説明

リッド開閉操作装置

【課題】 部品点数を減らし、製品のコストを軽減するとともに、組立時の手間を少なくしたリッド開閉操作装置を提供する。
【解決手段】 リッド100に装着される本体10と、この本体10に回動自在に軸支される操作ハンドル30と、を備える。本体10には、壁面から延出し中間部で湾曲してU字状に延びる片持ち形状のばね片18が一体形成してある。一方、操作ハンドル30には、ばね片18と当接し、ばね片18から回動付勢力を受けるばね片当接部34が形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車内に設けられた収容空間等の開口部をリッドによって開閉するリッド開閉操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のリッド開閉操作装置としては、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1の図6、図7に開示された車両用収納部構造は、収容凹部bの開口部cが蓋体dによって閉塞される。この蓋体dの上端部には、略断面L字形のロックハンドルgが軸ピンnを介して揺動可能に設けられている。このロックハンドルgは一端側が鈎状のロック片部hに形成されており、スプリングiによって図7において反時計方向に回転付勢されている。また蓋体dの取り外しは、ロックハンドルgを時計方向に揺動させて、ロック孔kの縁部からロック片部hの掛合を解除することによってなされる。
【特許文献1】特開2004−42848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、特許文献1の発明は、ロック構造が蓋体、ロックハンドル、スプリングという三つの部品を組み合わせて形成される。このような従来のロック構造は、スプリングが別部品となっているため部品点数が多く、製品コストの高価格化と、組付け作業に手間がかかるという課題を有していた。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ばね片を本体に一体的に成形することによって部品点数を減らし、製品のコストを軽減するとともに、組立時の手間を少なくするリッド開閉操作装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、
収納空間の開口部を開閉するリッドの開閉操作装置において、
前記リッドに装着される本体と、
この本体に回動自在に軸支される操作ハンドルと、を備え、
前記本体に、壁面から延出し中間部で湾曲して延びる片持ち形状のばね片を一体形成し、
前記操作ハンドルは、前記リッドが前記収納空間の開口部を閉塞する状態で当該開口部周縁に設けた係止部と係合して当該リッドにより開口部の閉塞状態を保持するフック部と、支軸を中心に一方向へ回動操作して前記フック部の前記係止部に対する係合状態を解除するための操作部と、前記ばね片が当接し、前記操作部に作用する一方向への回動操作力とは反対向きの回動付勢力を当該ばね片から受けるばね片当接部と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の発明は、請求項1を前提として、前記ばね片が、中間部がU字状に湾曲形成してあることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2のいずれか一項を前提として、前記本体の壁面に、前記ばね片が自由端から入り込む切欠孔が形成してあることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3を前提として、前記操作ハンドルに形成したばね片当接部が、前記ばね片における前記切欠孔へ入り込んだ部分よりも基端部寄りの部位に当接することを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項を前提として、
前記本体が、対向位置にある前壁及び後壁と、これら各壁の両端間をそれぞれ繋ぐ両側壁と、底部を形成する底壁とに囲まれた凹部を有し、前記両側壁にそれぞれ軸受が形成してあり、更に前記前壁から底壁にかけては略中央部に開口を形成しており、
前記操作ハンドルは、操作板と、この操作板の両側縁からそれぞれ支軸が延出し、これら支軸が前記軸受に軸支されており、更に当該操作板の前端縁中央部から前記フック部が延出し、当該フック部が前記本体の凹部から前記開口を透して外部へ突き出す構成となっており、
更に、前記本体における前記前壁の開口と両側端縁との間で、当該開口を中心とする対称位置に前記ばね片が形成してあり、
前記操作ハンドルのばね片当接部は、前記操作板の前端縁であって前記ばね片が当接する部位に形成してあることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5を前提として、
前記本体の凹部から前記開口を透して外部へ突き出すフック部が、前記収納空間の開口部周縁に設けた係止部との係合を解除する回動位置にあるとき、当該フック部の少なくとも引掛けエッジ部分を両側方から覆う被覆壁を、前記開口の縁部から外方へ突き出して前記本体に形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6を前提として、
前記本体は、前記凹部の開口縁にフランジが形成してあり、
且つ、前記本体の前壁は、中間に段部が形成され、前記フランジから当該段部にかけてを上段壁とし、且つ前記段部から一段下がった部位が、前記後壁との間隔が前記上段壁よりも短い下段壁となっており、
前記前壁には、前記フランジとの間に第1係止部を構成する第1の係止脚が外方へ突き出して形成してあり、
前記後壁には、前記フランジとの間に溝状の第2係止部を構成する第2の係止脚が外方へ突き出して形成してあり、
前記リッドには、前記本体を装着する取付口が形成されており、
前記被覆壁を前記取付口に入れてから、前記本体の下段壁を前記取付口の一端縁に接触させ、この接触部分を支点として前記本体を回動させて前記取付口の他端縁に前記第2係止部を合わせるとともに、前記本体をスライドさせて前記取付口の他端縁へ前記第2係止部を係合させ、さらに当該第2係止部を支点として前記本体を回動させることにより前記上段壁を前記取付口内へ嵌め込み、且つ前記第1係止部を前記取付口の一端縁に係合させることで、前記本体が前記取付口に装着される構成となっていることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項7を前提として、
前記被覆壁が、前記下段壁の表面よりも突出しており、この被覆壁と前記段部における下段壁から上段壁への立ち上がり部分の壁との間に、前記リッドの取付口の一端縁を差し込む支持溝を形成していることを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項7又は8を前提として、
前記上段壁が、両側部が切り欠かれており、
前記第1の係止脚は、前記下段壁の表面から延出し、前記上段壁の両側方に延在するように形成してあることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項7乃至9を前提として、
前記上段壁の両側部内側縁部を前記操作ハンドルのストッパとし、
前記操作ハンドルには、前記フック部を前記収納空間の係止部から係合解除する方向への回動操作終端位置で、前記ストッパに当接しそれ以上の回動を阻止する当接部が形成してあることを特徴とする。
【0015】
よって、請求項1の発明にあっては、ばね片を一体形成したことによって、リッド開閉操作装置の部品点数を削減することができ、製品コストを低減するとともに、組立工数を減らして作業性の向上を図ることができる。
また、ばね片を、中間部で湾曲して延びる片持ち形状とすることで、狭小空間においても長く延ばして、ばね定数を小さくすることができる。これにより、リッドの開閉操作に際して、操作ハンドルを引き始めから引き終わりまで軽い力で操作でき、良好な操作性を得ることが可能となる。
【0016】
請求項2の発明にあっては、ばね片の中間部をU字状に折り返すことで、このばね片を狭小空間においていっそう長く延ばして、ばね定数を小さくすることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、ばね片を切欠孔へ入り込ませることによって、ばね片の延出長さをいっそう長く確保することが可能となる。
さらに、請求項4の発明によれば、ばね片は、ばね片当接部が当接する部位よりも先端側に、当該切込孔に入り込んだ部分が更に存在することとなるので、ばね片のたわみや振動などによって、操作ハンドルのばね片当接部がばね片の自由端から脱落してしまう事態を回避することが可能となる。
【0018】
請求項5の発明にあっては、対称位置にあるばね片により操作ハンドルのばね片当接部に対して均一に付勢することができる。したがって操作ハンドルは、各支軸に偏った荷重を作用することなく、滑らかな回動操作が実現可能となる。
【0019】
請求項6の発明にあっては、解除位置にあるフック部の引掛けエッジを被覆壁が覆っているので、リッドを開く際、解除位置にあるフック部の引掛けエッジが収納空間の開口部周縁等に引っ掛かるおそれがなく、リッドの開き動作を支障なく円滑に実行することが可能となる。
【0020】
請求項7の発明にあっては、たとえ本体から被覆壁が突き出していても、リッドの取付口へ本体を装着することが可能となる。すなわち、被覆壁は、本体の開口縁部から外方へ突き出しており、本体の開口は前壁から底壁にかけて形成されている。したがって、被覆壁は前壁の近傍位置から外方に突き出している。
いま仮に、後壁側にある第2係止部をリッドに形成した取付口の他端縁に係合させ、ここを支点として本体を回動させて、前壁側にある第1係止部に取付口の一端縁を係合させようとした場合、前壁の近傍位置から突き出している被覆壁の回動軌跡がリッドの取付口端縁よりも外側をとおり、これら被覆壁とリッドの取付口周辺部とが干渉してしまうおそれがある。
これに対し、請求項7の構成とすれば、先に被覆壁をリッドの取付口に入れてから、取付後端縁への第1,第2係止部の係合を行うので、被覆壁の干渉が生じることなくリッドへの本体装着作業を実施することができる。
【0021】
ここで、本体の下段壁をリッドに形成した取付口の一端縁に接触させ、この接触部分を支点として本体を回動させる際、力をかける方向を誤ると、下段壁が取付口の一端縁から離脱してしまうおそれがある。
請求項8の発明にあっては、支持溝を形成し、この支持溝にリッドの開口端縁を差し込み、ここを支点として本体を回動操作する構成としたので、回動操作の過程で、誤って下段壁が取付口の一端縁から離脱してしまうおそれがなくなる。
【0022】
請求項9の発明にあっては、第1の係止脚を下段壁の表面から延出させたので、当該係止脚を長く延出させることができ、リッドの取付口端縁が係合する際の単位長さ当たりのたわみ量を少なくして内部応力を低減し、第1の係止脚の損傷防止を図ることができる。
しかも、上段壁の両側を切り欠いてその側方に第1の係止脚を配置したことにより、この第1の係止脚が本体の両側壁に形成した軸受の近傍位置へ配置されるので、軸受を介して伝えられる操作ハンドルの回動操作力を第1の係止脚に速やかに伝達して、この第1の係止脚で受けることができ、本体の歪みを抑制することが可能となる。
【0023】
請求項10にあっては、同じく本体の両側壁に形成した軸受の近傍位置で、操作ハンドルの回動操作を規制し、このときのストッパに作用した当接力を第1の係止脚に速やかに伝達して、この第1の係止脚で受けることができ、本体の歪みを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、ばね片を本体に一体的に成形することによって部品点数を減らし、製品のコストを軽減するとともに、組立時の手間を少なくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図9は、本発明の実施形態に係るリッド開閉操作装置の構成を説明するための図である。図1は、リッド開閉操作装置の全体構成を示す斜視図であり、図2は、リッド開閉操作装置が取り付けられたリッドとその周辺構造を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、リッド開閉操作装置は、リッド100に装着される本体10と、この本体10に回動自在に軸支される操作ハンドル30と、を備えている。リッド100は、自動車の荷室などに設けられた収容空間200の開口部201を開閉する蓋の機能を有している。
【0026】
図3は、リッド開閉操作装置の本体を示す図で、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。また図4は、同じく本体の断面図であり、(a)は図3(b)のAA線側面断面図、(b)は図3(b)のBB線側面断面図である。
図3に示すように、本体10は、対向位置にある前壁12及び後壁13と、これら各壁12,13の両端間をそれぞれ繋ぐ両側壁14,14と、本体10の底部を形成する底壁11とに囲まれた凹部15を有し、両側壁14にそれぞれ軸受16が形成してある。さらに、本体10の前壁12から底壁11にかけては略中央部に開口17が形成してある。この開口17は、後述する操作ハンドル30のフック部33を凹部15から外方へ突き出させるためのものである。また、開口17の縁部から外構に向かっては、被覆壁25が突き出して形成してある。この被覆壁25の機能は後述する。
【0027】
図4に示すように、本体10には、片持ち形状のばね片18が一体形成してある。このばね片18は、前壁12の壁面から内部側に向かって延出し、中間部がU字状に湾曲形成して、再び前壁12に戻るように延在している。湾曲したばね片18の先端は自由端19となっている。
ばね片18を本体10と一体に形成することによって、リッド開閉操作装置の部品点数を削減することができ、製品コストを低減するとともに、組立工数の減らして作業性の向上を図ることができる。さらに、ばね片18を、中間部で湾曲して延びる片持ち形状とすることで、狭小空間においても長く延ばして、ばね定数を小さくすることができる。特に、ばね片18の中間部をU字状に折り返すことで、このばね片18を狭小空間においていっそう長く延ばして、ばね定数を小さくすることができる。
【0028】
また、ばね片18は、図3(b)に示すように、本体10における前壁12の開口17と両側端縁との間で、この開口17を中心とする左右対称な位置に一対設けてある。さらに本体10の前壁12の壁面には、ばね片18の自由端19が入り込む切欠孔20が形成してある。このように、ばね片18を切欠孔20へ入り込ませることによって、ばね片18の延出長さをいっそう長く確保することが可能となる。
【0029】
本体10は、凹部15の開口縁にフランジ26が形成してある。さらに、図3(a)に示すように、本体10の前壁12には、中間に段部12aが形成され、フランジ26から当該この段部12aにかけてが上段壁23を構成するとともに、段部12aから一段下がった部位が下段壁24を構成している。下段壁24は、後壁13との間隔が上段壁23よりも短い。
【0030】
そして、前壁12には、フランジ26との間に、第1係止部21aを構成する第1の係止脚21が外方へ突き出して形成してある。一方、後壁13には、フランジ26との間に溝状の第2係止部22aを構成する第2の係止脚22が外方へ突き出して形成してある。
ここで、上段壁23は、両側部が切り欠かれている。そして、第1の係止脚21は、下段壁24の表面から延出し、上段壁23の両側方に延在するように形成してある。
【0031】
被覆壁25は、下段壁24の表面よりも突出しており、この被覆壁25と段部12aにおける下段壁24から上段壁23への立ち上がり部分の壁との間に、支持溝27が形成してある。
【0032】
図5は、リッド開閉操作装置の操作ハンドルを示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
操作ハンドル30は、図5に示すように、操作板31と、この操作板31の両側縁からそれぞれ支軸32が延出し、さらにこの操作板31の縁中央部からフック部33が延出している。操作板31の前端縁には、フック部33の両側に一対のばね片当接部34が形成してある。一方、操作板31の後端縁とその周辺部は、操作部35を構成している。操作部35とばね片当接部34とは、一対の支軸32をとおる回動軸を境界として、それぞれ反対側に設けられている。
【0033】
図6は、本体に操作ハンドルが組み付けられたリッド開閉操作装置の全体構造を示す断面図であり、(a)は図4(a)と同一線上の側面断面図、(b)は図4(b)と同一線上の側面断面図である。
操作ハンドル30は、支軸32が本体10の軸受16に軸支され、この支軸16を中心に回動自在となっている。操作板31の表面は本体10における凹部15の開口面とほぼ面一に配置されている。ユーザは、本体10の凹部15に指を差し入れて、凹部15の内側から操作ハンドル30の操作部35を回動操作するようになっている。
【0034】
操作ハンドル30のフック部33は、本体10の凹部15から開口17を透して外部へ突き出しており、後述するとおり収納空間200における開口部201の周縁に設けた係止口202の端縁と係合し、リッド100の閉塞状態を保持する(図8(a)参照)。
【0035】
図6(b)に示すように、操作ハンドル30を本体10に組み込んだ状態にあっては、操作ハンドル30のばね片当接部34が、本体10に一体形成したばね片18に当接している。このとき、ばね片18は、僅かながらたわませてあり、これによりばね片当接部34には、ばね片18から回動付勢力が作用している。操作ハンドル30は、この回動付勢力をもって、フック部30の脚部が本体10の開口端縁17aに当接し、がたつきなく静止している(図6(a)参照)。
【0036】
ここで、ばね片当接部34は、ばね片18の自由端19と湾曲部との中間部に当接している。そして、この当接部分よりも先の自由端19は、さらに本体10の切欠孔20へ入り込んで延びているので、ばね片18のたわみや振動などによって、ばね片当接部34がばね片18の自由端19から脱落してしまうおそれがなく、安定してばね片当接部34を付勢することができる。
【0037】
さらに、一対のばね片18は、左右対称位置にてばね片当接部34を均一に付勢するため、操作ハンドル30は、各支軸32に偏った荷重を作用することなく、滑らかな回動操作が実現可能となる。
【0038】
また、操作ハンドル30の前端縁には、ばね片当接部34の側方に当接部36が形成してある。一方、本体10における上段壁23の両側部内側縁部には、図7に示すように、操作ハンドル30のストッパ23aが形成してある。
【0039】
図8は、リッド開閉操作装置のリッドへの装着手順を示す側面断面図である。
リッド100には、リッド開閉操作装置を装着するための取付口101が形成してある。取付口101は、リッド開閉操作装置を構成する本体10における凹部15の開口部外周形状に合わせて形成してあり、この凹部15の開口部外周が、取付口10の周縁部に嵌め込まれる。
【0040】
リッド100へのリッド開閉操作装置の装着は、まず被覆壁25を取付口101に入れてから、本体10の下段壁24に形成した支持溝27に取付口101の一端縁を差し込み(図8(b)参照)、この支持溝27部分を支点として本体10を回動させ、取付口101の他端縁に第2係止部22aを合わせる(同図(c)参照)。
次いで、本体10を図8の下方へスライドさせて取付口101の他端縁へ第2係止部22aを係合させ、さらにこの第2係止部22aを支点として本体を回動させることにより上段壁23を取付口101内へ嵌め込むとともに、第1係止部21aを取付口101の一端縁に係合させる(同図(d)参照)。これにより、本体10が取付口101に装着される。
【0041】
図9は、本実施形態に係るリッドによって収納空間を閉塞した状態を示す側面断面図であり、(a)は操作ハンドルを回動する前の状態、(b)は操作ハンドルの回動した後の状態をそれぞれ示している。
図2に示した収容空間200の開口部201へリッド100を嵌め込み、この開口部201を閉塞した状態にあっては、図9(a)に示すように、操作ハンドル30をフック部33が、開口部21の周縁にあらかじめ穿設してある係止口202の周縁部(係止部)にエッジ部分33aが引っ掛かって係止される。このようにフック部33が係止口202の周縁部に係止されることで、リッド100は開口部201の閉塞状態を保持することができる。
【0042】
開口部201からリッド100を取り外す場合は、図9(b)に示すように、操作ハンドル30の操作部31に、本体10の凹部15内から指を引っ掛け、操作ハンドル30を支軸32を中心に図の時計方向へ回動させる。この操作により、フック部33も同方向へ回動し、係止口202の周縁部との係合が解除される。これにより、リッド100を収容空間200の開口部201から取り外し、開口部201を開放することができる。
【0043】
ここで、上記回動操作の終端位置において、操作ハンドル30の前端縁に形成した当接部36が、本体10のストッパ23aに当接して、それ以上の回動が阻止される。
【0044】
なお、既述したように、リッド開閉操作装置の本体10には、外周面の開口縁に沿って被覆壁25が設けてある。この被覆壁25は、図9(b)に示すように、フック部33が係止口202の周縁部との係合を解除する回動位置にあるとき、フック部33の引掛けエッジ部分33aを両側方から覆う構成となっている。これにより、操作ハンドル30の回動操作において、被覆壁25がフック部33の引掛けエッジ部分33aが、再び係止口202の周縁部等に引っ掛かるおそれがなく、リッド100の取り外し操作を支障なく円滑に実行することが可能となる。
【0045】
また操作ハンドル30の回動操作によって、操作ハンドル30のばね片当接部34は、ばね片18を押圧してたわませる。このため、ばね片18は、ばね片当接部34に対して反対向きの回動付勢力を与えることとなる。したがって、操作ハンドル30から指を離したとき、ばね片18からの回動付勢力により、操作ハンドル30は図9の反時計方向へ回動して、図9(a)に示す元の回動位置へ復帰する。
【0046】
ここで、ばね片18による回動付勢力は、図10に示すように、たわみ量及びばね定数の大きさに比例して大きくなる。本実施形態のばね片18は、既述したように、ばねの長さを長く形成することでばね定数を小さく設定している。すなわち、本実施形態のばね片18は、回動付勢力とたわみの比例関係が緩やかに上昇するように構成されている。このように、ばね片18の回動付勢力を小さくすることにより、操作ハンドル30を引き始めから引き終わりまで軽い力で引けるようになり、良好なハンドル操作性を得ることができる。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例や応用例が可能なことは勿論である。例えば、ばね片18は、本実施形態のようにU字状に湾曲したものに限らず、底壁11から延出し前壁12に向かってL字状に湾曲形成した形状とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に係るリッド開閉操作装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るリッド開閉操作装置が取り付けられたリッドとその周辺構造を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係るリッド開閉操作装置の本体を示す図で、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図4】同じく本実施形態に係るリッド開閉操作装置の本体を示す図で、(a)は図3(b)のAA線側面断面図、(b)は図3(b)のBB線側面断面図である。
【図5】本実施形態に係るリッド開閉操作装置の操作ハンドルを示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図6】本体に操作ハンドルが組み付けられたリッド開閉操作装置の全体構造を示す断面図であり、(a)は図4(a)と同一線上の側面断面図、(b)は図4(b)と同一線上の側面断面図である。
【図7】本体に形成したストッパと操作ハンドルに形成した当接部を示す側面断面図である。
【図8】本実施形態に係るリッド開閉操作装置のリッドへの装着手順を示す側面断面図である。
【図9】本実施形態に係るリッドによって収納空間を閉塞した状態を示す側面断面図であり、(a)は操作ハンドルを回動する前の状態、(b)は操作ハンドルを回動した後の状態をそれぞれ示している。
【図10】本実施形態に係るリッド開閉操作装置のばね片のたわみと回転付勢力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0049】
10:本体、11:底壁、12:前壁、12a:段部、13:後壁、14:側壁、15:凹部、16:軸受、17:開口、17a:開口端縁、18:ばね片、19:自由端、
20:切欠孔、21:第1の係止脚、21a:第1係止部、22:第2の係止脚、22a:第2係止部、23:上段壁、23a:ストッパ、24:下段壁、25:被覆壁、26:フランジ、27:支持溝
30:操作ハンドル、31:操作板、32:支軸、33:フック部、34:ばね片当接部、35:操作部、36:当接部
100:リッド、101:取付口
200:収容空間、201:開口部、202:係止口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間の開口部を開閉するリッドの開閉操作装置において、
前記リッドに装着される本体と、
この本体に回動自在に軸支される操作ハンドルと、を備え、
前記本体に、壁面から延出し中間部で湾曲して延びる片持ち形状のばね片を一体形成し、
前記操作ハンドルは、前記リッドが前記収納空間の開口部を閉塞する状態で当該開口部周縁に設けた係止部と係合して当該リッドにより開口部の閉塞状態を保持するフック部と、支軸を中心に一方向へ回動操作して前記フック部の前記係止部に対する係合状態を解除するための操作部と、前記ばね片が当接し、前記操作部に作用する一方向への回動操作力とは反対向きの回動付勢力を当該ばね片から受けるばね片当接部と、を有することを特徴とするリッド開閉操作装置。
【請求項2】
前記ばね片は、中間部がU字状に湾曲形成してあることを特徴とするリッド開閉操作装置。
【請求項3】
前記本体の壁面には、前記ばね片が自由端から入り込む切欠孔が形成してあることを特徴とする請求項1又は2のリッド開閉操作装置。
【請求項4】
前記操作ハンドルに形成したばね片当接部は、前記ばね片における前記切欠孔へ入り込んだ部分よりも基端部寄りの部位に当接することを特徴とする請求項3のリッド開閉操作装置。
【請求項5】
前記本体は、対向位置にある前壁及び後壁と、これら各壁の両端間をそれぞれ繋ぐ両側壁と、底部を形成する底壁とに囲まれた凹部を有し、前記両側壁にそれぞれ軸受が形成してあり、更に前記前壁から底壁にかけては略中央部に開口を形成しており、
前記操作ハンドルは、操作板と、この操作板の両側縁からそれぞれ支軸が延出し、これら支軸が前記軸受に軸支されており、更に当該操作板の前端縁中央部から前記フック部が延出し、当該フック部が前記本体の凹部から前記開口を透して外部へ突き出す構成となっており、
更に、前記本体における前記前壁の開口と両側端縁との間で、当該開口を中心とする対称位置に前記ばね片が形成してあり、
前記操作ハンドルのばね片当接部は、前記操作板の前端縁であって前記ばね片が当接する部位に形成してあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のリッド開閉操作装置。
【請求項6】
前記本体の凹部から前記開口を透して外部へ突き出すフック部が、前記収納空間の開口部周縁に設けた係止部との係合を解除する回動位置にあるとき、当該フック部の少なくとも引掛けエッジ部分を両側方から覆う被覆壁を、前記開口の縁部から外方へ突き出して前記本体に形成したことを特徴とする請求項5のリッド開閉操作装置。
【請求項7】
前記本体は、前記凹部の開口縁にフランジが形成してあり、
且つ、前記本体の前壁は、中間に段部が形成され、前記フランジから当該段部にかけてを上段壁とし、且つ前記段部から一段下がった部位が、前記後壁との間隔が前記上段壁よりも短い下段壁となっており、
前記前壁には、前記フランジとの間に第1係止部を構成する第1の係止脚が外方へ突き出して形成してあり、
前記後壁には、前記フランジとの間に溝状の第2係止部を構成する第2の係止脚が外方へ突き出して形成してあり、
前記リッドには、前記本体を装着する取付口が形成されており、
前記被覆壁を前記取付口に入れてから、前記本体の下段壁を前記取付口の一端縁に接触させ、この接触部分を支点として前記本体を回動させて前記取付口の他端縁に前記第2係止部を合わせるとともに、前記本体をスライドさせて前記取付口の他端縁へ前記第2係止部を係合させ、さらに当該第2係止部を支点として前記本体を回動させることにより前記上段壁を前記取付口内へ嵌め込み、且つ前記第1係止部を前記取付口の一端縁に係合させることで、前記本体が前記取付口に装着される構成となっていることを特徴とする請求項6のリッド開閉操作装置。
【請求項8】
前記被覆壁は、前記下段壁の表面よりも突出しており、この被覆壁と前記段部における下段壁から上段壁への立ち上がり部分の壁との間に、前記リッドの取付口の一端縁を差し込む支持溝を形成していることを特徴とする請求項7のリッド開閉操作装置。
【請求項9】
前記上段壁は、両側部が切り欠かれており、
前記第1の係止脚は、前記下段壁の表面から延出し、前記上段壁の両側方に延在するように形成してあることを特徴とする請求項7又は8のリッド開閉操作装置。
【請求項10】
前記上段壁の両側部内側縁部を前記操作ハンドルのストッパとし、
前記操作ハンドルには、前記フック部を前記収納空間の係止部から係合解除する方向への回動操作終端位置で、前記ストッパに当接しそれ以上の回動を阻止する当接部が形成してあることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載のリッド開閉操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−6977(P2009−6977A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172724(P2007−172724)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】