説明

モノカルボン酸単量体、ジカルボン酸単量体、およびスルホン酸基含有単量体を含む洗浄用組成物

【課題】高硬度水下でのクレイ分散性と鉄沈着抑制能とを高レベルで両立できる、洗剤用添加剤に好適な、共重合体組成物とその製造方法を提供する。また、そのような共重合体組成物を含む洗剤組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の洗濯用洗剤または洗浄用組成物は、下記i)およびii)を含む共重合体組成物を含む。
i)重量平均分子量が約10,000〜約50,000であり、下記(a)〜(c)を含む、共重合体、a)モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)由来の構造単位を30〜60mol%;b)モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)由来の構造単位;c)エステル結合もアミド結合も有さないスルホン酸(塩)基含有単量体由来の構造単位;および
ii)12,000ppm以下の残存モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノカルボン酸単量体、ジカルボン酸単量体、およびスルホン酸基含有単量体の共重合体を含む洗濯用組成物および洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
優れた特性を有する洗剤用添加剤として、アクリル酸(塩)由来の構造単位/マレイン酸(塩)由来の構造単位/エステル結合およびアミド結合を有さないスルホン酸(塩)含有単量体(例えば、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)(通常、HAPSと称される))由来の構造単位を有する共重合体;アクリル酸(塩)由来の構造単位/マレイン酸(塩)由来の構造単位/スルホエチルメタクリレート(SEMSと称される)由来の構造単位を有する共重合体;ならびに、アクリル酸(塩)由来の構造単位/マレイン酸(塩)由来の構造単位/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)(AMPSと称される)由来の構造単位を有する共重合体が、従来より知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
洗剤用添加剤の性能として、洗浄力を向上させるためには、クレイ分散性および鉄沈着抑制能を向上させることが重要であると考えられる(特許文献3参照)。しかし、SEMSおよびAMPSの共重合体は、洗剤用添加剤として用いた場合、エステル結合およびアミド結合が加水分解してしまうという問題があり、十分な性能を発揮できない。したがって、クレイ分散性および鉄沈着抑制能を向上させるためには、アクリル酸(塩)由来の構造単位/マレイン酸(塩)由来の構造単位/エステル結合およびアミド結合を有さないスルホン酸(塩)含有単量体由来の構造単位の構成を有する共重合体を洗剤用添加剤として用いることが好ましい。
【0004】
しかし、アクリル酸(塩)由来の構造単位/マレイン酸(塩)由来の構造単位/HAPS等由来の構造単位を有する共重合体は、一般的には分子量が低く(重量平均分子量が9000以下)、クレイ分散性、特に、高硬度水下でのクレイ分散性が十分に満足できるレベルに達していない。
【0005】
また、重量平均分子量が36000のアクリル酸(塩)由来の構造単位/マレイン酸(塩)由来の構造単位/HAPS由来の構造単位の構成を有する共重合体が開示されている(特許文献4参照)。しかし、マレイン酸(塩)由来の構造単位の含有割合が少なく(実施例8では10mol%)、鉄沈着抑制能が十分に満足できるレベルに達していない。
【0006】
また、アクリル酸(塩)由来の構造単位/HAPS由来の構造単位/疎水性を示す構造単位を有する共重合体が開示されている(特許文献5参照)。しかし、マレイン酸(塩)由来の構造単位を有しておらず、十分に満足できる鉄沈着抑制能を得ることは不可能である。
【0007】
そこで、アクリル酸(塩)由来の構造単位/マレイン酸(塩)由来の構造単位/HAPS由来の構造単位の構成を有する共重合体について、重量平均分子量を高くし、マレイン酸(塩)由来の構造単位の含有割合を高くするために、特許文献1に記載の方法が採用され得る。しかし、この場合、残存マレイン酸(塩)の量が多くなりすぎてしまい、鉄沈着抑制能が劣るという問題がある。これは所望ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−355615号公報
【特許文献2】特開平3−234713号公報
【特許文献3】特開2004−189785号公報
【特許文献4】特開平2−129020号公報
【特許文献5】特開2007−231263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、下記i)およびii)を含む共重合体組成物を含む、新たな洗濯用洗剤または洗浄用組成物に関する:
i)重量平均分子量が約10,000〜約50,000であり、下記(a)〜(c)を含む、共重合体、a)モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位を30〜60mol%;b)モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位;c)エステル結合もアミド結合も有さないスルホン酸(塩)基含有単量体由来の構造単位;および
ii)12,000ppm以下の残存モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体。
【課題を解決するための手段】
【0010】
洗濯用洗剤または洗浄用組成物
本発明の洗濯用洗剤または洗浄用組成物は、モノカルボン酸単量体、ジカルボン酸単量体、およびスルホン酸基含有単量体を含む新規な共重合体を含む。
【0011】
共重合体組成物
本発明の共重合体組成物は、(i)重量平均分子量が約10,000〜約50,000の共重合体と、(ii)12,000ppm以下の残存モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体を含む。上記共重合体は、(a)モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)(単量体(a))由来の構造単位を30〜60mol%、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)(単量体(b))由来の構造単位、およびエステル結合もアミド結合も有さないスルホン酸(塩)基を1つ以上有する単量体由来の構造単位を含む。
【0012】
本明細書において、「塩」とは、ナトリウム、カリウムおよび他のアルカリ金属の塩;カルシウム、マグネシウムおよび他のアルカリ土類金属の塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミンおよび他の有機アミン塩等をいう。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。好ましくは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩であり、特に好ましくはナトリウム塩である。また、本明細書において、「単量体由来の構造単位」とは、単量体を重合した場合に得られる重合体中の、該単量体に由来する構造単位部分を意味する。
【0013】
単量体(a)としては、任意の適切なモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)を採用し得る。具体例としては、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、シトラコン酸等、ならびにそれらの塩および無水物が挙げられるが、これらに限定されない。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、本発明の効果が損なわれない範囲で、例示された化合物等の誘導体を使用することができる。単量体(a)の具体的な実施形態としては、マレイン酸(塩)またはマレイン酸無水物が挙げられる。
【0014】
単量体(b)としては、任意の適切なモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)を採用し得る。例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、α−ヒドロキシアクリル酸等、及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、本発明の効果が損なわれない範囲で、これら例示の化合物等の誘導体を使用することができる。単量体(b)の具体的な実施形態としては、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの塩が挙げられる。
【0015】
単量体(c)としては、不飽和結合(炭素−炭素二重結合)を有し、エステル結合とアミド結合を有さないスルホン酸(塩)を有する単量体が用いられ得る。このような単量体としては、例えば、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)、3−メタリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、ビニルスルホン酸(塩)、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)、スチレンスルホン酸(塩)が挙げられる。これら単量体(c)の選択される実施形態としては、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)、3−メタリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)が挙げられる。特に、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)が有用である。3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)としては、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、およびその塩が挙げられる。これらは1種のみ用いても良いし、2種を併用しても良い。
【0016】
本発明の共重合体組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、上述のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体由来の構造単位およびエステル結合もアミド結合も有さないスルホン酸(塩)基含有単量体由来の構造単位に加えて、その他の単量体(d)由来の構造単位を有していても良い。上記その他の単量体(d)としては、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体、エステル結合もアミド結合も有さないスルホン酸(塩)基含有単量体(HAPS等)と共重合可能であれば、任意の適切なタイプの単量体であり得る。その他の単量体(d)としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよび他のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコールおよびそのアルキレンオキサイド付加物、(イソ)プレノールおよびそのアルキレンオキサイド付加物、3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−(メタ)アクリロキシ−1,2−ジ(ポリ)アルキレンオキサイドエーテルプロパン、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸(塩)、2−アクリルアミドメチル−2−プロパンスルホン酸(塩)、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スルホメチル(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
【0017】
本発明の共重合体組成物においては、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(b)由来の構造単位とモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体(a)由来の構造単位とエステル結合もアミド結合も有さないスルホン酸(塩)基含有単量体(c)由来の構造単位とその他の単量体(d)由来の構造単位の含有比率((b)/(a)/(c)/(d))は、mol比で、30〜60/30〜60/5〜16/0〜5であり、合計100mol%である。好ましくは、35〜55/35〜55/5〜16/0〜15であり、合計100mol%である。より好ましくは、40〜50/40〜50/5〜16/0〜5であり、合計100mol%である。
【0018】
本発明の共重合体組成物において、共重合体の重量平均分子量は約10,000〜約50,000であり、好ましくは約11,000〜約30,000、より好ましくは約12,000〜約20,000である。
【0019】
本発明の共重合体組成物においては、残存モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体の含有量は、固形分換算で12,000ppm以下であり、好ましくは9500ppm以下であり、より好ましくは7000ppm以下である。
【0020】
本発明の共重合体組成物においては、クレイ分散能は、好ましくは1.00以上であり、より好ましくは1.10以上である。クレイ分散能の測定方法については後述する。
【0021】
本発明の共重合体組成物は、鉄沈着抑制能が、好ましくは92.5以上、より好ましくは93.0以上である。鉄沈着抑制能の測定方法については後述する。
【0022】
本発明の共重合体は、上記ポリマーの特性が得られる限り、工業上知られた任意の共重合方法によって、製造することができる。共重合体およびその製造例を後述の実施例によって示す。
【0023】
共重合体組成物の洗濯用洗剤および洗浄用組成物としての使用
本発明の共重合体は、高硬度な水中での、クレイ分解能および鉄沈着抑制能を向上させる。これらの効果は、洗濯用洗剤または洗浄用組成物において、当該共重合体を有用なものとする。本発明の共重合体は、特定の組成物全量に対して一般的に約1重量%〜約20重量%、好ましくは約2.5重量%〜約15重量%、さらに好ましくは5重量%〜10重量%の量で洗濯用洗剤または洗浄用組成物に加えられ得る。
【0024】
さらに、洗濯用洗剤および洗浄用組成物は、一般的に界面活性剤を含み、必要に応じて、洗浄物質としての他のポリマー、ビルダー、および常用の成分(例えば、コビルダー、錯化剤、漂白剤、標準化剤(standardizerds))、黒ずみ防止剤(graying inhibitors)、色移り防止剤(dye transfer inhibitors)、酵素、および香料を含む。
【0025】
本発明の共重合体は、炭素数10〜15のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)と、ノニオン性、カチオン性、アニオン性またはこれらの混合物から選ばれる1以上の共界面活性剤とを含む界面活性剤系を含む洗濯用洗剤または洗浄用組成物に利用され得る。共界面活性剤は所望の効果に応じて選択される。1つの実施形態においては、共界面活性剤はノニオン性界面活性剤として選択され、好ましくは炭素数12〜18のアルキルエトキシレートである。他の実施形態においては、共界面活性剤はアニオン性界面活性剤として選択され、好ましくは炭素数10〜18のアルキルアルコキシ硫酸塩(AExS(xは1〜30))である。他の実施形態においては、共界面活性剤はカチオン性界面活性剤として選択され、好ましくはジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロライドである。界面活性剤系が炭素数10〜15のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)を含む場合、LASの使用量は、組成物の重量基準で、好ましくは約9%〜約25%、さらに好ましくは約13%〜約25%、より好ましくは約15%〜約23%である。
【0026】
上記界面活性剤系は、組成物の重量基準で、好ましくは0%〜約7%、約0.1%〜約5%、または約1%〜約4%の、ノニオン性共界面活性剤、カチオン性共界面活性剤、アニオン性共界面活性剤、およびこれらの任意の混合物から選ばれる共界面活性剤を含む。
【0027】
ノニオン性共界面活性剤の非限定の具体例としては、シェル社製のNEODOL(登録商標)ノニオン性界面活性剤のような炭素数12〜18のアルキルエトキシレート;アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位の混合体である炭素数6〜12のアルキルフェノールアルコキシレート;BASF製のPLURONIC(登録商標)のようなエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルポリアミンエトキシレートと炭素数12〜18のアルコールおよび炭素数6〜12のアルキルフェノールとの縮合体;米国特許第6,150,322号に記載されているような炭素数14〜22の中鎖分岐型(mid-chain)アルコールBA;米国特許第6,153,577号、米国特許第6,020,303号および米国特許第6,093,856号に記載されているような炭素数14〜22の中鎖分岐型(mid-chain)アルキルアルコキシレートBAEx(xは1〜30);米国特許第4,565,647号(Llenado、1986年1月26日発行)に記載のアルキル多糖類;具体的には、米国特許第4,483,780号および米国特許第4,483,779号に記載のアルキルポリグリコキシド;米国特許第5,332,528号に記載のポリヒドロキシ脂肪酸アミドおよび米国特許第6,482,994号およびWO01/42408に記載のエーテルキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0028】
半極性のノニオン性共界面活性剤の非限定の具体例としては、約10個〜約18個の炭素原子からなる1つのアルキル部分と約1個〜約3個の炭素原子を含むアルキル部分およびヒドロキシアルキル部分からなる群から選ばれる2つの部分とを含む水溶性アミンオキシド;約10個〜約18個の炭素原子からなる1つのアルキル部分と約1個〜約3個の炭素原子を含むアルキル部分およびヒドロキシアルキル部分からなる群から選ばれる2つの部分とを含む水溶性フォスフィンオキシド;ならびに約10個〜約18個の炭素原子からなる1つのアルキル部分と約1個〜約3個の炭素原子を含むアルキル部分およびヒドロキシアルキル部分からなる群から選ばれる2つの部分とを含む水溶性スルホキシドが挙げられる(WO01/32816、米国特許第4,681,704号、米国特許第4,133,779号参照)。
【0029】
カチオン性共界面活性剤の非限定の具体例としては、26個までの炭素原子を含み得る4級アンモニウム界面活性剤;米国特許第6,136,769号に記載のアルコキシレート4級アンモニウム(AQA)界面活性剤;米国特許第6,004,922号に記載のジメチルヒドロキシエチル4級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロライド;WO98-35002、WO98/35003、WO98/35004、WO98/35005およびWO98/35006に記載のポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、4,260,529号および同第6,022,844号に記載のカチオン性エステル界面活性剤;ならびに、米国特許第6,221,825号およびWO00/47708に記載のアミノ界面活性剤、特にアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0030】
有用なアニオン性共界面活性剤の非限定の具体例としては、炭素数10〜20の1級、分岐型およびランダム型のアルキル硫酸塩(AS);炭素数10〜18の2級(2,3)アルキル硫酸塩;炭素数10〜18のアルキルアルコキシ硫酸塩(AExS(xは1〜30));1〜5個のエトキシ部分を有する炭素数10〜18のアルキルアルコキシカルボキシレート;米国特許第6,020,303号および米国特許第6,060,443号に記載の中鎖分岐型(mid-chain)アルキル硫酸塩;米国特許第6,008,181号および米国特許第6,020,303号に記載の中鎖分岐型(mid-chain)アルキルアルコキシ硫酸塩;WO99/05243、WO99/05242およびWO99/05244に記載の変性アルキルベンゼンスルホン酸塩(MLAS);メチルエステルスルホン酸塩(MES);ならびに、アルファ−オレフィンスルホン酸塩(AOS)が挙げられる。
【0031】
本願発明は、また、本発明の共重合体と、炭素数8〜18の直鎖アルキルスルホン酸塩界面活性剤および共界面活性剤を含む界面活性剤系とを含む組成物にも関する。上記組成物は、任意の形状、すなわち、液状;粉末状、顆粒状、塊状、ペースト、タブレット、袋状、棒状、ジェル状のような固体状;エマルジョン;2つのコンパートメント容器で移送されるようなタイプ;スプレーまたは泡状の洗剤;ウエットタイプのワイプ(Mackeyらの米国特許第6,121,165号に記載の不織布材料と組み合わせた洗浄用組成物);使用者が水と合わせて使用する乾燥タイプのワイプ(Fowlerらによる米国特許第5,980,931号に記載の不織布材料と組み合わせた洗浄用組成物)、ならびに、他の単一相または多相の消費者向け洗浄用製品形状をとり得る。
【0032】
1つの実施形態においては、本発明の洗浄用組成物は、液体または固体の洗濯用洗剤組成物である。別の実施形態においては、本発明の洗浄用組成物は、硬質表面洗浄用組成物であり、好ましくは当該硬質表面洗浄用組成物は不織布基材に含浸する。ここで「含浸する」とは、不織布基材の少なくとも一部分に硬質表面洗浄用組成物を浸透させて、硬質表面洗浄用組成物を不織布基材に導入することをいい、好ましくは硬質表面洗浄用組成物は不織布基材を飽和させる。上記洗浄用組成物は、自動車ケア用組成物にも使用され得、硬い木、タイル、陶器、プラスチック、革、金属、ガラス等の様々な表面を洗浄するためにも使用され得る。上記洗浄用組成物は、シャンプー組成物、ボディーウオッシュ、液体または固体石けん、ならびに、界面活性剤が硬度に関わらず接触する他の組成物のような、人のケアおよびペット用の組成物として使用できるように設計することもできるし、石油掘削用組成物のように、硬度耐性界面活性剤系を必要とするすべての組成物として使用できるように設計することもできる。
【0033】
他の実施形態においては、上記洗浄用組成物は、手洗い食器洗浄用液体組成物、自動食器洗浄用固体組成物、自動食器洗浄用液体組成物および錠剤/ユニット(tab/unit)形態の自動食器洗浄用組成物のような食器洗浄用組成物である。
【0034】
自動用洗剤組成物は、低発泡ノニオン性界面活性剤(LFNI)を含んでいてもよい。LFNIは、約0.25%〜約4%の量で存在し得る。LFNIは、代表的には、それらがジェル状の自動用洗剤に与える(特にガラスからの)水の膜形成挙動(water-sheeting-action)改善を目的として、自動用洗剤中に用いられる。好ましいLFNIとしては、ノニオン性アルコキシレート界面活性剤、特に1級アルコール由来のエトキシレート、およびこれとポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンのリバースブロックポリマーのような高性能な界面活性剤との混合物が挙げられる。上記PO/EO/POポリマータイプの界面活性剤は、特に卵などの一般的な食物汚染成分に関して、抑泡または消泡作用を有することが周知である。好ましい実施形態においては、LFNIは、約8〜約20個の炭素原子(環状の炭素原子をのぞく)を有するモノヒドロキシアルコールまたはアルキルフェノールと、アルコールまたはアルキルフェノール1モルに対しての平均で約6〜約15モルのエチレンオキシドとの反応に由来するエトキシレート界面活性剤である。さらに好ましいLFNIは、約16個〜約20個(特に好ましくは18個)の炭素原子を有する直鎖脂肪族アルコール(C16−C20アルコール)由来であって、当該アルコール1モルに対しての平均で、約6〜約15モル、好ましくは約7〜約12モル、最も好ましくは約7〜約9モルのエチレンオキシドにより縮合している。好ましくは、上記のようにして得られるエトキシレートノニオン性界面活性剤は平均に対して狭いエトキシレート分布を有する。
【0035】
上記LFNIは、約15重量%までの量で、プロピレンオキシドを任意に含んでもよい。BASF Wyandotte Corp.(Wyandotte、Mich)によるPLURONIC(登録商標)またはTETRONIC(登録商標)と称される特定のブロックポリマー界面活性剤は、本発明のジェル状の自動用洗剤に適切である。使用され得るLFNIとしては、約8個がエトキシ化された炭素数18のアルコールポリエトキシレートが挙げられ、BASF社からの「SLF−18 Poly−tergent」が市販品として入手可能である。
【0036】
食器洗浄用組成物は、洗剤に対して一般的に0〜約25重量%、好ましくは約0.5重量%〜約20重量%、さらに好ましくは約1重量%〜約7重量%の分散剤ポリマーをさらに含み得る。上記分散剤ポリマーは、米国特許第4,659,802号に記載のエトキシレートカチオン性ジアミンまたはエトキシレートカチオン性ポリアミンであってもよい。使用に適した他の分散剤ポリマーとしては、Rohm&Haas製のACUSOL(登録商標)480Nのようなアクリル酸、マレイン酸およびメタクリル酸から合成された共重合体、およびAcsol 425N(E)の商品名でRohm&Haasから入手可能なホスホノ基末端のアクリル−マレイン(比率80/20)分散剤共重合体が挙げられる。ALCOSPERSE(登録商標)ポリマー(Alco製)のようなカルボキシレートおよびスルホネートモノマーを含むポリマーも分散剤ポリマーとすることができる。1つの実施形態においては、ALCOSPERSE(登録商標)725の商品名で市販されているALCOSPERSE(登録商標)ポリマーは、下記一般式で表されるスチレンとアクリル酸との共重合体である:
【化1】

ALCOSPERSE(登録商標)725は、金属腐食防止効果を奏し得る。
【0037】
他の分散剤ポリマーとしては、米国特許第4,530,766号、同第5,084,535号、欧州特許出願第66,915号(1982年12月15日公開)に記載の不飽和脂肪族カルボン酸の低分子量共重合体などを含む、低分子量の変性ポリアクリレート共重合体が挙げられる。
【0038】
食器洗浄用組成物は、鉱物の硬度と分散性のコントロールを補助する洗剤ビルダーを用いてもよい。有機ビルダーだけでなく無機ビルダーも使用し得る。このような食器洗浄用製品の具体例は、リン酸塩、リン酸塩オリゴマーまたはポリマー、およびこれらの塩、ケイ酸塩オリゴマーまたはポリマー、およびこれらの塩、アルミノケイ酸塩、マグネシオアルミノケイ酸塩、クエン酸塩、メチルグリシジン二酢酸、および/またはこれらの塩、グルタミン二酢酸および/またはこれらの塩、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。リン酸塩洗剤ビルダーとしては、ポリリン酸とアルカリ金属、アンモニウムおよびアルカノールアンモニウムとの塩が挙げられるがこれらに限定されない。本発明においては、ケイ酸塩ビルダーは、ジェル状の洗剤組成物の斑点化/膜化特性に悪影響を及ぼさない程度に可溶である任意のケイ酸塩である。アルミノケイ酸塩ビルダーは、自動食器洗浄用洗剤としては好ましくはないが、本組成物に使用することができる。炭酸塩ビルダーとしては、ドイツ特許出願第2,321,001号(1973年11月15日公開)に開示されているアルカリ土類およびアルカリ金属炭酸塩が挙げられる。様々なグレードおよびタイプの炭酸ナトリウムとセスキ炭酸ナトリウムが用いられ得、これらのうちのある種類は、他の成分、特に洗浄性界面活性剤のキャリアーとして有用である。有機洗剤ビルダーとしては、多種多様なポリカルボキシレート化合物が挙げられる。他の有用なビルダーとしては、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレンまたはビニルメチルエーテルとの共重合体、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、およびカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の種々のアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩;並びにメリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸などのポリカルボキシレート、およびこれらの可溶性塩が挙げられる。クエン酸塩ビルダー(例えばクエン酸とその可溶性塩(特にナトリウム塩))は、再生可能資源であることおよび生物分解性といった有用性により、ヘビーデューティーの洗濯用洗剤および自動食器洗浄剤として非常に重要なポリカルボキシレートビルダーである。メチルグリシン二酢酸および/またはその塩(MGDA)もまた、本組成物のビルダーとして用いられ得る。好ましいMGDA化合物は、メチルグリシン二酢酸の塩が挙げられ、適切な塩としては、ジアンモニウム1.0slt、ジカリウム塩、および好ましくはジナトリウム塩が挙げられる。グルタミン二酢酸および/またはその塩(GLDA)もまた本組成物のビルダーとして用いられ得る。好ましいGDLA化合物としては、グルタミン二酢酸の塩が挙げられる。適切な塩としては、ジアンモニウム塩、ジカリウム塩、および好ましくはジナトリウム塩が挙げられる。1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)もまた、本組成物のビルダーとして用いられ得る。
【0039】
香料は、本発明の組成物に添加され得る。洗剤組成物は、腐食防止剤および/または防汚補助剤として有効な薬剤を含んでもよい。
【0040】
本発明で用いられる「洗剤酵素」とは、洗浄性、汚れ除去性、またはその他ジェル状の洗剤組成物において有用な効果を有する任意の酵素をいう。好ましい酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼおよびリパーゼのようなヒドラーゼである。自動食器洗浄に特に好ましいのは、現在市販されているタイプおよび改良タイプを含む、アミラーゼおよび/またはプロテアーゼである。本発明における酵素含有組成物は、約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.005重量%〜約8重量%、最も好ましくは約0.01重量%〜約6重量%の酵素を含み得る。
【0041】
本発明の組成物は、1つ以上の遷移金属選択性金属イオン封鎖剤、「キレート剤」または「キレート化剤」(例えば、鉄、銅および/またはマンガンキレート化剤)を任意に含み得る。本発明に適したキレート化剤は、アミノカルボキシレート、ホスホン酸塩(特にアミノホスホン酸塩)、多官能性置換芳香族キレート化剤、およびこれらの混合物からなる群から選択され得る。本発明で使用される市販のキレート試薬としては、BEQUESTシリーズ、ならびにMonsanto、DuPontおよびNalco社製のキレートが挙げられる。
【0042】
上記洗剤組成物は、低発泡性、洗浄媒体に易溶、および洗浄性能の向上に寄与できる最も効果的なpH値(好ましくは約pH6.5〜約pH12.5、より好ましくは約pH7.0〜約pH12.0、さらに好ましくは約pH8.0〜約pH12.0)であり得ることが好ましい。上記pHを調整する成分は、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム塩、炭酸カリウム塩、セスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム塩、ケイ酸カリウム塩、ホウ酸、重炭酸ナトリウム塩、重炭酸カリウム塩、ホウ酸ナトリウム塩、ホウ酸カリウム塩、およびこれらの混合物から選ばれる。
【0043】
本発明の1つの実施形態は、低分子量の脂肪族または芳香族アルコール、低分子量のアルキレングリコール、低分子量のアルキレングリコールエーテル、低分子量のエステル、低分子量のアルキレンアミン、低分子量のアルカノールアミン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる有機溶剤を含むジェル状の洗剤組成物に関する。
【0044】
上記ジェル状の洗剤組成物においては、任意の補助成分を任意の量で使用し得る。例えば、補助成分は、ナノ粒子、表面が官能化された分子、ポリマー、界面活性剤、共界面活性剤、金属イオン、タンパク質、染料、酸、光学増白剤、着色剤、フィラー塩、屈水性物質(hydrotrope)、防腐剤、酸化防止剤、殺菌剤、防かび剤、カラースペックル(color speckles)、溶解補助剤、キャリアー、およびこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0045】
特定の単純に処方された製品(例えば、漂白添加剤)は、例えば本明細書に記載される酸素系漂白剤および界面活性剤のみを必要とするかもしれないが、きわめて代表的には、洗濯用洗剤、洗濯用洗剤添加剤、硬質表面洗浄剤、合成品のランドリーバーおよび石けんベースのランドリーバー、布地柔軟剤および布地処理剤(液体・固体)などの本発明の洗浄用組成物、およびあらゆる種類の処理物品は、いくつかの補助剤を必要とする。適切な洗濯用または洗浄用補助剤の包括的なリストは、WO99/05242で見つけることができる。
【0046】
通常の洗浄用補助剤としては、先に規定した物質を除いて、ビルダー、酵素、上述されていないポリマー、漂白剤、漂白活性剤、触媒等が挙げられる。本発明に用いられる他の洗浄用補助剤としては、起泡剤、抑泡剤(消泡剤)など、種々の活性な成分または上述した以外の分散剤ポリマー(例えばBASF社製またはRohm&Haas製)のような特殊な物質、カラースペックル、シルバーケア(silvercare)、防汚および/または防腐食剤、染料、フィラー、殺菌剤、アルカリ性源(alkalinity sources)、屈水性物質、酸化防止剤、酵素安定化剤、防臭剤(pro-perfumes)、香料、溶解補助剤、キャリアー、加工助剤、顔料、および液体処方用として、溶媒、キレート化剤、色移り防止剤、分散剤、増白剤、抑泡剤、染料、弾力性付与剤(structure elasticizing agents)、衣料柔軟剤、摩耗防止剤、屈水性物質、加工助剤、および他の布地処理剤、表面処理剤および皮膚ケア剤が挙げられる。このような他の洗浄用補助剤の適切な例および使用レベルは、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812B1および同第6,326,348B1で見つけることができる。
【0047】
使用方法
本発明は、目的とする表面を洗浄するための方法を含む。本明細書において「目的とする表面」としては、衣料、食器、ガラスなどの表面、および他の調理用具の表面、硬質表面、頭髪または皮膚が挙げられる。本明細書において「硬質表面」としては、硬い木、タイル、陶器、プラスチック、革、金属、ガラスなどの代表的な家庭にみられる硬質表面が挙げられる。このような方法は、原液状または洗浄液で希釈された状態の変性多価アルコール化合物を含む組成物を、目的とする表面の少なくとも一部に接触させ、次いで任意に目的とする表面をすすぐ工程を含む。好ましくは、目的とする表面は、前述の任意のすすぎ工程の前に、洗浄工程に供される。本発明の目的のための洗浄方法としては、こすり洗い、拭き洗い、機械的な振動が挙げられるが、これに限定されない。
【0048】
当業者に理解されるように、理想的には、本発明の洗浄用組成物は、ホームケア(硬質表面洗浄用組成物)および/または洗濯用途に適している。
【0049】
上記組成物の溶液pHは、洗浄しようとする表面と最も相性のよい値が、広いpH領域(約5〜約11)から選択される。皮膚や頭髪の洗浄のような人のケアのために好ましいpHは約5〜約8であり、洗濯用洗浄組成物のために好ましいpHは約8〜約10である。上記組成物は、好ましくは、溶液中、約200ppm〜約10,000ppmの濃度で用いられる。水温は好ましくは、約5℃〜約100℃である。
【0050】
洗濯用洗浄組成物としての使用には、上記組成物は好ましくは、溶液中(または洗浄液中)約200ppm〜約10000ppmの濃度で用いられる。水温は好ましくは、約5℃〜約60℃である。布地に対する水の比率は、好ましくは約1:1〜約20:1である。
【0051】
上記方法は、本発明の1つの実施形態による組成物で飽和状態となった不織布基材を接触させる工程を含んでもよい。本明細書において「不織布基材」は、適切な基準重量、カリパス(厚み)、吸収性および強度特性を有する、常法で作製された不織布シートまたはウエブを含有し得る。適切な市販品の不織布基材としては、DuPontによりSONTARA(登録商標)の商品名で販売されているもの、およびJames River社によりPOLYWEB(登録商標)の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0052】
当業者に理解されるように、本発明の洗浄用組成物は、理想的には、液体食器洗浄用組成物における使用に適している。本発明の液体食器洗浄用組成物の使用についての方法は、汚れた食器を、水で希釈された有効量(一般的には、25枚の皿の処理に対して約0.5ml〜約20ml)の本発明の液体食器洗浄用組成物に接触させる工程を含む。
【実施例】
【0053】
<重量平均分子量>
重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定値である。
測定装置:昭和電工製「Shodex SYSTEM−2」
カラム:昭和電工製「Asahipak GF−710 HQ」および「Asahipak GF−310 HQ」をこの順で接続したもの
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=7/3(体積比)
流速:0.5mL/分
温度:40℃
検量線:ポリアクリル酸標準サンプル(創和科学株式会社製)を用いて作成
検出器:RI
【0054】
<固形分測定方法>
重合終了時の共重合体を含む反応液の固形分は、当該反応液を170℃の熱風乾燥機で1時間処理した後に残存した不揮発分を固形分とすることにより算出した。
【0055】
<クレイ分散能>
(1)まず、グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、および1mol/LのNaOH水溶液60mlに、イオン交換水を加え、600gのグリシン緩衝溶液を調製した。
(2)塩化カルシウム2水和物0.817gおよび(1)の調製液60gに、純水を加えて、1000gとし、分散液を調製した。また、固形分換算で0.1%の重合体水溶液を調製した。
(3)約30ccの一般的な実験用試験管に、JIS試験用粉体I、11種(関東ローム、微粒、日本粉体工業技術協会)のクレイ0.3gを入れ、(2)で調製した分散液27gと固形分換算で0.1%の重合体水溶液3gを添加した。このとき、試験液のカルシウム濃度は、炭酸カルシウム換算で500ppmとなっている。
(4)試験管をパラフィルムで密封した後、クレイが全体に分散するように軽く振り、さらに上下に20回振った。この試験管を直射日光に当らないところに6時間静置した後、分散液の上澄みをホールピペットで5ml採取した。
(5)得られた液を、UV分光光度計(島津製作所製、UV−1200)を用いて、波長380nmの条件で1cmのセル吸光度(ABS)を測定し、得られた値を高硬度水でのクレイ分散能とした。
【0056】
<鉄沈着抑制能>
まず、測定サンプルの水溶液を調製した。すなわち、0.05%のサンプル水溶液を150g調製した(A液)。
次に、鉄イオン水溶液を次のように調製した。すなわち、塩化鉄(III)6水和物を2g取り、純水を加えて1000gとした(B液)。
さらに、水酸化ナトリウム水溶液を次のように調製した。すなわち、48%水酸化ナトリウム水溶液3.0gを取り、純水を加えて1000gとした(C液)。
A液、B液、C液を100gずつ、この順に混合し、10分間撹拌した後、2時間静置した。5C濾紙(55mm)およびブフナーロートを用いて吸引濾過した後、1時間、真空デシケータで乾燥させた。分光式色差計(日本電色工業(株)製、SE−2000)によって測定した濾紙のL値に対する百分率で示した値を鉄沈着抑制能とした。
【0057】
<残存マレイン酸量の測定>
高速液体クロマトグラフィー((株)日立製作所製、L−7100型ポンプ、L−7300型カラムオーブン、L−7200型オートサンプラー、L−7400型UV検出器)を用い、以下の条件で測定した。
カラム:昭和電工(株)製、ShodexRSpak DE−413
溶離液:0.1重量%リン酸水溶液
流量:1ml/分
温度:40℃
検出波長:200nm
【0058】
〔実施例1〕ポリマーの実施例1
単量体(a)としてマレイン酸(以下、MAと略す)、単量体(b)としてアクリル酸(以下、AAと略す)、単量体(c)として2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロパンスルホン酸ナトリウム(以下、HAPSと略す)を用い、モル比で(a)/(b)/(c)=45/45/10の共重合体を合成した。
すなわち、温度計、撹拌機、および還流冷却管を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、イオン交換水(以下、純水と記す)334.9g、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHと略す)432.3g、無水MA344.0g、および40%HAPS水溶液425.1gを初期仕込みし、撹拌下、該水溶液を沸点還流状態まで加熱した。次いで、撹拌下、還流状態を維持しながら、80%AA水溶液315.9gを重合開始から120分間にわたって、15%過硫酸ナトリウム(以下、15%NaPSと略す)66.6gを重合開始から120分間にわたって、純水117.0gを重合開始50分後から80分間にわたって、15%NaPS33.3gを重合開始120分後から20分間にわたって、35%過酸化水素水溶液(以下、35%Hと略す)26.8gを重合開始から50分間にわたって、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに、全ての滴下終了後、30分間にわたって、沸点還流状態を維持して、重合を完了した。
重合終了後、48%NaOHでpHおよび濃度調整を行い、pH7.3、固形分濃度46%の共重合体(1)を得た。
重量平均分子量Mwは13000であり、残存MA量は固形分換算で6300ppmであった。
【0059】
〔実施例2〕ポリマーの例の実施例2
単量体(a)としてMA、単量体(b)としてAA、単量体(c)としてHAPSを用い、モル比で(a)/(b)/(c)=45/45/10の共重合体を合成した。
すなわち、温度計、撹拌機、および還流冷却管を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、純水334.9g、48%NaOH432.3g、無水MA344.0g、および40%HAPS水溶液425.1gを初期仕込みし、撹拌下、該水溶液を沸点還流状態まで加熱した。次いで、撹拌下、一定の還流状態を維持しながら、80%AA水溶液315.9gを重合開始から120分間にわたって;15%過硫酸ナトリウム(以下、15%NaPSと略す)66.6gを重合開始から120分間にわたって;純水117.0gを重合開始50分後から80分間にわたって;15%NaPS109.2gを重合開始から140分間にわたって、純水117.0gを重合開始50分後から80分間にわたって;35%H26.8gを重合開始から50分間にわたって、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに、全ての滴下終了後、30分間にわたって、沸点還流状態を維持して、重合を完了した。
重合終了後、48%NaOHでpHおよび濃度調整を行い、pH7.3、固形分濃度46%の共重合体(2)を得た。
重量平均分子量Mwは11000であり、残存MA量は固形分換算で5000ppmであった。
【0060】
〔実施例3〕ポリマーの実施例3
単量体(a)としてMA、単量体(b)としてAA、単量体(c)としてHAPSを用い、モル比で(a)/(b)/(c)=45/45/10の共重合体を合成した。
すなわち、温度計、撹拌機、および還流冷却管を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、純水334.9g、48%NaOH432.3g、無水MA344.0g、および40%HAPS水溶液425.1gを初期仕込みし、撹拌下、該水溶液を沸点還流状態まで加熱した。次いで、撹拌下、還流状態を維持しながら、80%AA水溶液315.9gを重合開始から120分間にわたって、15%NaPS66.6gを重合開始10分後から110分間にわたって;純水117.0gを重合開始50分後から80分間にわたって;15%NaPS33.3gを重合開始120分後から20分間にわたって;35%H26.8gを重合開始から50分間にわたって、それぞれ別々の滴下ノズルから連続的に均一速度で滴下した。さらに、全ての滴下終了後、30分間にわたって、沸点還流状態を維持して、重合を完了した。
重合終了後、48%NaOHでpHおよび濃度調整を行い、pH7.3、固形分濃度46%の共重合体(3)を得た。
重量平均分子量Mwは13000であり、残存MA量は固形分換算で6700pmであった。
【0061】
組成物の処方
[実施例4]粒状の洗濯用洗剤
【表1】

【0062】
[実施例5]粒状の洗濯用洗剤
【表2】

【0063】
スプレー乾燥パウダーの調製
上述の組成を有するスラリーは、25.89%の含水量で調製される。上記水性スラリーは72℃まで加熱され、高圧(5.5×10Nm−2〜6.0×10Nm−2)下で、270℃〜300℃の空気入り口温度の向流式噴霧乾燥塔に送り込まれる上記スラリーは霧化され、霧化したスラリーは乾燥させられて固体混合物を生成し、当該固体混合物は冷却され、粗大な物質(>1.8mm)はふるいで分けられて除去され、流動性のスプレー乾燥パウダーを形成する。微細な物質(<0.15mm)は、噴霧乾燥塔の排気管で浄化され、排ガスは塔後(post tower)汚染物システムに回収される。上記スプレー乾燥パウダーは、1.0重量%の水分を含有し、427g/lの容積密度、およびスプレー乾燥パウダーの95.2重量%の粒子径が150〜710μmであるような粒径分布を有する。スプレー乾燥パウダーの組成は以下のとおりである。
【0064】
【表3】

【0065】
アニオン性界面活性剤粒子1の調製
アニオン性の洗浄性界面活性剤粒子1は、Tilt−A−Pin、次いでTilt−A−Plowミキサー(いずれもProcessall製)を用いて520gのバッチ基準で作製される。供給された硫酸ナトリウム108gを、炭酸ナトリウム244gとともに、Tilt−A−Pinミキサーに加える。70%活性C25Sペースト(C12/15アルコールおよびエチレンオキサイドを元にしたエトキシ硫酸ナトリウム)をTilt−A−Pinミキサーに加える。その後、上記成分を1200rpmで10秒間、混合する。その後、得られたパウダーを、Tilt−A−Plowミキサーに移し、200rpmで2分間、混合し、粒子を形成させる。次いで、当該粒子を粒子の平衡相対湿度が15%未満になるまで、2500l/min、120℃の流動床式ドライヤーで乾燥させる。さらに、当該乾燥粒子をふるいにかけ、1180μm通過のフラクションを、250μmで保持した。上記アニオン性の洗浄性界面活性剤粒子1の組成を以下に示す:
25.0%w/w C25S エトキシ硫酸ナトリウム
18.0%w/w 硫酸ナトリウム
57.0%w/w 炭酸ナトリウム
【0066】
カチオン性の洗浄性界面活性剤粒子1の調製
カチオン性界面活性剤粒子1は、Morton FM−50 Loedigeミキサーにて、14.6kgのバッチ基準で作製される。微粉化された硫酸ナトリウム4.5kgおよび微粉化された炭酸ナトリウム4.5kgをMorton FM−50 Loedigeミキサーで予め混合する。40%活性モノ−C12−14アルキルモノ−ヒドロキシエチルジメチル4級アンモニウムクロライド(カチオン性界面活性剤)水溶液4.6kgを、主動力およびチョッパーを駆動させながらMorton FM−50 Loedigeミキサーに加える。混合の約2分後に、微粉化された硫酸ナトリウムと微粉化された炭酸ナトリウムとの重量比1:1の混合物1.0kgを上記ミキサーに加える。得られた塊を回収し、2500l/min、100〜140℃の流動床式ドライヤーを用いて、30分間、乾燥させる。得られたパウダーをふるいにかけて1400μm通過のフラクションを、カチオン性界面活性剤粒子1として回収した。カチオン性界面活性剤粒子1の組成を以下に示す。
15%w/w モノ−C12−14アルキルモノ−ヒドロキシエチルジメチル4級アンモニウムクロライド
40.76%w/w 炭酸ナトリウム
40.76%w/w 硫酸ナトリウム
3.48%w/w 水分およびその他
【0067】
粒状の洗濯用洗剤組成物の調製
実施例6のスプレー乾燥パウダー10.84kg、アニオン性の洗浄性界面活性剤粒子1を4.76kg、カチオン性の洗浄性界面活性剤粒子1を1.57kgおよび他の個々に準備された乾燥添加剤7.83kg(総量)を、24rpmで駆動している直径1mのコンクリートバッチミキサーに仕込んだ。すべての材料をミキサーに仕込んだ後、混合物を5分間撹拌し、粒状の洗濯用洗剤組成物を形成させた。粒状の洗濯用洗剤組成物の処方は、以下に記載する。
【0068】
【表4】

【0069】
[実施例6]液体洗濯用洗剤
【表5】

【表6】


【表7】

【0070】
[実施例7]液体手洗い食器洗浄用
【表8】

【0071】
[実施例8]自動食器洗浄用洗剤
【表9】

【0072】
[実施例9]自動食器洗浄用ユニット形態製品
【表10】

【0073】
実施例1〜4の組成物は、2つのコンパーメントが層をなしたPVAの長方形状の袋へ入れられる。上記2つのコンパーメントを有する袋は、Chris−Craft Industrial Productsにより提供されるMonosol M8630フィルムから作られる。粉体組成物17.2gおよび液体組成物4gを、袋の2つの異なるコンパーメントへ入れる。上記袋の2kgの負荷の下での形状は以下のとおりである:長さ3.7cm、幅3.4cm、高さ1.5cm。このように、縦/横のアスペクト比は、1.5:3.2または1:2.47である。上記袋は、2つのエンドレス表面プロセス(すなわち、ここに記載されるように両方の表面が連続的に水平に直線的に動くこと)を用いて製造される。このプロセスによれば、袋の第1のウエブは、第1のエンドレス表面に置かれた開いた袋の第1の動いているウエブを形成することおよび充填すること、ならびに同時に動いている充填され、密封された袋の第2のウエブとともに、開いた袋の第1のウエブを閉じることにより得られる。上記袋は、Bosch Siemens 6032食器洗浄機の25mlディスペンサーコンパートメントに入れられ、当該ディスペンサーは閉じられ、食器洗浄機は通常55℃のプログラムで動作する。
【0074】
特に明記しない限り、すべての成分または組成物のレベルは、当該成分または組成物の活性なレベルに関するものであり、例えば市販品材料に存在しうる残留溶媒または副生物などの不純物は排除されている。
【0075】
すべてのパーセント表示および比率は、特に明記しない限り重量によって計算される。すべてのパーセント表示および比率は、特に明記しない限り組成物の総計を基準として計算される。
【0076】
本明細書を通して示されるすべての最大値の制限は、より小さい値の制限がここに明記されていたかのごとく、すべてのより小さい値の制限を含むことを理解するべきである。本明細書を通して示されるすべての最小値の制限は、より大きい値の制限がここに明記されていたかのごとく、すべてのより大きい値の制限を含む。本明細書を通して示されるすべての数値範囲は、より狭い数値範囲がここに明記されていたかのごとく、広い数値範囲内に入るようなすべてのより狭い数値範囲を含む。
【0077】
ここに開示される大きさおよび数値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解してはいけない。それよりも、特に明記しない限り、そのような各大きさは、それぞれ記載された数値およびその数値の周辺の機能的に等価な範囲を意味することを目的とする。例えば、「40mm」として開示された特性は、「約40mm」を意味することを目的とする。
【0078】
上記発明の詳細な説明において引用されるすべての文書は、関連ある箇所において、参照として本明細書に引用される;あらゆる文書の引用箇所は、本発明に対する先行技術と解釈されてはいけない。
【0079】
本発明の特定の具体例が例示および記載されているが、それが、発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および改良がなされ得ることは当業者に明らかである。したがって、本発明の範囲内であるということは、添付の請求項においてすべてのそのような変更および改良を網羅することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記i)およびii)を含む共重合体組成物を含む、洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
i)重量平均分子量が約10,000〜約50,000であり、下記(a)〜(c)を含む、共重合体、
a)モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)由来の構造単位を30〜60mol%;
b)モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)由来の構造単位;
c)エステル結合もアミド結合も有さないスルホン酸(塩)基含有単量体由来の構造単位;
および
ii)12,000ppm以下の残存モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)単量体
【請求項2】
前記洗濯用洗剤または洗浄用組成物が、液体洗濯用洗剤組成物、固体洗濯用洗剤組成物、硬質表面洗浄用組成物、液体手洗い食器洗浄用組成物、固体自動食器洗浄用組成物、液体自動食器洗浄用組成物および錠剤/ユニット(tab/unit)形態の自動食器洗浄用組成物からなる群から選ばれる、請求項1に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項3】
前記洗剤または洗浄用組成物が、該洗剤または洗浄用組成物に対して、約1重量%〜約20重量%の共重合体組成物を含む、請求項1に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項4】
前記エステル結合もアミド結合も有さないスルホン酸(塩)基含有単量体が、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)単量体である、請求項1に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項5】
前記洗剤または洗浄用組成物が、さらに界面活性剤系を含む、請求項1に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤系が、炭素数10〜15のアルキルベンゼンスルホン酸塩を含む、請求項5に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤系が、炭素数8〜18の直鎖アルキルスルホン酸塩系界面活性剤を含む、請求項5に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤系が、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、1つ以上の共界面活性剤をさらに含む、請求項5に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項9】
前記洗剤または組成物が、酵素、アルカリビルダー、キレートビルダー、漂白剤、漂白助剤、香料、消泡剤、抗菌剤、腐食防止剤、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、洗浄補助添加物をさらに含む、請求項5に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項10】
ノニオン性界面活性剤およびキレートビルダーをさらに含む、請求項1に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項11】
前記キレートビルダーが、メチルグリシンジ酢酸、メチルグリシンジ酢酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項10に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項12】
1つ以上の酵素をさらに含む、請求項10に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項13】
香料をさらに含む、請求項10に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項14】
腐食防止剤をさらに含む、請求項10に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物。
【請求項15】
不織布基材と請求項1に記載の洗濯用洗剤または洗浄用組成物を含む、洗浄用具。

【公表番号】特表2011−503285(P2011−503285A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532759(P2010−532759)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/JP2008/070367
【国際公開番号】WO2009/060966
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】