説明

リポキシゲナーゼ阻害剤の組成物

約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を含む医薬組成物が提供される。より詳細には、約50nm〜約5ミクロンの有効平均粒度を有する5−リポキシゲナーゼ阻害剤化合物粒子の医薬組成物が提供される。この医薬組成物は、5−リポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子が約5〜約200mg/mlの濃度で存在する水性懸濁液の形態である。加えて、こうした医薬組成物の製造方法も提供される。特に、医薬組成物を製造するために、少なくとも1種の界面活性剤の存在下で行われる微量沈降および直接均質化が開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、米国仮出願第60/737,005号(2006年11月15日出願)の利益を主張する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、リポキシゲナーゼ阻害剤の組成物と、その製造方法と、リポキシゲナーゼ活性および/またはロイコトリエン活性が関与する症状を処置する方法とを対象とする。特に、本発明は、5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子を治療有効濃度で含む安定な製剤と、その製造方法と、リポキシゲナーゼ活性および/またはロイコトリエン活性が関与する症状をこうした製剤で処置する方法とを対象とする。本発明の好ましい実施形態は、非経口投与、経口投与、経肺投与、点眼投与、鼻腔内投与、直腸投与、膣内投与、点耳投与、局所投与、頬粘膜投与、経皮投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、眼内投与、脳内投与、リンパ内投与、関節内投与、クモ膜下投与および腹腔内投与に有効な治療濃度でジロイトンの微小粒子を含む安定な懸濁液および安定な乾燥懸濁液と、懸濁液および乾燥懸濁液の製造方法と、リポキシゲナーゼ活性および/またはロイコトリエン活性が関与する症状を懸濁液および乾燥懸濁液で処置する方法とを対象とする。
【0003】
リポキシゲナーゼ酵素は、数ある疾患の中でも、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬(psoriases)、アレルギー性鼻炎、クーロン病、呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、アクネ、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鎌状赤血球症、急性肺障害、虚血/再潅流傷害、鼻茸および/または炎症性腸疾患といった種々の疾患に大きく関与している。したがって、リポキシゲナーゼ活性を阻害する化合物は、こうした疾患の処置および/または予防に有用である。本明細書に援用し、その一部とする特許文献1、2および3には、ある種のリポキシゲナーゼ阻害剤、特に5−リポキシゲナーゼおよび/または12−リポキシゲナーゼ阻害化合物と、5−リポキシゲナーゼおよび/または12−リポキシゲナーゼ阻害化合物の製造方法と、5−リポキシゲナーゼおよび12−リポキシゲナーゼ阻害剤の医薬製剤とが開示されている。こうしたリポキシゲナーゼ阻害剤の1つは、ジロイトンとして一般に知られている。喘息の治療剤として、固形剤形の経口投与用ジロイトン(ZYFLO(登録商標)FILMTAB(登録商標)錠剤)600mgが用いられる。
【0004】
ジロイトンは、以下の化学構造を持つ。
【0005】
【化7】

ジロイトンは、R(+)とS(−)との鏡像異性体であるラセミ混合物(約50:50)として用いることができる。ジロイトンの異性体およびリポキシゲナーゼ活性の阻害におけるその使用についても記載がある。本明細書に援用し、その一部とする特許文献4には、リポキシゲナーゼ活性の阻害に光学的に純粋な(−)−ジロイトンを用いることが開示されている。本明細書に援用し、その一部とする特許文献5には、リポキシゲナーゼ活性の阻害に光学的に純粋な(+)−ジロイトンを用いることが開示されている。
【0006】
水性製剤を非経口投与用、特に注射用製剤として治療有効濃度で調製できれば、5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤は、本来であれば普及するはずだが、5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の中には水に対して難溶性のものもあるため、これら有益な薬剤の広範な使用が妨げられている。ジロイトンは、たとえば、メタノールおよびエタノールに可溶であり、アセトニトリルにわずかに溶けるが、ヘキサンおよび水にはほとんど不溶である(25℃の水溶解性は、0.08〜0.14mg/ml)。非特許文献1(Trivedi,J.S.ら)を参照されたい。その難溶性に加えて、ジロイトンおよびN−ヒドロキシ尿素クラスのこれ以外の有望な5−リポキシゲナーゼ阻害剤は、長期にわたり室温で保管する際、水溶液中で化学的に不安定な場合がある。非特許文献2(Alvarez,FJ)を参照されたい。
【0007】
5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤が水に対して難溶性であることは、非経口投与用として少なくとも治療有効濃度でこうした薬剤を提供するにあたり大きな障害となっている。難溶性および不溶性の化合物とは、たとえば、水に対する溶解性が10mg/ml以下の化合物である。不溶性薬剤は経口投与できるものの、水不溶性の強い薬物の経口バイオアベイラビリティは、極めて限定的でばらつきがあることが多く、改良された製剤の開発が望まれている。
【0008】
難溶性または不溶性の薬物自体を修飾して非経口投与に対してより好適にする方法として、薬物の形態または分子構造を変えることが挙げられる。多くの場合、こうした方法には、いくつかの欠点がある。たとえば、薬物自体の形態を変更する場合、薬物の真の溶解性ではなく見掛けの溶解性を変えるため、薬物が物理的に不安定になる可能性がある。また、薬物自体の分子構造を修飾すれば、薬物の真の溶解性が変化するとはいえ、これには、合成加工に好適な分子部位の選択と、その合成の実施とに多大な開発時間および臨床業務とが必要となる。
【0009】
これ以外の方法として、難溶性または不溶性の薬物のビヒクルの修飾ならびに塩の生成、共溶媒/可溶化、固体キャリア系、ミセル形成、脂質小胞、油水分配および錯体化の使用が挙げられる。それでも、多く場合、こうした方法にもいくつかの欠点がある。たとえば、塩の生成では薬物のpHが変化するため、この送達方法は、薬物固有の溶解性、塩可溶性およびpKaにより制約を受ける。共溶媒を用いれば、溶媒の選択性および浸透圧の高さによりさらに制約を受ける。しかも、共溶媒により溶解性を大きく高めるには、製剤の副作用を高める可能性のある共溶媒の画分が大量に必要になる。
【0010】
それ故、リポキシゲナーゼ阻害剤を治療有効濃度で含み、非経口および/または経口で安全に投与できる5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の組成物、特に5−リポキシゲナーゼ阻害剤を治療有効濃度で含む、非経口投与用、たとえば、注射用の微小粒子組成物が求められている。さらに、安定していて、賦形剤の濃度が不必要に高いことによる有害作用を引き起こすことのない治療有効濃度を実現できる5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子の懸濁液が必要とされている。
【0011】
難溶性または不溶性の薬剤を送達するアプローチの1つは、薬物を固体粒子の懸濁液として製剤化することである。水不溶性の薬物は、微粒子またはナノ粒子の懸濁液になるように水性媒体中の粒子懸濁液として製剤化されると、安定性という大きな利点を実現できる。こうすれば、以前は水性系中で製剤化できなかった薬物を静脈内投与に好適な薬剤にすることができる。しかしながら、こうした製剤を安全かつ効果的に使用するには、粒度を正確に制御することが不可欠である。
【0012】
約15nm〜約1ミクロンの有効平均粒度を有する固体粒子の懸濁液は一般に、ナノ粒子懸濁液と呼ばれており、この粒度範囲であれば、ヒト循環系の一番細い血管も通過できるため、静脈内投与に最も好適である。こうした懸濁液は、不溶性化合物の微小粒子を含むのが一般的である。
【0013】
微小粒子の懸濁液を調製するアプローチの1つは、本明細書に援用し、その一部とする特許文献6および7に記載されている。この特許文献7には、サブミクロンサイズの有機化合物の粒子を調製する方法が開示されており、この場合、選択した水混和性溶媒中では別の水性溶媒に比べて有機化合物の溶解性が高くなる。特許文献7に記載のプロセスは通常、(i)有機化合物を選択した水混和性溶媒に溶解させて第1の溶液を生成する工程、(ii)第1の溶液と第2の溶媒を混合して化合物を沈殿させ前懸濁液を規定する(define)工程、(iii)エネルギーを前懸濁液に加えてサブミクロンサイズになり得る粒子を生成する工程を含むものである。多くの場合、有効平均粒度は約100nm〜1000nm以下からミクロンサイズの前半、概ね約2ミクロン以下にわたる。
【0014】
非経口送達用の不溶性薬物製剤を実現するさらに別の試みについては、特許文献8に開示されている。この特許文献8には、表面改質剤およびリン脂質を併用し、続いて超音波処理、均質化、粉砕、マイクロ流動化、沈殿または再結晶などの技法を用いて粒度を微細化することで不溶性薬物のサブミクロンサイズ粒子を実現することが開示されている。だが、特許文献8には、より破砕性に富んだ形状の結晶を製造するためのプロセス条件の変更については開示されていない。
【0015】
特許文献9には、非経口投与に好適な製剤微小粒子の懸濁液が開示されている。この特許文献9には、溶媒中に分散した、少なくとも1種の治療効果のある固体化合物にピストンギャップ式ホモジナイザーで高圧均質化を施す方法が記載されている。生成された粒子の平均直径は、光相関分光法(PCS)による測定によれば、10nm〜1000nmであり、個体群全体に占める5ミクロンより大きい粒子の割合は、0.1%未満(数の分布はコールターカウンターにより測定)であり、溶解物への前変換は見られない。特許文献9の実施例では、均質化前のジェットミル処理が開示されている。溶媒を用いると、生成される結晶が大きくなりすぎるため支障がある。
【0016】
非経口送達用の不溶性薬物の製剤を提供する別のアプローチは、特許文献10に開示されている。この特許文献10には、表面改質剤の存在下で不溶性薬物を湿式粉砕すると、400nm未満の有効平均粒度を有する薬物粒子が得られることが開示されている。表面改質剤については、凝集して大きな粒子になるのを防止するため、薬物粒子の表面上に十分な量で吸収させる。しかしながら、特許文献10の方法では、沈殿物を生成する溶媒を使用すると、薬学的に許容される濃度まで除去するのが極めて困難な場合があるため支障がある。
【0017】
ジロイトンなどの5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子組成物を生成すれば、薬物の薬効を高め、治療用途を広げることができる。たとえば、リポキシゲナーゼ阻害剤を治療有効濃度で含む微小粒子の懸濁液については、静脈内プッシュ注射組成物またはボーラス注射組成物など、すぐに使用できる注射用組成物に製剤化できる。さらに、後で注射前に希釈できるようにリポキシゲナーゼ阻害剤を高濃度で含む、微小粒子の懸濁液を調製することもできる。リポキシゲナーゼ阻害剤の注射用製剤は、リポキシゲナーゼ活性および/またはロイコトリエン活性が関与する様々な症状を処置する際に使用することができる。
【0018】
リポキシゲナーゼ阻害剤を治療有効濃度で含む微小粒子の懸濁液が調製されれば、凍結乾燥、噴霧乾燥および/または超臨界流体抽出など、既知の方法により固体濃縮物も調製することができる。その後、こうした固体濃縮物は、注射時に再懸濁することができる。さらに、こうした固体濃縮物を配合して錠剤、カプセル、ロゼンジ、坐剤、コーティング錠剤、カプセル、アンプル、坐剤、遅延放出型製剤、放出制御製剤、徐放性製剤、パルス放出型製剤、速放性製剤、胃保持性製剤、発砲錠、速溶性錠、経口液体製剤およびスプリンクル製剤などの単一剤形を製造することもできる。さらに、パッチ、吸入用粉末調製物、懸濁液、軟膏および乳濁液からなる群から選択される形態で固体濃縮物を調製することもできる。
【0019】
ジロイトンなどの5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子組成物は、呼吸による肺送達用のエアロゾル、局所眼内送達用の懸濁液または経鼻送達用の懸濁液として、送達用に治療有効濃度で製剤化することもできる。
【特許文献1】米国特許第4,873,259号明細書
【特許文献2】米国特許第4,992,464号明細書
【特許文献3】米国特許第5,250,565号明細書
【特許文献4】米国特許第5,629,337号明細書
【特許文献5】国際公開第94/26268号パンフレット
【特許文献6】米国特許第6,607,784号明細書
【特許文献7】米国特許第6,951,656号明細書
【特許文献8】米国特許第5,922,355号明細書
【特許文献9】米国特許第5,858,410号明細書
【特許文献10】米国特許第5,145,684号明細書
【非特許文献1】Solubility and Stability Characterization of Zileuton in a Ternary Solvent System.,European J.Pharm.Sci.,1996年,第4巻,第109〜116頁
【非特許文献2】Kinetics and Mechanism of Degradation of Zileuton,a Potent 5−Lipoxygenase Inhibitor.,Pharm.Res.,1992年,第9巻(11),第1465〜1473頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の要旨)
本発明の一態様では、リポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子の水性懸濁液を含み、この粒子が約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有する、医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明の別の態様では、医薬組成物は、リポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含み、この粒子が、約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有し、かつリポキシゲナーゼ阻害剤が、治療有効量で存在する。
【0022】
本発明の別の態様では、リポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子の水性懸濁液を含み、粒子が約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有する、医薬組成物を投与して、リポキシゲナーゼ活性および/またはロイコトリエン活性が関与する症状を患っている哺乳類を処置する方法を提供する。
【0023】
本発明の別の態様では、約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を含む医薬組成物を均質化によって製造する方法を提供する。
【0024】
本発明の別の態様では、約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を含む医薬組成物を微量沈降法によって製造する方法を提供する。
【0025】
本発明の別の態様では、約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を含む医薬組成物を微量沈降法とエネルギー付加とで製造する方法を提供する。
【0026】
本発明のさらに別の態様では、約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を含む医薬組成物を製造する方法を提供する。この方法は、リポキシゲナーゼ阻害剤化合物を水混和性溶媒に溶解させて溶液を生成することと、この溶液と別の溶媒とを混合して前懸濁液を規定することと、この前懸濁液にエネルギーを付加して約15nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を生成することとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用する場合、他に記載がない限り「a」または「an」は、1つまたは2つ以上を意味するものと解釈する。
【0028】
本発明は、複数の異なる実施形態を包含するものである。本発明の好ましい実施形態については、本開示を本発明の原理の例証とみなすとの了解の下で開示しており、例証した実施形態に本発明の広範な態様を限定することを意図するものではない。
【0029】
本発明は、リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子の懸濁液、好ましくは5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤を対象とする。こうしたリポキシゲナーゼ阻害剤については、たとえば、米国特許第4,873,259号、同第4,992,464号、同第5,250,565号、同第5,629,337号および国際公開第94/26268号に記載されいる。好ましい5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤は、式(I):
【0030】
【化8】

を有するタイプである。
【0031】
式中、Rは、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニルおよびNRからなる群から選択され、RおよびRは各々独立に、水素、C1〜C4アルキルおよびヒドロキシルから選択されるが、RおよびRは、同時にヒドロキシルではなく;
式中、Xは、酸素、硫黄、SOまたはNRであり、Rは、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコイル、アロイルおよびアルキルスルホニルからなる群から選択され;
Aは、C1〜C6アルキレンおよびC2〜C6アルキレンから選択され;
nは1〜5であり;
Yは各々独立に、水素、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、ハロ置換アルキル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C1〜C12アルコキシ、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C8チオアルキル、アリール、アリールオキシ、アロイル、C1〜C12アリールアルキル、C2〜C12アリールアルケニル、C1〜C12アリールアルコキシおよびC1〜C12アリールチオアルコキシから選択され、置換基(substitutents)は、ハロ、ニトロ、シアノ、C1〜C12アルキル、アルコキシおよびハロ置換アルキルから選択され;
Zは、酸素または硫黄であり;
Mは、水素、薬学的に許容される陽イオン、アロイルまたはC1〜C12アルコイルである。
【0032】
置換基(単数または複数)Yおよび連結基Aは、いずれかの環の任意の位置に付くことができる。
【0033】
さらなる実施形態では、5−リポキシゲナーゼ阻害剤および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤は、式(II):
【0034】
【化9】

を有するタイプであり、
式中、Rは、CもしくはCアルキルまたはNRであり、式中、RおよびRは独立に、水素およびCまたはCアルキルから選択され;Bは、CHまたはCHCHであり;Wは、酸素、硫黄または窒素である。
【0035】
本明細書では、「アルキレン」という語を、直鎖または分枝鎖のスペーサーラジカルという意味で用いており、たとえば、−CH−、−C(CH−、−CH(C)−、−CHCH−、−CHCHCH−、−C(CH−、C(CH−、CHCHCHがある。
【0036】
本明細書では、「アルケニレン」という語を直鎖または分枝鎖の不飽和スペーサーラジカルという意味で用いており、たとえば、−CH=CH−、−CH=CHCH−、CH=CHCH(CH)−、−C(CH)=CHCH−、−CHCH=CHCH−、−C(CHCH=CHC(CH−がある。
【0037】
本明細書では、「アルキル」という語を、炭素原子数1〜12個の、直鎖または分枝鎖のラジカルという意味で用いており、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルがあるが、これに限定されるものではない。
【0038】
本明細書では、「アルケニル」という語を炭素原子数2〜12個の、直鎖または分枝鎖の不飽和ラジカルという意味で用いており、たとえば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルがあるが、これに限定されるものではない。
【0039】
本明細書では、「シクロアルキル」という語を炭素数3〜8個の、環状ラジカルという意味で用いており、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルがあるが、これに限定されるものではない。
【0040】
本明細書では、「アルコキシ」という語を−OR(式中、Rはアルキルラジカル)という意味で用いており、たとえば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0041】
本明細書では、「チオアルキル」という語を−SR(式中、Rはアルキルラジカル)という意味で用いており、たとえば、チオメチル、チオエチル、チオイソプロピル、n−チオブチル、sec−チオブチル、イソチオブチルおよびtert−チオブチルがあるが、これに限定されるものではない。
【0042】
本明細書では、「アルコイル」という語を−COR10(式中、R10はアルキルラジカル)という意味で用いており、たとえば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリルおよびピバロイルがあるが、これに限定されるものではない。
【0043】
本明細書では、「カルボアルコキシ」という語を−COR11(式中、R11はアルコキシラジカル)という意味で用いており、たとえば、カルボメトキシ、カルボエトキシ、カルボイソプロポキシ、カルボブトキシ、カルボsec−ブトキシ、カルボイソブトキシおよびカルボtert−ブトキシがあるが、これに限定されるものではない。
【0044】
本明細書では、「アリール」という語を置換および未置換炭素環芳香族ラジカルならびに置換および未置換複素環(heterocylic)芳香族ラジカルという意味で用いており、この場合、置換基は、ハロ、ニトロ、シアノ、アルキル、アルコキシおよびハロ置換アルキルから選択され、たとえば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−フリルおよび3−フリルがあるが、これに限定されるものではない。
【0045】
本明細書では、「アロイル」という語を−COR12(式中、R12はアリールラジカル)という意味で用いており、たとえば、ベンゾイル、1−ナフトイルおよび2−ナフトイルがあるが、これに限定されるものではない。
【0046】
本明細書では、「アリールオキシ」という語を−OR13(式中、R13はアリールラジカル)という意味で用いており、たとえば、フェノキシ、1−ナフトキシおよび2−ナフトキシがあるが、これに限定されるものではない。
【0047】
本明細書では、「アリールアルコキシ」という語を−OR14(式中、R14はアリールアルキルラジカル)という意味で用いており、たとえば、フェニルメトキシ(すなわち、ベンジルオキシ)、4−フルオロベンジルオキシ、1−フェニルエトキシ、2−フェニルエトキシ、ジフェニルメトキシ、1−ナフチルメトキシ、2−ナプチルメトキシ、9−フルオレンオキシ、2−、3−または4−ピリジルメトキシおよび2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−キノリルメトキシがあるが、これに限定されるものではない。
【0048】
本明細書では、「アリールチオアルコキシ」という語を−SR15(式中、R15はアリールアルキルラジカル)という意味で用いており、たとえば、フェニルチオメトキシ(すなわち、チオベンジルオキシ)、4−フルオロチオベンジルオキシ、1−フェニルチオエトキシ、2−フェニルチオエトキシ、ジフェニルチオメトキシおよび1−ナフチルチオメトキシがあるが、これに限定されるものではない。
【0049】
本明細書では、「アリールアルキル」という語をアルキルラジカルに付加されたアリール基という意味で用いており、たとえば、フェニルメチル(ベンジル)、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−ナフチルエチルおよび2−ピリジルメチルがあるが、これに限定されるものではない。
【0050】
本明細書では、「アリールアルケニル」という語をアルケニルラジカルに付加されたアリール基という意味で用いており、たとえば、フェニルエテニル、3−フェニルプロパ−1−エニル、3−フェニルプロパ−2−エニルおよび1−ナフチルエテニルがあるが、これに限定されるものではない。
【0051】
本明細書では、「アルキルスルホニル」という語を−SO16(式中、R16はアルキルラジカル)という意味で用いており、たとえば、メチルスルホニル(すなわちメシチル)、エチルスルホニルおよびイソプロピルスルホニルがあるが、これに限定されるものではない。
【0052】
本明細書では、「ハロ」および「ハロゲン」という語を、元素であるフッ素、塩素、臭素またはヨウ素由来のラジカルという意味で用いる。
【0053】
「ハロ置換アルキル」という語は、1種または複数種のハロゲンで置換された上記のようなアルキルラジカルをいい、たとえば、クロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリクロロエチルなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0054】
「薬学的に許容される陽イオン」という語は、無毒性陽イオンをいい、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等などのアルカリ金属およびアルカリ土類金属をベースとした陽イオンがあるが、これに限定されるものではなく、さらに、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびエチルアミンなどの無毒性のアンモニウム陽イオン、第四級アンモニウム陽イオンおよびアミン陽イオンがあるが、これに限定されるものでもない。
【0055】
具体的なリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の1つにジロイトンがあるが、この化合物は、経口投与による喘息の処置に対して臨床で使用可能になっている。これを踏まえ、本発明の好ましいリポキシゲナーゼ阻害剤は、式(III)
【0056】
【化10】

を有するジロイトンとする。
【0057】
本明細書に記載するある種のリポキシゲナーゼ阻害剤は、1つまたは複数の不斉中心を含むため、鏡像異性体と、ジアステレオマーと、絶対立体化学では(R)−または(S)−と規定し得るこれ以外の立体異性体との形が存在することがある。本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形および中間体混合物など、そうした可能性のあるすべての異性体を含むことを意図している。光学活性(R)−異性体および(S)−異性体については、キラルシントンまたはキラル試薬を用いて調製してもよく、従来の技法を用いて分解してもよい。「異性体」は、分子式は同じだが相異なる化合物である。「立体異性体」は、原子の空間における配置の仕方だけが異なる異性体である。「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせることのできない鏡像をなす1対の立体異性体である。1対の鏡像異性体の1:1混合物が、「ラセミ」混合物である。「(±)」という記号は、ラセミ混合物を示すために必要に応じて用いる。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2個の不斉原子が存在するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学については、カーン−インゴルド−プレローグのRS表示法に従って表示する。化合物が純粋な鏡像異性体でない場合、RまたはSのどちらかによってキラル炭素それぞれの立体化学を特定することができる。絶対配置が不明の分解化合物については、ナトリウムのD線の波長で直線偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)に応じて(+)または(−)により示すことができる。本明細書に記載する化合物がオレフィン二重結合または幾何学的に非対称な他の中心を含むとき、他に記載がなり限り、その化合物は、E幾何異性体もZ幾何異性体も含むことを意図している。同様に、互変異性形態もすべて含むことを意図している。
【0058】
本明細書で使用する場合、「ジロイトン」という語は、((±)−1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素と、1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素の(S)−鏡像異性体または(−)−異性体の光学的に純粋な形(たとえば、米国特許第5,629,337号に記載)と、N−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−N−ヒドロキシ尿素(hydrxoyurea)の(R)−鏡像異性体または(+)−異性体の光学的に純粋な形(たとえば、国際公開第94/26268号に記載)と、1:99から99:1までの任意比率の前記(S)−および(R)−異性体の混合物と、現在知られているまたは今後発見されるジロイトンの多形形態とを包含する。
【0059】
一実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、((±)−1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素と、1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素の光学的に純粋な(−)−異性体と、1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素の光学的に純粋な(+)−異性体とからなる群から選択される。
【0060】
本発明は、リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子の組成物と、リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子の製造方法と、リポキシゲナーゼ活性および/またはロイコトリエン活性が関与する症状をリポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子で処置する方法とを提供する。本発明のリポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子は一般に、約50nm〜約10ミクロン、好ましくは約100nm〜約5ミクロン、一層好ましくは約100nm〜約2ミクロンの有効平均粒度を有し、粒度の測定については、光散乱(光相関分光、レーザー回折、低角レーザー光散乱(LALLS)、中角レーザー光散乱(MALLS)など)、光遮蔽(HIACカウンターなど)、電気抵抗(コールター(Coulter)法など)、レオロジー、顕微鏡検査(光学、電子または原子間力など)または密度勾配遠心または力場分別などの分別等の方法によって行われるが、これに限定されるものではない。もっとも、粒子については、約10nm〜約50ミクロン、好ましくは約20nm〜約20ミクロン、一層好ましくは約50nm〜約2ミクロンなど、様々な大きさに調製することができる。好ましい有効平均粒度は、化合物の所期の投与経路、製剤、溶解速度、物理的および化学的安定性、溶解性、毒性およびバイオアベイラビリティなどの要因によって決まる。
【0061】
不溶性化合物の微小粒子については、任意の適切な方法を用いて製造することができ、たとえば、沈殿法、粉砕および均質化などの機械的/物理的微粉砕法、リン脂質被覆法、HLB界面活性剤コーティング法、噴霧乾燥法、超臨界流体法およびホットメルト法があるが、これに限定されるものではなく、これら方法については、本明細書に援用し、その一部とする米国特許第2,745,785号、同第5,118,528号、同第4,826,689号、同第5,091,188号;同第5,091,187号、同第4,725,442号、同第5,145,684号、同第5,780,062号、同第5,858,410号、同第4,997,454号、同第6,604,698号、同第6,634,576号、同第6,682,761号、同第5,922,355号、同第6,337,092号、同第6,387,409号、同第6,177,103号、同第6,835,396号、同第6,869,617号、同第6,884,436号、再発行特許第35,338号、米国特許第5,560,932号、同第5,662,883号、同第5,665,331号、同第5,510,118号、同第5,518,187号、同第5,534,270号、同第5,718,388号、同第5,862,999号、同第5,605,785号、同第5,665,331号、米国出願公開第2002/003179号、同第2004/0164194号、同第2004/0173696号、国際出願公開第01/21154号、国際公開第00/30615号および本発明の譲受人に譲渡された同時係属の米国特許出願第09/874,499号、同第09/964,273号、同第10/035,821号、同第10/213,352号、同第10/246,802号、同第10/270,268号、同第10/270,267号、同第10/390,333号、同第10/696,384号(米国特許出願公開第2004/02567号)、同第10/806,050号、同第10/920,578号、同第10/703,395号、同第11/052276号および同第11/224,633号に開示されている。リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子を製造する好ましい方法は、米国特許第6,951,656号に開示されているような微量沈降およびエネルギー付加ならびに米国特許第5,858,410号に公開されている方法と類似の直接均質法に関する方法である。本発明の微小粒子組成物を調製するのに好ましい2つの方法の一般的な手順は、以下のとおりである。
【0062】
沈殿
このプロセスは、一般に4つのカテゴリーに分けることができる。プロセスの各カテゴリーは、(1)リポキシゲナーゼ阻害剤を水混和性有機溶媒に溶解させて第1の溶液を生成する工程、(2)リポキシゲナーゼ阻害剤を沈殿させるために第1の溶液と水を含む第2の溶液とを混合して前懸濁液を作製する工程および任意に、(3)前懸濁液に高剪断混合または熱の形でエネルギーを加えて上記で規定した所望の粒度範囲のリポキシゲナーゼ阻害剤を安定な形で得る工程を共有している。
【0063】
プロセスの4つのカテゴリーについては、たとえば、X線解析試験、示差走査熱量測定(DSC)試験またはエネルギー付加工程の前およびエネルギー付加工程の後に行われるこれ以外の好適な試験で測定される沈殿物の物理的性質に基づき区別することができる。
【0064】
第1のプロセスカテゴリー
第1のプロセスカテゴリーの方法は通常、リポキシゲナーゼ阻害剤を第1の水混和性溶媒に溶解させる工程、続いてこの溶液と水溶液とを混合して前懸濁液を生成するが、この懸濁液では、X線解析、DSC、光学もしくは電子顕微鏡観察またはこれ以外の解析技法で測定した場合、リポキシゲナーゼ阻害剤が無定形状、半結晶状または過冷却液状で存在し、リポキシゲナーゼ阻害剤の有効平均粒度が上記の有効粒度範囲の1つに収まる工程を含むものである。混合工程の後、エネルギー付加工程、本発明の好ましい形態ではアニーリング工程に進む(米国特許第6,951,656号を参照)。
【0065】
第2のプロセスカテゴリー
第2のプロセスカテゴリーの方法は本質的に、第1のプロセスカテゴリーの工程と同じ工程を含むが、以下の点が異なるものである。前懸濁液のX線解析、DSCまたはこれ以外の好適な解析から、結晶状で平均粒度が有効粒度のリポキシゲナーゼ阻害剤が認められる。エネルギー付加工程後のリポキシゲナーゼ阻害剤化合物は本質的に、有効平均粒度がエネルギー付加工程前と同じである一方、前懸濁液の粒子に比べ凝集して大きな粒子を形成しにくくなる傾向がある。理論に拘泥するわけではないが、粒子の安定性の相違は、固液界面での界面活性剤分子の再整列が原因と考えられる。
【0066】
第3のプロセスカテゴリー
第3のカテゴリー方法は、第1および第2のプロセスカテゴリーの最初の2つの工程を変更して前懸濁液のリポキシゲナーゼ阻害剤が破砕形状(細長い針および薄板など)をとり、平均粒度が有効粒度であるようにするものである。好適な溶媒、界面活性剤または界面活性剤の組み合わせ、個々の溶液温度、混合比および沈殿速度などを選択することで破砕性粒子を生成することができる。また、第1の溶液と水溶液との混合工程で格子欠陥(劈開面など)を導入して破砕性を向上させることもできる。これは、沈殿工程で生じるような急速な結晶化によって起こるものと考えられる。エネルギー付加工程では、こうした破砕性結晶を動力学的に安定化させ、有効平均粒度が前懸濁液よりも小さい結晶に変換する。動力学的に安定化するとは、動力学的に安定化していない粒子と比較して粒子が凝集しにくくなることをいう。こうした場合、エネルギー付加工程により破砕性粒子は、破壊されコーティングされる。前懸濁液の粒子を破砕しやすい状態にしておくことで、破砕形状にする工程が取られていない有機化合物を処理した場合に比べ、容易かつ迅速に有機化合物を所望の粒度範囲内にある粒子に調製することができる。
【0067】
第4のプロセスカテゴリー
第4のプロセスカテゴリーでは、第1の溶液および第2の溶媒が同時にエネルギー付加工程を経る。したがって、破砕性材料を現場で生成して、生成したら直ちに粉砕する。
【0068】
前懸濁液をキャビテーション、乱流、圧力勾配、剪断力または衝撃力にさらすのであれば、どのようなやり方でも、エネルギー付加工程を行うことができる。本発明の好ましい一形態では、エネルギー付加工程はアニーリング工程である。本発明では、エネルギーの印加(直熱または機械的応力)を1回または複数回繰り返した後、緩和を行うことで熱力学的に不安定な物質をより安定な形に変換するプロセスをアニーリングと規定する。このエネルギー低減については、固形を不規則な格子構造から規則的な格子構造に変換することで実現できる。あるいは、この安定化は、固液界面で界面活性剤分子が再整列しても生じ得るものである。
【0069】
第1のプロセスカテゴリーのほか第2、第3および第4のプロセスカテゴリーを、図1および図2にそれぞれ図示した方法Aおよび方法Bの2つのサブカテゴリーにさらに分けることができる。
【0070】
本発明による第1の溶媒は、目的の有機化合物を概ね溶解でき、第2の溶媒と混合できる溶媒または溶媒の混合物である。こうした溶媒には、分子中の水素原子が、酸素、窒素またはこれ以外の元素周期表の第VA族、第VIA族および第VIIA族などの電気陰性原子に結合する水混和性プロトン性化合物があるが、これに限定されるものではない。こうした溶媒の例として、アルコール、アミン(1級または2級)、オキシム、ヒドロキサム酸、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、リン酸、アミドおよび尿素が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0071】
さらに、第1の溶媒の例として、非プロトン性有機溶媒が挙げられる。こうした非プロトン性溶媒の一部は、水と水素結合を形成できるものの、有効なプロトン供与基を持たないため、プロトン受容体としてだけしか機能できない。非プロトン性溶媒のクラスの1つに、国際純正および応用化学連合(IUPAC Compendium of Chemical Terminology,第2版,1997年)が以下に定義する双極性非プロトン性溶媒がある。
【0072】
比誘電率(または誘電率)が約15と比較的高くて、永久双極子モーメントが大きく、強い水素結合を形成するのに適した不安定な水素原子を供与できない溶媒。ジメチルスルホキシドなどがある。
【0073】
双極性非プロトン性溶媒は、アミド(完全に置換されていて窒素に結合した水素原子がない状態)、尿素(完全に置換されいて窒素に結合した水素原子がない状態)、エーテル、環状エーテル、ニトリル、ケトン、スルホン、スルホキシド、完全に置換されたリン酸塩、ホスホネートエステル、ホスホルアミド、ニトロ化合物などからなる群から選択することができる。このクラスのメンバーでも特に、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、2−ピロリジノン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、アセトニトリルおよびヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、ニトロメタンが挙げられる。
【0074】
また、一般には水と混和しないが、低体積(10%v/v未満)では水溶性が十分にあり、そうした換算体積で第1の水混和性溶媒として機能する溶媒も選択することができる。例として、芳香族炭化水素、アルケン、アルカンならびにハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化アルケンおよびハロゲン化アルカンが挙げられる。芳香族化合物は、ベンゼン(置換または未置換)および単環式または多環式アレーンを含むが、これに限定されるものではない。置換ベンゼンの例として、キシレン(オルト、メタまたはパラ)およびトルエンが挙げられるが、これに限定されるものではない。アルカンの例として、ヘキサン、ネオペンタン、ヘプタン、イソオクタンおよびシクロヘキサンが挙げられるが、これに限定されるものではない。ハロゲン化芳香族化合物の例として、クロロベンゼン、ブロモベンゼンおよびクロロトルエンが挙げられるが、これに限定されるものではない。ハロゲン化アルカンおよびアルケンの例として、トリクロロエタン、塩化メチレン、エチレンジクロリド(EDC)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0075】
上記の溶媒クラスのすべての例として、N−メチル−2−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドン)、2−ピロリジノン(2−ピロリドン)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、カルボン酸(酢酸および乳酸など)、脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、3−ペンタノールおよびn−プロパノールなど)、ベンジルアルコール、グリセロール、ブチレングリコール(1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールおよび2,3−ブタンジオール)、エチレングリコール、プロピレングリコール、モノグリセリド、ジアシルグリセリド、ジメチルイソソルビド、アセトン、ジメチルスルホン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、アセトニトリル、ニトロメタン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル(TBME)、芳香族炭化水素、アルケン、アルカン、ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化アルケン、ハロゲン化アルカン、キシレン、トルエン、ベンゼン、置換ベンゼン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン、トリクロロエタン、塩化メチレン、エチレンジクロリド(EDC)、ヘキサン、ネオペンタン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGエステル、PEG−4、PEG−8、PEG−9、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−120、PEG−75、PEG−150、ポリエチレングリコールエステル、PEG−4ジラウレート、PEG−20ジラウレート、PEG−6イソステアレート、PEG−8パルミトステアレート、PEG−150パルミトステアレート、ポリエチレングリコールソルビタン、PEG−20ソルビタンイソステアレート、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、PEG−3ジメチルエーテル、PEG−4ジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレンアルギン酸塩、PPG−10ブタンジオール、PPG−10メチルグルコースエーテル、PPG−20メチルグルコースエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコールラウレートおよびグリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル)が挙げられる、これに限定されるものではない。
【0076】
好ましい第1の溶媒は、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)である。これ以外の好ましい第1の溶媒として、メタノールおよび乳酸がある。
【0077】
第2の溶媒は、水性溶媒である。この水性溶媒は、水そのものであってもよい。この溶媒はまた、緩衝液、塩、界面活性剤(単数または複数)、水溶性ポリマー、保存剤、抗菌剤、酸化防止剤、凍結保護物質、湿潤剤、粘度剤、張度変性剤、研和剤、吸収促進剤、浸透促進剤、pH変性剤、粘膜付着剤、着色剤、着香剤、希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、共溶媒、緩衝液およびこれらの賦形剤の組み合わせを含んでもよい。
【0078】
本発明の粒子のコーティング、本発明の粒子への付着または結合に好適な界面活性剤は、イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、高分子界面活性剤、リン脂質、生物学的に誘導された界面活性剤、アミノ酸およびこれらの誘導体または上記の界面活性剤の誘導体、組み合わせもしくはコンジュゲートから選択することができる。イオン性界面活性剤は、陰イオン性であってもよいし、陽イオン性であってもよい。界面活性剤は、組成物中に約0.01%〜10%w/v、好ましくは約0.05%〜約5%w/vの量で存在する。
【0079】
好適な陰イオン性界面活性剤には、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、ラウリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレンスルファート、アルギン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ホスファチジン酸およびその塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、胆汁酸およびその塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸およびその塩、ステアリン酸カルシウム、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジオクチルスルホスクシナート、スルホコハク酸ナトリムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびリン脂質があるが、これに限定されるものではない。
【0080】
好適な陽イオン界面活性剤には、第四級アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、キトサン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アシルカルニチンヒドロクロリド、アルキルピリジニウムハライド、セチルピリジニウムクロリド、陽イオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルファート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、第四級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルファート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルイドメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキルおよび(C12〜14)ジメチル1−ナプチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライドアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシ化アルキアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシ化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、「POLYQUAT10」(高分子第四級アンモニウム化合物の混合物)、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、ステアラルコニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、第四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、「MIRAPOL」(ポリクオタニウム−2)「Alkaquat」(Rhodia製アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド)、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第四級アクリルアミド、メチル化第四級ポリマーおよび陽イオン性グアールガム、塩化ベンザルコニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリエタノールアミンおよびポロキサミンがあるが、これに限定されるものではない。
【0081】
好適な非イオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリオキシエチレンスルファート、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、ポロクサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非結晶性セルロース、多糖類、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸トリエタノールアミン、アミンオキシド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマー、ポロクサマー、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースとの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピ−ラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド−e、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノニル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンEおよび酢酸ビニルとビニルピロリドンとのランダムコポリマーがあるが、これに限定されるものではない。
【0082】
両性イオン界面活性剤は電気的には中性だが、同一分子内に局所的に正電荷と負電荷を持つものである。好適な両性イオン界面活性剤は、両性イオン性リン脂質を含むが、これに限定されるものではない。好適なリン脂質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(ジミリストイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DSPE)およびジオレオリル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DOPE)など)がある。本発明では、陰イオン性リン脂質および両性イオン性リン脂質を含むリン脂質の混合物を用いることができる。このような混合物には、リゾリン脂質、卵もしくは大豆リン脂質またはこれらの任意の組み合わせがあるが、これに限定されるものではない。
【0083】
好適な高分子界面活性剤には、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびそのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシルエチルセルロース、セルローストリアセテート、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレンポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ塩化ビニルポリスチレンおよびポリビニルピロリドン(polyvinylpryrrolidone)があるが、これに限定されるものではない。
【0084】
生物学的に誘導された好適な界面活性剤には、リポタンパク質、ゼラチン、カゼイン、リゾチーム、アルブミン、カゼイン、ヘパリン、ヒルジンまたはこれ以外のタンパク質があるが、これに限定されるものではない。
【0085】
好ましいイオン性界面活性剤は、胆汁酸塩であり、好ましい胆汁酸塩としてデオキシコレートがある。好ましい非イオン界面活性剤は、ポリアルコキシエーテルであり、好ましいポリアルコキシエーテル(ポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマー)として、ポロクサマー188およびポロクサマー407がある。別の好ましい界面活性剤には、ペグ化脂質があり、好ましくはペグ化リン脂質である。
【0086】
本発明の好ましい実施形態では、pH調整剤をさらに含む水性媒体中に粒子を懸濁させる。好適なpH調整剤には、水酸化ナトリウム、塩酸、トリス緩衝液、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびこれらの塩、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、グリセロール−1−リン酸塩、グリセロール(glycercol)−2−リン酸塩、アセテート、乳酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノ糖類、モノアルキル化アミン、ジアルキル化アミン、トリアルキル化アミン、メグルミン(N−メチルグルコサミン)およびアミノ酸があるが、これに限定されるものではない。
【0087】
水性媒体は、浸透圧調整剤をさらに含んでもよく、たとえば、グリセリン、無機塩類、デキストロースなどの単糖、スクロース、トレハロースおよびマルトースなどの二糖類、ラフィノースなどの三糖類ならびにマンニトールおよびソルビトールなどの糖アルコールがあるが、これに限定されるものではない。
【0088】
方法A
方法Aでは、まず、リポキシゲナーゼ阻害剤を第1の溶媒に溶解させて第1の溶液を生成する。リポキシゲナーゼ阻害剤については、第1の溶媒、好ましくはメタノールまたはN−メチル−2−ピロリジノンに対するリポキシゲナーゼ阻害剤の溶解性に応じて体積に対して約0.01%〜約90%重量(w/v)で加えることができる。一実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤を約0.01〜約50%(w/v)で加える。別の実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤を約0.01〜約20%(w/v)で加える。リポキシゲナーゼ阻害剤全体を第1の溶媒に溶解させるには、約30℃〜約100℃で加熱する必要があるかもしれない。
【0089】
第2の水溶液には、1種または複数種の界面活性剤を加える。界面活性剤(単数または複数)を、イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、高分子界面活性剤、リン脂質、生物学的に誘導された界面活性剤、アミノ酸界面活性剤、アミノ酸界面活性剤の誘導体または上記の界面活性剤の誘導体、組み合わせもしくはコンジュゲートから選択することができる。
【0090】
好ましいイオン性界面活性剤は、胆汁酸塩であり、好ましい胆汁酸塩として、デオキシコレートがある。好ましい非イオン界面活性剤は、ポリアルコキシエーテルおよびポリオキシエチレンである。好ましいポリアルコキシエーテル(ポリハチジルオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマー)は、ポロクサマー188およびポロクサマー407であり、好ましいポリオキシエチレンは、Tween80などのポリソルベートおよびSolutolなどのPEG脂肪酸エステルである。別の好ましい界面活性剤として、ペグ化脂質があり、好ましくはmPEG−DSPE2000などのペグ化リン脂質である。別の好ましいリン脂質には、精製卵レシチンの混合物、Lipoid E80(Lipoid LLC製)がある。2種以上の界面活性剤を用いることができる。好ましい界面活性剤の組み合わせは、ポロクサマー188/デオキシコレート、ポロクサマー188/mPEG−DSPE(2000)、Lipoid 80/mPEG−DSPE(2000)、Tween80/ポロクサマー188、ホスファチジルグリセロール/ポロクサマー188およびホスファチジルグリセロール/ホスファチジン酸である。
【0091】
本発明の好ましい実施形態では、第2の水溶液は、pH調整剤をさらに含むものである。好適なpH調整剤には、水酸化ナトリウム、塩酸、トリス緩衝液、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびこれらの塩、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、グリセロール−1−リン酸塩、グリセロール(glycercol)−2−リン酸塩、アセテート、乳酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノ糖類、モノアルキル化アミン、ジアルキル化アミン、トリアルキル化アミン、メグルミン(N−メチルグルコサミン)、スクシナート、ベンゾアート、タルトラート、カルボナートおよびアミノ酸があるが、これに限定されるものではない。
【0092】
第2の水溶液は、好ましくは浸透圧調整剤を含むものであり、たとえば、グリセリン、無機塩類、デキストロースなどの単糖類、スクロース、トレハロースおよびマルトースなどの二糖類、ラフィノースなどの三糖類ならびにマンニトールおよびソルビトールなどの糖アルコールがあるが、これに限定されるものではない。
【0093】
次に、第1および第2の溶液を混合する。好ましくは、速度を調節して第1の溶液を第2の溶液に加える。添加速度は、バッチサイズおよびリポキシゲナーゼ阻害剤の沈殿カイネティックスによって決まる。実験室での小規模なプロセス(1リットルの調製)の場合、添加速度は、約0.05cc毎分〜約50cc毎分が一般的である。添加中は、溶液を常時撹拌すべきである。非晶質粒子、半結晶性固体または過冷却液体が形成され前懸濁液が生成されることが、光学顕微鏡検査によって明らかになっている。この方法は、アニーリング工程を前懸濁液に施して非晶質粒子、過冷却液体または半結晶性固体をより安定した結晶質の固体状態に変換する工程をさらに含むものである。得られた粒子の有効平均粒度は上記の範囲に収まるものであり、その測定には、光散乱法(光相関分光法、レーザー回折、低角レーザー光散乱(LALLS)、中角レーザー光散乱(MALLS)など)、光遮蔽方法(HIAC方法など)、電気抵抗法(コールターカウンターなど)、レオロジー、顕微鏡検査(光学、電子または原子間力)または分別法などの方法があるが、これに限定されるものではない。
【0094】
エネルギー付加工程は、超音波処理、均質化、向流式均質化(ノースカロライナ州のBEE Incorporatedから市販されているMini DeBEE 2000ホモジナイザーでは、流体の噴射を第1の流路方向に向けてから、第1の流路に構造物を置いて新流路に沿った制御流路に流体の方向を変えて、流体の乳化または混合を行う)、マイクロ流動化または衝撃、剪断、乱流、圧力勾配もしくはキャビテーション力を与えるこれ以外の方法によりエネルギーを付加することを含むものである。この段階では、サンプルを冷却しても、加熱しても構わない。本発明の好ましい一形態では、アニーリング工程を均質化によって行う。本発明の別の好ましい形態では、アニーリングを超音波処理によって行うことができる。本発明のなお別の好ましい形態では、アニーリングを本明細書に援用し、その一部とする米国特許第5,720,551号に記載されているような乳化機器を用いて行うことができる。
【0095】
アニーリングの速度に応じて、処理したサンプルの温度を約0℃〜30℃の範囲内に調節することが望ましい場合もある。あるいは、処理した固体に所望の相変化を起こさせるには、アニーリング工程中に前懸濁液の温度を約−80℃〜約100℃の範囲内に調整することが必要な場合もある。
【0096】
方法B
方法Bは、以下の点で方法Aと異なるものである。主な相違は、界面活性剤または界面活性剤の組み合わせを第1の溶液に加えることにある。界面活性剤(単数または複数)は、イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、高分子界面活性剤、リン脂質、生物学的に誘導された界面活性剤、アミノ酸界面活性剤、アミノ酸界面活性剤の誘導体および上述したものの誘導体、組み合わせまたはコンジュゲートから選択することができる。
【0097】
リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子を調製する好ましい方法は、(i)第1の水混和性溶媒または第2の溶媒あるいは第1の水混和性溶媒および第2の溶媒の両方に、表面改質剤、あるいは、少なくとも1つがポリオキシアルキルエーテル(ポロクサマー188など)または水溶性ポリマーもしくは親水性ポリマーとコンジュゲートされたリン脂質を含む改質剤の組み合わせを混入することと、(ii)リポキシゲナーゼ阻害剤を第1の水混和性溶媒に溶解させて溶液を生成することと、(iii)この溶液と第2の溶媒とを混合して粒子の前懸濁液を規定することと、(iv)この前懸濁液を均質化して有効平均粒度が約2ミクロン以下の粒子の懸濁液を生成することと、からなるものである。
【0098】
好ましい第1の水混和性溶媒は、N−メチル−2−ピロリジノンまたはメタノールである。
【0099】
使用可能なリン脂質は、天然であってもよいし、合成であってもよい。好適なリン脂質(phohospholipds)の例として、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシル−グリセロ−ホスホエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾリン脂質、卵もしくは大豆リン脂質またはこれらの組み合わせがあるが、これに限定されるものではない。ジアシル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(phosphethanolamine)は、ジミリストイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイル−グリセロ−ホスホ(phosph)−エタノールアミン(oethanolamine)(DSPE)、ジオレオリル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DOPE)または同種のものから選択することができる。
【0100】
好ましい実施形態では、リン脂質にコンジュゲートされた水溶性ポリマーまたは親水性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)であり、たとえば、PEG 350、PEG 550、PEG 750、PEG 1000、PEG 2000、PEG 3000およびPEG 5000があるが、これに限定されるものではない。また、デキストラン、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリグルタマートなど、これ以外の親水性ポリマーのコンジュゲートも用いることができる。
【0101】
任意に、第2の表面改質剤を、第1の水混和性溶媒または第2の溶媒あるいは第1の水混和性溶媒および第2の溶媒の両方に混入してもよい。粒子をさらに安定化させるために、第2の表面改質剤が必要な場合がある。第2の表面改質剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、高分子界面活性剤および上記のような生物学的な表面改質剤から選択することができる。好ましい第2の表面改質剤は、ポロクサマー188などのポロクサマーである。
【0102】
界面活性剤を2種以上用いてもよい。好ましい界面活性剤の組み合わせは、ポロクサマー188/デオキシコレート、ポロクサマー188/mPEG−DSPE(2000)、Lipoid 80/mPEG−DSPE(2000)、Tween80/ポロクサマー188、ホスファチジルグリセロール/ポロクサマー188およびホスファチジルグリセロール/ホスファチジン酸である。
【0103】
製造する粒度も、均質化を行う温度によって管理することができる。一実施形態では、約40℃または約70℃など、約30℃以上で均質化を行う。
【0104】
本発明に記載のプロセスの適用による薬物懸濁液をすぐに使用できる投与液として直接投与してもよいが、溶液滅菌の適切な手段を講じることが条件となる。一実施形態では、沈殿後に溶媒を除去することで、無溶媒の微小粒子の懸濁液を製造することができる。これは、遠心分離、透析、ダイアフィルトレーション、力場分別、高圧濾過またはこれ以外の当該技術分野において公知の分離技法によって行うことができる。有機溶媒の除去は、遠心分離を1〜3サイクル連続的に行い、遠心分離を行うごとに上清をデカントして捨てるのが一般的である。有機溶媒を含まない得られたばかりの懸濁液ビヒクルを残りの固体に加えて、この混合物を均質化によって分散させる。当業者であれば、これ以外の高剪断混合技法をこの再構成工程に応用できることを理解するであろう。好ましい実施形態では、同時係属であり、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2004/0256749A1号に詳述されているように、第1の水混和性溶媒を均質化と同時に除去する。
【0105】
任意に、沈殿後に溶媒を除去して無溶媒懸濁液を生成してもよい。これは、遠心分離、透析、ダイアフィルトレーション、力場分別、高圧濾過またはこれ以外の当該技術分野において公知の分離技法によって行うことができる。有機溶媒の除去は、遠心分離を1〜3サイクル連続的に行い、遠心分離を行うごとに上清をデカントして捨てるのが一般的である。有機溶媒を含まない得られたばかりの懸濁液ビヒクルを残りの固体に加えて、この混合物を均質化によって分散させる。当業者であれば、これ以外の高剪断混合技法をこの再構成工程に応用できることを理解するであろう。
【0106】
また、界面活性剤などの望ましくない賦形剤があれば、前の段落に記載の分離法を用いてより望ましい賦形剤に置き換えることもできる。溶媒および第1の賦形剤については、遠心分離または濾過の後に上清と一緒に捨てても構わない。次いで、溶媒および第1の賦形剤を含まない得られたばかりの懸濁液ビヒクルを加えることができる。あるいは、新しい界面活性剤を加えてもよい。たとえば、遠心分離および上清除去の後に、薬物と、N−メチル−2−ピロリジノン(溶媒)と、ポロクサマー188(第1の賦形剤)と、ナトリウムデオキシコレートと、グリセロールと、水とからなる懸濁液をリン脂質(新しい界面活性剤)、グリセロールおよび水に置き換えることができる。
【0107】
直接均質化による微小粒子の懸濁液
直接均質化により微小粒子の懸濁液を調製するには、不溶性リポキシゲナーゼ阻害剤化合物を水溶液に加えて前懸濁液を生成する。次いで、この前懸濁液を所望の粒度が得られるまで均質化する。もちろん、当業者であれば理解するように、粒度が無制限に減少し続けることはない。
【0108】
好ましい装置には、ピストンギャップ式ホモジナイザーがある。ピストンギャップ式ホモジナイザーは、食料生産で広く使用されている。均質化の過程で、物質、ほとんどの場合は、乳濁液または懸濁液を加圧してから、狭いギャップに通して押し出す。ギャップ内が高速になることでキャビテーションの起こる圧力点が低下する。ギャップを出ると、気泡は高圧環境に触れて勢いよく破砕または内破し、懸濁液または乳濁液中の粒子または液滴の破壊をもたらす。これ以外に破壊の原因になると考えられるホモジナイザーの力として、乱流、剪断および衝撃力が挙げられる。ホモジナイザーのギャップは、約25ミクロンなどと極めて狭いため、薬物の前懸濁液は、粒度が約25ミクロンの出発材料を用いて製造されることが好ましい。BEE International,Inc.(米国マサチューセッツ州サウスイーストン(South Easton))製のホモジナイザーなど、他の均質化装置を用いることもできる。
【0109】
好ましくは、水性前懸濁液は、少なくとも1種の界面活性剤を含むものである。好適な界面活性剤は、イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、高分子界面活性剤、リン脂質、生物学的に誘導された界面活性剤またはアミノ酸界面活性剤およびこれらの誘導体から選択することができる。イオン性界面活性剤は、陰イオン性であってもよいし、陽イオン性であってもよい。界面活性剤は、約0.01%〜10%w/v、好ましくは約0.05%〜約3%w/vの量で前懸濁液に存在する。界面活性剤および好ましい界面活性剤の全リストは、上記の微量沈降法で示したものと同じである。
【0110】
また、この水性媒体は、pH調整剤をさらに含むことが好ましい。好適なpH調整剤には、水酸化ナトリウム、塩酸、トリス緩衝液、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびこれらの塩、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、グリセロール−1−リン酸塩、グリセロール(glycercol)−2−リン酸塩、アセテート、乳酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノ糖類、モノアルキル化アミン、ジアルキル化アミン、トリアルキル化アミン、メグルミン(N−メチルグルコサミン)およびアミノ酸があるが、これに限定されるものではない。好ましいpH調整剤は、トリス、シトラートおよびリン酸緩衝液から選択される。
【0111】
水性媒体は、浸透圧調整剤をさらに含んでもよく、たとえば、グリセリン、無機塩類、デキストロースなどの単糖類、スクロース、トレハロースおよびマルトースなどの二糖類、ラフィノースなどの三糖類ならびにマンニトールおよびソルビトールなどの糖アルコールがあるが、これに限定されるものではない。好ましい浸透圧調整剤は、グリセリン、スクロースおよびトレハロースである。
【0112】
リポキシゲナーゼ阻害剤を加えるのは、pH調整剤および/または浸透圧調整剤の添加前でも、添加後であってもよい。任意に、ホモジナイザーで処理する前にリポキシゲナーゼ阻害剤をジェットミル処理してもよい。次いで、前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーで処理する。代表的なピストンギャップ式ホモジナイザーには、Emulsiflex(R)シリーズのピストンギャップ式ホモジナイザーなど、Avestin Inc.製のものがある。ホモジナイザーを通るパス数は、1〜約2000に及ぶこともある。
【0113】
微量沈降あるいは直接均質化法に続き、懸濁液の液相を除去して微小粒子の乾燥粉末を生成することができる。これは、たとえば、凍結乾燥、噴霧乾燥および超臨界流体抽出など、複数の方法で行うことができる。好ましい方法は、凍結乾燥(フリーズドライ)により再構成用の凍結乾燥懸濁液を投与に好適な懸濁液にするものである。安定化(stablized)乾燥固体を調製するには、ポリビニルピロリドン(PVP)、マンニトール、ソルビトール、スクロース、デンプン、ラクトース、トレハロースまたはラフィノースなどの凍結保護物質および/または充填剤を単独あるいは組み合わせて凍結乾燥前に加えてもよい。好ましい凍結保護物質はPVPであり、これを凍結乾燥前に約0.05〜約1.0%(w/v)、一層好ましくは約0.2〜約0.5%(w/v)で加える。
【0114】
粒子の乾燥粉末をそのまま医療サービス機関に提供してもよく、そうした機関で、適切な希釈液、特に非経口投与、経口投与、点眼投与、鼻腔内投与または頬粘膜投与に好適な希釈液などに再懸濁することができる。乾燥粉末については、肺経路で被検体に投与してもよい。乾燥粉末を種々の経路で被検体に投与できるように処理してもよく、たとえば、非経口投与(静脈内、筋肉内および皮下など)、経口投与、経肺投与、点耳投与、局所投与、点眼投与、鼻腔内投与、頬粘膜投与、直腸投与、膣内投与、脳内投与、眼内投与、皮内投与、リンパ内投与、関節内投与、クモ膜下投与、腹腔内投与および経皮投与があるが、これに限定されるものではない。
【0115】
さらに、乾燥粉末を再懸濁してすぐに使用できる製剤を製造してから、これを医療サービス機関に提供することができる。すぐに使用できる投与製剤については、直接投与できるように、あるいは、医療サービス機関がさらに希釈できるように高濃度製剤として調製できる。好ましい実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子を濃度約0.1〜約500mg/ml、一層好ましくは濃度約1〜約100mg/ml、最も好ましくは濃度約10〜約50mg/mlで水溶液に懸濁させる。
【0116】
特定の状況において、リポキシゲナーゼ阻害剤化合物の中には懸濁液状の水溶液中で化学的に不安定なものもあるため、水性懸濁液を提供するよりも凍結乾燥懸濁液を提供する方がより望ましいこともある。これは、長期の輸送または気温変動の激しい地域での保存など、懸濁液が厳しい状況にさらされる場合は特にそうである。
【0117】
別の好ましい実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子は、物理的に安定しており、すなわち、ストレスのある状況下あるいは保存時に凝集することがない。粒子のストレス試験法については、当該技術分野において公知である。「Novel Injecatable Formulations of Insoluble Drugs」,PaceらPharm Tech,1999年3月,第116〜134頁には、代表的なストレス試験法が詳述されている。ストレス状況の例として、熱サイクル、凍結融解サイクルの繰り返し、撹拌および遠心分離があるが、これに限定されるものではない。実施例のデータによれば、凍結融解サイクル、撹拌および遠心分離を施した後もリポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子は安定状態が続いた。さらに、試験の結果、凍結温度ばかりでなく室温で短期間保存しても微小粒子の懸濁液は物理的な安定状態が続くことが示された。
【0118】
別の好ましい実施形態では、本発明の微小粒子の組成物を凍結状に調製する。凍結状であれば保存可能な期間が長くなり、その後、投与前に解凍することができる。
【0119】
別の好ましい実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤の微小粒子を少なくとも約30mg/mlの濃度で水溶液に懸濁させて、投与後にピーク血漿濃度に達する時間が約8時間未満、一層好ましくは約4時間以内、最も好ましくは約2時間以内になるように、インビボでの注入後の薬物放出を迅速なものにする。
【0120】
滅菌については、多くの方法で行うことができる。医薬組成物を滅菌する方法には、濾過、加熱滅菌、高圧滅菌および照射があるが、これに限定されるものではない。滅菌の加熱源および加圧源として機能するホモジナイザー内の加熱によって、加熱滅菌を行ってもよい。さらに処理を行うには、無菌操作の手順が必要となる。懸濁液製剤の高圧滅菌については、本明細書に援用する、2004年9月22日に出願され本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/946,885号(米国特許出願公開第2005/0135963号)に開示された方法に従って実施することができる。さらに、このプロセスストリームに無菌で添加可能な無菌出発材料を用いて、無菌組成物を調製することもできる。
【0121】
沈殿法では、前懸濁液を生成する混合を行う前に、薬物濃縮物(薬物、溶媒および任意の界面活性剤)および希釈媒体(水ならびに任意の緩衝液および界面活性剤)を個々に滅菌することができる。滅菌法は、一連のフィルターによる前濾過、これに続く適切な滅菌法を含むものである。たとえば、滅菌法の1つは、3.0ミクロンのフィルターによる前濾過後、0.45ミクロンの粒子フィルターによる濾過を行ってから、蒸気もしくは加熱滅菌または0.2ミクロンの2重膜フィルターにより無菌濾過する工程を含む。均質化および任意の溶媒除去などプロセスの残りの工程については、無菌の作業条件で行わなければならない。上述の微量沈降/均質化の方法を使用すれば、無菌濾過後に無菌操作の手順を用いることができるため、蒸気または加熱滅菌を完全に省ける可能性がある。
【0122】
加熱滅菌および照射によれば、使用する調製法に関わらず、微小粒子の前懸濁液、最終懸濁液または乾燥粉末形態を滅菌することができる。
【0123】
上記の微量沈降法に加えて、当該技術分野で知られている、活性剤の粒子(一層好ましくは微小粒子)を調製する任意の他の沈殿法を本発明と一緒に用いることもできる。
【0124】
本明細書に記載する医薬組成物については、複数の投与経路で投与することができ、投与経路として、非経口、経口、経肺、点眼、鼻腔内、直腸、膣内、点耳、局所、頬粘膜、経皮、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、眼内、脳内、リンパ内、関節内、クモ膜下および腹腔内があるが、これに限定されるものではない。当業者であれば、投与経路ならびに投与する組成物の用量を過度の実験を行うことなく標準的な用量反応試験を併用して判断することができる。そうした判断をなす際に考慮すべき重要な条件として、処置条件(単数または複数)、投与する組成物の選択、年齢、体重ならびに個々の患者の反応および患者の症状の重症度が挙げられる。
【0125】
本明細書に記載する医薬組成物は、任意に1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。こうした薬学的に許容される賦形剤は、当該技術分野において公知であり、たとえば、塩、界面活性剤(単数または複数)、水溶性ポリマー、保存剤、抗菌剤、酸化防止剤、凍結保護物質、湿潤剤、粘度剤、張度変性剤、研和剤、吸収促進剤、浸透促進剤、pH変性剤、粘膜付着剤、着色剤、着香剤、希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、共溶媒、緩衝液およびこれらの賦形剤の組み合わせが挙げられる。
【0126】
本発明の医薬組成物内に含まれる賦形剤については、治療用途の組成物の予想される投与経路に基づき選択する。したがって、経口投与、経舌投与、舌下投与、頬粘膜投与および口内投与用に設計した組成物に関しては、当該技術分野において公知の手段、たとえば、不活性希釈剤または食用キャリアにより過度の実験を行うことなく製造することができる。組成物をゼラチンカプセルに封入してもよいし、錠剤に圧縮してもよい。経口治療投与では、本発明の医薬組成物を賦形剤と一緒に組み込み、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、オブラート、チューインガムなどの形態で用いることができる。
【0127】
また、錠剤、ピルおよびカプセルなどの固形剤形は、1種または複数種の結合剤、充填薬、懸濁化剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、保存剤、緩衝液、湿潤剤、錠剤分解物質、発泡剤およびこれ以外の賦形剤を含んでも構わない。こうした賦形剤は、当該技術分野において公知である。充填薬の例として、ラクトース一水和物、無水ラクトースおよび種々のデンプンが挙げられる。結合剤の例としては、種々のセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、微結晶性セルロースおよびケイ化微結晶性セルロース(SMCC)が挙げられる。圧縮対象の粉末の流動性に作用する薬剤など、好適な滑沢剤には、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびシリカゲルがある。甘味料の例として、スクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテームおよびアセサルフェームK(accsulfame K)といった任意の天然または人工甘味料が挙げられる。着香剤の例には、バブルガム風味、果実風味などがある。保存剤の例として、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのp−ヒドロキシ安息香酸のその他のエステル、エチルアルコールもしくはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール系化合物または塩化ベンザルコニウムなどの第四級化合物が挙げられる。好適な希釈剤には、微結晶性セルロース、ラクトース、第二リン酸カルシウム、糖類および/または前述のいずれかの混合物などの薬学的に許容される不活性増量剤がある。希釈剤の例として、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物などのラクトース、無水ラクトース、第二リン酸カルシウム、マンニトール、デンプン、ソルビトール、スクロースおよびグルコースが挙げられる。好適な錠剤分解物質には、コーンスターチ、ポテトスターチ、トウモロコシデンプンおよび加工デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(crosspovidone)、デンプングリコール酸ナトリウムおよびこれらの混合物がある。発泡剤の例として、有機酸および炭酸塩または炭酸水素塩などの発泡性カップルが挙げられる。好適な有機酸には、たとえば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸およびアルギン酸ならびにこれら酸の無水物および酸性塩がある。好適な炭酸塩および炭酸水素塩には、たとえば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸グリシンナトリウム、炭酸L−リジンおよび炭酸アルギニンがある。あるいは、発泡性カップルの酸成分しか存在しなくても構わない。
【0128】
コーティングとして、あるいは、投薬ユニットの物理的形状を改変する目的で、これ以外の種々の材料が存在しても構わない。たとえば、錠剤をセラック、糖またはこの両方でコーティングすることができる。シロップまたはエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤などのスクロース、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素ならびにサクランボ風味またはオレンジ風味などの香味料等を含んでもよい。
【0129】
本発明は、組成物を哺乳類に治療有効量で経鼻投与することを含むものである。本明細書で使用する場合、経鼻投与または鼻腔内投与には、組成物を患者の鼻道または鼻腔の粘膜に投与することが含まれる。本明細書で使用する場合、鼻腔内投与用の医薬組成物は、たとえば、鼻腔スプレー、点鼻液、懸濁液、ゲル、軟膏、クリームまたは粉末として投与されるよう、既知の方法で調製された組成物である。組成物の投与については、鼻タンポンまたは鼻スポンジを用いて行うこともできる。
【0130】
局所投与の場合、好適な製剤は、生体適合性油、ワックス、ゲル、粉末、ポリマーまたはこれ以外の液体もしくは固体キャリアを含んでもよい。こうした製剤については、患部組織に直接適用することで投与が可能であり、たとえば、被検体の眼に結膜組織の感染症を処置する液体製剤を点眼したり、傷口にクリーム製剤を塗布したりできる。
【0131】
たとえば、静脈内注射、筋肉内注射、髄腔内注入または皮下注射などにより、本発明の組成物を非経口投与してもよい。非経口投与は、本発明の組成物を溶液または懸濁液に加えることで行うことができる。また、こうした溶液または懸濁液は、注射用蒸留水などの無菌希釈液、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはこれ以外の合成溶媒を含んでも構わない。さらに、非経口製剤は、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌薬、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤およびEDTAなどのキレート化剤を含んでもよい。また、アセテート、シトラートまたはリン酸塩などの緩衝液および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの緊張度調整剤も加えることができる。非経口用の調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブル注射筒またはマルチドーズバイアルに入れることができる。
【0132】
直腸投与は、医薬組成物を直腸または大腸に投与することを含むものである。これは、坐剤または浣腸剤を用いて行うことができる。坐剤製剤については、当該技術分野において公知の方法で簡単に製造できる。たとえば、グリセリンを約120℃まで加熱して、医薬組成物をグリセリンに溶解させ、この加熱済みのグリセリンを混合して、その後精製水を加えてもよいが、この高温の混合物を坐剤型に流すことで坐剤製剤を調製することができる。
【0133】
経皮投与は、皮膚による組成物の経皮吸収を含むものである。経皮製剤には、パッチ、軟膏、クリーム、ゲル、軟膏(salves)などがある。
【0134】
「経肺」は、外部環境とのガス交換が主な機能である任意の部分、組織または器官に本明細書に記載する製剤を投与するのが通常の意味だが、本発明ではこの以外に、気道、特に洞に付随する組織または空洞を含むことも意図している。経肺投与の場合、エアロゾル製剤は、乾燥粉末製剤ばかりでなく活性剤、手動ポンプスプレー、噴霧器または加圧式定量吸入器を含むことを意図している。また、このタイプの好適な製剤は、封入化合物を有効なエアロゾルとして保つために帯電防止剤などの他の薬剤を含んでも構わない。
【0135】
エアロゾルを送達する薬物送達装置は、絞り弁付きの好適なエアロゾル缶を備えたものであって、記載のような医薬エアロゾル製剤とエアロゾル缶を支えて薬物送達を可能にするように構成されたアクチュエーター本体とを含むものある。薬物送達装置のエアロゾル缶には、エアロゾル缶の全容積の約15%を超えるヘッドスペースがある。経肺投与向けのポリマーについては、溶媒、界面活性剤および噴霧剤の混合物中で溶解させて、懸濁させるか、あるいは、乳化させることが多い。絞り弁で塞がれているエアロゾル缶内で混合物を加圧下で保持する。
【0136】
本明細書に記載する医薬組成物を、別々にまたは同じ製剤として1種または複数種の付加的な薬剤と同時投与してもよい。こうした付加的な薬剤には、たとえば、抗ヒスタミン剤、ベータアゴニスト(アルブテロールなど)、抗生物質、抗炎症薬(イブプロフェン、プレドニゾン(コルチコステロイド)またはペントキシフィリンなど)、抗真菌剤(アムホテリシンB、フルコナゾール、ケトコナゾール(Ketoconazol)およびイトラコナゾールなど)、ステロイド、鬱血除去剤、気管支拡張剤(bronchodialator)などがある。さらに、製剤は、貯蔵剤、可溶化剤、化学緩衝液、界面活性剤、乳化剤、色素、着臭剤および甘味料を含んでも構わない。
【0137】
本明細書に記載する医薬組成物を用いて、リポキシゲナーゼ活性および/またはロイコトリエン活性が関与する症状を患う患者を処置することができる。一実施形態では、この症状には、5−リポキシゲナーゼおよび/または12−リポキシゲナーゼ活性が関与している。別の実施形態では、この症状は、炎症症状である。
【0138】
リポキシゲナーゼ活性および/またはロイコトリエン活性が関与する症状には、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬(psoriases)、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、アクネ、アトピー性皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鎌状赤血球症、急性肺障害、虚血/再潅流傷害、鼻茸、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクーロン病など)、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、敗血症、エンドトキシンショックおよび心筋梗塞があるが、これに限定されるものではない。
【0139】
一実施形態では、リポキシゲナーゼ活性および/またはロイコトリエン(leuktoriene)活性が関与する症状は、炎症症状である。炎症症状には、虫垂炎、消化性潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、急性大腸炎、虚血性大腸炎、憩室炎、咽頭蓋炎、アカラシア、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、炎症性腸疾患(たとえば、クーロン病および潰瘍性大腸炎など)、腸炎、ホウィップル病、喘息、慢性閉塞性肺疾患、急性肺障害、イレウス(たとえば、術後イレウスなど)、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器虚血、再潅流傷害、臓器壊死、枯草熱、敗血症、敗血症、内毒素性ショック、悪液質、超高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、サルコイドーシス、敗血性流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺臓炎、珪性肺塵症、肺胞炎、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、副鼻腔炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス、疱疹、播種性菌血、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア症、アメーバ症、包虫嚢胞、熱傷、皮膚炎、皮膚筋炎、日焼け、蕁麻疹、疣贅、膨疹、血管炎(vasulitis)、脈管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、血栓性静脈炎、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、アルツハイマー病、小児脂肪便症、鬱血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳塞栓症、ギランバレー症候群、神経炎、神経痛、脊椎損傷、麻痺、ブドウ膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、バジェット病、痛風、歯周病、関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎(thyroiditis)、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植片拒絶、移植片対宿主病、I型糖尿病、強直性脊椎炎、ベルガー病、II型糖尿病、ライター症候群またはホジキン病があるが、これに限定されるものではない。
【0140】
さらなる実施形態では、炎症症状は、関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、急性肺障害、炎症性腸疾患、アレルギー、臓器虚血、再潅流傷害、鼻炎、皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、心筋虚血および成人呼吸窮迫症候群からなる群から選択される。
【0141】
以下、リポキシゲナーゼ阻害剤化合物の微小粒子の実施例およびその製造方法について説明する。実施例は、例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0142】
実施例1
以下に、直接均質化法を用いた、mPEG−DSPE、ポロクサマー188、グリセリンおよびリン酸緩衝液を含む水溶液中に3%(w/v)ジロイトンを含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0143】
グリセリンおよびリン酸ナトリウム緩衝液を蒸留水に溶解させて2.25%グリセリンおよび10mMリン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、mPEG−DSPEおよびポロクサマー188を加えて、これら界面活性剤がそれぞれ0.3%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7に調整した。ジロイトンを加えて3%(w/v)ジロイトンとして、前懸濁液を生成した。
【0144】
前懸濁液の1アリコートをピストンギャップ式ホモジナイザーで約250パスを行い分散混合させて、第2のアリコートをホモジナイザーで約800パスを行いそれぞれ微小粒子の懸濁液製剤A1およびA2を得た。サンプルの99%の平均粒度および最大粒度をレーザー光散乱(Horiba LA−920)で測定した。結果は、図3に示すとおりである。
【0145】
実施例2
以下に、直接均質化法を用いた、mPEG−DSPE、ポロクサマー188、グリセリンおよびリン酸緩衝液を含む水溶液中に3%(w/v)ジロイトンを含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0146】
グリセリンおよびリン酸ナトリウム緩衝液を蒸留水に溶解させて2.25%グリセリンおよび10mMリン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、mPEG−DSPEおよびポロクサマー188を加えて、これら界面活性剤がそれぞれ0.5%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7に調整した。ジロイトンを加えて3%(w/v)ジロイトンとして、前懸濁液を生成した。
【0147】
前懸濁液の1アリコートをピストンギャップ式ホモジナイザーで約260パスを行い分散混合させて、第2のアリコートをホモジナイザーで約600パスを行いそれぞれ微小粒子の懸濁液製剤B1およびB2を得た。サンプルの99%の平均粒度および最大粒度をレーザー光回折(Horiba LA−920)で測定した。結果は、図4に示すとおりである。
【0148】
製剤A1およびA2に種々のストレスをかけて、平均粒度について物理的安定性を判定したところ、粒子の99%の粒度が小さくなる(体積加重ベース)。最初に各製剤の1サンプルを試験し粒度の測定値をベースラインとした。各製剤の第2のサンプルに機械的撹拌(振盪)を施した。各製剤の第3のサンプルに熱サイクルを施した。各製剤の第4のサンプルに遠心分離を施した。第5のサンプルを凍結させて、その後室温で解凍した。各製剤サンプルの粒度については、レーザー光回折(Horiba LA−920)により測定し、図5および図6に示したようになった。
【0149】
図7に製剤A1の溶解結果を示す。28マイクロリットルの製剤A1を10mlのセーレンセン緩衝液と5%アルブミンとを含む37℃の測定チャンバーに注入した。注入時間を記録した。光の透過率の経時的変化をモニターした。こうした状況下でのジロイトンの微小粒子は溶解が速いが、これは、静脈内注射の際の薬物放出の速さに対応するもので、薬物は比較的速くピーク血漿濃度に達するはずである。
【0150】
図8に、量すなわち用量を増やした場合の製剤A1の溶解結果を示す。28マイクロリットル(1倍用量)、224マイクロリットル(8倍用量)、336マイクロリットル(12倍用量)および448マイクロリットル(16倍用量)の製剤A1を、10mLのセーレンセン緩衝液と5%アルブミンとの得られたばかりの別々のアリコートを含む溶解チャンバーに注入し、注入時間を記録した。透過率の経時的変化をモニターした。
【0151】
実施例3
以下に、直接均質化法を用いた、mPEG−DSPE、Lipoid E80、グリセリンおよびリン酸緩衝液を含む水溶液中に3%(w/v)ジロイトンを含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0152】
グリセリンおよびリン酸ナトリウム緩衝液を蒸留水に溶解させて2.25%グリセリンおよび10mMリン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、Lipoid E80およびmPEG−DSPEを加えて、Lipoid 80が1.5%(w/v)で、mPEG−DSPEが0.4%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7に調整した。ジロイトンを加えて3%(w/v)ジロイトンとして、前懸濁液を生成した。
【0153】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより分散混合させて微小粒子の懸濁液製剤Cを製造した。サンプルの99%の平均粒度および最大粒度をレーザー光回折(Horiba LA−920)で測定した。
【0154】
実施例4
以下に、直接均質化法を用いた、Tween80、ポロクサマー188、グリセリンおよびリン酸緩衝液を含む水溶液中に3%(w/v)ジロイトンを含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0155】
グリセリンおよびリン酸ナトリウム緩衝液を蒸留水に溶解させて2.25%グリセリンおよび10mMリン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、Tween80およびポロクサマー188を加えて、Tween80が0.25%(w/v)で、ポロクサマー188が0.5%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7に調整した。ジロイトンを加えて3%(w/v)ジロイトンとして、前懸濁液を生成した。
【0156】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより分散混合させて微小粒子の懸濁液製剤Dを製造した。サンプルの99%の平均粒度および最大粒度をレーザー光回折(Horiba LA−920)で測定した。
【0157】
さらに、製剤CおよびDに種々のストレスをかけて平均粒度についてその物理的安定性を判定したところ、粒子の99%の粒度が小さくなる(体積加重ベース)。各製剤サンプルの粒度については、レーザー光回折(Horiba LA−920)により測定し、図9および図10に示したようになった。
【0158】
実施例5
以下に、直接均質化法を用いた、mPEG−DSPE、ポロクサマー188、スクロースおよびリン酸ナトリウム緩衝液を含む水溶液中に3%ジロイトン(w/v)を含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0159】
スクロースおよびリン酸ナトリウム緩衝液を蒸留水に溶解させて9.25%スクロースおよび10mMのリン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、mPEG−DSPEおよびポロクサマー188を加えて、これら界面活性剤がそれぞれ0.5%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7に調整した。ジロイトンを加えて3%(w/v)ジロイトンとして、前懸濁液を生成した。
【0160】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより複数回パスを行い分散混合させて微小粒子の懸濁液製剤Eを製造した。
【0161】
実施例6
以下に、直接均質化法を用いた、mPEG−DSPE、ポロクサマー188、トレハロースおよびリン酸ナトリウム緩衝液を含む水溶液中に3%ジロイトン(w/v)を含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0162】
トレハロースおよびリン酸ナトリウム緩衝液を蒸留水に溶解させて9.25%トレハロースおよび10mMのリン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、mPEG−DSPEおよびポロクサマー188を加えてこれら界面活性剤がそれぞれ0.5%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7に調整した。ジロイトンを加えて3%(w/v)ジロイトンとして、前懸濁液を生成した。
【0163】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより約3時間分散混合させて微小粒子の懸濁液製剤Fを製造した。
【0164】
製剤EおよびFに上記で論じたストレス条件および手順を施した。平均粒度および99%の粒子が小さくなっている(体積加重ベース)粒度をレーザー光回折(Horiba LA−920)で測定した。結果を図11および図12に示す。
【0165】
実施例7
以下に、直接均質化法を用いた、mPEG−DSPE、ポロクサマー188、トレハロースおよびクエン酸緩衝液を含む水溶液中に3%ジロイトン(w/v)を含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0166】
トレハロース、クエン酸およびクエン酸ナトリウムを蒸留水に溶解させて9.25%(w/v)トレハロースおよび10mMのクエン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、mPEG−DSPEおよびポロクサマー188を加えてこれら界面活性剤がそれぞれ0.5%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸でpHを4に調整した。ジロイトンを加えて3%(w/v)ジロイトンとして、前懸濁液を生成した。
【0167】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより複数回分散混合させて微小粒子の懸濁液製剤Gを製造した。
【0168】
製剤Gに上記で論じたストレス条件および手順を施した。平均粒度および99%の粒子が小さなっている(体積加重ベース)粒度をレーザー光回折(Horiba LA−920)で測定した。結果を図13に示す。
【0169】
製剤Gのサンプルを5℃および25℃で12週間保管して平均粒度および99%の粒子が小さなっている(体積加重ベース)粒度をレーザー光回折(Horiba LA−920)により複数の時間間隔で測定した。結果を図14および図15に示す。
【0170】
実施例8
以下に、微量沈降法による、デオキシコール酸ナトリウム塩、ポロクサマー188、スクロースおよびリン酸緩衝液を含む水溶液中に3%(w/v)ジロイトンを含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0171】
スクロースおよびリン酸ナトリウム緩衝液を蒸留水に溶解させて9.25%(w/v)スクロースおよび10mMのリン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、デオキシコール酸ナトリウム塩およびポロクサマー188を加えてこれら界面活性剤がそれぞれ0.1%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7に調整した。ジロイトンをメタノールに溶解させて第2の溶液を調製した。次いで、2つの溶液を混ぜ合わせて沈殿させ、前懸濁液を生成した。
【0172】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより複数回パスを行い分散混合させて微小粒子の懸濁液製剤Hを製造した。
【0173】
実施例9
以下に、微量沈降法による、デオキシコール酸ナトリウム塩、ポロクサマー188、トレハロースおよびリン酸緩衝液を含む水溶液中に3%(w/v)ジロイトンを含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0174】
トレハロースおよびリン酸ナトリウム緩衝液を蒸留水に溶解させて9.25%(w/v)トレハロースおよび10mMのリン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、デオキシコール酸ナトリウム塩およびポロクサマー188を加えてこれら界面活性剤がそれぞれ0.1%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7に調整した。ジロイトンをメタノールに溶解させて第2の溶液を調製した。次いで、2つの溶液を混ぜ合わせて沈殿させ、前懸濁液を生成した。
【0175】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより複数回パスを行い微小粒子の懸濁液製剤Iを製造した。
【0176】
実施例10
以下に、n−メチルピロリジノン(NMP)を溶媒とする微量沈降法による、mPEG−DSPE、ポロクサマー188、トレハロースおよびリン酸緩衝液を含む水溶液中に3%(w/v)ジロイトンを含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0177】
トレハロースおよびリン酸ナトリウム緩衝液を蒸留水に溶解して9.25%(w/v)トレハロースおよび10mMのリン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、mPEG−DSPEおよびポロクサマー188を加えてこれら界面活性剤がそれぞれ0.5%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7.5に調整した。ジロイトンをNMPに溶解させて第2の溶液を調製した。次いで、2つの溶液を混ぜ合わせて沈殿させ、前懸濁液を生成した。
【0178】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより複数回パスを行い分散混合させて微小粒子の懸濁液製剤Jを製造した。
【0179】
実施例11
以下に、メタノールを溶媒とする微量沈降法による、mPEG−DSPE、ポロクサマー188、トレハロースおよびリン酸緩衝液を含む水溶液中に3%(w/v)ジロイトンを含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0180】
トレハロースおよびリン酸ナトリウム緩衝液を蒸留水に溶解させて9.25%(w/v)トレハロースおよび10mMのリン酸緩衝水溶液を製造した。次いで、mPEG−DSPEおよびポロクサマー188を加えてこれら界面活性剤がそれぞれ0.5%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7.5に調整した。ジロイトンをメタノールに溶解させて第2の溶液を調製した。次いで、2つの溶液を混ぜ合わせて沈殿させ、前懸濁液を生成した。
【0181】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより複数回パスを行い分散混合させて微小粒子の懸濁液製剤Kを製造した。
【0182】
製剤H、I、JおよびKのサンプル粒度については、レーザー光回折(Horiba LA−920)により測定し図16に示したようになった。さらに、製剤Kのサンプルに上記で論じたストレス条件および手順を施した。平均粒度および99%の粒子が小さなっている(体積加重ベース)粒度をレーザー光回折(Horiba LA−920)で測定した。結果は、図17に示す。
【0183】
実施例12
以下に、メタノールを溶媒とする微量沈降法による、ナトリウムデオキシコレート、ポロクサマー188、スクロースおよびポリビニルピロリドンを含む水溶液中に3%(w/v)ジロイトンを含有する微小粒子懸濁液の調製について説明する。
【0184】
スクロースを蒸留水に溶解させて15%(w/v)スクロース水溶液を製造した。次いで、ナトリウムデオキシコレートおよびポロクサマー188を加えてこれら界面活性剤がそれぞれ0.3%(w/v)で存在するようにした。1N水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを7.5に調整した。ジロイトンをメタノールに溶解させて第2の溶液を調製した。次いで、2つの溶液を混ぜ合わせて沈殿させ、前懸濁液を生成した。
【0185】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより複数回パスを行い分散混合させて微小粒子の懸濁液製剤を製造した。遠心分離によりメタノールを除去し、凍結保護物質、特にポリビニルピロリドンを約0.5%(w/v)で加えた。ジロイトン濃度を3%(w/v)に調整して微小粒子の懸濁液製剤Lを製造した。製剤L3.5mlを10mlチューブバイアルに入れた。
【0186】
非凍結保存製剤Lと一緒に試験できるように、製剤Lのバイアルの1バッチを凍結乾燥させた。凍結乾燥には、通常の手順を用いて−50℃で凍結させ、−25℃、60mTorrで第1の乾燥を行い、30℃、60mTorrで第2の乾燥を行った。この時点の懸濁液(凍結乾燥前)は、白色、均一で、pHは約7.3である。顕微鏡解析を行ったところ、懸濁液は、粒度5um未満の球状粒子と、完全な球ではない粒子と、異形粒子とからなり、10umを上回る薬物の粒子または凝集物は見られなかった。
【0187】
非凍結保存製剤Lと凍結乾燥製剤Lとの粒度の結果を表Cにまとめてある。平均粒度および99%の粒子が小さなっている(体積加重ベース)粒度をレーザー光回折(Horiba LA−920)で測定した。懸濁液は、凍結乾燥して再構成後に粒度の増大を示す。
【0188】
【化11】

HPLCを用いて効力試験を三重反復で実施し、その結果を表Dにまとめてある。すべてのサンプルに対する不純物/関連物質のレベルは、HPLC法の検出限界を下回った。凍結乾燥サンプルの効力の低下は、再構成法による損失に起因している可能性がある。
【0189】
【化12】

メタノールの残留濃度をガスクロマトグラフィー解析で測定した。非凍結乾燥懸濁液のサンプル1つと、再構成後の凍結乾燥懸濁液のサンプル1つで試験を行った。結果を表Fに示す。凍結乾燥プロセスにより懸濁液から余分なメタノールを除去することができる。
【0190】
【化13】

ナノ粒子懸濁液の溶解速度の特徴付けを行うために、紫外分光光度計にて透過率をオンラインでモニターする方法を開発した。溶解媒体は、pH7.4のアルブミンを含む緩衝液であった。各懸濁液サンプルを分光光度計セルに含まれる溶解媒体に加えて、400nmでの透過率を時間関数として記録した。表Jに示した凍結乾燥製剤Lのサンプルと非凍結乾燥製剤Lのサンプルで試験を実施した。溶解特性を図18に示す。どちらのサンプルの場合も、約0.1分で透過率が急低下しているが、これは、溶解媒体に懸濁液を加えたことを示す。その後、透過率は、懸濁液粒子が溶解するにつれ、再び100%まで上昇する。溶解特性については、ごくわずかな差しか見られず、どちらの懸濁液も約3秒で溶解したことが観察される。
【0191】
【化14】

製剤Lの非凍結乾燥懸濁液と凍結乾燥懸濁液のサンプルを5℃、25℃および40℃で保管し、4週、8週および12週という時間枠で試験を行った。
【0192】
保管時に、非凍結乾燥サンプルでは、沈降が見られ、上清は白色から混濁であった。視覚では、凝集粒子は認められなかった。観察対象の凍結乾燥ケークの多くは、バイアルの底でやや縮んだものの、ケークはすべて白色の外観を保ち大きな崩壊は見られなかった。ケークは、注射用蒸留水の添加直後に再構成された。観察対象のすべてのサンプルはすべての間隔で、再構成後の懸濁液が白色であり、凝集体は認められなかった。非凍結乾燥懸濁液および再構成後の凍結乾燥懸濁液に対してpH試験も実施しており、結果を表Lおよび表Mに示す。再構成後の凍結乾燥懸濁液サンプルの場合、保管後のpHが当初と比べてあまり変わらなかった。
【0193】
【化15】

表Nおよび表Oは、非凍結乾燥懸濁液および再構成後の凍結乾燥懸濁液の粒度結果を示す。非凍結乾燥懸濁液では、40℃の粒度が時間とともにやや増大している一方、再構成後の凍結乾燥懸濁液では、保管時の粒度が25℃および40℃でより大きく増大している。
【0194】
【化16】

非凍結乾燥懸濁液の効力および関連物質の結果をそれぞれ表Pおよび表Qにまとめてある。
【0195】
【化17】

結果は%(製剤Lのw/w)
ND=検出限界外(注記:検出限界は0.05%)。
【0196】
再構成後の凍結乾燥懸濁液の効力および関連物質の結果をそれぞれ表Rおよび表Sにまとめてある。この結果から、凍結乾燥により薬物分解率が低下して薬物の化学的安定性が増したことが示唆される。
【0197】
【化18】

結果は%(ジロイトンのw/w)。
ND=検出限界外(検出限界=0.05%)
前述の方法ごとに、非凍結乾燥懸濁液の溶解性を試験した。溶解媒体は、pH7.4のアルブミンを含む緩衝液であった。各サンプルを分光光度計セルに含まれる溶解媒体に加えて、400nmでの透過率を記録した。結果から、5℃、25℃および40℃で保管した懸濁液では、保管から12週間後の溶解時間が増加しないことが示された。すべてのサンプルが5秒未満で溶解した。等用量の再構成後の凍結乾燥懸濁液の溶解結果から、5℃、25℃および40℃では、保管してから12週後の溶解時間に大きな変化は見られない。すべてのサンプルが5秒未満で完全に溶解した。
【0198】
カールフィッシャー滴定により、当初の凍結乾燥サンプル3つと5℃で12週間保管後の凍結乾燥サンプル3つの含水量を測定した。その結果を表Wに示す。当初の試験において、サンプル3では、試験中に沈殿物が生じており、これがRSD値(%)の上昇の原因となった可能性がある。12週間サンプルの平均含水量から、凍結乾燥材料の吸湿性が示される。
【0199】
【化19】

実施例13
水溶液中に3%(w/v)ジロイトンを含む微小粒子懸濁液の調製物を、メタノールを溶媒とする微量沈降法により複数調製した。この製剤は、15%スクロース以外に界面活性剤を単独あるいは組み合わせて含ませた。製剤は非緩衝溶液であった。
【0200】
この製剤については、スクロースを蒸留水に溶解させて15%(w/v)スクロース溶液を製造することで調製した。次いで、界面活性剤を加えて界面活性剤がそれぞれ表Xに示す濃度で存在するようにした。水酸化ナトリウムおよび/または塩酸溶液でpHを8.0に調整した。ジロイトンをメタノールに溶解させて第2の溶液を調製した。次いで、2つの溶液を混ぜ合わせて沈殿させ、約3%(w/v)ジロイトンを含む前懸濁液を生成した。
【0201】
前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーにより複数回パスを行い分散混合して微小粒子の懸濁液製剤を製造した。メタノールについては、遠心分離で除去した。
【0202】
非凍結乾燥懸濁液と一緒に試験できるように、各製剤1バッチを凍結乾燥させた。凍結乾燥には、通常の手順を用いて−50℃で凍結させ、−25℃、60mTorrで第1の乾燥を行い、30℃、60mTorrで第2の乾燥を行った。
【0203】
表Xに、非凍結乾燥懸濁液および凍結乾燥懸濁液ごとの粒度結果とともに、界面活性剤または界面活性剤の組み合わせを示す。凍結乾燥後に、二重反復で試験を実施した(すなわち、2つのバイアルを再構成して試験を実施)。
【0204】
【化20】

DMPC−ジミリストイルホスファチジルコリン;DMPG−ジミリストイルホスファチジルグリセロール;DPPA−ジパルミトイルL−a−ホスファチジン酸
凍結保護物質の作用を評価するために、0.2%(w/v)ポリビニルピロリドンを使用してあるいは使用せずに、上記製剤の追加のバッチを調製した。溶媒除去と均質化の工程の後に、ポリビニルピロリドンを懸濁液に加えた。上述の方法ごとにバッチを凍結乾燥させた。粒度結果を表Yに示す。凍結乾燥後、二重反復で試験を実施した(すなわち、2つのバイアルを再構成して試験を実施)。
【0205】
【化21】

【図面の簡単な説明】
【0206】
【図1】図1は、微量沈降法の方法Aのフローチャートを示す。
【図2】図2は、微量沈降法の方法Bのフローチャートを示す。
【図3】図3は、製剤A1およびA2の粉砕特性を示す。
【図4】図4は、製剤B1およびB2の粉砕特性を示す。
【図5】図5は、ストレス試験後の製剤A1の粒度測定値を示す。
【図6】図6は、ストレス試験後の製剤A2の粒度測定値を示す。
【図7】図7は、セーレンセン緩衝液および5%w/vアルブミンの溶液に対する製剤A1の溶解性を経時的に示す。
【図8】図8は、セーレンセン緩衝液および5%w/vアルブミンの溶液に対する製剤A1の、用量を増やした場合の溶解性を経時的に示す。
【図9】図9は、ストレス試験後の製剤Cの粒度の測定値を示す。
【図10】図10は、ストレス試験後の製剤Dの粒度の測定値を示す。
【図11】図11は、ストレス試験後の製剤Eの粒度の測定値を示す。
【図12】図12は、ストレス試験後の製剤Fの粒度の測定値を示す。
【図13】図13は、ストレス試験後の製剤Gの粒度の測定値を示す。
【図14】図14は、5℃で保管後の製剤Gの粒度の測定値を示す。
【図15】図15は、25℃で保管後の製剤Gの粒度の測定値を示す。
【図16】図16は、製剤H、I、JおよびKの粒度の測定値を示す。
【図17】図17は、ストレス試験後の製剤Kの粒度の測定値を示す。
【図18】図18は、製剤Lの凍結乾燥懸濁液および非凍結乾燥懸濁液の当初の溶解特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子の水性懸濁液を含む医薬組成物であって、該粒子は約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有する、組成物。
【請求項2】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、5−リポキシゲナーゼ阻害剤化合物と、12−リポキシゲナーゼ阻害剤と、5−リポキシゲナーゼおよび12−リポキシゲナーゼを阻害する化合物とからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、式(II):
【化1】

から選択され、
式中、Rは、C1もしくはC2アルキルまたはNRであり、RおよびRは独立に、水素およびC1またはC2アルキルから選択され;Bは、CHまたはCHCHであり;Wは、酸素、硫黄または窒素である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤は、式(III):
【化2】

を有する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤は、((±)−1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素と、前記1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素の(−)異性体と、前記1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素の(+)−異性体とからなる群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、生物学的に誘導された界面活性剤、高分子界面活性剤、アミノ酸界面活性剤およびアミノ酸界面活性剤の誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、ポロクサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非結晶性セルロース、多糖類、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸トリエタノールアミン、アミンオキシド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマー、ポロクサマー、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−β−デシル−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノニル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンEおよび酢酸ビニルとビニルピロリドンとのランダムコポリマーからなる群から選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記イオン性界面活性剤は、陰イオン界面活性剤である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記陰イオン界面活性剤は、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、ラウリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレンスルファート、アルギン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ホスファチジン酸およびこれらの塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、胆汁酸およびこれらの塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸およびその塩、ステアリン酸カルシウム、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジオクチルスルホスクシナート、スルホコハク酸ナトリムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびリン脂質からなる群から選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記リン脂質は、ホスファチド、荷電リン脂質、PEG−リン脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシル−グリセロ−ホスホエタノールアミン、ジミリストイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン(DSPE)、ジオレオリルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシン、ホスファチジン酸、リゾリン脂質、ポリエチレングリコール−リン脂質コンジュゲート、卵リン脂質および大豆リン脂質からなる群から選択される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記イオン性界面活性剤は、陽イオン界面活性剤である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記陽イオン界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、キトサン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アシルカルニチンヒドロクロリド、アルキルピリジニウムハライド、セチルピリジニウムクロリド、陽イオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルファート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、第四級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルファート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキルおよび(C12〜14)ジメチル1−ナプチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライドアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシ化アルキアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシ化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、POLYQUAT、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、ステアラルコニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、第四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOL、ALKAQUAT、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第四級アクリルアミド、メチル化第四級ポリマーおよび陽イオン性グアールガム、塩化ベンザルコニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリエタノールアミンおよびポロキサミンからなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記両性イオン界面活性剤は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシル−グリセロ−ホスホエタノールアミン、ジミリストイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン、ジパルミトイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン、ジステアロイル−グリセロ−ホスホエタノールアミンおよびジオレオリル−グリセロ−ホスホエタノールアミンからなる群から選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項15】
水酸化ナトリウム、塩酸、トリス緩衝液、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびこれらの塩、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、アセテート、乳酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノ糖類、モノアルキル化アミン、ジアルキル化アミン、トリアルキル化アミン、メグルミン(N−メチルグルコサミン)、スクシナート、ベンゾアート、タルトラート、カルボナートおよびアミノ酸からなる群から選択されるpH調整剤をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項16】
グリセリン、無機塩、単糖類、二糖類、三糖類および糖アルコールからなる群から選択される浸透圧調整剤をさらに含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、約0.1mg/ml〜約500mg/mlの量で存在する、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、約5.0mg/ml〜約100mg/mlの量で存在する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、約10mg/ml〜約50mg/mlの量で存在する、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記粒子が、約50nm〜約10ミクロンの有効平均粒度を有する、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記粒子が、約50nm〜約2ミクロンの有効平均粒度を有する、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記界面活性剤は、ポリソルベートである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記界面活性剤は、リン脂質である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項25】
イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、生物学的に誘導された界面活性剤、高分子界面活性剤、アミノ酸界面活性剤およびアミノ酸界面活性剤の誘導体からなる群から選択される第2の界面活性剤をさらに含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項26】
イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、生物学的に誘導された界面活性剤、高分子界面活性剤、アミノ酸界面活性剤およびアミノ酸界面活性剤の誘導体からなる群から選択される第2の界面活性剤をさらに含む、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項27】
イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、生物学的に誘導された界面活性剤、アミノ酸界面活性剤およびアミノ酸界面活性剤の誘導体からなる群から選択される第2の界面活性剤をさらに含む、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記ポリソルベートは、Tween80であり、前記第2の界面活性剤は、ポロクサマー188である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記リン脂質は、PEG−DSPEであり、前記第2の界面活性剤は、ポロクサマー188である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記リン脂質は、PEG−DSPEであり、前記第2の界面活性剤は、Lipoid E80である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記リン脂質は、ジパルミトイルL−a−ホスファチジン酸であり、前記第2の界面活性剤は、ジミリストイルホスファチジルグリセロールである、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記ポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーは、ポロクサマー188であり、前記第2の界面活性剤は、ナトリウムデオキシコレートである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記ポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーは、ポロクサマー188であり、前記第2の界面活性剤は、ジミリストイルホスファチジルグリセロールである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記医薬組成物は、非経口、経口、頬粘膜、経肺、静脈内、筋肉内、皮下、点耳、直腸、膣内、点眼、皮内、眼内、脳内、リンパ内、関節内、クモ膜下および腹腔内からなる群から選択される経路で投与される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記水性懸濁液は、乾燥される、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記水性懸濁液は、凍結乾燥、噴霧乾燥または超臨界流体抽出で乾燥される、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記乾燥組成物は、錠剤、カプセル、ロゼンジ、坐剤、コーティング錠剤、アンプル、坐剤、遅延放出型製剤、放出制御製剤、徐放性製剤、パルス放出型製剤、速放性製剤、胃保持性製剤、発砲錠、速溶性錠、経口液体製剤およびスプリンクル製剤からなる群から選択される固形剤形に製剤化される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記組成物は、パッチ、吸入可能な粉末調製物、組成物、クリーム、軟膏および乳濁液からなる群からなる形態に製剤化される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記粒子は、前記医薬組成物の静脈内投与後、迅速に溶解し、その結果、約8時間未満でピーク血漿濃度に達する、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項40】
5−リポキシゲナーゼ阻害剤化合物と、12−リポキシゲナーゼ阻害剤と、5−リポキシゲナーゼおよび12−リポキシゲナーゼを阻害する化合物とからなる群から選択されるリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子の水性懸濁液を含む医薬組成物を投与して、処置を必要としている哺乳類においてリポキシゲナーゼ活性および/またはロイコトリエンが関与する症状を処置する方法であって、ここで前記粒子が約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有する、方法。
【請求項41】
前記症状は、喘息、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、アクネ、アトピー性皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鎌状赤血球症、急性肺障害、虚血/再潅流障害、鼻茸、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、敗血症、エンドトキシンショックおよび心筋梗塞からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記症状は、炎症症状である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
沈殿法により、約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を含む医薬懸濁液を製造する方法。
【請求項44】
微量沈降法とエネルギー付加とにより、約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を含む医薬懸濁液を製造する方法。
【請求項45】
約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を含む医薬懸濁液を製造する方法であって、該方法は:
該リポキシゲナーゼ阻害剤化合物を水混和性溶媒に溶解させて溶液を生成する工程;
該溶液と別の溶媒とを混合させて前懸濁液を規定する工程;および
該前懸濁液にエネルギーを加えて約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有する該リポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を生成する工程、
を含む方法。
【請求項46】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、5−リポキシゲナーゼ阻害剤化合物と、12−リポキシゲナーゼ阻害剤化合物と、5−リポキシゲナーゼおよび12−リポキシゲナーゼを阻害する化合物とからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、式(II):
【化3】

から選択され、
式中、Rは、CもしくはCアルキルまたはNRであり、RおよびRは独立に、水素およびCまたはCアルキルから選択され;Bは、CHまたはCHCHであり;Wは、酸素、硫黄または窒素である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤は、式(III):
【化4】

を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記水混和性溶媒および前記別の溶媒の少なくとも1つは、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、生物学的に誘導された界面活性剤、高分子界面活性剤、アミノ酸界面活性剤およびアミノ酸界面活性剤の誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、ポロクサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非結晶性セルロース、多糖類、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸トリエタノールアミン、アミンオキシド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマー、ポロクサマー、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−β−デシル−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノニル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンEおよび酢酸ビニルとビニルピロリドンとのランダムコポリマーからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記イオン性界面活性剤は、陰イオン界面活性剤である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記陰イオン界面活性剤は、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、ラウリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレンスルファート、アルギン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ホスファチジン酸およびこれらの塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、胆汁酸およびこれらの塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸およびグリコデオキシコール酸およびカルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸およびその塩、ステアリン酸カルシウム、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジオクチルスルホスクシナート、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびリン脂質からなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記リン脂質は、ホスファチド、荷電リン脂質、PEG−リン脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシル−グリセロ−ホスホエタノールアミン、ジミリストイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン(DSPE)、ジオレオリルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシン、ホスファチジン酸、リゾリン脂質、ポリエチレングリコール−リン脂質コンジュゲート、卵リン脂質および大豆リン脂質からなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記イオン性界面活性剤は、陽イオン界面活性剤である、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記陽イオン界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、キトサン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アシルカルニチンヒドロクロリド、アルキルピリジニウムハライド、セチルピリジニウムクロリド、陽イオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルファート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、第四級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルファート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルイドメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキルおよび(C12〜14)ジメチル1−ナプチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライドアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシ化アルキアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシ化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、POLYQUAT、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、ステアラルコニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、第四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOL、ALKAQUAT、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第四級アクリルアミド、メチル化第四級ポリマーおよび陽イオン性グアールガム、塩化ベンザルコニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリエタノールアミンおよびポロキサミンからなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記両性イオン界面活性剤は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシル−グリセロ−ホスホエタノールアミン、ジミリストイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン、ジパルミトイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン、ジステアロイル−グリセロ−ホスホエタノールアミンおよびジオレオリル−グリセロ−ホスホエタノールアミンからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
前記別の溶媒は、水酸化ナトリウム、塩酸、トリス緩衝液、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびこれらの塩、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、アセテート、乳酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノ糖類、モノアルキル化アミン、ジアルキル化アミン、トリアルキル化アミン、メグルミン(N−メチルグルコサミン)およびアミノ酸からなる群から選択されるpH調整剤を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項58】
前記別の溶媒は、グリセリン、無機塩類、単糖類、二糖類、三糖類および糖アルコールからなる群から選択される浸透圧調整剤を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、約1.0mg/ml〜約200mg/mlの量で存在する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、約5.0mg/ml〜約100mg/mlの量で存在する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、約10mg/ml〜約50mg/mlの量で存在する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記前懸濁液は、ピストンギャップホモジナイザーを通過して約10ミクロン未満の有効平均粒度を有する粒子を含む懸濁液を生成する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記前懸濁液は、前記ピストンギャップホモジナイザーを通過して約2ミクロン未満の有効平均粒度を有する粒子を含む懸濁液を生成する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記界面活性剤は、リン脂質である、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーである、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記水混和性溶媒および前記別の溶媒の少なくとも1つは、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、生物学的に誘導された界面活性剤、アミノ酸界面活性剤およびアミノ酸界面活性剤の誘導体からなる群から選択される第2の界面活性剤を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記水混和性溶媒および前記別の溶媒の少なくとも1つは、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、生物学的に誘導された界面活性剤、アミノ酸界面活性剤およびアミノ酸界面活性剤の誘導体からなる群から選択される第2の界面活性剤を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記リン脂質は、ジミリストイルホスファチジルグリセロールであり、前記第2の界面活性剤は、ポロクサマー188である、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記リン脂質は、ジパルミトイルL−a−ホスファチジン酸であり、前記第2の界面活性剤は、ジミリストイルホスファチジルグリセロールである、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記ポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーは、ポロクサマー188であり、前記第2の界面活性剤は、ナトリウムデオキシコレートである、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
均質化により、約10nm〜約50ミクロンの有効平均粒度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤化合物の粒子を含む医薬組成物を製造する、方法。
【請求項72】
請求項71に記載の方法であって、
リポキシゲナーゼ阻害剤化合物を水溶液に加えて前懸濁液を生成する工程と;
前記前懸濁液をピストンギャップ式ホモジナイザーに少なくとも1回通過させて懸濁液を生成する工程と、
を含む、方法。
【請求項73】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、5−リポキシゲナーゼ阻害剤化合物と、12−リポキシゲナーゼ阻害剤化合物と、5−リポキシゲナーゼおよび12−リポキシゲナーゼを阻害する化合物とからなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、前記式(II):
【化5】

から選択される5−リポキシゲナーゼ阻害剤化合物であり、
式中、Rは、CもしくはCアルキルまたはNRであり、RおよびRは独立に、水素およびCまたはCアルキルから選択され;Bは、CHまたはCHCHであり;Wは、酸素、硫黄または窒素である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤は、前記式(III):
【化6】

を有する、請求項73に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2009−516003(P2009−516003A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541469(P2008−541469)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/060939
【国際公開番号】WO2007/059515
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】