リチウムイオン二次電池
【課題】電極内部の温度分布の偏りを低減して、安全性を確保しつつ、高容量・高出力を得る。
【解決手段】捲回電極群の軸芯10は、アルミニウム製の正極軸芯部12と銅製の負極軸芯部11とを絶縁材13で絶縁しつつ接合して構成される。正極軸芯部12は、一端部に正極集電板12bが形成され、他端部に厚さ方向の「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手を形成し得る継ぎ手部12Jが形成されており、負極軸芯部11は、一端部に負極集電板11bが形成され、他端部に継ぎ手部が11J形成されている。正極軸芯部12と負極軸芯部11とは、継ぎ手部において、両面に粘着材料を塗布した絶縁材13にて接着される。正極軸芯部12と負極軸芯部11の集電部12a,11aには、アルミニウム製および銅製の電極接続板が超音波溶接にて接続されている。これによって、軸芯は、電気的、熱伝導的に外部熱負荷と接続されている。
【解決手段】捲回電極群の軸芯10は、アルミニウム製の正極軸芯部12と銅製の負極軸芯部11とを絶縁材13で絶縁しつつ接合して構成される。正極軸芯部12は、一端部に正極集電板12bが形成され、他端部に厚さ方向の「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手を形成し得る継ぎ手部12Jが形成されており、負極軸芯部11は、一端部に負極集電板11bが形成され、他端部に継ぎ手部が11J形成されている。正極軸芯部12と負極軸芯部11とは、継ぎ手部において、両面に粘着材料を塗布した絶縁材13にて接着される。正極軸芯部12と負極軸芯部11の集電部12a,11aには、アルミニウム製および銅製の電極接続板が超音波溶接にて接続されている。これによって、軸芯は、電気的、熱伝導的に外部熱負荷と接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極板と負極板とをセパレータを介して軸芯周りに捲回した捲回電極群を電池容器に収容したリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車用の電源などに使用される大型リチウムイオン電池では、正負極を離隔するセパレータに多孔質ポリエチレン製フィルムが用いられている。大型リチウムイオン二次電池の過充電時には、非水電解液と活物質との化学反応に伴う発熱でポリエチレンが軟化溶融してシャットダウン(多孔を閉塞してリチウムイオンの通過を遮断)する。そのため、充放電が遮断されるので、電池温度の急激な上昇等を未然に防ぐことができる。
【0003】
しかしながら、過充電時には、捲回電極群内部での温度分布が偏る、多孔質セパレータのシャットダウンの進行にバラツキが生じる可能性がある。
【0004】
電池温度の上昇を抑制するために、例えば、捲回電極群の捲回中心部に金属製軸芯を配置することで電池内部の熱を電池外部に放熱する円筒形電池が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−92469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の二次電池は、金属製の軸芯により電池内部の熱を電池容器から放熱するが、軸芯と正負極板は接続されていないので、温度上昇が十分に抑制できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1の発明によるリチウムイオン二次電池は、電極層が形成されるとともに、前記電極層が形成されない集電部が幅方向の一側にそれぞれ配置された正極板と負極板とをセパレータを介して前記集電部が互いに逆になるように捲回した捲回電極群と、前記捲回電極群を収納し、負極外部端子および正極外部端子を有する電池外装容器と、前記捲回電極群の中心部に延在し、前記負極板の前記集電部(負極集電部)に接続された負極軸芯部、前記正極板の集電部(正極集電部)に接続された正極軸芯部、および、前記負極軸芯部および前記正極軸芯部を電気的に絶縁する絶縁体を有する軸芯とを備え、前記負極集電部は前記負極軸芯部を経由して前記負極外部端子に接続され、前記正極集電部は前記正極軸芯部を経由して前記正極外部端子に接続されていることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池において、前記電池外装容器は扁平角形であることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池において、前記捲回電極群は、前記軸芯が前記電池外装容器の幅広方向に延在するように電池外装容器内に収容され、前記負極軸芯部は、前記外部負極端子に接続されている負極接続部材に接続され、前記正極軸芯部は、前記正極外部端子に接続されている正極接続部材に接続されていることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載のリチウムイオン二次電池において、前記負極軸芯部は、前記負極集電部および前記負極接続部材に電気的、熱伝導的に接続され、前記正極軸芯部は、前記正極集電部および前記正極接続部材に電気的、熱伝導的に接続されていることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載のリチウムイオン二次電池において、前記捲回電極群は前記軸芯を構成する前記負極軸芯部および前記正極軸芯部に捲回され、前記負極軸芯部は、捲回された電極群の前記負極集電部が接続される巻芯部(負極巻芯部)と、前記巻芯部の端部に設けられ前記負極接続部材と接続される集電板(軸芯負極集電板)とを備え、前記正極軸芯部は、捲回された電極群の前記正極集電部が接続される巻芯部(正極巻芯部)と、前記巻芯部の端部に設けられ前記正極接続部材と接続される集電板(軸芯正極集電板)とを備えていることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項5に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記負極巻芯部と前記正極巻芯部は、扁平形電池外装容器の幅広側面に平行に配置された平板であり、前記軸芯負極集電板と前記軸芯正極集電板は、前記巻芯部と直交して配置され、扁平形電池外装容器の幅狭側面に平行に配置された平板であることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項6に記載のリチウムイオン二次電池において、前記負極巻芯部は前記負極板の負極集電部に、前記軸芯負極集電板は前記負極接続部材にそれぞれ超音波溶接され、前記正極巻芯部は前記正極板の正極集電部に、前記軸芯正極集電板は前記正極接続部材にそれぞれ超音波溶接されていることを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池において、前記絶縁体は、前記負極軸芯部と前記正極軸芯部との間に所定長さに渡って設けられ、前記負極軸芯部と前記正極軸芯部の幅は、前記正負極板の前記正負極集電部のそれぞれの幅以上であることを特徴とする。
(9)請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池において、前記軸芯の外表面には、少なくとも一周以上のセパレータが捲回され、前記負極板の電極層および前記正極板の電極層を前記軸芯と絶縁したことを特徴とする。
(10)請求項10の発明は、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池において、前記電池外装容器は円筒形であることを特徴とする。
【0008】
(11)請求項11の発明によるリチウムイオン二次電池は、電極層が形成されるとともに、前記電極層が形成されない集電部が幅方向の一側にそれぞれ配置された正極板と負極板とをセパレータを介して前記集電部が互いに逆になるように捲回した捲回電極群と、前記捲回電極群を収納し、負極外部端子および正極外部端子を有する電池外装容器と、前記捲回電極群の中心部に延在し、前記負極板および正極板の電極層とは絶縁されつつ前記電池外装容器に接続されている金属製の軸芯とを有することを特徴とする。
(12)請求項12の発明は、請求項11に記載のリチウムイオン二次電池において、前記電池外装容器は扁平角形であり、前記軸芯の両端は、前記電池外装容器の対向幅狭側面間に突っ張るように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電極群内部で発生した熱を電池外装容器の外部に効果的に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるリチウムイオン二次電池の第1実施形態を示す外観図。
【図2】図4のリチウムイオン二次電池の捲回電極群と蓋との接続状況を示す斜視図。
【図3】図4のリチウムイオン二次電池の分解斜視図。
【図4】本発明によるリチウムイオン二次電池の第1実施形態における捲回電極群を示す斜視図。
【図5】図1の捲回電極群における電極板を示す正面図。
【図6】図1の捲回電極群における軸芯を示す斜視図。
【図7】本発明によるリチウムイオン二次電池の第2実施形態における軸芯を示す斜視図。
【図8】本発明によるリチウムイオン二次電池の第3実施形態における軸芯を示す斜視図。
【図9】本発明によるリチウムイオン二次電池の第4実施形態における軸芯を示す斜視図。
【図10】本発明によるリチウムイオン二次電池の第5実施形態を示す分解斜視図。
【図11】図10のリチウムイオン二次電池の横断面図。
【図12】図10のリチウムイオン二次電池の軸芯を示す斜視図。
【図13】本発明によるリチウムイオン二次電池の第6実施形態の軸芯を示す斜視図。
【図14】本発明によるリチウムイオン二次電池の第7実施形態の軸芯を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1〜図6を参照して、本発明による角形電池の実施形態を説明する。
[角形電池の全体構成]
図1〜図3において、角形電池70は、電池容器78内に絶縁シート79を介して扁平形捲回電極群20を収納して構成される。電池容器78の矩形開口は、矩形形状の電池蓋75を電池容器78にレーザ溶接して封止されている。電池蓋75には、正極外部端子73と、負極外部端子71とが設けられている。外部端子73,71を介して外部負荷に電力が供給され、あるいは、外部端子73,71を介して外部発電電力が捲回電極群20に充電される。
【0012】
電池蓋75で封止された電池容器78を電池外装容器と呼ぶ。この電池外装容器は、一対の幅広側面PWと、一対の幅狭側面PNと、底面PBと、電池蓋75とで直方体形状の扁平角形容器を構成する。
【0013】
図2、図3に示すように、正極軸芯部12には正極接続部材74が超音波溶接にて接続され、正極接続部材74は、扁平形リチウムイオン二次電池の正極外部端子73に接続されている。一方、負極軸芯部11には負極接続部材72が超音波溶接にて接続され、負極接続部材72は扁平形リチウムイオン二次電池の負極外部端子71に接続されている。
【0014】
接続部材74,72と外部端子73,71は、図示しない絶縁材によって電池蓋75と電気的に絶縁されている。また、電池蓋75の貫通孔には図示しないシール材が設けられ、電池容器からの液漏れを防止している。
【0015】
電池蓋75には、電池容器78内に電解液を注入する注液口76が穿設され、注液口76は、電解液注入後に注液栓80によって封止される。電池蓋75にはガス排出弁77も設けられている。電池容器内の圧力が上昇すると、ガス排出弁77が開いて内部からガスが排出され、電池容器内の圧力が低減される。
【0016】
電池容器78、電池蓋75は、共にアルミニウム合金で製作されている。正極側の接続部材74、外部端子73はアルミニウム合金で製作され、負極側の接続部材72、外部端子71は銅合金で製作されている。
【0017】
[捲回電極群全体構成]
捲回電極群20は、図4に示すように、正極軸芯部12と負極軸芯部11で構成される軸芯10の周りにセパレータ60を介在させつつ正負極板40,30を扁平状に捲回して構成される。軸芯10は、後述するように、正極軸芯部を構成する正極軸芯部12と負極軸芯部を構成する負極軸芯部11とを絶縁材13(図6参照)を介して一体化したものである。正負極板40,30はそれぞれ軸芯10に電気的、熱伝導的に接続されている。
【0018】
正負極板40,30は、正負極集電箔上に活物質合剤を塗布した電極層41,31を有し、各電極箔の幅方向(捲回方向に直交する方向)の一端部には、活物質合剤を塗布しない正負極集電部50a,50bがそれぞれ設けられている。したがって、正負極集電部50a,50bは、捲回電極群20の幅方向(軸芯延在方向)の反対位置にそれぞれ形成されている。正極板40の正極集電部50aは正極軸芯部12に、負極板30の負極集電部50bは負極軸芯部11にそれぞれ接続され、したがって、正負極板40,30はそれぞれ正負極軸芯部12,11に電気的、熱伝導的に接続されている。
【0019】
[電極板]
図5に正負電極板の正面図を示す。
正負極板40,30は正負極集電箔50上に活物質合剤41,31を塗布して構成され、その幅方向(捲回方向に直交する方向)の一端部には、活物質合剤41,31を塗布しない正負極集電部50a,50bが設けられている。正負極集電部50a,50bは、捲回電極群20の幅方向の反対位置にそれぞれ形成される。
【0020】
負極板30においては、負極活物質として非晶質炭素粉末100重量部に対して、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を添加し、これに分散溶媒としてN−メチルビロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練した負極合剤31を作製した。この負極合剤31を厚さ10μmの銅箔の両面に無地の集電部50bを残して塗布した。その後、乾燥、プレス、裁断して銅箔を含まない負極活物質塗布部厚さ70μmの負極板30を得た。
【0021】
なお、本実施形態では、負極活物質に非晶質炭素を例示したが、これに限定されるものではなく、リチウムイオンを挿入、脱挿入可能な天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料等でよく、その粒子形状においても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。
【0022】
また本実施形態では、結着材にPVDFを用いた例を示したが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体およびこれらの混合体などを用いることができる。
【0023】
正極板40に関しては、正極活物質としてマンガン酸リチウム(化学式LiMn2O4)100重量部に対し、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛と結着剤として10重量部のPVDFとを添加し、これに分散溶媒としてNMPを添加、混練した正極合剤41を作製した。この正極合剤41を厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に無地の集電部50aを残して塗布した。その後、乾燥、プレス、裁断してアルミニウム箔を含まない正極活物質塗布部厚さ90μmの正極板40を得た。
【0024】
[電解液]
以上の正負極電極板40,30を使用する第1実施形態のリチウムイオン二次電池では、以下に例示する電解液を使用することできる。例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とジエチルカーボネート(DEC)の体積比1:1:1の混合溶液中に六フッ化リン酸リチウムを1mol/Lとなるように溶解したものを用いる。
【0025】
[軸芯]
図6に示すように捲回電極群20の軸芯10は、正極板40と同様にアルミニウムもしくはアルミニウム合金を素材とした正極軸芯部12と、負極板30と同様に銅もしくは銅合金を用いた負極軸芯部11とを絶縁材13を介して接合してなる。正極軸芯部12は、正極巻芯部12aと正極集電板12bとを有し、負極軸芯部11は、負極巻芯部11aと負極集電板11bとを有する。
【0026】
正極巻芯部12aの一端部に正極集電板12bがT字状に接続され、他端部に厚さ方向の「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手を形成する継ぎ手部12Jが形成されている。負極巻芯部11aの一端部に負極集電板11bがT字状に接続され、他端部に厚さ方向の「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手を形成する継ぎ手部11Jが形成されている。正極軸芯部12と負極軸芯部11とは、継ぎ手部12J、11Jにおいて、両面に粘着材料を塗布した絶縁材(絶縁体)13にて接着されている。絶縁材13は、例えば、耐熱性の高いPPS樹脂を使用し、粘着材料にアクリル樹脂を使用した。
このように軸芯10は、正極軸芯部12と負極軸芯部11との絶縁を確保した3層構造の平板状に形成されている。
【0027】
すなわち、負極巻芯部11aと正極巻芯部12aは、扁平形電池外装容器の幅広側面PWに平行に配置された平板である。また、負極集電板11bと正極集電板12bは、巻芯部11a,12aと直交して配置され、扁平形電池外装容器の幅狭側面PNに平行に配置された平板である。
【0028】
捲回電極群20の一側長辺に沿って延在する正極集電部50aは、正極軸芯部12の正極巻芯部12aに超音波溶接にて接続され、捲回電極群20の他側長辺に沿って延在する負極集電部50bは、負極軸芯部11の負極巻芯部11aに超音波溶接にて接続される。これによって、正極軸芯部12と正極集電部50a、負極軸芯部11と負極集電部50bとは、それぞれ電気的、熱伝導的に接続されている。
【0029】
正負極集電板12b、11bを形成したことによって、正極接続部材74と正極集電板12b、および負極接続部材72と負極集電板11bは充分な接触面積で溶接でき、良好な溶接品質を確保することができる。
【0030】
軸芯10の幅Wは、捲回電極群20の両端部の集電部50aと50bで正負極板40、30に接続する必要性から、捲回電極群20の幅以上である。また、正負極巻芯部12a,11aの最小幅W12min,W11minは集電部50a,50bの幅よりも大きい。
【0031】
なお、正極軸芯部12と負極軸芯部11は絶縁材13によって絶縁されているから、正極外部端子73、負極外部端子71は、軸芯10の絶縁材13によって互いに絶縁される。
【0032】
[作用効果]
以上説明した第1の実施形態のリチウムイオン二次電池20の作用効果を説明する。
(1)捲回電極群20の捲回中心には、正極接続部材74と同一材質の金属製軸芯12と、負極接続部材72と同一材質の金属製軸芯11とを絶縁材13で接続しつつ一体化した一つの軸芯10が配置され、正負極軸芯部12,11が正極および負極の接続部材74,72に接合されている。このような構造により、捲回電極群20内部の熱は、正極集電部50aに接続されている正極軸芯部12と、負極集電部50bに接続されている負極軸芯部11から、各々接続部材74、72を通り、電池蓋75の両端部上方に突出して設置されている各極の外部端子73、71から放熱される。
【0033】
したがって、軸芯10から外部端子73,71にいたる経路の熱抵抗を小さくできる。その結果、例えば、過充電等の電池異常時に非水電解液と活物質との化学反応に伴う発熱で発生した熱を軸芯10から接続部材74、72を介して熱伝導して放熱しやすくなり、電池内部温度の上昇を抑制できる。
【0034】
また、捲回電極群全体の温度分布の偏りが低減されるので、多孔質セパレータのシャットダウンがほぼ一様に進行し電池異常時の安全性を確保することができる。
【0035】
(2)正極軸芯部12と正極集電部50a、負極軸芯部11と負極集電部50bとが、それぞれ独立して電気的、熱伝導的に接続されているので、正負極板30、40で発生した熱は速やかに軸芯10から外部端子73,71に伝熱されて放熱されるので、温度分布の均一化が促進される。
【0036】
[比較評価]
上述の効果を確認するために、電池の電池容器78の側面部に熱電対を取り付け、外気温度を25℃に保ち、10時間率での電流値(10CA)で充放電を5回繰り返した後、側面部温度が外気温度と同じ25℃になるまでの時間を測定した。
【0037】
また、比較のために、第1実施形態の軸芯10と同一形状、寸法の軸芯(比較例1)を絶縁剤13と同一の素材のみによって一体形成した。この比較例1の軸芯は電極集電部50a,50bと接合せず、電極集電部50a,50bは直接、接続部材74、72に接合した。
このような比較例1の軸芯を備えた比較扁平形リチウムイオン二次電池について、第1実施形態と同様の試験を行った。
【0038】
その結果、第1実施形態の電池の側面温度は、比較例1の扁平形リチウムイオン二次電池の側面温度に比較して39%早い時間で、25℃に到達した。この結果により、第1実施形態のリチウムイオン二次電池の放熱性が改善されたことが証明された。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明を扁平形リチウムイオン二次電池に適用した第2実施形態を、図7を参照して説明する。なお、図中第1実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0040】
軸芯10は、総幅および長さにおいて第1実施形態と同一とした。図7に示すように、正極軸芯部12、負極軸芯部11は共にT字形状に形成され、正極軸芯部12と負極軸芯部11との間に、正極軸芯部12、負極軸芯部11にモールド加工により一体化された絶縁板14が形成されている。
【0041】
正極軸芯部12と負極軸芯部11とは、絶縁板14によって相互に絶縁され、また両者は絶縁板14の長さだけ離間しているので、極めて高い絶縁性が確保されている。第2実施形態は、このように軸芯10が変更された以外は、第1実施形態の扁平形リチウムイオン二次電池と同様に構成される。
【0042】
本実施形態の効果を確認するために、第1実施形態と同様の試験を行った。
また、比較のために、第2実施形態の軸芯10と同一形状、寸法の比較例2の軸芯を絶縁板14と同一の素材のみによって一体形成した。この比較例2の軸芯は電極集電部50a,50bと接合せず、電極集電部50a,50bは直接、接続部材74、72を接合した。
【0043】
このような比較例2の軸芯を備えた扁平形リチウムイオン二次電池について、第2実施形態と同様の試験を行った。その結果、第2実施形態の電池の側面温度は、比較例2の扁平形リチウムイオン二次電池の側面温度に比較して2%早い時間で、25℃に到達した。この結果により、第2実施形態の放熱性は比較例2の軸芯を用いた電池とほぼ同程度であったといえる。この原因は、軸芯の金属部分が短いため、比較対象の電池と比べ放熱効果に大きな差が生まれなかったからと考えられる。
【0044】
[第3実施形態]
次に、本発明を扁平形リチウムイオン二次電池に適用した第3実施形態を、図8を参照して説明する。なお、図中第1実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0045】
第3実施形態は、第2実施形態同様、モールド加工により間に絶縁板14を介在させて正極軸芯部12と負極軸芯部11とを接続したものである。絶縁板14の幅W14は、第2実施形態の絶縁材14より短くし、正極軸芯部12、負極軸芯部11の幅W12,W11と略同一長さとした。すなわち、正極軸芯部12および負極軸芯部11の幅W12,W11は、第2実施形態の幅W12,W11よりも長い。その他の構成は第2実施形態と同様である。
【0046】
本実施形態の効果を確認するために、第1実施形態と同様の試験を行った。
また、比較のために、第3実施形態の軸芯10と同一形状、寸法の比較例3の軸芯を絶縁板14と同一の素材のみによって一体形成した。この比較例3の軸芯は電極集電部50a、50bと接合せず、電極集電部50a,50bは直接、接続部材74、72を接合した。
【0047】
このような比較例3の軸芯を備えた扁平形リチウムイオン二次電池について、第3実施形態と同様の試験を行った。その結果、第3実施形態の電池の側面温度は、比較例3の扁平形リチウムイオン二次電池の側面温度に比較して17%早い時間で、25℃に到達した。
【0048】
この結果により、第3実施形態の放熱性は改善されたといえる。ただし、捲回電極群20の中心部まで軸芯10の金属部が存在する第1実施形態に比較し、ある程度の範囲に絶縁板14が存在するため、第1実施形態よりも放熱効果が劣る。
【0049】
[第4実施形態]
次に、本発明を扁平形リチウムイオン二次電池に適用した第4実施形態を、図9を参照して説明する。なお、図中第1実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0050】
第4実施形態は、第1実施形態の厚さ方向「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手部11J、12Jに代えて、幅方向の「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手部11J、12Jを採用している。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0051】
本実施形態の効果を確認するために、第1実施形態と同様の試験を行った。
また、比較のために、第4実施形態の軸芯10と同一形状、寸法の比較例4の軸芯を絶縁材13と同一の素材のみによって一体形成した。この比較例4の軸芯は電極集電部50a,50bと接合せず、電極集電部50a、50bは直接、接続部材74、72を接合した。
【0052】
このような比較例4の軸芯を備えた扁平形リチウムイオン二次電池について、第4実施形態と同様の試験を行った。その結果、第4実施形態の電池の側面温度は、比較扁平形リチウムイオン二次電池の側面温度に比較して36%早い時間で、25℃に到達した。
この結果により第4実施形態の放熱性は改善されたといえる。
【0053】
[第5実施形態]
次に、本発明を扁平形リチウムイオン二次電池に適用した第5実施形態を、図10〜図12を参照して説明する。なお、図中第1実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0054】
図10〜図12に示すように、第5実施形態は、一体的な平板状の軸芯10Aを備える。軸芯10Aは、軸芯本体部10aと、軸芯本体部10aの両端部に設けられ、電池容器78の内面に接する接触板10b、10cとを一体に成形して形成されている。軸芯10Aはアルミニウム等の金属によって形成され、セパレータによって正負極板40、30の集電部50a,50bと絶縁されている。軸芯10Aは、正負極板40、30に接続されず、熱伝導体としてのみ機能する。
【0055】
図10および図11において、正負極接続部材74A,72Aのそれぞれは、第1実施形態の正負極接続部材74,72のそれぞれと異なった形状とされている。すなわち、正負極接続部材74A,72Aのそれぞれは、上部平板部74a,72aと、上部平板部74a,72aから下方に二股に延在する下部二股部74b、72bとを備えている。下部二股部74b、72bは、捲回電極群20の正負集電部50a、50bにそれぞれ超音波溶接にて接合されている。
【0056】
軸芯10Aの接触板10a,10bは、電池容器78の内面に突っ張るようにして直接接触されている。これによって、捲回電極群20内部で発生した熱は、軸芯10Aを経由して、直ちに電池容器78に伝達される。これによって高い放熱性能が得られる。また、捲回電極群20の容器内部での振動抑制効果も期待できる。
【0057】
[第6実施形態]
図13は、本発明を円筒形リチウムイオン二次電池に適用した場合の軸芯110を示す図である。
【0058】
円筒型リチウムイオン二次電池は、一端に開口部が設けられた有底円筒形容器の内部に捲回電極群を収納し、容器内部に電解液を注入した後、開口部を封口体によって塞いで構成される。捲回電極群は、図13に示す軸芯110の周りに、正極板と負極板とをセパレータで絶縁しつつ捲回して構成される。
円筒形リチウムイオン二次電池の内部構造は周知であり、詳細な説明、図示は省略する。
【0059】
図13に示す軸芯110は、アルミニウム製の正極パイプ112と、銅製の負極パイプ111とを有する。正極パイプ112と負極パイプ111は「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手112J、111Jを有し、継ぎ手部112J、111Jは第1実施形態同様、絶縁材(絶縁体)113によって接着されて「あいじゃくり継ぎ」で接合されている。
【0060】
正極パイプ112には、正極板の正極合剤が塗布していない正極集電部が溶接され、負極パイプ111には、負極板の負極合剤が塗布していない負極集電部が溶接される。正極パイプ112は正極集電部に電気的、熱伝導的に接続され、負極パイプ111は負極集電部に電気的、熱伝導的に接続される。
【0061】
軸芯110は円筒形電池容器の軸方向に延在し、正極パイプ112は正極外部端子に電気的、熱伝導的に接続され、負極パイプ111は負極外部端子に電気的、熱伝導的に接続され、捲回電極群の熱を外部に放熱する。正極パイプ112の上端には正極集電部品が嵌合され、正極集電部品が正極リードにより正極外部端子となる上蓋に接続される。銅パイプ111の下端には負極集電部品が嵌合され、負極集電部品が負極リードにより負極外部端子となる容器底面に接続される。
【0062】
第6の実施形態の円筒形リチウムイオン二次電池も第1実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態の軸芯110は容易に作製でき、コストも安価であり、所望の特性も得られた。ロッド上にしてもよい。
[第7実施形態]
【0063】
図14は、本発明を円筒形リチウムイオン二次電池に適用した場合の軸芯210を示す図で94ある。
【0064】
第7実施形態は、第6実施形態における「あいじゃくり継ぎ」に代えて、第3実施形態と同様に、モールド加工により、正極ロッド212と負極ロッド211が絶縁ロッド214により接続されている。絶縁ロッド214は、正極ロッド212と負極ロッド211との間にモールド加工により一体化されている。正極ロッド212、負極ロッド211の長さは略等しく、絶縁ロッド214は正極ロッド212、負極ロッド211の長さの半分程度である。
【0065】
正極ロッド212と負極ロッド211とは、絶縁ロッド(絶縁体)214によって相互に絶縁され、また両者は絶縁ロッド214の長さだけ離間しているので、高い絶縁性が確保されている。本実施形態は、このように軸芯210が変更された以外は、第6実施形態の円筒形リチウムイオン二次電池と同様に構成される。
【0066】
第7の実施形態の円筒形リチウムイオン二次電池も第1実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態の軸芯110は容易に作製でき、コストも安価であり、所望の特性も得られた。
(変形例)
【0067】
(1)以上説明した第1〜第7の実施形態では、正極板40、負極板30における合剤層31、41の結着材としてPVDFを用いたが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体およびこれらの混合体などを用いることができる。
【0068】
(2)以上説明した第1〜第7の実施形態では、量論組成のマンガン酸リチウム(LiMn2O4)を正極活物質として例示したが、スピネル結晶構造を有する他のマンガン酸リチウム(例えば、Li1+xMn2−xO4)やマンガン酸リチウムの一部を金属元素で置換又はドープしたリチウムマンガン複合酸化物(例えば、Li1+xMyMn2−x−yO4,MはCo、Ni、Fe、Cu、Al、Cr、Mg、Zn、V、Ga、B、Fの少なくとも1種)や層状結晶構造を有すコバルト酸リチウムやチタン酸リチウムやこれらの一部を金属元素で置換またはドープしたリチウム-金属複合酸化物を用いるようにしてもよい。
【0069】
(3)以上説明した第1〜第7の実施形態では、軸芯の絶縁材13、113や絶縁板14,214は、例えば、耐熱性の高いPPS樹脂を使用し、粘着材料にアクリル樹脂を使用したが、絶縁性を保てかつ粘着強度が高いものであればこれに限らない。
【0070】
(4)以上説明した第1〜第7の実施形態では、軸芯にアルミミウムと銅を使用した例を示したが、これに限定されるものではなく、例えばアルミニウム合金や銅合金・ニッケル等、各極の電池電位によって腐食されること無く、導電性を持つものであれば特に限定されない。
【0071】
(5)以上説明した第1〜第7の実施形態では、軸芯10にセパレータ60のみを1周以上、先行して捲回することにより、正極軸芯部12と負極集電部50b、負極軸芯部11と正極集電部50aとの間の絶縁を確保したが、セパレータ60とは別の絶縁性セパレータを軸芯10に捲回しても良い。
【0072】
(6)以上説明した第1〜第7の実施形態では、正負極板40、30の集電部50a,50bと、軸芯10の正極軸芯部12、負極軸芯部11とを超音波溶接により接合したが、抵抗溶接やその他の接合方法により、電気的・熱伝導的に接合できれば、特に限定はしない。正負接続部材74,72と軸芯集電板112b、11bとをねじなどで機械的に締結してもよい。
【0073】
(7)以上説明した第1〜第5の実施形態では、電解質としてLiPF6を使用した例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SOLiなどやこれらの混合物を用いることができる。また、本実施形態では、非水電解液の溶媒にECとDMCとの混合溶媒を用いた例を示したが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ―ブチルラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、プロピオニトリルなど少なくとも1種以上の混合溶媒を用いるようにしてもよく、また混合配合比についても限定されるものではない。
【0074】
(8)第5実施形態では、軸芯10を金属により一体形成したが、第1〜第4実施形態同様、中央において絶縁、分離した2個の金属部材により構成してもよい。この場合、電池容器の電位と同一電位の軸芯部のみ容器と電気的、熱伝導的に接続し、他の電位の軸芯部は電気的、熱伝導的に絶縁する必要がある。
【0075】
(9)第6、第7実施形態では、本発明の特徴である軸芯に図13、図14の形状を採用したが、正極の電位に耐えうる金属と負極の電位に耐えうる金属とを絶縁材料にて絶縁した構造を有すればこれに限定されるものではない。
【0076】
(10)第1〜第5の実施形態では、軸芯10の正極軸芯部12と外部正極73とを正極接続部材74により電気的、熱伝導的に接続し、軸芯10の負極軸芯部11と外部負極71とを負極接続部材72により電気的、熱伝導的に接続するようにしたが、この接続構造は実施形態の形状、構造に限定されない。
【符号の説明】
【0077】
10,10A、110,210:軸芯
11,110,210:負極軸芯部
11a:負極巻芯部
11b:負極集電板
12,112,212:正極軸芯部
12a:負極巻芯部
12b:負極集電板
13:絶縁材
14:絶縁板
20:捲回電極群
30:負極板
31:負極合剤層
40:正極板
41;正極合剤層
50:電極箔
50a,50b:集電部
60:セパレータ
70:電池
71:外部負極端子
72:負極接続板
73:外部正極端子
74:正極接続板
75:蓋
78:電池容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極板と負極板とをセパレータを介して軸芯周りに捲回した捲回電極群を電池容器に収容したリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車用の電源などに使用される大型リチウムイオン電池では、正負極を離隔するセパレータに多孔質ポリエチレン製フィルムが用いられている。大型リチウムイオン二次電池の過充電時には、非水電解液と活物質との化学反応に伴う発熱でポリエチレンが軟化溶融してシャットダウン(多孔を閉塞してリチウムイオンの通過を遮断)する。そのため、充放電が遮断されるので、電池温度の急激な上昇等を未然に防ぐことができる。
【0003】
しかしながら、過充電時には、捲回電極群内部での温度分布が偏る、多孔質セパレータのシャットダウンの進行にバラツキが生じる可能性がある。
【0004】
電池温度の上昇を抑制するために、例えば、捲回電極群の捲回中心部に金属製軸芯を配置することで電池内部の熱を電池外部に放熱する円筒形電池が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−92469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の二次電池は、金属製の軸芯により電池内部の熱を電池容器から放熱するが、軸芯と正負極板は接続されていないので、温度上昇が十分に抑制できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1の発明によるリチウムイオン二次電池は、電極層が形成されるとともに、前記電極層が形成されない集電部が幅方向の一側にそれぞれ配置された正極板と負極板とをセパレータを介して前記集電部が互いに逆になるように捲回した捲回電極群と、前記捲回電極群を収納し、負極外部端子および正極外部端子を有する電池外装容器と、前記捲回電極群の中心部に延在し、前記負極板の前記集電部(負極集電部)に接続された負極軸芯部、前記正極板の集電部(正極集電部)に接続された正極軸芯部、および、前記負極軸芯部および前記正極軸芯部を電気的に絶縁する絶縁体を有する軸芯とを備え、前記負極集電部は前記負極軸芯部を経由して前記負極外部端子に接続され、前記正極集電部は前記正極軸芯部を経由して前記正極外部端子に接続されていることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池において、前記電池外装容器は扁平角形であることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池において、前記捲回電極群は、前記軸芯が前記電池外装容器の幅広方向に延在するように電池外装容器内に収容され、前記負極軸芯部は、前記外部負極端子に接続されている負極接続部材に接続され、前記正極軸芯部は、前記正極外部端子に接続されている正極接続部材に接続されていることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載のリチウムイオン二次電池において、前記負極軸芯部は、前記負極集電部および前記負極接続部材に電気的、熱伝導的に接続され、前記正極軸芯部は、前記正極集電部および前記正極接続部材に電気的、熱伝導的に接続されていることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載のリチウムイオン二次電池において、前記捲回電極群は前記軸芯を構成する前記負極軸芯部および前記正極軸芯部に捲回され、前記負極軸芯部は、捲回された電極群の前記負極集電部が接続される巻芯部(負極巻芯部)と、前記巻芯部の端部に設けられ前記負極接続部材と接続される集電板(軸芯負極集電板)とを備え、前記正極軸芯部は、捲回された電極群の前記正極集電部が接続される巻芯部(正極巻芯部)と、前記巻芯部の端部に設けられ前記正極接続部材と接続される集電板(軸芯正極集電板)とを備えていることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項5に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記負極巻芯部と前記正極巻芯部は、扁平形電池外装容器の幅広側面に平行に配置された平板であり、前記軸芯負極集電板と前記軸芯正極集電板は、前記巻芯部と直交して配置され、扁平形電池外装容器の幅狭側面に平行に配置された平板であることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項6に記載のリチウムイオン二次電池において、前記負極巻芯部は前記負極板の負極集電部に、前記軸芯負極集電板は前記負極接続部材にそれぞれ超音波溶接され、前記正極巻芯部は前記正極板の正極集電部に、前記軸芯正極集電板は前記正極接続部材にそれぞれ超音波溶接されていることを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池において、前記絶縁体は、前記負極軸芯部と前記正極軸芯部との間に所定長さに渡って設けられ、前記負極軸芯部と前記正極軸芯部の幅は、前記正負極板の前記正負極集電部のそれぞれの幅以上であることを特徴とする。
(9)請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池において、前記軸芯の外表面には、少なくとも一周以上のセパレータが捲回され、前記負極板の電極層および前記正極板の電極層を前記軸芯と絶縁したことを特徴とする。
(10)請求項10の発明は、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池において、前記電池外装容器は円筒形であることを特徴とする。
【0008】
(11)請求項11の発明によるリチウムイオン二次電池は、電極層が形成されるとともに、前記電極層が形成されない集電部が幅方向の一側にそれぞれ配置された正極板と負極板とをセパレータを介して前記集電部が互いに逆になるように捲回した捲回電極群と、前記捲回電極群を収納し、負極外部端子および正極外部端子を有する電池外装容器と、前記捲回電極群の中心部に延在し、前記負極板および正極板の電極層とは絶縁されつつ前記電池外装容器に接続されている金属製の軸芯とを有することを特徴とする。
(12)請求項12の発明は、請求項11に記載のリチウムイオン二次電池において、前記電池外装容器は扁平角形であり、前記軸芯の両端は、前記電池外装容器の対向幅狭側面間に突っ張るように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電極群内部で発生した熱を電池外装容器の外部に効果的に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるリチウムイオン二次電池の第1実施形態を示す外観図。
【図2】図4のリチウムイオン二次電池の捲回電極群と蓋との接続状況を示す斜視図。
【図3】図4のリチウムイオン二次電池の分解斜視図。
【図4】本発明によるリチウムイオン二次電池の第1実施形態における捲回電極群を示す斜視図。
【図5】図1の捲回電極群における電極板を示す正面図。
【図6】図1の捲回電極群における軸芯を示す斜視図。
【図7】本発明によるリチウムイオン二次電池の第2実施形態における軸芯を示す斜視図。
【図8】本発明によるリチウムイオン二次電池の第3実施形態における軸芯を示す斜視図。
【図9】本発明によるリチウムイオン二次電池の第4実施形態における軸芯を示す斜視図。
【図10】本発明によるリチウムイオン二次電池の第5実施形態を示す分解斜視図。
【図11】図10のリチウムイオン二次電池の横断面図。
【図12】図10のリチウムイオン二次電池の軸芯を示す斜視図。
【図13】本発明によるリチウムイオン二次電池の第6実施形態の軸芯を示す斜視図。
【図14】本発明によるリチウムイオン二次電池の第7実施形態の軸芯を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1〜図6を参照して、本発明による角形電池の実施形態を説明する。
[角形電池の全体構成]
図1〜図3において、角形電池70は、電池容器78内に絶縁シート79を介して扁平形捲回電極群20を収納して構成される。電池容器78の矩形開口は、矩形形状の電池蓋75を電池容器78にレーザ溶接して封止されている。電池蓋75には、正極外部端子73と、負極外部端子71とが設けられている。外部端子73,71を介して外部負荷に電力が供給され、あるいは、外部端子73,71を介して外部発電電力が捲回電極群20に充電される。
【0012】
電池蓋75で封止された電池容器78を電池外装容器と呼ぶ。この電池外装容器は、一対の幅広側面PWと、一対の幅狭側面PNと、底面PBと、電池蓋75とで直方体形状の扁平角形容器を構成する。
【0013】
図2、図3に示すように、正極軸芯部12には正極接続部材74が超音波溶接にて接続され、正極接続部材74は、扁平形リチウムイオン二次電池の正極外部端子73に接続されている。一方、負極軸芯部11には負極接続部材72が超音波溶接にて接続され、負極接続部材72は扁平形リチウムイオン二次電池の負極外部端子71に接続されている。
【0014】
接続部材74,72と外部端子73,71は、図示しない絶縁材によって電池蓋75と電気的に絶縁されている。また、電池蓋75の貫通孔には図示しないシール材が設けられ、電池容器からの液漏れを防止している。
【0015】
電池蓋75には、電池容器78内に電解液を注入する注液口76が穿設され、注液口76は、電解液注入後に注液栓80によって封止される。電池蓋75にはガス排出弁77も設けられている。電池容器内の圧力が上昇すると、ガス排出弁77が開いて内部からガスが排出され、電池容器内の圧力が低減される。
【0016】
電池容器78、電池蓋75は、共にアルミニウム合金で製作されている。正極側の接続部材74、外部端子73はアルミニウム合金で製作され、負極側の接続部材72、外部端子71は銅合金で製作されている。
【0017】
[捲回電極群全体構成]
捲回電極群20は、図4に示すように、正極軸芯部12と負極軸芯部11で構成される軸芯10の周りにセパレータ60を介在させつつ正負極板40,30を扁平状に捲回して構成される。軸芯10は、後述するように、正極軸芯部を構成する正極軸芯部12と負極軸芯部を構成する負極軸芯部11とを絶縁材13(図6参照)を介して一体化したものである。正負極板40,30はそれぞれ軸芯10に電気的、熱伝導的に接続されている。
【0018】
正負極板40,30は、正負極集電箔上に活物質合剤を塗布した電極層41,31を有し、各電極箔の幅方向(捲回方向に直交する方向)の一端部には、活物質合剤を塗布しない正負極集電部50a,50bがそれぞれ設けられている。したがって、正負極集電部50a,50bは、捲回電極群20の幅方向(軸芯延在方向)の反対位置にそれぞれ形成されている。正極板40の正極集電部50aは正極軸芯部12に、負極板30の負極集電部50bは負極軸芯部11にそれぞれ接続され、したがって、正負極板40,30はそれぞれ正負極軸芯部12,11に電気的、熱伝導的に接続されている。
【0019】
[電極板]
図5に正負電極板の正面図を示す。
正負極板40,30は正負極集電箔50上に活物質合剤41,31を塗布して構成され、その幅方向(捲回方向に直交する方向)の一端部には、活物質合剤41,31を塗布しない正負極集電部50a,50bが設けられている。正負極集電部50a,50bは、捲回電極群20の幅方向の反対位置にそれぞれ形成される。
【0020】
負極板30においては、負極活物質として非晶質炭素粉末100重量部に対して、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を添加し、これに分散溶媒としてN−メチルビロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練した負極合剤31を作製した。この負極合剤31を厚さ10μmの銅箔の両面に無地の集電部50bを残して塗布した。その後、乾燥、プレス、裁断して銅箔を含まない負極活物質塗布部厚さ70μmの負極板30を得た。
【0021】
なお、本実施形態では、負極活物質に非晶質炭素を例示したが、これに限定されるものではなく、リチウムイオンを挿入、脱挿入可能な天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料等でよく、その粒子形状においても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。
【0022】
また本実施形態では、結着材にPVDFを用いた例を示したが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体およびこれらの混合体などを用いることができる。
【0023】
正極板40に関しては、正極活物質としてマンガン酸リチウム(化学式LiMn2O4)100重量部に対し、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛と結着剤として10重量部のPVDFとを添加し、これに分散溶媒としてNMPを添加、混練した正極合剤41を作製した。この正極合剤41を厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に無地の集電部50aを残して塗布した。その後、乾燥、プレス、裁断してアルミニウム箔を含まない正極活物質塗布部厚さ90μmの正極板40を得た。
【0024】
[電解液]
以上の正負極電極板40,30を使用する第1実施形態のリチウムイオン二次電池では、以下に例示する電解液を使用することできる。例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とジエチルカーボネート(DEC)の体積比1:1:1の混合溶液中に六フッ化リン酸リチウムを1mol/Lとなるように溶解したものを用いる。
【0025】
[軸芯]
図6に示すように捲回電極群20の軸芯10は、正極板40と同様にアルミニウムもしくはアルミニウム合金を素材とした正極軸芯部12と、負極板30と同様に銅もしくは銅合金を用いた負極軸芯部11とを絶縁材13を介して接合してなる。正極軸芯部12は、正極巻芯部12aと正極集電板12bとを有し、負極軸芯部11は、負極巻芯部11aと負極集電板11bとを有する。
【0026】
正極巻芯部12aの一端部に正極集電板12bがT字状に接続され、他端部に厚さ方向の「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手を形成する継ぎ手部12Jが形成されている。負極巻芯部11aの一端部に負極集電板11bがT字状に接続され、他端部に厚さ方向の「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手を形成する継ぎ手部11Jが形成されている。正極軸芯部12と負極軸芯部11とは、継ぎ手部12J、11Jにおいて、両面に粘着材料を塗布した絶縁材(絶縁体)13にて接着されている。絶縁材13は、例えば、耐熱性の高いPPS樹脂を使用し、粘着材料にアクリル樹脂を使用した。
このように軸芯10は、正極軸芯部12と負極軸芯部11との絶縁を確保した3層構造の平板状に形成されている。
【0027】
すなわち、負極巻芯部11aと正極巻芯部12aは、扁平形電池外装容器の幅広側面PWに平行に配置された平板である。また、負極集電板11bと正極集電板12bは、巻芯部11a,12aと直交して配置され、扁平形電池外装容器の幅狭側面PNに平行に配置された平板である。
【0028】
捲回電極群20の一側長辺に沿って延在する正極集電部50aは、正極軸芯部12の正極巻芯部12aに超音波溶接にて接続され、捲回電極群20の他側長辺に沿って延在する負極集電部50bは、負極軸芯部11の負極巻芯部11aに超音波溶接にて接続される。これによって、正極軸芯部12と正極集電部50a、負極軸芯部11と負極集電部50bとは、それぞれ電気的、熱伝導的に接続されている。
【0029】
正負極集電板12b、11bを形成したことによって、正極接続部材74と正極集電板12b、および負極接続部材72と負極集電板11bは充分な接触面積で溶接でき、良好な溶接品質を確保することができる。
【0030】
軸芯10の幅Wは、捲回電極群20の両端部の集電部50aと50bで正負極板40、30に接続する必要性から、捲回電極群20の幅以上である。また、正負極巻芯部12a,11aの最小幅W12min,W11minは集電部50a,50bの幅よりも大きい。
【0031】
なお、正極軸芯部12と負極軸芯部11は絶縁材13によって絶縁されているから、正極外部端子73、負極外部端子71は、軸芯10の絶縁材13によって互いに絶縁される。
【0032】
[作用効果]
以上説明した第1の実施形態のリチウムイオン二次電池20の作用効果を説明する。
(1)捲回電極群20の捲回中心には、正極接続部材74と同一材質の金属製軸芯12と、負極接続部材72と同一材質の金属製軸芯11とを絶縁材13で接続しつつ一体化した一つの軸芯10が配置され、正負極軸芯部12,11が正極および負極の接続部材74,72に接合されている。このような構造により、捲回電極群20内部の熱は、正極集電部50aに接続されている正極軸芯部12と、負極集電部50bに接続されている負極軸芯部11から、各々接続部材74、72を通り、電池蓋75の両端部上方に突出して設置されている各極の外部端子73、71から放熱される。
【0033】
したがって、軸芯10から外部端子73,71にいたる経路の熱抵抗を小さくできる。その結果、例えば、過充電等の電池異常時に非水電解液と活物質との化学反応に伴う発熱で発生した熱を軸芯10から接続部材74、72を介して熱伝導して放熱しやすくなり、電池内部温度の上昇を抑制できる。
【0034】
また、捲回電極群全体の温度分布の偏りが低減されるので、多孔質セパレータのシャットダウンがほぼ一様に進行し電池異常時の安全性を確保することができる。
【0035】
(2)正極軸芯部12と正極集電部50a、負極軸芯部11と負極集電部50bとが、それぞれ独立して電気的、熱伝導的に接続されているので、正負極板30、40で発生した熱は速やかに軸芯10から外部端子73,71に伝熱されて放熱されるので、温度分布の均一化が促進される。
【0036】
[比較評価]
上述の効果を確認するために、電池の電池容器78の側面部に熱電対を取り付け、外気温度を25℃に保ち、10時間率での電流値(10CA)で充放電を5回繰り返した後、側面部温度が外気温度と同じ25℃になるまでの時間を測定した。
【0037】
また、比較のために、第1実施形態の軸芯10と同一形状、寸法の軸芯(比較例1)を絶縁剤13と同一の素材のみによって一体形成した。この比較例1の軸芯は電極集電部50a,50bと接合せず、電極集電部50a,50bは直接、接続部材74、72に接合した。
このような比較例1の軸芯を備えた比較扁平形リチウムイオン二次電池について、第1実施形態と同様の試験を行った。
【0038】
その結果、第1実施形態の電池の側面温度は、比較例1の扁平形リチウムイオン二次電池の側面温度に比較して39%早い時間で、25℃に到達した。この結果により、第1実施形態のリチウムイオン二次電池の放熱性が改善されたことが証明された。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明を扁平形リチウムイオン二次電池に適用した第2実施形態を、図7を参照して説明する。なお、図中第1実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0040】
軸芯10は、総幅および長さにおいて第1実施形態と同一とした。図7に示すように、正極軸芯部12、負極軸芯部11は共にT字形状に形成され、正極軸芯部12と負極軸芯部11との間に、正極軸芯部12、負極軸芯部11にモールド加工により一体化された絶縁板14が形成されている。
【0041】
正極軸芯部12と負極軸芯部11とは、絶縁板14によって相互に絶縁され、また両者は絶縁板14の長さだけ離間しているので、極めて高い絶縁性が確保されている。第2実施形態は、このように軸芯10が変更された以外は、第1実施形態の扁平形リチウムイオン二次電池と同様に構成される。
【0042】
本実施形態の効果を確認するために、第1実施形態と同様の試験を行った。
また、比較のために、第2実施形態の軸芯10と同一形状、寸法の比較例2の軸芯を絶縁板14と同一の素材のみによって一体形成した。この比較例2の軸芯は電極集電部50a,50bと接合せず、電極集電部50a,50bは直接、接続部材74、72を接合した。
【0043】
このような比較例2の軸芯を備えた扁平形リチウムイオン二次電池について、第2実施形態と同様の試験を行った。その結果、第2実施形態の電池の側面温度は、比較例2の扁平形リチウムイオン二次電池の側面温度に比較して2%早い時間で、25℃に到達した。この結果により、第2実施形態の放熱性は比較例2の軸芯を用いた電池とほぼ同程度であったといえる。この原因は、軸芯の金属部分が短いため、比較対象の電池と比べ放熱効果に大きな差が生まれなかったからと考えられる。
【0044】
[第3実施形態]
次に、本発明を扁平形リチウムイオン二次電池に適用した第3実施形態を、図8を参照して説明する。なお、図中第1実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0045】
第3実施形態は、第2実施形態同様、モールド加工により間に絶縁板14を介在させて正極軸芯部12と負極軸芯部11とを接続したものである。絶縁板14の幅W14は、第2実施形態の絶縁材14より短くし、正極軸芯部12、負極軸芯部11の幅W12,W11と略同一長さとした。すなわち、正極軸芯部12および負極軸芯部11の幅W12,W11は、第2実施形態の幅W12,W11よりも長い。その他の構成は第2実施形態と同様である。
【0046】
本実施形態の効果を確認するために、第1実施形態と同様の試験を行った。
また、比較のために、第3実施形態の軸芯10と同一形状、寸法の比較例3の軸芯を絶縁板14と同一の素材のみによって一体形成した。この比較例3の軸芯は電極集電部50a、50bと接合せず、電極集電部50a,50bは直接、接続部材74、72を接合した。
【0047】
このような比較例3の軸芯を備えた扁平形リチウムイオン二次電池について、第3実施形態と同様の試験を行った。その結果、第3実施形態の電池の側面温度は、比較例3の扁平形リチウムイオン二次電池の側面温度に比較して17%早い時間で、25℃に到達した。
【0048】
この結果により、第3実施形態の放熱性は改善されたといえる。ただし、捲回電極群20の中心部まで軸芯10の金属部が存在する第1実施形態に比較し、ある程度の範囲に絶縁板14が存在するため、第1実施形態よりも放熱効果が劣る。
【0049】
[第4実施形態]
次に、本発明を扁平形リチウムイオン二次電池に適用した第4実施形態を、図9を参照して説明する。なお、図中第1実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0050】
第4実施形態は、第1実施形態の厚さ方向「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手部11J、12Jに代えて、幅方向の「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手部11J、12Jを採用している。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0051】
本実施形態の効果を確認するために、第1実施形態と同様の試験を行った。
また、比較のために、第4実施形態の軸芯10と同一形状、寸法の比較例4の軸芯を絶縁材13と同一の素材のみによって一体形成した。この比較例4の軸芯は電極集電部50a,50bと接合せず、電極集電部50a、50bは直接、接続部材74、72を接合した。
【0052】
このような比較例4の軸芯を備えた扁平形リチウムイオン二次電池について、第4実施形態と同様の試験を行った。その結果、第4実施形態の電池の側面温度は、比較扁平形リチウムイオン二次電池の側面温度に比較して36%早い時間で、25℃に到達した。
この結果により第4実施形態の放熱性は改善されたといえる。
【0053】
[第5実施形態]
次に、本発明を扁平形リチウムイオン二次電池に適用した第5実施形態を、図10〜図12を参照して説明する。なお、図中第1実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0054】
図10〜図12に示すように、第5実施形態は、一体的な平板状の軸芯10Aを備える。軸芯10Aは、軸芯本体部10aと、軸芯本体部10aの両端部に設けられ、電池容器78の内面に接する接触板10b、10cとを一体に成形して形成されている。軸芯10Aはアルミニウム等の金属によって形成され、セパレータによって正負極板40、30の集電部50a,50bと絶縁されている。軸芯10Aは、正負極板40、30に接続されず、熱伝導体としてのみ機能する。
【0055】
図10および図11において、正負極接続部材74A,72Aのそれぞれは、第1実施形態の正負極接続部材74,72のそれぞれと異なった形状とされている。すなわち、正負極接続部材74A,72Aのそれぞれは、上部平板部74a,72aと、上部平板部74a,72aから下方に二股に延在する下部二股部74b、72bとを備えている。下部二股部74b、72bは、捲回電極群20の正負集電部50a、50bにそれぞれ超音波溶接にて接合されている。
【0056】
軸芯10Aの接触板10a,10bは、電池容器78の内面に突っ張るようにして直接接触されている。これによって、捲回電極群20内部で発生した熱は、軸芯10Aを経由して、直ちに電池容器78に伝達される。これによって高い放熱性能が得られる。また、捲回電極群20の容器内部での振動抑制効果も期待できる。
【0057】
[第6実施形態]
図13は、本発明を円筒形リチウムイオン二次電池に適用した場合の軸芯110を示す図である。
【0058】
円筒型リチウムイオン二次電池は、一端に開口部が設けられた有底円筒形容器の内部に捲回電極群を収納し、容器内部に電解液を注入した後、開口部を封口体によって塞いで構成される。捲回電極群は、図13に示す軸芯110の周りに、正極板と負極板とをセパレータで絶縁しつつ捲回して構成される。
円筒形リチウムイオン二次電池の内部構造は周知であり、詳細な説明、図示は省略する。
【0059】
図13に示す軸芯110は、アルミニウム製の正極パイプ112と、銅製の負極パイプ111とを有する。正極パイプ112と負極パイプ111は「あいじゃくり継ぎ」の継ぎ手112J、111Jを有し、継ぎ手部112J、111Jは第1実施形態同様、絶縁材(絶縁体)113によって接着されて「あいじゃくり継ぎ」で接合されている。
【0060】
正極パイプ112には、正極板の正極合剤が塗布していない正極集電部が溶接され、負極パイプ111には、負極板の負極合剤が塗布していない負極集電部が溶接される。正極パイプ112は正極集電部に電気的、熱伝導的に接続され、負極パイプ111は負極集電部に電気的、熱伝導的に接続される。
【0061】
軸芯110は円筒形電池容器の軸方向に延在し、正極パイプ112は正極外部端子に電気的、熱伝導的に接続され、負極パイプ111は負極外部端子に電気的、熱伝導的に接続され、捲回電極群の熱を外部に放熱する。正極パイプ112の上端には正極集電部品が嵌合され、正極集電部品が正極リードにより正極外部端子となる上蓋に接続される。銅パイプ111の下端には負極集電部品が嵌合され、負極集電部品が負極リードにより負極外部端子となる容器底面に接続される。
【0062】
第6の実施形態の円筒形リチウムイオン二次電池も第1実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態の軸芯110は容易に作製でき、コストも安価であり、所望の特性も得られた。ロッド上にしてもよい。
[第7実施形態]
【0063】
図14は、本発明を円筒形リチウムイオン二次電池に適用した場合の軸芯210を示す図で94ある。
【0064】
第7実施形態は、第6実施形態における「あいじゃくり継ぎ」に代えて、第3実施形態と同様に、モールド加工により、正極ロッド212と負極ロッド211が絶縁ロッド214により接続されている。絶縁ロッド214は、正極ロッド212と負極ロッド211との間にモールド加工により一体化されている。正極ロッド212、負極ロッド211の長さは略等しく、絶縁ロッド214は正極ロッド212、負極ロッド211の長さの半分程度である。
【0065】
正極ロッド212と負極ロッド211とは、絶縁ロッド(絶縁体)214によって相互に絶縁され、また両者は絶縁ロッド214の長さだけ離間しているので、高い絶縁性が確保されている。本実施形態は、このように軸芯210が変更された以外は、第6実施形態の円筒形リチウムイオン二次電池と同様に構成される。
【0066】
第7の実施形態の円筒形リチウムイオン二次電池も第1実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態の軸芯110は容易に作製でき、コストも安価であり、所望の特性も得られた。
(変形例)
【0067】
(1)以上説明した第1〜第7の実施形態では、正極板40、負極板30における合剤層31、41の結着材としてPVDFを用いたが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体およびこれらの混合体などを用いることができる。
【0068】
(2)以上説明した第1〜第7の実施形態では、量論組成のマンガン酸リチウム(LiMn2O4)を正極活物質として例示したが、スピネル結晶構造を有する他のマンガン酸リチウム(例えば、Li1+xMn2−xO4)やマンガン酸リチウムの一部を金属元素で置換又はドープしたリチウムマンガン複合酸化物(例えば、Li1+xMyMn2−x−yO4,MはCo、Ni、Fe、Cu、Al、Cr、Mg、Zn、V、Ga、B、Fの少なくとも1種)や層状結晶構造を有すコバルト酸リチウムやチタン酸リチウムやこれらの一部を金属元素で置換またはドープしたリチウム-金属複合酸化物を用いるようにしてもよい。
【0069】
(3)以上説明した第1〜第7の実施形態では、軸芯の絶縁材13、113や絶縁板14,214は、例えば、耐熱性の高いPPS樹脂を使用し、粘着材料にアクリル樹脂を使用したが、絶縁性を保てかつ粘着強度が高いものであればこれに限らない。
【0070】
(4)以上説明した第1〜第7の実施形態では、軸芯にアルミミウムと銅を使用した例を示したが、これに限定されるものではなく、例えばアルミニウム合金や銅合金・ニッケル等、各極の電池電位によって腐食されること無く、導電性を持つものであれば特に限定されない。
【0071】
(5)以上説明した第1〜第7の実施形態では、軸芯10にセパレータ60のみを1周以上、先行して捲回することにより、正極軸芯部12と負極集電部50b、負極軸芯部11と正極集電部50aとの間の絶縁を確保したが、セパレータ60とは別の絶縁性セパレータを軸芯10に捲回しても良い。
【0072】
(6)以上説明した第1〜第7の実施形態では、正負極板40、30の集電部50a,50bと、軸芯10の正極軸芯部12、負極軸芯部11とを超音波溶接により接合したが、抵抗溶接やその他の接合方法により、電気的・熱伝導的に接合できれば、特に限定はしない。正負接続部材74,72と軸芯集電板112b、11bとをねじなどで機械的に締結してもよい。
【0073】
(7)以上説明した第1〜第5の実施形態では、電解質としてLiPF6を使用した例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SOLiなどやこれらの混合物を用いることができる。また、本実施形態では、非水電解液の溶媒にECとDMCとの混合溶媒を用いた例を示したが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ―ブチルラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、プロピオニトリルなど少なくとも1種以上の混合溶媒を用いるようにしてもよく、また混合配合比についても限定されるものではない。
【0074】
(8)第5実施形態では、軸芯10を金属により一体形成したが、第1〜第4実施形態同様、中央において絶縁、分離した2個の金属部材により構成してもよい。この場合、電池容器の電位と同一電位の軸芯部のみ容器と電気的、熱伝導的に接続し、他の電位の軸芯部は電気的、熱伝導的に絶縁する必要がある。
【0075】
(9)第6、第7実施形態では、本発明の特徴である軸芯に図13、図14の形状を採用したが、正極の電位に耐えうる金属と負極の電位に耐えうる金属とを絶縁材料にて絶縁した構造を有すればこれに限定されるものではない。
【0076】
(10)第1〜第5の実施形態では、軸芯10の正極軸芯部12と外部正極73とを正極接続部材74により電気的、熱伝導的に接続し、軸芯10の負極軸芯部11と外部負極71とを負極接続部材72により電気的、熱伝導的に接続するようにしたが、この接続構造は実施形態の形状、構造に限定されない。
【符号の説明】
【0077】
10,10A、110,210:軸芯
11,110,210:負極軸芯部
11a:負極巻芯部
11b:負極集電板
12,112,212:正極軸芯部
12a:負極巻芯部
12b:負極集電板
13:絶縁材
14:絶縁板
20:捲回電極群
30:負極板
31:負極合剤層
40:正極板
41;正極合剤層
50:電極箔
50a,50b:集電部
60:セパレータ
70:電池
71:外部負極端子
72:負極接続板
73:外部正極端子
74:正極接続板
75:蓋
78:電池容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極層が形成されるとともに、前記電極層が形成されない集電部が幅方向の一側にそれぞれ配置された正極板と負極板とをセパレータを介して前記集電部が互いに逆になるように捲回した捲回電極群と、
前記捲回電極群を収納し、負極外部端子および正極外部端子を有する電池外装容器と、
前記捲回電極群の中心部に延在し、前記負極板の前記集電部(負極集電部)に接続された負極軸芯部、前記正極板の集電部(正極集電部)に接続された正極軸芯部、および、前記負極軸芯部および前記正極軸芯部を電気的に絶縁する絶縁体を有する軸芯とを備え、
前記負極集電部は前記負極軸芯部を経由して前記負極外部端子に接続され、前記正極集電部は前記正極軸芯部を経由して前記正極外部端子に接続されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記電池外装容器は扁平角形であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
請求項2に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記捲回電極群は、前記軸芯が前記電池外装容器の幅広方向に延在するように電池外装容器内に収容され、
前記負極軸芯部は、前記外部負極端子に接続されている負極接続部材に接続され、前記正極軸芯部は、前記正極外部端子に接続されている正極接続部材に接続されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
請求項3に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記負極軸芯部は、前記負極集電部および前記負極接続部材に電気的、熱伝導的に接続され、
前記正極軸芯部は、前記正極集電部および前記正極接続部材に電気的、熱伝導的に接続されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
請求項4に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記捲回電極群は前記軸芯を構成する前記負極軸芯部および前記正極軸芯部に捲回され、
前記負極軸芯部は、捲回された電極群の前記負極集電部が接続される巻芯部(負極巻芯部)と、前記巻芯部の端部に設けられ前記負極接続部材と接続される集電板(軸芯負極集電板)とを備え、
前記正極軸芯部は、捲回された電極群の前記正極集電部が接続される巻芯部(正極巻芯部)と、前記巻芯部の端部に設けられ前記正極接続部材と接続される集電板(軸芯正極集電板)とを備えていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
請求項5に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記負極巻芯部と前記正極巻芯部は、扁平形電池外装容器の幅広側面に平行に配置された平板であり、前記軸芯負極集電板と前記軸芯正極集電板は、前記巻芯部と直交して配置され、扁平形電池外装容器の幅狭側面に平行に配置された平板であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項7】
請求項6に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記負極巻芯部は前記負極板の負極集電部に、前記軸芯負極集電板は前記負極接続部材にそれぞれ超音波溶接され、
前記正極巻芯部は前記正極板の正極集電部に、前記軸芯正極集電板は前記正極接続部材にそれぞれ超音波溶接されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記絶縁体は、前記負極軸芯部と前記正極軸芯部との間に所定長さに渡って設けられ、
前記負極軸芯部と前記正極軸芯部の幅は、前記正負極板の前記正負極集電部のそれぞれの幅以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記軸芯の外表面には、少なくとも一周以上のセパレータが捲回され、前記負極板の電極層および前記正極板の電極層を前記軸芯と絶縁したことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項10】
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記電池外装容器は円筒形であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項11】
電極層が形成されるとともに、前記電極層が形成されない集電部が幅方向の一側にそれぞれ配置された正極板と負極板とをセパレータを介して前記集電部が互いに逆になるように捲回した捲回電極群と、
前記捲回電極群を収納し、負極外部端子および正極外部端子を有する電池外装容器と、
前記捲回電極群の中心部に延在し、前記負極板および正極板の電極層とは絶縁されつつ前記電池外装容器に接続されている金属製の軸芯とを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項12】
請求項11に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記電池外装容器は扁平角形であり、前記軸芯の両端は、前記電池外装容器の対向幅狭側面間に突っ張るように設けられていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項1】
電極層が形成されるとともに、前記電極層が形成されない集電部が幅方向の一側にそれぞれ配置された正極板と負極板とをセパレータを介して前記集電部が互いに逆になるように捲回した捲回電極群と、
前記捲回電極群を収納し、負極外部端子および正極外部端子を有する電池外装容器と、
前記捲回電極群の中心部に延在し、前記負極板の前記集電部(負極集電部)に接続された負極軸芯部、前記正極板の集電部(正極集電部)に接続された正極軸芯部、および、前記負極軸芯部および前記正極軸芯部を電気的に絶縁する絶縁体を有する軸芯とを備え、
前記負極集電部は前記負極軸芯部を経由して前記負極外部端子に接続され、前記正極集電部は前記正極軸芯部を経由して前記正極外部端子に接続されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記電池外装容器は扁平角形であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
請求項2に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記捲回電極群は、前記軸芯が前記電池外装容器の幅広方向に延在するように電池外装容器内に収容され、
前記負極軸芯部は、前記外部負極端子に接続されている負極接続部材に接続され、前記正極軸芯部は、前記正極外部端子に接続されている正極接続部材に接続されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
請求項3に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記負極軸芯部は、前記負極集電部および前記負極接続部材に電気的、熱伝導的に接続され、
前記正極軸芯部は、前記正極集電部および前記正極接続部材に電気的、熱伝導的に接続されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
請求項4に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記捲回電極群は前記軸芯を構成する前記負極軸芯部および前記正極軸芯部に捲回され、
前記負極軸芯部は、捲回された電極群の前記負極集電部が接続される巻芯部(負極巻芯部)と、前記巻芯部の端部に設けられ前記負極接続部材と接続される集電板(軸芯負極集電板)とを備え、
前記正極軸芯部は、捲回された電極群の前記正極集電部が接続される巻芯部(正極巻芯部)と、前記巻芯部の端部に設けられ前記正極接続部材と接続される集電板(軸芯正極集電板)とを備えていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
請求項5に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記負極巻芯部と前記正極巻芯部は、扁平形電池外装容器の幅広側面に平行に配置された平板であり、前記軸芯負極集電板と前記軸芯正極集電板は、前記巻芯部と直交して配置され、扁平形電池外装容器の幅狭側面に平行に配置された平板であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項7】
請求項6に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記負極巻芯部は前記負極板の負極集電部に、前記軸芯負極集電板は前記負極接続部材にそれぞれ超音波溶接され、
前記正極巻芯部は前記正極板の正極集電部に、前記軸芯正極集電板は前記正極接続部材にそれぞれ超音波溶接されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記絶縁体は、前記負極軸芯部と前記正極軸芯部との間に所定長さに渡って設けられ、
前記負極軸芯部と前記正極軸芯部の幅は、前記正負極板の前記正負極集電部のそれぞれの幅以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記軸芯の外表面には、少なくとも一周以上のセパレータが捲回され、前記負極板の電極層および前記正極板の電極層を前記軸芯と絶縁したことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項10】
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記電池外装容器は円筒形であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項11】
電極層が形成されるとともに、前記電極層が形成されない集電部が幅方向の一側にそれぞれ配置された正極板と負極板とをセパレータを介して前記集電部が互いに逆になるように捲回した捲回電極群と、
前記捲回電極群を収納し、負極外部端子および正極外部端子を有する電池外装容器と、
前記捲回電極群の中心部に延在し、前記負極板および正極板の電極層とは絶縁されつつ前記電池外装容器に接続されている金属製の軸芯とを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項12】
請求項11に記載のリチウムイオン二次電池において、
前記電池外装容器は扁平角形であり、前記軸芯の両端は、前記電池外装容器の対向幅狭側面間に突っ張るように設けられていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−192476(P2011−192476A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56396(P2010−56396)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
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