マイクロミラー用の制御装置、マイクロミラーの制御方法、および画像投影システム
【課題】エネルギー消費の小さいマイクロミラー用の制御装置および制御方法を提供する。
【解決手段】第1の傾斜軸を中心にするマイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する第1の周波数(fh)の第1の制御信号(S4)を形成するステップと、前記第1の傾斜軸に対して垂直の第2の傾斜軸を中心にする前記マイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する、前記第1の周波数(fh)よりも低い第2の周波数(fv)の第2の制御信号(S2、S3)を形成するステップと、前記第2の制御信号(S2、S3)を、当該第2の制御信号(S2、S3)を前記第1の周波数によりバイナリ変調することにより変調するステップと、前記マイクロミラー(20)の力入力素子(21、22、23、24)を、前記変調された第2の制御信号(S5)と前記第1の制御信号(S4)とで制御するステップと、を有するマイクロミラー(20)の制御方法。
【解決手段】第1の傾斜軸を中心にするマイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する第1の周波数(fh)の第1の制御信号(S4)を形成するステップと、前記第1の傾斜軸に対して垂直の第2の傾斜軸を中心にする前記マイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する、前記第1の周波数(fh)よりも低い第2の周波数(fv)の第2の制御信号(S2、S3)を形成するステップと、前記第2の制御信号(S2、S3)を、当該第2の制御信号(S2、S3)を前記第1の周波数によりバイナリ変調することにより変調するステップと、前記マイクロミラー(20)の力入力素子(21、22、23、24)を、前記変調された第2の制御信号(S5)と前記第1の制御信号(S4)とで制御するステップと、を有するマイクロミラー(20)の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロミラー用の制御装置、マイクロミラーの制御方法、および画像投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロミラーは画像投影にしばしば使用されており、たとえばレーザ光線が集束されて2軸懸架されたミクロミラーに当たり、これから投影面に偏向される。マイクロミラーの運動とレーザ光線の強度変調および色変調とを同期させることにより、投影面に画像を掃引走査することができる。
【0003】
ここで制御は、マイクロミラーが画像構造をラインごとに追従するよう水平および垂直に傾斜されるようにして行われる。各画像ラインにしたがって垂直軸の傾斜がたとえば高められ、これにより個々の画像ラインが互いに投影面に投影される。この経過は、50Hz以上の画像反復周波数で繰り返され、観察者には静止画像がまたは場合により運動する画像の経過が印象として発生する。
【0004】
マイクロミラーはアクチュエータ素子を介して傾斜することができる。ここでは機械的、静電的、磁気的または他のやり方で形成された力が複数のアクチュエータ素子に選択的に及ぼされ、マイクロミラーの1つまたは2つの傾斜軸を基準にしてマイクロミラーが動かされる。画像構造はピクセルごとであるのでマイクロミラーはほぼ常時運動することになり、アクチュエータ素子を運動させるために大きなエネルギーが必要である。この種の画像投影システムをエネルギー量の制限された機器、たとえばエネルギー源としてアキュムレータを使用する携帯電子機器に使用する場合には、マイクロミラーの制御により引き起こされるエネルギー消費を、機器の動作持続時間の延長のために最小化することが望まれる。
【0005】
特許文献1は、制御信号が2つのミラー軸に分割されたMEMSミラーの共振制御方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7515329号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、エネルギー消費の小さいマイクロミラー用の制御装置および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によればマイクロミラーの制御方法が達成される。この方法は、第1の傾斜軸を中心にするマイクロミラーの傾斜運動を符号化する第1の周波数の第1の制御信号を形成するステップと、前記第1の傾斜軸に対して垂直の第2の傾斜軸を中心にするマイクロミラーの傾斜運動を符号化する、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数の第2の制御信号を形成するステップと、前記第2の制御信号を前記第1の周波数によるバイナリ変調法、たとえばパルス幅変調法によって変調するステップと、マイクロミラーの力入力素子を、前記変調された第2の制御信号と前記第1の制御信号とで制御するステップとを有する。
【0009】
本発明の別の実施形態によればマイクロミラーの制御装置が達成される。この制御装置は、第1の傾斜軸を中心にするマイクロミラーの傾斜運動を符号化する第1の周波数の第1の制御信号を形成するよう構成された第1の信号発生器と、前記第1の傾斜軸に対して垂直の第2の傾斜軸を中心にマイクロミラーの傾斜運動を符号化する、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数の第2の制御信号を形成するよう構成された第2の信号発生器と、前記第1および第2の信号発生器と接続されており、前記第2の制御信号を前記第1の周波数によるバイナリ変調法、たとえばパルス幅変調法によって変調するよう構成された変調器と、前記変調器と接続されており、前記変調された第2の制御信号と前記第1の制御信号とで前記マイクロミラーの力入力素子を制御するよう構成されたアクチュエータ装置とを有する。
【0010】
別の実施形態によれば本発明は画像投影システムを提供する。この画像投影システムは、複数の力入力素子を備える少なくとも1つのマイクロミラーを有するマイクロミラーモジュールと、所定の画像データにしたがい光線を形成し、該光線を前記マイクロミラーモジュールの少なくとも1つのマイクロミラーに向けるよう構成された画像形成装置と、前記所定の画像データを形成し、前記画像形成装置に供給するよう構成された画像データ形成装置と、少なくとも1つのマイクロミラーの傾斜運動を複数の力入力素子の制御によって形成し、前記画像形成装置により形成された光線を、前記少なくとも1つのマイクロミラーから前記画像データに対応する画像を形成するために偏向するよう構成された制御装置とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の基本技術思想は、マイクロミラーの垂直傾斜軸を中心にする傾斜運動のための制御信号に、適切なバイナリ変調法、たとえばパルス幅変調法によって高周波の信号成分を重畳変調し、これによりマイクロミラーの水平傾斜運動に必要な作動エネルギーを、マイクロミラーの水平傾斜運動を中心にする傾斜運動の制御信号によってだけではなく、垂直傾斜軸を中心にする傾斜運動のための制御信号によっても調達できるようにすることである。2つの制御信号の周波数成分はスペクトル分離されているから、本発明では垂直傾斜運動のための制御信号に作動エネルギーを分配しても、垂直傾斜運動が影響を受けないか、またはほとんど影響を受けないようにすることができる。
【0012】
このことは一方で、本発明により形成された制御信号をマイクロミラーに印加する際に、取り込まれる作動エネルギーを格段に大きくすることができるという利点を提供する。この付加的なエネルギーは、たとえば比較的に大きな偏向角を達成するために使用することができ、このことは従来のアスペクト比4:3に対して16:9のアスペクト比を有する現在の画像投影システムでは大きな利点である。
【0013】
もう一方では、十分な水平偏向角のある既存のシステムにおいて駆動システムおよび制御システムのチップ面積をコスト的に効率良く低減することができる。
【0014】
最後に本発明によれば有利には、デジタルスイッチング段を制御電子回路に使用することができる。これにより従来の線形ドライバ段に比較して、小さいチップ面積しか必要でなく、効率を高めることができる。これにより、マイクロミラーの運動に必要な作動エネルギーを効率的に使用することができ、このことは携帯電子製品ではエネルギー蓄積器の運転時間の延長に寄与する。
【0015】
好ましくは第1の周波数は、第1の傾斜軸を中心にする偏向を基準にしたマイクロミラーの共振周波数とすることができる。第2の周波数は好ましくは、第2の傾斜軸を中心にする偏向を基準にしたマイクロミラーの共振周波数より低くすることができる。このようにして制御信号をマイクロミラーの水平傾斜軸と垂直傾斜軸とでスペクトル的に分離することができ、これにより、制御に使用される第1と第2の制御信号を組み合わせることによる傾斜運動の互いの影響を有利には無視することができる。さらにこのようにして、第2の周波数の制御信号の高周波信号成分により、第1の傾斜軸を中心にする傾斜運動を共振作動するための信号エネルギーを、マイクロミラーの力入力素子に伝達することができる。
【0016】
有利には制御信号は部分制御信号に分割することができる。この部分制御信号は、マイクロミラーの異なる力入力素子をそれぞれ制御するよう構成されている。このようにしてマイクロミラーの力入力素子を初期のように制御することができる。さらに部分信号形成は、マイクロミラーの力入力素子の数と形式に整合することができる。
【0017】
さらに有利な制御方法は、第2の制御信号の振幅をパルス幅閾値と比較するステップと、当該比較に基づき前記第2の制御信号から変形された制御信号を形成するステップと、ただし前記変形された制御信号は前記第2の制御信号よりも平均で大きな信号振幅を有し、第1の周波数によりパルス幅変調された第3の制御信号を前記変形された制御信号から形成するステップとを有する。この方法は、第2の傾斜軸を制御するための第2の制御信号の振幅が小さいためバイナリ変調法のエネルギー投入が小さい期間でも、たとえばパルス幅変調法の場合はパルス幅が小さい期間でも、第2の傾斜軸を中心にするマイクロミラーの偏向を基準にして互いに相殺する補助信号を第2の制御信号に重畳することができるという利点を提供する。第2の傾斜軸を中心にするマイクロミラーの偏向制御は、補助信号によってまったく損なわれないまたはほとんど影響を受けないが、補助信号は有利には第1の傾斜軸を中心にする傾斜運動を支援するために、マイクロミラーの力入力素子へのエネルギー伝達を高めることに寄与することができる。
【0018】
好ましい改善形態はそれぞれの従属請求項の対象である。
【0019】
上記の構成および改善形態は、意味のある限りにおいて任意に互いに組み合わせることができる。さらなる可能な本発明の構成、改善形態および実現は、実施例に基づいて記述した本発明の前述または後述の特徴の明示的でない組合せも含むものである。
【0020】
本発明の特徴および利点は、添付図面に関連する以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態による画像投影システムの概略図である。
【図2】本発明の実施形態によるマイクロミラーモジュールの概略図である。
【図3】本発明の別の実施形態によるマイクロミラーモジュールに対する励振周波数の周波数/振幅線図である。
【図4】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムの概略図である。
【図5a】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムにおける制御信号の信号線図である。
【図5b】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムにおける制御信号の信号線図である。
【図5c】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムにおける制御信号の信号線図である。
【図5d】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムにおける制御信号の信号線図である。
【図6】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムのPWM変調器の概略図である。
【図7】本発明の実施形態によるマイクロミラーモジュールの制御信号の概略図である。
【図8】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムの概略図である。
【図9】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムのPWM変調器の概略図である。
【図10】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムにおける制御信号の信号線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面中、同じおよび同じ機能のエレメント、特徴、コンポーネントには、とくに言及しない限りそれぞれ同じ参照番号が付してある。図面中のコンポーネントおよびエレメントは、分かりやすくするため、不必要に互いに縮尺通りに再現されていない。
【0023】
図1は、マイクロミラーモジュール15を備える画像投影システム10を示す。画像データ形成装置11は、表示すべき画像またはビデオの外部画像信号またはビデオ信号を受信し、そこから画像データを形成するように構成されており、この画像データがドライブ装置12の制御に使用される。ドライブ装置12は、対応するドライブ信号を形成するように構成されており、このドライブ信号により画像形成装置16が制御される。画像形成装置16は複数のレーザ16a、16b、16cであり、たとえば赤、緑および青のレーザ光線を形成するための色の異なるレーザである。レーザ16a、16b、16cの強度は、ドライブ信号に応じて変調することができる。レーザ16a、16b、16cにより形成されたレーザ光線は偏向装置17、たとえばダイクロイックミラーを介して1つの結合レーザ光線に統合され、この結合レーザ光線がマイクロミラーモジュール15のマイクロミラー上に偏向される。レーザ光線は、マイクロミラーの位置に対応してマイクロミラーから投影面18に偏向され、ここで所望の色および/または強度の画素が形成される。
【0024】
図2は、図1のシステム10のマイクロミラーモジュール15の概略図である。マイクロミラーモジュール15はマイクロミラー20を有し、このマイクロミラー20は弾性エレメント25と26を介してマイクロミラーモジュール15内で2軸に傾斜可能にかつ位置固定して配置されている。弾性エレメント25と26はバネとして概略的に示されている。しかし弾性エレメント25と26は、捻れの際に図2の矢印により示された軸を中心に復帰力を形成することのできる任意のエレメントを含むことができる。
【0025】
マイクロミラーモジュール15はさらに力入力素子21、22、23、24を有し、これらを介する力の付与により、弾性エレメント25と26によって規定され、互いに垂直である2つの傾斜軸の1つを中心にしてマイクロミラー20を捩れまたは傾斜運動させることができる。力入力素子21、22、23、24はここでは概略的にのみ図示されている。しかし当業者であれば、外部の力を力入力素子21、22、23、24を介してマイクロミラー20に入力するのに任意のシステムが可能である。力入力はたとえば機械的、静電的、磁気的または他の形式で行うことができる。力入力素子21、22、23、24の数は図2では例として4つ示されているが、それとは異なる数の力入力素子21、22、23、24も可能である。たとえば図平面で力入力素子21、22、23、24に入力される力は、マイクロミラー20の捩れまたは傾斜を、弾性エレメント25により規定されるマイクロミラー20の第1の傾斜軸を中心にも、弾性エレメント26により規定される第2の傾斜軸を中心にも引き起こす。
【0026】
図3は、図1と2によるマイクロミラーモジュール15に対する励振周波数の周波数/振幅線図である。ここで周波数は対数で横軸上にプロットされている。弾性エレメント25と26はたとえば、マイクロミラー20の第1の垂直傾斜軸を中心にする捩れまたは傾斜が周波数fresのときに共振し、第1の傾斜軸に対して垂直の第2の水平傾斜軸を中心にする捩れまたは傾斜が周波数fhのときに共振するように選択することができる。典型的にはマイクロミラーの水平傾斜運動は周波数fhで行うことができる。周波数fhはたとえば15kHzより高くすることができる。マイクロミラー20を共振周波数fhで駆動することにより、小さな励振エネルギーでも大きな水平偏向角を達成するために共振ピークを使用することができる。
【0027】
図3から分かるように、周波数fhでは垂直軸を中心にする傾斜運動の減衰が非常に大きい。同時に弾性エレメントとマイクロミラー20からなるバネ質量系は、垂直軸を中心にする捩れの際には周波数fresを有する。これにより画像投影の際に正確なライン直線性を達成するため、周波数fresでの周波数成分が回避される。その代わりに、マイクロミラー20の垂直傾斜軸を中心にする傾斜運動の制御信号に対する周波数として周波数fvが選択される。この周波数fvは周波数fresよりかなり下にあり、数10から100Hzまで、たとえば50から70Hzまでとすることができる。周波数fvでは、水平軸を中心にするマイクロミラー20の傾斜運動は強く減衰される。マイクロミラー20を正常機能どおりに制御するためには、周波数fvとfhを十分に離して選択し、マイクロミラー20に対する水平制御信号と垂直制御信号とのクロストークを回避するのが有利である。
【0028】
再び図1を参照すると、画像投影システム10は、マイクロミラーモジュール15またはマイクロミラー20に対する制御信号を形成するよう構成された制御装置1を有する。制御信号はアクチュエータ装置13に供給され、このアクチュエータ装置13は制御信号に依存して、マイクロミラーモジュール15の対応する力入力素子21、22、23、24を作動させる。システム10はさらに検出装置14を有することができる。この検出装置14は、制御信号により実際に生じるマイクロミラー20の偏向を検出し、制御装置1にフィードバックループでフィードバックする。制御装置1は、制御信号を適合するために検出装置により検出された偏向を使用することができる。
【0029】
図4は、マイクロミラーモジュール15内のマイクロミラー20を制御するためのシステム10の一部を詳細に示す概略図である。このシステム10は、制御装置1、アクチュエータ装置13およびマイクロミラーモジュール15を有する。図1の検出装置14は図4では、マイクロミラー10の水平偏向Phに対する検出装置14aおよび垂直偏向Pvに対する検出装置14bとして2分割して図示されている。
【0030】
制御装置1は、第1の信号発生器2、信号変換装置3、第1の信号分割器4、変調器5、第2の信号分割器6および制御ループ1aを有する。制御ループ1aは、第2の信号発生器7、周波数制御ループ8および位相検知器9を含むことができる。以下、制御装置1の個々のエレメントの機能を、図5aから5dの線図に示された信号に基づき詳細に説明する。
【0031】
第1の信号発生器2は、マイクロミラー20の第1の傾斜軸を中心にする垂直傾斜運動を制御するために使用される制御信号S1を形成するように構成されている。たとえたとえ制御信号S1は、図5aの信号線図に示すような鋸歯信号とすることができる。鋸歯信号は、マイクロミラー20の垂直運動を制御するための周波数fvに対応する反復周波数を有することができる。制御信号S1を信号変換装置3に供給することができる。この信号変換装置は、マイクロミラー20の実際の垂直偏向Pvについての検出装置14bからのフィードバック信号も受け取ることができる。信号変換装置3は、検出装置14bから受信されたフィードバック信号に応じて適切なフィルタリングおよび/または制御により制御信号S1を処理するよう構成することができる。たとえば信号変換装置3は、制御信号S1を図5bに示すような制御信号S2に変換するよう構成することができる。
【0032】
第1の信号分割器4は、変換された制御信号S2を受信し、図5cに示すように2つの部分制御信号S3aとS3bに分割するよう構成することができる。ここで部分制御信号S3bは、制御信号S2の反転により生じる。部分制御信号S3aとS3bはそれぞれ正の振幅を有することができ、これらの信号はたとえばマイクロミラーモジュール15の力入力素子ペア21と22、ならびに23と24を作動させるために使用される。
【0033】
同時に第2の信号発生器7は、水平傾斜軸を中心にするマイクロミラー20の水平傾斜運動を制御するための制御信号S4を形成するように構成することができる。制御信号S4はたとえば図5dの上2つの線図に示されるように、信号分割器6で2つの成分S4aとS4bに分割することができる。部分制御信号S4aとS4bは、周波数fhの矩形信号を有することができる。この周波数fhは水平傾斜軸を中心にするマイクロミラー20の捩れ運動の共振周波数に相当する。部分制御信号S4aとS4bはそれぞれ正の振幅を有することができ、これらの信号はたとえばマイクロミラーモジュール15の力入力素子ペア21と24、ならびに22と23を作動させるために使用される。ここで制御信号S4は、たとえば図5dの下の線図に示すような三角信号Cから形成することができる。第2の信号発生器7はさらに、三角信号Cをさらなる処理のため変調器5に供給するよう構成することができる。さらに第2の信号発生器7は、第1の信号発生器2をクロッキングするよう構成することができる。
【0034】
第2の信号発生器7は制御ループ1a、たとえば位相制御ループ(PLL、「位相ロックループ」)内で位相検知器9および周波数制御ループ8と接続することができ、制御信号S4の形成は、検出装置14aからフィードバックされたマイクロミラーの実際の水平偏向に基づいて制御される。
【0035】
変調器5は、制御信号S3または部分制御信号S3aとS3bを受信し、制御信号S3または部分制御信号S3aとS3bをバイナリ変調、たとえばPWM変調によって変調するよう構成されている。ここでPWM変調は、第2の信号発生器7により準備される制御信号Cの周波数fhで行われる。したがって変調器5は、パルス幅変調された制御信号S5をアクチュエータ装置13に出力し、力入力素子21〜26を制御する。PWM変調によって、水平傾斜軸を中心にするマイクロミラー20の捩れ運動の際の共振周波数の高周波信号成分を制御信号S3に重畳変調することができる。これにより高周波信号成分が水平傾斜軸に対して付加的なトルクを提供することができ、その際に垂直傾斜軸を中心にする傾斜運動が影響を受けることもない。ここでは障害となるモードは励起されず、とりわけ共振周波数fresでの垂直傾斜軸の共振モードは励起されないことに注意すべきである。
【0036】
言い替えると、アクチュエータ装置13は一方で、マイクロミラー20の水平傾斜軸を中心にする高周波傾斜運動を力入力素子ペア21と22ならびに23と24の作動によって形成するために使用される水平制御信号S4または部分制御信号S4aとS4bを受信する。他方で、アクチュエータ装置13は、マイクロミラー20の垂直傾斜軸を中心にする低周波傾斜運動を力入力素子ペア21と24ならびに22と23の作動によって形成するために使用される垂直制御信号S5または部分制御信号S5aとS5bを受信する。しかし同時に、パルス幅変調された垂直制御信号S5の高周波信号成分が付加的な力を力入力素子に加え、この力が水平傾斜運動を増強する。しかもその際に、垂直傾斜運動が甚だしい悪影響を受けることはない。これにより、付加的な駆動エネルギーを水平傾斜軸に伝達することができる。制御信号S5のパルス幅変調による駆動エネルギーの獲得は、制御信号S4の純粋な信号入力に対して約30%である。
【0037】
制御信号の変調には任意の形式のバイナリ変調でも適することが理解できるが、PWM変調を以下単なる例として詳細に説明する。
【0038】
図6は、変調器5の例示的構成を概略的に示す。第2の信号発生器7から提供された三角信号Cは、一方で、インバータ31、バイアス発生器33および増幅器35の機能ブロックにより、他方でバイアス発生器32と増幅器34の機能ブロックにより、2つの逆相三角信号に分割され、これらがそれぞれ比較器36aと37a、ならびに36bと37bに供給される。ここで第1の信号分割器4の部分制御信号S3aとS3bも同様に比較器36aと36b、ならびに37aと37bに供給され、変調器の信号出力端に部分制御信号S5a、S5b、S5c、S5dが出力される。ここで部分制御信号S5a、S5b、S5c、S5dはパルス幅変調された制御信号であり、マイクロミラーモジュール15の個々の力入力素子21、22、23、24を作動させるために使用することができる。
【0039】
部分制御信号S5a、S5b、S5c、S5dは、水平部分制御信号S4aおよびS4bとともにアクチュエータ装置13に供給することができ、このアクチュエータ装置13内でマイクロミラーモジュール15の個々の力入力素子21、22、23、24を作動させるために部分制御信号を組み合わせることができる。図7には、例として部分制御信号の可能な組合せが示されている。たとえば部分制御信号S5aとS4aは加算または重畳することができ、力入力素子21の作動のために使用することができる。他の部分制御信号に対しても同様の組合せ規則が当てはまる。
【0040】
図8は、マイクロミラー20制御するため修正されたシステム10の概略図である。図8のシステム10は図4のシステム10とは、第1の信号分割器4が信号切換論理回路4aによって置換されている点で異なる。信号切換論理回路4aは、信号変換装置3の変換された制御信号S2を受信し、所定のパルス幅閾値Bにしたがって修正された制御信号S6に変換するよう構成されている。
【0041】
図10に示すように制御信号S2は、振幅Aの絶対値が小さい領域を有する。すなわち、マイクロミラー20の垂直傾斜軸を中心にする垂直偏向の小さい領域を有する。したがって上に説明したようなバイナリ変調、たとえばパルス幅変調を変調器5で行うと、変調された垂直制御信号S5のエネルギー付与はこの領域では非常に小さくなる。エネルギー付与が小さいことにより(たとえばパルス幅変調の場合はパルス幅が小さい)、力入力素子への駆動エネルギーの伝達を、マイクロミラー20の垂直偏向が大きい領域と比較して制限することができる。したがって信号切換論理回路4aは、パルス幅変調された制御信号S5bの予期されるパルス幅を所定の調整可能なパルス幅閾値Bと比較するように構成することができる。そのために信号切換論理回路4aは、図9に示した例示的構造を有することができる。そのために制御信号S2が機能ブロック41、42、43、45ならびにマルチプレクサ44を介して2つのマルチプレクサ47aと47bに供給される。制御信号S2の振幅をパルス幅閾値Bと比較ブロック46と48で比較することにより、信号切換論理回路4aの信号出力端にはそれぞれ部分制御信号S6aとS6bを形成することができる。これらの部分制御信号S6a、S6bは図10の下半分に示した信号経過を有する。ここでマルチプレクサ47aと47bは、図10の第2の信号線図に示した選択機能により駆動することができ、制御信号S2、パルス幅閾値B、一定のゼロラインまたは反転制御信号S2を信号切換論理回路4aの信号出力端に出力する。このようにして部分制御信号S6aとS6bを形成することができ、これらの部分制御信号は部分制御信号S3aとS3bよりも平均で高い絶対振幅を有する。
【0042】
図8の変調器5aは、信号切換論理回路4aの部分制御信号S6aとS6bが三角信号Cの第1の周波数fhでバイナリ変調、たとえばパルス幅変調を受け、変調された制御信号S7または部分制御信号S7aとS7bを形成するように構成することができる。変調された制御信号S7または部分制御信号S7aとS7bは、変調された制御信号S5または部分制御信号S5aとS5bのように形成することができる。このとき、部分制御信号S6aとS6bが、制御信号S2がバイナリ変調、たとえばパルス幅変調された後に所定のパルス幅閾値Bより小さいパルスエネルギーを有することとなる領域内ではそれぞれ重なり合う駆動信号を有することに注意すべきである。これらの駆動信号は適当な力入力によって力入力素子21〜24を介し、マイクロミラー20の垂直傾斜軸に対してそれぞれ対称に供給される。これにより垂直傾斜軸を中心にする傾斜運動を基準にして垂直偏向は生じない。なぜなら部分制御信号S6aとS6bの高周波信号成分がこの領域ではちょうど相殺されるからである。
【0043】
バイナリ変調された制御信号S6のすべてのパルスにわたってパルス幅が平均で大きいことにより、マイクロミラーの水平傾斜運動を支援するために、さらに大きな信号エネルギーを供給できることが保証される。この信号エネルギー供給は制御信号S4の信号エネルギー供給よりも約50%大きい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロミラー用の制御装置、マイクロミラーの制御方法、および画像投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロミラーは画像投影にしばしば使用されており、たとえばレーザ光線が集束されて2軸懸架されたミクロミラーに当たり、これから投影面に偏向される。マイクロミラーの運動とレーザ光線の強度変調および色変調とを同期させることにより、投影面に画像を掃引走査することができる。
【0003】
ここで制御は、マイクロミラーが画像構造をラインごとに追従するよう水平および垂直に傾斜されるようにして行われる。各画像ラインにしたがって垂直軸の傾斜がたとえば高められ、これにより個々の画像ラインが互いに投影面に投影される。この経過は、50Hz以上の画像反復周波数で繰り返され、観察者には静止画像がまたは場合により運動する画像の経過が印象として発生する。
【0004】
マイクロミラーはアクチュエータ素子を介して傾斜することができる。ここでは機械的、静電的、磁気的または他のやり方で形成された力が複数のアクチュエータ素子に選択的に及ぼされ、マイクロミラーの1つまたは2つの傾斜軸を基準にしてマイクロミラーが動かされる。画像構造はピクセルごとであるのでマイクロミラーはほぼ常時運動することになり、アクチュエータ素子を運動させるために大きなエネルギーが必要である。この種の画像投影システムをエネルギー量の制限された機器、たとえばエネルギー源としてアキュムレータを使用する携帯電子機器に使用する場合には、マイクロミラーの制御により引き起こされるエネルギー消費を、機器の動作持続時間の延長のために最小化することが望まれる。
【0005】
特許文献1は、制御信号が2つのミラー軸に分割されたMEMSミラーの共振制御方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7515329号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、エネルギー消費の小さいマイクロミラー用の制御装置および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によればマイクロミラーの制御方法が達成される。この方法は、第1の傾斜軸を中心にするマイクロミラーの傾斜運動を符号化する第1の周波数の第1の制御信号を形成するステップと、前記第1の傾斜軸に対して垂直の第2の傾斜軸を中心にするマイクロミラーの傾斜運動を符号化する、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数の第2の制御信号を形成するステップと、前記第2の制御信号を前記第1の周波数によるバイナリ変調法、たとえばパルス幅変調法によって変調するステップと、マイクロミラーの力入力素子を、前記変調された第2の制御信号と前記第1の制御信号とで制御するステップとを有する。
【0009】
本発明の別の実施形態によればマイクロミラーの制御装置が達成される。この制御装置は、第1の傾斜軸を中心にするマイクロミラーの傾斜運動を符号化する第1の周波数の第1の制御信号を形成するよう構成された第1の信号発生器と、前記第1の傾斜軸に対して垂直の第2の傾斜軸を中心にマイクロミラーの傾斜運動を符号化する、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数の第2の制御信号を形成するよう構成された第2の信号発生器と、前記第1および第2の信号発生器と接続されており、前記第2の制御信号を前記第1の周波数によるバイナリ変調法、たとえばパルス幅変調法によって変調するよう構成された変調器と、前記変調器と接続されており、前記変調された第2の制御信号と前記第1の制御信号とで前記マイクロミラーの力入力素子を制御するよう構成されたアクチュエータ装置とを有する。
【0010】
別の実施形態によれば本発明は画像投影システムを提供する。この画像投影システムは、複数の力入力素子を備える少なくとも1つのマイクロミラーを有するマイクロミラーモジュールと、所定の画像データにしたがい光線を形成し、該光線を前記マイクロミラーモジュールの少なくとも1つのマイクロミラーに向けるよう構成された画像形成装置と、前記所定の画像データを形成し、前記画像形成装置に供給するよう構成された画像データ形成装置と、少なくとも1つのマイクロミラーの傾斜運動を複数の力入力素子の制御によって形成し、前記画像形成装置により形成された光線を、前記少なくとも1つのマイクロミラーから前記画像データに対応する画像を形成するために偏向するよう構成された制御装置とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の基本技術思想は、マイクロミラーの垂直傾斜軸を中心にする傾斜運動のための制御信号に、適切なバイナリ変調法、たとえばパルス幅変調法によって高周波の信号成分を重畳変調し、これによりマイクロミラーの水平傾斜運動に必要な作動エネルギーを、マイクロミラーの水平傾斜運動を中心にする傾斜運動の制御信号によってだけではなく、垂直傾斜軸を中心にする傾斜運動のための制御信号によっても調達できるようにすることである。2つの制御信号の周波数成分はスペクトル分離されているから、本発明では垂直傾斜運動のための制御信号に作動エネルギーを分配しても、垂直傾斜運動が影響を受けないか、またはほとんど影響を受けないようにすることができる。
【0012】
このことは一方で、本発明により形成された制御信号をマイクロミラーに印加する際に、取り込まれる作動エネルギーを格段に大きくすることができるという利点を提供する。この付加的なエネルギーは、たとえば比較的に大きな偏向角を達成するために使用することができ、このことは従来のアスペクト比4:3に対して16:9のアスペクト比を有する現在の画像投影システムでは大きな利点である。
【0013】
もう一方では、十分な水平偏向角のある既存のシステムにおいて駆動システムおよび制御システムのチップ面積をコスト的に効率良く低減することができる。
【0014】
最後に本発明によれば有利には、デジタルスイッチング段を制御電子回路に使用することができる。これにより従来の線形ドライバ段に比較して、小さいチップ面積しか必要でなく、効率を高めることができる。これにより、マイクロミラーの運動に必要な作動エネルギーを効率的に使用することができ、このことは携帯電子製品ではエネルギー蓄積器の運転時間の延長に寄与する。
【0015】
好ましくは第1の周波数は、第1の傾斜軸を中心にする偏向を基準にしたマイクロミラーの共振周波数とすることができる。第2の周波数は好ましくは、第2の傾斜軸を中心にする偏向を基準にしたマイクロミラーの共振周波数より低くすることができる。このようにして制御信号をマイクロミラーの水平傾斜軸と垂直傾斜軸とでスペクトル的に分離することができ、これにより、制御に使用される第1と第2の制御信号を組み合わせることによる傾斜運動の互いの影響を有利には無視することができる。さらにこのようにして、第2の周波数の制御信号の高周波信号成分により、第1の傾斜軸を中心にする傾斜運動を共振作動するための信号エネルギーを、マイクロミラーの力入力素子に伝達することができる。
【0016】
有利には制御信号は部分制御信号に分割することができる。この部分制御信号は、マイクロミラーの異なる力入力素子をそれぞれ制御するよう構成されている。このようにしてマイクロミラーの力入力素子を初期のように制御することができる。さらに部分信号形成は、マイクロミラーの力入力素子の数と形式に整合することができる。
【0017】
さらに有利な制御方法は、第2の制御信号の振幅をパルス幅閾値と比較するステップと、当該比較に基づき前記第2の制御信号から変形された制御信号を形成するステップと、ただし前記変形された制御信号は前記第2の制御信号よりも平均で大きな信号振幅を有し、第1の周波数によりパルス幅変調された第3の制御信号を前記変形された制御信号から形成するステップとを有する。この方法は、第2の傾斜軸を制御するための第2の制御信号の振幅が小さいためバイナリ変調法のエネルギー投入が小さい期間でも、たとえばパルス幅変調法の場合はパルス幅が小さい期間でも、第2の傾斜軸を中心にするマイクロミラーの偏向を基準にして互いに相殺する補助信号を第2の制御信号に重畳することができるという利点を提供する。第2の傾斜軸を中心にするマイクロミラーの偏向制御は、補助信号によってまったく損なわれないまたはほとんど影響を受けないが、補助信号は有利には第1の傾斜軸を中心にする傾斜運動を支援するために、マイクロミラーの力入力素子へのエネルギー伝達を高めることに寄与することができる。
【0018】
好ましい改善形態はそれぞれの従属請求項の対象である。
【0019】
上記の構成および改善形態は、意味のある限りにおいて任意に互いに組み合わせることができる。さらなる可能な本発明の構成、改善形態および実現は、実施例に基づいて記述した本発明の前述または後述の特徴の明示的でない組合せも含むものである。
【0020】
本発明の特徴および利点は、添付図面に関連する以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態による画像投影システムの概略図である。
【図2】本発明の実施形態によるマイクロミラーモジュールの概略図である。
【図3】本発明の別の実施形態によるマイクロミラーモジュールに対する励振周波数の周波数/振幅線図である。
【図4】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムの概略図である。
【図5a】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムにおける制御信号の信号線図である。
【図5b】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムにおける制御信号の信号線図である。
【図5c】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムにおける制御信号の信号線図である。
【図5d】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムにおける制御信号の信号線図である。
【図6】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムのPWM変調器の概略図である。
【図7】本発明の実施形態によるマイクロミラーモジュールの制御信号の概略図である。
【図8】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムの概略図である。
【図9】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムのPWM変調器の概略図である。
【図10】本発明の別の実施形態によるマイクロミラー制御システムにおける制御信号の信号線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面中、同じおよび同じ機能のエレメント、特徴、コンポーネントには、とくに言及しない限りそれぞれ同じ参照番号が付してある。図面中のコンポーネントおよびエレメントは、分かりやすくするため、不必要に互いに縮尺通りに再現されていない。
【0023】
図1は、マイクロミラーモジュール15を備える画像投影システム10を示す。画像データ形成装置11は、表示すべき画像またはビデオの外部画像信号またはビデオ信号を受信し、そこから画像データを形成するように構成されており、この画像データがドライブ装置12の制御に使用される。ドライブ装置12は、対応するドライブ信号を形成するように構成されており、このドライブ信号により画像形成装置16が制御される。画像形成装置16は複数のレーザ16a、16b、16cであり、たとえば赤、緑および青のレーザ光線を形成するための色の異なるレーザである。レーザ16a、16b、16cの強度は、ドライブ信号に応じて変調することができる。レーザ16a、16b、16cにより形成されたレーザ光線は偏向装置17、たとえばダイクロイックミラーを介して1つの結合レーザ光線に統合され、この結合レーザ光線がマイクロミラーモジュール15のマイクロミラー上に偏向される。レーザ光線は、マイクロミラーの位置に対応してマイクロミラーから投影面18に偏向され、ここで所望の色および/または強度の画素が形成される。
【0024】
図2は、図1のシステム10のマイクロミラーモジュール15の概略図である。マイクロミラーモジュール15はマイクロミラー20を有し、このマイクロミラー20は弾性エレメント25と26を介してマイクロミラーモジュール15内で2軸に傾斜可能にかつ位置固定して配置されている。弾性エレメント25と26はバネとして概略的に示されている。しかし弾性エレメント25と26は、捻れの際に図2の矢印により示された軸を中心に復帰力を形成することのできる任意のエレメントを含むことができる。
【0025】
マイクロミラーモジュール15はさらに力入力素子21、22、23、24を有し、これらを介する力の付与により、弾性エレメント25と26によって規定され、互いに垂直である2つの傾斜軸の1つを中心にしてマイクロミラー20を捩れまたは傾斜運動させることができる。力入力素子21、22、23、24はここでは概略的にのみ図示されている。しかし当業者であれば、外部の力を力入力素子21、22、23、24を介してマイクロミラー20に入力するのに任意のシステムが可能である。力入力はたとえば機械的、静電的、磁気的または他の形式で行うことができる。力入力素子21、22、23、24の数は図2では例として4つ示されているが、それとは異なる数の力入力素子21、22、23、24も可能である。たとえば図平面で力入力素子21、22、23、24に入力される力は、マイクロミラー20の捩れまたは傾斜を、弾性エレメント25により規定されるマイクロミラー20の第1の傾斜軸を中心にも、弾性エレメント26により規定される第2の傾斜軸を中心にも引き起こす。
【0026】
図3は、図1と2によるマイクロミラーモジュール15に対する励振周波数の周波数/振幅線図である。ここで周波数は対数で横軸上にプロットされている。弾性エレメント25と26はたとえば、マイクロミラー20の第1の垂直傾斜軸を中心にする捩れまたは傾斜が周波数fresのときに共振し、第1の傾斜軸に対して垂直の第2の水平傾斜軸を中心にする捩れまたは傾斜が周波数fhのときに共振するように選択することができる。典型的にはマイクロミラーの水平傾斜運動は周波数fhで行うことができる。周波数fhはたとえば15kHzより高くすることができる。マイクロミラー20を共振周波数fhで駆動することにより、小さな励振エネルギーでも大きな水平偏向角を達成するために共振ピークを使用することができる。
【0027】
図3から分かるように、周波数fhでは垂直軸を中心にする傾斜運動の減衰が非常に大きい。同時に弾性エレメントとマイクロミラー20からなるバネ質量系は、垂直軸を中心にする捩れの際には周波数fresを有する。これにより画像投影の際に正確なライン直線性を達成するため、周波数fresでの周波数成分が回避される。その代わりに、マイクロミラー20の垂直傾斜軸を中心にする傾斜運動の制御信号に対する周波数として周波数fvが選択される。この周波数fvは周波数fresよりかなり下にあり、数10から100Hzまで、たとえば50から70Hzまでとすることができる。周波数fvでは、水平軸を中心にするマイクロミラー20の傾斜運動は強く減衰される。マイクロミラー20を正常機能どおりに制御するためには、周波数fvとfhを十分に離して選択し、マイクロミラー20に対する水平制御信号と垂直制御信号とのクロストークを回避するのが有利である。
【0028】
再び図1を参照すると、画像投影システム10は、マイクロミラーモジュール15またはマイクロミラー20に対する制御信号を形成するよう構成された制御装置1を有する。制御信号はアクチュエータ装置13に供給され、このアクチュエータ装置13は制御信号に依存して、マイクロミラーモジュール15の対応する力入力素子21、22、23、24を作動させる。システム10はさらに検出装置14を有することができる。この検出装置14は、制御信号により実際に生じるマイクロミラー20の偏向を検出し、制御装置1にフィードバックループでフィードバックする。制御装置1は、制御信号を適合するために検出装置により検出された偏向を使用することができる。
【0029】
図4は、マイクロミラーモジュール15内のマイクロミラー20を制御するためのシステム10の一部を詳細に示す概略図である。このシステム10は、制御装置1、アクチュエータ装置13およびマイクロミラーモジュール15を有する。図1の検出装置14は図4では、マイクロミラー10の水平偏向Phに対する検出装置14aおよび垂直偏向Pvに対する検出装置14bとして2分割して図示されている。
【0030】
制御装置1は、第1の信号発生器2、信号変換装置3、第1の信号分割器4、変調器5、第2の信号分割器6および制御ループ1aを有する。制御ループ1aは、第2の信号発生器7、周波数制御ループ8および位相検知器9を含むことができる。以下、制御装置1の個々のエレメントの機能を、図5aから5dの線図に示された信号に基づき詳細に説明する。
【0031】
第1の信号発生器2は、マイクロミラー20の第1の傾斜軸を中心にする垂直傾斜運動を制御するために使用される制御信号S1を形成するように構成されている。たとえたとえ制御信号S1は、図5aの信号線図に示すような鋸歯信号とすることができる。鋸歯信号は、マイクロミラー20の垂直運動を制御するための周波数fvに対応する反復周波数を有することができる。制御信号S1を信号変換装置3に供給することができる。この信号変換装置は、マイクロミラー20の実際の垂直偏向Pvについての検出装置14bからのフィードバック信号も受け取ることができる。信号変換装置3は、検出装置14bから受信されたフィードバック信号に応じて適切なフィルタリングおよび/または制御により制御信号S1を処理するよう構成することができる。たとえば信号変換装置3は、制御信号S1を図5bに示すような制御信号S2に変換するよう構成することができる。
【0032】
第1の信号分割器4は、変換された制御信号S2を受信し、図5cに示すように2つの部分制御信号S3aとS3bに分割するよう構成することができる。ここで部分制御信号S3bは、制御信号S2の反転により生じる。部分制御信号S3aとS3bはそれぞれ正の振幅を有することができ、これらの信号はたとえばマイクロミラーモジュール15の力入力素子ペア21と22、ならびに23と24を作動させるために使用される。
【0033】
同時に第2の信号発生器7は、水平傾斜軸を中心にするマイクロミラー20の水平傾斜運動を制御するための制御信号S4を形成するように構成することができる。制御信号S4はたとえば図5dの上2つの線図に示されるように、信号分割器6で2つの成分S4aとS4bに分割することができる。部分制御信号S4aとS4bは、周波数fhの矩形信号を有することができる。この周波数fhは水平傾斜軸を中心にするマイクロミラー20の捩れ運動の共振周波数に相当する。部分制御信号S4aとS4bはそれぞれ正の振幅を有することができ、これらの信号はたとえばマイクロミラーモジュール15の力入力素子ペア21と24、ならびに22と23を作動させるために使用される。ここで制御信号S4は、たとえば図5dの下の線図に示すような三角信号Cから形成することができる。第2の信号発生器7はさらに、三角信号Cをさらなる処理のため変調器5に供給するよう構成することができる。さらに第2の信号発生器7は、第1の信号発生器2をクロッキングするよう構成することができる。
【0034】
第2の信号発生器7は制御ループ1a、たとえば位相制御ループ(PLL、「位相ロックループ」)内で位相検知器9および周波数制御ループ8と接続することができ、制御信号S4の形成は、検出装置14aからフィードバックされたマイクロミラーの実際の水平偏向に基づいて制御される。
【0035】
変調器5は、制御信号S3または部分制御信号S3aとS3bを受信し、制御信号S3または部分制御信号S3aとS3bをバイナリ変調、たとえばPWM変調によって変調するよう構成されている。ここでPWM変調は、第2の信号発生器7により準備される制御信号Cの周波数fhで行われる。したがって変調器5は、パルス幅変調された制御信号S5をアクチュエータ装置13に出力し、力入力素子21〜26を制御する。PWM変調によって、水平傾斜軸を中心にするマイクロミラー20の捩れ運動の際の共振周波数の高周波信号成分を制御信号S3に重畳変調することができる。これにより高周波信号成分が水平傾斜軸に対して付加的なトルクを提供することができ、その際に垂直傾斜軸を中心にする傾斜運動が影響を受けることもない。ここでは障害となるモードは励起されず、とりわけ共振周波数fresでの垂直傾斜軸の共振モードは励起されないことに注意すべきである。
【0036】
言い替えると、アクチュエータ装置13は一方で、マイクロミラー20の水平傾斜軸を中心にする高周波傾斜運動を力入力素子ペア21と22ならびに23と24の作動によって形成するために使用される水平制御信号S4または部分制御信号S4aとS4bを受信する。他方で、アクチュエータ装置13は、マイクロミラー20の垂直傾斜軸を中心にする低周波傾斜運動を力入力素子ペア21と24ならびに22と23の作動によって形成するために使用される垂直制御信号S5または部分制御信号S5aとS5bを受信する。しかし同時に、パルス幅変調された垂直制御信号S5の高周波信号成分が付加的な力を力入力素子に加え、この力が水平傾斜運動を増強する。しかもその際に、垂直傾斜運動が甚だしい悪影響を受けることはない。これにより、付加的な駆動エネルギーを水平傾斜軸に伝達することができる。制御信号S5のパルス幅変調による駆動エネルギーの獲得は、制御信号S4の純粋な信号入力に対して約30%である。
【0037】
制御信号の変調には任意の形式のバイナリ変調でも適することが理解できるが、PWM変調を以下単なる例として詳細に説明する。
【0038】
図6は、変調器5の例示的構成を概略的に示す。第2の信号発生器7から提供された三角信号Cは、一方で、インバータ31、バイアス発生器33および増幅器35の機能ブロックにより、他方でバイアス発生器32と増幅器34の機能ブロックにより、2つの逆相三角信号に分割され、これらがそれぞれ比較器36aと37a、ならびに36bと37bに供給される。ここで第1の信号分割器4の部分制御信号S3aとS3bも同様に比較器36aと36b、ならびに37aと37bに供給され、変調器の信号出力端に部分制御信号S5a、S5b、S5c、S5dが出力される。ここで部分制御信号S5a、S5b、S5c、S5dはパルス幅変調された制御信号であり、マイクロミラーモジュール15の個々の力入力素子21、22、23、24を作動させるために使用することができる。
【0039】
部分制御信号S5a、S5b、S5c、S5dは、水平部分制御信号S4aおよびS4bとともにアクチュエータ装置13に供給することができ、このアクチュエータ装置13内でマイクロミラーモジュール15の個々の力入力素子21、22、23、24を作動させるために部分制御信号を組み合わせることができる。図7には、例として部分制御信号の可能な組合せが示されている。たとえば部分制御信号S5aとS4aは加算または重畳することができ、力入力素子21の作動のために使用することができる。他の部分制御信号に対しても同様の組合せ規則が当てはまる。
【0040】
図8は、マイクロミラー20制御するため修正されたシステム10の概略図である。図8のシステム10は図4のシステム10とは、第1の信号分割器4が信号切換論理回路4aによって置換されている点で異なる。信号切換論理回路4aは、信号変換装置3の変換された制御信号S2を受信し、所定のパルス幅閾値Bにしたがって修正された制御信号S6に変換するよう構成されている。
【0041】
図10に示すように制御信号S2は、振幅Aの絶対値が小さい領域を有する。すなわち、マイクロミラー20の垂直傾斜軸を中心にする垂直偏向の小さい領域を有する。したがって上に説明したようなバイナリ変調、たとえばパルス幅変調を変調器5で行うと、変調された垂直制御信号S5のエネルギー付与はこの領域では非常に小さくなる。エネルギー付与が小さいことにより(たとえばパルス幅変調の場合はパルス幅が小さい)、力入力素子への駆動エネルギーの伝達を、マイクロミラー20の垂直偏向が大きい領域と比較して制限することができる。したがって信号切換論理回路4aは、パルス幅変調された制御信号S5bの予期されるパルス幅を所定の調整可能なパルス幅閾値Bと比較するように構成することができる。そのために信号切換論理回路4aは、図9に示した例示的構造を有することができる。そのために制御信号S2が機能ブロック41、42、43、45ならびにマルチプレクサ44を介して2つのマルチプレクサ47aと47bに供給される。制御信号S2の振幅をパルス幅閾値Bと比較ブロック46と48で比較することにより、信号切換論理回路4aの信号出力端にはそれぞれ部分制御信号S6aとS6bを形成することができる。これらの部分制御信号S6a、S6bは図10の下半分に示した信号経過を有する。ここでマルチプレクサ47aと47bは、図10の第2の信号線図に示した選択機能により駆動することができ、制御信号S2、パルス幅閾値B、一定のゼロラインまたは反転制御信号S2を信号切換論理回路4aの信号出力端に出力する。このようにして部分制御信号S6aとS6bを形成することができ、これらの部分制御信号は部分制御信号S3aとS3bよりも平均で高い絶対振幅を有する。
【0042】
図8の変調器5aは、信号切換論理回路4aの部分制御信号S6aとS6bが三角信号Cの第1の周波数fhでバイナリ変調、たとえばパルス幅変調を受け、変調された制御信号S7または部分制御信号S7aとS7bを形成するように構成することができる。変調された制御信号S7または部分制御信号S7aとS7bは、変調された制御信号S5または部分制御信号S5aとS5bのように形成することができる。このとき、部分制御信号S6aとS6bが、制御信号S2がバイナリ変調、たとえばパルス幅変調された後に所定のパルス幅閾値Bより小さいパルスエネルギーを有することとなる領域内ではそれぞれ重なり合う駆動信号を有することに注意すべきである。これらの駆動信号は適当な力入力によって力入力素子21〜24を介し、マイクロミラー20の垂直傾斜軸に対してそれぞれ対称に供給される。これにより垂直傾斜軸を中心にする傾斜運動を基準にして垂直偏向は生じない。なぜなら部分制御信号S6aとS6bの高周波信号成分がこの領域ではちょうど相殺されるからである。
【0043】
バイナリ変調された制御信号S6のすべてのパルスにわたってパルス幅が平均で大きいことにより、マイクロミラーの水平傾斜運動を支援するために、さらに大きな信号エネルギーを供給できることが保証される。この信号エネルギー供給は制御信号S4の信号エネルギー供給よりも約50%大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の傾斜軸を中心にするマイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する第1の周波数(fh)の第1の制御信号(S4)を形成するステップと、
前記第1の傾斜軸に対して垂直の第2の傾斜軸を中心にする前記マイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する、前記第1の周波数(fh)よりも低い第2の周波数(fv)の第2の制御信号(S2、S3)を形成するステップと、
前記第2の制御信号(S2、S3)を、当該第2の制御信号(S2、S3)を前記第1の周波数によりバイナリ変調することにより変調するステップと、
前記マイクロミラー(20)の力入力素子(21、22、23、24)を、前記変調された第2の制御信号(S5)と前記第1の制御信号(S4)とで制御するステップと、を有するマイクロミラー(20)の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の周波数(fh)は、前記第1の傾斜軸を中心にする偏向に関しての前記マイクロミラー(20)の共振周波数であり、
前記第2の周波数(fv)は、前記第2の傾斜軸を中心にする偏向に関しての前記マイクロミラー(20)の共振周波数(fres)より低い方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記変調された第2の制御信号(S5)と前記第1の制御信号(S4)とを、前記マイクロミラー(20)の異なる力入力素子(21、22、23、24)を制御するように構成された部分制御信号(S5a、S5b、S5c、S5d;S4a、S4b)に分割するステップをさらに有する方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法であって、
前記第2の制御信号(S2)の振幅をパルス幅閾値(B)と比較するステップと、
当該比較に基づき前記第2の制御信号(S2)から、前記第2の制御信号(S2)よりも平均で大きな信号振幅を有する変換された制御信号(S6)を形成するステップと、
前記第1の周波数によりバイナリ変調された第3の制御信号(S7)を前記変換された制御信号(S6)から形成するステップと、をさらに有する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記第3の制御信号(S7)は、前記第2の制御信号(S3)により符号化された前記第2の傾斜軸を中心にする前記マイクロミラー(20)の傾斜運動を時間的に平均して符号化する方法。
【請求項6】
第1の傾斜軸を中心にするマイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する第1の周波数(fh)の第1の制御信号(S4、C)を形成するよう構成された第1の信号発生器(7)と、
前記第1の傾斜軸に対して垂直の第2の傾斜軸を中心にする前記マイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する、前記第1の周波数(fh)よりも低い第2の周波数(fv)の第2の制御信号(S2、S3)を形成するよう構成された第2の信号発生器(2)と、
前記第1の信号発生器(7)および第2の信号発生器(2)と接続されており、前記第2の制御信号(S2、S3)を前記第1の周波数(fh)によるバイナリ変調によって変調するよう構成された変調器(5)と、
前記変調器(5)と接続されており、前記変調された第2の制御信号(S5)と前記第1の制御信号(S4)とで前記マイクロミラー(20)の力入力素子(21、22、23、24)を制御するよう構成されたアクチュエータ装置(13)と、を有するマイクロミラー(20)を制御する制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の制御装置であって、
前記第1の信号発生器(7)と前記アクチュエータ装置(13)との間に接続されており、前記第1の制御信号(S4)を、前記マイクロミラー(20)の種々の力入力素子(21、22、23、24)を制御するための第1の部分信号(S4a、S4b)に分割するよう構成された第1の信号分割器(4)と、
前記第2の信号発生器(2)と前記変調器(5)との間に接続されており、前記第2の制御信号(S2)を、前記マイクロミラー(20)の種々の力入力素子(21、22、23、24)を制御するための第2の部分信号(S3a、S3b)に分割するよう構成された第2の信号分割器(3)と、をさらに有する制御装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の制御装置であって、
前記第1の周波数(fh)は、前記第1の傾斜軸を中心にする偏向に関しての前記マイクロミラー(20)の共振周波数であり、
前記第2の周波数(fv)は、前記第2の傾斜軸を中心にする偏向に関しての前記マイクロミラー(20)の共振周波数(fres)より低い制御装置。
【請求項9】
複数の力入力素子(21、22、23、24)を備える少なくとも1つのマイクロミラー(20)を有するマイクロミラーモジュール(15)と、
所定の画像データにしたがい光線を形成し、該光線を前記マイクロミラーモジュール(15)の少なくとも1つのマイクロミラー(20)に向けるよう構成された画像形成装置(16)と、
前記所定の画像データを形成して前記画像形成装置(16)に供給するよう構成された画像データ形成装置(11)と、
少なくとも1つのマイクロミラー(20)の傾斜運動を前記力入力素子の制御(21、22、23、24)によって形成し、前記画像形成装置(16)により形成された光線が、前記少なくとも1つのマイクロミラー(20)によって前記画像データに対応する画像を形成するために偏向されるよう構成された、請求項6から8のいずれか1項に記載の制御装置(1)と、を有する画像投影システム(10)。
【請求項1】
第1の傾斜軸を中心にするマイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する第1の周波数(fh)の第1の制御信号(S4)を形成するステップと、
前記第1の傾斜軸に対して垂直の第2の傾斜軸を中心にする前記マイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する、前記第1の周波数(fh)よりも低い第2の周波数(fv)の第2の制御信号(S2、S3)を形成するステップと、
前記第2の制御信号(S2、S3)を、当該第2の制御信号(S2、S3)を前記第1の周波数によりバイナリ変調することにより変調するステップと、
前記マイクロミラー(20)の力入力素子(21、22、23、24)を、前記変調された第2の制御信号(S5)と前記第1の制御信号(S4)とで制御するステップと、を有するマイクロミラー(20)の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の周波数(fh)は、前記第1の傾斜軸を中心にする偏向に関しての前記マイクロミラー(20)の共振周波数であり、
前記第2の周波数(fv)は、前記第2の傾斜軸を中心にする偏向に関しての前記マイクロミラー(20)の共振周波数(fres)より低い方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記変調された第2の制御信号(S5)と前記第1の制御信号(S4)とを、前記マイクロミラー(20)の異なる力入力素子(21、22、23、24)を制御するように構成された部分制御信号(S5a、S5b、S5c、S5d;S4a、S4b)に分割するステップをさらに有する方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法であって、
前記第2の制御信号(S2)の振幅をパルス幅閾値(B)と比較するステップと、
当該比較に基づき前記第2の制御信号(S2)から、前記第2の制御信号(S2)よりも平均で大きな信号振幅を有する変換された制御信号(S6)を形成するステップと、
前記第1の周波数によりバイナリ変調された第3の制御信号(S7)を前記変換された制御信号(S6)から形成するステップと、をさらに有する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記第3の制御信号(S7)は、前記第2の制御信号(S3)により符号化された前記第2の傾斜軸を中心にする前記マイクロミラー(20)の傾斜運動を時間的に平均して符号化する方法。
【請求項6】
第1の傾斜軸を中心にするマイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する第1の周波数(fh)の第1の制御信号(S4、C)を形成するよう構成された第1の信号発生器(7)と、
前記第1の傾斜軸に対して垂直の第2の傾斜軸を中心にする前記マイクロミラー(20)の傾斜運動を符号化する、前記第1の周波数(fh)よりも低い第2の周波数(fv)の第2の制御信号(S2、S3)を形成するよう構成された第2の信号発生器(2)と、
前記第1の信号発生器(7)および第2の信号発生器(2)と接続されており、前記第2の制御信号(S2、S3)を前記第1の周波数(fh)によるバイナリ変調によって変調するよう構成された変調器(5)と、
前記変調器(5)と接続されており、前記変調された第2の制御信号(S5)と前記第1の制御信号(S4)とで前記マイクロミラー(20)の力入力素子(21、22、23、24)を制御するよう構成されたアクチュエータ装置(13)と、を有するマイクロミラー(20)を制御する制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の制御装置であって、
前記第1の信号発生器(7)と前記アクチュエータ装置(13)との間に接続されており、前記第1の制御信号(S4)を、前記マイクロミラー(20)の種々の力入力素子(21、22、23、24)を制御するための第1の部分信号(S4a、S4b)に分割するよう構成された第1の信号分割器(4)と、
前記第2の信号発生器(2)と前記変調器(5)との間に接続されており、前記第2の制御信号(S2)を、前記マイクロミラー(20)の種々の力入力素子(21、22、23、24)を制御するための第2の部分信号(S3a、S3b)に分割するよう構成された第2の信号分割器(3)と、をさらに有する制御装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の制御装置であって、
前記第1の周波数(fh)は、前記第1の傾斜軸を中心にする偏向に関しての前記マイクロミラー(20)の共振周波数であり、
前記第2の周波数(fv)は、前記第2の傾斜軸を中心にする偏向に関しての前記マイクロミラー(20)の共振周波数(fres)より低い制御装置。
【請求項9】
複数の力入力素子(21、22、23、24)を備える少なくとも1つのマイクロミラー(20)を有するマイクロミラーモジュール(15)と、
所定の画像データにしたがい光線を形成し、該光線を前記マイクロミラーモジュール(15)の少なくとも1つのマイクロミラー(20)に向けるよう構成された画像形成装置(16)と、
前記所定の画像データを形成して前記画像形成装置(16)に供給するよう構成された画像データ形成装置(11)と、
少なくとも1つのマイクロミラー(20)の傾斜運動を前記力入力素子の制御(21、22、23、24)によって形成し、前記画像形成装置(16)により形成された光線が、前記少なくとも1つのマイクロミラー(20)によって前記画像データに対応する画像を形成するために偏向されるよう構成された、請求項6から8のいずれか1項に記載の制御装置(1)と、を有する画像投影システム(10)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−41281(P2013−41281A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180652(P2012−180652)
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】
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