マルチターン用非接触式角度位置センサ
【課題】より優れた分解能と直線性精度のマルチターン用回転位置センサの提供。
【解決手段】この角度位置センサは、主歯車と、第1および第2の歯車と、第1および第2の角度位置センサアセンブリとを含む。主歯車は、シャフトに搭載することが可能であり、および、この外周に形成される複数の歯を有する。第1および第2の歯車は、主歯車の歯と係合する第1および第2の歯をそれぞれに有する。第1および第2の角度位置センサアセンブリは、それぞれに第1および第2の歯車と共に回転するように連結される第1および第2のカプラディスクをそれぞれに含む。第1および第2の角度位置センサアセンブリは、第1および第2のカプラディスクの360度の一回転に対応する第1および第2の出力信号をそれぞれに生成する。PWM生成器が第1および第2の出力信号に従ってPWM出力を生成する。
【解決手段】この角度位置センサは、主歯車と、第1および第2の歯車と、第1および第2の角度位置センサアセンブリとを含む。主歯車は、シャフトに搭載することが可能であり、および、この外周に形成される複数の歯を有する。第1および第2の歯車は、主歯車の歯と係合する第1および第2の歯をそれぞれに有する。第1および第2の角度位置センサアセンブリは、それぞれに第1および第2の歯車と共に回転するように連結される第1および第2のカプラディスクをそれぞれに含む。第1および第2の角度位置センサアセンブリは、第1および第2のカプラディスクの360度の一回転に対応する第1および第2の出力信号をそれぞれに生成する。PWM生成器が第1および第2の出力信号に従ってPWM出力を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式の角度位置センサに関し、および、さらに特に、マルチターン(Multi Turn:複数回転)における角度位置を検出することが可能な非接触式の角度位置センサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業においては、最近では、電子技術による安定制御とロール防止システム、および燃料効率の改善(すなわち、エンジンパワーの節減)が要求されており、電気モータがパワーステアリングの油圧ポンプに取って代わろうとしている。こうした電気モータのための主ステアリング用の角度センサは、マルチターン用の回転位置センサであることが必要とされる。
【0003】
現在のステアリング用角度検出技術は、マルチターン用カウンタを有する光学エンコーダからなる。このマルチターン用カウンタは、回転計のコードに一回転用の光学エンコーダ情報を組み合わせる特別なアルゴリズムを必要とする。使用されている別の技術は、歯車減速比技術(自動車産業の用途では、例えば6:1)で、複数の機械的回転を一回転分に変換する。しかし、この技術方法は、センサの分解能および直線性精度での性能を低下させる。例えば、1%の直線性誤差を有するセンサは、6:1の歯車減速比のせいで、6%の誤差に変換される。また、1回転用ユニットにおける0.01度のステップサイズは、6回転用ユニットでは、0.06度/ステップに相当する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、自動車や他の用途のため、より優れた分解能と直線性精度の性能を有するマルチターン用の回転位置センサを提供することが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による例示的な実施態様では、シャフトの360度回転よりも大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成するためのマルチターン用角度位置センサを提供する。このマルチターン用角度位置センサは、シャフトに搭載するのに適し、かつ、外周に形成される複数の歯を有する主歯車と、外周に形成される複数の第1の歯を有し、かつ、この第1の歯は主歯車の歯と係合する第1の歯車と、外周に形成される複数の第2の歯を有し、かつ、この第2の歯は主歯車の歯と係合する第2の歯車とを含む。このマルチターン用角度位置センサは、さらに、第1および第2の角度位置センサアセンブリも含む。第1の角度位置センサアセンブリは、第1の歯車と共に回転するように連結する第1のカプラディスクを含み、かつ、第1の角度位置センサアセンブリは、この第1のカプラディスクの360度の一回転に対応する第1の出力信号を生成するように構成される。第2の角度位置センサアセンブリは、第2の歯車と共に回転するように連結する第2のカプラディスクを含み、かつ、この第2の角度位置センサアセンブリは、第2のカプラディスクの360度の一回転に対応する第2の出力信号を生成するように構成される。PWM生成器は、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とに従って、PWM出力を生成する。
【0006】
本発明による別の例示的な実施態様では、シャフトと、このシャフトに連結されて、かつ、このシャフトの360度回転よりも大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成するためのマルチターン用角度位置センサと、を含むステアリングシャフト・アセンブリが提供される。
【0007】
本発明のさらに別の実施態様では、シャフトの360度回転よりも大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成する方法が提供される。第1の角度位置センサアセンブリに連結する第1の歯車の第1の歯を、シャフトに搭載される主歯車の歯と係合することによって、第1の角度位置出力信号が生成される。第2の角度位置センサアセンブリに連結する第2の歯車の第2の歯を、シャフトに搭載される主歯車の歯と係合することによって、第2の角度位置出力信号が生成される。上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とに対応するPWM出力が生成される。
【0008】
本発明の上記態様と他の態様とが、本明細書の説明と添付図面とを考慮することによって、より容易に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
マルチターン(MT:Multi-Turn)用非接触式角度位置センサ(NCAPS: Non-Contact Angular Position Sensor)を製作する努力が、過去において行われてきた。こうしたMT−NCAPSの1つは、標題「非接触式角度位置センサのためのプログラム可能なマルチターン用パルス幅変調回路(Programmable,Multi-Turn,Pulse Width Modulation Circuit for a Non-Contact Angular Position Sensor)」で情報公開された同時係属中の米国特許出願番号10/813,329にて開示され、米国特許出願公開番号US 2005/0212577として2005年9月29日付で発行されている。
【0010】
本発明の例示的な実施形態では、バーニヤの考え方(Vernier concept:ノギスの原理)に基づくマルチターン用角度位置センサ(例えば、MT−NCAPS)が提供される。バーニヤの考え方を使用することによって、1対の補助歯車(すなわち、第1の歯車と第2の歯車)が、主歯車のマルチターンを1回転分の全デューティサイクルに変換するのに使用され、主歯車のマルチターンが、通常、一般的な角度位置センサのPWM出力によるマルチ用全デューティサイクル(すなわち、0%〜100%)として得られる。
【0011】
本発明のマルチターン用角度位置センサは、標題「誘導減衰カプラを有する角度位置センサ(Angular Position Sensor with Inductive Attenuating Coupler)」の米国特許第6,304,076号に開示される角度位置センサの原理に基づいており、この特許の内容全体が本明細書に参照として組み入れられる。後述する例示的な実施形態において、バーニヤの考え方を使用しており、2つの角度位置センサ(例えば、NCAPS)アセンブリは、シャフトに搭載される主歯車に連結する第1および第2の補助歯車を介して、機械的に互いに連結される。この連結は、PWM信号による全デューティサイクル(すなわち、0%〜100%)のマルチターン用出力を形成するバーニヤ式のマルチターン用角度位置センサを実現するためである。NCAPSまたはMT−NCAPSは、本明細書において簡便に「角度位置センサ」または「マルチターン用角度位置センサ」と呼ぶことがある。
【0012】
さて、図1を参照すると、角度位置センサアセンブリ10は、送信器12と、受信器16と、これらの間に挿入されるカプラディスク14とを含む。図2に見ることができるように、送信器12および受信器16の両方が、各々の上に形成される複数のループアンテナ22を有する。このループアンテナは、送信器と受信器のそれぞれのディスクの周りに、円形パターンを分断する形で配置される独立した導電性の螺旋コイルから形成される。図2の6個のアンテナ22は、ディスクの全周囲360度を取り囲む。図2では、6個のループアンテナ22が示されており、送信器/受信器上のループアンテナの数は、互いに隣接するチャンネルの間の所定の相分離に基づく。さらに、他の実施形態では、ループアンテナの数は異なることも可能である。
【0013】
送信器12と受信器16は互いに対して実質的に固定される。カプラディスク14は、角度位置センサが使用される装置(例えば、自動車のステアリングシャフト)の機械的回転に従って回転する。送信器12内の各々のループアンテナ22は、受信器内の対応するループアンテナ22が受信する信号を、送信するために使用される。信号経路中に干渉(減衰)物体が存在しないとき、受信信号の振幅は最大となる。しかし、この経路内で干渉を生じさせるために減衰物体が使用されると、受信信号の振幅は減衰する。受信信号は、干渉物体によって与えられる干渉の量に比例して減衰する。
【0014】
図3は、ディスク32を有するカプラディスク14を示しており、ディスク32の上にカプラパターン34が形成される。このカプラパターン34は、干渉(減衰)物体として、角度位置センサアセンブリ10内で可変的な減衰を生じさせる。ディスク32は、例えば、プラスチックのような絶縁材料で製作される。カプラパターン34は銅のような金属で製作される。一実施形態では、d3=(1/4)×(3d1+d2)であり、および、d4=(1/4)×(d1+3d2)である。
【0015】
理論的には、シングルチャンネルで、位置情報及び/又は角度変位情報を検出して提供するのに十分なはずである。しかし、検出される振幅は、送信器12と受信器16との間の分離、および送信信号の電力レベルによる影響を受けるので、この不確実性の結果として生じる誤差が、クリティカルな自動車用途、工業用途及び/又は航空用途にとって、許容される性能を実現できないであろう。したがって、振幅を位相に変換する技術を有するマルチチャンネルシステムが、振幅情報を位相情報に変換するために、角度位置センサ用として使用される。
【0016】
隣接チャンネル間の相分離の角度は、Δθ=2π/Nによって決定される。この式の中で、Nはチャンネル数である。したがって、図2に示す角度位置センサでは、N=6なので、Δθ=π/3となる。図4の角度位置センサの機能ブロック図100では、角度位置センサアセンブリ10が、水晶発振器102によって生成された周波数Fcを有する信号を受信する。この周波数Fcは、例えば1MHzにすることができる。別の実施形態では、使用する周波数は、異なった周波数にすることができる。また、周波数Fcを有する信号は、デジタル信号生成器104に供給され、このデジタル信号生成器104は複数の局部発振器信号LO1〜LONを生成する。
【0017】
デジタル信号生成器104は、さらに、基準信号Sを生成し、この基準信号Sは、0度の中間周波数(IF:intermediate frequency)信号を表す。この基準信号Sは、例えば2.22KHzの周波数、または、他の適切な周波数で実現することもできる。
【0018】
局部発振器信号の周波数は、周波数Fcと概ね同一である。しかし、局部発振器信号は、互いに位相がΔθだけオフセットとして存在する。このΔθは、N=6の場合、60度(すなわち、π/3)である。例えば、局部発振器信号の各々は、LOi=cosωct−cos[ω0t+2π(i/N)]で表すことができ、この式の中で、ωcが送信信号の周波数であり、ω0が予め決められた中間周波数IFである。
【0019】
一方で、N個の受信信号R1〜RNは、角度位置センサ10によって生成される。カプラパターン34が、送信器12のループアンテナ22と受信器16のループアンテナ22との間で送信信号に干渉し減衰させるので、受信信号はカプラディスク14の角度位置に基づいて異なる振幅を有することになる。各受信器(Ri)における信号振幅は、例えば、Ri(t)=Aicos(ωct)と規定される。この式の中で、Ai=Acos[θ+2π(i/N)]である。言い換えると、Aは、送信器12内のループアンテナの各々によって送信される信号の大きさであるが、カプラディスク14によって生じる可変的な減衰のために、受信器16内のループアンテナ22で受信される信号の大きさは、互いに異なり、Ai=Acos[θ+2π(i/N)]によって与えられ、そして、カプラディスク14の角度位置(θ)に依存する。
【0020】
受信信号R1〜RNは、最初に、局部発振器信号LO1〜LONと混合される。第一に、受信信号は、IF1〜IFNのIF信号を生成するために、おのおの混合器106、108〜110で、対応する局部発振器信号によってダウンコンバートされる。この混合器のダウンコンバージョン処理により、LOとIFとRF(送信周波数)との間の関係は、IF=RF−LOによって規定されることになる。混合器による損失が無いとすると、IF信号の各々は、IFi=Aicos[ω0t+2π(i/N)]で表現することができる。
【0021】
第二に、IF信号の位相のシフト変化がカプラディスクの角度位置に依存するように、各々のIF信号は、加算増幅器112を使用して1つの正弦波信号に変換される。各々のチャンネルで受信される信号は、互いに対して比例しているので、送信した信号の振幅変動は、結果として生じる位相情報に対して影響を与えない。増幅器112の出力における信号は、IF=Acos(ω0t−θ)/2によって与えられる。この式から、増幅器112の出力信号は、カプラディスク14の角度位置を表す位相関係にあって、かつ、送信した信号の振幅変動に依存していないことが理解できる。合成された受信信号R(以下では、「受信信号」と呼ぶこともある)生成のために、加算増幅器112からの出力信号は、低域フィルタ/増幅器114と比較器116とを通過することになる。
【0022】
シングルターン用角度位置センサのPWM出力は、図4に示すPWM生成器118において、受信信号Rと基準信号Sとを比較することによって生成される。シングルターン用角度位置センサの場合、PWM生成器は、単純にRSフリップフロップのようなフリップフロップにするか、または、このフリップフロップを含む構成にすることができる。図5Aと図5Bは、それぞれに、10%のデューティサイクルと40%のデューティサイクルにおけるS出力、R出力およびPWM出力を示す。PWM出力は、さらに、PWM−アナログ変換器120にも供給される。
【0023】
本発明による例示的な実施形態におけるマルチターン用角度位置センサの場合には、バーニヤの考え方が使用される。バーニヤの考え方を使用するマルチターン用角度位置センサパッケージ150(例えば、MT−NCAPS)のための機械的なデザインが図6Aに示される。図6Aのマルチターン(MT)用角度位置センサパッケージ150は、頂上部カバー152と、受信器プリント回路基板(RX用PCB)154と、カプラディスク156、158と、送信器PCB(TX用PCB)160と、歯車アセンブリ200と、底部ハウジングすなわち底部カバー168とを含む。なお、歯車アセンブリは、主歯車202と補助歯車204、206(すなわち、バーニヤ用、カプラディスクを示す)とを含む。MT用角度位置センサパッケージ150は、アセンブリする時に、例えば、自動車のステアリングシャフト(例えば、図6Bのシャフト210)に搭載することが可能である。
【0024】
カプラディスク156は、歯車204と共に回転するように、歯車204に機械的に連結されており、一方、カプラディスク158は、歯車206と共に回転するように、歯車206に機械的に連結される。
【0025】
図6AのMT用角度位置センサパッケージ150は、図7に見ることができる2つの角度位置センサのフロントエンドとして使用するのに構成することができ、シングルターンNCAPSと同じ分解能と精度とを備えるマルチターン用PWM出力を生成することができる。例えば、角度位置センサの各々のフロントエンドは、送信器12(TX用PCB160上に搭載)と、受信器16(RX用PCB154上に搭載)と、カプラディスク14(図1、または、図6Aのカプラディスク156、158を参照)とからなる角度位置センサのアセンブリ部を含む。角度位置センサのフロントエンドは、さらに、カプラ混合器(例えば、乗算器106、108〜110)と、フィルタ114と、比較器116(例えば、図4を参照)とを含む。これらの回路系も、さらに、TX用PCB160及び/又はRX用PCB154上に搭載/実装することができる。
【0026】
図6Aと図6Bを再び参照すると、MT用角度位置センサパッケージ150の歯車アセンブリ200は、例えば、駆動車輪のステアリングシャフト210に搭載される主歯車GA202を含む。この歯車アセンブリ200は、さらに、1対の歯車GB204とGC206とを含む。MT用角度位置センサパッケージ150内では、歯車GB204に連結する第1の角度位置センサアセンブリの出力は、PWM出力生成器のための測定用として使用され、かつ、歯車GC206に連結する第2の角度位置センサアセンブリの出力は、PWM生成器のための基準用として使用される。
【0027】
図6Aと図6Bとに見ることができるように、主歯車202は、外周を取り囲む複数の歯203を有する。同様に、第1の歯車204および第2の歯車206は、各々の外周を取り囲む複数の歯205と207とを有する。したがって、歯車204と歯車206は、各々の歯を介して主歯車202に連結される。MT用角度位置センサパッケージ150によって生成されるPWM出力は、主歯車202、第1の歯車204および第2の歯車206がそれぞれの外周に有する歯数の関係、すなわちこの比率関係によって決定される。
【0028】
図6Aと図6Bに示される実施形態では、GAとGBとGCとの間の関係が、次の式1によって示される。
【数1】
上記式の中で、TGAは、主歯車GA202の歯203の歯数であり、
TGBは、第1の角度位置センサアセンブリに連結される第1の歯車GB204の歯205の歯数であり、
TGCは、第2の角度位置センサアセンブリに連結される第2の歯車GC206上の歯207の歯数であり、および、Nは、GAの回転数である。
【0029】
一例を示すと、主歯車の歯203のTGAは48で、第1の角度位置センサアセンブリの歯205のTGBは32で、第2の角度位置センサアセンブリの歯207のTGCは36で、かつ、Nが6である場合、式1は、
N*TGA/TGB−N*TGA/TGC=6*48/32−6*48/36=9−8=1(回転)
となる。言い換えると、主歯車と第1の歯車と第2の歯車とにおける歯の比率すなわちこの関係では、主歯車(および、したがって、この主歯車が搭載されるステアリングシャフト)が6回転する間に、シングルターン(すなわち、1回分の周期:第1の歯車は9回転、第2の歯車は8回転)に対応するPWM出力が生成される。
【0030】
図7のマルチターン用角度位置センサ(例えば、MT−NCAPS)の機能ブロック図300は、2つの角度位置センサのフロントエンドを有し、これら2つの角度位置センサのフロントエンドは、第1の歯車GBと第2の歯車GCとにそれぞれに連結される角度位置センサアセンブリ308と306とを含む。角度位置センサアセンブリ308、306の各々は、水晶発振器302によって生成された周波数FCを有する信号を受信する。例えば、周波数FCは1MHzにすることができる。使用する周波数が他の実施形態では異なることも可能である。
【0031】
周波数FCを有する信号はデジタル信号生成器304にも供給され、このデジタル信号生成器304、は複数の局部発振器信号LO1〜LONを生成する。例えば、周波数Fcを有する信号および局部発振器信号LO1〜LONは、図4の信号および局部発振器信号と実質的に同一にすることができる。
【0032】
一方で、N個の受信信号R1′〜RN′は、角度位置センサアセンブリ306によって生成され、また、N個の受信信号R1″〜RN″は、角度位置センサアセンブリ308によって生成される。角度位置センサアセンブリの各々におけるカプラディスク上のカプラパターンが、送信器のループアンテナと受信器のループアンテナとの間の信号伝送に干渉して減衰させるので、各々での受信信号は、各々の角度位置センサアセンブリ内のカプラディスクの角度位置に基づいて異なる振幅を有する。角度位置センサアセンブリ306内の受信器によって受信された信号R1′〜RN′の減衰と、角度位置センサアセンブリ308内の受信器によって受信された信号R1″〜RN″の減衰とは、例えば、図4を参照して説明する信号R1〜RNの減衰と実質的に同じ特徴を有することができる。
【0033】
受信信号R1′〜RN′と受信信号R1″〜RN″とは、それぞれに、第一に局部発振器信号LO1−LONと混合される。受信信号R1′〜RN′は、IF信号IF1′〜IFN′を生成するために、それぞれに混合器310、312〜314によって対応する局部発振器信号によってダウンコンバートされる。さらに、受信信号R1″〜RN″は、IF信号IF1″〜IFN″を生成するために、それぞれに混合器316、318〜320によって、対応する局部発振器信号によってダウンコンバートされる。混合器のダウンコンバージョン処理により、LOとIFとRF(送信周波数)との間の関係は、IF=RF−LOによって規定されることになる。混合器による損失が無いとすると、IF信号の各々は、IFi′=Aicos[ω0t+2π(i/N)]、またはIFi″=Aicos[ω0t+2π(i/N)]で表現することができる。
【0034】
第二に、IF信号IF1′〜IFN′は、このIF信号の位相のシフト変化が対応するカプラディスクの角度位置に依存するように、加算増幅器322を使用して1つの正弦波信号に変換される。さらに、IF信号IF1″〜IFN″は、このIF信号の位相のシフト変化が対応するカプラディスクの角度位置に依存するように、加算増幅器324を使用して1つの正弦波信号に変換される。
【0035】
各チャンネルによって受信された信号は、互いに対して比例した変動をするので、送信した信号の振幅変動は、結果として生じる位相情報に対して影響しないことになる。増幅器322の出力における信号は、IF′=Acos(ω0t−θ′)/2によって与えられ、一方、増幅器324の出力における信号は、IF″=Acos(ω0t−θ″)/2によって与えられる。この式から、増幅器322または増幅器324の出力信号が、それぞれのカプラディスクの角度位置を表す位相関係であり、および、送信信号の振幅の変動に依存していないことが理解できる。
【0036】
合成された受信信号S′(以下では「基準信号」と呼ぶこともある)と信号R′(以下では「受信信号」と呼ぶこともある)とを、おのおの生成するために、加算増幅器322、324の出力信号は、低域フィルタ/増幅器326、328と、比較器330、332とをそれぞれに通過することになる。
【0037】
マルチターン用角度位置センサのPWM出力は、図7に示すようにPWM生成器334内の基準信号S′に対して受信信号R′を比較することによって生成される。マルチターン用角度位置センサの場合には、PWM生成器は、単純にRSフリップフロップのようなフリップフロップでも構成できる。図8Aと図8Bは、N=0とN=6との場合のマルチターン用角度位置センサのデューティサイクル生成をそれぞれに示す。
【0038】
2つの角度位置センサのフロントエンドは、送信器と受信器とカプラディスクとカプラ混合器とフィルタと比較器とを各々が含み、カプラの回転に比例した位相シフトを有する2つの50%デューティサイクルのTTL信号を生じさせる。カプラ混合器、フィルタ、比較器およびPWM生成器のような電子/電気回路系は、例えば図6AのTX用PCB160及び/又はRX用PCB154のようなPCB上に実装することができる。
【0039】
N=0である時は、GCとGBは同相であり、PWMの出力は実質的に0%のデューティサイクルに等しい。GCとGBとの間の位相差は(360°/N′)×Nに等しく、この式の中で、N′は予め決められた回転の数である。GAがN=N′回転に達すると、GCとGBとの間のデルタ位相が360°に等しく、このことはPWM出力が実質的に100%のデューティサイクルであることを意味する。これら2つの信号の関係を、図8Aと図8Bとに示す。N=0である時にPWM出力が0%のデューティサイクルに近いが、N=6である時に100%のデューティサイクルに近いということが、図8Aと図8Bに見ることができる。
【0040】
図9では、マルチターン用角度位置センサ(例えばMT−NCAPS)300のPWM出力が、本発明の別の例示的な実施形態のPWMコンバータ400に結合する。PWMコンバータ400は、0%から100%のデューティサイクルを有するPWM出力を受け取り、および、このPWM出力を、例えば5%から95%の任意の所定の開始および停止デューティサイクル範囲に変換する。PWMコンバータ400は、例えば、2003年4月8日付で登録された標題「デジタル方式でプログラム可能なパルス幅変調(PWM)コンバータ(Digitally Programmable Pulse-Width Modulation(PWM)Converter)」の米国特許第6,545,621号に開示されているデジタル方式でプログラム可能なPWMコンバータと、実質的に同じでも可能であり、この特許の内容全体が本明細書に参照として組み入れられる。
【0041】
本発明の特定の例示的な実施形態を詳細に上述し添付図面に示してきたが、こうした実施形態が広範な発明を単に例示するだけにすぎず、および、この広範な発明を限定するものではないということが理解されなければならない。したがって、本発明の広範な発明範囲から逸脱することなしに、上述の発明の例示される実施形態と他の実施形態とに対して様々な変更が加えられてよいということが理解されるだろう。上述の内容を考慮して、本発明が、開示されている特定の実施形態または構成に限定されず、添付されている特許請求項とこの等価なものとによって規定される本発明の範囲と考え方との範囲内に含まれているあらゆる変型、改変、または、変更を含むことが意図されていることが理解されるだろう。
【0042】
例えば、本発明の例示的な実施形態をNCAPS構成に関して上述したが、本発明のマルチターン用角度位置センサの原理は、適切な出力を有する任意の角度位置センサアセンブリにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の例示的な実施形態を実現するために使用できる角度位置センサアセンブリの側面図である。
【図2】図1の角度位置センサアセンブリの送信器部分と受信器部分の両方の平面図である。
【図3】図1の角度位置センサアセンブリのカプラディスクの平面図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態を実現するためにその原理が使用できる角度位置センサの機能ブロック図である。
【図5A】シングルターン角度位置センサの10%のデューティサイクルを示すタイミング図である。
【図5B】シングルターン角度位置センサの40%のデューティサイクルを示すタイミング図である。
【図6A】本発明の例示的な実施形態におけるステアリングシャフト・アセンブリのためのマルチターン用角度位置センサの分解組立斜視図である。
【図6B】ステアリングシャフトに搭載する図6Aのマルチターン用角度位置センサの中の歯車アセンブリに関する機械的設計の単純化された略図である。
【図7】本発明の例示的な実施形態におけるマルチターン用角度位置センサの機能ブロック図である。
【図8A】N=0である時のマルチターン用角度位置センサのデューティサイクル生成を示す図である。
【図8B】N=6である時のマルチターン用角度位置センサのデューティサイクル生成を示す図である。
【図9】本発明の別の例示的な実施形態におけるマルチターン用PWM生成システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
10 角度位置センサアセンブリ
12 送信器
14 カプラディスク
16 受信器
22 ループアンテナ
34 カプラパターン
102 水晶発振器
104 デジタル信号生成器
106、108〜110 混合器
112 加算増幅器
118 PWM生成器
120 PWM−アナログ変換器
150 マルチターン用角度位置センサパッケージ
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式の角度位置センサに関し、および、さらに特に、マルチターン(Multi Turn:複数回転)における角度位置を検出することが可能な非接触式の角度位置センサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業においては、最近では、電子技術による安定制御とロール防止システム、および燃料効率の改善(すなわち、エンジンパワーの節減)が要求されており、電気モータがパワーステアリングの油圧ポンプに取って代わろうとしている。こうした電気モータのための主ステアリング用の角度センサは、マルチターン用の回転位置センサであることが必要とされる。
【0003】
現在のステアリング用角度検出技術は、マルチターン用カウンタを有する光学エンコーダからなる。このマルチターン用カウンタは、回転計のコードに一回転用の光学エンコーダ情報を組み合わせる特別なアルゴリズムを必要とする。使用されている別の技術は、歯車減速比技術(自動車産業の用途では、例えば6:1)で、複数の機械的回転を一回転分に変換する。しかし、この技術方法は、センサの分解能および直線性精度での性能を低下させる。例えば、1%の直線性誤差を有するセンサは、6:1の歯車減速比のせいで、6%の誤差に変換される。また、1回転用ユニットにおける0.01度のステップサイズは、6回転用ユニットでは、0.06度/ステップに相当する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、自動車や他の用途のため、より優れた分解能と直線性精度の性能を有するマルチターン用の回転位置センサを提供することが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による例示的な実施態様では、シャフトの360度回転よりも大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成するためのマルチターン用角度位置センサを提供する。このマルチターン用角度位置センサは、シャフトに搭載するのに適し、かつ、外周に形成される複数の歯を有する主歯車と、外周に形成される複数の第1の歯を有し、かつ、この第1の歯は主歯車の歯と係合する第1の歯車と、外周に形成される複数の第2の歯を有し、かつ、この第2の歯は主歯車の歯と係合する第2の歯車とを含む。このマルチターン用角度位置センサは、さらに、第1および第2の角度位置センサアセンブリも含む。第1の角度位置センサアセンブリは、第1の歯車と共に回転するように連結する第1のカプラディスクを含み、かつ、第1の角度位置センサアセンブリは、この第1のカプラディスクの360度の一回転に対応する第1の出力信号を生成するように構成される。第2の角度位置センサアセンブリは、第2の歯車と共に回転するように連結する第2のカプラディスクを含み、かつ、この第2の角度位置センサアセンブリは、第2のカプラディスクの360度の一回転に対応する第2の出力信号を生成するように構成される。PWM生成器は、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とに従って、PWM出力を生成する。
【0006】
本発明による別の例示的な実施態様では、シャフトと、このシャフトに連結されて、かつ、このシャフトの360度回転よりも大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成するためのマルチターン用角度位置センサと、を含むステアリングシャフト・アセンブリが提供される。
【0007】
本発明のさらに別の実施態様では、シャフトの360度回転よりも大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成する方法が提供される。第1の角度位置センサアセンブリに連結する第1の歯車の第1の歯を、シャフトに搭載される主歯車の歯と係合することによって、第1の角度位置出力信号が生成される。第2の角度位置センサアセンブリに連結する第2の歯車の第2の歯を、シャフトに搭載される主歯車の歯と係合することによって、第2の角度位置出力信号が生成される。上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とに対応するPWM出力が生成される。
【0008】
本発明の上記態様と他の態様とが、本明細書の説明と添付図面とを考慮することによって、より容易に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
マルチターン(MT:Multi-Turn)用非接触式角度位置センサ(NCAPS: Non-Contact Angular Position Sensor)を製作する努力が、過去において行われてきた。こうしたMT−NCAPSの1つは、標題「非接触式角度位置センサのためのプログラム可能なマルチターン用パルス幅変調回路(Programmable,Multi-Turn,Pulse Width Modulation Circuit for a Non-Contact Angular Position Sensor)」で情報公開された同時係属中の米国特許出願番号10/813,329にて開示され、米国特許出願公開番号US 2005/0212577として2005年9月29日付で発行されている。
【0010】
本発明の例示的な実施形態では、バーニヤの考え方(Vernier concept:ノギスの原理)に基づくマルチターン用角度位置センサ(例えば、MT−NCAPS)が提供される。バーニヤの考え方を使用することによって、1対の補助歯車(すなわち、第1の歯車と第2の歯車)が、主歯車のマルチターンを1回転分の全デューティサイクルに変換するのに使用され、主歯車のマルチターンが、通常、一般的な角度位置センサのPWM出力によるマルチ用全デューティサイクル(すなわち、0%〜100%)として得られる。
【0011】
本発明のマルチターン用角度位置センサは、標題「誘導減衰カプラを有する角度位置センサ(Angular Position Sensor with Inductive Attenuating Coupler)」の米国特許第6,304,076号に開示される角度位置センサの原理に基づいており、この特許の内容全体が本明細書に参照として組み入れられる。後述する例示的な実施形態において、バーニヤの考え方を使用しており、2つの角度位置センサ(例えば、NCAPS)アセンブリは、シャフトに搭載される主歯車に連結する第1および第2の補助歯車を介して、機械的に互いに連結される。この連結は、PWM信号による全デューティサイクル(すなわち、0%〜100%)のマルチターン用出力を形成するバーニヤ式のマルチターン用角度位置センサを実現するためである。NCAPSまたはMT−NCAPSは、本明細書において簡便に「角度位置センサ」または「マルチターン用角度位置センサ」と呼ぶことがある。
【0012】
さて、図1を参照すると、角度位置センサアセンブリ10は、送信器12と、受信器16と、これらの間に挿入されるカプラディスク14とを含む。図2に見ることができるように、送信器12および受信器16の両方が、各々の上に形成される複数のループアンテナ22を有する。このループアンテナは、送信器と受信器のそれぞれのディスクの周りに、円形パターンを分断する形で配置される独立した導電性の螺旋コイルから形成される。図2の6個のアンテナ22は、ディスクの全周囲360度を取り囲む。図2では、6個のループアンテナ22が示されており、送信器/受信器上のループアンテナの数は、互いに隣接するチャンネルの間の所定の相分離に基づく。さらに、他の実施形態では、ループアンテナの数は異なることも可能である。
【0013】
送信器12と受信器16は互いに対して実質的に固定される。カプラディスク14は、角度位置センサが使用される装置(例えば、自動車のステアリングシャフト)の機械的回転に従って回転する。送信器12内の各々のループアンテナ22は、受信器内の対応するループアンテナ22が受信する信号を、送信するために使用される。信号経路中に干渉(減衰)物体が存在しないとき、受信信号の振幅は最大となる。しかし、この経路内で干渉を生じさせるために減衰物体が使用されると、受信信号の振幅は減衰する。受信信号は、干渉物体によって与えられる干渉の量に比例して減衰する。
【0014】
図3は、ディスク32を有するカプラディスク14を示しており、ディスク32の上にカプラパターン34が形成される。このカプラパターン34は、干渉(減衰)物体として、角度位置センサアセンブリ10内で可変的な減衰を生じさせる。ディスク32は、例えば、プラスチックのような絶縁材料で製作される。カプラパターン34は銅のような金属で製作される。一実施形態では、d3=(1/4)×(3d1+d2)であり、および、d4=(1/4)×(d1+3d2)である。
【0015】
理論的には、シングルチャンネルで、位置情報及び/又は角度変位情報を検出して提供するのに十分なはずである。しかし、検出される振幅は、送信器12と受信器16との間の分離、および送信信号の電力レベルによる影響を受けるので、この不確実性の結果として生じる誤差が、クリティカルな自動車用途、工業用途及び/又は航空用途にとって、許容される性能を実現できないであろう。したがって、振幅を位相に変換する技術を有するマルチチャンネルシステムが、振幅情報を位相情報に変換するために、角度位置センサ用として使用される。
【0016】
隣接チャンネル間の相分離の角度は、Δθ=2π/Nによって決定される。この式の中で、Nはチャンネル数である。したがって、図2に示す角度位置センサでは、N=6なので、Δθ=π/3となる。図4の角度位置センサの機能ブロック図100では、角度位置センサアセンブリ10が、水晶発振器102によって生成された周波数Fcを有する信号を受信する。この周波数Fcは、例えば1MHzにすることができる。別の実施形態では、使用する周波数は、異なった周波数にすることができる。また、周波数Fcを有する信号は、デジタル信号生成器104に供給され、このデジタル信号生成器104は複数の局部発振器信号LO1〜LONを生成する。
【0017】
デジタル信号生成器104は、さらに、基準信号Sを生成し、この基準信号Sは、0度の中間周波数(IF:intermediate frequency)信号を表す。この基準信号Sは、例えば2.22KHzの周波数、または、他の適切な周波数で実現することもできる。
【0018】
局部発振器信号の周波数は、周波数Fcと概ね同一である。しかし、局部発振器信号は、互いに位相がΔθだけオフセットとして存在する。このΔθは、N=6の場合、60度(すなわち、π/3)である。例えば、局部発振器信号の各々は、LOi=cosωct−cos[ω0t+2π(i/N)]で表すことができ、この式の中で、ωcが送信信号の周波数であり、ω0が予め決められた中間周波数IFである。
【0019】
一方で、N個の受信信号R1〜RNは、角度位置センサ10によって生成される。カプラパターン34が、送信器12のループアンテナ22と受信器16のループアンテナ22との間で送信信号に干渉し減衰させるので、受信信号はカプラディスク14の角度位置に基づいて異なる振幅を有することになる。各受信器(Ri)における信号振幅は、例えば、Ri(t)=Aicos(ωct)と規定される。この式の中で、Ai=Acos[θ+2π(i/N)]である。言い換えると、Aは、送信器12内のループアンテナの各々によって送信される信号の大きさであるが、カプラディスク14によって生じる可変的な減衰のために、受信器16内のループアンテナ22で受信される信号の大きさは、互いに異なり、Ai=Acos[θ+2π(i/N)]によって与えられ、そして、カプラディスク14の角度位置(θ)に依存する。
【0020】
受信信号R1〜RNは、最初に、局部発振器信号LO1〜LONと混合される。第一に、受信信号は、IF1〜IFNのIF信号を生成するために、おのおの混合器106、108〜110で、対応する局部発振器信号によってダウンコンバートされる。この混合器のダウンコンバージョン処理により、LOとIFとRF(送信周波数)との間の関係は、IF=RF−LOによって規定されることになる。混合器による損失が無いとすると、IF信号の各々は、IFi=Aicos[ω0t+2π(i/N)]で表現することができる。
【0021】
第二に、IF信号の位相のシフト変化がカプラディスクの角度位置に依存するように、各々のIF信号は、加算増幅器112を使用して1つの正弦波信号に変換される。各々のチャンネルで受信される信号は、互いに対して比例しているので、送信した信号の振幅変動は、結果として生じる位相情報に対して影響を与えない。増幅器112の出力における信号は、IF=Acos(ω0t−θ)/2によって与えられる。この式から、増幅器112の出力信号は、カプラディスク14の角度位置を表す位相関係にあって、かつ、送信した信号の振幅変動に依存していないことが理解できる。合成された受信信号R(以下では、「受信信号」と呼ぶこともある)生成のために、加算増幅器112からの出力信号は、低域フィルタ/増幅器114と比較器116とを通過することになる。
【0022】
シングルターン用角度位置センサのPWM出力は、図4に示すPWM生成器118において、受信信号Rと基準信号Sとを比較することによって生成される。シングルターン用角度位置センサの場合、PWM生成器は、単純にRSフリップフロップのようなフリップフロップにするか、または、このフリップフロップを含む構成にすることができる。図5Aと図5Bは、それぞれに、10%のデューティサイクルと40%のデューティサイクルにおけるS出力、R出力およびPWM出力を示す。PWM出力は、さらに、PWM−アナログ変換器120にも供給される。
【0023】
本発明による例示的な実施形態におけるマルチターン用角度位置センサの場合には、バーニヤの考え方が使用される。バーニヤの考え方を使用するマルチターン用角度位置センサパッケージ150(例えば、MT−NCAPS)のための機械的なデザインが図6Aに示される。図6Aのマルチターン(MT)用角度位置センサパッケージ150は、頂上部カバー152と、受信器プリント回路基板(RX用PCB)154と、カプラディスク156、158と、送信器PCB(TX用PCB)160と、歯車アセンブリ200と、底部ハウジングすなわち底部カバー168とを含む。なお、歯車アセンブリは、主歯車202と補助歯車204、206(すなわち、バーニヤ用、カプラディスクを示す)とを含む。MT用角度位置センサパッケージ150は、アセンブリする時に、例えば、自動車のステアリングシャフト(例えば、図6Bのシャフト210)に搭載することが可能である。
【0024】
カプラディスク156は、歯車204と共に回転するように、歯車204に機械的に連結されており、一方、カプラディスク158は、歯車206と共に回転するように、歯車206に機械的に連結される。
【0025】
図6AのMT用角度位置センサパッケージ150は、図7に見ることができる2つの角度位置センサのフロントエンドとして使用するのに構成することができ、シングルターンNCAPSと同じ分解能と精度とを備えるマルチターン用PWM出力を生成することができる。例えば、角度位置センサの各々のフロントエンドは、送信器12(TX用PCB160上に搭載)と、受信器16(RX用PCB154上に搭載)と、カプラディスク14(図1、または、図6Aのカプラディスク156、158を参照)とからなる角度位置センサのアセンブリ部を含む。角度位置センサのフロントエンドは、さらに、カプラ混合器(例えば、乗算器106、108〜110)と、フィルタ114と、比較器116(例えば、図4を参照)とを含む。これらの回路系も、さらに、TX用PCB160及び/又はRX用PCB154上に搭載/実装することができる。
【0026】
図6Aと図6Bを再び参照すると、MT用角度位置センサパッケージ150の歯車アセンブリ200は、例えば、駆動車輪のステアリングシャフト210に搭載される主歯車GA202を含む。この歯車アセンブリ200は、さらに、1対の歯車GB204とGC206とを含む。MT用角度位置センサパッケージ150内では、歯車GB204に連結する第1の角度位置センサアセンブリの出力は、PWM出力生成器のための測定用として使用され、かつ、歯車GC206に連結する第2の角度位置センサアセンブリの出力は、PWM生成器のための基準用として使用される。
【0027】
図6Aと図6Bとに見ることができるように、主歯車202は、外周を取り囲む複数の歯203を有する。同様に、第1の歯車204および第2の歯車206は、各々の外周を取り囲む複数の歯205と207とを有する。したがって、歯車204と歯車206は、各々の歯を介して主歯車202に連結される。MT用角度位置センサパッケージ150によって生成されるPWM出力は、主歯車202、第1の歯車204および第2の歯車206がそれぞれの外周に有する歯数の関係、すなわちこの比率関係によって決定される。
【0028】
図6Aと図6Bに示される実施形態では、GAとGBとGCとの間の関係が、次の式1によって示される。
【数1】
上記式の中で、TGAは、主歯車GA202の歯203の歯数であり、
TGBは、第1の角度位置センサアセンブリに連結される第1の歯車GB204の歯205の歯数であり、
TGCは、第2の角度位置センサアセンブリに連結される第2の歯車GC206上の歯207の歯数であり、および、Nは、GAの回転数である。
【0029】
一例を示すと、主歯車の歯203のTGAは48で、第1の角度位置センサアセンブリの歯205のTGBは32で、第2の角度位置センサアセンブリの歯207のTGCは36で、かつ、Nが6である場合、式1は、
N*TGA/TGB−N*TGA/TGC=6*48/32−6*48/36=9−8=1(回転)
となる。言い換えると、主歯車と第1の歯車と第2の歯車とにおける歯の比率すなわちこの関係では、主歯車(および、したがって、この主歯車が搭載されるステアリングシャフト)が6回転する間に、シングルターン(すなわち、1回分の周期:第1の歯車は9回転、第2の歯車は8回転)に対応するPWM出力が生成される。
【0030】
図7のマルチターン用角度位置センサ(例えば、MT−NCAPS)の機能ブロック図300は、2つの角度位置センサのフロントエンドを有し、これら2つの角度位置センサのフロントエンドは、第1の歯車GBと第2の歯車GCとにそれぞれに連結される角度位置センサアセンブリ308と306とを含む。角度位置センサアセンブリ308、306の各々は、水晶発振器302によって生成された周波数FCを有する信号を受信する。例えば、周波数FCは1MHzにすることができる。使用する周波数が他の実施形態では異なることも可能である。
【0031】
周波数FCを有する信号はデジタル信号生成器304にも供給され、このデジタル信号生成器304、は複数の局部発振器信号LO1〜LONを生成する。例えば、周波数Fcを有する信号および局部発振器信号LO1〜LONは、図4の信号および局部発振器信号と実質的に同一にすることができる。
【0032】
一方で、N個の受信信号R1′〜RN′は、角度位置センサアセンブリ306によって生成され、また、N個の受信信号R1″〜RN″は、角度位置センサアセンブリ308によって生成される。角度位置センサアセンブリの各々におけるカプラディスク上のカプラパターンが、送信器のループアンテナと受信器のループアンテナとの間の信号伝送に干渉して減衰させるので、各々での受信信号は、各々の角度位置センサアセンブリ内のカプラディスクの角度位置に基づいて異なる振幅を有する。角度位置センサアセンブリ306内の受信器によって受信された信号R1′〜RN′の減衰と、角度位置センサアセンブリ308内の受信器によって受信された信号R1″〜RN″の減衰とは、例えば、図4を参照して説明する信号R1〜RNの減衰と実質的に同じ特徴を有することができる。
【0033】
受信信号R1′〜RN′と受信信号R1″〜RN″とは、それぞれに、第一に局部発振器信号LO1−LONと混合される。受信信号R1′〜RN′は、IF信号IF1′〜IFN′を生成するために、それぞれに混合器310、312〜314によって対応する局部発振器信号によってダウンコンバートされる。さらに、受信信号R1″〜RN″は、IF信号IF1″〜IFN″を生成するために、それぞれに混合器316、318〜320によって、対応する局部発振器信号によってダウンコンバートされる。混合器のダウンコンバージョン処理により、LOとIFとRF(送信周波数)との間の関係は、IF=RF−LOによって規定されることになる。混合器による損失が無いとすると、IF信号の各々は、IFi′=Aicos[ω0t+2π(i/N)]、またはIFi″=Aicos[ω0t+2π(i/N)]で表現することができる。
【0034】
第二に、IF信号IF1′〜IFN′は、このIF信号の位相のシフト変化が対応するカプラディスクの角度位置に依存するように、加算増幅器322を使用して1つの正弦波信号に変換される。さらに、IF信号IF1″〜IFN″は、このIF信号の位相のシフト変化が対応するカプラディスクの角度位置に依存するように、加算増幅器324を使用して1つの正弦波信号に変換される。
【0035】
各チャンネルによって受信された信号は、互いに対して比例した変動をするので、送信した信号の振幅変動は、結果として生じる位相情報に対して影響しないことになる。増幅器322の出力における信号は、IF′=Acos(ω0t−θ′)/2によって与えられ、一方、増幅器324の出力における信号は、IF″=Acos(ω0t−θ″)/2によって与えられる。この式から、増幅器322または増幅器324の出力信号が、それぞれのカプラディスクの角度位置を表す位相関係であり、および、送信信号の振幅の変動に依存していないことが理解できる。
【0036】
合成された受信信号S′(以下では「基準信号」と呼ぶこともある)と信号R′(以下では「受信信号」と呼ぶこともある)とを、おのおの生成するために、加算増幅器322、324の出力信号は、低域フィルタ/増幅器326、328と、比較器330、332とをそれぞれに通過することになる。
【0037】
マルチターン用角度位置センサのPWM出力は、図7に示すようにPWM生成器334内の基準信号S′に対して受信信号R′を比較することによって生成される。マルチターン用角度位置センサの場合には、PWM生成器は、単純にRSフリップフロップのようなフリップフロップでも構成できる。図8Aと図8Bは、N=0とN=6との場合のマルチターン用角度位置センサのデューティサイクル生成をそれぞれに示す。
【0038】
2つの角度位置センサのフロントエンドは、送信器と受信器とカプラディスクとカプラ混合器とフィルタと比較器とを各々が含み、カプラの回転に比例した位相シフトを有する2つの50%デューティサイクルのTTL信号を生じさせる。カプラ混合器、フィルタ、比較器およびPWM生成器のような電子/電気回路系は、例えば図6AのTX用PCB160及び/又はRX用PCB154のようなPCB上に実装することができる。
【0039】
N=0である時は、GCとGBは同相であり、PWMの出力は実質的に0%のデューティサイクルに等しい。GCとGBとの間の位相差は(360°/N′)×Nに等しく、この式の中で、N′は予め決められた回転の数である。GAがN=N′回転に達すると、GCとGBとの間のデルタ位相が360°に等しく、このことはPWM出力が実質的に100%のデューティサイクルであることを意味する。これら2つの信号の関係を、図8Aと図8Bとに示す。N=0である時にPWM出力が0%のデューティサイクルに近いが、N=6である時に100%のデューティサイクルに近いということが、図8Aと図8Bに見ることができる。
【0040】
図9では、マルチターン用角度位置センサ(例えばMT−NCAPS)300のPWM出力が、本発明の別の例示的な実施形態のPWMコンバータ400に結合する。PWMコンバータ400は、0%から100%のデューティサイクルを有するPWM出力を受け取り、および、このPWM出力を、例えば5%から95%の任意の所定の開始および停止デューティサイクル範囲に変換する。PWMコンバータ400は、例えば、2003年4月8日付で登録された標題「デジタル方式でプログラム可能なパルス幅変調(PWM)コンバータ(Digitally Programmable Pulse-Width Modulation(PWM)Converter)」の米国特許第6,545,621号に開示されているデジタル方式でプログラム可能なPWMコンバータと、実質的に同じでも可能であり、この特許の内容全体が本明細書に参照として組み入れられる。
【0041】
本発明の特定の例示的な実施形態を詳細に上述し添付図面に示してきたが、こうした実施形態が広範な発明を単に例示するだけにすぎず、および、この広範な発明を限定するものではないということが理解されなければならない。したがって、本発明の広範な発明範囲から逸脱することなしに、上述の発明の例示される実施形態と他の実施形態とに対して様々な変更が加えられてよいということが理解されるだろう。上述の内容を考慮して、本発明が、開示されている特定の実施形態または構成に限定されず、添付されている特許請求項とこの等価なものとによって規定される本発明の範囲と考え方との範囲内に含まれているあらゆる変型、改変、または、変更を含むことが意図されていることが理解されるだろう。
【0042】
例えば、本発明の例示的な実施形態をNCAPS構成に関して上述したが、本発明のマルチターン用角度位置センサの原理は、適切な出力を有する任意の角度位置センサアセンブリにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の例示的な実施形態を実現するために使用できる角度位置センサアセンブリの側面図である。
【図2】図1の角度位置センサアセンブリの送信器部分と受信器部分の両方の平面図である。
【図3】図1の角度位置センサアセンブリのカプラディスクの平面図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態を実現するためにその原理が使用できる角度位置センサの機能ブロック図である。
【図5A】シングルターン角度位置センサの10%のデューティサイクルを示すタイミング図である。
【図5B】シングルターン角度位置センサの40%のデューティサイクルを示すタイミング図である。
【図6A】本発明の例示的な実施形態におけるステアリングシャフト・アセンブリのためのマルチターン用角度位置センサの分解組立斜視図である。
【図6B】ステアリングシャフトに搭載する図6Aのマルチターン用角度位置センサの中の歯車アセンブリに関する機械的設計の単純化された略図である。
【図7】本発明の例示的な実施形態におけるマルチターン用角度位置センサの機能ブロック図である。
【図8A】N=0である時のマルチターン用角度位置センサのデューティサイクル生成を示す図である。
【図8B】N=6である時のマルチターン用角度位置センサのデューティサイクル生成を示す図である。
【図9】本発明の別の例示的な実施形態におけるマルチターン用PWM生成システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
10 角度位置センサアセンブリ
12 送信器
14 カプラディスク
16 受信器
22 ループアンテナ
34 カプラパターン
102 水晶発振器
104 デジタル信号生成器
106、108〜110 混合器
112 加算増幅器
118 PWM生成器
120 PWM−アナログ変換器
150 マルチターン用角度位置センサパッケージ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの360度回転より大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成するためのマルチターン用角度位置センサであって、
前記シャフトに搭載するのに適した主歯車であって、該主歯車の外周に形成される複数の歯を有する主歯車と、
外周に形成される複数の第1の歯を有する第1の歯車であって、該第1の歯が前記主歯車の前記歯と係合する第1の歯車と、
外周に形成される複数の第2の歯を有する第2の歯車であって、該第2の歯が前記主歯車の前記歯と係合する第2の歯車と、
前記第1の歯車と共に回転するように連結している第1のカプラディスクを備える第1の角度位置センサアセンブリであって、前記第1のカプラディスクの360度の一回転に対応する第1の出力信号を生成するように構成された第1の角度位置センサアセンブリと、
前記第2の歯車と共に回転するように連結している第2のカプラディスクを備える第2の角度位置センサアセンブリであって、前記第2のカプラディスクの360度の一回転に対応する第2の出力信号を生成するように構成された第2の角度位置センサアセンブリと、
前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とに従って、前記PWM出力を生成するPWM生成器と、を備えるマルチターン用角度位置センサ。
【請求項2】
前記PWM生成器はフリップフロップからなる請求項1に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項3】
前記シャフトが初期位置から予め決められた数まで回転するときに、前記PWM出力が0%のデューティサイクルから100%のデューティサイクルまでの範囲で変動するように、前記主歯車の前記歯の数、前記第1の歯の数および前記第2の歯の数との間の関係が決定される請求項1に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項4】
前記予め決められた数が6であり、前記主歯車の前記歯の数(TGA)、前記第1の歯の数(TGB)および前記第2の歯の数(TGC)との間の関係が、
N*TGA/TGB−N*TGA/TGC=1(回転)であり、該式中のNは、前記主歯車の回転の数である請求項3に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項5】
前記第1の角度位置センサアセンブリと前記第2の角度位置センサアセンブリの少なくとも1は、非接触式の角度位置センサ(NCAPS)アセンブリからなる請求項1に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項6】
前記第1のカプラディスクの回転を示す第1の正弦波信号を生成するために、複数の信号を含む前記第1の出力信号を局部発振器信号と混合するための第1の複数の混合器と、
前記第2のカプラディスクの回転を示す第2の正弦波信号を生成するために、複数の信号を含む前記第2の出力信号を前記局部発振器信号と混合するための第2の複数の混合器と、をさらに備える請求項1に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項7】
前記第1のカプラディスクの回転に比例する位相シフトを有する第1の50%デューティサイクル信号を生成するための第1の比較器と、
前記第2のカプラディスクの回転に比例する位相シフトを有する第2の50%デューティサイクル信号を生成するための第2の比較器と、をさらに備える請求項6に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項8】
前記PWM生成器は、前記PWM出力を生成するために、前記第1の50%デューティサイクル信号と前記第2の50%デューティサイクル信号とを受信する請求項7に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項9】
前記PWM出力は0%から100%のデューティサイクルを有し、前記センサは、0%から100%の異なるデューティサイクルを有するように前記PWM出力を変換するためのPWM変換器をさらに含む請求項1に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項10】
ステアリングシャフト・アセンブリであって、
シャフトと、
前記シャフトに連結されており、かつ、前記シャフトの360度回転よりも大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成するマルチターン用角度位置センサ
と、を備え、
前記マルチターン用角度位置センサは、
前記シャフトに搭載される主歯車であって、該歯車の外周に形成される複数の歯を有する主歯車と、
外周に形成される複数の第1の歯を有する第1の歯車であって、前記第1の歯は前記主歯車の前記歯と共に回転するように連結している第1の歯車と、
外周に形成される複数の第2の歯を有する第2の歯車であって、前記第2の歯は前記主歯車の前記歯と共に回転するように連結している第2の歯車と、
前記第1の歯車と共に回転するように連結している第1のカプラディスクを備える第1の角度位置センサアセンブリであって、前記第1のカプラディスクの360度回転の一回転に対応する第1の出力信号を生成するように構成された第1の角度位置センサアセンブリと、
前記第2の歯車と共に回転するように連結している第2のカプラディスクを備える第2の角度位置センサアセンブリであって、前記第2のカプラディスクの360度回転の一回転に対応する第2の出力信号を生成するように構成された第2の角度位置センサアセンブリと、
前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とに従って、前記PWM出力を生成するPWM生成器と、を備えるステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項11】
前記PWM生成器はフリップフロップからなる請求項10に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項12】
前記シャフトが初期位置から予め決められた数まで回転するときに、前記PWM出力が0%のデューティサイクルから100%のデューティサイクルまでの範囲で変動するように、前記主歯車の前記歯の数、前記第1の歯の数および前記第2の歯の数との間の関係が決定される請求項10に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項13】
前記予め決められた数が6であり、前記主歯車の前記歯の数(TGA)、前記第1の歯の数(TGB)および前記第2の歯の数(TGC)との間の関係が、
N*TGA/TGB−N*TGA/TGC=1(回転)であり、該式中のNは、前記主歯車の回転の数である請求項12に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項14】
前記第1の角度位置センサアセンブリと前記第2の角度位置センサアセンブリの少なくとも1は、非接触式の角度位置センサ(NCAPS)アセンブリからなる請求項10に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項15】
前記マルチターン用角度位置センサは、
前記第1のカプラディスクの回転を示す第1の正弦波信号を生成するために、複数の信号を含む前記第1の出力信号を局部発振器信号と混合するための第1の複数の混合器と、
前記第2のカプラディスクの回転を示す第2の正弦波信号を生成するために、複数の信号を含む前記第2の出力信号を前記局部発振器信号と混合するための第2の複数の混合器と、をさらに備える請求項10に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項16】
前記マルチターン用角度位置センサは、
前記第1のカプラディスクの回転に比例する位相シフトを有する第1の50%デューティサイクル信号を生成するための第1の比較器と、
前記第2のカプラディスクの回転に比例する位相シフトを有する第2の50%デューティサイクル信号を生成するための第2の比較器と、をさらに備える請求項15に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項17】
前記PWM生成器は、前記PWM出力を生成するために、前記第1の50%デューティサイクル信号と前記第2の50%デューティサイクル信号とを受信する請求項10に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項18】
シャフトの360度回転より大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成する方法であって、
第1の角度位置センサアセンブリに連結する第1の歯車の第1の歯を、前記シャフトに搭載される主歯車の歯と係合させることによって、第1の角度位置出力信号を生成することと、
第2の角度位置センサアセンブリに連結する第2の歯車の第2の歯を、前記シャフトに搭載される前記主歯車の前記歯と係合させることによって、第2の角度位置出力信号を生成することと、
前記第1の角度位置出力信号と前記第2の角度位置出力信号とに対応する前記PWM出力を生成することと、を含む方法。
【請求項19】
前記PWM出力を生成することは、フリップフロップからなるPWM生成器を使用して前記PWM出力を生成することを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シャフトが初期位置から予め決められた数まで回転するときに、前記PWM出力が0%のデューティサイクルから100%のデューティサイクルまでの範囲で変動するように、前記主歯車の前記歯の数、前記第1の歯の数および前記第2の歯の数との間の関係が決定される請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の角度位置出力信号を使用して第1の50%デューティサイクル信号を生成することと、
前記第2の角度位置出力信号を使用して第2の50%デューティサイクル信号を生成することと、
前記PWM出力を生成するために前記第1の50%デューティサイクル信号と前記第2の50%デューティサイクル信号とを組み合わせることと、をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項1】
シャフトの360度回転より大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成するためのマルチターン用角度位置センサであって、
前記シャフトに搭載するのに適した主歯車であって、該主歯車の外周に形成される複数の歯を有する主歯車と、
外周に形成される複数の第1の歯を有する第1の歯車であって、該第1の歯が前記主歯車の前記歯と係合する第1の歯車と、
外周に形成される複数の第2の歯を有する第2の歯車であって、該第2の歯が前記主歯車の前記歯と係合する第2の歯車と、
前記第1の歯車と共に回転するように連結している第1のカプラディスクを備える第1の角度位置センサアセンブリであって、前記第1のカプラディスクの360度の一回転に対応する第1の出力信号を生成するように構成された第1の角度位置センサアセンブリと、
前記第2の歯車と共に回転するように連結している第2のカプラディスクを備える第2の角度位置センサアセンブリであって、前記第2のカプラディスクの360度の一回転に対応する第2の出力信号を生成するように構成された第2の角度位置センサアセンブリと、
前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とに従って、前記PWM出力を生成するPWM生成器と、を備えるマルチターン用角度位置センサ。
【請求項2】
前記PWM生成器はフリップフロップからなる請求項1に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項3】
前記シャフトが初期位置から予め決められた数まで回転するときに、前記PWM出力が0%のデューティサイクルから100%のデューティサイクルまでの範囲で変動するように、前記主歯車の前記歯の数、前記第1の歯の数および前記第2の歯の数との間の関係が決定される請求項1に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項4】
前記予め決められた数が6であり、前記主歯車の前記歯の数(TGA)、前記第1の歯の数(TGB)および前記第2の歯の数(TGC)との間の関係が、
N*TGA/TGB−N*TGA/TGC=1(回転)であり、該式中のNは、前記主歯車の回転の数である請求項3に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項5】
前記第1の角度位置センサアセンブリと前記第2の角度位置センサアセンブリの少なくとも1は、非接触式の角度位置センサ(NCAPS)アセンブリからなる請求項1に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項6】
前記第1のカプラディスクの回転を示す第1の正弦波信号を生成するために、複数の信号を含む前記第1の出力信号を局部発振器信号と混合するための第1の複数の混合器と、
前記第2のカプラディスクの回転を示す第2の正弦波信号を生成するために、複数の信号を含む前記第2の出力信号を前記局部発振器信号と混合するための第2の複数の混合器と、をさらに備える請求項1に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項7】
前記第1のカプラディスクの回転に比例する位相シフトを有する第1の50%デューティサイクル信号を生成するための第1の比較器と、
前記第2のカプラディスクの回転に比例する位相シフトを有する第2の50%デューティサイクル信号を生成するための第2の比較器と、をさらに備える請求項6に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項8】
前記PWM生成器は、前記PWM出力を生成するために、前記第1の50%デューティサイクル信号と前記第2の50%デューティサイクル信号とを受信する請求項7に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項9】
前記PWM出力は0%から100%のデューティサイクルを有し、前記センサは、0%から100%の異なるデューティサイクルを有するように前記PWM出力を変換するためのPWM変換器をさらに含む請求項1に記載のマルチターン用角度位置センサ。
【請求項10】
ステアリングシャフト・アセンブリであって、
シャフトと、
前記シャフトに連結されており、かつ、前記シャフトの360度回転よりも大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成するマルチターン用角度位置センサ
と、を備え、
前記マルチターン用角度位置センサは、
前記シャフトに搭載される主歯車であって、該歯車の外周に形成される複数の歯を有する主歯車と、
外周に形成される複数の第1の歯を有する第1の歯車であって、前記第1の歯は前記主歯車の前記歯と共に回転するように連結している第1の歯車と、
外周に形成される複数の第2の歯を有する第2の歯車であって、前記第2の歯は前記主歯車の前記歯と共に回転するように連結している第2の歯車と、
前記第1の歯車と共に回転するように連結している第1のカプラディスクを備える第1の角度位置センサアセンブリであって、前記第1のカプラディスクの360度回転の一回転に対応する第1の出力信号を生成するように構成された第1の角度位置センサアセンブリと、
前記第2の歯車と共に回転するように連結している第2のカプラディスクを備える第2の角度位置センサアセンブリであって、前記第2のカプラディスクの360度回転の一回転に対応する第2の出力信号を生成するように構成された第2の角度位置センサアセンブリと、
前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とに従って、前記PWM出力を生成するPWM生成器と、を備えるステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項11】
前記PWM生成器はフリップフロップからなる請求項10に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項12】
前記シャフトが初期位置から予め決められた数まで回転するときに、前記PWM出力が0%のデューティサイクルから100%のデューティサイクルまでの範囲で変動するように、前記主歯車の前記歯の数、前記第1の歯の数および前記第2の歯の数との間の関係が決定される請求項10に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項13】
前記予め決められた数が6であり、前記主歯車の前記歯の数(TGA)、前記第1の歯の数(TGB)および前記第2の歯の数(TGC)との間の関係が、
N*TGA/TGB−N*TGA/TGC=1(回転)であり、該式中のNは、前記主歯車の回転の数である請求項12に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項14】
前記第1の角度位置センサアセンブリと前記第2の角度位置センサアセンブリの少なくとも1は、非接触式の角度位置センサ(NCAPS)アセンブリからなる請求項10に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項15】
前記マルチターン用角度位置センサは、
前記第1のカプラディスクの回転を示す第1の正弦波信号を生成するために、複数の信号を含む前記第1の出力信号を局部発振器信号と混合するための第1の複数の混合器と、
前記第2のカプラディスクの回転を示す第2の正弦波信号を生成するために、複数の信号を含む前記第2の出力信号を前記局部発振器信号と混合するための第2の複数の混合器と、をさらに備える請求項10に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項16】
前記マルチターン用角度位置センサは、
前記第1のカプラディスクの回転に比例する位相シフトを有する第1の50%デューティサイクル信号を生成するための第1の比較器と、
前記第2のカプラディスクの回転に比例する位相シフトを有する第2の50%デューティサイクル信号を生成するための第2の比較器と、をさらに備える請求項15に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項17】
前記PWM生成器は、前記PWM出力を生成するために、前記第1の50%デューティサイクル信号と前記第2の50%デューティサイクル信号とを受信する請求項10に記載のステアリングシャフト・アセンブリ。
【請求項18】
シャフトの360度回転より大きい回転に対応するパルス幅変調(PWM)出力を生成する方法であって、
第1の角度位置センサアセンブリに連結する第1の歯車の第1の歯を、前記シャフトに搭載される主歯車の歯と係合させることによって、第1の角度位置出力信号を生成することと、
第2の角度位置センサアセンブリに連結する第2の歯車の第2の歯を、前記シャフトに搭載される前記主歯車の前記歯と係合させることによって、第2の角度位置出力信号を生成することと、
前記第1の角度位置出力信号と前記第2の角度位置出力信号とに対応する前記PWM出力を生成することと、を含む方法。
【請求項19】
前記PWM出力を生成することは、フリップフロップからなるPWM生成器を使用して前記PWM出力を生成することを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シャフトが初期位置から予め決められた数まで回転するときに、前記PWM出力が0%のデューティサイクルから100%のデューティサイクルまでの範囲で変動するように、前記主歯車の前記歯の数、前記第1の歯の数および前記第2の歯の数との間の関係が決定される請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の角度位置出力信号を使用して第1の50%デューティサイクル信号を生成することと、
前記第2の角度位置出力信号を使用して第2の50%デューティサイクル信号を生成することと、
前記PWM出力を生成するために前記第1の50%デューティサイクル信号と前記第2の50%デューティサイクル信号とを組み合わせることと、をさらに含む請求項18に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公開番号】特開2007−155698(P2007−155698A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222214(P2006−222214)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(504286472)ベイ センサーズ アンド システムズ カンパニー,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(504286472)ベイ センサーズ アンド システムズ カンパニー,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]