説明

モータおよび記録媒体駆動装置

本発明は、軸体支持部との隙間に充填された流体の動圧により軸体を回転自在に支持する流体動圧軸受を備えたモータに関し、コア(33)及びコイル(35)を有するステータ(2)と、ステータ(2)の半径方向内方にコア及びコイルに対向して円環状に配列された永久磁石(45)を有するロータ(3)と、ステータに対してロータを回転自在に支持する流体動圧軸受(4)とを備え、流体動圧軸受(4)が、断面略十字型の円柱状に形成された軸体(5)と、該軸体(5)を収容する軸体挿入穴(7a)を形成した軸体支持部(7)と、軸体(5)と軸体挿入穴(7a)との隙間に充填された流体(9)とを備え、該流体(9)と、軸体(5)の外面、又は、該外面に対向する軸体挿入穴(7a)の内面の少なくとも一方に形成された動圧発生溝とにより構成された動圧発生部を備えるモータを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、軸体支持部との隙間に充填された流体の動圧により軸体を回転自在に支持する流体動圧軸受を備えたモータ、およびこのモータを備えた記録媒体駆動装置に関する。
【背景技術】
従来、据え置き型のパーソナルコンピュータや携行可能なノートパソコン等の端末装置に搭載されるハードディスク装置(以下、HDDと呼ぶ。)には、ディスク状に形成された記録媒体を所定の回転速度で回転させるモータが設けられている(例えば、特許第3184794号公報参照。)。
このモータは、図4に示すように、記録媒体を回転自在とするための流体動圧軸受71を備えている。流体動圧軸受71は、断面略十字型の円柱状に形成された軸体73と、軸体73を回転自在に収容する断面略十字型の軸体挿入穴75aを有するスリーブ75と、軸体挿入穴75aと軸体73との隙間に充填されたオイル等の液体77とを備えている。
また、スリーブの外周面にはコアおよびコイルが設けられている。そして、軸体の上端部には、略有底円筒状に形成されたロータが取り付けられており、ロータの円筒壁部のうち、コアおよびコイルに対向する内周面には円環状の永久磁石が固定されている。ロータの円筒壁部は、コアおよびコイルに対向する外周面の反対側に位置する永久磁石の内周面に出入りする磁束方向を拘束するためのリターンヨークを構成している。
しかしながら、従来のモータにおいては、永久磁石85の内周面85b側にコア79およびコイル81を配置していたため、永久磁石85を固定するロータ83の径寸法を縮小することができず、モータの小型化に限界があるという問題があった。
【発明の開示】
本発明のモータは、コアおよびコイルを有するステータと、該ステータの半径方向内方に前記コアおよびコイルに対向して円環状に配列された永久磁石を有するロータとを備え、該ロータが、流体動圧軸受により前記ステータに回転自在に支持され、前記流体動圧軸受が、前記ロータに固定される軸体と、閉塞端を有し、前記軸体を回転自在に収容する軸体挿入穴を形成した前記ステータに固定される軸体支持部と、前記軸体と前記軸体挿入穴との間に形成された隙間に充填された流体とを備え、前記軸体が、軸方向中央部に鍔状に形成されたスラスト軸部と、該スラスト軸部の軸方向の両側に円柱状に形成されたラジアル軸部および支持部とを備え、前記軸体支持部が、前記軸体挿入穴の閉塞端側を形成し、前記ラジアル軸部を回転自在に挿入させる小径円筒部と、前記軸体挿入穴の開放端側を形成し、前記スラスト軸部を回転自在に挿入させる大径円筒部と、前記軸体挿入穴の開放端を塞ぐと共に、前記支持部との間にキャピラリーシールを形成するカウンタープレートとを備え、前記流体と、前記スラスト軸部およびラジアル軸部の外面、または、これら外面に対向する前記軸体挿入穴内面の少なくとも一方に形成された動圧発生溝とにより構成された動圧発生部を備えることを特徴とする。
この発明に係るモータによれば、コアおよびコイルおいて発生させた交番磁界を永久磁石に作用させることにより、ロータおよび軸体がステータおよび軸体支持部に対して相対的に回転する。この際には、動圧発生溝が、ラジアル軸部およびスラスト軸部の外面と軸体挿入穴内面との隙間に空気、水、オイル等の流体を集めて動圧を発生させ、この動圧によって軸体支持部が軸体を回転可能に支持する。したがって、ラジアル軸部の外面と軸体挿入穴内面との隙間に発生する動圧(ラジアル動圧)が径方向の軸受の役割を果たし、スラスト軸部の外面と軸体挿入穴内面との隙間に発生する動圧(スラスト動圧)が軸方向の軸受の役割を果たす。
また、永久磁石がコアおよびコイルの半径方向内方に設けられるため、従来のように、コアおよびコイルが永久磁石を固定するロータの半径方向内方に設けられることが無い。したがって、ロータの径寸法を小さく形成することが可能となる。
また、モータにおいて、前記スラスト軸部の外径寸法と、前記永久磁石の外径寸法との比が、略1対2であることを特徴とする。
この発明に係るモータによれば、スラスト軸部の外径寸法と永久磁石の外径寸法との比を略1対2としたのは、ロータが軸方向に振動することを抑制し、かつ、ロータを回転させるために要する消費電流を小さくするためである。
すなわち、モータに使用する永久磁石の外径寸法を大きくして永久磁石の体積を増加すると、永久磁石の表面に出入りする磁束量が大きくなる。このため、ロータを回転させるためのトルクは大きくなり、必要な消費電流を削減できる。ただし、永久磁石の外径寸法を大きくした場合には、前述のトルクの作用点が半径方向外方に移動するため、軸体に対するロータの直角度のずれに比例してロータの振動が大きくなってしまう。また、これとは逆に、永久磁石の外径寸法を小さくした場合には、ロータを回転させるトルクが小さくなり、必要な消費電流が大きくなってしまうが、ロータの振動を小さくすることができる。
一方、スラスト軸部の外径寸法を大きくした場合には、スラスト動圧が大きくなって軸体の剛性力が増加することになるため、ロータの振動を抑制できるが、スラスト動圧の大きさに比例して回転に対する抵抗力(スラスト軸受損)が増加するため、モータの回転に要する消費電流が増加してしまう。また、これとは逆に、スラスト軸部の外径寸法を小さくした場合には、軸体の剛性力が減少してロータの振動が大きくなってしまうが、モータの回転に必要な消費電力を減少できる。
また、前記永久磁石が、前記ロータの軸方向の表面のみに固定されると共に、前記コアおよびコイルに対向する外周面とは反対側に位置する前記永久磁石の内周面が開放されていることを特徴とする。
この発明に係るモータによれば、永久磁石の内周面に、従来のモータように、永久磁石の内周面に出入りする磁束の方向を拘束するリターンヨークが設けられていないため、永久磁石の内周面側に余剰空間が形成されることになる。そして、永久磁石の内周面と流体動圧軸受の軸体支持部の外面とが、この余剰空間を介して互いに対向して位置する構成とした場合には、略円筒状に形成される軸体支持部の円筒壁部の肉厚寸法を半径方向外方に延長して、この余剰空間を埋めることができる。これにより、モータの径寸法を増加させることなく、略円筒状に形成される軸体支持部の強度向上を図ることができる。
また、本発明に係る記録媒体駆動装置は、前記モータを備え、前記ロータが、薄板状の記録媒体を固定する固定部を備えることを特徴とする。
この発明に係る記録媒体駆動装置によれば、ロータの径寸法を小さくできるため記録媒体駆動装置の小型化を図ることができる。また、ロータの径寸法を小さくできるため、例えば、記録媒体が、中央部にロータの固定部に固定するための中央孔を有する円盤形状の所謂ディスク型記録媒体である場合には、中央孔の径寸法を小さく形成できる。したがって、記録媒体の外径寸法を大きくすることなく、各種情報を記録する部分となる記録媒体の表面面積を増加させて、記録媒体の記録容量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
図1はこの発明の一実施形態に係るモータを示す断面図である。
図2は図1のモータにおいて、流体動圧軸受を示す拡大断面図である。
図3は図1のモータにおいて、コア、コイルおよび永久磁石の位置関係を示す概略平面図である。
図4は従来のモータの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
図1から図3はこの発明に係る一実施形態を示す図である。この実施の形態に係るモータは、薄板の円盤状に形成された磁気記録媒体等のディスク型記録媒体を回転させる記録媒体駆動装置に適用したものである。図1に示すように、このモータ1は、ステータ2と、ステータ2に対して中心軸線A1回りに回転するロータ3と、ステータ2に対してロータ3を回転自在に支持する流体動圧軸受4とを備えている。
流体動圧軸受4は、断面略十字型の円柱状に形成された軸体5と、軸体5を回転自在に収容する断面略十字型の軸体挿入穴7aを有するスリーブ(軸体支持部)7と、軸体挿入穴7aと軸体5との隙間に充填された潤滑オイル(流体)9とを備えている。
軸体5は、図2に示すように、その中心軸線A1方向の中央部に鍔状に形成されたスラスト軸部11と、中心軸線A1方向の両側に突出する略円柱状の支持部13およびラジアル軸部15とを備えており、これらスラスト軸部11、支持部13およびラジアル軸部15は一体的に形成されている。
ラジアル軸部15の外周面(外面)15aには、ヘリングボーンと呼ばれる形状の動圧発生溝17が複数形成されている。また、スラスト軸部11の表面(外面)11aおよび裏面(外面)11bには、スパイラル形状の動圧発生溝(図示せず)が複数形成されている。
これら動圧発生溝は、軸体5を中心軸線A1回りに回転させた際に、潤滑オイル9を集めて動圧を発生させ、スリーブ7により軸体5を回転可能に支持するものである。すなわち、ラジアル軸部15の動圧発生溝17において発生する潤滑オイル9の動圧(ラジアル動圧)が軸体5の径方向の軸受の役割を果たし、スラスト軸部11の動圧発生溝において発生する潤滑オイル9の動圧(スラスト動圧)が軸体5の中心軸線A1方向の軸受の役割を果たしている。これら潤滑オイル9および動圧発生溝により動圧発生部20が構成されている。
スリーブ7は、有底略円筒状のスリーブ本体21と、軸体5の支持部13を突出させた状態で、軸体5との間に隙間を空けてスリーブ本体21の開放端を塞ぐカウンタープレート23とから構成されている。スリーブ本体21は、非磁性材料であるオーステナイト系ステンレスにより形成されており、小径円筒部25と大径円筒部27とから構成されている。
小径円筒部25は、軸体挿入穴7aのうち閉塞端側を形成する穴26を有しており、この穴26にはラジアル軸部15を挿入できるようになっている。なお、軸体5が回転した際には、この穴26の内周面(内面)26aとラジアル軸部15の外周面15aとの隙間R3に潤滑オイル9が集められてラジアル動圧が発生する。
大径円筒部27は、軸体挿入穴7aの開放端側を形成する貫通孔28を有しており、この貫通孔28にはスラスト軸部11を挿入できるようになっている。
これら小径円筒部25および大径円筒部27は、一体的に形成されている。
カウンタープレート23は、略円盤状に形成されており、その中心軸線A1方向に支持部13を挿入するための貫通孔24が形成されている。この貫通孔24は、小径円筒部25の穴26および大径円筒部27の貫通孔28と共に軸体挿入穴7aを構成している。また、このカウンタープレート23と支持部13との間にはキャピラリーシールが施されており、このキャピラリーシールにより軸体5と軸体挿入穴7aとの隙間から潤滑オイル9が漏出しないようになっている。
なお、軸体5が回転した際には、スラスト軸部11の表面11aと、この表面11aに対向するカウンタープレート23の裏面(内面)23aとの隙間R1、およびスラスト軸部11の裏面11bと、この裏面11bに対向する小径円筒部25の軸方向の端面(内面)25aとの隙間R2に、潤滑オイル9が集められてスラスト動圧が発生する。
ステータ2は、図1に示すように、浅底の略円筒状に形成されたベース部材31と、ベース部材31の内周面31aに固定された複数のコア33と、各コア33に巻き付けられたコイル35とを備えている。ベース部材31は、非磁性材料であるアルミニウムにより形成されている。また、ベース部材31の底壁部32の中央部には、中心軸線A1を中心とした穴32aが形成されており、この穴32aに軸受部4のスリーブ本体21が固定されるようになっている。
各コア33は、ベース部材31の内周面31aから半径方向内方に突出しており、図3に示すように、コイル35を巻回するための電機子37と、電機子37の半径方向内方側に位置する先端部に形成された磁極片39とを備えている。磁極片39は、電機子37よりも周方向に幅広く形成されており、後述する永久磁石45との隙間における磁束分布を所要の形に近づける役割を果たしている。コイル35は、図示しない電源と電気的に接続されており、これらコア33およびコイル35により交番磁界が形成できるようになっている。
図1に示すように、ロータ3は、有底略円筒状に形成されており、磁性を有するステンレスにより形成されている。ロータ3の底壁部41の中央部には、中心軸線A1を中心とした貫通孔41aが形成されており、軸受部4の支持部13に固定されている。ロータ3の底壁部41の周縁から突出する円筒壁部43の先端部には、中心軸線A1方向に面する円環状の表面43aが形成されている。このロータ3は、その表面43aがベース部材31の底壁部32の内面32bに対向するように配置されている。また、この円筒壁部43の表面43aには、円環状に形成された永久磁石45が接着剤等により固定されている。
永久磁石45は、図1,3に示すように、円環状に複数の磁極を配列し、これら各磁極の磁束方向が永久磁石45の径方向と略一致する所謂ラジアル異方性もしくは等方性のネオジウム磁石である。この永久磁石45は、円筒壁部43の表面43aのみに固定されており、その内周面45bが開放されている。すなわち、コア33およびコイル35に対向する外周面45aの反対側に位置する永久磁石45の内周面45bには、従来のモータのように、内周面45bに出入りする磁束の方向を拘束するリターンヨークが設けられていない。
このため、永久磁石45の内周面45b側には、このリターンヨーク分の余剰空間が形成されることになるが、この余剰空間を埋めるように、永久磁石45の内周面45bに対向するスリーブ7の円筒壁部の肉厚寸法を半径方向外方に延長することができる。
この永久磁石45の外径寸法と流体動圧軸受4のスラスト軸部11の外径寸法との比は、略2対1となっている。ここで、比率を略1対2としたのは、ロータ3が軸方向に振動することを抑制し、かつ、ロータ3を回転させるために要する消費電流を小さくするためである。
すなわち、永久磁石45の外径寸法を大きくして永久磁石45の体積を増加すると、永久磁石45の外周面aに出入りする磁束量が大きくなる。このため、ロータ3を回転させるためのトルクは大きくなり、必要な消費電流を削減できる。ただし、永久磁石45の外径寸法を大きくした場合には、前述のトルクの作用点が半径方向外方に移動するため、軸体5に対するロータ3の直角度のずれに比例してロータ3の振動が大きくなってしまう。また、これとは逆に、永久磁石45の外径寸法を小さくした場合には、ロータ3を回転させるトルクが小さくなり、必要な消費電流が大きくなってしまうが、ロータ3の振動を小さくすることができる。
一方、スラスト軸部11の外径寸法を大きくした場合には、スラスト動圧が大きくなって軸体5の剛性力が増加することになるため、ロータ3の振動を抑制できるが、スラスト動圧の大きさに比例して回転に対する抵抗力(スラスト軸受損)が増加するため、モータ1の回転に要する消費電流が増加してしまう。また、これとは逆に、スラスト軸部11の外径寸法を小さくした場合には、軸体の剛性力が減少してロータ3の振動が大きくなってしまうが、モータ1の回転に必要な消費電力を減少できる。
ロータ3の底壁部41の周縁には、ディスク型記録媒体(記録媒体)50を支持するための段部(固定部)41bが形成されている。この段部41bにディスク型記録媒体50の中央に形成された中央孔50aを嵌め込むことにより、ディスク型記録媒体50が、ロータ3および軸体5と共に中心軸線A1回りに回転することができるようになっている。
この段部41bを有するロータ3を備えたモータ1により記録媒体駆動装置60が構成されることになる。
このように構成された記録媒体駆動装置60によりディスク型記録媒体50を回転させる際には、コア33およびコイル35において交番磁界を発生させ、この交番磁界を永久磁石45に作用させてロータ3を回転させる。この際には、軸体5が中心軸線A1回りに回転し、動圧発生部20において発生するラジアル動圧およびスラスト動圧によってスリーブ7が軸体5およびロータ3を回転可能に支持する。
上記のように、このモータ1によれば、永久磁石45がコア33およびコイル35の半径方向内方側に設けられる構成となっているため、従来のモータように、コア33およびコイル35がロータ3の半径方向内方に設けられることが無い。したがって、従来のモータよりも、ロータ3の径寸法を小さく形成することができ、モータ3の小型化を図ることができる。
また、スラスト軸部11の外径寸法と永久磁石45の外径寸法との比を略1対2とすることにより、スラスト軸部の外径寸法と永久磁石の外径寸法との比を略1対2とすることにより、ロータ3が軸方向に振動することを抑制できると共に、ロータ3を回転させるために要する消費電流を小さくすることができる。
また、リターンヨーク分の余剰空間をスリーブ7の円筒壁部により埋めることで、モータ1の径寸法を増加させることなく、スリーブ7の強度向上を図り、モータ1の信頼性を向上させることができる。
さらに、このモータ1が、ディスク型記録媒体50を回転させる記録媒体駆動装置60に適用される場合には、ロータ3の外径寸法を小さくできるため、記録媒体駆動装置60の小型化を図ることができる。
さらに、ロータ3の径寸法を小さくできるため、ディスク型記録媒体50の中央港50aを小さく形成できる。したがって、ディスク型記録媒体50の外径寸法を大きくすることなく、記録する領域であるディスク型記録媒体50の表面の面積を増加させて、その記録容量を増やすことができる。
また、ロータ3の振動を抑制できるため、ディスク型記録媒体50を回転させた際に、ディスク型記録媒体50が安定して回転することになるため、ディスク型記録媒体50に記録を書き込む際、もしくは、ディスク型記録媒体50から記録を読み出す際の不具合を防止することができる。
さらに、軸方向の動圧発生部20を構成する動圧発生溝を、スラスト軸部11の表面11aおよび裏面11bに形成するとしたが、これに限ることはなく、スラスト軸部11の表面11aおよび裏面11bに対向するカウンタープレート23の裏面aや小径円筒部25の軸方向端面25aに形成してもよい。
また、径方向の動圧発生部20を構成する動圧発生溝17を、ラジアル軸部15の外周面15aに形成するとしたが、これに限ることはなく、ラジアル軸部15の外周面15aに対向する小径円筒部25の内周面26aに形成してもよい。
さらに、軸体挿入穴7aと軸体5との隙間には、動圧発生部20を構成する潤滑オイル9が充填されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも空気、気体、水等の流体が充填されていればよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
以上説明したように、本発明によれば、永久磁石をコアおよびコイルの半径方向内方に設けることによりロータの径寸法を小さく形成できるため、モータの小型化を図ることができる。
また、スラスト軸部の外径寸法と永久磁石の外径寸法との比を略1対2とすることにより、ロータが軸方向に振動することを抑制できると共に、ロータを回転させるために要する消費電流を小さくすることができる。
さらに、リターンヨーク分の余剰空間を軸体支持部の円筒壁部により埋める場合には、軸体支持部の強度向上を図り、モータの信頼性を向上させることができる。
また、このモータを記録媒体駆動装置に設けた場合には、記録媒体駆動装置の小型化を図ることができる。さらに、記録媒体が所謂ディスク型記録媒体である場合には、その外径寸法を大きくすることなく、記録媒体の表面積を増加させて記録容量を増やすことができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアおよびコイルを有するステータと、該ステータの半径方向内方に前記コアおよびコイルに対向して円環状に配列された永久磁石を有するロータと、前記ステータに対して前記ロータを回転自在に支持する流体動圧軸受とを備え、前記流体動圧軸受が、前記ロータに固定される軸体と、閉塞端を有し、前記軸体を回転自在に収容する軸体挿入穴を形成した前記ステータに固定される軸体支持部と、前記軸体と前記軸体挿入穴との間に形成された隙間に充填された流体とを備え、前記軸体が、軸方向中央部に鍔状に形成されたスラスト軸部と、該スラスト軸部の軸方向の両側に円柱状に形成されたラジアル軸部および支持部とを備え、前記軸体支持部が、前記軸体挿入穴の閉塞端側を形成し、前記ラジアル軸部を回転自在に挿入させる小径円筒部と、前記軸体挿入穴の開放端側を形成し、前記スラスト軸部を回転自在に挿入させる大径円筒部と、前記軸体挿入穴の開放端を塞ぐと共に、前記支持部との間にキャピラリーシールを形成するカウンタープレートとを備え、前記流体と、前記スラスト軸部およびラジアル軸部の外面、または、これら外面に対向する前記軸体挿入穴内面の少なくとも一方に形成された動圧発生溝とにより構成された動圧発生部を備えることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記スラスト軸部の外径寸法と、前記永久磁石の外径寸法との比が、略1対2であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記永久磁石が、前記ロータの軸方向の表面のみに固定されると共に、前記コアおよびコイルに対向する外周面とは反対側に位置する前記永久磁石の内周面が開放されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
請求項1に記載のモータを備え、前記ロータが、薄板状の記録媒体を固定する固定部を備えることを特徴とする記録媒体駆動装置。

【国際公開番号】WO2004/084381
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569575(P2004−569575)
【国際出願番号】PCT/JP2003/003320
【国際出願日】平成15年3月19日(2003.3.19)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】