説明

モータ

【課題】モータを構成する部品点数を増加させることなく、モータ部と回路基板とを組み付けるに際してモータ部から導出される巻線端末を回路基板の接続孔に誘導することができるようにしたモータを提供する。
【解決手段】巻線を有するモータ部12と、モータ部12から導出される巻線端末42に電気的に接続される回路基板16と、モータ部12に取り付けられると共に、回路基板16を載置する載置体68と、載置体68に一体的に形成され、載置体68がモータ部12に取り付けられるときに巻線端末42を回路基板16の接続孔94へと誘導する誘導部100とを備えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、巻線を有するモータ部と該モータ部から導出される巻線端末に電気的に接続される回路基板とを備える回路一体型のモータが知られている。下記特許文献1に記載のモータにあっては、図12に示されるように、モータ部から導出される巻線端末を中間ターミナルを介さずに直接的に回路装置20の回路給電部22に接続するように構成している。そして、モータ部から導出される巻線端末を回路装置20の回路給電部22に誘導する誘導部としての保持部材18を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−273450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、下記特許文献1に記載のモータにおける誘導部としての保持部材18は、回路装置20を載置するセンターピース12に取り付けられる専用部品である。従って、下記特許文献1に記載のモータにあっては、モータを構成する部品点数が増加するといった問題を有している。また、誘導部としての保持部材18をセンターピース12に精度良く位置決めしないと、モータ部から導出される巻線端末を回路装置20の回路給電部22に誘導することができないといった問題を有している。
【0005】
そこで、本発明は、モータを構成する部品点数を増加させることなく、モータ部と回路基板とを組み付けるに際してモータ部から導出される巻線端末を回路基板の接続孔に誘導することができるようにしたモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のモータは、巻線を有するモータ部と、前記モータ部から導出される巻線端末に電気的に接続される回路基板と、前記モータ部に取り付けられると共に、前記回路基板を載置する載置体と、前記載置体に一体的に形成され、前記載置体が前記モータ部に取り付けられるときに前記巻線端末を前記回路基板の接続孔へと誘導する誘導部と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載のモータによれば、モータ部に取り付けられると共に回路基板を載置する載置体を有し、巻線端末を回路基板の接続孔に誘導する誘導部をこの載置体に一体的に形成している。従って、モータを構成する部品点数を増加させることなく、モータ部と回路基板とを組み付けるに際してモータ部から導出される巻線端末を回路基板の接続孔に誘導することができる。また、回路基板を位置精度良く載置する載置体に誘導部を一体的に形成しているので、モータ部と回路基板とを組み付けるに際してモータ部から導出される巻線端末を回路基板の接続孔に位置精度良く誘導することができる。
【0008】
請求項2に記載のモータは、請求項1に記載のモータにおいて、前記誘導部は、前記巻線端末が挿通可能な挿通孔を有し、前記挿通孔は、前記接続孔に対応した位置において前記載置体の前記モータ部への取り付け方向に沿って形成され、前記接続孔に向けて縮径されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載のモータによれば、誘導部は巻線端末が挿通可能な挿通孔を有しており、該挿通孔は接続孔に対応した位置において載置体のモータ部への取り付け方向に沿って形成され、接続孔に向けて縮径されている。従って、簡易な構成ながら、モータ部と回路基板とを組み付けるに際してモータ部から導出される巻線端末を回路基板の接続孔に的確に誘導することができる。
【0010】
請求項3に記載のモータは、請求項2に記載のモータにおいて、前記巻線端末は、前記載置体が前記モータ部に取り付けられるときに前記挿通孔に挿通されるように前記モータ部から導出されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載のモータによれば、巻線端末は載置体がモータ部に取り付けられるときに挿通孔に挿通されるようにモータ部から導出されている。従って、モータ部と回路基板とを組み付けるに際してモータ部から導出される巻線端末を回路基板の接続孔に容易に誘導することができる。
【0012】
請求項4に記載のモータは、請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータにおいて、前記載置体は、前記載置体の前記モータ部への取り付け方向に向けて突出されると共に前記モータ部の軸部を挿入可能な円筒部を有することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載のモータによれば、載置体は、載置体のモータ部への取り付け方向に向けて突出されると共にモータ部の軸部を挿入可能な円筒部を有している。従って、載置体をモータ部に取り付けるに際し、円筒部に軸部を挿入させた状態で載置体をモータ部に対して回転調整することにより、巻線端末を挿通孔に容易に挿通させることができ、それにより、モータ部から導出される巻線端末を回路基板の接続孔に容易に誘導することができる。
【0014】
請求項5に記載のモータは、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータにおいて、前記載置体には、前記モータ部のロータマグネットから発せられる磁気を前記回路基板に搭載される磁気検知センサへと誘導する磁気誘導部材を保持する保持部が一体的に形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載のモータによれば、載置体には、モータ部のロータマグネットから発せられる磁気を回路基板に搭載される磁気検知センサへと誘導する磁気誘導部材を保持する保持部が一体的に形成されている。従って、モータを構成する部品点数を増加させることなく、磁気誘導部材を保持させることができる。また、回路基板を位置精度良く載置する載置体に保持部を一体的に形成しているので、磁気誘導部材を磁気検知センサに対して位置精度良く保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るモータの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るモータの断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るモータのステータ部を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るモータのカバー体を取り外した状態であって収容部側から見た場合の状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係るモータの載置体に回路基板を載置した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るモータの載置体であって回路基板を載置する側を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係るモータの載置体であって回路基板を載置する側とは反対側を示す斜視図である。
【図8】図4のL8−L8線における断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係るモータにおいて、ロータマグネットから発せられる磁気が磁気検知センサへと誘導される態様を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るモータに対する比較例としてのモータにおいて、ロータマグネットから発せられる磁気が磁気検知センサへと誘導される態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るモータの実施形態の一例について、添付の図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の実施形態に係るモータ10の外観を示す斜視図である。図2は本発明の実施形態に係るモータ10の断面図である。このモータ10は、例えば乗用自動車等の車両に搭載される車室内送風用のブロワモータや、ラジエータを冷却するためのファンモータとして用いられるもので、実施例はブロワモータの例である。
【0019】
図1および図2に示すように、モータ10は、モータ部12と、回路基板16を収容する収容部14とを備えている。回路基板16はモータ部12と電気的に接続され、モータ部12の動作を制御するものである。即ち、モータ10は、モータ部12と回路基板16とが一体とされた回路一体型のモータとして構成されている。
【0020】
モータ部12は、ステータ部18とロータ部20とから構成されている。ステータ部18は、モータシャフト22とステータハウジング24とステータコア26と巻線28とを備えている。モータシャフト22は、モータ10の軸方向(図中の矢印Aで示す方向)に沿って配置され、軸方向における片側にベアリング30を備えている。ステータハウジング24は、大略平板状の平板部32と、平板部32の中央部において凹状に形成される凹部34と、凹部34の中央部において筒状に形成される筒状部36とから構成されている。この筒状部36の内部にモータシャフト22が固定されている。
【0021】
ステータコア26は、環状の環状部38と、環状部38の外周側に形成されるティース部40とから構成されている。環状部38は、その内周面がステータハウジングの凹部34の外周面に固定されている。ティース部40は、銅線が巻回されることで形成される巻線28を有している。巻線28の終端(以下、「巻線端末」という)42は、回路基板16に向けて導出され、回路基板16に形成される後述の接続孔94に接続されている。
【0022】
ロータ部20は、ロータハウジング44とロータマグネット46とを備えている。ロータハウジング44は、有底円筒状を呈しており、側周部48と、側周部48に連続する底部50と、底部50の中央部において凹状に形成される凹部52とを備えている。側周部48の内周面にロータマグネット46が固定されている。それにより、ロータマグネット46はティース部40に対向配置されている。
【0023】
ロータハウジング44の凹部52には、ベアリング30が接続されている。それにより、ロータ部20はモータシャフト22を中心軸としてステータ部18に対して回転されるようになっている。ロータハウジング44の底部50には、取付孔54が設けられており、この取付孔54にファン(図示省略)などの被回転物が取り付けられる。
【0024】
収容部14は、内部に回路基板16を収容している。収容部14は、大略円盤状に形成されるが、その外周面において外周側に突出する冷却風取込部56を有している。回路基板16には、モータ部12の動作を制御するための種々の電子部品58(図中では一部の電子部品58のみを示す)と電子部品58を冷却するためのヒートシンク60とが搭載されている。このヒートシンク60は回路基板16の一端側に設けられており、冷却風取込部56の取込口62から取り込まれた冷却風が通過する通路64に臨む位置に配置されている。
【0025】
ヒートシンク60が冷却風の通路64に臨むように配置されることで、冷却風に伴うダストを電子部品58の方へと進入させることなく、電子部品58を冷却することが可能となっている。ヒートシンク60を通過した冷却風は、モータ部12の方へ流れ、ロータハウジング44の底部50に形成された取出口66から外部へと排出される。
【0026】
収容部14は、回路基板16を載置する載置体68と、回路基板16を載置した状態の載置体68を覆うケース体70と、回路基板16に対してモータ部12とは反対側に配置されケース体70を覆うカバー体72とを備えている。モータ部12は、ケース体70の底部に形成される露出孔74から外部に露出されている。ケース体70とカバー体72とは、固定ネジ76によって固定されている。
【0027】
載置体68は、後述するように回路基板16を位置精度良く載置している。また、載置体68は、モータ部12側に突出形成される円筒部78を有している。この円筒部78は、その内部にモータ部12の軸部(ステータハウジング24の筒状部36を外周部に備えた状態のモータシャフト22)80を挿入可能となるように形成されている。載置体68は、この円筒部78にモータ部12の軸部80を挿入させた状態でモータ部12に取り付けられている。円筒部78は、モータ部12の軸部80を位置決めする機能を有している。なお、載置体68とモータ部12とは、固定ネジ82によって固定されている。
【0028】
回路基板16のモータ部12側には、例えばホール素子などから構成される磁気検知センサ84が搭載されている。磁気検知センサ84は、モータ部12のロータマグネット46から発せられる磁気を検知することで、ロータ部20のステータ部18に対する回転位置を検出するためのものである。
【0029】
磁気検知センサ84は、モータ部12から離間した位置に配置されている。そのため、モータ部12と磁気検知センサ84との間には、ロータマグネット46から発せられる磁気を磁気検知センサ84へと誘導するための第1磁気誘導部材86が配置されている。また、磁気検知センサ84に対して第1磁気誘導部材86とは反対側には、第1磁気誘導部材86とで磁気検知センサ84を挟むように第2磁気誘導部材88が配置されている。
【0030】
第1磁気誘導部材86および第2磁気誘導部材88はそれぞれ、例えば鉄材などの強磁性体から構成され、棒状を呈しており、長手方向がモータ部12の軸方向に向けられ、かつ、同一直線上に沿うように配置されている。第1磁気誘導部材86は載置体68によって保持されており、第2磁気誘導部材88はカバー体72によって保持されている。
【0031】
図3は、ステータ部18を示す斜視図である。なお、説明の便宜上、ステータハウジング24を省略して描いている。
【0032】
図3に示すように、ステータ部18のステータコア26は、複数枚の鉄製薄板を積層状態でかしめ加工にて固定することにより一体化された積層コア90と、この積層コア90を両側から挟み込むように装着された合成樹脂製のインシュレータ92とから構成されている。前記したように、ステータコア26は環状部38とその外周側に形成されるティース部40とを有し、具体的にティース部40は、環状部38から放射状に延出するように12個設けられている。この12個のティース部40に巻線28がそれぞれ形成されており、12本の巻線端末42が回路基板16(図2参照)に向けて導出されている。
【0033】
図4は、カバー体72を取り外した状態のモータ10を収容部14側から見た場合の状態を示す斜視図である。
【0034】
図4に示すように、回路基板16に向けて導出された12本の巻線端末42は、回路基板16の所定位置に形成される12個の接続孔94に挿通されている。なお、12本の巻線端末42はそれぞれ、対応する接続孔94に挿通された状態で半田付けされることで、回路基板16に電気的に接続される。
【0035】
図5は、載置体68に回路基板16を載置した状態を示す斜視図である。図6は、載置体68の回路基板16を載置する側を示す斜視図である。図7は、載置体68の回路基板16を載置する側とは反対側を示す斜視図である。図8は、図4のL8−L8線における断面図である。
【0036】
図5および図6に示すように、回路基板16は、載置体68の角部近傍に形成される3個の位置決めボス96によって載置体68に対して精度良く位置決めされた状態で載置され、固定ネジ98により載置体68に固定されている。また、回路基板16には、前述の磁気検知センサ84が3個搭載されている。
【0037】
図6および図7に示すように、載置体68には、12個の誘導部100が一体的に形成されている。各誘導部100は、載置体68がモータ部12に取り付けられるときに巻線端末42をそれぞれ対応する接続孔94へと誘導するためのものである。各誘導部100は、載置体68の回路基板16を載置する側において載置体68の平板部102に対して突出する突出部104と、載置体68の回路基板16を載置する側とは反対側において載置体68の平板部102に対して突出する突出部106とを備えている。なお、各突出部104の高さは、3個の位置決めボス96の回路基板16を載置する載置面108の高さと同一になるように設定されている。また、各突出部106の高さは、筒状部36の高さより低く設定されている。
【0038】
図6〜図8に示すように、各誘導部100には、巻線端末42が挿通可能であって載置体を貫通する挿通孔110が形成されている。回路基板16が載置体68に精度良く位置決めされていることから、12個の挿通孔110と12個の接続孔94とは位置精度良く対応させられている。各挿通孔110は、載置体68をモータ部12に取り付ける方向(モータ10の軸方向と同じ方向(図中の矢印Aで示す方向))に沿って形成されている。そして、各挿通孔110の内径は、モータ部12側で大径とされ、回路基板16側で小径とされている。即ち、各挿通孔110は、モータ部12側から回路基板16側の接続孔94に向けて縮径されるテーパ形状とされている。従って、載置体68をモータ部12に取り付けるに際し、各巻線端末42は対応する各接続孔94へと誘導されるようになっている。
【0039】
図7に示すように、載置体68の回路基板16を載置する側とは反対側には、前記した筒状部36が一体的に形成されている。この筒状部36は、載置体68のモータ部12への取り付け方向に向けて突出されるものである。一方、巻線端末42は、載置体68がモータ部12に取り付けられるときに挿通孔110に挿通されるようにモータ部12から導出されている(図3参照)。従って、載置体68をモータ部12に取り付けるに際し、円筒部78にモータ部12の軸部80を挿入させた状態で載置体68をモータ部12に対して回転調整することにより、巻線端末42を挿通孔110に容易に挿通させられる。挿通孔110に挿通された巻線端末42は、誘導部100により回路基板16の接続孔94に向けて誘導されることとなる。
【0040】
また、図7に示すように、載置体68には、3個の保持部112が一体的に形成されている。各保持部112には、第1磁気誘導部材86を圧入するための圧入孔114(図2および図9参照)が載置体68を貫通するように形成されている。3個の第1磁気誘導部材86は、各圧入孔114にそれぞれ圧入されることで保持されている。3個の保持部112が載置体68に一体的に形成されると共に、3個の磁気検知センサ84を搭載する回路基板16が載置体68に対して精度良く位置決めされていることから、3個の磁気検知センサ84と3個の第1磁気誘導部材86とが位置精度良く対応させられている。また、3個の保持部112は円筒部78を基準にして形成されている。従って、3個の第1磁気誘導部材86は、モータ部12の軸部80を基準としてモータ部12に対して径方向において位置精度良く配置される構成とされている。
【0041】
図6に示すように、第1磁気誘導部材86の一端は、載置体68の回路基板16を載置する側で露出している。それにより、第1磁気誘導部材86の一端は、磁気検知センサ84に近接している(図2および図9参照)。また、図7に示すように、第1磁気誘導部材86の他端は、載置体68の回路基板16を載置する側とは反対側であるモータ部12側に向けて突出している。それにより、第1磁気誘導部材86の他端は、モータ部12のロータマグネット46に近接している(図2および図9参照)。
【0042】
図9は、本発明の実施形態に係るモータ10において、ロータマグネット46から発せられる磁気が磁気検知センサ84へと誘導される態様を示している。図10は、本発明の実施形態に係るモータ10に対する比較例としてのモータ200において、ロータマグネット46から発せられる磁気が磁気検知センサ84へと誘導される態様を示している。
【0043】
本発明の実施形態に係るモータ10にあっては、図9に示すように、ロータマグネット46から発せられる磁気を磁気検知センサ84に誘導する磁気誘導部材として、モータ部12と磁気検知センサ84との間に配置される第1磁気誘導部材86と、磁気検知センサ84に対して第1磁気誘導部材86とは反対側に配置される第2磁気誘導部材88とを備えている。第2磁気誘導部材88は、第1磁気誘導部材86とで磁気検知センサ84を挟むように配置されている。従って、磁気検知センサ84に対してモータ部12側に生じる磁気は第1磁気誘導部材86によって磁気検知センサ84へと誘導されると共に、磁気検知センサ84に対してモータ部12側とは反対側に生じる磁気も第2磁気誘導部材88によって磁気検知センサ84へと誘導される。
【0044】
これに対し、比較例としてのモータ200にあっては、図10に示すように、ロータマグネット46から発せられる磁気を磁気検知センサ84に誘導する磁気誘導部材として、モータ部12と磁気検知センサ84との間に配置される第1磁気誘導部材86のみを備えている。従って、磁気検知センサ84に対してモータ部12側に生じる磁気は第1磁気誘導部材86によって磁気検知センサ84へと誘導されるが、磁気検知センサ84に対してモータ部12側とは反対側に生じる磁気は磁気検知センサ84へと誘導されることがない。
【0045】
(作用および効果)
本発明の実施形態に係るモータ10にあっては、回路基板16を載置すると共にモータ部12に取り付けられる載置体68を有し、巻線端末42を回路基板16の接続孔94に誘導する誘導部100をこの載置体68に一体的に形成している。従って、モータ10を構成する部品点数を増加させることなく、モータ部12と回路基板16とを組み付けるに際してモータ部12から導出される巻線端末42を回路基板16の接続孔94に誘導することができる。また、回路基板16を位置精度良く載置する載置体68に誘導部100を一体的に形成しているので、モータ部12と回路基板16とを組み付けるに際してモータ部12から導出される巻線端末42を回路基板16の接続孔94に位置精度良く誘導することができる。
【0046】
また、誘導部100は巻線端末42が挿通可能な挿通孔110を有しており、該挿通孔110は接続孔94に対応した位置において載置体68のモータ部12への取り付け方向に沿って形成され、接続孔94に向けて縮径されている。従って、簡易な構成ながら、モータ部12と回路基板16とを組み付けるに際してモータ部12から導出される巻線端末42を回路基板16の接続孔94に的確に誘導することができる。
【0047】
また、巻線端末42は載置体68がモータ部12に取り付けられるときに挿通孔110に挿通されるようにモータ部12から導出されている。従って、モータ部12と回路基板16とを組み付けるに際してモータ部12から導出される巻線端末42を回路基板16の接続孔94に容易に誘導することができる。
【0048】
また、載置体68は、載置体68のモータ部12への取り付け方向に向けて突出されると共にモータ部12の軸部80を挿入可能な円筒部78を有している。従って、載置体68をモータ部12に取り付けるに際し、円筒部78に軸部80を挿入させた状態で載置体68をモータ部12に対して回転調整することにより、巻線端末42を挿通孔110に容易に挿通させることができ、それにより、モータ部12から導出される巻線端末42を回路基板16の接続孔94に容易に誘導することができる。
【0049】
また、載置体68には、モータ部12のロータマグネット46から発せられる磁気を回路基板16に搭載される磁気検知センサ84へと誘導する第1磁気誘導部材86を保持する保持部112が一体的に形成されている。従って、モータ10を構成する部品点数を増加させることなく、第1磁気誘導部材86を保持させることができる。また、回路基板16を位置精度良く載置する載置体68に保持部112を一体的に形成しているので、第1磁気誘導部材86を磁気検知センサ84に対して位置精度良く保持させることができる。
【0050】
また、本発明の実施形態に係るモータ10にあっては、ロータマグネット46から発せられる磁気を磁気検知センサ84へと誘導する磁気誘導部材として、モータ部12と磁気検知センサ84との間に配置される第1磁気誘導部材86に加え、磁気検知センサ84に対して第1磁気誘導部材86とは反対側に配置される第2磁気誘導部材88を備えている。従って、磁気検知センサ84に誘導される磁気を増加させることができ、磁気検知センサ84をモータ部12から離間して配置する場合でも、ロータマグネット46から発せられる磁気を精度良く検知することができる。
【0051】
また、第2磁気誘導部材88は、第1磁気誘導部材86との間で磁気検知センサ84を挟むように配置されている。即ち、第1磁気誘導部材86および第2磁気誘導部材88は、ロータマグネット46から発せられる磁気が磁気検知センサ84の一面側から反対面側へと通過するように配置されている。従って、磁気検知センサ84に誘導される磁気を一層増加させることができる。
【0052】
また、第1磁気誘導部材86および第2磁気誘導部材88はそれぞれ、棒状を呈し、長手方向がモータ部12の軸方向に向けられ、かつ、同一直線上に沿うように配置されている。従って、ロータマグネット46から発せられる磁気を効率良く磁気検知センサ84に誘導することができる。
【0053】
また、第1磁気誘導部材86は、磁気検知センサ84を搭載する回路基板16を載置する載置体68に保持されている。即ち、第1磁気誘導部材86は、回路基板16を位置精度良く載置する載置体68に保持されている。従って、第1磁気誘導部材86を磁気検知センサ84に対して位置精度良く配置させることができる。
【0054】
また、載置体68には、モータ部12の軸部80を位置決めする円筒部78が形成されている。従って、モータ部12の軸部80を基準として第1磁気誘導部材86を位置精度良く配置することができる。それにより、第1磁気誘導部材86をロータマグネット46に近接する位置に精度良く配置させることが可能となり、ロータマグネット46から発せられる磁気を磁気検知センサ84に効率良く誘導することができる。
【0055】
なお、本発明の実施形態に係るモータ10にあっては、第2磁気誘導部材88をカバー体72で保持するように構成したが、別の部材によって保持するように構成してもよい。例えば、載置体68に第2磁気誘導部材88に向けて延出する保持部材を設け、その保持部材によって第2磁気誘導部材88を保持するように構成してもよい。
【0056】
また、磁気検知センサ84を回路基板16のモータ部12側に搭載するように構成したが、モータ部12側とは反対側に搭載するように構成してもよい。また、磁気検知センサ84を3個搭載するように構成したが、個数はそれ以下であってもそれ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10・・・モータ、12・・・モータ部、14・・・収容部、16・・・回路基板、18・・・ステータ部、20・・・ロータ部、22・・・モータシャフト、28・・・巻線、42・・・巻線端末、44・・・ロータハウジング、46・・・ロータマグネット、68・・・載置体、70・・・ケース体、72・・・カバー体、78・・・円筒部、80・・・軸部、84・・・磁気検知センサ、86・・・第1磁気誘導部材、88・・・第2磁気誘導部材、94・・・接続孔、100・・・誘導部、110・・・挿通孔、112・・・保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線を有するモータ部と、
前記モータ部から導出される巻線端末に電気的に接続される回路基板と、
前記モータ部に取り付けられると共に、前記回路基板を載置する載置体と、
前記載置体に一体的に形成され、前記載置体が前記モータ部に取り付けられるときに前記巻線端末を前記回路基板の接続孔へと誘導する誘導部と、
を備えるモータ。
【請求項2】
前記誘導部は、前記巻線端末が挿通可能な挿通孔を有し、
前記挿通孔は、前記接続孔に対応した位置において前記載置体の前記モータ部への取り付け方向に沿って形成され、前記接続孔に向けて縮径されている請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記巻線端末は、前記載置体が前記モータ部に取り付けられるときに前記挿通孔に挿通されるように前記モータ部から導出されている請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記載置体は、前記載置体の前記モータ部への取り付け方向に向けて突出されると共に前記モータ部の軸部を挿入可能な円筒部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記載置体には、前記モータ部のロータマグネットから発せられる磁気を前記回路基板に搭載される磁気検知センサへと誘導する磁気誘導部材を保持する保持部が一体的に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−93930(P2013−93930A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233242(P2011−233242)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】