説明

モータ駆動装置およびそれを用いた冷却装置、回転数信号の生成方法

【課題】6極モータに対する回転数信号を生成可能なモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】スター結線されるU、V、W相のコイルそれぞれの一端に生ずる逆起電力を、3つのコイルの共通接続ノードに生ずる中点電圧と比較し、電気角60度ごとにアサートされる回転検出信号S3が生成される。第1カウンタ22は、回転検出信号S3がアサートされるごとにリセットされ、回転検出信号S3の周期を測定する。比較部24は、第1カウンタ22のカウント値D1がそれより以前に測定された周期の1/2を示す値D2と一致するごとにアサートされる第1信号S11を生成する。第2カウンタ30は、回転検出信号S3および第1信号S11を所定数カウントするたびにアサートされる回転数信号FGを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動技術に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動する駆動装置は、モータの現在の回転数を示す回転数(FG:Frequency Generation)信号を発生する。ファンモータの分野ではこの回転数信号は、モータの1回転ごとに2回、つまり機械角(モータ角ともいう)180度ごとにアサート(レベルが遷移し、あるいはエッジが発生する)されるのが一般的である。
【0003】
3相モータは、スター結線されたU相、V相、W相のコイルを有する。3相モータの駆動装置は、U相、V相、V相コイルごとに設けられたコンパレータを備え、対応する相のコイルの一端に生ずるコイル電圧(逆起電力)V、V、Vを、3つのコイルの共通接続ノードに生ずる中点電圧VCOMと比較する。これらのコンパレータによって、電気角60度ごとにアサートされる回転検出信号(逆起電力検出信号ともいう)が生成される。
【0004】
駆動対象のモータの極数は、4極、6極、8極とさまざまである。図1は、U相、V相、V相のコイルに生ずる逆起電力V、V、Vと回転検出信号ならびに4極、6極、8極の回転数信号を示すタイムチャートである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−137379号公報
【特許文献2】特開2008−022692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転数信号は、4極のモータでは電気角180度ごと、8極のモータでは電気角360度ごとに遷移する。したがって4極あるいは8極モータでは、電気角60度ごとにアサートされる回転検出信号をカウントすることにより、回転数信号を生成することができる。
【0007】
ところが6極のモータでは、回転数信号を、電気角270度ごとに遷移させる必要がある。つまり、4極や8極のように、回転検出信号をカウントすることにより回転数信号を生成することができない。従来では、6極モータの回転数信号を発生するために、モータ駆動装置の外部のマイコンにおいて、演算処理によって回転数信号と等価な信号を演算処理によって生成する必要があった。
【0008】
本発明はこうした状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、6極モータに適した回転数信号を生成可能なモータ駆動装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は、3相6極モータの駆動装置に関する。モータ駆動装置は、モータのスター結線されるU、V、W相のコイルそれぞれの一端に生ずる逆起電力を、3つのコイルの共通接続ノードに生ずる中点電圧と比較し、電気角60度ごとにアサートされる回転検出信号を生成する逆起電力検出回路と、回転検出信号がアサートされるごとにリセットされ、回転検出信号の周期を測定する第1カウンタと、第1カウンタのカウント値がそれより以前に測定された周期の1/2を示す値と一致するごとにアサートされる第1信号を生成する比較部と、回転検出信号および第1信号を所定数カウントするたびにアサートされる回転数信号を生成する第2カウンタと、を備える。
【0010】
第1信号は、電気角60度周期で、かつ回転検出信号に対して電気角30度遅れた位相でアサートされる。したがって、第1信号および回転検出信号をカウントすることにより、電気角270度を検出することができ、6極モータに適した回転数信号を生成することができる。
【0011】
比較部は、第1カウンタにより測定された最新の周期を保持するレジスタと、レジスタに格納される周期の1/2の値を、第1カウンタのカウント値と比較する比較器と、を含んでもよい。
この場合、回転検出信号を毎サイクルごとに更新することができ、モータの回転数が急激に変化した場合でも、その変化に追従して第1信号を生成することができる。
【0012】
第2カウンタは、回転検出信号および第1信号を受け、少なくとも一方がアサートされるとアサートされる第2信号を生成する合成部と、第2信号をカウントするカウンタと、を含んでもよい。
第2信号は、電気角30度周期でアサートされる。したがって、第2信号を9回カウントすることで、電気角270度を検出できる。
【0013】
本発明の別の態様は、3相4極、3相6極、3相8極のいずれかのモータを駆動するモータ駆動装置に関する。モータ駆動装置は、モータのスター結線されるU、V、W相のコイルそれぞれの一端に生ずる逆起電力を、3つのコイルの共通接続ノードに生ずる中点電圧と比較し、電気角60度ごとにアサートされる回転検出信号を生成する逆起電力検出回路と、モータが4極であるとき、回転検出信号を所定数カウントするたびにアサートされる第1回転数信号を生成する第1回転数信号生成部と、モータが6極であるとき、第2回転数信号を生成する第2回転数信号生成部と、モータが8極であるとき、回転検出信号を所定数カウントするたびにアサートされる第3回転数信号を生成する第3回転数信号生成部と、駆動対象のモータの極数に応じて、第1から第3回転数信号のひとつを選択して出力するセレクタと、を備える。第2回転数信号生成部は、回転検出信号がアサートされる周期を測定する第1カウンタと、第1カウンタのカウント値がそれより以前に測定された周期の1/2を示す値と一致するごとにアサートされる第1信号を生成する比較部と、回転検出信号および第1信号を所定数カウントするたびに、第2回転数信号をアサートする第2カウンタと、を備える。
【0014】
第1信号は、電気角60度周期で、かつ回転検出信号に対して電気角30度遅れた位相でアサートされる。したがって、第1信号および回転検出信号をカウントすることにより、電気角270度を検出することができ、6極モータに適した回転数信号を生成することができる。
この態様のモータ駆動装置によれば、4極、6極、8極のいずれが接続される場合であっても、極数に応じた適切な回転数信号を生成することができる。
【0015】
本発明の別の態様は、回転検出信号を監視し、当該回転検出信号が一定レベルを持続する期間が所定時間を超えるとアサートされるロックアラーム信号を生成するロックアラーム信号生成回路をさらに備えてもよい。セレクタは、第1から第3回転数信号およびロックアラーム信号のひとつを選択して出力してもよい。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、冷却装置である。この冷却装置は、ファンモータと、ファンモータを駆動する上述のいずれかの態様のモータ駆動装置と、を備える。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、3相6極モータを駆動する際の回転数信号の生成方法に関する。この方法は、モータのスター結線されるU、V、W相のコイルそれぞれの一端に生ずる逆起電力を、3つのコイルの共通接続ノードに生ずる中点電圧と比較し、電気角60度ごとにアサートされる回転検出信号を生成するステップと、第1カウンタを用いて回転検出信号がアサートされる周期を測定するステップと、第1カウンタのカウント値が周期の1/2を示す値と一致するごとにアサートされる第1信号を生成するステップと、第2カウンタを用いて回転検出信号および第1信号を所定数カウントするたびにアサートされる回転数信号を生成するステップと、を備える。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば6極モータに適した回転数信号を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】U相、V相、V相のコイルに生ずる逆起電力と回転検出信号、ならびに4極、6極、8極の回転数信号を示すタイムチャートである。
【図2】実施の形態に係る冷却装置を備える電子機器の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る回転数信号生成回路の構成を示すブロック図である。
【図4】図2の回転数信号生成回路の動作を示すタイムチャートである。
【図5】変形例に係る回転数信号生成回路の構成を示すブロック図である。
【図6】ロックアラーム信号生成回路の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、パーソナルコンピュータやワークステーションなどの電子計算機に搭載され、CPUなどを冷却するためのファンモータを駆動させるためのファンモータ駆動装置を例に説明する。
【0022】
はじめに、図2を参照して実施の形態に係る駆動装置100全体の構成を説明する。駆動装置100は、ファンモータを有する冷却装置に搭載され、ファンモータを駆動する。図2は、実施の形態に係る冷却装置4を備える電子機器1の構成を示すブロック図である。
【0023】
電子機器1は、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなどの計算機、あるいは冷蔵庫やテレビなどの家電製品であり、冷却対象、たとえばCPU2を備える。冷却装置4は、送風によってCPU2を冷却する。
【0024】
冷却装置4は、駆動装置100およびファンモータ6を備える。ファンモータ6は、冷却対象のCPU2に近接して配置されている。駆動装置100は、ファンモータ6のトルク(回転数)を指示するための制御入力信号(以下、単に制御信号という)S1にもとづいてファンモータ6を駆動する。冷却装置4は、モジュール化されて市販、流通される。
【0025】
ファンモータ6は、3相交流モータであり、スター結線されたU相、V相、L相のコイルL、L、Lと、図示しない永久磁石を備える。本実施の形態では、ファンモータ6の極数は6である。
【0026】
駆動装置100は、ひとつの半導体基板上に集積化された機能IC(Integrated Circuit)である。電源端子ICVDDには、電源電圧が供給され、接地端子ICGNDには接地電圧が供給される。
【0027】
入力端子PWMには、外部からの入力信号S1が入力される。本実施の形態では、入力信号S1は、モータの目標トルクに応じてパルス幅変調されたPWM信号である。なお入力信号S1は、サーミスタなどを利用して得られる周囲温度Taに応じたアナログ電圧であってもよいし、CPUなどのホストプロセッサからのデジタル信号であってもよい。
【0028】
駆動装置100は、逆起電力(BEMF:Back ElectroMotive Force)検出回路10、外部PWM入力回路12、駆動信号合成回路14、駆動回路16、回転数信号生成回路20を備える。
【0029】
外部PWM入力回路12は、入力信号S1を受けるインタフェース回路である。外部PWM入力回路12は、入力信号S1に応じた制御信号S2を生成する。
【0030】
BEMF検出回路10は、スター結線されるU、V、W相のコイルL、L、Lそれぞれの一端に生ずる逆起電力V、V、Vを、3つのコイルの共通接続ノードN1に生ずる中点電圧VCOMと比較し、電気角60度ごとにアサートされる回転検出信号S3を生成する。たとえばBEMF検出回路10は、U、V、W相ごとに設けられたコンパレータ(不図示)を備える。各コンパレータは、対応する相のコイルの一端に生ずるコイル電圧(逆起電力)V、V、Vを、中点電圧VCOMと比較し、比較結果を示す信号を生成する。各相のコンパレータから出力される信号を論理合成することにより、回転検出信号S3が生成される。なおBEMF検出回路10の構成は限定されない。
【0031】
駆動信号合成回路14は、回転検出信号S3および制御信号S2を受け、それらを合成して、駆動制御信号S4を生成する。駆動信号合成回路14については公知技術を用いればよいため、ここでは詳細な説明は省略する。駆動回路16は、駆動制御信号S4に応じて、コイルL、L、Lそれぞれの一端に、駆動電圧を印加する。駆動回路16は、ファンモータ6をBTL駆動してもよいし、入力信号S1に応じてPWM駆動してもよい。
【0032】
回転数信号生成回路20は、ファンモータ6の機械角(モータ角)180度ごとに、すなわちファンモータ6の1/2回転ごとに遷移する回転数信号FGを生成し、FG端子から出力する。
【0033】
図3は、実施の形態に係る回転数信号生成回路20の構成を示すブロック図である。
回転数信号生成回路20は、第1カウンタ22、比較部24、第2カウンタ30を備える。
【0034】
第1カウンタ22は、回転検出信号S3およびクロック信号CLKを受ける。第1カウンタ22は、クロック信号CLKに応じてカウントアップ(もしくはカウントダウン)するカウンタであり、カウント値D1を出力する。第1カウンタ22は、回転検出信号S3がアサートされるごとにリセットされる。リセットされる直前のカウント値D1は、回転検出信号S3の周期τを示す。つまり第1カウンタ22は、回転検出信号S3の周期τを測定する。
【0035】
比較部24は、第1カウンタ22のカウント値D1がそれより以前に測定された周期τの1/2を示す値D2と一致するごとにアサートされる第1信号S11を生成する。
比較部24は、レジスタ26および比較器28を含む。レジスタ26は、回転検出信号S3がアサートされるタイミングにおけるカウント値D1を保持する。レジスタ26が保持するカウント値D1は、回転検出信号S3の周期τを示す。レジスタ26は、そのカウント値D1を1/2倍し、回転検出信号S3の半周期を示すデータD2を出力する。バイナリデータを1/2倍することは、そのデータを、下位に1ビットシフトすることと等価である。そこでレジスタ26は、カウント値D1をビットシフトした値を保持してもよい。
【0036】
比較器28は、第1カウンタ22の現在のカウント値D1を、それより以前に測定された周期τに応じたカウント値の1/2の値、すなわちデータD2と比較し、それらが一致するごとにアサートされる第1信号S11を生成する。比較器28は、カウント値D1とデータD2のビット比較を行う論理ゲートで構成することができる。
比較部24により生成される第1信号S11は、回転検出信号S3と同じ電気角60度の周期を有し、かつ回転検出信号S3に対して電気角30度遅れた位相でアサートされる。
【0037】
第2カウンタ30は、回転検出信号S3および第1信号S11を受ける。第2カウンタ30は、それらの信号をカウントすることにより回転数信号FGを生成する。
【0038】
第2カウンタ30は、合成部32およびカウンタ34を含む。合成部32は、回転検出信号S3および第1信号S11を受け、少なくとも一方がアサートされるとアサートされる第2信号S12を生成する。このように生成される第2信号S12は、電気角30度の周期を有する。合成部32はたとえば論理和(OR)ゲートで構成できる。カウンタ34は、第2信号S12を9回カウントするたびに、回転数信号FGをアサートする。このように生成される回転数信号FGは、電気角270度の周期を有する。
【0039】
以上が回転数信号生成回路20の構成である。続いてその動作を説明する。図4は、図2の回転数信号生成回路20の動作を示すタイムチャートである。コイル電圧(逆起電力)V、V、Vが中点電圧VCOMとクロスするごとに、回転検出信号S3がアサートされる。
【0040】
第1カウンタ22は、回転検出信号S3がアサートされるたびにリセットされ、カウント動作を繰り返す。リセット直前のカウント値D1は、回転検出信号S3の周期τを示す。第iサイクルにおける回転検出信号S3の周期τを示すカウント値D1がレジスタ26に保持され、続く第(i+1)サイクルにおいて利用されるデータD2i+1の生成に利用される。具体的には、D2i+1=D1×1/2である。そして、第(i+1)サイクルにおいて第1カウンタ22のカウント値D1i+1が、データD2i+1と一致すると、第1信号S11がアサートされる。第1信号S11は、回転検出信号S3に対して半周期、つまり電気角30度遅れた信号となる。合成部32は、第1信号S11と回転検出信号S3を合成して、第2信号S12を生成する。第2信号S12は、電気角30度の周期を有している。カウンタ34は、第2信号S12をカウントすることにより、回転数信号FGを生成する。
【0041】
このように図2の回転数信号生成回路20によれば、3相6極モータに適した回転数信号FGを生成することができる。
【0042】
図5は、変形例に係る回転数信号生成回路20aの構成を示すブロック図である。回転数信号生成回路20aは、3相4極、3相6極、3相8極のいずれかのモータを駆動するモータ駆動装置に、図2の回転数信号生成回路20の代わりに設けられる。
【0043】
回転数信号生成回路20aは、回転検出信号S3を受ける。回転数信号生成回路20aは、第1回転数信号生成回路42、第2回転数信号生成回路44、第3回転数信号生成回路46、ロックアラーム信号生成回路48、セレクタ50を備える。
第1回転数信号生成回路42は、駆動対象のモータが4極であるときアクティブとなり、回転検出信号S3を所定数、具体的には3回カウントするたびにレベル遷移する第1回転数信号FGを生成する。
第2回転数信号生成回路44は、駆動対象のモータが6極であるときにアクティブとなり、第2回転数信号FGを生成する。第2回転数信号生成回路44は、図2の回転数信号生成回路20である。
第3回転数信号生成回路46は、駆動対象のモータが8極であるときにアクティブとなり、回転検出信号S3を所定数、具体的には6回カウントするたびにレベル遷移する第3回転数信号FGを生成する。
【0044】
ロックアラーム信号生成回路48は、回転検出信号S3を監視し、回転検出信号S3が一定レベル(たとえばローレベル)を持続する期間が、所定の第1時間(ロックアラーム検出区間TALという)を超えるとアサートされるロックアラーム信号ALを生成する。ロックアラーム信号生成回路48は、所定の第2時間(モータ回転復帰確認期間TREC)、回転検出信号S3を連続して検出すると、ロックアラーム信号ALをネゲートする。
【0045】
図6は、ロックアラーム信号生成回路48の動作を示すタイムチャートである。時刻t1以前、モータは回転している。時刻t1にモータに異物が挟まり、モータの回転は停止する(ロック状態)。回転検出信号S3は、モータの回転数に応じた周期を有しており、モータが停止した状態では一定レベルをとる。そこでロックアラーム信号生成回路48は、回転検出信号S3を監視することにより、モータがロックした状態を検出することができる。回転検出信号S3が発生しない状態、つまり一定レベルが、ロックアラーム検出区間TAL持続すると、ロックアラーム信号ALがアサートされる(時刻t2)。
【0046】
時刻t3にモータをロックさせる要因が取り除かれると、モータが再び回転し、回転検出信号S3が発生する。回転検出信号S3をモータ回転復帰確認期間TREC、連続的に検出すると、ロックアラーム信号生成回路48はロックアラーム信号ALをネゲートし、ロックアラーム状態から正常状態に復帰したことを通知する。
【0047】
図5に戻る。セレクタ50は、回転数信号FG〜FGおよびロックアラーム信号ALを受け、選択信号SEL1、SEL2に応じたひとつを選択し、FG/AL端子から駆動装置100の外部へと出力する
【0048】
回転数信号生成回路20aによれば、多様な極数のモータそれぞれに対して、適切な回転数信号FGを生成し、それを外部へと出力することができ、駆動装置100の汎用性を高めることができる。またアプリケーションによっては、回転数信号FGに代えて、モータの異常状態を示すロックアラーム信号ALが必要とされる場合もある。この場合に、セレクタ50によって、回転数信号FGとロックアラーム信号ALを切りかえることができるため、多様なアプリケーションに対応することができる。
【0049】
実施の形態において、冷却装置4を電子機器に搭載してCPUを冷却する場合について説明したが、本発明の用途はこれには限定されず、発熱体を冷却するさまざまなアプリケーションに用いることができる。さらにいえば、本実施の形態に係る駆動装置100の用途は、ファンモータの駆動に限定されるものではなく、その他の各種モータの駆動に用いることができる。
【0050】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0051】
100…駆動装置、1…電子機器、2…CPU、4…冷却装置、6…ファンモータ、10…BEMF検出回路、12…外部PWM入力回路、14…駆動信号合成回路、16…駆動回路、20…回転数信号生成回路、22…第1カウンタ、24…比較部、26…レジスタ、28…比較器、30…第2カウンタ、32…合成部、34…カウンタ、40…回転信号生成回路、42…第1回転数信号生成回路、44…第2回転数信号生成回路、46…第3回転数信号生成回路、48…ロックアラーム信号生成回路、50…セレクタ、FG…回転数信号、S1…入力信号、S2…制御信号、S3…回転検出信号、S11…第1信号、S12…第2信号、AL…ロックアラーム信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相6極モータの駆動装置であって、
前記モータのスター結線されるU、V、W相のコイルそれぞれの一端に生ずる逆起電力を、3つのコイルの共通接続ノードに生ずる中点電圧と比較し、電気角60度ごとにアサートされる回転検出信号を生成する逆起電力検出回路と、
前記回転検出信号がアサートされるごとにリセットされ、前記回転検出信号の周期を測定する第1カウンタと、
前記第1カウンタのカウント値がそれより以前に測定された前記周期の1/2を示す値と一致するごとにアサートされる第1信号を生成する比較部と、
前記回転検出信号および前記第1信号を所定数カウントするたびにアサートされる回転数信号を生成する第2カウンタと、
を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項2】
前記比較部は、
前記第1カウンタにより測定された最新の前記周期を保持するレジスタと、
前記レジスタに格納される周期の1/2を示す値を、前記第1カウンタのカウント値と比較する比較器と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記第2カウンタは、
前記回転検出信号および前記第1信号を受け、少なくとも一方がアサートされるとアサートされる第2信号を生成する合成部と、
前記第2信号をカウントするカウンタと、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
3相4極、3相6極、3相8極のいずれかのモータを駆動するモータ駆動装置であって、
前記モータのスター結線されるU、V、W相のコイルそれぞれの一端に生ずる逆起電力を、3つのコイルの共通接続ノードに生ずる中点電圧と比較し、電気角60度ごとにアサートされる回転検出信号を生成する逆起電力検出回路と、
前記モータが4極であるとき、前記回転検出信号を所定数カウントするたびにアサートされる第1回転数信号を生成する第1回転数信号生成部と、
前記モータが6極であるとき、第2回転数信号を生成する第2回転数信号生成部と、
前記モータが8極であるとき、前記回転検出信号を所定数カウントするたびにアサートされる第3回転数信号を生成する第3回転数信号生成部と、
駆動対象のモータの極数に応じて、前記第1から第3回転数信号のひとつを選択して出力するセレクタと、
を備え、
前記第2回転数信号生成部は、
前記回転検出信号がアサートされる周期を測定する第1カウンタと、
前記第1カウンタのカウント値がそれより以前に測定された前記周期の1/2を示す値と一致するごとにアサートされる第1信号を生成する比較部と、
前記回転検出信号および前記第1信号を所定数カウントするたびに、前記第2回転数信号をアサートする第2カウンタと、
を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項5】
前記回転検出信号を監視し、当該回転検出信号が一定レベルを持続する期間が所定時間を超えるとアサートされるロックアラーム信号を生成するロックアラーム信号生成回路をさらに備え、
前記セレクタは、前記第1から第3回転数信号および前記ロックアラーム信号のひとつを選択して出力することを特徴とする請求項4に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記比較部は、
前記第1カウンタにより測定された最新の前記周期を保持するレジスタと、
前記第1カウンタのカウント値を前記レジスタに格納される周期の1/2を示す値と比較する比較器と、
を含むことを特徴とする請求項5に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記第2カウンタは、
前記回転検出信号および前記第1信号を受け、少なくとも一方がアサートされるとアサートされる第2信号を生成する合成部と、
前記第2信号をカウントするカウンタと、
を含むことを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
ファンモータと、
前記ファンモータを駆動する請求項1から7のいずれかに記載のモータ駆動装置と、
を備えることを特徴とする冷却装置。
【請求項9】
3相6極モータを駆動する際の回転数信号の生成方法であって、
前記モータのスター結線されるU、V、W相のコイルそれぞれの一端に生ずる逆起電力を、3つのコイルの共通接続ノードに生ずる中点電圧と比較し、電気角60度ごとにアサートされる回転検出信号を生成するステップと、
第1カウンタを用いて前記回転検出信号がアサートされる周期を測定するステップと、
前記第1カウンタのカウント値が前記周期の1/2を示す値と一致するごとにアサートされる第1信号を生成するステップと、
第2カウンタを用いて前記回転検出信号および前記第1信号を所定数カウントするたびにアサートされる回転数信号を生成するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記第1カウンタのカウント値と比較すべき値を、前記第1カウンタがリセットされるたびに更新することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記回転検出信号および前記第1信号の少なくとも一方がアサートされるとアサートされる第2信号を生成するステップをさらに備え、
前記第2カウンタは、前記第2信号をカウントすることを特徴とする請求項9または10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−16245(P2012−16245A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153260(P2010−153260)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】