説明

マスク組立体及びこれを利用した平板表示装置用蒸着装置

【課題】蒸着工程時基板の重量によりマスク組立体のパターンが変形されることを防止して、蒸着精密度を向上させることができるマスク組立体及びこれを利用した平板表示装置用蒸着装置を提供する。
【解決手段】開口部120及び開口部を囲んだフレーム110を含むフレームマスク100と;一つまたは複数のパターンが形成されるパターン部及び引張されてフレームと接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)される接合部を含むパターンマスク200;及び開口部を横切って、パターンマスクと接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)される支持台300を含むマスク組立体に関する。チャンバーと;チャンバーの下側に位置する蒸着源;及び蒸着源上に位置し、基板を支持するためのマスク組立体を含むことを特徴とする平板表示装置用蒸着装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク組立体及びこれを利用した平板表示装置用蒸着装置に係り、蒸着工程時基板の重量によりマスク組立体のパターンが変形することを防止して蒸着精密度を向上させることができるマスク組立体及びこれを利用した平板表示装置用蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平板表示装置(Flat Panel Display device)は、軽量及び薄形等の特性によって、陰極線管表示装置(Cathode-ray Tube Display device)を代替する表示装置で用いられていて、代表的な例で液晶表示装置(Liquid Crystal Display device;LCD)と有機電界発光表示装置(Organic Light Emitting diode Display device;OLED)がある。このうち、有機電界発光表示装置は液晶表示装置に比べて輝度特性及び視野角特性が優れてバックライト(Back light)を必要としなくて超薄型で具現できるという長所がある。
【0003】
このような有機電界発光表示装置は、有機薄膜に陰極(Cathode)から注入される電子(Electron)と陽極(Anode)から注入される正孔(Hole)が再結合して励起子を形成して、形成された励起子からのエネルギーにより特定の波長の光が発生する現象を利用した表示装置である。
【0004】
前記有機電界発光表示装置は、ガラス、ステンレススチールまたは合成樹脂で形成された基板上に陰極、陽極及び有機薄膜などを選択的に形成するために、フォトリソグラフィ方法または複数のスリット(slit)を含むパターンが形成されたマスク組立体を利用した蒸着法を用いる。このうち、前記フォトリソグラフィ方法は一部領域にフォトレジスタを塗布した後、湿式エッチングまたは乾式エッチングする方法で前記フォトレジスタを剥離する過程及びエッチング過程で水分が流入するので、前記有機薄膜のように水分により劣化される物質は前記マスク組立体を利用した蒸着法が主に使われる。
【0005】
前記のような有機電界発光表示装置は、フルカラー(full-color)をディスプレイするためにR、G、B有機発光層を含む有機電界発光素子を形成しており、複数の開口部が形成されたマスクパターンを蒸着対象物すなわち、前記R、G、B有機発光層を含む有機電界発光素子が形成される基板上に整列させて、前記マスクパターンの開口部を介して前記R、G、B有機発光層等の蒸着対象物を前記基板に提供して希望する形態のパターンを基板上に蒸着することによって、基板上の一定領域に前記R、G、B有機発光層を含む有機電界発光素子をそれぞれ形成しているので、前記マスク組立体のパターンが非常に精密に整列(位置合わせ)されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−165015号公報
【特許文献2】大韓民国出願公開第2006−18343号明細書
【特許文献3】大韓民国出願公開第2006−55613号明細書
【特許文献4】大韓民国出願公開第2008−54741号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、マスク組立体を利用した平板表示装置用蒸着装置は、マスク組立体による蒸着精密度を高めるために、基板とマスク組立体が非常に近接するように位置させたり、前記マスク組立体が基板を支持するようにしているので、蒸着工程の中基板の重量により前記基板の中心部がマスク組立体方向に撓む場合、前記基板により前記マスク組立体のパターンマスクが押されるようになって前記マスク組立体のパターンが変形して問題点が生じる。
【0008】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するため、蒸着工程時基板の重量によりマスク組立体のパターンが変形されることを防止して、蒸着精密度を向上させることができるマスク組立体及びこれを利用した平板表示装置用蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記目的は、開口部及び前記開口部を囲んだフレームを含むフレームマスクと;一つまたは複数のパターンが形成されるパターン部及び引張されて前記フレームと接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)される接合部を含むパターンマスク;及び前記開口部を横切って、前記パターンマスクと接合される支持台を含むマスク組立体により達成される。
【0010】
また、本発明の前記目的は、チャンバーと;前記チャンバーの下側に位置する蒸着源;及び前記蒸着源上に位置し、基板を支持するためのマスク組立体を含み、前記マスク組立体は開口部及び前記開口部を囲んだフレームを含むフレームマスク、一つまたは複数のパターンが形成されるパターン部及び引張されて前記フレームと接合される接合部を含むパターンマスク及び前記開口部を横切って、前記パターンマスクと接合される支持台を含むことを特徴とする平板表示装置用蒸着装置により達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるマスク組立体及びこれを利用した平板表示装置用蒸着装置は、マスクフレームの開口部を横切って、一つまたは複数のパターンを含むパターンマスクを支持するための支持台を具備して、前記支持台とパターンマスクを接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)して、蒸着工程の中基板の重量によりパターンマスクが変形することを防止することによって、マスク組立体による蒸着精密度を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の実施形態によるマスクフレームを示した斜視図である。
【図1B】本発明の実施形態によるマスクフレームのパターンを拡大した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態によるマスクフレームを利用した平板表示装置用蒸着装備を示した概略図である。
【図3】本発明の実施形態によるマスクフレームの他の例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の前記目的と技術的構成及びそれによる作用効果に関する詳細な事項は、本発明の好ましい実施形態を示している図面を参照した以下詳細な説明によりさらに明確に理解される。また、明細書全体にかけて同一参照番号は同一構成要素を示すものであって、図面において層及び領域の長さ、厚さ等は便宜のために誇張して示すことがある。
【0014】
<実施形態>
図1Aは、本発明の実施形態によるマスク組立体を示した斜視図であって、図1Bは本発明の実施形態によるマスク組立体のパターンを拡大した図面であって、図2は本発明の実施形態によるマスクフレームを利用した平板表示装置用蒸着装備を示した概略図である。
【0015】
図1A及び図1Bを参照すると、本発明の実施形態によるマスク組立体は、開口部120を含むマスクフレーム100、長さ方向である第1方向(X)に引張されて前記マスクフレーム100に接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)される複数のパターンマスク200及び前記開口部120を横切る支持台300を含む。ここで、本発明の実施形態は前記マスクフレーム100に複数のパターンマスク200が第1方向(X)に引張接合されると説明しているが、前記開口部120に対応する面積を有する単一パターンマスク200が第1方向(X)及び前記第1方向(X)と垂直な第2方向(Y)のうちどの1方向または全ての方向に引張接合することができる。
【0016】
前記マスクフレーム100は、開口部120及び前記開口部120を囲み、前記パターンマスク200と接合されるフレーム110を含み、前記マスクフレーム100のフレーム110は前記パターンマスク200の終端部が接合されて固定されることができるように圧縮力により変形が少ない物質、すなわち剛性が大きい金属材料であることが好ましい。
【0017】
前記パターンマスク200は、前記開口部120に対応されるように一つまたは複数のパターン210が形成されたパターン部220及び第1方向(X)に引張されて前記フレーム110に接合される接合部230を含み、前記パターン210は一つまたは複数のスリット(slit、201)を含む。ここで、前記パターンマスク200は金属薄膜で形成された微細金属マスク(Fine Metal Mask)であることができ、ステンレススチール(Steel Use Stainless;SUS)、インバール(Invar)、ニッケル、コバルト及びこれらの合金で構成されたグループから選択されたいずれか一つで形成することができる。
【0018】
前記支持台300は、前記マスクフレーム100の開口部120を横切るように位置して前記パターンマスク200が変形されることを防止するためであるので、図1Aに示したように、複数のパターンマスク200が前記マスクフレーム100と接合される場合、前記パターンマスク200の長さ方向である第1方向(X)と垂直な第2方向(Y)に前記開口部120を横切ることが好ましい。ここで、前記支持台300と前記パターンマスク200間の接合により前記パターンマスク200のパターン210が遮蔽されることを防止するために、前記支持台300は前記パターンマスク200のパターン210間で前記パターンマスク200と接合されるようにして、前記支持台300とパターンマスク200間の接合点(P)が前記パターン210間に位置するようにすることがさらに好ましい。
【0019】
前記支持台300は、互いに離隔されて位置する複数個が具備されることができ、断面が円形、多角形またはその他いかなる形状でも無関係だと言えるが、前記パターンマスク200に圧力が加わる場合、前記支持台300により前記パターンマスク200が損傷することを防止し、前記支持台300とパターンマスク200の接合性を高めるために、前記パターンマスク200と一定面積が接触する多角形であることが好ましい。
【0020】
図2を参照すると、本発明の実施形態によるマスクフレームを利用した平板表示装置用蒸着装置は、チャンバー400、チャンバー400の下側に位置する蒸着源410及び前記蒸着源410上に位置し、基板(S)を支持するためのマスク組立体100を含む。ここで、前記平板表示装置用蒸着装置は前記マスク組立体100を固定するための別途の固定部材420をさらに含むこともできる。
【0021】
図2を参照して本発明の実施形態によるマスク組立体を利用した薄膜蒸着過程を説明すると、前記マスク組立体を固定部材420に固定した後、前記マスク組立体のパターンマスク200上に基板(S)を位置させる。ここで、前記基板(S)は別途のホルダー(図示せず)により前記パターンマスク200と一定間隔離隔されるように位置させることができる。
【0022】
次に、前記チャンバー400の下側に位置する蒸着源410から蒸着物質が噴射または蒸発すると、前記パターンマスク200のパターン210により前記基板(S)上に一定パターン(pattern)を有するように蒸着物質が蒸着される。ここで、前記チャンバー400内部の温度により前記マスク組立体が熱膨張される場合、前記支持台300とマスクフレーム100間の熱膨張特性差による前記支持台300の離脱または変形を防止するために、前記支持台300は前記マスクフレーム100と同一金属で形成することが好ましい。
【0023】
この時、蒸着工程の中前記基板(S)の重量によって、前記基板(S)の中心部に前記蒸着源410方向に応力が発生して、前記基板(S)を支持する前記パターンマスク200は、前記支持台300と接合されているので、前記応力は前記パターンマスク200を支持する支持台300により分散されて、前記パターンマスク200は変形しない。
【0024】
ここで、前記支持台300により前記マスクフレーム100とパターンマスク200間の距離が増加する場合、前記マスクフレーム100のフレーム110とパターンマスク200の接合部230間の接合が容易でなかったり、接合による結合力が低下する場合があるので、図3に示したように、前記マスクフレーム100のフレーム110は、前記支持台300の終端部を収容するための溝311が形成されることが好ましく、前記溝311の深さは前記支持台300の厚さと同一であることがさらに好ましい。
【0025】
結果的に、本発明の実施形態によるマスク組立体及びこれを利用した平板表示装置用蒸着装置はマスクフレームの開口部を横切って、一つまたは複数のパターンを含むパターンマスクを支持するための支持台を具備して、前記支持台とパターンマスクを接合することによって、蒸着工程の中基板の重量によりパターンマスクが変形されることを防止する。
【符号の説明】
【0026】
100:マスクフレーム
110:フレーム
200:パターンマスク
205:スリット(slit)
220:パターン部
300:支持台
311:溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部及び前記開口部を囲んだフレームを含むフレームマスクと;
一つまたは複数のパターンが形成されるパターン部及び前記フレームと接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)される接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)部を含むパターンマスク;及び
前記開口部を横切って、前記パターンマスクと接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)される支持台を含むことを特徴とするマスク組立体。
【請求項2】
前記パターンマスクの接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)部は、前記パターンマスクの長さ方向である第1方向に引張されて前記フレームと接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)されることを特徴とする請求項1に記載のマスク組立体。
【請求項3】
前記支持台は、前記第1方向と垂直な第2方向に開口部を横切ることを特徴とする請求項2に記載のマスク組立体。
【請求項4】
前記支持台は、前記第2方向に互いに離隔されるように複数個が位置することを特徴とする請求項3に記載のマスク組立体。
【請求項5】
前記フレームは、前記支持台の終端部を収容するための溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載のマスク組立体。
【請求項6】
前記溝の深さは、前記支持台の厚さと同一なことを特徴とする請求項5に記載のマスク組立体。
【請求項7】
前記パターンマスクは、微細金属マスクであることを特徴とする請求項1に記載のマスク組立体。
【請求項8】
前記支持台は、前記マスクフレームと同一材質であることを特徴とする請求項1に記載のマスク組立体。
【請求項9】
前記パターンマスクと支持台間の接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)点は、前記パターンマスクのパターン間に位置することを特徴とする請求項1に記載のマスク組立体。
【請求項10】
前記パターンは、一つまたは複数のスリットを含むことを特徴とする請求項1に記載のマスク組立体。
【請求項11】
チャンバーと;
前記チャンバーの下側に位置する蒸着源;及び
前記蒸着源上に位置し、基板を支持するためのマスク組立体を含み、
前記マスク組立体は、開口部及び前記開口部を囲んだフレームを含むフレームマスク、一つまたは複数のパターンが形成されるパターン部及び前記フレームと接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)される接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)部を含むパターンマスク及び前記開口部を横切って、前記パターンマスクと接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)される支持台を含むことを特徴とする平板表示装置用蒸着装置。
【請求項12】
前記パターンマスクの接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)部は、前記パターンマスクの長さ方向である第1方向に引張されて前記フレームと接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)されることを特徴とする請求項11に記載の平板表示装置用蒸着装置。
【請求項13】
前記支持台は、前記第1方向と垂直な第2方向に開口部を横切ることを特徴とする請求項12に記載の平板表示装置用蒸着装置。
【請求項14】
前記支持台は、前記第2方向に互いに離隔されるように複数個が位置することを特徴とする請求項13に記載の平板表示装置用蒸着装置。
【請求項15】
前記フレームは、前記支持台の終端部を収容するための溝が形成されることを特徴とする請求項11に記載の平板表示装置用蒸着装置。
【請求項16】
前記溝の深さは、前記支持台の厚さと同一なことを特徴とする請求項15に記載の平板表示装置用蒸着装置。
【請求項17】
前記パターンマスクは、微細金属マスクであることを特徴とする請求項11に記載の平板表示装置用蒸着装置。
【請求項18】
前記支持台は、前記マスクフレームと同一材質であることを特徴とする請求項11に記載の平板表示装置用蒸着装置。
【請求項19】
前記パターンマスクと支持台間の接合(溶接、半田付け、ロウ付け等)点は、前記パターンマスクのパターン間に位置することを特徴とする請求項11に記載の平板表示装置用蒸着装置。
【請求項20】
前記マスク組立体を固定するための固定部材をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の平板表示装置用蒸着装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−180476(P2010−180476A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188441(P2009−188441)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】