説明

モータ

【課題】給電用のターミナルとチョークコイルの接合部分の変形や剥離を確実に防止でき、電気的接合の信頼性を確保できるブラシホルダを提供する。
【解決手段】アーマチュア軸17のコンミュテータ18に摺接する複数のブラシと、ブラシを出没自在に収納するブラシボックスを取り付けたブラシホルダ20と、ブラシに一端部が接続され、ブラシホルダ本体に保持されるチョークコイル40と、チョークコイルの他端部が電気的に接続され、ブラシホルダに保持されるターミナル42とを備えたモータ10において、ブラシホルダ20の周壁部に開口部26を形成すると共に、ブラシホルダ20の開口部26にチョークコイル40の他端部40bとターミナル42との接続部を露出するよう配索した後で、これらチョークコイル40の他端部とターミナル42とを所定手段により接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ軸のコンミュテータに摺接するブラシを保持したブラシホルダを備えたモータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のモータとして、図16に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このモータのブラシホルダ1は、図16に示すように、給電用の一対のブラシ4a,4a及び接地用のブラシ4bをそれぞれ出没自在に収納する3つのブラシボックス4A,4A,4Bを取り付けた円環板状のステー3と、このステー3を底壁部2aに取り付けると共に、周壁部2bの内側に給電用の一対のブラシ4a,4aにそれぞれ接続されるチョークコイル5,5を収納する略半円筒状で一対のチョークコイル保持部2c,2cを突設したブラシホルダ本体2と、一端部6aが各チョークコイル5の他端部5bに溶接や半田付け等により接合されて各ブラシ4aに電源を供給する給電用の一対のターミナル6,6と、接地用のブラシ4bにサーキットブレーカ7を介して接続される接地用のターミナル8とを備えている。
【0004】
各チョークコイル5の一端部5aはピグテール線Pを介して給電用のブラシ4aに接続されている。また、各チョークコイル5はブラシホルダ本体2の略半円筒状の各チョークコイル保持部2c内に収納されて保持されるようになっている。さらに、接地用のブラシ4bはピグテール線Pを介してサーキットブレーカ7の一方の端子7aに接続されており、該サーキットブレーカ7の他方の端子7bは接地用のターミナル8の一端部8aに接続されている。さらに、接地用のターミナル8の他端部8bはチョークコイル9に接続されており、これら接地用のターミナル8とチョークコイル9はブラシホルダ本体2に形成された収納溝部2dと短尺のチョークコイル保持部2eに収納されるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特許第3598458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のブラシホルダ1では、ピグテール線Pやチョークコイル5の他端部5bと給電用のターミナル6の一端部6aを予め溶接や半田付けで接合した後で、ブラシ4a,4aやチョークコイル5をブラシホルダ本体2の略半円筒状のチョークコイル保持部2c内に収納して組み付けていたので、溶接や半田付けの接合部分にストレスがかかって変形したり、剥離するおそれがあり、通電性を確保することが難しかった。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、給電用のターミナルとピグテール線やチョークコイルの接合部分等の変形や剥離を確実に防止することができ、電気的接合の信頼性を確保することができるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、アーマチュア軸のコンミュテータに摺接する複数のブラシと、前記ブラシを出没自在に収納するブラシボックスを取り付けたブラシホルダと、前記ブラシに一端部が接続され、前記ブラシホルダに保持されるチョークコイルと、前記チョークコイルの他端部が電気的に接続され、前記ブラシホルダに保持されるターミナルとを備えたモータにおいて、前記ブラシホルダの周壁部に開口部を形成すると共に、前記ブラシホルダの開口部に前記チョークコイルの他端部と前記ターミナルとの接続部を露出するよう配索した後で、これらチョークコイルの他端部とターミナルとを所定手段により接続したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のブラシホルダであって、前記ターミナルの一端部にスリット状の接続孔を形成し、この一端部の接続孔に前記各チョークコイルの他端部を貫通させた後で、これら両端部を所定手段により接合したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、アーマチュア軸のコンミュテータに摺接する複数のブラシと、前記ブラシを出没自在に収納するブラシボックスを取り付けたブラシホルダと、前記ブラシに一端部が接続されるピグテール線と、前記ピグテール線の他端部が電気的に接続され、ブラシホルダに保持されるターミナルとを備えたモータにおいて、前記ブラシホルダの周壁部に開口部を形成すると共に、前記ブラシホルダの開口部に前記ピグテール線の他端部とターミナルとの接続部を露出するよう配索した後で、これらピグテール線の他端部とターミナルとを所定手段により接続したことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3記載のモータであって、前記ターミナルの一端部にスリット状の接続孔を形成し、この一端部の接続孔に前記給電用の各ブラシに接続されたピグテール線の他端部を貫通させた後で、これら両端部を所定手段により接合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、ブラシホルダの周壁部に開口部を形成すると共に、ブラシホルダの開口部にチョークコイルの他端部とターミナルとの接続部を露出するよう配索した後で、これらチョークコイルの他端部とターミナルとを所定手段により接続したことにより、組み付け時にチョークコイルとターミナルの接合部分に余分な応力がかかることがないため、給電用の各ターミナルと各チョークコイルの接合部分の変形や剥離を確実に防止することができる。これにより、電気的接合の信頼性の高いブラシホルダを簡単な構造で低コストで提供することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、ターミナルの一端部にスリット状の接続孔を形成し、この一端部の接続孔にチョークコイルの他端部を貫通させた後で、これら両端部を所定手段により接合したことにより、半田付けやスポット溶接を行う際にチョークコイルの他端部とターミナルの一端部との位置合わせを行うことができるので、作業性を向上でき、給電用の各ターミナルと各チョークコイルの接合部分の通電性を確実に確保することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、ブラシホルダの周壁部に開口部を形成すると共に、ブラシホルダの開口部にピグテール線の他端部とターミナルとの接続部を露出するよう配索した後で、これらピグテール線の他端部とターミナルとを所定手段により接続したことにより、ブラシのピグテール線と給電用のターミナルの接合部分の変形や剥離を確実に防止することができる。これにより、電気的接合の信頼性の高いブラシホルダを簡単な構造で低コストで提供することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、ターミナルの一端部にスリット状の接続孔を形成し、この一端部の接続孔に各ブラシに接続されたピグテール線の他端部を貫通させた後で、これら両端部を所定手段により接合したことにより、半田付けやスポット溶接を行う際にピグテール線の他端部とターミナルの一端部との位置合わせを行うことができるので、作業性を向上でき、ターミナルとピグテール線の接合部分の通電性を確実に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態のモータを示す斜視図、図2は同モータのヨークを取り外した状態を示す斜視図、図3は同ヨークを取り外した状態を一部断面で示す部分側面図、図4は同モータのギヤケースカバーに支持されたブラシホルダを底面側から見た斜視図、図5は同ブラシホルダを正面斜め上方から見た斜視図、図6は同ブラシホルダを背面側から見た斜視図、図7は同ブラシホルダの正面図、図8は同ブラシホルダの分解斜視図、図9は同ブラシホルダの要部の拡大斜視図、図10は同ブラシホルダに配置されるブラシとチョークコイルとターミナルの関係を示す拡大斜視図、図11は同ブラシホルダのブラシホルダ本体を正面斜め上方から見た斜視図、図12は同ブラシホルダ本体の平面図、図13は同ブラシホルダ本体の一対のチョークコイル保持部を正面斜め上方から状態から見た斜視図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、モータ10は、図示しないアーマチュアを収納した有底で円筒状のヨーク(モータケース)11と、このヨーク11の開口部の周りのフランジ部11aが図示しないビスを介して円筒部12aの開口部12bの周りのフランジ部12cに締結固定され、内部にアーマチュアのアーマチュア軸(モータ軸)17に形成したウォームと該ウォームに噛合するウォームホイールから成る減速機構(図示省略)を収納したギヤケース12と、このギヤケース12の側壁部12dの先端に側壁部13bの開口端の環状凹部13cを嵌め込むようにして該ギヤケース12の側壁部12dに図示しないビスを介して締結固定されるギヤケースカバー13とを備えている。そして、図4及び図5に示すように、ギヤケースカバー13の天板部13aの内面に一体突出形成された雄コネクタ部13dにブラシホルダ20の雌コネクタ部27を着脱自在に嵌め込んである。これにより、図2に示すように、ブラシホルダ20は、モータ10を組み立てる際に、ギヤケース12の円筒部12a内の所定位置に位置決めされて組み付けられるようになっている。
【0019】
図2,図4〜図8に示すように、ブラシホルダ20は、アーマチュア軸17のコンミュテータ18に電源を供給する給電用の一対のブラシ33,33及び接地用(アース用)のブラシ35をそれぞれ出没自在に収納する3つのブラシボックス31,31,32を取り付けた金属製で円環板状のステー30と、このステー30を底壁部22に取り付けると共に、周壁部25の内側に給電用の一対のブラシ33,33にそれぞれ接続される電磁ノイズ低減用のチョークコイル40を収納する略半円筒状で一対のチョークコイル保持部28,28を突設した合成樹脂製のブラシホルダ本体21と、一端部42aが各チョークコイル40の他端部40bに接続されて一対のブラシ33,33に電源を供給する給電用の一対のターミナル42,42と、接地用のブラシ35に接続される接地用(アース用)のターミナル43と、この接地用のターミナル43の中途部43cにスポット溶接され、該中途部43cより下方に突出するアースターミナル44とを備えている。
【0020】
図4,図5,図7〜図9に示すように、ステー30の中央にはアーマチュア軸17のコンミュテータ18を貫通させる円形の貫通孔30aを形成してある。この貫通孔30aを挾むようにしてステー30の上面30bには、各ブラシボックス31,32を放射状にそれぞれ取り付けてあり、この各ブラシボックス31,32内に各ブラシ33,35を出没自在に収納してある。また、各ブラシ33,35は付勢手段としての圧縮コイルバネ38によりコンミュテータ18に接触するように押圧付勢されている。尚、ステー30の給電用のブラシボックス31と接地用のブラシボックス32が取り付けられる外周縁30c側には凹状の切欠き部30d,30eをそれぞれ形成してある。また、ステー30の外周縁30cはブラシホルダ本体21の周壁部25の内周面25aに複数形成された各上下一対の係止爪25b,25c間に保持されている。
【0021】
図4〜図9及び図11〜図13に示すように、ブラシホルダ本体21の底壁部22は半円環板状に形成してあり、その上面22aに給電用の一対のターミナル42,42を配索する一対の収納凹部23,23と接地用のターミナル43を配索する収納溝部24をそれぞれ形成してある。各収納凹部23の両側には各ターミナル42を保持する一対の係止爪23a,23aを一体突出形成してある。また、収納溝部24の両側には一対の係止爪24a,24aを複数対形成してあると共に、収納溝部24の周壁部25寄りの位置には、アースターミナル44が貫通する貫通孔24bを形成してある。
【0022】
図4〜図8に示すように、ブラシホルダ本体21の周壁部25は半円環板状の底壁部22の両側から少し突出した円弧状になっている。この周壁部25の下部には矩形の開口部26を形成してあると共に、該開口部26の下側の底壁部22には雌コネクタ部27を一体突出形成してある。
【0023】
また、図4〜図9及び図11〜図13に示すように、ブラシホルダ本体21の周壁部25の内周面25aの開口部26に対向する位置(一端側)には、電磁ノイズ低減用のチョークコイル40を収納する略半円筒状で一対のチョークコイル保持部28,28をそれぞれ一体突出形成してある。この各チョークコイル保持部28の底壁28aにはブラシホルダ本体21の周壁部25の開口部26と連通する開口部28bを形成してある。また、図11〜図13に示すように、各チョークコイル保持部28の下端部は断面略半円形に形成されていると共にその下端部から上端部に向かって断面多角形に形成されている。これは、チョークコイル保持部28が下端部から上端部に向かってチョークコイル40に接触するように、断面多角形の各片はチョークコイル40の外径に対して接線となるように、各チョークコイル保持部28の断面略半円形の下端部から上端部に向かって連続的に変化している。さらに、図9及び図11〜図13に示すように、各チョークコイル保持部28の外側の側壁28dの上端には各チョークコイル40の一端部40aを保持する係止凹部28eを形成してある。さらに、図11〜図13に示すように、各チョークコイル保持部28の底壁28aは各チョークコイル40を載置させる半円形状の棚部になっている。
【0024】
また、図4〜図9及び図11〜図13に示すように、ブラシホルダ本体21の周壁部25の内周面25aの他端側には、サーキットブレーカ37を収納する凹状のブレーカ保持部29を形成してある。図5〜図8に示すように、サーキットブレーカ37の上側の端子37aには、一端部36aが接地用のブラシ35に接続されたピグテール線(リード線)36の他端部36bをスポット溶接により接合してある。また、サーキットブレーカ37の下側の端子37bには、接地用のターミナル43の一端部43aをスポット溶接により接合してある。さらに、図6に示すように、接地用のターミナル43の他端部43bはブラシホルダ本体21の雌コネクタ部27内に突出している。
【0025】
図2,図5,図8〜図10に示すように、各チョークコイル40は巻回部40c内に円柱状のフェライト製のコア41を接着等により固着してあり、その一端部40aには一端部34aが給電用のブラシ33に接続されたピグテール線(リード線)34の他端部34bを加締め板39の加締めにより接合してある。また、この各チョークコイル40は、比較的高い周波数の電流を阻止し、直流又は比較的低い周波数の電流だけを通過させることを目的とした電磁ノイズ低減用のコイルである。
【0026】
図6,図8〜図12に示すように、給電用の各ターミナル42の一端部42aは段差状に折り曲げ形成してあり、その中央にスリット状の接続孔42bを形成してある。また、給電用の各ターミナル42の中途部42cは垂直に起立していて、ブラシホルダ本体21の底壁部22の各収納凹部23の孔部23bを通って雌コネクタ部27の裏側に延びている。そして、図6に示すように、給電用の各ターミナル42の他端部42dはブラシホルダ本体21の雌コネクタ部27内に突出している。この組み付けの際に、ブラシホルダ本体21の周壁部25の開口部26内に、各チョークコイル40の他端部40bと給電用の各ターミナル42の一端部42aをそれぞれ露出するように配索し、該各ターミナル42の一端部42aの接続孔42bに各チョークコイル40の他端部40bを貫通させた後で、これら両端部をスポット溶接により接合するようになっている。
【0027】
また、図8,図11,図12に示すように、アースターミナル44の基端部44aは接地用のターミナル43の中途部43cにスポット溶接により接合されている。このアースターミナル44の先端部44bは略U字状に折り曲げ形成されている。この略U字状の先端部44bは、図3,図4に示すように、ブラシホルダ本体21の底壁部22からギヤケース12の円筒部12a内の組み付け方向に突出している。そして、図3に示すように、アースターミナル44の略U字状の先端部44bはギヤケース12の軸方向(組み付け方向)に形成された嵌合溝12eに嵌合されて接触するようになっている。
【0028】
以上実施形態のモータ10のブラシホルダ20によれば、図6,図11に示すように、ブラシホルダ本体21の周壁部25の下側に矩形の開口部26を形成すると共に、ブラシホルダ本体21の周壁部25の開口部26内に、各チョークコイル40の他端部40bと給電用の各ターミナル42の一端部42aをそれぞれ露出するように配索した後で、これら両端部40b,42aをスポット溶接により接合したことにより、給電用の各ターミナル42と各チョークコイル40の接合部分の変形や剥離を確実に防止することができる。これにより、電気的接合の信頼性の高いブラシホルダ20を簡単な構造で低コストで提供することができる。
【0029】
特に、図6に示すように、給電用の各ターミナル42の一端部42aにスリット状の接続孔42bを形成し、この一端部42aの接続孔42bに各チョークコイル40の他端部40bを貫通させた後で、これら両端部40b,42aをスポット溶接により接合したことにより、半田付けやスポット溶接を行う際にチョークコイル40の他端部40bとターミナル42の一端部42aとの位置合わせを行うことができるので、作業性を向上できる。そして、給電用の各ターミナル42の一端部42aと各チョークコイル40の他端部40bのスポット溶接による接合部分の変形や剥離を簡単かつ確実に防止することができる。これにより、給電用の各ターミナル42と各チョークコイル40の接合部分の通電性を確実に確保することができる。
【0030】
このように、スポット溶接による接合するチョークコイル40やターミナル42等の組立部品をブラシホルダ本体21に組み付けた後で、スポット溶接により接合するようにしたので、接合後の変形や剥離を恐れてそれを回避するための複雑な加工等を要することなく、また、専用の位置決め治具を用意することなく、組立部品を結合することができるので、構造が単純な部品で容易に組み付けて接合することができる。さらに、一度接合した後で、この組立部品をブラシホルダ本体21に組み付ける作業を排除することができるので、接合部にストレスが作用することがなく、電気的接合の信頼性を簡単かつ確実に確保することができる。
【0031】
図14は本発明の他の実施形態のモータに用いられるブラシホルダの要部の拡大斜視図、図15は同ブラシホルダを背面側から見た斜視図である。
【0032】
図14及び図15に示すように、ブラシホルダ20′のブラシホルダ本体21の周壁部25の下側に開口部26を形成すると共に、ブラシホルダ本体21の周壁部25の開口部26内に、給電用の各ブラシ33に一端部34aが接続されたピグテール線34の他端部34bと給電用の各ターミナル42の一端部42aをそれぞれ露出するように配索した後で、これら両端部34b,42aをスポット溶接により接合するようにしてある。尚、他の構成は、前記実施形態と同一であるので、同一構成部分は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0033】
この他の実施形態のブラシホルダ20′によれば、図14及び図15に示すように、ブラシホルダ本体21の周壁部25の開口部26内に、給電用の各ブラシ33に一端部34aが接続されたピグテール線34の他端部34bと給電用の各ターミナル42の一端部42aをそれぞれ露出するように配索した後で、これら両端部34b,42aをスポット溶接により接合するようにしたことにより、給電用の各ブラシ33のピグテール線34と給電用の各ターミナル42の接合部分の変形や剥離を確実に防止することができる。これにより、電気的接合の信頼性の高いブラシホルダ20′を簡単な構造で低コストで提供することができる。
【0034】
特に、図15に示すように、給電用の各ターミナル42の一端部42aに形成したスリット状の接続孔42bに給電用の各ブラシ33に接続されたピグテール線34の他端部34bを貫通させた後で、これら両端部34b,42aをスポット溶接により接合するようにしたことにより、半田付けやスポット溶接を行う際にピグテール線34の他端部34bとターミナル42の一端部42aとの位置合わせを行うことができるので、作業性を向上できる、そして、給電用の各ブラシ33のピグテール線34の他端部34bと給電用の各ターミナル42の一端部42aのスポット溶接による接合部分の変形や剥離を簡単かつ確実に防止することができる。これにより、給電用の各ブラシ33のピグテール線34と給電用の各ターミナル42のスポット溶接による接合部分の通電性を確実に確保することができる。
【0035】
尚、前記各実施形態によれば、ターミナルの一端部とチョークコイルの他端部、及び、ターミナルの一端部とブラシのピグテール線の他端部をスポット溶接によりそれぞれ接合したが、半田付け等の他の手段により接合しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態のモータを示す斜視図である。
【図2】上記モータのヨークを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】上記モータのヨークを取り外した状態を一部断面で示す部分側面図である。
【図4】上記モータのギヤケースカバーに支持されたブラシホルダを底面側から見た斜視図である。
【図5】上記ブラシホルダを正面斜め上方から見た斜視図である。
【図6】上記ブラシホルダを背面側から見た斜視図である。
【図7】上記ブラシホルダの正面図である。
【図8】上記ブラシホルダの分解斜視図である。
【図9】上記ブラシホルダの要部の拡大斜視図である。
【図10】上記ブラシホルダに配置されるブラシとチョークコイルとターミナルの関係を示す拡大斜視図である。
【図11】上記ブラシホルダのブラシホルダ本体を正面斜め上方から見た斜視図である。
【図12】上記ブラシホルダ本体の平面図である。
【図13】上記ブラシホルダ本体の一対のチョークコイル保持部を正面斜め上方から状態から見た斜視図である。
【図14】本発明の他の実施形態のモータに用いられるブラシホルダの要部の拡大斜視図である。
【図15】上記他の実施形態のブラシホルダを背面側から見た斜視図である。
【図16】従来のブラシホルダの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
10 モータ
18 コンミュテータ
20 ブラシホルダ
21 ブラシホルダ本体
22 底壁部
25 周壁部
26 開口部
28,28 一対のチョークコイル保持部
28b 開口部
30 ステー
31,32 ブラシボックス
33,33 給電用の一対のブラシ
34 ピグテール線
34a 一端部
34b 他端部
35 接地用のブラシ
40 チョークコイル
40b 他端部
42,42 給電用の一対のターミナル
42a 一端部
42b スリット状の接続孔
43 接地用のターミナル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーマチュア軸のコンミュテータに摺接する複数のブラシと、前記ブラシを出没自在に収納するブラシボックスを取り付けたブラシホルダと、前記ブラシに一端部が接続され、前記ブラシホルダに保持されるチョークコイルと、前記チョークコイルの他端部が電気的に接続され、ブラシホルダに保持されるターミナルとを備えたモータにおいて、
前記ブラシホルダの周壁部に開口部を形成すると共に、前記ブラシホルダの開口部に前記チョークコイルの他端部と前記ターミナルとの接続部を露出するよう配索した後で、これらチョークコイルの他端部とターミナルとを所定手段により接続したことを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1記載のモータであって、
前記ターミナルの一端部にスリット状の接続孔を形成し、この一端部の接続孔に前記各チョークコイルの他端部を貫通させた後で、これら両端部を所定手段により接合したことを特徴とするモータ。
【請求項3】
アーマチュア軸のコンミュテータに摺接する複数のブラシと、前記ブラシを出没自在に収納するブラシボックスを取り付けたブラシホルダと、前記ブラシに一端部が接続されるピグテール線と、前記ピグテール線の他端部が電気的に接続され、ブラシホルダに保持されるターミナルとを備えたモータにおいて、
前記ブラシホルダの周壁部に開口部を形成すると共に、前記ブラシホルダの開口部に前記ピグテール線の他端部とターミナルとの接続部を露出するよう配索した後で、これらピグテール線の他端部とターミナルとを所定手段により接続したことを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項3記載のモータであって、
前記ターミナルの一端部にスリット状の接続孔を形成し、この一端部の接続孔に前記各ブラシに接続されたピグテール線の他端部を貫通させた後で、これら両端部を所定手段により接合したことを特徴とするモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−252970(P2008−252970A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87521(P2007−87521)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】