説明

リソグラフィ投影装置

【課題】投影システムの最終要素と基板の間の空間を充填する液体を有する装置の描画性能を向上させること。
【解決手段】リソグラフィ装置及びデバイス製造方法が、投影レンズの最終要素と基板の間の描画領域の少なくとも一部を充填する、液溜め13の中に閉じ込められた大きな屈折率の液体を利用する。溶解した大気ガスに由来するか又は液体に曝された装置要素からのガス放出に由来する、液体中で発生する気泡が、露光に干渉して基板上の焼き付け欠陥を招かないように検出されかつ除去される。検出は液体中の超音波減衰の周波数依存を測定することによって実行可能であり、気泡除去は、液体の脱気及び加圧を行い、液体を大気から隔離し、低表面張力の液体を使用し、描画領域を通過する連続的な液流を供給し、さらに超音波定常波形の節を移相することによって実施可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィ装置及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、基板の標的部分の上に望ましいパターンを施す機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。その場合に、マスクなどのパターン形成手段を使用して集積回路の個別層に対応する回路パターンを作成することが可能であり、さらに、放射感応材料(レジスト)の層を有する基板(例えば、シリコン・ウェーハ)上の標的部分(例えば、1個又は数個のダイの一部を含む)の上に、このようなパターンを描画することができる。一般に、単一の基板は連続的に露光される隣接標的部分の回路網を含む。知られたリソグラフィ装置には、1回の試みでパターン全体を標的部分上に露光することによって標的部分をそれぞれ照射する、いわゆるステッパと、投影ビームによって所与の方向(「走査」方向)にパターンを走査し、他方では、同期してこの方向に平行に又は逆平行に基板を走査することによって標的部分をそれぞれ照射する、いわゆるスキャナが含まれる。
【0003】
投影システムの最終要素と基板の間の空間を充填するために、相対的に大きな屈折率を有する液体、例えば、水の中にリソグラフィ投影装置中の基板を浸漬することが提案されてきた。この要点は、露光放射は液体中でより短い波長を有するので、より小さい形状構成を描画できることである。(液体の効果はまた、システムの有効開口数を増加させ、さらに焦点深度も増大させると考え得る。)固体粒子、例えば、水晶を中に縣濁させた水を含めて、他の浸液も提案されてきた。
【0004】
しかし、基板又は基板と基板テーブルを液槽の中に漬けること(例えば、ここで参照としてその全体を組み込む米国特許第4,509,852号明細書を参照されたい)は、走査露光時に加速しなければならない大量の液体が存在することを意味する。これには追加的な又はより強力なモータが必要であり、さらに液体中の乱流が不要かつ予測不能の影響をもたらす恐れがある。
【0005】
提案されている解決策の1つは、液体閉じ込めシステムを使用して、基板の局部領域上のみにかつ投影システムの最終要素と基板の間の中に、液体を供給するための液体供給システムに関するものである(基板は一般に投影システムの最終要素よりも大きな表面積を有する)。このように配置するために提案された1つの方法が、ここで参照としてその全体を組み込む国際公開第99/49504号パンフレットに開示されている。図2及び図3aに例示するように、液体が、少なくとも1つの注入口INによって、好ましくは、最終要素に対する基板の移動方向に沿って基板上に供給され、かつ投影システムの下を通過した後に、少なくとも1つの排出口OUTによって除去される。すなわち、基板を要素の下で−X方向に走査するとき、液体を要素の+X側で供給し、かつ−X側で除去する。図2は、液体が、注入口INを介して供給され、低圧源に連結する排出口OUTによって要素の他方の側で除去される配置を模式的に示す図である。図2の例示では、液体が最終要素に対する基板の移動方向に沿って供給されるが、これはそうである必要はない。最終要素の周囲に位置決めされた注入口及び排出口の様々な配向及び数が可能であり、1つの実施例を図3に示すが、そこでは排出口を両側に備える4組の注入口が最終要素の周囲に規則的な配列で設けられている。
【0006】
提案されている別の解決策は、投影システムの最終要素と基板テーブルの間における空間の境界の少なくとも一部に沿って延びる封止部材を液体供給システムに設けるものである。このような解決策を図3bに例示する。この封止部材は、Z方向に(光軸方向に)多少の相対移動が存在し得るが、XY平面内では投影システムに対して実質的に静止している。封止は、封止部材と基板表面の間に形成される。この封止は、ガス・シールのような非接触封止であることが好ましい。このようなガス・シールを有するシステムが、ここで参照としてその全体を組み込む欧州特許出願第03252955.4号明細書に開示されている。
【0007】
欧州特許出願第03257072.3号明細書では、双ステージ又は2連ステージ型液浸リソグラフィ装置の着想が開示されている。このような装置には、基板を支持するための2つのステージが設けられている。浸液が存在しない、第1位置にあるステージを使用して水平測定を実行すると共に、浸液が存在する、第2位置にあるステージを使用して露光を実行する。別法としては、装置が1つのステージのみを有する。
【0008】
本発明は、液浸リソグラフィ装置のいずれにも応用可能であり、特に、上述のこのような種類に応用可能であるが、限定するものではない。
【0009】
露光放射経路の中に液体が存在しないシステムに比べるとき、このような新たな技術から予想外の欠点が生じる。特に、画像分解能が向上するにもかかわらず、他の点では液体が画質を劣化させるきらいがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、投影システムの最終要素と基板の間の空間を充填する液体を有する装置の描画性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、
放射ビームを供給するように配置されている照射システムと、
放射ビームの断面にパターンを付与することが可能であり、よってパターン形成した放射ビームを提供するパターン形成手段を支持するように構成されている支持構造と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
パターン形成した放射ビームを基板の標的部分上に投影するように配置されている投影システムと、
前記投影システムの最終要素と前記基板の間の空間の少なくとも一部に液体を充填するように構成されている液体供給システムと、を備えるリソグラフィ装置が提供されており、
前記液体供給システムは気泡低減手段を備え、さらに前記気泡低減手段は気泡検出手段を備える。
【0012】
画像劣化の重要な原因は、液体中の気泡による描画放射の散乱であることが認識されている。これらの気泡の大きさと密度を低減することによって、このような散乱と、それに伴う基板に到達する画像の歪みを低減することが可能であり、それによって基板上に焼き付けられたパターン中の欠陥の周波数と大きさを低減する。気泡は、大気に由来するか又は基板上の感光性層など、リソグラフィ装置のガス放出要素に由来する溶解ガスが、何らかの種類の乱れにより溶液から抜け出すときに発生するのが典型である。このように形成された気泡は、関与する液体、気体、及び乱れに応じて、数の密度と大きさの分布が大幅に変化する。非常に微小な気泡は、標準的な方法を用いてそれらを検出し難くかつ除去することが困難であり、しかも依然として基板上に形成される画像に影響を与えるので特に問題を引き起こす傾向がある。典型的なリソグラフィ装置の状況における使用では、例えば、直径が約10nmまで小さくなる気泡が性能を劣化し続ける。気泡検出手段を備えると、この気泡検出手段に対する帰還が可能になり、気泡低減過程の調整と最適化を行うことができる。
【0013】
気泡低減手段は、気泡検出手段を備えることができる。気泡検出手段は、1つ又は複数の超音波変換器を備えることが好ましい。これらの変換器は、超音波を発し、それらが伝搬する液体中の気泡の存在によって影響される超音波を受け取る。超音波変換器がもたらす情報には、気泡の大きさとそれらの数密度の分布に関する情報が含まれている。
【0014】
超音波変換器はまた、周波数の関数として超音波減衰を測定することができる。この手法の利点は、超音波の波長よりもはるかに小さい寸法を有する気泡を検出できることである。信号の振幅のみを使用するだけでは、このような測定方法は超音波の波長と同じ大きさか又はそれよりも大きい気泡に限定されることになる。
【0015】
他の特徴は、気泡低減手段が気泡除去手段を備えることである。
【0016】
気泡除去手段は、脱気装置を備えることが可能であり、この脱気装置は隔離室を備え、
この隔離室中の液体上方の空間は大気圧よりも低い圧力に維持され、以前に溶解したガスが溶液から抜け出て汲み出されるのを促進する。これらの脱気過程によって、溶液から抜け出す溶解大気ガスによる気泡の発生が劇的に低減する。脱気過程の後は、液体を可能な限り通常の大気から隔離しておくことが好ましい。
【0017】
他の特徴は、気泡除去手段が、気泡を描画領域の外側に搬送するために、投影システムの最終要素と基板の上に連続的な液流を供給することである。この工程は、リソグラフィ装置のガス放出要素に由来するガスを除去するのに特に効果的である。
【0018】
さらには、気泡低減手段は、気泡の大きさを最小化して気泡形成ガスが液体の中に溶解するのを促進するために液体を大気圧よりも高圧に加圧することができる。
【0019】
液体の組成は、水よりも小さい表面張力を有するように選択することができる。これは、気泡が画像に対して特に有害の恐れがあり、かつ除去処置の妨害になるきらいがある、気泡が基板に付着する傾向を低減する。気泡が基板及び他の構成要素に付着する傾向は、浸液と接触している表面仕上げを制御することによって低減可能である。特に、表面仕上げは、最小限の表面粗さを有するように研磨されるか又は配置され、好ましくは0.5μmよりも短い特性長スケールを有することが好ましい。
【0020】
気泡低減手段は、液体を、それが投影システムの最終要素と基板の間の空間内に導入される前に処理することができる。この手法の利点は、空間要件と設計自由度の向上である。これらの要素は、複数のリソグラフィ装置で使用するために、又は循環システムにおいて若しくは液体を頻繁に交換すべき場合に使用するために、大量の液体の処理をより容易にする。処理後は、真空下で保持することによって又は液体に容易に溶解し難い、窒素、アルゴン、又はヘリウムなどの気体のみに曝すことによって、液体を大気ガスから保護することができる。
【0021】
気泡検出手段の超音波変換器は、同じ変換器が超音波を送信し、境界によって反射された後で、液体を通過して伝搬することによって減衰された超音波を受信するパルス・エコー構成に配置することができる。このような配置の利点は、変換器の数がより少なく済み、かつ液体を通過する相対的に長い信号経路を配置することがより容易であることである。
【0022】
別法として、気泡検出手段は2つの空間的に離隔した超音波変換器を備えることが可能であり、第1の変換器を超音波の送信用に配置し、第2の変換器を超音波の受信用に配置する。この配置の利点は、受信用変換器で受信した信号の解読がより容易であり、さらに、例えば、境界による非正反射によって引き起こされる変則的な信号損失による影響をより小さくすることができることである。
【0023】
随意選択的に、気泡除去手段は、節領域内に気泡を閉じ込める超音波の定常波形を液体内部に発生するように配置された2つの空間的に離隔した超音波変換器を備えることができる。気泡除去手段は、変換器と連係する位相調整手段の使用によって前記気泡を変位するように配置され、位相調整手段は、節領域とその内部に閉じ込めた気泡を空間移動させる。このような方法を用いて気泡を液溜めの一方の側に完全に搬送し、そこで気泡を隔離しかつシステムから除去することができる。
【0024】
超音波変換器は、メガソニック周波数(1MHzの領域にある)で動作できることが好ましい。メガソニック波によって、空洞現象及び気泡の固体表面との衝突(小さい粒子が押し退けられて液体の汚染をもたらす)など、通常の(より低い周波数の)超音波の幾つかの欠点が回避される。
【0025】
気泡除去手段は、液体に電界を印加するための電界発生器を備えることが可能であり、この電界は、液体内部の境界面に付着した気泡を押し退けることができる。このような特徴は、問題の境界面が基板である場合に、この基板に付着した気泡がリソグラフィ投影装置の焦点にあり、したがって画像をよりひどく歪める恐れがあるので特に有用である。周囲液体の誘電率と異なる誘電率を有する気泡の近傍では、電界の向きの線が歪められる。本実施例は、気泡が境界面に近接するか又はそれと接触しているとき、電界の分布が気泡を表面から引き離し、液体本体に進入させるように力を及ぼし得ることに基づいて動作する。一旦、液体本体に進入すれば、画質に及ぼす気泡の有害な影響はより小さくなり、またより容易に除去可能になる。本方法は、気泡が付着した表面が疎水性である場合であっても応用可能であり、基板に特別な親水性被膜を塗布する必要性を低減する。
【0026】
気泡除去手段は、温度を選択的に制御し、したがって気泡の組成にしたがって気泡の大きさを選択的に制御するための選択的加熱器を備えることができる。気泡のみを加熱し、周囲の液体を加熱しないように選択することによって、液体温度の不要な変動を最小化することが可能である。気泡はそれらの温度を上昇させると、サイズが拡大し、したがって除去がより容易になる。選択的加熱器は、気泡を形成する気体分子(通常は窒素と酸素)の共振周波数に対応する周波数で動作するマイクロ波源を備えることができる。基板領域内のリソグラフィ装置の温度感度が所与であれば、本方法は、液体と気泡を同時に加熱せざるを得ない場合に比べて、気泡内のガスをより多様に加熱することが可能になる。したがって、気泡を液体から除去するためのより大きなエネルギーと時間効率的な方法が得られる。
【0027】
気泡除去手段は、粒子を液体中に導入するための粒子入力装置と、粒子を液体から除去するための粒子除去装置を備えることができる。本方法は、粒子の活性が高いように又は別様に好都合であるように粒子を選択する場合に、気泡は液体中に存在する粒子の表面に付着する傾向があるという原理に基づいて動作する。累積的に、粒子は液体に対して大きな表面積を提供し、それによって粒子と気泡の間の接触機会が増加する。問題の表面は外部表面と、粒子が多孔質である場合は、これらの孔に伴う内部表面とを備えることができる。したがって、多孔質粒子は、非多孔質粒子よりも液体と接触する大きな粒子表面を提供する。本実施例は、粒子が液体に反発する表面(すなわち、液体に対して高い表面エネルギーを有する表面)を有するように配置されているときに特に効果的である。水を含む液体の場合では、このような表面を疎水性と説明することができる。このような配置は、気泡が液体と接触する粒子表面積を減らすように動作し、したがって表面エネルギーを最小化するので気泡の付着に好都合である。気泡と粒子の間の電気的引力、又は気泡の付着に好都合な他の表面特徴も存在し得る。
【0028】
粒子に付着された気泡は、粒子除去装置によって粒子を液体から除去するとき、液体から除去される。粒子除去装置は粒子フィルタを備えることができる。一般に、粒子の寸法はそれらを除去しやすいように選択され、本方法は、たとえ非常に微小な気泡であっても除去する効率的な手段を提供する。
【0029】
気泡検出手段は、光源、光検出器、及び光比較器を備えることができる。光源と光検出器は、光源から放射された光が液体の一部を通過して光源と検出器の間を伝搬するように配置可能であり、比較器は、液体の一部を通過して伝搬した後に検出器に到達する放射光の比率の変化を検出するように配置されている。液体中に気泡が存在すると、光の散乱を引き起こす。光源と検出器の配置に応じて、このような散乱は、検出器で検出される信号の増加又は減少を引き起こし、気泡の個数に関する情報を与えるように分析可能である。このような配置の利点は、投影装置が通常動作中であっても、それは連続動作が可能であることである。気泡が発生するとき、それらを早期の段階で検出することが可能であり、液体が再び清浄になるまで露光を中断することができる。したがって、この特徴は、時間の損失を最小化し、かつ製造される露光不良の基板の数量を低減する。
【0030】
本発明の他の一態様によれば、
放射ビームを供給するように配置されている照射システムと、
放射ビームの断面にパターンを付与することが可能であり、よってパターン形成した放射ビームを提供するパターン形成手段を支持するように構成されている支持構造と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
パターン形成した放射ビームを基板の標的部分上に投影するように配置されている投影システムと、
前記投影システムの最終要素と前記基板の間の空間の少なくとも一部に液体を充填するように構成されている液体供給システムと、
光源、光検出器、及び光比較器を含む、前記液体中の不純物を検出するように配置されている検出システムと、を備え、前記光源と前記光検出器は、前記光源によって放射された光が前記液体の一部を通過して前記光源と前記検出器の間を伝搬するように配置され、さらに前記比較器は、前記液体の一部を通過して伝搬した後に、前記検出器に到達する前記放射光の比率の変化を検出するように配置されている、リソグラフィ投影装置が提供される。
【0031】
検出システムは、投影システムの最終要素と基板の間の液体中の粒子を検出するように配置可能である。液体の光学特性を制御し、かつリソグラフィ装置の性能を向上させるために、粒子を周到に導入することができる。これは、例えば、水晶の微小な粒子を縣濁させることによって実現可能である。この場合には、検出システムを使用して粒子が望ましい比率で存在していることを確認できる。或いは、浸液と接触する表面から離脱する粒子のような有害な粒子が、偶発的にシステムに進入する恐れがある。このような場合には、検出システムを使用してこれらの粒子を検出し、これらの粒子密度及び/又は大きさの分布が所定のしきい値を超えるとき警報手順を開始することができる。問題(望まし粒子の不足又は望ましくない粒子の過剰)の早期検出によって、是正処置を迅速にとることが可能になり、時間の損失と描画不良に伴う材料の損失を最小化する助けになる。
【0032】
本発明の他の一態様によれば、
少なくとも一部が放射感応材料の層によって被覆されている基板を提供する工程と、
照射システムを使用して放射ビームを供給する工程と、
放射ビームの断面にパターンを付与し、よってパターン形成した放射ビームを提供するパターン形成手段を使用する工程と、
放射感応材料の層の標的部分上にパターン形成した放射ビームを投影する工程と、
投影システムの最終要素と前記基板の間の空間の少なくとも一部に液体を充填するように構成されている液体供給システムを提供する工程と、
前記液体供給システム中の気泡を検出しかつ低減する工程と、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0033】
本発明のさらに他の一態様によれば、
放射ビームを供給するように配置されている照射システムと、
放射ビームの断面にパターンを付与することが可能であり、よってパターン形成した放
射ビームを提供するパターン形成手段を支持するように構成されている支持構造と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
パターン形成した放射ビームを基板の標的部分上に投影するように配置されている投影システムと、
前記投影システムの最終要素と前記基板の間の空間の少なくとも一部に液体を充填するように構成されている液体供給システムと、
投影装置の動作状態を活動状態と中断状態の間で切り換えできる液質モニタと、を備え、液質が所定のしきい状態を上回っていると測定されるときに前記活動状態を選択し、液質が所定のしきい状態を下回っていると測定されるときに前記中断状態を選択する、リソグラフィ投影装置が提供される。
【0034】
このような特徴によって、欠陥の早期検出が可能になり、基板の不具合な露光による時間と材料の不要な損失を回避する。所定のしきい値は、気泡検出手段によって検出される気泡の大きさ及び/又は数の分布に対する限界値などのパラメータを基本にすることができる。別法として、所定のしきい値は、液体中の他の粒子の大きさ及び/又は数の分布に対する限界値に関するものでもよい。
【0035】
本文では、集積回路の製造においてリソグラフィ装置を使用することに特定的に言及する場合があるが、本明細書に説明するリソグラフィ装置には、集積光学系、磁気ドメイン記憶装置用の誘導及び検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等々のような他の応用例もあり得ることを理解されたい。このような別法による応用例の文脈では、本明細書の「ウェーハ」又は「ダイ」という用語の使用はいずれも、より一般的な「基板」又は「標的部分」という用語とそれぞれ同義であると見なし得ることは当業者には理解されよう。本明細書で言及する基板は、露光の前に又は後で、例えば、トラック(典型的にレジストの層を基板に塗布しかつ露光済みのレジストを現像する手段)又は計測若しくは検査手段において処理可能である。応用可能であれば、本発明の開示をこのような手段及び他の基板処理手段に応用することができる。さらには、本明細書に使用する基板という用語を使って複数回処理した層を既に含んでいる基板も指す場合があるように、例えば、多層集積回路を作成するために基板を2回以上処理することが可能である。
【0036】
「超音波」又は「超音波音」と呼ぶ場合は、別段の言及がない限り、これは、ヒトの聴覚の上限よりも大きな任意の周波数にある(すなわち、20kHzを超える)音波に関するものと解釈されたい。
【0037】
本明細書に使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)を含めて電磁放射のすべての種類を包含する。
【0038】
本明細書で使用する「パターン形成手段」という用語は、基板の標的部分中にパターンを作成するためなどに、投影ビームの断面にパターンを付与するために使用可能な手段を指すものと広義に理解するべきである。投影ビームに付与されたパターンは、基板の標的部分中の望ましいパターンに厳密に対応しない場合もあることに留意されたい。一般には、投影ビームに付与されたパターンは、集積回路のような、標的部分中に作成されているデバイス中の特定の機能層に対応することになる。
【0039】
パターン形成手段は、透過型又は反射型であり得る。パターン形成手段の実施例には、マスク、プログラマブル・ミラー・アレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィではよく知られており、バイナリ型、交番移相型、及び減衰移相型などのマスクの種類ばかりでなく、様々な複合型マスクの種類も含まれる。プログラマブル・ミラー・アレイの一実施例では、小型ミラーのマトリックス配置を使用し、そのアレイのそれぞれのミラーが、入射する放射ビームを異なる方向に反射するために個別に傾斜可能であり、このような方式で、反射されたビームをパターン形成する。パターン形成手段のそれぞれの実施例では、支持構造が架台又はテーブルであり得るが、例えば、それは必要に応じて固定式又は可動式が可能であり、パターン形成手段を、例えば、投影システムに対して望ましい位置に確保することができる。本明細書の「レチクル」又は「マスク」という用語の使用はいずれも、より一般的な「パターン形成手段」という用語と同義であると見なし得る。
【0040】
本明細書で使用する「投影システム」という用語は、屈折光学系、反射光学系、及び反射屈折光学系を含め、例えば、使用されている露光放射に、又は浸液の使用若しくは真空の使用など、他の要素に適切な様々な種類の投影システムを包含するものと広義に解釈されたい。本明細書の「レンズ」という用語の使用はいずれも、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると見なし得る。
【0041】
照射システムも、屈折光学要素、反射光学要素、及び反射屈折要素を含めて、放射の投影ビームを誘導、成形、又は制御するための様々な種類の光学要素を包含するものと広義に解釈されるべきであり、このような光学要素を以下では集合的に又は単独に「レンズ」と呼ぶこともできる。
【0042】
リソグラフィ装置は、2つ(2連ステージ)以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスク・テーブル)を有する種類であり得る。このような「多連ステージ」機械では、追加的なテーブルを並行して、すなわち、1つ又は複数のテーブル上で予備工程を実行し、他方で1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例にしたがうリソグラフィ投影装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施例にしたがう、投影システムの最終要素周りの領域に液体を供給するための液体供給システムを示す図である。
【図3a】本発明の一実施例にしたがう、投影システムの最終要素周りの、図2の液体供給システムの注入口と排出口の配置を示す図である。
【図3b】本発明の一実施例にしたがう封止部材を示す図である。
【図4】本発明の一実施例にしたがう気泡低減手段を有する液体供給システムを示す図である。
【図5】本発明の2つの実施例にしたがう気泡検出手段中の超音波変換器の可能な2通りの配置を示す図である。
【図6】発明の一実施例にしたがう気泡除去手段中の超音波変換器と定常波の配置を示す図である。
【図7】本発明の一実施例にしたがう脱気装置を示す図である。
【図8】本発明の一実施例にしたがう液体加圧装置を示す図である。
【図9】気泡除去手段の一実施例を示す図であり、1対の保護された電極と関連する電界発生器を示す。
【図10】図2及び図3に例示したものとは異なる液体供給システムを有する、本発明の幾つかの異なる実施例を示す図である。
【図11】a及びbはマイクロ波放射源によって気泡を選択的に加熱するように配置されている気泡除去手段の一実施例を示す図である。
【図12】粒子入力装置と粒子除去装置を備える気泡除去手段の一実施例を示す図である。
【図13】気泡検出手段の一実施例を示す図であり、光源及び光検出器、並びに液体内部の経路から散乱された、投影レンズを通過して光検出器に達する光のビームに関する例示的な軌道を示す。
【図14】図13に示した配置の基板領域を示す拡大図であり、光源の第一実施例にしたがって、光源からの光を投影レンズの最終要素と基板の間の領域内に導入するところを例示する。
【図15】図14と同じ図であるが、光源の第2実施例にしたがって、光源からの光を投影レンズの最終要素と基板の間の領域内に導入するところを示す図である。
【図16】光源、検出器、光比較器、液質モニタ、及び警報器を備える気泡検出手段の一実施例を示す図である。
【図17】本発明の一実施例にしたがう、投影レンズの最終要素と基板の間の領域内の超音波変換器の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ここで、添付の模式図を参照して、例示としてのみ、本発明の実施例を説明する。
【0045】
図では、対応する参照符号が対応する部分を指す。
【実施例1】
【0046】
図1は、本発明の特定の一実施例にしたがうリソグラフィ装置を模式的に示す。この装置は、
放射(例えば、紫外線放射又は遠紫外線放射)の投影ビームPBを供給するための照射システム(照射器)IL、
パターン形成手段(例えば、マスク)MAを支持し、かつ要素PLに対してパターン形成手段を正確に位置決めするための第1位置決め手段PMに連結されている第1支持構造(例えば、マスク・テーブル)MT、
基板(例えば、レジスト塗布ウェーハ)Wを保持し、かつ要素PLに対して基板を正確に位置決めするための第2位置決め手段PWに連結されている基板テーブル(例えば、ウェーハ・テーブル)WT、及び
パターン形成手段MAによって投影ビームPBに付与されたパターンを基板Wの標的部分C(例えば、1個又は複数のダイを含む)の上に描画するための投影システム(例えば、屈折投影レンズ)PLを備える。
【0047】
この図に示すように、この装置は透過型である(例えば、透過型マスクを使用する。)。別法として、この装置は反射型であってもよい(例えば、上で言及した種類のプログラマブル・ミラー・アレイを使用する。)。
【0048】
照射器ILは放射源SOから放射のビームを受け取る。放射源とリソグラフィ装置は、例えば、この放射源がエキシマ・レーザであるとき、別体の独立要素であり得る。このような場合には、放射源はリソグラフィ装置の一部を構成するものとは見なされず、放射ビームは、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビーム拡張器を備えるビーム送出システムBDの補助によって放射源SOから照射器ILに送られる。他の場合では、例えば、放射源が水銀ランプであるとき、放射源はこの装置の一体部分であり得る。放射源SO及び照射器ILを、ビーム送出システムBD(必要ならば)と共に、放射システムと呼ぶことができる。
【0049】
照射器ILは、ビームの角強度分布を調整するための調整手段AMを備えることができる。一般に、照射器のひとみ平面内における強度分布の少なくとも外半径及び/又は内半径範囲(通常はそれぞれσ外半径及びσ内半径と呼ぶ)を調整することができる。さらに
、照射器ILは、積分器IN及び集光器COなどの様々な他の構成要素を備える。照射器は、投影ビームPBと呼ばれ、その断面に望ましい均一性と強度分布を有する放射の条件ビームを供給する。
【0050】
投影ビームPBは、マスク・テーブルMTの上に保持されているマスクMA上に入射する。投影ビームPBは、マスクMAと交差した後、このビームを基板Wの標的部分Cの上に合焦するレンズPLを通過する。第2位置決め手段PWと位置センサIF(例えば、干渉型素子)の補助によって、例えば、異なる標的部分CをビームPBの経路中に位置決めするために、基板テーブルWTを正確に移動することができる。同様に、第1位置決め手段PM及び別の位置センサ(これは図1に明示されていない)を使用して、例えば、マスク・ライブラリから機械的に取り出した後に又は走査時に、マスクMAをビームPBの経路に対して正確に位置決めすることができる。一般には、物体テーブルMT及びWTの移動は、位置決め手段PM及びPWの一部を構成する長行程モジュール(大まかな位置決め)と短行程モジュール(微細な位置決め)の補助によって実行されることになる。しかし、ステッパの場合は(スキャナとは異なり)、マスク・テーブルMTを短行程アクチュエータのみに連結するだけでもよいし、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスク位置合わせ標識M1、M2及び基板位置合わせ標識P1、P2を使用して位置合わせ可能である。
【0051】
図示の装置を次の好ましい方式で使用することができる。即ち、
1ステップ方式では、投影ビームに付与されたパターン全体を1回の試みで標的部分Cの上に投影する間、マスク・テーブルMTと基板テーブルWTを本質的に静止状態に保持する(すなわち、単一静的露光)。次いで、異なる標的部分Cを露光できるように、基板テーブルWTをX方向及び/又はY方向に移動する。ステップ方式では、露光領域の最大の大きさが、単一静的露光で描画される標的部分Cの大きさを限定する。
2.走査方式では、投影ビームに付与されたパターンを標的部分C上に投影する間、マスク・テーブルMTと基板テーブルWTを同期して走査する(すなわち、単一動的露光)。マスク・テーブルMTに対する基板テーブルWTの速度と方向は、投影システムPLの(縮小/)拡大率と画像反転特徴によって決まる。走査方式では、露光領域の最大の大きさが、単一動的露光における標的部分の幅(非走査方向における)を限定するのに対して、走査の移動長さが標的部分の高さ(走査方向における)を決定する。
3.別の方式では、投影ビームに付与されたパターンを標的部分C上に投影する間、マスク・テーブルMTを本質的に静止状態に保ってプログラム可能なパターン形成手段を保持し、かつ基板テーブルWTを移動又は走査する。この方式では、一般にパルス放射源を使用し、かつプログラム可能なパターン形成手段を、基板テーブルWTのそれぞれの移動後に又は走査時の連続的な放射パルスの合間に、必要に応じて更新する。このような動作方式は、上で言及した種類のプログラマブル・ミラー・アレイなどの、プログラム可能なパターン形成手段を利用するマスクレス・リソグラフィに容易に応用可能である。
【0052】
以上に説明した使用方式に関する組合せ及び/若しくは変型、又は全く異なる使用方式を用いることも可能である。
【0053】
図2、図3a、及び図3bは、本発明の一実施例による液体供給システムを示す図であり、上で説明した。限定ではなく上で説明した液槽及び封止部材を含めて、他の液体供給システムも本発明の実施例にしたがって使用することができる。
【0054】
図4は、本発明の一実施例による液体供給システム1と気泡低減手段3a/3bを示す図である。この気泡低減手段3a/3bは、投影レンズの直下に(3a)又は描画軸の外側に(3b)位置することができる。液体供給システム1は、投影レンズPLとウェーハWの間の液溜め13に液体を供給する。この液体は、好ましくは、1よりも実質的に大きな屈折率を有するように選択されるが、その意味は、投影ビームの波長は空気又は真空の中よりも液体の中における方が短く、したがってより小さい形状構成を解像することができる。投影システムの解像度は、とりわけ、投影ビームの波長とシステムの開口数によって決まることがよく知られている。また液体の存在によって、有効開口数が増加すると考えられる。
【0055】
液体が大気に曝されていると、一部の大気ガスが液体の中に溶解し得る。液体が(何らかの原因で)乱されると気泡の形成を引き起こす恐れがあり、それの気泡は、関与する液体、気体、及び乱れに応じて非常に微細な場合がある。微細な気泡は、直径が約10nmまで小さくなると、標準的な方法を用いて検出することが非常に困難であるが、依然として露光放射の描画性能を妨害し、画像を歪め、したがってウェーハ上の焼き付け欠陥を招く。気泡はまた、基板W上の感光性層が露光されるとき、このようなリソグラフィ装置内部の要素からのガス放出によって液溜め13に進入する恐れがある。
【0056】
この液溜めの少なくとも一部は、投影レンズPLの最終要素の下方に位置決めされかつそれを取り囲む封止部材17と境界を接する。この封止部材17は、投影レンズPLの最終要素よりもわずかに上方まで達し、液体の水準は投影レンズPLの最終要素の下端よりも高くなる。封止部材17は、その上端が投影システムの段又はその最終要素と厳密に共形となり、例えば、円形であり得る内部周辺部を有する。その底部では、内部周辺部が描画領域の形状、例えば、長方形と厳密に共形であるが、任意の形状でよい。
【0057】
圧力下で封止体部材17と基板Wに間の間隙に設けられ、ガス、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、又は液中に容易に溶解しない同様のガスによって形成されたガス・シールなどの非接触封止体16によって、封止部材17とウェーハWの間で液体を液溜めに閉じ込めることができる。随意選択的には、液体を加圧状態に維持するために、封止部材14によって液体を封止部材17と投影レンズPLの間に閉じ込める。別法として、封止部材14を割愛することが可能であり、液体を重力によって閉じ込める。
【0058】
気泡低減手段3は、気泡除去手段を備えることができる。図4は気泡除去手段の一態様を示す図であるが、液体を連続的に流して投影レンズPLと基板Wを通過させる。このような動作は、液溜め13内部で生じるガス、例えば、基板Wからのガス放出によって発生するガスから気泡を運び去るには特に効果的である。液体は、封止部材17の中に少なくとも一部が形成されている流路23を介して液溜め13に導入される。これらの流路23は、非接触封止体16に供給するための、ガス及び/又は液体用の注入口並びに排出口から構成可能な流路と協働可能である。例えば、液体は、非接触封止体16の直近の液溜め領域からガス排出口によって吸い込まれて、連続的な流れを送出するように配置可能である。
【0059】
気泡低減手段3は気泡検出手段4を備えることができる。図5は、気泡検出手段4の中の超音波変換器5a/5bの2通りの配置を示す図である。本明細書で用いる検出原理は、超音波の振幅が液中の気泡からのレイリー散乱のために減衰されるというものである。この超音波減衰は、気泡の大きさの分布と数の密度(すなわち、単位体積当たりの数)の関数である。左図では、超音波変換器がパルスを発し、そのパルスが浸液を通過しかつ液溜め(液溜め13又は、例えば、描画軸の外側の何らかの他の液溜め)内部の境界から反射された後で、同じ変換器5aによって受け取られている。このような変換器5aの配置は、「パルス・エコー」配置として知られている。このようなパルス・エコー配置は、単一の変換器5aのみを必要とするだけでよく、さらに発射と検出の間に大きな伝搬経路を有することが容易であり、よって気泡に対する感度の最大化を助けるので効果的である。しかし、変則的な反射が発生して信号の損失を引き起こす恐れがある。別のパルスを放射する前に、パルスの戻りを待つことが必要なために、サンプリング速度も限定され得る。放射と受取りを並行して行えるように変換器5aを配置すると、この問題を解消することができる。それぞれが超音波の放射又は受取り専用である2つの変換器5bを使用する、別法による1つの配置を図5の右側に示す。この配置では一連のパルスを迅速に放射することが可能であり、さらに音波パルスが変換器5b間を直接移動するので、この配置は変則的な反射効果を蒙ることはない。
【0060】
減衰は、超音波信号の波長よりもはるかに小さい気泡を検出するために周波数の関数と
して測定される。これは、広帯域変換器及び励振を使用して実行可能である。単一の周波
数でのみ減衰を測定すると、検出が音波信号の波長と同じ程度の大きさか又はそれよりも
大きい直径を有する気泡に限定される。
【0061】
図6は、本発明の一実施例による気泡除去手段の別の一態様を示す図であるが、信号発生器9と、位相調節手段8によって相互に対してずれた位相とによって動作する2つの超音波変換器5cが、変換器5cの表面間の液体中に定常波形6を発生するように配置されている。図6は、干渉する正弦波から構成された定常波を示すが、この定常波は任意の周期形態(例えば、方形波又は鋸波)であり得る。上図は、第1の瞬間における配置を表し、下図は、その後の瞬間における同じ配置を示す。液体中に存在する気泡(例えば、2)は、定常波6の節領域7近くに局在化される傾向にある。位相調整手段8は、矢印25によって示すように、節の位置を2つの超音波変換器5cの一方又は他方に向かって移動するように作用する。閉じ込められた気泡2は、当該変換器5cに向かう節の移動と一緒に移動し、したがって液溜めの縁部に搬送される。図6では、このような移動が、矢印26によって示すように左側に向かい、また閉じ込められたサンプル気泡2の変位が、2つの連続的な時点における閉じ込められた気泡2の中心を貫通する変位した垂直破線によって示されている。一旦、一定の密度の気泡が一方の変換器5c近くに蓄積したら、この領域内の液体を分離しかつ液溜めから除去し、液体と一緒に気泡を運ぶことができる。
【0062】
気泡除去手段は、ここで参照としてその全体を組み込む欧州特許出願第03253694.8号明細書に説明されている超音波を使用するか、又は同様な原理に基づいて従来の超音波の幾つかの欠点(空洞現象及び壁との気泡衝突を招き小さい粒子が壁から砕け落ちて液体を汚染する恐れがある)を回避するメガソニック波(約1MHz)として知られた、より高い周波数を使用して動作可能である。別法として、より低い周波数の超音波を使用する場合であっても、超音波エネルギーを制御して気泡空洞現象の蓋然性又は程度を低減することができる。さらには、超音波を使用して、より小さい気泡を合体させて、より急速に上昇し、したがってより容易に除去可能なより大きな気泡にすることもできる。他の気泡低減手段も可能であり、例えば、上述の欧州特許出願明細書に説明されているものばかりでなく、恐らくは真空と組み合わせた薄膜を使用するか又はヘリウムのような低溶解度ガスによって液体を除去することによっても可能である。薄膜は、超小型電子技術、製薬、及び電力応用例などの分野で気体を液体からガスを除去するために既に使用されている。液体は、半多孔性の薄膜管の束を通して汲み上げられる。薄膜の孔は、液体はそれを通過できないが、除去すべき気体は通過可能なようにサイズ決めされ、かつ材料が選択されている。したがって液体が脱気される。この過程は、管の外側に低い圧力を印加することによって加速可能である。米国ノースカロライナ州シャーロット市のCelgard Inc.社の1事業部であるMembrana−Charlotte社から入手可能なLiqui−Cel(商標)Membrane Contractorsが、このような用途に適切である。
【0063】
低溶解度ガスによる除去は、往復ポンプ・ヘッド中の気泡閉じ込めを防止するために高性能クロマトグラフィに応用されている知られた技術である。低溶解度ガスを液体全体から抜き出すとき、それは二酸化炭素及び酸素などの他のガスを追い出す。
【0064】
図7は、本発明の一実施例にしたがう気泡除去手段の脱気装置10を示す。この脱気装置10は、脱気すべき液体を収容する隔離室11を備える。脱気装置10は、隔離室11からガスを抜き出し、最終的に内部に低圧状態を実現するように配置されたポンプ12をさらに備える。沸騰を防止するために、使用されている液体の飽和蒸気圧よりも大きくなるように最小圧力を選択することが好ましい(例えば、水では室温で約23ミリバール)。一旦低圧状態になると、液体中に溶解されたガスが溶液から離脱し、ポンプ12によって汲み取られる。液体の温度を上昇させることによって、このような過程を促進することができる。例えば、典型的には、40℃と50℃の間で動作すると、脱気速度が約10倍速くなる。脱気過程が完了すると、すなわち、それ以上溶解したガスを液体から抜き出すことができなくなると、液体の上方に位置する扉15を閉じることによって隔離室11を隔離することができる。液体は、使用するために液溜め13の中に移されるまで、大気から隔離状態に保たれるべきである。液体を、真空下で又は窒素、アルゴン、又はヘリウムなどの液体に溶解し難いガスの下で保持することができる。
【0065】
図8は、本発明の一実施例による、液溜めの液体を大気圧よりも高圧に加圧する役割を果たす液体加圧装置22を示す図である。高い圧力は、気泡の大きさを最小化し、かつ気泡が液体中に溶解するのを促進する効果を有する。図8に示す装置は、ピストン19と内穴21からなる。ピストンを内穴の中に押し込むと液体が加圧される。この装置の下端には、例えば、液体供給システム1の中に液体を移送できるように弁18が設けてある。監視目的のために、安全吹出し弁を備える圧力計20が設けられている。
【0066】
図4に示したように、気泡低減手段3は、液溜め13の内部と液溜め13の外側の要素を備えることができる(図4の3a及び3bをそれぞれ参照されたい。)。露光空間13の外側に要素を有する利点は、利用可能な空間の量又は振動と熱放散の許容水準などの技術的要件がかなり緩和されることである。このことによって、処理要素の設計コストが低下するばかりでなく、大量処理の可能性が開ける。このような大量処理によって、単一のステーションが、幾つかのリソグラフィ装置で使用するための液体を調製することが可能になるし、又は連続的な液体処理量が存在するシステム若しくは液体が頻繁に交換されるシステムで使用するための大量の条件液を供給することも可能になる。
【0067】
液溜め13の内部に位置する気泡低減手段3は、ガス放出などによって液溜め13の内部で不可避的に発生する気泡の対処に特に効果的である。
【0068】
液体の組成は、水よりも小さい表面張力を有するように選択可能である。これによって、気泡が基板に付着する傾向(小さい気泡では特に急激である)が低下するが、このような気泡は特に画像を損傷する恐れがあり、また除去処置を妨害しかねない。これは、より小さい表面張力を有する純粋な液体を選択することによって、又は界面活性剤のような、液体の表面張力を低下させる成分を液体に加えることによって実現可能である。
【0069】
基板Wの表面に付着した気泡は、それらが投影装置の焦点近くにあるので特に有害である。したがって、画像は回折による重大な歪みを受けやすい。本発明の一実施例は、このような気泡及び、より一般的には、浸液内部の任意の境界面に付着した気泡を除去する手段を提供する。このような実施例を図9に例示するが、この場合は基板Wから気泡を除去することに関するものである。この実施例では、2つの電極27a及び27bが投影システムPLの最終要素と基板Wの間の領域内に配置され、それぞれが電源28の端子に接続されている。別法として、既存の装置の一部を電極として利用することも可能である。例えば、基板Wは、27aのような第2電極と協力して1つの電極を形成することができる。このような配置は、通電されると、投影レンズPLの軸に対して実質的に平行で、標的境界面に近接する液体領域に延びる均一な電界を発生する。気泡は、周囲液体の誘電率とは異なる誘電率を有し、そのために気泡の周囲領域における電界の向きの線を歪める。気泡が基板(W)などの境界面に接近するとき、気泡が力を受けるように電界の向きの線を歪めることが可能であり、このような電界の向きの線は、当該表面から離れるように誘導され、気泡を変形させて最終的に表面から解放して液体本体に進入させることができる。図9の状況では、電界の大きさは、気泡の上方に位置する液体によって気泡に加わる圧力と、表面張力などの要因から生じる他の対向する力に打ち勝つように配置可能である。好ましい一実施例では、電極27aと27bの間の電位差が100直流電圧である。しかし、交流電圧源、又は交流電圧源と直流電圧源の組合せが使用可能である。決定的なパラメータは電界強度であり、それは電位差の大きさと電極間の離隔距離に左右される。さらには、非均一的な及び異なる配向の電界も効果的であり得る。この方法は、基板Wの表面が疎水性であり、かつ気泡を変形し、それを表面から分離することに伴う大きなエネルギー障壁が存在するときであっても応用可能である。これは、基板Wに親水被膜を塗布することなどによって、その表面を特別に処理する必要がもはやないことを意味する。
【0070】
幾つかの設計上の問題点を考慮する必要がある。液体の導電率は慎重に制御されるべきである。特に、導電率が高すぎると電界の発生が困難になるので、高すぎないことが必要である。例えば、およそ0.8から18.2MOhmcmの抵抗率を有する水を使用することができる。また、電極27a及び27bは、電気分解及びその後の物質の分解を防止するために、隔離材29によって分解から保護されていることが好ましい。電極の導電率及び/又は誘電率自体は、浸液に比べて高くなければならない。これによる1つの結果は、確実に導体材料の内部の電位に認められるほどの降下が生じないことであり、それによって電極間の均一な電界の発生を助けることができる。
【0071】
電気的な力はまた、気泡と液中に分散する固体粒子との間の付着を引き起こし得ることが分かっている。液中の気泡は、それらの表面上に、気泡表面と液体本体の中で完全解離したイオン集合(ionic concentration)との間の電位差をもたらす界面動電位(すなわち、ゼータ電位)を有する。これは小さい粒子にも該当する。
【0072】
本発明の一実施例によれば、電源又は電圧電源V(すなわち、電荷、電圧、電界又は電位差の発生器若しくは供給源)を使用して液浸装置の1つ又は複数の物体に電位を印加することができる。動作原理は、斥力が必要であれば、液体の完全解離したイオン集合と物体との間に電位差を発生させるが、その電位差は、液体本体の中の完全解離したイオン集合と気泡表面との間の電位差と同じ極性であるというものである。物体と気泡の間に引力が必要であれば、電位差は同じ極性を有するべきである。このようにして、浸液と接触している物体(電極)に向かって又はそれから離れるように気泡に対して力を発生することができる。
【0073】
図10では、幾つかの異なる物体が、それらに印加された電位又は電荷を有する。この実施例は、このような1つの物体のみによって又は物体の任意の組合せによって動作し、また実際に、例示されていない物体に対する他の物体も同様に又は別法として使用可能である。
【0074】
純粋な水では、それは193nmの投影ビーム波長で浸液として使用するための最も有望な候補であるが、マイクロメートル気泡の表面電位は約−50mVであることが分かっている。この電位は、気泡の大きさによって異なり、また浸液の種類によっても異なる。しかし、本明細書で説明するものと同じ原理は、他の浸液と気泡の大きさに対して使用可能であり、本発明はそれらに完全に応用可能である。添加剤を浸液に加えて電位の効果を変更することもできる。この目的には塩化カルシウム又は塩化ナトリウムが適切な添加物の候補である。
【0075】
図10では、6つの異なる物体が例示されており、それらに電位又は電圧又は電荷を印加することができる。これらの物体は浸液に接触していることが好ましい。しかしながら、原理的にはその必要はない。これらの物体の1つが基板Wであり、この基板Wには気泡表面の電位と同じ極性の電位が荷電されていることが好ましい。このようにして、気泡は、それに対して基板Wから直接引き離す力が掛かり、投影された画像に対する気泡の影響が最小化する。基板W上の負の電位と組み合わせて又は単独で、投影システムの最終要素又は投影システムPLの最終要素に近接する物体50を気泡表面の電位とは極性が反対の電位に荷電することができる。これは、気泡を投影システムの最終要素に向かって引き付け、それによって基板から引き離す効果を有することになる。投影システムPLの最終要素に近接する物体50(電極)の形状は、任意の形状でよい。それは板状でもよいし、又は投影ビームPBが電極50の中心を通過するように環状でもよい。
【0076】
別法として、荷電すべき又は印可された電圧を有すべき物体を、封止部材17の表面に付着することも可能である。図10では、これらの物体を封止部材17の内表面に付着する。例示するように、2つの電極52、54は、それぞれバリヤ部材の両側に位置し、反対の電位に荷電されている。この方式では、気泡を一方の又は他方の物体に、恐らくは浸液排出口の方向に引き付けることができる。別法として、気泡表面の電位の極性とは異なる極性を有する電位に荷電されている1つ又は複数の物体を、封止部材17(浸液と接触している)の内側周辺に設けてもよい。この方式では、投影システムPLの最終要素と基板Wとの間における空間36内の浸液中の気泡を装置の光軸から引き離し、それによって基板Wに到る投影ビームPBの経路が気泡によって著しく妨害されないようにしておく。
【0077】
本実施例を使用すべき別の箇所は、液体供給システム内における、投影システムPLの最終要素と基板Wとの間の空間36の上流側である。この場合には、浸液が導管56に沿ってかつ筺体58を通って流れると、反対に荷電されかつ対向するプレート62、64が気泡に対して力を生成するが、この力は、浸液が空間36内にあるとき、空間36の上流側に電界を印加しないで気泡を基板Wから引き離す場合よりも、さらに遠くに気泡を基板から引き離すのに効果的である。高密度の気泡を有する浸液、すなわち、電極64付近の浸液さえも除去可能であり、空間36に供給されることはない。除去された液体は、液体供給システム内で再利用される前に気泡除去処理を受けることができる。
【0078】
以上のすべての実施例では、電圧発生器Vによって印加される電圧が高ければ高いほど、それだけ気泡に対する力が大きくなる。物体上の電位は、浸液の解離を引き起こすほどに高くするべきではないが、本発明が効果的であるように気泡に対して力を加えるのに十分な程度に高くするべきである。主に水からなる浸液では、本実施例にしたがって物体に印加される典型的な電位差は、5mVから5Vであり、好ましくは10mVから500mVである。電位の印加による5mV/mmから500mV/mmの電界が推奨される。
【0079】
図11は、浸液に対する過度の影響を伴わずに大幅に高められた気泡除去率の利点が得られる気泡除去手段の一実施例を示す図である。除去率の向上は、加熱して浸液中の気泡の大きさを増大させることによって実現する。気泡の大きさが増大すると、ほとんどの気泡除去方法に対してその応答性が高くなる。これは、気泡自体の中のガスのみに結合するが、浸液自体には結合しない放射を発生するマイクロ波放射源30の使用によって、浸液又は周囲温度に敏感な構成要素の中に不都合な加熱効果を伴わずに実現される。図11のa及びbは、浸液を示す模式的な拡大図であるが、この過程の動作の仕方を例示する。マイクロ波光子32は、温度T1で例示の気泡31aによって吸収され、次いで加熱されて温度T2でより大きな気泡31bになる。一旦気泡の温度が周囲の浸液の温度よりも上昇すると、浸液温度の多少の上昇がそれぞれの気泡のすぐ近くで不可避的に生じることになる。しかし、気泡の合計熱容量と浸液の熱伝導率は、浸液の加熱を許容限度内に維持できるほどに小さいと見込まれている。一般には、マイクロ波放射の周波数成分は、気泡中に存在する化学種の共鳴振動数又は励起モードに対応するように選択される。対象とする多くの場合では、気泡を形成するガスの大きな留分は窒素と酸素であり、その場合に、これらの分子の共振モードによって使用すべきマイクロ波の周波数が規定される。
【0080】
図12は、気泡除去手段の別法による一実施例を示す図である。この図では、粒子入力装置33が、気泡を表面に引き付けるように働く粒子を浸液中に導入する。これらの粒子を自然分散又は作為的な攪拌によって浸液と混合することができる。気泡の密度にしたがって決定される期間にわたって、これらの粒子を浸液中に放置しておくことができる。例えば、気泡の密度が非常に高ければ、粒子は急速に飽和状態になり、相対的に短時間後に一新する必要がある。他方で、気泡密度が低ければ、粒子がはるかに長い時間、活性状態に留まることができる。一旦、粒子の活性、又は別法として、気泡密度が一定のしきい値レベルを下回ったら、粒子除去装置34によって粒子を液体から除去することができる。この粒子除去装置は、例えば、粒子フィルタを備えることができる。図11の実施例によれば、粒子入力装置33及び粒子除去装置34が、矢印37及び38が示す回路によって、領域36を通過して浸液を循環させるために流路23に結合されている。当該回路は、矢印38が示すように、閉じているか、又は矢印37が示すように主回路又は他の給水源に対する入力及び出力を含むこともできる。使用済みの粒子を粒子再生装置35で処理して気泡を粒子から除去可能である。このような脱気過程は、例えば、粒子含有溶液に対するポンピング又は粒子自体に対する直接的なポンピングによって実現可能である。次いで、粒子入力装置33によってきれいな粒子を浸液に再導入可能であり、これらの粒子は再び浸液中で気泡を捕捉するために効果的に働くことになる。
【0081】
好ましくは、例えば、気泡の表面エネルギーを低下させるために、気泡が表面に付着すのを促す表面特徴を有するように粒子を配置する。さらには、可能な限り大きな表面積を有するように配置することも好ましい。これは、気泡が粒子内部の中の表面上に付着できるように有孔粒子の使用によって実現可能である。一般に、このようなパラメータは、粒子の大きさと数の分布、及び粒子の有孔率を制御することによって変更可能である。孔が微小になるほど、それだけ大きな追加的表面積が備わり得るが、これらの孔は、同程度の大きさである気泡又は孔に比べてより大きな気泡を除外するので(孔はこのような気泡によって塞がれる場合もある)、孔の大きさの釣り合いを取ることが必要となり得る。数多くの様々な粒子組成物、例えば、シリカ、ゼオライト、アルミナ、活性炭、又は炭素分子ふるいを使用することができる。幾つかの重合体組成物も使用可能である。粒子の大きさは、重要度がより低い要素(表面積に比べて)であるが、典型的な大きさの範囲は直径5μmから1000μmでよい。
【0082】
図12では、粒子入力装置33及び粒子除去装置34が共に領域36の外側に位置する。しかし、これらの構成要素は、この領域内部で直接粒子を追加しかつ除去するように配置することも可能である。
【0083】
粒子を液体の中に導入する別法による一方法は、脱気されていない液体と組み合わせて超音波攪拌を時々行うことである。気泡の空洞現象により、粒子が、液体に曝されている固体表面から放出される。
【0084】
図13は、マスクMAと基板Wの間のリソグラフィ投影装置を示す模式的な断面図である。この図は、気泡検出手段又は検出システムが、光源39と検出器40の間で光を伝搬するように配置されている本発明の幾つかの可能な実施例を示す。気泡(気泡検出システムの場合)又は粒子(検出システムの場合)の存在は、液体内部の気泡又は粒子から散乱する光によって生じる、検出器40に到達する光の強度の増減によって確認される。図13は1つの可能な配置を示すが、光源39は、光ファイバ41を介して光線を浸液中に誘導するように配置されている。光は液体を通り抜けて伝搬し、気泡又は粒子が存在すれば、それらによって散乱する。散乱光線の例示経路を矢印42によって示すが、投影レンズ・システムを通り抜けて検出器40に伝搬するのが分かる。好ましくは、フォトレジストが光に対して不感応であるように波長を選択する。図14及び図15は、基板領域を示す拡大図であり、どのように光が浸液中に送出されるかを示す。図14では、光ファイバ41が封止部材17を貫通して繰り出され、直接に又は何回か反射した後で領域36内に進入する。図15は、光を基板Wと封止部材17の間に導入する別法による1つの配置を示す。図14及び図15では、光が単一方向から入り、領域36を水平に横切るように(矢印43a及び43bによって)示してある。しかし、光は、任意の方向から液体中に送出可能であり、投影システムPLの最終要素及び/又は基板Wからの1本又は複数の反射光線を含む経路を備える様々な経路をとり得る。図13から図15までに示した実施例によれば、光検出器で検出される信号強度は、散乱が全体的に増加することにより、気泡又は粒子の密度が液体中で増大するにつれて増加する。しかし、光源39及び検出器40は、散乱が増加すると、検出器40に到達する信号強度の減少をもたらすように配置することができる。他の変形として、光ファイバ41が、照射源と検出器の両方に接続可能であり、気泡又は粒子の存在は、反射されて光ファイバ41の中に戻ってくる光量の変化によって検出される。
【0085】
図13から図15までに例示した配置は、一般に光スキャタロメータと説明される場合があるが、浸液中の気泡又は粒子の密度の連続的かつ非破壊的モニタリングを可能にする利点を有する。図16は、この配置がどのように実現可能であるかを模式的に例示するが、光源39及び検出器40が光比較器44と連係している。この光比較器44は、光源39が発した光と検出器40に到達する信号水準を比較し、光源と検出器の配置に応じて、浸液中に存在する気泡又は粒子の個数に関する情報を測定する。
【0086】
光比較器44は液質モニタ45とも連係できるが、それは適切にプログラムされたコンピュータによって実現可能である。この液質モニタ45は、基板Wに描画されている画質が最低しきい値レベルより下に低下しないことを保証するために、確実に液体が常に適切な清浄度水準にあるように配置可能である。液質モニタ45は、気泡又は粒子の密度に加えて、液体化学組成などの他の要素も考慮に入れることができる。次いで液質モニタ45を警報システム46に接続することが可能であり、このシステムは、浸液の状態が所定のパラメータの範囲外になるとき、システムを停止させて動作状態から中断状態にするか、又は他の適切な動作を行う。このように液体中の問題に対して早い時期に反応することによって、適切な動作の迅速な実行が可能になり、低品質の浸液によって生じる粗悪な露光に伴う材料と時間の損失を最小限にすることもできる。
【0087】
リソグラフィ・システムの描画性能はまた、レンズPLの底面部分上の汚れによっても悪影響(例えば、迷光の発生)を受け得る。このような汚染は、例えば、レジストの化学物質すなわち二酸化ケイ素などの酸化物に主として由来する塩の形成を含み得る。機械的又は化学的洗浄によって汚染を低減できるが、このような処理はコストの掛かる作業停止及び保守人員の作業時間を伴うものであり、必ずしも完全に効果的とは限らず、レンズを損傷する危険性もある。上で説明した本発明の幾つかの実施例によれば、1つ又は複数の超音波変換器を設けて浸液から気泡を検出して除去する。これらの装置はまた、投影レンズPLと基板又はウェーハ・チャックWの最終要素から汚れを除去するように配向しかつ構成することもできる。図17は1つの可能な配置を示すが、超音波変換器47が封止部材17上に配置され、かつ投影レンズPLの最終要素と基板Wの間の液体に直接つながっている。洗浄時にレンズ自体の位置が変わる危険性を最小限にするために、変換器47を封止部材17から機械的に分離するか、又はそれと少なくとも緩衝連結することができる。例えば、変換器47を封止部材17に接触させずに、その近くに配置することも可能である。別法として、高周波を発生させるとき、レンズPLの装置連結部を機械的に切り離すことも可能である。レンズ又はウェーハ・チャックを洗浄する状況では、浸液と共振する超音波を発生する多様な高周波発生器を使用することができる。実際に、超音波によるレンズ及びウェーハ・チャックの洗浄動作が自動的に実行可能であり、また汚染率にしたがってオンとオフを繰り返すように配置可能である。
【0088】
以上に本発明の特定の実施例を説明してきたが、本発明は説明とは別様に実施可能であることが理解されよう。本明細書は本発明を限定しようとするものではない。
【符号の説明】
【0089】
AM 調整手段
C 標的部分
CO 集光器
IL 照射システム(照射器)
IN 積分器
M1、M2 マスク位置合わせ標識
MA パターン形成手段(マスク)
MT マスク・テーブル
P1、P2 基板位置合わせ標識
PB 投影ビーム
PL 投影システム(レンズ)
V 電圧電源
W 基板
WT 基板テーブル
1 液体供給システム
2 気泡
3a、3b 気泡低減手段
4 気泡検出
5a、5b、5c 超音波変換器
6 定常波形
7 定常波形の節領域
8 位相調整手段
9 信号発生器
10 脱気装置
11 隔離室
12 ポンプ
13 液溜め
14 封止部材
15 隔離室の扉
16 非接触封止体
17 封止体
18 弁
19 ピストン
20 圧力計
21 内穴
22 液体加圧器
23 流路
25、26 矢印
27a、27b 電極
28 電源
29 隔離材
30 マイクロ波放射源
31a 気泡
31b より大きな気泡
32 マイクロ波光子
33 粒子入力装置
34 粒子除去装置
35 粒子再生装置
36 領域
37、38 回路
39 光源
40 光検出器
41 光ファイバ
42 散乱光線の経路
43a、43b 矢印
44 光比較器
45 液質モニタ
46 警報システム
47 超音波変換器
50、52、54 電極
56 導管
58 筺体
62、64 筺体のプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射ビームを供給するように配置されている照射システムと、
前記放射ビームの断面にパターンを付与することが可能であり、よってパターン形成した放射ビームを提供するパターン形成手段を支持するように構成されている支持構造と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
前記パターン形成した放射ビームを前記基板の標的部分上に投影するように配置されている投影システムと、
前記投影システムの最終要素と前記基板の間の空間の少なくとも一部に液体を充填するように構成されている液体供給システムと、を備えるリソグラフィ投影装置であって、
前記液体供給システムは気泡低減手段を備え、さらに前記気泡低減手段は気泡検出手段を備えることを特徴とするリソグラフィ投影装置。
【請求項2】
前記気泡検出手段が少なくとも1つの超音波変換器を備え、前記液体中に存在する気泡に関する情報を得るために、前記液体中の超音波の減衰が前記変換器によって測定されている、請求項1に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項3】
前記超音波変換器が周波数の関数として超音波の減衰を測定する、請求項2に記載のリ
【請求項4】
前記気泡低減手段が気泡除去手段を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項5】
前記気泡除去手段が脱気装置を備え、前記脱気装置は隔離室を備え、前記隔離室中の液体上方の空間は大気圧よりも低い圧力に維持され、以前に溶解したガスが溶液から抜け出て汲み出されるのを促進する、請求項4に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項6】
前記気泡除去手段が、前記液体中の気泡を前記投影システムの前記最終要素と前記基板の間の前記空間の外に搬送するために、前記投影システムの前記最終要素と前記基板の上に連続的な液流を供給する、請求項4又は5に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項7】
気泡の大きさを最小化して気泡形成ガスが前記液体中に溶解するのを促進するために、前記気泡低減手段が、前記液体を大気圧よりも高圧に加圧する液体加圧装置を備える、前記請求項のいずれか一項に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項8】
前記液体の組成が水よりも小さい表面張力を有するように選択される、前記請求項のいずれか一項に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項9】
前記気泡低減手段が、前記液体を、それが前記投影システムの前記最終要素と前記基板の間の前記空間に供給される前に処理する、前記請求項のいずれか一項に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項10】
前記処理された液体が封止された容器内に保持され、前記封止容器内の余剰空間に、窒素ガス、アルゴン・ガス、ヘリウム・ガス、又は真空の1つ又は複数が充填されている、請求項9に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項11】
超音波変換器がパルス・エコー構成で配置され、前記変換器は、超音波を送信し、かつ反射後に、前記液体を通過する経路に沿って伝搬する間に減衰された超音波を受信するように動作する、請求項2又は3に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項12】
前記気泡検出手段が2つの空間的に離隔した超音波変換器を備え、第1の変換器は超音波を送信し、第2の変換器は、前記2つの変換器の間の前記液体を通過する経路に沿って伝搬する間に減衰された超音波を受信する、請求項2又は3に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項13】
前記気泡除去手段が、気泡を節領域内部に閉じ込める超音波定常波形を前記液体内部で発生するように配置されている2つの空間的に離隔した超音波変換器を含み、前記気泡除去手段は前記変換器と連係する位相調整手段を使用することによって前記気泡を変位するように配置され、前記位相調整手段は節領域とその中に閉じ込められた気泡を空間移動させる、請求項4、5、又は6に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項14】
前記気泡除去手段が、前記液体に電界を印加するための電界発生器を備え、前記電界は前記基板に付着した気泡を押し退けることができる、請求項4、5、6、又は13に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項15】
前記気泡除去手段が、温度を選択的に制御し、したがって特定の組成の気泡の大きさを選択的に制御するための選択的加熱器を備える、請求項4、5、6、13、又は14に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項16】
前記選択的加熱器がマイクロ波源を備える請求項15に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項17】
前記気泡除去手段が、粒子を前記液体中に導入するための粒子入力装置と、前記粒子を前記液体から除去するための粒子除去装置を備える、請求項4、5、6、13、14、又は15に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項18】
前記粒子が気泡の付着を促進する特徴を有する表面を備える、請求項17に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項19】
前記気泡検出手段が、光源、光検出器、及び光比較器を備え、前記光源と前記光検出器は、前記光源によって放射された光が前記液体の一部を通過して前記光源と前記検出器の間を伝搬するように配置され、前記比較器は、前記液体の一部を通過して伝搬した後に前記検出器に到達する前記放射光の比率の変化を検出するように配置されている、前記請求項のいずれか一項に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項20】
放射ビームを供給するように配置されている放射システムと、
前記放射ビームの断面にパターンを付与することが可能であり、よってパターン形成した放射ビームを提供するパターン形成手段を支持するように構成されている支持構造と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
前記パターン形成した放射ビームを前記基板の標的部分上に投影するように配置されている投影システムと、
前記投影システムの最終要素と前記基板の間の空間の少なくとも一部に液体を充填するように構成されている液体供給システムと、を備えるリソグラフィ投影装置であって、
光源、光検出器、及び光比較器を含む、前記液体中の不純物を検出するように配置されている検出システムをさらに備え、前記光源と前記光検出器は、前記光源によって放射された光が前記液体の一部を通過して前記光源と前記検出器の間を伝搬するように配置され、前記比較器は、前記液体の一部を通過して伝搬した後に前記検出器に到達する前記放射光の比率の変化を検出するように配置されていることを特徴とするリソグラフィ投影装置。
【請求項21】
前記検出システムが、前記投影システムの前記最終要素と前記基板の間の前記液体中の粒子を検出するように配置されている、請求項20に記載のリソグラフィ投影装置。
【請求項22】
少なくとも一部が放射感応材料の層によって被覆されている基板を提供する工程と、
照射システムを使用して放射ビームを供給する工程と、
前記放射ビームの断面にパターンを付与し、よってパターン形成した放射ビームを提供するパターン形成手段を使用する工程と、
前記放射感応材料の層の標的部分上に前記パターン形成した放射ビームを投影する工程と、
前記投影システムの前記最終要素と前記基板の間の空間の少なくとも一部に液体を充填するように構成されている液体供給システムを提供する工程と、を含むデバイス製造方法であって、
前記液体供給システム中の気泡を検出しかつ低減する工程をさらに含むことを特徴とする、デバイス製造方法。
【請求項23】
放射ビームを供給するように配置されている照射システムと、
前記放射ビームの断面にパターンを付与することが可能であり、よってパターン形成した放射ビームを提供するパターン形成手段を支持するように構成されている支持構造と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
前記パターン形成した放射ビームを前記基板の標的部分上に投影するように配置されている投影システムと、
前記投影システムの最終要素と前記基板の間の空間の少なくとも一部に液体を充填するように構成されている液体供給システムと、を備えるリソグラフィ投影装置であって、
前記投影装置の動作状態を活動状態と中断状態の間で切り換えできる液質モニタをさらに備え、液質が所定のしきい状態を上回っていると測定されるとき、前記活動状態を選択し、液質が所定のしきい状態を下回っていると測定されるとき、前記中断状態を選択することを特徴とするリソグラフィ投影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−258470(P2010−258470A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−151194(P2010−151194)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【分割の表示】特願2007−247484(P2007−247484)の分割
【原出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】