説明

ラビング角度測定装置、及び液晶表示装置並びに光学フィルムの製造方法

【課題】
製造ライン内でラビング工程へのフィードバックもしくはラビング以後の工程へのフィードフォワードのために、ラビング直後の配向膜表面を非破壊かつ短時間で0.1°以上の高精度にラビング角度を測定することである。
【解決手段】
光源ユニット、測定光学系、撮像手段及び画像評価手段から構成され、光源からの光は照射光学系を通過し、偏光子を通過し、ラビングされた測定対象物を通過し、検光子を通過し、結像光学系を通過し、撮像手段へ入射し、かつ測定対象物の表面が撮像手段に結像するように光学系が構成されており、撮像手段にて得られた画像信号は画像評価手段へ伝送され、この画像内における強い周期性を有する信号を検出することで、測定対象物のラビング角度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基材のラビング処理直後に、当該基材におけるラビング角度(配向規制方向)を非破壊で測定する装置、並びに当該測定でラビング角度が管理された基材を用いる液晶表示装置及び光学フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(液晶ディスプレイ)の一例としてIPS(面内スイッチング)方式の液晶表示装置の構造を図12に概略的に示す。バックライト1241から導出された無偏光は下偏光板1231を通過して偏光され、この偏光された光が液晶パネル1211を通過し、さらに上偏光板1212を通過することにより、液晶表示装置は画像を表示する。偏光板と液晶パネルとの間には、液晶パネル1221(その複屈折)に対する色補償や、その視野角特性等の光学特性を向上させるために、位相差板が具えられていることもある。図11には、上偏光板1212に位相差板1213を重ねて成る複合フィルム1211を用いた液晶表示装置の構造が示される。複合フィルム1211は、上偏光板1212の偏光軸1214と、位相差板1213の遅相軸(Slow Axis,位相遅延軸)1215とを有する。
【0003】
上偏光板1212と下偏光板1231とは、液晶パネル1221の両面(第1のガラス基板1223と第2のガラス基板1224の夫々の主面)に、上偏光板1212の偏光軸1214と下偏光板1231の偏光軸1232とが90°で交差する(クロスニコルになる)ように貼られている。液晶パネル1221の液晶1222を電界で制御し、液晶パネル1221を通過する光の偏光方位を変化させることで、上偏光板1212を透過する光量を調整している。第1のガラス基板1223及び第2のガラス基板1224の液晶1222に接する夫々の主面には、図示されたラビング方向1225沿いにラビングローラを互いに逆方向に動かす所謂逆平行のラビング処理が施されている。液晶1222に電界が印加されない期間(以下、無電界時)において、液晶1222はラビングにて基板に付与された配向規制力の方向(概ねラビング方向1225に等しい)に従って並ぶ。この配向規制力の方向を配向軸と呼ぶ。IPS液晶パネルでは、配向軸が下偏光板1231の偏光軸1232に対して0°又は90°になるように構築されている。液晶1222に電界が印加されない初期状態では、下偏光板1231(バックライト1241)から液晶パネル1221に入射する光は、その偏光方向が液晶1222により変えられないため、この偏光方向と交差する偏光軸1214を有する上偏光板1212で遮られ、液晶表示装置の画面は黒く表示される。液晶パネル1221に電界をかけ、液晶1222の配向方向を変化させることで、液晶パネル1221を通過する光の偏光方向が変化すると、その上偏光板1212を透過する光量が増加し、液晶表示装置の画面は白く表示される。液晶ディスプレイでは、以上のような電界による液晶のスイッチングによって、光量を変化させている。
【0004】
図13乃至15を参照して、液晶パネルにおける配向規制力と液晶の捩れ(上記配向方向を変化させる)の関係を説明する。以降の説明では、上述した液晶1222を挟む一対の基板1223,1224の一方を、液晶への電界印加を制御する画素電極及び薄膜トランジスタ(以下、TFT)を各々備えた複数の画素が二次元的に配置されたTFT基板と記し、その他方を、当該液晶を通過した光に特定の色を与えるカラーフィルタ(以下、CF)が形成されたCF基板と記す。図13は上記TFT基板の主面の上記複数の画素の一つが形成された領域を拡大して示し、図14は当該TFT基板の主面の領域に液晶層を介して対向する上記CF基板の主面の領域を拡大して示す。図13には、上記画素電極(例えば、インジウム−錫酸化物からなるITO配線)1311、その電位を制御する上記薄膜トランジスタ1312、薄膜トランジスタ1312に画像信号を供給するドレイン配線1313、当該画像信号の薄膜トランジスタ1312から画素電極1311への供給を制御するゲート配線1314、及び薄膜トランジスタ1312と画素電極1311とを電気的に接続するソース配線1315が示される。TFT基板は、その主面における画素毎に液晶に電圧を印加するTFTの配置から、アレイ回路基板とも記される。図14には、上記画素電極1311に対向するカラーフィルタ1411、当該カラーフィルタ1411の両側に隣接する一対のカラーフィルタ1412,1413、及び隣接するカラーフィルタを隔てるブラックマトリクス1414が示される。カラーフィルタ1411,1412,1413の色は互いに異なり、例えば、カラーフィルタ1411はG色(緑)レジストで、カラーフィルタ1412はR色(赤)レジストで、及びカラーフィルタ1413はB色(青)レジストで、夫々形成される。
【0005】
図13に示されたTFT基板の主面は配線方向(一点鎖線)からθTFTの角度でずれた方向1301でラビングされ、また、図14に示されたCF基板(カラーフィルタ基板)の主面は当該配線方向(一点鎖線)からθCFの角度でずれた方向1401でラビングされる。ここに例示される配線方向とは、TFT基板の主面にて上記ドレイン配線1313の延在方向として、CF基板の主面では、これに対向する当該TFT基板のドレイン配線1313の延在方向を当該主面に投影させて定義される。TFT基板の主面及びCF基板の主面には、上記ラビング処理の前に配向膜が塗られ、配向膜の夫々には当該ラビング処理により配向規制力が与えられる。次に、TFT基板とCF基板とを、夫々に施されたラビング方向1301,1401が逆平行になるように重ね合わせ、当該TFT基板主面と当該CF基板主面とを隔てる空間に液晶を注入して、図15(a)に示すパネルが作製される。図15(a)は、上記方向1301,1401に夫々の主面がラビングされたTFT基板及びCF基板の一部分を示しており、CF基板に覆われたTFT基板の主面の構造が確認できるように、CF基板は部分的に切り欠かれている。また、図15(b)には図15(a)に示されるパネルの断面が示される。図15(b)に示されるように、CF基板1511の主面には配向膜1513が、TFT基板1512の主面には配向膜1514が夫々形成され、当該主面の間には液晶1515が封入されている。
【0006】
図15(a)に示された直交座標のY軸方向(即ち、上記配線方向)から所定の角度でずれた方向にラビングがなされた基板からなるパネルでは、TFT基板主面の近傍の液晶はTFT基板1512側の配向膜1514に付与されている配向規制力に沿って並び、CF基板主面近傍の液晶はCF基板1511側の配向膜1513に付与されている配向規制力に沿って並ぶ。その間に存在する液晶1515は、これら上下の基板(CF基板1511,TFT基板1512)の配向規制力を結ぶように捩れて並ぶ。液晶パネルは偏光軸に対して液晶配向角度がずれるとコントラストなど光学特性が低下するので、設計値通りの角度で(この場合はY軸と一致させて)ラビングすることが重要となる。
【0007】
また、図12に示すように、液晶ディスプレイは偏光フィルム1212や位相差フィルム1213などの光学フィルムを有しており、光学フィルムはそれぞれ光学異方軸を有している。光学フィルムを製造する際、もしくは液晶パネルに貼り付ける際に、その設計値から光学異方軸の角度がずれると、液晶ディスプレイの光学性能が低下する。そのため、光学フィルムの製造においても光学異方軸の管理が重要である。
【0008】
液晶パネルや光学フィルムの液晶配向軸の角度測定には、一般的な方法として、液晶の屈折率異方性(リタデーション)を測定する方法がある。これは、クロスニコル下で測定対象物(液晶パネルや光学フィルム)を偏光軸に対して回転させ、最も透過率が低下する角度を測定する方法である。また、ラビングされた基板の検査方法としては、下記特許文献1に、ラビングされた基板表面をクロスニコル下で観察し、そのスジ(Streaks)の画像からラビング良否を評価する技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開平6−59230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
液晶パネルや光学フィルムの製造工程の一つであるラビング工程において、ラビング機の加工精度を高めても、布目などのラビング布に起因するラビング条件のバラツキにより、ラビング角度を0.2°以上の精度で管理することは困難である。また、近年の液晶パネル製造工程で扱われる基板の大型化に伴い、ラビング布のバラツキによるラビング角度の面内分布が大きな問題となり、ラビング角度管理が重要な課題となっている。液晶の屈折率異方性を利用した上記の測定方法は、液晶配向軸の高精度な角度測定を可能にしたが、その測定には液晶層の形成(例えば、液晶パネルへの液晶の封入)を要する。このため、その測定をラビング直後に行うことや、その測定結果を即時にラビング工程へフィードバックさせることは困難であった。本発明が解決しようとする課題は、液晶パネルや光学フィルムの製造ラインでのラビング工程へのフィードバック、又はラビング工程以降の工程へのフィードフォワードのために、ラビング直後の配向膜表面のラビング角度を、非破壊且つ短時間で、0.1°以上の高精度で測定することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主たる要旨は、光源、照明光学系、偏光子、検光子、結像光学系及び撮像手段からなる測定系と、測定対象物の姿勢を検出する手段から構成されるラビング角度測定装置を用いて、ラビング後の測定対象物の表面をクロスニコル下で撮像し、その画像を2次元高速フーリエ変換処理もしくは微分処理することにより、画像内における強い周期性を有する信号を検出することで、測定対象物のラビング角度を測定することにある。
【0012】
本発明によるラビング角度測定装置、及び液晶表示装置並びに光学フィルムの製造方法の代表的な構造及び工程は、以下のとおりである。
ラビング角度測定装置の構造1は:
光源ユニット、測定光学系、撮像手段、及び画像評価手段を備え、上記光源ユニットは光源からの光を照射光学系並びに偏光子を通して、表面がラビングされた測定対象物に照射するように構成され、上記測定光学系は上記測定対象物を透過した光を検光子並びに結像光学系を通して上記撮像手段に入射させ且つ当該測定対象物の上記表面を結像させるように構成され、上記画像評価手段は上記撮像手段で得られた画像信号を受けて且つ当該画像内における強い周期性を有する信号を検出して上記測定対象物のラビング角度を測定する。上記測定対象物の表面は、これにより液晶を配向させるために上記ラビングが施されている。上記光源ユニット、上記測定光学系、及び上記撮像手段は、上記測定対象物とともに光学系を成し、当該撮像手段で得られた当該測定対象物の表面の画像は、例えば電気的に上記画像評価手段へ伝送される。
ラビング角度測定装置の構造2は:
上記ラビング角度測定装置の構造1において、上記画像評価手段が、上記画像信号の2次元高速フーリエ変換処理により、上記測定対象物の表面の画像内における上記強い周期性を有する信号を検出することを特徴とする。
ラビング角度測定装置の構造3は:
上記ラビング角度測定装置の構造1において、上記画像評価手段が、上記画像信号の微分処理により、上記測定対象物の表面の画像内における上記強い周期性を有する信号を検出することを特徴とする。
ラビング角度測定装置の構造4は:
上記ラビング角度測定装置の構造1乃至3のいずれかにおいて、上記偏光子と上記検光子の相対偏光軸角度(偏光軸の交差角度)は90°に設定され、且つ上記測定対象物のラビング方向と当該偏光子又は当該検光子の偏光軸とが成す角度がほぼ45°になるように設定されることを特徴とする。
ラビング角度測定装置の構造5は:
上記ラビング角度測定装置の構造1乃至4のいずれかにおいて、当該ラビング角度測定装置は上記測定対象物に記されたマーク又は当該測定対象物の端部を検出する手段を備え、測定対象物を測定する際に、当該マーク又は端部の検出手段は当該測定対象物に設けられたマーク又はその端部を認識し、認識した位置情報から当該測定対象物のマーク又はその端部を基準とした座標系を創成して、この創成された座標における測定対象物のラビング角度を測定することを特徴とする。
ラビング角度測定装置の構造6は:
上記ラビング角度測定装置の構造1乃至4のいずれかにおいて、当該ラビング角度測定装置は上記測定対象物へのマーク付与機能を持ち、当該測定対象物のラビング角度測定の前もしくは後もしくは同時にマークを当該測定対象物へ付与し、当該付与されたマークを基準とした座標系を創成して、この創成された座標に対する当該測定対象物のラビング角度を測定することを特徴とする。
ラビング角度測定装置の構造7は:
上記ラビング角度測定装置の構造1乃至6のいずれかにおいて、上記測定光学系がその光学的配置を保ったまま、上記測定対象物に対して移動可能であり、且つ/又は、上記測定対象物が上記測定光学系に対して移動可能であり、当該測定対象物の任意の位置での撮像が可能であることを特徴とする。
ラビング角度測定装置の構造8は:
上記ラビング角度測定装置の構造1乃至7のいずれかにおいて、上記測定対象物の代表点もしくはその面内の複数点を測定し、その測定結果と規格値を比較して、ラビング角度を管理することを特徴とする。
ラビング角度測定装置の構造9は:
上記ラビング角度測定装置の構造1乃至8のいずれかにおいて、上記撮像手段から得られる画像信号の解像度が512×512pixels以上であることを特徴とする。
【0013】
また、液晶セルを構成する2枚の基板の少なくとも一方の基板にラビングし、当該2枚の基板の間に液晶を封入する液晶表示装置の製造方法において、本発明による工程1は:
上記基板をラビングした後に、上記構造1乃至7のいずれかを備えた上記ラビング角度測定装置を用いて当該基板のラビング角度を測定することを特徴とする。このラビング角度測定は、上記2枚の基板を貼り合わせる前に行われることが望ましい。
本発明による液晶表示装置の製造方法の工程2は:
上記工程1にて、上記測定されたラビング角度が管理値の範囲内か否かの分岐処理を上記ラビング工程にフィードバックし、当該ラビング条件を決定することを特徴とする。
本発明による液晶表示装置の製造方法の工程3は:
上記工程1にて、上記測定されたラビング角度が管理値の範囲内か否かの分岐処理を上記ラビング工程以後の光学異方軸の構築に係わる工程へフィードフォワードし、当該工程の条件を決定することを特徴とする。
【0014】
さらに、フィルム(フィルム状の部材)の表面をラビングし、当該表面に液晶層(複屈折を示す材料層)を形成する光学フィルム(複屈折フィルム等)の製造方法において、本発明による工程1は:
上記フィルムをラビングした後に、上記構造1乃至7のいずれかを備えた上記ラビング角度測定装置を用いて当該フィルムのラビング角度を測定することを特徴とする。このラビング角度測定は、上記フィルムに液晶層(複屈折材料層)を形成する前に行われることが望ましい。
本発明による光学フィルムの製造方法の工程2は:
上記工程1にて、上記測定されたラビング角度が管理値の範囲内か否かの分岐処理を上記ラビング工程にフィードバックし、当該ラビング条件を決定することを特徴とする。
本発明による光学フィルムの製造方法の工程3は:
上記工程1にて、上記測定されたラビング角度が管理値の範囲内か否かの分岐処理を上記ラビング工程以後の上記フィルムの切断工程へフィードフォワードし、当該切断工程の条件を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のラビング角度測定装置により、その製造工程でラビングが行われる液晶パネルおよび光学フィルムにおいて、クロスニコル下でラビング後の基板もしくはフィルムの表面を撮像することで、そのラビング角度の高精度測定が可能となる。そのため、ラビング直後に測定を行い、ラビング角度結果をすぐにラビング条件へのフィードバック、及び切断や重ね合わせなどの後工程の条件へのフィードフォワードが可能となる。これにより、最適な角度でのラビング及びラビング角度に合わせた基材(フィルムや基板)の切断や重ね合わせができ、安定した光学特性を有する液晶パネルの製造及び光学フィルムの製造が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の第1の実施例によるラビング角度測定装置を図1に示す。図1(a)は本実施例によるラビング角度測定装置の平面図を示す。本実施例のラビング角度測定装置では、定盤101上に撮像ユニット130、撮像ユニット移動機構111、及び撮像ユニット移動機構支持体104が構築されている。撮像ユニット130はマークもしくは端部検出用カメラ120を側面に保持した構造体となっている。また、液晶を配向させるために表面をラビングした測定対象物100を保持する搭載台102が搭載台移動機構112(図1(b)参照)上に構築されている。搭載台移動機構112は定盤101上に構築されている。図1(a)に示された直交座標系は、例えば、定盤101の面内をX−Y平面として示す。
【0018】
図1(b)に本実施例のラビング角度測定装置の側面図を示す。本実施例のラビング角度測定装置では、光源ユニット140は図中のX軸方向に移動可能な機構に保持されており、撮像ユニット130と同期して移動する。従って、必ず光源ユニット140から導出された測定用の光は光透過部103(図2を参照して後述)を通過して、測定対象物100を通過後に撮像ユニット130に入射する。なお、測定対象物100の表面が撮像ユニットに結像するように光学系を構成している。撮像ユニット130で得られた測定対象物表面の画像信号が信号伝送線151から画像評価手段150に送られ、そこで画像処理を行い、測定対象物のラビング角度を検出する。画像処理方法の詳細は後述する。図1(b)に示された直交座標系は、例えば、定盤101の面に対する撮像ユニット130の高さをZ軸方向で示す。
【0019】
測定対象物100の表面を固定ピッチで撮像出来るように、測定対象物100が搭載される搭載台102には光透過部103が所定のピッチで設けられている。なお、本実施例では光透過部103には穴をあけ光が透過するようにしたが、光透過部103は穴でなくとも透過する光の特性が変化しなければ本発明の構成には支障が無く、石英ガラスなど光学異方性の小さい材料で構成したものを用いることも可能である。また、固定ピッチでなくとも、測定対象物100の測定希望位置が観察できるように、光透過部103を設けていればよい。本実施例のラビング角度測定装置では、撮像ユニット130はX方向に移動可能であり、搭載台102はY方向に移動可能であるが、撮像ユニット130がY方向、搭載台102がX方向に移動可能であるように機構を構築しても良く、または撮像ユニット130がX及びY方向に移動可能、もしくは搭載台102がX及びY方向に移動可能にしても良い。
【0020】
本実施例のラビング角度測定装置の光学系を図2に示す。無偏光の光源211と光量及び波長を制御するフィルター212と照射光学系213と光路を中心軸として回転可能な偏光子214 からなる光源ユニット140、光透過部103を有する搭載台102を挟んで、光路を中心軸として回転可能な検光子221と結像光学系222と撮像手段であるCCDカメラ223からなる撮像ユニット130で構成される測定光学系である。光源211からの光は照射光学系213を通過し、偏光子214を通過し、液晶を配向させるために表面をラビングした測定対象物100を通過し、検光子221を通過し、結像光学系222を通過し、撮像手段223へ入射する。
【0021】
結像光学系222は対物レンズが交換可能な構造となっており、任意の倍率での測定対象物100の表面の測定を可能にする。また、本実施例のラビング角度測定装置では、後述のように画像からラビング角度を検出するため、画像の解像度が検出精度に影響する。そのため、CCDカメラ223には解像度2048×2048 pixelsのCCDエリアセンサーを用いた。また、CCDカメラ223にラインセンサーを用いることもでき、その場合は、測定対象物表面を撮像するために、搭載台102がラインセンサーの読み取り周波数に同期して移動する機構を付与する必要がある。ラビング角度測定には、偏光子214及び検光子221の偏光軸の角度設定と、CCDカメラ223の姿勢の確認が必要である。次にその方法を述べる。
【0022】
搭載台102には撮像手段であるCCDカメラ223が搭載台に対する姿勢を認識するためのラインが描かれてある(図示せず)。ラインでなくとも固定パターンであれば良く、予めCCDカメラ223の姿勢が既知であるならば、特別にパターンを設ける必要は無い。また、偏光子214と検光子221は相対位置を保ったまま回転でき、かつ偏光子214と検光子221とが独立回転できる機構231を有している。遅相軸角度が既知の1/2波長板などの校正用位相差板を搭載台102に搭載し、遅相軸角度を測定することで、搭載台102に対する偏光子214及び検光子221の偏光軸の角度設定が可能である。また、偏光子214もしくは検光子221のどちらか一方を取り外し可能にすると、偏光軸角度が既知の校正用偏光子について偏光軸角度測定を行うことで、搭載台102に対する偏光子214及び検光子221の偏光軸の角度設定が可能となる。
【0023】
ラビング角度の測定方法について述べる。図3にその手順について示す。まず、ラビングした測定対象物を搭載台に搭載する(ステップ301)。マークもしくは端部検出手段によって、測定対象物に記されたマークもしくは端部を検出し、搭載台に対する測定対象物の姿勢を計測する(ステップ302)。測定対象物の姿勢の詳細な測定手順については後述する。次に、偏光子と検光子の相対偏光軸角度を90°に設定後、相対位置を固定し、偏光子の偏光軸が測定対象物のラビング方向に対して概ね45°もしくは−45°になるように設定する(ステップ303)。なお、大まかなラビング角度はラビング時のローラー角度と測定対象物の角度から判断できる。次に、測定光学系を最初の測定位置に移動させる(ステップ304)。クロスニコル下で測定対象物の表面を撮像し(ステップ305)、その画像を2次元高速フーリエ変換処理もしくは微分処理などの画像処理を行い、画像内における一方向の強い周期性を有する信号を検出し、測定対象物におけるラビング角度を測定する(ステップ306)。画像処理方法の詳細については後述する。画像処理を行っている間に測定光学系を次の測定位置へ移動させ(ステップ310)、ステップ305、306、309の操作を繰り返し、測定対象物の面内(例えば、図1(a)のX−Y平面)のラビング角度の測定を行う。設定した全ての測定点の測定が終了したら、測定対象物を払い出し(ステップ311)、測定を終了する。
【0024】
クロスニコル下で測定対象物表面を撮像した画像からラビング角度を検出する方法について説明する。図3のステップ305で撮像した測定対象物表面の画像の模式図を図5(a)に示す。図5(a)では測定対象物表面にラビング操作によって付与された光学異方性が細かいスジ501として見られる。スジが強調されるように、画像のコントラストなどを調整した後、当該画像の2次元高速フーリエ変換処理を行い、図5(b)の模式図で示すパワースペクトルに変換する。図5(b)において、信号の強い部分を黒く表示してある。2次元高速フーリエ変換処理後のパワースペクトル画像において、画像中心を通る線502が存在する。線502の角度は、元画像内における強い周期性を有する角度であり、元画像内におけるスジ501の平均角度の垂線となる。図5(b)の中心部分を拡大した図を図5(c)に示す。簡便には画像内における線の先端511の画像中心からの座標を読み取ることで、線502の角度を求めることができる。例えば、図5(c)において、中心を原点とした時に線の先端511の座標が(256,50)であったとすると、線の角度aはa=arctan(50/256)=11.05°と求まる。また、先端511の座標が1ピクセル上にずれるとその座標は(256,51)となり、線の角度aはa=arctan(51/256)=11.27となる。そのため、測定分解能としては約0.2°となる。線の角度が45°に近づくにつれ、測定分解能は向上する。この計算方法によれば、arctan(256/265)−arctan(255/265)=0.112°となるため、0.1°以上の測定分解能を達成するためには少なくとも512×512 pixels以上の解像度が必要であることが分かる。
【0025】
なお、本実施例のラビング角度測定装置では角度読み取り精度の向上のため、ハフ変換を用いて線502の角度を検出した。本測定では角度を求めるべき線502が原点を通るということが分かっているので、2次元高速フーリエ変換処理後のパワースペクトル画像をw平面とし、w=aw+bからρ=wsinθ+wcosθへと極座標変換する際に、常にb=0であるという前提が成り立ち、ρ=0と置けるため、現実的な処理時間で計算可能である。さらに、信号強度の重み付けと低周波部分(原点付近の黒い塊)の除去を行い、角度検出の精度を高め、0.05°以上の精度でラビング角度測定を可能にした。
【0026】
また、スジ角度を求める際、2次元高速フーリエ変換処理を行わない方法もある。w平面において角度を求めるべき線が原点を通るという前提を用い、元画像を微分処理することで角度を求める方法である。これを次に示す。元画像上の周期的に変動する信号を式1で表す(A:信号の振幅、W:x方向の周波数、W:y方向の周波数、a:傾き)。
【0027】
(数1) f(x,y)=Acos(Wx+Wy) ・・・式1
スペクトル画像上で原点を通ることから、W=aWという関係が成り立つので、式1は式2となる。
【0028】
(数2) f(x,y)=Acos(Wx+aWy) ・・・式2
式3を x、 y でそれぞれ偏微分すると式3、式4となる。
【0029】
(数3) df/dx=−AWsin(Wx+aWy) ・・・式3
【0030】
(数4) df/dy=−AaWsin(Wx+aWy) ・・・式4
(式4)/(式3)から 傾きaが求まる。この傾きaの直線の垂線がラビング角度となる。この場合も、信号強度の重み付けと低周波部分の除去を行うことでより正確な角度検出を行うことができる。その他、元の画像内の強い周期性を有する信号を検出できるアルゴリズムであれば、本発明装置に使用できる。以上のように、元画像内における強い周期性を有する信号を検出するので、観察領域内に膜の欠陥や異物などが存在しても、微小であれば問題なく角度検出が可能である。
【0031】
上記画像処理方法では、画像内におけるラビング角度を検出するため、測定対象物が搭載台に対して傾いていた場合、撮像される画像も傾くため、ラビング角度の測定結果にこの傾きによる誤差が生じる。そのため、正確な角度測定のためには、搭載台に対する測定対象物の正確な姿勢を測定することが重要となる。ここで、測定対象物に記されたマークを用いて、搭載台に対する測定対象物の姿勢の測定方法を述べる。測定対象物に記された一列に並んだ3箇所のマークをマーク検出用カメラで撮像する。得られたマークの画像の模式図を図6 (a)乃至図6(c)に示す。斜線部602、 612、 613がそれぞれ画像内のマーク(例えば、測定対象物に形成されたアラインメントマーク)を表している。図6 (a)には、マーク602の重心を通るx座標601及びy座標603が示されるが、図6(b)及び図6(c)ではこれらの表示は割愛されている。
【0032】
図6 (a)乃至図6(c)に示される各画像にてマーク形状を認識し、画像内における各マークの重心座標(Δxa,Δya)、(Δx,Δy) 、(Δx,Δy)を検出する。搭載台に対する各画像の原点座標をそれぞれ(xa,ya)、(x,y) 、(x,y)とすると、搭載台に対する各マークの重心座標はそれぞれ(xa+Δxa,ya+Δya)、(x+Δx,y+Δy) 、(x+Δx,y+Δy)となり、これら3つの搭載台に対する各マークの重心座標について線形近似を行い、搭載台に対する測定対象物の姿勢を検出する。この測定対象物の姿勢に関する情報をラビング角度の測定結果に反映する。本実施例では3箇所のマークから測定対象物の姿勢を測定したが、測定対象物の姿勢は複数のマークを用いなくとも測定し得る。即ち、測定対象物の姿勢が測定可能な1箇所以上のマークを測定対象物に記せばよい。測定対象物の面内に複数のマークを記すとき、当該面内にて相互に離されたマークを検出することで、測定対象物の姿勢をより正確に測定できる。また、マークに代えて、測定対象物の端部など他の目印になるものを測定対象物の姿勢測定に用いてもよい。
【実施例2】
【0033】
液晶パネルの製造工程の一例を図7に示す。液晶パネルの製造工程はCF基板701及びTFT基板 702にフレキソ印刷機711でポリイミドなどの高分子溶液を塗布し、焼成炉712で焼成する配向膜形成工程703、ラビング布を巻きつけたラビングローラ713を高速回転させて配向膜表面を擦り、夫々の基板に配向規制力を付与するラビング工程704、ラビング方向が逆平行になるようにCF基板701とTFT基板702の処理面を向かい合わせて重ねる重ね合せ工程705、多面付けされたパネルサイズに分割する切断工程706及び液晶714を封入する液晶封入工程707からなる。ここでは、CF基板701とTFT基板702を用いたが、どちらか一方または2枚ともに、回路やカラーフィルタを備えないガラス基板を用いることもできる。なお、TFT回路は、例えば図13を参照して説明された画素の如く構成され、カラーフィルタは、例えば図14を参照して説明された如く構成される。以上の製造工程は一例であり、例えば、フレキソ印刷機の代わりにインクジェット塗布機を配向膜形成に用いる方法や、基板の重ね合わせの前に液晶滴下を行う方法もある。
【0034】
図7のラビング工程704と重ね合せ工程705との間に、実施例1で示したラビング角度測定装置を使用して、液晶パネルの製造工程におけるラビング工程の管理を実施した例を、図4を用いて説明する。まず、基板にラビングを行い(ステップ401)、実施例1で述べたラビング角度測定装置を用い、基板面内のラビング角度を測定する(ステップ402)。斯様に測定されたラビング角度の面内分布が管理値内であるかを判定する(ステップ403)。判定の結果、管理値外であった場合、ラビングローラを交換し(ステップ404)、再びステップ401から本操作を行う。なお、ステップ404の操作はラビングローラ交換でなくともラビング角度の面内分布が改善可能な方法にフィードバックをかければ良い。ラビング角度の面内分布が管理値内であれば、次にラビング角度の面内平均値が管理値内かの判定を行う(ステップ405)。この判定の結果、管理値外であった場合、ラビングローラの角度を補正し(ステップ406)、再びステップ401から本操作を行う。なお、ステップ406において、ラビング前の基板の回転角度の補正を行うなど、基板の面内の平均ラビング角度が変化可能な手段にフィードバックすれば良い。
【0035】
基板面内で測定されたラビング角度の平均値が管理値内であれば、当該基板を後工程へ送り出す(ステップ408)。なお、ステップ403、 405においてラビング角度が管理値外であっても、ステップ402での測定結果を、切断や基板重ね合わせや光学フィルムの貼り合わせなど、光学異方軸の構築に係わる後工程へフィードフォワードし(ステップ407)、光学異方軸角度を補正しながら、液晶パネルを製造することも可能である。ここでは、基板面内の複数箇所においてラビング角度測定を行ったが、面内の代表的な一点のみを測定することでも簡便な管理は可能である。なお、図4に示すラビングの管理方法は、量産前にラビング条件のチェックとして運用でき、また、量産中の基板を全数測定もしくは抜き取り測定としても運用できる。
【0036】
基板面内のラビング角度測定結果を表示するユーザーインターフェイスの一例を図8に示す。基板面内における各測定位置でのラビング角度が矢印で表示される(画面810)。また、ラビング方向の面内分布及び平均値の管理値及び実測値が表示される(画面820)。なか、この情報を基板毎、またはロット毎に測定し、管理することで、パネル完成時の光学特性の予測が可能となる。
【実施例3】
【0037】
本発明による第3実施例のラビング角度測定装置の概略を図9に示す。図9(a)は本発明によるラビング角度測定装置のXY平面図、図9(b)はXZ平面図、図9(c)はYZ平面図である。本実施例のラビング角度測定装置は、光学フィルムなど長尺状の測定物を対象として設計されている。その装置構成としては、光源ユニット901、照明光学ユニット支持体910、撮像ユニット903、レーザー照射ユニット907、信号伝送線904、画像評価手段906からなり、撮像ユニット903の撮像手段には高感度のラインセンサーを用いており、長尺状の測定対象物902が巻き取られる速度に同期した周波数で撮像手段が作動し、測定対象物902の表面の画像が得られる。光源ユニット901から導出された測定用の光は測定対象物902を通過して、撮像ユニット903に入射する。撮像ユニット903で得られた測定対象物表面の画像情報は信号伝送線904から画像評価手段906に伝送され、画像評価手段906にて画像処理が行われ、ラビング角度を検出する。この検出方法については実施例1に記載した。また、レーザー照射ユニット907は測定対象物にマークを付与する能力を有しており、付与されるマークに対する撮像ユニット903の姿勢及び位置は既知であり、その相対位置が固定されている。画像評価手段906はこのマークを基準とした座標系に対するラビング角度を出力する。なお、マークを付与する必要が無ければ、レーザー照射ユニット907は代わりに実施例1に記載したマークもしくは端部検出手段を用いることができる。本実施例のラビング角度測定装置の光学系は、搭載台が無い他は第1実施例のラビング角度測定装置の光学系と同様であり、図2に示される如く構成される。その光学系の詳細な説明については実施例1に記載したとおりである。
【実施例4】
【0038】
フィルム表面をラビングし、当該表面に液晶層(複屈折材料層)を形成して作られる光学フィルムの製造方法の模式図を図10に示す。光学フィルム製造方法は、長尺状のフィルムの供給手段1001から供給された透明フィルム1020に塗布機1012で高分子溶液を塗布し、炉1013で焼成する配向膜形成工程1002、ラビングローラ713で配向膜表面を擦るラビング工程1003、そのラビング後のフィルムに塗布機1016で液晶(液晶ポリマ)を塗布し、液晶層を形成する液晶層形成工程1004、表面を保護フィルム1018で保護する表面保護工程1005から成る。長尺状のフィルムは、例えばベースフィルムのロール1011として、上記供給手段1001に装着される。ラビング工程1003において、ラビングローラ713でフィルムを擦る強さは、ピンチローラ(Pinch Roller)1015で調整される。表面保護工程1005にて、液晶層の形成された表面が保護フィルム1018で覆われたフィルム(完成状態の光学フィルム)は、長尺状のまま、巻き取りロール1019に巻かれる。
【0039】
図10のラビング工程1003と液晶層形成工程1004との間に、実施例3で示したラビング角度測定装置を使用して、光学フィルムの製造工程におけるラビングの管理を実施した例を、図11を用いて説明する。フィルムにラビングを行い(ステップ1101)、実施例3で述べた方法にてラビングされたフィルムのラビング角度を測定する(ステップ1102)。そのフィルムのラビング角度が管理値内であるかを判定する(ステップ1103)。判定の結果、管理値外であった場合、ラビング工程へフィードバックし、ラビングローラの交換もしくはローラー角度の変更を行う(ステップ1111)。なお、ラビング角度の情報は切断工程へ転送され、切断角度へと反映される(ステップ1112)。管理値外であったフィルムは、そのラビング角度に最適な角度で切断が行われる(ステップ1106)。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明した本発明のラビング角度測定装置により、ラビングされた測定対象物のラビング角度が非破壊・短時間・高精度で測定可能になった。液晶パネル及びラビングを行う光学フィルム製造工程において、ラビング直後のラビング角度測定結果を、光学異方軸の構築に係わる各工程へ反映し、各工程の条件を補正することが可能になったため、液晶パネル及び光学フィルムの光学性能の向上に貢献できる。
【0041】
また、液晶パネルのTFT基板とCF基板及び光学フィルムのラビング角度測定が可能なため、TFT基板とCF基板を重ね合わせた液晶パネル完成時の光学的性能の予測ができ、さらに、液晶パネルに光学フィルムを貼り合せた時の光学性能の予測が可能である。また、液晶パネルの基板自体に位相差板の機能や偏光板を作りこむ際にも、光学軸角度の管理方法として適用できるため、液晶ディスプレイの画質向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施例のラビング角度測定装置の平面図及び側面図である。
【図2】本発明測定装置で用いた光学系の概略図である。
【図3】本発明測定装置を用いた測定手順を示す図である。
【図4】本発明測定装置を用いた配向角度管理手順を示す図である。
【図5】本発明測定装置おける撮像画像と2次元高速フーリエ変換処理後のパワースペクトル画像の模式図である。
【図6】マーク検出カメラで撮影される画像の模式図である。
【図7】液晶パネル製造工程の概略図である。
【図8】本発明測定装置のユーザーインターフェイスを示す図である。
【図9】本発明の第3実施例のラビング角度測定装置の平面図及び側面図である。
【図10】光学フィルム製造工程の概略図である。
【図11】本発明測定装置を用いた長尺状フィルムの配向角度管理手順を示す図である。
【図12】IPS方式液晶ディスプレイを構成する光学異方軸を示す概略図である。
【図13】TFT基板の一部分(一つの画素とその周辺)を拡大した図である。
【図14】CF基板の一部分を拡大した図である。
【図15】重ね合わせ完了後液晶パネルの一部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0043】
100,902…測定対象物、101…定盤、102…搭載台、103…光透過部、104,903…撮像ユニット移動機構支持体、111…撮像ユニット移動機構、112…搭載台移動機構、120…マーク又は端部検出用カメラ、130…撮像ユニット、140,901…光源ユニット、150,906…画像評価手段、151,904…信号伝送線、211…光源、212…フィルタ、213…照射光学系、214…偏光子、221検光子、222…結像光学系、223…CCDカメラ、231…偏光子と検光子とを独立に回転させる機構、501…(画像内における)スジ、502…(画像中心を通る)線、511…(画像内における)線の先端、601…アラインメントマーク602の重心を通るx座標、602,612,613…斜線部(アラインメントマーク)、603…アラインメントマーク602の重心を通るy座標、701,1511…CF基板、702,1512…TFT基板、703…配向膜形成工程、704…ラビング工程、705…重ね合せ工程、706…切断工程、707…液晶封入工程、711…フレキソ印刷機、712…焼成炉、713…ラビングローラ、714,1222,1515…液晶、907…レーザー照射ユニット、910…照明光学ユニット支持体、1001…フィルム供給手段、1002…配向膜形成工程、1003…ラビング工程、1004…液晶層形成工程、1005…表面保護工程、1011…ベースフィルムのロール、1012,1016…塗布機、1013,1017…炉、1015…ピンチローラ、1018…保護フィルム、1019…巻き取りロール、1211…複合フィルム、1212…上偏光板、1213…位相差板、1214…上偏光板の偏光軸、1215…位相差板の遅相軸、1221…液晶パネル、1223…第1のガラス基板、1224…第2のガラス基板、1225…(2枚のガラス基板の)ラビング方向、1231…下偏光板、1232…下偏光板の偏光軸、1241…バックライト、1301…TFT基板の配向規制力方向(ラビング方向)、1311…画素電極(ITO配線)、1312…トランジスタ、1313…ドレイン配線、1314…ゲート配線、1315…ソース配線、1401…CF基板の配向規制力方向(ラビング方向)、1411…G色レジスト、1412…R色レジスト、1413…B色レジスト、1414…ブラックマトリクス、1513…CF基板側配向膜、1514…TFT基板側配向膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源ユニット、測定光学系、撮像手段、及び画像評価手段を備え、
上記光源ユニットは光源からの光を照射光学系並びに偏光子を通して、表面がラビングされた測定対象物に照射するように構成され、
上記測定光学系は上記測定対象物を透過した光を検光子並びに結像光学系を通して上記撮像手段に入射させ且つ該測定対象物の上記表面を結像させるように構成され、
上記画像評価手段は上記撮像手段で得られた画像信号を受けて且つ該画像内における強い周期性を有する信号を検出して上記測定対象物のラビング角度を測定することを特徴とするラビング角度測定装置。
【請求項2】
上記画像評価手段は、上記画像信号の2次元高速フーリエ変換処理により、上記測定対象物の表面の画像内における上記強い周期性を有する信号を検出することを特徴とする請求項1に記載のラビング角度測定装置。
【請求項3】
上記画像評価手段は、上記画像信号の微分処理により、上記測定対象物の表面の画像内における上記強い周期性を有する信号を検出することを特徴とする請求項1に記載のラビング角度測定装置。
【請求項4】
上記偏光子と上記検光子の相対偏光軸角度は90°に設定され、且つ上記測定対象物のラビング方向と該偏光子又は該検光子の偏光軸とが成す角度がほぼ45°になるように設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のラビング角度測定装置。
【請求項5】
上記ラビング角度測定装置は上記測定対象物に記されたマーク又は該測定対象物の端部を検出する手段を備え、該測定対象物を測定する際に、該マーク又は端部の検出手段は該測定対象物に設けられたマーク又はその端部を認識し、認識した位置情報から該測定対象物のマーク又はその端部を基準とした座標系を創成して、この創成された座標における測定対象物のラビング角度を測定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のラビング角度測定装置。
【請求項6】
上記ラビング角度測定装置は上記測定対象物へのマーク付与機能を持ち、該測定対象物のラビング角度測定の前もしくは後もしくは同時にマークを該測定対象物へ付与し、該付与されたマークを基準とした座標系を創成して、この創成された座標に対する当該測定対象物のラビング角度を測定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のラビング角度測定装置。
【請求項7】
上記測定光学系がその光学的配置を保ったまま、上記測定対象物に対して移動可能であり、且つ/又は、上記測定対象物が上記測定光学系に対して移動可能であり、当該測定対象物の任意の位置での撮像が可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のラビング角度測定装置。
【請求項8】
上記測定対象物の代表点もしくはその面内の複数点を測定し、その測定結果と規格値を比較して、ラビング角度を管理することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のラビング角度測定装置。
【請求項9】
上記撮像手段から得られる画像信号の解像度が512×512pixels以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のラビング角度測定装置。
【請求項10】
液晶セルを構成する2枚の基板の少なくとも一方の基板にラビングし、該2枚の基板の間に液晶を封入する液晶表示装置の製造方法であって、
上記基板をラビングした後に、請求項1乃至7のいずれかに記載のラビング角度測定装置を用いて該基板のラビング角度を測定することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の液晶表示装置の製造方法において、上記測定されたラビング角度が管理値の範囲内か否かの分岐処理を上記ラビング工程にフィードバックし、当該ラビング条件を決定することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の液晶表示装置の製造方法において、上記測定されたラビング角度が管理値の範囲内か否かの分岐処理を上記ラビング工程以後の光学異方軸の構築に係わる工程へフィードフォワードし、当該工程の条件を決定することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項13】
フィルムの表面をラビングし、当該表面に液晶層を形成する光学フィルムの製造方法であって、
上記フィルムをラビングした後に、請求項1乃至7のいずれかに記載のラビング角度測定装置を用いて該フィルムのラビング角度を測定することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法において、上記測定されたラビング角度が管理値の範囲内か否かの分岐処理を上記ラビング工程にフィードバックし、該ラビング条件を決定することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の光学フィルムの製造方法において、上記測定されたラビング角度が管理値の範囲内か否かの分岐処理を上記ラビング工程以後の上記フィルムの切断工程へフィードフォワードし、該切断工程の条件を決定することを特徴とする光学フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−278857(P2007−278857A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105822(P2006−105822)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】