メッキ方法
【課題】ダマシンプロセスに適した溝や孔への優先的なメッキ膜形成を実現する。
【解決手段】半導体基板と少なくとも前記半導体基板に形成された導電層を有する被処理基板と、メッキ液を含む第1の含浸体1111及び電解液を含む第2の含浸体1114が設けられたメッキヘッド1110とを用意し、第1の含浸体1111に陽極1112の電位を与えると共に、第2の含浸体1114に陰極1115の電位を与えた状態で、第1及び第2の含浸体1111,1114を導電層に対向させ、導電層の少なくとも一部にメッキ層を形成するために、メッキヘッド1110を導電層に対して相対的に移動させる。
【解決手段】半導体基板と少なくとも前記半導体基板に形成された導電層を有する被処理基板と、メッキ液を含む第1の含浸体1111及び電解液を含む第2の含浸体1114が設けられたメッキヘッド1110とを用意し、第1の含浸体1111に陽極1112の電位を与えると共に、第2の含浸体1114に陰極1115の電位を与えた状態で、第1及び第2の含浸体1111,1114を導電層に対向させ、導電層の少なくとも一部にメッキ層を形成するために、メッキヘッド1110を導電層に対して相対的に移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解メッキ技術に係わり、特に半導体装置に対して行うメッキ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの配線抵抗の低減や信頼性の向上を目的として、配線材料として銅が注目を集めている。この銅配線の形成方法としては、CVD法、スパッタ・リフロー法、メッキ法等がある。
【0003】
中でもメッキ法は、簡便で安価なプロセスで、高い埋め込み特性を有し、高い性能の配線を得ることができる。
【0004】
ところが、現在市販されているメッキ装置は半導体装置の製造工程に十分配慮した装置であるとは言い難い。従来の装置は、基本的にメッキ工業より踏襲された“メッキ浴”方式を用いたものである。これはメッキ溶液を満たしたメッキ浴槽やカップに半導体基板を浸してメッキを行うものである。
【0005】
このような古典的なメッキ方法は、半導体装置の製造工程を特に配慮した進歩を遂げていないために、半導体装置の製造工程に用いるには以下に示すような深刻な問題点が挙げられる。
【0006】
(1) 一般的なメッキ工業から較べると極めて薄い、ナノメータ級の絶対膜厚の精密制御や基板面内での高い均一性の確保が困難。
【0007】
(2) 微細なパターン上への極めて低い欠陥密度を要求される半導体プロセスにおいて、気泡やゴミなどの影響を受けやすい。
【0008】
(3) 陰極からの電圧・電流の印加を行うに際し、パターン形成された領域の外側である基板周辺近傍部からのみ可能であった(パターン形成された基板の内部に電極を接触させると傷やゴミなどの発生により製品の歩留まりが低下する)。
【0009】
このことは、半導体プロセスのウェハサイズが年々大口径化する状況から考えて非常に不都合、即ち電解メッキ液の導電体層をウェハ表面に厚く形成しないと基板周辺の陰極電位供給部から基板中心までの抵抗が高くなり、中心部でのメッキ電流が確保できない(導電体層の厚さはプロセスの制約上厚くすることはできない)。
【0010】
(4)半導体基板に形成される規則的パターンに応じて局所的メッキを行うことが困難である。また、メッキ後の工程(例えばCMP)の特性に応じて、半導体基板(ウェハ)面内での積極的な膜厚コントロール(例えば外周で厚い)が困難である。また、基板への汚染などの理由で基板表面にメッキ液を付着させたくない場合、裏面の保護に特殊なシールを用いるなどの工夫が必要である。
【0011】
(5) 凹凸パターンへの膜形成において、凸部への膜形成を抑制できない。半導体プロセス中、最も典型的なメッキ金属膜の適用例は、ダマシン配線形成用の金属膜形成である。ダマシンプロセスでは配線用の溝部や孔部に、メッキ金属を埋め込み溝孔外に形成された金属膜をCMPなどで除去する。従って後工程のCMP等への負荷低減を考えて溝・孔部以外の部分へのメッキ膜形成は極力抑える必要がある。以上のような半導体プロセス固有の要求や問題点が、メッキ法の運用を阻んでいるのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、従来のメッキ浴方式を踏襲したメッキ方法及び装置ではメッキ膜の膜厚の精密制御や均一性を確保することが困難であったり、気泡やゴミなどの影響を受けやすく、また、半導体基板に形成される規則的パターンに応じて局所的メッキを行うことが困難であるという問題があった。さらには、ダマシンプロセスに適した溝や孔への優先的なメッキ膜形成が困難であった。
【0013】
本発明の目的は、メッキ膜厚の精密制御性が容易で、気泡やゴミなどの影響を受けにくいメッキ方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、局所的なメッキを行い得るメッキ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために以下のように構成されている。
【0015】
即ち、本発明の一態様に係わるメッキ方法は、半導体基板と少なくとも前記半導体基板に形成された導電層を有する被処理基板と、メッキ液を含む第1の含浸体と、電解液を含む第2の含浸体であって、第2の含浸体を第1の含浸体に位置合わせして一体化した第2の含浸体とを用意し、第2の含浸体に陰極電位を与え、陽極と電気的に接続された第1の含浸体を前記導電層に対向させると共に、第2の含浸体を前記導電層に対向させ、前記導電層の少なくとも一部にメッキ層を形成するために、第1の含浸体を前記導電層に対して相対的に移動させ、第1の含浸体が前記導電層に対向する領域とは異なる領域に第2の含浸体を対向させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の別の一態様に係わるメッキ方法は、半導体基板と少なくとも前記半導体基板に形成された導電層を有する被処理基板と、メッキ液を含む第1の含浸体及び電解液を含む第2の含浸体が設けられたメッキヘッドとを用意し、第1の含浸体に陽極電位を与えると共に、第2の含浸体に陰極電位を与えた状態で、第1及び第2の含浸体を前記導電層に対向させ、前記導電層の少なくとも一部にメッキ層を形成するために、前記メッキヘッドを前記導電層に対して相対的に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
陽極が接続されると共にメッキ液を含む含浸体を用いたメッキは、メッキ浴方式と異なり、含浸体の滞在時間,印加電流値,陽極のパターン,含浸体内に設けられた中間電極又は絶縁体のパターン又は含浸体のメッキ液の供給分布を制御することによって、形成されるメッキ膜の成長速度を制御することができる。そのため、メッキ膜厚の制御が容易となる。
【0018】
また、被処理基板の大きさより小さい含浸体の形状を用いることによって、被処理基板の表面に選択的にメッキ液を供給することができる。そのため、局所的なメッキ膜の形成を行うことができる。また、陽極のある部位にしかメッキ膜が成長しないので、消耗のパターンの陽極を用いることによっても、局所的なメッキ膜の形成を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の含浸とは、液体以外の固体、或いは固体液体混合物、さらに気体の混合物などの含浸体がメッキ液を保持する状態をいう。メッキ液は、単独で容器中に存在する場合に較べて空間的移動にある程度の制約を受ける。含浸体が被処理基板に接触することによりメッキ液は被処理基板への作用を及ぼす。なお、含浸体の一部は被処理基板に接触していない場合もあり得るが、この場合でも含浸体と被処理基板の接触部分の近傍でメッキ液が被処理基板に供給される状態(例えば表面張力で)があり得る。このような状態は、実施したい技術の目的に応じて容認してもよく、また一方で実施技術の目的から不都合なら避けることも可能である。
【0020】
以下の実施形態で用いる銅メッキの標準条件を以下に記す
温 度 :25℃
電流密度:5mA/cm2
成長速度:〜100nm/min
アノード(陽極)材:含燐銅
ウェハ:Si基板上に30nmのTa膜及び100nmのCu膜をスパッタ法で順次堆積したもの
ここに示したプロセス条件は、発明の実施形態を説明する上での便宜上の標準条件でメッキ金属はもちろんのこと各パラメータは、本発明の主旨を逸脱しない範囲で有れば適宜変更しても良い。
【0021】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0022】
[第1実施形態]
本実施形態では、本願発明のメッキ方法についての原理を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。メッキが行われる被処理基板100は、Si基板(半導体基板)101上の凹凸パターンを有する絶縁膜(構造体)102の表面に導電体層103が形成されたものを用いている。なお、導電体層103は、膜厚30nmのTaN膜と膜厚100nmのCu膜との積層膜である。そして、導電体層103の最外周部に対して均等に8個の針状の陰極接点120を設けている。
【0023】
そして、導電体層103の表面に、メッキヘッド110が載置されている。メッキヘッド110は、導電体層103上に直接載置され、メッキ液を含む含浸パッド(含浸体)111と、含浸パッド111上に設置され電源113に接続された含燐銅からなる陽極112とから構成されている。なお、含浸パッド111はPVA(ポリビニルアルコール)から形成されている。なお、含浸パッド111の径は、被処理基板100の径より大きくても小さくても、また、等しくても良い。
【0024】
なお、含浸パッド111は、PVA以外にも、多孔質弗素樹脂,ポリプロピレンなどを繊維状に編む又は漉いて紙状に加工したもの、或いはゲル化シリコン酸化物や寒天質などの不定形物などでもよい。多孔質或いは空隙の大きさは一律に規定されるものではなく、液体の粘度、含浸体と液体の間で発生する濡れ性・表面張力などに応じて変化する。含浸体パッド、基本的には、液体が保持できて、その液体が空間的な移動の制約を受ける(例えば受け皿が無い状態で液体の大半が流出してしまうことがない)状態を達成し得るものであればよい。
【0025】
次に、実際のメッキ工程について説明する。先ず、図示されないメッキ液槽に満たされた25℃のメッキ液中に含浸パッド111を浸して、含浸パッド111にメッキ液を含ませる。メッキ液の組成は硫酸銅・五水和物(CuSO4 ・5H2 O):250g/リットル,硫酸(H2 SO4 ):180g/リットル,塩酸(HCl):60mg/リットルであり、さらにメッキ液のペーハー、メッキ液の安定性、陽極の保護、形成膜の表面平滑化、形成膜の結晶粒制御等様々な目的でポリマー、錯体形成物などの添加物が添加されている。
【0026】
含浸パッド111を導電体層103に密着させることによって、含浸パッド111から導電体層103の表面にメッキ液を供給する。そして、電源113から陽極112へ電流密度5mA/cm2 の電流を供給する。陽極112に電流を供給すると、陰極接点120に電気的に接続する導電体層103の表面に銅メッキ薄膜が形成される。なお、銅メッキ薄膜の平均成長速度は、〜100nm/minであった。
【0027】
図1に示したように、凹部104には、含浸パッド111からしみ出たメッキ液114が溜まっている。このため、凹部104へのメッキ供給量は、凸部105の表面に較べて多い。空間移動の自由度を有するメッキ液の供給量が多いため凹部104内の導電体層103の表面でのメッキ膜の成長速度は、凸部105の導電体層の表面よりも速い。凸部105表面よりも凹部104の成長速度が速い。そのため、図2に示すように、最終的に形成されるメッキ膜106の凹凸は、絶縁膜の凹凸パターンに較べてなだらかなものとなる。従って、後の化学的機械研磨法(CMP)等を用いた平坦化工程で、ディッシングの発生が抑制され、平坦化が容易となる。
【0028】
また、図3(a)に示すように、Si基板101上のCu膜107上に載置されたメッキ液を含む含浸パッド111上に、Si基板101のエッジから離れた位置にエッジを有する陽極112を設置して銅メッキ膜の形成を行った。形成された銅メッキ膜の膜厚分布は、図3(b)に示すように、陽極112のエッジから離れるに従い膜厚が減少しているのが分かる。従って、陽極を所望のパターンとすることによって、メッキ膜を選択的に形成することができる。
【0029】
図4に示すような従来のメッキ浴槽方式(いわゆるカップ式)のメッキ装置でも銅メッキ薄膜の形成を行った。この装置は、メッキ液が連続的に供給されてメッキ液が溢れているメッキ浴槽201中に含燐銅からなる陽極202が配置されている。そして、被メッキ面である導電体層103を下方に向けた被処理基板100が鉤状の複数の陰極接点203で保持され、導電体層103と陰極接点203とが電気的に接続している。そして、被処理基板100を下方に降ろすことによって、導電体層103をメッキ液に接触させて、導電体層103の表面に銅メッキ膜を形成するというものである。
【0030】
含浸法で形成された銅メッキ薄膜は、従来のカップ式で形成された銅メッキ膜と同等の膜厚(10分間で1μm)及び比抵抗(1.95μΩ/cm)が得られた。また、被処理基板と含浸パッドとが接触していない部分には、膜形成が生じず、被処理基板の外周部、ベベル及び裏面に汚染が生じなかった。
【0031】
次に、含浸法とカップ式、それぞれの方法による銅メッキ膜の比較を行った結果を説明する。含浸法は、図5に示すような構成で行った。図5(a)は装置及び被処理基板の概略構成を示す平面図、図5(b)は同図(a)のA−A’部の断面図である。被処理基板100上に、メッキヘッド310が載置されている。メッキヘッド310は、被処理基板上に直接載置されたメッキ液を含む含浸パッド311と、この含浸パッド上に設置された陽極312とから構成されている。
【0032】
なお、電流密度は5mA/cm2 ,メッキ時間は5分間,メッキ液はCuSO4 をベースに塩酸混ぜたもの,Cuの含有率0.9mol/Liter で行った。なお、含浸法の場合、陽極312と導電体層103との間を1.7mmに調節し、メッキヘッド310を静止した場合と揺動させた場合の二つの場合を行った。それぞれの銅メッキ膜の膜厚,バラツキ及び比抵抗を表1に示す。
【表1】
【0033】
銅メッキ膜の膜厚は、揺動させた場合の膜厚が他のものより高くなっているが、これは銅メッキ膜の最外周部の薄く形成されている部位が測定されていないためであり、全体の膜厚の平均値は他の方法と同様であると思われる。
【0034】
また、含浸法によって形成されたメッキ膜の膜厚バラツキは、カップ式で形成されたものに較べ改善され、特にヘッドを静止させて形成された膜では約6割程度改善されている。また、含浸法で形成されたメッキ膜の比抵抗もカップ式に較べて改善されている。
【0035】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。図6(a)は被処理基板を含むメッキ装置の概略構成を示す平面図、図6(b)は同図(b)のA−A’部の断面図である。
【0036】
被処理基板100上にメッキヘッド410が載置されている。メッキヘッド410は、被処理基板上に直接載置された含浸パッド(含浸体)411と、この含浸パッド411上に設置され、電源441に接続された陽極412とから構成されている。含燐銅の塊からなる陽極412には、直径0.5mmの貫通孔413が設けられており、メッキ液タンク443中のメッキ液をポンプ442によって貫通孔413から含浸パッド411に適宜供給する。また、メッキ時に様々な原因で発生する気泡を脱気するためにも、陽極412に貫通孔413を設けることは有効である。なお、陽極412を銅線のメッシュで構成することでも、陽極材に孔を設けるのと同様な効果が得られる。メッシュは、例えば0.2mmの銅線を網状に編むことによって形成される。或いは、多孔質な金属材料や多孔質カーボンへの白金付与などにより形成された陽極を用いても良い。
【0037】
被処理基板100上のチップパターン440領域の外側部分に8本の針状の陰極接点420が立てられ、被処理基板100の導電体層103と陰極接点420とが電気的に接続されている。
【0038】
なお、被処理基板100はXYステージ444上に設置されており、メッキ膜の形成の際、XYステージ制御部445によってXYステージ444の移動を制御することによって、被処理基板100の導電体層103の表面に対して含浸パッド411を走査させる。なお、100mm/sの走査速度で、導電体層103上を繰り返し走査させる。なお、XYステージ制御部445は電源441に接続されており、チップパターン440領域上にメッキヘッドが存在する時にのみメッキ電流の供給を行い、チップパターン440領域以外にメッキ膜が形成されないようにする。また、走査の最中、陽極412に設けられた貫通孔413からメッキ液を適宜供給して、含浸パッド411に対してメッキ液を補充することによって、含浸パッド411中のメッキ液が枯渇しないようにする。貫通孔413の一部をメッキ液循環用のストレーナとして用いればさらにメッキ液の循環による新鮮なメッキ液供給が可能となる。
【0039】
一筆書きのようにメッキ膜形成領域を走査する場合は、電流を流したまま含浸体を摺動させても良い。
【0040】
本装置を用いて銅メッキ膜の形成を行うと、図7に示すように、含浸パッド411とSi基板との相対運動によって、凸部105上に形成される銅メッキ膜406が含浸パッド411によって擦られる。そのため、凸部105上にはメッキ液添加剤による薄膜形成がほとんど起こらず凹部104のみで添加剤の影響が見られる。添加剤として、ジスルフィド〔HSO3-R-S=S-R-SO3H〕などの可溶性銅錯体形成物質(一般にキャリアなどと呼ばれている)を添加すると添加剤の存在する表面でのメッキ膜形成速度が加速されるため、結果として溝や孔などの凹部での膜形成が優先的に起きる。前述した第1実施形態でも凸部と凹部とで成長速度差が生じていたが、本実施形態ではさらにこの差が広がる。
【0041】
そのため、本装置で形成される銅メッキ膜406は、図8(a)に示すように、非常になだらかなものとなり、前述したカップ式で形成された銅メッキ膜407(図8(b))に較べて、膜の平坦化が容易となる。
【0042】
なお、凸部での銅メッキ膜の成長速度は、含浸パッドに対して加えられる圧力に応じて変化する。銅メッキ膜の成長速度の圧力依存性を図9に示す。図9に示すように、圧力が小さい状態では、凹部と凸部での銅メッキ膜の成長速度に差はほとんどなく、圧力を大きくするに従って凸部での成長速度が遅くなっている。
【0043】
また、本装置を用いて形成された銅メッキ膜は、ほぼチップパターン面のみに形成される。チップ以外の部分に膜形成が生じないので、洗浄などに有効である。例えば、被処理基板の端部に銅メッキ膜が形成されないので、次工程での装置汚染を回避しやすい。
【0044】
また、メッキ液中の気泡やゴミなどによって生じるメッキ膜の欠陥、所謂メッキ欠けが激減した。これは、陽極に設けられた孔から気泡が抜けるため、また更には含浸パッドが被処理基板上を動くために気泡やゴミも一カ所に留まらないためである。
【0045】
[第3実施形態]
図10は、本発明の第3実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。また、図11は、図10のメッキ装置の概略構成を示すブロック図である。
【0046】
本実施形態のメッキヘッド510の含浸体は、無端環状に接続した帯状の含浸布511で構成されている。帯状の含浸布511の内周部には陽極512及び2個のローラー513が設けられ、無端環状の含浸布511は台形形状になっている。陽極512は、それぞれ切り替え器6511 〜651n を介して電源5411 〜541n に接続された複数個の陽極5121 〜512n から構成されている。この実施形態では、陽極の材料として白金を用いた。白金は、銅メッキ中不溶解であることから寿命が長いという特長がある。ただしメッキ電流とともにメッキ液中の銅イオンは、欠乏していく。
【0047】
各陽極5121 〜512n には、切り替え器651を介してキャパシタンスメータ6521 〜652n 及び抵抗メータ6531 〜653n が接続されている。キャパシタンスメータ652及び抵抗メータ653により陽極512と被処理基板100間の静電容量及び抵抗を測定することによって間隔制御部654は、陽極512と被処理基板100表面の距離間隔を求め、測定結果に基づいてプッシャ514を制御して被処理基板100と陽極512との距離を制御する。複数の部位での距離計測を行ない間隔調整することで、本発明で重要な、陽極と被処理基板の平行度や、極間距離の絶対値を管理可能である。
【0048】
また、各電源541にはメッキ条件制御部655が接続され、メッキ条件制御部655は、被処理基板の位置に応じてそれぞれの陽極512に供給するメッキ電流値を制御して、メッキ膜厚が均一になるようにする。また、メッキ条件制御部655には、キャパシタンスメータ652及び抵抗メータ653が接続され、それぞれのメータ652,653の測定結果に応じて、それぞれの陽極512に供給するメッキ電流値を制御する。
【0049】
また、台形形状の含浸布511の上にpHセンサからなるメッキ液組成センサ551が設けられており、含浸布511に含まれるメッキ液のpHを測定することによって液の組成を求める。また、メッキ液組成センサ551は、pHセンサ以外に電流計を用い、含浸布511に含まれるメッキ液の伝導度などを測定することによって、メッキ液の組成を求めても良い。また、溶液の光吸収を利用した光学センサを用いる方法もある。
【0050】
メッキ液組成センサ551の測定結果に応じて、組成制御部650は、メッキ液タンク656及び硫酸銅・五水和物タンク657にそれぞれ接続されたポンプ658を制御することによって、メッキ液供給ノズルアレイ552及び硫酸銅・五水和物供給ノズルアレイ553から含浸布511に対して供給されるメッキ液及び硫酸銅・五水和物の量を制御し、含浸布511に含まれるメッキ液の組成を調整する。また、適宜メッキ液供給ノズルアレイ552から含浸布511に対してメッキ液が供給される。先に述べたように、本実施形態に於いては、陽極に白金電極を用いたのでメッキ液中の銅イオンはメッキの進行と共に欠乏する。薄いシート状含浸体を用いる場合は特に顕著である。従って、この様な液組成調整機構は、メッキ条件の安定性向上の観点からきわめて有効である。また、本実施形態のように無端環状に接続した帯状の薄い含浸布を用いる場合、メッキ面以外でのメッキ液組成の調整が容易である。
【0051】
被処理基板100の導電体層103に電気的に接続する陰極接点520は、図12に示すように、被処理基板100上の最外周部に寝かせた状態で設置され、樹脂521で固定されている。陰極接点520が樹脂で固定されていることによって、メッキヘッド510の陰極接点520上に乗っかっても含浸布511と陰極接点520が直接接続せず、また陰極接点520が導電体層103から外れることがない。
【0052】
なお、本装置を用いて均一な膜厚にメッキ膜を形成するためには、メッキを行う有効被処理基板面積が被処理基板の移動と共に変化することに注意しなければならない。面積の変化に応じて陽極に供給するメッキ電流を制御する。
【0053】
例えば図13(a)に示すように、被処理基板100の直径が200mm,被処理基板100と含浸布511とが走査方向に平行な方向に接触する幅が10mmの場合について考える。この場合陽極に供給するメッキ電流の条件としては、図13(b)に示すように、等速で往復する被処理基板の位置から予め得られている最適電流値を用いても良いし、キャパシタンスや抵抗値から面積を計算して逐次同一電流密度でのメッキが行えるようにしても良い。また、被処理基板の移動速度を変化させて、全てのメッキ面で同一の電荷を与えるように制御することも可能である。
【0054】
図14は、被処理基板上に定電圧状態で形成されたメッキ膜の均一性を示す特性図である。陰極接点は、図14(a)のNNE,ENE,ESE,SSE,SSW,WSW,WNW,NNWの8点に設けられている。また、被処理基板の直径は200mm、メッキ電流20mA/cm2 ,メッキ液中のCuSO4 濃度は75g/lである。
【0055】
図14(b)は、隣接する陰極接点の中間点を結ぶ線分、つまり図14(a)中で実線で表された線分でのメッキ膜の均一性を示す図である。また、図14(c)は、陰極接点を結ぶ線分、つまり図14(b)の点線で表された線分でのメッキ膜の均一性を示す図である。
【0056】
図14(b),(c)から分かるように、陰極接点からの位置に応じて、メッキ膜にはバラツキがある。そこで、図示されていない位置センサ検出結果に応じて、電源制御部は、陽極に印加する電圧を変化させて被処理基板面内のメッキ膜厚が均一になるように制御する。この制御は、予め定電圧で被処理基板上にメッキ膜を形成した後、面内のメッキ膜厚分布を測定し、測定結果から膜厚が均一になるような電圧分布を求めることによって行う。
【0057】
なお、本実施形態では、被処理基板面内で均一な膜厚の膜成長を行ったが、後工程の都合から被処理基板周辺の膜厚のみ薄くしたり逆に厚くしたいという要求が生じる場合もある。これらの場合も、各陽極に印加する電流・電圧や被処理基板の移動速度を適宜変化させることで所望の膜厚分布を得ることが出来る。
【0058】
また、本装置と類似機構を持つ洗浄や電界エッチング、CMP用のヘッドを設けて、並列処理が可能な装置とすることも可能である。
【0059】
さらにはヘッドの前方に膜厚モニタとして例えば電磁誘導による渦電流を用いたメッキ膜厚計を設置し、一端メッキヘッドを往路にて被処理基板面の膜厚を測定して、復路で測定結果を基にメッキ電流や被処理基板移動速度、その他のメッキ条件を制御して成膜を行うことで、最終的な仕上がり膜厚を精密に管理することが可能となる。
【0060】
[第4実施形態]
本実施形態では、被処理基板である被処理基板より小さな含浸ヘッドを用いたメッキ方法について説明する。
【0061】
図15は、本発明の第4実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。直径200mmの被処理基板100に対して、被処理基板より小さな20mm径のメッキヘッド1010を用いてメッキを行う。
【0062】
含浸パッド1011と陽極1012とから構成されるメッキヘッド1010には、図示されていない上下左右前後などの運動が可能な移動機構と、移動位置をモニタする位置センサ1041が設置されている。ヘッド1010の周辺には、電磁誘導によるメッキ膜厚のモニタ用センサ1042も設置されている。
【0063】
陰極接点1020は、被処理基板100の周辺以外にはプロセス途上のLSIチップがあるため、接触傷を避けるため、最外周部(周辺1mmほど)に白金接点で6カ所設置してある。被処理基板100には、メッキ膜を形成するための導電体層として膜厚100nmの銅膜が予めスパッタ法によって堆積されている。
【0064】
含浸パッド1011へのメッキ液の供給(或いは使い古したメッキ液と新しいメッキ液とを交換)は、移動機構によってメッキヘッド1010をメッキ液溜め1043中に移動させ、メッキ液溜め1043の底に押しつけるように上下左右揺動させることが有効である。
【0065】
前述したように、被処理基板100の外周部に陰極接点を設けた場合、導電体層の膜厚が薄く抵抗成分が大きいため、定電圧でメッキを行うと被処理基板面内でメッキ速度が異なってしまう(実験結果では中心付近で30%程度薄くなる)。この傾向は、導電体層の材料が高抵抗若しくは薄膜になるほど顕著になる。
【0066】
一方、メッキ電流を一定にすると電圧が変動することからメッキ膜の品質(結晶性、埋め込み特性、平坦度等)が被処理基板面内でばらつく原因となる。そこで、陽極とメッキ膜表面の距離を制御して電流を制御しつつ定電圧にてメッキを施す。メッキ膜厚を膜厚センサ1042で測定し、目標膜厚になるまでメッキヘッド1010を繰り返し移動してメッキを繰り返す。これにより、陰極接点1020からの距離によらず定電圧メッキで所望の膜厚(対象面が受ける総電荷で決まる)を形成することができる。
【0067】
被処理基板に凹凸パターンを有する場合にメッキ液の循環を促進させる目的で、含浸パッドを超音波発振子などを用いて上下左右に揺動させることも有効である。
【0068】
なお、所望膜厚になるまで上述したメッキヘッドで繰り返しメッキを行うのではなくて、膜厚分布に応じてヘッドの含浸パッドよりも小さい、ペン状の含浸パッドの先端部を選択的に導電体層に対して接触させつつ移動させることで選択メッキを行っても良い。
【0069】
[第5実施形態]
本実施形態では、陽極と陰極との距離を常に一定にし、メッキ膜厚の均一化を容易にする構造装置構成を提案する。
【0070】
図16は、本発明の第5実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。本実施形態のメッキヘッド1110は、メッキ液を含む円柱状のメッキ液用含浸パッド1111上に、パッド1111と同じ径の陽極1112が設置されている。メッキ液用含浸パッド1111及び陽極1112の外周部に、絶縁性の分離層1113が設けられている。分離層1113の外周部に、メッキ液用含浸パッド1111とほぼ同じ厚さであり、パッド1111と同じ材料からなり電解液を含む電解液用含浸パッド1114が設けられ、電解液用含浸パッド1114上に同じ内径及び外形のドーナツ状の陰極1115が設置されている。電解液用含浸パッド1114及び陰極1115の外周部に、撥水性の外輪層1116が設けられている。
【0071】
なお、電解液用含浸パッド1114に含ませる電解液としては、10%塩酸水溶液を用いる。塩酸は、メッキされる銅膜を侵すことがないので、銅メッキ膜を形成する場合には、好ましい。なお、電解液としては、塩酸に限らず、メッキ膜を侵さないようなもので有れば任意のものが使用可能である。
【0072】
本装置の構成によれば、陰極は電解液用含浸パッド1114に含まされた電解液を介して被処理基板に電気的に接続するので、陰極1115と陽極1112とがメッキ液,被処理基板表面の導電体層及び電解液を介して電気的に接続するので、表面にメッキ液用含浸パッド1111が存在する被処理基板の上にメッキ膜が形成される。
【0073】
本装置によれば、陽極及び陰極は常に一定距離を保ったまま移動するので、均一な膜形成を行うことができる。なお、メッキ液用含浸パッド及び陽極と、電解液用含浸パッド及び陰極とを入れ替えて、電解液用含浸パッド及び陰極を円柱状にし、メッキ液用含浸パッド及び陽極をドーナッツ状にしても同様な効果が得られる。
【0074】
[第6実施形態]
本実施形態では、上述した含浸法を用いて、半導体チップ等にバンプを形成する技術について説明する。
【0075】
半導体チップにバンプ処理を行う方法として、フォトレジストなどをマスクにしてメッキ浴中で例えば基板の電界メッキを行う方法や、基板にボールを圧着する方法がある。一般的にバンプで用いられるメッキ膜厚は、LSIの薄膜プロセスの100倍程度、即ち100μmオーダーである。従って、含浸布の厚み(通常数μmから数十mm)に対して膜成長は無視できない規模である。また、含浸ヘッドの先端へのメッキ液の十分な供給という観点からも、上述した実施形態とは異なる配慮が必要である。
【0076】
本実施形態では、含浸メッキを用いた簡便で高精度のバンプメッキ技術について説明する。本実施形態のポイントは、微細な含浸布の先端(先端部のみ尖らせても良い)で厚膜の形成を行うことである。
【0077】
図17は、本発明の第6実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。
【0078】
含浸ヘッド1210は、DCパルス電源1240に接続された凸状の陽極1212を覆うように、含浸材(含浸体)1211が設けられている。また、含浸材1211の先端付近には、メッキ液供給用微細ノズル1213の排出口とメッキ液排出用微細ストレーナ1214の吸い込み口が設けてある。メッキ液供給用微細ノズル1213から含浸材1211の先端部に供給されたメッキ液は、メッキ液排出用微細ストレーナ1214で吸い出されるので、含浸材1211の先端部でのメッキ液の組成(金属イオン濃度や添加剤濃度)が常に一定となる。なお、メッキ液供給用微細ノズル1213とメッキ液排出用微細ストレーナ1214とを均一に配置すると、メッキ液供給用微細ノズル1213から排出されたメッキ液が即座にメッキ液排出用微細ストレーナ1214で吸い込まれてしまい、含浸材1211の先端部への十分なメッキ液の供給が成されなくなってしまう。そのため、メッキ液供給用微細ノズル1213とメッキ液排出用微細ストレーナ1214の配置に偏りを持たせて、含浸材1211の先端部へメッキ液が十分供給されるようにすることが好ましい。
【0079】
なお、バンプを形成する際、図示されない移動機構によって、メッキ膜1250の成長と共に、含浸ヘッド1210を後退させる。なお、含浸ヘッド1210の移動速度を変化させることや水平方向の運動を与えることによって、様々な形状のバンプを形成することができる。例えば、円錐状のバンプ1241(図18(a))、半球状のバンプ1242(図18(b))、円柱状のバンプ1243(図18(c)),複数の球を重ね合わせた形状のバンプ1244(図18(d))を形成することができる。
【0080】
[第7実施形態]
本実施形態では、被処理基板上のパターンやチップ内のパターンに対応したメッキ膜厚分布を意図的に形成するメッキ装置について説明する。
【0081】
図19は、本発明の第7実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。なお、図19においては、含浸ヘッドのみを示し、被処理基板,陰極接点及びメッキ浴槽等の図示を省略している。
【0082】
このメッキヘッド1310の含浸パッド1311の表面には、チップ内のパターンに対応した凹凸が形成されている。そして、含浸パッド1311上に陽極1312が接続配置されている。
【0083】
例えば、DRAMとロジックの混載型のシステムLSIでは、同一チップ内でありながらDRAM部分とロジック部分ではパターンの密度やサイズが大幅に異なるために、CMPなどの後工程に最適な形成膜厚が異なる。そこで、例えばDRAM部及びロジック部の一方を凹部、他方を凸部にして、パッドの表面に凹凸を設ける。また、含浸パッド1311の凸部及び側面を熱処理や気孔への充填材処理などの改質することによって、その表面からメッキ液がしみ出さないようにすることも可能である。また、凹凸を数ミクロン単位の微細なドット状にしてその密度分布をDRAM部分とロジック部分で変えることも出来る。
【0084】
なお、パターン密度やパターン形状、サイズ、高低差などによって生じる凹凸に対して、本実施形態の技術を適用することができる。
【0085】
なお、このような含浸パッドの形成方法について図20を用いて説明する。
【0086】
先ず、図20(a)に示すように、直方体状の含浸パッド1311と加熱した金型1340とを用意する。次いで、図20(b)に示すように、金型1340に含浸パッド1311を押しつけ、パッド1311を変形させると共に、金型1340に接触するパッド1311の表面を解かして、液体がシミでないように改質する。
【0087】
次いで、図20(c)に示すように、パッド1311を金型1340から取り外す。そして、図20(d)に示すように、含浸パッド1311の下部を除去することによって、液体がパッドからしみ出る領域を形成する。
【0088】
また、図21に示すように、パッド1341表面の一部の領域に加熱した金型1342の凸部を押し当て(図21(a))、パッド1341の表面の一部を改質しても良い(図21(b))。このような形成方法によって形成されたパッドは、メッキ液の被処理基板への供給が金型を押し当てた場所と押し当てない場所で異なるため図19に示したパッドと同様な効果を持つ。
【0089】
なお、図22に示すように、含浸パッド1351内に被処理基板の凹凸に対応した複数の陽極1352を配置し、それぞれの陽極1352に印加する電位を変えることによっても、面内のメッキ膜厚を変化させることができる。
【0090】
また、図23に示すように、含浸パッド1361の表面に一様に陽極1362を設けると共に、パッド1361内に中間電極1363を設けることによって、被処理基板の凹凸に応じた電界を印加できるようにしても、面内のメッキ膜厚を変化させることができる。中間電極1363に印加する電位によってその近傍のメッキ条件例えばイオン濃度・電界分布などが変化するためである。同様に、中間電極1363の代わりに絶縁体を用いることもできる。
【0091】
[第8実施形態]
本実施形態では含浸ヘッドに複数の含浸パッドを設け、それぞれの含浸パッドに異なる役割を持たせた装置について説明する。
【0092】
図24は、本発明の第8実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。
【0093】
本装置は、4つの含浸布A,B,C,Dを、撥水剤や空隙、非含浸体料からなる分離領域1412を介して接続した無端環状の含浸ベルト1411が設けられている。それぞれの含浸布A,B,C,Dは、各々別々の液体を含ませ、それぞれ別個の機能を有するようにしている。被処理基板100への作用は、含浸ベルトを回転させて任意の含浸布を被処理基板100に対して接触させることによっておこなう。
【0094】
それぞれの含浸布A,B,C,Dに課せられる機能としては、電解メッキ、無電解メッキ、電解エッチング、物理スクラッチ、化学処理、化学的機械研磨、純粋洗浄等がある。また、それぞれ異なるメッキ液をそれぞれの含浸布に含ませても良い。
【0095】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、形成するメッキ膜として銅について述べたが、銅以外の材料をメッキ膜として形成することが可能である。
【0096】
なお、被処理基板と含浸体との配置関係は上記実施形態に限るものではなく、被処理基板及び含浸体を傾けた状態で導電体層に含浸体を接触させても良いし、含浸体に被処理基板を載置させても良い。
【0097】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図2】メッキ時のメッキ膜の概要を示す断面図。
【図3】形成されるメッキ膜の膜厚分布を示す図。
【図4】従来のカップ式メッキ装置を示す図。
【図5】従来装置により得られるメッキ膜と比較するために用いた含浸法の装置の概略構成を示す図。
【図6】第2実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図7】含浸パッドと形成されるメッキ膜との接触面の概略を示す図。
【図8】図6の装置で形成されたメッキ膜と従来のメッキ膜とを示す断面図。
【図9】凹部と凸部に形成されるメッキ膜厚の含浸パッドに対して加えられる圧力in損性を示す特性図。
【図10】第3実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図11】第3実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図12】図10のメッキ装置の陰極接点と導電体層との接続部位を示す断面図。
【図13】含浸布に応じたメッキ電流値を示す図。
【図14】被処理基板上に定電圧状態で形成されたメッキ膜の均一性を示す特性図。
【図15】第4実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図16】第5実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図17】第6実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図18】図17のメッキ装置によって形成されるバンプの形状を示す断面図。
【図19】第7実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図20】図19の含浸パッドの製造工程を示す工程断面図。
【図21】図19と異なる含浸パッドの製造工程を示す図。
【図22】第7実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図23】第7実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図24】第8実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0099】
100…被処理基板
101…Si基板
102…絶縁膜(構造体)
103…導電体層
104…凹部
105…凸部
106…メッキ膜
110…メッキヘッド
111…含浸パッド
112…陽極
113…電源
114…メッキ液
120…陰極接点
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解メッキ技術に係わり、特に半導体装置に対して行うメッキ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの配線抵抗の低減や信頼性の向上を目的として、配線材料として銅が注目を集めている。この銅配線の形成方法としては、CVD法、スパッタ・リフロー法、メッキ法等がある。
【0003】
中でもメッキ法は、簡便で安価なプロセスで、高い埋め込み特性を有し、高い性能の配線を得ることができる。
【0004】
ところが、現在市販されているメッキ装置は半導体装置の製造工程に十分配慮した装置であるとは言い難い。従来の装置は、基本的にメッキ工業より踏襲された“メッキ浴”方式を用いたものである。これはメッキ溶液を満たしたメッキ浴槽やカップに半導体基板を浸してメッキを行うものである。
【0005】
このような古典的なメッキ方法は、半導体装置の製造工程を特に配慮した進歩を遂げていないために、半導体装置の製造工程に用いるには以下に示すような深刻な問題点が挙げられる。
【0006】
(1) 一般的なメッキ工業から較べると極めて薄い、ナノメータ級の絶対膜厚の精密制御や基板面内での高い均一性の確保が困難。
【0007】
(2) 微細なパターン上への極めて低い欠陥密度を要求される半導体プロセスにおいて、気泡やゴミなどの影響を受けやすい。
【0008】
(3) 陰極からの電圧・電流の印加を行うに際し、パターン形成された領域の外側である基板周辺近傍部からのみ可能であった(パターン形成された基板の内部に電極を接触させると傷やゴミなどの発生により製品の歩留まりが低下する)。
【0009】
このことは、半導体プロセスのウェハサイズが年々大口径化する状況から考えて非常に不都合、即ち電解メッキ液の導電体層をウェハ表面に厚く形成しないと基板周辺の陰極電位供給部から基板中心までの抵抗が高くなり、中心部でのメッキ電流が確保できない(導電体層の厚さはプロセスの制約上厚くすることはできない)。
【0010】
(4)半導体基板に形成される規則的パターンに応じて局所的メッキを行うことが困難である。また、メッキ後の工程(例えばCMP)の特性に応じて、半導体基板(ウェハ)面内での積極的な膜厚コントロール(例えば外周で厚い)が困難である。また、基板への汚染などの理由で基板表面にメッキ液を付着させたくない場合、裏面の保護に特殊なシールを用いるなどの工夫が必要である。
【0011】
(5) 凹凸パターンへの膜形成において、凸部への膜形成を抑制できない。半導体プロセス中、最も典型的なメッキ金属膜の適用例は、ダマシン配線形成用の金属膜形成である。ダマシンプロセスでは配線用の溝部や孔部に、メッキ金属を埋め込み溝孔外に形成された金属膜をCMPなどで除去する。従って後工程のCMP等への負荷低減を考えて溝・孔部以外の部分へのメッキ膜形成は極力抑える必要がある。以上のような半導体プロセス固有の要求や問題点が、メッキ法の運用を阻んでいるのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、従来のメッキ浴方式を踏襲したメッキ方法及び装置ではメッキ膜の膜厚の精密制御や均一性を確保することが困難であったり、気泡やゴミなどの影響を受けやすく、また、半導体基板に形成される規則的パターンに応じて局所的メッキを行うことが困難であるという問題があった。さらには、ダマシンプロセスに適した溝や孔への優先的なメッキ膜形成が困難であった。
【0013】
本発明の目的は、メッキ膜厚の精密制御性が容易で、気泡やゴミなどの影響を受けにくいメッキ方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、局所的なメッキを行い得るメッキ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために以下のように構成されている。
【0015】
即ち、本発明の一態様に係わるメッキ方法は、半導体基板と少なくとも前記半導体基板に形成された導電層を有する被処理基板と、メッキ液を含む第1の含浸体と、電解液を含む第2の含浸体であって、第2の含浸体を第1の含浸体に位置合わせして一体化した第2の含浸体とを用意し、第2の含浸体に陰極電位を与え、陽極と電気的に接続された第1の含浸体を前記導電層に対向させると共に、第2の含浸体を前記導電層に対向させ、前記導電層の少なくとも一部にメッキ層を形成するために、第1の含浸体を前記導電層に対して相対的に移動させ、第1の含浸体が前記導電層に対向する領域とは異なる領域に第2の含浸体を対向させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の別の一態様に係わるメッキ方法は、半導体基板と少なくとも前記半導体基板に形成された導電層を有する被処理基板と、メッキ液を含む第1の含浸体及び電解液を含む第2の含浸体が設けられたメッキヘッドとを用意し、第1の含浸体に陽極電位を与えると共に、第2の含浸体に陰極電位を与えた状態で、第1及び第2の含浸体を前記導電層に対向させ、前記導電層の少なくとも一部にメッキ層を形成するために、前記メッキヘッドを前記導電層に対して相対的に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
陽極が接続されると共にメッキ液を含む含浸体を用いたメッキは、メッキ浴方式と異なり、含浸体の滞在時間,印加電流値,陽極のパターン,含浸体内に設けられた中間電極又は絶縁体のパターン又は含浸体のメッキ液の供給分布を制御することによって、形成されるメッキ膜の成長速度を制御することができる。そのため、メッキ膜厚の制御が容易となる。
【0018】
また、被処理基板の大きさより小さい含浸体の形状を用いることによって、被処理基板の表面に選択的にメッキ液を供給することができる。そのため、局所的なメッキ膜の形成を行うことができる。また、陽極のある部位にしかメッキ膜が成長しないので、消耗のパターンの陽極を用いることによっても、局所的なメッキ膜の形成を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の含浸とは、液体以外の固体、或いは固体液体混合物、さらに気体の混合物などの含浸体がメッキ液を保持する状態をいう。メッキ液は、単独で容器中に存在する場合に較べて空間的移動にある程度の制約を受ける。含浸体が被処理基板に接触することによりメッキ液は被処理基板への作用を及ぼす。なお、含浸体の一部は被処理基板に接触していない場合もあり得るが、この場合でも含浸体と被処理基板の接触部分の近傍でメッキ液が被処理基板に供給される状態(例えば表面張力で)があり得る。このような状態は、実施したい技術の目的に応じて容認してもよく、また一方で実施技術の目的から不都合なら避けることも可能である。
【0020】
以下の実施形態で用いる銅メッキの標準条件を以下に記す
温 度 :25℃
電流密度:5mA/cm2
成長速度:〜100nm/min
アノード(陽極)材:含燐銅
ウェハ:Si基板上に30nmのTa膜及び100nmのCu膜をスパッタ法で順次堆積したもの
ここに示したプロセス条件は、発明の実施形態を説明する上での便宜上の標準条件でメッキ金属はもちろんのこと各パラメータは、本発明の主旨を逸脱しない範囲で有れば適宜変更しても良い。
【0021】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0022】
[第1実施形態]
本実施形態では、本願発明のメッキ方法についての原理を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。メッキが行われる被処理基板100は、Si基板(半導体基板)101上の凹凸パターンを有する絶縁膜(構造体)102の表面に導電体層103が形成されたものを用いている。なお、導電体層103は、膜厚30nmのTaN膜と膜厚100nmのCu膜との積層膜である。そして、導電体層103の最外周部に対して均等に8個の針状の陰極接点120を設けている。
【0023】
そして、導電体層103の表面に、メッキヘッド110が載置されている。メッキヘッド110は、導電体層103上に直接載置され、メッキ液を含む含浸パッド(含浸体)111と、含浸パッド111上に設置され電源113に接続された含燐銅からなる陽極112とから構成されている。なお、含浸パッド111はPVA(ポリビニルアルコール)から形成されている。なお、含浸パッド111の径は、被処理基板100の径より大きくても小さくても、また、等しくても良い。
【0024】
なお、含浸パッド111は、PVA以外にも、多孔質弗素樹脂,ポリプロピレンなどを繊維状に編む又は漉いて紙状に加工したもの、或いはゲル化シリコン酸化物や寒天質などの不定形物などでもよい。多孔質或いは空隙の大きさは一律に規定されるものではなく、液体の粘度、含浸体と液体の間で発生する濡れ性・表面張力などに応じて変化する。含浸体パッド、基本的には、液体が保持できて、その液体が空間的な移動の制約を受ける(例えば受け皿が無い状態で液体の大半が流出してしまうことがない)状態を達成し得るものであればよい。
【0025】
次に、実際のメッキ工程について説明する。先ず、図示されないメッキ液槽に満たされた25℃のメッキ液中に含浸パッド111を浸して、含浸パッド111にメッキ液を含ませる。メッキ液の組成は硫酸銅・五水和物(CuSO4 ・5H2 O):250g/リットル,硫酸(H2 SO4 ):180g/リットル,塩酸(HCl):60mg/リットルであり、さらにメッキ液のペーハー、メッキ液の安定性、陽極の保護、形成膜の表面平滑化、形成膜の結晶粒制御等様々な目的でポリマー、錯体形成物などの添加物が添加されている。
【0026】
含浸パッド111を導電体層103に密着させることによって、含浸パッド111から導電体層103の表面にメッキ液を供給する。そして、電源113から陽極112へ電流密度5mA/cm2 の電流を供給する。陽極112に電流を供給すると、陰極接点120に電気的に接続する導電体層103の表面に銅メッキ薄膜が形成される。なお、銅メッキ薄膜の平均成長速度は、〜100nm/minであった。
【0027】
図1に示したように、凹部104には、含浸パッド111からしみ出たメッキ液114が溜まっている。このため、凹部104へのメッキ供給量は、凸部105の表面に較べて多い。空間移動の自由度を有するメッキ液の供給量が多いため凹部104内の導電体層103の表面でのメッキ膜の成長速度は、凸部105の導電体層の表面よりも速い。凸部105表面よりも凹部104の成長速度が速い。そのため、図2に示すように、最終的に形成されるメッキ膜106の凹凸は、絶縁膜の凹凸パターンに較べてなだらかなものとなる。従って、後の化学的機械研磨法(CMP)等を用いた平坦化工程で、ディッシングの発生が抑制され、平坦化が容易となる。
【0028】
また、図3(a)に示すように、Si基板101上のCu膜107上に載置されたメッキ液を含む含浸パッド111上に、Si基板101のエッジから離れた位置にエッジを有する陽極112を設置して銅メッキ膜の形成を行った。形成された銅メッキ膜の膜厚分布は、図3(b)に示すように、陽極112のエッジから離れるに従い膜厚が減少しているのが分かる。従って、陽極を所望のパターンとすることによって、メッキ膜を選択的に形成することができる。
【0029】
図4に示すような従来のメッキ浴槽方式(いわゆるカップ式)のメッキ装置でも銅メッキ薄膜の形成を行った。この装置は、メッキ液が連続的に供給されてメッキ液が溢れているメッキ浴槽201中に含燐銅からなる陽極202が配置されている。そして、被メッキ面である導電体層103を下方に向けた被処理基板100が鉤状の複数の陰極接点203で保持され、導電体層103と陰極接点203とが電気的に接続している。そして、被処理基板100を下方に降ろすことによって、導電体層103をメッキ液に接触させて、導電体層103の表面に銅メッキ膜を形成するというものである。
【0030】
含浸法で形成された銅メッキ薄膜は、従来のカップ式で形成された銅メッキ膜と同等の膜厚(10分間で1μm)及び比抵抗(1.95μΩ/cm)が得られた。また、被処理基板と含浸パッドとが接触していない部分には、膜形成が生じず、被処理基板の外周部、ベベル及び裏面に汚染が生じなかった。
【0031】
次に、含浸法とカップ式、それぞれの方法による銅メッキ膜の比較を行った結果を説明する。含浸法は、図5に示すような構成で行った。図5(a)は装置及び被処理基板の概略構成を示す平面図、図5(b)は同図(a)のA−A’部の断面図である。被処理基板100上に、メッキヘッド310が載置されている。メッキヘッド310は、被処理基板上に直接載置されたメッキ液を含む含浸パッド311と、この含浸パッド上に設置された陽極312とから構成されている。
【0032】
なお、電流密度は5mA/cm2 ,メッキ時間は5分間,メッキ液はCuSO4 をベースに塩酸混ぜたもの,Cuの含有率0.9mol/Liter で行った。なお、含浸法の場合、陽極312と導電体層103との間を1.7mmに調節し、メッキヘッド310を静止した場合と揺動させた場合の二つの場合を行った。それぞれの銅メッキ膜の膜厚,バラツキ及び比抵抗を表1に示す。
【表1】
【0033】
銅メッキ膜の膜厚は、揺動させた場合の膜厚が他のものより高くなっているが、これは銅メッキ膜の最外周部の薄く形成されている部位が測定されていないためであり、全体の膜厚の平均値は他の方法と同様であると思われる。
【0034】
また、含浸法によって形成されたメッキ膜の膜厚バラツキは、カップ式で形成されたものに較べ改善され、特にヘッドを静止させて形成された膜では約6割程度改善されている。また、含浸法で形成されたメッキ膜の比抵抗もカップ式に較べて改善されている。
【0035】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。図6(a)は被処理基板を含むメッキ装置の概略構成を示す平面図、図6(b)は同図(b)のA−A’部の断面図である。
【0036】
被処理基板100上にメッキヘッド410が載置されている。メッキヘッド410は、被処理基板上に直接載置された含浸パッド(含浸体)411と、この含浸パッド411上に設置され、電源441に接続された陽極412とから構成されている。含燐銅の塊からなる陽極412には、直径0.5mmの貫通孔413が設けられており、メッキ液タンク443中のメッキ液をポンプ442によって貫通孔413から含浸パッド411に適宜供給する。また、メッキ時に様々な原因で発生する気泡を脱気するためにも、陽極412に貫通孔413を設けることは有効である。なお、陽極412を銅線のメッシュで構成することでも、陽極材に孔を設けるのと同様な効果が得られる。メッシュは、例えば0.2mmの銅線を網状に編むことによって形成される。或いは、多孔質な金属材料や多孔質カーボンへの白金付与などにより形成された陽極を用いても良い。
【0037】
被処理基板100上のチップパターン440領域の外側部分に8本の針状の陰極接点420が立てられ、被処理基板100の導電体層103と陰極接点420とが電気的に接続されている。
【0038】
なお、被処理基板100はXYステージ444上に設置されており、メッキ膜の形成の際、XYステージ制御部445によってXYステージ444の移動を制御することによって、被処理基板100の導電体層103の表面に対して含浸パッド411を走査させる。なお、100mm/sの走査速度で、導電体層103上を繰り返し走査させる。なお、XYステージ制御部445は電源441に接続されており、チップパターン440領域上にメッキヘッドが存在する時にのみメッキ電流の供給を行い、チップパターン440領域以外にメッキ膜が形成されないようにする。また、走査の最中、陽極412に設けられた貫通孔413からメッキ液を適宜供給して、含浸パッド411に対してメッキ液を補充することによって、含浸パッド411中のメッキ液が枯渇しないようにする。貫通孔413の一部をメッキ液循環用のストレーナとして用いればさらにメッキ液の循環による新鮮なメッキ液供給が可能となる。
【0039】
一筆書きのようにメッキ膜形成領域を走査する場合は、電流を流したまま含浸体を摺動させても良い。
【0040】
本装置を用いて銅メッキ膜の形成を行うと、図7に示すように、含浸パッド411とSi基板との相対運動によって、凸部105上に形成される銅メッキ膜406が含浸パッド411によって擦られる。そのため、凸部105上にはメッキ液添加剤による薄膜形成がほとんど起こらず凹部104のみで添加剤の影響が見られる。添加剤として、ジスルフィド〔HSO3-R-S=S-R-SO3H〕などの可溶性銅錯体形成物質(一般にキャリアなどと呼ばれている)を添加すると添加剤の存在する表面でのメッキ膜形成速度が加速されるため、結果として溝や孔などの凹部での膜形成が優先的に起きる。前述した第1実施形態でも凸部と凹部とで成長速度差が生じていたが、本実施形態ではさらにこの差が広がる。
【0041】
そのため、本装置で形成される銅メッキ膜406は、図8(a)に示すように、非常になだらかなものとなり、前述したカップ式で形成された銅メッキ膜407(図8(b))に較べて、膜の平坦化が容易となる。
【0042】
なお、凸部での銅メッキ膜の成長速度は、含浸パッドに対して加えられる圧力に応じて変化する。銅メッキ膜の成長速度の圧力依存性を図9に示す。図9に示すように、圧力が小さい状態では、凹部と凸部での銅メッキ膜の成長速度に差はほとんどなく、圧力を大きくするに従って凸部での成長速度が遅くなっている。
【0043】
また、本装置を用いて形成された銅メッキ膜は、ほぼチップパターン面のみに形成される。チップ以外の部分に膜形成が生じないので、洗浄などに有効である。例えば、被処理基板の端部に銅メッキ膜が形成されないので、次工程での装置汚染を回避しやすい。
【0044】
また、メッキ液中の気泡やゴミなどによって生じるメッキ膜の欠陥、所謂メッキ欠けが激減した。これは、陽極に設けられた孔から気泡が抜けるため、また更には含浸パッドが被処理基板上を動くために気泡やゴミも一カ所に留まらないためである。
【0045】
[第3実施形態]
図10は、本発明の第3実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。また、図11は、図10のメッキ装置の概略構成を示すブロック図である。
【0046】
本実施形態のメッキヘッド510の含浸体は、無端環状に接続した帯状の含浸布511で構成されている。帯状の含浸布511の内周部には陽極512及び2個のローラー513が設けられ、無端環状の含浸布511は台形形状になっている。陽極512は、それぞれ切り替え器6511 〜651n を介して電源5411 〜541n に接続された複数個の陽極5121 〜512n から構成されている。この実施形態では、陽極の材料として白金を用いた。白金は、銅メッキ中不溶解であることから寿命が長いという特長がある。ただしメッキ電流とともにメッキ液中の銅イオンは、欠乏していく。
【0047】
各陽極5121 〜512n には、切り替え器651を介してキャパシタンスメータ6521 〜652n 及び抵抗メータ6531 〜653n が接続されている。キャパシタンスメータ652及び抵抗メータ653により陽極512と被処理基板100間の静電容量及び抵抗を測定することによって間隔制御部654は、陽極512と被処理基板100表面の距離間隔を求め、測定結果に基づいてプッシャ514を制御して被処理基板100と陽極512との距離を制御する。複数の部位での距離計測を行ない間隔調整することで、本発明で重要な、陽極と被処理基板の平行度や、極間距離の絶対値を管理可能である。
【0048】
また、各電源541にはメッキ条件制御部655が接続され、メッキ条件制御部655は、被処理基板の位置に応じてそれぞれの陽極512に供給するメッキ電流値を制御して、メッキ膜厚が均一になるようにする。また、メッキ条件制御部655には、キャパシタンスメータ652及び抵抗メータ653が接続され、それぞれのメータ652,653の測定結果に応じて、それぞれの陽極512に供給するメッキ電流値を制御する。
【0049】
また、台形形状の含浸布511の上にpHセンサからなるメッキ液組成センサ551が設けられており、含浸布511に含まれるメッキ液のpHを測定することによって液の組成を求める。また、メッキ液組成センサ551は、pHセンサ以外に電流計を用い、含浸布511に含まれるメッキ液の伝導度などを測定することによって、メッキ液の組成を求めても良い。また、溶液の光吸収を利用した光学センサを用いる方法もある。
【0050】
メッキ液組成センサ551の測定結果に応じて、組成制御部650は、メッキ液タンク656及び硫酸銅・五水和物タンク657にそれぞれ接続されたポンプ658を制御することによって、メッキ液供給ノズルアレイ552及び硫酸銅・五水和物供給ノズルアレイ553から含浸布511に対して供給されるメッキ液及び硫酸銅・五水和物の量を制御し、含浸布511に含まれるメッキ液の組成を調整する。また、適宜メッキ液供給ノズルアレイ552から含浸布511に対してメッキ液が供給される。先に述べたように、本実施形態に於いては、陽極に白金電極を用いたのでメッキ液中の銅イオンはメッキの進行と共に欠乏する。薄いシート状含浸体を用いる場合は特に顕著である。従って、この様な液組成調整機構は、メッキ条件の安定性向上の観点からきわめて有効である。また、本実施形態のように無端環状に接続した帯状の薄い含浸布を用いる場合、メッキ面以外でのメッキ液組成の調整が容易である。
【0051】
被処理基板100の導電体層103に電気的に接続する陰極接点520は、図12に示すように、被処理基板100上の最外周部に寝かせた状態で設置され、樹脂521で固定されている。陰極接点520が樹脂で固定されていることによって、メッキヘッド510の陰極接点520上に乗っかっても含浸布511と陰極接点520が直接接続せず、また陰極接点520が導電体層103から外れることがない。
【0052】
なお、本装置を用いて均一な膜厚にメッキ膜を形成するためには、メッキを行う有効被処理基板面積が被処理基板の移動と共に変化することに注意しなければならない。面積の変化に応じて陽極に供給するメッキ電流を制御する。
【0053】
例えば図13(a)に示すように、被処理基板100の直径が200mm,被処理基板100と含浸布511とが走査方向に平行な方向に接触する幅が10mmの場合について考える。この場合陽極に供給するメッキ電流の条件としては、図13(b)に示すように、等速で往復する被処理基板の位置から予め得られている最適電流値を用いても良いし、キャパシタンスや抵抗値から面積を計算して逐次同一電流密度でのメッキが行えるようにしても良い。また、被処理基板の移動速度を変化させて、全てのメッキ面で同一の電荷を与えるように制御することも可能である。
【0054】
図14は、被処理基板上に定電圧状態で形成されたメッキ膜の均一性を示す特性図である。陰極接点は、図14(a)のNNE,ENE,ESE,SSE,SSW,WSW,WNW,NNWの8点に設けられている。また、被処理基板の直径は200mm、メッキ電流20mA/cm2 ,メッキ液中のCuSO4 濃度は75g/lである。
【0055】
図14(b)は、隣接する陰極接点の中間点を結ぶ線分、つまり図14(a)中で実線で表された線分でのメッキ膜の均一性を示す図である。また、図14(c)は、陰極接点を結ぶ線分、つまり図14(b)の点線で表された線分でのメッキ膜の均一性を示す図である。
【0056】
図14(b),(c)から分かるように、陰極接点からの位置に応じて、メッキ膜にはバラツキがある。そこで、図示されていない位置センサ検出結果に応じて、電源制御部は、陽極に印加する電圧を変化させて被処理基板面内のメッキ膜厚が均一になるように制御する。この制御は、予め定電圧で被処理基板上にメッキ膜を形成した後、面内のメッキ膜厚分布を測定し、測定結果から膜厚が均一になるような電圧分布を求めることによって行う。
【0057】
なお、本実施形態では、被処理基板面内で均一な膜厚の膜成長を行ったが、後工程の都合から被処理基板周辺の膜厚のみ薄くしたり逆に厚くしたいという要求が生じる場合もある。これらの場合も、各陽極に印加する電流・電圧や被処理基板の移動速度を適宜変化させることで所望の膜厚分布を得ることが出来る。
【0058】
また、本装置と類似機構を持つ洗浄や電界エッチング、CMP用のヘッドを設けて、並列処理が可能な装置とすることも可能である。
【0059】
さらにはヘッドの前方に膜厚モニタとして例えば電磁誘導による渦電流を用いたメッキ膜厚計を設置し、一端メッキヘッドを往路にて被処理基板面の膜厚を測定して、復路で測定結果を基にメッキ電流や被処理基板移動速度、その他のメッキ条件を制御して成膜を行うことで、最終的な仕上がり膜厚を精密に管理することが可能となる。
【0060】
[第4実施形態]
本実施形態では、被処理基板である被処理基板より小さな含浸ヘッドを用いたメッキ方法について説明する。
【0061】
図15は、本発明の第4実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。直径200mmの被処理基板100に対して、被処理基板より小さな20mm径のメッキヘッド1010を用いてメッキを行う。
【0062】
含浸パッド1011と陽極1012とから構成されるメッキヘッド1010には、図示されていない上下左右前後などの運動が可能な移動機構と、移動位置をモニタする位置センサ1041が設置されている。ヘッド1010の周辺には、電磁誘導によるメッキ膜厚のモニタ用センサ1042も設置されている。
【0063】
陰極接点1020は、被処理基板100の周辺以外にはプロセス途上のLSIチップがあるため、接触傷を避けるため、最外周部(周辺1mmほど)に白金接点で6カ所設置してある。被処理基板100には、メッキ膜を形成するための導電体層として膜厚100nmの銅膜が予めスパッタ法によって堆積されている。
【0064】
含浸パッド1011へのメッキ液の供給(或いは使い古したメッキ液と新しいメッキ液とを交換)は、移動機構によってメッキヘッド1010をメッキ液溜め1043中に移動させ、メッキ液溜め1043の底に押しつけるように上下左右揺動させることが有効である。
【0065】
前述したように、被処理基板100の外周部に陰極接点を設けた場合、導電体層の膜厚が薄く抵抗成分が大きいため、定電圧でメッキを行うと被処理基板面内でメッキ速度が異なってしまう(実験結果では中心付近で30%程度薄くなる)。この傾向は、導電体層の材料が高抵抗若しくは薄膜になるほど顕著になる。
【0066】
一方、メッキ電流を一定にすると電圧が変動することからメッキ膜の品質(結晶性、埋め込み特性、平坦度等)が被処理基板面内でばらつく原因となる。そこで、陽極とメッキ膜表面の距離を制御して電流を制御しつつ定電圧にてメッキを施す。メッキ膜厚を膜厚センサ1042で測定し、目標膜厚になるまでメッキヘッド1010を繰り返し移動してメッキを繰り返す。これにより、陰極接点1020からの距離によらず定電圧メッキで所望の膜厚(対象面が受ける総電荷で決まる)を形成することができる。
【0067】
被処理基板に凹凸パターンを有する場合にメッキ液の循環を促進させる目的で、含浸パッドを超音波発振子などを用いて上下左右に揺動させることも有効である。
【0068】
なお、所望膜厚になるまで上述したメッキヘッドで繰り返しメッキを行うのではなくて、膜厚分布に応じてヘッドの含浸パッドよりも小さい、ペン状の含浸パッドの先端部を選択的に導電体層に対して接触させつつ移動させることで選択メッキを行っても良い。
【0069】
[第5実施形態]
本実施形態では、陽極と陰極との距離を常に一定にし、メッキ膜厚の均一化を容易にする構造装置構成を提案する。
【0070】
図16は、本発明の第5実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。本実施形態のメッキヘッド1110は、メッキ液を含む円柱状のメッキ液用含浸パッド1111上に、パッド1111と同じ径の陽極1112が設置されている。メッキ液用含浸パッド1111及び陽極1112の外周部に、絶縁性の分離層1113が設けられている。分離層1113の外周部に、メッキ液用含浸パッド1111とほぼ同じ厚さであり、パッド1111と同じ材料からなり電解液を含む電解液用含浸パッド1114が設けられ、電解液用含浸パッド1114上に同じ内径及び外形のドーナツ状の陰極1115が設置されている。電解液用含浸パッド1114及び陰極1115の外周部に、撥水性の外輪層1116が設けられている。
【0071】
なお、電解液用含浸パッド1114に含ませる電解液としては、10%塩酸水溶液を用いる。塩酸は、メッキされる銅膜を侵すことがないので、銅メッキ膜を形成する場合には、好ましい。なお、電解液としては、塩酸に限らず、メッキ膜を侵さないようなもので有れば任意のものが使用可能である。
【0072】
本装置の構成によれば、陰極は電解液用含浸パッド1114に含まされた電解液を介して被処理基板に電気的に接続するので、陰極1115と陽極1112とがメッキ液,被処理基板表面の導電体層及び電解液を介して電気的に接続するので、表面にメッキ液用含浸パッド1111が存在する被処理基板の上にメッキ膜が形成される。
【0073】
本装置によれば、陽極及び陰極は常に一定距離を保ったまま移動するので、均一な膜形成を行うことができる。なお、メッキ液用含浸パッド及び陽極と、電解液用含浸パッド及び陰極とを入れ替えて、電解液用含浸パッド及び陰極を円柱状にし、メッキ液用含浸パッド及び陽極をドーナッツ状にしても同様な効果が得られる。
【0074】
[第6実施形態]
本実施形態では、上述した含浸法を用いて、半導体チップ等にバンプを形成する技術について説明する。
【0075】
半導体チップにバンプ処理を行う方法として、フォトレジストなどをマスクにしてメッキ浴中で例えば基板の電界メッキを行う方法や、基板にボールを圧着する方法がある。一般的にバンプで用いられるメッキ膜厚は、LSIの薄膜プロセスの100倍程度、即ち100μmオーダーである。従って、含浸布の厚み(通常数μmから数十mm)に対して膜成長は無視できない規模である。また、含浸ヘッドの先端へのメッキ液の十分な供給という観点からも、上述した実施形態とは異なる配慮が必要である。
【0076】
本実施形態では、含浸メッキを用いた簡便で高精度のバンプメッキ技術について説明する。本実施形態のポイントは、微細な含浸布の先端(先端部のみ尖らせても良い)で厚膜の形成を行うことである。
【0077】
図17は、本発明の第6実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。
【0078】
含浸ヘッド1210は、DCパルス電源1240に接続された凸状の陽極1212を覆うように、含浸材(含浸体)1211が設けられている。また、含浸材1211の先端付近には、メッキ液供給用微細ノズル1213の排出口とメッキ液排出用微細ストレーナ1214の吸い込み口が設けてある。メッキ液供給用微細ノズル1213から含浸材1211の先端部に供給されたメッキ液は、メッキ液排出用微細ストレーナ1214で吸い出されるので、含浸材1211の先端部でのメッキ液の組成(金属イオン濃度や添加剤濃度)が常に一定となる。なお、メッキ液供給用微細ノズル1213とメッキ液排出用微細ストレーナ1214とを均一に配置すると、メッキ液供給用微細ノズル1213から排出されたメッキ液が即座にメッキ液排出用微細ストレーナ1214で吸い込まれてしまい、含浸材1211の先端部への十分なメッキ液の供給が成されなくなってしまう。そのため、メッキ液供給用微細ノズル1213とメッキ液排出用微細ストレーナ1214の配置に偏りを持たせて、含浸材1211の先端部へメッキ液が十分供給されるようにすることが好ましい。
【0079】
なお、バンプを形成する際、図示されない移動機構によって、メッキ膜1250の成長と共に、含浸ヘッド1210を後退させる。なお、含浸ヘッド1210の移動速度を変化させることや水平方向の運動を与えることによって、様々な形状のバンプを形成することができる。例えば、円錐状のバンプ1241(図18(a))、半球状のバンプ1242(図18(b))、円柱状のバンプ1243(図18(c)),複数の球を重ね合わせた形状のバンプ1244(図18(d))を形成することができる。
【0080】
[第7実施形態]
本実施形態では、被処理基板上のパターンやチップ内のパターンに対応したメッキ膜厚分布を意図的に形成するメッキ装置について説明する。
【0081】
図19は、本発明の第7実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。なお、図19においては、含浸ヘッドのみを示し、被処理基板,陰極接点及びメッキ浴槽等の図示を省略している。
【0082】
このメッキヘッド1310の含浸パッド1311の表面には、チップ内のパターンに対応した凹凸が形成されている。そして、含浸パッド1311上に陽極1312が接続配置されている。
【0083】
例えば、DRAMとロジックの混載型のシステムLSIでは、同一チップ内でありながらDRAM部分とロジック部分ではパターンの密度やサイズが大幅に異なるために、CMPなどの後工程に最適な形成膜厚が異なる。そこで、例えばDRAM部及びロジック部の一方を凹部、他方を凸部にして、パッドの表面に凹凸を設ける。また、含浸パッド1311の凸部及び側面を熱処理や気孔への充填材処理などの改質することによって、その表面からメッキ液がしみ出さないようにすることも可能である。また、凹凸を数ミクロン単位の微細なドット状にしてその密度分布をDRAM部分とロジック部分で変えることも出来る。
【0084】
なお、パターン密度やパターン形状、サイズ、高低差などによって生じる凹凸に対して、本実施形態の技術を適用することができる。
【0085】
なお、このような含浸パッドの形成方法について図20を用いて説明する。
【0086】
先ず、図20(a)に示すように、直方体状の含浸パッド1311と加熱した金型1340とを用意する。次いで、図20(b)に示すように、金型1340に含浸パッド1311を押しつけ、パッド1311を変形させると共に、金型1340に接触するパッド1311の表面を解かして、液体がシミでないように改質する。
【0087】
次いで、図20(c)に示すように、パッド1311を金型1340から取り外す。そして、図20(d)に示すように、含浸パッド1311の下部を除去することによって、液体がパッドからしみ出る領域を形成する。
【0088】
また、図21に示すように、パッド1341表面の一部の領域に加熱した金型1342の凸部を押し当て(図21(a))、パッド1341の表面の一部を改質しても良い(図21(b))。このような形成方法によって形成されたパッドは、メッキ液の被処理基板への供給が金型を押し当てた場所と押し当てない場所で異なるため図19に示したパッドと同様な効果を持つ。
【0089】
なお、図22に示すように、含浸パッド1351内に被処理基板の凹凸に対応した複数の陽極1352を配置し、それぞれの陽極1352に印加する電位を変えることによっても、面内のメッキ膜厚を変化させることができる。
【0090】
また、図23に示すように、含浸パッド1361の表面に一様に陽極1362を設けると共に、パッド1361内に中間電極1363を設けることによって、被処理基板の凹凸に応じた電界を印加できるようにしても、面内のメッキ膜厚を変化させることができる。中間電極1363に印加する電位によってその近傍のメッキ条件例えばイオン濃度・電界分布などが変化するためである。同様に、中間電極1363の代わりに絶縁体を用いることもできる。
【0091】
[第8実施形態]
本実施形態では含浸ヘッドに複数の含浸パッドを設け、それぞれの含浸パッドに異なる役割を持たせた装置について説明する。
【0092】
図24は、本発明の第8実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図である。
【0093】
本装置は、4つの含浸布A,B,C,Dを、撥水剤や空隙、非含浸体料からなる分離領域1412を介して接続した無端環状の含浸ベルト1411が設けられている。それぞれの含浸布A,B,C,Dは、各々別々の液体を含ませ、それぞれ別個の機能を有するようにしている。被処理基板100への作用は、含浸ベルトを回転させて任意の含浸布を被処理基板100に対して接触させることによっておこなう。
【0094】
それぞれの含浸布A,B,C,Dに課せられる機能としては、電解メッキ、無電解メッキ、電解エッチング、物理スクラッチ、化学処理、化学的機械研磨、純粋洗浄等がある。また、それぞれ異なるメッキ液をそれぞれの含浸布に含ませても良い。
【0095】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、形成するメッキ膜として銅について述べたが、銅以外の材料をメッキ膜として形成することが可能である。
【0096】
なお、被処理基板と含浸体との配置関係は上記実施形態に限るものではなく、被処理基板及び含浸体を傾けた状態で導電体層に含浸体を接触させても良いし、含浸体に被処理基板を載置させても良い。
【0097】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図2】メッキ時のメッキ膜の概要を示す断面図。
【図3】形成されるメッキ膜の膜厚分布を示す図。
【図4】従来のカップ式メッキ装置を示す図。
【図5】従来装置により得られるメッキ膜と比較するために用いた含浸法の装置の概略構成を示す図。
【図6】第2実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図7】含浸パッドと形成されるメッキ膜との接触面の概略を示す図。
【図8】図6の装置で形成されたメッキ膜と従来のメッキ膜とを示す断面図。
【図9】凹部と凸部に形成されるメッキ膜厚の含浸パッドに対して加えられる圧力in損性を示す特性図。
【図10】第3実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図11】第3実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図12】図10のメッキ装置の陰極接点と導電体層との接続部位を示す断面図。
【図13】含浸布に応じたメッキ電流値を示す図。
【図14】被処理基板上に定電圧状態で形成されたメッキ膜の均一性を示す特性図。
【図15】第4実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図16】第5実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図17】第6実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図18】図17のメッキ装置によって形成されるバンプの形状を示す断面図。
【図19】第7実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図20】図19の含浸パッドの製造工程を示す工程断面図。
【図21】図19と異なる含浸パッドの製造工程を示す図。
【図22】第7実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図23】第7実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【図24】第8実施形態に係わるメッキ装置の概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0099】
100…被処理基板
101…Si基板
102…絶縁膜(構造体)
103…導電体層
104…凹部
105…凸部
106…メッキ膜
110…メッキヘッド
111…含浸パッド
112…陽極
113…電源
114…メッキ液
120…陰極接点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と少なくとも前記半導体基板に形成された導電層を有する被処理基板と、メッキ液を含む第1の含浸体と、電解液を含む第2の含浸体であって、第2の含浸体を第1の含浸体に位置合わせして一体化した第2の含浸体とを用意し、
第2の含浸体に陰極電位を与え、陽極と電気的に接続された第1の含浸体を前記導電層に対向させると共に、第2の含浸体を前記導電層に対向させ、前記導電層の少なくとも一部にメッキ層を形成するために、第1の含浸体を前記導電層に対して相対的に移動させ、第1の含浸体が前記導電層に対向する領域とは異なる領域に第2の含浸体を対向させることを特徴とするメッキ方法。
【請求項2】
第2の含浸体を、第1の含浸体と共に相対的に移動させることを特徴とする請求項1記載のメッキ方法。
【請求項3】
第1の含浸体を前記導電層に対して相対的に移動させる工程として、第1の含浸体の少なくとも一部を前記導電層に接触させることを特徴とする請求項1記載のメッキ方法。
【請求項4】
第1の含浸体を前記導電層に対して相対的に移動させる工程として、第2の含浸体の少なくとも一部を前記導電層に接触させることを特徴とする請求項1記載のメッキ方法。
【請求項5】
半導体基板と少なくとも前記半導体基板に形成された導電層を有する被処理基板と、メッキ液を含む第1の含浸体及び電解液を含む第2の含浸体が設けられたメッキヘッドとを用意し、
第1の含浸体に陽極電位を与えると共に、第2の含浸体に陰極電位を与えた状態で、第1及び第2の含浸体を前記導電層に対向させ、前記導電層の少なくとも一部にメッキ層を形成するために、前記メッキヘッドを前記導電層に対して相対的に移動させることを特徴とするメッキ方法。
【請求項1】
半導体基板と少なくとも前記半導体基板に形成された導電層を有する被処理基板と、メッキ液を含む第1の含浸体と、電解液を含む第2の含浸体であって、第2の含浸体を第1の含浸体に位置合わせして一体化した第2の含浸体とを用意し、
第2の含浸体に陰極電位を与え、陽極と電気的に接続された第1の含浸体を前記導電層に対向させると共に、第2の含浸体を前記導電層に対向させ、前記導電層の少なくとも一部にメッキ層を形成するために、第1の含浸体を前記導電層に対して相対的に移動させ、第1の含浸体が前記導電層に対向する領域とは異なる領域に第2の含浸体を対向させることを特徴とするメッキ方法。
【請求項2】
第2の含浸体を、第1の含浸体と共に相対的に移動させることを特徴とする請求項1記載のメッキ方法。
【請求項3】
第1の含浸体を前記導電層に対して相対的に移動させる工程として、第1の含浸体の少なくとも一部を前記導電層に接触させることを特徴とする請求項1記載のメッキ方法。
【請求項4】
第1の含浸体を前記導電層に対して相対的に移動させる工程として、第2の含浸体の少なくとも一部を前記導電層に接触させることを特徴とする請求項1記載のメッキ方法。
【請求項5】
半導体基板と少なくとも前記半導体基板に形成された導電層を有する被処理基板と、メッキ液を含む第1の含浸体及び電解液を含む第2の含浸体が設けられたメッキヘッドとを用意し、
第1の含浸体に陽極電位を与えると共に、第2の含浸体に陰極電位を与えた状態で、第1及び第2の含浸体を前記導電層に対向させ、前記導電層の少なくとも一部にメッキ層を形成するために、前記メッキヘッドを前記導電層に対して相対的に移動させることを特徴とするメッキ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2009−27192(P2009−27192A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270226(P2008−270226)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【分割の表示】特願平11−33234の分割
【原出願日】平成11年2月10日(1999.2.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【分割の表示】特願平11−33234の分割
【原出願日】平成11年2月10日(1999.2.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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