ミネラル結合澱粉組成物およびその製造方法
【課題】ミネラル結合澱粉組成物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】ミネラルに結合した修飾澱粉生成物およびこのような生成物の調製法が本明細書に開示される。これらの澱粉は栄養ミネラルに化学的に架橋されて結合している。有用なミネラルとしては例えばアルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ヨウ素、亜鉛、マグネシウム、マンガン、銅、クロムおよびニッケルなどが挙げられる。得られる澱粉は、冷水および熱水中での急速な水和を表し、すぐれたエマルジョン安定化特性をあらわす。これらの澱粉生成物は、食品、化粧品組成物および医薬品組成物を強化するために、ミネラルの送達ビヒクルとして有利に用いられる。
【解決手段】ミネラルに結合した修飾澱粉生成物およびこのような生成物の調製法が本明細書に開示される。これらの澱粉は栄養ミネラルに化学的に架橋されて結合している。有用なミネラルとしては例えばアルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ヨウ素、亜鉛、マグネシウム、マンガン、銅、クロムおよびニッケルなどが挙げられる。得られる澱粉は、冷水および熱水中での急速な水和を表し、すぐれたエマルジョン安定化特性をあらわす。これらの澱粉生成物は、食品、化粧品組成物および医薬品組成物を強化するために、ミネラルの送達ビヒクルとして有利に用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般に、ミネラルに結合した可逆的膨潤性顆粒状澱粉およびその調製法に関する。化学的に架橋した個々の澱粉顆粒はミネラルと相互作用して、好ましい特性を有する生成物を形成する。例えば、このミネラル結合澱粉は、熱水および冷水−水和サイクルの間中ミネラルを保持するが、消費されて消化された後はこの結合したミネラルを放出する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
顆粒状の冷水膨潤性澱粉は周知である。これらの澱粉は、湿った天然澱粉顆粒を急速に移動する熱空気中に懸濁し、その後湿度を低下させることにより調製され得る(特許文献1)。あるいは、過剰の水/アルコール中で澱粉を加熱し、その後液体を除去することによってそれらを調製し得る(特許文献2)。
【0003】
公知の顆粒状冷水膨潤性澱粉を熱水または冷水に入れると、顆粒は過度に膨潤し、澱粉可溶物が水相に放出される。乾燥すると、個々の膨潤した澱粉顆粒はつぶれ、ともに融合してしまう。融合した顆粒は再度粉砕され得るが、その後効率的に増粘せず、食品の味を悪くする。
【0004】
これらの特性の結果、ブイヨンまたはその他の水気の多い食物など、ゲル化を避けなければならない食品系においては、典型的な冷水膨潤性澱粉は利用が限られている。このような水気の多い系においては従来の澱粉は膨潤して糊化し、アミロースを放出し、保存するとその食物の舌ざわりを悪くする。さらに、公知の澱粉は可逆的膨潤ができない(すなわち、それらは連続的な膨潤/乾燥サイクルを受けることができない)という事実によって、従来の澱粉の用途は制限されている。
【0005】
特許文献3は、架橋された可逆的膨張性の顆粒状澱粉について記載している。この種の澱粉はMGP Ingeredients Inc.(アチソン、カンサス)からSRSの名称で供給されている。この澱粉は、澱粉顆粒の特質を保持し、澱粉可溶物の浸出量を最小にしながらも、熱水または冷水中の膨潤および乾燥サイクルを複数回受けることができることを含め、新規の特性を多数有する。
【0006】
種々の用途に使用するために、澱粉とミネラルとを組み合わせる試みが幾つかなされてきた。一般に、セルロースまたは天然澱粉などの中性炭水化物はイオンと弱い結合を形成し、キレート化または金属相互作用能力は弱いとみなされている(Kweon et al 2001、Hood et al 1977)。他方、リン酸化架橋澱粉に一般的に存在するモノ澱粉リン酸エステル基およびジ澱粉リン酸エステル基は、顆粒状澱粉を使用するイオン交換吸収においてイオンの静電引力において重量な役割を果たしていると思われる。モノ澱粉リン酸エステル基およびジ澱粉リン酸エステル基は、金属イオンに強い親和性を提供する;しかし伝統的に架橋された澱粉(例えば、事前膨潤(pre−swelling)を行わずに架橋した澱粉)はそれらの表面にミネラルを結合する。伝統的に架橋された澱粉の隙間は限られるため、顆粒内領域へのミネラルまたはイオンの受け入れは困難になる。
【0007】
Islam et al.(1992、1998)は、炭酸カルシウムで処理した生米澱粉とヒドロキシプロピル化米澱粉とを比較した。澱粉に結合したカルシウムレベルは1〜116ppmの範囲内にあった。
【0008】
特許文献4は、約750から約3500までの範囲の分子量を有する複合炭水化物およびミネラルを含む食物サプリメント組成物を開示している。
【0009】
特許文献5は、局所的創傷の治癒を促進するために有用な澱粉−金属複合体または増毛刺激剤として有用な澱粉−金属複合体を記載している。記載されるこれらの複合体は、天然澱粉顆粒から調製される。天然澱粉顆粒は、先ず可溶化してペーストが調製され、その後比較的高濃度の銅(II)塩または錫(II)塩と反応させられる。
【0010】
特許文献6は、無機流れ剤と混合して乾燥流れ特性を改善した架橋澱粉の製法を開示している。金属の残存レベルは、(澱粉を基準にして)0.1%未満であった。
【0011】
特許文献7は、重金属イオンを水溶液から除去するための架橋澱粉キサンテート組成物を開示している。澱粉を最初に架橋し、その後キサンテート化する。この水溶性架橋澱粉キサンテートは多価金属イオンと反応し、水不溶性沈殿物を形成する。これは濾過によって水溶液から有効に取り出され得る。
特許文献8はイオン交換クロマトグラフィーに有用な化学的に修飾された澱粉生成物の製法を開示している。この生成物は元々の顆粒状澱粉構造を保有しており、天然顆粒状澱粉をホルムアルデヒドで架橋し、その後カルボキシメチル化または2−(ジエチルアミノ)エチル基の付加によって調製される。上記エチル基はエーテル結合によって、またはイオン基を澱粉分子に付加するためのその他の適切な手段によって付加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,280,851号明細書
【特許文献2】米国特許第4,465,704号明細書
【特許文献3】米国特許第6,299,907号明細書
【特許文献4】米国特許第4,689,228号明細書
【特許文献5】米国特許第5,858,993号明細書
【特許文献6】米国特許第2,801,242号明細書
【特許文献7】米国特許第3,979,286号明細書
【特許文献8】米国特許第2,992,215号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(要旨)
ミネラルに結合した修飾澱粉生成物およびこのような生成物の調製法が本明細書に開示される。これらの澱粉は栄養ミネラルに化学的に架橋されて結合している。有用なミネラルとしては例えばアルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ヨウ素、亜鉛、マグネシウム、マンガン、銅、クロムおよびニッケルなどが挙げられる。得られる澱粉は、冷水および熱水中での急速な水和を表し、すぐれたエマルジョン安定化特性をあらわす。これらの澱粉生成物は、食品、化粧品組成物および医薬品組成物を強化するために、ミネラルの送達ビヒクルとして有利に用いられる。
【0014】
一局面において、本発明は、澱粉顆粒の顆粒内および顆粒表面の両方に少なくとも1種類のミネラルが結合した個々の架橋澱粉顆粒を複数含む、ミネラル結合澱粉を含む。
【0015】
別の局面において、本発明は、澱粉顆粒の特性を実質的に保持しながら、95℃の水中で30分間膨潤させ、その後105℃で、湿重量基準で約10重量%未満の水分量にまで乾燥させるというサイクルを複数回受け得る、個々の架橋澱粉顆粒を複数含むミネラル結合澱粉を含み、ここで、この架橋澱粉顆粒の顆粒内および顆粒表面の両方には少なくとも1種類のミネラルが結合している。
【0016】
また別の局面において、本発明は(1)澱粉顆粒の水中分散物を形成する工程であって、顆粒は分散物中で膨潤を受け、結晶相を有する工程と、(2)顆粒を膨潤させながら、分散物に架橋剤を加える工程と、(3)膨潤した澱粉顆粒を連続撹拌条件下で架橋する工程であって、この架橋工程は、膨潤した澱粉顆粒を完全に糊化させることなく行われる工程と、(4)架橋した澱粉顆粒を回収する工程と、(5)架橋澱粉顆粒と少なくとも1種類のミネラルとを含む第二の分散物を形成する工程とを含む、ミネラル結合澱粉の調製法を含む。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
澱粉顆粒の顆粒内および顆粒表面の両方に少なくとも1種類のミネラルが結合した個々の架橋澱粉顆粒を複数含む、ミネラル結合澱粉。
(項目2)
前記澱粉顆粒が、穀物、根茎、塊茎および豆からなる澱粉源の群に由来する、項目1に記載の澱粉。
(項目3)
前記澱粉顆粒が、コムギ、ワキシーコムギ、コーン、ワキシーコーン、高アミロースコーン、オートムギ、米、タピオカ、緑豆、サゴ、サツマイモ、ジャガイモ、オオムギ、ライコムギ、ソルガムおよびバナナからなる澱粉源の群に由来する、項目2に記載の澱粉。
(項目4)
前記顆粒が、リン酸化剤およびエピクロロヒドリンからなる群から選択される架橋剤によって架橋されている、項目2に記載の澱粉。
(項目5)
前記架橋剤が、三メタリン酸ナトリウム、三ポリリン酸ナトリウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される、項目4に記載の澱粉。
(項目6)
前記澱粉顆粒が酸化される、項目1に記載の澱粉。
(項目7)
前記顆粒が、過ヨウ素酸塩、クロム酸、過マンガン酸塩、二酸化窒素および次亜塩素酸ナトリウムからなる群から選択される酸化剤によって酸化される、項目6に記載の澱粉。
(項目8)
さらに、少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約1.0重量%含む、項目1に記載の澱粉。
(項目9)
さらに、少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約5重量%含む、項目1に記載の澱粉。
(項目10)
さらに、少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約10重量%含む、項目1に記載の澱粉。
(項目11)
前記少なくとも1種類のミネラルが、アルミニウム、カルシウム、銅、鉄、ヨウ素、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、クロム、亜鉛およびナトリウムからなる群から選択される、項目1に記載の澱粉。
(項目12)
前記澱粉が、過剰の水での連続洗浄中にミネラル含有量を約2%より多く損失することなく、安定である、項目1に記載の澱粉。
(項目13)
前記澱粉顆粒が、冷水中で膨潤させると、非修飾顆粒状澱粉の膨潤力より少なくとも約200%大きい膨潤力を有する、項目1に記載の澱粉。
(項目14)
前記澱粉顆粒が、冷水中で膨潤させると、非修飾顆粒状澱粉の膨潤力より少なくとも約400%大きい膨潤力を有する、項目1に記載の澱粉。
(項目15)
前記ミネラル結合澱粉によって形成される油:水エマルジョンが少なくとも約1ml/gの安定性を有する、項目1に記載の澱粉。
(項目16)
事前膨潤プロセス経過中に、約2重量%以下の澱粉可溶物が存在する、項目1に記載の澱粉。
(項目17)
前記ミネラル結合澱粉が、AOAC法991.43(2003)によって少なくとも約80%消化される、項目1に記載の澱粉。
(項目18)
前記ミネラル結合澱粉が、AOAC法991.43(2003)によって少なくとも約90%消化される、項目1に記載の澱粉。
(項目19)
項目1に記載の澱粉を含有する、食品。
(項目20)
項目1に記載の澱粉を含有する、化粧品またはパーソナルケア製品。
(項目21)
個々の架橋澱粉顆粒を複数含むミネラル結合澱粉であって、該澱粉顆粒は、該澱粉顆粒の特性を実質的に保持しながら、95℃の水中で30分間に膨潤させ、その後105℃で湿重量基準で約10重量%未満の水分量にまで乾燥させるというサイクルを複数回受けることができ、ここで、該架橋澱粉顆粒の顆粒内および顆粒表面の両方には、少なくとも1種類のミネラルが結合している、ミネラル結合澱粉。
(項目22)
前記澱粉顆粒が、穀物、根茎、塊茎および豆からなる澱粉源の群に由来する、項目21に記載の澱粉。
(項目23)
前記澱粉顆粒が、コムギ、ワキシーコムギ、コーン、ワキシーコーン、高アミロースコーン、オートムギ、米、タピオカ、緑豆、サゴ、サツマイモ、ジャガイモ、オオムギ、ライコムギ、ソルガムおよびバナナからなる澱粉源の群に由来する、項目22に記載の澱粉。
(項目24)
前記顆粒が、リン酸化剤およびエピクロロヒドリンからなる群から選択される架橋剤によって架橋されている、項目21に記載の澱粉。
(項目25)
前記架橋剤が、三メタリン酸ナトリウム、三ポリリン酸ナトリウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される、項目24に記載の澱粉。
(項目26)
前記澱粉顆粒が酸化される、項目21に記載の澱粉。
(項目27)
前記顆粒が、過ヨウ素酸塩、クロム酸、過マンガン酸塩、二酸化窒素および次亜塩素酸ナトリウムからなる群から選択される酸化剤によって酸化される、項目26に記載の澱粉。
(項目28)
さらに、前記少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約1.0重量%含む、項目21に記載の澱粉。
(項目29)
さらに、前記少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約5重量%含む、項目21に記載の澱粉。
(項目30)
さらに、前記少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約10重量%含む、項目21に記載の澱粉。
(項目31)
前記少なくとも1種類のミネラルが、アルミニウム、カルシウム、銅、鉄、ヨウ素、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、クロム、亜鉛およびナトリウムからなる群から選択される、項目21に記載の澱粉。
(項目32)
前記澱粉が、過剰の水での連続洗浄中にミネラル含有量を約2重量%より多く損失することなく、安定である、項目21に記載の澱粉。
(項目33)
前記澱粉顆粒が、冷水中で膨潤させると、非修飾顆粒状澱粉の膨潤力より少なくとも約200%大きい膨潤力を有する、項目21に記載の澱粉。
(項目34)
前記澱粉顆粒が、冷水中で膨潤させると、非修飾顆粒状澱粉の膨潤力より少なくとも約400%大きい膨潤力を有する、項目21に記載の澱粉。
(項目35)
前記ミネラル結合澱粉によって形成される油:水エマルジョンが少なくとも約1ml/gの安定性を有する、項目21に記載の澱粉。
(項目36)
前記ミネラル結合澱粉によって形成される油:水エマルジョンが少なくとも約5ml/gの安定性を有する、項目21に記載の澱粉。
(項目37)
水による膨潤プロセス経過中に、約2重量%以下の澱粉可溶物が存在する、項目21に記載の澱粉。
(項目38)
前記ミネラル結合澱粉が、AOAC法991.43(2003)によって少なくとも約80%消化される、項目21に記載の澱粉。
(項目39)
前記ミネラル結合澱粉が、AOAC法991.43(2003)によって少なくとも約90%消化される、項目21に記載の澱粉。
(項目40)
項目21に記載の澱粉を含有する、食品。
(項目41)
項目21に記載の澱粉を含有する、化粧品またはパーソナルケア製品。
(項目42)
ミネラル結合澱粉の調製法であって:
澱粉顆粒の水中分散物を形成する工程であって、該顆粒は該分散物中で膨潤を受け、結晶相を有する工程;
該顆粒を膨潤させながら、該分散物に架橋剤を加える工程;
該膨潤した澱粉顆粒を連続撹拌条件下で架橋する工程であって、該架橋工程は、該膨潤した澱粉顆粒を完全に糊化させることなく行われる、工程;
該架橋した澱粉顆粒を回収する工程;および
該架橋した澱粉顆粒と少なくとも1種類のミネラルとを含む第二の分散物を形成する工程
を包含する、方法。
(項目43)
前記第二の分散物を加熱して前記顆粒の結晶相を融解させる工程をさらに包含する、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記澱粉顆粒を単離する工程、および
該単離した澱粉顆粒を食物組成物と混合する工程をさらに包含する、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記澱粉顆粒を単離する工程、および
前記単離した澱粉顆粒を化粧品組成物またはパーソナルケア組成物と混合する工程をさらに包含する、項目42に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、従来の可逆的膨潤性難消化性澱粉顆粒(SRS−B)のSEM(1000×)である。
【図2】図2は、糊化し、噴霧乾燥した可逆的膨潤性難消化性澱粉顆粒(PSRS−B)のSEM(1000×)である。
【図3】図3は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(500×)である。
【図4】図4は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図5】図5は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(2000×)である。
【図6】図6は、(澱粉を基準として)20重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図7】図7は、(澱粉を基準として)20重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(2000×)である。
【図8】図8は、(澱粉を基準として)30重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図9】図9は、(澱粉を基準として)30重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(2000×)である。
【図10】図10は、(澱粉を基準として)40重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図11】図11は、(澱粉を基準として)40重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(2000×)である。
【図12】図12は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共に押し出すことによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図13】図13は、(澱粉を基準として)20重量%の炭酸カルシウムと共に押し出すことによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図14】図14は、(澱粉を基準として)10重量%の硫酸カルシウムと共に押し出すことによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図15】図15は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図16】図16は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−Aのエマルジョン安定性を示す。
【図17】図17は、加熱しないカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図18】図18は、種々のレベルの炭酸カルシウムを用いて調製されたカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図19】図19は、種々のpHレベルで調製されたカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図20】図20は、種々の混合法によって調製されたカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図21】図21は、高レベルの炭酸カルシウムを用いて調製されたカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図22】図22は、炭酸カルシウムと一緒の押出しによって調製されたカルシウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図23】図23は、種々のミネラル結合SRS−B複合体のエマルジョン安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(詳細な説明)
生物学的に活性な栄養ミネラルと結合した澱粉生成物は、ミネラルと顆粒状架橋澱粉生成物との反応によって形成される。ミネラル結合澱粉は驚くべき栄養特性および機能特性を示す。例えば澱粉生成物中の結合ミネラルは熱水中における加熱および/または連続洗浄プロセスにおいて安定である。しかし、ミネラル結合澱粉の酵素的加水分解は消費後の結合ミネラルの遊離を誘発し、ミネラルが消化管で吸収できるようになる。架橋澱粉生成物の消化率は、AOAC Total Dietary Fiber Method 991.43によれば90%よりも高い加水分解を示した。
【0019】
ミネラル結合澱粉生成物は冷水また熱水に容易に分散し、強く撹拌しなくても、油/水混合物中で安定なエマルジョンを形成する。これらの諸特性、ならびにミネラル結合澱粉生成物を事前膨潤させるによって形成される広い表面積および内部隙間構造の結果、それらは増粘剤、安定剤および/または懸濁剤として、ならびにアルミニウム、カルシウム、銅、クロム、ヨウ素、カリウム、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、亜鉛およびナトリウムなどの生物学的に活性な元素の送達のための因子として非常に有益に使用され得る。
【0020】
ミネラル結合澱粉生成物の調製において、ミネラルは、乾燥澱粉の総重量を基準として約0.1〜1,000%、より好ましくは約1〜800%、最も好ましくは約1〜100重量%のレベルで存在する。
【0021】
一実施形態において、最初の架橋反応は、最初に澱粉顆粒の水中分散物を形成するプロセスを含む。このプロセスにおいて上記顆粒の結晶相が膨潤する。顆粒を膨潤させながら架橋剤が分散物に加えられ、膨潤した顆粒が架橋される。膨潤した顆粒の完全な糊化を避ける条件下で架橋が行われる。澱粉の架橋が所望レベルに達した後、混合物を中和し、澱粉生成物を洗って未反応の塩を除去する。架橋生成物は天然(非修飾の)親澱粉に比べて高い糊化温度および低い糊化エントロピーを示す。
【0022】
一実施形態において、事前膨潤工程は、膨潤を促進する塩基(アルカリ金属ヒドロキシドなど)および澱粉の顆粒構造の完全破壊(すなわち糊化)につながり得る過度の膨潤を阻止する塩(アルカリ金属塩化物もしくはアルカリ土類金属塩化物、アルカリ金属硫酸塩もしくはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ金属炭酸塩もしくはアルカリ土類金属炭酸塩など)の存在下で行われる。事前膨潤中の澱粉分散物の温度は、澱粉糊化温度より概ね5〜10℃低い温度である。塩基の量を減らして高濃度(澱粉を基準にして20%より高い)の塩を使用するならば、より高温(例えば、70〜80℃)で澱粉を膨潤させることもできる。このヒドロキシドは、澱粉を基準として通常約1〜3重量%のレベルで存在する。他方、この塩は澱粉を基準として5〜25重量%のレベルで使用される。事前膨張分散物のpHは概ね約10〜12.3である。有用な事前膨潤/架橋条件およびパラメータは、米国特許第6,299,907号に示されている。米国特許第6,299,907号は、本明細書に明白に参考として援用される。
【0023】
架橋工程中、分散物はその中に約10〜40重量%の澱粉を含むべきである。架橋工程は概ね約30〜75℃の温度まで約0.1〜24時間、より一般的には約0.5〜12時間加熱することを含む。澱粉は、種々の架橋剤(例えば、三メタリン酸ナトリウム(STMP)、三ポリリン酸ナトリウム(STPP)、塩化ホスホリル、エピクロロヒドリンおよびこれらの混合物からなる群から選択されるもの)などを使用して化学的に架橋できる。架橋剤としてSTMPを使用する場合、所望の架橋度を達成するためには乾燥澱粉を基準として代表的には約2〜20重量%が必要である。架橋中に使用するSTMPが少なすぎる場合、澱粉は最終的に糊化する。これが起きると、膨潤は、架橋の十分な阻止によって相殺されていない。架橋反応の温度を上げることは膨潤の促進と架橋反応の促進との妥協であり、その結果、合理的反応時間内において十分に架橋する前に反応混合物のゲル化が起きないようにする。
【0024】
架橋した澱粉顆粒を必要に応じて過剰の水中で加熱し、顆粒の結晶相を融解することができる。湿潤澱粉または乾燥澱粉を用いて水性スラリー(10%w/w)を形成することができ、それを約5分間加熱する。加熱温度は非高アミロース澱粉では一般的に80℃より高く、高アミロース澱粉では110℃より高い。加熱は加熱ヒーター、ジェットクッカー、噴霧クッカー、または押出成形機によって行われ得る。熱処理した生成物をその後冷やし、遠心分離し、従来のオーブン、噴霧乾燥機またはフラッシュドライヤーで乾燥し得る。
【0025】
穀物、根茎、塊茎および豆からなる群から選択される澱粉を含むほとんどすべての未修飾澱粉は、本明細書に記載の方法によって修飾され得る。さらなる澱粉としては、コムギ、ワキシーコムギ、コーン、ワキシーコーン、高アミロースコーン、オートムギ、米、タピオカ、緑豆、サゴ、サツマイモ、ジャガイモ、オオムギ、ライコムギ、ソルガム、バナナおよびその他の植物性原料(ワキシー変種、部分的ワキシー変種、および高アミロース変種を含む)から選択されるものが挙げられる(「ワキシー」とは少なくとも95重量%のアミロペクチンを含むものとし、高アミロースとは少なくとも40重量%のアミロースを含むものとする)。化学的に、物理的にまたは遺伝的に改変された形態の澱粉類も使用され得る。改変技術としては以下が挙げられる:1)21CFR 172.892による化学物質および/または酵素による処理;2)澱粉のもどり(再結晶化)、熱処理、部分的糊化、アニーリングおよび焙焼(roasting)などの物理的変形;3)遺伝子または染色体工学を含む遺伝的改変(例えば、交雑育種、転座、逆位および形質転換など);ならびに4)上記のものの組み合わせなど含む。
【0026】
高レベルの架橋は、消化性が低下した難消化性澱粉(米国特許第5,855,946号)の形成につながる。それは消化後の結合ミネラルの遊離を実質的に制限する。ミネラルが消化後に効果的に遊離して生物学的な必要性に利用されるためには、ミネラル結合澱粉は約80%より多く、より一般的には約90%が消化されなければならない。澱粉の過度の架橋も、非混和性溶媒類の混合物に与えるミネラル結合澱粉生成物の安定化効果を制限する。適切な膨潤が存在しなければ、ミネラルの結合は、顆粒の表面のみで生じ得る。澱粉の顆粒状構造内にミネラルが均一に分布することが種々の用途における機能的特性および栄養的特性を改善するために重要であると思われる。
【0027】
架橋澱粉生成物は糊化およびミネラル結合の前に酸化されて、カルボキシル基を提示する負に荷電したスターチエート(starchate)アニオンを形成することもできる。酸化に起因する顆粒電荷密度の増加は、金属イオンに対する親和性、および他のポリマー(例えば、食品、化粧品および医薬品中にみられるタンパク質および炭水化物など)との表面相互作用をおこす。酸化された生成物および酸化された架橋澱粉生成物の調製法は、例えば共有に係る同時係属中の米国特許出願第10/843,494号に開示されている。適切な酸化剤は、過ヨウ素酸塩、クロム酸、過マンガン酸塩、二酸化窒素および次亜塩素酸ナトリウムからなる群から選択され得る。
【0028】
この酸化反応は一般的にはpH7〜12、より典型的には約10〜11で行われる。温度は約10〜50℃であるべきであり、通常約30〜45℃である。高アミラーゼ澱粉を使用する場合は温度は約30〜80℃の範囲内にあり得る。反応時間は所望の酸化程度によって変化するが、一般には約1〜24時間、より典型的には約1〜8時間の範囲にある。酸化は連続撹拌下で行われるのが普通である。反応終了時には反応混合物を酸でpH約5〜7、より典型的には約pH6に中和し得る。その後澱粉生成物を水で洗い、無機酸を除去し得る。
【0029】
本明細書に記載されるミネラル結合澱粉誘導体は、単一ミネラル、ミネラル混合物またはミネラルを含む残基との相互作用を受ける架橋されたおよび/または酸化された澱粉から製造され得る。本明細書で使用する場合、用語「ミネラル」は、化学元素(例えばFe0)および化合物(例えばFeCl3)のような無機物質をいい、化合物の個々の置換基、すなわちカチオンおよびアニオン(例えばFe3+およびCl−)もいう。同様に、用語鉄は、元素鉄(Fe0)、鉄カチオン(Fe2+、Fe3+)、および鉄含有化合物(例えばFeCl3)をいうことができる。ミネラルは澱粉顆粒の顆粒内および表面に物理的に捕捉されおよび/または化学的に結合する。本明細書において使用する場合、用語「結合した」および「結合する」は、反対記号の完全電荷または部分電荷を有する部分間の好都合な静電的相互作用を広義にいうものとする。例えば用語「結合した」および/または「結合する」は、ファンデルワールス相互作用、静電引力、イオン結合、水素結合、共有結合などをいうものとする。金属カチオンは、ホスフェートアニオンもしくはカルボキシレートアニオンに結合し得、そして/または非電離ミネラル(すなわち化合物)は、荷電した澱粉部分に静電的に引き付けられ得る。
【0030】
ミネラル結合の第一工程において、架橋および/または酸化された澱粉生成物を、周期表の1族〜16族の一価金属および多価金属からなる群から選択される適切なミネラルと反応させる。好ましい金属はアルミニウム、カルシウム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、ナトリウム、クロムおよび亜鉛である。また有用であるのは、Code of Federal Regulations(CFR)タイトル21、582部、Substances Generally Recognized As Safe(GRAS)およびCFRタイトル21、184部、Direct Food Substances Affirmed as Generally Recognized As Safeに列挙される2種類以上のミネラルの混合物である。好ましいミネラルは硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、ケイ酸カルシウムアルミニウム、酢酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、ヨウ化カルシウム、乳酸カルシウム、酸化カルシウム、パントテン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、グルコン酸銅、硫酸銅、ヨウ化銅、クエン酸アンモニウム第二鉄、塩化第二鉄、クエン酸第二鉄、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄、硫酸第二鉄、アスコルビン酸第一鉄、カルボン酸第一鉄、クエン酸第一鉄、フマル酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄、硫酸第一鉄、元素鉄、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、クエン酸マンガン、グルコン酸マンガン、硫酸マンガン、元素ニッケル、アルギン酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、水酸化カリウム、グルタミン酸カリウム、ヨウ化カリウム、乳酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カゼイン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ジ亜リン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、セスキカルボン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、ペクチン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛および硫酸亜鉛である。
【0031】
ミネラル結合澱粉生成物の調製において、ミネラルは乾燥澱粉の総重量を基準として約0.1〜1,000重量%のレベル、より好ましくは約1〜800重量%、最も好ましくは約1〜100重量%のレベルで存在する。ミネラル結合プロセスはpH約3〜11、一般的にはpH約5〜9で行われる(図19を参照)。糊化顆粒状架橋澱粉の場合、所望のミネラル結合温度は約10〜85℃であり、一般的には約25〜45℃である。ミネラル結合の反応時間は約0.1〜12時間、一般的には約0.5〜5時間である。架橋澱粉のミネラル結合反応は連続撹拌下で行われ得る。その後、澱粉生成物を水で洗い、乾かすことができる。ミネラル結合澱粉のクッキングは水熱加熱、スプレークッキング、フラッシュ乾燥、ドラム乾燥または押出クッキングによって達成され得る。
【0032】
糊化形態の顆粒状架橋澱粉生成物は室温で生物学的に活性なミネラルと容易に結合し、水および油との安定なエマルジョンを形成することは明らかである(図17を参照)。糊化していない顆粒状架橋澱粉の場合、安定なミネラル結合構造が周囲温度でも好都合に得られ得る。しかし糊化温度より高い温度で結合を行うと、水中の澱粉膨潤特性および油/水混合物のエマルジョン安定性は改善する(図15を参照)。これら澱粉類は、ミネラル結合澱粉、水および油から構成される安定なエマルジョン(少なくとも1ml/gの濃度)を形成することがわかった(図15〜図23を参照)。さらに、これらの澱粉類は室温で長い保存期間中、例えば少なくとも約15日間、通常少なくとも約30日間は上記特性を示す。
【0033】
(押出クッキング)
押出は、材料を、高圧、高剪断および高温で、一般的には閉鎖システムにおいて短時間処理するプロセスである。このシステムは一般的にはジャケット付きバレル中に一軸スクリューまたは二軸スクリューを含み、そこには熱が蒸気または電気加熱によってジャケット付きバレルを通って外部から供給される。スクリューは時計回りまたは時計と反対方向に回転し、スクリューに沿って前向きに供給される材料に剪断力および動作を与える。スクリューの末端に向かって、材料はダイアセンブリーに供給される。それはより大きい剪断力を与え、生成物を所望の形にし、その後それを雰囲気中に噴出する。押出成形機で内のクッキングプロセス中、材料では多くの物理化学的変化が起きる。材料がひとたび雰囲気中に噴出されると、生成物は種々のサイズにカットされ得、そして種々の押出後処理(例えば、着色、芳香付け、乾燥、エンロービング、蒸気処理などを受ける。押出は、種々さまざまの製品を製造するための食品産業、飼料産業、医薬品産業およびプラスチック産業において広く用いられる。澱粉の押出に関する多くの文献が入手可能である(例えば、Harper1981;Colonna et al.1989;Kokini et al.1992;Ganjyal 2004)。
【0034】
押出は封入プロセスまたは結合プロセスに使用されている。例えば、破壊澱粉送達系に基づく芳香付けした固形化粧品組成物(fragranced solid cosmetic compositions based on a destructurized starch delivery system)(WO2004089315)、押出成形された澱粉顆粒中に微小カプセル化された活性成分を用いた殺虫剤および作物収量増加製品(pesticides and crop−yield enhancement products using microencapsulated active ingredients in extruded starch granules)(US2003224031)、ラクトフェリンを含む押出し成形された供給物サプリメント(lactoferrin containing extruded feed supplements)(WO2004091888)、徐放調製物に関する方法としての澱粉押出(starch extrusion as a method
for slow−release preparations)(Hubert,2003)、および熱不安定性活性成分の封入(encapsulation of thermolabile active ingredients)(WO9934780)など。これらの大部分の場合において、澱粉は押出プロセス中に破壊されたかまたは糊化し、活性成分を封入するための新しい澱粉基質が形成された。
【0035】
本発明のプロセスでは、架橋された澱粉顆粒構造は保持され、顆粒は実施例でさらに詳細に述べるように押出システム中で種々のミネラルと結合する。澱粉は所望量のミネラル成分と共にバッチミキサー中で予めブレンドされ、プレコンディショナーに供給される。プレコンディショナー中で約5〜10重量%の少量の水を添加してさらに混合する。よく混合した材料はその後押出バレルに供給され、そこで混合物は高剪断、高圧熱処理を受け、その間に澱粉顆粒がある程度膨張する。澱粉顆粒が膨張するにつれて、ミネラルが空いた隙間に入り、澱粉分子と結合し、その結果、澱粉に所望のミネラルが含浸される。このプロセス中に、澱粉顆粒が開いて結合プロセスが進行するための適切な条件が作り出されねばならない。
【0036】
押出成形機への投入条件を種々変化させ得、その結果、結合プロセスにつながる条件を作り出す方法は種々ある。例えば、乾燥供給物および液体の供給速度、スクリューの長さおよび/または直径、構成要素の数および種類の配置によるスクリュープロフィール(例えば、種々のピッチを有するコンベヤスクリュー構成要素、カットフライトスクリュー構成要素、フォワードローブ、ニュートラルローブおよびリバースローブなど)、スクリュー速度、外部加熱/冷却によるバレルの温度およびダイ寸法などを変えることができる。
【0037】
種々の押出試験をWenger TX57TM押出成形機で行った。この押出成形機は一般的にはプレコンディショナー、同時回転二軸スクリューを有するバレル、ダイセットアップ、ナイフアセンブリーおよび押出された生成物を乾燥機に運ぶ運搬システムを含む。使用したスクリュープロフィールは生成物にはほとんど剪断をかけない運搬システムであった。このプロフィールは、フォワードローブおよび1つの最後の円錐スクリュー構成要素と結合した、完全ピッチおよび四分の三ピッチのコンベヤスクリュー構成要素からなっていた。このプロフィールにはカットフライトスクリュー構成要素は使用されていなかった。押出バレルでは全部で5つのゾーンが使用された。供給速度はこのシステムの最大能力の約60〜70%に設定された。低剪断スクリュープロフィール、長いバレル、および遅い供給速度が選択され、澱粉顆粒が膨張し、金属イオンがその顆粒内に入るために適切なクッキング時間およびスペースがこのシステムに提供された。
【0038】
図1〜14は以下の実施例に記載される多数の澱粉生成物およびミネラル結合澱粉生成物の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。これらの顕微鏡写真はミネラル結合前の澱粉生成物に比較したミネラル結合澱粉生成物の形態を図1および図2に示す。図15〜23は下記の実施例に記載するミネラル結合澱粉生成物のエマルジョン安定性試験を示す。
【0039】
以下の実施例は本明細書に記載する手段による特定の顆粒状ミネラル結合澱粉生成物、ならびにこのような生成物の調製法を示す。これらの実施例は説明のために提供されるに過ぎず、いずれもが、特許請求の範囲によって限定される本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきでないことは理解されるべきである。
【実施例】
【0040】
以下の実施例において、別途記載がない限り、成分比は乾燥澱粉に対する重量として表される。SRS−A、SRS−B、PSRS−BおよびSRS−Cは以下の手順によって作製された:
SRS−A:
コムギ澱粉(100部、乾燥基準)を、硫酸ナトリウム2部を含む水233部に分散させ、混合した。30分間混合した後、水酸化ナトリウム(1.5部)を加えた。反応混合物を45℃に加熱し、その温度で1時間連続的に混合した。効率的に架橋するために、三メタリン酸ナトリウム3.8部、ポリリン酸ナトリウム0.038部および硫酸ナトリウム3部を一緒に加えた。さらに20時間45℃で混合した後、スラリーを希1.0N塩酸でpH6.5に中和し、25℃に冷ました。水で洗浄することによって澱粉を単離し、噴霧乾燥した。
【0041】
SRS−B:
コムギ澱粉(100部、乾燥基準)を、硫酸ナトリウム3部を含む水400部に分散し、混合した。30分間混合した後、水酸化ナトリウム(1.8部)を加えた。反応混合物を45℃に加熱し、その温度で15時間連続的に混合した。反応混合物を35℃に冷まし、追加の水酸化ナトリウム(0.7部)を加えた。反応混合物を45℃に加熱し、その温度で5時間連続的に混合した。効率的に架橋するために、三メタリン酸ナトリウム5.0部およびポリリン酸ナトリウム0.0004部を一緒に加えた。45℃でさらに16時間混合した後、スラリーを希1.0N塩酸でpH6.5に中和し、25℃に冷ました。水洗浄によって澱粉を単離し、噴霧乾燥した。
【0042】
PSRS−B:
SRS−Bについて上に記載したように製造した事前膨潤/架橋澱粉を水100mlに分散し、95℃にて10分間加熱して結晶相を融解した。
【0043】
SRS−C:
SRS−Aについて上に記載したように製造した事前膨潤/架橋澱粉(300部、乾燥基準)を水700部に分散し、30分間混合した。分散物を45℃に温め、1M水酸化ナトリウムでpHを11.0に調整した。次亜塩素酸ナトリウム7.5%(乾燥澱粉を基準として)をスラリーに加え、45℃にて16時間連続的に撹拌した。スラリーを1.0N塩酸でpH6.0に調整し、その後室温(25℃)に冷ました。糊化していない澱粉を水で洗って無機塩を除去し、噴霧乾燥によって回収した。
【0044】
(実施例1)
可逆的膨潤性澱粉10部(50g、乾燥基準)を、炭酸カルシウム1部(5g)を含む水100部(100ml)に分散することによってミネラルを結合させた。分散物を85℃に温め、連続撹拌しながら1時間その温度に保持した。この澱粉スラリーを40℃のオーブンで乾燥した。澱粉生成物を過剰の水(100ml)と混合し、遠心分離し(3,000g、10分)、上澄液をデカントし、40℃で乾燥するというやり方で2回洗った。洗浄前および洗浄後の生成物をエマルジョン安定性試験で比較した。
【0045】
(試験)
5gのミネラル結合澱粉を、250mlビーカー(Corning Pyrexメスシリンダー#3025−100)中で室温(約25℃)で蒸留水と植物油(例えば、大豆油)との1:1混合物100mlに分散させ、その後85℃に加熱し、30分間連続的に撹拌した。その後、ミネラル結合澱粉/油/水混合物を100mlメスシリンダー(例えば、Corning Pyrexビーカー#3062−100)に移した。水/油/ミネラル結合澱粉の分散物は85℃でクリーム状の外観を呈する。分散物をその後24時間室温(約25℃)に静置した。3つのフラクションが形成された:水/ミネラル結合澱粉フラクション、水フラクションおよびミネラル結合澱粉/油フラクション(シリンダーの底から上に向かって記載した)。24時間後、シリンダー中の3フラクションの各々の膨潤容量を測定した。3フラクションの各々の膨潤容量比は、フラクションの膨潤容量(ミリリットル)を測定し、これを澱粉の乾燥重量(グラム)で割ることによって決定した。
【0046】
洗浄後のカルシウムの結合レベルをAOAC990.08法によって測定した。この方法は上記試料を一晩マッフル炉中で550℃で灰化することを必要とした。その残渣を塩酸溶液中で消化し、高周波誘導結合プラズマ(ICP)によって定量した。各ミネラル結合澱粉生成物において、カルシウムは上首尾に結合し、多量の水で洗った後、本質的に損失はなかった。エマルジョン安定性試験において、カルシウム結合SRS−AおよびSRS−Bは両方共すぐれた安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図15および図16はカルシウム結合SRS−Bおよびカルシウム結合SRS−Aそれぞれのエマルジョン安定性を示す。これらのエマルジョンは室温で約3週間の保存中、実質的に相分離は起きず安定であった。
【0047】
【表1】
(実施例2)
実施例1で用いたのと同じ比率の澱粉および炭酸カルシウム(10:1)を水中で混合し、クッキングした。クッキングした澱粉とカルシウムをオーブン中105℃で一晩乾燥した。冷却後、澱粉生成物を過剰の水(10ml)で2回洗い、未結合残渣を除去し、オーブン中で40℃で乾燥した。カルシウムの結合レベルをAOAC990.08法によって測定した。
【0048】
【表2】
(実施例3)
10部のPSRS−Bを水100部に分散し、炭酸カルシウム1部を加えた。室温で1時間混合後、生成物をオーブン中で40℃で乾燥した。乾燥した澱粉生成物を洗浄し、実施例1に記載の方法を用いて乾燥した。カルシウムは加熱せずにPSRS−Bと効率的に結合した。ミネラル結合澱粉生成物は、85℃で1時間加熱することによって製造したカルシウム結合SRS−Bおよびカルシウム結合SRS−Aに比較してすぐれたエマルジョン安定性を示した。図17はカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。カルシウム結合PSRS−Bによって形成されたエマルジョンは室温で3週間の保存期間中安定であった。
【0049】
【表3】
(実施例4)
実施例1の方法により、炭酸カルシウム1部を使用してカルシウムをPSRS−Bと結合させた。10部のPSRS−Bを水100部に分散し、炭酸カルシウムを加えた。炭酸カルシウムをそれぞれ2部、3部および4部含む混合物について同じ手順を行った。3部の炭酸カルシウムを用いて作製した試料および4部の炭酸カルシウムを用いて作製した試料について、分散および均質な混合を容易にするために2部の水を加えた。カルシウムは澱粉生成物に上首尾に結合し、多量の水で2回洗浄した後も結合したままであった。エマルジョン安定性試験において、生成物はカルシウム結合澱粉、水および油エマルジョンについすぐれたエマルジョン安定性を示した。図18は種々のレベルの炭酸カルシウムを用いて調製したカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。走査電子顕微鏡分析(SEM)は、澱粉顆粒の結合が炭酸カルシウム濃度の上昇につれて高まることを示した。図3〜図11は、種々の量の炭酸カルシウムを用いて調製したカルシウム結合SRS−BのSEMを500×から2000×までの倍率で示す。
【0050】
【表4】
(実施例5)
実施例1の方法により、種々のpHレベルでカルシウムをSRS−Bと結合させた。8.9部のSRS−Bを100部の水に分散し、炭酸カルシウム1部を加えた。分散物を85℃に温め、連続的に撹拌しながらその温度に1時間保持した。澱粉生成物を過剰の水(10ml)で2回洗い、未結合の残渣を除去し、40℃で乾燥した。エマルジョン安定性試験において、これら生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図19は種々のpHレベルで調製したカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0051】
【表5】
(実施例6)
実施例1の方法により、種々の混合時間を用いてカルシウム結合を行った。澱粉および炭酸カルシウム(8.9:1)を水中で反応させることによってミネラル結合澱粉生成物を調製した。反応混合物を85℃で種々の時間(1時間、3時間および5時間)クッキングした。85℃で1時間加熱する前に冷水でプレミキシング(4時間)する影響も試験した。ミネラル結合澱粉生成物を過剰の水(10ml)で2回洗って未結合残渣を除去し、40℃で乾燥した。エマルジョン安定性試験において、生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図20は種々の混合時間で調製されたカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョンの安定性を示す。
【0052】
【表6】
(実施例7)
種々のレベルの炭酸カルシウムを用いてカルシウム結合を行った。10部のSRS−Bを100部の水と混合し、炭酸カルシウム(20部、50部、80部)を加えた。分散および均質な混合を容易にするために、連続混合しながら20部、40部、80部および140部の追加の水を澱粉スラリーに加えた。85℃で1時間加熱後、ミネラル結合澱粉生成物を遠心分離(3,000g、10分間)によって単離し、多量の水で2回洗い、40℃で乾燥した。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図21は、種々のレベルの炭酸カルシウムを用いて調製したカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0053】
【表7】
(実施例8)
実施例1の方法により、SRS−Cでカルシウム結合を行った。SRS−Cおよび炭酸カルシウム(8.9:1)を水中で反応させることによってミネラル結合澱粉生成物を調製した。反応混合物を85℃で1時間クッキングした。ミネラル結合澱粉生成物を過剰の水(10ml)で2回洗って未結合残渣を除去し、40℃で乾燥した。
【0054】
【表8】
(実施例9)
SRS−Aおよび炭酸カルシウムを用い、下表に示すパラメータを用いて押出プロセスによってカルシウム結合澱粉を調製した。10部のSRS−Aを1部の炭酸カルシウムと混合した。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。
【0055】
【表9】
(実施例10)
下表に示すパラメータを用いた押出プロセスによって、SRS−Bおよび種々のレベルの炭酸カルシウムを用いてカルシウム結合澱粉を調製した。10部のSRS−Bを炭酸カルシウムと混合した。走査電子顕微鏡分析は、炭酸カルシウムで押出によって調製されたミネラル結合SRS−Bを示した。図12および図13はそれぞれ10%炭酸カルシウムおよび20%炭酸カルシウムを用いた押出によって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEMを示す。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図22は炭酸カルシウムで押出によって作られたカルシウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0056】
【表10】
(実施例11)
下表に示すパラメータを用いた押出プロセスによって、SRS−Bおよび硫酸カルシウムを用いてカルシウム結合澱粉を調製した。10部のSRS−Bを1部の硫酸カルシウムと混合した。SEMは、硫酸カルシウムを用いた押出によって調製されたミネラル結合SRS−Bを示した。図14は10%硫酸カルシウムを用いた押出によって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEMを示す。エマルジョン安定性試験において、押出されたミネラル結合澱粉生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。
【0057】
【表11】
(実施例12)
実施例1の方法により、アスコルビン酸第一鉄、クエン酸第二鉄または硫酸第二鉄を用いて鉄をSRS−Bに結合した。10部のSRS−Bを100部の水に分散し、鉄含有化合物1部を加えた。分散物を85℃に温め、連続的に撹拌しながら1時間その温度に保った。ミネラル結合澱粉生成物を過剰の水(10ml)で2回洗い、未結合残渣を除去し、40℃で乾燥した。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物は鉄結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は種々のミネラル結合SRS−B複合体のエマルジョン安定性を示す。
【0058】
【表12】
(実施例13)
実施例11の方法により硫酸銅またはグルコン酸銅を用いて銅をSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験においてミネラル結合澱粉生成物は銅結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、グルコン酸銅を用いて製造した銅結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0059】
【表13】
(実施例14)
実施例11の方法により、炭酸水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムまたはステアリン酸マグネシウムを用いてマグネシウムをSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合生成物はマグネシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、塩化マグネシウムを用いて調製したマグネシウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0060】
【表14】
(実施例15)
実施例11の方法により硫酸マンガンを用いてマンガンをSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はマンガン結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、硫酸マンガンを用いて調製したマンガン結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0061】
【表15】
(実施例16)
実施例11の方法により、塩化亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、または硫酸亜鉛を用いて亜鉛をSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物は亜鉛結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、塩化亜鉛を用いて調製した亜鉛結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0062】
【表16】
(実施例17)
実施例11の方法により、酸化ニッケルを用いてニッケルをSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はニッケル結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、酸化ニッケルを用いて調製したニッケル結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0063】
【表17】
(実施例18)
実施例11の方法によってクエン酸ナトリウムを用いてナトリウムをSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はナトリウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、クエン酸ナトリウムを用いて調製したナトリウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0064】
【表18】
(実施例19)
実施例11の方法によってヨウ化カリウムを用いてカリウムをSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はカリウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、ヨウ化カリウムを用いて調製したカリウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0065】
【表19】
上記要旨に記載され、特許請求の範囲によって規定される本発明から逸脱することなく上記の方法およびシステムを変更することができる。したがって上記の説明に含まれるかまたは添付の図面に示される事項は例示と解釈されるべきであって、制限と解釈されるべきではないことに注目すべきである。
【0066】
記載された全ての参考文献は参考として本明細書に援用される。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般に、ミネラルに結合した可逆的膨潤性顆粒状澱粉およびその調製法に関する。化学的に架橋した個々の澱粉顆粒はミネラルと相互作用して、好ましい特性を有する生成物を形成する。例えば、このミネラル結合澱粉は、熱水および冷水−水和サイクルの間中ミネラルを保持するが、消費されて消化された後はこの結合したミネラルを放出する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
顆粒状の冷水膨潤性澱粉は周知である。これらの澱粉は、湿った天然澱粉顆粒を急速に移動する熱空気中に懸濁し、その後湿度を低下させることにより調製され得る(特許文献1)。あるいは、過剰の水/アルコール中で澱粉を加熱し、その後液体を除去することによってそれらを調製し得る(特許文献2)。
【0003】
公知の顆粒状冷水膨潤性澱粉を熱水または冷水に入れると、顆粒は過度に膨潤し、澱粉可溶物が水相に放出される。乾燥すると、個々の膨潤した澱粉顆粒はつぶれ、ともに融合してしまう。融合した顆粒は再度粉砕され得るが、その後効率的に増粘せず、食品の味を悪くする。
【0004】
これらの特性の結果、ブイヨンまたはその他の水気の多い食物など、ゲル化を避けなければならない食品系においては、典型的な冷水膨潤性澱粉は利用が限られている。このような水気の多い系においては従来の澱粉は膨潤して糊化し、アミロースを放出し、保存するとその食物の舌ざわりを悪くする。さらに、公知の澱粉は可逆的膨潤ができない(すなわち、それらは連続的な膨潤/乾燥サイクルを受けることができない)という事実によって、従来の澱粉の用途は制限されている。
【0005】
特許文献3は、架橋された可逆的膨張性の顆粒状澱粉について記載している。この種の澱粉はMGP Ingeredients Inc.(アチソン、カンサス)からSRSの名称で供給されている。この澱粉は、澱粉顆粒の特質を保持し、澱粉可溶物の浸出量を最小にしながらも、熱水または冷水中の膨潤および乾燥サイクルを複数回受けることができることを含め、新規の特性を多数有する。
【0006】
種々の用途に使用するために、澱粉とミネラルとを組み合わせる試みが幾つかなされてきた。一般に、セルロースまたは天然澱粉などの中性炭水化物はイオンと弱い結合を形成し、キレート化または金属相互作用能力は弱いとみなされている(Kweon et al 2001、Hood et al 1977)。他方、リン酸化架橋澱粉に一般的に存在するモノ澱粉リン酸エステル基およびジ澱粉リン酸エステル基は、顆粒状澱粉を使用するイオン交換吸収においてイオンの静電引力において重量な役割を果たしていると思われる。モノ澱粉リン酸エステル基およびジ澱粉リン酸エステル基は、金属イオンに強い親和性を提供する;しかし伝統的に架橋された澱粉(例えば、事前膨潤(pre−swelling)を行わずに架橋した澱粉)はそれらの表面にミネラルを結合する。伝統的に架橋された澱粉の隙間は限られるため、顆粒内領域へのミネラルまたはイオンの受け入れは困難になる。
【0007】
Islam et al.(1992、1998)は、炭酸カルシウムで処理した生米澱粉とヒドロキシプロピル化米澱粉とを比較した。澱粉に結合したカルシウムレベルは1〜116ppmの範囲内にあった。
【0008】
特許文献4は、約750から約3500までの範囲の分子量を有する複合炭水化物およびミネラルを含む食物サプリメント組成物を開示している。
【0009】
特許文献5は、局所的創傷の治癒を促進するために有用な澱粉−金属複合体または増毛刺激剤として有用な澱粉−金属複合体を記載している。記載されるこれらの複合体は、天然澱粉顆粒から調製される。天然澱粉顆粒は、先ず可溶化してペーストが調製され、その後比較的高濃度の銅(II)塩または錫(II)塩と反応させられる。
【0010】
特許文献6は、無機流れ剤と混合して乾燥流れ特性を改善した架橋澱粉の製法を開示している。金属の残存レベルは、(澱粉を基準にして)0.1%未満であった。
【0011】
特許文献7は、重金属イオンを水溶液から除去するための架橋澱粉キサンテート組成物を開示している。澱粉を最初に架橋し、その後キサンテート化する。この水溶性架橋澱粉キサンテートは多価金属イオンと反応し、水不溶性沈殿物を形成する。これは濾過によって水溶液から有効に取り出され得る。
特許文献8はイオン交換クロマトグラフィーに有用な化学的に修飾された澱粉生成物の製法を開示している。この生成物は元々の顆粒状澱粉構造を保有しており、天然顆粒状澱粉をホルムアルデヒドで架橋し、その後カルボキシメチル化または2−(ジエチルアミノ)エチル基の付加によって調製される。上記エチル基はエーテル結合によって、またはイオン基を澱粉分子に付加するためのその他の適切な手段によって付加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,280,851号明細書
【特許文献2】米国特許第4,465,704号明細書
【特許文献3】米国特許第6,299,907号明細書
【特許文献4】米国特許第4,689,228号明細書
【特許文献5】米国特許第5,858,993号明細書
【特許文献6】米国特許第2,801,242号明細書
【特許文献7】米国特許第3,979,286号明細書
【特許文献8】米国特許第2,992,215号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(要旨)
ミネラルに結合した修飾澱粉生成物およびこのような生成物の調製法が本明細書に開示される。これらの澱粉は栄養ミネラルに化学的に架橋されて結合している。有用なミネラルとしては例えばアルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ヨウ素、亜鉛、マグネシウム、マンガン、銅、クロムおよびニッケルなどが挙げられる。得られる澱粉は、冷水および熱水中での急速な水和を表し、すぐれたエマルジョン安定化特性をあらわす。これらの澱粉生成物は、食品、化粧品組成物および医薬品組成物を強化するために、ミネラルの送達ビヒクルとして有利に用いられる。
【0014】
一局面において、本発明は、澱粉顆粒の顆粒内および顆粒表面の両方に少なくとも1種類のミネラルが結合した個々の架橋澱粉顆粒を複数含む、ミネラル結合澱粉を含む。
【0015】
別の局面において、本発明は、澱粉顆粒の特性を実質的に保持しながら、95℃の水中で30分間膨潤させ、その後105℃で、湿重量基準で約10重量%未満の水分量にまで乾燥させるというサイクルを複数回受け得る、個々の架橋澱粉顆粒を複数含むミネラル結合澱粉を含み、ここで、この架橋澱粉顆粒の顆粒内および顆粒表面の両方には少なくとも1種類のミネラルが結合している。
【0016】
また別の局面において、本発明は(1)澱粉顆粒の水中分散物を形成する工程であって、顆粒は分散物中で膨潤を受け、結晶相を有する工程と、(2)顆粒を膨潤させながら、分散物に架橋剤を加える工程と、(3)膨潤した澱粉顆粒を連続撹拌条件下で架橋する工程であって、この架橋工程は、膨潤した澱粉顆粒を完全に糊化させることなく行われる工程と、(4)架橋した澱粉顆粒を回収する工程と、(5)架橋澱粉顆粒と少なくとも1種類のミネラルとを含む第二の分散物を形成する工程とを含む、ミネラル結合澱粉の調製法を含む。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
澱粉顆粒の顆粒内および顆粒表面の両方に少なくとも1種類のミネラルが結合した個々の架橋澱粉顆粒を複数含む、ミネラル結合澱粉。
(項目2)
前記澱粉顆粒が、穀物、根茎、塊茎および豆からなる澱粉源の群に由来する、項目1に記載の澱粉。
(項目3)
前記澱粉顆粒が、コムギ、ワキシーコムギ、コーン、ワキシーコーン、高アミロースコーン、オートムギ、米、タピオカ、緑豆、サゴ、サツマイモ、ジャガイモ、オオムギ、ライコムギ、ソルガムおよびバナナからなる澱粉源の群に由来する、項目2に記載の澱粉。
(項目4)
前記顆粒が、リン酸化剤およびエピクロロヒドリンからなる群から選択される架橋剤によって架橋されている、項目2に記載の澱粉。
(項目5)
前記架橋剤が、三メタリン酸ナトリウム、三ポリリン酸ナトリウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される、項目4に記載の澱粉。
(項目6)
前記澱粉顆粒が酸化される、項目1に記載の澱粉。
(項目7)
前記顆粒が、過ヨウ素酸塩、クロム酸、過マンガン酸塩、二酸化窒素および次亜塩素酸ナトリウムからなる群から選択される酸化剤によって酸化される、項目6に記載の澱粉。
(項目8)
さらに、少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約1.0重量%含む、項目1に記載の澱粉。
(項目9)
さらに、少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約5重量%含む、項目1に記載の澱粉。
(項目10)
さらに、少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約10重量%含む、項目1に記載の澱粉。
(項目11)
前記少なくとも1種類のミネラルが、アルミニウム、カルシウム、銅、鉄、ヨウ素、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、クロム、亜鉛およびナトリウムからなる群から選択される、項目1に記載の澱粉。
(項目12)
前記澱粉が、過剰の水での連続洗浄中にミネラル含有量を約2%より多く損失することなく、安定である、項目1に記載の澱粉。
(項目13)
前記澱粉顆粒が、冷水中で膨潤させると、非修飾顆粒状澱粉の膨潤力より少なくとも約200%大きい膨潤力を有する、項目1に記載の澱粉。
(項目14)
前記澱粉顆粒が、冷水中で膨潤させると、非修飾顆粒状澱粉の膨潤力より少なくとも約400%大きい膨潤力を有する、項目1に記載の澱粉。
(項目15)
前記ミネラル結合澱粉によって形成される油:水エマルジョンが少なくとも約1ml/gの安定性を有する、項目1に記載の澱粉。
(項目16)
事前膨潤プロセス経過中に、約2重量%以下の澱粉可溶物が存在する、項目1に記載の澱粉。
(項目17)
前記ミネラル結合澱粉が、AOAC法991.43(2003)によって少なくとも約80%消化される、項目1に記載の澱粉。
(項目18)
前記ミネラル結合澱粉が、AOAC法991.43(2003)によって少なくとも約90%消化される、項目1に記載の澱粉。
(項目19)
項目1に記載の澱粉を含有する、食品。
(項目20)
項目1に記載の澱粉を含有する、化粧品またはパーソナルケア製品。
(項目21)
個々の架橋澱粉顆粒を複数含むミネラル結合澱粉であって、該澱粉顆粒は、該澱粉顆粒の特性を実質的に保持しながら、95℃の水中で30分間に膨潤させ、その後105℃で湿重量基準で約10重量%未満の水分量にまで乾燥させるというサイクルを複数回受けることができ、ここで、該架橋澱粉顆粒の顆粒内および顆粒表面の両方には、少なくとも1種類のミネラルが結合している、ミネラル結合澱粉。
(項目22)
前記澱粉顆粒が、穀物、根茎、塊茎および豆からなる澱粉源の群に由来する、項目21に記載の澱粉。
(項目23)
前記澱粉顆粒が、コムギ、ワキシーコムギ、コーン、ワキシーコーン、高アミロースコーン、オートムギ、米、タピオカ、緑豆、サゴ、サツマイモ、ジャガイモ、オオムギ、ライコムギ、ソルガムおよびバナナからなる澱粉源の群に由来する、項目22に記載の澱粉。
(項目24)
前記顆粒が、リン酸化剤およびエピクロロヒドリンからなる群から選択される架橋剤によって架橋されている、項目21に記載の澱粉。
(項目25)
前記架橋剤が、三メタリン酸ナトリウム、三ポリリン酸ナトリウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される、項目24に記載の澱粉。
(項目26)
前記澱粉顆粒が酸化される、項目21に記載の澱粉。
(項目27)
前記顆粒が、過ヨウ素酸塩、クロム酸、過マンガン酸塩、二酸化窒素および次亜塩素酸ナトリウムからなる群から選択される酸化剤によって酸化される、項目26に記載の澱粉。
(項目28)
さらに、前記少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約1.0重量%含む、項目21に記載の澱粉。
(項目29)
さらに、前記少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約5重量%含む、項目21に記載の澱粉。
(項目30)
さらに、前記少なくとも1種類のミネラルを少なくとも約10重量%含む、項目21に記載の澱粉。
(項目31)
前記少なくとも1種類のミネラルが、アルミニウム、カルシウム、銅、鉄、ヨウ素、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、クロム、亜鉛およびナトリウムからなる群から選択される、項目21に記載の澱粉。
(項目32)
前記澱粉が、過剰の水での連続洗浄中にミネラル含有量を約2重量%より多く損失することなく、安定である、項目21に記載の澱粉。
(項目33)
前記澱粉顆粒が、冷水中で膨潤させると、非修飾顆粒状澱粉の膨潤力より少なくとも約200%大きい膨潤力を有する、項目21に記載の澱粉。
(項目34)
前記澱粉顆粒が、冷水中で膨潤させると、非修飾顆粒状澱粉の膨潤力より少なくとも約400%大きい膨潤力を有する、項目21に記載の澱粉。
(項目35)
前記ミネラル結合澱粉によって形成される油:水エマルジョンが少なくとも約1ml/gの安定性を有する、項目21に記載の澱粉。
(項目36)
前記ミネラル結合澱粉によって形成される油:水エマルジョンが少なくとも約5ml/gの安定性を有する、項目21に記載の澱粉。
(項目37)
水による膨潤プロセス経過中に、約2重量%以下の澱粉可溶物が存在する、項目21に記載の澱粉。
(項目38)
前記ミネラル結合澱粉が、AOAC法991.43(2003)によって少なくとも約80%消化される、項目21に記載の澱粉。
(項目39)
前記ミネラル結合澱粉が、AOAC法991.43(2003)によって少なくとも約90%消化される、項目21に記載の澱粉。
(項目40)
項目21に記載の澱粉を含有する、食品。
(項目41)
項目21に記載の澱粉を含有する、化粧品またはパーソナルケア製品。
(項目42)
ミネラル結合澱粉の調製法であって:
澱粉顆粒の水中分散物を形成する工程であって、該顆粒は該分散物中で膨潤を受け、結晶相を有する工程;
該顆粒を膨潤させながら、該分散物に架橋剤を加える工程;
該膨潤した澱粉顆粒を連続撹拌条件下で架橋する工程であって、該架橋工程は、該膨潤した澱粉顆粒を完全に糊化させることなく行われる、工程;
該架橋した澱粉顆粒を回収する工程;および
該架橋した澱粉顆粒と少なくとも1種類のミネラルとを含む第二の分散物を形成する工程
を包含する、方法。
(項目43)
前記第二の分散物を加熱して前記顆粒の結晶相を融解させる工程をさらに包含する、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記澱粉顆粒を単離する工程、および
該単離した澱粉顆粒を食物組成物と混合する工程をさらに包含する、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記澱粉顆粒を単離する工程、および
前記単離した澱粉顆粒を化粧品組成物またはパーソナルケア組成物と混合する工程をさらに包含する、項目42に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、従来の可逆的膨潤性難消化性澱粉顆粒(SRS−B)のSEM(1000×)である。
【図2】図2は、糊化し、噴霧乾燥した可逆的膨潤性難消化性澱粉顆粒(PSRS−B)のSEM(1000×)である。
【図3】図3は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(500×)である。
【図4】図4は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図5】図5は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(2000×)である。
【図6】図6は、(澱粉を基準として)20重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図7】図7は、(澱粉を基準として)20重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(2000×)である。
【図8】図8は、(澱粉を基準として)30重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図9】図9は、(澱粉を基準として)30重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(2000×)である。
【図10】図10は、(澱粉を基準として)40重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図11】図11は、(澱粉を基準として)40重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(2000×)である。
【図12】図12は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共に押し出すことによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図13】図13は、(澱粉を基準として)20重量%の炭酸カルシウムと共に押し出すことによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図14】図14は、(澱粉を基準として)10重量%の硫酸カルシウムと共に押し出すことによって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEM(1000×)である。
【図15】図15は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図16】図16は、(澱粉を基準として)10重量%の炭酸カルシウムと共にクッキングすることによって調製されたカルシウム結合SRS−Aのエマルジョン安定性を示す。
【図17】図17は、加熱しないカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図18】図18は、種々のレベルの炭酸カルシウムを用いて調製されたカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図19】図19は、種々のpHレベルで調製されたカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図20】図20は、種々の混合法によって調製されたカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図21】図21は、高レベルの炭酸カルシウムを用いて調製されたカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図22】図22は、炭酸カルシウムと一緒の押出しによって調製されたカルシウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【図23】図23は、種々のミネラル結合SRS−B複合体のエマルジョン安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(詳細な説明)
生物学的に活性な栄養ミネラルと結合した澱粉生成物は、ミネラルと顆粒状架橋澱粉生成物との反応によって形成される。ミネラル結合澱粉は驚くべき栄養特性および機能特性を示す。例えば澱粉生成物中の結合ミネラルは熱水中における加熱および/または連続洗浄プロセスにおいて安定である。しかし、ミネラル結合澱粉の酵素的加水分解は消費後の結合ミネラルの遊離を誘発し、ミネラルが消化管で吸収できるようになる。架橋澱粉生成物の消化率は、AOAC Total Dietary Fiber Method 991.43によれば90%よりも高い加水分解を示した。
【0019】
ミネラル結合澱粉生成物は冷水また熱水に容易に分散し、強く撹拌しなくても、油/水混合物中で安定なエマルジョンを形成する。これらの諸特性、ならびにミネラル結合澱粉生成物を事前膨潤させるによって形成される広い表面積および内部隙間構造の結果、それらは増粘剤、安定剤および/または懸濁剤として、ならびにアルミニウム、カルシウム、銅、クロム、ヨウ素、カリウム、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、亜鉛およびナトリウムなどの生物学的に活性な元素の送達のための因子として非常に有益に使用され得る。
【0020】
ミネラル結合澱粉生成物の調製において、ミネラルは、乾燥澱粉の総重量を基準として約0.1〜1,000%、より好ましくは約1〜800%、最も好ましくは約1〜100重量%のレベルで存在する。
【0021】
一実施形態において、最初の架橋反応は、最初に澱粉顆粒の水中分散物を形成するプロセスを含む。このプロセスにおいて上記顆粒の結晶相が膨潤する。顆粒を膨潤させながら架橋剤が分散物に加えられ、膨潤した顆粒が架橋される。膨潤した顆粒の完全な糊化を避ける条件下で架橋が行われる。澱粉の架橋が所望レベルに達した後、混合物を中和し、澱粉生成物を洗って未反応の塩を除去する。架橋生成物は天然(非修飾の)親澱粉に比べて高い糊化温度および低い糊化エントロピーを示す。
【0022】
一実施形態において、事前膨潤工程は、膨潤を促進する塩基(アルカリ金属ヒドロキシドなど)および澱粉の顆粒構造の完全破壊(すなわち糊化)につながり得る過度の膨潤を阻止する塩(アルカリ金属塩化物もしくはアルカリ土類金属塩化物、アルカリ金属硫酸塩もしくはアルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ金属炭酸塩もしくはアルカリ土類金属炭酸塩など)の存在下で行われる。事前膨潤中の澱粉分散物の温度は、澱粉糊化温度より概ね5〜10℃低い温度である。塩基の量を減らして高濃度(澱粉を基準にして20%より高い)の塩を使用するならば、より高温(例えば、70〜80℃)で澱粉を膨潤させることもできる。このヒドロキシドは、澱粉を基準として通常約1〜3重量%のレベルで存在する。他方、この塩は澱粉を基準として5〜25重量%のレベルで使用される。事前膨張分散物のpHは概ね約10〜12.3である。有用な事前膨潤/架橋条件およびパラメータは、米国特許第6,299,907号に示されている。米国特許第6,299,907号は、本明細書に明白に参考として援用される。
【0023】
架橋工程中、分散物はその中に約10〜40重量%の澱粉を含むべきである。架橋工程は概ね約30〜75℃の温度まで約0.1〜24時間、より一般的には約0.5〜12時間加熱することを含む。澱粉は、種々の架橋剤(例えば、三メタリン酸ナトリウム(STMP)、三ポリリン酸ナトリウム(STPP)、塩化ホスホリル、エピクロロヒドリンおよびこれらの混合物からなる群から選択されるもの)などを使用して化学的に架橋できる。架橋剤としてSTMPを使用する場合、所望の架橋度を達成するためには乾燥澱粉を基準として代表的には約2〜20重量%が必要である。架橋中に使用するSTMPが少なすぎる場合、澱粉は最終的に糊化する。これが起きると、膨潤は、架橋の十分な阻止によって相殺されていない。架橋反応の温度を上げることは膨潤の促進と架橋反応の促進との妥協であり、その結果、合理的反応時間内において十分に架橋する前に反応混合物のゲル化が起きないようにする。
【0024】
架橋した澱粉顆粒を必要に応じて過剰の水中で加熱し、顆粒の結晶相を融解することができる。湿潤澱粉または乾燥澱粉を用いて水性スラリー(10%w/w)を形成することができ、それを約5分間加熱する。加熱温度は非高アミロース澱粉では一般的に80℃より高く、高アミロース澱粉では110℃より高い。加熱は加熱ヒーター、ジェットクッカー、噴霧クッカー、または押出成形機によって行われ得る。熱処理した生成物をその後冷やし、遠心分離し、従来のオーブン、噴霧乾燥機またはフラッシュドライヤーで乾燥し得る。
【0025】
穀物、根茎、塊茎および豆からなる群から選択される澱粉を含むほとんどすべての未修飾澱粉は、本明細書に記載の方法によって修飾され得る。さらなる澱粉としては、コムギ、ワキシーコムギ、コーン、ワキシーコーン、高アミロースコーン、オートムギ、米、タピオカ、緑豆、サゴ、サツマイモ、ジャガイモ、オオムギ、ライコムギ、ソルガム、バナナおよびその他の植物性原料(ワキシー変種、部分的ワキシー変種、および高アミロース変種を含む)から選択されるものが挙げられる(「ワキシー」とは少なくとも95重量%のアミロペクチンを含むものとし、高アミロースとは少なくとも40重量%のアミロースを含むものとする)。化学的に、物理的にまたは遺伝的に改変された形態の澱粉類も使用され得る。改変技術としては以下が挙げられる:1)21CFR 172.892による化学物質および/または酵素による処理;2)澱粉のもどり(再結晶化)、熱処理、部分的糊化、アニーリングおよび焙焼(roasting)などの物理的変形;3)遺伝子または染色体工学を含む遺伝的改変(例えば、交雑育種、転座、逆位および形質転換など);ならびに4)上記のものの組み合わせなど含む。
【0026】
高レベルの架橋は、消化性が低下した難消化性澱粉(米国特許第5,855,946号)の形成につながる。それは消化後の結合ミネラルの遊離を実質的に制限する。ミネラルが消化後に効果的に遊離して生物学的な必要性に利用されるためには、ミネラル結合澱粉は約80%より多く、より一般的には約90%が消化されなければならない。澱粉の過度の架橋も、非混和性溶媒類の混合物に与えるミネラル結合澱粉生成物の安定化効果を制限する。適切な膨潤が存在しなければ、ミネラルの結合は、顆粒の表面のみで生じ得る。澱粉の顆粒状構造内にミネラルが均一に分布することが種々の用途における機能的特性および栄養的特性を改善するために重要であると思われる。
【0027】
架橋澱粉生成物は糊化およびミネラル結合の前に酸化されて、カルボキシル基を提示する負に荷電したスターチエート(starchate)アニオンを形成することもできる。酸化に起因する顆粒電荷密度の増加は、金属イオンに対する親和性、および他のポリマー(例えば、食品、化粧品および医薬品中にみられるタンパク質および炭水化物など)との表面相互作用をおこす。酸化された生成物および酸化された架橋澱粉生成物の調製法は、例えば共有に係る同時係属中の米国特許出願第10/843,494号に開示されている。適切な酸化剤は、過ヨウ素酸塩、クロム酸、過マンガン酸塩、二酸化窒素および次亜塩素酸ナトリウムからなる群から選択され得る。
【0028】
この酸化反応は一般的にはpH7〜12、より典型的には約10〜11で行われる。温度は約10〜50℃であるべきであり、通常約30〜45℃である。高アミラーゼ澱粉を使用する場合は温度は約30〜80℃の範囲内にあり得る。反応時間は所望の酸化程度によって変化するが、一般には約1〜24時間、より典型的には約1〜8時間の範囲にある。酸化は連続撹拌下で行われるのが普通である。反応終了時には反応混合物を酸でpH約5〜7、より典型的には約pH6に中和し得る。その後澱粉生成物を水で洗い、無機酸を除去し得る。
【0029】
本明細書に記載されるミネラル結合澱粉誘導体は、単一ミネラル、ミネラル混合物またはミネラルを含む残基との相互作用を受ける架橋されたおよび/または酸化された澱粉から製造され得る。本明細書で使用する場合、用語「ミネラル」は、化学元素(例えばFe0)および化合物(例えばFeCl3)のような無機物質をいい、化合物の個々の置換基、すなわちカチオンおよびアニオン(例えばFe3+およびCl−)もいう。同様に、用語鉄は、元素鉄(Fe0)、鉄カチオン(Fe2+、Fe3+)、および鉄含有化合物(例えばFeCl3)をいうことができる。ミネラルは澱粉顆粒の顆粒内および表面に物理的に捕捉されおよび/または化学的に結合する。本明細書において使用する場合、用語「結合した」および「結合する」は、反対記号の完全電荷または部分電荷を有する部分間の好都合な静電的相互作用を広義にいうものとする。例えば用語「結合した」および/または「結合する」は、ファンデルワールス相互作用、静電引力、イオン結合、水素結合、共有結合などをいうものとする。金属カチオンは、ホスフェートアニオンもしくはカルボキシレートアニオンに結合し得、そして/または非電離ミネラル(すなわち化合物)は、荷電した澱粉部分に静電的に引き付けられ得る。
【0030】
ミネラル結合の第一工程において、架橋および/または酸化された澱粉生成物を、周期表の1族〜16族の一価金属および多価金属からなる群から選択される適切なミネラルと反応させる。好ましい金属はアルミニウム、カルシウム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、ナトリウム、クロムおよび亜鉛である。また有用であるのは、Code of Federal Regulations(CFR)タイトル21、582部、Substances Generally Recognized As Safe(GRAS)およびCFRタイトル21、184部、Direct Food Substances Affirmed as Generally Recognized As Safeに列挙される2種類以上のミネラルの混合物である。好ましいミネラルは硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、ケイ酸カルシウムアルミニウム、酢酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、ヨウ化カルシウム、乳酸カルシウム、酸化カルシウム、パントテン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、グルコン酸銅、硫酸銅、ヨウ化銅、クエン酸アンモニウム第二鉄、塩化第二鉄、クエン酸第二鉄、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄、硫酸第二鉄、アスコルビン酸第一鉄、カルボン酸第一鉄、クエン酸第一鉄、フマル酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄、硫酸第一鉄、元素鉄、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、クエン酸マンガン、グルコン酸マンガン、硫酸マンガン、元素ニッケル、アルギン酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、水酸化カリウム、グルタミン酸カリウム、ヨウ化カリウム、乳酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カゼイン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ジ亜リン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、セスキカルボン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、ペクチン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛および硫酸亜鉛である。
【0031】
ミネラル結合澱粉生成物の調製において、ミネラルは乾燥澱粉の総重量を基準として約0.1〜1,000重量%のレベル、より好ましくは約1〜800重量%、最も好ましくは約1〜100重量%のレベルで存在する。ミネラル結合プロセスはpH約3〜11、一般的にはpH約5〜9で行われる(図19を参照)。糊化顆粒状架橋澱粉の場合、所望のミネラル結合温度は約10〜85℃であり、一般的には約25〜45℃である。ミネラル結合の反応時間は約0.1〜12時間、一般的には約0.5〜5時間である。架橋澱粉のミネラル結合反応は連続撹拌下で行われ得る。その後、澱粉生成物を水で洗い、乾かすことができる。ミネラル結合澱粉のクッキングは水熱加熱、スプレークッキング、フラッシュ乾燥、ドラム乾燥または押出クッキングによって達成され得る。
【0032】
糊化形態の顆粒状架橋澱粉生成物は室温で生物学的に活性なミネラルと容易に結合し、水および油との安定なエマルジョンを形成することは明らかである(図17を参照)。糊化していない顆粒状架橋澱粉の場合、安定なミネラル結合構造が周囲温度でも好都合に得られ得る。しかし糊化温度より高い温度で結合を行うと、水中の澱粉膨潤特性および油/水混合物のエマルジョン安定性は改善する(図15を参照)。これら澱粉類は、ミネラル結合澱粉、水および油から構成される安定なエマルジョン(少なくとも1ml/gの濃度)を形成することがわかった(図15〜図23を参照)。さらに、これらの澱粉類は室温で長い保存期間中、例えば少なくとも約15日間、通常少なくとも約30日間は上記特性を示す。
【0033】
(押出クッキング)
押出は、材料を、高圧、高剪断および高温で、一般的には閉鎖システムにおいて短時間処理するプロセスである。このシステムは一般的にはジャケット付きバレル中に一軸スクリューまたは二軸スクリューを含み、そこには熱が蒸気または電気加熱によってジャケット付きバレルを通って外部から供給される。スクリューは時計回りまたは時計と反対方向に回転し、スクリューに沿って前向きに供給される材料に剪断力および動作を与える。スクリューの末端に向かって、材料はダイアセンブリーに供給される。それはより大きい剪断力を与え、生成物を所望の形にし、その後それを雰囲気中に噴出する。押出成形機で内のクッキングプロセス中、材料では多くの物理化学的変化が起きる。材料がひとたび雰囲気中に噴出されると、生成物は種々のサイズにカットされ得、そして種々の押出後処理(例えば、着色、芳香付け、乾燥、エンロービング、蒸気処理などを受ける。押出は、種々さまざまの製品を製造するための食品産業、飼料産業、医薬品産業およびプラスチック産業において広く用いられる。澱粉の押出に関する多くの文献が入手可能である(例えば、Harper1981;Colonna et al.1989;Kokini et al.1992;Ganjyal 2004)。
【0034】
押出は封入プロセスまたは結合プロセスに使用されている。例えば、破壊澱粉送達系に基づく芳香付けした固形化粧品組成物(fragranced solid cosmetic compositions based on a destructurized starch delivery system)(WO2004089315)、押出成形された澱粉顆粒中に微小カプセル化された活性成分を用いた殺虫剤および作物収量増加製品(pesticides and crop−yield enhancement products using microencapsulated active ingredients in extruded starch granules)(US2003224031)、ラクトフェリンを含む押出し成形された供給物サプリメント(lactoferrin containing extruded feed supplements)(WO2004091888)、徐放調製物に関する方法としての澱粉押出(starch extrusion as a method
for slow−release preparations)(Hubert,2003)、および熱不安定性活性成分の封入(encapsulation of thermolabile active ingredients)(WO9934780)など。これらの大部分の場合において、澱粉は押出プロセス中に破壊されたかまたは糊化し、活性成分を封入するための新しい澱粉基質が形成された。
【0035】
本発明のプロセスでは、架橋された澱粉顆粒構造は保持され、顆粒は実施例でさらに詳細に述べるように押出システム中で種々のミネラルと結合する。澱粉は所望量のミネラル成分と共にバッチミキサー中で予めブレンドされ、プレコンディショナーに供給される。プレコンディショナー中で約5〜10重量%の少量の水を添加してさらに混合する。よく混合した材料はその後押出バレルに供給され、そこで混合物は高剪断、高圧熱処理を受け、その間に澱粉顆粒がある程度膨張する。澱粉顆粒が膨張するにつれて、ミネラルが空いた隙間に入り、澱粉分子と結合し、その結果、澱粉に所望のミネラルが含浸される。このプロセス中に、澱粉顆粒が開いて結合プロセスが進行するための適切な条件が作り出されねばならない。
【0036】
押出成形機への投入条件を種々変化させ得、その結果、結合プロセスにつながる条件を作り出す方法は種々ある。例えば、乾燥供給物および液体の供給速度、スクリューの長さおよび/または直径、構成要素の数および種類の配置によるスクリュープロフィール(例えば、種々のピッチを有するコンベヤスクリュー構成要素、カットフライトスクリュー構成要素、フォワードローブ、ニュートラルローブおよびリバースローブなど)、スクリュー速度、外部加熱/冷却によるバレルの温度およびダイ寸法などを変えることができる。
【0037】
種々の押出試験をWenger TX57TM押出成形機で行った。この押出成形機は一般的にはプレコンディショナー、同時回転二軸スクリューを有するバレル、ダイセットアップ、ナイフアセンブリーおよび押出された生成物を乾燥機に運ぶ運搬システムを含む。使用したスクリュープロフィールは生成物にはほとんど剪断をかけない運搬システムであった。このプロフィールは、フォワードローブおよび1つの最後の円錐スクリュー構成要素と結合した、完全ピッチおよび四分の三ピッチのコンベヤスクリュー構成要素からなっていた。このプロフィールにはカットフライトスクリュー構成要素は使用されていなかった。押出バレルでは全部で5つのゾーンが使用された。供給速度はこのシステムの最大能力の約60〜70%に設定された。低剪断スクリュープロフィール、長いバレル、および遅い供給速度が選択され、澱粉顆粒が膨張し、金属イオンがその顆粒内に入るために適切なクッキング時間およびスペースがこのシステムに提供された。
【0038】
図1〜14は以下の実施例に記載される多数の澱粉生成物およびミネラル結合澱粉生成物の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。これらの顕微鏡写真はミネラル結合前の澱粉生成物に比較したミネラル結合澱粉生成物の形態を図1および図2に示す。図15〜23は下記の実施例に記載するミネラル結合澱粉生成物のエマルジョン安定性試験を示す。
【0039】
以下の実施例は本明細書に記載する手段による特定の顆粒状ミネラル結合澱粉生成物、ならびにこのような生成物の調製法を示す。これらの実施例は説明のために提供されるに過ぎず、いずれもが、特許請求の範囲によって限定される本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきでないことは理解されるべきである。
【実施例】
【0040】
以下の実施例において、別途記載がない限り、成分比は乾燥澱粉に対する重量として表される。SRS−A、SRS−B、PSRS−BおよびSRS−Cは以下の手順によって作製された:
SRS−A:
コムギ澱粉(100部、乾燥基準)を、硫酸ナトリウム2部を含む水233部に分散させ、混合した。30分間混合した後、水酸化ナトリウム(1.5部)を加えた。反応混合物を45℃に加熱し、その温度で1時間連続的に混合した。効率的に架橋するために、三メタリン酸ナトリウム3.8部、ポリリン酸ナトリウム0.038部および硫酸ナトリウム3部を一緒に加えた。さらに20時間45℃で混合した後、スラリーを希1.0N塩酸でpH6.5に中和し、25℃に冷ました。水で洗浄することによって澱粉を単離し、噴霧乾燥した。
【0041】
SRS−B:
コムギ澱粉(100部、乾燥基準)を、硫酸ナトリウム3部を含む水400部に分散し、混合した。30分間混合した後、水酸化ナトリウム(1.8部)を加えた。反応混合物を45℃に加熱し、その温度で15時間連続的に混合した。反応混合物を35℃に冷まし、追加の水酸化ナトリウム(0.7部)を加えた。反応混合物を45℃に加熱し、その温度で5時間連続的に混合した。効率的に架橋するために、三メタリン酸ナトリウム5.0部およびポリリン酸ナトリウム0.0004部を一緒に加えた。45℃でさらに16時間混合した後、スラリーを希1.0N塩酸でpH6.5に中和し、25℃に冷ました。水洗浄によって澱粉を単離し、噴霧乾燥した。
【0042】
PSRS−B:
SRS−Bについて上に記載したように製造した事前膨潤/架橋澱粉を水100mlに分散し、95℃にて10分間加熱して結晶相を融解した。
【0043】
SRS−C:
SRS−Aについて上に記載したように製造した事前膨潤/架橋澱粉(300部、乾燥基準)を水700部に分散し、30分間混合した。分散物を45℃に温め、1M水酸化ナトリウムでpHを11.0に調整した。次亜塩素酸ナトリウム7.5%(乾燥澱粉を基準として)をスラリーに加え、45℃にて16時間連続的に撹拌した。スラリーを1.0N塩酸でpH6.0に調整し、その後室温(25℃)に冷ました。糊化していない澱粉を水で洗って無機塩を除去し、噴霧乾燥によって回収した。
【0044】
(実施例1)
可逆的膨潤性澱粉10部(50g、乾燥基準)を、炭酸カルシウム1部(5g)を含む水100部(100ml)に分散することによってミネラルを結合させた。分散物を85℃に温め、連続撹拌しながら1時間その温度に保持した。この澱粉スラリーを40℃のオーブンで乾燥した。澱粉生成物を過剰の水(100ml)と混合し、遠心分離し(3,000g、10分)、上澄液をデカントし、40℃で乾燥するというやり方で2回洗った。洗浄前および洗浄後の生成物をエマルジョン安定性試験で比較した。
【0045】
(試験)
5gのミネラル結合澱粉を、250mlビーカー(Corning Pyrexメスシリンダー#3025−100)中で室温(約25℃)で蒸留水と植物油(例えば、大豆油)との1:1混合物100mlに分散させ、その後85℃に加熱し、30分間連続的に撹拌した。その後、ミネラル結合澱粉/油/水混合物を100mlメスシリンダー(例えば、Corning Pyrexビーカー#3062−100)に移した。水/油/ミネラル結合澱粉の分散物は85℃でクリーム状の外観を呈する。分散物をその後24時間室温(約25℃)に静置した。3つのフラクションが形成された:水/ミネラル結合澱粉フラクション、水フラクションおよびミネラル結合澱粉/油フラクション(シリンダーの底から上に向かって記載した)。24時間後、シリンダー中の3フラクションの各々の膨潤容量を測定した。3フラクションの各々の膨潤容量比は、フラクションの膨潤容量(ミリリットル)を測定し、これを澱粉の乾燥重量(グラム)で割ることによって決定した。
【0046】
洗浄後のカルシウムの結合レベルをAOAC990.08法によって測定した。この方法は上記試料を一晩マッフル炉中で550℃で灰化することを必要とした。その残渣を塩酸溶液中で消化し、高周波誘導結合プラズマ(ICP)によって定量した。各ミネラル結合澱粉生成物において、カルシウムは上首尾に結合し、多量の水で洗った後、本質的に損失はなかった。エマルジョン安定性試験において、カルシウム結合SRS−AおよびSRS−Bは両方共すぐれた安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図15および図16はカルシウム結合SRS−Bおよびカルシウム結合SRS−Aそれぞれのエマルジョン安定性を示す。これらのエマルジョンは室温で約3週間の保存中、実質的に相分離は起きず安定であった。
【0047】
【表1】
(実施例2)
実施例1で用いたのと同じ比率の澱粉および炭酸カルシウム(10:1)を水中で混合し、クッキングした。クッキングした澱粉とカルシウムをオーブン中105℃で一晩乾燥した。冷却後、澱粉生成物を過剰の水(10ml)で2回洗い、未結合残渣を除去し、オーブン中で40℃で乾燥した。カルシウムの結合レベルをAOAC990.08法によって測定した。
【0048】
【表2】
(実施例3)
10部のPSRS−Bを水100部に分散し、炭酸カルシウム1部を加えた。室温で1時間混合後、生成物をオーブン中で40℃で乾燥した。乾燥した澱粉生成物を洗浄し、実施例1に記載の方法を用いて乾燥した。カルシウムは加熱せずにPSRS−Bと効率的に結合した。ミネラル結合澱粉生成物は、85℃で1時間加熱することによって製造したカルシウム結合SRS−Bおよびカルシウム結合SRS−Aに比較してすぐれたエマルジョン安定性を示した。図17はカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。カルシウム結合PSRS−Bによって形成されたエマルジョンは室温で3週間の保存期間中安定であった。
【0049】
【表3】
(実施例4)
実施例1の方法により、炭酸カルシウム1部を使用してカルシウムをPSRS−Bと結合させた。10部のPSRS−Bを水100部に分散し、炭酸カルシウムを加えた。炭酸カルシウムをそれぞれ2部、3部および4部含む混合物について同じ手順を行った。3部の炭酸カルシウムを用いて作製した試料および4部の炭酸カルシウムを用いて作製した試料について、分散および均質な混合を容易にするために2部の水を加えた。カルシウムは澱粉生成物に上首尾に結合し、多量の水で2回洗浄した後も結合したままであった。エマルジョン安定性試験において、生成物はカルシウム結合澱粉、水および油エマルジョンについすぐれたエマルジョン安定性を示した。図18は種々のレベルの炭酸カルシウムを用いて調製したカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。走査電子顕微鏡分析(SEM)は、澱粉顆粒の結合が炭酸カルシウム濃度の上昇につれて高まることを示した。図3〜図11は、種々の量の炭酸カルシウムを用いて調製したカルシウム結合SRS−BのSEMを500×から2000×までの倍率で示す。
【0050】
【表4】
(実施例5)
実施例1の方法により、種々のpHレベルでカルシウムをSRS−Bと結合させた。8.9部のSRS−Bを100部の水に分散し、炭酸カルシウム1部を加えた。分散物を85℃に温め、連続的に撹拌しながらその温度に1時間保持した。澱粉生成物を過剰の水(10ml)で2回洗い、未結合の残渣を除去し、40℃で乾燥した。エマルジョン安定性試験において、これら生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図19は種々のpHレベルで調製したカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0051】
【表5】
(実施例6)
実施例1の方法により、種々の混合時間を用いてカルシウム結合を行った。澱粉および炭酸カルシウム(8.9:1)を水中で反応させることによってミネラル結合澱粉生成物を調製した。反応混合物を85℃で種々の時間(1時間、3時間および5時間)クッキングした。85℃で1時間加熱する前に冷水でプレミキシング(4時間)する影響も試験した。ミネラル結合澱粉生成物を過剰の水(10ml)で2回洗って未結合残渣を除去し、40℃で乾燥した。エマルジョン安定性試験において、生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図20は種々の混合時間で調製されたカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョンの安定性を示す。
【0052】
【表6】
(実施例7)
種々のレベルの炭酸カルシウムを用いてカルシウム結合を行った。10部のSRS−Bを100部の水と混合し、炭酸カルシウム(20部、50部、80部)を加えた。分散および均質な混合を容易にするために、連続混合しながら20部、40部、80部および140部の追加の水を澱粉スラリーに加えた。85℃で1時間加熱後、ミネラル結合澱粉生成物を遠心分離(3,000g、10分間)によって単離し、多量の水で2回洗い、40℃で乾燥した。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図21は、種々のレベルの炭酸カルシウムを用いて調製したカルシウム結合PSRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0053】
【表7】
(実施例8)
実施例1の方法により、SRS−Cでカルシウム結合を行った。SRS−Cおよび炭酸カルシウム(8.9:1)を水中で反応させることによってミネラル結合澱粉生成物を調製した。反応混合物を85℃で1時間クッキングした。ミネラル結合澱粉生成物を過剰の水(10ml)で2回洗って未結合残渣を除去し、40℃で乾燥した。
【0054】
【表8】
(実施例9)
SRS−Aおよび炭酸カルシウムを用い、下表に示すパラメータを用いて押出プロセスによってカルシウム結合澱粉を調製した。10部のSRS−Aを1部の炭酸カルシウムと混合した。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。
【0055】
【表9】
(実施例10)
下表に示すパラメータを用いた押出プロセスによって、SRS−Bおよび種々のレベルの炭酸カルシウムを用いてカルシウム結合澱粉を調製した。10部のSRS−Bを炭酸カルシウムと混合した。走査電子顕微鏡分析は、炭酸カルシウムで押出によって調製されたミネラル結合SRS−Bを示した。図12および図13はそれぞれ10%炭酸カルシウムおよび20%炭酸カルシウムを用いた押出によって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEMを示す。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図22は炭酸カルシウムで押出によって作られたカルシウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0056】
【表10】
(実施例11)
下表に示すパラメータを用いた押出プロセスによって、SRS−Bおよび硫酸カルシウムを用いてカルシウム結合澱粉を調製した。10部のSRS−Bを1部の硫酸カルシウムと混合した。SEMは、硫酸カルシウムを用いた押出によって調製されたミネラル結合SRS−Bを示した。図14は10%硫酸カルシウムを用いた押出によって調製されたカルシウム結合SRS−BのSEMを示す。エマルジョン安定性試験において、押出されたミネラル結合澱粉生成物はすぐれたエマルジョン安定性を示し、カルシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。
【0057】
【表11】
(実施例12)
実施例1の方法により、アスコルビン酸第一鉄、クエン酸第二鉄または硫酸第二鉄を用いて鉄をSRS−Bに結合した。10部のSRS−Bを100部の水に分散し、鉄含有化合物1部を加えた。分散物を85℃に温め、連続的に撹拌しながら1時間その温度に保った。ミネラル結合澱粉生成物を過剰の水(10ml)で2回洗い、未結合残渣を除去し、40℃で乾燥した。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物は鉄結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は種々のミネラル結合SRS−B複合体のエマルジョン安定性を示す。
【0058】
【表12】
(実施例13)
実施例11の方法により硫酸銅またはグルコン酸銅を用いて銅をSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験においてミネラル結合澱粉生成物は銅結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、グルコン酸銅を用いて製造した銅結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0059】
【表13】
(実施例14)
実施例11の方法により、炭酸水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムまたはステアリン酸マグネシウムを用いてマグネシウムをSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合生成物はマグネシウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、塩化マグネシウムを用いて調製したマグネシウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0060】
【表14】
(実施例15)
実施例11の方法により硫酸マンガンを用いてマンガンをSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はマンガン結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、硫酸マンガンを用いて調製したマンガン結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0061】
【表15】
(実施例16)
実施例11の方法により、塩化亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、または硫酸亜鉛を用いて亜鉛をSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物は亜鉛結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、塩化亜鉛を用いて調製した亜鉛結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0062】
【表16】
(実施例17)
実施例11の方法により、酸化ニッケルを用いてニッケルをSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はニッケル結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、酸化ニッケルを用いて調製したニッケル結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0063】
【表17】
(実施例18)
実施例11の方法によってクエン酸ナトリウムを用いてナトリウムをSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はナトリウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、クエン酸ナトリウムを用いて調製したナトリウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0064】
【表18】
(実施例19)
実施例11の方法によってヨウ化カリウムを用いてカリウムをSRS−Bに結合させた。エマルジョン安定性試験において、ミネラル結合澱粉生成物はカリウム結合澱粉、水および油の安定なエマルジョンを形成した。図23は、ヨウ化カリウムを用いて調製したカリウム結合SRS−Bのエマルジョン安定性を示す。
【0065】
【表19】
上記要旨に記載され、特許請求の範囲によって規定される本発明から逸脱することなく上記の方法およびシステムを変更することができる。したがって上記の説明に含まれるかまたは添付の図面に示される事項は例示と解釈されるべきであって、制限と解釈されるべきではないことに注目すべきである。
【0066】
記載された全ての参考文献は参考として本明細書に援用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図23】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図16】
【図17】
【図19】
【図23】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−219774(P2011−219774A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−164823(P2011−164823)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【分割の表示】特願2008−515902(P2008−515902)の分割
【原出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(308032471)エムジーピー イングレディエンツ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164823(P2011−164823)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【分割の表示】特願2008−515902(P2008−515902)の分割
【原出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(308032471)エムジーピー イングレディエンツ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
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