説明

ユビキノン類を含有する水溶性組成物

【課題】 従来は、特殊な界面活性剤を用いてユビキノン類を水溶性にして水などに配合するものであり、この方法では官能に制限があり、また界面活性剤を利用しなければならない等制限が多かった。本発明は、油分を含まず(或いは油分が少ない)簡単に或いは様々な官能に対応できるようなユビキノン類の配合した水溶性化粧品および食品を提供することにある。
【解決手段】 コエンザイムQ10等のユビキノン類とグリセリン等の多価アルコール、さらに必要に応じてリン脂質とを含有する懸濁液を、超高圧ホモゲナイザーを用いて1500kg/cm2 以上の圧力条件下微細化処理し、分散粒子の平均粒子径が110nm以下のユビキノン類分散組成物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユビキノン類を安定に含有するユビキノン類分散組成物及びその製造方法、ユビキノン類含有乳化組成物、並びに、これらユビキノン類分散組成物やユビキノン類含有乳化組成物を含有する飲食品や化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ユビキノン類は人の細胞中のミトコンドリアに存在する補酵素で、細胞を活性化させ人体のエネルギー生産に不可欠な成分であり、従来、ユビキノン類を体内に投与した場合の生理活性については、細胞活性活動のためのエネルギー供給作用(呼吸の維持回復、ATP産生促進)及び過酸化脂質の低下作用(細胞膜の損傷・異常の抑制作用)等が知られており、また、臨床面については、虚血性心不全等に極めて有用であり、ユビキノン類は治療薬として認められて市販されている。
【0003】
従来、ユビキノン類を化粧料に添加して、紫外線照射による皮膚損傷の防止、ひいては皮膚の老化予防効果を有する化粧料(例えば、特許文献1参照)や、ユビキノン−10を配合した抗色素沈着剤(例えば、特許文献2参照)が知られている。しかしながら、ユビキノン類はエーテルにはよく溶けるが、化粧品に利用する原料等その他の溶媒には、難溶性であり、結晶性も高い。このため様々な工夫がなされ、ユビキノン類(ユビデカレノン)のような結晶性薬物を過飽和状態で含有するO/W型マイクロエマルジョンを、別に調製したO/Wエマルジョン中に添加して得られるO/Wエマルジョンとしたり(例えば、特許文献3参照)、ステロール、ステロール誘導体、ステロール類似骨格を持つ誘導体から選択される1種、又は2種以上を必須成分として含有するユビキノン含有組成物(例えば、特許文献4参照)とすることが知られている。また、ユビキノン類に特殊な界面活性剤を用いて水溶性にした後、化粧品に配合する方法も知られている(例えば、特許文献5参照)。
【0004】
一方、ユビキノン類と多価アルコールとを含有する懸濁液を、超高圧ホモゲナイザーを用いて強力に分散してなるユビキノン類分散組成物、ユビキノン類含有乳化組成物、及びこれら組成物を含有する飲食品や化粧料は知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】特公昭62−121号公報
【特許文献2】特開昭61−289029号公報
【特許文献3】特公平7−74145号公報
【特許文献4】特開2004−210669号公報
【特許文献5】特表2002−541216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、飲食品や化粧料にユビキノン類を配合するため、多量の乳化剤を必要としたり、ステロール類の配合を必要としていた。また今日、日本の食生活も変化し、油分の摂取量が多くなり、それに伴い皮膚にも皮脂の量が多く、化粧品においては、官能的にもさっぱりしたものが求められている。しかしながら、ユビキノン類を配合した化粧品は油脂の量が多い乳化剤が多いのが現状である。上記のように特殊な界面活性剤を用いてユビキノン類を水溶性にして水などに配合する例が知られているが、この方法では官能に制限があり、また特殊な界面活性剤を利用しなければならない等制限が多い。そのため、油分を含まず(或いは油分が少ない)簡単に或いは様々な官能に対応できるようなユビキノン類を配合した水性化粧品及び飲食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、化粧品(或いは食品)で汎用されている原料について、単独或いは種々の組合せを試験するなど鋭意検討した結果、ユビキノン類と多価アルコールさらにはこれにリン脂質を配合して、超高圧ホモゲナイザーを用い、1800kg/cm2 の圧力条件下微細化処理することによって、ユビキノン類の分散粒子の平均粒子径を120nm以下にすることができ、かかるユビキノン類分散組成物やこれに油分を混合したユビキノン類含有乳化組成物が、化粧料や飲食品にきわめて有利に用いうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、(1)ユビキノン類と多価アルコールとを含有する懸濁液を、超高圧ホモゲナイザーを用いて微細化処理することを特徴とするユビキノン類分散組成物の製造方法や、(2)ユビキノン類と多価アルコールとを含有する懸濁液が、さらにリン脂質を含有することを特徴とする上記(1)記載のユビキノン類分散組成物の製造方法や、(3)多価アルコールの20%以上がグリセリンであることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のユビキノン類分散組成物の製造方法や、(4)超高圧ホモゲナイザーを用い、1500kg/cm以上の圧力条件下微細化処理することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載のユビキノン類分散組成物の製造方法や、(5)超高圧ホモゲナイザーを用い、1700kg/cm2 以上の圧力条件下微細化処理することを特徴とする上記(4)記載のユビキノン類分散組成物の製造方法や、(6)超高圧ホモゲナイザーを用いる微細化処理を2回以上繰り返すことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載のユビキノン類分散組成物の製造方法や、(7)微細化処理により、分散粒子の平均粒子径を300nm以下にすることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載のユビキノン類分散組成物の製造方法や、(8)分散粒子の平均粒子径を120nm以下にすることを特徴とする上記(7)記載のユビキノン類分散組成物の製造方法や、(9)ユビキノン類が、コエンザイムQ10であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか記載のユビキノン類分散組成物の製造方法に関する。
【0009】
また本発明は、(10)多価アルコール含有液中に、分散粒子の平均粒子径が300nm以下の微細化ユビキノン類が分散していることを特徴とするユビキノン類分散組成物や、(11)分散粒子の平均粒子径が120nm以下の微細化ユビキノン類が分散していることを特徴とする上記(10)記載のユビキノン類分散組成物や、(12)多価アルコール含有液が、多価アルコールとリン脂質との含有液であることを特徴とする上記(10)又は(11)記載のユビキノン類分散組成物や、(13)多価アルコールの20%以上がグリセリンであることを特徴とする上記(10)〜(12)のいずれか記載のユビキノン類分散組成物や、(14)ユビキノン類が、コエンザイムQ10であることを特徴とする上記(10)〜(13)のいずれか記載のユビキノン類分散組成や、(15)上記(1)〜(9)のいずれか記載の製造方法により得られることを特徴とする上記(10)〜(14)のいずれか記載のユビキノン類分散組成物や、(16)上記(10)〜(15)のいずれか記載のユビキノン類分散組成物と油分を混合してなることを特徴とするユビキノン類含有乳化組成物や、(17)上記(10)〜(15)のいずれか記載のユビキノン類分散組成物からなる飲食品又は前記ユビキノン類分散組成物を含有する飲食品や、(18)上記(10)〜(15)のいずれか記載のユビキノン類分散組成物からなる化粧料又は前記ユビキノン類分散組成物を含有する化粧料や、(19)上記(16)に記載のユビキノン類乳化組成物からなる飲食品又は前記ユビキノン類乳化組成物を含む飲食品や、(20)上記(16)に記載のユビキノン類乳化組成物からなる化粧料又は前記ユビキノン類乳化組成物を含む化粧料に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、化粧品等に用いられる通常の溶媒に難溶性であり、結晶性も高いユビキノン類を微細化して、分散された微粒子が長期的に安定であり、また、分散性にきわめて優れているユビキノン類分散組成物や、該ユビキノン類分散組成物と油分と混合した乳化物であるユビキノン類乳化組成物を得ることができ、これらの組成物を化粧品や飲食品に適用するとユビキノン類の有する有効性を効果的に発揮する化粧料や飲食品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のユビキノン類分散組成物の製造方法としては、ユビキノン類と多価アルコールとを含有する懸濁液、好ましくは水懸濁液を、超高圧ホモゲナイザーを用いて微細化処理する方法であれば特に制限されるものではなく、また、本発明のユビキノン類分散組成物としては、多価アルコール含有液中に、分散粒子の平均粒子径が300nm以下、好ましくは120nm以下の微細化ユビキノン類が分散している組成物であれば特に制限されるものではなく、上記ユビキノン類としては、2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−ポリプレニル−1,4−ベンゾキノンの誘導体で側鎖のイソプレン単位によって、コエンザイムQ6、コエンザイムQ7、コエンザイムQ8、コエンザイムQ9、コエンザイムQ10等が知られているが、最も汎用され、すでに市販されていることから、これらのコエンザイムの中でもコエンザイムQ10を特に有利に使用することができる。
【0012】
上記多価アルコールとして、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、キシロース、トレハロース等を例示することができるが、中でもOH基を3以上有する多価アルコールが微細化処理後の安定化すなわち、粒子の合一等を防ぎ好適である。OH基を3以上有する多価アルコールの中でもグリセリンが好適に例示することができる。勿論、食品として用いる場合は、食品の原料として認められている多価アルコールから選択し、また、化粧品の場合、抗菌性のある多価アルコールを選択することが有利である。また、配合は複数の多価アルコールを併用することは有効であり、目的によって多価アルコールを選択することが好ましい。ユビキノン類と多価アルコールとを含有する懸濁液におけるユビキノン類と多価アルコールとの配合比率は、ユビキノン類1質量部に対して、多価アルコールが1〜100質量部を配合することが好ましく、この範囲で配合することにより、次工程の超高圧ホモゲナイザーを用いての微細化処理を好適に実施することができる。そして、多価アルコールの20%以上、好ましくは30%以上をグリセリンとすることにより、ユビキノン類の分散性がより向上したユビキノン類分散組成物とすることができる。
【0013】
上記ユビキノン類と多価アルコールとを含有する懸濁液として、さらにリン脂質が配合された、ユビキノン類と多価アルコールとリン脂質とを含有する懸濁液とすることもできる。リン脂質としては特に限定はなく、卵黄、大豆、トウモロコシ等の動植物、大腸菌等の微生物から抽出される天然のリン脂質及びそれらの水素添加物並びに合成のリン脂質が挙げられる。具体的には、フォスファチジルコリン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルセリン、スフィンゴミエリン、フォスファチジルグリセロール、ジパルミトイルフォスファチジルコリン等の1種又は2種以上をユビキノン類の配合量や製品の目的や用途等を考慮して選択することができる。
【0014】
上記超高圧ホモゲナイザーを用いての微細化処理としては、1000kg/cm以上の圧力条件下での微細化処理であれば特に制限されず、1500kg/cm以上、特に1700kg/cm、中でも略1800kg/cmの圧力条件下での微細化処理が好ましい。圧力の上限は特にないが、3000kg/cm以上で処理を行っても効果の向上はあまり認められないが用途等によってはさらに高圧で処理することも有効である。また、かかる微細化処理において、超高圧ホモゲナイザーを用いての微細化処理を複数回行い、分散粒子の平均粒子径のバラツキを減少させることもできる。超高圧ホモゲナイザーとして、例えば、マイクロフルイダイザー(みづほ工業社製)、アルティマイザー(スギノマシン製)等を具体的に挙げることができる。
【0015】
また、超高圧ホモジナイザーを用いての微細化処理の対象を、化粧品又は食品の全体である必要はなく、ユビキノン類と多価アルコールとを含有する懸濁液、あるいは、ユビキノン類と多価アルコールとリン脂質とを含有する懸濁液とすることが好ましい。多価アルコールやリン脂質は全使用量の一部を微細化処理の対象とすることができる。また、その他の原料に関しては処理量や処理時の粘度などを勘案し微細化処理の対象とすることができる。このように、超高圧ホモジナイザーを用いての微細化処理の対象を絞り込み、必要な部分のみ高圧ホモジナイザーで処理することがより効率的である。
【0016】
上記の超高圧ホモジナイザーを用いての微細化処理により、分散粒子の平均粒子径を300nm以下、好ましくは120nm以下にすることが好ましい。多価アルコールの存在下、又は多価アルコールとリン脂質の存在下、分散粒子の平均粒子径を300nm以下、好ましくは120nm以下にすることにより、ユビキノン類分散組成物があたかもユビキノン類溶液組成物のようになり、ローション等の水性化粧料や飲料に有利に用いることができる。
【0017】
本発明のユビキノン類分散組成物の製造方法により本発明のユビキノン類分散組成物を得ることができる。この本発明のユビキノン類分散組成物に油分を混合・攪拌して乳化物とすることにより、本発明のユビキノン類含有乳化組成物を得ることができる。油分としては、化粧品、飲食品、医薬品などに通常用いられる油性成分であれば特に制限されず、油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン油、及び親油性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の油性成分を挙げることができる。例えば、油脂としては、オリーブ油、ツバキ油、グレープシードオイル、マカデミアナッツ油、ヒマシ油等を挙げることができ、ロウ類として、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン等を挙げることができ、炭化水素として、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等を挙げることができる。また、高級脂肪酸として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等を挙げることができ、高級アルコールとして、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等を挙げることができ、エステル類として、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル等を挙げることができる。さらに、シリコーン油として、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等を挙げることができ、親油性界面活性剤として、親油型モノステアリン酸グリセリン、親油型モノオレイン酸グリセリン、(カプリル/カプリン酸)グリセリン、ステアリン酸ソルビタン等を挙げることができる。これらは単独または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0018】
本発明のユビキノン類分散組成物やユビキノン類含有乳化組成物は、そのまま飲食品や化粧料とすることができ、また、他の成分を配合して飲食品や化粧料とすることもできる。例えば、化粧料とする場合、ユビキノン類と多価アルコールとリン脂質以外の配合成分としては、可溶化剤、防腐剤、殺菌剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、増粘剤、香料等を必要に応じて組成物調製時または組成物調製後に配合でき、更に、化粧料に慣用されている補助剤を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。
【0019】
例えば、可溶化剤、湿潤剤として、各種界面活性剤が挙げられ、また、防腐剤・殺菌剤として、安息香酸、安息香酸塩類、サリチル酸、サリチル酸塩類、フェノール、ソルビン酸及びその塩類、パラベン、メチルパラベン、クロールクレゾール、ヘキサクロロフェン、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。更に、紫外線吸収剤として、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、その他ウロカニン酸等が挙げられる。増粘剤として、主に水溶性高分子が用いられ、天然高分子(植物系、微生物系動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系等)、合成高分子(ビニル系等)の有機物と、ベントナイト、微分酸化ケイ素等の無機物が挙げられ、乳液等の安定性を保つのに用いられ、香料としては、天然に存在する香りある植物や動物から、蒸留、抽出、圧搾等の分離操作により取り出した天然香料、例えば、バラ油、ジャスミン油、ネロリ油、ラベンダー油、クローブ油、ペッパー油、ムスク油等が挙げられ、合成香料として、リモネン、リナノール、シトラール等が挙げられる。
【0020】
化粧料の種類としては、スキンケア化粧料、メーキャップ化粧料、ボディケア化粧料、ヘアケア化粧料、オーラル化粧料を挙げることができ、これらの形態として、液状、クリーム状、ジェル状、スプレータイプのものを挙げることができ、具体的には、ローション(化粧水)、アストリンゼント、美容液、乳液、洗顔クリーム・フォーム、液体洗浄料、入浴剤、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、育毛剤、ヘアトニックを例示することができる。中でも、ローション(化粧水)、アストリンゼント、美容液等の液状化粧料を好適に例示することができる。
【0021】
飲食品の種類としては特に制限されず、例えば、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、ジュース、牛乳、豆乳、酒類、コーヒー、紅茶、煎茶、ウーロン茶、スポーツ飲料等の各種飲料や、プリン、クッキー、パン、ケーキ、ゼリー、煎餅などの焼き菓子、羊羹などの和菓子、冷菓、チューインガム等のパン・菓子類や、うどん、そば等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、みそ、しょう油、ドレッシング、マヨネーズ、甘味料等の調味類や、チーズ、バター等の乳製品や、豆腐、こんにゃく、その他佃煮、餃子、コロッケ、サラダ等の各種総菜を挙げることができる。
【0022】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。配合量は質量部で示す。
【実施例1】
【0023】
[ローション]
コエンザイムQ10 1
グリセリン 3
水 100
上記各成分を計量後、撹拌しつつ、マイクロフルイダイザ−(みづほ工業社製M−140K)1800kg/cmで2回処理した。
【実施例2】
【0024】
[ローション]
コエンザイムQ10 2
グリセリン 3
1,3−ブチレングリコール 5
1,2−ヘキシレングリコール 3
水 100
上記各成分を計量後、撹拌しつつ、マイクロフルイダイザ−(みづほ工業社製M−140K)1800kg/cmで2回処理した。
【実施例3】
【0025】
[ローション]
コエンザイムQ10 3
グリセリン 5
1,3ブチレングリコール 5
トレハロース 2
大豆リン脂質 1
水 100
上記各成分をおのおの計量後、加温(60℃)し、撹拌しつつ、マイクロフルイダイザ−(みづほ工業社製M−140K)1800kg/cmで2回処理した。なお、上記大豆リン脂質としては、日光ケミカルズ社製「レシノールS−10」を用いた。
【実施例4】
【0026】
[ローション]
(A成分)
コエンザイムQ10 0.1
グリセリン 3
1,2−ペンタンジオール 5
水 30
(B成分)
アスコルビン酸グリコシド 5
イソプレングリコール 5
0.5%カルボキシビニルポリマー水溶液 1
オウゴン抽出液 1
水 100
上記A成分を計量後、撹拌しつつ、マイクロフルイダイザ−(みづほ工業社製M−140K)1800kg/cmで2回処理した後、B成分の混合溶解液を撹拌しつつ加えた。なお、上記カルボキシビニルポリマーはグッドリッチ社製「ハイビスワコー104」の中和したものを用い、オウゴン抽出液は丸善薬社製「オウゴン抽出液BG−JC」を用いた。
【実施例5】
【0027】
[乳液]
(A成分)
コエンザイムQ10 1
グリセリン 15
水 30
(B−1成分)
スクワラン 1
ローズマリー油 1
d−α−トコフェノール 1
ビタミンA油 1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 10
(B−2成分)
1,3−ブチレングリコール 10
グリセリン 5
1,2−ペンタンジオール 10
フェノキシエタノール 1
桑白皮抽出液 1
ヒアルロン酸液 3
水 50
上記A成分を計量後、撹拌しつつ、マイクロフルイダイザ−(みづほ工業社製M−140K)1800kg/cmで2回処理した後、B−2成分の混合溶解液を撹拌しつつ加えた。これとB−1成分を加温(65℃)しつつホモミクサー(特殊機化工業社製、T.K.オートホモミクサーMARK2 20型)5000rpmで20分間撹拌して乳液を得た。なお、上記ローズマリー油は山本香料社製「Rosemary oil」を用い、d−α−トコフェノールは理研ビタミン社製「理研オイル1000」を用い、ビタミンA油は理研ビタミン社製「理研パルミテート」を用い、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は日光ケミカルズ社製「ニッコールHCO−60」を用い、桑白皮抽出液は一丸ファルコス社製「ファルコレックスソウハクヒBG」を用い、ヒアルロン酸液は旭化成社製「バイオヒアルロン酸液」を用いた。
【実施例6】
【0028】
[飲料]
(A成分)
コエンザイムQ10 1
グリセリン 8
水 30
(B成分)
ソルビトール 30
リンゴ果汁 300
上記A成分を計量後、撹拌しつつ、マイクロフルイダイザ−(みづほ工業社製M−140K)1800kg/cmで2回処理した後、B成分の混合溶解液を撹拌しつつ加えた。
【実施例7】
【0029】
[粒子径の測定]
実施例1〜3のローションにおける分散粒子の平均粒子径を測定した。また、実施例1〜3におけるグリセリンを1,3−ブチレングリコールに置き換えた以外は同様の方法により調製したローション(実施例1’〜3’)における分散粒子の平均粒子径を測定した。さらに、実施例1〜3における超高圧ホモゲナイザーを用いての微細化処理を、ホモミクサー(特殊機化工業社製、T.K.オートホモミクサーMARK2 20型)を用いての5000rpmで20分間の撹拌処理に変更した以外は同様に調製したローション(比較例1〜3)における分散粒子の平均粒子径を測定した。分散粒子の平均粒子径の測定は、ローション調製の24時間後に粉度分布測定装置(島津製作所社製)を用いて行った。その結果を表1に示す。表1から、グリセリン又は1,3−ブチレンアルコールを用いて微細化処理を施すと平均粒子径は、105〜110nmとなるが、グリセリンを用いた場合の方が、経時安定性に優れているという利点がある。
【0030】
【表1】

【実施例8】
【0031】
[化粧試験]
上記実施例5の乳液と、実施例5における超高圧ホモゲナイザーを用いての微細化処理を、ホモミクサー(特殊機化工業社製、T.K.オートホモミクサーMARK2 20型)を用いての5000rpmで20分間の撹拌処理に変更した以外は同様に調製した乳液(比較例4)における実際の化粧効果を比較した。これらを女性10名に3ヶ月間1日2回使用してもらった。なお、顔の片側に実施例5の乳液、他方に比較例4の乳液を使用してもらい、比較例4の乳液との比較で判定してもらった。結果を以下に示す。
【0032】
A 肌のくすみ
1.比較例より非常に効果があった。 6名
2.比較例より効果があった。 3名
3.比較例よりやや効果があった。 1名
B.肌荒れ
1.比較例より非常に効果があった。 5名
2.比較例より効果があった。 3名
3.比較例よりやや効果があった。 2名
C.美白効果
1.比較例より非常に効果があった。 4名
2.比較例より効果があった。 5名
3.比較例よりやや効果があった。 1名
であった。
【0033】
上記の結果から、肌のくすみに対する効果、肌荒れに対する効果、美白効果において、本発明のユビキノン類含有乳化組成物を含む乳液が、比較例4の乳液に比べて顕著に優れていることがわかった。
【0034】
以上のように本発明の方法によるユビキノン類を配合した化粧料等は、ユビキノン類が微粒子に分散されるばかりでなく、長期的に安定であり、また、分散性がよいことから、ユビキノンの有効性を顕著に発揮することができる。これは粒子径のみの影響だけではなく、多価アルコール、リン脂質の配合バランスによって生じている。更に、本発明の化粧品や飲食品は、油分や界面活性剤を多く使用した化粧品等に比較して官能的に優れており、用途に応じて様々な官能が得られることも今までの化粧品等に比較して、非常に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユビキノン類と多価アルコールとを含有する懸濁液を、超高圧ホモゲナイザーを用いて微細化処理することを特徴とするユビキノン類分散組成物の製造方法。
【請求項2】
ユビキノン類と多価アルコールとを含有する懸濁液が、さらにリン脂質を含有することを特徴とする請求項1記載のユビキノン類分散組成物の製造方法。
【請求項3】
多価アルコールの20%以上がグリセリンであることを特徴とする請求項1又は2記載のユビキノン類分散組成物の製造方法。
【請求項4】
超高圧ホモゲナイザーを用い、1500kg/cm以上の圧力条件下微細化処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のユビキノン類分散組成物の製造方法。
【請求項5】
超高圧ホモゲナイザーを用い、1700kg/cm2 以上の圧力条件下微細化処理することを特徴とする請求項4記載のユビキノン類分散組成物の製造方法。
【請求項6】
超高圧ホモゲナイザーを用いる微細化処理を2回以上繰り返すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のユビキノン類分散組成物の製造方法。
【請求項7】
微細化処理により、分散粒子の平均粒子径を300nm以下にすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のユビキノン類分散組成物の製造方法。
【請求項8】
分散粒子の平均粒子径を120nm以下にすることを特徴とする請求項7記載のユビキノン類分散組成物の製造方法。
【請求項9】
ユビキノン類が、コエンザイムQ10であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載のユビキノン類分散組成物の製造方法。
【請求項10】
多価アルコール含有液中に、分散粒子の平均粒子径が300nm以下の微細化ユビキノン類が分散していることを特徴とするユビキノン類分散組成物。
【請求項11】
分散粒子の平均粒子径が120nm以下の微細化ユビキノン類が分散していることを特徴とする請求項10記載のユビキノン類分散組成物。
【請求項12】
多価アルコール含有液が、多価アルコールとリン脂質との含有液であることを特徴とする請求項10又は11記載のユビキノン類分散組成物。
【請求項13】
多価アルコールの20%以上がグリセリンであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか記載のユビキノン類分散組成物。
【請求項14】
ユビキノン類が、コエンザイムQ10であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか記載のユビキノン類分散組成物。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか記載の製造方法により得られることを特徴とする請求項10〜14のいずれか記載のユビキノン類分散組成物。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか記載のユビキノン類分散組成物と油分を混合してなることを特徴とするユビキノン類含有乳化組成物。
【請求項17】
請求項10〜15のいずれか記載のユビキノン類分散組成物からなる飲食品又は前記ユビキノン類分散組成物を含有する飲食品。
【請求項18】
請求項10〜15のいずれか記載のユビキノン類分散組成物からなる化粧料又は前記ユビキノン類分散組成物を含有する化粧料。
【請求項19】
請求項16に記載のユビキノン類乳化組成物からなる飲食品又は前記ユビキノン類乳化組成物を含む飲食品。
【請求項20】
請求項16に記載のユビキノン類乳化組成物からなる化粧料又は前記ユビキノン類乳化組成物を含む化粧料。

【公開番号】特開2007−15965(P2007−15965A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198135(P2005−198135)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(503186560)株式会社ベスビオ (9)
【出願人】(397019287)コスメテックスローランド株式会社 (13)
【Fターム(参考)】