合生成物によりカプセル化されている(v)活性成分を包含する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
フリーラジカル重合可能なモノマー、オリゴマー、もしくはポリマー(i)が、有機化合物(a);1官能基もしくは多官能基有機化合物の混合物(b);有機シリコン(硅素)モノマー、オリゴマー、もしくはポリマー(c);1官能基もしくは多官能基有機シランの混合物(d);1官能基もしくは多官能基有機ポリシロキサンの混合物(e);あるいは、(a)〜(e)の混合物であり、ここで、(a)〜(e)が不飽和であり、フリーラジカル重合することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
有機ボランアミン錯体(ii)が、有機ボランとアミン化合物との間で形成された錯体であり、該有機ボランが、式BR”を持っており、式中、R”が、直鎖、分岐、脂肪族、もしくは芳香族炭化水素基であり、1〜20炭素原子を含有しており;該アミン化合物が、有機アミン化合物もしくはシリコン(硅素)含有アミン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機ボランアミン錯体が、固体粒子に取り付けられている、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
難もしくは非溶媒(iii)が、水、極性有機溶媒、非極性有機溶媒、有機シラン、直鎖有機シロキサン流動体、環状有機シロキサン流動体、有機シロキサンオリゴマー、有機シロキサン樹脂、有機シロキサンポリマー、イオン液体、および超臨界流動体からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
難もしくは非溶媒(iii)が、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、もしくはこれらの混合物である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
アミン反応性化合物(iv)が、アミン反応性基を持っている化合物であり、鉱酸、ルイス酸、カルボン酸、カルボン酸誘導体、カルボン酸金属塩、イソシアネート、アルデヒド、エポキシド、酸クロリド(酸塩化物)、およびスルホニルクロリド(塩化スルホニル)からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記アミン反応性基が、有機シラン、有機ポリシロキサン、有機チタン酸、もしくは有機ジルコン酸から生えている、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
アミン反応性化合物(iv)が、固体粒子に取り付けられている、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
アミン反応性化合物(iv)が、紫外照射に晒されると、アミン反応性基を生じることができる化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
活性成分(v)が、ビタミン、染料、インク、伝導粒子、磁気粒子、誘電(絶縁)粒子、薬剤、溶媒、肥料、除草剤、殺虫剤、硬化触媒、接着促進剤、フリーラジカル重合可能な基のない架橋剤、フリーラジカル重合以外のメカニズム(機構)により硬化可能な組成物用モノマー(単量体)および反応試薬、固体粒子、伝導固体粒子、色素、染料、香料(flavors)、化粧料、ヘルスケア、香料(fragrances)、および水からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項13】
ポリマー粒子を調製する方法であって、(A)(i)フリーラジカル重合可能なモノマー、オリゴマー、もしくはポリマー;(ii)有機ボランアミン錯体;(iii)(i)の重合生成物用難もしくは非溶媒;および(iv)アミン反応性化合物を含有している組成物を形成させ;(B)該組成物の成分(i)〜(iv)を酸素存在下に攪拌し、一様な分散およびこれら成分の反応を与えるに充分な速度および時間において、重合を開始させ;(C)該反応を完結に向かって室温において進行するようにさせ;(D)これらポリマー粒子を、該難もしくは非溶媒を該組成物から除去することにより回収することを含む、方法。
【請求項14】
前記組成物が、前記ポリマー粒子によりカプセル化されている(v)活性成分を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
フリーラジカル重合可能なモノマー、オリゴマー、もしくはポリマー(i)が、有機化合物(a);1官能基もしくは多官能基有機化合物の混合物(b);有機シリコン(硅素)モノマー、オリゴマー、もしくはポリマー(c);1官能基もしくは多官能基有機シランの混合物(d);1官能基もしくは多官能基有機ポリシロキサンの混合物(e);あるいは、(a)〜(e)の混合物であり、ここで、(a)〜(e)が不飽和であり、フリーラジカル重合することができる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
有機ボランアミン錯体(ii)が、有機ボランとアミン化合物との間で形成された錯体であり、該有機ボランが、式BR”を持っており、式中、R”が、直鎖、分岐、脂肪族、もしくは芳香族炭化水素基であり、1〜20炭素原子を含有しており;該アミン化合物が、有機アミン化合物もしくはシリコン(硅素)含有アミン化合物である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記有機ボランアミン錯体が、固体粒子に取り付けられている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
難もしくは非溶媒(iii)が、水、極性有機溶媒、非極性有機溶媒、有機シラン、直鎖有機シロキサン流動体、環状有機シロキサン流動体、有機シロキサンオリゴマー、有機シロキサン樹脂、有機シロキサンポリマー、イオン液体、および超臨界流動体からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
難もしくは非溶媒(iii)が、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、もしくはこれらの混合物である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アミン反応性化合物(iv)が、アミン反応性基を持っている化合物であり、鉱酸、ルイス酸、カルボン酸、カルボン酸誘導体、カルボン酸金属塩、イソシアネート、アルデヒド、エポキシド、酸クロリド(酸塩化物)、およびスルホニルクロリド(塩化スルホニル)からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記アミン反応性基が、有機シラン、有機ポリシロキサン、有機チタン酸、もしくは有機ジルコン酸から生えている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
アミン反応性化合物(iv)が、固体粒子に取り付けられている、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
アミン反応性化合物(iv)が、紫外照射に晒されると、アミン反応性基を生じることができる化合物である、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
活性成分(v)が、ビタミン、染料、インク、伝導粒子、磁気粒子、誘電(絶縁)粒子、薬剤、溶媒、肥料、除草剤、殺虫剤、硬化触媒、接着促進剤、フリーラジカル重合可能な基のない架橋剤、フリーラジカル重合以外のメカニズム(機構)により硬化可能な組成物用モノマー(単量体)および反応試薬、固体粒子、伝導固体粒子、色素、染料、香料(flavors)、化粧料、ヘルスケア、香料(fragrances)、および水からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
成分(ii)および(iv)が、重合を開始させるに望ましい時刻の直前まで、物理的もしくは化学的に単離されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
更に、ステップ(A)の前に、成分(ii)および(iv)を、物理的もしくは化学的に単離させることを含む、請求項13〜24のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−530338(P2008−530338A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556139(P2007−556139)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/000767
【国際公開番号】WO2006/088571
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】