説明

リモートコントロール方法及びリモートコントロールシステム

【課題】コスト高を招くことなく、目視できない状況下でも、移動体を直感的に操縦できるリモートコントロール方法及びリモートコントロールシステムを提供する。
【解決手段】移動体20、は、常に操縦者HMの視線方向(基準方向)と平行に、その前方を向けており、よって例えば視線方向に対して右に角度δの方向に進行したい場合、それに応じた操舵量だけ進行方向を操作する操縦装置のスティックを視線方向に対して右に角度δの方向に倒せばよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートコントロール方法及びリモートコントロールシステムに関し、例えば無線操縦による無線操縦飛行機、無線操縦船舶、無線操縦車両などの移動体を遠方から操縦するリモートコントロール方法及びリモートコントロールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から趣味の分野或いは農薬散布・空撮等の実用分野で、無線操縦により、無線操縦飛行機、無線操縦船舶、無線操縦車両などの移動体を遠隔操作することがよく行われている。一例として無線操縦ヘリコプタを操縦する場合、地上にいる操縦者は無線操縦用の操縦装置を持ち、突き出たスティックを操作することで、空中を飛翔する無線飛行機を前後左右或いは上下に移動させることができる。
【0003】
ところで、無線操縦ヘリコプタは、一般的には、操縦装置から突き出たスティックを前方に倒せば前進し、後方に倒せば後進し、左方に倒せば左進し、右方に倒せば右進する。つまり、無線操縦ヘリコプタを所望の方向に飛行させようとする操縦者は、その姿勢を常に把握する必要があるといえる。ところが、操縦者は地上から無線操縦ヘリコプタを目視しつつ操縦するために、無線操縦ヘリコプタが遠方へと飛行した場合や、低い雲などに無線操縦ヘリコプタが遮られて目視できなくなったような場合には、無線操縦ヘリコプタの姿勢が分からず、操縦不能となる恐れがある。又、無線操縦ヘリコプタの形状によっては前後左右が対称のものもあり、近距離でも進行方向前方を把握しにくいこともある。
【0004】
これに対し特許文献1には、既存の無人無線操縦ヘリコプタの受信機とサーボモータの間に、マイクロコンピュータとPWM信号読取り回路とPWM信号生成回路とPWM信号切替回路と各種センサから構成される操縦支援装置を挿入することにより、操縦者の操作がある場合はそちらを優先し、通常通りにサーボモータを操作し、または操作量を目標値と解釈しそれに追従する制御を行い、操縦者の操作が無い場合には自動的に水平を維持し、かつあらかじめ指定された方位と高度を維持することで、空撮などの作業実行時の操縦を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−96369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1の技術では、各種のセンサを用いて、指定された方位や高度を維持するために演算を行う回路が必要となるが、演算に時間がかかると共に、コスト高を招くという問題がある。特に、無線操縦ヘリコプタ等の場合、墜落や衝突などにより破損する恐れがあることを考慮すると、高価なセンサやCPU等は極力搭載しないことが望ましいと言える。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、コスト高を招くことなく、目視できない状況下でも、移動体を直感的に操縦できるリモートコントロール方法及びリモートコントロールシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のリモートコントロール方法は、操縦者が操作可能な操縦装置を用いて、操縦者から離れて任意の方向に移動する移動体を、前記操縦装置から送信される操縦信号により制御するリモートコントロール方法において、
前記操縦装置は、前記操縦装置の向きを検出する第1方位検出センサと、前記第1方位検出センサにより検出された前記操縦装置の向きに対応する方位信号と、前記操縦信号とを送信する第1通信手段とを有し、前記移動体は、前記方位信号と前記操縦信号を受信する第2通信手段と、前記移動体の向きを検出する第2方位検出センサとを有し、
前記移動体が前記方位信号と前記操縦信号とを受信したときは、前記操縦装置の向きと前記操縦信号とを基準とし、前記第2方位検出センサで検出された向きを用いて、前記移動体の移動方向を決定することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、前記操縦装置が、前記操縦装置の向きを検出する第1方位検出センサと、前記第1方位検出センサにより検出された前記操縦装置の向きに対応する方位信号と、前記操縦信号とを送信する第1通信手段とを有し、前記移動体が、前記方位信号と前記操縦信号を受信する第2通信手段と、前記移動体の向きを検出する第2方位検出センサとを有し、前記移動体が前記方位信号と前記操縦信号とを受信したときは、前記操縦装置の向きと前記操縦信号とを基準とし、前記第2方位検出センサで検出された向きを用いて、前記移動体の移動方向を決定するので、低コストでシンプルな構成でありながら、操縦者が前記移動体を目視しにくい状況であっても、あたかも操縦者が前記移動体に乗っているような感覚で、前記移動体の向きを把握でき、操縦を直感的に行うことができる。
【0010】
請求項2に記載のリモートコントロール方法は、請求項1に記載の発明において、前記操縦装置は、前記第1方位検出センサであり所定の3次元座標系における前記操縦装置の位置を検出する第1位置検出手段と、前記操縦装置を目標物に向けて前記目標物までの距離を測定する測距手段と、測距時の前記操縦装置の姿勢を検出する姿勢検出手段を有し、前記移動体は、前記第2方位検出センサであり前記所定の3次元座標系における前記移動体の位置を検出する第2位置検出手段を有し、前記第1位置検出手段による検出結果と、前記姿勢検出手段による検出結果と、前記測距手段による測距結果と、に基づいて、前記所定の3次元座標系における前記目標物の位置を求める目標位置算出手段が、前記操縦装置又は前記移動体に備えられ、前記操縦装置を特定の目標物に向けて、前記測距手段により前記操縦装置から前記特定の目標物までの距離を検出した場合において、前記移動体の第2通信手段が、前記操縦装置の第1通信手段を介して前記操縦信号を受信したときは、前記第2位置検出手段による検出結果と、前記目標位置算出手段による算出結果と、に基づいて、前記移動体から前記特定の目標物までの方向と距離が決定されることを特徴とする。これにより、前記操縦装置から特定の目標物を定めて距離信号を出力することで、操縦者が正確に操縦することなく、前記移動体を前記特定の目標物に向けて移動させることができる。
【0011】
請求項3に記載のリモートコントロール方法は、請求項1又は2に記載の発明において、前記移動体が、前記移動体の移動方向に存在する障害物の存否を検出する障害物検出装置を有し、前記操縦装置が、前記操作者に警告する警告装置を有し、前記障害物検出装置が障害物を検出したときは、前記第2通信手段を介して障害物検出信号を発信し、前記操縦装置は、前記障害物検出信号を前記第1通信手段を介して受信したときは、前記警告装置により警告を発することを特徴とする。これにより、操縦者が障害物を目視不可能な状況でも、あたかも操縦者が前記移動体に乗っているような感覚で、移動体が障害物に向かっていることを把握でき、静止などの措置をとれる。
【0012】
請求項4に記載のリモートコントロール方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記移動体が、回転翼を有する無線飛行体、または無線自動車であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載のリモートコントロールシステムは、操縦者が操作可能な操縦装置と、前記操縦装置から送信される操縦信号により制御され、操縦者から離れて移動する移動体とを有するリモートコントロールシステムにおいて、
前記操縦装置は、前記操縦装置の向きを検出する第1方位検出センサと、前記第1方位検出センサにより検出された前記操縦装置の向きに対応する方位信号と、前記操縦信号とを送信する第1通信手段とを有し、
前記移動体は、前記方位信号と前記操縦信号を受信する第2通信手段と、前記移動体の向きを検出する第2方位検出センサとを有し、
前記移動体は、前記第2通信手段を介して前記方位信号と前記操縦信号とを受信したときは、前記操縦装置の向きと前記操縦信号とを基準とし、前記第2方位検出センサで検出された向きを用いて、前記移動体の移動方向を決定することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、前記操縦装置が、前記操縦装置の向きを検出する第1方位検出センサと、前記第1方位検出センサにより検出された前記操縦装置の向きに対応する方位信号と、前記操縦信号とを送信する第1通信手段とを有し、前記移動体が、前記方位信号と前記操縦信号を受信する第2通信手段と、前記移動体の向きを検出する第2方位検出センサとを有し、前記移動体が前記方位信号と前記操縦信号とを受信したときは、前記操縦装置の向きと前記操縦信号とを基準とし、前記第2方位検出センサで検出された向きを用いて、前記移動体の移動方向を決定するので、低コストでシンプルな構成でありながら、操縦者が前記移動体を目視しにくい状況であっても、あたかも操縦者が前記移動体に乗っているような感覚で、前記移動体の向きを把握でき、操縦を直感的に行うことができる。
【0015】
請求項6に記載のリモートコントロールシステムは、請求項5に記載の発明において、前記操縦装置は、前記第1方位検出センサであり所定の3次元座標系における前記操縦装置の位置を検出する第1位置検出手段と、前記操縦装置を目標物に向けて前記目標物までの距離を測定する測距手段と、測距時の前記操縦装置の姿勢を検出する姿勢検出手段を有し、前記移動体は、前記第2方位検出センサであり前記所定の3次元座標系における前記移動体の位置を検出する第2位置検出手段を有し、前記第1位置検出手段による検出結果と、前記姿勢検出手段による検出結果と、前記測距手段による測距結果と、に基づいて、前記所定の3次元座標系における前記目標物の位置を求める目標位置算出手段が、前記操縦装置又は前記移動体に備えられ、前記操縦装置を特定の目標物に向けて、前記測距手段により前記操縦装置から前記特定の目標物までの距離を検出した場合において、前記移動体の第2通信手段が、前記操縦装置の第1通信手段を介して前記操縦信号を受信したときは、前記第2位置検出手段による検出結果と、前記目標位置算出手段による算出結果と、に基づいて、前記移動体から前記特定の目標物までの方向と距離が決定されることを特徴とする。これにより、これにより、前記操縦装置から特定の目標物を定めて距離信号を出力することで、操縦者が正確に操縦することなく、前記移動体を前記特定の目標物に向けて移動させることができる。
【0016】
請求項7に記載のリモートコントロールシステムは、請求項5又は6に記載の発明において、前記移動体が、前記移動体の移動方向に存在する障害物の存否を検出する障害物検出装置を有し、前記操縦装置が、前記操作者に警告する警告装置を有し、前記障害物検出装置が障害物を検出したときは、前記第2通信手段を介して障害物検出信号を発信し、前記操縦装置は、前記障害物検出信号を前記第1通信手段を介して受信したときは、前記警告装置により警告を発することを特徴とする。これにより、操縦者が障害物を目視不可能な状況でも、あたかも操縦者が前記移動体に乗っているような感覚で、移動体が障害物に向かっていることを把握でき、静止などの措置をとれる。
【0017】
請求項8に記載のリモートコントロールシステムは、請求項5〜7のいずれかに記載の発明において、前記移動体が、回転翼を有する無線飛行体、または無線自動車であることを特徴とする。
【0018】
本明細書で、GNSS装置(Global Navigation Satellite System;全地球航法衛星システムを意味する)というときは、GPS装置を含む概念であり、又、それに限られることなく、例えば衛星からの電波が届かない場所で、地上などに据え付けた発信器からGPS信号を発射してGPSと同等の測位機能を実現する装置等を用いても良い。
【0019】
方位検出センサとは、少なくとも操縦装置や移動体の方位を測定できる機能を有する装置であり、磁気コンパス、ジャイロコンパスなど種々のものを用いることができる。測位装置とは、例えば、基準基地からの無線あるいは、衛星からの電波を利用して、あるいは、無線LANで、少なくとも操縦装置や移動体の緯度、経度、高度、方位を測ることができる機能を有する装置であって、GPS装置等も含む。方位検出センサや測位装置は、操縦装置や移動体に配置されるタイプのものと、操縦装置や移動体とは別体で、無線(光を含む)で、操縦装置や移動体と交信して、操縦装置や移動体の位置、方位を測定するタイプのものとを含む。測距装置とは、音波、レーザ光等を用いて、測定対象物までの距離を測定するものをいう。GPS装置とは、衛星からの電波を受信し、前記衛星の位置を利用して、該装置の、少なくとも位置と方位を測定する能力を有する装置である。制御回路とは、コンピュータなどであって、方向(高さも含む)や相対位置を計算するソフトを備えたものである。障害物測定装置とは、音波、レーザ光を進行方向に投射して、その反射態様により障害物を判別するものである。移動体とは、無線飛行機、無線ヘリコプタのような無線回転翼飛行体、無線飛行船、無線潜水艇、無線客船、無線自動車、無線ロボット等、無線を使って、操作者の操作に従った制御をしながら操作者の望みの方向に望みの速さで移動するものである。移動体の駆動源は、駆動車輪(モータ駆動)、プロペラ、スクリュー、ジェットエンジン、リニアモータ等、回転方向、回転速度を無線制御されるモータを利用して、あるいは、推進力を直に利用して進行するもの全てである。リモートコントロールは無線でも良いし、有線でも良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コスト高を招くことなく、目視できない状況下でも、移動体を直感的に操縦できるリモートコントロール方法及びリモートコントロールシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの操縦装置10の概略図である。
【図2】第1の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの移動体としての自動車20の概略図である。
【図3】リモートコントロール方法又はシステムの動作を示す図である。
【図4】リモートコントロール方法又はシステムの自動方向付け制御動作を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの変形例における制御動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの移動体としての4枚羽根ヘリコプタ30の上面図である。
【図7】4枚羽根ヘリコプタ30の制御関係の装置を示す概略図である。
【図8】本実施の形態にかかるリモートコントロール方法又はシステムの動作を示す図である。
【図9】リモートコントロール方法又はシステムの自動姿勢制御動作を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの変形例における制御動作を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの操縦装置10’の概略図である。
【図12】第3の実施の形態にかかる4枚羽根ヘリコプタ30’の制御関係の装置を示す概略図である。
【図13】リモートコントロールシステムの自動飛行制御動作を示す図である。
【図14】リモートコントロールシステムの自動飛行制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの操縦装置10の概略図である。図1において、操縦装置10は、移動体としての自動車(無線自動車)20を操縦するために用いられるものであり、通常のラジコン操縦装置のような外観、大きさである。具体的に説明すると、操縦装置10は、前後進を行わせるための操作部材である第1スティック11と、左右の操舵を行わせるための操舵部材である第2スティック12と、第1スティック11と第2スティック12の操作量を独立して検出する操作量検出手段13と、操縦装置10の向き(例えば、磁北Nに対する操縦装置10の筐体に付したマーク18の向いた方向の相対角)を検出する、小型の磁気センサ、加速度計、ジャイロ等で構成された第1方位検出センサ14と、アンテナ17を含む送信手段15と、これらを制御する制御装置16を有している。尚、図示していないが、以上の他に各部に給電するためのバッテリー等も有する。操縦装置10からの制御情報(信号)は、送信手段15から、第1方位検出センサ14の測定結果とともに操作対象となる自動車20に送信することができる。
【0023】
図2は、第1の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの移動体としての自動車20の概略図である。図2において、自動車20は、動力用モータ21と、動力用モータ21により駆動される駆動輪22,22と、ステアリングサーボ機構23と、ステアリングサーボ機構23により操舵される操舵輪24,24と、自動車20の前方の向き(例えば、磁北Nに対する前方の向きの相対角)を検出する、操縦装置10と同様な磁気センサ、加速度計、ジャイロ等で構成することができる第2方位検出センサ25と、アンテナ26を含む受信手段27と、これらを制御する制御回路28を有している。受信手段27は、操縦装置10からの制御情報、及び第1方位検出センサ14の測定結果を受信できる。尚、駆動輪22,22の駆動は、内燃機関によるものであってもかまわない。
【0024】
図3は、リモートコントロール方法又はシステムの動作を示す図である。まず、操縦装置10を用いて自動車20を操縦する場合、操縦者HMが操縦装置10の第1スティック11と第2スティック12を操作すると、その操作量を操作量検出手段13が検出し、制御装置16の制御に従い、送信手段15が操作量に対応する信号(操縦信号)を、アンテナ17を介して送信する。より具体的には、前後方向のみ操作可能となっている第1スティック11を、前に倒せばその傾きに応じた速度で自動車20を前進させ、後ろに倒せばその傾きに応じた速度で自動車20を後退させるような信号を発生する。一方、左右方向のみ操作可能となっている第2スティック12を、左に倒せばその傾きに応じた角度で自動車20の操舵輪が左方を向き、第2スティック12を右に倒せばその傾きに応じた角度で自動車20の操舵輪が右方を向くような信号を発生させる。
【0025】
操縦装置10からの送信に応じ、自動車20側ではアンテナ26を介して、受信手段27が送信された操作量に対応する信号を受信し、これを受けた制御回路28が、動力用モータ21を介して駆動輪22,22を駆動して前進又は後進を行わせ、或いはステアリングサーボ機構23を介して操舵輪24,24を操舵するようになっている。これにより、操縦者HMは、あたかも自動車20に乗っているような感覚で、所望の位置に自動車20を移動させることができる。尚、図示していないが、自動車20は、その進行方向にある障害物を検知する障害物検出手段(超音波センサ等)を有し、かかる障害物検出手段が障害物を検出したときは、検出信号を無線を通じて操縦装置10に発信し、これを受信した操縦装置10がブザー音やライトの点滅など警報を発するようになっている。
【0026】
図4は、リモートコントロール方法又はシステムの自動方向付け制御動作を示すフローチャートである。ここでは、操縦者HMの視線方向を、操縦装置10の向き(基準方向とする)に合わせているものとする。自動方向付け制御動作設定時には、例えば不図示のランプやブザーにより、これを操縦者HMに知らせることができる。まず、操縦者HMが第1スティック11を中立位置(前進も後進もしない位置)に戻すと、自動車20が静止して自動方向付け制御モードがスタートする。自動方向付け制御モードがスタートすると、図4のステップS101において、第1方位検出センサ14が、磁北Nに対する操縦装置10の向き(方位角γ)を計測する。次に、ステップS102において、操縦装置10側から計測した方位角γに対応する信号を送信する。
【0027】
一方、自動車20側では、ステップS103で、送信された操縦装置10の方位角γに対応する信号を受信し、これに応じて、ステップS104で、第2方位検出センサ25が、磁北Nに対する自動車20の向き(方位角γ’)を計測する。その後、ステップS105で、制御回路28は、操縦装置10の方位角γと自動車20の方位角γ’が一致するか否か判断する。ここで、操縦装置10の方位角γと自動車20の方位角γ’が一致していると判断すれば、ステップS106へと移行し、制御回路28は、その場で待機するように動力用モータ21に指令を出す。
【0028】
これに対し、操縦装置10の方位角γと自動車20の方位角γ’が一致してなかった場合、ステップS107へと移行し、制御回路28は、方位角γ’が一致するように自動車20を移動させる。具体的には、ステアリングサーボ機構23を介して操舵輪24,24を右もしくは左に一杯に操舵すると共に、当該操舵輪の角度により描かれる駆動輪の軌跡に沿って、駆動輪を何回転させると方位角γ’=γになるかを計算し、それに対応した回転数で動力用モータ21を回転駆動して、駆動輪22,22を前進又は後退するように回転させると共に、ステップS104で、第2方位検出センサ25が、磁北Nに対する自動車20の向き(方位角γ’)を計測する。その後、ステップS105で、制御回路28は、操縦装置10の方位角γと自動車20の方位角γ’が一致する(或いは両者の差が閾値以下となる)か否か判断する。上述の計算や判断は操縦装置10側で行っても良い。方位角が一致していなければ、一致するまでステップS107,S104,S105のフローを繰り返すこととなるが、一致した時点で、ステップS106に移行して自動車20が静止して待機状態に入る。このとき、自動車20が待機状態に入ったことを無線にて操縦装置10に送信し、不図示のランプの点灯ブザー等で操縦者HMに知らせることができる。
【0029】
待機状態では、自動車20は、常に操縦者HMの視線方向(基準方向)と平行に、その前方を向けており、よって例えば視線方向に対して右に角度δの方向に進行したい場合、それに応じた操舵量だけ第2スティック12を倒すと共に、第1スティック11を前方に倒せば良いこととなる。これにより、自動車20が操縦者HMより遠方の位置にあり視認しづらい場合でも、自動車20の前後方向を推定できるから、或る程度操縦者HMの意図通りの操縦を行うことができる。更には、例えばUFO形の自動車の場合には前後左右が対称形状となるため、近距離でも進行方向を把握できないから、特に本発明の効果がある。スティック操作で自動車20を追いかける必要もない。又、自動車20が全く視認できない状況になった場合でも、第1スティック11を前方又は後方に倒せば、自動車20は操縦者HMから視認できる位置に現れることとなり、使い勝手がよい。
【0030】
図5は、第1の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの変形例における制御動作を示すフローチャートである。この変形例では、自動方向付け制御モードの設定はなく、自動車20が操縦装置10の向きを基準方向と認識して、それに対して進行方向を決めるようにする。かかる制御動作時も、不図示のランプの点灯ブザー等で操縦者HMに知らせることができる。ここで、操縦者HMの視線方向を、操縦装置10の向きに合わせているものとする。まず、図5のステップS201において、第1方位検出センサ14が、磁北Nに対する操縦装置10の向き(方位角γ)を計測する。次に、ステップS202において、操縦者HMが、例えば視線方向から角度γだけ右方向を進行方向と定めて、第1スティック11及び第2スティック12を操作すると、ステップS203で、その操作量と計測した方位角γに対応する信号を操縦装置10側から送信する。
【0031】
一方、自動車20側では、ステップS204で、送信された操作量と操縦装置10の方位角γに対応する信号を受信し、これに応じて、ステップS205で、第2方位検出センサ25が、磁北Nに対する自動車20の向き(方位角γ’)を計測する。その後、ステップS206で、制御回路28は、操縦装置10の方位角γと自動車20の方位角γ’の差分を演算し、ステップS207で、演算した差分を送信された操作量に合成する(操作量を加算もしくは減算する)。尚、方位角の差分の演算は、操縦装置10側で行っても良い。更にステップ208で、合成された操作量にて、制御回路28は、動力用モータ21及びステアリングサーボ機構23に指令を出す。これにより、あたかも操縦者が自動車20に乗っているような感覚で、現在の自動車20の方向に関わらず、所望の方向に前進もしくは後退させることができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの移動体としての4枚羽根ヘリコプタ(無線飛行体)30の上面図である。図6において、中央の筐体30aから90度間隔で水平に4本のアーム30b、30c、30d、30eが突き出しており、その末端には、図6で時計回りの順序でモータ31A〜31Dが、それぞれ紙片垂直方向に回転軸を向けて固定されている。モータ31A〜31Dの回転軸には、同一形状の羽根32A〜32Dが取り付けられている。筐体30aの下面には、スキッド30fが取り付けられている。
【0033】
図7は、4枚羽根ヘリコプタ30の制御関係の装置を示す概略図である。4枚羽根ヘリコプタ30は、モータ31A〜31Dと、モータ31A〜31Dにより駆動される羽根32A〜32Dと、モータ31A〜31D駆動用のバッテリ33と、4枚羽根ヘリコプタ30の前方の向き(例えば、磁北Nに対する前方の向きの相対角)及び3軸の姿勢を検出する、操縦装置10と同様な磁気センサ、加速度計、ジャイロ等で構成することができる第2方位検出センサ34と、アンテナ36を含む受信手段35と、これらを制御する制御回路37を有している。これ以外に、飛行高さを計測する気圧計を備えていても良い。4枚羽根ヘリコプタ30の姿勢は、それぞれ直交する3軸座標系(3次元座標系)からの傾きによって求められるものである。例えば、水平面であって東向きをX軸、水平面であって北向きをY軸、鉛直上向きをZ軸、とした3軸座標系の場合で説明すると、それぞれの座標軸からの傾き、すなわち、X軸回りの回転角であるピッチ、Y軸回りの回転角であるロール、Z軸回りの回転角であるヨー、とする3つの要素から決定されるのが姿勢である。なお一般的には、ピッチはω(オメガ)で、ロールはφ(ファイ)、ヨーはκ(カッパ)で表わされる。
【0034】
姿勢の計測に当たっては、通常、慣性航法装置が用いられ、代表的なものとして、加速度計やジャイロ、電子コンパス、あるいはこれらを利用したIMU(Inertial Measurement Unit)などが例示できる。もちろん、姿勢計測の手段としては、ここで例示したものに限らず、従来から利用されている手段を用いることができることは言うまでもない。
【0035】
受信手段35は、操縦装置10からの制御情報、及び第1方位検出センサ14の測定結果を受信できる。尚、羽根32A〜32Dの駆動は、内燃機関によるものであってもかまわない。4枚羽根ヘリコプタ30は、前後左右対称形で外見上は識別が困難であるが、移動方向には前後左右の区別がある。4枚の羽根の回転数を独立して制御することにより、上昇下降、回転、前後左右の移動が可能である。
【0036】
本実施の形態で用いる操縦装置10は、上述した実施の形態で示した操縦装置10(図1参照)を用いることができる。但し、第1スティック11は、前後左右の4方向に倒れるようになっており、これを前方に倒すと進行方向後側のモータの回転速度が増大することで、4枚羽根ヘリコプタ30が前方に向かって傾き、それにより前進することとなる。同様に、第1スティック11を後方に倒すと後進し、左方に倒すと左進し、右方に倒すと右進する。又、各モータの回転速度を調整することで、空中に静止した状態で回転もできる。一方、第2スティック12は、前後の2方向に倒れるようになっており、前方に倒すと4枚羽根ヘリコプタ30は上昇し、後方に倒すと下降するようになっている。但し、第1方位検出センサ14は、操縦装置10の上述した3軸座標系における姿勢を検出する姿勢検出手段である。
【0037】
図8は、本実施の形態にかかるリモートコントロール方法又はシステムの動作を示す図である。まず、操縦装置10を用いて4枚羽根ヘリコプタ30を操縦する場合、操縦者HMが操縦装置10の第1スティック11と第2スティック12を操作すると、その操作量を操作量検出手段13が検出し、制御装置16の制御に従い、送信手段15が操作量に対応する信号(操縦信号)を、アンテナ17を介して送信する。すると、4枚羽根ヘリコプタ30側ではアンテナ36を介して、受信手段35が、送信された操作量に対応する信号を受信し、これを受けた制御回路37が、モータ31A〜31Dを介して羽根32A〜32Dを独立して駆動し、所望の高さに上昇し、又所望の方向に進行するようになる。尚、図示していないが、4枚羽根ヘリコプタ30は、その進行方向にある障害物を検知する障害物検出手段(超音波センサ等)を有し、かかる障害物検出手段が障害物を検出したときは、検出信号を無線を通じて操縦装置10に発信し、これを受信した操縦装置10がブザー音やライトの点滅など警報を発するようになっている。又、操縦装置10から送信された姿勢に対応する信号に基づいて、4枚羽根ヘリコプタ30のいずれかの羽根の回転速度を変更することで、その姿勢を操縦装置10の姿勢に合わせる(決定する)こともできる。
【0038】
図9は、リモートコントロール方法又はシステムの自動姿勢制御動作を示すフローチャートである。ここでは、操縦者HMの視線方向を、操縦装置10の向きに合わせているものとする。又、4枚羽根ヘリコプタ30は、離陸後、着陸までの任意の地点を飛行しているものとする。まず、操縦者HMが第1スティック11を中立位置(空中に静止した状態)に戻すと、4枚羽根ヘリコプタ30は空中に静止して自動姿勢制御モードがスタートする。自動姿勢制御モードがスタートすると、図9のステップS301において、第1方位検出センサ14が、磁北Nに対する操縦装置10の向き(方位角γ)を計測する。次に、ステップS302において、操縦装置10側から計測した方位角γに対応する信号を送信する。
【0039】
一方、4枚羽根ヘリコプタ30側では、ステップS303で、送信された操縦装置10の方位角γに対応する信号を受信し、これに応じて、ステップS304で、第2方位検出センサ34が、磁北Nに対する4枚羽根ヘリコプタ30の向き(方位角γ’)及び姿勢を計測する。その後、ステップS305で、制御回路37は、操縦装置10の方位角γと4枚羽根ヘリコプタ30の方位角γ’が一致する(或いは両者の差が閾値以下となる)か否か判断する。判断は、操縦装置10側で行っても良い。ここで、操縦装置10の方位角γと4枚羽根ヘリコプタ30の方位角γ’が一致している(或いは両者の差が閾値以下となる)と判断すれば、ステップS306へと移行し、制御回路37は、4枚羽根ヘリコプタ30が回転中と判断すれば、ステップS308で回転を中止する一方、4枚羽根ヘリコプタ30が回転していないと判断すれば、ステップS307で、その場で待機するためにモータ31A〜31Dに現在の回転速度を維持するよう指令を出す。
【0040】
これに対し、操縦装置10の方位角γと4枚羽根ヘリコプタ30の方位角γ’が一致してなかった(或いは両者の差が閾値を超えていた)場合、ステップS309へと移行し、制御回路37は、方位角γ’が一致する(或いは両者の差が閾値以下となる)ように4枚羽根ヘリコプタ30を(例えば図9で矢印方向に)回転させるべくモータ31A〜31Dに指令を出す。これに応じて、ステップS304で、第2方位検出センサ25が、磁北Nに対する4枚羽根ヘリコプタ30の向き(方位角γ’)を計測する。その後、ステップS305で、制御回路37は、操縦装置10の方位角γと4枚羽根ヘリコプタ30の方位角γ’が一致する(或いは両者の差が閾値以下となる)か否か判断する。この判断は操縦装置10側で行っても良い。方位角が一致していなけれ(或いは両者の差が閾値以下でなけれ)ば、一致するまでステップS309,S304,S305のフローを繰り返すこととなるが、一致した(或いは両者の差が閾値以下となった)時点で、ステップS308で回転を中止し、ステップS307に移行して4枚羽根ヘリコプタ30が空中で静止して待機状態に入る。このとき、4枚羽根ヘリコプタ30が待機状態に入ったことを無線にて操縦装置10に送信し、不図示のランプの点灯ブザー等で操縦者HMに知らせることができる。
【0041】
待機状態では、4枚羽根ヘリコプタ30は、常に操縦者HMの視線方向(基準方向)と平行に、その前方を向けており、よって例えば視線方向に対して右に角度δの方向に進行したい場合、それに応じた操舵量だけ第1スティック11を倒せば良いこととなる。これにより、4枚羽根ヘリコプタ30の飛行高度が高く操縦者HMより視認しずらい場合でも、あたかも4枚羽根ヘリコプタ30に乗っているような感覚で、4枚羽根ヘリコプタ30の向きや姿勢を把握でき、それにより操縦者HMの意図通りの操縦を行うことができる。特に、4枚羽根ヘリコプタ30は前後左右に対称的な形状を有すため、遠方からは勿論、近距離であっても前後左右方向を識別するのが難しいが、第1スティック11を前方又は後方に倒せば、待機状態にある4枚羽根ヘリコプタ30は操縦者HMの視線方向に沿って必ず前進又は後退することとなり、4枚羽根ヘリコプタ30の前後左右を考えることなく操縦でき、ストレスを感じにくい。尚、レーザ等を用いて障害物を検知する公知の機構を装備することで、4枚羽根ヘリコプタ30が自ら障害物を避けるように飛行できる。
【0042】
図10は、第2の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの変形例における制御動作を示すフローチャートである。この変形例では、自動姿勢制御モードの設定はなく、4枚羽根ヘリコプタ30が操縦装置10の向きを基準方向と認識して、それに対して進行方向を決めるようにする。ここで、操縦者HMの視線方向を、操縦装置10の向きに合わせているものとする。まず、図10のステップS401において、第1方位検出センサ14が、磁北Nに対する操縦装置10の向き(方位角γ)を計測する。次に、ステップS402において、操縦者HMが、例えば視線方向から角度γだけ右方向を進行方向と定めて、第1スティック11を操作すると、ステップS403で、その操作量と計測した方位角γに対応する信号を操縦装置10側から送信する。
【0043】
一方、4枚羽根ヘリコプタ30側では、ステップS404で、送信された操作量と操縦装置10の方位角γに対応する信号を受信し、これと並行して、ステップS405で、第2方位検出センサ25が、磁北Nに対する4枚羽根ヘリコプタ30の向き(方位角γ’)及び姿勢を計測する。その後、ステップS406で、制御回路37は、操縦装置10の方位角γと4枚羽根ヘリコプタ30の方位角γ’の差分を演算し、ステップS407で、演算した差分を送信された操作量に合成する。更にステップ408で、合成された操作量にて、制御回路37は、モータ31A〜31Dに指令を出す。これにより、あたかも操縦者が4枚羽根ヘリコプタ30に乗っているような感覚で、現在の4枚羽根ヘリコプタ30の方向に関わらず、所望の速度で所望の方向に進行させることができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
図11は、第3の実施の形態にかかるリモートコントロールシステムの操縦装置10’の概略図である。図12は、第3の実施の形態にかかる4枚羽根ヘリコプタ30’の制御関係の装置を示す概略図である。図11において、操縦装置10’は、上述の実施の形態に加え(或いは代えて)、さらに、第1位置検出手段として、上述した3軸座標系における操縦装置の位置を計測するための測位装置41(GPSなどのGNSS受信装置)や高さ方向の位置を精度良く検出するための気圧計42を備えている。これにより、磁北Nを基準方向とした方位角の計測に加えて任意の時点の操縦装置の3次元位置を計測することができる。操縦装置10’は、更にレーザ測距装置など、測距手段として操縦装置10’と任意の目標物間の距離を計測する測距機構43を有する。又、操縦装置10’の制御部16は、操縦装置10’の姿勢を検出する姿勢検出手段を有する。操縦装置10’の姿勢は、それぞれ直交する3軸座標系(3次元座標系)からの傾きによって求められるものである。例えば、水平面であって東向きをX軸、水平面であって北向きをY軸、鉛直上向きをZ軸、とした3軸座標系の場合で説明すると、それぞれの座標軸からの傾き、すなわち、X軸回りの回転角(方向角)、Y軸回りの回転角(方向角)、Z軸回りの回転角(方向角)、とする3つの要素から決定されるのが姿勢である。代表的なものとして、加速度計や電子コンパス、あるいはこれらを利用したIMU(Inertial Measurement Unit)などが例示できる。もちろん、姿勢計測の手段としては、ここで例示したものに限らず、従来から利用されている手段を用いることができることは言うまでもない。一方、4枚羽根ヘリコプタ30’は、上述の実施の形態に加え(或いは代えて)、第2位置検出手段として、上述した3軸座標系における4枚羽根ヘリコプタ30’の位置を計測するための測位装置51(GPSなどのGNSS受信装置)を備えている。
【0045】
第3の実施の形態では、操縦者HMが定めた目標物に対して4枚羽根ヘリコプタ30’を飛行させる自動飛行制御を行わせることができる。通常の操縦から測距機能を活用した自動飛行制御への切り替えは、操縦モードの切り替えスイッチ(不図示)を設けることで実現できる。
【0046】
図13は、リモートコントロールシステムの自動飛行制御動作を示す図である。図14は、リモートコントロールシステムの自動飛行制御動作を示すフローチャートである。図13に示すように、4枚羽根ヘリコプタ30’を近づけたい任意の目標物TGに正対するように操縦者HMが立ち、その視線方向に操縦装置10’を向ける。この時点で、図14のステップS501にて、測位装置41により操縦装置10’の位置を測定し、気圧計42で操縦装置10’の高度を測定し(これにより3軸座標系における操縦装置10’の位置が求まる)、また従前のように第1方位検出センサ14で操縦装置10’の姿勢を計測してもよい。
【0047】
次に、操縦者HMは目標物TGに操縦装置10’を視準した時点で「目標物の設定」ボタン(不図示)などを押すことで、測距機構43からレーザ光等を投射して目標物TGを特定し、併せて操縦装置10’から目標物TGまでの直線距離を計測する(ステップS502)。このとき、操縦装置10’が、内蔵した姿勢検出手段で操縦装置10’の姿勢を検出し、また測位装置41の検出結果により、操縦装置10’の3軸座標系における位置は既知であるから、操縦装置10’から目標物TGまでの距離と、3軸座標系での操縦装置10’の位置と、測距時の操縦装置10’の姿勢とから、同じ3軸座標系における目標物TGの位置も求まることとなる。かかる演算は、目標位置検出手段として、操縦装置10’の制御装置で行っても、4枚羽根ヘリコプタ30’の制御装置で行っても良い。ここでは、4枚羽根ヘリコプタ30’側で行うものとする。
【0048】
更にステップS503で、操縦装置10’から、操縦装置10’の3軸座標系の位置座標(X、Y、Z)、姿勢、方向、および目標物TGまでの距離に対応する信号が、操縦モードの情報とともに4枚羽根ヘリコプタ30’に送信される。
【0049】
4枚羽根ヘリコプタ30’は、ステップS504で、アンテナ36及び受信手段35を介して操縦装置10’からの信号と情報を受け取り、これと並行して、ステップS505で、第2方位検出センサ25が、磁北Nに対する4枚羽根ヘリコプタ30’の3軸座標系の位置座標(x、y、z)、向き(方位角γ’)及び姿勢を計測する。その後、ステップS506で、制御回路37は、目標物TGの3軸座標系の位置を求める。目標物TGの3軸座標系の位置は、操縦装置10’の3軸座標系の位置座標(X、Y、Z)、姿勢、方向と目標物TGまでの距離が分かっているため、操縦装置10’と4枚羽根ヘリコプタ30’の相対位置を求める目標位置算出手段としての制御回路37により、容易に計算で求めることができる。
【0050】
次いで、4枚羽根ヘリコプタ30’の現在位置が機体に搭載された測位装置51で計測されているため、それにより求められた4枚羽根ヘリコプタ30’の3軸座標系の位置と目標物TGの3軸座標系の位置情報をステップS508で比較計算して、4枚羽根ヘリコプタ30’の現在位置から目標物に向かう3次元ベクトルV(方向と距離)を求める。制御回路37は、そのベクトルVに見合った制御信号をモータ31A〜31Dに伝達することで4枚羽根ヘリコプタ30’の目標物TGへの移動を実現することができる。
【0051】
加えて、4枚羽根ヘリコプタ30’に障害物検出手段としてのレーダやレーザ距離計を搭載することで、移動中に機体の進行方向前方にある障害物を検知することが可能となる。障害物を検知した場合、障害物検出信号を発することで、これを操縦装置で受信し、操縦者への警告装置として、ブザーやライトの点滅で知らせたり、場合によっては移動を停止することができる。
【0052】
本実施の形態によれば、操縦者HMから4枚羽根ヘリコプタ30’までの距離が非常に大きく、飛行の到達目標と4枚羽根ヘリコプタ30’の相対的な位置関係が操縦者HMから十分に視認できなった場合でも、容易に4枚羽根ヘリコプタ30’を目標地点に導くことが可能となる。また、障害物の検知機能が利用できることにより、遠方からの無線操縦をより安全に実施できるようになる。
【0053】
尚、操縦装置10’に、不図示のホームポジションボタンを設けておき、操縦者がこのホームポジションボタンを操作したときは、上述したような通信を介して操縦装置10’から4枚羽根ヘリコプタ30’にホームポジション信号が送信され、これを受信した4枚羽根ヘリコプタ30’が、演算により求めた操縦装置10’までの相対位置座標(x−X、y−Y、z−Z)から、操縦装置10’までの方向と距離を決定することも出来、かかる相対位置座標を用いて操縦装置10’に向かって4枚羽根ヘリコプタ30’を飛行させることができる。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、移動体としては上述のものの他、通常の形のヘリコプタや飛行機、船舶などにも適用可能である。又、4枚羽根ヘリコプタと同様に、自動車にGNSS装置や姿勢検出装置を設けても良い。
【符号の説明】
【0055】
10、10’ 操縦装置
11 第1スティック
12 第2スティック
13 操作量検出手段
14 第1方位検出センサ
15 送信手段
16 制御装置
17 アンテナ
18 マーク
20 自動車
21 動力用モータ
22 駆動輪
23 ステアリングサーボ機構
24 操舵輪
25 第2方位検出センサ
26 アンテナ
27 受信手段
28 制御回路
30、30’ 4枚羽根ヘリコプタ
30a 筐体
30b〜30e アーム
30f スキッド
31A〜31D モータ
32A〜32D 羽根
33 バッテリ
34 第2方位検出センサ
35 受信手段
36 アンテナ
37 制御回路
41 測位装置
42 気圧計
43 測距機構
51 測位装置
HM 操縦者
N 磁北
TG 目標物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦者が操作可能な操縦装置を用いて、操縦者から離れて任意の方向に移動する移動体を、前記操縦装置から送信される操縦信号により制御するリモートコントロール方法において、
前記操縦装置は、前記操縦装置の向きを検出する第1方位検出センサと、前記第1方位検出センサにより検出された前記操縦装置の向きに対応する方位信号と、前記操縦信号とを送信する第1通信手段とを有し、前記移動体は、前記方位信号と前記操縦信号を受信する第2通信手段と、前記移動体の向きを検出する第2方位検出センサとを有し、
前記移動体が前記方位信号と前記操縦信号とを受信したときは、前記操縦装置の向きと前記操縦信号とを基準とし、前記第2方位検出センサで検出された向きを用いて、前記移動体の移動方向を決定することを特徴とするリモートコントロール方法。
【請求項2】
前記操縦装置は、前記第1方位検出センサであり所定の3次元座標系における前記操縦装置の位置を検出する第1位置検出手段と、前記操縦装置を目標物に向けて前記目標物までの距離を測定する測距手段と、測距時の前記操縦装置の姿勢を検出する姿勢検出手段を有し、
前記移動体は、前記第2方位検出センサであり前記所定の3次元座標系における前記移動体の位置を検出する第2位置検出手段を有し、
前記第1位置検出手段による検出結果と、前記姿勢検出手段による検出結果と、前記測距手段による測距結果と、に基づいて、前記所定の3次元座標系における前記目標物の位置を求める目標位置算出手段が、前記操縦装置又は前記移動体に備えられ、
前記操縦装置を特定の目標物に向けて、前記測距手段により前記操縦装置から前記特定の目標物までの距離を検出した場合において、前記移動体の第2通信手段が、前記操縦装置の第1通信手段を介して前記操縦信号を受信したときは、前記第2位置検出手段による検出結果と、前記目標位置算出手段による算出結果と、に基づいて、前記移動体から前記特定の目標物までの方向と距離が決定されることを特徴とする請求項1に記載のリモートコントロール方法。
【請求項3】
前記移動体が、前記移動体の移動方向に存在する障害物の存否を検出する障害物検出装置を有し、前記操縦装置が、前記操作者に警告する警告装置を有し、前記障害物検出装置が障害物を検出したときは、前記第2通信手段を介して障害物検出信号を発信し、前記操縦装置は、前記障害物検出信号を前記第1通信手段を介して受信したときは、前記警告装置により警告を発することを特徴とする請求項1又は2に記載のリモートコントロール方法。
【請求項4】
前記移動体が、回転翼を有する無線飛行体、または無線自動車であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載されたリモートコントロール方法。
【請求項5】
操縦者が操作可能な操縦装置と、前記操縦装置から送信される操縦信号により制御され、操縦者から離れて移動する移動体とを有するリモートコントロールシステムにおいて、
前記操縦装置は、前記操縦装置の向きを検出する第1方位検出センサと、前記第1方位検出センサにより検出された前記操縦装置の向きに対応する方位信号と、前記操縦信号とを送信する第1通信手段とを有し、
前記移動体は、前記方位信号と前記操縦信号を受信する第2通信手段と、前記移動体の向きを検出する第2方位検出センサとを有し、
前記移動体は、前記第2通信手段を介して前記方位信号と前記操縦信号とを受信したときは、前記操縦装置の向きと前記操縦信号とを基準とし、前記第2方位検出センサで検出された向きを用いて、前記移動体の移動方向を決定することを特徴とするリモートコントロールシステム。
【請求項6】
前記操縦装置は、前記第1方位検出センサであり所定の3次元座標系における前記操縦装置の位置を検出する第1位置検出手段と、前記操縦装置を目標物に向けて前記目標物までの距離を測定する測距手段と、測距時の前記操縦装置の姿勢を検出する姿勢検出手段を有し、
前記移動体は、前記第2方位検出センサであり前記所定の3次元座標系における前記移動体の位置を検出する第2位置検出手段を有し、
前記第1位置検出手段による検出結果と、前記姿勢検出手段による検出結果と、前記測距手段による測距結果と、に基づいて、前記所定の3次元座標系における前記目標物の位置を求める目標位置算出手段が、前記操縦装置又は前記移動体に備えられ、
前記操縦装置を特定の目標物に向けて、前記測距手段により前記操縦装置から前記特定の目標物までの距離を検出した場合において、前記移動体の第2通信手段が、前記操縦装置の第1通信手段を介して前記操縦信号を受信したときは、前記第2位置検出手段による検出結果と、前記目標位置算出手段による算出結果と、に基づいて、前記移動体から前記特定の目標物までの方向と距離が決定されることを特徴とする請求項5に記載のリモートコントロールシステム。
【請求項7】
前記移動体が、前記移動体の移動方向に存在する障害物の存否を検出する障害物検出装置を有し、前記操縦装置が、前記操作者に警告する警告装置を有し、前記障害物検出装置が障害物を検出したときは、前記第2通信手段を介して障害物検出信号を発信し、前記操縦装置は、前記障害物検出信号を前記第1通信手段を介して受信したときは、前記警告装置により警告を発することを特徴とする請求項5又は6に記載のリモートコントロールシステム。
【請求項8】
前記移動体が、回転翼を有する無線飛行体、または無線自動車であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載されたリモートコントロールシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−33379(P2013−33379A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169007(P2011−169007)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(511188244)株式会社マイスタジオ (1)
【出願人】(390023249)国際航業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】