説明

マイクロカプセル化物及びその製造方法

本発明は、0.1μm〜25μmの直径を有し、以下のものを含むマイクロカプセルを含むマイクロカプセル化物に関する:・90nm〜23μmの直径を有し、少なくとも3重量%の有効成分を含有するコア粒子;並びに、・コア粒子を完全に包み、セルロースエーテル、セルロースエステル、ゼイン、セラック、グルテン、ポリラクチド、疎水性デンプン誘導体、ポリビニルアセテートポリマー、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導されるポリマー又はコポリマー、並びにこれらの組合せから選択される疎水性ポリマーを少なくとも20重量%含有するコーティング;ここで、コア粒子は放出トリガー成分を含有し、且つ/又は、コーティングは放出トリガー成分を含有し、前記放出トリガー成分は以下のものから選択される:・37℃及びpH7.0で20重量%未満の吸水量並びに37℃及びpH2.0で少なくとも50重量%の吸水量を有する水膨潤性ポリマー;並びに、・37℃及びpH7.0で1mg/ml未満の水溶性並びに37℃及びpH2.0で少なくとも5mg/mlの水溶性を有する食用塩;本発明のマイクロカプセル化物は、水含有の食品、飲料、栄養組成物又は医薬組成物に組み込まれた際に、カプセルに包まれた有効成分を放出しない。しかしながら、消化後に有効成分は迅速に放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロカプセル化物及びその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、有効成分を保持するコア粒子及び疎水性ポリマーから作製されて前記コア粒子を完全に包むコーティングを含有するマイクロカプセルを含むマイクロカプセル化物に関する。コーティングの疎水性により、コーティングが水に溶解しないこと又はゆっくりとしか溶解しないことが保証される。したがって、有効成分は効率的に水分から保護されうる。さらに、水性環境中のマイクロカプセルからの有効成分の放出は、効果的に制御されうる。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセル化は、小さな粒子又は液滴をコーティングで包み、多くの有用な特性を有する小さなカプセルを提供する方法である。比較的単純な形では、マイクロカプセルは、均一な殻を周囲に有する小さな粒子又は液滴である。マイクロカプセルの内部の小さな粒子又は液滴は、コア、内相又は充填物(fill)と呼ばれ、一方で殻は、コーティング、壁(wall)又は膜と呼ばれることがある。
【0003】
マイクロカプセル化する理由は無数にある。マイクロカプセル化の使用例として考えられるものには、以下のものが含まれる:
・マイクロカプセルのコア物質とこれらマイクロカプセルの環境(大気、製品基質(product matrix)、胃等)との間の有害相互作用の防止
・コア物質の処理特性の向上(例えば、分散性の向上又は粘着性の減少による)
・コア物質が動的プロセスに関与する速度の操作(例えば、薬剤又は農薬の放出制御)
・コア物質の味又は臭いのマスキング。
【0004】
極めて多様な物質が、マイクロカプセルの調製においてコーティング剤として用いられてきた。これらの物質には、マルトデキストリン、アルギネート、ゼラチン、乳清タンパク質、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース等の親水性コーティング剤が含まれる。親水性コーティング剤は、水と接触した際にマイクロカプセルが迅速にコア物質を放出する必要のある場合に特に有用である。しかしながら、いくつかの応用例においては、マイクロカプセルが水に接触する際に、コア物質が放出されないこと又は加えて何らかの放出トリガーが提供された際にのみ放出される(例えば、pH放出)ことが重要である。後者の応用例については、疎水性コーティング剤から作製されたコーティングが水の存在下で安定的である傾向にあるため、これら疎水性コーティング剤が用いられてきた。マイクロカプセルの製造に用いられてきた疎水性コーティング剤の例には、セルロースエステル、ゼイン、ポリラクチド、OSA等が含まれる。
【0005】
米国特許公報第3,821,422号には、持続性エチルセルロースコーティングでチアミンをマイクロカプセル化する方法が記載されている。この米国特許の実施例に記載の方法は、エチルセルロース、ポリエチレン及びチアミンを80℃のシクロヘキサン中に溶解させ、続いてそれを冷却することを伴う。温度が低下するにつれて、溶解したエチルセルロースはポリエチレンの存在ゆえに分離相を形成する(ポリマー/ポリマー非相容性)。シクロヘキサン中に液滴として分散した溶解したエチルセルロースは、チアミンの個々の顆粒を湿らせ、それら顆粒を包む傾向にあると述べられている。さらに温度が低下するにつれて、エチルセルロースは溶媒を放出し、固体のカプセル壁を形成する。このマイクロカプセルは、練り粉又はこね生地の調製時、処理の際の高温及び最終産物において、チアミンを保護すると述べられている。さらに、胃腸管の消化液中でチアミンが放出されることが観察されている。
【0006】
米国特許公報第4,462,982号には、エチルセルロースマイクロカプセルが記載されており、ここでは、37℃の水中に浸すことで少なくとも1.2倍の重量増加を示すポリマー物質が、マイクロカプセルのエチルセルロースコーティング壁及び/又はコア物質に組み込まれる。この米国特許の実施例には、エチルセルロースをシクロヘキサン中に溶解させ、前記溶液中にコア物質を分散させ、エチルセルロースがこの分散液から分離してコア物質上にそれを包むコーティング壁を形成するまで、この分散液を膨潤性ポリマー物質の存在下で冷却することによって、マイクロカプセルを調製する方法が記載されている。このエチルセルロースマイクロカプセルはコア物質を効果的に保護し、経口投与される際には、コア物質を迅速に胃等の消化器官中に放出すると述べられている。
【0007】
英国公開特許公報第2 226 804号には、シクロヘキサン媒質中のシクロヘキサン不溶性有効成分の結晶顆粒をアニオン性界面活性剤の存在下、エチルセルロースでマイクロカプセル化すること、又は、エチルセルロースでマイクロカプセル化された薬剤顆粒をシクロヘキサンに溶解させた界面活性剤で後処理することを含む、マイクロカプセルの調製方法が記載されている。この英国特許出願に記載のマイクロカプセルは、さらなる顆粒化を一切することなしに、錠剤へと直接圧縮可能である。このマイクロカプセルは、そこに含有された有効成分の迅速な放出を提供すると述べられている。
【0008】
米国特許公報第6,531,152号には、胃腸管内における所望の物質の迅速な局所放出のための送達手段が記載されており、前記手段は以下のものを含む:
・前記物質、水性液体に曝露された際に膨潤する前記コア物質及び崩壊剤を含むコア;
・水不溶性担体に埋め込まれた水不溶性親水性粒状物質を含み、前記コアが膨潤する際に崩壊して破裂する、前記コアを包む強固なコーティング。実施例にはコートされた錠剤の調製が記載されており、ここでは、エタノール中にエチルセルロースを溶解させ、続いてカルシウムペクチネート粉末を付加することにより調製されたコーティング懸濁液で、錠剤のコアがスプレーコートされる。
【0009】
ここまでに述べたマイクロカプセル化物調製方法に伴う重大な欠点は、有機溶媒、特にシクロヘキサンの使用にある。食品、飲料及び医薬品中でのマイクロカプセルの使用を可能にするには、有機溶媒の残留レベルを非常に低いレベルまで減少させる必要がある。しかしながら、このことを達成するのは非常に困難であり、これらマイクロカプセル中に有機溶媒が一切存在しないことが好ましいであろうことは明らかである。
【0010】
国際公開公報第2008/056344号には、コア及びコアをカプセルで包むコーティングを有するマイクロカプセル作製方法が記載されており、この方法には、コア形成流体及びコーティング形成流体を提供すること、コアノズルの周囲に同心円状に配置される外側ノズルを有する、2つのスプレーノズルの配置を提供すること、コア形成流体をコアノズルから、コート形成流体を外側ノズルから吹き付けてマイクロカプセルを作製すること、並びに、形成時にマイクロカプセルを適切な気体中で凝固させることというステップが含まれる。この国際特許出願の実施例には、100℃の吸込温度を用い、窒素中でコア形成流体及びコート形成流体を吹き付けることによるマイクロカプセル化物の調製が記載されている。実施例5に記載されているのは、エタノール中にエチルセルロースを溶解させた溶液からなるコート形成流体と共に、エタノール中にジクロフェナクナトリウム及びフルオレセインナトリウムを溶解させた溶液からなるコア形成流体を噴霧乾燥することによるマイクロカプセル化物の調製である。この国際特許出願に記載の方法の欠点は、噴霧乾燥による有機溶剤除去に伴う爆発の危険性及び高品質マイクロカプセル化物作製のための適切な方法条件を見出し維持することの困難さである。さらに、コアノズルの直径が典型的には0.7〜2mmの範囲であり、同心円状に配置されたノズルの直径が1.4〜4mmの範囲であるという事実ゆえに、国際公開公報第2008/056344号の実施例に開示の1〜10μmの範囲の平均直径を有するカプセル化物の作製は、有意な漏出を特に高ペイロード(high payload)において示すカプセル化物をもたらす結果となる。
【0011】
疎水性コーティングを含有するマイクロカプセルに関して観察されてきたまた別の問題は、水分散性の低さである。水分散性の低さは、かかるマイクロカプセルの水性製品(例えば飲料)における利用を妨げ、また、それに含有される有効成分の腸管内での放出に悪影響を与えうる。
【0012】
加えて、水含有の食品、飲料、栄養製品又は医薬製品中での使用の際に非常に安定的であるが、消化後に例えば胃中の高酸性条件の影響下でその内容物を放出するマイクロカプセル化物が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許公報第3,821,422号
【特許文献2】米国特許公報第4,462,982号
【特許文献3】英国公開特許公報第2 226 804号
【特許文献4】米国特許公報第6,531,152号
【特許文献5】国際公開公報第2008/056344号
【発明の概要】
【0014】
発明者らは、水存在下で安定的であり、有機溶媒を一切含有せず、水中に容易に分散するマイクロカプセル化物の調製を可能にする方法を発見した。本方法は以下のものを使用する:
・溶媒、溶解した疎水性ポリマー及び分散した有効成分を含む流体組成物;並びに
・気圧でガス状である加圧された反溶媒、
前記溶媒は前記反溶媒に可溶性又はそれと混和性であり、前記疎水性ポリマー及び前記有効成分は前記反溶媒に不溶性であり、;
且つ、本方法は以下の連続ステップを含む:
a.過飽和条件を達成するため、前記流体組成物及び前記反溶媒を組み合わせること;
b.前記疎水性ポリマーを分散した前記有効成分の上に沈着させ、前記有効成分が完全にコーティングに包まれた、10nm〜25μmの体積加重平均直径を有するマイクロカプセルを作製すること、
c.前記マイクロカプセルを回収し、それらを前記反溶媒から分離すること。
【0015】
上述の方法は、検出可能なレベルの有機溶剤を含有せず、水中に容易に分散可能であり、水と接触する際に有効成分が迅速に放出されることのないマイクロカプセル化物の製造を可能にする。
【0016】
本発明者らは驚くべきことに、本発明が、高ペイロード(例えば60重量%)と水存在下での非常に高い安定性とを併せ持ったマイクロカプセル化物の作製を可能にすることを発見した。この発見は予測されないことであった。なぜなら、本発明のマイクロカプセル化物中のマイクロカプセルは非常に小さく、そのことは、高ペイロードが非常に薄いコーティング層に伴うものであることを意味する。典型的には、本発明のマイクロカプセル化物のコーティング層は、約50重量%のペイロードで1〜2μm未満の厚さを有する。かかる薄いコーティング層によって有効成分が包まれたマイクロカプセルが、水存在下で数日間、カプセルで包まれた有効成分の有意な漏出なしに保存されうることは、実に驚くべきことである。
【0017】
本発明のまた別の態様は、上で定義した方法により調製されうる新規マイクロカプセル化物に関する。本発明のマイクロカプセル化物は、水含有の食品、飲料、栄養組成物又は医薬組成物中に組み込まれた際に、カプセルに包まれた有効成分を放出しない。しかしながら消化後には、有効成分が迅速に放出される。加えて、本マイクロカプセル化物は容易に水中に分散し、食品及び飲料の製造において典型的に使用される切断条件に耐えることが可能である。
【0018】
本発明のマイクロカプセル化物に含有されるマイクロカプセルは、以下のものを含むことにより特徴付けられる:
・有効成分を含有するコア粒子;及び
・コア粒子を完全に包み、疎水性ポリマーを含有するコーティング;ここで、コア粒子はその重量に対し5〜90%の放出トリガー成分を含み、且つ/又は、コーティングは疎水性ポリマーの重量に対し3〜100%の放出トリガー成分を含有する。
【0019】
マイクロカプセル中に使用される放出トリガー成分は、以下のものから選択される:
・37℃及びpH7.0で20重量%未満の吸水量並びに37℃及びpH2.0で少なくとも50重量%の吸水量を有する水膨潤性ポリマー;並びに
・37℃及びpH7.0で1mg/ml未満の水溶性並びに37℃及びpH2.0で少なくとも5mg/mlの水溶性を有する食用塩。
【0020】
ほとんどの水含有製品における本マイクロカプセル化物の安定性は、疎水性ポリマー及び任意で中性又は若干酸性のpHで水を透過させない放出トリガー成分を含むコーティングにより、コア粒子を完全にカプセルに包んだ結果である。消化後のマイクロカプセル化物の不安定性は、コーティング及び/又はコア粒子中に放出トリガー成分が存在することにより生じる。本マイクロカプセル化物が消化される際には、放出トリガー成分はマイクロカプセルの不安定化を引き起こす。この不安定化に伴う機序には、(i)ポリマーの膨潤;又は(ii)塩の溶解又はそれにより生じる浸透圧が含まれる。ポリマーの膨潤及び/又は浸透圧は、マイクロカプセルのコーティングの亀裂を引き起こし、カプセルに包まれた有効成分の放出を可能にする。コーティング内に含有された塩の溶解によってコーティング中に通路が開かれ、そこを通して有効成分が放出されうる。マイクロカプセルの粒子サイズが小さいことは、適切なトリガーが提供されてすぐの有効成分の迅速な放出を容易にする。
【0021】
本発明者らは理論に束縛されることを望まないとはいえ、本発明のマイクロカプセル化物中のマイクロカプセルが有する極端に小さな粒子サイズにより、マイクロカプセルが容易に水中に分散し、またマイクロカプセルの切断に対する脆弱性が低まると考えられている。本発明のマイクロカプセル化物の水分散性は、適切な界面活性剤の付加によりさらに向上させられうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明のマイクロカプセル化物のSEM顕微鏡写真を示す。
【図2】図2は、図1と同じマイクロカプセル化物のSEM顕微鏡写真をより低い解像度で示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[発明の詳細な記述]
したがって本発明の態様の1つは、0.1μm〜25μmの直径を有し、有効成分を少なくとも1重量%含有し、以下のものを含むマイクロカプセルを、少なくとも40重量%含むマイクロカプセル化物に関する:
・90nm〜23μmの直径を有し、マイクロカプセルの1〜75重量%を占め、少なくとも3重量%の有効成分を含有するコア粒子。
・マイクロカプセルの25〜99重量%を占め、セルロースエーテル、セルロースエステル、ゼイン、セラック、グルテン、ポリラクチド、疎水性デンプン誘導体、ポリビニルアセテートポリマー、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導されるポリマー又はコポリマー並びにこれらの組合せから選択される疎水性ポリマーを少なくとも20重量%含有する、コア粒子を完全に包むコーティング;
ここで、コア粒子がコア粒子に対し5〜90重量%の放出トリガー成分を含有し、且つ/又は、コーティングが疎水性ポリマーに対し3〜100重量%の放出トリガー成分を含有するコーティングを含有し、前記放出トリガー成分は以下のものから選択される:
・37℃及びpH7.0で20重量%未満の吸水量並びに37℃及びpH2.0で少なくとも50重量%の吸水量を有する水膨潤性ポリマー;並びに
・37℃及びpH7.0で1mg/ml未満の水溶性並びに37℃及びpH2.0で少なくとも5mg/mlの水溶性を有する食用塩。
【0024】
本明細書中に用いられる「マイクロカプセル化物」なる用語は、非凝集粒子として、且つ/又は、明確に区別可能なマイクロカプセルからなる凝集粒子の形でマイクロカプセルが含有される粒状組成物を指す。
【0025】
本明細書中に用いられる「マイクロカプセル」なる用語は、コア粒子とは異なる組成及び/又は構造を有するコーティングにより完全に包まれた、少なくとも単一のコア粒子を含有する粒子を指す。
【0026】
本明細書中に用いられる「コア粒子」なる用語は、固体、半固体及び液体粒子を包含する。「コア粒子」なる用語はまた、被覆粒子及び凝集粒子等の複合粒子を包含する。
【0027】
本明細書中に用いられる「有効成分」なる用語は、明確に認識された活性又は機能性を有する物質又は組成物を指す。有効成分の例には、栄養関連成分(例えば、ミネラル、ビタミン、カロテノイド、多価不飽和油)、医薬有効成分、調味料、タンパク質(例えば、酵素)、ペプチド、アミノ酸、微生物が含まれる。
【0028】
本明細書中で前に述べた通り、本発明は、中性pHの水性環境では安定的であるが、酸性pHの水性環境では迅速に有効成分を放出するマイクロカプセルの調製を可能にする。結果としてこれらマイクロカプセルは、有益なことに、水含有の飲料、食品又は医薬製品中で使用されうる。なぜなら、マイクロカプセルが有効成分を胃環境下で放出し、腸内で吸収可能なものとするからである。したがって、本発明の特定の好ましい実施形態の1つは、37℃の温度で(i)20mgのマイクロカプセル化物を20mlの蒸留水中に分散させた際に、1時間以内に放出される有効成分が0.2%未満であり、且つ、(ii)20mgのマイクロカプセル化物を、前もってHClでpHを1.0に調節した20mlの蒸留水中に分散させた際に、少なくとも5%、好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも50%の有効成分が1時間以内に放出されるという条件を満たすマイクロカプセル化物に関する。
【0029】
本発明は、中性又は若干酸性のpHを有する水性環境下で非常に安定的であるのみならず、非常に高度なカプセル化効率を示すマイクロカプセル化物を提供する。「カプセル化効率」なる用語は、マイクロカプセル化物中に効果的に封入された有効成分の割合を指す。特に好ましい実施形態の1つによれば、本発明のマイクロカプセル化物は、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも95%のカプセル化効率を示す。本明細書で言うところの「カプセル化効率」を決定するには、ピロリン酸鉄等の有効成分をマイクロカプセルのコア粒子に組み込む。次に、20mgのマイクロカプセル化物を20mlの蒸留水中に分散させる。1時間後に懸濁液を遠心分離し、上澄みから試料を採取する。続いて、試料中の有効成分(active component、AC)の濃度を測定し、以下の式によりカプセル化効率を計算する:
%EE=100%×(カプセルに包まれたAC)/(カプセルに包まれていないAC+カプセルに包まれたAC)。
【0030】
本発明は、非常に高いペイロードを有するマイクロカプセルの作製を可能にする。したがって、非常に好ましい実施形態の1つにおいて、マイクロカプセルは、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも20重量%の有効成分を含有する。
【0031】
好ましい実施形態の1つに従えば、本発明のマイクロカプセル化物は、0.1μm〜25μmの直径を有するマイクロカプセルを少なくとも90重量%、なお一層好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%含有する。また別の好ましい実施形態の1つに従えば、マイクロカプセル化物は、0.2μm〜20μmの直径を有するマイクロカプセルを少なくとも80重量%、なお一層好ましくは85重量%、最も好ましくは90重量%含有する。
【0032】
本発明のマイクロカプセル化物の加重平均直径は、有益なことに、0.2μm〜10μmの範囲内、特に0.25μm〜8μmの範囲内、最も好ましくは0.3μm〜6μmの範囲内である。
【0033】
マイクロカプセルのコア粒子は典型的には、150nm〜20μm、特に200nm〜15μmの直径を有する。有益なことに、コア粒子はマイクロカプセルの5〜70重量%、最も好ましくは10〜60重量%を占める。有効成分は好ましくは、コア粒子中に前記コア粒子の重量に対し少なくとも10%、より好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは70%の量で含有される。本明細書中で前に述べたように、コア粒子は固体、半固体又は液体でありうる。好ましくは、コア粒子は固体である。
【0034】
マイクロカプセルのコア粒子を完全に包むコーティングは典型的には、マイクロカプセルの30〜95重量%、より好ましくは40〜90重量%を占める。疎水性ポリマーは有益なことに、コーティングの少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、なお一層好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%を占める。
【0035】
マイクロカプセルのコーティングに使用される疎水性ポリマーは、有益なことに、セルロースエーテル、ゼイン、セラック、グルテン、ポリラクチド、疎水性デンプン誘導体(OSA等)及びこれらの組合せから選択される。なお一層好ましくは、疎水性ポリマーはセルロースエーテルであり、最も好ましくはエチルセルロースであえる。
【0036】
本発明のマイクロカプセルは、1又は2以上のコア粒子を含んでいてもよい。好ましくは、前記マイクロカプセルは5以下のコア粒子を含有し、なお一層好ましくは3以下のコア粒子を含有する。
【0037】
典型的には、本発明のマイクロカプセルにおいて、疎水性ポリマー及び任意で採用される放出トリガー成分は合わせて、コーティングの重量に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%を占める。
【0038】
本発明のマイクロカプセル化物は、有益なことに、本明細書中で定義される(酸性)水膨潤性ポリマーの形の放出トリガー成分を含有する。水膨潤性ポリマーは、コア粒子、コーティング又はこれら両方に適切に組み込まれうる。
【0039】
特定の有益な実施形態の1つに従えば、マイクロカプセルのコーティング中に含有される放出トリガー成分は、本明細書中で前に定義した水膨潤性ポリマーである。
【0040】
また別の有益な実施形態に従えば、コア粒子中に含有される放出トリガー成分は、本明細書中に定義される水膨潤性ポリマーである。
【0041】
本発明者らは、コア粒子が水膨潤性ポリマーを含有するマイクロカプセルは、中性pHの水性環境において高度に安定的であるが、同時に、消化後には非常に効率的に有効成分を放出することを見出した。したがって、特定の好ましいマイクロカプセル化物の1つは、コア粒子が本明細書中に定義される水膨潤性ポリマーを含有するものである。
【0042】
有益なことに、本発明の水膨潤性ポリマーの吸水量は、37℃及びpH7.0で10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満である。水膨潤性ポリマーの37℃及びpH2.0での吸水量は、好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも120重量%である。
【0043】
放出トリガー成分の吸水量は、Biomaterials, 23 p 4469 (2002)に記載の通り、膨潤したマイクロカプセルの重量を測定することにより適切に決定される。
【0044】
有効成分、疎水性ポリマー及び任意で採用される放出トリガー成分に加えて、マイクロカプセル化物中のマイクロカプセルは、他の成分を適切に含有しうる。しかしながら好ましくは、有効成分、疎水性ポリマー及び放出トリガー成分がマイクロカプセルの大部分を占める。したがって、好ましい実施形態の1つにおいて、有効成分、放出トリガー成分及び疎水性ポリマーは合わせて、マイクロカプセル化物(microencapsules)の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%を占める。
【0045】
食用塩の形の放出トリガー組成物は、有益なことに、37℃及びpH7.0で0.4mg/ml未満、好ましくは0.1mg/ml未満の水溶性並びに37℃及びpH2.0で少なくとも10mg/ml、好ましくは少なくとも20mg/mlの水溶性を有する塩である。好ましくは、食用塩はカーボネート、ホスフェート、サルファイト、シトレート、オキサレート、スクシネート、フマレート及びこれらの組合せから選択される。かかる塩食用塩は中性pHの水にほとんど溶解しないが、酸性条件下でははるかに溶解しやすい。したがって、マイクロカプセルが酸性pHの水と接触する際には、これらの塩食用塩は水を吸収して少なくとも部分的に溶解し、そのことによりコーティングに穴をあけ、マイクロカプセルからの有効成分の放出を可能にする。
【0046】
水膨潤性ポリマーの形の放出トリガー成分は好ましくは、アミノ基含有ポリマーであり、なお一層好ましくは、キトサン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルアミノアセテート及びこれらの組合せから選択されるアミノ基含有ポリマーである。かかるアミノ基含有ポリマーとしてのカチオン性水膨潤性ポリマーは、酸性pHで正電荷を帯びるので、かかるpHの水に容易に分散/溶解する。
【0047】
本発明のマイクロカプセル化物の利点は、広範な有効成分と共に実現されうる。好ましくは、有効成分は水溶性及び/又は水分散性である。なお一層好ましくは、有効成分は水溶性である。有効成分は好ましくは、ミネラル、ビタミン、医薬有効成分、微生物(例えば、プロバイオティクス)、ステロール、炭水化物、タンパク質(例えば、酵素)、ペプチド、アミノ酸、カロテノイド、抗酸化物質、抽出物、苦味物質、油及びこれらの組合せから選択される。さらに好ましくは、有効成分はミネラル、ビタミン、プロバイオティクス、酵素及びこれらの組合せから選択される。なお一層好ましくは、有効成分はミネラルであり、最も好ましくは、鉄化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ヨウ素及びこれらの組合せからなる群から選択されるミネラルである。
【0048】
本発明の利点は特に、個別の非凝集粒子として、且つ/又は、凝集の形で存在し、10μm未満の加重平均直径を有するマイクロカプセルから基本的になるマイクロカプセル化物において明確に示される。したがって、特に好ましい実施形態の1つにおいて、マイクロカプセル化物は10μm未満の加重平均直径を有する粉末からなるか、或いは、10〜1000μmの範囲の加重平均直径を有する凝集粉末からなる。
【0049】
本発明のまた別の態様は、以下のものを用いることにより、疎水性ポリマーを含む基質で有効成分をカプセルに包む方法に関する:
・少なくとも80重量%の溶媒、0.1〜20重量%の溶解した疎水性ポリマー及び0.002〜20重量%、好ましくは0.2〜20重量%の分散した有効成分を含む流体組成物;並びに
・気圧でガス状であり、少なくとも70バールの圧力を有する反溶媒、
前記溶媒は前記反溶媒に可溶性又はそれと混和性であり、前記疎水性ポリマー及び前記有効成分は前記反溶媒に不溶性であり、前記疎水性ポリマーの水溶性は20℃で0.1mg/ml未満、好ましくは0.05mg/ml未満である;
ここで本方法は以下の連続ステップを含む:
a.過飽和条件を達成するため、前記流体組成物及び前記反溶媒を組み合わせること;
b.前記疎水性ポリマーを分散した前記有効成分の上に沈着させ、前記有効成分がコーティングにより完全に包まれた、100nm〜25μmの体積加重平均直径を有するマイクロカプセルを作製すること、
c.前記マイクロカプセルを回収し、それらを前記反溶媒から分離すること。
【0050】
上に定義した方法は、本明細書中で前に定義したマイクロカプセル化物を製造するのに特に有用である。先行技術に記載のマイクロカプセル化方法と異なり、本方法は非常に高いカプセル化効率を有するマイクロカプセル化物の製造を可能にするのであり、カプセル化がうまく行かなかった物質を除去する洗浄ステップを用いる必要がない。
【0051】
したがって、特定の好ましい実施形態の1つに従えば、反溶媒から分離後直接得られるマイクロカプセル化物は、少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のカプセル化効率を有する。
【0052】
加圧ガスの形の反溶媒の使用は、単離されたマイクロカプセル中に、この反溶媒が有意なレベルで残留することがないという利点を提供する。さらにこの反溶媒は、疎水性ポリマーを溶解させるのに使用される溶媒の非常に効率的な抽出を容易にする。本方法において特に使用に適した溶媒には、C−Cアルカノール、C−Cジオール、C−Cトリオール、水及びこれらの組合せが含まれる。特定の好ましい実施形態の1つに従えば、溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、水及びこれらの組合せから選択される。最も好ましくは、溶媒はエタノール又はエタノール及び水の混合液からなる。
【0053】
本方法の特定の好ましい実施形態の1つに従えば、流体組成物はさらに、溶解又は分散した本明細書中で前に定義した放出トリガー成分を、疎水性ポリマーの重量に対して1〜100%、好ましくは3〜100%の量で含む。
【0054】
分散した有効成分は、液体、半固体又は固体でありうる。好ましくは、分散した有効成分は周囲温度(20℃)で固体である。
【0055】
本方法で使用される反溶媒は、単一の物質からなっていてもよく、或いは、複数の物質の混合物からなっていてもよい。したがって反溶媒は、任意で1又は2以上の流体成分と組み合わされる、加圧ガスの混合物を含んでいてもよい。反溶媒は、10重量%のレベルまで、好ましくは5重量%以下のレベルまでの助溶媒を適切に含有していてもよい。適切な助溶媒の例には、エタノール、メタノール、アセトン、イソ−プロパノール及びこれらの組合せが含まれる。
【0056】
特定の好ましい実施形態の1つに従えば、反溶媒は、少なくとも0.3×Pの圧力及び少なくともT−60℃の温度を有する超臨界又は近臨界流体であり、Pは反溶媒中の主たるガス状成分の臨界圧を表し、Tはその主たるガス状成分の臨界温度を表す。
【0057】
本方法で使用される超臨界、亜臨界又は近臨界流体は、好ましくは、二酸化炭素、亜酸化窒素、エタン、エチレン、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、ブタン、アルゴン、窒素及びこれらの混合物から選択される。特定の好ましい実施形態の1つに従えば、反溶媒は少なくとも60重量%の二酸化炭素を含有する。
【0058】
本方法で使用される流体組成物は、疎水性ポリマー及び任意で採用される放出トリガー成分に加えて、さらなる溶解した成分、例えば、安定剤、着色剤、抗生物質、抗真菌剤又は抗酸化剤を含有していてもよい。典型的には、溶媒、溶解した疎水性ポリマー及び分散した有効成分は合わせて、流体組成物の少なくとも90重量%を占める。好ましくは、これらは合わせて、流体組成物の少なくとも95重量%を占める。
【0059】
本方法において流体組成物は、有益なことに、反溶媒を含有する混合器中へと流体組成物を吹き付けることにより、例えば、それを比較的大きな直径(例えば、1mm超の直径)を有するノズルを通して放出することにより、反溶媒と組み合わされる。比較的大きな直径を有するノズルの使用は、流体組成物が混合器中への導入時に飛散しないという利点を提供する。
【0060】
本方法において、流体組成物及び反溶媒は典型的には、1:1000〜1:10の範囲内の重量比で、好ましくは1:200〜1:50の範囲内の重量比で混合される。
【0061】
本方法において、反溶媒とマイクロカプセルとの接触時間は好ましくは、成分(例えば、有効成分)がこれらマイクロカプセルから抽出されるのを防ぐため、可能な限り短く保たれる。典型的には、マイクロカプセルと反溶媒との平均接触時間は、3時間を超えない。より好ましくは、前記接触時間は60分間を超えない。なお一層好ましくは、接触時間は30分間を超えず、最も好ましくは、それは10分間を超えない。
【0062】
特定の好ましい実施形態の1つに従えば、マイクロカプセルが反溶媒から分離される間、新しいマイクロカプセルの形成は継続する。これは例えば、サイクロンを援用すること又は反溶媒と非混和性である媒質中の粒子を収集することにより達成されうる。
【0063】
本方法の好ましい実施形態の1つにおいて、反溶媒の分離に続いて、抽出された溶媒が反溶媒から除去され、反溶媒は本方法のステップaへと再循環させられる。したがって、本方法で使用される反溶媒の総量は、方法の効率又はカプセル化の質に有意な悪影響を与えることなしに最少化されうる。特に好ましい実施形態の1つにおいて、抽出された溶媒は、高度に選択的な仕方で効果的に除去される。溶媒を除去し、例えば流体組成物の溶解した成分を除去しないことにより、マイクロカプセルからのこれら成分の望ましくない抽出が回避されうる。
【0064】
溶媒を吸着/吸収するが反溶媒を吸着/吸収しない吸着剤又は吸収剤を使用することにより、溶媒は反溶媒から効果的に除去されうる。或いは、溶媒含有反溶媒の圧力又は温度を減少させ、溶媒を凝縮させることにより、溶媒は除去される。選択膜を用いることにより、溶媒を除去することもまた可能である。凝縮した溶媒からの反溶媒の分離に続いて、ステップaへと再循環させられる前に反溶媒は再加圧される。
【0065】
本方法の流体組成物は、溶媒を有効成分、疎水性ポリマー及び任意で採用される他の成分と組み合わせ、同時に又は続いてホモジナイズすることにより、適切に形成される。
【0066】
本発明はさらに、以下の実施例により例示されるが、これに限定されるものではない。
[実施例]
【実施例1】
【0067】
エチルセルロース(2.7g、Ethocel(登録商標) 100、The Dow Chemical Company社製)を、エタノール(87.3g)中に分散させ、IKA(登録商標)Ultra-Turraxを用いて1分間攪拌し、続いて20分間超音波処理することで、溶媒中に溶解させた。
【0068】
引き続いて、5μmより小さい平均粒子サイズを有する粉末ピロリン酸鉄(1.22g)を溶媒中に分散させ、しかるのちに前述の高剪断力混合装置を用いて分散液を5分間攪拌した。
【0069】
分散液を迅速にシリンジポンプであるIsco(登録商標) 260Dへと移し、このシリンジポンプから分散液を、高圧力容器の上部に設置された同軸ノズル(Spraying systems Co.社製、model 2050/64)の内管を通してこの容器へと注入した。高圧力容器の体積は4リットルだった。溶液の注入前に、膜ポンプ(Orlita(登録商標))を用いて容器をCOで115バールまで加圧した。高圧力容器に入れられるCOを55℃まで加熱した。容器を油加熱ジャケットで55℃まで加熱した。容器の底部には、ステンレス鋼焼結フィルターを取り付けた。
【0070】
総量で36.8mlの分散液を、2.5ml/分の速度で容器に付加した。COを同時に、同軸ノズルの外管を通して500g/分の速度で容器の上部に付加した。このCOは容器底部の管を通して除去した。容器内の圧力を、この管に取り付けた弁により制御した。分散液の吹付け後、圧力を落とす前にさらに20分間容器にCOを流した。大体が繊維状物質へと凝集した、主に5μmより小さなマイクロカプセルからなる粉末をフィルターから回収した。
【0071】
このようにして得られた粉末からの水中及び0.1N HCl溶液中における鉄の放出を、水又は酸性溶液20g中に粉末50mgをそれぞれ分散させることにより調べた。酸性溶液からの試料は、1時間後及び4時間後に採取した。水からの試料は8日後に採取した。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】

【実施例2】
【0073】
実施例1に記載の鉄含有マイクロカプセル化物を、マーガリンに適用した。マイクロカプセル化物粉末をマーガリンの水相中に分散させ、20g当たり3mgの鉄を有するマーガリンを提供した。同様にして、同量の補充鉄を含有するマーガリンを、カプセルに包まれていない実施例1に記載のピロリン酸鉄粉末を用いて調製した。
【0074】
マイクロカプセル化物粉末は容易に分散させることができ、混合物中に視認することはできなかった。マイクロカプセル化物を含有するマーガリンは、その臭いと色を判断基準として、4℃での貯蔵で少なくとも8週間安定的であり続けた。対照的に、カプセル包まれていないピロリン酸鉄を含有するマーガリンは、たった1日後にはっきりと異臭を放つようになった。
【実施例3】
【0075】
固体ピロリン酸鉄(III)を含有するマイクロカプセル化物を以下の通り作製した:
【0076】
エチルセルロース(Ethocel(登録商標) 100 premium)を、エタノール中に分散させ、IKA(登録商標) Ultra-Turraxを用いて1分間攪拌し、続いて20分間超音波処理することにより、溶媒中に溶解させた。これとは別に、キトサン1.85%及び酢酸4.65%を含む水溶液を作製した。引き続いて、細粉化されたピロリン酸鉄(5%)をこの酸性水溶液中に分散させた。この分散液を、前述の高剪断力混合装置を用いて少なくとも5分間攪拌した。
【0077】
引き続いてエチルセルロース溶液を、前述の高剪断力混合装置を用いて5分間、キトサン水分散液と混合した。混合すると、ピロリン酸鉄が固相として分散したままの乳剤が形成された。形成された乳剤は以下のものを含有していた:Fe1.31%、キトサン0.49%及びエチルセルロース1.1%。
【0078】
乳剤を迅速にシリンジポンプであるIsco(登録商標) 260Dへと移し、このシリンジポンプから分散液を、高圧力容器の上部に設置された同軸ノズル(Spraying systems(登録商標)、1650/64)の内管を通してこの容器へと注入した。この高圧力容器の体積は4リットルだった。溶液の注入前に、膜ポンプ(Orlita)を用いて容器をCOで125バールまで加圧した。高圧力容器に入れられるCOを48度まで加熱した。容器も油加熱ジャケットにより48℃まで加熱した。容器の底部には、ステンレス鋼焼結フィルターを取り付けた。
【0079】
総量で59.66mlの乳剤を1ml/分の速度で容器に付加した。COを同時に、同軸ノズルの外管を通して500g/分の速度で容器の上部に付加した。このCOは容器底部の管を通して除去した。容器内の圧力を、この管に取り付けた弁により制御した。分散液の吹付け後、圧力を落とす前にさらに15分間COを容器に流した。粉末をフィルターから回収した。
【実施例4】
【0080】
実施例3に記載の手順により得られるマイクロカプセル化物からの鉄の放出を、蒸留水中及び0.1M HCl溶液中で、水又は酸性溶液20g中にマイクロカプセル化物20mgをそれぞれ分散させることにより調べた。酸性溶液からの試料は1時間後及び4時間後に採取し、ICP−MSにより分析した。蒸留水からの試料は、1時間後及び4時間後に回収して分析した。結果を下の表に示す。
【0081】
【表2】

【実施例5】
【0082】
キトサン−低分子量(1.85%)を、酢酸(4.8%)水溶液中に分散させ、さらにIKA(登録商標) Ultra-Turraxを用いて10分間攪拌し、続いて30分間超音波処理することにより溶解させた。
【0083】
引き続いて、細粒化された乳酸鉄を前述の既製溶液中に分散させ、しかるのちにこの分散液を同じ高剪断性混合装置を用いて少なくとも10分間攪拌した。
【0084】
分散液を迅速にシリンジポンプであるIsco(登録商標) 260Dへと移し、このシリンジポンプから分散液を、高圧力容器の上部に設置された同軸ノズルの内管を通してこの容器へと注入した。高圧力容器の体積は4リットルだった。溶液の注入前に、膜ポンプ(Orlita(登録商標))を用いて容器を二酸化炭素で150バールまでを加圧した。高圧力装置に入れられる二酸化炭素を50℃まで加熱した。容器を油加熱ジャケットにより50℃まで加熱した。容器の底部には、ステンレス鋼焼結フィルターを取り付けた。
【0085】
総量で86.70mlの分散液を、1ml/分の速度で容器に付加した。二酸化炭素を同時に、同軸ノズルの外管を通して722g/分の速度で容器の上部に付加した。この二酸化炭素は容器底部の管を通して除去した。容器内の圧力を、この管に取り付けた弁により制御した。分散液の吹付け後、圧力を戻す前にさらに20分間COを容器に流した。乳酸鉄−キトサン粉末をフィルターから回収した。
【0086】
引き続いて、乳酸鉄−キトサン粉末をさらに、エタノール中にEthocel(登録商標)(Dow社製-Standard 100 premium)を含む溶液中に分散させた。このエチルセルロース(Ethocel Standard 100 premium)は、エタノール中に分散させ、IKA(登録商標) Ultra-Turraxを用いて1分間攪拌し、続いて20分間超音波処理することにより、この溶媒中に1.5重量%の濃度で溶解させた。
【0087】
分散液を迅速にシリンジポンプであるIsco(登録商標) 260Dに移し、このシリンジポンプから分散液を、4L(体積)の加圧された高圧力容器の上部に設置された加熱管を通して、この容器中に二酸化炭素と同時に注入した。この管は、欧州公開特許公報第1 494 796号に記載の通り、2つの0.3mmノズル(1つは二酸化炭素ラインのため、1つは溶液ラインのため)を有するT型ミキサーを備える。二酸化炭素及び溶液の混合物の注入前に、膜ポンプ(Orlita(登録商標))を用いて容器を二酸化炭素で120バールまで加圧した。高圧力容器に入れられる二酸化炭素を40℃まで加熱した。容器を油加熱ジャケットにより40℃まで加熱した。容器の底部には、ステンレス鋼焼結フィルターを取り付けた。
【0088】
総量で37.44mlの分散液を6ml/分の速度で容器に付加した。二酸化炭素を、同様のIsco(登録商標) 260DポンプでT型ミキサーを通して(流速6mL/分で)、しかしまた外管を通して大きな容器の上部からも流速416g/分で、同時に付加した。この二酸化炭素は容器底部の管を通して除去した。容器中の圧力は、この管に取り付けた弁により制御した。分散液の吹付け後、圧力を戻す前にさらに20分間二酸化炭素を容器に流した。乳酸鉄−キトサン−エチルセルロース粉末をフィルターから回収した。
【実施例6】
【0089】
実施例5に記載の手順により得られたマイクロカプセル化物からの鉄の放出を、蒸留水中及び0.1M HCl溶液中で、蒸留水又は酸性溶液20g中にそれぞれ0.02gを分散させることにより調べた。蒸留水及び酸性溶液からの試料は、1時間後及び4時間後に採取した。結果を下の表に示す。
【0090】
【表3】

【実施例7】
【0091】
エチルセルロース1.5重量% Ethocel(登録商標)Standard Premium 100、Dow社より取得)を、エタノール中に分散させ、IKA(登録商標) Ultra-Turraxを用いて1分間攪拌し、続いて20分間超音波処理することにより、溶媒中に溶解させた。引き続いて、細粒化したピロリン酸鉄(3%)をこの溶液中に分散させ、しかるのちに前述の高剪断力混合装置を用いてこの分散液を5分間攪拌した。
【0092】
分散液を迅速にシリンジポンプであるIsco(登録商標) 260Dに移し、このシリンジポンプから分散液を、欧州公開特許公報第1 494 796号に記載の2つのノズル(それぞれ0.1mm)を有するT型ミキサーと共に上部に設置された長い管を通して高圧力容器へと注入した。T型ミキサーの一方のノズルからエタノール溶液中のピロリン酸鉄の懸濁を、反対のノズルからCOを長い管へと注入した。高圧力容器の体積は4リットルだった。溶液の注入前に、膜ポンプ(Orlita(登録商標))を用いて容器をCOで120バールまで加圧した。高圧力容器に入れられるCOを40℃まで加熱した。容器を油加熱ジャケットにより40℃まで加熱した。容器の底部には、ステンレス鋼焼結フィルターを取り付けた。
【0093】
総量で120mlの分散液を、容器に6ml/分の速度で付加した。COを同時に、管の上部に(15mL/分の速度で)、且つ、4L容器の外管を通して25kg/時間の速度で付加した。このCOを容器底部の管を通して除去した。容器内の圧力を、この管に取り付けた弁により制御した。分散液の吹付け後、圧力を戻す前にさらに10分間COを容器に流した。粉末をフィルターから回収した。
【0094】
この粉末のSEM顕微鏡写真を図1及び図2に示す。これらの顕微鏡写真は、マイクロカプセル化物が球状ミクロニックナノ粒子(spherical micronic-nano particles)の凝集体を含んでいたことを示す。
【実施例8】
【0095】
海産物由来富リン脂質油を有効成分として含有する水不溶性マイクロカプセル化物を以下の通り作製した:
【0096】
キトサン(1%)を酢酸(0.5%)水溶液中に分散させ、さらにIKA(登録商標) Ultra-Turraxを用いて10分間攪拌することにより溶解させた。しかるのちにこの溶液を湯浴でおよそ40〜50℃まで温め、引き続いてマルトデキストリンMD20(7%)を付加し、攪拌機で10分間攪拌し、さらに同じ高剪断力装置を用いて5分間攪拌することにより溶解させた。しかるのちに海産油(2%)を水溶液に付加し、この溶液を同じ高剪断力装置で5分間混合し、水中油乳剤を形成した。
【0097】
混合後すぐに、乳剤を高圧力シリンジポンプへと移し、このシリンジポンプから分散液を、高圧力容器の上部に設置された同軸ノズルの内管を通してこの容器へと注入した。高圧力容器の体積は4リットルだった。溶液の注入前に、膜ポンプを用いて容器を二酸化炭素で150バールまで加圧した。高圧力容器に入れられる二酸化炭素を40℃まで加熱した。容器を油加熱ジャケットにより40℃まで加熱した。容器の底部には、ステンレス鋼焼結フィルターを取り付けた。
【0098】
総量で38.65mlの分散液を、0.75ml/分の速度で容器に付加した。二酸化炭素を同時に、同軸ノズル外管を通して500g/分の速度で容器の上部に付加した。この二酸化炭素を容器底部の管を通して除去した。容器内の圧力を、この管に取り付けた弁により制御した。分散液の吹付け後、圧力を戻す前にさらに20分間COを容器に流した。油/キトサン/MD20粉末をフィルターから回収した。この粉末は遊離脂肪をほとんど含有しておらず、つまり脂肪のほとんどは効果的にキトサン/MD20基質のカプセルに包まれていた。
【0099】
引き続いて油/キトサン/MD20粉末を、エチルセルロース(Ethocel(登録商標)、Dow社製-Standard 100 premium)のエタノール溶液中に、IKA(登録商標)Ultra-Turraxを1分間、続いて超音波処理を20分間用いて分散させた。このようにして得られた分散液は、油/キトサン/MD20粉末2.5重量%及びエチルセルロース1.5重量%を含有していた。
【0100】
この分散液を迅速にシリンジポンプへと移し、このシリンジポンプから分散液を、4L(体積)の加圧された高圧力容器の上部に設置された加熱管を通して、この容器へと二酸化炭素と同時に注入した。この管は、欧州公開特許公報第1 494 796号に記載の通り、0.3mmノズル(分散液用)及び1/4インチステンレス鋼管(CO用)を有するT型ミキサーを備えていた。二酸化炭素及び分散液の混合物の注入前に、膜ポンプを用いて容器を二酸化炭素で120バールまで加圧した。高圧力容器に入れられる二酸化炭素を40℃まで加熱した。容器を油加熱ジャケットにより40℃まで加熱した。容器底部には、ステンレス鋼焼結フィルターを取り付けた。
【0101】
総量で43.60mlの分散液を6ml/分の速度で容器に付加した。同様の高圧力シリンジポンプでT型ミキサーを通して(6ml/分の流速で)、また大きな容器の上部からも外管を通して416g/分の流速で、二酸化炭素を同時に付加した。この二酸化炭素を容器底部の管を通して除去した。容器内の圧力をこの管に取り付けた弁で制御した。分散液の吹付け後、圧力を戻す前にさらに20分間二酸化炭素を容器に流した。流動性の油/キトサン/MD20/エチルセルロース粉末をフィルターから回収した。顕微鏡分析により、粒子の90体積%超が15μmより小さいことが明らかとなった。
【0102】
粉末は、乾燥状態で油の臭いがすることも、水中への分散後にかかる臭い又は味を生み出すこともなかった。顕微鏡分析及びRaman分析により、粉末が1.5のpHを有する酸性水溶液中に分散する際に、油が放出されることが明らかとなった。
【実施例9】
【0103】
実施例5を繰り返したが、今回は乳酸鉄の分散液の代わりに、リン酸三カルシウム(放出トリガー成分)0.1%及び乳製品由来苦味ペプチド1%の水分散液を調製した。加えて、キトサンを一切付加せず、酢酸の濃度を3%に変更した。
【0104】
高加圧二酸化炭素を含む容器中に前述の分散液を吹き付けることで得られた粉末を、引き続いて、エチルセルロースのエタノール溶液中へと分散させ、このことにより両方の成分を1.5重量%の濃度で含有する分散液を作製し、且つ、さらにこの分散液を実施例5に記載の通り処理することによって、コートした。
【0105】
苦味、酸味又は塩味のない、目の細かい流動性のオフホワイトの粉末を作製した。この粉末を中性pH水中へと分散させた分散液もまた、無味であることが見出された。この粉末は、中性pHの水性環境中で安定的であるが、高度に酸性の水性媒質中で、カプセルに包まれているペプチドを放出する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分を少なくとも1重量%含有する直径0.1μm〜25μmのマイクロカプセルを少なくとも40重量%含むマイクロカプセル化物において、
前記マイクロカプセルが、
・前記マイクロカプセルの1〜75重量%を占め、少なくとも3重量%の有効成分を含有する直径90nm〜23μmのコア粒子;と
・マイクロカプセルの25〜99重量%を占め、セルロースエーテル、セルロースエステル、ゼイン、セラック、グルテン、ポリラクチド、疎水性デンプン誘導体、ポリビニルアセテートポリマー、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導されるポリマー又はコポリマー、並びにこれらの組合せから選択される疎水性ポリマーを少なくとも20重量%含有する、コア粒子を完全に包むコーティング;とを含み、
前記コア粒子がコア粒子に対し5〜90重量%の放出トリガー成分を含有し、及び/又は、前記コーティングが疎水性ポリマーに対し3〜100重量%の放出トリガー成分を含有し、
前記放出トリガー成分が、
・37℃及びpH7.0で20重量%未満の吸水量並びに37℃及びpH2.0で少なくとも50重量%の吸水量を有する水膨潤性ポリマー;と
・37℃及びpH7.0で1mg/ml未満の水溶性並びに37℃及びpH2.0で少なくとも5mg/mlの水溶性を有する食用塩;とから選択される、
前記マイクロカプセル化物。
【請求項2】
37℃の温度で(i)20mgのマイクロカプセル化物を20mlの蒸留水中に分散させた際に、1時間以内に放出される有効成分が0.2%未満であり、且つ、(ii)20mgのマイクロカプセル化物を、前もってHClでpHを1.0に調節した20mlの蒸留水中に分散させた際に、少なくとも5%の有効成分が1時間以内に放出される、請求項1に記載のマイクロカプセル化物。
【請求項3】
95%を超えるカプセル化効率を示す、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル化物。
【請求項4】
疎水性ポリマー及び放出トリガー成分が合わせて、コーティングに対して少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%を占める、請求項1〜3に記載のマイクロカプセル化物。
【請求項5】
コーティングに含有される放出トリガー成分が水膨潤性ポリマーである、請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロカプセル化物。
【請求項6】
水膨潤性ポリマーがアミノ基含有ポリマーとして選択されるものであり、好ましくは、キトサン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルアミノアセテート及びこれらの組合せから選択されるアミノ基含有ポリマーである、請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロカプセル化物。
【請求項7】
食用塩がカーボネート、ホスフェート、シトレート、オキサレート、スクシネート、フマレート及びこれらの組合せから選択される、請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロカプセル化物。
【請求項8】
有効成分が水溶性及び/又は水分散性である、請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロカプセル化物。
【請求項9】
有効成分がミネラル、ビタミン、医薬有効物質、微生物、ステロール、炭水化物、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、カロテノイド、抗酸化物質、抽出物、苦味物質、油及びこれらの組合せから選択される、請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロカプセル化物。
【請求項10】
疎水性ポリマーを含む基質で有効成分をカプセル化する方法であって、
・少なくとも80重量%の溶媒、0.1〜20重量%の溶解した疎水性ポリマー及び0.002〜20重量%の分散した有効成分を含む流体組成物;並びに
・大気圧下でガス状であり、少なくとも70バールの圧力を有する反溶媒を用い、
前記溶媒が前記反溶媒に可溶性又はそれと混和性であり、前記疎水性ポリマー及び前記有効成分が前記反溶媒に不溶性であり、前記疎水性ポリマーの水溶性が20℃で0.1mg/ml未満であり、以下の連続ステップ:
a.過飽和条件を達成するため、前記流体組成物及び反溶媒を組み合わせること;
b.分散させた前記有効成分上に前記疎水性ポリマーを沈着させ、前記有効成分がコーティングにより完全に包まれた、10nm〜25μmの体積加重平均直径を有するマイクロカプセルを作製すること;及び
c.前記マイクロカプセルを回収し、それらを前記反溶媒から分離すること
を含む方法。
【請求項11】
溶媒がC−Cアルカノール、C−Cジオール、C−Cトリオール、水及びこれらの組合せから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
溶媒がメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、水及びこれらの組合せから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
反溶媒が超臨界流体又は近臨界流体である、請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
流体組成物がさらに、溶解した又は分散した放出トリガー成分を疎水性ポリマーに対して1〜100重量%で含有し、前記放出トリガー成分が、
・37℃及びpH7.0で20重量%未満の吸水量並びに37℃及びpH2.0で少なくとも50重量%の吸水量を有する水膨潤性ポリマー;並びに
・37℃及びpH7.0で1mg/ml未満の水溶性並びに37℃及びpH2.0で少なくとも5mg/mlの水溶性を有する食用塩
から選択される、請求項10〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれかに記載のマイクロカプセル化物をもたらす、請求項10〜14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−529488(P2011−529488A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521061(P2011−521061)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050475
【国際公開番号】WO2010/014011
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(511027105)フェイコン ビー.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】FEYECON B.V.
【出願人】(511027116)フリースランド ブランズ ビー.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】Friesland Brands B.V.
【Fターム(参考)】