リンクバネ装置
【課題】 リンク機構全体があたかも一つのバネのように働くリンクバネ装置であって、リンク機構の上部に戴置される物体を弾性的に支持することができるリンクバネ装置を提供する。
【解決手段】 リンクプレート15a,15bをX字状に交差させたリンク部材11a,11bをそれぞれ対向させ、各リンク部材11a,11bの交点同士を中心軸17で連結すると共に各リンクプレート15a,15bの端部近傍同士を連結軸19a,19bで連結してリンクユニット10を形成し、リンクユニット10の上部側の連結軸19aと他のリンクユニットの下部側の連結軸19bを共有させるようにして複数連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、連結軸19a,19a,19b,19b同士を少なくとも2ヶ所以上でリンク機構を伸長させる方向に付勢する弾性部材20を架設して構成されている。
【解決手段】 リンクプレート15a,15bをX字状に交差させたリンク部材11a,11bをそれぞれ対向させ、各リンク部材11a,11bの交点同士を中心軸17で連結すると共に各リンクプレート15a,15bの端部近傍同士を連結軸19a,19bで連結してリンクユニット10を形成し、リンクユニット10の上部側の連結軸19aと他のリンクユニットの下部側の連結軸19bを共有させるようにして複数連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、連結軸19a,19a,19b,19b同士を少なくとも2ヶ所以上でリンク機構を伸長させる方向に付勢する弾性部材20を架設して構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンクバネ装置に関し、さらに詳しくは、X字状のリンク部材を連設したリンク機構を備えたリンクバネ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降装置の主要部分を構成する機構としてリンクバネ機構が知られている。例えば、特開平10−149461号公報(特許文献1)には、自動改札機のカードハンドラーユニットの昇降装置に適するバネ装置が開示されている。このバネ装置は、その基端が第1対象物に回動自在に取り付けられる第1レバーと、その基端が第2対象物に回動自在に取り付けられ、その自由端近辺が第1レバー自由端近辺に回動自在に連結される第2レバーと、第1レバーと第2レバーの開き角度を常時拡げるように付勢するバネとから構成されている(特許文献1、請求項4)。
【0003】
具体的には、第1レバーと第2レバーとが先端から少し離れた部位同士を回転軸で連結され、第2レバーの先端近辺に挿通された連結棒と第1レバーの先端から最も離れた位置に挿通された連結棒との間にコイルバネが掛け渡されると共に、第1レバーの先端近辺に挿通された連結棒と第2レバーの先端から最も離れた位置に挿通された連結棒との間にコイルバネが掛け渡されて構成されており、これによってこのリンク機構は常に伸びる方向に付勢されている。一方、第1レバーの先端部とは反対側の基端部には第1レバーを引き下げる方向に作用する巻き取り駆動装置が設けられており、この駆動装置を作動させて第1レバーを引き下げれば第1レバーと第2レバーとは閉じることができ、駆動力を除去すればコイルバネの弾性により拡開するようになっている。これによりリンク機構が伸縮するのでカードハンドラーユニットを昇降させることができるというものである。
【0004】
また、特開2004−24290号公報(特許文献2)には、パチンコ等の出球を収納した玉箱を運搬するための玉箱の運搬台車装置が開示され、玉箱を一定の高さに可変させるための昇降機構としてリンクバネ機構を利用したパンタグラフ機構が開示されている。このパンタグラフ機構は、第1レバーと第2レバーがX字状に配置され、その中間がダンパー機構によって軸支されている。そして、第1レバーはその片端が台車基部に固定された支軸によって回転自在に支持され、他端がフォーク部の側方に形成されたガイド長孔に係合するガイド軸によってスライド移動可能に支持されている。一方、第2レバーはその片端がフォーク部に固定された支軸によって回転自在に支持され、他端が台車基部の側方に形成されたガイド長孔に係合するガイド軸によってスライド移動自在に支持され、これにより上下方向への移動が可能とされている。そして、第1レバーと第2レバーの間に張り渡された引っ張りバネによって自由状態において台車基部とフォーク部が離れる方向に付勢されている。さらに、昇降位置調整ハンドルを回して駆動ベルトを駆動すると引っ張りバネの力に抗してフォーク部を下方に移動させてロックできるようになっている。これにより、玉箱を載置した状態でロックを解除すると引っ張りバネの力によってフォーク部が上昇して玉箱が持ちやすい高さに持ち上げることができるというものである。
【0005】
さらに、特開2001−61899号公報(特許文献3)には昇降自在な座席部を備えた車椅子が開示され、車椅子の座席部を昇降させる機構として上下対称に2本ずつ板状のパンタグラフ部材を有して構成されたパンタグラフ機構を備えた昇降自在な座席部を備えた車椅子が開示されている。具体的には、上方のパンタグラフ部材は端部がそれぞれ座席と連結板に回動自在に軸支され、下方のパンタグラフ部材は端部がそれぞれ連結板とフレームに回動自在に軸支されており、連結部材11、12を介してバネが接続されている。これにより、使用者が座席部に座って座席部に荷重がかかるとバネの力に抗して座席部が下がり、使用者が座席部から立ち上がって座席部にかかる荷重が除かれるとバネの力により座席部が上方に押し上げられるというものである。
【0006】
また、特開平7−243292号公報(特許文献4)には、スキーリフト用改札ゲートの据付装置が開示され、基台とスキー場の改札ゲートを搭載する置台との間にリンクをX字形に組んだパンタグラフ式の昇降駆動機構を連結して構成されたスキーリフト用改札ゲートの据付装置が開示されている。そして、X字形のリンク機構の接点間には油圧シリンダが連結されている。これにより、油圧シリンダを動作させて油圧シリンダが連結されたリンク機構の接点間の距離を長くなるように押圧するとリンク機構は下方側に下がり、従って改札ゲートは下降する。一方、リンク機構の接点間の距離が短くなるように油圧シリンダを動作させるとリンク機構は上方側に伸び、従って改札ゲートは上昇する。このような据付装置によりスキー場に積もった雪の積雪量に応じてスキーリフトの改札ゲートの高さ位置が簡単に調整できるというものである。
【特許文献1】特開平10−149461号公報
【特許文献2】特開2004−24290号公報
【特許文献3】特開2001−61899号公報
【特許文献4】特開平7−243292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1〜4に開示された昇降機構は、いずれもリンク機構が伸縮することによりリンク機構の上に戴置された物体を昇降させるものであるが、特許文献1,2,3は、いずれも2つのプレートを軸で連結し、その軸を中心に各プレートを回動させることにより伸縮を達成している。そのため、高い位置まで上昇させようとすればプレートの長さを長くする必要があり、そうなるとプレートを縮めて最下位置にしたときには伸縮可動を阻害しないようにプレートの長さの分だけの範囲を確保する必要がある。従って、高い位置まで昇降させようとすると機構が大きくなりコンパクト化が出来ないという問題があった。
【0008】
一方、特許文献4は、X字状のリンクを複数積み上げるようにして構成されている点で特許文献1,2,3のものよりは高くすることができ、リンク機構としてはそれよりはコンパクトになっている。
【0009】
しかし、この昇降装置は、操作ハンドルを回することにより対向するリンク両軸にそれぞれ取り付けられた油圧シリンダを伸縮させ、両リンクの軸を接近させたり遠ざけたりすることにより昇降するようになっている。すなわち、リンク機構に上部に配置された物体を単に昇降させるに止まり、物体を弾性的に支持するような機構とはなっていない。
【0010】
そこで、本発明者は、リンク機構を、従来のように、ただ単に物体を昇降させるために働くのではなく、リンク機構全体があたかも一つのバネのように働くリンクバネ装置を想起した。そして、それを具現化すべく、リンク機構の上部に戴置される物体を弾性的に支持することができるリンクバネ装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、取り付け面積の省スペース化を図り、小さくコンパクトでありながら上昇高さを高くすることが可能なリンクバネ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、2つのリンクプレートをX字状に交差させてリンク部材を形成し、一対のリンク部材をそれぞれ対向させるように配置して、各リンク部材の交点同士を中心軸によって連結すると共に各リンクプレートの端部近傍同士をそれぞれ連結軸で連結してリンクユニットを形成し、リンクユニットの上部側の連結軸と他のリンクユニットの下部側の連結軸とを共有させるようにして複数連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、そして、対向するようにして位置する連結軸同士を少なくとも2ヶ所以上でリンク機構を伸長させる方向に付勢する弾性部材を架設して構成されたことを特徴とするリンクバネ装置を提供する。
【0013】
上記課題を解決するために請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリンクバネ装置において、弾性部材は着脱可能とされていることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のリンクバネ装置において、弾性体は引張りバネであることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリンクバネ機構において、リンクプレートの先端部近傍が所定の角度で折り曲げられていることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリンクバネ機構において、弾性部材の張力を変えることにより伸縮圧力の調整を行うことを可能としたことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために請求項6記載の発明は、2つのリンクプレートをX字状に交差させてリンク部材を形成し、リンク部材の交点を中心軸によって軸支すると共に、各リンクプレートの端部近傍に連結軸を取り付け、2つの連結軸を共有させるようにして別のリンク部材を連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、そして、リンク機構を伸長させる方向に付勢するように2つの連結軸同士に弾性部材を架設して構成されたことを特徴とするリンクバネ装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係るリンクバネ装置によれば、リンクバネ装置全体があたかも一つのバネのように作用するので、単なる昇降手段としてのリンク機構ではなくバネの代用として利用することができるという効果がある。
【0019】
また、本発明に係るリンクバネ装置によれば、全体が構造体とされているので支柱等の支えを必要とすることなくリンクバネ装置自体で上部に物体を弾性的に戴置することができるという効果がある。
【0020】
また、本発明に係るリンクバネ装置によれば、配設するバネを付け替えて弾性力を変更することにより様々な強度及び性質のリンクバネ装置を提供できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るリンクバネ装置の第一の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係るリンクバネ装置の第一の実施形態の斜視図である。
【0022】
初めに、図示されたリンクバネ装置1は、概略として、後述するリンクユニット10が複数連設されて形成されており、リンクユニット10は、以下のように構成されている。すなわち、図3に示すように、2つのリンクプレート15a、15bをX字状に交差させて形成された2つのリンク部材11a、11bを、一対としてそれぞれ対向させるように配置し、各リンク部材11a、11bのリンクプレート15a、15bの交点同士を中心軸17によって回動自在に連結すると共に、各リンクプレート15a、15bの端部近傍同士をそれぞれ連結軸19a、19bで連結することによりリンクユニット10が形成されている。
【0023】
リンクユニット10の上部側の連結軸は、それよりも上部側に配置されるリンクユニット10の下部側の連結軸19b、19bと共有となっており、他のリンクユニット10も同様に連結軸19b、19bが共有となっている。このようにしてリンクユニット10を上下方向に複数連設することによって伸縮自在なリンク機構が形成されている。そして、それぞれ対向するようにして配置されている連結軸19a、19a同士及び連結軸19b、19b同士を少なくとも2ヶ所以上でリンク機構を伸長させる方向(図1の矢印方向)に付勢する弾性部材20、20を架設することにより構成されている。
【0024】
図4に示すように、リンクプレート15a、15bは、例えば、鋼板を細長く薄板状にして形成されており、その両端部近傍にはそれぞれ孔部16b、16bが穿設され、中央部には孔部16aが穿設されている。従って、リンクプレート15a、15bには少なくとも3箇所に孔部が穿設されている。もちろん、リンクプレート15a、15bは、材質や形状はこれに限るものではなく剛性を有する適宜の材質により形成することができる。
【0025】
一対のリンク部材11a、11bの両孔部16a同士を連結する中心軸17は、丸棒状の部材によって構成されている。一方、一対のリンク部材11a、11bの各孔部16b同士を連結する連結軸19a、19bも、同様に、丸棒状の部材によって構成されている。この中心軸17と連結軸19a、19bの長さと、リンクプレート15a、15bの長さを適宜調整することによって取り付け面積が比較的広い安定したリンクバネ装置1としたり、取り付け面積が狭いよりコンパクトなリンクバネ装置1としたりすることができる。尚、中心軸17及び連結軸19a、19bにボールベアリング等を介在させることによりリンクバネ装置1の伸縮をよりスムーズなものにすることができる。
【0026】
以上のようにして伸縮可能なリンク機構が形成されているが、さらに、各リンクユニット10に水平方向に対向するようにして位置している連結軸19a、19a同士及び連結軸19b、19b同士を弾性部材20、20、例えば、バネ、好ましくは引っ張りコイルバネを架設することによりリンク機構を伸長させる方向(図1の矢印方向)に付勢するようになっている。この弾性部材20、20は少なくとも上下方向における2ヶ所の連結軸19a、19b同士を連結するようにして配置する。もちろん、一ヶ所の連結軸19a、19aに1又は複数の弾性部材20を配置することも可能である。
【0027】
図5に示すように、弾性部材20はその両端にフック21が形成され、これにより簡単に連結軸19a、19bに着脱することができるようになっている。また、取り付ける弾性部材の引っ張り強度を各部位で同じにしてもよいが、適宜変えることにより様々なリンクバネ装置1の特性を生ぜしめることもできる。
【0028】
次に、このリンクバネ装置1の動作について説明する。
リンクバネ装置1はこれまでのバネには見られない特有の動きをする。すなわち、リンクバネ装置1の上部に何も物体を戴置しない状態では、弾性部材20が連結軸19a、19aを引っ張る方向に力が働くので、全体として上方に伸びた形状となる(図1参照)。
【0029】
そして、リンクバネ装置1の上部に加重を加えるとリンク部材11a、11bは弾性部材20の引っ張り力に抗して連結軸19a、19aが次第に離れる方向に移動する。さらに加重を加えるとリンクプレート15a、15bはさらに拡開しながらその高さが次第に低くなっていく。そして、この動きに追従するようにして下段側のリンクユニット10も同様の動作を行い、さらにその下段側のリンクユニット10も同様の動作を行う。このとき、リンクバネ装置1は、弾性部材20である引張りばねの引っ張り力を受けているので上部への加重を加えたり開放したりするとリンクバネ装置1全体があたかも一つのバネのように加重を柔軟に受け止めるように動作する。
【0030】
さらに加重を加えるとリンクバネ装置1は、さらに低くなるが、特筆すべきはリンク機構がある一定の高さ位置まで低くなると加重を支えるべき力が弱まるということである。すなわち、このリンクバネ装置1は、ある程度の高さまでは強い力加重を支えながら次第に縮まるが、その高さが所定の高さ位置まで押し縮められると今度はこれまで加えられた力よりも更に弱い力でリンク機構を押し縮めることができるようになる。この点、通常の押しバネの場合は、負荷のかかっていない状態から負荷を加えていくと初めは少ない負荷で押し縮めることができるが、次第に押し縮められるに従ってその反発力は大きくなる。このように、リンクバネ装置1は、これまでの押しバネとは加重に対して全く逆の作用をする。
【0031】
この点について、図6〜10を参照しつつ説明する。図6に示すのは、1つのリンクユニット10の正面図であり、互いのリンクプレートのなす角度が60°となった状態を示している。このとき、連結軸に架設される弾性部材としての引っ張りバネは、初張力0.235、バネ定数0.016kg/mm、ストローク70〜140mmとする。そして、バネの引張力をF、リンクユニットの上昇力をW、下側の連結軸と中心軸までの距離をX、中心軸からの鉛直線と下側の連結軸を結んだ線との交点からいずれか一方側の連結軸までの距離をYとすると、上昇力Wは、W=FX/2Yとなる。
具体的には、引張力Fは以下のように計算される。
F=(2Y−バネ自由長)×バネ定数+初張力
すなわち、F=(2×37.5−70)×0.016+0.235
=0.315kg
となる。
そして、上昇力Wは、W=FX/2Yだから、
W=0.315×64.952/2×37.5
=0.2728kg
となる。
また、Fを5kgと設定すれば、Wは4.3301kgとなる。
【0032】
同様にして、互いのリンクプレートのなす角度が80°、100°、120°、140°の場合についてみてみると、上昇力Wは、それぞれ、0.3919kg、0.4000kg、0.3445kg、0.2494kgとなる。このように、上昇力Wは、互いのリンクプレートのなす角度が次第に大きくなるにつれて次第に増加しながらも所定の角度を過ぎると次第に減少していくのがわかる。
【0033】
上述したように、本発明に係るリンクバネ装置は、初めに急激に加えられる加重を強い力で支え、次第にその力が減衰していくように働くため、例えば、椅子、運動用具、ショックアブソーバ等として利用することも可能である。
また、本発明に係るリンクバネ装置は、それ自体が構造体として機能するのでその上部に物体を直接戴置することができる。
【0034】
次に、本発明に係るリンクバネ装置の第二の実施形態について図11を参照しつつ説明する。図11は第二の実施形態における上下のリンクユニット10をそれぞれ連結軸19a、19aを共有して連設した部分の拡大図である。
【0035】
図示されたリンクバネ装置2の基本的構成は、上述した第一の実施形態のリンクバネ装置1と同様である。異なるのはリンクプレート15a、15bの先端近傍が約25°略S字状に折り曲げられて形成されている点である。第一の実施形態におけるリンクバネ装置1は、加重が加えられて押し縮められ、弾性部材20の張力が最大になった時、リンクユニット10の先端部は極端に鋭角になりリンクプレート15a、15bが一直線に近い状態となり弾性部材20の張力が著しく減殺される。そのため、リンクプレート15a、15bの先端に角度を付けることによってそのような作用を防止することが期待できる。
【0036】
次に、第三の実施形態のリンクバネ装置3について図12、図13を参照しつつ説明する。第三の実施形態のリンクバネ装置3は、第一の実施形態におけるリンクプレート15a、15bをX字状に交差させて配置し、その中央部に穿設された孔部16a同士を中心軸17で回動可能に連結してリンク部材11aを形成する。そして、リンクプレート15a、15bの両端部近傍に穿設された孔部16b、16bにそれぞれ連結軸19a、19bを取り付けると共に、2つの連結軸19a、19bを共有させるようにして別のリンク部材11aを連設して上下に伸縮可能なリンク機構を形成する。そして、リンク機構を伸長させる方向に付勢するようにして2つの連結軸同士を結ぶように弾性部材20を架設することによって構成されている。つまり、第三の実施形態のリンクバネ装置3は、第一の実施形態のリンクバネ装置1の一方側のリンク部材11bが取り除かれたような形状をなしている。
【0037】
このリンクバネ装置3は、基本的にはリンクバネ装置1と同様に動作する。尚、第2の実施形態におけるリンクバネ装置2のように、リンクバネ装置3のリンクプレート15a、15bの先端近傍を所定の角度折り曲げて略S字状に形成することができるのはいうまでもない。
【0038】
以上のように、本発明に係るリンクバネ装置は、これまで周知の押しバネと違い、初めに急激に加えられる加重を強い力で支え、次第にその力が減衰していくように働くため様々な分野で利用されることが大いに期待される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第一の実施形態におけるリンクバネ装置の無加重の状態を示す斜視図である。
【図2】図1のリンクバネ装置の押し縮められた状態を示す斜視図である。
【図3】リンクユニットの斜視図である。
【図4】リンクプレートの斜視図である。
【図5】弾性部材の正面図である。
【図6】リンクユニットの角度が60°のときの上昇力を示す図である。
【図7】リンクユニットの角度が80°のときの上昇力を示す図である。
【図8】リンクユニットの角度が100°のときの上昇力を示す図である。
【図9】リンクユニットの角度が120°のときの上昇力を示す図である。
【図10】リンクユニットの角度が140°のときの上昇力を示す図である。
【図11】第二の実施形態におけるリンクバネ装置の上下のリンクユニットを連設した部分を示す拡大図である。
【図12】第三の実施形態におけるリンクバネ装置の斜視図である。
【図13】第三の実施形態におけるリンク部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1,2,3 リンクバネ装置
10 リンクユニット
11a、11b リンク部材
15a、15b リンクプレート
16a、16b 孔部
17 中心軸
19a、19b 連結軸
20 弾性部材
21 フック
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンクバネ装置に関し、さらに詳しくは、X字状のリンク部材を連設したリンク機構を備えたリンクバネ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降装置の主要部分を構成する機構としてリンクバネ機構が知られている。例えば、特開平10−149461号公報(特許文献1)には、自動改札機のカードハンドラーユニットの昇降装置に適するバネ装置が開示されている。このバネ装置は、その基端が第1対象物に回動自在に取り付けられる第1レバーと、その基端が第2対象物に回動自在に取り付けられ、その自由端近辺が第1レバー自由端近辺に回動自在に連結される第2レバーと、第1レバーと第2レバーの開き角度を常時拡げるように付勢するバネとから構成されている(特許文献1、請求項4)。
【0003】
具体的には、第1レバーと第2レバーとが先端から少し離れた部位同士を回転軸で連結され、第2レバーの先端近辺に挿通された連結棒と第1レバーの先端から最も離れた位置に挿通された連結棒との間にコイルバネが掛け渡されると共に、第1レバーの先端近辺に挿通された連結棒と第2レバーの先端から最も離れた位置に挿通された連結棒との間にコイルバネが掛け渡されて構成されており、これによってこのリンク機構は常に伸びる方向に付勢されている。一方、第1レバーの先端部とは反対側の基端部には第1レバーを引き下げる方向に作用する巻き取り駆動装置が設けられており、この駆動装置を作動させて第1レバーを引き下げれば第1レバーと第2レバーとは閉じることができ、駆動力を除去すればコイルバネの弾性により拡開するようになっている。これによりリンク機構が伸縮するのでカードハンドラーユニットを昇降させることができるというものである。
【0004】
また、特開2004−24290号公報(特許文献2)には、パチンコ等の出球を収納した玉箱を運搬するための玉箱の運搬台車装置が開示され、玉箱を一定の高さに可変させるための昇降機構としてリンクバネ機構を利用したパンタグラフ機構が開示されている。このパンタグラフ機構は、第1レバーと第2レバーがX字状に配置され、その中間がダンパー機構によって軸支されている。そして、第1レバーはその片端が台車基部に固定された支軸によって回転自在に支持され、他端がフォーク部の側方に形成されたガイド長孔に係合するガイド軸によってスライド移動可能に支持されている。一方、第2レバーはその片端がフォーク部に固定された支軸によって回転自在に支持され、他端が台車基部の側方に形成されたガイド長孔に係合するガイド軸によってスライド移動自在に支持され、これにより上下方向への移動が可能とされている。そして、第1レバーと第2レバーの間に張り渡された引っ張りバネによって自由状態において台車基部とフォーク部が離れる方向に付勢されている。さらに、昇降位置調整ハンドルを回して駆動ベルトを駆動すると引っ張りバネの力に抗してフォーク部を下方に移動させてロックできるようになっている。これにより、玉箱を載置した状態でロックを解除すると引っ張りバネの力によってフォーク部が上昇して玉箱が持ちやすい高さに持ち上げることができるというものである。
【0005】
さらに、特開2001−61899号公報(特許文献3)には昇降自在な座席部を備えた車椅子が開示され、車椅子の座席部を昇降させる機構として上下対称に2本ずつ板状のパンタグラフ部材を有して構成されたパンタグラフ機構を備えた昇降自在な座席部を備えた車椅子が開示されている。具体的には、上方のパンタグラフ部材は端部がそれぞれ座席と連結板に回動自在に軸支され、下方のパンタグラフ部材は端部がそれぞれ連結板とフレームに回動自在に軸支されており、連結部材11、12を介してバネが接続されている。これにより、使用者が座席部に座って座席部に荷重がかかるとバネの力に抗して座席部が下がり、使用者が座席部から立ち上がって座席部にかかる荷重が除かれるとバネの力により座席部が上方に押し上げられるというものである。
【0006】
また、特開平7−243292号公報(特許文献4)には、スキーリフト用改札ゲートの据付装置が開示され、基台とスキー場の改札ゲートを搭載する置台との間にリンクをX字形に組んだパンタグラフ式の昇降駆動機構を連結して構成されたスキーリフト用改札ゲートの据付装置が開示されている。そして、X字形のリンク機構の接点間には油圧シリンダが連結されている。これにより、油圧シリンダを動作させて油圧シリンダが連結されたリンク機構の接点間の距離を長くなるように押圧するとリンク機構は下方側に下がり、従って改札ゲートは下降する。一方、リンク機構の接点間の距離が短くなるように油圧シリンダを動作させるとリンク機構は上方側に伸び、従って改札ゲートは上昇する。このような据付装置によりスキー場に積もった雪の積雪量に応じてスキーリフトの改札ゲートの高さ位置が簡単に調整できるというものである。
【特許文献1】特開平10−149461号公報
【特許文献2】特開2004−24290号公報
【特許文献3】特開2001−61899号公報
【特許文献4】特開平7−243292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1〜4に開示された昇降機構は、いずれもリンク機構が伸縮することによりリンク機構の上に戴置された物体を昇降させるものであるが、特許文献1,2,3は、いずれも2つのプレートを軸で連結し、その軸を中心に各プレートを回動させることにより伸縮を達成している。そのため、高い位置まで上昇させようとすればプレートの長さを長くする必要があり、そうなるとプレートを縮めて最下位置にしたときには伸縮可動を阻害しないようにプレートの長さの分だけの範囲を確保する必要がある。従って、高い位置まで昇降させようとすると機構が大きくなりコンパクト化が出来ないという問題があった。
【0008】
一方、特許文献4は、X字状のリンクを複数積み上げるようにして構成されている点で特許文献1,2,3のものよりは高くすることができ、リンク機構としてはそれよりはコンパクトになっている。
【0009】
しかし、この昇降装置は、操作ハンドルを回することにより対向するリンク両軸にそれぞれ取り付けられた油圧シリンダを伸縮させ、両リンクの軸を接近させたり遠ざけたりすることにより昇降するようになっている。すなわち、リンク機構に上部に配置された物体を単に昇降させるに止まり、物体を弾性的に支持するような機構とはなっていない。
【0010】
そこで、本発明者は、リンク機構を、従来のように、ただ単に物体を昇降させるために働くのではなく、リンク機構全体があたかも一つのバネのように働くリンクバネ装置を想起した。そして、それを具現化すべく、リンク機構の上部に戴置される物体を弾性的に支持することができるリンクバネ装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、取り付け面積の省スペース化を図り、小さくコンパクトでありながら上昇高さを高くすることが可能なリンクバネ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、2つのリンクプレートをX字状に交差させてリンク部材を形成し、一対のリンク部材をそれぞれ対向させるように配置して、各リンク部材の交点同士を中心軸によって連結すると共に各リンクプレートの端部近傍同士をそれぞれ連結軸で連結してリンクユニットを形成し、リンクユニットの上部側の連結軸と他のリンクユニットの下部側の連結軸とを共有させるようにして複数連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、そして、対向するようにして位置する連結軸同士を少なくとも2ヶ所以上でリンク機構を伸長させる方向に付勢する弾性部材を架設して構成されたことを特徴とするリンクバネ装置を提供する。
【0013】
上記課題を解決するために請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリンクバネ装置において、弾性部材は着脱可能とされていることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のリンクバネ装置において、弾性体は引張りバネであることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリンクバネ機構において、リンクプレートの先端部近傍が所定の角度で折り曲げられていることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリンクバネ機構において、弾性部材の張力を変えることにより伸縮圧力の調整を行うことを可能としたことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために請求項6記載の発明は、2つのリンクプレートをX字状に交差させてリンク部材を形成し、リンク部材の交点を中心軸によって軸支すると共に、各リンクプレートの端部近傍に連結軸を取り付け、2つの連結軸を共有させるようにして別のリンク部材を連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、そして、リンク機構を伸長させる方向に付勢するように2つの連結軸同士に弾性部材を架設して構成されたことを特徴とするリンクバネ装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係るリンクバネ装置によれば、リンクバネ装置全体があたかも一つのバネのように作用するので、単なる昇降手段としてのリンク機構ではなくバネの代用として利用することができるという効果がある。
【0019】
また、本発明に係るリンクバネ装置によれば、全体が構造体とされているので支柱等の支えを必要とすることなくリンクバネ装置自体で上部に物体を弾性的に戴置することができるという効果がある。
【0020】
また、本発明に係るリンクバネ装置によれば、配設するバネを付け替えて弾性力を変更することにより様々な強度及び性質のリンクバネ装置を提供できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るリンクバネ装置の第一の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係るリンクバネ装置の第一の実施形態の斜視図である。
【0022】
初めに、図示されたリンクバネ装置1は、概略として、後述するリンクユニット10が複数連設されて形成されており、リンクユニット10は、以下のように構成されている。すなわち、図3に示すように、2つのリンクプレート15a、15bをX字状に交差させて形成された2つのリンク部材11a、11bを、一対としてそれぞれ対向させるように配置し、各リンク部材11a、11bのリンクプレート15a、15bの交点同士を中心軸17によって回動自在に連結すると共に、各リンクプレート15a、15bの端部近傍同士をそれぞれ連結軸19a、19bで連結することによりリンクユニット10が形成されている。
【0023】
リンクユニット10の上部側の連結軸は、それよりも上部側に配置されるリンクユニット10の下部側の連結軸19b、19bと共有となっており、他のリンクユニット10も同様に連結軸19b、19bが共有となっている。このようにしてリンクユニット10を上下方向に複数連設することによって伸縮自在なリンク機構が形成されている。そして、それぞれ対向するようにして配置されている連結軸19a、19a同士及び連結軸19b、19b同士を少なくとも2ヶ所以上でリンク機構を伸長させる方向(図1の矢印方向)に付勢する弾性部材20、20を架設することにより構成されている。
【0024】
図4に示すように、リンクプレート15a、15bは、例えば、鋼板を細長く薄板状にして形成されており、その両端部近傍にはそれぞれ孔部16b、16bが穿設され、中央部には孔部16aが穿設されている。従って、リンクプレート15a、15bには少なくとも3箇所に孔部が穿設されている。もちろん、リンクプレート15a、15bは、材質や形状はこれに限るものではなく剛性を有する適宜の材質により形成することができる。
【0025】
一対のリンク部材11a、11bの両孔部16a同士を連結する中心軸17は、丸棒状の部材によって構成されている。一方、一対のリンク部材11a、11bの各孔部16b同士を連結する連結軸19a、19bも、同様に、丸棒状の部材によって構成されている。この中心軸17と連結軸19a、19bの長さと、リンクプレート15a、15bの長さを適宜調整することによって取り付け面積が比較的広い安定したリンクバネ装置1としたり、取り付け面積が狭いよりコンパクトなリンクバネ装置1としたりすることができる。尚、中心軸17及び連結軸19a、19bにボールベアリング等を介在させることによりリンクバネ装置1の伸縮をよりスムーズなものにすることができる。
【0026】
以上のようにして伸縮可能なリンク機構が形成されているが、さらに、各リンクユニット10に水平方向に対向するようにして位置している連結軸19a、19a同士及び連結軸19b、19b同士を弾性部材20、20、例えば、バネ、好ましくは引っ張りコイルバネを架設することによりリンク機構を伸長させる方向(図1の矢印方向)に付勢するようになっている。この弾性部材20、20は少なくとも上下方向における2ヶ所の連結軸19a、19b同士を連結するようにして配置する。もちろん、一ヶ所の連結軸19a、19aに1又は複数の弾性部材20を配置することも可能である。
【0027】
図5に示すように、弾性部材20はその両端にフック21が形成され、これにより簡単に連結軸19a、19bに着脱することができるようになっている。また、取り付ける弾性部材の引っ張り強度を各部位で同じにしてもよいが、適宜変えることにより様々なリンクバネ装置1の特性を生ぜしめることもできる。
【0028】
次に、このリンクバネ装置1の動作について説明する。
リンクバネ装置1はこれまでのバネには見られない特有の動きをする。すなわち、リンクバネ装置1の上部に何も物体を戴置しない状態では、弾性部材20が連結軸19a、19aを引っ張る方向に力が働くので、全体として上方に伸びた形状となる(図1参照)。
【0029】
そして、リンクバネ装置1の上部に加重を加えるとリンク部材11a、11bは弾性部材20の引っ張り力に抗して連結軸19a、19aが次第に離れる方向に移動する。さらに加重を加えるとリンクプレート15a、15bはさらに拡開しながらその高さが次第に低くなっていく。そして、この動きに追従するようにして下段側のリンクユニット10も同様の動作を行い、さらにその下段側のリンクユニット10も同様の動作を行う。このとき、リンクバネ装置1は、弾性部材20である引張りばねの引っ張り力を受けているので上部への加重を加えたり開放したりするとリンクバネ装置1全体があたかも一つのバネのように加重を柔軟に受け止めるように動作する。
【0030】
さらに加重を加えるとリンクバネ装置1は、さらに低くなるが、特筆すべきはリンク機構がある一定の高さ位置まで低くなると加重を支えるべき力が弱まるということである。すなわち、このリンクバネ装置1は、ある程度の高さまでは強い力加重を支えながら次第に縮まるが、その高さが所定の高さ位置まで押し縮められると今度はこれまで加えられた力よりも更に弱い力でリンク機構を押し縮めることができるようになる。この点、通常の押しバネの場合は、負荷のかかっていない状態から負荷を加えていくと初めは少ない負荷で押し縮めることができるが、次第に押し縮められるに従ってその反発力は大きくなる。このように、リンクバネ装置1は、これまでの押しバネとは加重に対して全く逆の作用をする。
【0031】
この点について、図6〜10を参照しつつ説明する。図6に示すのは、1つのリンクユニット10の正面図であり、互いのリンクプレートのなす角度が60°となった状態を示している。このとき、連結軸に架設される弾性部材としての引っ張りバネは、初張力0.235、バネ定数0.016kg/mm、ストローク70〜140mmとする。そして、バネの引張力をF、リンクユニットの上昇力をW、下側の連結軸と中心軸までの距離をX、中心軸からの鉛直線と下側の連結軸を結んだ線との交点からいずれか一方側の連結軸までの距離をYとすると、上昇力Wは、W=FX/2Yとなる。
具体的には、引張力Fは以下のように計算される。
F=(2Y−バネ自由長)×バネ定数+初張力
すなわち、F=(2×37.5−70)×0.016+0.235
=0.315kg
となる。
そして、上昇力Wは、W=FX/2Yだから、
W=0.315×64.952/2×37.5
=0.2728kg
となる。
また、Fを5kgと設定すれば、Wは4.3301kgとなる。
【0032】
同様にして、互いのリンクプレートのなす角度が80°、100°、120°、140°の場合についてみてみると、上昇力Wは、それぞれ、0.3919kg、0.4000kg、0.3445kg、0.2494kgとなる。このように、上昇力Wは、互いのリンクプレートのなす角度が次第に大きくなるにつれて次第に増加しながらも所定の角度を過ぎると次第に減少していくのがわかる。
【0033】
上述したように、本発明に係るリンクバネ装置は、初めに急激に加えられる加重を強い力で支え、次第にその力が減衰していくように働くため、例えば、椅子、運動用具、ショックアブソーバ等として利用することも可能である。
また、本発明に係るリンクバネ装置は、それ自体が構造体として機能するのでその上部に物体を直接戴置することができる。
【0034】
次に、本発明に係るリンクバネ装置の第二の実施形態について図11を参照しつつ説明する。図11は第二の実施形態における上下のリンクユニット10をそれぞれ連結軸19a、19aを共有して連設した部分の拡大図である。
【0035】
図示されたリンクバネ装置2の基本的構成は、上述した第一の実施形態のリンクバネ装置1と同様である。異なるのはリンクプレート15a、15bの先端近傍が約25°略S字状に折り曲げられて形成されている点である。第一の実施形態におけるリンクバネ装置1は、加重が加えられて押し縮められ、弾性部材20の張力が最大になった時、リンクユニット10の先端部は極端に鋭角になりリンクプレート15a、15bが一直線に近い状態となり弾性部材20の張力が著しく減殺される。そのため、リンクプレート15a、15bの先端に角度を付けることによってそのような作用を防止することが期待できる。
【0036】
次に、第三の実施形態のリンクバネ装置3について図12、図13を参照しつつ説明する。第三の実施形態のリンクバネ装置3は、第一の実施形態におけるリンクプレート15a、15bをX字状に交差させて配置し、その中央部に穿設された孔部16a同士を中心軸17で回動可能に連結してリンク部材11aを形成する。そして、リンクプレート15a、15bの両端部近傍に穿設された孔部16b、16bにそれぞれ連結軸19a、19bを取り付けると共に、2つの連結軸19a、19bを共有させるようにして別のリンク部材11aを連設して上下に伸縮可能なリンク機構を形成する。そして、リンク機構を伸長させる方向に付勢するようにして2つの連結軸同士を結ぶように弾性部材20を架設することによって構成されている。つまり、第三の実施形態のリンクバネ装置3は、第一の実施形態のリンクバネ装置1の一方側のリンク部材11bが取り除かれたような形状をなしている。
【0037】
このリンクバネ装置3は、基本的にはリンクバネ装置1と同様に動作する。尚、第2の実施形態におけるリンクバネ装置2のように、リンクバネ装置3のリンクプレート15a、15bの先端近傍を所定の角度折り曲げて略S字状に形成することができるのはいうまでもない。
【0038】
以上のように、本発明に係るリンクバネ装置は、これまで周知の押しバネと違い、初めに急激に加えられる加重を強い力で支え、次第にその力が減衰していくように働くため様々な分野で利用されることが大いに期待される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第一の実施形態におけるリンクバネ装置の無加重の状態を示す斜視図である。
【図2】図1のリンクバネ装置の押し縮められた状態を示す斜視図である。
【図3】リンクユニットの斜視図である。
【図4】リンクプレートの斜視図である。
【図5】弾性部材の正面図である。
【図6】リンクユニットの角度が60°のときの上昇力を示す図である。
【図7】リンクユニットの角度が80°のときの上昇力を示す図である。
【図8】リンクユニットの角度が100°のときの上昇力を示す図である。
【図9】リンクユニットの角度が120°のときの上昇力を示す図である。
【図10】リンクユニットの角度が140°のときの上昇力を示す図である。
【図11】第二の実施形態におけるリンクバネ装置の上下のリンクユニットを連設した部分を示す拡大図である。
【図12】第三の実施形態におけるリンクバネ装置の斜視図である。
【図13】第三の実施形態におけるリンク部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1,2,3 リンクバネ装置
10 リンクユニット
11a、11b リンク部材
15a、15b リンクプレート
16a、16b 孔部
17 中心軸
19a、19b 連結軸
20 弾性部材
21 フック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのリンクプレートをX字状に交差させてリンク部材を形成し、一対の前記リンク部材をそれぞれ対向させるように配置して、各前記リンク部材の交点同士を中心軸によって連結すると共に各前記リンクプレートの端部近傍同士をそれぞれ連結軸で連結してリンクユニットを形成し、当該リンクユニットの上部側の連結軸と他のリンクユニットの下部側の連結軸とを共有させるようにして複数連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、そして、対向するようにして位置する前記連結軸同士を少なくとも2ヶ所以上で当該リンク機構を伸長させる方向に付勢する弾性部材を架設して構成されたことを特徴とするリンクバネ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリンクバネ装置において、
前記弾性部材は着脱可能とされていることを特徴とするリンクバネ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリンクバネ装置において、
前記弾性体は引張りバネであることを特徴とするリンクバネ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリンクバネ機構において、
前記リンクプレートの先端部近傍が所定の角度で折り曲げられていることを特徴とするリンクバネ機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のリンクバネ機構において、
前記弾性部材の張力を変えることにより伸縮圧力の調整を行うことを可能としたことを特徴とするリンクバネ装置。
【請求項6】
2つのリンクプレートをX字状に交差させてリンク部材を形成し、前記リンク部材の交点を中心軸によって軸支すると共に、各前記リンクプレートの端部近傍に連結軸を取り付け、2つの前記連結軸を共有させるようにして別のリンク部材を連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、そして、当該リンク機構を伸長させる方向に付勢するように2つの前記連結軸同士に弾性部材を架設して構成されたことを特徴とするリンクバネ装置。
【請求項1】
2つのリンクプレートをX字状に交差させてリンク部材を形成し、一対の前記リンク部材をそれぞれ対向させるように配置して、各前記リンク部材の交点同士を中心軸によって連結すると共に各前記リンクプレートの端部近傍同士をそれぞれ連結軸で連結してリンクユニットを形成し、当該リンクユニットの上部側の連結軸と他のリンクユニットの下部側の連結軸とを共有させるようにして複数連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、そして、対向するようにして位置する前記連結軸同士を少なくとも2ヶ所以上で当該リンク機構を伸長させる方向に付勢する弾性部材を架設して構成されたことを特徴とするリンクバネ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリンクバネ装置において、
前記弾性部材は着脱可能とされていることを特徴とするリンクバネ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリンクバネ装置において、
前記弾性体は引張りバネであることを特徴とするリンクバネ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリンクバネ機構において、
前記リンクプレートの先端部近傍が所定の角度で折り曲げられていることを特徴とするリンクバネ機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のリンクバネ機構において、
前記弾性部材の張力を変えることにより伸縮圧力の調整を行うことを可能としたことを特徴とするリンクバネ装置。
【請求項6】
2つのリンクプレートをX字状に交差させてリンク部材を形成し、前記リンク部材の交点を中心軸によって軸支すると共に、各前記リンクプレートの端部近傍に連結軸を取り付け、2つの前記連結軸を共有させるようにして別のリンク部材を連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、そして、当該リンク機構を伸長させる方向に付勢するように2つの前記連結軸同士に弾性部材を架設して構成されたことを特徴とするリンクバネ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−107678(P2007−107678A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301347(P2005−301347)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(301041508)株式会社オージーエー (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(301041508)株式会社オージーエー (9)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]