説明

マイクロチャンネル装置内での流動化及び固形物のプロセス処理

【課題】気相プロセス処理を含む、粒子の流動化を利用する化学プロセスと、マイクロチャンネル(以下、単にチャンネルとも称する)を通して流体中を移動する触媒粒子の触媒作用を受ける化学反応とを提供することである。
【解決手段】化学反応を実施するための方法であって、ヘッダーと、流れ改質用マニホルド連結部とを通して流体流れを流動させることにより分与流れを形成すること、を含み、ヘッダーがマイクロチャンネル列との間にインターフェース部分を有し、(a)分与流れがマイクロチャンネル列を通して固形粒子を搬送し、(b)分与流れが固形粒子を連行する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチャンネル装置内での流動化及び固形物のプロセス処理に関する。
【背景技術】
【0002】
流動化プロセスとは、流体を、固形物床を貫いて、それらの固形物が流体流れ中に懸濁される速度で通過させるプロセスである。流動化プロセスのタイプは、Grace,J.R.が英国のCan.J.Chem誌の1986年の第64巻、第353〜363頁に書いた“ガス−固形物及びその他の2相懸濁液の接触モード及び挙動の分類”の如くカテゴライズされている。流動化プロセスは工業的には、中でも、化学反応(例えば、軽油分解反応、フタル酸無水物製造反応、アクリロニトリル製造反応、燃焼反応)、物質の分離及び分類、乾燥、仮焼、鉱ロースチングを含む数多くの単位操作において利用されている。
触媒粒子を流動化させる利点は、ガス塊から触媒表面への、また、触媒表面から内側関与部位への物質移動距離が共に極めて短くなることである。触媒反応をマイクロチャンネル反応器内で実施することによっても物質移動距離を短縮させることができるが、マイクロチャンネル反応器に関しては、粒子による詰まりが生じるので流動化した粒子と共には使用すべきではないという既成概念があった。例えば、米国特許第5,811,062号を参照されたい。
【0003】
一方、マイクロチャンネル反応器は、極めて小さく且つ非常に一様な粒子が生成される液相反応では成功裏に使用されてきている。例えば、米国特許第5,342,609号及び同第6,566,519号を参照されたい。Nickel誌を含むその後の一連の文献によると、マイクロチャンネル反応器内で液相合成された色素粒体は、D50値が250nmよりも小さく、粒寸法分布の標準偏差s=1.5となることが報告された(2001年11月30日のMicroreaction Technologyに関するIMRET国際会議でのWillie他による“Progress in Transferring Microreactors from Lab into Production-an Example in the Field of Pigments Technology”)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,811,062号明細書
【特許文献2】米国特許第5,342,609号明細書
【特許文献3】米国特許第6,566,519号明細書
【特許文献4】米国特許第6,200,536号明細書
【特許文献5】米国特許第6,219,973号明細書
【特許文献6】米国特許出願番号第10/440,056号
【特許文献7】米国特許第6,666,909号明細書
【特許文献8】米国特許出願番号第011,386号
【特許文献9】米国特許出願番号第384,179号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Can.J.Chem誌の1986年の第64巻、第353〜363頁
【非特許文献2】2001年11月30日のMicroreaction Technologyに関するIMRET国際会議でのWillie他による“Progress in Transferring Microreactors from Lab into Production-an Example in the Field of Pigments Technology”
【非特許文献3】WeinHeimのJohn Wiley & Son,社の1998年のB.R.Munson,D.F.Young 及びT.H. Okiishiによる“Fundamentals of Fluid Mechanics, 3rd Ed.”
【非特許文献4】ワシントン州RichlandのPacific Northwest National LaboratoryのA.Shekarriz他による1997年の“Cross Site Transfer System at Hanford; Long-Term Strategy for Waste Acceptance”PNNL-11497
【非特許文献5】Chemical Enginnering Science v56第613−620頁(2001)の“A Pilot Plant Study and 2-D Dispersion-Reactor Model for a High-Density Riser Reactor”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、気相プロセス処理を含む、粒子の流動化を利用する化学プロセスと、マイクロチャンネル(以下、単にチャンネルとも称する)を通して流体中を移動する触媒粒子の触媒作用を受ける化学反応とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一様相において、化学プロセスを実施する方法であって、マイクロチャンネルを通して固形物または固体粒子を担持するガス状流れを流動させること及び、ガス状流れを流動させるに際しての操作条件及びマイクロチャンネル寸法を、ランナップ長さ(以下に説明する如く、排除厚が合致するところのチャンネル入口からの長さ)xHがマイクロチャンネル長さ未満であるように制御すること、を含む方法が提供される。ここで、
xH=0.338(H/2)2(U/v)とする。
各変数については以下の文中でも説明されるが、Hはマイクロチャンネルの最小寸法(間隙)であり、Uはマイクロチャンネル内でのガスの表面速度であり、vはマイクロチャンネル内でのガスの動粘性である。好ましい実施例ではマイクロチャンネルは矩形断面を有し、他の実施例ではマイクロチャンネルの断面を通過する固形物画分は少なくとも8時間は連続して0.01kg/m2を上回り、更に他の実施例ではランナップ長さは、マイクロチャンネル長さの75、50、20または10%までの長さとされる。
【0008】
本発明の他の様相において、マイクロチャンネルを通してガス流れを送ること及び、積層流れ状況を入手するべくガス状流れの流量を制御すること、を含む化学プロセスが提供される。ガス流れには固形物粒子が含まれ、好ましい実施例では固形物粒子はマイクロチャンネル内で合成され、他の実施例ではマイクロチャンネルに第2ガスが導入される。第2ガスは、マイクロチャンネルに対する反応を制限する第2反応物質、希釈剤、またはクエンチ(反応停止)ガスであることが好ましい。固形物粒子は随意的にはリサイクルまたは除去され得る。
【0009】
本発明によれば、流体流れをヘッダー内に流動させ、次いで、流れ改変用マニホルド連結部を通して流動させて分与流れを形成すること、を含む化学プロセスを実施するための方法が提供される。本方法は、ヘッダーとマイクロチャンネル構造との間にインターフェース部分を有する装置内で実施される。前記分与流れは、(a)マイクロチャンネル構造を通して固体粒子を担持し、または(b)固体粒子を連行する。ある実施例では、流れ改変用マニホルド連結部はマイクロチャンネル構造内に流れを均等分布させる傾向を有し、好ましい実施例では分与流れは、Q値が30%未満である状態下に流動する。
【0010】
本発明の更に他の様相において、少なくとも一部分が凝塊である固体粒子を担持する第1流体流れをマイクロチャンネルを通して流動させること及び、第2流体流れを、前記固体粒子の凝塊を減少せしめるに十分な速度でマイクロチャンネル内に送ること、を含む化学プロセスを実施するための方法が提供される。
本発明の更に他の様相において、固体粒子を担持する流体流れを、入口及び出口を有し、該入口及び出口間にある長さを有するマイクロチャンネル内に抗重力方向において提供することを含み、
マイクロチャンネルが少なくとも一つのマイクロチャンネル壁によって更に画定され、
前記少なくとも一つのマイクロチャンネル壁が少なくとも一つのオリフィスを含み、
前記少なくとも一つのオリフィスが前記入口及び出口間に位置付けられ、
前記第1流体流れが、前記固体粒子の少なくとも一部分が重力によって引き下ろされ且つマイクロチャンネルの長さ全体に沿っては搬送されないような速度下にマイクロチャンネル内に流動され、
第2流体が、前記オリフィスを通してマイクロチャンネル内に送られ、次いで前記出口から排出されるようにした化学プロセスを実施するための方法が提供される。
本発明によれば、前記各構成部品を有する化学システムも提供される。ある実施例では、本発明の方法は粒子を分離させるために使用され得、また、ある実施例では本発明の装置はマイクロチャンネル列を有し、また別の実施例ではマイクロチャンネルまたはマイクロチャンネル列は重力に関して実質的に平行とされ、ある好ましい実施例では第2流体が反応停止剤を含んでいる。
【0011】
本発明の更に他の様相において、一体化したマイクロチャンネル装置において化学反応を実施するための方法であって、
触媒粒子を流体内に連行させて流動化流れを形成すること、
流動化流れを、連行ゾーンから、少なくとも一つのプロセスマイクロチャンネルに送ること、
流動化流れを隔壁の周囲に送ること、
流動化流れを隔壁の周囲に送った後、流動化流れ中の触媒粒子を少なくとも一つのリターンマイクロチャンネルに戻すこと、
を含み、
前記隔壁が、少なくとも一つのプロセスマイクロチャンネルと少なくとも一つのリターンマイクロチャンネルとを分割し、
流動化流れを隔壁の周囲に送った後、流動化流れからの流体が出口を通して排出され、
該出口を通して出る流れの容積比が、流動化流れのそれよりも低く、マイクロチャンネル内には、粒子をリターン側に流下させるための第2流体が流入される含む方法が提供される。少なくとも一つのプロセスマイクロチャンネルと、少なくとも一つのリターンマイクロチャンネルとは共通平面内に配置されることが好ましい。本方法は化学反応、例えば、メタノール合成のために使用することができる。
【0012】
本発明の更に他の様相によれば、マイクロチャンネル反応炉内で触媒化学反応を実施するための方法であって、固形触媒粒子を担持する第1流体流れをマイクロチャンネル内に提供すること、固形触媒粒子を使用してマイクロチャンネル内での反応に触媒作用を引き起こすこと、を含む方法が提供される。本方法では、固形触媒粒子はマイクロチャンネルを移動して出た後、連続様式下に再循環されてマイクロチャンネル内に戻る。
本発明の更に他の様相において、ガス流れ内に粒子を連行させる方法であって、液体/粒子のスラリーをマイクロチャンネルの内側のウィック内に流動させてマイクロチャンネルのウィック内にスラリーを形成すること、このウィック内のスラリーに液体が蒸発するような圧力及び温度条件を加えること、このスラリーから、粒子を含むガス中固形物懸濁物(solids-in-gas suspension)を形成すること、を含む方法が提供される。本方法には、ガス内での粒子連行を助成させるためのガスをマイクロチャンネル内に送ることが更に含まれることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、懸濁液から粒子を除去するための方法であって、マイクロチャンネルのウィック内に液体を流動させること、ウィック内に液体を含むマイクロチャンネルにガス中固形物懸濁物を流動させること、を含み、ガス中固形物懸濁物中の固体粒子がウィック内の液体中に移行される方法もまた提供される。かくして形成された懸濁液はマイクロチャンネルから流出可能であり、ガスから容易に分離され得る。
本発明の幾つかの様相が方法発明に関して説明されたが、本発明は本明細書に記載する任意の装置及びまたは化学システム(流体及びまたはプロセス条件との組み合わせ)を含むものとする。例えば、本発明によれば、マイクロチャンネル内にウィックを含む装置であって、ウィック内にスラリーが存在し、マイクロチャンネル内にはガス中固形物懸濁物が存在する装置も提供される。
【0014】
発明の幾つかの様相では固体粒子は流体と実質的に同じ速度で連行され得るが、そうした連行は、懸濁粒子がゾルタイプの分子間相互作用により溶液内に保持される非常に小さいものである場合に生じる。幾つかの好ましい実施例では粒子はキャリヤ流体よりも著しく遅い速度で移動する(即ち、平均滞留時間が少なくとも10%長い)が、そうした移動速度は、粒子に作用する流体の抗力以外の、例えば、これに限定するものではないが、重力、磁界、または壁との静電的相互作用、を含む力によって粒子速度が低下されることによって生じる。粒子が、例えば、流体の流れ方向とは逆の方向から粒子に作用する重力成分を大きくするに十分大きい場合は、粒子の移動速度は流体全体の流速と比較して遅くなる。好ましい実施例ではキャリヤ流体の流れは層流、遷移流れ、または乱流であり得、流体はガスである。幾つかの好ましい実施例ではマイクロチャンネルを通してのガスの接触時間は500ミリ秒未満、幾つかの実施例では100ミリ秒未満、幾つかの他の実施例では50ミリ秒未満、更に他の幾つかの実施例では1〜500ミリ秒である。キャリヤ流体がガスではなく液体であるシステムでは、予想される反応接触時間範囲はガス反応のために好ましい範囲よりも3桁も大きなものとなり得る。本発明の幾つかの実施例では、マイクロチャンネル内の粒子には流体の抗力以外の力が作用し、かくして粒子の平均滞留時間はキャリヤ流体のそれよりも少なくとも10%、幾つかのその他の実施例では少なくとも30%長くなる。固形物の平均滞留時間は、(好ましくは)トレーサー粒子を導入し、これらのトレーサー粒子が出現するまでに要する時間を測定することにより、または(トレーサー粒子を適用できない場合)固形物を導入し、光学またはファイバープローブを用いてマイクロチャンネルを出るガスの固形物含有量を測定することにより計測され得る。
【0015】
幾つかの実施例では、粒子の中央値は少なくとも0.1μmであり、他の実施例では少なくとも5μmであり、他の実施例では少なくとも20μmであり、他の実施例では少なくとも50μmであり、他の実施例では少なくとも100μmを超えない大きさであり、他の実施例では少なくとも500μmを越えない大きさであり、他の実施例ではこれらの好ましい大きさにより設定される範囲内のものである。幾つかの実施例では、本発明のプロセスにおいて5〜100ナノメーターの範囲を含むもっと小さい平均粒子径もまた使用され得る。幾つかの実施例では流体流れ中の固形物容積比は少なくとも0.01であり、他の実施例では少なくとも0.05であり、他の実施例では少なくとも0.10であり、他の実施例では0.20を超えない大きさであり、他の実施例では0.40を超えない大きさであり、他の実施例では0.70を超えない大きさであり、他の実施例ではこれらの好ましい容積比によって設定される範囲内の大きさである。幾つかの実施例では、マイクロチャンネル、マイクロチャンネル列、またはマイクロチャンネル装置を通る固形物画分は少なくとも毎秒0.1kg/m2であり、他の実施例では少なくとも毎秒1.0kg/m2であり、他の実施例では少なくとも毎秒10kg/m2であり、他の実施例では少なくとも毎秒50kg/m2であり、他の実施例では少なくとも毎秒100kg/m2であり、他の実施例では毎秒10〜500kg/m2の範囲である。
【0016】
触媒粒子は、Ni、Fe、Coの様な金属粒子を、または金属酸化物上の遷移金属のような、金属酸化物上に分散させた金属を含み得、幾つかの好ましい実施例では金属酸化物上の金属はPt、Rh、Ir、Pd、Os、Re、Ruのような貴金属である。幾つかの実施例ではシステムに存在する固形物の少なくとも50容積%が、また他の実施例では少なくとも90容積%が、触媒粒子である。
移行された床での逆混合は、例えば軽油からガソリンへの変換のごときプロセスでの製品歩留まりに大きなマイナスの影響を与え得るが、そうした影響には、所望の製品が逆流して反応状況に戻され、そこで二次反応を生じてしまうことで、所望の製品に対する選択性が低下することが含まれる。本発明の幾つかの実施例では、マイクロチャンネル内に存在する高い剪断速度及び層流状況が逆混合の発生を実質的に低減させる。
【0017】
本発明の様々の実施例によれば、プロセス効率及びプロセス強化上の一層の利益が提供される。好ましい実施例ではプロセスマイクロチャンネルは、湾曲または蛇行形状部分を持たない直線的なものであり、幾つかの好ましい実施例ではマイクロチャンネル、マイクロチャンネル列、または装置全体を通しての圧力低下量は10バール未満、他の実施例では1バール未満、その他の実施例では0.5バール未満、より好ましくは0.25バール未満、更に他の実施例では0.035〜0.34バールの範囲である。幾つかの好ましい実施例ではマイクロチャンネル、マイクロチャンネル列、または装置全体を通しての粒体及びまたは連行混合物との接触時間は1000ミリ秒未満、他の実施例では500ミリ秒未満、更に他の実施例では250ミリ秒未満、また幾つかの他の実施例では10〜100ミリ秒の範囲である。液体反応物質中に固形物が連行される好ましい実施例では、前記接触時間は1000秒未満、他の実施例では500秒未満、更に他の実施例では50秒未満であり得る。方法発明の好ましい実施例は、詰まりを生じることなく且つ実質的に生産性を低下させることなく、少なくとも8時間に渡り連続操作され得る。
【0018】
粒子流動化を実施するためにマイクロチャンネルを使用する上での一つの利点は、種々の流体が粒子と相互作用する様式を厳密に制御できる点にある。詳しくは、局所的な流体組成と、単数または複数の流体と、粒子とが接触状態を保ち得る時間とが厳密に制御され得る点が、従来の流動床に勝る独自の利点である。追加的な単数または複数の流体は各マイクロチャンネルに別々に分与され、所望の化学プロセスを実施するために必要な温度及び圧力条件の下に、既に流動化された床と共にマイクロチャンネル内で混合される。マイクロチャンネルの水力直径が小さいことから混合は素早く行われ、温度や滞留時間の制御もずっと容易である。例えば、一実施例では、夫々が、少なくとも一つの別の反応体と、流動化され、連行される触媒粒子とを収納する単数または一組のマイクロチャンネル内の流動床に、一つ以上の追加的な反応体が添加され得る。このように、流動化された触媒粒子に近接して、単数または複数の反応体の迅速で一様な混合が実施され得るので、不均質な触媒反応体の反応時間に渡る厳密な制御が可能となる。別の実施例では、第2流体が分与され、この第2流体が、流動化された粒子流れを収納するマイクロチャンネル内で生じる化学反応を停止させるために各マイクロチャンネル内に導入される。別の実施例では、反応速度を制御するために、流動化チャンネル内の流体が流動する長さ部分に沿って、化学反応における反応体の一つが分与される。また別の実施例では、流動化された粒子を収納するマイクロチャンネル内に形成される液体が、形成されるとウィックを介して即座に除去され、かくして化学プロセス実施時におけるプロセスの局所平衡のシフトが許容される。
【0019】
本発明の任意の装置及び方法において、連結用の各チャンネル及びまたはマニホルドは高さが20μm〜50mmであることが好ましく、より好ましくは20mmまたはそれ以下であり、更に好ましくは10mm未満である。各チャンネルまたは各マニホルドを分離する壁厚は20μm〜5mmであることが好ましく、より好ましくは2mmまたはそれ未満である。各連結チャンネルの長さは1cm〜10mである。積層型装置の場合、各層間のウェブ厚はシート厚であることが好ましい(換言すれば、好ましいある実施例では各装置はシートを通して、エッチングするのではなくむしろ、機能構造部分(features)を切削加工することにより作製される)。ここで説明される各物品は多重の層と、反復される層組体(以下、反復ユニット)とを有し得、例えば、積層体内には2、10、50またはそれ以上の反復ユニットが含まれ得る。層がこのように多重化あるいは“並列化”されることで、マイクロチャンネル積層装置の新たな能力が創出される。全ての様相を通して、各図面は例示的なものであるに過ぎず、これらに限定されるものではない。
【0020】
〔用語の説明〕
“含む”は、追加的な、または複数の構成要素を排除する意味では使用されず、例えば、装置が層、シートなどを含むものである場合は装置は多重の層、シートを含み得る。
“化学プロセス”とは、物質が化学変化または物理変化を受けるプロセスのことであり、化学プロセスの例には、化学反応、混合、分離、結晶化、エマルジョン形成、乾燥、相変化、が含まれる。
“連結用チャンネル”とは、マニホルドに連結されるチャンネルのことであり、連結用チャンネル内では代表的には単位操作が行われる。連結用チャンネルは入口横断平面と出口横断平面とを有する。幾つかの単位操作または単位操作部分はマニホルド内で生じ得るが、好ましい実施例では単位操作の70%(幾つかの実施例では少なくとも95%)以上が連結用チャンネル内で生じる。好ましい実施例では連結用チャンネルの壁は直線状である。
【0021】
“ダウンドラフト”とは、塊状流れから流れ部分が分離することにより生じる、流体あるいは固体粒子の、または流体及び固体粒子(懸濁粒子)の、見かけ上の速度方向とは逆方向への運動のことを言い、塊状の流体及びまたは懸濁粒子から分離した“ループ”状に流体及びまたは流体と固形物とが流動する再循環セルの形成を包含する。
“ヘッダー”とは、流体を連結用チャンネルに送達するように配置したマニホルドのことであり、“フッター”とは、連結用チャンネルから流体を取り除くように配置したマニホルドのことである。
【0022】
本発明ではマイクロチャンネルは、少なくとも一つのその寸法が10mmまたはそれ未満、幾つかの実施例では2mmまたはそれ未満、更に他の実施例では0.1〜1mmであるチャンネルとして定義される。マイクロチャンネルは単なるオリフィスではなく、その長さ(即ち、通常操作中における流れ方向での)はマイクロチャンネルの最短寸法ではなく、その高さと幅とは何れも、反応器を通過する反応体の流れ方向と実質的に直交する。マイクロチャンネルは、少なくとも一つの出口とは別の少なくとも一つの入口を持つことによっても定義される。マイクロチャンネルは、単にゼオライトあるいはメソ細孔性材料を貫く単なるチャンネルではない。前記高さ及びまたは幅は約2mm又はそれ未満であることが好ましく、1mmまたはそれ未満であることがより好ましい。マイクロチャンネルの長さは1cm以上であることが好ましく、幾つかの実施例では約1〜50cmである。マイクロチャンネルの側部はマイクロチャンネル壁部分により画定され、壁のための材料は使用目的に依存して選択されるが、それらの壁はセラミック、スチールのような鉄ベースの合金、またはモネルのような硬質材料から作製することが好ましい。幾つかの実施例ではマイクロチャンネル壁は耐久性と良好な伝熱性とを有するステンレススチールまたはインコネル(登録商標)から構成される。マイクロチャンネル装置は既知の方法によって作製され得、幾つかの好ましい実施例ではインターリーブドプレート(“shims”としても知られる)を重ね合わせることによって作製され、また幾つかの実施例では、マイクロチャンネル用にデザインしたshimsに熱交換器用にデザインしたshimsを差し込むことにより作製される。
【0023】
幾つかの実施例ではマイクロチャンネル装置はマイクロチャンネル反応器であり、複数のマイクロチャンネル反応チャンネルを含み、これらのマイクロチャンネル反応チャンネルは、隣り合う複数の熱交換器マイクロチャンネルと熱接触していることが好ましい。前記複数のマイクロチャンネル反応チャンネルは、例えば2、10、100、1000またはそれ以上の数のチャンネルを含み得る。好ましい実施例ではマイクロチャンネルは平坦なマイクロチャンネルを、例えば3列に平行配列したものとされる。幾つかの実施例では、多数のマイクロチャンネル入口が共通ヘッダーに連結され及びまたは、多数のマイクロチャンネル出口が共通フッターに連結される。操作中は熱交換マイクロチャンネル(もしあれば)が、流動する加熱用及びまたは冷却用の各流体を収納する。これに限定するものではないが、本発明で使用することのできるこの形式の既知の反応器には、米国特許第6,200,536号や同第6,219,973号に例示される多様なマイクロコンポーネントシートアーキテクチャにおけるもの(例えば、マイクロチャンネルとの積層体)が含まれる。この形式のアーキテクチャを使用する上での性能上の利益には、熱及び物質の各移動速度が比較的高いこと及び、爆発限界が実質的に存在しないことが含まれる。マイクロチャンネル反応器によれば、熱及び物質移動速度が良好であること、温度管理及び滞留時間管理が優れていること、そして副産物が最小化されること、による利益を兼備することができる。圧力降下は小さくなるのでスループットは大きくなる。
【0024】
しかも、マイクロチャンネル反応器を使用する場合は、従来システムと比較して温度管理をずっと良好に行えるので、比較的等温的なプロファイルが維持され得る。単数または複数のプロセスマイクロチャンネルに加え、マイクロチャンネル熱交換器または非マイクロチャンネル熱交換器のような追加的な機能構造部分を設け得るが、マイクロチャンネル熱交換器を設けることが好ましい。熱交換流体が、隣り合う伝熱マイクロチャンネルを通して流動され得る。熱交換流体はガスまたは液体であり得ると共に、蒸気、液体金属、またはその他任意の既知の熱交換器流体であり得、システムは熱交換器内での相変化を有するべく最適化され得る。幾つかの実施例では多重の熱交換器層が多重の反応マイクロチャンネルに差し込まれる(例えば、少なくとも10の熱交換器が少なくとも10のプロセスマイクロチャンネルに差し込まれる)。
【0025】
本発明では特に断りのない限り、流動化されるまたは粒子を担持する流体は、ガス、蒸気、液体、または任意のそれら2つのまたは3つ全ての混合物である。
粒子とはここでは固形物を言い、本発明の最も広い実施例ではその粒寸法は、それら粒子が通過するマイクロチャンネルよりも僅かに小さく、その形状は一般に、顆粒、樹枝状、薄片(板状を含む)及び不整形状の如き任意の形状のものであり得、幾つかの好ましい実施例では粒子は実質的に球状である。
【0026】
本発明では“粒径、流寸法、あるいは粒度”は、“レーザー光散乱法による触媒材料の粒子サイズ分布の標準試験法”と題する米国材料試験協会のD4464−00規格に準拠して特徴付けられた分布のものである。D4464−00規格ではこの試験は粒径30〜300μmの範囲の粒子の試験に限定されるが、0.02〜2000μmの範囲の粒子を測定することも可能である。粒度は、粒度分布を少なくとも10の粒度範囲に細分化した場合に中央値ビンを参照することにより定量化される。この試験法では容積重量直径が用いられる。幾つかの好ましい実施例では粒径分布の中央値は200〜800μmであり、他の幾つかの好ましい実施例では100〜300μmであり、更に他の幾つかの実施例では75〜150μmであり、その他の実施例では25〜75μmであり、また別の幾つかの実施例では10〜30μmである。幾つかの実施例では1000μm以上の粒度は存在せず、幾つかの実施例では100μm以上の粒度は存在しない。
【0027】
品質指標の係数である“Q1”は、一つ以上のマイクロチャンネルの中での流量分布に関するマニホルドの有効性の目安となる。以下の説明ではマイクロチャンネルは“連結用チャンネル”としても参照される。連結用チャンネルにおける最大及び最小の各流量間の差の比が連結用チャンネルの最大流量で除算される。チャンネル寸法が一定の連結用チャンネルシステムでは、チャンネル毎の質量流量を等しくすることがしばしば望ましい。この場合の等式は以下の通りであり、その値はQ1として定義される。
1=(mmax−mmin)/mmax×100%
ここで、mmax[kg/秒]は連結用チャンネルの最大質量流量、mmin[kg/秒]は連結用チャンネルの最小質量流量である。
【0028】
連結用チャンネルの寸法が変化する場合は、単位操作の要求債務を実現し得るよう、チャンネル間の滞留時間、速度あるいは質量流束の変動が最小であることがしばしば望ましい。この場合の等式は以下の通りであり、品質指標係数の値はQ2として定義される。
2=(Gmax−Gmin)/Gmax×100%
ここで、Gは質量流束であり、全ての連結用チャンネルの断面積が同じである場合はQ2のための等式はQ1に簡約される。品質指標係数は連結用チャンネルの流量範囲を表し、0%であれば完全分布を、100%であれば少なくとも一つのチャンネルにおける停滞(流れない)を、そして100%以上であれば少なくとも一つのチャンネルにおける逆流(所望の流れ方向とは逆向きの流れ)を表す。Q1及びQ2は連結用チャンネルを通過する正味の流量が95%であるチャンネルに基づいて定義され、流量が最低となる各連結用チャンネルは、95%の正味の流量をそこに通す必要がない場合はカウントされない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】境界層厚(B)と排除層厚(A)との間の関係を表し、ダウンドラフト(逆混合)セルの潜在形成位置(C)を示す例示図である。
【図2】マイクロチャンネルの壁のオリフィスを通して、粒子水簸を助成する流体ジェットが噴射されるシステムの例示図である。
【図3】粒子を連行し、連行した粒子をマイクロチャンネル列に分与するための装置の断面斜視図である。
【図4a】流動床における流体ジェット助成式のプロセスのための装置の例示図である。
【図4b】図4aの装置のジェットセクションの部分拡大図である。
【図5a】粒子がリサイクルされる装置の断面図である。
【図5b】随意的な、隣接する熱交換層の例示図である。
【図6】マイクロチャンネル列内の流量を等分布させるための、ヘッダー内の通路の例示図である。
【図7】固体粒子を連行するウィック助成プロセスの流れダイヤグラム図及び、液体をウィック内に含み、固体粒子がガス内に連行されるマイクロチャンネル装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
固形物の搬送
固形物の架橋は、スラリーまたは懸濁物質を移送させる場合におけるチャンネル閉塞の重要な原因である。粒子が相互に、またチャンネル壁に対して、粘着性及びまたは結合性(cohesive)を有する場合は架橋が生じる恐れはずっと大きくなる。
工業的には架橋は、パイプ径増大、エアインジェクションによる凝塊破壊、または、送給タンク内における強い攪拌(機械的エネルギーによる固形物破壊)により回避される。例えば、http:/www.magnumsystems.com/caseHist/smootCase004.htmを参照されたい。更には、工業的なスラリー搬送システムは、完全流動化に必要とされるよりも速度が最小限度において上回るように乱流状況下において運転されるが、通常そうした速度では(従来システムにおける大径パイプと組み合わされることで)乱流が生じるのである。
【0031】
その他の重要な要素は臨界速度、つまり、それ以上の速度ではスラリーシステム内に固形物が懸濁される速度である。スラリー配管は通常はスラリーが均質化されるよう臨界速度以上の速度で運転される。臨界速度を算出するための数多くの理論式及び理論的相関があるが、一般的にはOrorskar and Turian式が用いられる。層流は高剪断力を有するものの、従来のスラリー配管では臨界速度を越せないので通常は層流運転は行われない。マイクロチャンネルシステムは以下に説明する特徴の一つ以上を有することで、凝塊化を防止するデザインとすることができる。
1.粒子の付着を妨げるコーティングを有する壁。この場合、表面効果(粒子及び壁における表面電荷や、壁を越える流れによって創出される電荷のような)が、マイクロチャンネル内を流れる粒子の凝塊挙動上大きな役割を果たし得る。コーティングには、テフロン(登録商標)コーティング、高分子の、金属の、金属酸化物の、疎水性の、親水性の各コーティングと、それらの組み合わせとが含まれ得る。
2.凝塊粒子を破壊する流体ジェット。マイクロジェットはもっと大型のシステムにおける大きな空気孔におけるよりもずっと大きな剪断力を提供することができる。マイクロジェットによってマイクロチャンネルに付与される大きな剪断力により凝塊粒子は、そうでない場合に可能であったよりも一段と小さく破壊され得る。
【0032】
更には、マイクロチャンネル固形物プロセス処理システムを低流量、恐らくは層流量でさえも運転して、ポンピング要件を低減させることが望ましい場合があり得る。マイクロチャンネルシステムは本来直径が小さいので、層流状況の間でさえも速度を臨界速度以上とし且つ均質な流れを維持するのが容易である。更には、層流に伴う高い壁剪断力もまた、乱流における以上に凝塊粒子破壊をずっと容易化し得る。層流(速度プロファイルが放物線状の)の剪断力は乱流(速度プロファイルがほぼフラットな)のそれよりもずっと高いことが観察された。こうした高い剪断力は層流の放物線状の速度プロファイルに関連する速度勾配が大きいことによるものである。
Fs=μdV/dr
ここで、Fsは剪断力であり、μは速度、dV/drは速度勾配である。
【0033】
流体制御要素(離散化形態での)における速度u方向の剪断力は、Fx=mu×du/dyから求められる。ここで、muは速度であり、du/dyは流れ方向に対して垂直な流体流れの速度勾配である。しかしながら、流体のある位置(制御要素に代表される)での速度が一般に3つの成分を有する如く、剪断力もまた3つの成分を有している。表面に近い及び表面位置でのチャンネル流れの場合、一般に一次元想定が可能であり、Fx値は流体及び壁のインターフェースの要素表面位置での正味の剪断力に近似し得る。前記式では壁yまでの距離の関数としての速度場uが既知である必要がある。仮に温度場が非一様である場合、一般に、運動量及び質量変換方程式と、そして結局はエネルギー方程式さえも解く必要がある。全ての輸送方程式を同時に解くことにより表面剪断力が算出され得るよう、市販のソフトウェアパッケージ、例えばFluent(登録商標)あるいはFEMLAB(登録商標)のようなものを含む計算流体動力学が使用される。チャンネル長さに沿った、流れ方向と平行な方向での表面剪断力が更に算出される。平行な各チャンネル内への質量流束を決定するために流れ分与効果が含まれる場合、それら平行な各マイクロチャンネル間の剪断力を、チャンネル及びマニホルドの詳細な幾何形態の関数として求める必要もある。より厳密な式及び計算方法は、WeinHeimのJohn Wiley & Son,社の1998年のB.R.Munson,D.F.Young 及びT.H. Okiishiによる“Fundamentals of Fluid Mechanics, 3rd Ed.”の様なテキストに記載される。
参照文献:ワシントン州RichlandのPacific Northwest National LaboratoryのA.Shekarriz他による1997年の“Cross Site Transfer System at Hanford; Long-Term Strategy for Waste Acceptance”PNNL-11497。
【0034】
流動床マイクロチャンネルの利益−逆混合及び停滞領域を回避するためのデザイン及び操作:
設計上、高速流動システムあるいは空気輸送システムで行われるように固形物を能動輸送することが意図される流動床システムの場合、ダウンドラフトゾーンとしても知られる再循環セルが発生するとプラグフロー状況での操作は大幅に制限される。従来システムでは(断面領域の形状を問わず)これらの再循環セルは、境界層と流れとの間に分離が生じた場合にチャンネル内で局所的に形成される。再循環ゾーンの形成は多くの場合、例えば流体の触媒分解では、粒子ホールドアップを増大させ、結局は炭化水素の過剰分解を招くことから望ましくない。Wei他は、Chemical Enginnering Science v56第613−620頁(2001)の“A Pilot Plant Study and 2-D Dispersion-Reactor Model for a High-Density Riser Reactor”と題する論文において、流動化システムから逆混合を排除することでアクリロニトリルプロセスの収率が約72%から84%に上昇したことを報告している。
【0035】
適切に設計された流動床用途において運転されるマイクロチャンネル装置には、ダウンドラフト領域の発生と、それに伴うプロセスチャンネル壁に沿った粒子懸濁物の再循環とが回避され得る利益がある。この利益は、チャンネルの全体寸法形状に関する境界層厚さと関係がある。
大抵のマイクロチャンネル用途では境界層は、流れ中の、粘性効果の高い壁または胴部の表面に隣り合う薄い流体層であるが、粘性効果はチャンネル中央部の塊状流れと、滑り状況のない壁表面(つまり壁位置では流れは本来停滞している)との間の大きな速度勾配によって生じる。この粘性の副層内、つまり境界層内では表面流速は極めて低速であり得、また関連する流体力学的な力も懸濁粒子を重力に抗して維持するには小さ過ぎることから、チャンネル壁に沿った流動床には再循環ダウンドラフトが発生する。ダウンドラフト現象はプロセス全体に悪影響を及ぼす恐れがあり、幾つかのマイクロチャンネル用途においては完全に回避され得るが、そのためには境界層を注意深く調べる必要がある。
【0036】
一般に用いられる境界層の測定基準はδで表される境界層厚である。境界層厚は、ここではマイクロチャンネル壁である粒子境界からの、局所的な速度値が自由流れ値または外側流れ値の基本的には0.99に達する距離として定義される。δと関連し且つダウンドラフト問題を理解する上でより関連性の有る別の境界層厚の測定基準は、排除厚δ*(図1参照)である。排除厚は、流れ場から実際の境界層と同一の質量流れを排除する停滞層により、乱れのない外側流れが境界(マイクロチャンネル壁)から排除される距離として定義される。あるいは停滞厚は、実際の境界層と同一の質量流れ欠陥を有するゼロ速度層と考えることもできる。従って、排除厚は、自由流れ部分と壁またはチャンネル境界との間の、潜在的なダウンドラフト領域が存在する分離帯域を画定する領域のことになる。仮に、マイクロチャンネルの対向する各壁の排除厚を合体させる(merger)ことによりこの分離帯域を除去することができれば、流れ領域全体が排除厚によって包囲され得ることから、排除厚が合体する位置より上方でのダウンドラフト現象を排除することが可能となる。
【0037】
ダウンドラフト現象は、マイクロチャンネル内に初期において流入する流体の各層流(stream lines)が、排除厚における層流のそれよりも大きいほぼ同じ流量(塊状流量値での)を有し且つ相互に平行であることを考えれば理解できる。流入する各層流は、排除厚の流れと接触すると偏倚され得、そうした偏倚流れが、図1に示されるようなダウンドラフトセルを発生させ得る。各マイクロチャンネル内の、各壁の排除厚が合致する位置(ランナップ長さ)を過ぎると全ての層流は再平行化され、ダウンドラフトセルは発生しなくなる。
δ及びδ*を数式で表すと以下の通りである。
δ=5.48x/√RN
そして、
δ*=1.72x/√RN
ここで、x=マイクロチャンネルの入口(前縁部)からの距離(図1参照)であり、RN=Ux/vであり、U=マイクロチャンネル内の流体の表面速度、v=流体の粘性係数である。
【0038】
かくして、これらの両境界層測定基準は初期では√xと共に厚さが増大し、チャンネル入口から測定した軸方向xが同じであれば、排除厚は境界層厚のほぼ1/3となる。
代表的にはマイクロチャンネルの寸法形状は、境界層によってチャンネルの全段面が完全に占有されない十分な大きさを有するが、排除厚がマイクロチャンネル壁間の最小距離(H)の1/2を越え、かくして自由層流と境界層との間の関連する停滞/分離帯域が完全に除去されるには十分小さいものである。マイクロチャンネル壁間の最小距離(H)、または臨界寸法形状はチャンネル“間隙”とも称される。
【0039】
上述した事項は、チャンネルが排除厚により完全に占有され、それよりも下流側の軸方向距離部分にはダウンドラフトが存在しないことを判定するためのマイクロチャンネル流動床構成のための設計基準として使用され得る。δ*のための上記式においてx=xHとすれば、チャンネルの各対向壁からの排除厚δ*が合体(即ち、δ*=H/2)するので、それ以降ダウンドラフト帯域の影響がもはや無い部分の、マイクロチャンネル入口からの距離が求められることになる。
つまり、
xH=0.338(H/2)2(U/V)
である。
【0040】
上記式で変数xHはランナップ長さとしても知られるものである。ランナップ長さは、各排除厚が合致するところのチャンネル入口からの長さである。上記式は矩形開口に対して適用し得、また、円形断面のランナップ長さを評価するためのその他の幾何学的形状のためにも使用することができる。断面が円形の場合、間隙(H)寸法は円形断面のチャンネル径で置換させ得る。幾つかの好ましい実施例では速度は、ランナップ長さが全マイクロチャンネル長さの5%未満、他の実施例では20%未満、また別の実施例では50%未満、更に他の実施例では100%未満であるように制御される。様々の実施例において各条件は、例えば、毎分当たりのマイクロチャンネルガス流量(温度及び圧力と、標準条件での温度及び圧力に基づく、容積流量ではなくモル流量との入り口条件に基づく実際の容積流量)が100リットル未満で、間隙が、アスペクト比1:1〜50:1において0.25〜10mm;毎分当たりのマイクロチャンネルガス流量が50リットルで、間隙が、アスペクト比1:1〜50:1において0.25〜10mm;毎分当たりのマイクロチャンネルガス流量が10リットルで、間隙が、アスペクト比1:1〜50:1において0.25〜10mm;毎分当たりのマイクロチャンネルガス流量が1リットルで、間隙が、アスペクト比1:1〜50:1において0.25〜10mm;または、毎分当たりのマイクロチャンネルガス流量が0.25リットルで、間隙が、アスペクト比4:1〜10:1において2〜10mmである如く制御され得る。
【0041】
選択的水簸
本発明の幾つかの実施例において、流動化媒体の速度を変化させることにより粒子の混合物から特定の寸法形状あるいは密度の粒子を選択的に分離(水簸)させるためにマイクロチャンネルアーキテクチャが用いられる。ある実施例では、軽いあるいは小さい粒子を除去し、特定密度あるいは寸法よりも大きい、または等しい大きさの固形物を保持することが望ましく、他の実施例では特定の密度あるいは寸法未満の、または等しい軽量あるいは小さい粒子を除去し、それらが引き続くプロセス処理段階で収集され得るようにすることが望ましい。粒子形状は、分離の確定(determinate)としても使用され得る。また別の実施例では、噴霧ポイントに達した粒子が確実に搬出(所望により、排出、再循環、または収集)されるよう、より多くの流動化用媒体をチャンネル内に噴射する噴霧ポイントあるいはステージングポイントをチャンネル内に配置して流動化用媒体の速度を増大させることで粒子捕捉が増強され得る。
【0042】
図2に示される1実施例では、壁202、204は、マイクロチャンネルの断面積が上流側に行く程増大するような形態とされ、これにより、速度が低下され且つ流体粘度が低減されるので、粒子206はずっと容易に落下するようになる。図の平面よりも上方及び下方のチャンネル壁(図示せず)は流れを拘束する。マイクロチャンネル壁の少なくとも一つにおけるオリフィス208が、圧力ガス源からの流入流れ210を許容する。幾つかの好ましい実施例では、高圧ガスは、隣り合うマイクロチャンネルから噴射されるガス流れである。このガス流れはより多くの(あるいはそうでなければ一層容易に)粒子を押し流してマイクロチャンネル外に運び出す。
【0043】
粒子を含むマイクロチャンネル内に流れを分与するためのマニホルディング
ヘッダからマイクロチャンネル列に、及びまたはマイクロチャンネル列からフッターに入る流れはマニホルディング構造を介して制御することができる。マイクロチャンネル装置内でマニホルディングを実施するための、流れ制御用の構造及び方法を含む装置の一つの実施例には、2003年10月27日付で出願された米国特許出願番号第10/695,400号が含まれる。本発明には、ここで説明する任意の構造あるいは方法が、ここで説明する如く粒子を含有する流れを伴うという追加的要件とともに含まれるものとする。
本発明において、マニホルドからの流れを複数のマイクロチャンネルに分与する特徴(例えば先に説明した米国出願番号に記載されるような)は、これらの特徴が、流れがマニホルドを通して障害を受けず且つ改質されない様式下に各マイクロチャンネルに送られるような単一ヘッダの場合と比較して、流れを改質するものであることから、“流れ改質用マニホルド連結部”と称される。代表的なケースでは、流れはマニホルドに入り、障害を受けること無くマイクロチャンネル列内に入るが、問題は、その運動量によって、マニホルド入口から最も遠いマイクロチャンネル内に不相応に多い流れ部分が流入することである。流れ改質用マニホルド連結部の形式の一つはレーストラック(図6参照)である。レーストラックは、運動量効果による流れの偏在を低減させるための返し部から十分上流の位置でヘッダ内の流れを分割する、ヘッダ内に配置した壁である。流れ改質用マニホルド連結部の別形式のものは、流れを所望の様式において制御するための流れの障害となる突起である。
【0044】
幾つかの好ましい実施例では、少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも5つの、また幾つかの実施例では少なくとも10あるいは少なくとも100の、また更に他の実施例では5〜500である連結用チャンネルが単一のマニホルドによって提供される。好ましい実施例の多くでは流れは、多数の連結用チャンネルを係数Q(“用語の説明”に説明有り。また別態様ではQ1あるいはQ2を含む)が30%あるいはそれ未満、より好ましくは20%またはそれ未満、また幾つかの実施例では0.1%〜15%である状態下に等配分されるよう制御される。
一実施例(図3参照)では、装置のマイクロチャンネル部分は風箱(D)及び連行セクション302の上に直接配置され得る。風箱は、流動化用媒体が連行セクションまたはプロセスマイクロチャンネル内に分与される前に持ち来たされるところの開放容積部分であり、空であるか、または流体分与を助成するための特徴構造部分(例えば図6のレーストラック)を含み得る。風箱と連行セクションとの間には分与プレート304を随意的に配置し得る。好ましい実施例では分与プレートは、粒子連行を助成するためのジェットを創出するための流体流れ用のマイクロチャンネルを有する。好ましい実施例では分与プレートは、連行セクションの長さ部分に渡る流れを均等化する傾向を有する流れ改質用マニホルド連結部である。ここで、“均等化する傾向”とは、流れをマイクロチャンネルに完全に均等に分与することを意味するものではなく、流れを均等化する傾向の設計上の特徴構造がない場合のそれよりも均等化されることを意味するものとする。あるいは、または追加的には、流れ改質用マニホルド連結部は連行セクション内に配置し得、及びまたは、連行セクションとプロセスマイクロチャンネル(C)との間の境界位置に配置し得る。
【0045】
連行セクション302は、粒子が流動化用媒体と接触する帯域であり、幾つかの好まし実施例ではこの帯域は固形物画分が0.05、幾つかの実施例では0.25、また別の幾つかの実施例では0.7であるように維持される。幾つかの実施例では、固形物画分は少なくとも0.01であり、幾つかの実施例では少なくとも0.05である。流動化用媒体(E)の流れは風箱(D)に持ち来され、次いで連行セクション(C)に分与され得る。これらの各構成部分は、相互取り付けされた、または設計上一体化された部分であり得る。例示した実施例のものはフッターが最上部に配置される設計となっている。分与は、従来の、またはマイクロチャンネルベースの分与プレートを使用して実施し得る。マイクロチャンネルベースの分与プレートは、分与表面を一様に横断する流動化用媒体分与流れを生じさせる傾向のある、複数の平行なマイクロチャンネルまたはマイクロチャンネル組体であり得、また他の実施例では非一様な分与を発生させるためのものであり得る。好ましい実施例では、風箱(D)と連行セクション(C)との間のインターフェース部分には、マイクロチャンネル組体内の流れを均等化する傾向を有する構造(例えば前記参照特許に記載されるような)を含み得る。
【0046】
ユニットとして組み立てた場合、風箱(D)は重力に関する“底部”位置に配置することが好ましい。粒子は導管(H)を介して連行セクションに戻り、流動化溶媒体内に連行され、引き続き、マイクロチャンネル(G)内に搬送される。粒子を含有する流体流れはマイクロチャンネルを出た後、ヘッダ(A)に入る。ヘッダは、合流流れの速度が粒子をヘッダから運び出して引き続く分離段階に送るように設計することができるが、そうした設計は、ヘッダの断面を低減させる、または、掃流を用いて粒子の除去を助成させるようにすることにより成し得る。幾つかの好ましい実施例では、連行セクションは固形物画分が0.02未満、幾つかの実施例では0.05未満、幾つかの実施例では0.05〜0.70である状態下に維持される。
【0047】
マイクロチャンネルベースの分与プレートは、粒子の懸濁及びプロセスマイクロチャンネル内への搬送を助成する流れパターンを連行セクション内に創出する。
幾つかの実施例では、マイクロチャンネルベースの分与プレートにおける各チャンネルは所望サイズの流体気泡を発生させる。好ましい実施例では各粒子は外部ループを介してフッターから連行容器に戻され、各粒子の運動は流体化用媒体の流れによって助長される。粒子は連行セクションに入ると、分与プレートを出る流動化用媒体により懸濁され、プロセスマイクロチャンネル内に搬入される。
プロセスマイクロチャンネルに入った固形浮遊物は外部熱交換器(J)により温度制御され得、または図示されない差し込み形の熱交換器チャンネル内を流動する熱交換流体により、その温度がターゲット反応温度に急上昇される。触媒反応の好ましい実施例では、所望の反応が生じ、触媒粒子の固形浮遊物がプロセスマイクロチャンネルから排出される。所望であれば、懸濁物がプロセスマイクロチャンネルを離れる前に熱消滅を提供して反応を停止させるために、または異なる温度下に追加的な反応を実施するために多重温度帯域法を使用しても良い。あるいは、マイクロチャンネルの流れ長さに沿った温度勾配が所定の温度帯域内に維持され得る。本発明では加温または除熱が組み込まれることで、マイクロチャンネルにおける厳密な温度管理が可能になる上での利益と、関連する選択性及び変換に対する制御上の利益とが得られる。マイクロチャンネル内の任意の位置、恐らくは温度帯域間に追加的な反応体を配置することもできる。製品及びまたは固形物はマイクロチャンネル内の、同じマイクロチャンネルハードウェア内のその他のユニット操作の下流側の任意の位置で分離もされ得る。固形浮遊物は最終的にフッターに入るが、フッターに入った固形浮遊物は流動化用媒体によって固形物/ガス分離器に搬送され得る。必要であれば、補助的な掃流、好ましくは、固形物/ガス分離器(図示せず)からの製品のスリップストリームとして取り出される掃流を、粒子の連行を確実に維持させるために使用することができる。
【0048】
マイクロチャンネル流動床のためのジェット支援方法
マイクロチャンネル装置内の循環床を運転するための別のモードは、連行容器を、粒子流動状況、気泡発生流動状況、スラグ形成流動状況、または乱流流動状況の一つに維持することである。これらの流動状況は1986年のGrace,J.R.,の“Contacting Modes and Behaviour Classification of Gas-Solid and other Two-Phase Suspensions”、Can. J. Chem.Eng.,v64の第353−363頁を参照されたい。幾つかの好ましい実施例では乱流状況に拡張させた床が使用される。幾つかの実施例では床は流動状況下において、その一部分がマイクロチャンネル内に伸延するまで拡張され得る。拡張床402は、分与プレート404(図4a)を介して形成された流体ジェットにより形成され得る。次いで、追加の流動化用媒体406が、単数あるいは複数のプロセスチャンネルに隣り合う差し込み型の熱交換チャンネル(図示せず)から、そのジェット(オリフィス)位置でプロセスチャンネル内に導入され得る。ジェットは任意のチャンネル壁の開口であり、この開口により、一つのチャンネルを出た流体(浮遊固形物及びまたは流体混合物を含有し得る)が別のチャンネルに流入し得るようになる。これにより、プロセスマイクロチャンネルにおける流体速度が増大する効果が生じ得る。軽い粒子は拡張床から遠方に運ばれてプロセスマイクロチャンネルの上方部分407(及び随意的には固形物分離器410に)入る。
【0049】
ジェットは簡単な幾何学的形態、例えば矩形、円形または三角形、あるいは、例えばインク染みのような不整形状のものであり得る。幾つかの実施例におけるオリフィスあるいはジェットの断面積に対するチャンネルの断面積の比は、250未満、幾つかの実施例では100:1、幾つかの好ましい実施例では70:1であり且つ1:1よりも大きい。オリフィスのこうした寸法比は、本発明の様々な様相の任意のものに適応することが可能である。幾つかの実施例では、ジェットを介してプロセスマイクロチャンネルに入る流体は、所望される化学反応または化学プロセスを実施する上で必要とされる第2または第3の種類のものであり得、かくして、連行セクションでの反応が回避され得る。幾つかの実施例では、所望される化学反応または化学プロセスを実施する上で必要とされる第2または第3の種類の流体は追加のジェットを介して、チャンネルのためのランナップ長さの上側に導入され、それにより逆混合効果が一層低減される。プロセスマイクロチャンネルを通過した懸濁物はヘッダ412に入る。所望であれば、プロセスマイクロチャンネル内の温度は、プロセスマイクロチャンネルに隣り合う図示されない単数あるいは複数のチャンネル内を流れる交換流体416により制御され得る。ヘッダ内のガス速度は、流れのための断面積(番号414参照)を減少させることにより増大させ得、かくして、懸濁物の維持を助成させ得る。次いで、懸濁物は装置を離れ、固形物はサイクロンのような装置内で層流から分離される。次いで粒状物は、振動または幾つかの組み合わせ方法を介しての、静水力学的な力(重力誘起流れ)、流動化用媒体の掃流の何れかにより連行帯域に戻される。幾つかの好ましい実施例では、マイクロチャンネル内の固形物画分は0.05未満、幾つかの実施例では0.10未満、更に他の実施例では0.005〜0.25の容積%であり得る。あるいは、仮にマイクロチャンネルの流れの断面積が、マイクロチャンネルの上流の気泡床のそれよりも小さければ同様の効果を達成することができる。
【0050】
内部再循環を伴う循環型マイクロチャンネル流動床
図5には循環床の一例が示される。この場合、粒子はプロセスマイクロチャンネル502内に移送されるが、懸濁物をガス/固形物分離のために装置から流出させるのに代えて、ヘッダが、流体速度を低減させて固体粒子を脱離させ、マイクロチャンネル506を経て連行帯域508に戻すように構成されている。流体を含む幾つかの製品はこの経路を介して連行帯域に戻ることができる。固体粒子の脱離は完全または完全ではなく、その幾分かは、プロセス流体を含有する製品と共に残る。プロセス流体は代表的にはプロダクトガスであり、流体出口504を通して排出される。マイクロチャンネルの平面における隔壁510が、プロセスマイクロチャンネルとリターンマイクロチャンネルとを隔てる。随意的には、戻り側及びまたはフッターセクション内のオリフィス512を介して第2流体が追加され得る。第2流体は反応停止流体、掃流用流体、または追加の反応物質(これら機能の2つ以上を実施し得る)であり得る。第2流体は図示されない隣り合うチャンネルから追加され得、また随意的には熱交換のためのチャンネル514を設け得る。幾つかの実施例では、プロセス処理側の温度制御用に第1回路516を設け、リターン側の温度制御用に第2回路518を設け得る。このモードでの運転によれば、反応物質混合体から触媒が急速に除去されるため、反応停止が迅速化される。
【0051】
マイクロチャンネルシステムにおける微粉末の合成
ナノ粒子から、マイクロチャンネルの水力直径の約40%までの粒子を含む微粉末の形成または合成が、マイクロチャンネルにおける構成によって可能となる。合成法には、組み合わせ合成、核形成及び成長、結晶生成、の組み合わせが含まれる。
粒子寸法と、粒子寸法の分布との制御は局部的な反応条件を制御することを介して可能であり、そうした条件には、温度、圧力、軸方向の分散または逆混合の度合いが小さいこと、が含まれる。マイクロチャンネル内の流れが、マイクロチャンネル壁と共に高い剪断力を創出し得るのでずっと小さい粒子の合成が可能となる。マイクロチャンネル内での滞留時間は短い方が(500ミリ秒未満)好ましく、100ミリ秒未満であることが尚好ましい。液体キャリヤのために好ましい接触時間は、500秒まで、またはそれ未満を含む1000倍長さであり得る。毎秒10℃未満、好ましくは100℃未満の早さでの急速な熱消失が、小さく、均等サイズの微粒子の形成を助成する。熱消失が素早く行われることで、粒子相互の凝塊化も抑制され得る。
ナノ粒子の例には、中でも、合金を含むチタニア、シリカ、アルミナ、カーボン、が含まれる。微粒子は、触媒支持体(均質な、または不均質な)、吸着材その他の微粒子用途で使用され得る。
高剪断力環境を使用することで、粒子のモルフォロジーの制御が可能となる。粒子は、マイクロチャンネル合成反応器における流れ特性と、対応する剪断力環境とに基づき、より完全な球形または細長形状とすることができる。高剪断環境では、粒子が流れ方向に直交する方向に成長し続けるのが防止され得る。一例としてエマルジョン形成の場合を挙げると、壁による高い表面剪断力がエマルジョン液滴を穴開き表面から一掃し、かくしてそれらが同じ相のままで直径を増大させて成長し続けるのが防止される(米国特許出願番号第10/440,056号参照)。高剪断力環境では、粒子同士が凝塊して大型化し、かくしてずっと望ましからざる粒子を形成することも抑制される。
【0052】
ウィック:
固形物とガスとの間の密度差が代表的には大きいことから、平行状態のマイクロチャンネル通路内に粒子とガスとの混合物を一様に分与するには問題があり得る。液体に連行された粒子から成るスラリーを平行なマイクロチャンネル通路に一様に分与するのはそれ程問題ではない。本発明には、この原理を利用した、固形物およびガスの混合物をマイクロチャンネルに分与するための幾つかの新規なオプションが含まれる。一実施例では、任意の標準的な混合装置内で液体を固形粒状物と混ぜ合わせることにより、先ずスラリーが形成される。次いで、形成したスラリーをマイクロチャンネル装置に導入し、幾つかのマイクロチャンネル通路に振り分ける。次いで、夫々のマイクロチャンネルにガスが導入及び分与(例えばマイクロチャンネル壁のオリフィスを介して)され、同じマイクロチャンネルの中で液体及び固形粒状物のスラリーと混合される。最後に、混合物をウィック材料(及びウィック構造)に通すことにより、混合物が下流側に流動する間に液体を混合物から分離させる。マイクロチャンネルで使用するために好適なウィック構造に関しては、例えば、米国特許第6,666,909号及び米国特許出願番号第011,386号及び同第384,179号を参照されたい。ウィック材料の開口は、粒子がウィックチャンネルを通過できずにガス流れ中に残るように設計されるべきである。
【0053】
液体およびガスの混合物を平行なマイクロチャンネル通路に一様に分与するための新規なオプションの他の一つは、前記スラリーがウィック内のを流動し得る(ウィックがマイクログルーブ列であり、粒子直径がマイクログルーブ径の1/4以下、好ましくは1/10以下である場合)ように粒子とウィック構造とを寸法付けすることである。次いで、前記スラリーはウィックベースの経路を経て、各マイクロチャンネル内に、または各マイクロチャンネルの単数あるいは複数の壁のウィック材料内に分与される。スラリーがマイクロチャンネルのウィック材料中に分与されると、温度を上昇させるか圧力を低下させるかすると液体が蒸発されてマイクロチャンネル内に入り込み、かくしてスラリーは蒸気と粒子との混合物となる。幾つかの好ましい実施例では、液体が蒸発される以前にウィック材料を収納するマイクロチャンネル内に導入され、粒子は液体が蒸発するに際してこのガス流れ中に連行される。
【0054】
粒子は関連する様式下にマイクロチャンネルから除去され得る。流動するガス/粒子混合物を収納するマイクロチャンネルの単数あるいは複数の壁に、液体を充填したウィックが形成される。マイクロチャンネルの水力直径が小さいことから、静電帯電を用いることなく気相から粒子が素早く捕捉され、次いでウィックを満たす液相中に移動され得る。次いで、液体/固形物のスラリーが各マイクロチャンネルから収集され、共通フッターまたはフッターのシステム中に移動され得る。そうしたシステムを使用することで、固形物が、フッター内にガス流れを収集する以前に気相から除去されるので、チャンネル毎の粒子及びガス分布の一様性の改善が助成され得る。
【0055】
粒子の凝塊
高剪断力環境は、懸濁される小さい粒子の寸法及び凝塊形態に影響を与え得る。この点は、例えばパルプ及び紙、採鉱、廃水処理技術においては重要である。幾つかの実施例では剪断力増大環境下における安定した懸濁を維持するために、低レベルの凝塊剤が必要とされる。この点は、ポリマーを含む、分子重量の大きい物質のために特に言えることである。
触媒反応
メタノール合成及びFischer-Tropsch合成に関する以下の議論は例示を目的としたものであり、これら何れのプロセスだけでなく、上述した各プロセスの何れも実施されてはいないが、全てのプロセスは有効裡に運転されるものと考えられる。
【0056】
メタノール製造のための熱循環マイクロチャンネル式の流動床
メタノールを商業的に製造するために最も一般的に用いられる反応器は熱消失反応器(Adiabatic Quench Reactor)である。こうした反応器は一般に、225〜275℃の範囲の温度下の触媒床と共に運転され、メタノール含有量が4モルパーセントである反応器排出物を生じる。反応器圧力は50〜80atmの範囲であり、一酸化炭素(CO)のプロセス変換量全体を高めるために、代表的には6:1の再循環比が使用される。生産能力は1300kgCH3OH/kgcat-dの範囲である。反応は真発熱性(net-exothermic)であり且つ平衡支配性(equilibrium limited)の強いものである。圧縮は、メタノール合成トレーンの運転コストの主要部分を成すものである。
【0057】
本発明の方法を用いることにより、マイクロチャンネル反応器内でメタノールを等温製造することが可能となる。例えば、本来、H2、CO、CO2からなる反応ガス組成を用い得るが、反応ガス組成は水素含有量が50〜80(より好ましくは60〜70)モルパーセント、CO及びCO2の含有量が15〜30(より好ましくは20〜30)モルパーセントであることが好ましい。反応ガスは、触媒粒子をマイクロチャンネル内に、または平行な一組のマイクロチャンネル内に搬送する。ガス流れの接触時間は好ましくは500ミリ秒未満、より好ましくは100ミリ秒未満、幾つかの実施例では0.1〜50ミリ秒である。幾つかの実施例では触媒粒子は250ミクロン未満の粒径において分与されるが、より好ましくは1ミクロン以上、または好ましくは120ミクロン未満で且つ20ミクロン以上、あるいは更に好ましくは、90ミクロン未満で且つ40ミクロン以上において分与される(これらの範囲は粒子の95%に対して参照されるものであり、5%はこれらの範囲外のものであり得る)。好ましい実施例では、粒子はガウス分布を有し、他の実施例では対数正規分布を、また他の実施例ではワイブル分布を有する。好ましい実施例では触媒はCu/Zn酸化物形式のものである。幾つかの実施例では単数あるいは複数のマイクロチャンネルを通過する固形物の合計画分は少なくとも300kg/m2であり、幾つかの実施例では少なくとも20kg/m2であり、幾つかの実施例では少なくとも0.5kg/m2であり、幾つかの実施例では少なくとも0.5〜5kg/m2である。
【0058】
マイクロチャンネルは任意の所望の寸法セットにおいて設計され得、例えば、高さが0.05〜10mm(より好ましくは1〜3mm)、幅が5〜1000mm(より好ましくは12〜100mm)、長さが2〜500cm(より好ましくは15〜120cm)である。好ましい実施例ではプロセスの温度は25〜1000℃、好ましくは250〜750℃である。反応温度は熱交換または熱的な操作(熱交換を破除することによる)により、一定温度または可変温度に制御することができる。マイクロチャンネル装置では、熱は、例えば、斯界に知られる如き、反応マイクロチャンネルに隣り合う熱交換チャンネルにより注意深く制御され得る。そうした熱交換チャンネルは、一組の、少なくとも3つの反応マイクロチャンネル層(好ましくはマイクロチャンネル熱交換器)を、一組の、少なくとも3つの熱交換器層に差し挟んだ構成を有する。好ましい実施例では、反応物質の流れは、ガスと触媒粒子とが共に、重力に関して下降するように方向付けされる。
固定床が排除されることによりサイクル上の圧力降下合計値が低減され、かくして、合成トレーンの資本及び運転コストが低減される。マイクロチャンネル反応器から粒子分離器に、そして凝縮器にかけてのリサイクルに際しての圧力低下は7psig(ゲージ圧での約48265Pa)である。本発明の方法ではマイクロチャンネルを出るガスは、平衡状況下での予測値の90%であるメタノール含有量を有すると考えられる。
【0059】
CO及び水素の混合物からパラフィンを製造するためのFischer-Tropsch反応
Fischer-Tropsch反応を介し、コバルトまたは鉄ベースの触媒を通過させた場合に、COと水素との混合物からパラフィンを製造することが可能である。所望の製品状態に対する選択性は、反応温度環境のみならず、触媒粒子内部の拡散上の制約によって決定される。商業システムの運転温度は一般に、210〜250℃の範囲である。初期のFischer-Tropsch合成システムはコバルト触媒を収納する、管冷却式の固定商反応器として運転された。再審の商業的製造は3相SASOLスラリー床技法をベースとするものであり、径50ミクロンの鉄触媒がパラフィン製品中に懸濁され、ゲージ圧での〜1.89613EPaの圧力(〜275psig)下の混合物を通して合成ガスがろ過される。接触時間はおよそ10秒であり、CO変換率は87%である。毎時当たりの触媒製造能力は、触媒1kg毎に炭化水素が0.2kgである。
Fischer-Tropsch反応は、交叉流れ構造を備える交叉流れマイクロチャンネル反応器、即ち、2つの流れが、交互する平面内で相互に直交して流動する反応器において実施し得る。プロセス流れは重力に抗して上昇することが好ましい。冷却剤流れが別の平面内を流動される。幾つかの実施例では冷却側の作用流体が水であり、冷却は沸騰伝熱を介して実施される。
【0060】
触媒は、噴霧乾燥カオリン及び添加物のような好適な流動性の支持体に配置したコバルトベースの触媒であることが好ましい。流動性の支持体は、流動性を容易化するための低スケール密度を有し且つ炭化水素を保持するために好適な触媒多孔質構造(所望程度へのチェーン成長促進のための)を有するように調整することが可能である。プロセス流れは、モル比で1.65:1である水素及びCOの混合物である。プロセスマイクロチャンネルへの入口での圧力は35atmである。冷却側は、225℃の一様な温度が維持されるように運転される。こうした条件下におけるCOの変換率は、接触時間が25ミリ秒で、マイクロチャンネルの解法領域を通しての固形物画分が0.12kg/m2−sである場合、少なくとも70%となる。幾つかの実施例では、送給物における水素対COの比は1:1以上であり、他の実施例では1.5:1以上であり、更に他の実施例では2:1以上であり、また別の実施例では1.8:1〜2.2:1の範囲である。
【0061】
幾つかの好ましい実施例では流体及びまたは連行混合物の、マイクロチャンネル、マイクロチャンネル列、あるいは装置全体を通しての接触時間は1000ミリ秒未満、他の実施例では500ミリ秒未満、更に他の実施例では300ミリ秒未満、別の実施例では20〜250ミリ秒の範囲である。幾つかの好ましい実施例では、平均粒子寸法は500μm未満、他の実施例では250μm未満、別の実施例では100μm未満、そして幾つかの実施例では20〜200μmの範囲である。幾つかの実施例では、入口圧力は200atm未満、他の実施例では50atm未満、また別の実施例では25atm未満、そして幾つかの実施例では20〜50atmの範囲である。幾つかの好ましい実施例では、毎時当たりの触媒製造能力は、触媒1kg毎に炭化水素が1000kg以上、他の実施例では同100kg以上、更に他の実施例では同10kg以上、そして更に他の実施例では同2〜20kgの範囲である。幾つかの実施例では炭素数4以上の炭化水素に対するCO選択性は50%以上、他の実施例では同75%以上、他の実施例では同95%以上、阻止多々の実施例では同88〜98%の範囲である。幾つかの好ましい実施例では、メタンに対するCO選択性は2%未満、他の実施例では同4%未満、他の実施例では同6%未満、そして他の幾つかの実施例では同5〜10%の範囲である。
【実施例】
【0062】
マイクロチャンネルを通しての固形粒状物流れを含む試験をマイクロチャンネル試験装置を使用して行った。本試験において、空気流れにより搬送される粒子が径0.31mmの孔(長さは1.7mm)を通過された。直交するマイクロチャンネル内に開放するオリフィスは長さ1.00mm、高さ2.4mm、幅2.5mmであった。このオリフィスが、マイクロチャンネルの幅及び長さの中心に位置決めされ、かくして流れにより搬送される粒子は1.00mmの高さを超えてマイクロチャンネルの反対側の壁に衝突した後、マイクロチャンネルの長さ部分に沿って搬出された。試験装置はインコネル625から構成されたものであった。
【0063】
試験は、圧縮空気流れ中に粒子が連行される流れを用いて、同じ構成の3台の試験装置において実施された。粒子の一部分は埃の多い環境での自動車試験が必要とされる場合に自動車会社が標準ダストとして使用するアリゾナロードテストダスト(以下、試験ダスト)を入手した。このダストが漉し分けされ、本実験のために購入及び使用した試験ダスト寸法は、その99%において0〜10ミクロンのものであった。容積ベースでの粒子寸法分布を判定するためにレーザー光散乱法が使用され、粒子の密度は一定であると仮定され、質量加重での平均粒径算出値は3.2ミクロンであった。これらの粒子の密度は2650kg/m3であった。試験ダストは流動床ダストフィーダーを介してシステムに供給された。フィーダーはプラスチック管製であり、外径が5/8インチ(約1.6cm)、内径が3/8インチ(約0.9cm)であり、管底部から空気が導入された。この管が直径0.0059インチ(0.15mm)の大きなジルコニア粒子と試験ダストとを収納した。ジルコニア粒子は流動化を助成するためのものであって著しく重く、フィーダーから離れることがなかった(即ち、ジルコニア粒子はマイクロチャンネル試験装置を通過しなかった)。ジルコニア粒子対ダストの比は2:1(即ち、試験ダスト各1グラムにつきジルコニア粒子2グラム)であった。以下の表には様々な試験パラメーター及び腐食の結果が示される(表面温度は試験装置の表面温度に対して参照される)。試験中はプラギングまたは圧力変化は観察されなかった。
【0064】
【表1】

【符号の説明】
【0065】
202、204 壁
206 粒子
208 オリフィス
210 流入流れ
302 連行セクション
304 分与プレート
402 拡張床
404 分与プレート
406 流動化用媒体
407 上方部分
410 固形物分離器
412 ヘッダ
416 交換流体
502 プロセスマイクロチャンネル
504 流体出口
506 マイクロチャンネル
508 連行帯域
512 オリフィス
514 チャンネル
516 第1回路
518 第2回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学反応を実施するための方法であって、
ガス状流れをマイクロチャンネルに通すこと、
ガス状流れの流量を制御して層流状況を得ること、
を含み、
前記ガス状流れが固形粒子を含むようにした方法。
【請求項2】
固形粒子がマイクロチャンネル内で作られる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マイクロチャンネルが入口と、出口と、マイクロチャンネルを確定する壁とを含み、
マイクロチャンネルの壁のオリフィスを通して第2ガスがマイクロチャンネルに入るようにされ、
前記オリフィスが前記入口と出口との間に位置付けられ、
前記第2ガスが、反応物質、希釈剤、または反応停止剤の何れかであるようにした請求項2に記載の方法。
【請求項4】
マイクロチャンネルに固形粒子を通過させた後、固形粒子を再循環させてマイクロチャンネルを2度通過するようにすることを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
固形粒子が触媒粒子であるようにした請求項1に記載の方法。
【請求項6】
触媒粒子を、マイクロチャンネルに通した後に分離することを更に含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
流れ改質用マニホルド連結部及びマイクロチャンネル列を通してガス状流れを送ることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
流れ改質用マニホルド連結部及びマイクロチャンネル列を通してガス状流れを送ることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
化学反応を実施するための方法であって、
ヘッダーと、流れ改質用マニホルド連結部とを通して流体流れを流動させることにより分与流れを形成すること、
を含み、
ヘッダーがマイクロチャンネル列との間にインターフェース部分を有し、
(a)分与流れがマイクロチャンネル列を通して固形粒子を搬送し、
(b)分与流れが固形粒子を連行するようにした方法。
【請求項10】
分与流れが粒子を連行し且つ、連行した粒子をマイクロチャンネル列を通して搬送するようにした請求項9に記載の方法。
【請求項11】
流れ改質用マニホルド連結部が、流れをマイクロチャンネル列内に均等に分与する傾向を有するようにした請求項9に記載の方法。
【請求項12】
化学反応を実施するための方法であって、
ヘッダーと、流れ改質用マニホルド連結部とを通して流体流れを流動させることにより分与流れを形成すること、
を含み、
ヘッダーとマイクロチャンネル列との間に入口ゾーンを有し、
前記流れ改変用マニホルドが、流れを前記入口ゾーンに分与する分与プレートであり、
該分与流れが固形粒子を連行するようにした方法。
【請求項13】
化学反応を実施するための方法であって、
マイクロチャンネルを通して、少なくとも一部分が凝塊である固形粒子を担持する第1流体流れを流動させること、
粒子の凝塊を減少させるに十分な速度において第2流体流れをマイクロチャンネルに通すこと、
を含む方法。
【請求項14】
化学反応を実施するための方法であって、
固形粒子を担持する第1流体流れを重力に抗する方向においてマイクロチャンネルに提供すること、
を含み、
マイクロチャンネルが入口と、出口と、該入口および出口間の長さとを有し、
少なくとも一つのマイクロチャンネルの壁が少なくとも一つのオリフィスを含み、
該少なくとも一つのオリフィスが、前記入口と出口との間に位置づけられ、
前記第1流体流れが、前記固形粒子の少なくとも一部分が、重力によって引き下ろされるような速度でマイクロチャンネルに送られ且つマイクロチャンネルの全長さに沿っては搬送されず、
前記オリフィスを通過してマイクロチャンネルに入り、次いで前記出口から排出される第2流体を提供すること、
を含む方法。
【請求項15】
固形粒子の少なくとも一部分が凝塊であり、第2流体が、粒子の凝塊を減少させるに十分な速度でマイクロチャンネル内に送られる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
マイクロチャンネル反応器内で触媒化学反応を実施するための方法であって、
固形触媒粒子を担持する第1流体流れをマイクロチャンネル内に提供すること、
固形触媒粒子を用いてマイクロチャンネル内の反応に触媒作用を引き起こすこと、
を含み、
固形触媒粒子が移動してマイクロチャンネルを出、引き続き、連続様式下においてリサイクルされてマイクロチャンネル内に戻される方法。
【請求項17】
ガス流れ内に粒子を連行させる方法であって、
液体/粒子のスラリーをマイクロチャンネルの内側のウィック内に流動させてマイクロ
チャンネル内のウィック内のスラリーを形成すること、
該ウィック内のスラリーに、液体が蒸発するような圧力及び温度条件を加えること、
該スラリーから、粒子を含むガス中固形物懸濁物(solids-in-gas suspension)を形成すること、
を含む方法。
【請求項18】
ガス内での粒子連行を助成させるためのガスをマイクロチャンネル内に送ることが更に含まれる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ウィックが、マイクロチャンネル壁におけるマイクログルーブを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ガス内での粒子連行を助成させるためのガスをマイクロチャンネル内に送ることが、液体/粒子のスラリーをマイクロチャンネルの内側のウィック内に流動させるのと同時に実施される請求項18に記載の方法。
【請求項21】
懸濁液から粒子を除去するための方法であって、
マイクロチャンネルのウィック内に液体を流動させること、
ウィック内に液体を含むマイクロチャンネル内にガス中固形物懸濁物を流動させること、
を含み、
ガス中固形物懸濁物中の固形物粒子がウィック内の液体中に移行される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−96233(P2012−96233A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−753(P2012−753)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2007−509674(P2007−509674)の分割
【原出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(504455241)ヴェロシス インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】