モニタ装置、光源装置、光走査装置および画像形成装置
【課題】光源から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出することができるモニタ装置、これを用いた光源装置、光走査装置、画像形成装置を得る。
【解決手段】光源から射出された光束の光量をモニタする。光源から射出された光束の光強度の最も大きい部分が中央部を通る開口部を有するとともにこの開口部の周囲に入射した光束をモニタ用光束として反射する分離光学素子と、分離光学素子で反射されるモニタ用光束を受光しモニタ光束の光量分布を検出する受光素子と、を備えている。
【解決手段】光源から射出された光束の光量をモニタする。光源から射出された光束の光強度の最も大きい部分が中央部を通る開口部を有するとともにこの開口部の周囲に入射した光束をモニタ用光束として反射する分離光学素子と、分離光学素子で反射されるモニタ用光束を受光しモニタ光束の光量分布を検出する受光素子と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニタ装置、光源装置、光走査装置および画像形成装置に係り、さらに詳しくは、光源から射出された光束の光量をモニタするモニタ装置、このモニタ装置を含む光源装置、この光源装置を有する光走査装置、およびこの光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真による画像記録では、レーザを用いた画像形成装置が広く用いられている。レーザを用いた画像形成装置は、レーザ光によって感光体表面を走査し潜像を形成する光走査装置を備えているのが一般的である。光走査装置は、レーザ光源と、このレーザ光源から射出された光束を偏向する偏向器、例えばポリゴンミラーと、偏向光束を感光体表面に結像させる走査結像光学系を備え、感光体の表面を上記光束で走査(この走査を「主走査」という)しながら、感光体を主走査方向に対して直角をなす方向に移動させる(この移動方向を「副走査方向」という)ことにより、感光体の表面に潜像を形成するようになっている。感光体は一般的にドラム状で、その中心軸線と平行な方向が主走査方向となっており、中心軸線の周りに回転駆動することにより副走査が行われるようになっている。
【0003】
ところで、画像形成装置では、温度変化や経時変化に伴って走査用光束の光量が変化し、形成される画像に濃度むらが発生するおそれがある。そこで、これを抑制するため、通常、光走査装置では、光源から射出される光束の一部をモニタ用光束としてフォトダイオード等のディテクタで受光し、ディテクタによる検出結果に基づいて、光源の出力レベルを制御するAPC(Auto Power Contorol)を実施している。
【0004】
例えば、特許文献1には、光源と、光源から出射された光ビームを走査用光ビームとフィードバック用光ビームとに分離する分離部材と、分離部材で分離された走査用光ビームを偏向して被走査面上に走査する光偏向手段と、分離部材と光偏向手段の間に配置され、走査用光ビームの断面形状を整形する第2開口の形成された第2のアパーチャと、分離部材で分離されたフィードバック用光ビームを受光してフィードバック用光ビームの光量を検出する光センサと、光センサで検出された光量に基づいて光源から出射する光量を制御する制御手段と、光源と光センサの間に配置され、光ビームの断面形状を整形する、第2開口よりも大きな第1開口の形成された第1のアパーチャと、を備えた光走査装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、入射された光ビームの光量を検出する検出手段と、光源から出射された光ビームの一部を分離する光分離手段を備え、光分離手段によって分離した光ビームの一部を検出手段に入射させる光学系と、検出手段による検出光量が予め定められた所定光量となるように、光源の出力光量を制御する光量制御手段と、を有する光走査装置が開示されている。そして、この光走査装置では、光源から出力された光ビームの偏光方向が変化した場合に、被走査面上の光量の変動率と、検出手段に入射する光量の変動率とを略一致させるように、光学系の特性を定めている。
【0006】
また、特許文献3には、面発光レーザから射出され、アパーチャで整形されコリメータレンズでコリメートされたレーザビームを光偏向器で偏向して被走査面を走査露光すると共に、レーザビームの一部をビーム分離手段で反射し、この反射光を受光素子で受光して光量を検出する光走査装置において、受光素子を面発光レーザと同一回路基板上に設けたことを特徴とする光走査装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−91157号公報
【特許文献2】特開2005−156933号公報
【特許文献3】特開2006−259098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、光源は、製造上のばらつきや、駆動時の温度上昇などによって、射出する光束の発散角が設計上の発散角と異なる場合がある。この場合に、被走査面すなわち感光体表面を走査する走査用光束の光量変化と、ディテクタで受光されるモニタ用光束の光量変化とは必ずしも同じではなく、特許文献1〜特許文献3に開示されている光走査装置では、APCの精度が低下するおそれがあった。
【0009】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、光源から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出することができるモニタ装置を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、光量の安定した光束を出力することができる光源装置を提供することにある。 本発明の第3の目的は、被走査面上を精度良く安定して光走査することができる光走査装置を提供することにある。 本発明の第4の目的は、高品質の画像を安定して形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、光源から射出された光束の光量をモニタするモニタ装置であって、前記光源から射出された光束の光強度の最も大きい部分が中央部を通る開口部を有するとともにこの開口部の周囲に入射した光束をモニタ用光束として反射する分離光学素子と、前記分離光学素子で反射されるモニタ用光束を受光し前記モニタ光束の光量分布を検出する受光素子と、を備えていることを最も主要な特徴とする。
【0012】
本発明はまた、光源と、この光源から射出された光束の光量をモニタするモニタ装置と、を備えた光源装置であって、前記モニタ装置は前記本発明にかかるモニタ装置であり、前記モニタ装置の分離光学素子の開口部を通過した光束を出力することを特徴とする。
【0013】
本発明はまた、光束により被走査面を走査する光走査装置であって、前記本発明にかかる光源装置と、前記光源装置から出力される光束を偏向する偏向器と、前記偏向器で偏向された光束を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明はまた、少なくとも1つの像担持体と、前記少なくとも1つの像担持体を画像情報が含まれる光束により走査する少なくとも1つの光走査装置と、を備える画像形成装置であって、前記光走査装置は前記本発明に係る光走査装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のモニタ装置によれば、光源から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出するのに適している。
本発明の光源装置によれば、安定した光束を出力するのに適している。
本発明の光走査装置によれば、被走査面上を精度良く安定して光走査するのに適している。
本発明の画像形成装置によれば、高品質の画像を安定して形成するのに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明にかかるモニタ装置、光源装置、光走査装置および画像形成装置の実施例を、図面とともに説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングブレード1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、および上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これら各部材は、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
【0017】
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介して上位装置である外部機器例えばパーソナルコンピュータ(パソコン)などとの双方向の通信を制御する。感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面になっている。感光体ドラム1030は、中心軸線を回転の中心として図1における矢印方向に回転するようになっている。
【0018】
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングブレード1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。具体的には、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングブレード1035の順に配置されている。
【0019】
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面に、上位装置(例えばパソコン)からの画像情報に基づいて変調された光束を照射し、かつ、この光束を感光体ドラム1030の中心軸線方向に走査する。この主走査とともに感光体ドラム1030が回転駆動されて副走査が行われることにより、感光体ドラム1030の表面に、画像情報に対応した潜像が形成される。こうして形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、光走査装置1010の構成については後述する。
【0020】
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。トナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
【0021】
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対1039の位置まで搬送する。レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、上記記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面上のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
【0022】
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナー像が記録紙1040上に定着される。トナー像が定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。クリーニングブレード1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。なお、除去された残留トナーは、再度利用されるようになっている。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031の位置に戻って均一に帯電される。
【0023】
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。光走査装置1010は、一例として図2に示されるように、光源14、カップリングレンズ15、分離光学素子としての開口板23、シリンドリカルレンズ17、反射ミラー18、ポリゴンミラー13、偏向器側走査レンズ11a、像面側走査レンズ11b、同期検知センサ19a、同期検知ミラー19b、受光素子25および走査制御装置20(図2では図示省略、図15参照)などを備えている。これらの部材は、ハウジング30の中の所定位置に組み付けられている。走査レンズ11a,11bは、走査結像レンズを構成している。なお、本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、感光体ドラム1030の長手方向に沿った方向をY軸方向、各走査レンズ(11a、11b)の光軸に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0024】
光源14は、一例として図3に示されるように、40個の発光部が1つの基板上に形成された2次元発光素子アレイ100で構成されている。図3におけるM方向は主走査方向に対応する方向(ここでは、Y軸方向と同じ)であり、S方向は副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向と同じ)である。また、T方向はM方向からS方向に向かって傾斜角α(0°<α<90°)をなす方向である。この2次元発光素子アレイ100は、T方向に沿って10個の発光部が等間隔に配置された発光部列を4列有している。そして、これら4列の発光部列は、S方向に等間隔に配置されている。すなわち、40個の発光部は、T方向とS方向とにそれぞれ沿って2次元的に配列されている。ここでは、便宜上、各発光部列は、図3における紙面の上から下に向かって、第1発光部列、第2発光部列、第3発光部列、第4発光部列という。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
【0025】
また、各発光部を特定するために、便宜上、図3における紙面左上から右下に向かって、第1発光部列を構成する10個の発光部をv1〜v10、第2発光部列を構成する10個の発光部をv11〜v20、第3発光部列を構成する10個の発光部をv21〜v30、第4発光部列を構成する10個の発光部をv31〜v40とする。
【0026】
上記各発光部は、780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、2次元発光素子アレイ100は、40個の発光部を有する面発光レーザアレイである。ここでは、2次元発光素子アレイ100のM方向(長手方向)のサイズは、0.3mmである。
【0027】
図2に戻り、カップリングレンズ15は、光源14から射出される光束を略平行光とする。この実施例では、カップリングレンズ15の焦点距離は27mmに設定されている。開口板23は、一例として図4(A)に示されるように、長方形の窓孔状の開口部を有し、カップリングレンズ15を介した光束のビーム径を規定する。この開口板23は、光束の最も光強度の大きい部分が開口部のほぼ中央を通るように配置されている。また、開口板23の開口部の周囲は、反射部材でできている。
【0028】
開口板23は、開口部の周囲の反射部材で反射された光束をモニタ用光束として利用するため、カップリングレンズ15を介した光束の進行方向に垂直な仮想面に対して傾斜して配置されている。すなわち、開口板23は、光源14から射出された光束のうち、光強度の大きい中央部分を通過させ、光強度の小さい外周部分をモニタ用光束として反射(分離)する。以下では、便宜上、開口板23で反射されたモニタ用光束の進行方向を「Q方向」とする。
【0029】
この実施例では、開口板23の開口部は、図4(A)及び図4(B)に示されるように、副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に関する長さD2は1.28mmであり、主走査方向に対応する方向(ここでは、Y軸方向)に関する長さD1は5.8mmである。すなわち、D1>D2である。図4(B)は、開口部の中心を通るXY断面図である。
【0030】
図2に戻り、シリンドリカルレンズ17は、開口板23の開口部を通過した光束を、副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)にのみ収束させ、反射ミラー18を介してポリゴンミラー13の偏向反射面近傍に主走査方向の線像を結像する。光源14とポリゴンミラー13との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ15と開口板23とシリンドリカルレンズ17と反射ミラー18とから構成されている。
【0031】
反射ミラー18とポリゴンミラー13との間、およびポリゴンミラー13と偏向器側走査レンズ11aとの間にまたがって、防音ガラス21が配置されている。ポリゴンミラー13は、一例として内接円の半径が7mmの4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー13は、副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に平行な軸の周りを等速回転しながら、反射ミラー18からの光束を偏向する。
【0032】
偏向器側走査レンズ11aは、ポリゴンミラー13で偏向された光束の光路上に配置されている。像面側走査レンズ11bは、偏向器側走査レンズ11aを介した光束の光路上に配置されている。ポリゴンミラー13と感光体ドラム1030との間の光路上に配置されている光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bとから構成されている。
【0033】
ポリゴンミラー13で偏向された光束は、走査光学系によって感光体ドラム1030の表面上に集光される。感光体ドラム1030の表面上の光スポットは、ポリゴンミラー13の回転に伴って、Y軸方向に移動する。なお、ポリゴンミラー13で偏向され、走査光学系を介した光束のうち、画像形成に関与しない光束の一部は、同期検知用光束として、同期検知用ミラー19bを介して同期検知センサ19aに入射する。同期検知センサ19aは、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。像面側走査レンズ11bと感光体ドラム1030との間には、防塵ガラス22(図2参照)が配置されている。
【0034】
受光素子25は、開口板23で反射されたモニタ用光束の光路上に配置され、一例として図11に示されるように、2次元に配列された微小面積のCMOSセンサアレイで構成されている。例えば、図5(A)に示されるように、発散角がA1の光束F01が光源14から出力されると、図5(B)に示されるように、光束F01のうちの領域Fs1の光束が第1開口板23の開口部を通過し、領域Fm1の光束が受光素子25の受光部で受光される。
【0035】
また、例えば、図6(A)に示されるように、光束F01に比べて中心に強いピークを持つ光強度分布を有し、発散角がA2(<A1)の光束F02が光源14から出力されると、図6(B)に示されるように、光束F02のうちの領域Fs2の光束が第1開口板23の開口部を通過し、領域Fm2の光束が受光素子25の受光部で受光される。
【0036】
また、図7(A)に示されるように、光束F01に比べて中心から緩やかに広がる光強度分布を有し、発散角がA3(>A1)の光束F03が光源から出力されると、図7(B)に示されるように、光束F03のうちの領域Fs3の光束が第1開口板23の開口部を通過し、領域Fm3の光束が受光素子25の受光部で受光される。 ところで、光源14から出力される光束(光束F0とする)の発散角が大きくなると、一例として図8に示されるように、第1開口板23の開口部を通過する光束(光束Fsとする)の光量は減少する。なお、ここでは、光束F0の光量は、発散角が変化しても一定であると仮定している。
【0037】
そこで、光束Fsの光量を一定とするには、一例として図9に示すグラフからわかるように、光束F0の発散角が設計値(ここでは、A1とする)よりも大きいときは、光束F0の光量を大きくし、光束F0の発散角が設計値よりも小さいときは、光束F0の光量を小さくする必要がある。
【0038】
開口板23の開口部周辺で反射される光束(光束(F0−Fs)とする)の光量は、一例として図10に示されるように、光束F0の発散角が大きくなるにつれて増加する。仮に、光束(F0−Fs)が、すべて単一の受光素子(例えばフォトダイオード)で受光されるとする。この場合に、従来と同様にして、APCを行うと、例えば、光束F0の発散角がA3のときには、光束F0の光量をさらに少なくするように制御され、例えば、光束F0の発散角がA2のときには、光束F0の光量をさらに多くするように制御される。これにより、光束Fsの光量は上記一定値からずれることとなる。すなわち、APCの精度が低下することとなる。
【0039】
本実施形態では、受光素子25として2次元の受光素子を使う。図11は受光素子としてCMOSセンサを使った実施例を示している。モニタ用光束の全体を受光し、検知した光量分布から開口板23を通過した光量を算出する。検知した光量の分布の一例を図12示す。図12に示すようにガウス関数に近い場合は、ガウス曲線を表す(1)式から最適なa,k,mを求め、(1)式をy、zで積分して開口板23を通過した光束Fsの光量を求める。 F(y,z)=a×exp(−(k×y2+m×z2) ・・・(1) なお、検知した光量分布をガウス関数に限定する必要はない。例えば2次関数や4次関数等の多項式関数によるフィッテイングを行って、その関数に基づいて開口板23を通過した光束の積分光量を算出すればよい。
【0040】
図16はCMOSセンサの制御を行う回路の一例である。1024行1280列のCMOSセンサアレイ(図16には示されていない)は、センサリセット信号により露光がリセットされ次の露光が開始される。転送開始信号により、露光を終了し、受光データのセンサ外への転送が開始される。行アドレスで指定された行の受光データは、列毎にサンプルホールドされ、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)で10ビットのデジタルデータに変換され、一旦、ADCレジスタ(SRAM)に格納される。格納されたADCデータはSRAM読出し制御回路のShift信号によって出力レジスタに移され、列デコーダの信号により出力される。2次元の受光素子はCMOSセンサに限るものではなく、たとえば、CCD(電荷結合素子)センサ、PD(フォトダイオード)アレイなどでも良い。
【0041】
さらに、受光素子25の受光面に垂直にモニタ用光束が入射すると、受光面からの反射光が入射光と逆の光路を通り、光源14へ戻ってしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、一例として図13に示されるように、モニタ用光束の受光位置での受光面の法線方向が、入射光の入射方向の全てに対して傾斜するように受光素子25の姿勢を設定し、受光面からの反射光が光源14に戻らないようにしている。具体的には、入射角を10°としている。
【0042】
また、本実施形態では、一例として図13に示されるように、光源14とフォトダイオード25は、同一の基板28上に実装されている。受光素子25は、温度によって検知感度が異なるため、熱源から離して配置することが望ましい。図14には、光源14の中心位置からの距離とその位置での光源の発光による上昇温度との関係が示されている。これによると、光源14の中心位置では約50℃の温度上昇がみられるが、光源14から1mm離れると、ほぼ影響が無くなり、2mm以上離れると、光源14の発熱の影響を全く受けないことが分かる。なお、本実施形態では、光学系のレイアウトとの関係から、光源14とCMOSセンサ25の中心間距離(図13における符号W)は、7mmとした。
【0043】
図15は走査制御装置20の例を示す。図15において、走査制御装置20は主制御部20Aと駆動制御部20Bを有している。主制御部20Aは、CPU210、フラッシュメモリ211、RAM212、及びIF(インターフェース)214などを有している。駆動制御部20Bは、画素クロック生成回路215、画像処理回路216、フレームメモリ217、ラインバッファ2181〜21840、及び書込制御回路219などを有している。そして、この駆動制御部20Bは、光源14及び受光素子25が実装されている基板28上に設けられている。なお、図15における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0044】
画素クロック生成回路215は、画素クロック信号を生成する。フレームメモリ217は、CPU210によってラスター展開された画像データ(以下、便宜上「ラスターデータ」と略述する)を一時的に格納する。
【0045】
画像処理回路216は、フレームメモリ217に格納されているラスターデータを読み出し、所定の中間調処理などを行った後、発光部毎のドットデータを作成し、発光部それぞれに対応したラインバッファ2181〜21840へ出力する。
【0046】
書込制御回路219は、同期検知センサ19aの出力信号に基づいて、走査開始のタイミングを求める。そして、走査開始のタイミングに合わせて、ラインバッファ2181〜21840から各発光部のドットデータを読み出し、画素クロック生成回路215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、発光部毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。また、書込制御回路219は、所定のタイミングで、受光素子(CMOSセンサ)25の出力信号に基づいて、開口板23の開口部を通過する光束の光量を算出し、その光量が一定となるように、各発光部の駆動電流を補正する。すなわち、APC(Auto Power Control)を行う。
【0047】
光源駆動回路221は、書込制御回路219からの変調データに応じて2次元アレイ100の各発光部を駆動する。
【0048】
フラッシュメモリ211には、CPU210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム及びプログラムで用いられる各種データが格納されている。RAM212は、作業用のメモリである。CPU210は、フラッシュメモリ211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置1010の全体を制御する。IF(インターフェース)214は、プリンタ制御装置1060との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像データは、IF(インターフェース)214を介して供給される。
【0049】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置1010では、開口板23と受光素子(CMOSセンサ)25とによってモニタ装置が構成されている。また、光源14とカップリングレンズ15と上記モニタ装置とによって光源装置が構成されている。そして、開口板23の開口部を通過した光束Fsが、光源装置から出力される光束である。また、プログラムに従ったCPU210による信号処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしてもよいし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしてもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るモニタ装置によると、2次元アレイ100から射出された光束の光路上に配置され、上記光束の最も光強度の大きい部分がそのほぼ中央を通る開口部を有し、この開口部の周囲に入射した光束をモニタ用光束として反射する開口板23(分離光学素子)と、この開口板23で反射されたモニタ用光束の光路上に配置され、モニタ用光束を受光する受光素子25とを有している。そして、受光素子25の光量分布から開口板23を通過した光束Fsの光量を推定する。これにより、いずれの発散角においても、光束Fsの光量を精度よく検出することができる。
【0051】
従って、2次元アレイ100から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出することが可能となる。また、本実施形態に係る光源装置によると、2次元アレイ100から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出することができるモニタ装置を有しているため、安定した光束を出力することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態に係る光走査装置1010によると、安定した光束を出力することができる光源装置を有しているため、感光体ドラム1030の表面上を精度良く安定して光走査することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、感光体ドラム1030の表面上を精度良く安定して光走査することができる光走査装置1010を備えているため、結果として、高品質の画像を安定して形成することが可能となる。
【0054】
上記実施形態では、光源14が40個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。上記実施形態において、前記2次元アレイ100に代えて、複数の発光部が1次元配列された1次元アレイを用いてもよい。
【0055】
なお、上記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置1010を備えた画像形成装置であれば、結果として、高品質の画像を安定して形成することが可能となる。例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であってもよい。
【0056】
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であってもよい。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
【0057】
また、多色のカラー画像を形成する画像形成装置であっても、カラー画像に対応した光走査装置を用いることにより、高品質のカラー画像を高速で形成することが可能となる。例えば、図17に示されるように、カラー画像に対応し、複数の感光体ドラムを備えるタンデムカラー機1500であってもよい。
【0058】
上記タンデムカラー機1500は、ブラック(K)用の感光体ドラムK1、帯電器K2、現像器K4、クリーニング手段K5、および転写用帯電手段K6と、シアン(C)用の感光体ドラムC1、帯電器C2、現像器C4、クリーニング手段C5、および転写用帯電手段C6と、マゼンタ(M)用の感光体ドラムM1、帯電器M2、現像器M4、クリーニング手段M5、および転写用帯電手段M6と、イエロー(Y)用の感光体ドラムY1、帯電器Y2、現像器Y4、クリーニング手段Y5、および転写用帯電手段Y6と、光走査装置1010Aと、転写ベルト1580と、定着手段1530などを備えている。
【0059】
各感光体ドラムは、図17中の矢印の方向に回転し、回転方向にそれぞれ帯電器、現像器、転写用帯電手段、クリーニング手段が配置されている。各帯電器は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。この帯電器によって帯電された感光体ドラム表面に、光走査装置1010Aにより対応した光色成分の画像信号で変調された光束が照射され、感光体ドラムに静電潜像が形成される。そして、対応する現像器により感光体ドラム表面に対応した色のトナー像が形成される。さらに、対応する転写用帯電手段により、記録紙に各色のトナー像が重ねて転写され、最終的に定着手段1530により記録紙に画像が定着される。
【0060】
光走査装置1010Aは、ブラック用の光源装置、シリンドリカルレンズ、走査光学系および同期検知センサ、シアン用の光源装置、シリンドリカルレンズ、走査光学系および同期検知センサ、マゼンタ用の光源装置、シリンドリカルレンズ、走査光学系および同期検知センサ、イエロー用の光源装置、シリンドリカルレンズ、走査光学系および同期検知センサ、並びにポリゴンミラーなどを有している。
【0061】
各光源装置は、いずれも上記実施形態における光源装置と同等の光源装置であり、上記モニタ装置と同等のモニタ装置を有している。そして、各光源装置から出力される光束は、対応するシリンドリカルレンズを介してポリゴンミラーで偏向された後、対応する走査光学系を介して対応する感光体ドラム表面で集光される。また、ポリゴンミラー13で偏向され、対応する走査光学系を介した光束のうち、画像形成に関与しない光束の一部は、対応する同期検知センサに入射する。
【0062】
各光源装置は、上記実施形態における光源装置と同等の光源装置であるため、各光源装置は、いずれも安定した光束を出力することができる。その結果、光走査装置1010Aは、各感光体ドラムの表面上を精度良く安定して光走査することができる。そして、タンデムカラー機1500では、高品質の画像を安定して形成することが可能となる。なお、タンデムカラー機では、機械精度等で各色の色ずれが発生する場合があるが、点灯させる発光部を選択することで各色の色ずれの補正精度を高めることができる。なお、このタンデムカラー機1500において、光走査装置1010Aに代えて、ブラック用の光走査装置とシアン用の光走査装置とマゼンタ用の光走査装置とイエロー用の光走査装置を用いても良い。要するに、各光走査装置が、上記実施形態における光源装置と同等の光源装置を有していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明のモニタ装置によれば、光源から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出するのに適している。また、本発明の光源装置によれば、安定した光束を出力するのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、被走査面上を精度良く安定して光走査するのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高品質の画像を安定して形成するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る画像形成装置の例をモデル的に示す正面図である。
【図2】上記画像形成装置に用いることができる本発明に係る光走査装置の実施例を示す平面図である。
【図3】上記光走査装置に用いることができる本発明に係る光源装置の実施例をモデル的に示す拡大正面図である。
【図4】上記光走査装置中の分離光学素子の例を示す(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
【図5】光源から出力される光束の横断面における光量分布の一例と、上記分離光学素子の開口部を透過する光束および上記開口部の周辺で反射される光束の分布例を示すグラフである。
【図6】光源から出力される光束の横断面における光量分布の別の例と、上記分離光学素子の開口部を透過する光束および上記開口部の周辺で反射される光束の分布例を示すグラフである。
【図7】光源から出力される光束の横断面における光量分布のさらに別の例と、上記分離光学素子の開口部を透過する光束および上記開口部の周辺で反射される光束の分布例を示すグラフである。
【図8】光源から射出される光束の発散角と分離光学素子を透過する光量との関係を示すグラフである。
【図9】分離光学素子を透過する光量を一定にするために必要な光束の発散角に対する光源の光量との関係を示すグラフである。
【図10】光束の発散角と分離光学素子で反射される光束の光量との関係を示すグラフである。
【図11】本発明に適用可能な2次元に配列された微小面積のCMOSセンサアレイで構成されている受光素子の例と分離光学素子で反射された光束を受光している様子を示す正面図である。
【図12】分離光学素子を透過した光束の光量分布の一例を示す3次元グラフである。
【図13】上記分離光学素子への入射光路と反射光路および反射光路上の受光素子との関係を示す光学配置図である。
【図14】光源の中心位置からの距離とその位置での光源の発光による上昇温度との関係を示すグラフである。
【図15】本発明の光走査装置に適用可能な走査制御装置の例を示すブロック図である。
【図16】本発明に適用可能なCMOSセンサ制御回路の例を示すブロック図である。
【図17】本発明に係る画像形成装置の実施例をモデル的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0065】
13 ポリゴンミラー
14 光源
15 カップリングレンズ
23 分離光学素子
25 受光素子
100 2次元発光素子アレイ
1000 レーザプリンタ
1030 感光体ドラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニタ装置、光源装置、光走査装置および画像形成装置に係り、さらに詳しくは、光源から射出された光束の光量をモニタするモニタ装置、このモニタ装置を含む光源装置、この光源装置を有する光走査装置、およびこの光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真による画像記録では、レーザを用いた画像形成装置が広く用いられている。レーザを用いた画像形成装置は、レーザ光によって感光体表面を走査し潜像を形成する光走査装置を備えているのが一般的である。光走査装置は、レーザ光源と、このレーザ光源から射出された光束を偏向する偏向器、例えばポリゴンミラーと、偏向光束を感光体表面に結像させる走査結像光学系を備え、感光体の表面を上記光束で走査(この走査を「主走査」という)しながら、感光体を主走査方向に対して直角をなす方向に移動させる(この移動方向を「副走査方向」という)ことにより、感光体の表面に潜像を形成するようになっている。感光体は一般的にドラム状で、その中心軸線と平行な方向が主走査方向となっており、中心軸線の周りに回転駆動することにより副走査が行われるようになっている。
【0003】
ところで、画像形成装置では、温度変化や経時変化に伴って走査用光束の光量が変化し、形成される画像に濃度むらが発生するおそれがある。そこで、これを抑制するため、通常、光走査装置では、光源から射出される光束の一部をモニタ用光束としてフォトダイオード等のディテクタで受光し、ディテクタによる検出結果に基づいて、光源の出力レベルを制御するAPC(Auto Power Contorol)を実施している。
【0004】
例えば、特許文献1には、光源と、光源から出射された光ビームを走査用光ビームとフィードバック用光ビームとに分離する分離部材と、分離部材で分離された走査用光ビームを偏向して被走査面上に走査する光偏向手段と、分離部材と光偏向手段の間に配置され、走査用光ビームの断面形状を整形する第2開口の形成された第2のアパーチャと、分離部材で分離されたフィードバック用光ビームを受光してフィードバック用光ビームの光量を検出する光センサと、光センサで検出された光量に基づいて光源から出射する光量を制御する制御手段と、光源と光センサの間に配置され、光ビームの断面形状を整形する、第2開口よりも大きな第1開口の形成された第1のアパーチャと、を備えた光走査装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、入射された光ビームの光量を検出する検出手段と、光源から出射された光ビームの一部を分離する光分離手段を備え、光分離手段によって分離した光ビームの一部を検出手段に入射させる光学系と、検出手段による検出光量が予め定められた所定光量となるように、光源の出力光量を制御する光量制御手段と、を有する光走査装置が開示されている。そして、この光走査装置では、光源から出力された光ビームの偏光方向が変化した場合に、被走査面上の光量の変動率と、検出手段に入射する光量の変動率とを略一致させるように、光学系の特性を定めている。
【0006】
また、特許文献3には、面発光レーザから射出され、アパーチャで整形されコリメータレンズでコリメートされたレーザビームを光偏向器で偏向して被走査面を走査露光すると共に、レーザビームの一部をビーム分離手段で反射し、この反射光を受光素子で受光して光量を検出する光走査装置において、受光素子を面発光レーザと同一回路基板上に設けたことを特徴とする光走査装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−91157号公報
【特許文献2】特開2005−156933号公報
【特許文献3】特開2006−259098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、光源は、製造上のばらつきや、駆動時の温度上昇などによって、射出する光束の発散角が設計上の発散角と異なる場合がある。この場合に、被走査面すなわち感光体表面を走査する走査用光束の光量変化と、ディテクタで受光されるモニタ用光束の光量変化とは必ずしも同じではなく、特許文献1〜特許文献3に開示されている光走査装置では、APCの精度が低下するおそれがあった。
【0009】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、光源から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出することができるモニタ装置を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、光量の安定した光束を出力することができる光源装置を提供することにある。 本発明の第3の目的は、被走査面上を精度良く安定して光走査することができる光走査装置を提供することにある。 本発明の第4の目的は、高品質の画像を安定して形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、光源から射出された光束の光量をモニタするモニタ装置であって、前記光源から射出された光束の光強度の最も大きい部分が中央部を通る開口部を有するとともにこの開口部の周囲に入射した光束をモニタ用光束として反射する分離光学素子と、前記分離光学素子で反射されるモニタ用光束を受光し前記モニタ光束の光量分布を検出する受光素子と、を備えていることを最も主要な特徴とする。
【0012】
本発明はまた、光源と、この光源から射出された光束の光量をモニタするモニタ装置と、を備えた光源装置であって、前記モニタ装置は前記本発明にかかるモニタ装置であり、前記モニタ装置の分離光学素子の開口部を通過した光束を出力することを特徴とする。
【0013】
本発明はまた、光束により被走査面を走査する光走査装置であって、前記本発明にかかる光源装置と、前記光源装置から出力される光束を偏向する偏向器と、前記偏向器で偏向された光束を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明はまた、少なくとも1つの像担持体と、前記少なくとも1つの像担持体を画像情報が含まれる光束により走査する少なくとも1つの光走査装置と、を備える画像形成装置であって、前記光走査装置は前記本発明に係る光走査装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のモニタ装置によれば、光源から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出するのに適している。
本発明の光源装置によれば、安定した光束を出力するのに適している。
本発明の光走査装置によれば、被走査面上を精度良く安定して光走査するのに適している。
本発明の画像形成装置によれば、高品質の画像を安定して形成するのに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明にかかるモニタ装置、光源装置、光走査装置および画像形成装置の実施例を、図面とともに説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングブレード1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、および上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これら各部材は、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
【0017】
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介して上位装置である外部機器例えばパーソナルコンピュータ(パソコン)などとの双方向の通信を制御する。感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面になっている。感光体ドラム1030は、中心軸線を回転の中心として図1における矢印方向に回転するようになっている。
【0018】
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングブレード1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。具体的には、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングブレード1035の順に配置されている。
【0019】
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面に、上位装置(例えばパソコン)からの画像情報に基づいて変調された光束を照射し、かつ、この光束を感光体ドラム1030の中心軸線方向に走査する。この主走査とともに感光体ドラム1030が回転駆動されて副走査が行われることにより、感光体ドラム1030の表面に、画像情報に対応した潜像が形成される。こうして形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、光走査装置1010の構成については後述する。
【0020】
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。トナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
【0021】
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対1039の位置まで搬送する。レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、上記記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面上のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
【0022】
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナー像が記録紙1040上に定着される。トナー像が定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。クリーニングブレード1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。なお、除去された残留トナーは、再度利用されるようになっている。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031の位置に戻って均一に帯電される。
【0023】
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。光走査装置1010は、一例として図2に示されるように、光源14、カップリングレンズ15、分離光学素子としての開口板23、シリンドリカルレンズ17、反射ミラー18、ポリゴンミラー13、偏向器側走査レンズ11a、像面側走査レンズ11b、同期検知センサ19a、同期検知ミラー19b、受光素子25および走査制御装置20(図2では図示省略、図15参照)などを備えている。これらの部材は、ハウジング30の中の所定位置に組み付けられている。走査レンズ11a,11bは、走査結像レンズを構成している。なお、本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、感光体ドラム1030の長手方向に沿った方向をY軸方向、各走査レンズ(11a、11b)の光軸に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0024】
光源14は、一例として図3に示されるように、40個の発光部が1つの基板上に形成された2次元発光素子アレイ100で構成されている。図3におけるM方向は主走査方向に対応する方向(ここでは、Y軸方向と同じ)であり、S方向は副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向と同じ)である。また、T方向はM方向からS方向に向かって傾斜角α(0°<α<90°)をなす方向である。この2次元発光素子アレイ100は、T方向に沿って10個の発光部が等間隔に配置された発光部列を4列有している。そして、これら4列の発光部列は、S方向に等間隔に配置されている。すなわち、40個の発光部は、T方向とS方向とにそれぞれ沿って2次元的に配列されている。ここでは、便宜上、各発光部列は、図3における紙面の上から下に向かって、第1発光部列、第2発光部列、第3発光部列、第4発光部列という。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
【0025】
また、各発光部を特定するために、便宜上、図3における紙面左上から右下に向かって、第1発光部列を構成する10個の発光部をv1〜v10、第2発光部列を構成する10個の発光部をv11〜v20、第3発光部列を構成する10個の発光部をv21〜v30、第4発光部列を構成する10個の発光部をv31〜v40とする。
【0026】
上記各発光部は、780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、2次元発光素子アレイ100は、40個の発光部を有する面発光レーザアレイである。ここでは、2次元発光素子アレイ100のM方向(長手方向)のサイズは、0.3mmである。
【0027】
図2に戻り、カップリングレンズ15は、光源14から射出される光束を略平行光とする。この実施例では、カップリングレンズ15の焦点距離は27mmに設定されている。開口板23は、一例として図4(A)に示されるように、長方形の窓孔状の開口部を有し、カップリングレンズ15を介した光束のビーム径を規定する。この開口板23は、光束の最も光強度の大きい部分が開口部のほぼ中央を通るように配置されている。また、開口板23の開口部の周囲は、反射部材でできている。
【0028】
開口板23は、開口部の周囲の反射部材で反射された光束をモニタ用光束として利用するため、カップリングレンズ15を介した光束の進行方向に垂直な仮想面に対して傾斜して配置されている。すなわち、開口板23は、光源14から射出された光束のうち、光強度の大きい中央部分を通過させ、光強度の小さい外周部分をモニタ用光束として反射(分離)する。以下では、便宜上、開口板23で反射されたモニタ用光束の進行方向を「Q方向」とする。
【0029】
この実施例では、開口板23の開口部は、図4(A)及び図4(B)に示されるように、副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に関する長さD2は1.28mmであり、主走査方向に対応する方向(ここでは、Y軸方向)に関する長さD1は5.8mmである。すなわち、D1>D2である。図4(B)は、開口部の中心を通るXY断面図である。
【0030】
図2に戻り、シリンドリカルレンズ17は、開口板23の開口部を通過した光束を、副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)にのみ収束させ、反射ミラー18を介してポリゴンミラー13の偏向反射面近傍に主走査方向の線像を結像する。光源14とポリゴンミラー13との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ15と開口板23とシリンドリカルレンズ17と反射ミラー18とから構成されている。
【0031】
反射ミラー18とポリゴンミラー13との間、およびポリゴンミラー13と偏向器側走査レンズ11aとの間にまたがって、防音ガラス21が配置されている。ポリゴンミラー13は、一例として内接円の半径が7mmの4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー13は、副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に平行な軸の周りを等速回転しながら、反射ミラー18からの光束を偏向する。
【0032】
偏向器側走査レンズ11aは、ポリゴンミラー13で偏向された光束の光路上に配置されている。像面側走査レンズ11bは、偏向器側走査レンズ11aを介した光束の光路上に配置されている。ポリゴンミラー13と感光体ドラム1030との間の光路上に配置されている光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bとから構成されている。
【0033】
ポリゴンミラー13で偏向された光束は、走査光学系によって感光体ドラム1030の表面上に集光される。感光体ドラム1030の表面上の光スポットは、ポリゴンミラー13の回転に伴って、Y軸方向に移動する。なお、ポリゴンミラー13で偏向され、走査光学系を介した光束のうち、画像形成に関与しない光束の一部は、同期検知用光束として、同期検知用ミラー19bを介して同期検知センサ19aに入射する。同期検知センサ19aは、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。像面側走査レンズ11bと感光体ドラム1030との間には、防塵ガラス22(図2参照)が配置されている。
【0034】
受光素子25は、開口板23で反射されたモニタ用光束の光路上に配置され、一例として図11に示されるように、2次元に配列された微小面積のCMOSセンサアレイで構成されている。例えば、図5(A)に示されるように、発散角がA1の光束F01が光源14から出力されると、図5(B)に示されるように、光束F01のうちの領域Fs1の光束が第1開口板23の開口部を通過し、領域Fm1の光束が受光素子25の受光部で受光される。
【0035】
また、例えば、図6(A)に示されるように、光束F01に比べて中心に強いピークを持つ光強度分布を有し、発散角がA2(<A1)の光束F02が光源14から出力されると、図6(B)に示されるように、光束F02のうちの領域Fs2の光束が第1開口板23の開口部を通過し、領域Fm2の光束が受光素子25の受光部で受光される。
【0036】
また、図7(A)に示されるように、光束F01に比べて中心から緩やかに広がる光強度分布を有し、発散角がA3(>A1)の光束F03が光源から出力されると、図7(B)に示されるように、光束F03のうちの領域Fs3の光束が第1開口板23の開口部を通過し、領域Fm3の光束が受光素子25の受光部で受光される。 ところで、光源14から出力される光束(光束F0とする)の発散角が大きくなると、一例として図8に示されるように、第1開口板23の開口部を通過する光束(光束Fsとする)の光量は減少する。なお、ここでは、光束F0の光量は、発散角が変化しても一定であると仮定している。
【0037】
そこで、光束Fsの光量を一定とするには、一例として図9に示すグラフからわかるように、光束F0の発散角が設計値(ここでは、A1とする)よりも大きいときは、光束F0の光量を大きくし、光束F0の発散角が設計値よりも小さいときは、光束F0の光量を小さくする必要がある。
【0038】
開口板23の開口部周辺で反射される光束(光束(F0−Fs)とする)の光量は、一例として図10に示されるように、光束F0の発散角が大きくなるにつれて増加する。仮に、光束(F0−Fs)が、すべて単一の受光素子(例えばフォトダイオード)で受光されるとする。この場合に、従来と同様にして、APCを行うと、例えば、光束F0の発散角がA3のときには、光束F0の光量をさらに少なくするように制御され、例えば、光束F0の発散角がA2のときには、光束F0の光量をさらに多くするように制御される。これにより、光束Fsの光量は上記一定値からずれることとなる。すなわち、APCの精度が低下することとなる。
【0039】
本実施形態では、受光素子25として2次元の受光素子を使う。図11は受光素子としてCMOSセンサを使った実施例を示している。モニタ用光束の全体を受光し、検知した光量分布から開口板23を通過した光量を算出する。検知した光量の分布の一例を図12示す。図12に示すようにガウス関数に近い場合は、ガウス曲線を表す(1)式から最適なa,k,mを求め、(1)式をy、zで積分して開口板23を通過した光束Fsの光量を求める。 F(y,z)=a×exp(−(k×y2+m×z2) ・・・(1) なお、検知した光量分布をガウス関数に限定する必要はない。例えば2次関数や4次関数等の多項式関数によるフィッテイングを行って、その関数に基づいて開口板23を通過した光束の積分光量を算出すればよい。
【0040】
図16はCMOSセンサの制御を行う回路の一例である。1024行1280列のCMOSセンサアレイ(図16には示されていない)は、センサリセット信号により露光がリセットされ次の露光が開始される。転送開始信号により、露光を終了し、受光データのセンサ外への転送が開始される。行アドレスで指定された行の受光データは、列毎にサンプルホールドされ、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)で10ビットのデジタルデータに変換され、一旦、ADCレジスタ(SRAM)に格納される。格納されたADCデータはSRAM読出し制御回路のShift信号によって出力レジスタに移され、列デコーダの信号により出力される。2次元の受光素子はCMOSセンサに限るものではなく、たとえば、CCD(電荷結合素子)センサ、PD(フォトダイオード)アレイなどでも良い。
【0041】
さらに、受光素子25の受光面に垂直にモニタ用光束が入射すると、受光面からの反射光が入射光と逆の光路を通り、光源14へ戻ってしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、一例として図13に示されるように、モニタ用光束の受光位置での受光面の法線方向が、入射光の入射方向の全てに対して傾斜するように受光素子25の姿勢を設定し、受光面からの反射光が光源14に戻らないようにしている。具体的には、入射角を10°としている。
【0042】
また、本実施形態では、一例として図13に示されるように、光源14とフォトダイオード25は、同一の基板28上に実装されている。受光素子25は、温度によって検知感度が異なるため、熱源から離して配置することが望ましい。図14には、光源14の中心位置からの距離とその位置での光源の発光による上昇温度との関係が示されている。これによると、光源14の中心位置では約50℃の温度上昇がみられるが、光源14から1mm離れると、ほぼ影響が無くなり、2mm以上離れると、光源14の発熱の影響を全く受けないことが分かる。なお、本実施形態では、光学系のレイアウトとの関係から、光源14とCMOSセンサ25の中心間距離(図13における符号W)は、7mmとした。
【0043】
図15は走査制御装置20の例を示す。図15において、走査制御装置20は主制御部20Aと駆動制御部20Bを有している。主制御部20Aは、CPU210、フラッシュメモリ211、RAM212、及びIF(インターフェース)214などを有している。駆動制御部20Bは、画素クロック生成回路215、画像処理回路216、フレームメモリ217、ラインバッファ2181〜21840、及び書込制御回路219などを有している。そして、この駆動制御部20Bは、光源14及び受光素子25が実装されている基板28上に設けられている。なお、図15における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0044】
画素クロック生成回路215は、画素クロック信号を生成する。フレームメモリ217は、CPU210によってラスター展開された画像データ(以下、便宜上「ラスターデータ」と略述する)を一時的に格納する。
【0045】
画像処理回路216は、フレームメモリ217に格納されているラスターデータを読み出し、所定の中間調処理などを行った後、発光部毎のドットデータを作成し、発光部それぞれに対応したラインバッファ2181〜21840へ出力する。
【0046】
書込制御回路219は、同期検知センサ19aの出力信号に基づいて、走査開始のタイミングを求める。そして、走査開始のタイミングに合わせて、ラインバッファ2181〜21840から各発光部のドットデータを読み出し、画素クロック生成回路215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、発光部毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。また、書込制御回路219は、所定のタイミングで、受光素子(CMOSセンサ)25の出力信号に基づいて、開口板23の開口部を通過する光束の光量を算出し、その光量が一定となるように、各発光部の駆動電流を補正する。すなわち、APC(Auto Power Control)を行う。
【0047】
光源駆動回路221は、書込制御回路219からの変調データに応じて2次元アレイ100の各発光部を駆動する。
【0048】
フラッシュメモリ211には、CPU210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム及びプログラムで用いられる各種データが格納されている。RAM212は、作業用のメモリである。CPU210は、フラッシュメモリ211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置1010の全体を制御する。IF(インターフェース)214は、プリンタ制御装置1060との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像データは、IF(インターフェース)214を介して供給される。
【0049】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置1010では、開口板23と受光素子(CMOSセンサ)25とによってモニタ装置が構成されている。また、光源14とカップリングレンズ15と上記モニタ装置とによって光源装置が構成されている。そして、開口板23の開口部を通過した光束Fsが、光源装置から出力される光束である。また、プログラムに従ったCPU210による信号処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしてもよいし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしてもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るモニタ装置によると、2次元アレイ100から射出された光束の光路上に配置され、上記光束の最も光強度の大きい部分がそのほぼ中央を通る開口部を有し、この開口部の周囲に入射した光束をモニタ用光束として反射する開口板23(分離光学素子)と、この開口板23で反射されたモニタ用光束の光路上に配置され、モニタ用光束を受光する受光素子25とを有している。そして、受光素子25の光量分布から開口板23を通過した光束Fsの光量を推定する。これにより、いずれの発散角においても、光束Fsの光量を精度よく検出することができる。
【0051】
従って、2次元アレイ100から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出することが可能となる。また、本実施形態に係る光源装置によると、2次元アレイ100から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出することができるモニタ装置を有しているため、安定した光束を出力することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態に係る光走査装置1010によると、安定した光束を出力することができる光源装置を有しているため、感光体ドラム1030の表面上を精度良く安定して光走査することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、感光体ドラム1030の表面上を精度良く安定して光走査することができる光走査装置1010を備えているため、結果として、高品質の画像を安定して形成することが可能となる。
【0054】
上記実施形態では、光源14が40個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。上記実施形態において、前記2次元アレイ100に代えて、複数の発光部が1次元配列された1次元アレイを用いてもよい。
【0055】
なお、上記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置1010を備えた画像形成装置であれば、結果として、高品質の画像を安定して形成することが可能となる。例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であってもよい。
【0056】
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であってもよい。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
【0057】
また、多色のカラー画像を形成する画像形成装置であっても、カラー画像に対応した光走査装置を用いることにより、高品質のカラー画像を高速で形成することが可能となる。例えば、図17に示されるように、カラー画像に対応し、複数の感光体ドラムを備えるタンデムカラー機1500であってもよい。
【0058】
上記タンデムカラー機1500は、ブラック(K)用の感光体ドラムK1、帯電器K2、現像器K4、クリーニング手段K5、および転写用帯電手段K6と、シアン(C)用の感光体ドラムC1、帯電器C2、現像器C4、クリーニング手段C5、および転写用帯電手段C6と、マゼンタ(M)用の感光体ドラムM1、帯電器M2、現像器M4、クリーニング手段M5、および転写用帯電手段M6と、イエロー(Y)用の感光体ドラムY1、帯電器Y2、現像器Y4、クリーニング手段Y5、および転写用帯電手段Y6と、光走査装置1010Aと、転写ベルト1580と、定着手段1530などを備えている。
【0059】
各感光体ドラムは、図17中の矢印の方向に回転し、回転方向にそれぞれ帯電器、現像器、転写用帯電手段、クリーニング手段が配置されている。各帯電器は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。この帯電器によって帯電された感光体ドラム表面に、光走査装置1010Aにより対応した光色成分の画像信号で変調された光束が照射され、感光体ドラムに静電潜像が形成される。そして、対応する現像器により感光体ドラム表面に対応した色のトナー像が形成される。さらに、対応する転写用帯電手段により、記録紙に各色のトナー像が重ねて転写され、最終的に定着手段1530により記録紙に画像が定着される。
【0060】
光走査装置1010Aは、ブラック用の光源装置、シリンドリカルレンズ、走査光学系および同期検知センサ、シアン用の光源装置、シリンドリカルレンズ、走査光学系および同期検知センサ、マゼンタ用の光源装置、シリンドリカルレンズ、走査光学系および同期検知センサ、イエロー用の光源装置、シリンドリカルレンズ、走査光学系および同期検知センサ、並びにポリゴンミラーなどを有している。
【0061】
各光源装置は、いずれも上記実施形態における光源装置と同等の光源装置であり、上記モニタ装置と同等のモニタ装置を有している。そして、各光源装置から出力される光束は、対応するシリンドリカルレンズを介してポリゴンミラーで偏向された後、対応する走査光学系を介して対応する感光体ドラム表面で集光される。また、ポリゴンミラー13で偏向され、対応する走査光学系を介した光束のうち、画像形成に関与しない光束の一部は、対応する同期検知センサに入射する。
【0062】
各光源装置は、上記実施形態における光源装置と同等の光源装置であるため、各光源装置は、いずれも安定した光束を出力することができる。その結果、光走査装置1010Aは、各感光体ドラムの表面上を精度良く安定して光走査することができる。そして、タンデムカラー機1500では、高品質の画像を安定して形成することが可能となる。なお、タンデムカラー機では、機械精度等で各色の色ずれが発生する場合があるが、点灯させる発光部を選択することで各色の色ずれの補正精度を高めることができる。なお、このタンデムカラー機1500において、光走査装置1010Aに代えて、ブラック用の光走査装置とシアン用の光走査装置とマゼンタ用の光走査装置とイエロー用の光走査装置を用いても良い。要するに、各光走査装置が、上記実施形態における光源装置と同等の光源装置を有していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明のモニタ装置によれば、光源から射出される光束の光量変化を安定して精度良く検出するのに適している。また、本発明の光源装置によれば、安定した光束を出力するのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、被走査面上を精度良く安定して光走査するのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高品質の画像を安定して形成するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る画像形成装置の例をモデル的に示す正面図である。
【図2】上記画像形成装置に用いることができる本発明に係る光走査装置の実施例を示す平面図である。
【図3】上記光走査装置に用いることができる本発明に係る光源装置の実施例をモデル的に示す拡大正面図である。
【図4】上記光走査装置中の分離光学素子の例を示す(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
【図5】光源から出力される光束の横断面における光量分布の一例と、上記分離光学素子の開口部を透過する光束および上記開口部の周辺で反射される光束の分布例を示すグラフである。
【図6】光源から出力される光束の横断面における光量分布の別の例と、上記分離光学素子の開口部を透過する光束および上記開口部の周辺で反射される光束の分布例を示すグラフである。
【図7】光源から出力される光束の横断面における光量分布のさらに別の例と、上記分離光学素子の開口部を透過する光束および上記開口部の周辺で反射される光束の分布例を示すグラフである。
【図8】光源から射出される光束の発散角と分離光学素子を透過する光量との関係を示すグラフである。
【図9】分離光学素子を透過する光量を一定にするために必要な光束の発散角に対する光源の光量との関係を示すグラフである。
【図10】光束の発散角と分離光学素子で反射される光束の光量との関係を示すグラフである。
【図11】本発明に適用可能な2次元に配列された微小面積のCMOSセンサアレイで構成されている受光素子の例と分離光学素子で反射された光束を受光している様子を示す正面図である。
【図12】分離光学素子を透過した光束の光量分布の一例を示す3次元グラフである。
【図13】上記分離光学素子への入射光路と反射光路および反射光路上の受光素子との関係を示す光学配置図である。
【図14】光源の中心位置からの距離とその位置での光源の発光による上昇温度との関係を示すグラフである。
【図15】本発明の光走査装置に適用可能な走査制御装置の例を示すブロック図である。
【図16】本発明に適用可能なCMOSセンサ制御回路の例を示すブロック図である。
【図17】本発明に係る画像形成装置の実施例をモデル的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0065】
13 ポリゴンミラー
14 光源
15 カップリングレンズ
23 分離光学素子
25 受光素子
100 2次元発光素子アレイ
1000 レーザプリンタ
1030 感光体ドラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光束の光量をモニタするモニタ装置であって、 前記光源から射出された光束の光強度の最も大きい部分が中央部を通る開口部を有するとともにこの開口部の周囲に入射した光束をモニタ用光束として反射する分離光学素子と、 前記分離光学素子から反射したモニタ用光束を受光し前記モニタ光束の光量分布を検出する受光素子と、を備えていることを特徴とするモニタ装置。
【請求項2】
前記受光素子で検知した光束の光量分布から前記分離光学素子の開口部を通過した光量を算出することを特徴とする請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項3】
前記受光素子は、モニタ用光束の受光位置での受光面の法線方向が、入射光の入射方向の全てに対して傾斜していることを特徴とする請求項1または2記載のモニタ装置。
【請求項4】
光源と、この光源から射出された光束の光量をモニタするモニタ装置と、を備えた光源装置であって、 前記モニタ装置は請求項1〜3のいずれかに記載のモニタ装置であり、前記モニタ装置の分離光学素子の開口部を通過した光束を出力することを特徴とする光源装置。
【請求項5】
前記光源と前記モニタ装置の間にカップリングレンズをさらに備え、 前記モニタ装置の分離光学素子は、光学的に前記カップリングレンズの焦点位置近傍に配置されていることを特徴とする請求項4記載の光源装置。
【請求項6】
前記光源は、複数の発光部を有することを特徴とする請求項4または5記載の光源装置。
【請求項7】
前記光源は、垂直共振器型の面発光レーザを含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の光源装置。
【請求項8】
光束により被走査面を走査する光走査装置であって、 請求項4〜7のいずれかに記載の光源装置と、 前記光源装置から出力される光束を偏向する偏向器と、 前記偏向器で偏向された光束を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備えていることを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
少なくとも1つの像担持体と、 前記少なくとも1つの像担持体を画像情報が含まれる光束により走査する少なくとも1つの光走査装置と、を備える画像形成装置であって、 前記光走査装置は請求項8記載の光走査装置である画像形成装置。
【請求項10】
前記画像情報は、多色の画像情報であることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
多色の画像情報に対応して色の数だけ像担持体が配置され、光走査装置は、各像担持体をそれぞれの像担持体が分担する色の画像情報で変調された光束で走査する請求項9記載の画像形成装置。
【請求項12】
多色の画像情報に対応して色の数だけ配置された像担持体と、 各像担持体に対応して電子写真プロセスを実行するために配置された電子写真プロセスユニットと、を備え、 前記電子写真プロセスユニットのうち露光ユニットは請求項8記載の光走査装置であり、 前記光走査装置は、各像担持体をそれぞれの像担持体が分担する色の画像情報で変調された光束で走査するように構成し、 各像担持体に形成された潜像を各像担持体に対応した色のトナーで現像し、各トナー像を重ねて転写するように構成したカラー対応の画像形成装置。
【請求項1】
光源から射出された光束の光量をモニタするモニタ装置であって、 前記光源から射出された光束の光強度の最も大きい部分が中央部を通る開口部を有するとともにこの開口部の周囲に入射した光束をモニタ用光束として反射する分離光学素子と、 前記分離光学素子から反射したモニタ用光束を受光し前記モニタ光束の光量分布を検出する受光素子と、を備えていることを特徴とするモニタ装置。
【請求項2】
前記受光素子で検知した光束の光量分布から前記分離光学素子の開口部を通過した光量を算出することを特徴とする請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項3】
前記受光素子は、モニタ用光束の受光位置での受光面の法線方向が、入射光の入射方向の全てに対して傾斜していることを特徴とする請求項1または2記載のモニタ装置。
【請求項4】
光源と、この光源から射出された光束の光量をモニタするモニタ装置と、を備えた光源装置であって、 前記モニタ装置は請求項1〜3のいずれかに記載のモニタ装置であり、前記モニタ装置の分離光学素子の開口部を通過した光束を出力することを特徴とする光源装置。
【請求項5】
前記光源と前記モニタ装置の間にカップリングレンズをさらに備え、 前記モニタ装置の分離光学素子は、光学的に前記カップリングレンズの焦点位置近傍に配置されていることを特徴とする請求項4記載の光源装置。
【請求項6】
前記光源は、複数の発光部を有することを特徴とする請求項4または5記載の光源装置。
【請求項7】
前記光源は、垂直共振器型の面発光レーザを含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の光源装置。
【請求項8】
光束により被走査面を走査する光走査装置であって、 請求項4〜7のいずれかに記載の光源装置と、 前記光源装置から出力される光束を偏向する偏向器と、 前記偏向器で偏向された光束を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を備えていることを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
少なくとも1つの像担持体と、 前記少なくとも1つの像担持体を画像情報が含まれる光束により走査する少なくとも1つの光走査装置と、を備える画像形成装置であって、 前記光走査装置は請求項8記載の光走査装置である画像形成装置。
【請求項10】
前記画像情報は、多色の画像情報であることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
多色の画像情報に対応して色の数だけ像担持体が配置され、光走査装置は、各像担持体をそれぞれの像担持体が分担する色の画像情報で変調された光束で走査する請求項9記載の画像形成装置。
【請求項12】
多色の画像情報に対応して色の数だけ配置された像担持体と、 各像担持体に対応して電子写真プロセスを実行するために配置された電子写真プロセスユニットと、を備え、 前記電子写真プロセスユニットのうち露光ユニットは請求項8記載の光走査装置であり、 前記光走査装置は、各像担持体をそれぞれの像担持体が分担する色の画像情報で変調された光束で走査するように構成し、 各像担持体に形成された潜像を各像担持体に対応した色のトナーで現像し、各トナー像を重ねて転写するように構成したカラー対応の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−71698(P2010−71698A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237211(P2008−237211)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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