説明

ラジアントチューブ炉の制御方法および制御装置

【課題】RT表面温度の変動を抑制すること。
【解決手段】制御部が、燃料ガスが燃焼する燃焼筒3cの温度を測定し、測定された燃焼筒3cの温度に基づいて燃焼筒3cに供給される燃焼空気の流量を制御する。これにより、RT表面温度の変動を抑制することができる。また、制御部103は、レキュペレーター4の表面温度を測定し、測定されたレキュペレーター4の表面温度に基づいて燃焼筒3cに供給される燃焼空気の流量を制御する。これにより、RT表面温度の変動をさらに抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスを燃焼させることによって発生した燃焼排ガスを利用して鋼板などの被加熱体を加熱するラジアントチューブ炉の制御方法および制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製鉄所では、コークス炉、高炉、転炉などの設備から副生ガスと呼ばれる副産物のガスが発生する。この副生ガスは、水素、一酸化炭素、メタンなどの燃料として利用可能な可燃成分のほかに、硫黄分などの不純物やダストを含んでいる。このため、副生ガスは、精製工程において不純物やダストを除去された後、加熱炉に設置されたバーナの燃料として利用される。
【0003】
一般に、副生ガスの精製工程では、副生ガスに洗浄水を噴射することによって副生ガスに含まれているダストを除去する。このため、精製処理後の副生ガスは水分を多く含んでいる。水分を含む副生ガスが加熱炉のバーナに供給された場合、副生ガスに含まれる水分量によって実燃料ガス流量が減少するために、バーナに供給される燃焼空気量が過剰になり、バーナの燃焼効率が悪化する。
【0004】
このような背景から、特許文献1には、燃料ガス中に含まれる水分量に応じて燃焼空気量を制御することによって燃焼効率の悪化を抑制する技術が記載されている。詳しくは、特許文献1記載の技術は、バーナが発生する火炎によって鋼板を加熱する直火型加熱炉において、燃焼排ガス中の酸素ガスや一酸化炭素ガスの濃度を燃料ガス中に含まれる水分量の指標として測定し、測定されたガス濃度に基づいてバーナに供給する燃焼空気量を制御する。
【0005】
一方、燃料ガスを燃焼させることによって発生した燃焼排ガスを利用して鋼板を加熱するラジアントチューブ(RT)炉は、直火型加熱炉と比較して多くのバーナを備え、バーナ間の燃料ガス流量のばらつきが大きい。また、ラジアントチューブに割れがある場合には、ラジアントチューブ内に炉内の雰囲気ガスが吸引されることによって燃焼排ガスの濃度が変化する。このため、一般に、ラジアントチューブ炉では、酸素ガスや一酸化炭素ガスの濃度に基づいた燃焼空気量の制御は行わず、特許文献2〜4に記載されている制御が行われている。
【0006】
具体的には、特許文献2には、目標の鋼板温度を確保するために炉温を制御する技術が記載されている。特許文献3には、ラジアントチューブの表面温度(以下、RT表面温度と表記)に基づいて各ゾーンにおける燃料ガス流量を制御する技術が記載されている。特許文献4には、燃料ガスや大気の温度から燃料ガス中の飽和水蒸気量を予測し、予測した飽和水蒸気量から実燃料ガス流量を算出することによって理論燃焼空気量を算出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平2−8213号公報
【特許文献2】特許第2823645号公報
【特許文献3】特開平8−35015号公報
【特許文献4】特開2009−68774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2記載の技術は、炉温を支配するRT表面温度の変動を測定していないために、RT表面温度が変化した後に炉温の変化を検知する。このため、特許文献2記載の技術によれば、炉温の制御に遅れが発生するために、RT表面温度の変動を抑制することができない。
【0009】
また、特許文献3記載の技術は、RT表面温度の変化に大きく影響するバーナの火炎温度を瞬時に測定することができない。このため、特許文献3記載の技術によれば、火炎温度が変化した後にRT表面温度の変化を検知することになるので、燃料ガス流量の制御に遅れが発生し、RT表面温度の変動を抑制することができない。
【0010】
また、特許文献4記載の技術によれば、バーナに供給される空気中の水分の影響を考慮していないために、空気中の水分量が変動した際、火炎温度が変動し、RT表面温度の変動を抑制することができない。
【0011】
以上をまとめると、特許文献2〜4記載の技術によれば、RT表面温度の変動を抑制することができず、結果として鋼板の温度を目標温度に精度よく加熱することができない。このため、RT表面温度の変動を抑制可能な技術の提供が期待されていた。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、RT表面温度の変動を抑制可能なラジアントチューブ炉の制御方法および制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るラジアントチューブ炉の制御方法は、燃料ガスを燃焼させることによって発生した燃焼排ガスを利用して被加熱体を加熱するラジアントチューブ炉の制御方法であって、前記燃料ガスが燃焼する燃焼筒の温度を測定する燃焼筒温度測定ステップと、前記燃焼筒温度測定ステップにおいて測定された燃焼筒の温度に基づいて該燃焼筒に供給される空気の流量を制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るラジアントチューブ炉の制御方法は、上記発明において、前記制御ステップが、前記燃焼筒の温度が目標温度より低い場合に該燃焼筒に供給される空気の流量を低下させるステップを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るラジアントチューブ炉の制御方法は、上記発明において、前記制御ステップが、前記燃焼筒の温度が目標温度より高い場合に該燃焼筒に供給される空気の流量を増加させるステップを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明に係るラジアントチューブ炉の制御方法は、上記発明において、前記燃焼排ガスの排熱を利用して燃焼筒内に供給される空気を予熱するレキュペレーターの表面温度を測定するレキュペレーター表面温度測定ステップを含み、前記制御ステップは、レキュペレーター表面温度測定ステップにおいて測定されたレキュペレーターの表面温度に基づいて前記燃焼筒に供給される空気の流量を制御するステップを含むことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るラジアントチューブ炉の制御装置は、燃料ガスを燃焼させることによって発生した燃焼排ガスを利用して被加熱体を加熱するラジアントチューブ炉の制御装置であって、前記燃料ガスが燃焼する燃焼筒の温度を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された燃焼筒の温度に基づいて該燃焼筒に供給される空気の流量を制御する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るラジアントチューブ炉の制御方法および制御装置によれば、RT表面温度の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、火炎温度、燃焼筒温度、RT表面温度、炉温、および鋼板温度の関係を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態である制御装置が適用されるラジアントチューブ炉の構成を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態である制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態である燃焼制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態である制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、第1および第2の実施形態の燃焼制御処理を実行した場合と実行しない場合とにおけるRT表面温度の偏差を評価した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔本発明の概念〕
始めに、図1を参照して、本発明の概念について説明する。
【0021】
図1は、火炎温度、燃焼筒温度、RT表面温度、炉温、および鋼板温度の関係を示す図である。図1に示すように、本発明の発明者の検討によれば、RT表面温度に影響を及ぼす火炎温度は、燃焼筒温度にも影響を及ぼすことを知見した。具体的には、燃料ガスや燃焼空気に水分が含まれている場合、その水分の影響によって火炎温度が低下するが、その際、燃焼筒温度も低下することを知見した。また、火炎温度の変化と共に燃焼筒温度は変化するが、RT表面温度および炉温には応答遅れが発生し、最終的にはその遅れの影響で鋼板温度にも応答遅れが発生することを知見した。以上のことから、本発明の発明者は、燃焼筒温度に基づいて燃焼空気量を制御することによってRT表面温度の変動を抑制することを考えた。火炎温度ではなく燃焼筒温度に基づいて空気量を制御することとした理由は、火炎温度を測定するためには高価な測定装置が必要であるが、燃焼筒温度は安価な熱電対で測定できるためである。
【0022】
以下、この考えに基づいて想到された本発明の一実施形態である制御装置の構成およびその動作について説明する。
【0023】
〔ラジアントチューブ炉の構成〕
始めに、図2を参照して、本発明の一実施形態である制御装置が適用されるラジアントチューブ炉の構成について説明する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態である制御装置が適用されるラジアントチューブ炉の構成を示す模式図である。図2に示すように、本発明の一実施形態である制御装置が適用されるラジアントチューブ炉は、鋼板Sの長さ方向に沿って配列された複数のラジアントチューブ1を備えている。但し、図2では、複数のラジアントチューブのうちの1つのみを図示している。ラジアントチューブ1は略W字状に湾曲した配管によって構成され、その両端部は加熱炉2の炉壁2aの外部に位置するように固定されている。
【0025】
ラジアントチューブ1の端部1aおよび端部1bにはそれぞれバーナ3およびレキュペレーター4が装着されている。バーナ3は、パイロットバーナ3aと、メインバーナ3bと、燃焼筒3cと、を備えている。パイロットバーナ3aは、燃料ガスを供給する図示しない燃料ガス配管と、燃焼空気を供給する図示しない燃焼空気配管と、燃料ガス配管から供給された燃料ガスと燃焼空気配管から供給された燃焼空気との混合気体に点火して着火用の種火を生成する図示しない点火装置とを備えている。
【0026】
メインバーナ3bは、燃焼筒3c内に燃料ガスを供給する図示しない燃料ガス配管を備えている。燃焼筒3c内に供給された燃料ガスと燃焼筒3c内の燃焼空気との混合気体はパイロットバーナ3aが生成した種火によって燃焼して火炎を形成する。ラジアントチューブ1の内部は燃焼筒3c内の火炎による輝炎輻射および燃焼排ガスによる強制対流によって加熱され、ラジアントチューブ1の外表面から放射される放射熱によって加熱炉2の内部および鋼板Sが加熱される。
【0027】
メインバーナ3bに供給される燃料ガスの流量は、メインバーナ3bと燃料ガスが流通する燃料ガス本管5とを繋ぐ配管6に設けられた流量調整弁7、遮断弁8、および開閉弁9の開度を制御することによって制御される。配管6には、燃料ガスの流量を測定するためのオリフィス流量計10が設けられている。
【0028】
レキュペレーター4は、煙道11を介して燃焼筒3cから排出される燃焼排ガスの排熱を回収し、回収した排熱を利用してラジアントチューブ1の内部を通って燃焼筒3c内に供給される空気を予熱する。燃焼排ガスの排熱を燃焼筒3c内に供給される空気の予熱に利用することによって、ラジアントチューブ炉の熱効率を向上させることができる。煙道11内を流通する燃焼排ガスは、排気圧力調整弁12によってその圧力を調整した後、煙突13を介して炉外に排出される。
【0029】
レキュペレーター4に供給される空気の流量は、レキュペレーター4と燃焼空気が流通する燃焼空気本管14とを繋ぐ配管15に設けられた流量調整弁16、遮断弁17、および開閉弁18の開度を制御することによって制御される。配管15には、燃焼空気の流量を測定するためのオリフィス流量計19が設けられている。
【0030】
〔第1の実施形態〕
次に、図3,図4を参照して、本発明の第1の実施形態である制御装置の構成および動作について説明する。
【0031】
〔制御装置の構成〕
図3は、本発明の第1の実施形態である制御装置の構成を示すブロック図である。図3に示すように、本発明の第1の実施形態である制御装置は、炉温測定部101、燃焼筒温度測定部102、および制御部103を備えている。燃焼筒温度測定部102および制御部103はそれぞれ、本発明に係る測定手段および制御手段として機能する。
【0032】
炉温測定部101は、図2に示す加熱炉2内の温度を炉温として測定し、測定された炉温のデータを制御部103に入力する。燃焼筒温度測定部102は、熱電対によって構成されている。燃焼筒温度測定部102は、図2に示す燃焼筒3cの温度を測定し、測定された燃焼筒温度のデータを制御部103に入力する。
【0033】
制御部103は、コンピュータなどの情報処理装置によって構成されている。制御部103は、炉温測定部101および燃焼筒温度測定部102から入力されたデータとオリフィス流量計10,19の測定値とに基づいて図2に示す流量調整弁7,16の開度を制御することによって燃料ガスおよび燃焼空気の流量を制御する。
【0034】
このような構成を有する制御装置は、以下に示す燃焼制御処理を実行することによって、RT表面温度の変動を抑制する。以下、図4に示すフローチャートを参照して、燃焼制御処理を実行する際の制御装置の動作について説明する。
【0035】
〔燃焼制御処理〕
図4は、本発明の第1の実施形態である燃焼制御処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、ラジアントチューブ炉の稼働が開始されたタイミングで開始となり、燃焼制御処理はステップS1の処理に進む。この燃焼制御処理は、ラジアントチューブ炉が稼働している間、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0036】
ステップS1の処理では、制御部103が、燃焼筒温度測定部102を利用して燃焼筒温度Tbcを測定する。これにより、ステップS1の処理は完了し、燃焼制御処理はステップS2の処理に進む。
【0037】
ステップS2の処理では、制御部103が、ステップS1の処理によって測定された燃焼筒温度Tbcと鋼板Sの目標温度から求まる目標燃焼筒温度Tbmとの大小関係を比較する。比較の結果、燃焼筒温度Tbcが目標燃焼筒温度Tbmより低い場合、制御部103は燃焼制御処理をステップS3の処理に進める。一方、燃焼筒温度Tbcが目標燃焼筒温度Tbmより高い場合、制御部103は燃焼制御処理をステップS4の処理に進める。なお、燃焼筒温度Tbcと目標燃焼筒温度Tbmとが等しい場合には、制御部103は燃焼制御処理を終了する。
【0038】
ステップS3の処理では、制御部103が、燃料ガスや燃焼空気中の水分量が増加することによって燃焼筒温度Tbcが低下したと判断し、燃焼筒3cに供給される燃焼空気量を減少させる。燃焼空気量を減少させることにより、燃焼筒3c内の過剰空気および水分量が減少し、火炎温度が上昇する。その結果、火炎温度と目標火炎温度との差が小さくなり、RT表面温度の変動を抑制できる。これにより、ステップS3の処理は完了し、一連の燃焼制御処理は終了する。
【0039】
ステップS4の処理では、制御部103が、燃料ガスや燃焼空気中の水分量が減少することによって燃焼筒温度Tbcが上昇したと判断し、燃焼筒3cに供給される燃焼空気量を増加させる。燃焼空気量を増加させることにより、燃焼筒3c内の過剰空気および水分量が増加し、火炎温度が低下する。その結果、火炎温度と目標火炎温度との差が小さくなり、RT表面温度の変動を抑制できる。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連の燃焼制御処理は終了する。
【0040】
なお、上記の燃焼制御処理では、制御部103は、燃焼空気量のみを制御したが、以下に示す数式(1)を利用して燃料ガス流量Fgも制御する。数式(1)中、パラメータTam,Tacはそれぞれ目標炉温および実際の炉温を示し、パラメータWa,Wbは重み係数を示している。重み係数は、操業データ(温度、流量)に応じて統計学的に求めることができる(相関分析など)。
【0041】
【数1】

【0042】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態である制御装置では、制御部103が、燃料ガスが燃焼する燃焼筒3cの温度Tbcを測定し、測定された燃焼筒3cの温度Tbcに基づいて燃焼筒3cに供給される燃焼空気の流量を制御するので、RT表面温度の変動を抑制することができる。
【0043】
〔第2の実施形態〕
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施形態である制御装置の構成および動作について説明する。
【0044】
〔制御装置の構成〕
図5は、本発明の第2の実施形態である制御装置の構成を示すブロック図である。図5に示すように、本発明の第2の実施形態である制御装置は、第1の実施形態である制御装置の構成に加えてレキュペレーター表面温度測定部104を備えている。レキュペレーター表面温度測定部104は、図2に示すレキュペレーター4の表面温度を測定し、測定された表面温度のデータを制御部103に入力する。制御部103は、炉温測定部101、燃焼筒温度測定部102、およびレキュペレーター表面温度測定部104から入力されたデータとオリフィス流量計10,19の測定値とに基づいて図2に示す流量調整弁7,16の開度を制御することによって燃料ガスおよび燃焼空気の流量を制御する。
【0045】
〔燃焼制御処理〕
ラジアントチューブ炉では、NOxの発生量を抑制するために緩慢燃焼が行われている。このため、燃焼筒付近で燃焼しなかった燃料ガスがレキュペレーター4を通過するまでの間に燃焼することがある。そのため、燃焼しなかった燃料ガス流量によってラジアントチューブの軸方向の温度分布が異なり、RT表面温度に変動が発生する可能性がある。そこで、本実施形態では、制御部103は、レキュペレーター4の表面温度を測定することによって燃焼筒付近で燃焼しなかった燃料ガス流量を推定し、推定された燃料ガス流量に基づいて燃焼筒3cに供給される燃焼空気量を制御する。
【0046】
なお、この際、制御部103は、第1の実施形態で説明した燃焼制御処理も合わせて実行する。また、本実施形態では、制御部103は、以下に示す数式(2)を利用して燃焼ガス流量Fgを制御する。数式(2)中、パラメータTrm,Trcはそれぞれ目標レキュペレーター表面温度および実際のレキュペレーター表面温度を示し、パラメータWcは重み係数を示している。重み係数は、操業データ(温度、流量)に応じて統計学的に求めることができる(相関分析など)。
【数2】

【0047】
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態である制御装置では、制御部103が、レキュペレーター4の表面温度Trcを測定し、測定されたレキュペレーター4の表面温度Trcに基づいて燃焼筒3cに供給される燃焼空気の流量を制御するので、RT表面温度の変動を抑制することができる。
【0048】
〔実施例〕
最後に、上記第1および第2の実施形態の燃焼制御処理を実行した場合と実行しない場合(従来技術)とにおけるRT表面温度の偏差を評価した結果を図6に示す。図6に示すように、従来技術では、RT表面温度の偏差は±10℃であったのに対して、第1および第2の実施形態の燃焼制御処理を実行した場合には、RT表面温度の偏差はそれぞれ±7℃および±5℃となった。以上のことから、第1および第2の実施形態の燃焼制御処理を実行することによって、RT表面温度の変動を抑制できることが確認できた。
【0049】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例、および運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 ラジアントチューブ
2 加熱炉
2a 炉壁
3 バーナ
3a パイロットバーナ
3b メインバーナ
3c 燃焼筒
4 レキュペレーター
5 燃料ガス本管
6、15 配管
7、16 流量調整弁
8、17 遮断弁
9、18 開閉弁
10、19 オリフィス流量計
11 煙道
12 排気圧力調整弁
13 煙突
14 燃焼空気本管
101 炉温測定部
102 燃焼筒温度測定部
103 制御部
104 レキュペレーター表面温度測定部
S 鋼板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼させることによって発生した燃焼排ガスを利用して被加熱体を加熱するラジアントチューブ炉の制御方法であって、
前記燃料ガスが燃焼する燃焼筒の温度を測定する燃焼筒温度測定ステップと、
前記燃焼筒温度測定ステップにおいて測定された燃焼筒の温度に基づいて該燃焼筒に供給される空気の流量を制御する制御ステップとを含むことを特徴とするラジアントチューブ炉の制御方法。
【請求項2】
前記制御ステップは、前記燃焼筒の温度が目標温度より低い場合に該燃焼筒に供給される空気の流量を低下させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のラジアントチューブ炉の制御方法。
【請求項3】
前記制御ステップは、前記燃焼筒の温度が目標温度より高い場合に該燃焼筒に供給される空気の流量を増加させるステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のラジアントチューブ炉の制御方法。
【請求項4】
前記燃焼排ガスの排熱を利用して燃焼筒内に供給される空気を予熱するレキュペレーターの表面温度を測定するレキュペレーター表面温度測定ステップを含み、前記制御ステップは、レキュペレーター表面温度測定ステップにおいて測定されたレキュペレーターの表面温度に基づいて前記燃焼筒に供給される空気の流量を制御するステップを含むことを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載のラジアントチューブ炉の制御方法。
【請求項5】
燃料ガスを燃焼させることによって発生した燃焼排ガスを利用して被加熱体を加熱するラジアントチューブ炉の制御装置であって、
前記燃料ガスが燃焼する燃焼筒の温度を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された燃焼筒の温度に基づいて該燃焼筒に供給される空気の流量を制御する制御手段とを備えることを特徴とするラジアントチューブ炉の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96628(P2013−96628A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239302(P2011−239302)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】