説明

マルチセンサ間隙プローブ

【課題】ブレード先端間隙を測定する方法及び能動間隙制御の方法を提供する。
【解決手段】縦方向及び横方向に配置した第1及び第2のセンサ2、3を備えたマルチセンサ間隙プローブ1は、センサと縦方向に配置した回転ロータ30との間の第1及び第2の距離D1、D2を測定するように作動する。センサは、半径方向外側タービンブレード先端82とブレード先端を囲む環状ステータシュラウド72との間のブレード先端間隙を測定するように作動する。ブレード先端は、スキーラ先端とすることができ、センサは、センサとスキーラ先端壁129の頂部137及びスキーラ先端の空洞内の外向きに向いた壁131との間の距離を測定するように作動可能である。プローブは、制御装置に作動可能に接続して第1及び第2の距離を示す信号を送信して、能動間隙制御に使用する空気弁を制御する。プローブの2つ又はそれ以上を使用して、ロータ中心線オフセットを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータとステータとの間の先端間隙を測定するために使用する間隙プローブに関し、より具体的には、そのようなプローブと、そのようなプローブを使用してガスタービンエンジン内でブレード先端間隙を測定する方法及び能動間隙制御システムで使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
推力、燃料消費率(SFC)及び排気ガス温度(EGT)マージンのようなエンジン性能パラメータは、タービンブレード先端と該ブレード先端を囲む固定シール又はシュラウドとの間の間隙に大きく左右される。タービンブレード先端と固定シール又はシュラウドとの間の間隙は、該タービンブレード先端と固定シール又はシュラウドとの間の摩擦を回避しながら最小にすべきである。これらの間隙は、ロータ及びステータ構成要素の熱的成長(熱膨張)及び機械的成長(機械的伸び)の異なる量及び率によって影響を受ける。機械的伸びは、速度及び圧力が変化した時に発生する遠心力によるものである。ブレード及びロータの伸びは一般的に、ステータの伸びよりも遙かに大きい。ステータの熱膨張は一般に、ロータの熱膨張よりも大きく、また遥かに急速に起こる。ブレードの熱膨張は、三者の中で最も急速である。エンジンの過渡及び定常状態運転の全体にわたって、間隙をできるだけ緊密に維持しながら、これらの異なる成長を調和させることが大いに望ましい。
【0003】
これらの異なる成長を調和させる1つの方法である能動間隙制御は、よく知られた方法であり、エンジンファン及び/又は圧縮機からの低温又は比較的高温の空気の流れを調整しかつそれを高圧及び低圧タービンケーシング上に吹き付けて、定常状態高高度巡航条件下において高圧及び低圧タービンブレードに対してそれらケーシングを収縮させる方法である。空気は、ブレード先端の周りにシュラウド又はシールを支持するために使用したフランジ又は擬似フランジのようなその他の固定構造体に向けて流すか又はそれら構造体上に吹き付けることができる。
【0004】
回転ブレード先端とそれらを囲むシュラウドとの間の間隙を厳密かつ正確に測定しかつモニタすることができることが大いに望ましい。使用する熱制御空気量を最少にしかつブレード先端及びシュラウド間の摩擦を防止してエンジンの磨耗及びブレード寿命を改善するために、ブレード先端間隙を測定するプローブ及びそれらプローブを使用する方法が開発されてきた。プローブを使用してブレード先端間隙を判定することは公知であり、またそれらプローブは、より正確であることが望ましい。
【特許文献1】米国特許第4,063,167号公報
【特許文献2】米国特許第4,326,804号公報
【特許文献3】米国特許第4,357,104号公報
【特許文献4】米国特許第4,632,635号公報
【特許文献5】米国特許第4,999,991号公報
【特許文献6】米国特許第5,081,830号公報
【特許文献7】米国特許第5,101,165号公報
【特許文献8】米国特許第5,140,494号公
【特許文献9】米国特許第5,739,524号公報
【特許文献10】米国特許第6,717,418号公報
【特許文献11】米国特許第6,949,922号公報
【特許文献12】米国特許第7,079,957号公報
【特許文献13】米国特許出願公開第2005/0286995号公報
【特許文献14】欧州特許出願公開第1676978 A2号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
縦方向及び横方向に間隔を置いて配置された第1及び第2のセンサを有し、該センサと該センサから縦方向に間隔を置いて配置された回転ロータとの間のそれぞれ第1及び第2の距離を測定するように作動可能である少なくとも1つのマルチセンサ間隙プローブを提供する。本プローブは、センサとロータの周辺部に取付けられたタービンブレードの半径方向外側ブレード先端との間のそれぞれ第1及び第2の距離を測定して、ブレード先端と該ブレード先端を囲む環状ステータシュラウドとの間の間隙を判定するように使用することができる。
【0006】
ブレード先端は、半径方向外向きに向いた壁から半径方向外向きにかつ該半径方向外向きに向いた壁の周りで円周方向に延びてその中にスキーラ先端空洞を形成したスキーラ先端壁を有するスキーラ先端とすることができる。第1及び第2のセンサは、該センサとブレード先端のスキーラ先端壁の頂部との間のそれぞれ
第1及び第2の距離を測定するようにさらに作動可能である。第1及び第2のセンサはさらに、該センサと半径方向外向きに向いた壁との間のそれぞれ第1及び第2の距離を測定するように作動可能とすることができる。
【0007】
ブレード先端とステータシュラウドとの間の間隙を調整するために使用する熱制御空気を制御する空気弁は、制御装置に作動可能に接続されて、制御装置は、空気弁を調整しかつ開閉する。第1及び第2のセンサは、信号処理装置を介して制御装置に作動可能に接続され、信号処理装置は、第1の距離を示す信号を制御装置に送信して該制御装置が空気弁を調整しかつ開閉するのを助けるようする。信号処理装置は、第2の距離を示す信号を使用して、制御装置に送信される第1の距離の第1のセンサ測定値を較正する。
【0008】
少なくとも第1及び第2の角度的に間隔を置いて配置されたマルチセンサ間隙プローブは、該間隙プローブの各々内に少なくとも第1及び第2のセンサを含む。第1及び第2のセンサは、縦方向及び横方向に間隔を置いて配置され、かつ該センサと該センサから縦方向に間隔を置いて配置された回転ロータとの間のそれぞれ第1及び第2の距離を測定するように作動可能である。ロータの周辺部に取付けられたタービンブレードは、半径方向外側ブレード先端を有し、また環状ステータシュラウドは、ブレード先端を囲む。第1及び第2のセンサは、該センサと半径方向外側ブレード先端との間の第1及び第2の距離を測定するように作動可能である。
【0009】
方法は、回転ロータと該ロータを囲むステータシュラウドと間の間隙を、少なくとも縦方向及び横方向に間隔を置いて配置された第1及び第2のセンサを有する少なくとも1つのマルチセンサ間隙プローブを使用して該第1及び第2のセンサと回転ロータとの間のそれぞれ少なくとも第1及び第2の距離を測定することによって判定するステップを含む。本方法は、センサとロータの周辺部に取付けられたタービンブレードの半径方向外側ブレード先端との間の第1及び第2の距離を測定するステップと、第1及び第2の距離に少なくとも部分的に基づいてブレード先端の高さにおける変化を判定するステップとを含むことができる。摩擦は、ブレード先端の高さにおける変化から判定することができる。
【0010】
本方法の別の実施形態は、第1及び第2の距離に少なくとも部分的に基づいて熱制御空気を調整するステップと、熱制御空気を能動間隙制御システム内において使用してタービンブレードのブレード先端と該ブレード先端を囲む環状ステータシュラウドとの間のタービンブレード先端間隙を制御するようにするステップとを含む。調整するステップは、さらに所望のブレード先端間隙に基づくものとすることができ、かつさらに第1及び第2の距離に少なくとも部分的に基づいて測定先端間隙を所望のブレード先端間隙と比較するステップ含むことができる。
調整するステップはまた、さらに計算瞬時ブレード先端間隙と、測定先端間隙及び/又は計算瞬時ブレード先端間隙を所望のブレード先端間隙と比較するステップとに基づくものとすることができる。
【0011】
計算瞬時ブレード先端間隙は、第1のエンジン運転パラメータの組に基づくものとすることができ、また所望のブレード先端間隙は、第2のエンジン運転パラメータの組に基づくものとすることができる。第1のエンジン運転パラメータの組は、ロータ及びステータ時定数、測定コアロータ速度、空気流量、温度及び圧力、スロットル動作後経過時間、並びに高度を含む第1の群から選択することができる。第2のエンジン運転パラメータの組は、測定コアロータ速度、周囲条件の全大気温度、並びに高度を含む第2の群から選択することができる。
【0012】
本方法のさらに別の実施形態は、第1及び第2の距離に基づいてロータ中心線オフセットを判定する。
【0013】
ブレード先端は、半径方向外向きに向いた壁から半径方向外向きにかつ該半径方向外向きに向いた壁の周りで円周方向に延びてその中にスキーラ先端空洞を形成したスキーラ先端壁を有するスキーラ先端とすることができ、測定するステップは、センサとスキーラ先端壁の頂部との間の第1及び第2の距離を測定するステップを含む。第1及び第2の距離はまた、センサと半径方向外向きに向いた壁との間で測定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の上記の態様及びその他の特徴は、添付図面に関して行う以下の記述において説明する。
【0015】
図1に断面で概略的に示すのは、能動間隙制御システム12を含む航空機用ガスタービンエンジン10の例示的な実施形態である。エンジン10は、下流方向直列流れ関係で、ファン14を含むファンセクション13と、ブースタ又は低圧圧縮機(LPC)16と、高圧圧縮機(HPC)18と、燃焼セクション20と、高圧タービン(HPT)22と、低圧タービン(LPT)24とを有する。エンジン軸線8の周りに配置された高圧シャフト26は、HPT22をHPC18に対して駆動連結し、また低圧シャフト28は、LPT24をLPC16及びファン14に対して駆動連結する。HPT22は、HPTロータ30を含み、HPTロータ30は、該ロータ30の周辺部に取付けられたタービンブレード34を有する。ブレード34は、翼形部37を含み、翼形部37は、ブレードプラットフォーム39からブレード34及び該翼形部37の半径方向外側ブレード先端82まで半径方向外向きに延びる。
【0016】
加圧ファン空気供給源32が、軸方向空気供給管42を通してタービンブレード先端間隙制御装置40に供給される熱制御空気36の供給源として使用される。空気供給管42内に配置された空気弁44は、それを通って流れる熱制御空気量を制御する。熱制御空気36は、本明細書に示す能動間隙制御システム12の例示的な実施形態における冷却空気である。この冷却空気は、ブースタ又は低圧圧縮機(LPC)16を囲むファンバイパスダクト15から軸方向空気供給管42を通してタービンブレード先端間隙制御装置40の分配マニフォルド50に制御可能に流される。空気弁44と図2に示すタービンブレード先端間隙CLを制御するために衝突させる熱制御空気36の量とは、制御装置48によって制御される。制御装置48は、しばしば完全自動デジタル電子制御装置(FADEC)と呼ばれるデジタル電子エンジン制御システムであり、前方及び後方熱制御リング84、86上に衝突させる熱制御空気36の量及び温度を所望に応じて制御し、従ってタービンブレード先端間隙CLを制御する。
【0017】
軸方向空気供給管42への空気供給口19は、ファン14の下流のファンバイパスダクト15内に配置された出口案内ベーン17の下流に設置される。分配マニフォルド50は、高圧タービン22の一部分を取り巻く。マニフォルド50は、複数のヘッダ組立体57の複数のプレナム56に冷却空気を分配する環状供給管54を含み、冷却空気は、ヘッダ組立体57から図2及び図3に示すようにエンジン軸線8の周りを囲む複数の環状スプレー管60に分配される。以下においてACC流れモデル92と呼ぶアルゴリズム又は数学的計算能動間隙制御流れモデルが、タービンブレード先端間隙CLを制御するために使用され、また制御装置48内に格納されかつ該制御装置48内で実行される。
【0018】
ACC流れモデル92は、エンジン運転パラメータ及びエンジンの様々な部品の物理特性に基づいている。制御装置48は、計算ACC流れモデル92に基づいて弁位置信号を空気弁44に送信して、熱制御空気36の総量を制御する。空気弁44は、弁位置信号に従って漸増的に開放される。ACC流れモデル92は、計算ブレード先端損耗量DT(図4に示す)に少なくとも部分的に基づくものとすることができる。半径方向ブレード先端間隙CLは、エンジンの使用時間及びサイクル量が増大するにつれて増加したブレード先端損耗量DTを含む。
【0019】
本明細書に示した例示的な実施形態では、ACC流れモデル92は、ブレード先端損耗量DTを考慮に入れた付加的損耗項と共に測定リアルタイム又は瞬時ブレード先端間隙CLを含む。このブレード先端間隙は、本明細書では測定間隙と呼ぶことにする。ブレード先端損耗量DTを判定するための間隙モデルプログラムCLMは、FADEC内でACC流れモデル92の一部として実行される。間隙モデルプログラムCLMは、エンジンが始動した後にFADEC内のバックグラウンド内において実行される。
【0020】
間隙モデルプログラムCLMはまた、エンジンの様々な部品の物理特性を含む第1のエンジン運転パラメータの組に基づいて合成リアルタイム又は瞬時ブレード先端間隙を判定するために使用される。第1のエンジン運転パラメータの組には一般的に、それに限定されないが、ロータ及びステータ時定数、測定コアロータ速度(N2)、空気流量、温度及び圧力、スロットル動作後経過時間、並びに高度が含まれる。この間隙は、本明細書では合成又は計算間隙と呼ぶことにする。本明細書では要求間隙と呼ぶ所望の先端間隙の計画値は、エンジンの様々な部品の物理特性を含む第2のエンジン運転パラメータの組に基づいて、間隙モデルプログラムCLMによって計算又は判定される。第2のエンジン運転パラメータの組及び/又は物理特性には一般的に、それに限定されないが、測定コアロータ速度(N2)、周囲条件の全大気温度(TAT)、並びに高度が含まれる。この間隙は、本明細書では要求間隙と呼ぶことにする。
【0021】
一般的に過去においては、瞬時ブレード先端間隙は、現在の間隙として使用されかつ常に要求間隙と比較され、また空気弁44は、これら2つの間隙が本質的に一致するまで反復プロセスで調整された。本明細書に開示した能動間隙制御システム12を作動させる方法は、測定間隙を使用し、本明細書に示したより具体的な方法では、本方法は、計算間隙及び要求間隙と共に測定間隙を使用する。
【0022】
図2に示すのは、前方及び後方ケースフック68、70によってHPT22の半径方向外側ケーシング66に取付けられた第1のタービンステータ組立体64である。第1のステータ組立体64は、シュラウドセグメント77を有する環状セグメント化ステータシュラウド72を含み、シュラウドセグメント77は、前方及び後方シュラウドフック74、76によって第1のタービンステータ組立体64の環状セグメント化シュラウド支持体80に取付けられる。シュラウド72は、ロータ30のタービンブレード34のブレード先端82を囲み、ブレード先端82の周りで流れが漏出するのを減少させる助けをする。能動間隙制御システム12は、特にエンジン10の巡航運転時に、ブレード先端82とシュラウド72との間の半径方向ブレード先端間隙CLを最小にするために使用される。能動間隙制御はまた、熱制御空気、一般的には冷却空気をステータシュラウドを支持する外側又は内側タービンケーシングに吹き付けるか又は衝突させることによって行うことができる。能動間隙制御システム12は、ブレード先端82とシュラウド72との間の半径方向ブレード先端間隙CLを測定する複数つまりマルチセンサ間隙プローブ1を組み込んでいる。本明細書に示したプローブ1は、容量プローブである。
【0023】
図3及び図4に示すのは、スキーラ先端の形態になったブレード先端82であり、スキーラ先端は、半径方向外向きに向いた壁131から半径方向外向きにかつ該半径方向外向きに向いた壁131の周りで円周方向に延びてその中にスキーラ先端空洞133を形成したスキーラ先端壁129を有する。スキーラ先端壁129は、正圧及び負圧側壁セクション116、118を含み、ロータ30の回転方向をDROTで示している。冷却孔59は、ブレード先端82を冷却するために使用される。
【0024】
図4に断面で概略的に示すのは、ハウジング4内に取付けられた第1及び第2のセンサ2、3を有するマルチセンサ間隙プローブ1の例示的な実施形態である。プローブ1は、ロータ構成要素が回転している状態でのそれぞれ第1及び第2のセンサ2、3とロータ構成要素(この図ではタービンブレード34のブレード先端82として図示している)上の位置との間の第1及び第2の半径方向つまり縦方向距離D1、D2を測定するように設計される。プローブ1は、本明細書では2つのセンサ有するものとして示しているので、二重センサ間隙プローブ1と呼ぶことができる。
【0025】
第1及び第2のセンサ2、3は、縦方向オフセットYだけ縦方向に間隔を置いて配置され、また横方向オフセットXだけ横方向に間隔を置いて配置される。従って、それぞれ第1及び第2のセンサ2、3とロータ30上の点Pとの間の第1及び第2の距離D1、D2は、常に異なっており、また縦方向オフセットYだけ異なっているべきである。本明細書では、プローブ1は、ブレード先端82とステータシュラウドとの72間、より具体的には、スキーラ先端壁129の正圧及び負圧側壁セクション116、118間の間隙を測定するのに使用するものとして示している。プローブは、ブレード先端82の半径方向外向きに向いた壁131のようなロータの比較的損耗していない部分の第1及び第2の距離D1、D2を測定することによって、常にリアルタイムに較正することができる。本明細書に示した第2のセンサ3は、容量センサである。
【0026】
間隙を測定するための2つ又はそれ以上の縦方向に間隔を置いて配置されたつまりオフセットされたセンサを備えた間隙プローブ1は、各ブレード先端82がプローブの側を通過する時に能動間隙制御システム12のリアルタイム較正を可能にすると共に、電子機器に対する温度の影響及び取付け変動に対する補正を可能にする。間隙プローブ1を使用した間隙の直接測定は、ブレード先端喪失DT(摩擦、酸化又は侵食による)の検出を可能にする。タービン効率の低下をもたらすこのブレード先端喪失DTは、能動間隙制御システムにより制御される衝突冷却流をさらに調整することによって、タービン効率低下の影響を効果的に回復させることによって、またエンジンの効率及び機体搭載寿命を増大させることによって相殺又は適応することができる。
【0027】
ロータ及び/又はステータ構成要素の軸対称成長差によって或いはロータに対するケーシングの非軸対称歪み又は変形によってケーシングが変化する可能性があり、間隙は、そのようなケーシングの周りで変動することになる。後者の場合には、間隙はセンサ位置において増大しているが、実際には間隙が局所的に減少するおそれがある。このことは、ブレード先端が異なるクロック位置において摩擦した時に、間隙制御システムが、センサ読取り値に基づいて間隙を閉鎖させるように駆動することによって、不安定な摩擦を生じさせることになる危険性を引き起こす。ブレード先端における間隙の測定値及びケースからさらに遠いブレード上の別の半径方向位置における間隙の測定値は、図4に示すようなブレード先端の高さH及びさらにブレード先端喪失量DTを測定するために使用することができる。高さHは、スキーラ先端空洞133の半径方向外向きに向いた壁131から測定される。この測定値高さにおける変化は、摩擦が発生している時を示すことになり、不安定なブレード摩擦を回避するために使用することができる。プローブによって測定されたブレード先端間隙CLによって示されたこれらのブレード先端間隙データを軸受近接プローブデータと共に使用することにより、ロータ軌道運動又は振動による間隙閉鎖を評価しかつ間隙閉鎖によって生じる摩擦を最少にすることができる。FADEC内のプログラムは、エンジン内の他の場所にある振動プローブによって検出された振動振幅を既に調べており、そのデータを使用してエンジン運転に関連した問題(例えば、軸受劣化、ブレード異物損傷、等々)の発生可能性を検出する。
【0028】
図5に示すのは、プローブ1の第1及び第2のセンサ2、3によって測定された例示的な第1及び第2の容量波形信号S1、S2である。第1及び第2の容量波形信号S1、S2は、第1及び第2の波形W1、W2を特徴とする。第1の波形W1は、第1の負圧側及び正圧側ピークP1S、P1Pを有し、これら両ピーク間に第1の谷底B1を有する第1の谷を備えている。第2の波形W2は、第2の負圧側及び正圧側ピークP2S、P2Pを有し、これら両ピーク間に第2の谷底B2を有する第2の谷を備えている。
【0029】
第1及び第2の最大信号読取り値C1MAX、C2MAXは、スキーラ先端壁129の負圧側壁セクション118が回転してプローブ1の第1及び第2のセンサ2、3を通過した時の該負圧側壁セクション118の読取り値である。第1及び第2の容量波形信号S1、S2はさらに、それぞれ第1の最大信号読取り値C1MAXがその後に続く第1の最小信号読取り値C1MINを有する第1の波形及び第2の最大信号読取り値C2MAXがその後に続く第2の最小信号読取り値C2MINを有する第2の波形を特徴とする。シュラウド又はプローブ1とロータ上のいずれかの特徴形状部との間の、下記等式の距離D(図4には第1及び第2の距離D1、D2として示している)は、下記のものと同じ等式を使用して計算することができる。
【0030】
D=Kxf((C1(特徴形状部)−C1MIN)/(C2(特徴形状部)−C2MIN))
C1(特徴形状部)は、ロータ上の特徴形状部に関連した信号読取り値である。さらに図4を参照すると、本明細書に示したロータ特徴形状部には、スキーラ先端壁129の負圧側壁セクション118が含まれる。C1MAX、C2MAXは、負圧側壁セクション118が回転してプローブ1の第1及び第2のセンサ2、3を通過した時の該負圧側壁セクション118に関連している。C1MIN、C2MINは、ブレードプラットフォーム39に関連している。
【0031】
その他の関連する読取り値は、第1及び第2の谷底B1、B2に対するものである。従って、距離Dを求めるために等式を用いて、ブレード先端82とシュラウド72との間の半径方向ブレード先端間隙CLの距離及びブレード先端高さHは、各ブレードについて計算することができ、従ってロータの各回転毎にブレード先端喪失DTを計算することができる。ブレード先端高さHは、半径方向外向きに向いた壁131からスキーラ先端壁129の頂部137までの半径方向距離である。ブレード先端高さHは、ブレード先端喪失DTに等しい量だけ元の高さを減少させる損耗を受ける。
【0032】
プローブ内での複数センサ(本明細書では2つのセンサを示している)の使用は、各ブレード先端がプローブの側を通過する時にシステムのリアルタイム較正を可能にし、またさらに電子機器に対する温度の影響及び取付け変動に対する補正を可能にする。間隙の直接測定は、ブレード先端喪失(摩擦、酸化又は侵食による)の検出を可能にする。タービン効率の低下をもたらすこのブレード先端喪失は、本明細書では熱制御空気36の量によって表される衝突又は冷却流をさらに調整することによって、喪失を効果的に相殺することによって、また効率及び機体搭載寿命を増大させることによって適応することができる。
【0033】
図6に示すように、エンジンは、エンジン軸線8の周りで円周方向にを中心合わせされており、エンジン軸線8はまた、シュラウド72のシュラウド円周C72で表したステータ又はシュラウド72の設計中心線であり、かつブレード先端円周C82で表したロータの設計中心線でもある。ブレード先端円周C82は、タービンブレード34のブレード先端82のうちの1つの回転によって描かれている。ロータは、オフセットした状態になってロータ中心線オフセット120を生じる可能性がある。ロータ中心線オフセット120について、ブレード先端オフセット円周CO82を図示している。本明細書では、ロータ中心線オフセット120は、設計中心線又はエンジン軸線8から測定した極座標として定義しており、このロータ中心線オフセット120は、シュラウド円周C72で表したステータ又はシュラウド72の頂部における、ケーシングの0°からの度数又はラジアンで表したクロック位置Aによって測定した角度オフセット角A3位置での半径DRにおける変化として定められる。
【0034】
ロータがオフセットした時、ケースの周りでの特定のクロック位置におけるブレード先端間隙CLは、ロータ又はステータ構成要素の軸対称成長差によって或いはロータに対するケースの非軸対称歪み又は変形によって、変化する可能性がある。この後者の場合には、間隙は間隙プローブ位置において増大を示しているが、実際には間隙が局所的に減少しているおそれがある。このことは、ブレード先端が異なるクロック位置において摩擦した時に、間隙制御システムが、単一の位置に置かれた単一のプローブに基づいて間隙を閉鎖させるように駆動することによって、不安定な摩擦を生じさせることになる危険性を引き起こす。
【0035】
半径DR及び角度オフセット角A3における変化は、上記の間隙プローブの2つ又はそれ以上を使用することによって計算することができる。本明細書に示した方法は、図6に示すようなそれぞれ角度的に間隔を置いて配置された第1及び第2のマルチセンサ間隙プローブP1、P2を使用する。これらのプローブは、90°又はそれ以上間隔を置いて配置することができるが、それらが互いに対向することになるので180°間隔を置いて配置することはできない。本明細書に示したプローブは、135°間隔を置いて配置されている。A=180°に対応するエンジン又はシュラウドの底部Bに1つのプローブを配置した場合には、シュラウド又はステータの底部に溜まる水により、プローブが損傷するおそれがある。
【0036】
上記の方法を使用して、ケーシングの周りのそれぞれ第1及び第2のクロック位置A1、A2において、それぞれ第1及び第2の間隙プローブP1、P2により、単一のブレードについて第1及び第2のブレード先端間隙C1、C2を測定することができる。公称間隙CNOMは、第1及び第2のブレード先端間隙C1、C2の平均に設定される。下記の2つの等式を使用して、半径DR及び角度オフセット角A3における変化を計算することができる。
【0037】
C1=CNOM−(DR*cos(A3−A1))
C2=CNOM−(DR*cos(A3−A2))
2つの等式と2つの未知数DR、A3があるので、半径DR及び角度オフセット角A3における変化を求めることができる。
【0038】
ブレード先端における間隙の測定値及びケースからさらに遠いブレード上の別の位置における間隙の測定値は、上に説明したように、ブレード先端の高さを測定するために使用することができる。この測定値高さにおける変化は、摩擦が発生している時を示し、不安定なブレード摩擦を回避するために使用することができる。これらのブレード先端間隙データを軸受近接プローブデータと共に使用することにより、ロータ軌道運動又は振動による間隙閉鎖もまた評価しかつ間隙閉鎖によって生じる摩擦を最少にすることができる。
【0039】
エンジン運転時に、以下においてACC流れモデル92と呼ぶアルゴリズム又は数学的計算能動間隙制御流れモデルが、タービンブレード先端間隙CLを制御するために使用される。ACC流れモデル92は、制御装置48内に格納され、かつ制御装置48内で実行される。ACC流れモデル92は、エンジン運転パラメータ及びエンジンの様々な部品の物理特性に基づくものである。制御装置48は、計算形ACC流れモデル92に基づいて弁位置信号を空気弁44に送信して、熱制御空気36の総量を制御する。空気弁44は、弁位置信号に従って漸増的に開放される。ACC流れモデル92は、計算ブレード先端損耗DTの量に少なくとも部分的に基づくものである。半径方向ブレード先端間隙CLは、エンジンの使用時間及びサイクル量が増大するにつれて増加したブレード先端損耗量DTを含む。本明細書に示した例示的な実施形態では、ACC流れモデル92は、ブレード先端損耗量DTを考慮に入れた付加的損耗項を含む。ブレード先端損耗量DTを判定するための間隙モデルプログラムCLMは、FADEC内でACC流れモデル92の一部として実行される。間隙モデルプログラムCLMは、エンジンが始動した後にFADEC内のバックグラウンド内において実行される。
【0040】
図7A〜図7Cに示したフロー図は、能動間隙制御のために空気弁44を制御する弁位置信号を計算しかつ送信するための例示的な論理を概説している。第1及び第2の間隙プローブP1、P2の各々の第1及び第2のセンサ2、3からの信号(2つよりも多いプローブが使用されている場合には、より多くの)が、プローブから信号処理装置52(図1に示すような)として働くインタフェースボックスに送信され、この信号処理装置52において、信号はデジタル化され、またプローブは、図7Aのブロック300で示すように上記の方式で較正される。シュラウド又はプローブ1と各ブレードのブレード先端との間の距離Dは、エンジンの各回転毎に各ブレードについて間隙CL及びブレード高さHを得るために、次のものと同じ等式を使用して計算される。
【0041】
D=Kxf((C1(ブレード先端又は壁131)−C1MIN)/(C2(ブレード先端又は壁131)−C2MIN))
高さHは、スキーラ先端空洞133の半径方向外向きに向いた壁131から測定される。間隙の1000回転移動平均が、ブロック310において1つのブレードについて計算されかつボックスAに送られる。
【0042】
この論理はさらに、ブロック320において、各ブレードについて間隙を測定するステップと、次にブロック330において、各ブレードについて100回転移動平均を計算するステップと、ブロック340において、n=1同期振動推定のためにロータの周りでの測定間隙の100回転移動平均のフーリエ解析を行うステップとを含む。同期振動は、ロータ速度に等しい周波数を有する振動であり、例えば6,000rpmにおいて、同期振動は、(6,000rev/min)/60sec/min)=100cycles/sec=100Hzの周波数を有することになる。プローブとブレードとの間の測定間隙は、全てのブレードについて本質的に一定であるべきである。全てのブレードについての測定間隙の分布に実施したフーリエ解析は、同期振動振幅の推定値である1/rev成分について調べられる。
【0043】
ブロック350において、測定間隙から、ブレードのうちの1つの測定間隙のフーリエ解析が行われる。ブロック360において、ロータの周りでのn=1間隙変化が各プローブにおいて確認され、プローブの各々におけるNSV(非同期振動)振幅の表示としての働きをする。ブロック340及び360で得られた結果は、ボックスBに送られる。NSV振幅は、プローブにおける振幅のベクトル和である。NSVは、非同期振動(つまり、ロータ速度に直接関係する可能性がない振動)である。
【0044】
ブロック300からのデータを使用して、ブロック370において、ブレード先端高さHが、プローブからの測定データに基づいて各ブレードについて計算される。各ブレードについての初期ベース又は初期平均ブレード先端高さHが、本明細書では0.050インチ又は50ミルとして示したベース間隙よりも小さい先端間隙を有するエンジンの最初の連続1000回転の平均値を使用して、計算される。ブロック380において、ブレード先端高さHの1000回転移動平均値が、各ブレードについて計算され、ブロック370におけるベース値又は初期平均計算値と比較される。本明細書では5つ又はそれ以上のブレードとして示した摩擦表示閾値数のブレードについての初期平均値よりも小さいブレード先端高さHの移動平均値は、摩擦条件を定めかつ示す。
【0045】
ブロック390において摩擦が検出された場合には、プログラムはボックスDに進み、またブロック390において摩擦が検出されない場合には、プログラムはブロック400に進む。ブロック400は、10000回転の運動期間にわたって摩擦が検出されたかどうかを判定し、摩擦が検出されなかった場合には、プログラムはボックスCに進む。ブロック400が10000回転の運動期間にわたって摩擦が検出されたと判定した場合には、FADEC内の能動間隙制御に何らの変更も指示しないない、ブロック410に示した結論を出す。このことは、制御装置48が、熱制御空気36の総量を増大させるか又は減少させるかのいずれかにする変更弁位置信号を空気弁44に送信する必要がないことを意味している。
【0046】
図7Bは、本明細書に示したような制御装置48又はFADEC内で実行される論理の一部分を示している。インタフェースボックスからのデータは、CANバス(制御装置エリアネットワークバス)によってFADECに送られる。ボックスAから進んで、ブロック500において、2つの2センサプローブからの測定間隙は、その類似性について互いに比較される。測定間隙が同じであると判定した場合には、プログラムはブロック560に進み、ブロック560において、静止n=1及びn=0間隙が計算される。n=1及びn=0間隙は、それぞれロータの中心線及びステータの中心線が一致していると仮定して、またロータの中心線がステータの中心線からオフセットしていると仮定して計算される。上記のように、下記の2つの等式を使用して、2つのプローブについて2つの未知数DR及びA3並びに半径DR及び角度オフセット角A3における変化を求めることができる。
【0047】
CNOM−C1=(DR*cos(A3−A1))
CNOM−C2=(DR*cos(A3−A2))
より多くのプローブを使用する場合には、その他の統計方法(つまり、最小二乗適合)を使用することができる。
【0048】
これらの間隙及びオフセットを使用して、ブロック560において、静止n=1及びn=0間隙が計算される。n=0間隙C(n=0)は、ロータの中心線及びステータの中心線が一致している(従って、間隙が円周の周りで一定である)場合に測定されることになる間隙である。n=1間隙C(n=1)は、ロータの中心線がステータの中心線から上記のDR及びA3だけオフセットしていると仮定した場合の円周の周りの間隙変化である。最小間隙は、該最小間隙Min Clr=C(n=0)−C(n=1)であることを示しているブロック580において計算される。
【0049】
ブロック500において、測定間隙が同じでないと判定した場合には、プログラムはブロック510に進み、ブロック510において2センサプローブの各々からの平均測定間隙が、FADEC内で実行しているACC分析流れモデル92からの計算間隙と比較される。ブロック520は、ACC流れモデル92からの計算間隙がブロック510におけるプローブのうちの1つからの測定間隙の平均値と一致するかど否かを照会し、一致しない場合には、プログラムのこのブランチは、ボックスEに進み、また一致する場合には、プログラムはブロック540に進む。ブロック520における照会により、ACC流れモデル92がブロック510からの測定間隙の平均値と一致すると判定された場合には、プログラムは、プローブによって測定された確認ブレード先端間隙を最小値として使用し続け、かつこの確認測定ブレード先端間隙をブロック590及び550に送る。
【0050】
ブロック540又は560からのデータは、ブロック550において、飛行又はサイクル毎に測定間隙から平均巡航間隙を計算しかつ記録するために使用される。ブロック570において、平均巡航間隙は、分析損耗モデルを調整するために使用され、この分析損耗モデルは、現在の間隙計算値を求めるために使用されるACC流れモデル92内で使用されるブレード先端損耗量DTを計算するために使用される。ブロック590は、ブロック580において計算した最小間隙を使用して又はブロック540からの確認ブレード先端間隙を最小値として使用して現在の間隙を設定し、次にそれをボックスFに送る。現在の間隙は、空気弁44の調整値を求めるのに使用される間隙である。
【0051】
ブロック400において10000回転の運動期間にわたって全く摩擦が検出されず、プログラムがボックスCに進んだ場合には、ブロック600は、現在の要求間隙が、FADEC内で実行するACC流れモデル92内で計算された計算要求間隙の所定のパーセンテージ(5%として示している)の範囲内であるかどうかを判定する。現在の要求間隙が所定のパーセンテージの範囲内である場合には、現在の要求間隙は、ブロック610に示すように、ACC流れモデル92内で計算された計算要求間隙に設定される。現在の要求間隙が所定のパーセンテージの範囲内でない場合には、現在の要求間隙は、ブロック620に示すように、所定の要求減少パーセンテージ(本明細書では1%として示している)だけ減少される。
【0052】
ブロック390において摩擦が検出されず、またプログラムがボックスDに進んだ場合には、要求間隙は、ブロック630に示すように、現在の要求間隙の所定の要求増加パーセンテージ(本明細書では110%として示している)に設定される。ブロック590からの現在の間隙と共にブロック610、620又は630からの要求間隙は、ボックスFに送られる。ブロック630において、要求間隙が現在の要求間隙の110%に設定された後に、ブロック640において、プログラムは、高圧ロータ速度(N2)、周囲条件の全大気温度(TAT)、高度(Alt)、及びFADEC内で実行しているACC流れモデル92からのACCモデル要求間隙の現在値を評価し、次にボックスGに進む。ボックスBから進むと、ブロック650に示すように、NSV振幅(プローブにおける振幅のベクトル和)が両方のプローブについて計算される。次にNSV及び同期振動振幅は、ブロック660に示すように、振動を評価するために使用される。
【0053】
図7Cは、本明細書に示した制御装置48又はFADEC内で実行される論理の残りの部分を示している。ボックスEから進むと、ブロック520において、ACC流れモデルがブロック510における2センサプローブのうちのいずれかからの測定間隙の平均値と一致しない場合には、ブロック700において、プログラムは、ブレード先端損耗DTを有する分析ACC流れモデル92からの計算間隙に現在の間隙を設定する。ボックスF及びブロック700から進むと、ブロック710において、論理は、要求間隙が現在の間隙と等しいかどうかを判定する。ブロック710において、要求間隙が現在の間隙と等しい場合には、論理は、ブロック730に進み、空気弁44の設定を変更しない。ブロック710において、要求間隙が現在の間隙と等しくない場合には、論理は、ブロック720に進み、基本プログラム論理に従って空気弁44の設定を調整する。論理プログラムは、摩擦があると判定した場合には、ボックスGからブロック740に進み、ブロック740において、ACC流れモデル要求間隙は、それらの現在の状態を増大されて将来の摩擦を防止するようにする。上記の論理プロセスは、エンジンが作動している間にFADEC内で絶えず実行されている。
【0054】
本明細書では、本発明の好ましくかつ例示的な実施形態であると考えられるものについて説明してきたが、本発明のその他の変更も本明細書の教示から当業者には明らかになる筈であり、従って、全てのそのような変更形態は、提出した特許請求の範囲において本発明の技術思想及び技術的範囲の範囲内に属するものとして保護されることが望まれる。従って、本特許によって保護されることを望むものは、提出した特許請求の範囲に記載しかつ特定した発明である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】マルチセンサブレード先端間隙プローブを使用した能動間隙制御システムを備えた航空機用ガスタービンエンジンの断面図。
【図2】図1に示す高圧タービン組立体内でタービンロータブレード先端間隙を測定するように置かれたプローブの拡大断面図。
【図3】図2に示すタービンブレードのスキーラ型タービンブレード先端の斜視図。
【図4】図2に示すプローブ及び図3に示すスキーラ先端の概略断面図。
【図5】図4に示すブレード先端がセンサの側を通過する時の2つのセンサの容量波形のグラフ図。
【図6】プローブの2つを使用してロータ中心線オフセットを判定する方法の概略図。
【図7A】能動間隙制御のためにプローブを使用してブレード先端間隙を判定するための例示的な論理を示したフロー図。
【図7B】能動間隙制御のためにプローブを使用してブレード先端間隙を判定するための例示的な論理を示したフロー図。
【図7C】能動間隙制御のためにプローブを使用してブレード先端間隙を判定するための例示的な論理を示したフロー図。
【符号の説明】
【0056】
1 マルチセンサ間隙プローブ
2 第1のセンサ
3 第2のセンサ
4 ハウジング
8 エンジン軸線
10 航空機用ガスタービンエンジン
12 能動間隙制御システム
13 ファンセクション
14 ファン
15 ファンバイパスダクト
16 ブースタ又は低圧圧縮機(LPC)
17 出口案内ベーン
18 高圧圧縮機(HPC)
19 空気供給口
20 燃焼セクション
22 高圧タービン(HPT)
24 低圧タービン(LPT)
26 高圧シャフト
28 低圧シャフト
30 ロータ
32 ファン空気供給源
34 タービンブレード
36 熱制御空気
37 翼形部
39 ブレードプラットフォーム
40 タービンブレード先端間隙制御装置
42 空気供給管
44 空気弁
48 制御装置
50 分配マニフォルド
54 供給管
56 プレナム
57 ヘッダ組立体
60 スプレー管
64 ステータ組立体
66 外側ケーシング
68 前方ケースフック
70 後方ケースフック
72 シュラウド
74 前方シュラウドフック
76 後方シュラウドフック
77 シュラウドセグメント
80 シュラウド支持体
82 ブレード先端
84 前方熱制御リング
86 後方熱制御リング
92 ACC流れモデル
94 間隙損耗補正モデル
116 正圧側壁セクション
118 負圧側壁セクション
120 ロータ中心線オフセット量
129 スキーラ先端壁
131 半径方向外向きに向いた壁
133 スキーラ先端空洞
137 頂部
C72 シュラウド円周
C82 ブレード先端円周
CO82 ブレード先端オフセット円周
CL ブレード先端間隙
DT ブレード先端間隙損耗
B 底部
D 距離
H 高さ
P 点
Y 縦方向オフセット
X 横方向オフセット
A クロック位置
A1 第1のクロック位置
A2 第2のクロック位置
A3 角度オフセット角
B1 第1の谷底
B2 第2の谷底
C1 第1のブレード先端間隙
C2 第2のブレード先端間隙
D1 第1の距離
D2 第2の距離
P1 第1の間隙プローブ/第1のマルチセンサ間隙プローブ
P2 第2の間隙プローブ/第2のマルチセンサ間隙プローブ
S1 第1の容量波形信号
S2 第2の容量波形信号
W1 第1の波形
W2 第2の波形
P1S 第1の負圧側ピーク
P2S 第2の負圧側ピーク
P1P 第1の正圧側ピーク
P2P 第2の正圧側ピーク
CLM 間隙モデルプログラム
DR 半径
DT ブレード先端喪失/ブレード先端損耗
N2 測定コアロータ速度
TAT 周囲条件の温度
CNOM 公称間隙
DROT 回転方向
C1MAX 第1の最大信号読取り値
C2MAX 第2の最大信号読取り値
C1MIN 第1の最小信号読取り値
C2MIN 第2の最小信号読取り値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのマルチセンサ間隙プローブ(1)と、
前記間隙プローブ(1)内の少なくとも第1及び第2のセンサ(2、3)と、を含み、
前記第1及び第2のセンサ(2、3)が、縦方向及び横方向に間隔を置いて配置され、
前記第1及び第2のセンサ(2、3)が、該センサと該センサから縦方向に間隔を置いて配置された回転ロータ(30)との間のそれぞれ第1及び第2の距離(D1、D2)を測定するように作動可能である、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ロータ(30)の周辺部に取付けられたタービンブレード(34)と、
前記ブレード(34)の半径方向外側ブレード先端(82)と、
前記ブレード先端(82)を囲む環状ステータシュラウド(72)と、を含み、
前記第1及び第2のセンサ(2、3)が、該センサと前記ブレード先端(82)との間のそれぞれ第1及び第2の距離(D1、D2)を測定するように作動可能である、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ブレード先端(82)が、半径方向外向きに向いた壁(131)から半径方向外向きにかつ該半径方向外向きに向いた壁の周りで円周方向に延びてその中にスキーラ先端空洞(133)を形成したスキーラ先端壁(129)を有するスキーラ先端であり、
前記第1及び第2のセンサ(2、3)が、該センサと前記半径方向外側ブレード先端(82)のスキーラ先端壁(129)の頂部(137)との間のそれぞれ
第1及び第2の距離(D1、D2)を測定するようにさらに作動可能である、
ことをさらに特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のセンサ(2、3)が、該センサと前記半径方向外向きに向いた壁(131)との間のそれぞれ第1及び第2の距離(D1、D2)を測定するようにさらに作動可能である、
ことをさらに特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ブレード先端(82)と前記ステータシュラウド(72)との間の間隙(CL)を調整するために使用する熱制御空気(36)を制御する空気弁(44)を含み、
前記第1及び第2のセンサ(2、3)が、制御装置(48)に作動可能に接続されて、前記第1及び第2の距離(D1、D2)を示す信号を該制御装置(48)に送信するようになっており、
前記制御装置(48)が、前記空気弁(44)に作動可能に接続されて、該空気弁(44)を調整しかつ開閉する、
ことをさらに特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項6】
装置であって、
少なくとも第1及び第2の角度的に間隔を置いて配置されたマルチセンサ間隙プローブ(P1、P2)と、
前記間隙プローブ(1)の各々内の少なくとも第1及び第2のセンサ(2、3)と、を含み、
前記第1及び第2のセンサ(2、3)が、縦方向及び横方向に間隔を置いて配置され、
前記第1及び第2のセンサ(2、3)が、該センサと該センサから縦方向に間隔を置いて配置された回転ロータ(30)との間のそれぞれ第1及び第2の距離(D1、D2)を測定するように作動可能であり、該装置がさらに、
前記ロータ(30)の周辺部に取付けられたタービンブレード(34)と、
前記ブレード(34)の半径方向外側ブレード先端(82)と、
前記ブレード先端(82)を囲む環状ステータシュラウド(72)と、を含み、
前記第1及び第2のセンサ(2、3)が、該センサと前記ブレード先端(82)との間の第1及び第2の距離(D1、D2)を測定するように作動可能である、
ことを特徴とする装置。
【請求項7】
回転ロータ(30)と前記ロータを囲むステータ(72)と間の間隙(CL)を、少なくとも縦方向及び横方向に間隔を置いて配置された第1及び第2のセンサ(2、3)を有する少なくとも1つのマルチセンサ間隙プローブ(1)を使用して該第1及び第2のセンサ(2、3)と前記回転ロータ(30)との間のそれぞれ少なくとも第1及び第2の距離(D1、D2)を測定することによって判定するステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記測定するステップが、前記センサと前記ロータ(30)の周辺部に取付けられたタービンブレード(34)の半径方向外側ブレード先端(82)との間の第1及び第2の距離(D1、D2)を測定するステップを含む、
ことをさらに特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の距離(D1、D2)に少なくとも部分的に基づいて、前記ブレード先端(82)の高さ(H)における変化を判定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ブレード先端(82)の高さ(H)における変化の判定から摩擦を判定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の距離(D1、D2)に少なくとも部分的に基づいて、熱制御空気(36)を調整するステップと、
前記熱制御空気(36)を能動間隙制御システム(12)内において使用して、前記タービンブレード(34)のブレード先端(82)と前記ブレード先端(82)を囲む環状ステータシュラウド(72)との間のタービンブレード先端間隙(CL)を制御するようにするステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記熱制御空気(36)を調整するステップが、所望のブレード先端間隙と、前記第1及び第2の距離(D1、D2)に少なくとも部分的に基づいて測定先端間隙を前記所望のブレード先端間隙と比較するステップとにさらに基づいており、
前記熱制御空気(36)を調整するステップが、計算瞬時ブレード先端間隙と、前記測定先端間隙及び/又は計算瞬時ブレード先端間隙を前記所望のブレード先端間隙と比較するステップとにさらに基づいており、
前記計算瞬時ブレード先端間隙を第1のエンジン運転パラメータの組に基づくものとするステップと、
前記所望のブレード先端間隙を第2のエンジン運転パラメータの組に基づくものとするステップと、を含む、
ことをさらに特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第1のエンジン運転パラメータの組が、ロータ及びステータ時定数、測定コアロータ速度、空気流量、温度及び圧力、スロットル動作後経過時間、並びに高度を含む第1の群から選択され、
前記第2のエンジン運転パラメータの組が、測定コアロータ速度(N2)、周囲条件の全大気温度、並びに高度を含む第2の群から選択される、
ことをさらに特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも第1及び第2の距離(D1、D2)に基づいてロータ中心線オフセット(120)を判定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2008−303873(P2008−303873A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−68685(P2008−68685)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】