説明

モノシクロペンタジエニル錯体

本発明は、シクロペンタジエニル基が特定の架橋基を介して結合した少なくとも1個の非置換、置換、又は縮合ヘテロ芳香族環を有するモノシクロペンタジエニル錯体、及び少なくとも1種のこのようなモノシクロペンタジエニル錯体を含む触媒組成物、この触媒組成物をオレフィンの重合又は共重合に使用する方法、及びこの触媒組成物の存在下にオレフィンを重合又は共重合することによりポリオレフィンを製造する方法、さらにこのようにして得られたポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロペンタジエニル基が特定の架橋基を介して結合した少なくとも1個の非置換の、又は置換された、又は縮合されたヘテロ芳香族環を有するモノシクロペンタジエニル錯体、及び少なくとも1種の上記モノシクロペンタジエニル錯体を含む触媒組成物、さらにこの触媒組成物の製造方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、上記触媒組成物をオレフィンの重合又は共重合に使用する方法、及び上記触媒組成物の存在下にオレフィンを重合又は共重合することによりポリオレフィンを製造する方法、さらにこのようにして得られたポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
α−オレフィンの重合に使用される多くの触媒は、固定された酸化クロムを基礎とするものである(例えば、Kirk-Othmerによる“Encyclopedia of Chemical Technology", 1981, Vol. 16, p.402”(非特許文献1)参照)。これらを用いることにより、一般に高分子量のエチレン単独重合体又は共重合体が得られるが、これらは水素に比較的鈍感で、簡単な操作で分子量を制御することはできない。一方、無機酸化物担体に施されたビス(シクロペンタジエニル)クロム(US3709853号公報(特許文献1))、ビス(インデニル)クロム又はビス(フルオレニル)クロム(US4015059号公報(特許文献2))は、ポリエチレンの分子量を水素添加の簡単な操作で制御することができる。
【0004】
チーグラー−ナッタ組成物の場合のように、単一の活性中心を有する、即ちシングルサイト触媒に該当するクロムを基礎とする触媒組成物の探索も行われている。触媒の活性挙動及び共重合挙動、及びこの触媒により得られるポリマーの性質は、配位子骨格を目的に応じて変更することにより簡単に変えることができるはずである。
【0005】
そのため、EP0742046号公報(特許文献3)には、第6族遷移元素の窮屈な形状の錯体、その特定の製造方法(金属テトラアミドを介しての製造方法)、及びこのような触媒の存在下でのポリオレフィンの製造方法を請求の範囲に記載している。重合の例は示されていない。配位子骨格はシクロペンタジエニル基に結合しているアニオン性ドナーを含んでいる。
【0006】
K.H. Theopoldらによる“Organomet 1996, 15, 5284-5286”(非特許文献2)には、類似のオレフィンの重合用の{[(tert−ブチルアミド)ジメチルシリル](テトラメチルシクロペンタジエニル)}クロムクロリド錯体が記載されている。この錯体は選択的にエチレンを重合する。しかしながら、ヘキセン等のコモノマーは導入されず、またプロペンは重合することができない。
【0007】
この問題点は、構造的に類似の化合物の使用により克服され得る。例えば、DE19710615号公報(特許文献4)には、ドナー配位子で置換されたモノシクロペンタジエニルクロム化合物、及びこの化合物により例えばプロペンを重合することができる旨記載されている。このドナーは第15族から得られ、非電荷である。ドナーは、(ZR2nフラグメント{但し、Rは水素、アルキル又はアリールを、Zは第14族の原子を表し、n≧1である}を介してシクロペンタジエニル環に結合している。DE19630580号公報(特許文献5)には、上記Zが炭素で、アミンドナーと組合せられたものが、特に特許請求の範囲に記載されている。
【0008】
WO96/13529号パンフレット(特許文献6)には、多座配位のモノアニオン性配位子を有する還元された元素周期律表第4〜6族の金属の遷移金属錯体が記載されている。これらは、ドナー官能基含有シクロペンタジエニル配位子を包含する。実施例はチタン化合物に限定されている。
【0009】
ドナー基がシクロペンタジエニル基に強固に結合している配位子もある。このような配位子及びその金属錯体は、例えば、P. Jutziと U. Siemelingによる“J. Orgmet. Chem. (1995), 500, 175-185, Section 3”(非特許文献3)に纏められている。“Chem. Ber. (1996), 129, 459-463”(非特許文献4)において、M. Enders らは、8−キノリル−置換シクロペンタジエニル配位子、及びそのチタントリクロリド及びジルコニウムトリクロリド錯体を開示している。2−ピコリルシクロペンタジエニルチタントリクロリドとMAOとの組合せが、M. Blais, J. Chien及びM. Rauschによる“Organomet (1988), 17 (17) 3775-3783”(非特許文献4)において、オレフィンの重合のために使用されている。
【0010】
WO01/92346号パンフレット(特許文献7)には、元素周期律表の第4〜6族の元素のシクロペンタジエニル錯体が開示されており、この錯体では、ジヒドロカルビル−Y基(但し、Yは、元素周期律表第14族の元素であり、特別なルイス塩基を有するものである)がシクロペンタジエニル基に結合している。
【0011】
【特許文献1】US3709853号公報
【特許文献2】US4015059号公報
【特許文献3】EP0742046号公報
【特許文献4】DE19710615号公報
【特許文献5】DE19630580号公報
【特許文献6】WO96/13529号パンフレット
【特許文献7】WO01/92346号パンフレット
【非特許文献1】Encyclopedia of Chemical Technology", 1981, Vol. 16, p.402
【非特許文献2】Organomet (1996), 15, 5284-5286,
【非特許文献3】Chem. Ber. (1996), 129, 459-463,
【非特許文献4】Organomet (1988), 17 (17) 3775-3783
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、オレフィンの重合に好適な、架橋ドナーを有するシクロペンタジエニル配位子を基礎とする別の遷移金属錯体を見いだすことにある。本発明の別の目的は、このような錯体を製造する有利な方法を見いだすことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、上記目的が、式(I):
(Cp)(−Z−A)mM (I)
{但し、Cpがシクロペンタジエニル基を表し、
Zが、下記式:
【0014】
【化1】

【0015】
(但し、L1Bが、それぞれ相互に独立して炭素又はケイ素、好ましくは炭素を表し、
1Bが、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R1Bがハロゲンで置換されていても良く、R1BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
2Bが、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、又はアルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。)で表される、AとCpとの間の架橋基を表し、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
Mが、酸化状態が3価のチタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンから選択される金属であり、そして
mが、1、2又は3である。}で表される構造的特徴を含むモノシクロペンタジエニル錯体により達成されることを見いだした。
【0016】
本発明者等は、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体を含む触媒組成物、このモノシクロペンタジエニル錯体又はその触媒組成物をオレフィンの重合又は共重合に使用する方法、及びこのモノシクロペンタジエニル錯体又は触媒組成物の存在下に、オレフィンを重合又は共重合することによりポリオレフィンを製造する方法も見いだした。さらにこれらから得られるポリマーも見いだした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、(Cp)(−Z−A)mM(I)[記号は前記と同義である]で表される構造要素を含んでいる。従って、他の配位子が金属原子Mに結合することができる。他の配位子の数は、例えば金属原子の酸化状態に依存している。しかしながら、使用可能な他の配位子が別のシクロペンタジエニル基を含むことはない。好適な配位子には、例えば、Xについて記載されるようなモノアニオン性及びジアニオン性配位子が含まれる。さらに、アミン、エーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、スルフィド又はホスフィン等のルイス塩基を金属中心Mに結合させることもできる。
【0018】
Cpは、所望の置換パターンを有していても良く、及び/又は1個以上の芳香族環、脂肪族環、ヘテロ環又はヘテロ芳香族環と縮合していても良いシクロペンタジエニル基であり、且つ1、2又は3個の置換基、好ましくは1個の置換基は基−Z−Aである。基本的なシクロペンタジエニル骨格自体は、6個のπ電子を有するC5環であり、この環では、炭素原子の1個が窒素又はリン、好ましくはリンで置換されていても良い。ヘテロ原子で置換されていないC5環を使用するのが好ましい。N、P、O及びSから選ばれる少なくとも1個の原子を含むヘテロ芳香族環又は芳香族環を、例えばこの基本シクロペンタジエニル骨格に縮合させることができる。ここで、縮合することは、へテロ環及び基本シクロペンタジエニル骨格が、2個の原子、好ましくは2個の炭素原子を共有することを意味する。下記式(II)で表されるシクロペンタジエニル基Cpが好ましい。
【0019】
【化2】

【0020】
上式において、E1A〜E5Aが、それぞれ炭素を表し、あるいは1個以下のE1A〜E5Aがリンを表し、
1A〜R5Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、SiR6A3、又はBR6A2を表し、当該有機基R1A〜R5Aが、ハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R5Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R5Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を有するヘテロ環を形成し、且つ1、2又は3個の、好ましくは1個の置換基R1A〜R5Aが−Z−A基であり、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。
【0021】
好ましいシクロペンタジエニル基Cpでは、全てのE1A〜E5Aが炭素である。
【0022】
2個のビシナル基R1A〜R5Aが、これらと結合しているE1A〜E5Aと共に、窒素、リン、酸素及びイオウから選ばれる少なくとも1個の原子、特に好ましくは窒素及び/又はイオウを含むヘテロ環、好ましくはヘテロ芳香族環を形成していても良く、且つヘテロ環又はヘテロ芳香族環に存在するE1A〜E5Aが炭素であることが好ましい。ヘテロ環及びヘテロ芳香族環は5員又は6員の環であるのが好ましい。環の原子として炭素の他に1〜4個の窒素原子及び/又は1個のイオウ又は酸素原子を有していても良い5員のヘテロ環の例として、1,2−ジヒドロフラン、フラン、チオフェン、ピロール、イソオキサゾール、3−イソチアゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール及び1,2,4−トリアゾールを挙げることができる。1〜4個の窒素原子及び/又は1個のリン原子を有していても良い6員のヘテロアリール基の例として、ピリジン、ホスファベンゼン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン及び1,2,3−トリアジンを挙げることができる。5員又は6員のヘテロ環は、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜10個の炭素原子を有するアルキルアリール、トリアルキルシリル、又はハロゲン(例、フッ素、塩素又は臭素)、ジアルキルアミド、アルキルアリールアミド、ジアリールアミド、アルコキシ、又はアリールオキシで置換されていても良く、或いは1個以上の芳香族環又はヘテロ芳香族環と縮合されていても良い。ベンゾ縮合5員環のヘテロアリール基の例としては、インドール、インダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール及びベンゾイミダゾールを挙げることができる。ベンゾ縮合6員環のヘテロアリール基の例としては、クロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,10−フェナントロリン及びキノリジンを挙げることができる。ヘテロ環の命名及び番号の付け方は、“Lettau, Chemie der Heterocyclen, 1st edition, VEB, Weinheim 1979”を利用した。ヘテロ環/ヘテロ芳香族環は、ヘテロ環/ヘテロ芳香族環の炭素−炭素二重結合を介して基本のシクロペンタジエニル骨格と縮合しているのが好ましい。1個のヘテロ原子を有するヘテロ環/ヘテロ芳香族環は、2,3−又はb−縮合であるのが好ましい。
【0023】
縮合ヘテロ環を有するシクロペンタジエニル基Cpの例としては、チアペンタレン、2−メチルチアペンタレン、2−エチルチアペンタレン、2−イソプロピルチアペンタレン、2−n−ブチルチアペンタレン、2−tert−ブチルチアペンタレン、2−トリメチルシリルチアペンタレン、2−フェニルチアペンタレン、2−ナフチルチアペンタレン、3−メチルチアペンタレン、4−フェニル−2,6−ジメチル−1−チアペンタレン、4−フェニル−2,6−ジエチル−1−チアペンタレン、4−フェニル−2,6−ジイソプロピル−1−チアペンタレン、4−フェニル−2,6−ジ−n−ブチル−1−チアペンタレン、4−フェニル−2,6−ジトリメチルシリル−1−チアペンタレン、アザペンタレン、2−メチルアザペンタレン、2−エチルアザペンタレン、2−イソプロピルアザペンタレン、2−n−ブチルアザペンタレン、2−トリメチルシリルアザペンタレン、2−フェニルアザペンタレン、2−ナフチルアザペンタレン、1−フェニル−2,5−ジメチル−1−アザペンタレン、1−フェニル−2,5−ジエチル−1−アザペンタレン、1−フェニル−2,5−ジ−n−ブチル−1−アザペンタレン、1−フェニル−2,5−ジ−tert−ブチル−1−アザペンタレン、1−フェニル−2,5−ジトリメチルシリル−1−アザペンタレン、1−tert−ブチル−2,5−ジメチル−1−アザペンタレン、オキサペンタレン、ホスファペンタレン、1−フェニル−2,5−ジメチル−1−ホスファペンタレン、1−フェニル−2,5−ジエチル−1−ホスファペンタレン、1−フェニル−2,5−ジ−n−ブチル−1−ホスファペンタレン、1−フェニル−2,5−ジ−tert−ブチル−1−ホスファペンタレン、1−フェニル−2,5−ジトリメチルシリル−1−ホスファペンタレン、1−メチル−2,5−ジメチル−1−ホスファペンタレン、1−tert−ブチル−2,5−ジメチル−1−ホスファペンタレン、7−シクロペンタ[1,2]チエノ[3,4]−シクロペンタジエン及び7−シクロペンタ[1,2]ピロロ[3,4]シクロペンタジエンを挙げることができる。
【0024】
さらに好ましいシクロペンタジエニル基Cpでは、R1A〜R5Aの4個、即ち2対のビシナル基が、2個のヘテロ環、特にヘテロ芳香族環を形成している。ヘテロ環は、上で詳細に述べたものと同じである。2個の縮合環を有するシクロペンタジエニルCp基の例は、7−シクロペンタジチオフェン、7−シクロペンタジピロール及び7−シクロペンタジホスフォールである。
【0025】
縮合ヘテロ環を有するこのようなシクロペンタジエニル基の合成は、例えば上述のWO98/22486号パンフレットに記載されている。“metalorganic catalysts for synthesis and polymerization, Spring Verlag 1999, p.150ff”において、Ewenらがこれらのシクロペンタジエニル基(環)の別の合成を記載している。
【0026】
置換基R1A〜R5Aの変更は、同様に、金属錯体の重合挙動に影響を及ぼし得る。重合するべきオレフィンの金属原子Mに接近する能力は、置換基の数及び種類により影響され得る。これにより、種々のモノマー、特に嵩高いモノマーに対して、触媒の活性度及び選択性を変性することが可能となる。置換基は、成長ポリマー鎖の停止反応速度に対しても影響を与えることができるので、形成されるポリマーの分子量もこの方法で変更することもできる。このため、置換基R1A〜R5Aの化学構造は、所望の結果を達成し、目的に合わせて調製された触媒組成物が得られるように、広範囲に変更することができる。好適な炭素有機置換基R1A〜R5Aの例は以下の通りである。即ち、直鎖でも分岐でも良いC1〜C20アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル又はn−ドデシル)、置換基としてC6〜C10アリールを有していても良い5〜7員のシクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロノニル又はシクロドデシル)、直鎖でも、環式でも、分岐でも良く、2重結合が内部又は末端に存在し得るC2〜C20アルケニル(例、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル又はシクロオクタジエニル)、置換基としてアルキル基を有していても良いC6〜C20アリール(例、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル若しくは2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−トリメチルフェニル、2,3,5−トリメチルフェニル、2,3,6−トリメチルフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル若しくは3,4,5−トリメチルフェニル)、及び置換基としてアルキル基を有しても良いアリールアルキル(例、ベンジル、o−メチルベンジル、m−メチルベンジル、p−メチルベンジル、1−エチルフェニル又は2−エチルフェニル)であり、且つ2個の基R1A〜R5Aが結合して5又は6員の環を形成していても良く、有機基R1A〜R5Aがハロゲン(例、フッ素、塩素又は臭素)で置換されていても良い。さらに、R1A〜R5Aは、アミノ又はアルコキシ、例えばジメチルアミノ、N−ピロリジニル、ピコリニル、メトキシ、エトキシ又はイソプロポキシでもあり得る。有機ケイ素置換基SiR6A3では、使用可能基なR6Aは、上記R1A〜R5Aに対して詳細に記載されたものと同じであり、2個の基R6Aが連結して5又は6員の環を形成することが可能であり、従って好適な置換基SiR6A3の例はトリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルである。これらのSiR6A3は、シクロペンタジエニル骨格に酸素又は窒素原子を介して結合することもでき、例えばトリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、ブチルジメチルシリルオキシ、トリブチルシリルオキシ又はトリ−tert−ブチルシリルオキシである。好ましい基R1A〜R5Aとしては、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、オルト−ジアルキル−又はオルト−ジクロロ−置換フェニル、トリアルキル−又はトリクロロ−置換フェニル、ナフチル、ビフェニル及びアントラニルを挙げることができる。有機ケイ素置換基としては、アルキル基の炭素原子数が1〜10個のトリアルキルシリル基、特にトリメチルシリルが好ましい。
【0027】
このようなシクロペンタジエニル基(好ましくは1位に存在する基−Z−Aがない基)の例としては、3−メチルシクロペンタジエニル、3−エチルシクロペンタジエニル、3−イソプロピルシクロペンタジエニル、3−tert−ブチルシクロペンタジエニル、ジアルキルシクロペンタジエニル(例、テトラヒドロインデニル、2,4−ジメチルシクロペンタジエニル又は3−メチル−5−tert−ブチルシクロペンタジエニル)、トリアルキルシクロペンタジエニル(例、2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)、及びテトラアルキルシクロペンタジエニル(例、2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)を挙げることができる。
【0028】
2個のビシナル基R1A〜R5Aが環状縮合基を形成する、即ち、基本のE1A〜E5A骨格と共に、好ましくはC5−シクロペンタジエニル骨格と共に、例えば非置換又は置換のインデニル、ベンズインデニル、フェナントレニル、フルオレニル又はテトラヒドロインデニル基(例、インデニル、2−メチルインデニル、2−エチルインデニル、2−イソプロピルインデニル、3−メチルインデニル、ベンズインデニル又は2−メチルベンズインデニル)を形成する化合物が好ましい。
【0029】
縮合環基は、さらにC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3又はSiR6A3を有しても良く、例えば4−メチルインデニル、4−エチルインデニル、4−イソプロピルインデニル、5−メチルインデニル、4−フェニルインデニル、5−メチル−4−フェニルインデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル又は4−ナフチルインデニルである。
【0030】
−Z−Aを形成しない好ましい置換基R1A〜R5Aは、上述の炭素有機置換基、及び特に好ましい形態では、縮合環基を形成する炭素有機置換基である。
【0031】
mは、1、2又は3であり得る。即ち、1、2又は3個の基R1A〜R5Aが−Z−Aである。2又は3個の−Z−A基が存在する場合には、これらは同一であることも異なることもあり得る。基R1A〜R5Aの1個のみが−Z−Aである(m=1)のが好ましい。
【0032】
メタロセンのように、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、キラルであり得る。従って、基本シクロペンタジエニル骨格上の置換基R1A〜R5Aの1個が1個以上のキラル中心を有することができ、あるいは、シクロペンタジエニル基Cp自体がエナンチオトピックでありうるため、シクロペンタジエニル基Cpが金属錯体Mに結合したときにのみキラリティーが誘導される(シクロペンタジエニル化合物のキラリティーに関する形式。R. Halterman, Chem. Rev. 92, (1992), 965-994参照)。
【0033】
Zは、CR1B2Bであることが好ましい。
【0034】
架橋基Zにおける炭素有機置換基R1B、R2Bは、例えば下記のものが使用可能である。即ち、直鎖でも分岐でも良いC2〜C20アルキル(例、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル又はn−ドデシル)、置換基としてC6〜C10アリールを有していても良い5〜7員のシクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロノニル又はシクロドデシル)、直鎖でも、環式でも分岐でも良く、2重結合が内部又は末端に存在し得るC2〜C20アルケニル(例、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル又はシクロオクタジエニル)、置換基としてアルキル基を有していても良いC6〜C20アリール(例、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル若しくは2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−トリメチルフェニル、2,3,5−トリメチルフェニル、2,3,6−トリメチルフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル若しくは3,4,5−トリメチルフェニル)、又は置換基としてアルキル基を有しても良いアリールアルキル(例、ベンジル、o−メチルベンジル、m−メチルベンジル、p−メチルベンジル、1−エチルフェニル又は2−エチルフェニル)であり、さらに、R2Bがメチル又は水素であってもよく、有機基R1B及びR2Bがハロゲン(例、フッ素、塩素又は臭素)又はアルキル若しくはアリールで置換されていても良い。
【0035】
有機ケイ素置換基SiR3B3のR3Bとしては、R2Bについて上で詳細に記述した基と同じ基が使用可能であり、2個の基R3Bはまた結合して5又は6員の環を形成しも良く、このため好適な置換基SiR3B3の例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル及びジメチルフェニルシリルが挙げられる。
【0036】
基R1B及びR2Bは、同一でも異なっていても良い。L1Bがキラル中心になるように、R1B及びR2Bが異なっているのが好ましい。
【0037】
好ましい基R1Bは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、ベンジル、フェニル、オルト−ジアルキル−又はオルト−ジクロロ−置換フェニル、トリアルキル−又はトリクロロ−置換フェニル、ナフチル、ビフェニル及びアントラニルである。一方、R2Bは水素又はメチルであり、特に水素である。Zは、特に−CH(C65)−が好ましい。
【0038】
別の好ましい形態では、R1Bはオレフィン性不飽和C2〜C20基であり、この場合、2重結合は末端ビニル基が好ましく、特にω−アルケニル基(ω−アルケニル基は末端ビニルを有するアルケニル基)である。この形態の好ましい基R1Bは、4−ペンテン−1−イル、5−ヘキセン−1−イル、6−ヘプテン−1−イル及び7−オクテン−1−イルである。これらの種類の基は、通常、エチレン共重合反応において、各エチレン単独重合におけるエチレン単独重合体の分子量より大きい分子量の共重合体に導く。
【0039】
シクロペンタジエニル基Cpとヘテロ芳香族環Aとの間の架橋基Zは、有機の、好ましくは2価の、立体的に置換された炭素単位又はケイ素単位を含む架橋基である。Zは、基本のシクロペンタジエニル骨格に結合するか、或いはシクロペンタジエニル基の縮合環又はヘテロ環に結合することができる。Zは基本のシクロペンタジエニル骨格に結合しているのが好ましい。触媒の活性度は、シクロペンタジエニル基とAとの間の架橋の長さの変化によって影響され得る。Zは、縮合したヘテロ環又は縮合した芳香族環、及び基本のシクロペンタジエニル骨格の両方に結合することが特に好ましい。ヘテロ環又は芳香族環は、シクロペンタジエニル骨格の2、3位で縮合した場合、Zはシクロペンタジエニル骨格の1又は4位に位置することが好ましい。
【0040】
Aは、環炭素に加えて、酸素、イオウ、窒素及びリンから選択されるヘテロ原子を含み得る、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環である。環の原子として、炭素原子に加えて、1〜4個の窒素原子、又は1〜3個の窒素原子及び/又は1個のイオウ原子又は酸素原子を含む5員のヘテロアリール基の例としては、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、3−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾル−3−イル、1,2,4−オキサジアゾル−5−イル、1,3,4−オキサジアゾル−2−イル及び1,2,4−トリアゾル−3−イルを挙げることができる。1〜4個の窒素原子及び/又は1個のリン原子を有していても良い6員のヘテロアリール基の例として、2−ピリジニル、2−ホスファベンゾリル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル、1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イル、1,2,4−トリアジン−6−イルを挙げることができる。5員または6員のヘテロアリール基はまた、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜10個の炭素原子を有するアルキルアリール、トリアルキルシリル又はハロゲン(例、フッ素、塩素又は臭素)で置換されていても良く、或いは1個以上の芳香族環又はヘテロ芳香族環と縮合されていても良い。ベンゾ−縮合5員ヘテロアリール基の例としては、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニル、7−クマロニル、2−チアナフテニル、7−チアナフテニル、3−インダゾリル、7−インダゾリル、2−ベンズイミダゾリル及び7−ベンズイミダゾリルを挙げることができる。ベンゾ−縮合6員ヘテロアリール基の例としては、2−キノリル、8−キノリル、3−シンノリル、8−シンノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、8−キナゾリル、5−キノキサリル、4−アクリジル、1−フェナントリジル、及び1−フェナジルを挙げることができる。
【0041】
Aは、分子内又は分子間で金属Mに結合することができる。Aは、Mに分子間で結合するのが好ましい。Aがシクロペンタジエニル環に結合している化合物の合成は、例えば、M.Endersらにより“Chem. Ber. (1996), 129, 459-463”に記載された方法、P. Jutzi及びU. Siemelingにより“J. Orgmet. Chem. (1995), 500, 175-185”に記載された方法と類似の方法により行うことができる。
【0042】
これらのヘテロ芳香族環の中で、Zが結合するヘテロ芳香族環部分において1、2、3、4又は5個の窒素原子を有する、非置換の、置換された及び/又は縮合された6員のヘテロ芳香族環が特に好ましく、中でも2−ピリジルまたは2−キノリルが好ましい。このため、Aは下記式(III)で表される基であるのが好ましい。
【0043】
【化3】

【0044】
上式において、E1C〜E4Cが、それぞれ、炭素または窒素を表し、
1C〜R4Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR5C3を表し、当該有機基R1C〜R4Cが、ハロゲン又は窒素で置換されていても良く、或いはさらにC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール又はSiR5C3で置換されていても良く、2個のビシナル基R1C〜R4C又はR1CとZとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
5Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R5Cが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
pが、E1C〜E4Cが窒素の場合は0を表し、E1C〜E4Cが炭素の場合は1を表す。
【0045】
特に、0個又は1個のE1C〜E4Cが窒素であり、他の基は炭素であるのが好ましい。Aは、2−ピリジル、6−メチル−2−ピリジル、4−メチル−2−ピリジル、5−メチル−2−ピリジル、5−エチル−2−ピリジル、4,6−ジメチル−2−ピリジル、3−ピリダジル、4−ピリミジル、6−メチル−4−ピリミジル、2−ピラジニル、6−メチル−2−ピラジニル、5−メチル−2−ピラジニル、3−メチル−2−ピラジニル、3−エチル−2−ピラジニル、3,5,6−トリメチル−2−ピラジニル、2−キノリル、4−メチル−2−キノリル、6−メチル−2−キノリル、7−メチル−2−キノリル、2−キノキサリルまたは3−メチル−2−キノキサリルが特に好ましい。
【0046】
好ましいモノシクロペンタジエニル錯体において、シクロペンタジエニル基Cpと−Z−Aとが、下記式IVで表される配位子(Cp−Z−A)を形成している。
【0047】
【化4】

【0048】
上式において、A、Z、E1A〜E5A及びR6Aは、上述したのと同義であり、それらの好ましい形態はここでも好ましく、
1A〜R4Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、又はSiR6A3、BR6A2を表し、当該有機基R1A〜R4Aがハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を有するヘテロ環を形成している。
【0049】
上述の形態及び好ましい形態は、同様にここで記載されたR1A〜R4Aに適用される。
【0050】
これらの好ましい配位子(Cp−Z−A)の中で、式Vで表されるものが特に好ましい。
【0051】
【化5】

【0052】
上式において、A、Z及びR6Aは上述したのと同義であり、その好ましい形態はここでも好ましく、
1A〜R4Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、SiR6A3又はBR6A2を表し、当該有機基R1A〜R4Aがハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を含むヘテロ環を形成する。
【0053】
上述の形態及び好ましい形態は、ここで記載されたR1A〜R4Aにも同様に適用することができる。
【0054】
特に、モノシクロペンタジエニル錯体は、下記の好ましい形態の式IV又はVで表される配位子(Cp−Z−A)、すなわち、Zが、−CHR1B、特に―CH(C65)−を表し、
Aが、下記式 (III):
【0055】
【化6】

【0056】
{但し、E1C〜E4Cが、それぞれ、炭素または窒素を表し、
1C〜R4Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR5C3を表し、当該有機基R1C〜R4Cが、ハロゲン、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール又はSiR5C3で置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1C〜R4C又はR1CとZとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
5Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R5Cが連結して5員又は6員の環を形成しても良く
pが、E1C〜E4Cが窒素の場合は0を表し、E1C〜E4Cが炭素の場合は1を表す}で表される基を表す、配位子(Cp−Z−A)を含む。
【0057】
Mが、酸化状態3価のチタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンから選択される金属であり、酸化状態3価のチタン及びクロムが好ましい。特に、酸化状態2、3及び4価、特に3価のクロムが好ましい。金属錯体、特にクロム錯体は、対応する金属塩(例、塩化金属)を配位子アニオンと反応させる簡単な方法(例、DE19710615号公報の実施例と類似の方法)により得ることができる。
【0058】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体の中で、
(Cp)(−Z−A)mMXk (VI)
で表されるものが好ましい:
上式において、Cp、Z、A、m及びMは上述したのと同義であり、それらの好ましい形態はここでも好ましく、そして
Xは、それぞれ相互に独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR12、OR1、SR1、SO31、OC(O)R1、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF4-、PF6-、又は嵩高い非配位イオンを表し、
1及びR2は、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、SiR33を表し、当該有機基R1及びR2がハロゲン又は窒素−及び酸素−含有基で置換されていても良く、2個の基R1とR2が連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3が、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3が連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
kは、1、2又は3である。
【0059】
上述のCp、Z、A、m及びMの形態及び好ましい形態は、各々および組み合わせて、これらの好ましいモノシクロペンタジエニル錯体に対して適用される。
【0060】
配位子Xは、例えば、モノシクロペンタジエニル錯体の合成に使用される適当な金属出発化合物を選択することにより決定されるが、後で変更することもできる。配位子Xとしては、特に、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素、特に塩素)を使用することができる。アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、アリル、フェニル又はベンジルも、有利な配位子Xである。さらに、制限的ではない例として挙げると、配位子Xは、トリフルオロアセテート、BF4-、PF6-、及び弱配位の又は配位していないアニオン(例えば、S. Straussによる“Chem. Rev. 1993, 93, 927-942”参照)、例えばB(C654-を挙げることができる。
【0061】
アミド、アルコキシド、スルホネート、カルボキシレート及びβ−ジケトネートも特に有用な配位子Xである。基R1及びR2を変更することにより、例えば物理的性質(例、溶解性)の細かい調整が可能になる。使用可能な炭素有機置換基R1、R2の例として、下記のものを挙げることができる。即ち、直鎖でも分岐でも良いC1〜C20アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル又はn−ドデシル)、置換基としてC6〜C10アリールを有している5〜7員のシクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロノニル又はシクロドデシル)、直鎖でも、環式でも分岐でも良く、2重結合が内部又は末端に存在し得るC2〜C20アルケニル(例、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル又はシクロオクタジエニル)、置換基としてさらにアルキル基及び/又はN−又はO−含有基を有していても良いC6〜C20アリール(例、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル若しくは2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−トリメチルフェニル、2,3,5−トリメチルフェニル、2,3,6−トリメチルフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル若しくは3,4,5−トリメチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−N,N−ジメチルアミノフェニル)、及び置換基としてさらにアルキル基を有しても良いアリールアルキル(例、ベンジル、o−メチルベンジル、m−メチルベンジル、p−メチルベンジル、1−エチルフェニル又は2−エチルフェニル)が挙げられ、且つR1はR2と結合して5又は6員の環を形成していても良く、及び有機基R1−R2がハロゲン(例、フッ素、塩素又は臭素)で置換されていても良い。有機ケイ素置換基SiR33における使用可能基なR3は、R1、R2に対して上で詳細に記載されたものと同じ基であり、2個の基R3が5又は6員の環を形成することが可能であり、従って好適な置換基SiR33の例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル、又はジメチルフェニルシリルである。基R1及びR2として、C1〜C10アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、及びビニル、アリル、ベンジル、フェニルを使用するのが好ましい。これらの置換された配位子Xのいくつかを使用することが極めて好ましい。なぜならこれらは安価で入手し易い出発材料から得ることができるからである。このため、特に好ましい形態は、Xがジメチルアミド、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、フェノキシド、ナフトキシド、トリフレート、p−トルエンスルホネート、アセテート又はアセチルアセトネートであるものである。
【0062】
配位子Xの数kは、遷移金属Mの酸化状態に依存して変わる。このため、数kは、一般的な数として表わすことはできない。触媒活性錯体の遷移金属Mの酸化状態は、当業者には通常知られている。クロム、モリブデン及びタングステンは、酸化状態+3価で存在する確率が極めて高い。バナジウムは酸化状態+3又は+4価で存在する確率が極めて高い。しかしながら、酸化状態が活性触媒のそれと対応しない錯体を使用することも可能である。このような錯体は、その後適当な活性化剤で還元又は酸化することができる。酸化状態+3価のクロム錯体及び酸化状態+3価のチタン錯体を使用することが好ましい。
【0063】
さらに、本発明者等は、下記式(VII):
【0064】
【化7】

【0065】
{但し、R1A〜R4Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、又はSiR6A3を表し、当該有機基R1A〜R4Aが、ハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を含むヘテロ環を形成し、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
4Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R4Bがハロゲンで置換されていても良く、2個のジェミナル基又はビシナル基R4Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。}で表されるシクロペンタジエニルアニオンを製造する方法であって、
-アニオンを、下記式(VIIIa):
【0066】
【化8】

で表されるフルベンと反応させる工程a)、又は
有機金属化合物R4BBBb
(但し、MBが元素周期律表の第1又は2族の金属を表し、
Bが、ハロゲン、C1〜C10アルキル、アルキル部分に1〜20個の炭素原子を有し及び/又はアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルコキシ、或いはR2Bを表し、そして
bが、MBが元素周期律表の第1族の金属を表す場合は0を表し、MBが元素周期律表の第2族の金属を表す場合は1を表す。)を、下記式(VIIIb):
【0067】
【化9】

で表されるフルベンと反応させる工程a’)
を含むことを特徴とする方法を発見した。但し、他の置換基は上述したのと同義である。
【0068】
また、置換基及びその好ましい形態は上述した通りである。
【0069】
フルベンは、以前から知られており、例えば、Freieslebenにより“Angew. Chem. 75(1963), p.576”に記載されているようにして製造することができる。フルベン(VIIIa)のR4Bの一方がR1Bに対して定義したものであり他方がR2Bに対して定義したものである化合物、またはフルベン(VIIIa)のR4Bの両方がR2Bに対して定義したものである化合物が好ましい。フルベン(VIIIb)のR4Bは、R2Bに対して定義したもの、特に水素であるのが好ましい。
【0070】
シクロペンタジエニル基アニオン(VII)は、対イオンとして、A-アニオンのカチオン又はMB4BBbのカチオンを有する。これは、一般に元素周期律表の第1又は2族の金属であり、さらに配位子を有していても良い。非電荷の配位子、例えばアミン又はエーテル、を有していても良いリチウムカチオン、ナトリウムカチオン又はカリウムカチオン、及び塩化マグネシウムカチオン及び臭化マグネシウムカチオン(これらはさらに非電荷の配位子を同様に有していても良い)が好ましく、特にリチウムカチオン、塩化マグネシウムカチオン、臭化マグネシウムカチオンが好ましい。
【0071】
B4BBbにおいて、R4BはR1Bであるのが好ましい。このような化合物はFluka-Aldrichから市販されているが、或いは、例えば対応するR4Bハライドを金属MBと反応させることにより得ることができる。C1〜C20アルキル基、特にC1〜C8アルキル基を有するリチウムアルキルが特に好ましい。
【0072】
アニオンA-は、通常、Aのハライドと元素周期律表の第1又は2族の金属(特に、リチウムカチオン、塩化マグネシウムカチオン、臭化マグネシウムカチオン)を含有する金属アルキル化合物との反応における金属−ハロゲン交換により得られる。適当な金属アルキル化合物の例としては、リチウムアルキル、マグネシウムアルキル、マグネシウム(アルキル)ハライド、又はこれらの混合物を挙げることができる。金属アルキル化合物のAのハライドに対するモル比は、通常0.4:1〜100:1の範囲、好ましくは0.9:1〜10:1の範囲、特に好ましくは0.95:1〜1.1:1の範囲である。このような反応の例は、例えばFurukawaらにより“Tet. Lett. 28(1987), 5845”に記載されている。
【0073】
反応用の溶剤として、全ての非プロトン性溶剤、特に脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、デカリン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン又はジエチレングリコールジメチルエーテル;及びこれらの混合物を使用することができる。反応は、−100〜+160℃、特に−80〜+100℃で行うことができる。40℃を超える温度では、溶剤として、エーテルを含まないか、少ない割合でしかエーテルを含まない芳香族又は脂肪族溶剤を使用するのが好ましい。
【0074】
非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基Aは、上で規定されたものである。R1B及びR2B及びその好ましい形態も同様に上述した。アニオンA-上の負電荷は、A-のヘテロ原子(特に1個の窒素原子がA-に存在するのであればその窒素原子)に隣接するA-の炭素上に位置していることが好ましい。A-は、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、3−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾル−3−イル、1,2,4−オキサジアゾル−5−イル、1,3,4−オキサジアゾル−2−イル又は1,2,4−トリアゾル−3−イル、2−ピリジニル、2−ホズファベンゼニル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル、1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イル、1,2,4−トリアジン−6−イル、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニル、7−クマロニル、2−チオナフテニル、7−チオナフテニル、3−インダゾリル、7−インダゾリル、2−ベンズイミダゾリル又は7−ベンズイミダゾリル、2−キノリル、8−キノリル、3−シンノリル、8−シンノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、8−キナゾリル、5−キノキサリル、4−アクリジル、1−フェナントリジル、または1−フェナジルであるのが好ましい。
【0075】
-アニオンは、下記式(IIIa)で表される基であるの好ましい。
【0076】
【化10】

【0077】
上式において、E1C〜E4Cが、それぞれ、炭素または窒素を表し、
1C〜R4Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR5C3を表し、当該有機基R1C〜R4Cが、ハロゲン又は窒素で置換されていても良く、或いはさらにC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール又はSiR5C3で置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1C〜R4Cが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
5Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R5Cが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
pが、E1C〜E4Cが窒素の場合は0を表し、E1C〜E4Cが炭素の場合は1を表す。
【0078】
特に、0個または1個のE1C〜E4Cが窒素を表し、他の基が炭素を表すのが好ましい。特に好ましいA-基は、2−ピリジニル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、2−キノリル、3−シンノリル、2−キナゾリル、または4−キナゾリルである。
【0079】
金属−ハロゲン交換の後に形成されるA-アニオンは、単離することができるが、単離することなくフルベン(VIIIa)と反応させるのが好ましい。さらなる反応の溶剤として、全ての非プロトン性溶剤、特に脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、デカリン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン又はジエチレングリコールジメチルエーテル;及びこれらの混合物を使用することができる。脱プロトン化反応は、−100〜+160℃、好ましくは−80〜+100℃、特に好ましくは0〜60℃で行うことができる。40℃を超える温度では、溶剤として、エーテルを含まないか、少ない割合でしかエーテルを含まない芳香族又は脂肪族溶剤を使用するのが好ましい。
【0080】
このようにして得られるシクロペンタジエニル基アニオン(VII)を、その後適当な遷移金属化合物、例えばクロムトリクロリドトリス(テトラヒドロフラン)と反応させて、対応するモノシクロペンタジエニル錯体(A)を得ることができる。
【0081】
さらに、本発明者等は、下記式(VIIa):
【0082】
【化11】

【0083】
{但し、E6A〜E10Aは、それぞれ炭素を表し、且つ4個の隣接するE6A〜E10Aが共役ジエンを形成し、残りのE6A〜E10Aがさらに水素原子を有し、
1A〜R4Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、又はSiR6A3を表し、当該有機基R1A〜R4Aが、ハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を含むヘテロ環を形成し、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
2Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとAが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。}で表されるシクロペンタジエンを製造する方法であって、
A−CR2B2B-アニオン、特にA−CR1B2B-アニオンを、下記式(IX):
【0084】
【化12】

で表されるシクロペンテノンと反応させる工程a”)を含むことを特徴とする方法を発見した。尚、各置換基は上述した意味を表す。
【0085】
置換基及びその好ましい形態は上述したが、それらはこの方法にも適用することができる。A−CR2B2B-アニオン、従って式(VIIa)におけるR2Bの一方がR1Bに対して定義されたものであるのが好ましい。
【0086】
A−CR2B2B-アニオン、特にA−CR1B2B-アニオンのカチオンは、通常、さらに配位子を有していても良い元素周期律表の第1又は2族の金属である。アミン又はエーテルのような非電荷配位子を有していても良いリチウムカチオン、ナトリウムカチオン又はカリウムカチオン、及びさらに非電荷配位子を同様に有していても良い塩化マグネシウムカチオン及び臭化マグネシウムカチオンが特に好ましい。
【0087】
A−CR2B2B-アニオン、特にA−CR1B2B-アニオンは、通常、A−CR2B2BH、特にA−CR1B2BHの脱プロトン化により得られる。この反応は、強塩基、例えばリチウムアルキル、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムアルコキシド、ナトリウムアルキル、水素化カリウム、カリウムアミド、カリウムアルコキシド、カリウムアルキル、マグネシウムアルキル、マグネシウム(アルキル)ハライド、又はこれらの混合物を用いることにより行うことができる。塩基のA−CR2B2BHに対するモル比は、通常0.4:1〜100:1の範囲、好ましくは0.9:1〜10:1の範囲、特に好ましくは0.95:1〜1.1:1の範囲である。このような脱プロトン化の例は、例えばL. Brandsmaにより“Preparative polar organometallic chemistry 2, pp.133-142”に記載されている。
【0088】
脱プロトン化工程での溶剤として、全ての非プロトン性溶剤、特に脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、デカリン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン又はジエチレングリコールジメチルエーテル;及びこれらの混合物を使用することができる。脱プロトン化反応は、−100〜+160℃、特に−80〜+100℃で行うことができる。40℃を超える温度では、溶剤として、エーテルを含まないか、少ない割合でしかエーテルを含まない芳香族又は脂肪族溶剤を使用するのが好ましい。
【0089】
非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基Aは、上で規定されたものであり、CR2B2BH基、特にCR1B2BH基を有している。基R1B及びR2B及びその好ましい形態は上で規定されたものと同様である。この基は、Aのヘテロ原子、特に1個の窒素原子が存在する場合にはその窒素原子に対してオルト位に位置しているのが好ましい。A−CR2B2BHは、2−メチルフラン、2,5−ジメチルフラン、2−エチルフラン、1,2−ジメチルピロール、1,2,3−トリメチルピロール、1,3−ジメチルピラゾール、1,2−ジメチルピラゾール、1−デシル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−ピコリン、2−エチルピリジン、2−プロピルピリジン、2−ベンジルピリジン、2,6−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,3−シクロヘプテノピリジン、5−エチル−2−メチルピリジン、2,4,6−コリジン、3−メチルピリダジン、4−メチルピリミジン、4,6−ジメチルピリミジン、2−メチルピラジン、2−エチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,3−ジエチルピラジン、テトラヒドロキノキサリン、テトラメチルピラジン、キナルジン、2,4−ジメチルキノリン、2,6−ジメチルキノリン、2,7−ジメチルキノリン、2−メチルキノキサリン、2,3−ジメチルキノキサリン、ネオクプロインが好ましい。
【0090】
A−CR2B2BHは、下記式(IIIb)で表される基であるのが特に好ましい:
【0091】
【化13】

【0092】
上式において、E1C〜E4Cが、それぞれ、炭素または窒素を表し、
1C〜R4Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR5C3を表し、当該有機基R1C〜R4Cが、ハロゲン又は窒素で置換されていても良く、或いはさらにC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール又はSiR5C3で置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1C〜R4CまたはR1CとR1Bとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
5Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R5Cが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
pが、E1C〜E4Cが窒素の場合は0を表し、E1C〜E4Cが炭素の場合は1を表し、
2Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bが、ハロゲンで置換されていても良く、R2BとAが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、R2Bの1個はR1Bに対して定義された基であるのが好ましい。
【0093】
特に、0個または1個のE1C〜E4Cが窒素を表し、他が炭素を表すのが好ましい。特に好ましいA−CR2B2BHは、2−ピコリン、2−エチルピリジン、2−プロピルピリジン、2−ベンジルピリジン、2,6−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,3−シクロヘプテノピリジン、5−エチル−2−メチルピリジン、2,4,6−コリジン、3−メチルピリダジン、4−メチルピリミジン、4,6−ジメチルピリミジン、2−メチルピラジン、2−エチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,3−ジエチルピラジン、テトラヒドロキノキサリン、テトラメチルピラジン、キナルジン、2,4−ジメチルキノリン、2,6−ジメチルキノリン、2,7−ジメチルキノリン、2−メチルキノキサリン、2,3−ジメチルキノキサリン、ネオクプロインである。
【0094】
脱プロトンの後に形成されるA−CR2B2B-アニオン、特にA−CR1B2B-アニオンは、単離することができるが、単離することなくシクロペンテノン(IX)と反応させるのが好ましい。さらなる反応の溶剤として、全ての非プロトン性溶剤、特に脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、デカリン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン又はジエチレングリコールジメチルエーテル;及びこれらの混合物を使用することができる。シクロペンテノン(IX)との反応は、−100〜+160℃、好ましくは−80〜+100℃、特に0〜60℃で行うことができる。40℃を超える温度では、溶剤として、エーテルを含まないか、少ない割合でしかエーテルを含まない芳香族又は脂肪族溶剤を使用するのが好ましい。
【0095】
A−CR2B2B-アニオンとシクロペンテノン(IX)との反応により形成されるシクロペンテンオキシドは、通常、脱水の前にプロトン化される。これは、例えば、少量の酸(例、HCl)により、又は水中の後処理により行うことができる。このようにして得られた中間体、即ち、シクロペンテノールは、次いで脱水される。これは、しばしば触媒量の酸(例、HCl又はp−トルエンスルホン酸)又はヨウ素の添加により行われる。脱水は、−10〜+160℃、好ましくは0〜+100℃、特に20〜80℃で行うことができる。溶剤として、例えば非プロトン性溶剤、特に脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、デカリン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン又はキシレン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン又はジエチレングリコールジメチルエーテル;及びこれらの混合物を使用することができる。トルエンとヘプタンは特に有用である。水分離器もしばしば脱水のために使用される。
【0096】
このシクロペンタジエン環(VIIa)の製造方法は、簡単な出発材料を用い、良好な収率が得られるので特に有利である。形成された副生物(exo位置での脱水物)は、モノシクロペンタジエニル錯体に対する別の反応により簡単なやり方で分離することもできる。このようにして得られたシクロペンタジエン環(VIIa)を、その後、慣用法により、例えば水素化カリウム又はn−ブチルリチウムを使用して脱プロトン化し、そして適当な遷移金属化合物(例、クロムトリクロリドトリス(テトラヒドロフラン))と反応させ、対応するモノシクロペンタジエニル錯体(A)を得ることができる。副生物は、これらのどの反応も受けることがない。さらに、EP−A−742046号公報に記載されたのと類似の方法を用いて、シクロペンタジエン環(VIIa)を、例えばクロムアミドと直接反応させ、モノシクロペンタジエニル錯体(A)を形成させることもできる。
【0097】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、オレフィン重合用触媒組成物として、単独で、或いはさらなる成分と共に使用することができる。本発明者等は、さらに
A)少なくとも1種の、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体、
B)任意に、有機又は無機の担体、
C)任意に、1種以上の活性化化合物、
D)任意に、オレフィン重合に好適な1種以上の触媒、及び
E)任意に、元素周期律表の第1、2又は13族の金属を含有する1種以上の金属化合物
を含むオレフィン重合用触媒組成物を見いだした。
【0098】
従って、一種より多い本発明のモノシクロペンタジエニル錯体を、同時に、重合すべきオレフィン又は複数のオレフィンと接触させることができる。この方法は、広い範囲のポリマーをこのようにして製造することができるという利点を有する。例えば、二峰性生成物をこのようにして製造することができる。
【0099】
気相又は懸濁液中での重合法に使用することができる本発明のモノシクロペンタジエニル錯体については、メタロセンを固体の形態で使用する、即ちメタロセンを固体担体B)に施すことがしばしば有利である。さらに、担持されたモノシクロペンタジエニル錯体は高い生産性を有する。このため、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、有機又は無機の担体B)に任意に固定することができ、重合において担持形態で使用することができる。これにより、例えば、反応器内の堆積を避けることができ、及びポリマーの形態を制御することが可能となる。担持材料として、シリカゲル、塩化マグネシウム、酸化アルミニウム、メソ多孔性材料、アルミノシリケート、ハイドロタルサイト、及び有機ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン又は極性官能化ポリマー(例、エチレンとアクリル酸エステル、アクロレイン又は酢酸ビニルとの共重合体)を使用するのが好ましい。
【0100】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体及び少なくとも1種の活性化化合物C)を含み、さらに担体成分B)を含む触媒組成物が特に好ましい。
【0101】
このような担持触媒組成物を得るために、非担持触媒組成物を担体成分B)と反応させることができる。担体成分B)、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体A)及び活性化化合物C)を組み合わせる順序は、一般に重要でない。本発明のモノシクロペンタジエニル錯体A)及び活性化化合物C)は、それぞれ独立に、又は同時に固定することができる。それぞれの工程の後に、固形物を適当な不活性溶剤(例、脂肪族又は芳香族炭化水素)で洗浄することができる。
【0102】
担持触媒組成物の製造の好ましい変法においては、少なくとも1種の本発明のモノシクロペンタジエニル錯体を、好ましくは可溶性の反応生成物、付加物又は混合物を与える適当な溶剤中で、少なくとも1種の活性化化合物C)と接触させる。その後、このようにして得られた製造物を、脱水又は不動態化した担体材料と混合し、溶剤を除去し、そして得られた担持モノシクロペンタジエニル錯体触媒組成物を全部の又はほとんどの溶剤が担体材料の孔から除去されるまで乾燥する。担持触媒は、易流動性粉末として得られる。上記方法の工業的実施の例は、WO96/00243、WO98/40419又はWO00/05277に記載されている。別の好ましい形態には、まず活性化成分C)を担体成分B)に施し、次いでこの担持化合物を本発明のモノシクロペンタジエニル錯体A)と接触させる方法が含まれる。
【0103】
担体成分B)として、有機又は無機の固体である微細粒子の担体を使用するのが好ましい。特に、担体成分B)は、多孔性担体、例えばタルク、板状ケイ酸塩、例えばモンモリロナイト又はマイカ、無機酸化物、或いは微細粒子のポリマー粉末(例、ポリオレフィン又は極性官能化ポリマー)である。
【0104】
好ましく使用される担体材料は、10〜1000m2/gの比表面積、0.1〜5mL/gの細孔容積、及び1〜500μmの平均粒径を有する。50〜700m2/gの比表面積、0.4〜3.5mL/gの細孔容積及び5〜350μmの平均粒径を有する担体が好ましい。特に、200〜550m2/gの比表面積、0.5〜3.0mL/gの細孔容積及び10〜150μmの平均粒径を有する担体が好ましい。
【0105】
無機担体は、熱処理することができる。例えば吸着水を除去するために熱処理が行われる。このような乾燥処理は、一般に、80〜300℃、好ましくは100〜200℃で行われ、その際100〜200℃の乾燥を、減圧下及び/又は不活性ガス(例、窒素)雰囲気下で行うことが好ましく、或いは無機担体を、必要に応じて所望の固体構造及び/又は所望の表面OH濃度に設定するために、200〜1000℃でか焼することができる。担体を、慣用の乾燥剤、例えば金属アルキル、好ましくはアルミニウムアルキル、クロロシラン又はSiCl4、或いはメチルアルミノキサン、を用いて化学的に処理することもできる。適当な処理方法は、例えばWO00/31090号パンフレットに記載されている。
【0106】
無機担体材料を化学的に変性することもできる。例えば、シリカゲルのNH4SiF6又は他のフッ素化剤による処理により、シリカゲル表面のフッ素化が行われ、またシリカゲルの窒素−、フッ素−又はイオウ−含有基を有するシランによる処理により、対応する変性されたシリカゲル表面が得られる。
【0107】
有機担体材料、例えば微細粒子ポリオレフィン粉末(例、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリスチレン)も使用することができる。この場合も、使用前の適当な精製及び乾燥処理により、吸着水分、残留溶剤又は他の不純物を同様に除去すべきである。官能基(例、アンモニウム基又はヒドロキシル基)により少なくとも1種の触媒成分を固定することができるような官能化ポリマー担体、例えばポリスチレン、ポリエチレン又はポリプロピレンを基礎とする官能化担体を使用することも可能である。
【0108】
担体成分B)として適当な無機酸化物は、元素周期律表の2、3、4、5、13、14、15及び16族の元素の酸化物の中から見出すことができる。担体として好ましい酸化物の例としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、並びにカルシウム、アルミニウム、珪素、マグネシウム又はチタンの混合酸化物、さらに対応する酸化物の混合物を挙げることができる。単独で、又は上述の好ましい酸化物担体との組み合わせとして使用できる他の無機酸化物は、例えば、MgO、CaO、AlPO4、ZrO2、TiO2又はB23又はこれらの混合物である。
【0109】
オレフィンの重合用触媒に用いられる固体の担体成分B)として、シリカゲルを使用するのが好ましい。なぜなら、オレフィン重合用の担体として寸法及び構造が適当な粒子をこの材料から製造することができるからである。より小さな顆粒状の粒子、すなわち一次粒子の球形の凝集物を含む噴霧乾燥シリカゲルが特に有用であると分かった。シリカゲルを使用前に乾燥及び/又はか焼(焼成)することができる。
【0110】
他の好ましい担体B)は、ハイドロタルサイト及びか焼されたハイドロタルサイトである。鉱物学において、ハイドロタルサイトは、以下の理想式:
【0111】
【化14】

を有し、その構造がブルーサイトMg(OH)2の構造から誘導される天然鉱物である。ブルーサイトは、最密充填されたヒドロキシルイオンの二つの層間の八面体の孔隙に金属イオンが配置されており、かつこの八面体の孔隙の第二層のみが全て占められているような板状構造に結晶化する。ハイドロタルサイトにおいて、マグネシウムイオンの一部がアルミニウムイオンに置き換えられると、層のパケットに正電荷がもたらされる。この正電荷は、結晶水と共に層間に配置されたアニオンによって補償される。
【0112】
上述の板状構造は、マグネシウム−アルミニウムの水酸化物の場合ばかりでなく、一般に、下記式で表される板状構造を有する混合金属水酸化物の場合にも見出される。
【0113】
【化15】

【0114】
上式において、M(II)が2価の金属、例えばMg、Zn、Cu、Ni、Co、Mn、Ca及び/又はFeを表し、
M(III)が3価の金属、例えばAl、Fe、Co、Mn、La、Ce及び/又はCrを表し、
Xが0.5間隔で0.5〜10の数を表し、
Aが侵入型のアニオンを表し、
nが侵入型アニオンの電荷を表し、1〜8の範囲であっても良く、通常1〜4の範囲であり、そして
zが1〜6の整数であり、特に2〜4を表す。侵入型アニオンとしては、有機アニオン、例えばアルコキシドアニオン、アルキルエーテルスルフェートアニオン、アリールエーテルスルフェートアニオン又はグリコールエーテルスルフェートアニオン、無機アニオン、例えば特に炭酸アニオン、炭酸水素アニオン、硝酸アニオン、塩化物アニオン、硫酸アニオン又はB(OH)4-或いはポリオキソ金属アニオン、例えばMo7246-又はV10286-が考えられる。しかしながら、複数のこのようなアニオンの混合物も存在する場合がある。
【0115】
従って、板状構造を有するこのような混合金属水酸化物の全ては、本発明においてはハイドロタルサイトとして見なされる。
【0116】
ハイドロタルサイトから、か焼、即ち加熱によって、か焼ハイドロタルサイトに転化することができ、加熱により、所望のヒドロキシル基含有量に設定することができる。さらに、結晶構造も変化する。本発明に従って使用されるか焼ハイドロタルサイトの製造は、通常、180℃を超える温度で行われる。250℃〜1000℃、特に400℃〜700℃の条件で3〜24時間に亘ってか焼するのが好ましい。か焼中に固体上に空気又は不活性ガスを通過させるか、或いは真空にすることができる。
【0117】
加熱時に、天然又は合成のハイドロタルサイトから最初に水が放出され、即ち乾燥が生じる。さらなる加熱時、即ち実際のか焼処理時に、金属水酸化物は、ヒドロキシル基及び侵入型アニオンが除去されて、金属酸化物に転化され、その際に、OH基又は侵入型アニオン、例えば炭酸アニオンが依然としてか焼ハイドロタルサイト中に存在し得る。この現象の測定は、強熱減量による。強熱減量とは、2工程、即ち最初に乾燥炉中で200℃にて30分間に亘って、その後にマッフル炉中で950℃にて1時間に亘って加熱されるサンプルが受ける質量損失に該当する。
【0118】
従って、成分(B)として使用されるか焼ハイドロタルサイトは、2価及び3価の金属M(II)及びM(III)(但し、M(II)のM(III)に対するモル比は一般に0.5〜10の範囲であり、0.75〜8の範囲が好ましく、特に1〜4である。)の混合酸化物である。さらに、通常のレベルの不純物、例えばSi、Fe、Na、Ca又はTi並びに塩化物及び硫酸塩も含まれる場合がある。
【0119】
好ましいか焼ハイドロタルサイトB)は、M(II)がマグネシウムであり、M(III)がアルミニウムである混合酸化物である。このようなアルミニウム−マグネシウム混合酸化物は、ハンブルクのCondea Chemie GmbH(現在はSasol Chemie)から商標名プラロックスMg(Puralox Mg)として市販されている。
【0120】
構造的な変換が完了しているか又は実質的に完了しているか焼ハイドロタルサイトが好ましい。か焼、即ち構造の変換を、例えばX線回折パターンによって確認することができる。
【0121】
使用されるハイドロタルサイト、か焼ハイドロタルサイト又はシリカゲルは、5〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは15〜100μm、特に20〜70μmの平均粒径d50及び一般に0.1〜10cm3/g、好ましくは0.2〜5cm3/gの細孔容積、そして30〜1000m2/g、好ましくは50〜800m2/g、特に100〜600m2/gの比表面積を有する微細粒子状の粉末として用いられるのが一般的である。本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、最終触媒組成物中のモノシクロペンタジエニル錯体濃度が担体B)1gあたり、5〜200μmol、好ましくは20〜100μmol、特に好ましくは25〜70μmolとなるような量で用いられるのが好ましい。
【0122】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体のいくつかは、それ自体は殆ど重合活性を有しておらず、そのため、良好な重合活性を示すことができるようにするために、錯体を活性化剤、即ち成分C)と接触させる。このような理由から、触媒組成物は必要によりさらに成分C)として1種以上の活性化化合物、好ましくは少なくとも1種のカチオン形成化合物C)を含む。
【0123】
モノシクロペンタジエニル錯体A)と反応して、触媒活性な、又はより活性な化合物に転化させ得る好適な化合物C)としては、例えば、アルミノキサン、非電荷の強ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン性化合物、又はカチオンとしてブレンステッド酸を有するイオン性化合物等化合物が挙げられる。
【0124】
アルミノキサンとして、例えば、WO00/31090号パンフレットに記載されている化合物を使用することができる。特に有用なアルミノキサンは、式(X)又は(XI):
【0125】
【化16】

【0126】
[但し、基R1D〜R4Dが、相互に独立してそれぞれC1〜C6アルキル基、好ましくは、メチル、エチル、ブチル、又はイソブチルを表し、
lが1〜30、好ましくは5〜25の整数を表す。]
で表わされる開鎖状又は環状アルミノキサン化合物である。
【0127】
特に有用なアルミノキサン化合物は、メチルアルミノキサンである。
【0128】
これらのオリゴマーのアルミノキサン化合物は、通常、トリアルキルアルミニウム溶液と水との制御された反応によって製造される。一般に、このようにして得られたオリゴマーのアルミノキサン化合物は、様々な長さの鎖状分子と環状分子の混合物の形で存在する。従って、上のlの値は平均値として見なされる。アルミノキサン化合物は、他の金属アルキル、通常はアルミニウムアルキルとの混合物として存在することもできる。成分C)として好適なアルミノキサン製品は市販されている。
【0129】
さらに、成分C)として、式(X)又は(XI)のアルミノキサン化合物の代わりに、炭化水素基の一部を水素原子又はアルコキシ、アリールオキシ、シロキシ又はアミドの各基で置換した変性アルミノキサンを使用することができる。
【0130】
モノシクロペンタジエニル錯体A)とアルミノキサン化合物を、まだ存在するアルキルアルミニウムを含むアルミノキサン化合物におけるアルミニウムの、モノシクロペンタジエニル錯体A)における遷移金属に対する原子比が1:1〜1000:1、好ましくは10:1〜500:1、特に好ましくは20:1〜400:1の範囲になるような量で使用することが有効であることが見出された。
【0131】
別の種類の好適な活性化化合物C)は、ヒドロキシアルミノキサンである。このアルミノキサンは、例えば、アルキルアルミニウム化合物、特にトリイソブチルアルミニウムに、1当量のアルミニウムに対して0.5〜1.2当量の水、好ましくは0.8〜1.2当量の水を、低温、一般的には0℃未満の温度で添加することによって製造可能である。このような化合物及びこのような化合物のオレフィン重合での使用法は、例えば、WO00/24787号パンフレットに記載されている。ヒドロキシアルミノキサン化合物におけるアルミニウムの、モノシクロペンタジエニル錯体A)における遷移金属に対する原子比は、1:1〜100:1の範囲が一般的であり、10:1〜50:1の範囲が好ましく、特に20:1〜40:1の範囲である。モノシクロペンタジエニル金属ジアルキル化合物A)を使用するのが好ましい。
【0132】
非電荷の強ルイス酸として、式(XII):
【0133】
【化17】

【0134】
[但し、M2Dが元素周期律表の第13族の元素、好ましくはB、Al又はGa、特に好ましくはBを表わし、
1D、X2D及びX3Dが、それぞれ水素、C1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、炭素原子数1〜10個のアルキル部分と炭素原子数6〜20個のアリール部分とを有するアルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル又はハロアリール、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくはハロアリール、特に好ましくはペンタフルオロフェニルを表わす。]
で表される化合物が好ましい。
【0135】
非電荷の強ルイス酸の他の例は、WO00/31090号パンフレットに記載されている。
【0136】
この種の成分C)として特に有用な化合物は、ボラン及びボロキシン、例えばトリアルキルボラン、トリアリールボラン、又はトリメチルボロキシンである。少なくとも2個の完全にフッ素化されたアリール基を有するボランを使用するのが特に好ましい。X1D、X2D及びX3Dが同一である式(XII)で表される化合物が特に好ましく、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが極めて好ましい。
【0137】
好適な化合物C)は、式(XII)で表されるアルミニウム又はホウ素化合物を水、アルコール、フェノール誘導体、チオフェノール誘導体又はアニリン誘導体と反応させることによって製造するのが好ましく、その際に、ハロゲン化された、特に完全にフッ素化されたアルコール及びフェノールが特に重要である。特に有用な化合物の例は、ペンタフルオロフェノール、1,1−ビス(ペンタフルオロフェニル)メタノール及び4−ヒドロキシ−2,2’,3,3’,4,4’,5,5’,6,6’−ノナフルオロビフェニルである。式(XII)で表される化合物とブレンステッド酸との組み合わせ例は、特に、トリメチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、トリメチルアルミニウム/1−ビス(ペンタフルオロフェニル)メタノール、トリメチルアルミニウム/4−ヒドロキシ−2,2’,3,3’,4,4’,5,5’,6,6’−ノナフルオロビフェニル、トリエチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール及びトリイソブチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール及びトリエチルアルミニウム/4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニルヒドレートである。
【0138】
式(XII)で表される他の好適なアルミニウム及びホウ素化合物では、R1DがOH基を表す。この種の化合物の例は、ボロン酸及びボリン酸、特に完全にフッ素化されたアリール基を有するボリン酸、例えば(C652BOHである。
【0139】
活性化化合物C)として適当な非電荷の強ルイス酸は、ボロン酸と2当量のアルミニウムトリアルキルとの反応生成物、又はアルミニウムトリアルキルと2当量の酸性のフッ素化、特に完全にフッ素化された炭化水素化合物、例えばペンタフルオロフェノール又はビス(ペンタフルオロフェニル)ボリン酸との反応生成物を含む。
【0140】
ルイス酸カチオンを有する好適なイオン性化合物には、式(XIII):
【0141】
【化18】

【0142】
[但し、M3Dが元素周期律表の第1〜16族に属する元素を表し、
1からQzが、C1〜C28アルキル、C6〜C15アリール、炭素原子数1〜28個のアルキル部分と炭素原子数6〜20個のアリール部分とを有するアルキルアリール又はアリールアルキル又はハロアルキル又はハロアリール、置換基としてC1〜C10アルキルを有していてもよいC3〜C10シクロアルキル、ハロゲン、C1〜C28アルコキシ、C6〜C15アリールオキシ、シリル、又はメルカプト基等の1価の負電荷基を表し、
aが1〜6の整数を表し、
zが0〜5の整数を表し、
dがа−zの差を表すが、dは1以上である。]
で表されるカチオンの塩様化合物が含まれる。
【0143】
特に有用なカチオンは、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、及びスルホニウムカチオン、さらにカチオン性遷移金属錯体である。トリフェニルメチルカチオン、銀カチオン及び1,1’−ジメチルフェロセニルカチオンを特に挙げることができる。これらは、非配位の対イオンを有しているのが好ましく、特に、WO91/09882号パンフレットにも記載されているホウ素化合物、なかでもテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートが好ましい。
【0144】
非配位アニオンを有する塩は、ホウ素又はアルミニウム化合物、例えばアルミニウムアルキルを、2個以上のホウ素又はアルミニウムが互いに結合するように反応可能な第2の化合物、例えば水、及び上記ホウ素又はアルミニウム化合物とイオン化したイオン性化合物を形成する第3の化合物、例えばトリフェニルクロロメタン、又は必要により塩基、好ましくは有機窒素含有塩基、例えばアミン、アニリン誘導体又は窒素のヘテロ環式化合物と組み合わせることによって製造することもできる。さらに、同様にホウ素又はアルミニウム化合物と反応する第4の化合物,例えばペンタフルオロフェノールを添加することができる。
【0145】
カチオンとしてブレンステッド酸を含むイオン性化合物も同様に、非配位対イオンを有しているのが好ましい。ブレンステッド酸として、プロトン化アミン又はアニリン誘導体が特に好ましい。好ましいカチオンは、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N−ジメチルベンジルアンモニウム、及び後の2つの誘導体である。
【0146】
WO97/36937号パンフレットに記載されているようなアニオン性ホウ素ヘテロ環式化合物を含む化合物、特にジメチルアニリニウムボラタベンゼン又はトリチルボラタベンゼンも成分C)として適当である。
【0147】
好適なイオン性化合物C)は、少なくとも2個の完全にフッ素化されたアリール基を有するホウ酸塩を含む。N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、特にN,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート又はトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが特に好ましい。
【0148】
ジアニオン[(C652B−C64−B(C6532-、[(C653B−CN−B(C653-におけるように、2個以上のボレートアニオン及び/又はボランが相互に結合するか、又はボレートアニオンがボランに結合することも可能である。或いはボレートアニオンを、好適な官能基を有する架橋基を介して担体表面に結合させることもできる。
【0149】
他の好適な活性化化合物C)は、WO00/31090号パンフレットに列挙されている。
【0150】
非電荷の強ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン性化合物、又はカチオンとしてブレンステッド酸を有するイオン性化合物の量は、モノシクロペンタジエニル錯体A)に対して、0.1〜20当量が好ましく、1〜10当量がより好ましい。
【0151】
好適な活性化化合物C)は、ジ[ビス(ペンタフルオロフェニル)ボロキシ]メチルアラン等のホウ素−アルミニウム化合物を含む。この種のホウ素−アルミニウム化合物の例は、WO99/06414号パンフレットに記載されている。
【0152】
上述の全ての活性化化合物C)の混合物を使用することもできる。好ましい混合物は、アルミノキサン、特にメチルアルミノキサンと、イオン性化合物、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンを含む化合物、及び/又は非電荷の強ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを含む。
【0153】
モノシクロペンタジエニル錯体A)と活性化化合物C)の両方を、溶媒、好ましくは炭素原子数6〜20個の芳香族炭化水素、特にキシレン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン又はこれらの混合物中で使用するのが好ましい。
【0154】
さらに、担体B)として同時に使用可能な活性化化合物C)を使用することも可能である。このような組成物は、例えば、無機酸化物をジルコニウムアルコキシドで処理し、次いで例えば四塩化炭素を用いて塩素化することによって得られる。このような組成物の製造法は、例えば、WO01/41920号パンフレットに記載されている。
【0155】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体A)をオレフィンの重合に適当な少なくとも1種の他の触媒D)と組み合わせて用いることによって、同様に広範囲の生成物を得ることもできる。従って、触媒組成物において任意の成分D)として、オレフィンの重合に適当な1種以上の触媒を用いることができる。使用し得る触媒D)には、特に、チタンを基礎とする典型的なチーグラー−ナッタ触媒及び酸化クロムを基礎とする伝統的なフィリップス触媒である。
【0156】
原則として、使用可能な成分D)は、有機基を含んでおり、かつ好ましくは触媒A)及び必要によりB)及び/又はE)の存在下での成分C)との反応後にオレフィン重合用の活性触媒を形成する、元素周期律表の第3族〜第12族の遷移金属又はランタニドの全ての化合物である。これらは、通常、少なくとも1種の単座配位子又は多座配位子がσ結合又はπ結合を介して中心原子に結合している化合物である。使用可能な配位子には、シクロペンタジエニル基を含む配位子とシクロペンタジエニル基を含まない配位子の両方が含まれる。“Chem. Rev. 2000, vol. 100, No 4”には、オレフィンの重合に適当なこのような化合物D)の多くが記載されている。さらに、多核シクロペンタジエニル錯体もオレフィンの重合に適当である。
【0157】
特に好適な化合物D)には、少なくとも1種のシクロペンタジエニル配位子を有する化合物(メタロセン錯体と一般に呼ばれる)が含まれる。特に下記式(XIV)で表されるメタロセン錯体が有用である。
【0158】
【化19】

【0159】
上式に置いて、M1Eが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン又はタングステン、又は元素周期律表の第3族の元素及びランタニドを表し、
Eが、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C6〜C15アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、−OR6E又は−NR6E7Eを表し、或いは2個の基XEが、置換又は非置換のジエン配位子、特に1,3−ジエン配位子を形成し、そしてXEが同一又は異なっていても良く、相互に結合していてもよく、
1E〜E5Eが、それぞれ炭素を表すか、又は1個以下のE1E〜E5Eがリン又は窒素を表し、好ましくは炭素を表し、
tが、1、2又は3を表し、M1Eの原子価に応じて式(XIV)で表されるメタロセン錯体が非電荷状態となるように選択され、
6E及びR7Eが、それぞれC1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、炭素原子数1〜10個のアルキル部分と炭素原子数6〜20個のアリール部分とを有するアルキルアリール、アリールアルキル、フルオロアルキル又はフルオロアリールを表し、
1E〜R5Eが、相互に独立して、それぞれ水素、C1〜C22アルキル、置換基としてC1〜C10アルキルを有していても良い5〜7員のシクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C2〜C22アルケニル、C6〜C22アリール、炭素原子数1〜16個のアルキル部分と炭素原子数6〜21個のアリール部分とを有するアリールアルキル、NR8E2、N(SiR8E32、OR8E、OSiR8E3、SiR8E3を表し、且つ有機基R1E〜R5Eはハロゲンで置換されていても良く、及び/又は2個の基R1E〜R5E、特にビシナル基が相互に合体して5員、6員又は7員環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1E〜R5Eが相互に合体してN、P、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含む5員、6員又は7員のヘテロ環を形成しても良く、
8Eが、同一でも異なっていても良く、それぞれC1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C6〜C15アリール、C1〜C4アルコキシ又はC6〜C10アリールオキシを表し、
1Eが、XEと同義であるか、又は下記式:
【0160】
【化20】

【0161】
{但し、R9E〜R13Eが、相互に独立して、それぞれ水素、C1〜C22アルキル、置換基としてC1〜C10アルキルを有していても良い5〜7員のシクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C2〜C22アルケニル、C6〜C22アリール、炭素原子数1〜16個のアルキル部分と炭素原子数6〜21個のアリール部分とを有するアリールアルキル、NR14E2、N(SiR14E32、OR14E、OSiR14E3、SiR14E3を表し、且つ有機基R9E〜R13Eはハロゲンで置換されていても良く、及び/又は2個の基R9E〜R13E、特にビシナル基が相互に合体して5員、6員又は7員環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R9E〜R13Eが相互に合体してN、P、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含む5員、6員又は7員のヘテロ環を形成しても良く、
14Eが、同一又は異なっていても良く、それぞれC1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C6〜C15アリール、C1〜C4アルコキシ又はC6〜C10アリールオキシを表し、
6E〜E10Eが、それぞれ炭素を表すか、又は1個以下のE6E〜E10Eがリン又は窒素を表し、好ましくは炭素を表す。}
で表される基を表し、或いは
基R4E及びZ1Eが合体して、基−R15EV−A1E
{但し、R15E
【0162】
【化21】

【0163】
(式中、R16E、R17E及びR18Eが同一でも、異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、トリメチルシリル、C1〜C10アルキル、C1〜C10フルオロアルキル、C6〜C10フルオロアリール、C6〜C10アリール、C1〜C10アルコキシ、C7〜C15アルキルアリールオキシ、C2〜C10アルケニル、C7〜C40アリールアルキル、C8〜C40アリールアルケニル又はC7〜C40アルキルアリールを表し、又は2個の隣接基がこれらと結合している原子と合体して、炭素原子数4〜15個の飽和又は不飽和環を形成し、
2Eが、ケイ素、ゲルマニウム又はスズを表し、好ましくはケイ素を表す。)
を表し、
1Eが、
【0164】
【化22】

又は非置換の、置換されたもしくは縮合されたヘテロ環基を表し、且つ
19Eが、相互に独立してそれぞれC1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、C3〜C10シクロアルキル、C7〜C18アルキルアリール又はSi(R20E3を表し、
20Eが、水素、C1〜C10アルキル、置換基としてC1〜C4アルキルを有していても良いC6〜C15アリール又はC3〜C10シクロアルキルを表し、
vが1、又はA1Eが非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ環基の場合に0であっても良い。}
を形成し、又は
基R4E及びR12Eが相互に合体して、基−R15E−を形成する。
【0165】
1Eは架橋基R15Eと合体して、例えばアミン、エーテル、チオエーテル又はホスフィンを形成可能である。しかしながら、A1Eは、炭素環員の他に酸素、硫黄、窒素及びリンからなる群から選択されるヘテロ原子を含むことができる非置換、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基であっても良い。炭素原子の他に環原子として1〜4個の窒素原子及び/又は1個の硫黄もしくは酸素原子を含む5員環のヘテロアリール基の例としては、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、3−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾル−3−イル、1,2,4−オキサジアゾル−5−イル、1,3,4−オキサジアゾル−2−イル又は1,2,4−トリアゾル−3−イルを挙げることができる。1〜4個の窒素原子及び/又は1個のリン原子を含むことができる6員のへテロアリール基の例としては、2−ピリジニル、2−ホスファベンゾイル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル、1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イル及び1,2,4−トリアジン−6−イルを挙げることができる。5及び6員環のヘテロアリール基は、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜10個の炭素原子を有するアルキルアリール、トリアルキルシリル又はハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素)で置換されていても良く、又は1個以上の芳香族環もしくはヘテロ芳香族環と縮合していても良い。ベンゾ縮合の5員ヘテロアリール基の例としては、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニル、7−クマロニル、2−チアナフテニル、7−チアナフテニル、3−インダゾリル、7−インダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル及び7−ベンゾイミダゾリルを挙げることができる。ベンゾ縮合の6員へテロアリール基の例としては、2−キノリル、8−キノリル、3−シンノリル、8−シンノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、8−キナゾリル、5−キノキサリル、4−アクリジル、1−フェナントリジル及び1−フェナジルを挙げることができる。ヘテロ環の命名法及び番号付けは、L. FieserおよびM. Fieserによる“Lehrbuch der organischen Chemie, 3rd revised edition, Verlag Chemie, Weinheim 1957”を利用した。
【0166】
式(XIV)における基XEが同一であり、好ましくはフッ素、塩素、臭素、C1〜C7アルキルまたはアリールアルキルであり、特に塩素、メチル又はベンジルであるのが好ましい。
【0167】
このような錯体の合成は、それ自体公知の方法によって行うことができ、好ましくは適当に置換された環式の炭化水素アニオンをチタン、ジルコニウム、ハフニウム又はクロムのハロゲン化物と反応させることによって行うことができる。
【0168】
式(XIV)で表されるメタロセン錯体の中で、以下の
【0169】
【化23】

【0170】
【化24】

で表される錯体が好ましい。
【0171】
式(XIVa)で表される化合物の中で、
1Eが、チタン、バナジウム又はクロムを表し、
Eが、塩素、C1〜C10アルキル、フェニル、アルコキシ又はアリールオキシを表し、
tが、1又は2を表し、そして
1E〜R5Eが、それぞれ水素、C1〜C6アルキルを表すか、又は2個の隣接基R1E〜R5Eが置換又は非置換のベンゾ基を形成する化合物が好ましい。
【0172】
式(XIVb)で表される化合物の中で、
1Eが、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ハフニウム又はクロムを表し、
Eが、フッ素、塩素、C1〜C4アルキル又はベンジルを表すか、又は2個の基XEが置換又は非置換のブタジエン配位子を形成し、
tが、M1Eがクロムの場合に0を表し、その他の場合に1又は2を表し、好ましくは2を表し、
1E〜R5Eが、それぞれ水素、C1〜C8アルキル、C6〜C8アリール、NR8E2、OSiR8E3、Si(R8E3を表し、そして
9E〜R13Eが、それぞれ水素、C1〜C8アルキル、C6〜C8アリール、NR14E2、OSiR14E3又はSi(R14E3を表し、或いは、
2個の基R1E〜R5E及び/又はR9E〜R13EがC5環と共にインデニル又は置換インデニル環を形成する化合物が好ましい。
【0173】
シクロペンタジエニル基が同一である式(XIVb)の化合物が特に有用である。
【0174】
式(XIVb)で表される特に有用な化合物D)の例には、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド及びビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、さらに対応するジメチルジルコニウム化合物が含まれる。
【0175】
式(XIVc)で表される特に有用な化合物は、
15Eが、
【0176】
【化25】

で表される基を表し、
1Eが、チタン、ジルコニウム又はハフニウム、特にジルコニウムを表し、
Eが、同一又は異なっていても良く、それぞれ塩素、C1〜C4アルキル、ベンジル、フェニル又はC7〜C15アルキルアリールオキシを表す化合物である。
【0177】
式(XIVc)で示される特に有用な化合物は、下記式(XIVc’)で表される化合物である。
【0178】
【化26】

【0179】
上式において、基R’が、同一でも異なってもよく、それぞれ水素、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルキル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル又はシクロヘキシル、C6〜C20アリール、好ましくはフェニル、ナフチル又はメシチル、C7〜C40アリールアルキル、C7−C40アルキルアリール、好ましくは4−tert−ブチルフェニル又は3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、又はC8〜C40アリールアルケニルを表し、
5E及びR13Eが、同一でも異なってもよく、それぞれ水素、C1〜C6アルキル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、n−ヘキシル又はtert−ブチルを表し、そして
環基S及びTが、同一であっても異なっていてもよく、飽和、不飽和又は部分的に飽和している環を表す。
【0180】
上記式(XIVc’)のメタロセンのインデニル又はテトラヒドロインデニル配位子は、2位、2位及び4位、4位及び7位、2位、4位及び7位、2位及び6位、2位、4位及び6位、2位、5位及び6位、2位、4位、5位及び6位、又は2位、4位、5位、6位及び7位で置換されているのが好ましく、2位及び4位で置換されているのが特に好ましい。尚、置換位置を示すために、以下の番号付けが用いられる。
【0181】
【化27】

【0182】
さらに、成分D)として、ラセミ体又は擬ラセミ体の架橋ビスインデニル錯体を使用することが好ましい。ここで、“擬ラセミ体”という語は、2個のインデニル配位子が、錯体の他の全ての置換基を考慮しない場合に、相互にラセミ配列状態にある錯体を言う。
【0183】
特に有用な触媒D)としての(XIVc)及び(XIVc’)の例としては、さらに、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
テトラメチルエチレン−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジエチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジブロミド、
ジメチルシランジイルビス(3−メチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(3−エチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0184】
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ハフニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−i−ブチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(9−フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2,7−ジメチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[p−トリフルオロメチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[3’,5’−ジメチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジエチルシランジイルビス(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−n−ブチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−へキシル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0185】
ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−エチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[3’,5’−ビス−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[1’−ナフチル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、及び
エチレン(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、及び対応するジメチルジルコニウム、ジルコニウムモノクロリドモノ(アルキルアリールオキシド)及びジルコニウムジ(アルキルアリールオキシド)化合物が含まれる。錯体は、ラセミ体で使用されるのが好ましい。
【0186】
このような錯体の合成はそれ自体公知の方法により行われるが、好ましくは適当に置換された環式炭化水素アニオンと、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル又はクロムのハロゲン化物との反応により行われる。適当な製造法の例は、特に“Journal of Organometallic Chemistry 369(1989), 359-370”に記載されている。
【0187】
式(XIVd)で表される特に有用な化合物は、
1Eが、チタン又はジルコニウム、特にチタンを表し、
Eが、塩素、C1〜C4アルキル又はフェニルを表すか、或いは2個の基XEが置換又は非置換のブタジエン配位子を形成し、
15Eが、以下の
【0188】
【化28】

で表される基を表し、
1Eが、以下の
【0189】
【化29】

で表される基を表し、
tが1又は2、好ましくは2を表し
1E〜R3E及びR5Eが、それぞれ水素、C1〜C10アルキル、好ましくはメチル、C3〜C10シクロアルキル、C6〜C15アリール、NR8E2、Si(R8E3を表し、又は2個の隣接基が炭素原子数4〜12個の環基を形成し、好ましくは全てのR1E〜R3E及びR5Eがメチルを表す化合物である。
【0190】
式(XIVd)で表される特に有用な錯体D)は、
ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(ベンジルアミノ)チタンジクロリド、
ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(tert−ブチルアミノ)チタンジクロリド、
ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(アダマンチル)チタンジクロリド、及び
ジメチルシランジイル(インデニル)(tert−ブチルアミノ)チタンジクロリド、である。
【0191】
特に有用な式(XIVd)で表される化合物の別のグループは、
1Eが、チタン、バナジウム又はクロム、好ましくは酸化状態3のこれらの元素を表し、
Eが、塩素、C1〜C4アルキル又はフェニルを表すか、又は2個のXE基が置換又は非置換のブタジエン配位子を形成し、
15Eが、
【0192】
【化30】

で表される基を表し、
1Eが、−OR19E、−NR19E2、−PR19E2で表される基を表すか、又は非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ環基、特にヘテロ芳香族環基を表し、
Vは1であるか、又はA1Eが非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ環基を意味する場合に0又は1でも良く、
1E〜R3E及びR5Eが、それぞれ水素、C1〜C10アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C6〜C15アリール、Si(R8E3を表し、又は2個の隣接基が炭素原子数4〜12個の環基を形成する化合物である。
【0193】
好ましい実施の形態において、A1Eは非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基であり、M1Eはクロムである。極めて好ましくは、A1Eが非置換の基又は置換された基、例えば8位若しくは2位に結合したアルキル置換のキノリル又はピリジルであり、例えば、8−キノリル、8−(2−メチルキノリル)、8−(2,3,4−トリメチルキノリル)、8−(2,3,4,5,6,7−ヘキサメチルキノリル)であり、vが0であり、そしてM1Eがクロムである。
【0194】
この種の好ましい触媒D)は、
1−(8−キノリル)−2−メチル−4−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)−3−イソプロピル−5−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)−3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)テトラヒドロインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)インデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)−2−メチルインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)−2−イソプロピルインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)−2−エチルインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)−2−tert−ブチルインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)ベンゾインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−キノリル)−2−メチルベンゾインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチル−4−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−(2−メチルキノリル))−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−(2−メチルキノリル))テトラヒドロインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−(2−メチルキノリル))インデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチルインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−(2−メチルキノリル))−2−イソプロピルインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−(2−メチルキノリル))−2−エチルインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−(2−メチルキノリル))−2−tert−ブチルインデニルクロム(III)ジクロリド、
1−(8−(2−メチルキノリル))ベンゾインデニルクロム(III)ジクロリド、又は
1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチルベンゾインデニルクロム(III)ジクロリド、である。
【0195】
さらに、R15EがCH=CH又は1,2−フェニレンを表し、A1Eが−NR19E2を表す化合物、及びR15EがCH2、C(CH32又はSi(CH32を表し、A1Eが非置換若しくは置換の8−キノリル又は非置換若しくは置換の2−ピリジルを表す化合物が、製造が容易であるので好ましい。
【0196】
このような官能性のシクロペンタジエニル配位子の製造法は、以前から知られている。これらの錯体配位子の種々の合成経路は、例えばM. Endersらによって“Chem. Ber. (1996), 129, 459-463”に、又はP. Jutzi及びU. Siemelingによって“J. Orgmet. Chem. (1995), 500, 175-185”に記載されている。
【0197】
金属錯体、特にクロム錯体は、適当な金属塩、例えば金属塩化物を配位子アニオンと反応させる(例えば、DE−A−19710615号公報の実施例と類似の方法を用いる)ことによって簡易に得ることができる。
【0198】
他の好適な触媒D)には、シクロペンタジエニル又はヘテロシクロペンタジエニルと縮合ヘテロ環(ヘテロ環は芳香族性であり、窒素及び/又は硫黄を含んでいるのが好ましい。)から形成される少なくとも1個の配位子を含むメタロセンが含まれる。このような化合物は、例えばWO98/22486号パンフレットに記載されている。これらは、特にジメチルシランジイル(2−メチル−4−フェニルインデニル)(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリド又は(インデニル)(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリドである。
【0199】
他の好適な触媒D)は、メタロセン化合物を、例えばジルコニウムアルコキシドで処理して次いで例えば四塩化炭素で塩素化した無機酸化物と組み合わせた組成物である。このような組成物の製造法は、例えばWO01/41920号パンフレットに記載されている。
【0200】
他の好適な触媒D)には、構造的な特徴として、クロムが少なくとも1個のイミド基を有するイミドクロム化合物が含まれる。これらの化合物及びその製造法は、例えばWO01/09148号パンフレットに記載されている。
【0201】
さらなる好適な成分D)としては、3座配位の大環状配位子、特に置換及び非置換の1,3,5−トリアザシクロヘキサン及び1,4,7−トリアザシクロノナン、を含む遷移金属錯体が含まれる。この種の触媒において、クロム錯体が同様に好ましい。この種の好ましい触媒としては、[1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、[1,3,5−トリエチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、[1,3,5−トリオクチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、[1,3,5−トリドデシル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド及び[1,3,5−トリベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリドを挙げることができる。
【0202】
別の好適な触媒D)としては、例えば、下記式XV〜XIXで表される少なくとも1種配位子をし、
【0203】
【化31】

【0204】
遷移金属がTi、Zr、Hf、Sc、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Pd、Pt及び希土類金属の元素から選択される遷移金属錯体を挙げることができる。中心金属としてニッケル、鉄、コバルト又はパラジウムを有する化合物が好ましい。
【0205】
尚、EFは、元素周期律表第15族の元素、好ましくはN又はPを表し、Nが特に好ましい。分子中の2個又は3個の原子EFは同一でも異なっていても良い。
【0206】
配位子XV〜XIXにおいて同一でも異なっていても良い基R1F〜R25Fは、下記の意味を表す。すなわち、
1F及びR4Fが、相互に独立して、それぞれ炭化水素基又は置換炭化水素基、好ましくはEFに隣接する炭素原子が少なくとも2個の炭素原子に結合している炭化水素基を表し、
2F及びR3Fが、相互に独立して、それぞれ水素、炭化水素基又は置換炭化水素基を表し、R2F及びR3Fが相互に合体して1個以上のヘテロ原子が存在していても良い環基を形成しても良く、
6F及びR8Fが、相互に独立して、それぞれ炭化水素基又は置換炭化水素基を表し、
5F及びR9Fが、相互に独立して、それぞれ水素、炭化水素基又は置換炭化水素基を表し、且つ
6FとR5F、又はR8FとR9Fが相互に合体して環基を形成しても良く、
7Fが、相互に独立して、それぞれ水素、炭化水素基又は置換炭化水素基を表し、2個のR7Fが相互に合体して環基を形成しても良く、
10F及びR14Fが、相互に独立して、それぞれ炭化水素基又は置換炭化水素基を表し、
11F、R12F、R12F'及びR13Fが、相互に独立して、それぞれ水素、炭化水素基又は置換炭化水素基を表し、2個以上のジェミナル又はビシナル基R11F、R12F、R12F'及びR13Fが相互に合体して環基を形成しても良く、
15F及びR18Fが、相互に独立して、それぞれ水素、炭化水素基又は置換炭化水素基を表し、
16F及びR17Fが相互に独立して、それぞれ水素、炭化水素基又は置換炭化水素基を表し、
19F及びR25Fが、相互に独立して、それぞれC2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、炭素原子数1〜10個のアルキル部分及び炭素原子数6〜20個のアリール部分を有するアルキルアリールを表し、且つ有機基R19F及びR25Fがハロゲンで置換されていても良く、
20F〜R24Fが、相互に独立して、それぞれ水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、炭素原子数1〜10個のアルキル部分及び炭素原子数6〜20個のアリール部分を有するアルキルアリール、又はSiR26F3を表し、且つ有機基R20F〜R24Fがハロゲンで置換されていても良く、そして2個のビシナル基R20F〜R24Fが相互に合体して5又は6員環を形成しても良く、
26Fが、相互に独立して、それぞれ水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、炭素原子数1〜10個のアルキル部分及び炭素原子数6〜20個のアリール部分を有するアルキルアリールを表し、そして2個の基R26Fが相互に合体して5又は6員環を形成しても良く、
Xが0又は1を表し、且つXが0である場合に式(XVI)の錯体が負電荷を有しており、
yが1〜4までの整数を表し、2又は3が好ましい。
【0207】
中心金属としてFe、Co、Ni、Pd又はPtを有し、式(XV)で表される配位子を含む遷移金属錯体が特に有用である。Ni又はPdのジイミン錯体、例えば
ジ(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、
ジ(ジ−i−プロピルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、
ジ(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、
ジ(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、
ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、
ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、
ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、
ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、
ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、
ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、
ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、
ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、
ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、
ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、
ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、
ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、
ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンパラジウムジクロリド、
ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンニッケルジクロリド、
ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンジメチルパラジウム、
ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンジメチルニッケル、
1,1’−ビピリジルパラジウムジクロリド、
1,1’−ビピリジルニッケルジクロリド、
1,1’−ビピリジルジメチルパラジウム、
1,1’−ビピリジルジメチルニッケル、が特に好ましい。
【0208】
特に有用な化合物(XIX)には、“J. Am. Chem. Soc. 120, p.4049ff (1998)”、“J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1998, 849”及びWO98/27124号パンフレットに記載されている化合物も含まれる。EFは窒素であるのが好ましく、(XIX)のR19F及びR25Fは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェニル、−ジクロロフェニルもしくは−ジブロモフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェニルを表すのが好ましく、特に2,3−もしくは2,6−ジメチルフェニル、−ジイソプロピルフェニル、−ジクロロフェニルもしくは−ジブロモフェニル及び2,4,6−トリメチルフェニルが好ましい。同時に、RF及びR24Fが、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ベンジル又はフェニルであるのが好ましく、水素又はメチルであるのが特に好ましい。R21F及びR23Fが水素であるのが好ましく、R22Fが水素、メチル、エチル又はフェニル、特に水素であるのが好ましい。遷移金属Fe、Co又はNi、特にFeを有する配位子XIXの錯体が好ましい。特に好ましいのは、
2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジメチルフェニルイミン)鉄ジクロリド、
2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4,6−トリメチルフェニルイミン)鉄ジクロリド、
2,6−ジアセチルピリジンビス(2−クロロ−6−メチルフェニルイミン)鉄ジクロリド、
2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)鉄ジクロリド、
2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジクロロフェニルイミン)鉄ジクロリド、
2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒドビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)鉄ジクロリド、
2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジメチルフェニルイミン)コバルトジクロリド、
2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4,6−トリメチルフェニルイミン)コバルトジクロリド、
2,6−ジアセチルピリジンビス(2−クロロ−6−メチルフェニルイミン)コバルトジクロリド、
2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)コバルトジクロリド、
2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジクロロフェニルイミン)コバルトジクロリド、
2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒドビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)コバルトジクロリド、である。
【0209】
イミノフェノキシド錯体も、触媒D)として使用することができる。これらの錯体の配位子は、例えば、置換又は非置換のサリチルアルデヒド及び第一級アミン、特に置換又は非置換のアリールアミンから製造することができる。π環に1個以上のヘテロ原子を有するπ配位子、例えばボラタベンゼン配位子、ピロリルアニオン又はホスホリルアニオンを有する遷移金属錯体も、触媒D)として使用することができる。
【0210】
触媒D)として好適な他の錯体には、2座配位又は3座配位のキレート配位子を有する錯体が含まれる。このような配位子では、例えば、エーテル官能基がアミン又はアミド官能基に結合し、アミドがピリジン等のヘテロ芳香族環に結合してる。
【0211】
このような成分A)およびD)の組み合わせにより、例えば、二峰性生成物を製造することが可能となり、又はコモノマーをその場で生成することが可能となる。オレフィンの重合に慣用される少なくとも1種の触媒D)、必要により1種以上の活性化化合物C)の存在下に、少なくとも1種のモノシクロペンタジエニル錯体A)を使用するのが好ましい。ここでは、触媒の組み合わせA)及びD)に応じて、1種以上の活性化化合物C)が有効であろう。重合触媒D)も同様に担持されていても良く、そして本発明の錯体A)と同時に又は所望の順序で用いることができる。例えば、モノシクロペンタジエニル錯体A)及び重合触媒D)を同じ担体B)に担持することができ、又は異なる担体B)に担持することもできる。種々の触媒の混合物を成分D)として使用することもできる。モノシクロペンタジエニル錯体A)の重合触媒D)に対するモル比は、通常、1:100〜100:1の範囲であり、1:10〜20:1の範囲が好ましく、1:1〜10:1の範囲が特に好ましい。
【0212】
触媒組成物は、さらに、追加の成分E)として、下記式(XX)で表される金属化合物を含むことができる。
【0213】
【化32】

【0214】
上式において、MGは、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、亜鉛を表し、Li、Na、K、Mg、ホウ素、アルミニウム又は亜鉛が好ましく、
1Gは、水素、C1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、炭素原子数1〜10個のアルキル部分と炭素原子数6〜20個のアリール部分とを有するアルキルアリール又はアリールアルキルを表わし、
2G及びR3Gは、それぞれ、水素、ハロゲン、C1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、炭素原子数1〜20個のアルキル部分及び炭素原子数6〜20個のアリール部分を有するアルキルアリール又はアリールアルキル又はアルコキシを表し、又はC1〜C10アルキル若しくはC6〜C15アリールを有するアルコキシを表し、
Gは1〜3の整数を表し、
G及びtGは、0〜2の範囲の整数を表し、且つrG+sG+tGの合計はMGの価数に対応する。尚、上式において、成分E)は成分C)と同一でない。式(XX)で表される種々の金属化合物の混合物も使用することもできる。
【0215】
式(XX)で表される金属化合物のうち、MGがリチウム、マグネシウム、ホウ素又はアルミニウムでかつR1GがC1〜C20アルキルである金属化合物が好ましい。
【0216】
式(XX)で表される特に好ましい金属化合物として、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、n−ブチル−n−オクチルマグネシウム、n−ブチル−n−ヘプチルマグネシウム、特にn−ブチル−n−オクチルマグネシウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムフロリド、メチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド及びトリメチルアルミニウム、及びこれらの混合物を挙げることができる。アルミニウムアルキルとアルコールとの部分加水分解生成物も使用することができる。
【0217】
金属化合物E)を使用する場合、この化合物は、モノシクロペンタジエニル錯体A)の遷移金属に対する式(XX)の化合物のMGのモル比が2000:1〜0.1:1、好ましくは800:1〜0.2:1、特に好ましくは100:1〜1:1になるような量で、触媒組成物中に存在しているのが好ましい。
【0218】
一般に、固体触媒は、式(XX)で表される他の金属化合物E)(固体触媒の調製で使用される金属化合物E)と異なっていてもよい。)と一緒に、オレフィンの重合又は共重合用触媒組成物の成分として使用される。特に固体触媒が所定の活性化化合物C)を含んでいない場合には、触媒組成物は固体触媒に加えて固体触媒に含まれる活性化化合物C)と同一又は異なる1種以上の活性化化合物C)をさらに含むことができる。
【0219】
本発明の触媒組成物を製造するためには、少なくとも1種の成分A)及び/又は成分C)を担体B)上に物理吸着又は化学反応、即ち各成分の担体表面の反応基との共有結合、により固定するのが好ましい。担体成分B)、成分A)及び成分C)を組み合わせる順序は、重要ではない。成分A)とC)は、相互に独立して、又は同時に、又は成分B)と予め混合した形で添加することができる。各処理工程の後に、固体を適当な不活性溶媒、例えば脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素で洗浄することができる。
【0220】
好ましい形態において、モノシクロペンタジエニル錯体A)と活性化化合物C)とを好適な溶媒中で接触させ、通常、溶解性の反応生成物、付加物、又は混合物を得る。次いで、このようにして得られた調製物を、前処理されていても良い担体B)と接触させ、そして溶媒を完全に又は部分的に除去する。これにより、易流動性粉末の形態の固体が好ましく得られる。上述の処理の工業的実施の例は、WO96/00243号パンフレット、WO98/40419号パンフレット又はWO00/05277号パンフレットに記載されている。別の好ましい形態では、まずカチオン形成化合物C)を担体B)に施し、次いで、この担持されたカチオン形成化合物をモノシクロペンタジエニル錯体A)と接触させる。
【0221】
成分D)も同様に、成分A)及び必要によりB)、C)及びE)と任意の順序で反応させることができる。最初に、D)を成分C)と接触させ、その後、上述のように、成分A)及びB)、別のC)で処理するのが好ましい。別の好ましい形態において、固体触媒を上述したように成分A)、B)及びC)から調製して、これを重合中、重合の開始時又は重合の直前に成分E)と接触させる。最初にE)を重合すべきα−オレフィンと接触させ、次いで上述したように成分A)、B)及びC)を含む触媒固体を添加するのが好ましい。
【0222】
モノシクロペンタジエニル錯体A)を、重合すべきオレフィンと接触させる前又は接触させた後に、成分C)及び/又は成分D)と接触させることができる。オレフィンとの混合前に1種以上の成分C)を用いて予備活性化し、この混合物をオレフィンと接触させた後、同一又は異種の成分C)及び/又はD)をさらに添加することも可能である。予備活性化は、10〜100℃の範囲で行われるのが一般的であり、20〜80℃の範囲が好ましい。
【0223】
まず触媒組成物をα−オレフィン、好ましくは直鎖状C2〜C10−1−アルケン、特にエチレン又はプロピレンと予備重合させ、次いで得られた予備重合固体触媒を実際の重合で使用することもできる。予備重合において、使用された固体触媒のこの固体上に重合されたモノマーに対する質量比は、一般的には1:0.1〜1:1000、好ましくは1:1〜1:200の範囲である。
【0224】
さらに、変性成分としての少量のオレフィン、好ましくはα−オレフィン、例えばビニルシクロヘキサン、スチレン又はフェニルジメチルビニルシラン、帯電防止化合物又は好適な不活性化合物、例えばワックス又はオイルを添加剤として触媒組成物の製造中又は製造後に添加することができる。遷移金属化合物B)に対する添加剤のモル比は、通常、1:1000〜1000:1の範囲であり、1:5〜20:1の範囲が好ましい。
【0225】
本発明の触媒組成物は、オレフィンの重合、特にα−オレフィン、すなわち末端二重結合を有する炭化水素の重合に好適である。好適なモノマーには、官能化オレフィン性不飽和化合物、例えばアクロレイン、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミド誘導体、例えばアクリレート、メタクリルレート、又はアクリロニトリル、又はビニルエステル、例えば酢酸ビニルが含まれる。アリール置換α−オレフィン等の非極性オレフィン化合物を使用するのが好ましい。特に好ましいα−オレフィンとしては、直鎖又は分枝のC2〜C12−1−アルケン、特に直鎖のC2〜C10−1−アルケン、例えばエテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、又は分枝のC2〜C10−1−アルケン、例えば4−メチル−1−ペンテン、共役又は非共役のジエン、例えば1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、又は芳香族ビニル化合物、例えばスチレン又は置換スチレンを挙げることができる。種々のα−オレフィンの混合物を重合することもできる。エテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン及び1−デセンからなる群から選択された少なくとも1種のオレフィンを重合するのが好ましい。
【0226】
好適なオレフィンには、二重結合が1個以上の環を含むことができる環構造の一部になっているようなオレフィンが含まれる。例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及びメチルノルボルネン、並びにジエン、例えば5−エチリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、又はエチルノルボルナジエンを挙げることができる。
【0227】
2種以上のオレフィンの混合物を重合させることもできる。公知の一部の鉄及びコバルトの錯体と対照的に、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、高級α−オレフィンの場合であっても良好な重合活性を示すので、その共重合への適性は特に強調すべきことである。特に、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、エテン又はプロペンの重合又は共重合に用いることができる。エテンの重合におけるコモノマーとして、C3−C8−α−オレフィン又はノルボルネン、特に1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを使用するのが好ましい。少なくとも50モル%のエテンを含むモノマー混合物を使用するのが好ましい。プロピレンの重合におけるコモノマーとしては、エテン及び/又はブテンが好ましい。
【0228】
重合は、オレフィンの重合に使用される通常の反応器内で、公知の塊状重合、懸濁重合、気相重合、又は超臨界媒体中での重合の方法で行うことができる。重合は、回分法により行うことができ、又は、好適には連続的に1段階以上の工程で行うことができる。管型反応器又はオートクレーブでの高圧重合法、溶液法、懸濁法、撹拌気相法又は気相流動床法が全て可能である。
【0229】
重合は、通常、−60〜350℃の温度及び0.5〜4000barの圧力下で0.5〜5時間、好適には0.5〜3時間の平均滞留時間の条件で行なわれる。重合を行うための有利な圧力及び温度範囲は、一般に、重合法に大きく依存して変化する。通常、1000〜4000bar、特に2000〜3500barの圧力下で行なわれる高圧重合法の場合、一般に、重合温度も高く設定される。これらの高圧重合法における有利な温度範囲は、200〜320℃、特に220〜290℃である。低圧重合法の場合、一般にポリマーの軟化温度より少なくとも数℃低い温度に設定される。これらの重合法は、特に、50〜180℃、好ましくは70〜120℃の温度で行うのが好ましい。懸濁重合の場合、重合は、通常、懸濁媒中で、好ましくはイソブタン等の不活性炭化水素又は炭化水素の混合物中で、或いはその他にモノマーそれ自体の中で行なわれる。重合温度は、一般に−20〜115℃の範囲であり、圧力は、一般に1〜100barの範囲である。懸濁液の固体含有量は、一般的には10〜80%の範囲である。重合は、例えば、撹拌式オートクレーブ中での回分法により、又は例えば管状反応器、好ましくはループ反応器中での連続法により行うことができる。重合は、US−A−3242150号公報及びUS−A−3248179号公報に記載されているフィリップスPF法により行うのが特に好ましい。気相重合は、一般に、30〜125℃の範囲で行なわれる。
【0230】
上述の重合法の中で、気相重合、特に気相流動床反応器内での気相重合、溶液重合、及び懸濁重合、特にループ式反応器及び撹拌式タンク反応器内での懸濁重合が特に好ましい。気相重合は凝縮相又は過凝縮相の状態で行うこともでき、この場合は循環ガスの一部を露点未満に冷却して2相混合物として反応器に循環させる。2つの重合領域を相互に連結し、そしてポリマーをこの2つの領域に交互に何度も通過させる多領域反応器を用いることも可能である。2つの領域は、異なる重合条件を有していてもよい。このような反応器は、例えば、WO97/04015号パンフレットに記載されている。異なる又は同一の重合工程を所望により直列に接続し、例えばホスタレン(Hostalen)法における重合カスケードを形成することもできる。2種以上の同一又は異なる工程を用いる反応器を平行に配置することも可能である。さらに、モル質量調整剤、例えば水素、又は帯電防止剤等の一般的な添加物を重合に使用することができる。
【0231】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体及びこの錯体を含む触媒組成物は、コンビナトリアルケミストリー法によって製造することもでき、またはその重合活性をコンビナトリアル法を用いて試験することができる。
【0232】
本発明の方法により、オレフィンのポリマーを製造することができる。本発明の説明において使用される“重合”という語は、ポリマー化とオリゴマー化の両方を意味し、すなわち、本発明の方法により、約56〜10000000g/モルの範囲のモル質量Mwを有するオリゴマー及びポリマーを製造することができる。
【0233】
本発明の触媒組成物を使用して製造されたオレフィンポリマーは、良好な機械的特性を示すため、フィルム、繊維及び成形体の製造に特に有用である。
【0234】
本発明の触媒組成物は、オレフィンの重合において極めて高い生産性を示し、重合後のポリマーの後処理において利点を示し、ポリマーにおける触媒残留物に関する問題がほとんど生じない。本発明の触媒組成物を使用して製造されたポリマーは、高い生産性が要求される用途に特に有用である。さらに、本発明の触媒組成物は、遷移金属化合物に対するアルミノキサンのモル比が比較的小さい場合でさえ、極めて良好な活性を示す。
【実施例】
【0235】
密度[g/cm3]は、ISO1183に従い測定した。
【0236】
モル質量分布及びこのモル質量分布から誘導される平均値Mn、Mw及びMw/Mnの測定を、ドイツ工業規格DIN55672に基づく方法を用いて、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって、下記の条件下で行った。較正はPE標準物質により行った。
【0237】
溶剤:1,2,4−トリクロロベンゼン、
流速:1mL/分、
温度:140℃
また、以下の表1中の略語は下記の意味を表わす。
【0238】
cat.: 触媒
t(poly): 重合時間
ポリマー: 形成されたポリマーの量
w: 重量平均モル質量
n: 数平均モル質量
密度: ポリマーの密度
生産性: 1時間あたりの使用触媒(クロム錯体)1mmolに対する形成されたポリマーの量(g)によって評価した触媒の生産性。
【0239】
例1:
1.1 [2−(1H−インデン−3−イル)メチル]ピリジンの調製
29.5mL(0.3mol)のα−ピコリンと140mLのテトラヒドロフランの混合物を−20℃に冷却し、次いで187.5mLのn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M溶液、0.3mol)を攪拌しながら添加した。混合物を攪拌しながら室温まで温め、次いで35mLのテトラヒドロフラン中に39.6g(0.3mol)の1−インダノンを溶解させた溶液を攪拌しながら25分間で添加した。次いで混合物をさらに1.5時間攪拌し、600mLの希塩酸で加水分解し、有機相を分離し、水相をジエチルエーテルで1回抽出した。次いで水相をアンモニア水で中和し、それぞれ150mLのクロロホルムで3回抽出した。有機相を集めて、溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた1−(2−ピリジルメチル)−1−インダノールを500mLの濃度10質量%の塩酸を使用して溶解させ、水浴上で3時間加熱した。反応混合物を冷却し、エーテルで洗浄し、水相をアンモニア水で中和した。中和後の水相をそれぞれ150mLのクロロホルムで3回抽出し、有気相を集めて硫酸マグネシウム上で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過した後、溶媒を蒸留除去したところ、52.7gの2−(1H−インデン−3−イルメチル)ピリジンおよび2−[(E)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イルインデンメチル]ピリジンが10:9の比率で混合された混合物が得られた。総収率は95%であった。1H−NMR(CDCl3基準):8.61(d,1H);7.61(td,1H);7.55(d,1H);7.51(d,1H);7.36(d,1H);7.32−7.22(m,3H);7.16(dd,1H);6.31(m,1H);4.17(br s,2H);3.43(br s,2H)。
【0240】
1.2 (1−(2−ピリジルメチル)インデニル)クロムジクロリドの製造
550mLのテトラヒドロフランに上述の52.7gの2−(1H−インデン−3−イルメチル)ピリジンおよび2−[(E)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イルインデンメチル]ピリジンが10:9の比率で混合された混合物を溶解させた溶液を、−100℃に冷却した。ヘキサンにn−ブチルリチウムを15%の濃度で溶解した溶液80.5mL(n−ブチルリチウム0.1288mol)をゆっくりと滴下した。添加終了後、反応混合物を−100℃でさらに45分間攪拌した。次いで混合物を室温に温め、さらに2時間攪拌した後、溶液を−60℃に冷却し、49g(0.1288mol)のクロムトリクロリドトリス(テトラヒドロフラン)を攪拌しながら添加した。混合物をゆっくりと室温に温め、次いでさらに室温で10時間攪拌した。次いで反応混合物を20分還流し、次いで室温に冷却した。沈殿した固体を濾過し、熱テトラヒドロフランで洗浄した。次いで固体をジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥した。24.9gの(1−(2−ピリジルメチル)インデニル)クロムジクロリドが得られた(59%)。
【0241】
例2:
2.1 [2−(1H−インデン−3−イル)−1−メチルエチル]ピリジンの調製
7.25g(0.046mol)の2−ブロモピリジンを20mLのジエチルエーテルに溶解させた溶液を−60℃に冷却し、28.7mLのn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M溶液、0.046mol)と70mLのジエチルエーテルの混合物を次いで攪拌しながら添加した。混合物をさらに15分間攪拌し、次いで10mLのエーテル中に7.16g(0.046mol)の1−(1−メチルエチルインデン)−1−インデンを溶解させた溶液を添加した。混合物を室温に温め、100mLの希塩酸で加水分解し、有機相を分離し、水相をジエチルエーテルで1回抽出した。次いで水相をアンモニア水で中和し、それぞれ50mLのクロロホルムで3回抽出した。有機相を集めて硫酸マグネシウム上で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過した後、溶媒を蒸留除去したところ、0.54g(5%)の[2−(1H−インデン−3−イル)−1−メチルエチル]ピリジンが得られた。
【0242】
2.2 (3−(2−ピリジル−1−メチルエチル)インデニル)クロムジクロリドの製造
【0243】
【化33】

【0244】
20mLのテトラヒドロフランに0.54g(0.0023mol)の[2−(1H−インデン−3−イル)−1−メチルエチル]ピリジンを溶解させた溶液を、−100℃に冷却した。ヘキサンにn−ブチルリチウムを15%の濃度で溶解させた溶液1.72mL(0.0027mol)をゆっくりと滴下した。添加終了後、反応混合物を−100℃でさらに30分間攪拌した。混合物を室温に温め、さらに1時間攪拌した後、溶液を−60℃に冷却し、1.1g(0.0029mol)のクロムトリクロリドトリス(テトラヒドロフラン)を攪拌しながら添加した。混合物をゆっくりと室温に温め、次いでさらに室温で10時間攪拌した。次いで反応混合物を20分還流し、次いで室温に冷却した。沈殿した固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥した。0.3gの(3−(2−ピリジル−1−メチルエチル)インデニル)クロムジクロリドが得られた(37%)。
【0245】
例3:
3.1 2−イソプロピルピリジンの調製
19.4mL(0.17mol)の2−エチルピリジンを100mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を−20℃に冷却し、125mLのn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M溶液、0.2mol)を次いで攪拌しながら添加した。混合物を室温に温め、さらに1時間攪拌し、再び−20℃に冷却した。次いで20mLのテトラヒドロフラン中に18mL(0.25mol)のヨウ化メチルを溶解させた溶液を、温度が−20℃に維持されるような速度で添加した。混合物を室温に温め、さらに14時間攪拌し、60mLの水で加水分解した。有機相を分離し、水相をそれぞれ50mLのジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を集め、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過した後、溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた残留物を81〜84℃/60torrの条件で蒸留したところ、10.88g(53%)の2−イソプロピルピリジンが得られた。
【0246】
3.2 2−[1−(1H−インデン−3−イル)−1−メチルエチル)ピリジンの製造
47mLのテトラヒドロフランに10.8g(0.09mol)の2−イソプロピルピリジンを溶解させた溶液を−20℃に冷却し、次いで62.5mLのn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M溶液、0.11mol)を攪拌しながら添加した。混合物を室温に温め、さらに1時間攪拌した。次いで12mLのテトラヒドロフラン中に15.84g(0.12mol)の1−インダノンを溶解させた溶液を、温度が25℃に維持されるような速度で添加した。混合物をさらに12時間攪拌し、200mLの希塩酸で加水分解し、有機相を分離し、水相をジエチルエーテルで1回抽出した。次いで水相をアンモニア水で中和し、それぞれ100mLのクロロホルムで3回抽出した。有機相を集めて、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過した後、溶媒を蒸留除去したところ、16.6g(77%)の2−[1−(1H−インデン−3−イル)−1−メチルエチル)ピリジンが得られた。
【0247】
例4:
4.1 [2−(1H−インデン−3−イル)(フェニル)メチル]ピリジンの調製
3.23mL(0.02mol)の2−ベンジルピリジンを15mLのジエチルエーテルと混合した混合物を−20℃に冷却し、次いで13mLのn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M溶液、0.02mol)を攪拌しながら添加した。混合物を室温に温め、さらに1時間攪拌し、次いで−60℃に冷却した。次いで、10mLのジエチルエーテル中に2.8g(0.021mol)の1−インダノンを溶解させた溶液を温度が維持されるような速度で添加した。混合物を室温に温め、さらに3.5時間攪拌し、40mLの希塩酸で加水分解した。沈殿した固体を濾過し、有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。次いで水相をアンモニア水で中和し、それぞれ30mLの塩化メチレンで3回抽出した。有機相を集めて硫酸マグネシウム上で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過した後、溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた残留物をヘキサンから再結晶させたところ、1.9g(34%)の[2−(1H−インデン−3−イル)(フェニル)メチル]ピリジンが得られた。
【0248】
4.2 (3−(2−ピリジル−1−フェニルメチル)インデニル)クロムジクロリドの製造
60mLのテトラヒドロフランに4.63g(0.016mol)の[2−(1H−インデン−3−イル)(フェニル)メチル]ピリジンを溶解させた溶液を、−100℃に冷却した。ヘキサンにn−ブチルリチウムを15%の濃度で溶解させた溶液11mL(0.016mol)をゆっくりと滴下した。添加終了後、反応混合物を−100℃でさらに1時間攪拌した。次いで混合物を室温に温めた。さらに1時間攪拌した後、溶液を−60℃に冷却し、6.15g(0.016mol)のクロムトリクロリドトリス(テトラヒドロフラン)を攪拌しながら添加した。混合物をゆっくりと室温に温め、次いでさらに室温で10時間攪拌した。次いで反応混合物を20分還流し、次いで室温に冷却した。沈殿した固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥した。4.4gの(3−(2−ピリジル−1−フェニルメチル)インデニル)クロムジクロリドが得られた(40%)。
【0249】
例5:
5.1 2−(1−メチル−4−ペンテニル)ピリジンの調製
8.46mL(0.074mol)の2−エチルピリジンを35mLのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を−20℃に冷却し、次いで47mLのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15質量%溶液、0.074mol)を攪拌しながら添加した。混合物を室温に温め、さらに1時間攪拌し、再び−20℃に冷却した。次いで10mLのテトラヒドロフラン中に7.52mL(0.074mol)の4−ブロモ−1−ブテンを溶解させた溶液を、温度が−20℃に維持されるような速度で添加した。混合物を室温に温め、さらに14時間攪拌し、50mLの水で加水分解した。有機相を分離し、水相をそれぞれ30mLのジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を集め、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過した後、溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた残留物を98〜100℃/14torrの条件で蒸留したところ、8.95g(75%)の2−(1−メチル−4−ペンテニル)ピリジンが得られた。
【0250】
5.2 2−[1−(1H−インデン−3−イル)−1−メチル−4−ペンテニル]ピリジンの調製
8.95g(0.0556mol)の2−(1−メチル−4−ペンテニル)ピリジンを50mLのテトラヒドロフランに溶解した溶液を−20℃に冷却し、次いで35mLのn−ブチルリチウム(ヘキサン中15質量%溶液、0.0556mol)を攪拌しながら添加した。混合物を室温に温め、さらに1時間攪拌した。次いで、8mLのテトラヒドロフラン中に7.33gの1−インダノンを溶解させた溶液を温度が25℃に維持されるような速度で添加した。混合物をさらに3時間攪拌し、150mLの希塩酸で加水分解した。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで1回抽出した。次いで水相をアンモニア水で中和し、それぞれ80mLのジクロロメタンで3回抽出した。有機相を集めて硫酸マグネシウム上で乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過した後、溶媒を蒸留除去した。得られた粗生成物(約10g)から出発物質の2−(1−メチル−4−ペンテニル)ピリジンを分離するためにヘキサン:ジクロロメタン=1:1の混合物を使用してカラムクロマトクラフィーで精製した。次いで、ヘキサン:ジクロロメタン=1:2の混合物を使用した。この結果、4.81g(31%)の2−[1−(1H−インデン−3−イル)−1−メチル−4−ペンテニル]ピリジンが得られた。
【0251】
5.3 (3−(2−ピリジル−1−メチル−4−ペンテニル)インデニル)クロムジクロリドの製造
【0252】
【化34】

【0253】
60mLのテトラヒドロフランに4.81g(0.01747mol)の2−[1−(1H−インデン−3−イル)−1−メチル−4−ペンテニル]ピリジンを溶解させた溶液を、−100℃に冷却した。ヘキサンにn−ブチルリチウムを15%の濃度で溶解させた溶液11.5mL(0.01834mol)をゆっくりと滴下した。添加終了後、反応混合物を−100℃でさらに1時間攪拌した。次いで混合物を室温に温め、さらに2時間攪拌した後、溶液を−60℃に冷却し、7.07g(0.0189mol)のクロムトリクロリドトリス(テトラヒドロフラン)を攪拌しながら添加した。混合物をゆっくりと室温に温め、さらに室温で10時間攪拌した。沈殿した固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥した。ジクロロメタンとジエチルエーテルの混合物から再結晶したところ、2.5gの(3−(2−ピリジル−1−メチル−4−ペンテニル)インデニル)クロムジクロリドが得られた(36%)。
【0254】
比較例1
5−[(2−ピリジル)メチル]−1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニルクロムジクロリドを、WO01/92346の方法で作製した。
【0255】
重合
重合を、接触温度計、テフロン(登録商標)羽根を備えた撹拌器、加熱マントル及び気体導入管を備えた容量1Lの4口フラスコ中で、アルゴン雰囲気下40℃で行った。表1に示した量の各々の錯体を250mLのトルエンに溶解した溶液に、適量のMAO(10%濃度のトルエン溶液、Cr:Al=1:500)を加え、その混合物を水浴上で40℃に加熱した。
【0256】
エチレンの導入直前に、(共重合の場合のみ)3mLのヘキセンをフラスコに導入し、次いでエチレンを約20〜40L/hの流速で大気圧下でフラスコ内に通した。(表1に示した共重合の場合の)ヘキセンの残量を、滴下濾斗を介して15分間に亘って導入した。一定のエチレン流量条件下に表1に示した時間を経過させた後、メタノール性のHCl溶液(15mLの濃塩酸を50mLのメタノールに溶解)を添加して重合を停止させた。次いで、250mLのメタノールを添加し、得られた白色ポリマーを濾過し、メタノールで洗浄し、70℃で乾燥した。
【0257】
【表1】

【0258】
重合
例1の錯体を、例5の錯体に対して示したように、エチレン重合およびエチレンと1−ヘキセンとの共重合(3および9mLのヘキサンを使用)のために使用した。このようにして得られたエチレン単独重合体のモル質量Mwは、354078g/molであった。しかしながら、エチレン−ヘキセン共重合体のモル質量Mwは283910g/molであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
(Cp)(−Z−A)mM (I)
{但し、Cpがシクロペンタジエニル基を表し、
Zが、下記式:
【化1】

(但し、L1Bが、それぞれ相互に独立して炭素又はケイ素を表し、
1Bが、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R1Bがハロゲンで置換されていても良く、R1BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
2Bが、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、又はアルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。)で表される、AとCpとの間の架橋基を表し、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
Mが、酸化状態が3価のチタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンから選択される金属であり、そして
mが、1、2又は3である。}
で表される構造的特徴を含むモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項2】
式(VI):
(Cp)(−Z−A)mMXk (VI)
{但し、Cpがシクロペンタジエニル基を表し、
Zが、下記式:
【化2】

(但し、L1Bが、それぞれ相互に独立して炭素又はケイ素を表し、
1Bが、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R1Bがハロゲンで置換されていても良く、R1BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
2Bが、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、又はアルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。)で表される、AとCpとの間の架橋基を表し、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
Mが、酸化状態が3価のチタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンから選択される金属であり、そして
mが、1、2又は3であり、
Xが、それぞれ相互に独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR12、OR1、SR1、SO31、OC(O)R1、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF4-、PF6-、又は嵩高い非配位アニオンを表し、
1及びR2が、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR33を表し、当該有機機R1及びR2がハロゲンで置換されていても良く、2個の基R1とR2が連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3が、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3が連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
kが1、2又は3である。}
で表される、請求項1に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項3】
シクロペンタジエニル基Cpが、下記式(II):
【化3】

{但し、E1A〜E5Aが、それぞれ炭素を表し、或いは1個以下のE1A〜E5Aがリンを表し、
1A〜R5Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、SiR6A3、又はBR6A2を表し、当該有機基R1A〜R5Aがハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R5Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R5Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を有するヘテロ環を形成し、且つ1、2又は3個の置換基R1A〜R5Aがそれぞれ−Z−A基であり、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。}で表される、請求項1又は2に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項4】
−Z−A基と結合したシクロペンタジエニル基Cpが、下記式(IV):
【化4】

{但し、E1A〜E5Aが、それぞれ炭素を表すか、1個以下のE1A〜E5Aがリンを表し、
1A〜R4Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、又はSiR6A3を表し、当該有機基R1A〜R4Aがハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を有するヘテロ環を形成し、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
Zが、下記式:
【化5】

(但し、L1Bが、それぞれ相互に独立して炭素又はケイ素を表し、
1Bが、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R1Bがハロゲンで置換されていても良く、R1BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
2Bが、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、又はアルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。)で表される、AとCpとの間の架橋基を表す。}で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項5】
Aが、下記式(III):
【化6】

{但し、E1C〜E4Cが、それぞれ、炭素または窒素を表し、
1C〜R4Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR5C3を表し、当該有機基R1C〜R4Cが、ハロゲン又は窒素で置換されていても良く、或いはさらにC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール又はSiR5C3で置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1C〜R4C又はR1CとZとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
5Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R5Cが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
pが、E1C〜E4Cが窒素の場合は0を表し、E1C〜E4Cが炭素の場合は1を表す。}で表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項6】
1Bが炭素を表す、請求項1〜5のいずれか1項に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項7】
Zが−CH(C65)−を表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項8】
A)少なくとも1種の、請求項1〜7のいずれか1項に記載のモノシクロペンタジエニル錯体、
B)任意に、有機又は無機の担体、
C)任意に、1種以上の活性化化合物、
D)任意に、オレフィン重合に好適な1種以上の触媒、及び
E)任意に、元素周期律表の第1、2又は13族の金属を含有する1種以上の金属化合物、
を含むオレフィン重合用触媒組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の触媒組成物、及び該触媒組成物に対して1:0.1〜1:1000の質量比でこの触媒組成物上に重合した1種以上の直鎖のC2〜C10−1−アルケンを含む予備重合触媒組成物。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の触媒組成物をオレフィンの重合又は共重合に使用する方法。
【請求項11】
請求項8又は9に記載の触媒組成物の存在下にオレフィンを重合又は共重合することによりポリオレフィンを製造する方法。
【請求項12】
下記式(VII):
【化7】

{但し、R1A〜R4Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、又はSiR6A3を表し、当該有機基R1A〜R4Aがハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を含むヘテロ環を形成し、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
4Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R4Bがハロゲンで置換されていても良く、2個のジェミナル基又はビシナル基R4Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。}で表されるシクロペンタジエニルアニオンを製造する方法であって、
-アニオンを下記式(VIIIa):
【化8】

で表されるフルベンと反応させる工程a)、又は
有機金属化合物R4BBBb
(但し、MBが元素周期律表の第1又は2族の金属を表し、
Bが、ハロゲン、C1〜C10アルキル、アルキル部分に1〜20個の炭素原子を有し及び/又はアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルコキシ、或いはR2Bを表し、
bが、MBが元素周期律表の第1族の金属を表す場合は0を表し、MBが元素周期律表の第2族の金属を表す場合は1を表す。)を、下記式(VIIIb):
【化9】

で表されるフルベンと反応させる工程a’)、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
下記式(VIIa):
【化10】

{但し、E6A〜E10Aは、それぞれ炭素を表し、且つ4個の隣接するE6A〜E10Aが共役ジエンを形成し、残りのE6A〜E10Aがさらに水素原子を有し、
1A〜R4Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、又はSiR6A3を表し、当該有機基R1A〜R4Aがハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を含むヘテロ環を形成し、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
2Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとAが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。}で表されるシクロペンタジエンを製造する方法であって、
A−CR2B2B-アニオンを、下記式(IX):
【化11】

で表されるシクロペンテノンと反応させる工程a”)を含むことを特徴とする方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
(Cp)(−Z−A)mM (I)
{但し、Cpがシクロペンタジエニル基を表し、
Zが、下記式:
【化1】

(但し、L1Bが、それぞれ相互に独立して炭素又はケイ素を表し、
1Bが、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R1Bがハロゲンで置換されていても良く、R1BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
2Bが、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、又はアルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。)で表される、AとCpとの間の架橋基を表し、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
Mが、酸化状態が3価のチタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンから選択される金属であり、そして
mが、1、2又は3である。}
で表される構造的特徴を含むモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項2】
式(VI):
(Cp)(−Z−A)mMXk (VI)
{但し、Cpがシクロペンタジエニル基を表し、
Zが、下記式:
【化2】

(但し、L1Bが、それぞれ相互に独立して炭素又はケイ素を表し、
1Bが、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R1Bがハロゲンで置換されていても良く、R1BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
2Bが、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、又はアルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。)で表される、AとCpとの間の架橋基を表し、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
Mが、酸化状態が3価のチタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンから選択される金属であり、そして
mが、1、2又は3であり、
Xが、それぞれ相互に独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR12、OR1、SR1、SO31、OC(O)R1、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF4-、PF6-、又は嵩高い非配位アニオンを表し、
1及びR2が、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR33を表し、当該有機機R1及びR2がハロゲンで置換されていても良く、2個の基R1とR2が連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3が、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3が連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
kが1、2又は3である。}
で表される、請求項1に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項3】
シクロペンタジエニル基Cpが、下記式(II):
【化3】

{但し、E1A〜E5Aが、それぞれ炭素を表し、或いは1個以下のE1A〜E5Aがリンを表し、
1A〜R5Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、SiR6A3、又はBR6A2を表し、当該有機基R1A〜R5Aがハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R5Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R5Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を有するヘテロ環を形成し、且つ1、2又は3個の置換基R1A〜R5Aがそれぞれ−Z−A基であり、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。}で表される、請求項1又は2に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項4】
−Z−A基と結合したシクロペンタジエニル基Cpが、下記式(IV):
【化4】

{但し、E1A〜E5Aが、それぞれ炭素を表すか、1個以下のE1A〜E5Aがリンを表し、
1A〜R4Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、又はSiR6A3を表し、当該有機基R1A〜R4Aがハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を有するヘテロ環を形成し、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
Zが、下記式:
【化5】

(但し、L1Bが、それぞれ相互に独立して炭素又はケイ素を表し、
1Bが、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R1Bがハロゲンで置換されていても良く、R1BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
2Bが、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとAとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、又はアルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。)で表される、AとCpとの間の架橋基を表す。}で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項5】
Aが、下記式(III):
【化6】

{但し、E1C〜E4Cが、それぞれ、炭素または窒素を表し、
1C〜R4Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR5C3を表し、当該有機基R1C〜R4Cが、ハロゲン又は窒素で置換されていても良く、或いはさらにC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール又はSiR5C3で置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1C〜R4C又はR1CとZとが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
5Cが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R5Cが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
pが、E1C〜E4Cが窒素の場合は0を表し、E1C〜E4Cが炭素の場合は1を表す。}で表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項6】
1Bが炭素を表す、請求項1〜5のいずれか1項に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項7】
Zが−CH(C65)−を表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載のモノシクロペンタジエニル錯体。
【請求項8】
A)少なくとも1種の、請求項1〜7のいずれか1項に記載のモノシクロペンタジエニル錯体、
B)任意に、有機又は無機の担体、
C)任意に、1種以上の活性化化合物、
D)任意に、オレフィン重合に好適な1種以上の触媒、及び
E)任意に、元素周期律表の第1、2又は13族の金属を含有する1種以上の金属化合物、
を含むオレフィン重合用触媒組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の触媒組成物、及び該触媒組成物に対して1:0.1〜1:1000の質量比でこの触媒組成物上に重合した1種以上の直鎖のC2〜C10−1−アルケンを含む予備重合触媒組成物。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の触媒組成物をオレフィンの重合又は共重合に使用する方法。
【請求項11】
請求項8又は9に記載の触媒組成物の存在下にオレフィンを重合又は共重合することによりポリオレフィンを製造する方法。
【請求項12】
下記式(VII):
【化7】

{但し、R1A〜R4Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、又はSiR6A3を表し、当該有機基R1A〜R4Aがハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を含むヘテロ環を形成し、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
4Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R4Bがハロゲンで置換されていても良く、2個のジェミナル基又はビシナル基R4Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。}で表されるシクロペンタジエニルアニオンを製造する方法であって、
-アニオンを下記式(VIIIa):
【化8】

で表されるフルベンと反応させる工程a)、又は
有機金属化合物R4BBBb
(但し、MBが元素周期律表の第1又は2族の金属を表し、
Bが、ハロゲン、C1〜C10アルキル、アルキル部分に1〜20個の炭素原子を有し及び/又はアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルコキシ、或いはR2Bを表し、
2Bが、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールまたはSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとA-とが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
bが、MBが元素周期律表の第1族の金属を表す場合は0を表し、MBが元素周期律表の第2族の金属を表す場合は1を表す。)を、下記式(VIIIb):
【化9】

で表されるフルベンと反応させる工程a’)、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
下記式(VIIa):
【化10】

{但し、E6A〜E10Aは、それぞれ炭素を表し、且つ4個の隣接するE6A〜E10Aが共役ジエンを形成し、残りのE6A〜E10Aがさらに水素原子を有し、
1A〜R4Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、NR6A2、N(SiR6A32、OR6A、OSiR6A3、又はSiR6A3を表し、当該有機基R1A〜R4Aがハロゲンで置換されていても良く、及び2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、及び/又は2個のビシナル基R1A〜R4Aが連結してN、P、O及びSから選択される少なくとも1個の原子を含むヘテロ環を形成し、
6Aが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個のジェミナル基R6Aが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
Aが、非置換の、置換された又は縮合されたヘテロ芳香族環基を表し、
2Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSiR3B3を表し、当該有機基R2Bがハロゲンで置換されていても良く、R2BとAが連結して5員又は6員の環を形成しても良く、
3Bが、それぞれ相互に独立して、水素、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C6〜C20アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子を有し、アリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表し、2個の基R3Bが連結して5員又は6員の環を形成しても良い。}で表されるシクロペンタジエンを製造する方法であって、
A−CR2B2B-アニオンを、下記式(IX):
【化11】

で表されるシクロペンテノンと反応させる工程a”)を含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−511610(P2006−511610A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502549(P2005−502549)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014447
【国際公開番号】WO2004/056482
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(500585878)バーゼル、ポリオレフィン、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (35)
【Fターム(参考)】