説明

メタロセン化合物類

式(I)の橋架けメタロセン化合物。式中、Mは元素の周期律表において3族、4族又はランタニド系若しくはアクチニド系に属する元素から選択される遷移金属原子であり;
Xは、互いに同一か異なり、水素原子、ハロゲン原子、R、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR若しくはPR基であり;Lは2価の橋架け基であり;R及びRは、互いに同一であり、C−C40炭化水素基であり;Rは水素原子又はC−C40炭化水素基であり;Wは芳香族5若しくは6員環である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は特定の置換パターンを有し、αオレフィン類を高収率で重合でき、高分子量のポリマーを与える新規な種類のメタロセン化合物に関する。さらに、本発明は当該メタロセン化合物の触媒系及び当該触媒系からの重合プロセスに関する。
【0002】
メタロセン化合物類はオレフィン類の重合用の触媒成分として当業界で周知である。WO04/106351号公報は、2位、4位及び6位に置換されたビスインデニルメタロセン化合物類に関する。開示されたこれらの化合物はC1対称、すなわち、2個のインデニルが異なるように置換され、特に、インデニル環の2位の置換基が異なる。これは、これらの化合物の合成は、2個の異なるインデニル部分を製造しなければならないという理由でかなり複雑であることを暗示する。US5,840,948号明細書は、2−メチル,4,6−ジイソプロピル部分及び2,4,6−トリメチルインデニル部分を含有する幾つかのインデニル系メタロセン化合物に関する。しかし、本発明の化合物の特定の置換パターンは示唆されていない。
【0003】
したがって、特に高温で処理を行われるとき、高収率で重合でき、非常に高分子量のポリマーを製造できる新規な種類のメタロセン化合物を依然として見出す必要性がある。
本発明の目的は、式(I)
【0004】
【化1】

【0005】
の橋架けメタロセン化合物にある。式中、
Mは元素の周期律表において3族、4族又はランタニド系若しくはアクチニド系に属する元素から選択される遷移金属原子であり、好ましくは、Mはジルコニウム、チタン又はハフニウムであり;
Xは、互いに同一か異なり、水素原子、ハロゲン原子、R、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR若しくはPR基であり、ここで、Rは線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式、C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40−アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、2個のX基は互いに結合してOR’O基を形成でき、ここで、R’はC−C20−アルキリデン、C−C20−アリーリデン、C−C20−アルキルアリーリデン、若しくはC−C20−アリールアリキリデン基であり、好ましくは、Xは水素原子、ハロゲン原子又はR基であり、より好ましくは、Xは塩素又はメチル基であり;
LはC−C20アルキリデン、C−C20シクロアルキリデン、C−C20アリーリデン、C−C20アルキルアリーリデン、又はC−C20アリールアルキリデン基から選択される2価の橋架け基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、あるいは、5個までのケイ素原子を含有するシリリデン基であり、好ましくは、LはSi(R11であり、ここで、R11は線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式、C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40−アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基であり、より好ましくは、LはSi(CH若しくはSiPhであり;
は、互いに同一であり、C−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、例えば、メチル基若しくはエチル基であり、好ましくは、Rは線状C−C20−アルキル基、例えば、メチル若しくはエチル基であり;
は、互いに同一又は異なり、C−C40分枝状、環式若しくは非環式、アルキル、アルケニル、若しくはアルキニル基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、好ましくは、Rは、互いに同一若しくは異なり、C(R1918基であり、ここで、R18は互いに同一若しくは異なり、水素原子若しくはC−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、好ましくは、R18は水素原子若しくは線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属する1個以上のヘテロ原子を含有してもよく、より好ましくは、R18は線状若しくは分枝状、C−C20ーアルキル基であり、より好ましくは、R18はメチル基若しくはエチル基であり、
19はC−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属する1個以上のヘテロ原子を含有してもよく、好ましくは、R19は線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式、C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40−アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属する1個以上のヘテロ原子を含有してもよく、又は2個のR19基が一緒に結合してC−C員環の環を形成でき、ここで、場合により、1個の炭素原子は窒素、硫黄若しくは酸素で置換されることができ、より好ましくは、R19は線状若しくは分枝状、C−C20−アルキル基であり、より好ましくは、R19はメチル基若しくはエチル基であり、C(R1918基の例は、tert-ブチル、イソプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2フラニル基であり、線状若しくは分枝状、C−C40−アルキル基、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、トリメチルシリル、若しくは、tertブチル基であり、好ましくは、2個のR基は同一であり;
は、互いに同一又は異なり、水素原子又はC−C40炭化水素基であり、元素の周期律表の13〜17族に属し、好ましくは、Rは水素原子又は線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式、C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40−アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基であり、元素の周期律表の13〜17族に属し、より好ましくは、Rは、互いに同一又は異なり、水素原子又は線状若しくは分枝状C−C40−アルキル基であり、さらにより好ましくは、Rは水素原子であり;
及びWは、互いに同一又は異なり、元素の周期律表の15〜16族に属するヘテロ原子を含有できる芳香族5若しくは6員環であり、前記環の各原子の原子価(valence)は水素原子で置換されるか、又はR基で場合により置換でき、Rは、互いに同一又は異なり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよいC−C40炭化水素基であり、好ましくは、Rは、線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式、C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40−アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、
好ましくは、W及びWは、下記式(Wa)、(Wb)及び(Wc)の成分部分:
【0006】
【化2】

【0007】
を含む群から選択され、式中、*は当該成分部分が式(I)のインデニル部分に結合される点を表し、
、R、R、R及びR10は、互いに同一又は異なり、水素原子又はC−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、好ましくは、R、R、R、R及びR10は、水素原子又は線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式、C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40−アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、
は窒素原子又はCR10基であり、Zは窒素原子又はCR基であり、Zは窒素原子又はCR基であり、Zは窒素原子又はCR基であり、Zは窒素原子又はCR基であり、ただし、Z、Z、Z、Z及びZのうち2基以下は窒素原子であり、好ましくは、Z、Z、Z、Z及びZのうち1基以下が窒素原子であり、
は酸素原子、硫黄原子、NR13基又はCR13基であり、Zは酸素原子、硫黄原子、NR14基又はCR14基であり、Zは酸素原子、硫黄原子、NR15基又はCR15基であり、Zは酸素原子、硫黄原子、NR16基又はCR16基であり、
10は式(I)の構造のインデニル部分を結合する窒素原子又は炭素原子であり、ただし、Z、Z、Z、Z若しくはZ10中の1個以下が硫黄原子、酸素原子若しくはNR13、NR14、NR15、NR16から選択される窒素含有基原子、及び窒素原子であり、R13、R14、R15及びR16は、互いに同一又は異なり、水素原子又はC−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、好ましくは、R13、R14、R15及びR16は、水素原子又は線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式、C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40−アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、より好ましくは、R13、R14、R15及びR16は水素原子、C−C40−アルキル若しくはC−C40−アリール基であり;
式(Wa)の部分において、好適な実施態様では、RはC−C40−アルキル基であり、好ましくは、分枝状C−C40−アルキル基であり、より好ましくは、Rは分枝状C−C40−アルキル基(ここで、α位の炭素原子はtertブチル基のような三級炭素原子であり、R、R、R及びR10は水素原子であり;
別の実施態様では、R10及びRはC−C40−アルキル基であり、好ましくは、それらはメチル基のような線状C−C40アルキル基であり、R、R及びRは水素基であり;
さらに好適な実施態様では、R、R及びRは、メチル基若しくはtertブチル基のような線状又は分枝状C−C40−アルキル基であり、R10及びRは水素原子である。
【0008】
さらに好適な実施態様では、R、R、R、R及びR10は水素原子であり、
式(Wb)の部分では、好適な実施態様では、Zは窒素原子であり、Z、Z、Z及びZは各々CR、CR、CR及びCR(ここで、R、R、R、及びRの意味は上述の通りである)であり、好適な実施態様では、Zは窒素原子であり、Z、Z、Z及びZは各々CR10、CR、CR及びCR(ここで、R10、R、R、及びRの意味は上述の通りである)であり、さらに好適な実施態様では、Zは窒素原子であり、Z、Z、Z及びZは各々CR10、CR、CR及びCR(ここで、R10、R、R、及びRの意味は上述の通りである)であり;
式(Wc)の部分では、好適な実施態様では、Zは酸素原子、硫黄原子、NR16基であり、好ましくは、Zは硫黄原子又はNR16であり、ここで、NR16は、好ましくは、C−C40−アルキル基であり、より好ましくは、Zは硫黄原子であり、Z、Z、Z及びZ10は各々CR14、CR15、CR16及び炭素原子であり、ここで、R14は水素原子又はメチル若しくはエチルのようなC−C40−アルキル基であり、R15及びR16は水素原子又はC−C40−アルキル基である。
【0009】
本発明の好適な実施態様では、式(I)の化合物において、T及びTは、互いに同一又は異なり、OR、又はSRであり、ここで、Rは上述の通りであり、T及びTは、互いに同一又は異なり、メチル基又はエチル基のような線状C−C40−アルキル基である。
【0010】
さらに好適な実施態様では、T及びTは、互いに同一又は異なり、OR、SR又はC(R18基であり、好ましくは、T及びTはOR又はSR基であり、T及びTは、互いに同一又は異なり、C(R1918基であり、R18は上述の通りであり、R19はC−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属する1若しくはそれ以上のヘテロ原子を含有してもよく、好ましくは、R19は線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式、C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40−アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属する1若しくはそれ以上のヘテロ原子を含有してもよく、又は2個のR19基は一緒に結合してC−C員環を形成でき、ここで、場合により、1個の炭素原子は窒素、硫黄又は酸素原子で置換してもよく、より好ましくは、R19は線状若しくは分枝状、C−C20−アルキル基であり、より好ましくは、R19はメチル基又はエチル基であり、C(R1918基の例はtert−ブチル基、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2フラニル基であり、
式(I)の化合物の好適な種類は式(IIa)により表される:
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、M、L、X、R、R、R、R、R、R、R及びR10は上記報告した意味である)。
式(I)のさらに好適な化合物は、式(IIb)を有する:
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、M、L、X、R、R、R、R14、R15、R16は上記報告した意味である)。
式(I)の化合物の例は下記の通りである。すなわち、
ラセミ−MeSi(2−メチル−4−フェニル−6−tert−ブチリデン−1イル)ZrCl
ラセミ−MeSi(2−メチル−4−(tert−ブチルフェニル)−6−tert−ブチリデン−1イル)ZrCl
ラセミ−MeSi(2−メチル−4−(チオフェニ−2−イル)−6−tert−ブチリデン−1イル)ZrCl
ラセミ−MeSi(2−メチル−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)−6−tert−ブチリデン−1イル)ZrCl
ラセミ−MeSi(2−メチル−4−(ベンゾチオフェン−2−イル)−6−tert−ブチリデン−1−イル)ZrCl
ラセミ−MeSi(2−メチル−4−(4−ピリジル)−6−tert−ブチリデン−1−イル)ZrCl
ラセミ−MeSi(2−メチル−4−(2,5−ジメチルフェニル)−6−tert−ブチリデン−1イル)ZrCl
ラセミ−MeSi(2−メチル−4−フェニル−6−tert−ブチリデン−1−イル)ZrCl
ラセミ−MeSi(2−n−プロピル−4−フェニル−6−tert−ブチリデン−1イル)ZrCl
ラセミ−アンチ−MeSi(2−メチル−4−フェニル−6−tert−ブチリデン−1−イル)(2−メチル−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)−6−tert−ブチリデン−1−イル)ZrCl
及びそれらの対応するジメチル誘導体類及びさらに対応するチタン化合物、及びハフニウム化合物である。
【0015】
好ましくは、本発明の目的メタロセン化合物は、それらのラセミ(rac)体またはアンチ−ラセミ体である。
本発明の目的のため、「ラセミ(rac)体」という用語は、2つのシクロペンタジエニル部分に同一の置換基が、ジルコニウム及び前記シクロペンタジエニル部分の中心を含む平面に対して反対側上にあることを意味する。「アンチ−ラセミ体」という用語は、メタロセン化合物上の2つのシクロペンタジエニル部分のより大きい(bulkier)置換基が、下記の化合物に示されているような、ジルコニウム及び前記シクロペンタジエニル部分の中心を含む平面に対して反対側上にあることを意味する。
【0016】
【化5】

【0017】
本発明の別の目的は、
a) 式(I)のメタロセン化合物
b) 少なくとも1つのアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成できる化合物、及び
c) 場合により、有機アルミニウム化合物
を接触させることにより得られるオレフィン類の重合用触媒系である。
【0018】
好ましくは、メタロセン化合物は(Ia)、(IIa)又は(IIb)から選択される式を有する。
本発明の触媒系の成分b)として使用されるアルモキサン類は、水と式HAlU3−j又はHAl6−j(式中、U置換基は、同一か異なり、水素原子、ハロゲン原子、C−C20−アルキル基、C−C20−シクロアルキル基、C−C20−アリール基、C−C20−アルキルアリール基若しくはC−C20−アリールアルキル基であり、場合によりシリコン原子若しくはゲルマニウム原子を含有する。但し、少なくとも1つのUがハロゲンと異なり、jは0〜1の範囲であり、非整数でもある。)とを反応させることにより得ることができる。この反応では、Al/水のモル比は、好ましくは、1:1〜100:1からなる。
【0019】
本発明の触媒系で使用されるアルモキサン類は、線状、分枝状又は環式化合物であり、少なくとも1群のタイプ:
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、置換基Uは、同一又は異なり、上記の定義の通りである。)を含有する。
特に、式:
【0022】
【化7】

【0023】
のアルモキサン類は、線状化合物の場合に使用でき、式中、nは0又は1〜40の整数であり、置換基Uは上記定義の通りであり、又は式:
【0024】
【化8】

【0025】
のアルモキサン類を環状化合物の場合に使用でき、式中、nは2〜40の整数であり、U置換基は上記定義の通りである。
本発明で使用するのに適しているアルモキサン類の例は、メチルアルモキサン(MAO)、テトラ−(イソブチル)アルモキサン(TIBAO)、テトラ−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)アルモキサン(TIOAO)、テトラ−(2,3−ジメチルブチル)アルモキサン(TDMBAO)及びテトラ−(2,3,3−トリメチルブチル)アルモキサン(TTMBAO)である。
【0026】
特に興味のある助触媒はWO99/21899号、及びWO01/21674号公報に記載されており、これらの公報ではアルキル及びアリール基が特定の分枝パターンを示す。
【0027】
WO99/21899及びWO01/21674号公報に記載されている、水と反応して適切なアルモキサン類(b)を与えることのできるアルミニウム化合物の非制限的例は、トリス(2,3,3−トリメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチル−ヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−プロピル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−メチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−メチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2.3−ジエチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2−プロピル−3−メチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−イソプロピル−3−メチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−イソブチル−3−メチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3−トリメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3−トリメチル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3,3−ジメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2−イソプロピル−3,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−トリメチルシリル−プロピル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(2、3−ジメチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−フェニル−プロピル)アルミニウム、トリス[2−(4−フルオロ−フェニル)−プロピル]アルミニウム、トリス[2−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]アルミニウム、トリス[2−(3−イソプロピル−フェニル)−プロピル]アルミニウム、トリス(2−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(3−メチル−2−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−フェニル−ペンチル)アルミニウム、トリス[2−(ペンタフルオロフェニル)−プロピル]アルミニウム、トリス[2,2−ジフェニル−エチル]アルミニウム及びトリス[2−フェニル−2−メチル−プロピル]アルミニウム、並びに相当する化合物類があり、ここでヒドロカルビル基のうちの1つが水素原子で置換され、ヒドロカルビル基の1つ又は2つがイソブチル基で置換されたものである。
【0028】
上記アルミニウム化合物のうち、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリス(2,4,4−トリメチル−ペンチル)アルミニウム(TIOA)、トリス(2,3−ジメチルブチル)アルミニウム(TDMBA)及びトリス(2,3,3−トリメチルブチル)アルミニウム(TTMBA)が好適である。
【0029】
アルキルメタロセンカチオンを形成できる化合物の非制限例は、式Dからなる化合物であり、Dはブレンステッド酸であり、プロトンを提供でき、不可逆的に式(I)のメタロセンの置換基Xと反応でき、Eは適合性のあるアニオンであり、2つの化合物の反応から生じる活性触媒種を安定化でき、オレフィンモノマーにより除去されるのに充分に不安定である。好ましくは、アニオンEは1又はそれ以上のホウ素原子を含む。より好ましくは、アニオンEは式BAr(−)のアニオンであり、置換基Arは同一又は異なることができ、フェニル、ペンタフルオロフェニル若しくはビス(トリフルオロメチル)フェニルのようなアリール基である。テトラキス−ペンタフルオロフェニルボレートは特に好適な化合物であり、WO91/02012号公報に記載されている。さらに、式BArの化合物を都合良く使用できる。
【0030】
このタイプの化合物は、例えば、国際特許出願WO92/00333号公報に記載されている。アルキルメタロセンカチオンを形成できるその他の化合物例は式BArPの化合物類であり、式中Pは置換若しくは無置換ピロール基である。これらの化合物類はWO01/62764号公報に記載されている。ホウ素原子を含有する化合物類は、DE−A−19962814号及びDE−A−19962910号公報の記載にしたがって都合良く担持できる。ホウ素原子を含有するこれらの全ての化合物は、約1:1〜約10:1、好ましくは、1:1〜2:1、より好ましくは、約1:1からなるホウ素及びメタロセンの金属間のモル比で使用できる。
【0031】
式Dからなる化合物の非制限例は;
トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩
トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミン酸塩
トリブチルアンモニウムテトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ホウ酸塩
トリブチルアンモニウムテトラキス(4−フルオロフェニル)ホウ酸塩、
ジメチルベンジルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩
ジメチルヘキシルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミン酸塩
ジメチルベンジルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩
ジメチルヘキシルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩
ジ(プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩
ジ(シクロヘキシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミン酸塩
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミン酸塩がある。
【0032】
化合物c)として使用される有機アルミニウム化合物は、上述したように式HAlU3−j又はHAl6−jである。
本発明の触媒は不活性担体上に担持させることもできる。これは、メタロセン化合物a)又はメタロセン化合物a)と成分b)との反応生成物又は成分b)を付着させ、次いで、不活性担体上にメタロセン化合物を付着させることにより達成される。担体は、タルク、シート状シリケート、無機酸化物又は微細分割ポリマー粉末(例えば、ポリオレフィン)のような多孔性固体であることができる。適切な無機酸化物は、元素の周期律表2、3、4、5、13、14、15及び16族からなる元素の酸化物中から見出すことができる。担体として好適な酸化物例には、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及びさらに元素カルシウム、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム若しくはチタンの混合酸化物及び対応するそれらの酸化物混合物、ハロゲン化マグネシウム、スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー、ポリエチレン又はポリプロピレン等がある。単独で又は前述の好適酸化物担体との組合せで使用できるその他の無機酸化物は、例えば、MgO、ZrO、TiO又はBがある。
【0033】
使用できる担体の好適な種類は、活性水素原子を有する基で官能化させた多孔性有機担体である。特に好適なものは、有機担体が部分的に架橋したスチレンポリマーであるようなものである。このタイプの担体は欧州出願EP−633272号公報に記載されている。
【0034】
本発明にしたがって使用するのに特に適している不活性担体の別の種類は、ポリオレフィン多孔性プレポリマー(特にポリエチレン)の類である。
本発明にしたがって使用するのに特に適している不活性担体のさらに別の種類は、国際出願WO95/32995号公報に記載されているような多孔性ハロゲン化マグネシウムの類である。
【0035】
好ましくは使用される担体材料は10〜1000m/gの比表面積、0.1〜5ml/gの細孔容積及び1〜500μmの平均粒度を有する。好適なものは、50〜500m/gの比表面積、0.5〜3.5ml/gの細孔容積及び5〜350μmの平均粒度を有する担体である。特に好適なものは、200〜400m/gの比表面積、0.8〜3.0ml/gの細孔容積及び10〜300μmの平均粒度を有する担体である。
【0036】
無機担体は、例えば、吸着水を除去するために熱処理に付すことができる。このような乾燥処理は、一般に、80ないし300℃、好ましくは、100〜200℃で行い、100〜200℃の乾燥は、好ましくは、減圧下及び/又は不活性ガス(例えば、窒素)シール下で行う。あるいは、無機担体を200〜1000℃にか焼して所望の固体構造の生成及び/又は表面上所望のOH濃度の設定をする。担体は、例えば、金属アルキル類、好ましくは、アルミニウムアルキル類、クロロシラン若しくはSiCl、あるいはその他のメチルアルミノオキサンのような慣用乾燥剤を使用して化学的に処理することもできる。適切な処理方法は、例えば、WO00/31090号公報に記載されている。
【0037】
無機担体材料は化学的に改質もできる。例えば、シリカゲルの(NHSiFでの処理はシリカゲル表面のフッ素化をもたらし、あるいは、シリカゲルの窒素含有基、フッ素含有基若しくは硫黄含有基を含有するシランでの処理は同様に改質したシリカゲル表面をもたらす。
【0038】
微細分割したポリオレフィン粉末(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリスチレン)のような有機担体材料も使用でき、好ましくは、同様に付着水分、溶媒残留物又はその他の不純物を使用前の適切な精製操作及び乾燥操作により取り除く。官能化したポリマー担体、例えば、ポリスチレンに基づく担体を使用することも可能であり、その官能基、例えば、アンモニウム基若しくはヒドロキシ基を介して触媒成分の少なくとも1つに固定化できる。アルキルアルミニウム化合物をそのまま又は必要の場合水と予備反応させたアルキルアルミニウム化合物をさらに添加して組み合わせたキャリアーに本発明の目的触媒系を担持させることにより得た固体化合物を、気相重合又はスラリー重合に有用に使用できる。
【0039】
本発明の触媒系は溶液重合プロセスにも使用できる。本発明の目的のため、溶液重合という用語は、好ましくは、使用する重合温度で重合媒体に少なくとも5重量%、より好ましくは5〜50重量%の濃度範囲でポリマーが完全に溶解することを意味する。
【0040】
重合媒体にポリマーを完全に溶解させるために、コポリマーについてはモノマーの混合物を、ホモポリマーについては1種のみのモノマーを不活性溶媒の共存下で使用できる。この溶媒は、脂肪族又は環脂肪族炭化水素、例えば、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンであることができる。ミネラルスプリット又は水素化ジーゼル油留分を使用することも可能である。さらにトルエンのような芳香族炭化水素を使用することもできる。使用される好適な溶媒はシクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンである。溶液重合プロセスにおいてプロピレンコポリマーの獲得のためモノマーとしてプロピレンを使用する場合、重合媒体の液相中のプロピレン含量は、好ましくは、5重量%〜60重量%、より好ましくは、20重量%〜50重量%の範囲である。
【0041】
式(I)のメタロセン化合物を含む触媒系は、オレフィン、特に、α−オレフィンを重合し、高収率で高分子量を有するポリマーを得るために使用できる。したがって、本発明の別の目的は、重合条件下で、式CH=CHA(式中、Aは水素又はC−C20アルキル基である)の1種又はそれ以上のαオレフィンを上述した触媒系の共存下で接触させることを含む、α−オレフィンポリマーの製造方法にある。
【0042】
式CH=CHAのα−オレフィンの非制限的例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び4−メチル−1−ペンテンであり、好適なαオレフィンはエチレン、プロピレン及び1−ブテンである。
【0043】
本発明の式(I)の目的メタロセン化合物はプロピレンの単独重合及び共重合に特に適している。事実、本発明のメタロセン系触媒系は、プロピレンの単独重合又は共重合に使用するとき、高収率でさらに高温で高分子量のポリマーを与えることができ、したがって、50℃よりも高い重合温度を使用、すなわち、60℃〜200℃、好ましくは80℃〜120℃間であることができる、工業プラントにおける使用を可能にする。
【0044】
上述したように、式(I)のメタロセン化合物はプロピレンの共重合に特に適しており、したがって、本発明の別の目的は、重合条件下で、プロピレンとエチレン又は1種若しくはそれ以上の式CH=CHA(式中、AはC−C20アルキル基である)とを、上述の触媒系の共存下で接触させる工程を含むプロピレンコポリマーの製造方法である。この方法は、好ましくは、上述したような溶液中で行う。
【0045】
式CH=CHAのαオレフィンの例は、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び4−メチル−1−ペンテンであり、好適なαオレフィンはエチレン及び1−ブテンであり、より好適なαオレフィンはエチレンである。
【0046】
本発明の目的プロピレンコポリマー中のα−オレフィン誘導単位の含量は、0.1〜90モル%の範囲であり、好ましくは、5モル%〜70モル%の範囲であり、より好ましくは、10モル%〜60モル%の範囲である。
【0047】
本発明のメタロセン化合物は、エチレンとより高級なαオレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等とのコポリマーの製造にも特に適している。当該コポリマーのコモノマー含量は5〜50モル%の範囲である。特に好適なものは、1−ブテン誘導単位含量が5〜50モル%範囲であるエチレン/1−ブテンコポリマーである。
【0048】
上述したように、本発明のオレフィンの重合方法は、炭化水素溶媒の共存下若しくは非共存下で、例えば、スラリーのような液相中で、又は気相中で行うことができる。当該炭化水素溶媒は、トルエンのような芳香族、又はプロパン、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン若しくはシクロヘキサンのような脂肪族であることができる。
【0049】
一般に、重合温度は、おおむね、−100℃〜+200℃、好ましくは、60℃〜200℃、より好ましくは、80℃〜120℃の間である。重合圧力は、おおむね、0.5〜100バールの間である。
【0050】
重合温度が低いほど、得られるポリマーの分子量が高い。
重合収率は触媒のメタロセン化合物の純度に依存する。したがって、本発明の方法により得られるメタロセン化合物はそのままで使用されるか又は精製処理に付すことができる。
【0051】
本発明の別の目的は、式(III)
【0052】
【化9】

【0053】
のリガンド又はその二重結合異性体であり、式中、L、R、R、R、W及びWは上記報告した意味である。
好適なリガンドは、(IIIa)又は(IIIb):
【0054】
【化10】

【0055】
【化11】

【0056】
又はそれらの二重結合異性体であり、式中、L、R−R16は上記報告した意味である。
式(I)のメタロセン化合物は、ジアニオンと、例えば、ジルコニウムテトラクロリド等の金属テトラハロゲン化物のような適当な遷移金属源との反応工程を含む方法を用いて得ることができる。ジアニオンは、例えば、ブチルリチウム若しくはメチルリチウムのような有機リチウム化合物を使用することによる、例えば、式(III)の脱プロトン化により得ることができる。上記方法は、好ましくは、極性若しくは非極性の、非プロトン性溶媒中で行う。当該非プロトン性溶媒は、好ましくは、芳香族若しくは脂肪族炭化水素、場合により、ハロゲン化してもよく、又はエーテルであり、より好ましくは、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びそれらの混合物である。当該方法は、−100℃〜+80℃の範囲の温度、より好ましくは、−20℃〜+70℃の温度で行う。
【0057】
下記の実施例は本発明の例証のために与えるが、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0058】
下記の実施例は本発明の例証のために与えるが、本発明を制限するものではない。
実施例
一般的特性
テトラヒドロナフタレン中の極限粘度(I.V.)
極限粘度(I.V.)を135℃のテトラヒドロナフタレン(THN)中で測定した。
【0059】
溶融温度(T
示差走査熱量計DSC(Mettler)を使用することにより、熱量測定を行った。装置はインジウム標準品及び錫標準品を用いて較正した、秤量した試料(6〜8mg)をアルミニウムパン中に密閉し、20℃/分の速度で200℃に加熱し、その温度に5分間維持した。続いて、5℃まで20℃/分の速度で冷却した後、5℃に5分間維持し、試料を20℃/分の速度で200℃に加熱した。この2番目の加熱工程において、ピーク温度を溶融温度(T)として仮定し、面積を広範囲溶融エンタルピー(global melting enthalpy:ΔH)として仮定した。
【0060】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
Waters製150C GPC装置を使用して、1,2,4−トリクロロベンゼン中135℃でゲル浸透クロマトグラフィー測定を行った。
【0061】
13C−NMR測定
13C−NMR分析によりポリマーの微細構造を調査した。120℃の1,1,2,2−テトラクロロエタン−d中8%wt/v濃度で試料を溶解させた。120℃、Bruker DPX400スベクトロメーターを用い100.61MHzで操作して、13C−NMRスペクトルを得た。各スペクトルを、90°パルス、パルス間の遅れ12秒及びCPD(WALTZ 16)で得、H−13Cカップリングを除いた。約1500トランジェントを、6000Hzのスペクトル窓を使用して32Kデータ点に格納した。
【0062】
アイソタクチックポリプロピレンの場合、21.8ppmにおけるmmmmピークを内部基準として使用し、ペンタド分布及び領域誤差(regioerrors)の量を、Resconi, L.; Cavallo, L.; Piemontesi, F. Chem. Rev. 2000, 100, 1253 に記載されている通りにして決定した。
【0063】
エチレン−プロピレンコポリマーの場合、ピークの割り当てを、Randall[1] 及びTritto[2] にしたがって行い、トリアド分布及びコポリマー組成を Kakugo[3]にしたがって決定した。
【0064】
29.9ppmにおけるSδδピーク(参照4にしたがう用語)を内部基準として使用した。反応比の積r1×r2を Carman. [4]にしたがうトリアドから算出した。
[1] J.C. Randall, Macromol. Chem. Phys. 1989, C29, 201.
[2] I. Tritto, Z. Fan, P. Locatelli, M. Sacchi, I. Camurati, M. Galimberti, Macromolecules 1995, 28, 3342.
[3] M. Kakugo, Y. Naito, K. Mizunuma, T. Miyatake, Macromolecules 1982, 15, 1150.
[4] C. J. Carman, R. A. Harington, C. E. Wilkes, Macromolecules 1977, 10, 535.
化学及び特性
標準的Schlenk技法を使用してすべての化学品を取り扱った。
メチルアルモキサン(MAO)をAlbermarleから30%wt/wtトルエン溶液として入手し、そのまま使用した。
ラセミ−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル−インデン−1−イル)ジクロロジルコニウム(C1)をEP576970号公報にしたがって製造した。
ラセミ−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−(4−tert−ブチルフェニル)−インデン−1−イル)ジクロロジルコニウム(C2)をWO98/40331号公報(例65)にしたがって製造した。
【0065】
(ラセミ−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−(4−tert−ブチルフェニル)−6−tert−ブチリデン−1イル)ジクロロジルコニウム(A1)の合成)
【0066】
【化12】

【0067】
3−(2−ブロモ−4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン酸
N−ブロモスクシンイミド(98g、0.55モル)及び0.5gベンゾイルパーオキシドをCCl(500ml)中2−ブロモ−4−tert−ブチル−1−メチルベンゼン(113.5g、0.5モル)溶液に加えた。得られた混合物を6時間還流し、20℃に冷却し、濾過した。得られた濾液を蒸発させ、さらに精製することなく使用した。500ml無水エタノール中104.5g(0.6モル)ジエチルメチルマロネート及び40.8gナトリウムエチラートから調製したナトリウムジエチルメチルマロネート溶液を2−ブロモ−1−(ブロモメチル)−4−tert−ブチルベンゼン(0.5モル)で滴下しながら処理した。得られた混合物を4時間還流し、水(60ml)中NaOH(50g、1.25モル)溶液で処理し、2時間還流し、次いで水(1リットル)中に注ぎ、トルエン(2×100ml)で最終的に洗浄した。得られた水性溶液を130mlの35%HClで処理した。得られた混合物をクロロホルム(4×250ml)で抽出し、有機相をMgSO上で乾燥させ、蒸発させた。得られた残留物を160〜170℃に15分間加熱し、生成物(1−tert−ブチル−4−メチルベンゼン60%からの総収量、92g)を得た。
【0068】
4−ブロモ−6−tert−ブチル−2−メチル−1−インダノン
3−(2−ブロモ−4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン酸(46g、150ミリモル)及びSOCl(18ml、220ミリモル)の混合物を1時間40℃で攪拌した。過剰のSOClを真空中で除去した。残留物をCHCl(50ml)中で溶解し、CHCl(200ml)中の20gAlClの懸濁液に0℃で加えた。反応混合物を一夜攪拌し、50ml 濃HClを含有する氷/水(500g)中に注いだ。有機相を集め、水洗し、MgSO上で乾燥させ、蒸発させた。残留物を125〜130℃/0.5トールで蒸留し、32g(76%)の生成物を得た。
1H NMR (CDCl3, 20℃) δ: 7.83 (d, 1H); 7.75 (d, 1H); 3.32 (q, 1H); 2.77 (m, 1H); 2.64 (dd, 1H); 1.36 (s, 9H); 1.35 (d, 3H)
13C NMR (CDC13, 2O℃) δ: 208.78; 153.29; 150.33; 138.00; 135.06; 121.68; 119.37; 42.26; 35.34; 34.89; 31.14; 16.18。
【0069】
6−tert−ブチル−4−(tert−ブチルフェニル)−2−メチル−1−インダノン
Pd(OAc)(0.3g、3モル%)及びPPh(0.7g、3モル%)を、DME(170ml)−HO(56ml)中4−ブロモ−6−tert−ブチル−2−メチル−1−インダノン(12.65g、45ミリモル)、tert−ブチルフェニルボロン酸(11.2g、63ミリモル)及びNaCO(13.4g、126ミリモル)のよく攪拌した混合物に加えた。得られた混合物を攪拌しながら6時間還流し、冷却し、水中に注いだ。CHCl(300ml)を加え、有機層を分離し、水洗し、MgSO上で乾燥させ、蒸発し、グラジエントカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルムを4:1から1:1まで)により精製した。収量は10.84g(72%)だった。
1H NMR (CDCl3, 20℃) δ: 7.83 (d, 1H); 7.71 (d, 1H); 7.55 (d, 2H); 7.46 (d, 2H); 3.43 (q, IH); 2.79(m, 2H); 1.43 (s, 9H); 1.42 (s, 9H); 1.35 (d, 3H)
13C NMR (CDCl3, 20℃) δ: 209.75; 151.35; 150.38; 148.34; 139.44; 136.63; 132.59; 128.05; 125.37; 119.03; 42.41; 34.77; 34.48; 34.43; 31.27; 31.23; 16.15。
【0070】
5−tert−ブチル−2−メチル−7−tert−ブチルフェニル−1H−インデン
EtO(150ml)中の5−tert−ブチル−7−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−1−インダノン(10.37g、31ミリモル)を0℃でEtO(100ml)中のLiAlH(0.6g、16ミリモル)に滴加した。1時間攪拌後、5%HCl(50ml)を加え、有機相を分離し、水相をEtO(2×50ml)で抽出した。有機相を合わせ、水性NaCOで洗い、MgSO上で乾燥させ、蒸発させた。残留物をベンゼン(500ml)中に溶解させ、p−TSA(1g)を加え、得られた混合物を10分間還流し、冷却し、水洗し、MgSO上で乾燥させ、蒸発させ、真空下乾燥させた。収量は9.9g(ほぼ定量的)で:黄色粘性油状物だった。
1H NMR (CDCl3, 20℃) δ: 7.61 (m, 4H); 7.43 (d, 1H); 7.32 (d ,1H); 7.64 (q, 1H); 3.48 (s, 2H); 2.24 (d, 3H); 1.51 (s, 18H).
13C NMR (CDCl3, 20℃) δ: 150.02; 149.59; 146.34; 146.19; 138.80; 137.89; 136.49; 128.00; 127.24; 125.15; 121.47; 115.84; 42.37; 34.64; 34.44; 31.61; 31.33; 16.67。
【0071】
ビス(6−tert−ブチル−2−メチル−4−tert−ブチルフェニル−1H−インデン−1−イル)(ジメチル)シラン
EtO(70ml)中の5−tert−ブチル−2−メチル−7−tert−ブチルフェニル−1H−インデン(5.0g、15.7ミリモル)を−40℃に冷却し、ヘキサン中のn−ブチルリチウム〈1.6M、9.81ml、15.7ミリモル)を加えた。得られた混合物を室温に温め、3時間攪拌して、−60℃に冷却した。EtO(20ml)中のCuCN(42mg、0.47ミリモル)及びSiMeCl(0.95ml、7.85ミリモル)を加えた。得られた混合物を室温に温め、16時間攪拌した。HO(20ml)及びベンゼン(150ml)を加え、有機相を分離し、MgSO上で乾燥させ、シリカゲルに通し、蒸発させた。残留物を真空下乾燥させ(淡黄色固体)、さらに精製することなく次の工程に使用した。
1H NMR (CDCl3, 20℃) δ: 7.62-7.40 (m, 12H, C-Hの群); 6.91 (bs); 6.88 (bs) {2H, -CH=); 3.86 (s); 3.82 (s) {2H, >CH-}; 2.31 (bs); 2.25 (bs) {6H, -C-CH3); 1.49 (s); 1.47 (s); 1.46 (s); 1.45 (s) {36H, -C(CH3)3); -0.06 (bs); -0.10 (bs); -0.11 (bs) {6H, Si-CH3}。
【0072】
ラセミ−ジメチルシリル(2−メチル−4(4−tert−ブチルフェニル)−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ジクロロジルコニウム
上記で得られたビス(6−tert−ブチル−2−メチル−4−tert−ブチルフェニル−1H−インデン−1−イル)(ジメチル)シラン(7.85ミリモル)をEtO(80ml)中に溶解させ、−40℃に冷却し、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、10.4ml、16.7モル)を加えた。反応混合物を室温に温め、3時間攪拌し、蒸発させた。得られた黄褐色固体をペンタン(200ml)中に懸濁させ、−60℃に冷却させ、ZrCl(1.94g、8.33ミリモル)を加えた。5分後、EtO(1ml)を加えた。得られた混合物を室温に温め、さらに16時間攪拌し、濾過した。残留物をペンタン/CHCl(2:1)によりエバポレーションにより抽出し、異性体混合物を得た(1.12g、16.7%)。この混合物をペンタン/CHCl(5:1)により再結晶させ、精製ラセミ体を得た(0.11g、3.3%)。
1H NMR (CDCl3, 20℃) δ: 7.57 (bs, 2H); 7.56 ("d", 4H); 7.47 ("d", 4H); 7.46 (bs, 2H) {CAT-H} ; 6.87 (s, 2H, C5 環のH); 2.25 (s, 6H, C-CH3); 1.35 (s, 6H, Si-CH3); 1.33 (s, 18H, -C(CH3)3); 1.32 (s, 18H, -C(CH3)3)。
【0073】
触媒系の製造
触媒系S1A1
9.9mLのTIBA/シクロヘキサン溶液(113g/L)を2.4mLのMAO/トルエン溶液と混合し、2:1のモル比のMAO/TIBAを得た。得られた溶液を1時間室温で攪拌し、20.8mgのAlを含有する50mLSchlenkフラスコ中に移した。この溶液を23.5mLのシクロヘキサンで稀釈し、50gTOT/Lおよび0.582gメタロセン/Lの濃度に達した。
【0074】
触媒系S2C1
39.1mLのTIBA/イソドデカン溶液(90g/L)を7.4mLのMAO/トルエン溶液と混合し、2:1のモル比のMAO/TIBAを得た。得られた溶液を1時間室温で攪拌し、55.8mgのClを含有する50mLSchlenkフラスコ中に移した。この得られた混合物を9.8mLのイソドデカンで稀釈し、100gTOT/Lおよび0.99gメタロセン/Lの濃度の濁ったオレンジ色溶液を得た。
【0075】
触媒系S3C1
39.1mLのTIBA/シクロヘキサン溶液(113g/L)を2.8mLのMAO/トルエン溶液と混合し、2:1のモル比のMAO/TIBAを得た。得られた溶液を1時間室温で攪拌し、21.1mgのClを含有する50mLSchlenkフラスコ中に移した。この溶液を6.78mLのシクロヘキサンで稀釈し、100gTOT/Lおよび0.99gメタロセン/Lの濃度のオレンジ色溶液を得た。
【0076】
触媒系S4C2
8.1mLのTIBA/イソドデカン溶液(110g/L)を1.9mLのMAO/トルエン溶液と混合し、2:1のモル比のMAO/TIBAを得た。得られた溶液を30分間室温で攪拌した。次いで、25mgのC2を加え、透明溶液を与えた。当該透明溶液を4.4mlのトルエンで稀釈し、100gTOT/Lおよび1.74gメタロセン/Lの濃度に達した。
【0077】
プロピレン重合例
各試験のための重合方法及び条件を下記に詳細に述べ、表1にも集めた。
ポリマー試料について行った分析結果を表2に集めた。
【0078】
(実施例1)
機械運転攪拌機及び35mLステンレススティール製容器を具備し、温度制御用サーモスタットを連結した4.4Lジャケット付ステンレススティール製オートクレーブを、ヘキサン中のAl(i−Bu)溶液で洗うことにより予め浄化し、窒素流中50℃で乾燥させた。
【0079】
6ミリモルのAl(i−Bu)(ヘキサン中100g/L溶液として)、629gシクロヘキサン及び732gのプロピレンを室温で装填し、次いで、オートクレーブを100℃(重合温度)にサーモスタット設定をした。これらの条件下、液体組成物を、100℃で50/50重量%プロピレン/シクロヘキサンであるとして計算した。
【0080】
4mLの触媒系S1A1を、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入した。プロピレンを30分間継続的に供給し、圧力を32バール−gに維持し、53gのプロピレンを消費した。
【0081】
次いで、オートクレーブの底部排出弁を開き、ポリマーを70℃の水を含む加熱したスティール製タンク中に排出した。タンク加熱のスイッチを切り、0.5バール−gの窒素流を供給した。室温に冷却後、スティール製タンクを開き、湿ったポリマーを集めた。こ
の湿潤ポリマーを減圧下70℃のオーブン中で加熱した。重合データを表1に報告し、得られたポリマーの特性を表2に報告する。
【0082】
(比較例2)
実施例1を繰り返したが、触媒/助触媒混合物(0.99mgメタロセン/mL溶液)を含有する触媒系S2Clの5mLを、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入したことが相違点だった。プロピレンを30分間継続的に供給し、圧力を31.5バール−gに維持し、プロピレンの総消費は43.7gだった。
【0083】
実施例1に記載した方法にしたがってポリマーを排出した。重合データを表1に報告し、得られたポリマーの特性を表2に報告する。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
プロピレン/エチレン共重合例
(実施例3)
720gのシクロヘキサン、35gのエチレン及び654gのプロピレンを供給して実施例1の方法を繰り返した。4mLの触媒系S1A1溶液を、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入した。
【0087】
エチレン/プロピレン10/90重量%の混合物を30分間にわたって連続的に供給し、35バール−gの圧力を維持した。103.4gのプロピレン及び11.6gのエチレンを消費した。
【0088】
実施例1に記載した方法にしたがってコポリマーを排出した。重合データを表3に報告する。
(実施例4)
716gのシクロヘキサン、61gのエチレン及び631gのプロピレンを供給して実施例1の方法を繰り返した。3mLの触媒系S1A1溶液を、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入した。
【0089】
エチレン/プロピレン17/83重量%の混合物を30分間にわたって連続的に供給し、37バール−gの圧力を維持した。85.1gのプロピレン及び17.9gのエチレンを消費した。
【0090】
実施例1に記載した方法にしたがってコポリマーを排出した。重合データを表3に報告する。
(実施例5)
676gのシクロヘキサン、72gのエチレン及び647gのプロピレンを供給して実施例1の方法を繰り返した。2.5mLの触媒系S1A1溶液を、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入した。
【0091】
エチレン/プロピレン21/79重量%の混合物を30分間にわたって連続的に供給し、39バール−gの圧力を維持した。30.5gのプロピレン及び8gのエチレンを消費した。
【0092】
実施例1に記載した方法にしたがってコポリマーを排出した。重合データを表3に報告する。
(比較例6)
720gのシクロヘキサン、35gのエチレン及び654gのプロピレンを供給して実施例1の方法を繰り返した。3mLの触媒系S3C1溶液を、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入した。
【0093】
エチレン/プロピレン10/90重量%の混合物を30分間にわたって連続的に供給し、34バール−gの圧力を維持した。40gのプロピレン及び4.4gのエチレンを消費した。
【0094】
実施例1に記載した方法にしたがってコポリマーを排出した。重合データを表3に報告する。
(比較例7)
716gのシクロヘキサン、61gのエチレン及び631gのプロピレンを供給して実施例1の方法を繰り返した。4mLの触媒系S3C1溶液を、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入した。
【0095】
エチレン/プロピレン17/83重量%の混合物を20分間にわたって連続的に供給し、37バール−gの圧力を維持した。103.7gのプロピレン及び21.2gのエチレンを消費した。
【0096】
実施例1に記載した方法にしたがってコポリマーを排出した。重合データを表3に報告する。
(比較例8)
676gのシクロヘキサン、72gのエチレン及び647gのプロピレンを供給して実施例1の方法を繰り返した。2.5mLの触媒系S3C1溶液を、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入した。
【0097】
エチレン/プロピレン21/79重量%の混合物を30分間にわたって連続的に供給し、38バール−gの圧力を維持した。78.4gのプロピレン及び21gのエチレンを消費した。
【0098】
実施例1に記載した方法にしたがってコポリマーを排出した。重合データを表3に報告する。
(比較例9)
5/95重量%エチレン/プロピレン液体組成物に相当する、90℃、21バール−gの液体組成物を得るために、958gのシクロヘキサン、31gのエチレン及び500gのプロピレンを供給して実施例1の方法を繰り返した。
【0099】
4mLの触媒系S4C2溶液を、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入した。
エチレン/プロピレン11/89重量%の混合物を30分間にわたって連続的に供給し、21バール−gの圧力を維持した。33.7gのプロピレン及び4.1gのエチレンを消費した。
【0100】
実施例1に記載した方法にしたがってコポリマーを排出した。重合データを表3に報告する。
(比較例10)
8/92重量%エチレン/プロピレン液体組成物に相当する、90℃、24バール−gの液体組成物を得るために、958gのシクロヘキサン、50gのエチレン及び484gのプロピレンを供給して実施例1の方法を繰り返した。
【0101】
4mLの触媒系S4C2溶液を、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入した。
エチレン/プロピレン16/84重量%の混合物を30分間にわたって連続的に供給し、24バール−gの圧力を維持した。31.2gのプロピレン及び5.9gのエチレンを消費した。
【0102】
実施例1に記載した方法にしたがってコポリマーを排出した。重合データを表3に報告する。
(比較例11)
10/90重量%エチレン/プロピレン液体組成物に相当する、90℃、26バール−gの液体組成物を得るために、958gのシクロヘキサン、64gのエチレン及び473gのプロピレンを供給して実施例1の方法を繰り返した。
【0103】
4mLの触媒系S4C2溶液を、ステンレススティール製容器を経て4mlのシクロヘキサンによりオートクレーブ中に注入した。
エチレン/プロピレン20/80重量%の混合物を30分間にわたって連続的に供給し、26バール−gの圧力を維持した。86.5gのプロピレン及び21.6gのエチレンを消費した。
【0104】
実施例1に記載した方法にしたがってコポリマーを排出した。重合データを表3に報告する。
【0105】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の橋架けメタロセン化合物。式中、
Mは元素の周期律表において3族、4族又はランタニド系若しくはアクチニド系に属する元素から選択される遷移金属原子であり;
Xは、互いに同一か異なり、水素原子、ハロゲン原子、R、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR若しくはPR基であり、ここで、Rは線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式、C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40−アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、あるいは、2個のX基は互いに結合してOR’O基を形成でき、ここで、R’はC−C20−アルキリデン、C−C20−アリーリデン、C−C20−アルキルアリーリデン、若しくはC−C20−アリールアリキリデン基であり;
LはC−C20アルキリデン、C−C20シクロアルキリデン、C−C20アリーリデン、C−C20アルキルアリーリデン、又はC−C20アリールアルキリデン基から選択される2価の橋架け基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく、あるいは、5個までのケイ素原子を含有するシリリデン基であり;
は、互いに同一であり、C−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく;
は、互いに同一又は異なり、3〜40個の炭素原子を含有する、分枝状、環式若しくは非環式、アルキル、アルケニル、若しくはアルキニル基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく;
は、互いに同一又は異なり、水素原子又はC−C40炭化水素基であり、元素の周期律表の13〜17族に属し;
及びWは、互いに同一又は異なり、元素の周期律表の15〜16族に属するヘテロ原子を含有できる芳香族5若しくは6員環であり、前記環の各原子の原子価は水素原子で置換されるか、又はR基で場合により置換でき、Rは、互いに同一又は異なり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよいC−C40炭化水素基である。
【請求項2】
Mがジルコニウム、チタン又はハフニウムであり;Xは水素原子、ハロゲン原子、OR’O又はR基であり;LはSi(R11(式中、R11は線状若しくは分枝状、環式若しくは非環式、C−C40−アルキル、C−C40アルケニル、C−C40アルキニル、C−C40−アリール、C−C40−アルキルアリール若しくはC−C40−アリールアルキル基である、請求項1に記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項3】
は、互いに同一若しくは異なり、C(R1918基であり、ここで、R18は互いに同一若しくは異なり、水素原子若しくはC−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属する1又はそれ以上のヘテロ原子を含有してもよく、R19はC−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属する1又はそれ以上のヘテロ原子を含有してもよい、請求項1又は2に記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項4】
及びWは、下記式(Wa)、(Wb)及び(Wc)の成分部分:
【化2】

を含む群から選択され、式中、*は当該成分部分が式(I)の化合物のインデニル部分に結合される点を表し、
、R、R、R及びR10は、互いに同一又は異なり、水素原子又はC−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよく;
は窒素原子又はCR10基であり、Zは窒素原子又はCR基であり、Zは窒素原子又はCR基であり、Zは窒素原子又はCR基であり、Zは窒素原子又はCR基であり、ただし、Z、Z、Z、Z及びZのうち2基以下は窒素原子であり;
は酸素原子、硫黄原子、NR13基又はCR13基であり、Zは酸素原子、硫黄原子、NR14基又はCR14基であり、Zは酸素原子、硫黄原子、NR15基又はCR15基であり、Zは酸素原子、硫黄原子、NR16基又はCR16基であり、
10は式(I)の構造のインデニル部分を結合する窒素原子又は炭素原子であり、ただし、Z、Z、Z、Z若しくはZ10中の1個以下が硫黄原子、酸素原子若しくはNR13、NR14、NR15、NR16から選択される窒素含有基原子、及び窒素原子であり;
13、R14、R15及びR16は、互いに同一又は異なり、水素原子又はC−C40炭化水素基であり、場合により、元素の周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を含有してもよい、請求項1〜3のいずれかに記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項5】
式(Wa)の部分において、RはC−C40−アルキル基であり、R、R、R及びR10が水素原子である、請求項5に記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項6】
式(Wa)の部分において、R10及びRがC−C40−アルキル基であり、R、R、及びRが水素原子である、請求項5に記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項7】
式(Wa)の部分において、R、R及びRが線状若しくは分枝状C−C40−アルキル基であり、R10及びRが水素原子である、請求項5に記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項8】
式(Wa)の部分において、R、R、R、R及びR10が水素原子である、請求項5に記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項9】
式(Wb)の部分において、Zが窒素原子であり、Z、Z、Z及びZが各々CR、CR、CR及びCRであり、式中、R、R、R及びRの意味は請求項4に記載の通りである、請求項5に記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項10】
式(Wb)の部分において、Zが窒素原子であり、Z、Z、Z及びZが各々CR10、CR、CR及びCRであり、式中、R10、R、R及びRの意味は請求項4に記載の通りである、請求項5に記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項11】
式(Wb)の部分において、Zが窒素原子であり、Z、Z、Z及びZが各々CR10、CR、CR及びCRであり、式中、R10、R、R及びRの意味は請求項4に記載の通りである、請求項5に記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項12】
式(Wc)の部分において、Zが酸素原子、硫黄原子、NR16基である、請求項5に記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項13】
式(IIa)
【化3】

(式中、M、L、X、R、R、R、R、R、R、R及びR10は請求項1に記載した意味を有する。)請求項1〜11のいずれかに記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項14】
式(IIb)
【化4】

(式中、M、L、X、R、R、R、R14、R15、R16は請求項1に記載した意味を有する。)請求項1〜11のいずれかに記載の橋架けメタロセン化合物。
【請求項15】
a) 請求項1〜13のいずれかに記載の式(I)のメタロセン化合物
b) 少なくとも一つのアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成できる化合物、及び
c) 場合により、有機アルミニウム化合物
を接触させることにより得ることのできるオレフィンの重合用触媒系。
【請求項16】
請求項14に記載の触媒系の共存下、重合条件下で、式CH=CHA(式中、Aは水素原子又はC−C20アルキル基である。)の1又はそれ以上のα−オレフィンを接触させることを含むα−オレフィンポリマーの製造法。
【請求項17】
プロピレンを(共)重合させる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
プロピレンをエチレンと共重合させる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
式(III)
【化5】

のリガンド又はその二重結合異性体(式中、L、R、R、T、T、T、T及びWは請求項1に記載した意味である)。

【公表番号】特表2009−530341(P2009−530341A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500808(P2009−500808)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052056
【国際公開番号】WO2007/107448
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(500289758)バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー (118)
【Fターム(参考)】