説明

ムスカリン受容体の調節剤

本発明は、ムスカリン受容体の調節剤に関する。本発明はまた、そのような調節剤を含む組成物、およびそれを用いてムスカリン受容体仲介疾患を処置する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本特許出願は、両方とも2006年2月22日付け出願の米国仮特許出願番号60/775,501および60/775,524の利益を主張し、それは参照により本明細書中に包含させる。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、ムスカリン受容体の調節剤に関する。本発明はまた、そのような調節剤を含む組成物、およびそれを用いるムスカリン受容体仲介疾患の処置のための方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
神経伝達物質アセチルコリンは、2タイプのコリン受容体:ニコチン受容体のイオンチャネル型ファミリーおよびムスカリン受容体の代謝型ファミリーに結合する。ムスカリン受容体は、細胞膜結合Gタンパク質共役受容体(GPCR)の大きなスーパーファミリーに属する。今日まで、ムスカリン受容体の5個のサブタイプ(M−M)が様々な種からクローン化され、配列決定されており、種および受容体サブタイプを超えて顕著に高い相同性を示す。これらのM−Mムスカリン受容体は、中枢および末梢組織に興奮性および抑制性制御を及ぼし、心拍、覚醒、認知、感覚プロセシング、および運動制御を含む多くの生理的機能に関与する副交感神経系に優勢に発現される。
【0004】
ムスカリンおよびピロカルピンのようなムスカリンアゴニスト、ならびにアトロピンのようなアンタゴニストは、一世紀を超えて公知であるが、受容体サブタイプ選択的化合物の発見についてはほとんど進歩しておらず、故に、個々の受容体への特異的機能の割り当てが困難となっている。例えば、その開示内容を参照により本明細書に包含させる、DeLapp, N. et al., “Therapeutic Opportunities for Muscarinic Receptors in the Central Nervous System,” J. Med. Chem., 43(23), pp. 4333−4353 (2000); Hulme, E. C. et al., “Muscarinic Receptor Subtypes,” Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 30, pp. 633−673 (1990); Caulfield, M. P. et al., “Muscarinic Receptors −Characterization, Coupling, and Function,” Pharmacol. Ther., 58, pp. 319−379 (1993); Caulfield, M. P. et al., “International Union of Pharmacology. XVII. Classification of Muscarinic Acetylcholine Receptors,” Pharmacol. Rev., 50, pp. 279−290 (1998)を参照のこと。
【0005】
受容体のムスカリンファミリーは、COPD、喘息、尿失禁、緑内障、アルツハイマー(AchE阻害剤)のためのリーディング・ドラッグを含む、様々な疾患に使用される多数の薬剤の標的である。このファミリーの大きな治療的価値にもかかわらず、コリン作動性薬剤は、副交感自律系の顕著な活性化および有害事象の高い発生率と共にこれらの薬剤の選択性の欠如により、制限されている。ムスカリン受容体の分子クローニングおよびノックアウトマウスを使用した特定のアイソフォームの生理学的役割の同定が、最近、選択的ムスカリンリガンドの新しい可能性を提示し、効果の増強および副作用の減少に必要な選択性プロファイルの確立を促進している。
【0006】
ムスカリン受容体M−Mの調節剤が必要とされている。また、ムスカリン受容体仲介疾患の処置法が必要とされている。
【0007】
また、サブタイプM−Mに関して選択的なムスカリン受容体の調節剤が必要とされている。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明は、式I:
【化1】


[式中、R、R、Lおよびpは、下記に記載の通りである。]
で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩を用いてムスカリン受容体(例えば、M、M、M、M、M、またはそれらの組合せ)の活性を調節する方法を提供する。
【0009】
発明の詳細な説明
I.定義
本発明の目的に関して、化学元素は元素周期表、CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Edに従って同定する。さらに、有機化学の一般的原理は、“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999および“March's Advanced Organic Chemistry”, 5th Ed., Ed.: Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York: 2001に記載されており、それらの全内容を参照により本明細書に包含させる。
【0010】
受容体サブタイプを特定する接頭辞がない用語“ムスカリン受容体”は、5種の受容体サブタイプM−Mの1種以上を意味する。
【0011】
本明細書で用いる用語“調節”は、例えば活性の、測定可能な量までの増加または減少を意味する。ムスカリン受容体の活性を増加させることによりムスカリン活性を調節する化合物はアゴニストと呼ばれる。ムスカリン受容体の活性を減少させることによりムスカリン活性を調節する化合物は、アンタゴニストと呼ばれる。アゴニストは、ムスカリン受容体と相互作用して、該受容体が内因性リガンド結合に応答して細胞内シグナルを伝達する能力を増加させる。アンタゴニストは、ムスカリン受容体と相互作用し、該受容体上の結合部位(複数可)について内因性リガンド(複数可)または基質(複数可)と競合して、該受容体が内因性リガンド結合に応答して細胞内シグナルを伝達する能力を低下させる。
【0012】
“ムスカリン受容体仲介疾患を処置するかまたは重症度を低下させる”という記載は、ムスカリン活性により直接的に引き起こされる疾患を処置すること、およびムスカリン活性により直接的にではなく引き起こされる疾患の症状を軽減することの両方を意味する。症状がムスカリン活性により影響され得る疾患の例は、認知障害、注意欠損過活動障害(ADHD)、肥満、アルツハイマー病、血管性認知症のような種々の認知症、統合失調症、躁病、双極性障害を含む精神病、急性および慢性症候群を含む疼痛状態、ハンチントン舞踏病、フリードライヒ失調症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、ダウン症候群、ピック病、臨床的鬱病、パーキンソン病を含むCNS由来病状、緑内障における眼内圧の低下のような末梢障害およびシェーグレン症候群を含むドライアイおよびドライマウスの治療、徐脈、胃酸分泌、喘息、GI不調、および創傷治癒を含むが、これらに限定されない。
【0013】
本明細書で記載の通り、本発明の化合物は、一般的に上記の説明または例示のように、本発明の特定のクラス、サブクラスおよび化学種により、所望により1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0014】
本明細書で用いる用語“脂肪族”は、用語アルキル、アルケニル、アルキニルを含み、それらはそれぞれ、下記の通り所望により置換されていてよい。
【0015】
本明細書で用いる“アルキル”基は、1−8個(例えば、1−6個または1−4個)の炭素原子を含む飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は直鎖でも分枝鎖でもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、または2−エチルヘキシルを含むが、これらに限定されない。アルキル基は、ハロ、シクロ脂肪族[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロシクロ脂肪族[例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル、(シクロ脂肪族)カルボニルまたは(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ、シクロ脂肪族アミノ、またはヘテロシクロ脂肪族アミノ]、スルホニル[例えば、脂肪族−S(O)−]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、シクロ脂肪族オキシ、ヘテロシクロ脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、または、ヒドロキシのような1個以上の置換基で置換されていてよい(すなわち、所望により置換されていてよい。)。置換アルキルのいくつかの例は、カルボキシアルキル(例えば、HOOC−アルキル、アルコキシカルボニルアルキル、およびアルキルカルボニルオキシアルキル)、シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルアルキル、アラルキル、(アルコキシアリール)アルキル、(スルホニルアミノ)アルキル(例えば、(アルキル−S(O)−アミノ)アルキル)、アミノアルキル、アミドアルキル、(シクロ脂肪族)アルキル、または、ハロアルキルを含むが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で用いる“アルケニル”基は、2−8個(例えば、2−6個または2−4個)の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を含む脂肪族炭素基を意味する。アルキル基同様、アルケニル基は直鎖でも分枝鎖でもよい。アルケニル基の例は、アリル、イソプレニル、2−ブテニル、および2−ヘキセニルを含むが、これらに限定されない。アルケニル基は、所望によりハロ、シクロ脂肪族[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロシクロ脂肪族[例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル、(シクロ脂肪族)カルボニル、または(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ、シクロ脂肪族アミノ、ヘテロシクロ脂肪族アミノ、または脂肪族スルホニルアミノ]、スルホニル[例えば、アルキル−SO−、シクロ脂肪族−SO−、またはアリール−SO−]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、シクロ脂肪族オキシ、ヘテロシクロ脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシのような1個以上の置換基で置換されていてよい。置換アルケニルのいくつかの例は、シアノアルケニル、アルコキシアルケニル、アシルアルケニル、ヒドロキシアルケニル、アラルケニル、(アルコキシアリール)アルケニル、(スルホニルアミノ)アルケニル(例えば、(アルキル−SO−アミノ)アルケニル)、アミノアルケニル、アミドアルケニル、(シクロ脂肪族)アルケニル、またはハロアルケニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で用いる“アルキニル”基は、2−8個(例えば、2−6個または2−4個)の炭素原子および少なくとも1個の三重結合を含む脂肪族炭素基を意味する。アルキニル基は直鎖でも分枝鎖でもよい。アルキニル基の例は、プロパルギルおよびブチニルを含むが、これに限定されない。アルキニル基は、所望によりアロイル、ヘテロアロイル、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、スルファニル[例えば、脂肪族スルファニルまたはシクロ脂肪族スルファニル]、スルフィニル[例えば、脂肪族スルフィニルまたはシクロ脂肪族スルフィニル]、スルホニル[例えば、脂肪族−SO−、脂肪族アミノ−SO−、またはシクロ脂肪族−SO−]、アミド[例えば、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノまたはヘテロアリールアミノカルボニル]、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アシル[例えば、(シクロ脂肪族)カルボニルまたは(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ]、スルホキシ、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、(シクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、または(ヘテロアリール)アルコキシのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0018】
本明細書で用いる“アミド”は、“アミノカルボニル”および“カルボニルアミノ”の両方を包含する。単独でまたは他の基と関連して用いるとき、これらの用語は、末端に用いるとき−N(R)−C(O)−Rまたは−C(O)−N(R、ならびに内部に用いるとき−C(O)−N(R)−または−N(R)−C(O)−{ここで、RおよびRは、下記に定義の通りである。}のようなアミド基を意味する。アミド基の例は、アルキルアミド(例えば、アルキルカルボニルアミノまたはアルキルアミノカルボニル)、(ヘテロシクロ脂肪族)アミド、(ヘテロアラルキル)アミド、(ヘテロアリール)アミド、(ヘテロシクロアルキル)アルキルアミド、アリールアミド、アラルキルアミド、(シクロアルキル)アルキルアミド、またはシクロアルキルアミドを含む。
【0019】
本明細書で用いる“アミノ”基は、−NR(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して水素、アルキル、シクロ脂肪族、(シクロ脂肪族)脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、(ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(シクロ脂肪族)カルボニル、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルであり、各々が本明細書で定義の通りであり、そして所望により置換されていてよい。)を意味する。アミノ基の例は、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアリールアミノを含む。用語“アミノ”が末端基ではないとき(例えば、アルキルカルボニルアミノ)、それは−NR−(ここで、Rは、上記の定義と同じ意味を有する。)により表される。
【0020】
本明細書で用いる、単独でまたは“アラルキル”、“アラルコキシ”もしくは“アリールオキシアルキル”のような大きな部分の一部として使用される“アリール”基は、単環式(例えば、フェニル);二環式(例えば、インデニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロインデニル);および、三環式(例えば、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、またはテトラヒドロアントラセニル、アントラセニル)環系{ここで、単環式環系が芳香族性であるか、または二環式または三環式環系の少なくとも1個の環が芳香族性である。}を意味する。該二環式および三環式基は、ベンゾ縮合2−3員の炭素環式環を含むが、これに限定されない。例えば、ベンゾ縮合基は、2個以上のC4−8炭素環式部分と縮合したフェニルを含む。アリールは、所望により脂肪族[例えば、アルキル、アルケニルまたはアルキニル];シクロ脂肪族;(シクロ脂肪族)脂肪族;ヘテロシクロ脂肪族;(ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(シクロ脂肪族)オキシ;(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(芳香脂肪族)オキシ;(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;オキソ(ベンゾ縮合二環式または三環式アリールの非芳香族性炭素環式環上の);ニトロ;カルボキシ;アミド;アシル[例えば、脂肪族カルボニル、(シクロ脂肪族)カルボニル、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル];スルホニル[例えば、脂肪族−SO−またはアミノ−SO−];スルフィニル[例えば、脂肪族−S(O)−またはシクロ脂肪族−S(O)−];スルファニル[例えば、脂肪族−S−];シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;または、カルバモイルを含む1個以上の置換基で置換されていてよい。あるいは、アリールは、非置換でもよい。
【0021】
置換アリールの限定しない例は、ハロアリール[例えば、モノ−、ジ(例えば、p,m−ジハロアリール)、および(トリハロ)アリール];(カルボキシ)アリール[例えば、(アルコキシカルボニル)アリール、((アラルキル)カルボニルオキシ)アリール、および(アルコキシカルボニル)アリール];(アミド)アリール[例えば、(アミノカルボニル)アリール、(((アルキルアミノ)アルキル)アミノカルボニル)アリール、(アルキルカルボニル)アミノアリール、(アリールアミノカルボニル)アリール、および(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)アリール];アミノアリール[例えば、((アルキルスルホニル)アミノ)アリールまたは((ジアルキル)アミノ)アリール];(シアノアルキル)アリール;(アルコキシ)アリール;(スルファモイル)アリール[例えば、(アミノスルホニル)アリール];(アルキルスルホニル)アリール;(シアノ)アリール;(ヒドロキシアルキル)アリール;((アルコキシ)アルキル)アリール;(ヒドロキシ)アリール、((カルボキシ)アルキル)アリール;(((ジアルキル)アミノ)アルキル)アリール;(ニトロアルキル)アリール;(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)アリール;((ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル)アリール;((アルキルスルホニル)アルキル)アリール;(シアノアルキル)アリール;(ヒドロキシアルキル)アリール;(アルキルカルボニル)アリール;アルキルアリール;(トリハロアルキル)アリール;p−アミノ−m−アルコキシカルボニルアリール;p−アミノ−m−シアノアリール;p−ハロ−m−アミノアリール;または、(m−(ヘテロシクロ脂肪族)−o−(アルキル))アリールを含む。
【0022】
本明細書で用いる“アラルキル”基のような“芳香脂肪族”基は、アリール基で置換されている脂肪族基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。“脂肪族”、“アルキル”および“アリール”は、本明細書中に定義されている。アラルキル基のような芳香脂肪族の例はベンジルである。
【0023】
本明細書で用いる“アラルキル”基は、アリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。“アルキル”および“アリール”の両方とも上記で定義されている。アラルキル基の例はベンジルである。アラルキルは、所望により脂肪族[例えば、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルまたはトリフルオロメチルのようなハロアルキルを含むアルキル、アルケニルまたはアルキニル]、シクロ脂肪族[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミド[例えば、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノまたはヘテロアラルキルカルボニルアミノ]、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、または、カルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0024】
本明細書で用いる“二環式環系”は、2環を形成する8−12(例えば、9、10または11)員構造を含み、ここで、該2環は、少なくとも1個の原子を共通して含む(例えば、2個の原子が共通)。二環式環構造は、ビシクロ脂肪族(例えば、ビシクロアルキルまたはビシクロアルケニル)、ビシクロヘテロ脂肪族、二環式アリール、および二環式ヘテロアリールを含む。
【0025】
本明細書で用いる“シクロ脂肪族”基は、“シクロアルキル”基および“シクロアルケニル”基(それぞれ、下記の通りに所望により置換されていてよい。)を含む。
【0026】
本明細書で用いる“シクロアルキル”基は、3−10(例えば、5−10)炭素原子の飽和炭素環式単環式、または二環式(縮合または架橋)環を意味する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボロニル(norbornanyl)、クビル、オクタヒドロ−インデニル、デカヒドロ−ナフチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2.]デシル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、アザシクロアルキル、または((アミノカルボニル)シクロアルキル)シクロアルキルを含む。
【0027】
本明細書で用いる“シクロアルケニル”基は、1個以上の二重結合を有する3−10個(例えば、4−8個)の炭素原子の、非芳香族性炭素環式環を意味する。シクロアルケニル基の例は、シクロペンテニル、1,4−シクロヘキサ−ジ−エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ−インデニル、オクタヒドロ−ナフチル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニルまたはビシクロ[3.3.1]ノネニルを含む。シクロアルキルまたはシクロアルケニル基は、所望により脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル]、シクロ脂肪族、(シクロ脂肪族)脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、(ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(シクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(芳香脂肪族)オキシ、(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド[例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(シクロ脂肪族)カルボニルアミノ、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニルアミノ、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ]、ニトロ、カルボキシ[例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ]、アシル[例えば、(シクロ脂肪族)カルボニル、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル]、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル[例えば、アルキル−SO−およびアリール−SO−]、スルフィニル[例えば、アルキル−S(O)−]、スルファニル[例えば、アルキル−S−]、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0028】
本明細書で用いる用語“ヘテロシクロ脂肪族”は、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロシクロアルケニル基(それぞれ、下記の通りに所望により置換されていてよい。)を含む。
【0029】
本明細書で用いる“ヘテロシクロアルキル”基は、1個以上の環原子がヘテロ原子(例えば、N、O、S、またはそれらの組合せ)である、3−10員の単環式または二環式(縮合または架橋)(例えば、5員ないし10員の単環式または二環式)飽和環構造を意味する。ヘテロシクロアルキル基の例は、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、1,4−ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、1,3−ジオキソラニル、オキサゾリジル、イソキサゾリジル、モルホリニル、チオモルホリル、オクタヒドロベンゾフリル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロチオクロメニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロピリンジニル(octahydropyrindinyl)、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロベンゾ[b]チオフェニル(thiopheneyl)、2−オキサ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルを含む。単環式ヘテロシクロアルキル基は、フェニル部分と縮合してテトラヒドロイソキノリンのようなヘテロアリールを形成していてよい。
【0030】
本明細書で用いる“ヘテロシクロアルケニル”基は、1個以上の二重結合を有し、そして1個以上の環原子がヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)である、単環式または二環式(例えば、5員ないし10の員単環式または二環式)非芳香環構造を意味する。単環式およびビシクロヘテロ脂肪族は、標準化学命名法に従い命名される。
【0031】
ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル基は、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル]、シクロ脂肪族、(シクロ脂肪族)脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、(ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(シクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(芳香脂肪族)オキシ、(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド[例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(シクロ脂肪族)カルボニルアミノ、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニルアミノ、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ]、ニトロ、カルボキシ[例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ]、アシル[例えば、(シクロ脂肪族)カルボニル、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル[例えば、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニル]、スルフィニル[例えば、アルキルスルフィニル]、スルファニル[例えば、アルキルスルファニル]、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0032】
本明細書で用いる“ヘテロアリール”基は、4ないし15個の環原子を有し、1個以上の環原子がヘテロ原子(例えば、N、O、S、またはそれらの組合せ)であり、そして単環式環系が芳香族性であるか、または二環式もしくは三環式環系の少なくとも1個の環が芳香族性である、単環式、二環式、または三環式環系を意味する。ヘテロアリール基は、2〜3環を有するベンゾ縮合環系を含む。例えば、ベンゾ縮合基は、1個または2個の4員ないし8員のヘテロシクロ脂肪族部分と縮合したベンゾ(例えば、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、またはイソキノリニル)を含む。ヘテロアリールのいくつかの例は、アゼチジニル、ピリジル、1H−インダゾリル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフリル、イソキノリニル、ベンズチアゾリル、キサンテン、チオキサンテン、フェノチアジン、ジヒドロインドール、ベンゾ[1,3]ジオキソール、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリル、シンノリニル、キノリニル、シンノリニル、フタラジル、キナゾリニル、キノキサリニル、イソキノリニル、4H−キノリジル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリル、または1,8−ナフチリジルである。
【0033】
限定しないが、単環式ヘテロアリールは、フリル、チオフェニル、2H−ピロリル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、2H−ピラニル、4−H−ピラニル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラゾリル、ピラジル、または1,3,5−トリアジルを含む。単環式ヘテロアリールは、標準化学命名法に従い命名される。
【0034】
限定しないが、二環式ヘテロアリールは、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリジル、イソインドリル、インドリル、ベンゾ[b]フリル、ベクソ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダジル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジル、キナゾリル(quinazolyl)、キノキサリニル、1,8−ナフチリジル、またはプテリジルを含む。二環式ヘテロアリールは、標準化学命名法に従い命名される。
【0035】
ヘテロアリールは、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル];シクロ脂肪族;(シクロ脂肪族)脂肪族;ヘテロシクロ脂肪族;(ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(シクロ脂肪族)オキシ;(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(芳香脂肪族)オキシ;(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;オキソ(二環式または三環式ヘテロアリールの非芳香族性炭素環式またはヘテロ環式環上の);カルボキシ;アミド;アシル[例えば、脂肪族カルボニル;(シクロ脂肪族)カルボニル;((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル;(芳香脂肪族)カルボニル;(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル;((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル;または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル];スルホニル[例えば、脂肪族スルホニルまたはアミノスルホニル];スルフィニル[例えば、脂肪族スルフィニル];スルファニル[例えば、脂肪族スルファニル];ニトロ;シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。あるいは、ヘテロアリールは非置換でもよい。
【0036】
置換ヘテロアリールの限定しない例は、(ハロ)ヘテロアリール[例えば、モノ−およびジ−(ハロ)ヘテロアリール];(カルボキシ)ヘテロアリール[例えば、(アルコキシカルボニル)ヘテロアリール];シアノヘテロアリール;アミノヘテロアリール[例えば、((アルキルスルホニル)アミノ)ヘテロアリールおよび((ジアルキル)アミノ)ヘテロアリール];(アミド)ヘテロアリール[例えば、アミノカルボニルヘテロアリール、((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール、((((アルキル)アミノ)アルキル)アミノカルボニル)ヘテロアリール、(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)ヘテロアリール、((ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル)ヘテロアリール、および((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール];(シアノアルキル)ヘテロアリール;(アルコキシ)ヘテロアリール;(スルファモイル)ヘテロアリール[例えば、(アミノスルホニル)ヘテロアリール];(スルホニル)ヘテロアリール[例えば、(アルキルスルホニル)ヘテロアリール];(ヒドロキシアルキル)ヘテロアリール;(アルコキシアルキル)ヘテロアリール;(ヒドロキシ)ヘテロアリール;((カルボキシ)アルキル)ヘテロアリール;(((ジアルキル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール;(ヘテロシクロ脂肪族)ヘテロアリール;(シクロ脂肪族)ヘテロアリール;(ニトロアルキル)ヘテロアリール;(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール;((アルキルスルホニル)アルキル)ヘテロアリール;(シアノアルキル)ヘテロアリール;(アシル)ヘテロアリール[例えば、(アルキルカルボニル)ヘテロアリール];(アルキル)ヘテロアリール、および(ハロアルキル)ヘテロアリール[例えば、トリハロアルキルヘテロアリール]を含む。
【0037】
本明細書で用いる“ヘテロ芳香脂肪族”基(例えば、ヘテロアラルキル基)は、ヘテロアリール基で置換されている脂肪族基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。“脂肪族”、“アルキル”および“ヘテロアリール”は、上記で定義されている。
【0038】
本明細書で用いる“ヘテロアラルキル”基は、ヘテロアリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。“アルキル”および“ヘテロアリール”の両方とも上記で定義されている。ヘテロアラルキルは、所望によりアルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルのようなハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0039】
本明細書で用いる“アシル”基は、ホルミル基またはR−C(O)−(例えば、−アルキル−C(O)−、“アルキルカルボニル”とも称する)を意味し、ここで、Rおよび“アルキル”は、上記に定義の通りである。アセチルおよびピバロイルは、アシル基の例である。
【0040】
本明細書で用いる“アロイル”または“ヘテロアロイル”は、アリール−C(O)−またはヘテロアリール−C(O)−を意味する。アロイルまたはヘテロアロイルのアリールおよびヘテロアリール部分は、上記の通り所望により置換されていてよい。
【0041】
本明細書で用いる“アルコキシ”基は、アルキル−O−基(“アルキル”は上記で定義の通りである。)を意味する。
【0042】
本明細書で用いる“カルバモイル”基は、構造−O−CO−NRまたは−NR−CO−O−R(式中、RおよびRは上記で定義の通りであり、そしてRは脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、ヘテロアリール、またはヘテロ芳香脂肪族であり得る。)を有する基を意味する。
【0043】
本明細書で用いる“カルボキシ”基は、末端基として用いるとき、−C(O)OH、−C(O)OR、−OC(O)H、−OC(O)Rを意味し;内部基として用いるとき、−OC(O)−または−C(O)O−を意味する。
【0044】
本明細書で用いる“ハロ脂肪族“基は、1−3個のハロゲンで置換された脂肪族基を意味する。例えば、用語ハロアルキルは基−CFを含む。
【0045】
本明細書で用いる“メルカプト”基は、−SHを意味する。
【0046】
本明細書で用いる“スルホ”基は、末端に用いるとき−SOHまたは−SOを意味し、内部に用いるとき−S(O)−を意味する。
【0047】
本明細書で用いる“スルファミド”基は、末端に用いるとき構造−NR−S(O)−NRを意味し、内部に用いるとき−NR−S(O)−NR−を意味する(式中、R、RおよびRは、上記で定義の意味を有する。)。
【0048】
本明細書で用いる“スルファモイル”基は、末端に用いるとき構造−S(O)−NRまたは−NR−S(O)−Rを意味し;内部に用いるとき−S(O)−NR−もしくは−NR−S(O)−を意味する(式中、R、R、およびRは、上記で定義されている。)。
【0049】
本明細書で用いる“スルファニル”基は、末端に用いるとき−S−Rを意味し、内部に用いるとき−S−を意味する(式中、Rは上記で定義されている。)。スルファニルの例は、脂肪族−S−、シクロ脂肪族−S−、アリール−S−などを含む。
【0050】
本明細書で用いる“スルフィニル”基は、末端に用いるとき−S(O)−Rを意味し、内部に用いるとき−S(O)−を意味する(式中、Rは上記で定義されている。)。スルフィニル基の例は、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(シクロ脂肪族(脂肪族))−S(O)−、シクロアルキル−S(O)−、ヘテロシクロ脂肪族−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−などを含む。
【0051】
本明細書で用いる“スルホニル”基は、末端に用いるとき−S(O)−Rを意味し、内部に用いるとき−S(O)−を意味する(式中、Rは上記で定義されている。)。スルホニル基の例は、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(シクロ脂肪族(脂肪族))−S(O)−、シクロ脂肪族−S(O)−、ヘテロシクロ脂肪族−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−、(シクロ脂肪族(アミド(脂肪族)))−S(O)−などを含む。
【0052】
本明細書で用いる“スルホキシ”基は、末端で用いるとき−O−SO−Rまたは−SO−O−Rを意味し、内部に用いるとき−O−S(O)−または−S(O)−O−を意味する(式中、Rは上記で定義されている。)。
【0053】
本明細書で用いる“ハロゲン”または“ハロ”基は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0054】
本明細書で用いる、単独でまたは他の基と関連して用いられる、用語カルボキシを包含する“アルコキシカルボニル”は、アルキル−O−C(O)−のような基を意味する。
【0055】
本明細書で用いる“アルコキシアルキル”は、アルキル−O−アルキル−(ここで、アルキルは、上記で定義されている。)のようなアルキル基を意味する。
【0056】
本明細書で用いる“カルボニル”は−C(O)−を意味する。
【0057】
本明細書で用いる“オキソ”は=Oを意味する。
【0058】
本明細書で用いる“アミノアルキル”は構造(RN−アルキル−を意味する。
【0059】
本明細書で用いる“シアノアルキル”は構造(NC)−アルキル−を意味する。
【0060】
本明細書で用いる“ウレア”基は、構造−NR−CO−NRを意味し、“チオウレア”基は、末端に用いるとき構造−NR−C(S)−NRを意味し、内部に用いるとき構造−NR−CO−NR−または−NR−CS−NR−を意味し、ここでR、R、およびRは、上記で定義されている。
【0061】
本明細書で用いる“グアニジン”基は、構造−N=C(N(R))N(R){ここで、RおよびRは、上記で定義されている。}を意味する。
【0062】
本明細書で用いる用語“アミジノ”基は、構造−C=(NR)N(R){ここで、RおよびRは、上記で定義されている。}を意味する。
【0063】
一般に、用語“ビシナル”は、複数の置換基が隣接炭素原子に結合している、2個以上の炭素原子を含む基上の置換基の配置を意味する。
【0064】
一般に、用語“ジェミナル”は、複数の置換基が同じ炭素原子に結合している、2個以上の炭素原子を含む基上の置換基の配置を意味する。
【0065】
用語“末端に”および“内部に”は、置換基内の基の位置を意味する。基は、該基が、他の化学構造にさらに結合しない置換基の末端に存在するとき末端である。カルボキシアルキル、すなわちRO(O)C−アルキルは、末端で用いるカルボキシ基の例である。基は、該基が、他の化学構造に結合する置換基の末端で置換基の中間に存在するとき内部である。アルキルカルボキシ(例えば、アルキル−C(O)O−またはアルキル−OC(O)−)およびアルキルカルボキシアリール(例えば、アルキル−C(O)O−アリール−またはアルキル−O(CO)−アリール−)は、内部で用いるカルボキシ基の例である。
【0066】
本明細書で用いる用語“アミジノ”基は、構造−C=(NR)N(R){ここで、RおよびRは、上記で定義されている。}を意味する。
【0067】
本明細書で用いる“環状基”または“環状部分”は、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、またはヘテロアリール(それらはそれぞれ、上記で定義されている。)を含む、単環式、二環式および三環式環系を含む。
【0068】
本明細書で用いる“架橋二環式環系”は、二環式ヘテロ環式脂肪族系または二環式シクロ脂肪族環系を意味し、該環系は、架橋されている。架橋二環式環系の例は、アダマンタニル、ノルボロニル(norbornanyl)、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.2.3]ノニル、2−オキサ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルを含むが、これらに限定されない。架橋二環式環系は、所望によりアルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびのトリフルオロメチルようなハロアルキル)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0069】
本明細書で用いる“脂肪族鎖”は、分枝鎖または直鎖脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基)を意味する。直鎖脂肪族鎖は、構造−[CH]−(ここで、vは1−6である。)を有する。分枝鎖脂肪族鎖は、1個以上の脂肪族基で置換されている直鎖脂肪族鎖である。分枝鎖脂肪族鎖は、構造−[CHQ]−(ここで、Qは水素または脂肪族基である;しかしながら、少なくとも1個のQは脂肪族基でなければならない。)を有する。用語脂肪族鎖は、アルキル鎖、アルケニル鎖、およびアルキニル鎖を含み、ここでアルキル、アルケニル、およびアルキニルは上記で定義されている。
【0070】
“所望により置換されていてよい”という記載は、“置換または非置換”という記載と互換的に用いられる。本明細書に記載の通り、本発明の化合物は、一般的に上記の説明または例示のように、本発明の特定のクラス、サブクラスおよび化学種により、所望により1個以上の置換基で置換されていてよい。本明細書に記載の通り、本明細書中に包含される可変基R、R、Lおよび他の可変基は、アルキルおよびアリールのような特定の基を含む。他に特記されない限り、そこに包含される可変基R、R、R、Rおよび他の可変基についての特定の基はそれぞれ、所望により本明細書に記載の1個以上の置換基で置換されていてよい。特定の基の置換基はそれぞれ、所望によりさらに1ないし3個のハロ、シアノ、オキソアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、ハロアルキル、およびアルキルで置換されていてよい。例えば、アルキル基は、アルキルスルファニルで置換されていてよく、該アルキルスルファニルは、所望により1ないし3個のハロ、シアノ、オキソアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、ハロアルキル、およびアルキルで置換されていてよい。さらなる例として、(シクロアルキル)カルボニルアミノのシクロアルキル部分は、所望により1ないし3個のハロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロアルキルおよびアルキルで置換されていてよい。2個のアルコキシ基が同じ原子または隣接原子に結合するとき、2個のアルコキシ基は、それらが結合する原子(複数可)と一体と成って環を形成し得る。
【0071】
一般に、用語“置換”は、用語“所望により”が前にあってもなくても、ある構造の水素ラジカルの、特定の置換基のラジカルでの置換を意味する。特定の置換基は、定義において前記であるか、または化合物の記載およびその実施例において後記である。他に特記しない限り、所望により置換されていてよい基は、該基の各置換可能な位置に置換基を有してよく、そして、ある構造において2個以上の位置を、特定の基から選択された2個以上の置換基で置換されていてよく、該置換基は、全ての位置で同一であっても異なっていてもよい。ヘテロシクロアルキルのような環置換基は、シクロアルキルのような他の環と結合して、スピロ二環式環系を形成でき、例えば、両方の環が共通原子を共有する。当業者には認識される通り、本発明により計画される置換基の組合せは、安定なまたは化学的に実行可能な化合物の形成をもたらす組合せである。
【0072】
本明細書で用いる“安定なまたは化学的に実行可能な”という記載は、それらの製造、検出、および好ましくはそれらの回収、精製、および本明細書に開示の目的の1つ以上のための使用を慣用にする条件に付されたときに、実質的に変わらない化合物を意味する。ある態様において、安定な化合物または化学的に実行可能な化合物は、40℃以下の温度で、湿気または他の化学的に反応性の条件の非存在下に維持したとき、少なくとも1週間実質的に変わらないものである。
【0073】
本明細書で用いる“有効量”は、処置する患者に対して治療的効果を与えるのに必要な量として定義され、典型的に患者の年齢、体表面積、体重、および状態に基づき決定する。動物およびヒトの投与量の相互関係(体表面積の平方メートルあたりのミリグラムに基づく)は、Freireich et al., Cancer Chemother. Rep., 50:219(1966)に記載されている。体表面積は、患者の身長および体重からおおよそ決定できる。例えば、Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals, Ardsley, New York, 537(1970)を参照のこと。本明細書で用いる“患者”は、ヒトを含む哺乳動物を意味する。
【0074】
他に特記しない限り、本明細書に記載の構造は、該構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座))形態;例えば、各不斉中心に対するRおよびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体を含むことも意図する。故に、本化合物の1個の立体化学的異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座)混合物は、本発明の範囲内である。他に特記しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性体形態は本発明の範囲内である。加えて、他に特記しない限り、本明細書に記載の構造はまた、1個以上の同位体富化原子の存在によってのみ異なる化合物を含むことも意図する。例えば、水素の重水素またはトリチウムによる置換、または炭素の13Cまたは14C富化炭素による置換以外の本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。かかる化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0075】
II.化合物
A.一般的化合物
本発明は、式Iの化合物、および式Iの化合物を用いてムスカリン受容体活性を調節する方法を提供する。
【0076】
本発明の1つの局面は、式I:
【化2】


で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0077】
は、所望により置換されていてよい脂肪族または−NRR’である。RおよびR’は、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族である。あるいは、RおよびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成する。
【0078】
Lは、−(CH−〔式中、nは0−2である。〕である。
【0079】
は、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族(各々が所望により1−3個のRで置換されていてよい。)である。各Rは、−Z〔式中、Zは、それぞれ独立して、結合であるか、または所望により置換されていてよい分枝鎖もしくは直鎖C1−6脂肪族鎖であり、Zの2個までの炭素単位は、所望によりかつ独立して、−CO−、−CS−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、または−NRSONR−により置換されていてよい。Rは、それぞれ独立して、R、ハロ、−OH、−NH、−NO、−CN、または−OCFである。Rは、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよい脂肪族、所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、または所望により置換されていてよいヘテロアリールである。〕である。
【0080】
各pは、0または1である。
【0081】
pが0であるとき、Rは、C2−8アルキル、アルケニル、アルキニル、N,N−ジメチルアミノカルボニルであるか、またはRおよびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成する。
【0082】
本発明の他の局面は、ムスカリン受容体をモジュレートする方法であって、該受容体と式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を接触させる工程を含む、方法を提供する。
【0083】
B.特定の化合物
1.置換基R
は、所望により置換されていてよい脂肪族または−NRR’である。RおよびR’は、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族である。あるいは、RおよびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成する。
【0084】
いくつかの態様において、Rは、所望により置換されていてよい脂肪族である。例えば、Rは、アルキル、アルケニルまたはアルキニル(各々が所望により置換されていてよい。)である。いくつかの例において、Rは、所望により置換されていてよいメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはブチル(各々が所望により置換されていてよい。)である。他の例において、Rは、所望により1−3個のハロ、オキソ、シアノまたはニトロで置換されていてよいメチルであるか;または、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、またはヘテロアリール(各々が所望により置換されていてよい。)である。他の例において、Rは非置換脂肪族である。いくつかの例において、Rは、非置換アルキルである。
【0085】
いくつかの態様において、Rは、−NRR’〔式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族である。〕である。いくつかの例において、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素、または所望により1−3個のヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロで置換されていてよいC1−4脂肪族、または所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、またはそれらの組合せである。いくつかの例において、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよいメチル、所望により置換されていてよいエチル、または所望により置換されていてよいプロピルである。他の例において、RおよびR’は両方とも、メチルである。
【0086】
いくつかの態様において、RおよびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成する。例えば、RおよびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよいピロリドン−イル、所望により置換されていてよいピペリジン−イル、所望により置換されていてよいアゼパン−イル、所望により置換されていてよいアジリジン(airidine)−イル、所望により置換されていてよいアゼチジン−イル、またはモルホリン−イルを形成する。
【0087】
いくつかの例において、Rは、N,N−ジメチルアミノおよびメチルから選択される1つである。
【0088】
いくつかの他の態様において、Rは、所望により置換されていてよいC3−6シクロアルキルである。例えば、Rは、所望により置換されていてよいシクロプロピル、所望により置換されていてよいシクロブチル、所望により置換されていてよいシクロペンチル、または所望により置換されていてよいシクロヘキシルである。
【0089】
2.置換基R
各Rは、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族(各々が所望により1−3個のRで置換されていてよい。)である。各Rは、−Z〔式中、Zは、それぞれ独立して、結合であるか、または所望により置換されていてよい分枝鎖もしくは直鎖C1−6脂肪族鎖であり、の2個までの炭素単位は、所望によりかつ独立して、−CO−、−CS−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、または−NRSONR−により置換されていてよい。Rは、それぞれ独立してR、ハロ、−OH、−NH、−NO、−CN、または−OCFである。Rは、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよい脂肪族、所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、または所望により置換されていてよいヘテロアリールである。〕である。
【0090】
いくつかの態様において、Rは、所望により置換されていてよいシクロ脂肪族である。例えば、Rは、所望により置換されていてよい単環式シクロ脂肪族、所望により置換されていてよい二環式シクロ脂肪族、所望により置換されていてよい三環式シクロ脂肪族である。いくつかの例において、Rは、所望により置換されていてよい単環式シクロ脂肪族である。他の例において、Rは、所望により置換されていてよい3−9員の単環式シクロ脂肪族である。他の例において、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチル(各々が所望により1−3個のハロで置換されていてよい。)、所望により置換されていてよい脂肪族、所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいアルコキシカルボニル、所望により置換されていてよいシクロアルコキシカルボニル、所望により置換されていてよいヘテロシクロアルコキシカルボニル、またはそれらの組合せである。いくつかの例において、Rは、所望により置換されていてよい二環式シクロ脂肪族である。他の例において、Rは、所望により置換されていてよい5−10員の二環式シクロ脂肪族である。他の例において、Rは、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、またはビシクロ[3.2.1]オクチル(各々が所望により置換されていてよい。)である。他の例において、Rは、所望により置換されていてよい三環式シクロ脂肪族である。他の例において、Rは、所望により置換されていてよいアダマンチルである。いくつかの例において、Rは、所望によりヘテロアリールで置換されていてよい単環式シクロ脂肪族である。
【0091】
いくつかの態様において、Rは、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族である。例えば、Rは、単環式ヘテロシクロ脂肪族、二環式ヘテロシクロ脂肪族、または三環式ヘテロシクロ脂肪族である。例えば、Rは、N、OおよびSから独立して選択される1−3個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてよい単環式ヘテロシクロ脂肪族である。いくつかの例において、Rは、N、OおよびSから独立して選択される1ないし3個のヘテロ原子を有する所望により置換されていてよい5−9員の単環式ヘテロシクロ脂肪族である。例えば、Rは、ピロリジン−イル、1,3−ジオキソラン−イル、イミダゾリジン−イル、2−ピラゾリン−イル、ピラゾリジン−イル、ピペリジン−イル、1,4−ジオキサン−イル、モルホリン−イル、アゼパン−イル、アゾカン−イル、またはピペラジン−イル(各々が所望により1ないし3個のハロで置換されていてよい。)、または脂肪族、アルコキシ、(脂肪族(オキシ))カルボニル、(アルコキシ(アルコキシ))カルボニル、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アシル、アミド、アミノ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族(オキシ))カルボニル(各々が所望により置換されていてよい。)である。他の例において、Rは、N、OおよびSから独立して選択される1−3個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてよい二環式ヘテロシクロ脂肪族である。いくつかの例において、Rは、N、OおよびSから独立して選択される1ないし3個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてよい7−10員の二環式ヘテロシクロ脂肪族である。他の例において、Rは、架橋二環式ヘテロシクロ脂肪族または縮合二環式ヘテロシクロ脂肪族(各々が所望により置換されていてよい。)である。例えば、Rは、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン−イル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−イル、または8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−イル(各々が所望により1−3個のハロで置換されていてよい)、または脂肪族、アルコキシ、(脂肪族(オキシ))カルボニル、(アルコキシ(アルコキシ))カルボニル、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アシル、アミド、アミノ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族(オキシ))カルボニル(各々が所望により置換されていてよい。)である。
【0092】
いくつかの態様において、Rは下記:
1−メトキシカルボニルピペリジン−4−イル;1−エトキシカルボニルピペリジン−4−イル;プロポキシカルボニルピペリジン−4−イル;1−イソプロポキシカルボニルピペリジン−4−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)ピペリジン−4−イル;1−(2−メトキシ(エトキシ)カルボニル)ピペリジン−4−イル;1−((3−ブチノキシ(butynoxy))カルボニル)ピペリジン−4−イル;8−(メトキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(エトキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(プロポキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(イソプロポキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(メトキシ(エトキシ)カルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(3−ブチニルオキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(ピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル;1−(メトキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−(エトキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−(イソプロポキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)ピロリジン−3−イル;1−(2−(メトキシ(エトキシ))カルボニル)ピロリドン−3−イル;1−(プロポキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)ピロリドン−3−イル;8−(3−メチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(3−エチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(メトキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;1−(エトキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;1−(プロポキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;1−(イソプロポキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)アゼパン−4−イル;1−(2−(メトキシ(エトキシ))カルボニル)アゼパン−4−イル;(テトラヒドロフラン−3−イル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;(テトラヒドロフラン−3−イル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;4−(3−メチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))シクロヘキサン−1−イル;1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル;1−(3−エチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))ピペリジン−4−イル;1−(6−クロロ(ピラジン−2−イル))ピペリジン−4−イル;1−(キノキサリン−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(6−メチル(ピラジン−2−イル))ピペリジン−4−イル;1−(メトキシ(カルボニル))アゾカン−5−イル;1−(エトキシ(カルボニル))−4−メチルピペリジン−4−イル;1−(ピラジン−2−イル−(4−メチル))ピペリジン−4−イル;1−(3−メチル−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))ピロリジン−3−イル;1−(3−エチル−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))ピロリジン−3−イル;1−((5,6−ジメチル(ピラジン−2−イル)))ピロリジン−3−イル;1−((5,6−ジメチル(ピラジン−2−イル)))ピペリジン−4−イル;1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル;1−(チアゾール−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(4−メチル(チアゾール−2−イル))ピペリジン−4−イル;4−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)シクロヘキサン−1−イル;1−(2−ヒドロキシ−(6−フェニル−(ピラジン−6−イル)))ピペリジン−4−イル;1−(6−(2−ヒドロキシフェニル)ピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(5−メチル(チアゾール−2−イル))ピペリジン−4−イル;1−(ベンゾ(d)チアゾール−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(ベンゾ(d)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピペリジン−4−イル;1−(ペント−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピペリジン−4−イル;8−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(ブト−2−イニル(オキシ(カルボニル)))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;1−(ブト−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;1−(ペント−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;8−(ピラジン−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;1−(ブト−2−イニル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;1−(ペント−2−イニル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;1−(エトキシ(カルボニル))アゾカン−5−イル;1−(ピラジン−2−イル)ピロリドン−3−イル;および、ピペリジン−4−イルから選択される1つである。
【0093】
3.L基およびp:
各Lは−(CH−〔式中、nは0−2である。〕である。
【0094】
いくつかの態様において、Lは結合であるか、または非置換メチレン基である。
【0095】
pは0または1である。
【0096】
C.下位の一般的化合物
本発明の他の局面は、ムスカリン受容体(複数可)の活性および/または複数の活性をモジュレートするために有用な式IaおよびIbの化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、式IaおよびIbはそれぞれ:
【化3】


[式中、R、R、およびLは、上記の式Iに定義の通りである。]である。
【0097】
本発明の他の局面は、ムスカリン受容体(複数可)の活性および/または複数の活性をモジュレートするために有用な式Icの化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、式Icは:
【化4】


[式中、RおよびLは、上記の式Iに定義の通りである。]である。
【0098】
は、−Z〔式中、Zは、それぞれ独立して、結合であるか、または所望により置換されていてよい分枝鎖もしくは直鎖C1−6脂肪族鎖である、Zの2個までの炭素単位は、所望によりかつ独立して、−CO−、−OCO−、−COO−、−CONR−、または−O−により置換されていてよい。Rは、それぞれ独立して、R、ハロ、−OH、−NH、−NO、−CN、または−OCFである。Rは、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよいC1−8脂肪族基、所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、または所望により置換されていてよいヘテロアリールである。〕である。
【0099】
q+mは2−5である。
【0100】
いくつかの態様において、qは1−3である。他の態様において、mは1−3である。例えば、qおよびmは両方とも1である。
【0101】
いくつかの態様において、Rは、所望により置換されていてよい−CO−アルキルまたは所望により置換されていてよい−CO−シクロ脂肪族である。いくつかの例において、Rは、−CO−CH、または−CO−CH−CHである。
【0102】
さらなる態様において、Rは、所望により置換されていてよいアリールまたは所望により置換されていてよいヘテロアリールである。例えば、Rは、所望により置換されていてよいフェニルである。他の例において、Rは、フラン−イル、チオフェン−イル、ピリダジン−イル、ピリミジン−イル、ピラジン−イル、ピリジン−イル、1,3,4−チアジアゾール−イル、またはピラゾール−イル(各々が所望により置換されていてよい。)である。
【0103】
本発明の他の局面は、ムスカリン受容体(複数可)の活性および/または複数の活性をモジュレートするために有用な式Idの化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、式Idは:
【化5】


[式中、Lは、式Iで定義される通りであり、Rおよびqおよびmは、式Icで定義される通りである。]である。
【0104】
は、所望により置換されていてよいC2−8アルキル、アルケニル、アルキニル、N,N−ジメチルアミノ、または−NRR’である。RおよびR’は、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族である。あるいは、RおよびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成する。
【0105】
いくつかの態様において、Rは、所望により置換されていてよい−CO−アルキルまたは所望により置換されていてよい−CO−シクロ脂肪族である。いくつかの例において、Rは、−CO−CH、または−CO−CH−CHである。
【0106】
本発明の他の局面は、ムスカリン受容体(複数可)の活性および/または複数の活性をモジュレートするために有用な式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、式IIは:
【化6】


[式中、R11およびR’11は、それぞれ独立して、水素、または所望により1−3個のハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロもしくはそれらの組合せで置換されていてよい脂肪族
であり;R12はそれぞれ、所望により置換されていてよい7−9員の二環式シクロアルキルである。]である。
【0107】
いくつかの態様において、R11およびR’11は、それぞれ独立して、水素、または所望により1−3個のハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロもしくはそれらの組合せで置換されていてよいアルキルである。例えば、R11およびR’11は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピルまたはブチル(各々が所望により1−3個のハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロまたはそれらの組合せで置換されていてよい。)である。いくつかのさらなる例において、R11およびR’11は両方とも、非置換メチルである。
【0108】
いくつかの態様において、R12は、所望により置換されていてよい7−9員の二環式シクロアルキルである。例えば、R12は、ビシクロ[3.2.1]オクタン−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−イル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−イル、またはビシクロ[3.1.1]ヘプタン−イル(各々が所望により置換されていてよい。)である。他の例において、R12は、非置換ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−イルである。
【0109】
C.態様の組合せ
他の態様は、上記の置換基R、R、Lおよびpの何らかの組合せを包含する。
【0110】
D.特定の態様
式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)の特定の例示的化合物を、下記の表1に示す。
【表1】

【0111】
【表2】


【表3】


【表4】

【0112】
【表5】


【表6】


【表7】

【0113】
【表8】


【表9】


【表10】

【0114】
II.合成スキーム
式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)の化合物を、当技術分野で公知の方法を用いて、市販の出発物質から容易に合成できる。式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)の化合物を製造するための合成経路の例を、以下に製造例A−Oおよびスキーム1−5として提供する。
【0115】
下記のスキーム1は、式Iの化合物の合成のための一般的条件を示す。
【化7】

【0116】
アミン1aと適当なアルデヒドまたはケトンの、典型的にDCE/AcOH/TEA中NaBH(OAc)を用いて、室温での、還元的アミノ化条件下での反応(工程a)を、所望の式(I)の化合物の製造に使用できる。反応性が低いケトンで、より強い条件を使用し得る。例えば、該アミン1aおよびケトンの、Ti(OiPr)の非希釈(neat)溶液中での処理、次いでNaBHのMeOH溶液での処理を用いて、所望の式Iの化合物を提供し得る。Abdel−Magid, A.F. et al., “Reductive Amination of Aldehydes and ketones with Sodium triacetoxyborohydride.Studies on Direct and Indirect Reductive Amination Procedures,” J. Org. Chem., 61, pp. 3849−3862 (1996)およびそれに引用される文献を参照のこと。
【0117】
あるいは、1aタイプのスピロアミンを、適当な塩基の存在下にアルキルハライドでアルキル化して、所望の式1bの化合物を提供し得る。典型的に、該アミン1aを、アルキルのヨウ化物、臭化物もしくは塩化物と適当な塩基の存在下で反応させて、式1bの化合物を製造する。塩基は、トリエチルアミンのような有機、またはNaCOもしくはCsCOのような無機であり得る。典型的反応溶媒は、DMF、アセトン、およびアセトニトリルを含むが、これらに限定されない。
【0118】
スキーム2は、式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)の化合物の合成のための別の条件を説明する。
【化8】

【0119】
スキーム2の2aタイプのアミンは、当技術分野で公知の方法および下記の参考文献:WO03/106457 “Spiroindolinepiperidine Derivatives”;Maligres, P.E., et al., Tetrahedron, 1997, 53, 10983−10992; Cheng, Y. and Chapman, K.T., Tet. Lett. 1997, 38, 1497−1500;US006013652A “Spiro−substituted azacyclics as neurokinin antagonists”に記載の方法と同様の方法を用いて製造できる。条件:(a)PGに対して直交のアミン保護;(b)PGのアミン脱保護(例えば、PG=Boc:TFA、CHCl、−10℃);(c)NaBH(OAc)、DCE、AcOH、TEA、適当なケトンもしくはアルデヒド、またはi)非希釈(neat)Ti(OiPr)、適当なケトン、ii)NaBH、MeOHもしくは適当なハロゲン化アルキル、CsCO、アセトニトリル、加熱;(d)QX(Qは、例えばHおよび脂肪族であってよく、Xはハロゲンである。)、KCO、DMF/THF、RTないし60℃;または、求電子試薬(例えばRCOCl(式中Rは脂肪族または−NRR’である。)、TEA、CHCN)。
【0120】
スキーム3は、シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族環Rを含むか、または保護官能基を保持するか、脱保護されて保持するか、もしくは脱保護され、さらに変化して、式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)のさらなる化合物を製造し得る該保護置換基で置換される、式Iの化合物の合成のための別の条件を説明する。
【化9】

【0121】
化合物3aを、上記の方法によりおよび当技術分野で公知の方法により製造できる。化合物3bから3dを、下記の例示的条件を用いて化合物3aから製造できる:(a)PG=ケタール:AcOH/HO、加熱;または、PG=Boc:TFA、CHCl;(b)環Rがオキソにより置換されるとき、式3cの化合物をさらにオキシムに変化させ得る:NH−O−R、ピリジン;(c)環Rを含むか、または−NH−もしくは−N(R)−により置換されるとき、適当な求電子試薬を用いて変化させ3dを製造できる。例えば、トリエチルアミンのような塩基の存在下、酸ハロゲン化物またはジアルキルカルバモイルクロライド;または、KCOのようなSNAr条件下、ハロアリールもしくはハロヘテロアリール化合物、アセトニトリルおよび加熱;Pd触媒、例えばPd(dba)のようなBuchwaldアミノ化条件下、ハロアリールもしくはハロヘテロアリール化合物、ホスフィンリガンドおよび適する塩基、例えばNaOtBu。
【0122】
スキーム4は、対応するケトンからの適当なアルデヒドの一般的製造法を説明する。
【化10】

【0123】
4aタイプのケトン求電子試薬を、商業的に購入可能か、または上記の方法もしくは当技術分野で公知の方法により製造可能である。4cタイプのアルデヒドを、商業的に購入可能か、または下記の条件を用いて4aタイプの化合物から製造可能である:(a)PhCHOMeCl、NaN(SiMe;(b)HCl水溶液、CHCN。下記の条件を、4aタイプのケトンおよび4cタイプのアルデヒドを用いる式Iの化合物の製造のために用い得る:(c)1aタイプのスピロ−アミン(スキーム1を参照のこと)、NaBH(OAc)、DCE、AcOH、TEA、適当なケトンもしくはアルデヒド;または、i)非希釈のTi(OiPr)、適当なケトン;ii)NaBH、MeOH。
【0124】
本発明の化合物を、公知の方法により、またはスキーム5に記載の方法を用いて製造できる。
【化11】

【0125】
スキーム5に関して、式5cの化合物を、下記の条件を用いて式5aの化合物から製造できる:(a)トリエチルアミンのような塩基の存在下、例えば酸ハライドもしくはジアルキルカルバモイルクロライドのような活性化(脂肪族)カルボニル化合物5bとの反応;(b)PG基、例えばPG=Bocの脱保護:TFA、CHCl、PG=Bn:H、Pd/C;(c)還元的アミノ化条件またはアルキル化条件を用いて、式5eの求電子試薬(式中、Eは、環R中のケトンか、または環Rに結合するアルデヒドを示す。)との反応。
【0126】
式5eの化合物を、当技術分野で公知の方法により、例えばSAr条件またはBuchwaldアリール化条件下、Rケトンまたは適当な保護前駆物質とハロゲン化ヘテロアリールの反応により、製造できる。
【0127】
IV.製剤、投与、および使用
A.薬学的に許容される組成物
本発明は、その範囲内に本発明の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグを含む。“薬学的に許容されるプロドラッグ”は、レシピエントへの投与により、本発明の化合物またはその活性代謝物もしくは残基を(直接的または間接的に)提供できる、全ての薬学的に許容される塩、エステル、エステルの塩、または本発明の化合物の他の誘導体を意味する。好ましいプロドラッグは、そのような化合物を哺乳動物に投与したときに本発明の化合物のバイオアベイラビリティを高めるか、または親化合物と比較して、親化合物の生物学的区画への送達を高めるものである。
【0128】
用語“薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクル”は、それらと共に製剤した本化合物の薬理学的活性を破壊しない、非毒性担体、アジュバント、またはビヒクルを意味する。本発明の組成物において使用できる薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルは、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含むが、これらに限定されない。
【0129】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機および有機酸および塩基由来のものを含む。適当な酸塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピコリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩を含む。他の酸、例えばシュウ酸は、それ自体薬学的に許容されないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の製造のために使用され得る。
【0130】
適当な塩基由来の塩は、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN(C1−4アルキル)塩を含む。本発明はまたここに記載の化合物の塩基性窒素含有基の4級化も構想する。水溶性もしくは油可溶性または分散性生成物を、そのような4級化により得ることができる。
【0131】
本発明の組成物を経口的に、非経腸的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸に、鼻腔内に、口腔内に、膣内にまたはインプラントした貯蔵部を介して投与できる。本明細書で用いる用語“非経腸”は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、気管内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含む。好ましくは、本組成物を経口的に、腹腔内にまたは静脈内に投与する。本発明の組成物の滅菌注射可能形態は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当分野で公知の技術に従い製剤できる。滅菌注射可能製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液としてのような非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能溶液または懸濁液であり得る。用い得る許容されるビヒクルおよび溶媒は、とりわけ水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌、固定油を溶媒または懸濁媒体として慣用的に用い得る。
【0132】
この目的のために、合成モノ−またはジ−グリセリドを含む任意の非刺激性(bland)固定油を用い得る。脂肪酸、例えばオレイン酸およびそのグリセリド誘導体は注射剤の製造に有用であり、天然の薬学的に許容される油、例えばオリーブ油またはヒマシ油、とりわけそれらのポリオキシエチル化形態と同様である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、例えばカルボキシメチルセルロースまたはエマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に許容される投与形態の製剤に一般的に使用される類似の分散剤も含み得る。他の一般的に使用される界面活性剤、例えばTweens、Spansおよび薬学的に許容される固体、液体、または他の投与形態の製造において一般的に使用される他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ増強剤もまた、製剤目的で使用できる。
【0133】
本発明の薬学的に許容される組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されない任意の経口的に許容される投与形態で経口投与できる。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体は、ラクトースおよびコーンデンプンを含む。平滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムもまた典型的に添加する。カプセル形態での経口投与のために、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥コーンデンプンを含む。水性懸濁液が経口使用のために必要であるとき、活性成分を乳化剤および懸濁化剤と混合する。望むとき、任意の甘味剤、香味剤または着色剤も添加し得る。
【0134】
あるいは、本発明の薬学的に許容される組成物を、直腸投与用坐薬の形で投与できる。これらは、本薬剤と、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、それ故に直腸内で溶けて薬剤を放出する適当な非刺激性賦形剤との混合により製造できる。かかる物質はカカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールを含む。
【0135】
本発明の薬学的に許容される組成物はまた、とりわけ、処置の標的が、眼、皮膚、または腸管下部の疾患を含む、局所投与により容易に接近可能な領域または臓器を含むとき、局所的にも投与できる。適する局所用製剤は、これらの領域または臓器のそれぞれのために容易に製造される。
【0136】
腸管下部への局所投与は、直腸坐薬製剤(上記参照のこと)または適する浣腸製剤により行い得る。局所的経皮パッチも使用できる。
【0137】
局所投与のために、薬学的に許容される組成物は、1種以上の担体に懸濁または溶解した活性成分を含む適当な軟膏に製剤できる。本発明の化合物の局所投与用担体は、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水を含むが、これらに限定されない。あるいは、薬学的に許容される組成物を、1種以上の薬学的に許容される担体に懸濁または溶解した活性成分を含む、適当なローションまたはクリームに製剤できる。適当な担体は、鉱油、ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含むが、これらに限定されない。
【0138】
眼使用のために、薬学的に許容される組成物を、塩化ベンザルコニウムのような防腐剤を添加し、または添加しない、等張性の、pH調節した滅菌食塩水中の微粉化(micronized)懸濁液として、または、好ましくは、等張性の、pH調節した滅菌食塩水中の溶液として製剤できる。あるいは、眼使用のために、薬学的に許容される組成物を、軟膏、例えばワセリン中に製剤できる。
【0139】
本発明の薬学的に許容される組成物を、経鼻エアロゾルまたは吸入によっても投与できる。このような組成物は、医薬製剤の分野で既知の技術に従い製造し、食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、バイオアベイラビリティを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の慣用の可溶化剤または分散剤を使用して製造できる。
【0140】
最も好ましくは、本発明の薬学的に許容される組成物は経口投与用に製剤する。
【0141】
一投与形態の組成物を製造するために担体と組合せ得る本発明の化合物の量は、処置する宿主、特定の投与方法に依存して変化してよい。好ましくは、本組成物は、0.01−100mg/kg体重/日の調節剤の投与量を、これらの組成物を受ける患者に投与できるように製剤すべきである。
【0142】
ある特定の患者のための具体的投与量および処理レジメンは、用いる具体的化合物の活性、年齢、体重、一般的健康、性別、食事、投与時間、排泄速度、医薬組合せ、および処置医の判断および処置する特定の疾患の重症度を含む種々の因子に依存し得ることも理解されるべきである。組成物中の本発明の化合物の量はまた、組成物中の特定の化合物にも依存し得る。
【0143】
処置または予防すべき特定の状態または疾患に依存して、その状態を処置または予防するために通常投与される付加的な治療剤もまた、本発明の組成物中に存在し得る。本明細書で用いる、特定の疾患または状態の処置または予防のために通常投与される付加的治療剤は、“処置する疾患または状態のために適当である”ことが既知である。
【0144】
好ましい態様によって、式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)の化合物はM、MおよびMの選択的調節剤である。より好ましくは、式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)の化合物は、Mおよび/またはMの選択的調節剤である。さらに好ましくは、任意の式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)の化合物は、Mの選択的調節剤である。または、好ましくは、任意の式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)の化合物は、Mの選択的調節剤である。
【0145】
本出願人らは、本発明の化合物がムスカリン受容体の活性を調節する能力は、これらの化合物のムスカリン受容体への親和性に由来すると考える。かかる親和性は、本出願人らは、ムスカリン受容体(すなわち、アゴニスト)を活性化するか、またはムスカリン受容体の活性を阻害すると考える。
【0146】
本明細書で用いる用語“選択的”は、他のムスカリン受容体サブタイプと比較したとき、一つのムスカリン受容体サブタイプを調節する測定可能な大きな能力を意味する。例えば、用語“選択的Mアゴニスト”は、他のムスカリン受容体サブタイプ(複数可)での化合物のアゴニスト活性と比較したとき、Mアゴニストとして作用する測定可能な大きな能力を有する化合物を意味する。
【0147】
別の態様によって、本発明は哺乳動物、例えばヒトにおけるムスカリン受容体仲介疾患の処置方法であって、本明細書に記載の通りに、該哺乳動物に式I、Ia、Ib、Ic、またはIdの化合物を含む組成物、またはその態様を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0148】
他の態様によって、本発明は、ムスカリン受容体が仲介する疾患の処置方法であって、本明細書に記載の通りに、該哺乳動物に式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)の化合物を含む組成物、またはその他の態様を投与する工程を含む、方法を提供する。好ましくは、該疾患はMによって仲介されるか、または該疾患はMによって仲介される。
【0149】
さらに他の態様によって、本発明は患者における疾患を処置するかまたは重症度を低下させる方法であって、該疾患が認知障害、注意欠損過活動障害(ADHD)、肥満、アルツハイマー病、血管性認知症のような種々の認知症、統合失調症、躁病、双極性障害を含む精神病、急性および慢性症候群を含む疼痛状態、ハンチントン舞踏病、フリードライヒ失調症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、ダウン症候群、ピック病、臨床的鬱病、乳幼児突然死症候群、パーキンソン病を含むCNS由来病状、緑内障における眼内圧の低下のような末梢障害およびシェーグレン症候群を含むドライアイおよびドライマウスの治療であって、該方法が、該患者と本発明の化合物を接触させることを含む、方法を提供する。
【0150】
別の態様によって、本発明は患者における疾患を処置するかまたは重症度を低下させる方法であって、該疾患が疼痛、精神病(統合失調症、幻覚、および妄想を含む)、アルツハイマー病、パーキンソン病、緑内障、徐脈、胃酸分泌、喘息、またはGI不調から選択される、方法を提供する。
【0151】
好ましい態様によって、本発明は、精神病、アルツハイマー病、疼痛、またはパーキンソン病の処置または重症度低下に有用である。
本明細書に引用するすべての文献は、参照により本明細書に包含させる。
【実施例】
【0152】
IV.製造例および実施例
ここに記載の本発明をより完全に理解できるように、以下の実施例を記載する。これらの実施例は説明目的のためだけであり、如何なる方法でも本発明を限定すると解釈すべきではないことは理解されるべきである。
【0153】
製造例A:N−(エトキシカルボニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルバルデヒド(A3)の合成
【化12】

【0154】
ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(6mmol、THF中1M溶液6mL)を、0℃にてアルゴン下で、THF6mL中、2.06g(6.0mmol)のメトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライドの懸濁液に添加した。0℃で15分間撹拌後、得られた暗赤色溶液を、0℃にて、THF8mL中、0.79g(4.0mmol)のN−(エトキシカルボニル)トロピノン(A1)の溶液にシリンジにより添加し、その後、室温で4時間撹拌してオレンジ色のを得た。反応混合物を飽和NaCl水溶液(15mL)の添加によりクエンチし、その後エーテルで抽出した(25mL×3)。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させた。溶媒蒸発後に得られた固体残渣を、短いシリカゲルカラム(3.5cm×4cm)に充填し、リン不純物を除去した。生成物をエーテルで溶出した。溶媒を蒸発させた後、生成物エノールエーテル(A2)を褐色油状物として得て、それをさらなる精製なしに次工程に用いた。
【0155】
エノールエーテル中間体(A2)を、2N HCl12mLおよびアセトニトリル20mLの溶液中に溶解し、室温で16時間撹拌した。ロータリーエバポレーターでのアセトニトリルの除去後、水溶液をエーテルで抽出した(25mL×3)。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO水溶液(15mL×2)、飽和NaCl水溶液(15mL)で洗浄し、その後NaSOで乾燥させた。溶液を蒸発乾固後、残渣をクロマトグラフィー(SiO、溶離剤として10%−20% ヘキサン中EtOAc)により精製した。N−(エトキシカルボニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルバルデヒド(A3)(0.65g)を、約1:1比のエンドおよびエキソ異性体の無色油状物として得た。ESI−MS m/z 212.1 (MH);1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.53 (s, 1H), 4.54 (br s, 1H), 4.38 (br s, 1H), 4.16 (m, 2H), 2.72 (m, 2H), 2.38 (s, 1H), 2.32 (s, 1H), 2.10 (m, 3H), 1.69 (m, 2H), 1.29 (m, 3H)。
【0156】
製造例B:ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルバルデヒドの合成
ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルバルデヒドを、製造例Aと同様の方法を用いて、市販のビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オンから製造した。粗生成物を、さらなる精製なしに次工程に用いた。
【0157】
製造例C:7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(C3)の合成
【化13】

【0158】
DCM(25mL)中、フラン(C1)(15mL、200mmol)およびアクロレイン(6.7mL、100mmol)の撹拌溶液に、アルゴン下で−43℃(ドライアイス/イソプロパノール浴)にて、AlCl(666mg、5mmol)をゆっくり添加した。反応混合物を、−43℃にて、アルゴン下で30分間撹拌し、その後、飽和KCO水溶液(50mL)でクエンチした。反応混合物を徐々に室温まで温めた後、それをエーテルで抽出した(200mL×5)。合わせたエーテル抽出物を飽和KCO水溶液(200mL×2)、飽和NaCl水溶液(200mL×2)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し濃縮して油性粗生成物である7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(C2)を得て、それをさらなる精製なしに次工程に用いた。参考文献、Laszlo, P.; Lucchetti, J. Tetrahedron Lett. 1984, 25, 4387−4388. Moore, J. A., Partain, E. M. III. J. Org. Chem. 1983, 48, 1105−1106. Dauben, W. G.; Krabbenhoft, H. O. J. Am. Chem. Soc. 1976, 98, 1992−1993. Nelson, W. L.; Allen, D. R.; Vincenzi, F. F. J. Med. Chem. 1971, 14, 698−702を参照のこと。
【0159】
95%EtOH(200mL)中、粗生成物7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(C2)(2.6g、20mmol)の撹拌溶液に、室温にてアルゴン下で、10%Pd−C(0.25g)を添加した。混合物を、室温にて30psiの水素下、4時間、水素添加装置(Parr hydrogenation apparatus)上で振とうした。Pd触媒をセライトパッドを通してろ過により除去後、該セライトをMeOHで洗浄し(15mL×2)、合わせた抽出物を真空下で濃縮して粗7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルバルデヒド(C3)を淡黄色油状物として得て、それをさらなる精製なしに次工程に用いた。
【0160】
製造例D:エチル4−ホルミルピペリジン−1−カルボキシレートの合成
【化14】

【0161】
1.0当量の4−ピペリジンメタノール(D1)(10.00g、86.8mmol)を、ジクロロメタン(350mL)中に溶解し、氷HO浴中で冷却し、ジクロロメタン(50mL)中1.05当量のクロロギ酸エチル(9.89g、91.1mmol)の溶液を滴下し、次いでジクロロメタン(50mL)中1.0当量のトリエチルアミン(8.78g)の溶液を滴下して処理した。反応物を、約0℃にて15分間撹拌し、その後、室温にて10分間撹拌した。反応物をジクロロメタン(250mL)で希釈し、(各150mL)のHO、0.1N HCl(水溶液)(×2)、飽和塩水で成功裏に洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過した。ろ液を真空下で濃縮してエチル4−(ヒドロキシメチル)−ピペリジン−1−カルボキシレート(D2)を粘性の淡褐色がかった緑色油状物として得た。1H−NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.15 (br m, 2H), 4.09 (q,J=7.1 Hz, 2H), 3.46 (d, J=6.4 Hz, 2H), 2.72 (br t, J=12.4 Hz, 2H), 2.07 (s, 1H), 1.70 (m, 2H), 1.63 (m, 1H), 1.23 (t, J=7.2 Hz, 3H), 1.12 (m, 2H);t=1.56分[5分かけて、0.1%TFA(水溶液)含有10−99% CHCN勾配];C17NOの理論値(M+H) m/z=188.1;実測値188.0。
【0162】
ジクロロメタン(150mL)中、1.2当量の塩化オキサリル(12.69g、0.10mol)の溶液を約−78℃まで冷却し、窒素下、ジクロロメタン(50mL)中、2.4当量の無水ジメチルスルホキシド(15.63g、0.20mol)の溶液の添加により処理した。15分後に添加を完了し、ジクロロメタン(50mL)中、1.0当量のエチル4−(ヒドロキシメチル)−ピペリジン−1−カルボキシレート(15.60g、83.3mmol)の溶液を滴下した。30分後に添加を完了し、ジクロロメタン(50mL)中、3.0当量のトリエチルアミン(25.30g、0.25mol)の溶液を滴下し、反応物を室温まで温めた。反応物を室温にて1時間撹拌し、その後、飽和重炭酸ナトリウム(500mL)でクエンチした。層を分離させ、水層をジクロロメタン(200mL)で一度に抽出した。集めた有機層をHO(3×100mL)、飽和重炭酸ナトリウム(1×100mL)および飽和塩水で洗浄し、その後乾燥させ(NaSO)、ろ過した。ろ液を真空下で濃縮して13.84gのエチル4−ホルミルピペリジン−1−カルボキシレート(D3)を粘性の琥珀色油状物として得た。1H−NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.64 (s, 1H), 4.10 (q, J=7.2 Hz, 2H), 4.00 (br m, 2H), 2.97 (m, 2H), 2.40 (m, 1H), 1.87 (br m, 2H), 1.54 (m, 2H), 1.23 (t, J=7.0 Hz, 3H)。
【0163】
製造例E:エチル4−ホルミル−4−メチルピペリジン−1−カルボキシレート(E6)の合成
【化15】

【0164】
ジイソプロピルアミン(3.14mL;22.23mmol;1.1当量)を、THF(60mL)中に溶解し、−78℃まで冷却した。その後、ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M;8.89mL;22.23mmol;1.1当量)を添加し、溶液を−78℃にて30分間撹拌した。エチル1−ベンジルピペリジン−4−カルボキシレート(E1)(5g;20.21mmol;1当量)をTHF(40mL)中に溶解し、−78℃にてLDA溶液に添加した。溶液を−78℃にて30分間撹拌し、ヨードメタン(1.32mL;21.22mmol;1.05当量)を添加した。溶液をゆっくり室温まで温め、室温にて1時間撹拌した。その後、水(100mL)を反応物に添加し、次いでEtOAc(50mL)を添加した。層を分離させ、水層をEtOAcで抽出した(2×50mL)。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して生成物(E2)を油状物として得た。該生成物は分析的に純粋であって、さらなる精製なしに用いた。LC/MS m/z (M+1)262.0、保持時間1.78分;(0.03%TFA含有10−99%CHCN−HO勾配、5分)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.24−7.14 (m, 5H), 4.08 (q, J=7.1 Hz, 2H), 3.40 (s, 2H), 2.60−2.57 (m, 2H), 2.08−2.02 (m, 4H), 1.47−1.40 (m, 2H), 1.17 (t, J=7.1 Hz, 3H), 1.10 (s, 3H)。
【0165】
1−ベンジル−4−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(E2)(5.0g;19.15mmol)を、EtO(50mL)中に溶解し、0℃まで冷却した。LiAlH(1.0g;26.3mmol)をゆっくり数回に分けて溶液に添加した。添加の完了後、溶液をゆっくり室温まで温め、1時間撹拌した。その後、溶液を0℃まで冷却し、1N NaOH(6mL)でゆっくりクエンチした。得られた白色沈殿をろ過し、EtOAc(100mL)で洗浄した。合わせた有機層を減圧下で濃縮して生成物(E3)を油状物として得て、それをさらなる精製なしに用いた。LC/MS m/z M+1 220.0、保持時間0.64分;(0.03%TFA含有10−99%CHCN−HO勾配、5分)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25−7.16 (m, 5H), 3.46 (s, 2H), 3.30 (d, J=3.9 Hz, 2H), 2.51−2.46 (m, 2H), 2.26−2.20 (m, 2H), 1.52−1.45 (m, 3H), 1.30−1.25 (m, 2H), 0.87 (s, 3H)。
【0166】
(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−4−イル)メタノール(E3)(3.9g;17.8mmol)を、MeOH(50mL)中に溶解し、NHCOH(12.5g;178.0mmol)を添加した。その後、Pd/C(10重量%、湿式;5.5g)を添加し、該系を窒素でフラッシュし、その後水素でフラッシュした。反応物を室温で一晩(18時間)撹拌し、その後セライトパッドを通してろ過した。溶媒を高真空下で除去して、アミノアルコールおよびNHCOHの混合物である固体を得た。粗生成物(E4)(2.4g、NHCOOHとの混合物)を、さらなる精製なしに次工程に用いた。LC/MS m/z (M+1)130.0、保持時間0.35分;(0.03%TFA含有10−99%CHCN−HO勾配、5分)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.17 (s, 2H), 3.03−2.98 (m, 2H), 2.95−2.88 (m, 2H), 1.64−1.57 (m, 2H), 1.36−1.31 (m, 2H), 0.89 (s, 3H)。
【0167】
(4−メチルピペリジン−4−イル)メタノール(E4)(2.4g、アミノアルコールおよびNHCOHの混合物)を、DCM(70mL)中に懸濁した。その後、EtN(5mL;37.2mmol)を添加し、次いでクロロギ酸エチル(1.05mL、13mmol、1.4当量)を滴下した。室温にて1時間後、1N HCl(70mL)を添加し、層を分離させた。水層をDCM(70mL)で抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、ろ過し、高真空下で濃縮した。得られた生成物は分析的に純粋な油状物(E5)であって、さらなる精製なしに用いた。LC/MS m/z (M+1)202.2、保持時間1.89分;(0.03%TFA含有10−99%CHCN−HO勾配、5分)。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 4.05 (q, J=7.1 Hz, 2H), 3.66 (dt, J=13.6, 4.7 Hz, 2H), 3.32 (s, 2H), 3.11 (t, J=5.2 Hz, 1H), 3.11 (dd, J=23.9, 3.5 Hz, 1H), 1.44−1.37 (m, 3H), 1.26−1.22 (m, 2H), 1.19 (t, J=7.1 Hz, 3H), 0.93 (s, 3H)。
【0168】
100mLの丸底フラスコに、DCM(30mL)および塩化オキサリル(0.88mL;10.13mmol)を添加した。溶液を−78℃まで冷却し、DMSO(1.19mL;16.88mmol)で処理した。溶液を−78℃にて20分間撹拌し、その後エチル4−(ヒドロキシメチル)−4−メチルピペリジン−1−カルボキシレート(E5)(1.7g;8.44mmol、10mLのDCM中に溶解した)で処理した。溶液を−78℃にて30分間撹拌し、その後、EtN(3.53mL;25.32mmol)で処理した。溶液を−78℃にて20分間撹拌し、その後ゆっくり室温まで温め、室温にてさらに2時間撹拌した。その後、溶液を飽和NaHCO水溶液(50mL)で処理し、DCM(50mL)で希釈し、層を分離させた。有機層を塩水(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して生成物(E6)を油状物として得て、それをさらなる精製なしに用いた。LC/MS m/z (M+1)200.0、保持時間2.23分;(0.03%TFA含有10−99%CHCN−HO勾配、5分)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.40 (s, 1H), 4.06 (q, J=7.1 Hz, 2H), 3.66 (dt, J=13.6, 4.7 Hz, 2H), 3.09 (dd, J=10.1, 3.5 Hz, 1H), 3.06 (dd, J=10.2, 3.4 Hz, 1H), 1.86 (dt, J=13.6, 4.4 Hz, 2H), 1.42−1.30 (m, 2H), 1.19 (t, J=7.1 Hz, 3H), 1.02 (s, 3H)。
【0169】
製造例F:ベンジル4−オキソトロパン−N−カルボキシレート(F3)の合成
【化16】

【0170】
トロピノン(F1)(10.0g;71.84mmol)をDCE(60mL)中に溶解し、1−クロロギ酸クロロエチル(ACE−Cl)(14.5mL;19.11g;133.7mmol)を滴下して処理した。反応物を室温にて一晩撹拌し、その後、EtO(400mL)で希釈し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して粗クロロエチルカルバメートを得た。この化合物をMeOH(200mL)中に入れ、室温にて1時間撹拌し、その後、減圧下(55℃にて)で濃縮して粗des−メチルトロピノン(F2)をHCl塩の、黄褐色固体として得た。粗物質をアセトニトリルから再結晶して純粋な生成物を白色結晶固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 1.79 (dd, J=15.0, 6.9 Hz, 2H), 2.09 (m, 2H), 2.40 (d, J=16.7 Hz, 2H), 3.02 (dd, J=17.1, 4.3 Hz, 2H), 4.23 (s, 2H), 10.00 (br s, 2H)。Des−メチルトロピノン(F2)(5.10g;31.55mmol)をCHCl(50mL)中に溶解し、クロロギ酸ベンジル(4.29mL;5.11g;29.98mmol)で処理し、DIPEA(16.48mL;12.23g;94.66mmol)を滴下した(発熱反応)。得られた透明溶液を室温にて30分間撹拌し、次いで100mLのCHClで希釈した。有機層を1N HClで洗浄し(2×100mL)、NaSOで乾燥させ、濃縮して粗生成物(F3)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.71 (dd, J=15.0, 7.2 Hz, 2H), 2.12 (m, 2H), 2.38 (d, J=15.9 Hz, 2H), 2.67 (m, 2H), 4.62 (s, 2H), 5.22 (s, 2H), 7.38 (m, 5H)。
【0171】
製造例G:5−クロロ−3−メチル−1,2,4−チアジアゾール(G2)の合成
【化17】

【0172】
乾燥塩素ガスをCS(1000mL、約1.0gのヨウ素含有)中5℃にて48時間バブリングした。過剰のCSを蒸発させ、残渣を断片的に蒸留してペルクロロメチルメルカプタン(G1)(融点144−145℃/1atm、300g、10%)を得た。13C−NMR (300 MHz, CDCl3) δ 96.69 (1 C)。
【0173】
ジクロロメタン(200mL)中、ペルクロロメチルメルカプタン(G1)(60g、323mmol)およびアセトアミジン塩酸塩(30.6g、323mmol)に、NaOH(水(200mL)中64.8g)を−5℃にて滴下した。得られた混合物を−5℃にて30分間撹拌し、その後室温まで温めた。有機層を分離させ、水層をジクロロメタンで抽出した(30mL×3)。合わせた有機層を水(50mL×2)および塩水(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を除去した。残渣を減圧下で蒸留して5−クロロ−3−メチル−1,2,4−チアジアゾール(G2)を得た(融点70℃/0.85Mpa、18g、41.8%)。1H−NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.59 (s, 3H)。
【0174】
製造例H:1−(3−メチル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−オン(H2)の合成
【化18】

【0175】
EtOH(50mL)中、ピペリジン−4−オン HCl塩(4.08g、30mmol)およびEtN(20mL、78.6mmol)の混合物に、5−クロロ−3−メチル−1,2,4−チアジアゾール(G2)(4.05g、30mmol)を添加した。混合物を1.5時間加熱還流し、その後濃縮して乾燥させた。残渣をEtOAc中に溶解した。溶液を水(30mL×3)および塩水(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して乾燥させた。残渣をエーテルから再結晶して1−(3−メチル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−オン(H2)(510mg、8.6%)を得た。1H−NMR (300 MHz, CDCl3) δ 3.86 (t, J=6.3 Hz, 4 H), 2.62 (t, J=6.3, Hz, 4 H), 2.44 (s, 3H)。
【0176】
製造例I:1−(3−エチル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−オン(I2)の合成
【化19】

【0177】
1−(3−エチル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−オン(I2)を、製造例Bに記載の方法と同様の方法で製造した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.95 (t, J=6.4 Hz, 4 H), 2.84 (q, J=7.6 Hz, 2 H), 2.68 (t, J=6.4, Hz, 4 H), 1.36 (t, J=7.6 Hz, 3H)。
【0178】
製造例J:5−クロロ−1,2,4−チアジアゾール(J2)の合成
【化20】

【0179】
5−クロロ−1,2,4−チアジアゾール(J2)を、蒸留(融点124℃/1atm)後、製造例Aに記載の方法と同様の方法で製造した。1H−NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.45 (s, 1 H)。
【0180】
製造例K:1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−オン(K2)の合成
【化21】

【0181】
1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−オン(K2)を、製造例Bに記載の方法と同様の方法で製造した。1H−NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.00 (s, 1 H), 3.92 (t, J=4.5 Hz, 4H), 2.65 (t, J=4.8 Hz, 4H)。
【0182】
製造例L:5−クロロ−2,3−ジメチルピラジン(L3)の合成
【化22】

【0183】
酢酸(74mL)中、2,3−ジメチルピラジン(L1)(25g、0.23mol)および30%H(52.4g、0.46mol)の混合物を、35℃にて2日間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。水を添加し、混合物を再度蒸発させた。残渣をKCO水溶液で塩基性化し、EtOAcで抽出した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。2つのバッチから合わせた得られた固体を、シクロヘキサンから再結晶して2,3−ジメチル−ピラジン1−オキシド(L2)(27g)を得た。1HNMR (CDCl3, 300 MHz) δ 8.18 (d, J=3.9 Hz, 1 H), 8.02 (d, J=4.2 Hz, 1 H), 2.58 (s, 3 H), 2.48 (s, 3H)。
【0184】
2,3−ジメチル−ピラジン1−オキシド(L2)(25g、0.2mol)を、冷却しながらPOCl(200mL)中に溶解した。混合物を徐々に加熱還流し、2時間撹拌した。冷却後、反応混合物を氷上に一度に添加し、冷却しながら飽和KOH溶液でpH8まで塩基性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をカラム(P.E./EtOAc 100:1−60:1)により精製して5−クロロ−2,3−ジメチルピラジン(L3)を得た。1HNMR (CDCl3, 300 MHz) δ 8.31 (s, 1 H), 2.53 (s, 6 H)。MS(ESI)m/e(M+H)143.2。
【0185】
製造例M:(S)−tert−ブチル3−ホルミルピロリジン−1−カルボキシレート(M4)の合成
【化23】

【0186】
イタコン酸(6.5g、50mmol)およびS−(−)−α−メチルベンジルアミン(M1)(6.05g、50mmol)の混合物を、160℃(油浴)にて4時間加熱した。冷却してメタノール(25mL)を添加し、得られた固体をろ過により集めた。固体をエタノール(75mL)で処理し、スチーム浴を用いて残りの溶媒が約40mLになるまで温めた。室温まで冷却後、固体を集めて乾燥させ、(S)−5−オキソ−1−((S)−1−フェニルエチル)ピロリジン−3−カルボン酸(M3)を白色結晶固体として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ 12.6 (br s, 1 H), 7.23−7.36 (m, 5 H), 5.21 (q, J=6.9 Hz, 1 H), 3.43−3.48 (m, 1 H), 3.11−3.19 (m, 2 H), 2.41−2.58 (m, 2 H), 1.43 (d, J=6.9 Hz, 3H)。
【0187】
(S)−5−オキソ−1−((S)−1−フェニルエチル)ピロリジン−3−カルボン酸(M3)(1.16g、5mmol)を、CHOH/HCl(10mL、1M)で3時間処理した。過剰のCHOH/HClを減圧下で除去した。残渣を飽和NaHCO水溶液でpH8まで塩基性化した。水相を酢酸エチルで抽出した(50mL×3)。合わせた有機相を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて(S)−メチル5−オキソ−1−((S)−1−フェニルエチル)ピロリジン−3−カルボキシレート(M4)を得て、それを次工程に直接用いた。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.24−7.37 (m, 5 H), 5.48 (q, J=7.2 Hz, 1 H), 3.72 (s, 3 H), 3.51−3.56 (m, 1 H), 3.03−3.21 (m, 2 H), 2.62−2.79 (m, 2 H), 1.53 (d, J=7.2 Hz, 3H)。
【0188】
乾燥THF(400mL)中、LAH(20g、0.526mol)の懸濁液に、0℃にて、乾燥THF(50mL)中、(S)−メチル5−オキソ−1−((S)−1−フェニルエチル)ピロリジン−3−カルボキシレート(M4)(50g、0.202mol)の溶液を滴下した。混合物を一晩加熱還流した。反応混合物を0℃まで冷却し、水(20mL)およびNaOH水溶液(10%、20mL)で処理した。形成したスラリーをろ過により取り除き、THFで洗浄した。合わせたろ液を蒸発させて化合物((S)−1−((S)−1−フェニルエチル)ピロリジン−3−イル)メタノール(M5)を得て、それを次工程に直接用いた。
【0189】
メタノール(300mL)中、((S)−1−((S)−1−フェニルエチル)ピロリジン−3−イル)メタノール(M5)(42.2g、0.194mol)および(Boc)O(69.4g、0.292mol)の溶液に、Pd(OH)/C(5g)を添加した。得られた混合物を、H下、50psiにて50℃まで加熱し、一晩撹拌し、次いで室温まで冷却した。Pd(OH)/Cをろ過し、ろ液を減圧下で蒸発させて残渣を得て、それをカラムクロマトグラフィー(P.E./EtOAc 5:1)により精製して(S)−tert−ブチル3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(M6)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 3.60−3.63 (m, 2 H), 3.29−3.52 (m, 3 H), 3.07−3.13 (m, 1 H), 2.37−2.42 (m, 1 H), 1.94−1.98 (m, 1 H), 1.62−1.70 (m, 1 H), 1.45 (s, 9 H)。
【0190】
CHCl(200mL)中、塩化オキサリル(22.17g、0.176mol)の溶液に、−78℃にて、CHCl(50mL)中、DMSO(20.59g、0.264mol)の溶液を滴下した。混合物をこの温度で0.5時間撹拌した。CHCl(50mL)中、(S)−tert−ブチル3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(M6)(11.8g、58.7mmol)の溶液を、−78℃にて、該反応混合物に滴下した。混合物を、その温度で1時間撹拌を継続した。EtN(29.7g、0.294mol)を−78℃にて添加した。得られた混合物を室温まで温め、3時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO水溶液中に注ぎ、振とうした。有機層を分離させ、水で2回洗浄し、乾燥させて蒸発させて残渣を得て、それをカラムクロマトグラフィー(P.E./EtOAc 5:1)により精製して(S)−tert−ブチル3−ホルミルピロリジン−1−カルボキシレート(M7)を得た。1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 9.68 (d, J=1.8 Hz, 1 H), 3.67−3.68 (m, 1 H), 3.51−3.55 (m, 1 H), 3.35−3.40 (m, 2 H), 2.99−3.04 (m, 1 H), 2.04−2.18 (m, 2 H), 1.46 (s, 9 H)。
【0191】
製造例N:(R)−tert−ブチル3−ホルミルピロリジン−1−カルボキシレートの合成
(R)−tert−ブチル3−ホルミルピロリジン−1−カルボキシレートを、R−(+)−α−メチルベンジルアミンキラル助剤を用いて、上記の(S)−tert−ブチル3−ホルミルピロリジン−1−カルボキシレートの合成と同様の方法で合成した。中間体は下記に特徴付ける:
【0192】
(R)−5−オキソ−1−((R)−1−フェニルエチル)ピロリジン−3−カルボン酸: 1H NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ 12.6 (br s, 1 H), 7.25−7.36 (m, 5 H), 5.21 (q, J=7.2 Hz, 1 H), 3.43−3.51 (m, 1 H), 3.08−3.19 (m, 2 H), 2.48−2.58 (m, 2 H), 1.43 (d, J=7.2 Hz, 3 H)。
【0193】
(R)−メチル5−オキソ−1−((R)−1−フェニルエチル)ピロリジン−3−カルボキシレート:1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.23−7.35 (m, 5 H), 5.47 (q, J=7.2 Hz, 1 H), 3.70 (s, 3 H), 3.50−3.55 (m, 1 H), 3.02−3.20 (m, 2 H), 2.60−2.78 (m, 2 H), 1.51 (d, J=7.2 Hz, 3 H)。
【0194】
製造例O:1−ベンジルアゾカン−5−オン(O3)の合成
【化24】

【0195】
無水EtOH(970mL)中、ベンジルアミン(O1)(83.7g、0.78mol)、4−ブロモ−酪酸エチルエステル(304.6g、1.56mol)およびKCO(215.8g、1.56mol)の混合物を、一晩還元した。混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、ジクロロメタン中に溶解して、それを水で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(P.E.)により精製してジエチル4,4’−(ベンジルアザンジイル)ジブタノアート(O2)(123g)を得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.16−7.22 (m, 5 H), 4.03 (q, J=7.2, 14.4 Hz, 4 H), 3.47 (s, 2 H), 2.36 (br s, 4 H), 2.24 (t, J=7.6 Hz, 4 H), 1.71 (br s, 4 H), 1.17 (t, J=7.2 Hz, 6 H)。
【0196】
下、キシレン(182.5mL)中、カリウム(1.28g、32.8mmol)およびt−BuOH(2.43g、32.8mmol)から製造した撹拌沸騰スラリーに、キシレン(37.25mL)中、ジエチル4,4’−(ベンジルアザンジイル)ジブタノアート(O2)(5g、14.9mmol)を5時間かけて添加した。混合物を撹拌し、1時間加熱還流した。冷却後、反応混合物を6N HCl(100mL)で中和し、その後6N HClで抽出した(3×50mL)。合わせた酸性溶液をろ過し、ろ液を1時間加熱還流した。冷却後、混合物を、冷却しながら濃KOH溶液でpH10まで塩基性化し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮して残渣を得た。他の17個のバッチを並行して行った。18個のバッチからの合わせた残渣を、カラム(P.E./EtOAc 5:1)により共に精製して1−ベンジルアゾカン−5−オン(O3)を得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.30−7.33 (m, 2 H), 7.21−7.25 (m, 3 H), 3.56 (s, 2 H), 2.55 (t, J=6.0, 4 H), 2.24 (t, J=6.4 Hz, 4 H), 1.86−1.91 (m, 4 H)。
【0197】
実施例1:エチル4−(1’−アセチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物番号11)
【化25】

【0198】
HCl/MeOH(700mL、2.5M)中、tert−ブチル3−オキソ−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート1aa(40g、0.154mol)の混合物を、室温にて一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去して31gのオフホワイト色の固体を得た。該固体(31g)を乾燥CHCN(400mL)中に溶解した。この溶液にEtN(26.5g、0.262mol)を添加した。懸濁液を10分間撹拌後、臭化ベンジル(24.6g、0.167mol)を室温にて滴下した。室温にて2時間撹拌後、混合物を氷水に注ぎ、CHClで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて1’−ベンジルスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−3(2H)−オン1abを得て、それをさらなる精製なしに次工程に用いた。1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 7.32−7.42 (m, 3 H), 6.98−7.15 (m, 6 H), 3.40 (s, 2 H), 2.75 (d, J=10.8 Hz, 2 H), 2.34 (s, 2 H), 1.94−2.11 (m, 2 H), 1.84−1.92 (m, 2 H), 1.26 (d, J=12.4 Hz, 2 H)。
【0199】
EtOH(300mL)中、1’−ベンジルスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−3(2H)−オン1ab(38g、0.15mol)の溶液に、塩酸ヒドロキシルアミン(18g、0.30mol)および酢酸ナトリウム(19.5g、0.275mol)を添加した。混合物を4時間還流し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を水150mLおよびCHCl100mLで希釈した。混合物を10分間撹拌後、得られた白色固体をろ過により集めた。ろ液中有機相を分離させ、水層をCHClで抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させた。減圧下で溶媒の蒸発後、黄色油状物を得た。該油状物をEtOAcから結晶化して1’−ベンジルスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−3(2H)−オンオキシム1acをオフホワイト色の固体として得た。1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 7.64 (d, J=8.0 Hz, 1 H), 7.55−7.57 (m, 2 H), 7.38−7.50 (m, 5 H), 7.29−7.33 (m, 1 H), 4.25 (s, 2 H), 3.41 (d, J=12.4 Hz, 2 H), 3.08 (t, J=12.0 Hz, 2 H), 2.95 (s, 2 H), 2.20−2.28 (m, 2 H), 1.68 (d, J=14.4 Hz, 2 H)。
【0200】
無水CHCl(60mL)中、1’−ベンジルスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−3(2H)−オンオキシム1ac(6.4g、0.021mol)の溶液に、DIBAL−H(108mL、トルエン中1M)を0℃にて滴下した。混合物を0℃にて3時間撹拌した。反応をCHCl(30mL)で希釈することによりクエンチし、次いで、氷水浴中、NaF(16.2g、0.372mol)および水(5.2g、0.288mol)で成功裏に処理した。得られた懸濁液の激しい撹拌を0℃にて30分間継続した。ろ過後、ろ過ケーキをCHClで洗浄した。集めた有機ろ液の溶媒を減圧下で除去して褐色油状物を得た。同じスケールの他の4つのバッチを並行して行った。。合わせた褐色油状物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(CHCl)により精製して1−ベンジル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]1ad(9.5g、31%)を得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.25−7.37 (m, 6 H), 6.95−6.99 (m, 1 H), 6.66−6.70 (m, 1 H), 6.49 (dd, J=8.0 Hz, 1.6 Hz, 1 H), 3.86 (s, 1 H), 3.58 (s, 2 H), 3.23 (t, J=5.6 Hz, 2 H), 2.76 (d, J=11.6 Hz, 2 H), 2.29 (t, J=12.0 Hz, 2 H), 2.13−2.19 (m, 2 H), 1.93 (t, J=5.6 Hz, 2 H), 1.61 (d, J=11.6 Hz, 2 H)。MS(ESI)m/e(M+H)293.2。
【0201】
乾燥CHCl(35mL)中、1−ベンジル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]1ad(4.5g、15.4mmol)の溶液に、室温にてNaHCO(6.47g、77mmol)を添加した。その後、塩化アセチル(1.2g、15.4mmol)を周囲温度で添加した。混合物を室温にて2時間撹拌した。ろ過後、ろ液を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて白色固体を得て、それをエーテルで洗浄し、ろ過して精製生成物1−(1−ベンジル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−イル)エタノン1ae(不掲載)を得た。該固体(5.2g、15.6mmol)をMeOH(50mL)中に溶解し、その後Ar下、Pd(OH)/C(0.25g)を添加した。懸濁液を、H(50psi)下、50−55℃にて一晩水素下した。冷却およびろ過後、ろ液を減圧下で蒸発させて1−(2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−イル)エタノン1ae(3.12g、83%、2工程)を得た。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.46−7.49 (m, 2 H), 7.21−7.26 (m, 3 H), 3.82 (t, J=5.7 Hz, 2 H), 3.38 (d, J=12.9 Hz, 2 H), 3.08−3.16 (m, 2 H), 2.38−2.48 (m, 2 H), 2.24 (s, 3 H), 1.97 (t, J=6.0 Hz, 2 H), 1.77 (d, J=14.7 Hz, 2 H)。MS(ESI) m/z (M+H)245.2。
【0202】
1−(2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−イル)エタノン1af(500mg、2.05mmol)およびエチル4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(420mg、2.46mmol)を、1,2−ジクロロエタン(10mL)および氷酢酸(369mg、6.15mmol)中に溶解し、その後、NaBH(OAc)(869mg、4.1mmol)で処理した。反応物を窒素下で48時間35℃にて加熱した。反応物を1N HCL(100mL)で希釈し、酢酸エチルで洗浄した(3×30mL)。水層を5N NaOHで塩基性化し、生成物をジクロロメタン中に抽出した(3×50mL)。有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて、ろ過し濃縮して粗生成物を無色油状物として得た。該油状物をクロマトグラフ(シリカ、3−10%MeOH/ジクロロメタン)して化合物番号11を得た。LC/MS(5分かけて10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 400.2、保持時間1.80分。
【0203】
実施例2:ブト−2−イニル4−(1’−(ジメチルカルバモイル)−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物番号5)
【化26】

【0204】
1−ベンジル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]2aaを、30mLのアセトニトリル中に懸濁し、2当量の塩化ジメチルカルバモイルで処理し、次いでトリエチルアミン(2.38mL、17.1mmol)を滴下した。反応を室温にて16時間撹拌し、その後8当量の塩化ジメチルカルバモイルで処理し、さらに16時間、45℃まで加熱した。反応物を冷却し、100mLの1.0N HCLで希釈し、エーテル(3×25mL)および酢酸エチル(2×25mL)で洗浄した。水層を塩基性化し、生成物をDCM中に抽出した。有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し乾燥させた。粗生成物をシリカ(4−10%MeOH/DCM勾配)プラグを通してろ過し、粗1−ベンジル−N,N−ジメチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド2abを得た。該生成物を、さらなる精製なしに脱ベンジル化工程に用いた。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 364.4、保持時間1.85分。
【0205】
粗1−ベンジル−N,N−ジメチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド2ab(3.1g、8.01mmol)を、30mLの無水エタノール中に溶解し、窒素でフラッシュし、500mgの10%Pd/Cで処理した。フラスコを窒素でフラッシュし、その後Hバルーンを取り付けた。急速撹拌溶液を一晩45℃まで加熱した。反応物をセライトを通してろ過し、濃縮してN,N−ジメチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド2acを琥珀色油状物として得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 274.2、保持時間1.39分。
【0206】
N,N−ジメチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド2ac(800mg、2.93mmol)およびエチル4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(875mg、4.40mmol)を、5.0mLの無水ジクロロエタンおよび氷酢酸(351mg、5.86mmol)中に溶解し、その後、NaBH(OAc)(931mg、4.40mmol)で処理した。フラスコを窒素でフラッシュし、18時間35℃にて撹拌した。反応物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、1.0N NaOH(50mL)、50%飽和重炭酸ナトリウム(50mL)、および塩水(100mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮して1.34gのtert−ブチル4−(1’−(ジメチルカルバモイル)−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート2adを無色油状物として得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 457.4、保持時間2.00分。
【0207】
tert−ブチル4−(1’−(ジメチルカルバモイル)−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート2ad(1.34g、2.93mmol)を、40mLの無水ジクロロメタン中に溶解し、0℃まで冷却した。急速撹拌溶液をTFA(20mL)で処理し、2時間かけて室温にした。反応物を〜20mLのアセトニトリルで希釈し、油状物に濃縮した。該油状物を100mLの1.0N HCL中に入れ、ジエチルエーテルで洗浄した(3×30mL)。その後、水溶液を5N NaOHで塩基性化し、生成物をジクロロメタン中に抽出した(3×50mL)。有機層を塩水(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮してN,N−ジメチル−1−(ピペリジン−4−イル)−2’,3’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド2aeを無色油状物として得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 357.2、保持時間0.78分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 7.35 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.06 (t, J=7.3 Hz, 1H), 6.90 (t, J=7.5 Hz, 1H), 6.75 (d, J=8.0 Hz, 1H), 3.40 (t, J=5.8 Hz, 2H), 3.13 (d, J=12.4 Hz, 2H), 2.77 (s, 6H), 2.71−2.61 (m, 5H), 2.42 (t, J=10.8 Hz, 3H), 1.92 (t, J=10.7 Hz, 2H), 1.86−1.78 (m, 5H), 1.58−1.45 (m, 4H)。
【0208】
N,N−ジメチル−1−(ピペリジン−4−イル)−2’,3’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド2ae(35.7mg、0.1mmol)を、アセトニトリル(1mL)およびトリエチルアミン(100μL)中に溶解し、ブト−2−イニル クロロカルボナート(26.5mg、0.2mmol)で処理した。反応物を1時間撹拌し、その後メタノール(0.5mL)で希釈し、HPLC(2−99%CHCN勾配、0.05%TFA)により精製して化合物番号5を得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 453.2、保持時間2.31分。1H−NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 12.65 (br s, 1H), 7.69 (d, J=6.9 Hz, 1H), 7.13 (t, J=8.3 Hz, 1H), 7.02 (t, J=8.1 Hz, 1H), 6.83 (d, J=9.2 Hz, 1H), 4.66 (s, 2H), 4.38 (br s, 2H), 3.58 (m, 2H), 3.45 (m, 2H), 3.31 (m, 1H), 3.08 (m, 5H), 2.85 (s, 6H), 2.37 (m, 2H), 1.97 (m, 2H), 1.86 (t, J=2.3 Hz, 3H), 1.81 (m, 3H), 1.42 (t, J=7.3 Hz, 2H)。
【0209】
実施例3:N,N−ジメチル−1−(1−(6−メチルピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)−2’,3’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド(化合物番号9)
【化27】

【0210】
N,N−ジメチル−1−(ピペリジン−4−イル)−2’,3’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド3aa(620mg、1.75mmol)、炭酸カリウム(725mg、5.25mmol)および2,6−ジクロロピラジン(260mg、1.75mmol)をアセトニトリル中に溶解し、マイクロ波照射で20分間150℃まで加熱した。反応物をEtOAc(100mL)で希釈し、1.0N NaOH(2×25mL)および塩水(1×25mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮して粗1−(1−(6−クロロピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)−N,N−ジメチル−2’,3’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド3abを得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 469.3、保持時間2.45分。
【0211】
1−(1−(6−クロロピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)−N,N−ジメチル−2’,3’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド3ab(120mg、0.26mmol)、ボロン酸メチル(46mg、0.78mmol)およびPd(dppf)Cl(12mg)を、20mLのマイクロ波チューブ中、CHCN(2mL)および2M NaCO(3mL)中に溶解して二相性混合物を形成した。該混合物を20分間150℃にてマイクロ波照射した。粗反応物をHPLC(2−99%CHCN勾配、0.05%TFA)により精製して化合物番号9を得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 449.2、保持時間1.75分。
【0212】
実施例4a:1−(1−(5,6−ジメチルピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)−N,N−ジメチル−2’,3’−ジヒドロスピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド(化合物番号20)
【化28】

【0213】
Pd(dba)−CHCl(5mg、0.5mol%)、リガンド1(8mg、2mol%)および1.4当量のナトリウム・tert−ブトキシド(13mg、0.14mmol)を、空気中で重量を測定し、マイクロ波チューブに移し、次いでジオキサン(750μL)、1.0当量のN,N−ジメチル−1−(ピペリジン−4−イル)−2’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’(3’H)−カルボキサミド(36mg、0.10mmol)および1.0当量の5−クロロ−2,3−ジメチルピラジン(14mg)を加えた。該チューブを窒素でフラッシュし、栓をして80℃にて3時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、メタノール(500μL)で希釈し、ろ過し(Whatman 0.45μm PTFE)、逆相HPLC精製(t=10分かけて、2−40%CHCN勾配[w/0.1%TFA(aq)]、750μL注入、35mL/分)を行い、化合物番号20を得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 463.4、保持時間2.13分。
【0214】
実施例4b:5−フルオロ−N,N−ジメチル−1’−(1−(ピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1−カルボキサミド(化合物番号52)
【化29】

【0215】
Pd(dba)(0.5mol%、5.175mg)、リガンド1・2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(7.86mg、20mol%)およびナトリウム・tert−ブトキシド(13.45mg、0.14mmol)を、空気中で重量を測定し、マイクロ波チューブに移した。5−フルオロ−N,N−ジメチル−1’−(ピペリジン−4−イル)スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1−カルボキサミド4ba(36.0mg、0.1mmol)および2−ヨードピラジン(20.5mg、0.1mmol)および1mLのジオキサンを添加した。該チューブをNでパージし、80℃にて16時間撹拌した。反応物をメタノールで希釈し、ろ過し(Whatman 0.2μm PTFE)、逆相HPLC精製[13分かけて、0.1%TFA(aq)含有2−50%CHCN勾配、35mL/分、1.5mL注入]を行い、化合物番号52を得た。1H NMR (400 MHz, MeOD) 8.63 (d, J=2.6 Hz, 1H), 8.52 (s, 1H), 7.92 (d, J=3.0 Hz, 1H), 7.28 − 7.23 (m, 2H), 7.03 − 6.98 (m, 2H), 4.75 − 7.72 (m, 2H), 3.93 (s, 2H), 3.70 − 3.78 (m, 3H), 3.33 − 3.18 (m, 4H), 3.00 (s, 6H), 2.42 − 2.35 (m, 4H), 2.05 − 1.92 (m, 4H)。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 421.1、保持時間2.03分。
【0216】
実施例5:N,N−ジメチル−1’−(8−(3−メチル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル)スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1−カルボキサミド(化合物番号65)
【化30】

【0217】
tert−ブチル1’−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル)スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1−カルボキシレート5aa(350mg、0.88mmol)を、マイクロ波チューブ中、3mlのアセトニトリル中に溶解した。3当量(362.27mg、2.64mmol)のKCOを添加し、次いで5当量の5−クロロ−3−メチル−1,2,4−チアジアゾール(592.2mg、4.4mmol)を添加した。混合物を、160℃にて30分間マイクロ波照射した。粗反応物をろ過してKCOを除去し、アセトニトリルを蒸発させて粗精製物5abを得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 496.4、保持時間2.29分。
【0218】
粗tert−ブチル1’−(8−(3−メチル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル)スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1−カルボキシレート5abを、CHCl/TFAの1:1混合物中に溶解し、1時間撹拌した。溶媒を蒸発させて粗5acTFA塩を得た。該TFA塩5acを20mlのHOに溶解し、5分間撹拌した。EtOAc50mlを混合物に添加し、さらに15分間撹拌した。層を分離させ、水層を5mlの5N NaOHで処理した。混合物をCHClで抽出した(3×50mL)。有機層を集め、合わせてNaSOで乾燥させ、濃縮して粗遊離アミン5acを得た。粗5acを分取HPLC[13分かけて、0.1%TFA(aq)含有2−50%CHCN勾配、35mL/分、1.5mL注入]により精製して純粋な物質をTFA塩として得た。5acの純粋なTFA塩を、上記の遊離アミンに変換させて0.7mmol、276mgの3−メチル−5−(3−(スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル)−1,2,4−チアジアゾール5acを得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 396.0、保持時間0.68分。
【0219】
5ac(276mg、0.7mmol)を、20mlのCHCl中に溶解し、10当量(747mg、6.98mmol)の塩化ジメチルカルバモイルで処理し、次いで3当量(214mg、2.1mmol)のトリエチルアミンを添加した。混合物を窒素下で16時間撹拌し、粗化合物番号65を得た。反応混合物を濃縮し、アセトニトリルで希釈し、分取HPLC[13分かけて、0.1%TFA(aq)含有2−50%CHCN勾配、35mL/分、1.5mL注入]により精製して化合物番号65の純粋なTFA塩を得た。1H NMR (400 MHz, MeOD) 7.12 − 7.10 (m, 2H), 6.89 − 6.86 (m, 2 H), 4.45 (s, 2H), 3.87 (bs, 1H), 3.80 (s, 2H), 3.60 − 3.79 (m, 2H), 3.09 (bs, 2H), 2.88 − 2.83 (m, 6H), 2.37 (s, 3H), 2.27 − 1.94 (m, 8H), 1.95 − 1.86 (m, 4H)。LC/MS(RP−C18、5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 467.4、保持時間1.79分。
【0220】
実施例6:N,N−ジメチル−1’−(8−(ピラジン−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル)スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1−カルボキサミド(化合物番号103)
【化31】

【0221】
N,N−ジメチルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1−カルボキサミド6aa(500mg、1928μmol)を、DCE(1.5mL)およびDME(1.5mL)の混合物中に懸濁し、tert−ブチル・3−オキソ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシレート6ab(651mg、2892μmol)で処理し、次いでチタン酸(IV)イソプロピル(2.260ml、7712μmol)で処理した。チューブを窒素でフラッシュし、栓をして窒素下で35℃にて50時間撹拌した。反応をMeOH(10mL)でクエンチし、−40℃まで冷却した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(817mg、3856μmol)を少しずつ添加し、反応を、激しいバブリングが治まるまで−40℃にて行い、その後混合物をゆっくりと室温まで温め、一晩撹拌した。1N NaOH(10mL)を添加し、次いでアセトン(50mL)を添加し、懸濁液を2時間撹拌して、チタン塩(titanium salt)を完全に沈殿させた。懸濁液をろ過し、ろ過ケーキをアセトンで濯いだ(5×20mL)。ろ液を、有機溶媒の大部分を蒸発させて濃縮し、残った水層を1N NaOHで希釈し、ジクロロメタンで抽出した(3×75mL)。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。残った微量の出発物質を除去するため、粗生成物をジクロロメタン(20mL)中に溶解し、クロロギ酸エチル(1mL)およびトリエチルアミン(1mL)で処理する。30分後、溶液を1N NaOH(30mL)で洗浄した。水層をDCMで抽出し(2×50mL)、合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。遊離塩基をジエチルエーテル(20mL)中に溶解し、過剰のエーテル(5mL)中1N HClで処理した。得られた懸濁液を窒素下でろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し(3×20mL)、真空乾燥してtert−ブチル3−(1−(ジメチルカルバモイル)スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシレートヒドロクロライド6acを白色固体(LC/MSにより90%純度)を得た。LC/MS m/z 469.4[M+H] 保持時間2.12分(0.03%TFA含有10−99%CHCN−HO勾配、5分)。
【0222】
Tert−ブチル3−(1−(ジメチルカルバモイル)スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシレートヒドロクロライド6ac(0.850g、1.683mmol)を、MeOH(5mL)中に溶解し、次いでジオキサン(40mL)に溶解し、ジオキサン(4.21mL、16.83mmol)中、4N HClで処理した。反応を一晩撹拌した(完全に変換した)。混合物をEtO(150mL)で希釈し、ろ過した。沈殿をEtOAcで洗浄し(3×30mL)、乾燥させて1’−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル)−N,N−ジメチルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1−カルボキサミド6ad・ビス−ヒドロクロライドをオフホワイト色の固体(LC/MSにより95%純度)を得た。この物質をさらなる精製なしに次工程に用いた。LC/MS m/z 369.0[M+H] 保持時間1.04分(0.03%TFA含有10−99%CHCN−HO勾配、5分)。
【0223】
1’−(8−Azaビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル)−N,N−ジメチルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1−カルボキサミド(遊離塩基)6ad(300mg、680μmol)を、アセトニトリル(3mL)中に溶解し、2−クロロピラジン(312mg、2.7mmol)で処理し、次いでKCO(564mg、4.08mmol)および400μLのトリエチルアミンで処理した。反応混合物を160℃にて2×2時間マイクロ波照射した。粗反応混合物を減圧下で濃縮し、その後DCM(50mL)中に懸濁し、1N NaOHで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物を40gカラム上、60分かけて、1−5%ジクロロメタン−メタノール勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。純粋な画分を濃縮し、遊離塩基をジエチルエーテル(20mL)中に溶解し、過剰量のエーテル(5mL)中1N HClで処理した。得られた懸濁液を窒素下でろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し(3×20mL)、真空乾燥させて化合物番号103のビス−ヒドロクロライドを黄色固体として得た。LC/MS m/z 447.4[M+H] 保持時間1.80分(0.03%TFA含有10−99%CHCN−HO勾配、5分)。1H NMR (遊離塩基) (400 MHz, CDCl3) δ 8.07 (d, J=4.1 Hz, 2H), 7.81 (s, 1H), 7.16 (t, J=7.7 Hz, 2H), 6.91 (m, 2H),4.65 (s, 2H), 3.74 (s, 2H), 2.94 (s, 6H), 2.90 (m, 2H), 2.20 − 2.12 (m, 4H), 1.93 − 1.60 (m, 11H)。
【0224】
実施例7:エチル4−(1−(ジメチルカルバモイル)スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(化合物番号39)
化合物番号39を、公知の方法および上記の方法を用いて合成した。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 10.88 (s, 1H), 7.18 (td, J=7.7, 2.9 Hz, 1H), 7.12 (d, J=7.2 Hz, 1H), 6.94 (t, J=7.7 Hz, 2H), 4.12 (d, J=11.9 Hz, 2H), 4.05 (q, J=7.1 Hz, 2H), 3.81 (s, 2H), 3.45 (d, J=12.2 Hz, 2H), 3.16 − 3.05 (m, 2H), 2.87 (s, 6H), 2.83 (m, 2H), 2.39 (dd, J=10.7, 13.5 Hz, 2H), 2.16 (d, J=11.2 Hz, 2H), 1.82 (d, J=13.9 Hz, 2H), 1.66 − 1.57 (m, 2H), 1.20 (t, J=7.1 Hz, 3H)。
【0225】
実施例8:プロプ−2−イニル3−(1’−(ジメチルカルバモイル)−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシレート(化合物番号28)
【化32】

【0226】
N,N−ジメチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド2ac(400mg、1.47mmol)およびエチル4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(658mg、2.92mmol)を、9.0mLの無水ジクロロエタン中に溶解した。その後、これにチタン酸(IV)イソプロピル(1.25g、4.38mmol)を添加した。フラスコを窒素でフラッシュし、35℃にて60時間撹拌した。反応物を30mLのメタノールで希釈し、−20℃まで冷却し、そこへNaBH(110mg、2.92mmol)を少しずつ添加した。20分後、氷浴を除去し、懸濁液を室温で1時間撹拌した。その後、これに1.0N NaOH(25mL)を添加し、室温で20分間撹拌後、懸濁液をセライトパッドを通してろ過し、ろ過ケーキをメタノールで濯いだ。ろ液を蒸発させ、残った褐色残渣を300mLのジクロロメタン中に抽出した。溶液を50%飽和重炭酸ナトリウム(50mL)および塩水(100mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮して875mgの粗生成物を淡褐色の泡状物として得た。該物質を、シリカの小さいプラグ上で、ジクロロメタン中5%メタノール(5%NHOH含有)の溶液で溶出して精製し、388mg(55%)の純粋なtert−ブチル3−(1’−(ジメチルカルバモイル)−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペルジン(piperdine)−4,4’−キノリン]−1−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシレート8ab(HCl塩)を黄色固体として得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 483.4[M+H]、保持時間2.34分。
【0227】
中間体8ab(HCl塩)(388mg、0.805mmol)を、5mLの無水ジオキサン中に溶解し、0℃まで冷却した。その後、急速撹拌溶液をジオキサン中4N HClの溶液で処理し、室温にした。反応液を一晩撹拌し、その後濃縮して1−(8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル)−N,N−ジメチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド8acを淡褐色油状物として得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 383.2[M+H]、保持時間1.83分。
【0228】
中間体8ac(HCl塩)(25mg、0.065mmol)を、アセトニトリル(2mL)およびトリエチルアミン(100uL)中に溶解し、クロロギ酸プロパルギル(16mg、0.13mmol)で処理した。反応物を1時間撹拌し、その後メタノール(0.5mL)で希釈し、HPLC(2−99%CHCN勾配、0.05%TFA)により精製して化合物番号28を得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 465.2[M+H]、保持時間1.93分。
【0229】
実施例9:1−(8−(3−エチル−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル)−N,N−ジメチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[ピペリジン−4,4’−キノリン]−1’−カルボキサミド(化合物番号32)
【化33】

【0230】
中間体8ac(HCl塩)(25mg、0.065mmol)を、マイクロ波バイアル中に入れ、アセトニトリル(2mL)中に溶解した。その後、該塩をトリエチルアミン(100uL)の添加により中和した。その後、この溶液にKCO(16.4mg、0.118mmol)を添加し、次いで5−クロロ−3−エチル−1,2,4−チアジアゾール(132mg、0.89mmol)を添加した。反応物を160℃にて20分間マイクロ波で加熱した。室温まで冷却後、溶液をメタノールで希釈し、シリンジフィルターを通してろ過した。ろ液を濃縮し、粗生成物を逆相HPLC(2−99%CHCN勾配、0.05%TFA)により精製して化合物番号32を得た。LC/MS(5分かけて、10−99%CHCN/0.05%TFA勾配): m/z 495.4[M+H]、保持時間1.92分。
【0231】
実施例10:3−((S)−1’−((1R,2S,4S)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−3−イル)−1,1−ジメチルウレア(化合物番号119)
【化34】

【0232】
出発物質10a(47.7mg、0.128mmol、1.0当量)を、DCE(1mL)中に懸濁し、(−)−2−ノルカンファー(norcamphor)10b(21.1mg、0.192mmol、1.5当量)で処理し、次いでNaBH(OAc)(81.4mg、0.384mmol、3.0当量)および氷酢酸(3当量)を少しずつ添加した。反応を室温にて72時間撹拌し、その後MeOH(2mL)でクエンチし、さらに数時間撹拌した(ガス発生が止まるまで)。その後、反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をDCM中に溶解した。混合物を順相HPLCにより精製した。合わせた純粋画分を減圧下で濃縮し、化合物番号119を白色泡状物として得た。該純粋画分をCHCl(1mL)および酢酸エチル(5mL)中に溶解した。混合物を0℃で30分間撹拌し、塩酸(1当量)を滴下した。混合物を氷浴中で30分間撹拌し、その後、濃縮乾固して生成物をHCl塩として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO) 9.36 (s, 1H), 7.32 − 7.19 (m, 4H), 6.53 (d, J=8.3 Hz, 1H), 5.27 (q, J=8.3 Hz, 1H), 3.50 − 3.37 (m, 3H), 3.17 (d, J=12.3 Hz, 1H), 2.98 (d, J=10.0 Hz, 1H), 2.83 (s, 6H), 2.74 − 2.66 (m, 2H), 2.59 (s, 1H), 2.29 (s, 1H), 1.99 (d, J=10.6 Hz, 2H), 1.78 − 1.63 (m, 4H), 1.56 − 1.47 (m, 3H), 1.41 (d, J=11.7 Hz, 2H), 1.30 (d, J=9.1 Hz, 1H)。LC/MS(3分かけて、10−90%) m/z 368.2、保持時間1.5分。
【0233】
実施例11:式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)の化合物の物理的特性
表1に示す構造を有するさらなる化合物を、公知の方法および上記の方法を用いて合成した。
【表11】

【0234】
V.アッセイ
ムスカリン受容体活性を決定するための細胞内カルシウムの機能的動員:
ムスカリン受容体(MないしM)を発現するCHO細胞を、単層として組織培養フラスコ中、37℃にて5%CO含有湿加湿雰囲気下培養し、3−5日毎に継代する。増殖培地は25mM Hepesを含み、ウシ胎仔血清(Hyclone, cat# SH30071.03)、0.1mMのMEM非必須アミノ酸(GIBCO, Cat# 11140−050)、1mM MEMピルビン酸ナトリウム(GIBCO Cat# 11360−070)、ならびに100単位/mlのペニシリンGおよび100μg/mlのストレプトマイシン(GIBCO Cat# 15140−122)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM, Gibco Cat# 12430−054))である。組み換えムスカリン受容体細胞株を、25μg/mlゼオシンおよび500μg/ml G418(M1−CHO)、4μg/ml ピューロマイシン、50μg/mlゼオシンおよび2.5μg/mlブラスチシジン(M2およびM4−CHO)、または50μg/mlゼオシンおよび4μg/mlピューロマイシン(M3およびM5−CHO)を含む培地で抗生物質圧下に増殖させる。
【0235】
細胞を、Versene(GIBCO Cat# 15040−066)を使用して80−90%コンフルエンスで回収し、遠心により集め、播種して18−24後に黒色壁、透明底384ウェルプレート(BD Biocoat、ポリ−D−リシン、Cat# 356663)中5,000−10,000細胞/ウェルの密度でカルシウムアッセイを行う。実験の日に、細胞をプレート洗浄機(Bioteck Instruments, ELX 405)で、1mMプロベネシド含有浴1緩衝液(140mM NaCl、4.5mM KCl、2mM CaCl、1mM MgCl、10mM Hepes−Na、10mM グルコース、NaOHでpH7.4)を使用して洗浄する。次に、カルシウム色素Fluo−3(25μl/ウェルのFluo−3 AM、4μM、Molecular Probes F−1241、1mM プロベネシド含有浴1緩衝液中)を、プレート洗浄後に各ウェルに残っている25μlの浴1に添加し、色素を37℃にて、組織培養インキュベーター中60から90分間負荷する。蛍光色素を、1mMプロベネシド含有浴1でのプレート洗浄により除去し、洗浄後に25μl/ウェルのこの溶液を残す。あるいは、細胞をMolecular Devices(Calcium 3 Assay Reagents, Cat# R7181)からのカルシウムインディケーターで、1mMプロベネシド含有浴1中の5μlの5×溶液色素(20×溶液を製造するために、10ml/色素フラスコcat# R7182)を20μlの同じ緩衝液へ添加することにより、負荷し得る。60分間負荷後、実験を色素を除去することなく行い得る。
【0236】
化合物を、1mMプロベネシド含有浴1中で予めスポットした化合物を再構成することにより、96ウェルプレート(丸底、Costar Corning cat# 3656)中に2倍濃度で製造する。最終DMSO濃度は0.5%であり、DMSOの量をアッセイプレートを通して標準化する。化合物のムスカリン受容体に対するアゴニスト作用を決定するために、再構成した化合物を、FLIPR 3 Instrument(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)の多チャネル自動システムを使用して、細胞アッセイプレート(25μl/ウェル含有)に添加する(25μl化合物/ウェル)。化合物のムスカリン受容体に対する機能的阻害作用を決定するために、再構成した化合物をアッセイプレートに添加し(25μl化合物/ウェル)、15分間プレインキュベートし、その後25μlのカルバコールを各ムスカリンサブタイプに対する3×EC80で添加する。あるいは、化合物をアゴニストと同時に添加してよい。両方のアッセイモードにおいて、蛍光を60秒(励起波長488nMおよび放出波長540nm)、FLIPR 3 instrumentを用いて記録する。
【0237】
ムスカリン化合物の効力、効果および選択性を、全ファミリー(MからM細胞)にわたり化合物活性をスクリーニングすることにより評価した。化合物を、M受容体に対する選択性を決定するために、他のタンパク質、例えば他のGPCRおよびイオンチャネルに対する活性についてもスクリーニングした。
【0238】
本発明の化合物は、他の受容体タイプよりもMおよび/またはMムスカリン受容体を選択的に調節することが判明した。
【0239】
およびM受容体調節に対する式(I、Ia、Ib、Ic、IdおよびII)のムスカリン化合物の活性および効果の例を、下記の表4に示す。MおよびMに対する化合物活性を、活性が2.0μM未満で測定されたとき“+++”、活性が2.0μMないし10.0μMで測定されたとき“++”、活性が10.0μM以上で測定されたとき“+”、およびデータが得られないとき“−”として記載する。MおよびM調節に対する効果を、効果が100%以上であると計算されたとき“+++”、効果が100%ないし25%と計算されたとき“++”、および効果が25%未満であると計算されたとき“+”、およびデータが得られないとき“−”として記載する。100%効果は、カルバコール対照で得られる最大応答であることに注意すべきである。
【0240】
【表12】


【表13】

【0241】
他の態様
本発明をその詳細な記載と関連して記載しているが、前記は説明を意図するものであり、本発明の範囲を限定するものではなく、それは添付の特許請求の範囲により定義されるものであることは理解されるべきである。他の局面、利点、および修飾は特許請求の範囲の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】


[式中、
は、
所望により置換されていてよい脂肪族または−NRR’であり;
およびR’は、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族であるか、または
およびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族であり;
Lは、
−(CH−〔式中、nは0−2である。〕であり;
は、
シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族(各々が所望により1−3個のRで置換されていてよい。)であり;
各Rは、−Z〔式中、Zは、それぞれ独立して、結合であるか、または所望により置換されていてよい分枝鎖もしくは直鎖C1−6脂肪族鎖であり、Zの2個までの炭素単位は、所望によりかつ独立して、−CO−、−CS−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−または−NRSONR−により置換されていてよく;
は、それぞれ独立して、R、ハロ、−OH、−NH、−NO、−CNまたは−OCFであり;
は、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよい脂肪族、所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、または所望により置換されていてよいヘテロアリールである。〕であり;
各pは、0または1であり;
pが0であるとき、Rは、所望により置換されていてよいC2−8アルキル、所望により置換されていてよいアルケニル、所望により置換されていてよいアルキニル、N,N−ジメチルアミノであるか、またはRおよびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成する。]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式Ic:
【化2】


[式中、
は、
所望により置換されていてよい脂肪族または−NRR’であり;
およびR’は、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族であるか、または
およびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成し;
Lは、
−(CH−であり;
は、
−Z〔式中、Zは、それぞれ独立して、結合であるか、または所望により置換されていてよい分枝鎖もしくは直鎖C1−6脂肪族鎖であり、Zの2個までの炭素単位は、所望によりかつ独立して、−CO−、−OCO−、−COO−、−CONR−または−O−により置換されていてよく;
は、それぞれ独立して、R、ハロ、−OH、−NH、−NO、−CNまたは−OCFであり;
は、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよいC1−8脂肪族基、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリールである。〕であり;
m+qは2−5である。]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式Id:
【化3】


[式中、
は、
所望により置換されていてよいC2−8アルキル、所望により置換されていてよいアルケニル、所望により置換されていてよいアルキニル、N,N−ジメチルアミノ、または−NRR’であり;
およびR’は、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族であるか、または
およびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成し;
Lは、
−(CH−であり;
は、
−Z〔式中、Zは、それぞれ独立して、結合であるか、または所望により置換されていてよい分枝鎖もしくは直鎖C1−6脂肪族鎖であり、Zの2個までの炭素単位は、所望によりかつ独立して、−CO−、−OCO−、−COO−、−CONR−、または−O−により置換されていてよく;
は、それぞれ独立して、R、ハロ、−OH、−NH、−NO、−CN、または−OCFであり;
は、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよいC1−8脂肪族基、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリールである。〕であり;
m+qは2−5である。]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が所望により置換されていてよい脂肪族である、請求項1−3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチル(各々が所望により置換されていてよい。)である、請求項1−4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
が、所望により1−3個のハロ、オキソ、シアノ、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリールまたはヘテロアリールで置換されていてよいメチルである、請求項1−5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
が非置換メチルである、請求項1−6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
が−NRR’であり、RおよびR’が、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族である、請求項1−7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
およびR’が、それぞれ独立して、水素、または所望により1−3個のヒドロキシ、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロで置換されていてよいC1−4脂肪族、または所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、またはそれらの組合せである、請求項1−8のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
およびR’が、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよいメチル、所望により置換されていてよいエチル、または所望により置換されていてよいプロピルである、請求項1−9のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
およびR’が両方ともメチルである、請求項1−10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
が−NRR’であり、RおよびR’が、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成する、請求項1−11のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
が、所望により置換されていてよい単環式シクロ脂肪族、所望により置換されていてよい二環式シクロ脂肪族、または所望により置換されていてよい三環式シクロ脂肪族である、請求項1−12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項14】
が、所望により置換されていてよい3−9員の単環式シクロ脂肪族である、請求項1−13のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル(各々が所望により1−3個のハロで置換されていてよい。)、所望により置換されていてよい脂肪族、所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいアルコキシカルボニル、所望により置換されていてよいシクロアルコキシカルボニル、所望により置換されていてよいヘテロシクロアルコキシカルボニル、またはそれらの組合せである、請求項1−14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項16】
が、単環式ヘテロシクロ脂肪族、二環式ヘテロシクロ脂肪族または三環式ヘテロシクロ脂肪族(各々が所望により置換されていてよい。)である、請求項1−15のいずれか一項記載の化合物。
【請求項17】
が、N、OおよびSから独立して選択される1ないし3個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてよい5−9員の単環式ヘテロシクロ脂肪族である、請求項1−16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項18】
が、ピロリジン−イル、1,3−ジオキソラン−イル、イミダゾリジン−イル、2−ピラゾリン−イル、ピラゾリジン−イル、ピペリジン−イル、1,4−ジオキサン−イル、モルホリン−イル、アゼパン−イル、ピペラジン−イル、またはアゾカン−イル(各々が所望により1−3個のハロで置換されていてよい。)、または脂肪族、アルコキシ、(脂肪族(オキシ))カルボニル、(アルコキシ(アルコキシ))カルボニル、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アシル、アミド、アミノ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族(オキシ))カルボニルである、請求項1−17のいずれか一項記載の化合物。
【請求項19】
が、N、OおよびSから独立して選択される1ないし3個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてよい二環式ヘテロシクロ脂肪族である、請求項1−18のいずれか一項記載の化合物。
【請求項20】
が、所望により置換されていてよい7−10員の架橋二環式ヘテロシクロ脂肪族または縮合二環式ヘテロシクロ脂肪族(各々が所望により置換されていてよい。)である、請求項1−19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項21】
が、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン−イル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−イル、または8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−イル(各々が所望により1−3個のハロで置換されていてよい。)、または脂肪族、アルコキシ、(脂肪族(オキシ))カルボニル、(アルコキシ(アルコキシ))カルボニル、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アシル、アミド、アミノ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族(オキシ))カルボニルである、請求項1−20のいずれか一項記載の化合物。
【請求項22】
が、1−メトキシカルボニルピペリジン−4−イル;1−エトキシカルボニルピペリジン−4−イル;プロポキシカルボニルピペリジン−4−イル;1−イソプロポキシカルボニルピペリジン−4−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)ピペリジン−4−イル;1−(2−メトキシ(エトキシ)カルボニル)ピペリジン−4−イル;1−((3−ブチノキシ(butynoxy))カルボニル)ピペリジン−4−イル;8−(メトキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(エトキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(プロポキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(イソプロポキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(メトキシ(エトキシ)カルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(3−ブチニルオキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(ピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル;1−(メトキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−(エトキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−(イソプロポキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)ピロリジン−3−イル;1−(2−(メトキシ(エトキシ))カルボニル)ピロリドン−3−イル;1−(プロポキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)ピロリドン−3−イル;8−(3−メチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(3−エチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(メトキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;1−(エトキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;1−(プロポキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;
1−(イソプロポキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)アゼパン−4−イル;1−(2−(メトキシ(エトキシ))カルボニル)アゼパン−4−イル;(テトラヒドロフラン−3−イル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;(テトラヒドロフラン−3−イル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;4−(3−メチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))シクロヘキサン−1−イル;1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル;1−(3−エチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))ピペリジン−4−イル;1−(6−クロロ(ピラジン−2−イル))ピペリジン−4−イル;1−(キノキサリン−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(6−メチル(ピラジン−2−イル))ピペリジン−4−イル;1−(メトキシ(カルボニル))アゾカン−5−イル;1−(エトキシ(カルボニル))−4−メチルピペリジン−4−イル;1−(ピラジン−2−イル−(4−メチル))ピペリジン−4−イル;1−(3−メチル−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))ピロリジン−3−イル;1−(3−エチル−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))ピロリジン−3−イル;1−((5,6−ジメチル(ピラジン−2−イル)))ピロリジン−3−イル;1−((5,6−ジメチル(ピラジン−2−イル)))ピペリジン−4−イル;1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル;1−(チアゾール−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(4−メチル(チアゾール−2−イル))ピペリジン−4−イル;4−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)シクロヘキサン−1−イル;1−(2−ヒドロキシ−(6−フェニル−(ピラジン−6−イル)))ピペリジン−4−イル;1−(6−(2−ヒドロキシフェニル)ピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(5−メチル(チアゾール−2−イル))ピペリジン−4−イル;1−(ベンゾ(d)チアゾール−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(ベンゾ(d)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピペリジン−4−イル;1−(ペント−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピペリジン−4−イル;8−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(ブト−2−イニル(オキシ(カルボニル)))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;1−(ブト−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;1−(ペント−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;8−(ピラジン−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;1−(ブト−2−イニル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;1−(ペント−2−イニル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;1−(エトキシ(カルボニル))アゾカン−5−イル;1−(ピラジン−2−イル)ピロリドン−3−イル;および、ピペリジン−4−イルから選択される1つである、請求項1−21のいずれか一項記載の化合物。
【請求項23】
が、所望により置換されていてよい−COO−アルキルまたは所望により置換されていてよい−COO−シクロアルキルである、請求項1−22のいずれか一項記載の化合物。
【請求項24】
qが1−3である、請求項1−23のいずれか一項記載の化合物。
【請求項25】
mが1−3である、請求項1−24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項26】
表1に示す化合物1−119から選択される化合物。
【請求項27】
ムスカリン受容体の活性をモジュレートする方法であって、該受容体と式I:
【化4】


[式中、
は、
所望により置換されていてよい脂肪族または−NRR’であり;
およびR’は、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族であるか、または
およびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成し;
Lは、
−(CH−〔式中、nは0−2である。〕であり、
は、
シクロ脂肪族またはヘテロシクロ脂肪族(各々が所望により1−3個のRで置換されていてよい。)であり;
各Rは、−Z〔式中、Zは、それぞれ独立して、結合であるか、または所望により置換されていてよい分枝鎖もしくは直鎖C1−6脂肪族鎖であり、Zの2個までの炭素単位は、所望によりかつ独立して、−CO−、−CS−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−または−NRSONR−により置換されていてよく;
は、それぞれ独立して、R、ハロ、−OH、−NH、−NO、−CNまたは−OCFであり;
は、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよい脂肪族、所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、または所望により置換されていてよいヘテロアリールである。〕であり;
各pは、0または1であり;
pが0であるとき、Rは、所望により置換されていてよいC2−8アルキル、所望により置換されていてよいアルケニル、所望により置換されていてよいアルキニル、N,N−ジメチルアミノであるか、またはRおよびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成する。]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を接触させる工程を含む、方法。
【請求項28】
ムスカリン受容体の活性をモジュレートする方法であって、該受容体と式Ic:
【化5】


[式中、
は、
所望により置換されていてよい脂肪族または−NRR’であり;
およびR’は、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族であるか、または
およびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成し;
Lは、
−(CH−であり;
は、
−Z〔式中、Zは、それぞれ独立して、結合であるか、または所望により置換されていてよい分枝鎖もしくは直鎖C1−6脂肪族鎖であり、Zの2個までの炭素単位は、所望によりかつ独立して、−CO−、−OCO−、−COO−、−CONR−または−O−により置換されていてよく;
は、それぞれ独立して、R、ハロ、−OH、−NH、−NO、−CNまたは−OCFであり;
は、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよいC1−8脂肪族基、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリールである。〕であり;
q+mは2−5である。]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を接触させる工程を含む、方法。
【請求項29】
ムスカリン受容体の活性をモジュレートする方法であって、該受容体と式Id:
【化6】


[式中、
は、
所望により置換されていてよいC2−8アルキル、所望により置換されていてよいアルケニル、所望により置換されていてよいアルキニル、N,N−ジメチルアミノ、または−NRR’であり;
およびR’は、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族であるか、または
およびR’は、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族を形成し;
Lは、
−(CH−であり;
は、
−Z〔式中、Zは、それぞれ独立して、結合であるか、または所望により置換されていてよい分枝鎖もしくは直鎖C1−6脂肪族鎖であり、Zの2個までの炭素単位は、所望によりかつ独立して、−CO−、−OCO−、−COO−、−CONR−、または−O−により置換されていてよく;
は、それぞれ独立して、R、ハロ、−OH、−NH、−NO、−CN、または−OCFであり;
は、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよいC1−8脂肪族基、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリールである。〕であり;
q+mは2−5である。]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を接触させる工程を含む、方法。
【請求項30】
が所望により置換されていてよい脂肪族である、請求項27−29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチル(各々が所望により置換されていてよい。)である、請求項27−30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
が、所望により1−3個のハロ、オキソ、シアノ、ニトロ、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリールまたはヘテロアリールで置換されていてよいメチルである、請求項27−31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
が非置換メチルである、請求項27−32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
が−NRR’であり、RおよびR’が、それぞれ独立して、水素または所望により置換されていてよいC1−4脂肪族である、請求項27−33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
およびR’が、それぞれ独立して、水素、または所望により1−3個のヒドロキシ、オキソ、ハロ、シアノ、ニトロで置換されていてよいC1−4脂肪族であるか、または所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、またはそれらの組合せである、請求項27−34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
およびR’が、それぞれ独立して、水素、所望により置換されていてよいメチル、所望により置換されていてよいエチル、または所望により置換されていてよいプロピルである、請求項27−35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
およびR’の両方がメチルである、請求項27−36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
が−NRR’であり、RおよびR’が、それらが結合する窒素原子と一体となって、所望により置換されていてよい4−7員のヘテロシクロ脂肪族である、請求項27−37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
が、所望により置換されていてよい単環式シクロ脂肪族、所望により置換されていてよい二環式シクロ脂肪族、または所望により置換されていてよい三環式シクロ脂肪族である、請求項27−38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
が、所望により置換されていてよい3−9員の単環式シクロ脂肪族である、請求項27−39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチル(各々が所望により1−3個のハロで置換されていてよい。)、所望により置換されていてよい脂肪族、所望により置換されていてよいシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいヘテロシクロ脂肪族、所望により置換されていてよいアリール、所望により置換されていてよいヘテロアリール、所望により置換されていてよいアルコキシカルボニル、所望により置換されていてよいシクロアルコキシカルボニル、所望により置換されていてよいヘテロシクロアルコキシカルボニル、またはそれらの組合せである、請求項27−40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
が、ヘテロアリールで置換された単環式シクロ脂肪族である、請求項27−41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
が、単環式ヘテロシクロ脂肪族、二環式ヘテロシクロ脂肪族、または三環式ヘテロシクロ脂肪族(各々が所望により置換されていてよい。)である、請求項27−42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
が、N、OおよびSから独立して選択される1ないし3個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてよい5−9員の単環式ヘテロシクロ脂肪族である、請求項27−43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
が、ピロリジン−イル、1,3−ジオキソラン−イル、イミダゾリジン−イル、2−ピラゾリン−イル、ピラゾリジン−イル、ピペリジン−イル、1,4−ジオキサン−イル、モルホリン−イル、アゼパン−イル、ピペラジン−イル、またはアゾカン−イル(各々が所望により1ないし3個のハロで置換されていてよい。)、または脂肪族、アルコキシ、(脂肪族(オキシ))カルボニル、(アルコキシ(アルコキシ))カルボニル、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アシル、アミド、アミノ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族(オキシ))カルボニルである、請求項27−44いずれか一項記載の方法。
【請求項46】
が、N、OおよびSから独立して選択される1−3個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてよい二環式ヘテロシクロ脂肪族である、請求項27−45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
が、所望により置換されていてよい7−10員の架橋二環式ヘテロシクロ脂肪族または縮合二環式ヘテロシクロ脂肪族(各々が所望により置換されていてよい。)である、請求項27−46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
が、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン−イル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−イル、または8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−イル(各々が所望により1−3個のハロで置換されていてよい。)、または脂肪族、アルコキシ、(脂肪族(オキシ))カルボニル、(アルコキシ(アルコキシ))カルボニル、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アシル、アミド、アミノ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族(オキシ))カルボニルである、請求項27−47のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
が、1−メトキシカルボニルピペリジン−4−イル;1−エトキシカルボニルピペリジン−4−イル;プロポキシカルボニルピペリジン−4−イル;1−イソプロポキシカルボニルピペリジン−4−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)ピペリジン−4−イル;1−(2−メトキシ(エトキシ)カルボニル)ピペリジン−4−イル;1−((3−ブチノキシ(butynoxy))カルボニル)ピペリジン−4−イル;8−(メトキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(エトキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(プロポキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(イソプロポキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(メトキシ(エトキシ)カルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(3−ブチニルオキシ(カルボニル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(ピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル;1−(メトキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−(エトキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−(イソプロポキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)ピロリジン−3−イル;1−(2−(メトキシ(エトキシ))カルボニル)ピロリドン−3−イル;1−(プロポキシ(カルボニル))ピロリジン−3−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)ピロリドン−3−イル;8−(3−メチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(3−エチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(メトキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;1−(エトキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;1−(プロポキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;
1−(イソプロポキシ(カルボニル))アゼパン−4−イル;1−((2,2−ジフルオロエトキシ)カルボニル)アゼパン−4−イル;1−(2−(メトキシ(エトキシ))カルボニル)アゼパン−4−イル;(テトラヒドロフラン−3−イル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;(テトラヒドロフラン−3−イル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;4−(3−メチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))シクロヘキサン−1−イル;1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル;1−(3−エチル(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))ピペリジン−4−イル;1−(6−クロロ(ピラジン−2−イル))ピペリジン−4−イル;1−(キノキサリン−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(6−メチル(ピラジン−2−イル))ピペリジン−4−イル;1−(メトキシ(カルボニル))アゾカン−5−イル;1−(エトキシ(カルボニル))−4−メチルピペリジン−4−イル;1−(ピラジン−2−イル−(4−メチル))ピペリジン−4−イル;1−(3−メチル−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))ピロリジン−3−イル;1−(3−エチル−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル))ピロリジン−3−イル;1−((5,6−ジメチル(ピラジン−2−イル)))ピロリジン−3−イル;1−((5,6−ジメチル(ピラジン−2−イル)))ピペリジン−4−イル;1−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル;1−(チアゾール−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(4−メチル(チアゾール−2−イル))ピペリジン−4−イル;4−(1,2,4−チアジアゾール−5−イル)シクロヘキサン−1−イル;1−(2−ヒドロキシ−(6−フェニル−(ピラジン−6−イル)))ピペリジン−4−イル;1−(6−(2−ヒドロキシフェニル)ピラジン−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(5−メチル(チアゾール−2−イル))ピペリジン−4−イル;1−(ベンゾ(d)チアゾール−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(ベンゾ(d)オキサゾール−2−イル)ピペリジン−4−イル;1−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピペリジン−4−イル;1−(ペント−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピペリジン−4−イル;8−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;8−(ブト−2−イニル(オキシ(カルボニル)))−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;1−(ブト−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;1−(ペント−2−イニル(オキシ(カルボニル)))ピロリジン−3−イル;8−(ピラジン−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;1−(プロプ−2−イニル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;1−(ブト−2−イニル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;1−(ペント−2−イニル(オキシ(カルボニル)))アゼパン−4−イル;1−(エトキシ(カルボニル))アゾカン−5−イル;1−(ピラジン−2−イル)ピロリドン−3−イル;および、ピペリジン−4−イルから選択される1つである、請求項27−48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
qが0−3である、請求項27−49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
mが0−3である、請求項27−50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
哺乳動物におけるムスカリン受容体仲介疾患を処置するかまたは重症度を低下させる方法であって、該哺乳動物に、請求項1−3のいずれか一項記載の化合物を投与する工程を含む、方法。
【請求項53】
該ムスカリン受容体がMである、請求項52記載の方法。
【請求項54】
該ムスカリン受容体がMである、請求項52記載の方法。
【請求項55】
患者における疾患を処置するかまたは重症度を低下させる方法であって、該疾患が、認知障害、注意欠損過活動障害(ADHD)、肥満、アルツハイマー病、血管性認知症のような種々の認知症、統合失調症、躁病、双極性障害を含むCNS障害と関連する精神病、急性および慢性症候群を含む疼痛状態、ハンチントン舞踏病、フリードライヒ失調症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、ダウン症候群、ピック病、臨床的鬱病、パーキンソン病を含むCNS由来病状、緑内障における眼内圧の低下のような末梢障害およびシェーグレン症候群を含むドライアイおよびドライマウスの治療、徐脈、胃酸分泌、喘息、GI不調、および創傷治癒であって、該方法が、該患者と、請求項1−3のいずれか一項記載の化合物を接触させる工程を含む、方法。
【請求項56】
請求項1−26のいずれか一項記載の化合物および医薬担体を含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2009−527569(P2009−527569A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556443(P2008−556443)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/004745
【国際公開番号】WO2007/100670
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】