マルチチャネル高速トランシーバ回路網のレーン間スキュー低減
【課題】送信/受信回路網のスキュー許容量を高めること。
【解決手段】様々なチャネル間で起こり得るスキュー(異なる信号伝播時間)を補償するため、あるいは、少なくとも補償に役立つため、制御可能な遅延回路網がマルチチャネル高速シリアル送信および/または受信回路網の各チャネルに含まれる。CDR回路網を用いるシステムにおいて、遅延回路網は、CDR回路網から派生された信号によって、少なくとも一部は制御され得る。それによって、遅延回路網によって生じた遅延量を、CDR回路網によって検出されたデータ速度の変化に、少なくとも部分的に応答させる。
【解決手段】様々なチャネル間で起こり得るスキュー(異なる信号伝播時間)を補償するため、あるいは、少なくとも補償に役立つため、制御可能な遅延回路網がマルチチャネル高速シリアル送信および/または受信回路網の各チャネルに含まれる。CDR回路網を用いるシステムにおいて、遅延回路網は、CDR回路網から派生された信号によって、少なくとも一部は制御され得る。それによって、遅延回路網によって生じた遅延量を、CDR回路網によって検出されたデータ速度の変化に、少なくとも部分的に応答させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャネルデータ通信に関する。より特定的には、このような通信に使われる様々なチャネル内において異なる信号伝播遅延量を補償することに関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信、特に高速データ通信は、ときどき、送信機(例えば、集積回路デバイス)で発生し、通信媒体(例えば、プリント回路基板トレース)を経由して通り、受信機(例えば、別の集積回路デバイス)で終わるパラレルチャネルあるいはパラレルレーンを幾つか使って、行われる。上述の集積回路の一方または双方は、プログラマブルロジックデバイス(「PLD」)であり得る。データは各チャネル内でシリアルに送信されるが、各チャネルのデータは、送信機に由来し、より大きなデータ構造の一部であって、受信機で正確に再編成されねばならない。このような正確な再編成は、様々なチャネルからデータを受信する受信機の再編成回路網に依存し得るが、これら様々なチャネル間には遅延量に、ある程度の比較的小さな差のみが存在する。このようなチャネル間の遅延差は、スキューと呼ばれることがある。
【0003】
スキュー源として考えられる源は沢山ある。基本的な送信回路網自体は、特に、その回路網のパッケージング部分において、何らかのスキューを有し得る。送信機と受信機の間の通信媒体が、スキュー源ともなり得る。そして、受信回路網(特に、その回路網のパッケージング部分)も、また別のスキュー源となり得る。
【0004】
送信機の出力信号が有することのできるスキュー許容量は、製品の仕様となり得る。したがって、送信機として使う回路網は、この仕様に合うような送信機を使うことが望ましい。同様に、受信回路網もその受信回路網が許容できるスキューの限界を有し得る。そして、そのスキュー量を上回る信号を受信できるように回路網を増強すると、その受信機の使い勝手が向上する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々なチャネル内において異なるスキューを補償する回路網を提供することは望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、送信回路網または受信回路網に使われ得る側面に関する。
【0007】
本発明に従う送信回路網は、複数の回路レーンまたはチャネルを含む。各回路レーンは、個々のシリアルデータ信号を送信する。各回路レーンは、その回路レーンの信号に、様々な回路レーンの信号間でのスキューを補償するため、制御可能な遅延量を与えるための制御可能な遅延回路網を含む。
【0008】
本発明に従う受信回路網は、複数の回路チャネルまたはレーンを含む。各回路レーンは、個々のシリアルデータ信号を受信する。各回路レーンは、その回路レーンの信号に、様々な回路レーンの信号間でのスキューを補償するため、制御可能な遅延量を与えるための制御可能な遅延回路網を含む。受信回路レーンが、CDR回路網を含む場合、各レーンの遅延回路網は、そのレーンのCDR回路網から派生する信号によって、少なくとも一部は制御され得る。それは、遅延回路網によって生じた遅延量を、CDR回路網によって検出されたデータ速度の変化に少なくとも部分的に応答させるためである。
【0009】
本発明の更なる特徴、その性質および様々な利点は、添付図面と以下の詳細な記述から、より明確になる。
【0010】
本発明は、さらに、以下の手段を提供する。
【0011】
(項目1)
複数の回路レーンを備える送信回路網であって、
該回路レーンのそれぞれは、個々のシリアルデータ信号を送信し、
該回路レーンのそれぞれは、該関連回路レーンの信号に、該複数の回路レーンの信号間のスキューを補償するために、制御可能な遅延量を与える制御可能な遅延回路網を含む、回路網。
【0012】
(項目2)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から上流に、シリアライザ回路網をさらに含む、項目1に記載の回路網。
【0013】
(項目3)
上記回路レーンのそれぞれは、前駆動回路網をさらに含む、項目1に記載の回路網。
【0014】
(項目4)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から下流に、送信駆動回路網をさらに含む、項目1に記載の回路網。
【0015】
(項目5)
上記前駆動回路網は、上記遅延回路網から上流にある、項目3に記載の回路網。
【0016】
(項目6)
上記前駆動回路網は、上記遅延回路網から下流にある、項目3に記載の回路網。
【0017】
(項目7)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から上流のポイントからの差動信号化を用い、各レーンの該遅延回路網は、複数の遅延サブ回路を含み、該遅延サブ回路のそれぞれは、そのレーンにおける個々の差動信号の枝部で動作する、項目1に記載の回路網。
【0018】
(項目8)
回路レーン内の上記遅延サブ回路網のそれぞれは、その遅延量に応じて、個別に制御可能である、項目7に記載の回路網。
【0019】
(項目9)
上記回路レーンのそれぞれは、そのレーンの信号の複数の異なる遅延されたバージョンを用い、
各レーンの上記遅延回路網は、複数の制御可能な遅延サブ回路を含み、
該遅延サブ回路のそれぞれは、そのレーンの信号のバージョンの個々のバージョンで動作する、項目1に記載の回路網。
【0020】
(項目10)
回路レーン内の上記遅延サブ回路のそれぞれは、その遅延量に応じて、個別に制御可能である、項目9に記載の回路網。
【0021】
(項目11)
上記回路レーンそれぞれの遅延回路網が
直列に接続された複数の遅延セル回路と、
どの遅延セル出力信号が遅延回路網の出力信号として使われるかを選択するための制御可能な選択回路網と
を備える、項目1に記載の回路網。
【0022】
(項目12)
上記遅延セルが、お互いに関連してバイナリで重み付けされる遅延量を有する、項目11に記載の回路網。
【0023】
(項目13)
上記回路レーンそれぞれの遅延回路網が
直列に接続された複数の遅延セル回路と、
該遅延セル回路の動作速度を制御するために、該遅延セル回路に適用される電源信号のレベルを制御するためのアナログ制御回路網と
を備える、項目1に記載の回路網。
【0024】
(項目14)
複数の回路レーンを備える受信回路網であって、
該回路レーンのそれぞれは、個々のシリアルデータ信号を受信し、
該回路レーンのそれぞれは、該関連回路レーンの信号に、該複数の回路レーンの信号間のスキューを補償するために、制御可能な遅延量を与えるための、制御可能な遅延回路網を含む、回路網。
【0025】
(項目15)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から下流に、デシリアライザ回路網をさらに含む、項目14に記載の回路網。
【0026】
(項目16)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から下流に、CDR回路網をさらに含む、項目14に記載の回路網。
【0027】
(項目17)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から上流に、CDR回路網をさらに含む、項目14に記載の回路網。
【0028】
(項目18)
上記回路レーンのそれぞれは、上記CDR回路網から下流に、遅延回路網をさらに含む、項目16に記載の回路網。
【0029】
(項目19)
上記回路レーンそれぞれは、VCO回路網を含むCDR回路網をさらに含み、該回路レーンそれぞれの遅延回路網は、その回路レーン内の該VCO回路網から派生する信号によって、少なくとも部分的に制御される、項目14に記載の回路網。
【0030】
(項目20)
上記回路レーンそれぞれの遅延回路網は、直列に接続された複数の遅延セル回路を備え、該回路レーンそれぞれのVCO回路網から派生した信号は、その回路レーンの遅延セル回路の動作速度に影響を及ぼすために使用される、項目19に記載の回路網。
【0031】
(項目21)
上記回路レーンそれぞれのVCO回路網は、チャージポンプ回路網を含み、該回路レーンそれぞれのVCO回路網から派生した信号は、そのVCO回路網のチャージポンプ回路網の出力信号である、項目19に記載の回路網。
【0032】
(項目22)
上記回路レーンそれぞれの遅延回路網は、
その回路レーンの任意の遅延セル回路の出力信号を、その回路レーンの遅延されたデータ信号として、制御可能なように選択できる選択回路網
をさらに備える、項目20に記載の回路網。
【0033】
(項目23)
VCO回路網を含むCDR回路網によって処理されているデータ信号を制御可能なように遅延するための回路網であって、
該回路網は、遅延回路網を備え、
該遅延回路網は、該VCO回路網から派生する信号に、該遅延回路網が該データ信号を遅延する遅延量に応じて、少なくとも部分的に応答する、回路網。
【0034】
(項目24)
上記遅延回路網が、上記CDR回路網から上記データ信号を受信する、項目23に記載の回路網。
【0035】
(項目25)
上記遅延回路網が直列に接続された複数の遅延セルを備え、上記VCO回路網から派生した信号が、上記遅延セル回路の動作速度に影響を及ぼすために使用される、項目23に記載の回路網。
【0036】
(項目26)
上記VCO回路網は、チャージポンプ回路網を含み、該VCO回路網から派生した信号は、該チャージポンプ回路網の出力信号である、項目23に記載の回路網。
【0037】
(項目27)
上記遅延セル回路の任意の回路の出力信号を、遅延されたデータ信号として、制御可能なように選択できる選択回路網をさらに備える、項目25に記載の回路網。
【発明の効果】
【0038】
本発明により、様々なチャネル内において異なるスキューを補償する回路網が提供され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(詳細な説明)
まず、本発明を送信回路網へ適用する場合について、記載する。その後、本発明の受信機での実施形態について、記載する。
【0040】
本発明に従う説明的な送信回路網10を図1に示す。回路網10は、同一または実質的に同一な送信チャネルまたはレーン12a〜12nを幾つか含む。図1には、これらチャネルの1つのみが詳細に示されているが、他のチャネルも、この詳細に描かれたチャネルと同一または実質的に同一であることは、理解されるべきである。チャネル12の全ては、PLDのような単一の集積回路の上にあり得る。各チャネルは、それ自身のパラレルデータ20を受信し、各チャネルの制御可能な遅延回路網70は、各チャネルに様々なチャネルによって異なり得る遅延量を加えるため、個別に制御可能である。これら様々な遅延量は、様々なチャネルの出力パッド110におけるシリアルデータ出力信号間、あるいは、(おそらく、より重要ですらあるのは)様々なチャネルの出力パッド110に接続されている集積回路パッケージ出力ピン112におけるシリアルデータ出力信号間のスキュー量を減らすために、選択され、制御される。
【0041】
代表的なチャネル12aに関してなされる以下の詳細な記述は、チャネル12の全てのチャネルについて、適用されることは、理解されるべきである。
【0042】
図1に示すように、代表的な送信チャネル12aは、幾つかのパラレルデータリード線20上のパラレルな幾つかのデータ信号を(図示されていない上流の回路網から)受信するシリアライザ回路網30を含む。例えば、任意の所定の時間に、リード線20上の信号は、デジタルデータのバイトまたはワードを表し得る。(本明細書において、「バイト」という用語が一般的に使用されるが、これはユニットとして解釈されることを意図する幾つかのビットのグループを意味する。本明細書で使用されるように、バイトはビットを任意の複数個含み得るものと、理解される。)クロック生成回路網120に適用されるクロック信号118は、連続的なバイト20が、シリアライザ回路網30に適用される速度と等しい周波数を有し得る。この周波数は、バイト速度周波数(byte rate frequency)と呼ばれることがある。さらに、クロック信号118は、連続的なバイト20との関係で、適切で有効な位相を有することが好ましい。クロック信号118をシリアライザ回路網30に適用することに加え(例えば、その回路網の連続的なバイト20それぞれに、レジスタに使用のため))、クロック生成回路網120も、シリアライザ回路網30のシリアル出力側に適用されるビット速度クロック信号をクロック信号118から生成する。ビット速度クロック信号は、バイト速度周波数のm倍の周波数を有する。ここで、mは各バイト内のビット数である。それゆえ、ビット速度クロック信号は、データ20から各バイトの個々のビットを(回路網30によって)シフトアウトするために使われ得る。これらビットは、一つずつシリアルデータ様式にシフトアウトされる。ビット速度は、ギガヘルツの範囲(例えば、1GHz〜数GHz)であり得るが、これはほんの一例であって、本発明は任意の特定の周波数によって使われることに限定されないことには、留意されたい。
【0043】
シリアライザ回路網30によって出力されたシリアルデータ40は、前駆動回路網50に適用される。必要に応じて、シリアライザ回路網30は、幾つかのシリアルデータ信号を出力し得る。(このタイプの実施形態の説明図として、図6を参照。)これら幾つかの信号の情報内容は、お互いに同一であり得るが、出力駆動回路網90(TX回路網90とも呼ぶ)内の有限インパルス応答(「FIR」)フィルタリングの供給を容易にするため、お互いに相対的に1ビットインターバル(またはユニットインターバル(「UI」)遅れ得る。前駆動回路網50は、TX駆動90を駆動するのに必要とされる信号レベルおよび強度に達するため、それに適応される信号をバッファする。前駆動回路網50は、バッファされた信号の立ち上がり速度の制御をインプリメントするためにも、用いられ得る。立ち上がり速度とは、バイナリデータ信号のレベル間の変化(transition)の急峻度である。データ速度が速ければ速いほど、データの正確な受信と解釈のために必要とされる立ち上がり速度が大きくなる。しかし、立ち上がり速度が速いと、電力消費も大きくなり、より高い周波数のコンポーネントを有する。つまり、データの送信が遅い速度でなされた場合、立ち上がり速度を抑えるのに役立ち得る。このような立ち上がり速度の制御は、前駆動回路網50の性能の一つであり得る。前駆動回路網50の他の可能な特徴としては、使用されていない回路網50の全てまたは任意のパーツをパワーダウンすること、および/または、回路網50で処理されるシリアルデータ信号の(例えば、データ20を供給する上流の回路網への)ループバックすることを容易にするマルチステージ構造である。このようなループバックは、回路網の様々なパーツの適切な動作をテストするために、使われ得る。
【0044】
前駆動回路網50のシリアルデータ出力信号60は、制御可能な遅延回路網70に適用される。この回路網は、その回路網に適用される信号を、制御可能な量、遅延する。例えば、幾つかの信号60があり、これら信号60の主要な(あるいは、少なくとも最先の)信号に比べ、それぞれ1UI以上遅れている場合、回路網70は、これら信号のそれぞれを同じ制御可能な量だけ遅らせる。(このタイプの実施形態の説明図として、図6を参再度、参照。)制御可能な遅延回路網70は、本発明のデスキュー機能をインプリメントする。以上に述べてきたように、送信回路網10の様々なチャネル12a〜12nの回路70によってなされた遅延量は、様々なチャネルの出力信号110または120間のスキューを減らすために、選択される。様々なチャネル12a〜12nに入っていくデータ20は、本発明と関連して関心の対象であるデータ通信のタイプと、緊密に(closely)同期化される。これら様々なチャネルを介し、その出力ピン112へのスキューを低減または除去できると、送信回路網10が、様々な出力ストリーム内のデータ間で同様に緊密な同期化したこのデータ(たとえ、異なる(すなわち、シリアル)形式であっても)を出力するのに役立つ。
【0045】
回路70によってなされる遅延量は、プログラマブルに制御され得る(例えば、回路70と関連する静的ランダムアクセスメモリ(「SRAM」)セルをプログラムすることによって)。代替的に、回路70によってなされる遅延量は、より動的に制御され得る(例えば、回路網の通常の動作の間に変化できる信号によって)。さらなる例として、回路70によってなされる遅延量は、プログラマブルな制御と動的制御との組み合わせで制御され得る。例えば、幾つかの可能な動作範囲の一つがプログラマブルに選択され、次いで、選択された範囲内の特定の動作ポイントが、動的な可変制御信号によって、可変的に制御され得る。
【0046】
遅延回路網70の出力信号80は、TX駆動回路網90に出力するために適用される。この回路網は、その信号を送信機からの出力信号に必要とされるレベルまたは強度まで上げる。図1で示す回路網90は、差動形式でシリアルデータ信号を出力している(相補的な出力パッド110pと110nを介して、そして、それゆえ、相補的なパッケージ済みデバイスの出力ピン112pと112nを介して)。回路網90は、その回路網が出力する信号に、プリエンファシスおよび/またはポストエンファシス(例えば、その信号のレベルでの各変化の直前および/または直後に追加エネルギ)を与え得る。これは、例えば、回路網90内のFIRフィルタリングに信号を従わせることによって、なされ得る。これは、上述のように、複数の異なる遅延された出力信号60の使用に基づき得る。
【0047】
図1に示され、以上に述べたことを簡単に要約すると、12a〜12nの各レーンが他のレーンとは独立して遅延調整ができるように、制御可能な遅延素子70が、TX駆動90の直前に加えられる。これは、複数のレーン間の遅延差を補償できる。
【0048】
図2は、制御可能な遅延回路網70を前駆動回路網50の手前に含む一つの代表的なチャネル12a’の代替的な実施形態を示す。これは、前駆動回路網50が、遅延回路網70の出力信号をTX駆動回路網90に先立って、再度バッファできる。
【0049】
制御可能な遅延回路網70の説明的な実施形態を図3に示す。この実施形態の回路網70では、直列に接続された複数の遅延セル210a〜210kを含む。遅延セル210のそれぞれへの入力(および最後の遅延セルの出力)は、マルチプレクサ220へのそれぞれの入力に接続されている。マルチプレクサ220は、その選択制御入力信号(「SEL CTRL」)によって制御可能で、その入力信号の任意の一つをマルチプレクサ出力信号230として選択する。この信号は、レベルシフター回路網240に適用され得、TX駆動回路網90(図1)または前駆動回路網50(図2)への適用に好適な出力信号250を生成する。上述から、制御可能な遅延回路網70へのデータ入力(200)とその回路網70からのデータ出力(250)との間の遅延量は、その入力とその出力との間に、現在、直列に接続されている遅延セル210の数に依存する、ということは明らかである。この数は、SEL CTRL信号を介して、選択可能である。したがって、回路網70によって提供される遅延量は、制御可能である。
【0050】
必要に応じて、遅延の増分は、より多くの数を組み合わせ、それゆえ、全体の遅延をより細かく分解(resolution)できるように、バイナリで重み付けされ得る。このタイプの説明的な実施形態を図4に示す。本実施形態において、遅延セル212aは1ユニットの遅延(「1UD」)を有し、遅延セル212bは2ユニットの遅延(「2UD」)を有し、そして、遅延セル212cは4ユニットの遅延(「4UD」)を有する。マルチプレクサ214aは、遅延セル212aの入力信号200と出力信号とのいずれもが、遅延セル212bとマルチプレクサ214bの入力に適用されることを可能にする。マルチプレクサ214bは、入力信号200、マルチプレクサ214aの出力信号または遅延セル212bの出力信号の任意の一つが、遅延セル212cに適用されることを可能にする。マルチプレクサ220は、入力信号200または遅延セル212a〜212cの任意の遅延セルの出力信号を、出力信号230として選択できる。したがって、図4に示す回路網は、信号200が図4に示す様々な素子を介し、どのような経路を採るかによって、信号200を0〜7の任意の整数UD遅らすことができる。例えば、6UDの遅延を生成するために、信号200はマルチプレクサ214aを経由し、遅延セル212aをバイパスし、次いで、素子212b、214b、212cおよび220を連続的に経由して通り、リード線230に達する。選択制御信号SEL CTRLは、所望の遅延量を達成するために、全てのマルチプレクサ214および220によってなされる選択を制御する。
【0051】
図4に示すバイナリで重み付けされた遅延ステージ212の数は、単に説明的なものであって、必要に応じて、このようなステージを任意の数、使用できることは理解されるべきである。図4に示すルーティングとマルチプレクシングに、何らかの冗長性(少なくとも、ロジック的に)があることが、当業者には認識される。例えば、マルチプレクサ214bの最上部の入力は、そのマルチプレクサへの中央部への入力と、少なくともロジック的に冗長である。なぜなら、信号200は、代替的に、マルチプレクサ214aを経由し、中央部の入力に到達できるからである。また、マルチプレクサ220がなし得る最初の2つの選択は、マルチプレクサ214aによってなされる選択と、ロジック的に冗長である。図4に示す回路配置は、このタイプの回路網で利用可能な様々な遅延オプションを見やすくするために、図示のために選ばれたものである。しかし、同等あるいは類似の結果を達成するために、他の回路配置も使用され得る。
【0052】
正確な遅延が生成され得るようにする別の方法は、バンドギャップ電流を使うことである。例えば、米国特許出願第10/935,867号(2004年9月7日出願)に示されており、この出願は、本明細書において、その全体を参考として援用する。
【0053】
また、制御可能な遅延回路網70をインプリメントする更なる別の方法は、遅延セルのチェーンへの電源電圧を変更して、遅延のアナログ調整を形成することである。このアプローチは、図5によって説明される。
【0054】
図5に示す実施形態において、制御可能な遅延回路網70は、直列に接続された複数の遅延セル310a〜310jを含む。遅延させるべきデータ信号300は、これら遅延セルの第一のセルに適用される。最後の遅延セルの出力信号は、TX駆動回路網90(図1)または前駆動回路網50(図2)に適用するための遅延されたデータ出力信号350を生成するために、レベルシフター回路網340(図3の回路網240と同様)に適用される。セル310のそれぞれが、そのセルに適用される信号を遅延させる量は、バス380への電力供給信号のレベルに依存する。例えば、バス380への電圧が高ければ高いほど、セル310のそれぞれが、そのセルに適用する信号への遅延はより少なくなる。バス380は、トランジスタ370を介して、電源供給バス360からその信号を得る。トランジスタ370がその制御信号VCTRLによって、より強くオンにされたら、バス380への電圧は、バス360への電圧に、より近づく。したがって、VCTRL信号のレベルは、データ信号が入力リード線300から出力リード線350に通る間に、図示された回路網によって遅延される時間量を決定する。
【0055】
図5に示すアプローチは、内部ノイズ除去機構を提供するので、特に興味深いものであり得る。このことは、高速のデータ速度トランシーバにとって重要であり得る。しばらくの間、公称電圧「V」の電源から、遅延「T」の遅延ラインを考える。さらに、このような電源をマルチチャネルが組み込まれたPLDシステム内の多数のトランシーバでシェアしていると考える。このようにシェアされた電源供給量「DV」への任意の撹乱は、量「DT」分の変化を遅延ラインにもたらす。ここで、DTは、T*DV/Vで近似され得る。それゆえ、より大きな外部スキューを補償するために、より長い遅延チェーンを作らなくてはならないので、シェアされた電源へのノイズに対し、より敏感となる。電源を専用とする(dedicating)代わりに(実際には、これは小さなシステムで行われ得る)、このような遅延依存性に強いことからメリットを享受でき、外部のシェアされる電源と、遅延セルの電源との間に、レギュラ(regular)NMOSトランジスタまたはネイティブ(native)NMOSトランジスタのいずれかを置くことができる。ここで、各遅延セルに対し、VCTRLを制御することで、電圧を調整でき、それゆえ、他の遅延グループに影響を与えることなく、それぞれの遅延グループの遅延を調整できる。その理由は、この構造のノイズ除去が優れているからである。
さらなる保護は、レギュレータ370とシェアされた電源360との間に(例えば、図5の矢印365で示される位置に)、アクティブフィルタを置くことで、達成され得ることに留意すべきである。これが、更なる電源ノイズから、トランジスタ370を基本的に「シールド」する。
【0056】
レベルシフター340は、電圧をTX駆動レベルに戻して回復するために、典型的には、遅延セルチェーンの後に必要とされる。
【0057】
図1と図2は、データ信号が、TX駆動90の出力で、最初、2つの差動信号になり得ることを示唆しているが、差動信号化(differential signaling)はそのコンポーネントから上流で始まり得る。そのイベントにおいて、遅延チェーンは、前駆動経路の差動枝部(leg)に置かれ得る(このタイプの実施形態の説明図である図7参照)。このことは、一つの差動枝部の遅延を、他の差動枝部とわずかに異なるように調整して、個々のチャネルの負荷サイクル校正を可能とする。キャリブレーション回路網と組み合わせると、これはローディング(loading)ばらつきを補償し得る(すなわち、一方の差動枝部のローディングが、他方の差動枝部のローディングより大きい)。ここで述べるキャリブレーションは、ローディングにおける各チャネルの個々のばらつきに対し、各チャネルをキャリブレーションする。このようなキャリブレーション(これは本発明の一部ではない)は、専用の回路網によって、および/または、関連PLD回路網からの制御によって、行われ得る。
【0058】
以上に図示し、記述した調整アプローチは、VCTRLを介する遅延のアナログ制御を可能にする。これは、順に、マルチプレクサラインを介してでは可能でなかった非常に細かな精度の遅延設定を可能にする。
【0059】
ギガヘルツ範囲の送信を想定する場合、チップのレーン間ばらつきをカバーし、ある程度の基板レベルの柔軟性を確保するため、名目上、遅延は200ps近傍にあることをターゲットにされるべきである。
【0060】
用いられる遅延セルは、片線接地であるか、差動であるかのいずれかであり得る。後者が、回路網内の他のコンポーネントの信号レベルに好適なマッチングを提供するものとして、好ましい。1個以上のオンチップ電圧制御発振器(VCO)からの遅延セルを使用して、利用可能な回路網を最大限に使用することも可能であり得る。
【0061】
図6と図7は、両図が示す特徴をインプリメントする可能な1つの方法のみを示す。例えば、図6において、前駆動回路網50(前駆動サブ回路50’、50”および50’”を含む)と、制御可能な遅延回路網70’、70”および70’”の順序は、逆になってもよい。図7において、前駆動回路網50と制御可能な遅延回路網70(制御可能な遅延サブ回路70pおよび70nを含む)の順序を逆にすることも、同様に可能である。後者の場合、これは、シリアライザ回路網30に、差動出力信号を供給させることを意味する。
【0062】
図6に戻ると、全ての遅延回路70’、70”および70’”は、同じ遅延量を提供するために、共通して制御され得る。代替的に、これら回路は、異なる遅延量を提供するために、個別に制御され得る。この後者の可能性は、前駆動回路50’、50”および50’”の動作にわずかな違いがあるために生じる局所スキューを追加的に補償するために、魅力的であり得る。図6に示すサブチャネルの数(3)は、単に例示的なものに過ぎない。必要に応じて、2つのみ、あるいは、3つより多くのサブチャネルも使われ得る。図6に示す特徴は、必要に応じて、図7に示す特徴と組み合わせて使われ得る。図6および図7の任意の遅延サブ回路網70’、70”、70’”、70pおよび70nは、図2〜図5に示されたように、および/または、本明細書で以前に述べたように、構築され得る。
【0063】
本発明の受信機側面の説明的な実施形態を図8に示す。本実施形態において、受信回路網410は、同一または実質的に同一のチャネルまたはレーン412a〜412nを幾つか含む。各チャネル412は、シリアルデータ信号を受信し、例えば、図1の送信チャネル12のそれぞれのチャネルによって、出力され得る。図8は、各チャネル412への入力が、代表的なチャネル412aにおける420paと420paのような集積回路パッケージピンに適用される差動信号ペアである場合を示す。ピン420から、これら信号は集積回路それ自体の差動入力パッド430pと430nに適用される。(代表的なチャネル412aのみが詳細に図示され、記載されているが、他のチャネル412b〜412nのそれぞれも同一または実質的に同一であることは理解されるべきである。)。
【0064】
差動入力パッド430から入ってくる差動信号は、リード線440pと440nを介して、入力バッファまたは駆動450の差動入力端子に(ときどき、RX駆動450とも呼ばれる)適用される。RX駆動450の片線接地出力信号は、リード線460を介して、制御可能な遅延回路網470に適用される。以下に、さらに詳細に議論するように、遅延回路網470は、本明細書で前掲の任意の図に表示および/または本明細書で前述の遅延回路網70の任意のものと同様であり得る。
【0065】
遅延回路網470の出力信号480は、クロックデータリカバリ(「CDR」)回路網490に適用される。CDR回路網は、適用されたシリアルデータ信号からのクロック信号とデータの双方を回復するための回路網として知られている。CDR回路網490のシリアルデータ出力信号500は、典型的には、例えば、デシリアル化、逆符号化、復号化および/またはチャネル結合(すなわち、幾つかのチャネル412a〜412nの信号間の最終的な同期化)などの目的で、他の既知の回路網に適用される。図8に示す回路網は、デシリアライザ回路網とともに、図8の回路網を含む集積回路(例えば、PLD)のいわゆる物理的媒体アタッチメント(physical medium attachment)すなわちPMAサブレイヤの中にあり得る。上述の逆符号化、復号化および/またはチャネル結合回路網は、集積回路のいわゆるPCSすなわち物理的符号化サブレイヤ(physical coding sublayer)の中にあり得る。PCS回路網の出力信号は、集積回路上の更なるプロセッシング回路網に適用され得る。例えば、この更なるプロセッシング回路網は、その集積回路がPLDである場合、プログラマブルロジックコア回路網を含み得る。
【0066】
図8に示す回路配置は、細かなスキュー調整に適している(例えば、回路網がギガヘルツ範囲のシリアルデータ速度で動作している場合、数十および/または数百psの範囲)。各チャネルの細かな遅延制御を行うために、制御可能な遅延回路網470がCDR回路網490の直前に加えられている。CDR回路網490は、自動的に、それが受信する信号の「目」の中心をサンプルする。その結果、遅延回路網470は、(1)TXチップチャネル間のスキュー、(2)わずかな基板スキュー(すなわち、TXチップとRXチップ間のプリント回路基板接続における)、および(3)RXチップチャネル間のスキューの細かな差を補償できる。幾つかの技術が、遅延回路網470を介した遅延の細かな増分を生成するために使われ得る(RX経路のアーキテクチャは特殊なものを適応するが、今までに図示および/または記載されたTX遅延回路70のインプリメンテーションの可能な構造と同様に)。RX遅延回路網70で可能なこれらインプリメンテーションは、(1)カスケーディングのため、幾つかのプログラマブル遅延セルとマルチプレクサの使用(例えば、図3のような)、(2)正確な遅延生成のため、バンドギャップの利用、および、(3)遅延セルのチェーンへの電源電圧を変化させての遅延のアナログ調整(例えば、図5のような)を含む。
【0067】
図9は、図8からの代表的なチャネルの一つで、本発明に従う可能な追加の制御可能な遅延回路網を有するものを示す。図9に示す説明的な実施形態において、この追加の遅延回路網は、CDR回路網490から下流にあり、回復されたシリアルデータ信号500に動作する。図9に示すように、信号500は、直列の遅延セル510a〜510kに適用される。これらセルは、電圧制御発振器(「VCO」)遅延セルであり得るか、あるいは、それに類似し得る。このようなVCO遅延セルと同様なものは、典型的には、CDR回路網490の一部であるVCO回路網に含まれる。CDR回路網490内で、VCOが入ってくるシリアルデータ信号の周波数に合うように、VCOはチャージポンプ回路網によって制御される。例えば、このように言われる周波数合わせは、入ってくるシリアルデータの周波数とVCO周波数との間で、周波数が等しくなり得るか、あるいは、何らかの所定の比率(典型的には、2:1や4:1のような整数比)であり得る。
【0068】
図9に示す実施形態において、上述のチャージポンプ回路網の出力信号、あるいは、その信号の派生信号または類似信号は、VCTRL信号として描かれている。この信号は、遅延セル510のそれぞれの動作速度を調整するために使われる(CDR回路網490内のチャージポンプ出力信号が、回路網490内のVCOにあるVCO遅延セルの動作速度を制御する方法と同様に)。遅延セル510のそれぞれの出力信号は、マルチプレクサ回路網520への入力のそれぞれに適用される。回路網520は、その選択制御(「SEL CTRL」)入力信号によって制御可能であり、その出力信号530として、(遅延セル510から)その主要な入力信号の任意の一つを選択する。この出力信号は、レベルシフター回路網540(他の前述したレベルシフター回路網と同様の)に適用される。レベルシフター回路網540の出力信号550は、デシリアライザ回路網560に適用される。デシリアライザ回路網560は、上述した種類の更なるプロセッシング用デバイスのPCS回路網に適用するために、幾つかの連続的なシリアルビットを集めて、パラレルバイトまたはワード570を生成し得る。
【0069】
図9に示すタイプの実施形態は、正確で、マルチUIの受信チャネル遅延調整を生成することができる。この遅延調整は、データ速度に機敏に対応する(すなわち、入ってくるデータ速度の変化に、自動的に適応または変化する)。このようにデータ速度に機敏に対応するのは、遅延セル510の動作速度を制御するために、CDR VCOチャージポンプ出力信号など(VCTRL)を使う結果である。この電圧制御は、この種のシステムにおいて、容易に利用可能であること、および、各チャネル(例えば、図8の412a〜412n)で独立して生成されることは理解される。こうして、このタイプの実施形態によって、PMA対PCSに、制御可能で、長いが、非常に正確な遅延回路を形成できる。こうして、このような遅延が必要とされない場合、待ち時間による損失を被ることはない。
【0070】
図9に示すように、CDR回路網490から下流に、素子510、520および540の構造を置くことに考えられる代替として、このようなタイプの構造は、その代わりに、CDR回路網の前に置かれ得る(図9の素子470と同様に)。いずれの場合(CDR回路網490の前または後)も、細かな調整と粗い調整が組み合わされ、非常に幅広い用途のシステムを提供できる。いずれのコンフィギュレーションも可能であるが、図9に示すコンフィギュレーションが、現在のところ、好ましい。なぜなら、これがビットエラー率(「BER」)性能を改善すると、考えられているからである。これがそのようになる理由は、長い遅延チェーン510のジッタが、CDR位相検出器のビット認識プロセスに影響を与えないようにするために、このジッタの影響を、CDRデータ採取経路から遠ざけて置くこと(すなわち、CDR回路網490の後)が優れているからである。また、レベルシフター回路網540が、信号をCMOSパワー供給レベルに戻すように変換するために、遅延セル510の後に置かれ、こうして、このインプリメンテーションが真にデータ速度に依存しないようなることに留意すべきである。
【0071】
図10は、パッケージ済みのプログラマブルロジックデバイス(「PLD」)600のコンテキスト中で、本発明に従う受信および/または送信回路網の利用を示す。PLDチップ610は、パッケージ600内に据え付けられている。パッケージピン112と420は、デバイス600を外部と接続するために、提供される。PLDチップ610は、送信チャネル12a〜12nおよび/または受信チャネル412a〜412nを含む。図10において、これらチャネルのそれぞれは、以前の図で、より詳細に示したPMA回路網と、少なくともその一部は本明細書で前述してきた暗号化/復号化、符号化/逆符号化、速度合わせ、チャネル結合など用の回路網のようなPCS回路網とを含むものと仮定している。PLDチップ610は、また、プログラマブルロジック回路網、メモリ回路網、プロセッサ回路網などのようなPLDコア回路網620も含む。コア回路網620は、DOで参照されるリード線を介して、データを出力できる。この回路網620は、DIで参照されるリード線を介して、データを受信できる。この回路網620は、Cで参照されるリード線を介して、様々なチャネルの様々な側面を制御するための信号を出力できる。例えば、これら制御信号Cは、本明細書で以前に図示および記述した様々な遅延回路網によって、実行された遅延量を制御するための信号を含み得る。
【0072】
図11は、本明細書で前述した遅延素子を制御するための信号が、プログラマブル(例えば、図10のPLDチップ610の1つ以上のプログラマブルメモリまたはコンフィギュレーションセル710から)でも、あるいは、より動的な信号源720(例えば、PLDコアロジック620(図10)など)からでもあり得ることを示す。いずれかのタイプの制御を選択可能とするオプションが必要なら、マルチプレクサ730が、遅延素子制御信号を選択するために提供され得る。こうして、静的または比較的静的な信号源710、あるいは、潜在的により動的な信号源720のいずれも使われる。マルチプレクサ730によってなされる選択は、プログラマブルメモリまたはコンフィギュレーションセル740によって制御される。
【0073】
以上は、本発明の原理を説明的に示したに過ぎないこと、および、本発明の範囲と精神から逸脱することなく、当業者によって様々な変更も成され得ることは、理解されるべきである。例えば、チャネル12a〜12n(図1)および/または412a〜412n(図8)の数は、任意の所望の数であり得る。同様に、遅延セル210a〜210k(図3)、212(図4)、310a〜310j(図5)および510a〜510k(図9)の数も、任意の所望の数であり得る。
【0074】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許出願は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【0075】
様々なチャネル間で起こり得るスキュー(異なる信号伝播時間)を補償するため、あるいは、少なくとも補償に役立つため、制御可能な遅延回路網がマルチチャネル高速シリアル送信および/または受信回路網の各チャネルに含まれる。CDR回路網を用いるシステムにおいて、遅延回路網は、CDR回路網から派生された信号によって、少なくとも一部は制御され得る。それによって、遅延回路網によって生じた遅延量を、CDR回路網によって検出されたデータ速度の変化に、少なくとも部分的に応答させる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に従う送信回路網を説明する簡単な回路ブロック図である。
【図2】本発明に従う図1の回路網の代表部分の代替的な実施形態の簡単な回路ブロック図である。
【図3】本発明に従う図1または図2で用いられるコンポーネントの一つを説明する実施形態の簡単な回路ブロック図である。
【図4】図3に示す代替的な実施形態の簡単な回路ブロック図である。
【図5】図3に示す別の代替的な実施形態の簡単な回路ブロック図である。
【図6】図1に示すタイプの回路網の代表的な部分に、本発明で可能な特徴の説明的な実施形態を示す簡単な回路ブロック図である。
【図7】図1に示すタイプの回路網の代表的な部分に、本発明で可能な別の特徴の説明的な実施形態を示す簡単な回路ブロック図である。
【図8】本発明に従う受信回路網を説明する簡単な回路ブロック図である。
【図9】本発明に従うオプション追加付きの図8の回路網の代表的な部分の実施形態を説明する簡単な回路ブロック図である。
【図10】以前の図に示すタイプの回路網が、本発明に従って用いられ得るコンテキストを説明する簡単な回路ブロック図である。
【図11】本発明に従う制御回路網を説明する簡単な回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
10 送信回路網
12a〜12n 送信チャネルまたはレーン
20 パラレルデータ
30 シリアライザ回路網
40 シリアルデータ
50 前駆動回路網
70 遅延回路網
120 クロック生成回路網
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャネルデータ通信に関する。より特定的には、このような通信に使われる様々なチャネル内において異なる信号伝播遅延量を補償することに関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信、特に高速データ通信は、ときどき、送信機(例えば、集積回路デバイス)で発生し、通信媒体(例えば、プリント回路基板トレース)を経由して通り、受信機(例えば、別の集積回路デバイス)で終わるパラレルチャネルあるいはパラレルレーンを幾つか使って、行われる。上述の集積回路の一方または双方は、プログラマブルロジックデバイス(「PLD」)であり得る。データは各チャネル内でシリアルに送信されるが、各チャネルのデータは、送信機に由来し、より大きなデータ構造の一部であって、受信機で正確に再編成されねばならない。このような正確な再編成は、様々なチャネルからデータを受信する受信機の再編成回路網に依存し得るが、これら様々なチャネル間には遅延量に、ある程度の比較的小さな差のみが存在する。このようなチャネル間の遅延差は、スキューと呼ばれることがある。
【0003】
スキュー源として考えられる源は沢山ある。基本的な送信回路網自体は、特に、その回路網のパッケージング部分において、何らかのスキューを有し得る。送信機と受信機の間の通信媒体が、スキュー源ともなり得る。そして、受信回路網(特に、その回路網のパッケージング部分)も、また別のスキュー源となり得る。
【0004】
送信機の出力信号が有することのできるスキュー許容量は、製品の仕様となり得る。したがって、送信機として使う回路網は、この仕様に合うような送信機を使うことが望ましい。同様に、受信回路網もその受信回路網が許容できるスキューの限界を有し得る。そして、そのスキュー量を上回る信号を受信できるように回路網を増強すると、その受信機の使い勝手が向上する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々なチャネル内において異なるスキューを補償する回路網を提供することは望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、送信回路網または受信回路網に使われ得る側面に関する。
【0007】
本発明に従う送信回路網は、複数の回路レーンまたはチャネルを含む。各回路レーンは、個々のシリアルデータ信号を送信する。各回路レーンは、その回路レーンの信号に、様々な回路レーンの信号間でのスキューを補償するため、制御可能な遅延量を与えるための制御可能な遅延回路網を含む。
【0008】
本発明に従う受信回路網は、複数の回路チャネルまたはレーンを含む。各回路レーンは、個々のシリアルデータ信号を受信する。各回路レーンは、その回路レーンの信号に、様々な回路レーンの信号間でのスキューを補償するため、制御可能な遅延量を与えるための制御可能な遅延回路網を含む。受信回路レーンが、CDR回路網を含む場合、各レーンの遅延回路網は、そのレーンのCDR回路網から派生する信号によって、少なくとも一部は制御され得る。それは、遅延回路網によって生じた遅延量を、CDR回路網によって検出されたデータ速度の変化に少なくとも部分的に応答させるためである。
【0009】
本発明の更なる特徴、その性質および様々な利点は、添付図面と以下の詳細な記述から、より明確になる。
【0010】
本発明は、さらに、以下の手段を提供する。
【0011】
(項目1)
複数の回路レーンを備える送信回路網であって、
該回路レーンのそれぞれは、個々のシリアルデータ信号を送信し、
該回路レーンのそれぞれは、該関連回路レーンの信号に、該複数の回路レーンの信号間のスキューを補償するために、制御可能な遅延量を与える制御可能な遅延回路網を含む、回路網。
【0012】
(項目2)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から上流に、シリアライザ回路網をさらに含む、項目1に記載の回路網。
【0013】
(項目3)
上記回路レーンのそれぞれは、前駆動回路網をさらに含む、項目1に記載の回路網。
【0014】
(項目4)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から下流に、送信駆動回路網をさらに含む、項目1に記載の回路網。
【0015】
(項目5)
上記前駆動回路網は、上記遅延回路網から上流にある、項目3に記載の回路網。
【0016】
(項目6)
上記前駆動回路網は、上記遅延回路網から下流にある、項目3に記載の回路網。
【0017】
(項目7)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から上流のポイントからの差動信号化を用い、各レーンの該遅延回路網は、複数の遅延サブ回路を含み、該遅延サブ回路のそれぞれは、そのレーンにおける個々の差動信号の枝部で動作する、項目1に記載の回路網。
【0018】
(項目8)
回路レーン内の上記遅延サブ回路網のそれぞれは、その遅延量に応じて、個別に制御可能である、項目7に記載の回路網。
【0019】
(項目9)
上記回路レーンのそれぞれは、そのレーンの信号の複数の異なる遅延されたバージョンを用い、
各レーンの上記遅延回路網は、複数の制御可能な遅延サブ回路を含み、
該遅延サブ回路のそれぞれは、そのレーンの信号のバージョンの個々のバージョンで動作する、項目1に記載の回路網。
【0020】
(項目10)
回路レーン内の上記遅延サブ回路のそれぞれは、その遅延量に応じて、個別に制御可能である、項目9に記載の回路網。
【0021】
(項目11)
上記回路レーンそれぞれの遅延回路網が
直列に接続された複数の遅延セル回路と、
どの遅延セル出力信号が遅延回路網の出力信号として使われるかを選択するための制御可能な選択回路網と
を備える、項目1に記載の回路網。
【0022】
(項目12)
上記遅延セルが、お互いに関連してバイナリで重み付けされる遅延量を有する、項目11に記載の回路網。
【0023】
(項目13)
上記回路レーンそれぞれの遅延回路網が
直列に接続された複数の遅延セル回路と、
該遅延セル回路の動作速度を制御するために、該遅延セル回路に適用される電源信号のレベルを制御するためのアナログ制御回路網と
を備える、項目1に記載の回路網。
【0024】
(項目14)
複数の回路レーンを備える受信回路網であって、
該回路レーンのそれぞれは、個々のシリアルデータ信号を受信し、
該回路レーンのそれぞれは、該関連回路レーンの信号に、該複数の回路レーンの信号間のスキューを補償するために、制御可能な遅延量を与えるための、制御可能な遅延回路網を含む、回路網。
【0025】
(項目15)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から下流に、デシリアライザ回路網をさらに含む、項目14に記載の回路網。
【0026】
(項目16)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から下流に、CDR回路網をさらに含む、項目14に記載の回路網。
【0027】
(項目17)
上記回路レーンのそれぞれは、上記遅延回路網から上流に、CDR回路網をさらに含む、項目14に記載の回路網。
【0028】
(項目18)
上記回路レーンのそれぞれは、上記CDR回路網から下流に、遅延回路網をさらに含む、項目16に記載の回路網。
【0029】
(項目19)
上記回路レーンそれぞれは、VCO回路網を含むCDR回路網をさらに含み、該回路レーンそれぞれの遅延回路網は、その回路レーン内の該VCO回路網から派生する信号によって、少なくとも部分的に制御される、項目14に記載の回路網。
【0030】
(項目20)
上記回路レーンそれぞれの遅延回路網は、直列に接続された複数の遅延セル回路を備え、該回路レーンそれぞれのVCO回路網から派生した信号は、その回路レーンの遅延セル回路の動作速度に影響を及ぼすために使用される、項目19に記載の回路網。
【0031】
(項目21)
上記回路レーンそれぞれのVCO回路網は、チャージポンプ回路網を含み、該回路レーンそれぞれのVCO回路網から派生した信号は、そのVCO回路網のチャージポンプ回路網の出力信号である、項目19に記載の回路網。
【0032】
(項目22)
上記回路レーンそれぞれの遅延回路網は、
その回路レーンの任意の遅延セル回路の出力信号を、その回路レーンの遅延されたデータ信号として、制御可能なように選択できる選択回路網
をさらに備える、項目20に記載の回路網。
【0033】
(項目23)
VCO回路網を含むCDR回路網によって処理されているデータ信号を制御可能なように遅延するための回路網であって、
該回路網は、遅延回路網を備え、
該遅延回路網は、該VCO回路網から派生する信号に、該遅延回路網が該データ信号を遅延する遅延量に応じて、少なくとも部分的に応答する、回路網。
【0034】
(項目24)
上記遅延回路網が、上記CDR回路網から上記データ信号を受信する、項目23に記載の回路網。
【0035】
(項目25)
上記遅延回路網が直列に接続された複数の遅延セルを備え、上記VCO回路網から派生した信号が、上記遅延セル回路の動作速度に影響を及ぼすために使用される、項目23に記載の回路網。
【0036】
(項目26)
上記VCO回路網は、チャージポンプ回路網を含み、該VCO回路網から派生した信号は、該チャージポンプ回路網の出力信号である、項目23に記載の回路網。
【0037】
(項目27)
上記遅延セル回路の任意の回路の出力信号を、遅延されたデータ信号として、制御可能なように選択できる選択回路網をさらに備える、項目25に記載の回路網。
【発明の効果】
【0038】
本発明により、様々なチャネル内において異なるスキューを補償する回路網が提供され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(詳細な説明)
まず、本発明を送信回路網へ適用する場合について、記載する。その後、本発明の受信機での実施形態について、記載する。
【0040】
本発明に従う説明的な送信回路網10を図1に示す。回路網10は、同一または実質的に同一な送信チャネルまたはレーン12a〜12nを幾つか含む。図1には、これらチャネルの1つのみが詳細に示されているが、他のチャネルも、この詳細に描かれたチャネルと同一または実質的に同一であることは、理解されるべきである。チャネル12の全ては、PLDのような単一の集積回路の上にあり得る。各チャネルは、それ自身のパラレルデータ20を受信し、各チャネルの制御可能な遅延回路網70は、各チャネルに様々なチャネルによって異なり得る遅延量を加えるため、個別に制御可能である。これら様々な遅延量は、様々なチャネルの出力パッド110におけるシリアルデータ出力信号間、あるいは、(おそらく、より重要ですらあるのは)様々なチャネルの出力パッド110に接続されている集積回路パッケージ出力ピン112におけるシリアルデータ出力信号間のスキュー量を減らすために、選択され、制御される。
【0041】
代表的なチャネル12aに関してなされる以下の詳細な記述は、チャネル12の全てのチャネルについて、適用されることは、理解されるべきである。
【0042】
図1に示すように、代表的な送信チャネル12aは、幾つかのパラレルデータリード線20上のパラレルな幾つかのデータ信号を(図示されていない上流の回路網から)受信するシリアライザ回路網30を含む。例えば、任意の所定の時間に、リード線20上の信号は、デジタルデータのバイトまたはワードを表し得る。(本明細書において、「バイト」という用語が一般的に使用されるが、これはユニットとして解釈されることを意図する幾つかのビットのグループを意味する。本明細書で使用されるように、バイトはビットを任意の複数個含み得るものと、理解される。)クロック生成回路網120に適用されるクロック信号118は、連続的なバイト20が、シリアライザ回路網30に適用される速度と等しい周波数を有し得る。この周波数は、バイト速度周波数(byte rate frequency)と呼ばれることがある。さらに、クロック信号118は、連続的なバイト20との関係で、適切で有効な位相を有することが好ましい。クロック信号118をシリアライザ回路網30に適用することに加え(例えば、その回路網の連続的なバイト20それぞれに、レジスタに使用のため))、クロック生成回路網120も、シリアライザ回路網30のシリアル出力側に適用されるビット速度クロック信号をクロック信号118から生成する。ビット速度クロック信号は、バイト速度周波数のm倍の周波数を有する。ここで、mは各バイト内のビット数である。それゆえ、ビット速度クロック信号は、データ20から各バイトの個々のビットを(回路網30によって)シフトアウトするために使われ得る。これらビットは、一つずつシリアルデータ様式にシフトアウトされる。ビット速度は、ギガヘルツの範囲(例えば、1GHz〜数GHz)であり得るが、これはほんの一例であって、本発明は任意の特定の周波数によって使われることに限定されないことには、留意されたい。
【0043】
シリアライザ回路網30によって出力されたシリアルデータ40は、前駆動回路網50に適用される。必要に応じて、シリアライザ回路網30は、幾つかのシリアルデータ信号を出力し得る。(このタイプの実施形態の説明図として、図6を参照。)これら幾つかの信号の情報内容は、お互いに同一であり得るが、出力駆動回路網90(TX回路網90とも呼ぶ)内の有限インパルス応答(「FIR」)フィルタリングの供給を容易にするため、お互いに相対的に1ビットインターバル(またはユニットインターバル(「UI」)遅れ得る。前駆動回路網50は、TX駆動90を駆動するのに必要とされる信号レベルおよび強度に達するため、それに適応される信号をバッファする。前駆動回路網50は、バッファされた信号の立ち上がり速度の制御をインプリメントするためにも、用いられ得る。立ち上がり速度とは、バイナリデータ信号のレベル間の変化(transition)の急峻度である。データ速度が速ければ速いほど、データの正確な受信と解釈のために必要とされる立ち上がり速度が大きくなる。しかし、立ち上がり速度が速いと、電力消費も大きくなり、より高い周波数のコンポーネントを有する。つまり、データの送信が遅い速度でなされた場合、立ち上がり速度を抑えるのに役立ち得る。このような立ち上がり速度の制御は、前駆動回路網50の性能の一つであり得る。前駆動回路網50の他の可能な特徴としては、使用されていない回路網50の全てまたは任意のパーツをパワーダウンすること、および/または、回路網50で処理されるシリアルデータ信号の(例えば、データ20を供給する上流の回路網への)ループバックすることを容易にするマルチステージ構造である。このようなループバックは、回路網の様々なパーツの適切な動作をテストするために、使われ得る。
【0044】
前駆動回路網50のシリアルデータ出力信号60は、制御可能な遅延回路網70に適用される。この回路網は、その回路網に適用される信号を、制御可能な量、遅延する。例えば、幾つかの信号60があり、これら信号60の主要な(あるいは、少なくとも最先の)信号に比べ、それぞれ1UI以上遅れている場合、回路網70は、これら信号のそれぞれを同じ制御可能な量だけ遅らせる。(このタイプの実施形態の説明図として、図6を参再度、参照。)制御可能な遅延回路網70は、本発明のデスキュー機能をインプリメントする。以上に述べてきたように、送信回路網10の様々なチャネル12a〜12nの回路70によってなされた遅延量は、様々なチャネルの出力信号110または120間のスキューを減らすために、選択される。様々なチャネル12a〜12nに入っていくデータ20は、本発明と関連して関心の対象であるデータ通信のタイプと、緊密に(closely)同期化される。これら様々なチャネルを介し、その出力ピン112へのスキューを低減または除去できると、送信回路網10が、様々な出力ストリーム内のデータ間で同様に緊密な同期化したこのデータ(たとえ、異なる(すなわち、シリアル)形式であっても)を出力するのに役立つ。
【0045】
回路70によってなされる遅延量は、プログラマブルに制御され得る(例えば、回路70と関連する静的ランダムアクセスメモリ(「SRAM」)セルをプログラムすることによって)。代替的に、回路70によってなされる遅延量は、より動的に制御され得る(例えば、回路網の通常の動作の間に変化できる信号によって)。さらなる例として、回路70によってなされる遅延量は、プログラマブルな制御と動的制御との組み合わせで制御され得る。例えば、幾つかの可能な動作範囲の一つがプログラマブルに選択され、次いで、選択された範囲内の特定の動作ポイントが、動的な可変制御信号によって、可変的に制御され得る。
【0046】
遅延回路網70の出力信号80は、TX駆動回路網90に出力するために適用される。この回路網は、その信号を送信機からの出力信号に必要とされるレベルまたは強度まで上げる。図1で示す回路網90は、差動形式でシリアルデータ信号を出力している(相補的な出力パッド110pと110nを介して、そして、それゆえ、相補的なパッケージ済みデバイスの出力ピン112pと112nを介して)。回路網90は、その回路網が出力する信号に、プリエンファシスおよび/またはポストエンファシス(例えば、その信号のレベルでの各変化の直前および/または直後に追加エネルギ)を与え得る。これは、例えば、回路網90内のFIRフィルタリングに信号を従わせることによって、なされ得る。これは、上述のように、複数の異なる遅延された出力信号60の使用に基づき得る。
【0047】
図1に示され、以上に述べたことを簡単に要約すると、12a〜12nの各レーンが他のレーンとは独立して遅延調整ができるように、制御可能な遅延素子70が、TX駆動90の直前に加えられる。これは、複数のレーン間の遅延差を補償できる。
【0048】
図2は、制御可能な遅延回路網70を前駆動回路網50の手前に含む一つの代表的なチャネル12a’の代替的な実施形態を示す。これは、前駆動回路網50が、遅延回路網70の出力信号をTX駆動回路網90に先立って、再度バッファできる。
【0049】
制御可能な遅延回路網70の説明的な実施形態を図3に示す。この実施形態の回路網70では、直列に接続された複数の遅延セル210a〜210kを含む。遅延セル210のそれぞれへの入力(および最後の遅延セルの出力)は、マルチプレクサ220へのそれぞれの入力に接続されている。マルチプレクサ220は、その選択制御入力信号(「SEL CTRL」)によって制御可能で、その入力信号の任意の一つをマルチプレクサ出力信号230として選択する。この信号は、レベルシフター回路網240に適用され得、TX駆動回路網90(図1)または前駆動回路網50(図2)への適用に好適な出力信号250を生成する。上述から、制御可能な遅延回路網70へのデータ入力(200)とその回路網70からのデータ出力(250)との間の遅延量は、その入力とその出力との間に、現在、直列に接続されている遅延セル210の数に依存する、ということは明らかである。この数は、SEL CTRL信号を介して、選択可能である。したがって、回路網70によって提供される遅延量は、制御可能である。
【0050】
必要に応じて、遅延の増分は、より多くの数を組み合わせ、それゆえ、全体の遅延をより細かく分解(resolution)できるように、バイナリで重み付けされ得る。このタイプの説明的な実施形態を図4に示す。本実施形態において、遅延セル212aは1ユニットの遅延(「1UD」)を有し、遅延セル212bは2ユニットの遅延(「2UD」)を有し、そして、遅延セル212cは4ユニットの遅延(「4UD」)を有する。マルチプレクサ214aは、遅延セル212aの入力信号200と出力信号とのいずれもが、遅延セル212bとマルチプレクサ214bの入力に適用されることを可能にする。マルチプレクサ214bは、入力信号200、マルチプレクサ214aの出力信号または遅延セル212bの出力信号の任意の一つが、遅延セル212cに適用されることを可能にする。マルチプレクサ220は、入力信号200または遅延セル212a〜212cの任意の遅延セルの出力信号を、出力信号230として選択できる。したがって、図4に示す回路網は、信号200が図4に示す様々な素子を介し、どのような経路を採るかによって、信号200を0〜7の任意の整数UD遅らすことができる。例えば、6UDの遅延を生成するために、信号200はマルチプレクサ214aを経由し、遅延セル212aをバイパスし、次いで、素子212b、214b、212cおよび220を連続的に経由して通り、リード線230に達する。選択制御信号SEL CTRLは、所望の遅延量を達成するために、全てのマルチプレクサ214および220によってなされる選択を制御する。
【0051】
図4に示すバイナリで重み付けされた遅延ステージ212の数は、単に説明的なものであって、必要に応じて、このようなステージを任意の数、使用できることは理解されるべきである。図4に示すルーティングとマルチプレクシングに、何らかの冗長性(少なくとも、ロジック的に)があることが、当業者には認識される。例えば、マルチプレクサ214bの最上部の入力は、そのマルチプレクサへの中央部への入力と、少なくともロジック的に冗長である。なぜなら、信号200は、代替的に、マルチプレクサ214aを経由し、中央部の入力に到達できるからである。また、マルチプレクサ220がなし得る最初の2つの選択は、マルチプレクサ214aによってなされる選択と、ロジック的に冗長である。図4に示す回路配置は、このタイプの回路網で利用可能な様々な遅延オプションを見やすくするために、図示のために選ばれたものである。しかし、同等あるいは類似の結果を達成するために、他の回路配置も使用され得る。
【0052】
正確な遅延が生成され得るようにする別の方法は、バンドギャップ電流を使うことである。例えば、米国特許出願第10/935,867号(2004年9月7日出願)に示されており、この出願は、本明細書において、その全体を参考として援用する。
【0053】
また、制御可能な遅延回路網70をインプリメントする更なる別の方法は、遅延セルのチェーンへの電源電圧を変更して、遅延のアナログ調整を形成することである。このアプローチは、図5によって説明される。
【0054】
図5に示す実施形態において、制御可能な遅延回路網70は、直列に接続された複数の遅延セル310a〜310jを含む。遅延させるべきデータ信号300は、これら遅延セルの第一のセルに適用される。最後の遅延セルの出力信号は、TX駆動回路網90(図1)または前駆動回路網50(図2)に適用するための遅延されたデータ出力信号350を生成するために、レベルシフター回路網340(図3の回路網240と同様)に適用される。セル310のそれぞれが、そのセルに適用される信号を遅延させる量は、バス380への電力供給信号のレベルに依存する。例えば、バス380への電圧が高ければ高いほど、セル310のそれぞれが、そのセルに適用する信号への遅延はより少なくなる。バス380は、トランジスタ370を介して、電源供給バス360からその信号を得る。トランジスタ370がその制御信号VCTRLによって、より強くオンにされたら、バス380への電圧は、バス360への電圧に、より近づく。したがって、VCTRL信号のレベルは、データ信号が入力リード線300から出力リード線350に通る間に、図示された回路網によって遅延される時間量を決定する。
【0055】
図5に示すアプローチは、内部ノイズ除去機構を提供するので、特に興味深いものであり得る。このことは、高速のデータ速度トランシーバにとって重要であり得る。しばらくの間、公称電圧「V」の電源から、遅延「T」の遅延ラインを考える。さらに、このような電源をマルチチャネルが組み込まれたPLDシステム内の多数のトランシーバでシェアしていると考える。このようにシェアされた電源供給量「DV」への任意の撹乱は、量「DT」分の変化を遅延ラインにもたらす。ここで、DTは、T*DV/Vで近似され得る。それゆえ、より大きな外部スキューを補償するために、より長い遅延チェーンを作らなくてはならないので、シェアされた電源へのノイズに対し、より敏感となる。電源を専用とする(dedicating)代わりに(実際には、これは小さなシステムで行われ得る)、このような遅延依存性に強いことからメリットを享受でき、外部のシェアされる電源と、遅延セルの電源との間に、レギュラ(regular)NMOSトランジスタまたはネイティブ(native)NMOSトランジスタのいずれかを置くことができる。ここで、各遅延セルに対し、VCTRLを制御することで、電圧を調整でき、それゆえ、他の遅延グループに影響を与えることなく、それぞれの遅延グループの遅延を調整できる。その理由は、この構造のノイズ除去が優れているからである。
さらなる保護は、レギュレータ370とシェアされた電源360との間に(例えば、図5の矢印365で示される位置に)、アクティブフィルタを置くことで、達成され得ることに留意すべきである。これが、更なる電源ノイズから、トランジスタ370を基本的に「シールド」する。
【0056】
レベルシフター340は、電圧をTX駆動レベルに戻して回復するために、典型的には、遅延セルチェーンの後に必要とされる。
【0057】
図1と図2は、データ信号が、TX駆動90の出力で、最初、2つの差動信号になり得ることを示唆しているが、差動信号化(differential signaling)はそのコンポーネントから上流で始まり得る。そのイベントにおいて、遅延チェーンは、前駆動経路の差動枝部(leg)に置かれ得る(このタイプの実施形態の説明図である図7参照)。このことは、一つの差動枝部の遅延を、他の差動枝部とわずかに異なるように調整して、個々のチャネルの負荷サイクル校正を可能とする。キャリブレーション回路網と組み合わせると、これはローディング(loading)ばらつきを補償し得る(すなわち、一方の差動枝部のローディングが、他方の差動枝部のローディングより大きい)。ここで述べるキャリブレーションは、ローディングにおける各チャネルの個々のばらつきに対し、各チャネルをキャリブレーションする。このようなキャリブレーション(これは本発明の一部ではない)は、専用の回路網によって、および/または、関連PLD回路網からの制御によって、行われ得る。
【0058】
以上に図示し、記述した調整アプローチは、VCTRLを介する遅延のアナログ制御を可能にする。これは、順に、マルチプレクサラインを介してでは可能でなかった非常に細かな精度の遅延設定を可能にする。
【0059】
ギガヘルツ範囲の送信を想定する場合、チップのレーン間ばらつきをカバーし、ある程度の基板レベルの柔軟性を確保するため、名目上、遅延は200ps近傍にあることをターゲットにされるべきである。
【0060】
用いられる遅延セルは、片線接地であるか、差動であるかのいずれかであり得る。後者が、回路網内の他のコンポーネントの信号レベルに好適なマッチングを提供するものとして、好ましい。1個以上のオンチップ電圧制御発振器(VCO)からの遅延セルを使用して、利用可能な回路網を最大限に使用することも可能であり得る。
【0061】
図6と図7は、両図が示す特徴をインプリメントする可能な1つの方法のみを示す。例えば、図6において、前駆動回路網50(前駆動サブ回路50’、50”および50’”を含む)と、制御可能な遅延回路網70’、70”および70’”の順序は、逆になってもよい。図7において、前駆動回路網50と制御可能な遅延回路網70(制御可能な遅延サブ回路70pおよび70nを含む)の順序を逆にすることも、同様に可能である。後者の場合、これは、シリアライザ回路網30に、差動出力信号を供給させることを意味する。
【0062】
図6に戻ると、全ての遅延回路70’、70”および70’”は、同じ遅延量を提供するために、共通して制御され得る。代替的に、これら回路は、異なる遅延量を提供するために、個別に制御され得る。この後者の可能性は、前駆動回路50’、50”および50’”の動作にわずかな違いがあるために生じる局所スキューを追加的に補償するために、魅力的であり得る。図6に示すサブチャネルの数(3)は、単に例示的なものに過ぎない。必要に応じて、2つのみ、あるいは、3つより多くのサブチャネルも使われ得る。図6に示す特徴は、必要に応じて、図7に示す特徴と組み合わせて使われ得る。図6および図7の任意の遅延サブ回路網70’、70”、70’”、70pおよび70nは、図2〜図5に示されたように、および/または、本明細書で以前に述べたように、構築され得る。
【0063】
本発明の受信機側面の説明的な実施形態を図8に示す。本実施形態において、受信回路網410は、同一または実質的に同一のチャネルまたはレーン412a〜412nを幾つか含む。各チャネル412は、シリアルデータ信号を受信し、例えば、図1の送信チャネル12のそれぞれのチャネルによって、出力され得る。図8は、各チャネル412への入力が、代表的なチャネル412aにおける420paと420paのような集積回路パッケージピンに適用される差動信号ペアである場合を示す。ピン420から、これら信号は集積回路それ自体の差動入力パッド430pと430nに適用される。(代表的なチャネル412aのみが詳細に図示され、記載されているが、他のチャネル412b〜412nのそれぞれも同一または実質的に同一であることは理解されるべきである。)。
【0064】
差動入力パッド430から入ってくる差動信号は、リード線440pと440nを介して、入力バッファまたは駆動450の差動入力端子に(ときどき、RX駆動450とも呼ばれる)適用される。RX駆動450の片線接地出力信号は、リード線460を介して、制御可能な遅延回路網470に適用される。以下に、さらに詳細に議論するように、遅延回路網470は、本明細書で前掲の任意の図に表示および/または本明細書で前述の遅延回路網70の任意のものと同様であり得る。
【0065】
遅延回路網470の出力信号480は、クロックデータリカバリ(「CDR」)回路網490に適用される。CDR回路網は、適用されたシリアルデータ信号からのクロック信号とデータの双方を回復するための回路網として知られている。CDR回路網490のシリアルデータ出力信号500は、典型的には、例えば、デシリアル化、逆符号化、復号化および/またはチャネル結合(すなわち、幾つかのチャネル412a〜412nの信号間の最終的な同期化)などの目的で、他の既知の回路網に適用される。図8に示す回路網は、デシリアライザ回路網とともに、図8の回路網を含む集積回路(例えば、PLD)のいわゆる物理的媒体アタッチメント(physical medium attachment)すなわちPMAサブレイヤの中にあり得る。上述の逆符号化、復号化および/またはチャネル結合回路網は、集積回路のいわゆるPCSすなわち物理的符号化サブレイヤ(physical coding sublayer)の中にあり得る。PCS回路網の出力信号は、集積回路上の更なるプロセッシング回路網に適用され得る。例えば、この更なるプロセッシング回路網は、その集積回路がPLDである場合、プログラマブルロジックコア回路網を含み得る。
【0066】
図8に示す回路配置は、細かなスキュー調整に適している(例えば、回路網がギガヘルツ範囲のシリアルデータ速度で動作している場合、数十および/または数百psの範囲)。各チャネルの細かな遅延制御を行うために、制御可能な遅延回路網470がCDR回路網490の直前に加えられている。CDR回路網490は、自動的に、それが受信する信号の「目」の中心をサンプルする。その結果、遅延回路網470は、(1)TXチップチャネル間のスキュー、(2)わずかな基板スキュー(すなわち、TXチップとRXチップ間のプリント回路基板接続における)、および(3)RXチップチャネル間のスキューの細かな差を補償できる。幾つかの技術が、遅延回路網470を介した遅延の細かな増分を生成するために使われ得る(RX経路のアーキテクチャは特殊なものを適応するが、今までに図示および/または記載されたTX遅延回路70のインプリメンテーションの可能な構造と同様に)。RX遅延回路網70で可能なこれらインプリメンテーションは、(1)カスケーディングのため、幾つかのプログラマブル遅延セルとマルチプレクサの使用(例えば、図3のような)、(2)正確な遅延生成のため、バンドギャップの利用、および、(3)遅延セルのチェーンへの電源電圧を変化させての遅延のアナログ調整(例えば、図5のような)を含む。
【0067】
図9は、図8からの代表的なチャネルの一つで、本発明に従う可能な追加の制御可能な遅延回路網を有するものを示す。図9に示す説明的な実施形態において、この追加の遅延回路網は、CDR回路網490から下流にあり、回復されたシリアルデータ信号500に動作する。図9に示すように、信号500は、直列の遅延セル510a〜510kに適用される。これらセルは、電圧制御発振器(「VCO」)遅延セルであり得るか、あるいは、それに類似し得る。このようなVCO遅延セルと同様なものは、典型的には、CDR回路網490の一部であるVCO回路網に含まれる。CDR回路網490内で、VCOが入ってくるシリアルデータ信号の周波数に合うように、VCOはチャージポンプ回路網によって制御される。例えば、このように言われる周波数合わせは、入ってくるシリアルデータの周波数とVCO周波数との間で、周波数が等しくなり得るか、あるいは、何らかの所定の比率(典型的には、2:1や4:1のような整数比)であり得る。
【0068】
図9に示す実施形態において、上述のチャージポンプ回路網の出力信号、あるいは、その信号の派生信号または類似信号は、VCTRL信号として描かれている。この信号は、遅延セル510のそれぞれの動作速度を調整するために使われる(CDR回路網490内のチャージポンプ出力信号が、回路網490内のVCOにあるVCO遅延セルの動作速度を制御する方法と同様に)。遅延セル510のそれぞれの出力信号は、マルチプレクサ回路網520への入力のそれぞれに適用される。回路網520は、その選択制御(「SEL CTRL」)入力信号によって制御可能であり、その出力信号530として、(遅延セル510から)その主要な入力信号の任意の一つを選択する。この出力信号は、レベルシフター回路網540(他の前述したレベルシフター回路網と同様の)に適用される。レベルシフター回路網540の出力信号550は、デシリアライザ回路網560に適用される。デシリアライザ回路網560は、上述した種類の更なるプロセッシング用デバイスのPCS回路網に適用するために、幾つかの連続的なシリアルビットを集めて、パラレルバイトまたはワード570を生成し得る。
【0069】
図9に示すタイプの実施形態は、正確で、マルチUIの受信チャネル遅延調整を生成することができる。この遅延調整は、データ速度に機敏に対応する(すなわち、入ってくるデータ速度の変化に、自動的に適応または変化する)。このようにデータ速度に機敏に対応するのは、遅延セル510の動作速度を制御するために、CDR VCOチャージポンプ出力信号など(VCTRL)を使う結果である。この電圧制御は、この種のシステムにおいて、容易に利用可能であること、および、各チャネル(例えば、図8の412a〜412n)で独立して生成されることは理解される。こうして、このタイプの実施形態によって、PMA対PCSに、制御可能で、長いが、非常に正確な遅延回路を形成できる。こうして、このような遅延が必要とされない場合、待ち時間による損失を被ることはない。
【0070】
図9に示すように、CDR回路網490から下流に、素子510、520および540の構造を置くことに考えられる代替として、このようなタイプの構造は、その代わりに、CDR回路網の前に置かれ得る(図9の素子470と同様に)。いずれの場合(CDR回路網490の前または後)も、細かな調整と粗い調整が組み合わされ、非常に幅広い用途のシステムを提供できる。いずれのコンフィギュレーションも可能であるが、図9に示すコンフィギュレーションが、現在のところ、好ましい。なぜなら、これがビットエラー率(「BER」)性能を改善すると、考えられているからである。これがそのようになる理由は、長い遅延チェーン510のジッタが、CDR位相検出器のビット認識プロセスに影響を与えないようにするために、このジッタの影響を、CDRデータ採取経路から遠ざけて置くこと(すなわち、CDR回路網490の後)が優れているからである。また、レベルシフター回路網540が、信号をCMOSパワー供給レベルに戻すように変換するために、遅延セル510の後に置かれ、こうして、このインプリメンテーションが真にデータ速度に依存しないようなることに留意すべきである。
【0071】
図10は、パッケージ済みのプログラマブルロジックデバイス(「PLD」)600のコンテキスト中で、本発明に従う受信および/または送信回路網の利用を示す。PLDチップ610は、パッケージ600内に据え付けられている。パッケージピン112と420は、デバイス600を外部と接続するために、提供される。PLDチップ610は、送信チャネル12a〜12nおよび/または受信チャネル412a〜412nを含む。図10において、これらチャネルのそれぞれは、以前の図で、より詳細に示したPMA回路網と、少なくともその一部は本明細書で前述してきた暗号化/復号化、符号化/逆符号化、速度合わせ、チャネル結合など用の回路網のようなPCS回路網とを含むものと仮定している。PLDチップ610は、また、プログラマブルロジック回路網、メモリ回路網、プロセッサ回路網などのようなPLDコア回路網620も含む。コア回路網620は、DOで参照されるリード線を介して、データを出力できる。この回路網620は、DIで参照されるリード線を介して、データを受信できる。この回路網620は、Cで参照されるリード線を介して、様々なチャネルの様々な側面を制御するための信号を出力できる。例えば、これら制御信号Cは、本明細書で以前に図示および記述した様々な遅延回路網によって、実行された遅延量を制御するための信号を含み得る。
【0072】
図11は、本明細書で前述した遅延素子を制御するための信号が、プログラマブル(例えば、図10のPLDチップ610の1つ以上のプログラマブルメモリまたはコンフィギュレーションセル710から)でも、あるいは、より動的な信号源720(例えば、PLDコアロジック620(図10)など)からでもあり得ることを示す。いずれかのタイプの制御を選択可能とするオプションが必要なら、マルチプレクサ730が、遅延素子制御信号を選択するために提供され得る。こうして、静的または比較的静的な信号源710、あるいは、潜在的により動的な信号源720のいずれも使われる。マルチプレクサ730によってなされる選択は、プログラマブルメモリまたはコンフィギュレーションセル740によって制御される。
【0073】
以上は、本発明の原理を説明的に示したに過ぎないこと、および、本発明の範囲と精神から逸脱することなく、当業者によって様々な変更も成され得ることは、理解されるべきである。例えば、チャネル12a〜12n(図1)および/または412a〜412n(図8)の数は、任意の所望の数であり得る。同様に、遅延セル210a〜210k(図3)、212(図4)、310a〜310j(図5)および510a〜510k(図9)の数も、任意の所望の数であり得る。
【0074】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許出願は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【0075】
様々なチャネル間で起こり得るスキュー(異なる信号伝播時間)を補償するため、あるいは、少なくとも補償に役立つため、制御可能な遅延回路網がマルチチャネル高速シリアル送信および/または受信回路網の各チャネルに含まれる。CDR回路網を用いるシステムにおいて、遅延回路網は、CDR回路網から派生された信号によって、少なくとも一部は制御され得る。それによって、遅延回路網によって生じた遅延量を、CDR回路網によって検出されたデータ速度の変化に、少なくとも部分的に応答させる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に従う送信回路網を説明する簡単な回路ブロック図である。
【図2】本発明に従う図1の回路網の代表部分の代替的な実施形態の簡単な回路ブロック図である。
【図3】本発明に従う図1または図2で用いられるコンポーネントの一つを説明する実施形態の簡単な回路ブロック図である。
【図4】図3に示す代替的な実施形態の簡単な回路ブロック図である。
【図5】図3に示す別の代替的な実施形態の簡単な回路ブロック図である。
【図6】図1に示すタイプの回路網の代表的な部分に、本発明で可能な特徴の説明的な実施形態を示す簡単な回路ブロック図である。
【図7】図1に示すタイプの回路網の代表的な部分に、本発明で可能な別の特徴の説明的な実施形態を示す簡単な回路ブロック図である。
【図8】本発明に従う受信回路網を説明する簡単な回路ブロック図である。
【図9】本発明に従うオプション追加付きの図8の回路網の代表的な部分の実施形態を説明する簡単な回路ブロック図である。
【図10】以前の図に示すタイプの回路網が、本発明に従って用いられ得るコンテキストを説明する簡単な回路ブロック図である。
【図11】本発明に従う制御回路網を説明する簡単な回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
10 送信回路網
12a〜12n 送信チャネルまたはレーン
20 パラレルデータ
30 シリアライザ回路網
40 シリアルデータ
50 前駆動回路網
70 遅延回路網
120 クロック生成回路網
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回路レーンを備える送信回路網であって、
該回路レーンのそれぞれは、個々のシリアルデータ信号を送信し、
該回路レーンのそれぞれは、該関連回路レーンの信号に、該複数の回路レーンの信号間のスキューを補償するために、制御可能な遅延量を与える制御可能な遅延回路網を含む、回路網。
【請求項2】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から上流に、シリアライザ回路網をさらに含む、請求項1に記載の回路網。
【請求項3】
前記回路レーンのそれぞれは、前駆動回路網をさらに含む、請求項1に記載の回路網。
【請求項4】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から下流に、送信駆動回路網をさらに含む、請求項1に記載の回路網。
【請求項5】
前記前駆動回路網は、前記遅延回路網から上流にある、請求項3に記載の回路網。
【請求項6】
前記前駆動回路網は、前記遅延回路網から下流にある、請求項3に記載の回路網。
【請求項7】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から上流のポイントからの差動信号化を用い、各レーンの該遅延回路網は、複数の遅延サブ回路を含み、該遅延サブ回路のそれぞれは、そのレーンにおける個々の差動信号の枝部で動作する、請求項1に記載の回路網。
【請求項8】
回路レーン内の前記遅延サブ回路網のそれぞれは、その遅延量に応じて、個別に制御可能である、請求項7に記載の回路網。
【請求項9】
前記回路レーンのそれぞれは、そのレーンの信号の複数の異なる遅延されたバージョンを用い、
各レーンの前記遅延回路網は、複数の制御可能な遅延サブ回路を含み、
該遅延サブ回路のそれぞれは、そのレーンの信号のバージョンの個々のバージョンで動作する、請求項1に記載の回路網。
【請求項10】
回路レーン内の前記遅延サブ回路のそれぞれは、その遅延量に応じて、個別に制御可能である、請求項9に記載の回路網。
【請求項11】
前記回路レーンそれぞれの遅延回路網が
直列に接続された複数の遅延セル回路と、
どの遅延セル出力信号が遅延回路網の出力信号として使われるかを選択するための制御可能な選択回路網と
を備える、請求項1に記載の回路網。
【請求項12】
前記遅延セルが、お互いに関連してバイナリで重み付けされる遅延量を有する、請求項11に記載の回路網。
【請求項13】
前記回路レーンそれぞれの遅延回路網が
直列に接続された複数の遅延セル回路と、
該遅延セル回路の動作速度を制御するために、該遅延セル回路に適用される電源信号のレベルを制御するためのアナログ制御回路網と
を備える、請求項1に記載の回路網。
【請求項14】
複数の回路レーンを備える受信回路網であって、
該回路レーンのそれぞれは、個々のシリアルデータ信号を受信し、
該回路レーンのそれぞれは、該関連回路レーンの信号に、該複数の回路レーンの信号間のスキューを補償するために、制御可能な遅延量を与えるための、制御可能な遅延回路網を含む、回路網。
【請求項15】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から下流に、デシリアライザ回路網をさらに含む、請求項14に記載の回路網。
【請求項16】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から下流に、CDR回路網をさらに含む、請求項14に記載の回路網。
【請求項17】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から上流に、CDR回路網をさらに含む、請求項14に記載の回路網。
【請求項18】
前記回路レーンのそれぞれは、前記CDR回路網から下流に、遅延回路網をさらに含む、請求項16に記載の回路網。
【請求項19】
前記回路レーンそれぞれは、VCO回路網を含むCDR回路網をさらに含み、該回路レーンそれぞれの遅延回路網は、その回路レーン内の該VCO回路網から派生する信号によって、少なくとも部分的に制御される、請求項14に記載の回路網。
【請求項20】
前記回路レーンそれぞれの遅延回路網は、直列に接続された複数の遅延セル回路を備え、該回路レーンそれぞれのVCO回路網から派生した信号は、その回路レーンの遅延セル回路の動作速度に影響を及ぼすために使用される、請求項19に記載の回路網。
【請求項21】
前記回路レーンそれぞれのVCO回路網は、チャージポンプ回路網を含み、該回路レーンそれぞれのVCO回路網から派生した信号は、そのVCO回路網のチャージポンプ回路網の出力信号である、請求項19に記載の回路網。
【請求項22】
前記回路レーンそれぞれの遅延回路網は、
その回路レーンの任意の遅延セル回路の出力信号を、その回路レーンの遅延されたデータ信号として、制御可能なように選択できる選択回路網
をさらに備える、請求項20に記載の回路網。
【請求項23】
VCO回路網を含むCDR回路網によって処理されているデータ信号を制御可能なように遅延するための回路網であって、
該回路網は、遅延回路網を備え、
該遅延回路網は、該VCO回路網から派生する信号に、該遅延回路網が該データ信号を遅延する遅延量に応じて、少なくとも部分的に応答する、回路網。
【請求項24】
前記遅延回路網が、前記CDR回路網から前記データ信号を受信する、請求項23に記載の回路網。
【請求項25】
前記遅延回路網が直列に接続された複数の遅延セルを備え、前記VCO回路網から派生した信号が、前記遅延セル回路の動作速度に影響を及ぼすために使用される、請求項23に記載の回路網。
【請求項26】
前記VCO回路網は、チャージポンプ回路網を含み、該VCO回路網から派生した信号は、該チャージポンプ回路網の出力信号である、請求項23に記載の回路網。
【請求項27】
前記遅延セル回路の任意の回路の出力信号を、遅延されたデータ信号として、制御可能なように選択できる選択回路網をさらに備える、請求項25に記載の回路網。
【請求項1】
複数の回路レーンを備える送信回路網であって、
該回路レーンのそれぞれは、個々のシリアルデータ信号を送信し、
該回路レーンのそれぞれは、該関連回路レーンの信号に、該複数の回路レーンの信号間のスキューを補償するために、制御可能な遅延量を与える制御可能な遅延回路網を含む、回路網。
【請求項2】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から上流に、シリアライザ回路網をさらに含む、請求項1に記載の回路網。
【請求項3】
前記回路レーンのそれぞれは、前駆動回路網をさらに含む、請求項1に記載の回路網。
【請求項4】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から下流に、送信駆動回路網をさらに含む、請求項1に記載の回路網。
【請求項5】
前記前駆動回路網は、前記遅延回路網から上流にある、請求項3に記載の回路網。
【請求項6】
前記前駆動回路網は、前記遅延回路網から下流にある、請求項3に記載の回路網。
【請求項7】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から上流のポイントからの差動信号化を用い、各レーンの該遅延回路網は、複数の遅延サブ回路を含み、該遅延サブ回路のそれぞれは、そのレーンにおける個々の差動信号の枝部で動作する、請求項1に記載の回路網。
【請求項8】
回路レーン内の前記遅延サブ回路網のそれぞれは、その遅延量に応じて、個別に制御可能である、請求項7に記載の回路網。
【請求項9】
前記回路レーンのそれぞれは、そのレーンの信号の複数の異なる遅延されたバージョンを用い、
各レーンの前記遅延回路網は、複数の制御可能な遅延サブ回路を含み、
該遅延サブ回路のそれぞれは、そのレーンの信号のバージョンの個々のバージョンで動作する、請求項1に記載の回路網。
【請求項10】
回路レーン内の前記遅延サブ回路のそれぞれは、その遅延量に応じて、個別に制御可能である、請求項9に記載の回路網。
【請求項11】
前記回路レーンそれぞれの遅延回路網が
直列に接続された複数の遅延セル回路と、
どの遅延セル出力信号が遅延回路網の出力信号として使われるかを選択するための制御可能な選択回路網と
を備える、請求項1に記載の回路網。
【請求項12】
前記遅延セルが、お互いに関連してバイナリで重み付けされる遅延量を有する、請求項11に記載の回路網。
【請求項13】
前記回路レーンそれぞれの遅延回路網が
直列に接続された複数の遅延セル回路と、
該遅延セル回路の動作速度を制御するために、該遅延セル回路に適用される電源信号のレベルを制御するためのアナログ制御回路網と
を備える、請求項1に記載の回路網。
【請求項14】
複数の回路レーンを備える受信回路網であって、
該回路レーンのそれぞれは、個々のシリアルデータ信号を受信し、
該回路レーンのそれぞれは、該関連回路レーンの信号に、該複数の回路レーンの信号間のスキューを補償するために、制御可能な遅延量を与えるための、制御可能な遅延回路網を含む、回路網。
【請求項15】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から下流に、デシリアライザ回路網をさらに含む、請求項14に記載の回路網。
【請求項16】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から下流に、CDR回路網をさらに含む、請求項14に記載の回路網。
【請求項17】
前記回路レーンのそれぞれは、前記遅延回路網から上流に、CDR回路網をさらに含む、請求項14に記載の回路網。
【請求項18】
前記回路レーンのそれぞれは、前記CDR回路網から下流に、遅延回路網をさらに含む、請求項16に記載の回路網。
【請求項19】
前記回路レーンそれぞれは、VCO回路網を含むCDR回路網をさらに含み、該回路レーンそれぞれの遅延回路網は、その回路レーン内の該VCO回路網から派生する信号によって、少なくとも部分的に制御される、請求項14に記載の回路網。
【請求項20】
前記回路レーンそれぞれの遅延回路網は、直列に接続された複数の遅延セル回路を備え、該回路レーンそれぞれのVCO回路網から派生した信号は、その回路レーンの遅延セル回路の動作速度に影響を及ぼすために使用される、請求項19に記載の回路網。
【請求項21】
前記回路レーンそれぞれのVCO回路網は、チャージポンプ回路網を含み、該回路レーンそれぞれのVCO回路網から派生した信号は、そのVCO回路網のチャージポンプ回路網の出力信号である、請求項19に記載の回路網。
【請求項22】
前記回路レーンそれぞれの遅延回路網は、
その回路レーンの任意の遅延セル回路の出力信号を、その回路レーンの遅延されたデータ信号として、制御可能なように選択できる選択回路網
をさらに備える、請求項20に記載の回路網。
【請求項23】
VCO回路網を含むCDR回路網によって処理されているデータ信号を制御可能なように遅延するための回路網であって、
該回路網は、遅延回路網を備え、
該遅延回路網は、該VCO回路網から派生する信号に、該遅延回路網が該データ信号を遅延する遅延量に応じて、少なくとも部分的に応答する、回路網。
【請求項24】
前記遅延回路網が、前記CDR回路網から前記データ信号を受信する、請求項23に記載の回路網。
【請求項25】
前記遅延回路網が直列に接続された複数の遅延セルを備え、前記VCO回路網から派生した信号が、前記遅延セル回路の動作速度に影響を及ぼすために使用される、請求項23に記載の回路網。
【請求項26】
前記VCO回路網は、チャージポンプ回路網を含み、該VCO回路網から派生した信号は、該チャージポンプ回路網の出力信号である、請求項23に記載の回路網。
【請求項27】
前記遅延セル回路の任意の回路の出力信号を、遅延されたデータ信号として、制御可能なように選択できる選択回路網をさらに備える、請求項25に記載の回路網。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−60645(P2007−60645A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203977(P2006−203977)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(597154922)アルテラ コーポレイション (163)
【氏名又は名称原語表記】Altera Corporation
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(597154922)アルテラ コーポレイション (163)
【氏名又は名称原語表記】Altera Corporation
【Fターム(参考)】
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