説明

メイラード反応阻害剤並びに抗老化剤及び皮膚外用剤

【課題】優れたメイラード反応阻害作用を有し、入手が容易で安価であり、安全性の高い天然物系のものであって、使用感等の点で添加対象物の品質に悪影響を及ぼさず、広く使用可能なメイラード反応阻害剤並びに抗老化剤及び皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】マチルスの抽出物、クスノハガシワの抽出物、月桃の抽出物、甘草の抽出物及びスターフルーツの抽出物から選択される少なくとも1種を有効成分として含有するメイラード反応阻害剤並びに抗老化剤及び皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の抽出物を含有するメイラード反応阻害剤並びに抗老化剤及び皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢による皮膚の老化は、様々な要因が複雑に作用して起こり、その作用機序から光老化と自然老化とに大きく分けられる。近年、皮膚の老化の中でも、とりわけ、自然老化に対し、メイラード(Maillard)反応が深く関与していることが報告されている。
【0003】
メイラード反応とは、アミノ酸、ペプチド、タンパク質などが有するアミノ基と、ケトン、アルデヒド又は還元糖が反応して褐色色素が生成する反応である。
食品分野においては、メイラード反応により生ずる褐色及び風味が好んで利用されており、メイラード反応を促進させる研究が行われている。その一方で、メイラード反応は食品が劣化したときの指標とされる場合もある。そのため、食品の劣化を防ぐことを目的として、メイラード反応の進行を阻害する研究についても行われている。
【0004】
皮膚においては、メイラード反応により褐変した色素が生じ、この色素が蓄積されることが報告されている(例えば、非特許文献1、2参照)。皮膚の主要構成成分であるタンパク質及び皮膚コラーゲンに対して、メイラード反応が引き起こされると、自然老化に伴う皮膚の弾力性の低下やくすみの原因となることが知られている。また、加齢に伴うコラーゲンの変性は、皮膚のハリ及びツヤが消失する一因であることが報告されている。したがって、皮膚においてメイラード反応を阻害することにより、皮膚のタンパク質やコラーゲンを保護し、皮膚のハリ及びツヤが維持されることが期待できる。
【0005】
このようなメイラード反応阻害作用を有する化合物として、アミノグアニジンが報告されている(例えば、非特許文献3参照)。しかしながら、前記アミノグアニジンは、メイラード反応阻害作用が強くなく、更に、副作用を有することが報告されている(例えば、非特許文献4、5参照)。
また、メイラード反応阻害作用を有する植物の抽出物として、例えば、カルカデ、ハイビスカス、シャゼンシ、トウニン、マロニエ、ケイシ、ゴミシ、シコン、センナ、トシシ、ビャッキュウの抽出物(例えば、特許文献1参照)などが報告されている。
【0006】
しかしながら、現在までのところ、優れたメイラード反応阻害作用を有し、入手が容易で安価であり、安全性の高い天然物系のものであって、使用感等の点で添加対象物の品質に悪影響を及ぼさず、広く使用可能なメイラード反応阻害剤並びに抗老化剤及び皮膚外用剤は未だ十分には提供されておらず、その速やかな提供が強く求められているのが現状である。
【特許文献1】特開平11−106336号公報
【非特許文献1】Z.Ernaehrungswiss、Vol.30、p29−45
【非特許文献2】Science、Vol.211、No.4481、p491−493、1981
【非特許文献3】最新医学、49巻・2号、p78−83、1994
【非特許文献4】Autoimmu15:311−314、1993
【非特許文献5】Diabetes43(Suppl1):204、1994
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、第一に、メイラード反応阻害作用を有し、安全性が高く、原料の入手が容易な天然系メイラード反応阻害剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、第二に、本発明のメイラード反応阻害剤を含有する抗老化剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、第三に、本発明のメイラード反応阻害剤を含有する皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、マチルスの抽出物、クスノハガシワの抽出物、月桃の抽出物、甘草の抽出物及びスターフルーツの抽出物から選択される少なくとも1種が、優れたメイラード反応阻害作用を有し、抗老化剤及び皮膚外用剤として有用であることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> マチルスの抽出物、クスノハガシワの抽出物、月桃の抽出物、甘草の抽出物及びスターフルーツの抽出物から選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするメイラード反応阻害剤である。
<2> <1>に記載のメイラード反応阻害剤を含有する抗老化剤である。
<3> <1>に記載のメイラード反応阻害剤を含有する皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のメイラード反応阻害剤によると、従来における諸問題を解決することができ、優れたメイラード反応阻害作用を通じて、肌の硬化、シワ形成、ハリ及びツヤの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色を防止乃至改善することができ、皮膚の老化を防止したり、皮膚を美肌にしたりすることができる。
また、本発明のメイラード反応阻害剤は、天然系抽出物であり安全性に優れ、使用感等の点で添加対象物の品質に悪影響を及ぼさないので、抗老化剤及び皮膚外用剤に配合して用いるのに好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(メイラード反応阻害剤)
本発明のメイラード反応阻害剤は、マチルスの抽出物、クスノハガシワの抽出物、月桃の抽出物、甘草の抽出物及びスターフルーツの抽出物から選択される少なくとも1種を有効成分として含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。なお、これら抽出物は、1種単独で使用することもできるが、2種以上を併用することもできる。
【0012】
ここで、前記抽出物には、マチルス、クスノハガシワ、月桃、甘草及びスターフルーツから選択される少なくとも1種の植物を抽出原料として得られる抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0013】
前記マチルスは、クスノキ科の植物であり、学名はMachilus odoratissimaである。前記マチルスは、雲南、貴州、四川、チベット等に分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記マチルスの構成部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花(蕾)部、葉部、枝部、樹皮部(これらを地上部という)、根部などが挙げられ、これらの中でも、樹皮部が特に好ましい。なお、前記葉部には完全葉の他、葉の一部(例えば葉身、葉柄、托葉など)が含まれる。
【0014】
前記クスノハガシワは、トウダイグサ科の植物であり、学名はMallotus philippinensis Mueller−Argoviensisであり、中国名は「呂宋楸毛」(ルソンシュウモウ)である。前記クスノハガシワは、広東、広西、湖南、雲南、四川、浙江、福建、江西、台湾などに分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記クスノハガシワの構成部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花(蕾)部、葉部、枝部、樹皮部(これらを地上部という)、根部などが挙げられ、これらの中でも、樹皮部が特に好ましい。なお、前記葉部には完全葉の他、葉の一部(例えば葉身、葉柄、托葉など)が含まれる。
【0015】
前記月桃は、ショウガ科の植物であり、学名はAlpinia nutans又はAlpinia speciosaである。前記月桃は、多年生常緑草木であり、九州南部からインドにまで分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
抽出原料として使用する前記月桃の構成部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花(蕾)部、葉部、枝部、樹皮部(これらを地上部という)、根部などが挙げられ、これらの中でも、葉部が特に好ましい。前記葉部には完全葉の他、葉の一部(例えば葉身、葉柄、托葉など)が含まれる。
【0016】
前記甘草は、マメ科の植物であり、学名はGlychyrrhiza glabraGlychyrrhiza inflataGlychyrrhiza uralensisGlychyrrhiza asperaGlychyrrhiza eurycarpaGlychyrrhiza pallidifloraGlychyrrhiza yunnanensisGlychyrrhiza lepidotaGlychyrrhiza echinataGlychyrrhiza acanthocarpaである。上記のように、前記甘草は、一般的に様々な種類の植物を含むものである。前記甘草の抽出物を得るための抽出原料としては、上記例示された植物の中から選択される限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、Glychyrrhiza glabra及びGlychyrrhiza inflataが好ましい。また、前記甘草は、上記例示された植物の中から、1種単独で使用することができるが、2種以上を併用することもできる。前記甘草は、ヨーロッパ南東部、中近東、中国などに分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0017】
抽出原料として使用する前記甘草の構成部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花(蕾)部、葉部、枝部、樹皮部(これらを地上部という)、根部などが挙げられ、これらの中でも、葉部が特に好ましい。前記葉部には完全葉の他、葉の一部(例えば葉身、葉柄、托葉など)が含まれる。
【0018】
前記スターフルーツは、カタバミ科の植物であり、学名はAverrhoa carambola L.であり、五斂子、陽桃(生薬名)とも呼ばれる。前記スターフルーツは、沖縄、中国東南部や雲南その他熱帯各地で栽培されており、これらの地域から容易に入手することができる。
抽出原料として使用する前記スターフルーツの構成部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花(蕾)部、葉部、枝部、樹皮部(これらを地上部という)、根部などが挙げられ、これらの中でも、葉部が特に好ましい。前記葉部には完全葉の他、葉の一部(例えば葉身、葉柄、托葉など)が含まれる。
【0019】
前記マチルスの抽出物、クスノハガシワの抽出物、月桃の抽出物、甘草の抽出物及びスターフルーツの抽出物から選択される少なくとも1種におけるメイラード反応阻害作用を有する物質の詳細については不明であるが、前記マチルスの抽出物、クスノハガシワの抽出物、月桃の抽出物、甘草の抽出物及びスターフルーツの抽出物から選択される少なくとも1種が優れたメイラード反応阻害作用を有し、肌の硬化、シワ形成、ハリ及びツヤの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色の防止乃至改善に有効であることは現在までのところ全く知られておらず、本発明者らによる新知見である。
【0020】
前記マチルスの抽出物、クスノハガシワの抽出物、月桃の抽出物、甘草の抽出物及びスターフルーツの抽出物は、植物の抽出に一般に用いられる抽出方法によって、上記の各植物抽出原料から得ることができる。
例えば、上記の各植物抽出原料を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供することにより、メイラード反応阻害作用を有する抽出物を得ることができる。なお、前記各植物抽出原料を採取した後に、直ちに乾燥し、粉砕したものを溶媒抽出に供することが特に好ましい。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用されている乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0021】
前記抽出に用いる溶媒としては、特に制限はないが、メイラード反応阻害作用を有する成分を容易に抽出できる点で、極性溶媒が好ましい。前記極性溶媒としては、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられる。前記極性溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
【0022】
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。なお、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0023】
前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。
【0024】
なお、2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を抽出溶液として使用する場合には、抽出効率の観点から、水と低級脂肪族アルコールとの混合比が7:3〜2:8(質量比)の範囲であることが特に好ましい。
【0025】
本発明において、前記各抽出原料から、メイラード反応阻害作用を有する物質を抽出するにあたって特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出することができる。
【0026】
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽内に、各抽出原料を投入し、更に必要に応じて時々攪拌しながら、30分間〜2時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常、常温〜95℃にて1〜3時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常、常温〜80℃にて30分間〜3時間程度である。
【0027】
抽出処理により可溶性成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって、抽出液を得ることができる。なお、得られる抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るため、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0028】
なお、得られる抽出液は、そのままでもメイラード反応阻害剤として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。抽出液の乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。また、前記抽出物は、特有の味及び匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、未精製のままでも実用上支障はない。前記精製は、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0029】
また、前記抽出物は、常法にしたがって製剤化することができ、製剤化したものをメイラード反応阻害剤として使用してもよい。前記抽出物を製剤化する場合には、前記抽出物を、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアー、又はその他の任意の助剤を用い、常法に従って、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化して提供することができる。また、その他の組成物(例えば、後述する皮膚外用剤等)に配合して使用できる他、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯臭剤等を用いることができる。
【0030】
マチルスの抽出物、クスノハガシワの抽出物、月桃の抽出物、甘草の抽出物及びスターフルーツの抽出物から選択される少なくとも1種を有効成分として含有するメイラード反応阻害剤は、メイラード反応阻害作用を有し、特に、その有効成分である抽出物が経皮的に吸収されたときに、皮膚及び血管壁において生じるメイラード反応を効果的に阻害することができる。
更に、前記メイラード反応阻害剤は、優れたメイラード反応阻害作用を通じて、肌の硬化、シワ形成、ハリ及びツヤの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色を防止乃至改善し、皮膚の老化を防止したり、皮膚を美肌にしたりすることができるので、特に、以下に説明する本発明の抗老化剤として好適に利用できる。
更に、前記メイラード反応阻害剤は、優れたメイラード反応阻害作用及び前記メイラード反応阻害作用を通じて発揮される優れた抗老化作用を有するとともに、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているため、特に、以下に説明する本発明の皮膚外用剤に配合するのに好適である。
【0031】
(抗老化剤)
本発明の抗老化剤は、前記メイラード反応阻害剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記抗老化剤における前記メイラード反応阻害剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記抗老化剤は、前記メイラード反応阻害剤そのものであってもよい。また、前記その他の成分としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記抗老化剤が有する抗老化作用は、メイラード阻害作用に基づいて発揮される。前記抗老化剤によれば、肌の硬化、シワ形成、ハリ及びツヤの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色を防止乃至改善でき、皮膚の老化を防止したり、皮膚を美肌にしたりすることができる。特に前記抗老化作用は、その有効成分である抽出物が経皮的に吸収されたときに、皮膚及び血管壁に対して効果的に発揮される。
【0032】
(皮膚外用剤)
本発明の皮膚外用剤は、本発明の前記メイラード反応阻害剤を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
【0033】
本発明の皮膚外用剤は、植物からの抽出物が有するメイラード反応阻害作用、及び、前記メイラード反応阻害作用を通じて発揮される抗老化作用により、肌の硬化、シワ形成、ハリ及びツヤの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色を防止乃至改善でき、皮膚の老化を防止したり、皮膚を美肌にしたりすることができる。特に、前記メイラード反応阻害作用及び前記抗老化作用は、その有効成分である前記抽出物が経皮的に吸収されたときに、皮膚及び血管壁に対して効果的に発揮される。
ただし、本発明の皮膚外用剤は、これらの用途以外にもメイラード反応阻害作用及び抗老化作用を発揮することに意義ある全ての用途に制限なく用いることができる。
【0034】
ここで、前記皮膚外用剤とは、皮膚に適用する各種薬剤を意味し、例えば、皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品などが含まれる。前記皮膚外用剤の具体例としては、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、入浴剤などが挙げられる。
【0035】
前記皮膚外用剤における前記メイラード反応阻害剤の配合量としては、特に制限はなく、皮膚外用剤の種類などに応じて適宜調整することができるが、標準的な各抽出物に換算して0.01質量%〜10質量%が好ましい。
【0036】
前記皮膚外用剤は、上記植物からの抽出物が有するメイラード反応阻害作用、抗老化作用を妨げない限り、通常の皮膚外用剤の製造に用いられる主剤、助剤又はその他の成分を添加することができる。前記その他の成分としては、特に制限はなく、例えば、収斂剤、殺菌剤、抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎剤、抗アレルギー剤、抗酸化剤、活性酸素消去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料、などが挙げられる。これらの成分は、上記植物からの抽出物と共に併用した場合、相乗的に作用して、通常期待される以上の優れた作用効果をもたらすことがある。
【0037】
前記収斂剤としては、例えば、クエン酸又はその塩類、酒石酸又はその塩類、乳酸又はその塩類、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ジユエキス、エイジツエキス、ハマメリスエキス、ゲンノショウコエキス、茶カテキン類、プロアントシアニジン類、ガイヨウエキス、オドリコソウエキス、オトギリソウエキス、ダイオウエキス、ヤグルマソウエキス、スギナエキス、キズタエキス、キューカンバーエキス、マロニエエキス、サルビアエキス、メリッサエキス、タマリンドハスクエキス等が挙げられる。
【0038】
前記殺菌剤又は抗菌剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ジステアリルメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン液、塩酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、感光素101号、感光素201号、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ハロカルバン、レゾルシン、パラクロロフェノール、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、メントール、キトサン、キトサン分解物、ジユエキス、クジンエキス、エンメイソウエキス、ビワエキス、ウワウルシエキス、ホップエキス、ユッカエキス、アロエエキス、ケイヒエキス、ガジュツエキス、油溶性甘草エキス(カンゾウ疎水性フラボノイド、グラブリジン、グラブレン、リコカルコンA)等が挙げられる。
【0039】
前記美白剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその誘導体、イオウ、胎盤加水分解物、エラグ酸及びその誘導体、コウジ酸及びその誘導体、グルコサミン及びその誘導体、アゼライ及びその誘導体、アルブチン及びその誘導体、ヒドロキシケイヒ酸及びその誘導体、グルタチオン、アルニカエキス、オウゴンエキス、センキュウエキス、ソウハクヒエキス、サイコエキス、ボウフウエキス、ハマボウフウエキス、マンネンタケ菌糸体培養物またはその抽出物、ギムネマエキス、シナノキエキス、モモ葉エキス、エイジツエキス、クジンエキス、ジユエキス、トウキエキス、ヨクイニンエキス、カキ葉エキス、ダイオウエキス、ボタンピエキス、ハマメリスエキス、マロニエエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、油溶性カンゾウエキス(カンゾウ疎水性フラボン、グラブリジン、グラブレン、リコカルコンA)等が挙げられる。
【0040】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、β−イソプロピルフラノン誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイヒ酸メチル、メトキシケイヒ酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチル安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、酸化チタン、β−カロチン、γ−オリザノール、コメヌカエキス、アロエエキス、カバノキエキス、シラカンバエキス、カミツレエキス、コゴメグサエキス、セイヨウサンザシエキス、ヘンナエキス、チョウチグルミエキス、マロニエエキス、イチョウ葉エキス、カミツレエキス、油溶性カンゾウエキス等が挙げられる。
【0041】
前記保湿剤としては、例えば、セリン、グリシン、スレオニン、アラニン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ヒドロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸ヘパリン、グリセロリン脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、リノール酸又はそのエステル類、エイコサペンタエン酸又はそのエステル類、ペクチン、アルゲコロイド、ビフィズス菌発酵物、乳酸発酵物、酵母抽出物、レイシ菌糸体培養物又はその抽出物、小麦胚芽油、アボガド油、米胚芽油、ホホバ油、ダイズリン脂質、γ−オリザノール、ビロウドアオイエキス、ヨクイニンエキス、ジオウエキス、タイソウエキス、カイソウエキス、キダチアロエエキス、ゴボウエキス、マロニエエキス、マンネンロウエキス、アルニカエキス、小麦フスマ、コメヌカエキス等が挙げられる。
【0042】
前記細胞賦活剤としては、例えば、胎盤抽出物、リボフラビン又はその誘導体、ピリドキシン又はその誘導体、ニコチン酸又はその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、α−トコフェロール又はその誘導体、アルニカエキス、ニンジンエキス、オタネニンジンエキス、エゾウコギエキス、ヘチマエキス(サポニン)、シコンエキス、シラカンバエキス、オウバクエキス、ボタンピエキス、シャクヤクエキス、ムクロジエキス、ベニバナエキス、アシタバエキス、ビワ葉エキス、ヒキオコシエキス、ユキノシタエキス、黄杞エキス、サルビアエキス、ニンニクエキス、マンネンロウエキス等が挙げられる。
【0043】
前記消炎剤又は抗アレルギー剤としては、例えば、アズレン、アラントイン、アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、イプシロンアミノカプロン酸、オキシベンゾン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、感光素301号、感光素401号、塩酸ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸又はその誘導体、アデノシンリン酸、エストラジオール、エスロン、エチニルエストラジオール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プロゲステロン、コルチコステロン、アルニカエキス、インチンコウエキス、サンシシエキス、ジュウヤクエキス、カンゾウエキス、トウキエキス、ヨモギエキス、ワレモコウエキス、リンドウエキス、サイコエキス、センキュウエキス、ボウフウエキス、セイヨウノコギリソウエキス、オウレンエキス、シソエキス、マロニエエキス、オウゴンエキス等が挙げられる。
【0044】
前記抗酸化剤又は活性酸素消去剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没子食酸プロピル、バイカリン、バイカレイン、スーパーオキサイドディスムターゼ、カタラーゼ、ローズマリーエキス、メリッサエキス、オウゴンエキス、エイジツエキス、ビワ葉エキス、ホップエキス、ハマメリスエキス、シャクヤクエキス、セージエキス、キナエキス、カミツレエキス、ユーカリエキス、シソエキス、イチョウ葉エキス、タイムエキス、カルダモンエキス、キャラウェイエキス、ナツメグエキス、メースエキス、ローレルエキス、クローブエキス、ターメリックエキス、ヤナギタデエキス等が挙げられる。
【0045】
前記油脂類としては、例えば、大豆油、アマニ油、キリ油、ゴマ油、ヌカ油、綿実油、ナタネ油、サフラワー油、トウモロコシ油、オリーブ油、ツバキ油、アーモンド油、ヒマシ油、落花生油、カカオ油、モクロウ、ヤシ油、パーム核油、牛脂、ミンク油、卵黄油、ホホバ油、月見草油、馬油等が挙げられる。
【0046】
前記ロウ類としては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、蜜ロウ、サラシ蜜ロウ、鯨ロウ、セラックス、ラノリン類等が挙げられる。
前記炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、マイクロスリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、ポリエチレン末等が挙げられる。
前記脂肪酸類としては、例えば、ステアリン酸、リノール酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヘベニン酸、ラノリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
【0047】
前記アルコール類としては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール又はその重合体、ブドウ糖、白糖、コレステロール、フィトステロール、セトステアリルアルコールが挙げられる。
【0048】
前記エステル類としては、例えば、オレイン酸デシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジオレイン酸プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、トリミリスチン酸グリセリン、酢酸ラノリン、乳酸セチル等が挙げられる。
【0049】
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
前記香料としては、例えば、メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油、アニス油、その他各種動植物からのオイル状香料等が挙げられる。
【0050】
なお、本発明のメイラード反応阻害剤、抗老化剤及び皮膚外用剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0052】
(製造例1〜10)
抽出原料として、表1に示すマチルス、クスノハガシワ、月桃、甘草(Glychyrrhiza glabra及びGlychyrrhiza inflataの混合物)及びスターフルーツの粗砕物300gを、表1に示す抽出溶媒2000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら3時間、70℃に保った後、ろ過した。ろ液を40℃で減圧下にて濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、製造例1〜10の抽出物を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
(実施例1)
−メイラード反応阻害作用試験−
製造例6〜10の各抽出物を試料として用い、下記の試験方法によりメイラード反応阻害作用を試験した。
【0055】
各抽出物の凍結乾燥品を溶解した被験試料溶液50μL、100mmol/LのD(−)−リボース200μL、25mg/mLのリゾチーム200μL、100mmol/Lのリン酸水素ナトリウム(pH7.4)500μL、滅菌蒸留水50μLを混合(全量1000μL)し、37℃で静置した。コントロールは、被験試料溶液に代えて蒸留水としたこと以外は上記と同様にして調製した。ブランクは、被験試料溶液に代えて蒸留水としたこと、37℃に代えて4℃で静置したこと以外は、上記と同様にして調製した。
【0056】
7日後、ボルテックスで攪拌し、反応液20μLにSDS−PAGE用サンプルバッファー20μLを混合した後、沸騰浴中で3分間加熱し、分析サンプルとした。アクリルアミド濃度を、分離ゲル15%、濃縮ゲル4%に調製したポリアクリルアミドゲルに分析サンプル20μLをアプライし、電気泳動を行った。 泳動したゲルをクマシーブリリアントブルー染色後脱色し、検出したバンドをKODAK 1D Image Analysis Software EDAS290 Version3.5にて定量的に測定した。このとき、リゾチームの二量体及び三量体にそれぞれ対応するバンドのNet intensity(バンド強度)を求めた。得られた測定結果から、下記(1)式によりメイラード反応阻害率を算出した。即ち、前記メイラード反応阻害率は、リゾチームの二量体及び三量体の形成阻害率を指標として算出した。結果を表2に示す。
メイラード反応阻害率(%)={1−(A−C)/(B−C)}×100 ・・・(1)
[但し、前記(1)式中、
A:被験試料添加時の二量体と三量体のNet intensityの和、
B:被験試料無添加時(コントロール)の二量体と三量体のNet intensityの和、
C:被験試料無添加時の4℃で静置(ブランク)の二量体と三量体のNet intensityの和、を表す。]
【0057】
【表2】

表2の結果から、製造例6〜10の各抽出物が、それぞれ高いメイラード反応阻害作用を有することが認められた。また、メイラード反応阻害作用の作用強度は、各抽出物の濃度に依存することが認められた。
【0058】
(配合例1)
−乳液−
下記の組成の乳液を常法により製造した。
なお、以下の配合例において、配合割合は重量部である。
・製造例7のクスノハガシワ抽出物・・・1.0g
・ホホバオイル・・・4g
・オリーブオイル ・・・2g
・スクワラン・・・2g
・セタノール・・・2g
・モノステアリン酸グリセリル・・・2g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.0)・・・2.5g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0)・・・2g
・1、3−ブチレングリコール・・・3g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【0059】
(配合例2)
−化粧水−
下記の組成の化粧水を常法により製造した。
・製造例8の月桃抽出物・・・2.2g
・グリセリン・・・3g
・1、3−ブチレングリコール・・・3g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0)・・・0.5g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.15g
・クエン酸・・・0.1g
・クエン酸ソーダ・・・0.1g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【0060】
(配合例3)
−クリーム−
下記の組成のクリームを常法により製造した。
・製造例9の甘草抽出物・・・1.1g
・流動パラフィン・・・5g
・サラシミツロウ・・・4g
・セタノール・・・3g
・スクワラン・・・10g
・ラノリン・・・2g
・ステアリン酸・・・1g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0)・・・1.5g
・モノステアリン酸グリセリル・・・3g
・1、3−ブチレングリコール・・・6g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・1.5g
・香料・・・0.1g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【0061】
(配合例4)
−パック−
下記の組成のパックを常法により製造した。
・製造例10のスターフルーツ抽出物・・・5g
・ポリビニルアルコール・・・15g
・ポリエチレングリコール・・・3g
・プロピレングリコール・・・7g
・エタノール・・・10g
・パラオキシ安息香酸エチル・・・0.05g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のメイラード反応阻害剤並びに抗老化剤及び皮膚外用剤は、優れたメイラード反応阻害作用を有し、皮膚のシワ、弾力性の低下及びくすみなどに代表される生体の老化の防止乃至改善に有効であり、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、入浴剤などに幅広く用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マチルスの抽出物、クスノハガシワの抽出物、月桃の抽出物、甘草の抽出物及びスターフルーツの抽出物から選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするメイラード反応阻害剤。
【請求項2】
請求項1に記載のメイラード反応阻害剤を含有する抗老化剤。
【請求項3】
請求項1に記載のメイラード反応阻害剤を含有する皮膚外用剤。

【公開番号】特開2009−107983(P2009−107983A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283044(P2007−283044)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】