説明

リーチ式フォークリフト

【課題】運転席の床面積を確保、および、床面の低床化を両立することができるリーチ式フォークリフトを提供する。
【解決手段】駆動輪31を有するドライブユニット30を、車両本体10に対して上下方向に相対移動可能に支持する上部アーム51と、補助輪41を有するキャスタユニット40を、車両本体10に対して上下方向に相対移動可能に支持するキャスタアーム42と、ドライブユニット30とキャスタユニット40との間の上下方向の相対移動が逆方向になるように上下方向の相対移動を相互に伝達する下部アーム52とを備え、下部アーム52にリーチシリンダ24の上端が内部に進入可能な凹部52Dを設けたことにより、リーチシリンダ24と下部アーム52との干渉を回避できると共に、車両本体10の左右方向にわたって、リンク機構50およびリーチシリンダ24を配置する際に要する空間高さを低くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーチ式フォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、荷物の運搬に用いられる車両として、リーチ式フォークリフト(以下、「フォークリフト」と表記する。)が知られている。フォークリフトは、車両前方に荷物を扱うフォーク(つめ)や、フォークを上下方向に移動可能に支持するマスト(支柱)等を備え、遊動輪である二つの前輪および操舵輪である一つの後輪を備えている。後輪は操舵輪であると共に、フォークリフトを走行させるモータ等の駆動源によって回転駆動される駆動輪でもある。一つの後輪は、フォークリフトの車両の後方における一方の側面(例えば左側面)に寄せて配置される場合が多い。この場合、車両の後方における他方の側面(例えば右側面)側には補助輪が配置されている。
【0003】
後輪および補助輪は、フォークリフトの車体におけるロール方向の揺動を吸収することを目的としたリンク機構を介して、フォークリフトの車体に懸架されている(例えば、特許文献1参照。)。このようにすることで、フォークリフトの車体がロール方向に揺動しても、リンク機構によって車体のロール方向の揺動が吸収され、後輪および補助輪は、安定して路面に接地し続けることができる。
【0004】
具体的には、フォークリフトの車体を後方から見て、車体が右側にロールした場合(車体の右側の下端が路面に近づく場合)には、補助輪が車体に近づく方向に押しこまれる。この車体に対する補助輪の動きが、上述のリンク機構を介して後輪に伝えられ、後輪は車体から離れる方向に移動する。つまり、後輪が路面に押し付けられる方向へ移動する。逆に車体が左側にロールした場合には、後輪が車体に近づく方向に押しこまれる。この車体に対する後輪の動きが、上述のリンク機構を介して補助輪に伝えられ、補助輪は路面に押し付けられる方向へ移動する。このようにして、後輪および補助輪は、車体のロールに関わらず、安定して路面に接地し続けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−105818号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の後輪および補助輪を備えたフォークリフトの場合、一般的に、補助輪の上方に作業者が搭乗する運転席が設けられている。この運転席の床面(フロア)は、作業者の乗り降りを容易にするために、可能な限り路面に近いこと(低床化されること)が望ましい。運転席の左右方向の幅については、搭乗した作業者が立つ床面積を確保するために必要な長さが確保されることが望ましい。
【0007】
しかしながら、運転席の低床化は、運転席の床面の下側にリーチシリンダと上述のリンク機構を配置する必要があることから、実現が困難であるという問題があった。
つまり、上述の特許文献1に記載されているようなリーチ式のフォークリフトの場合、荷物を扱うフォークおよびマスト等を車両に対して前後方向に移動させるリーチシリンダが設けられている。このリーチシリンダは、車両の最も下方であって、車両における前後方向に延びる中心線上に配置されると共に、路面から所定の高さ(固定された高さ)に配置されている。上述のリンク機構は、リーチシリンダの上側、かつ、運転席の床面の下側に配置される、つまりリーチシリンダと運転席の床面との間に配置される。このように、フォークリフトの運転席の床面高さは、路面からリーチシリンダが配置される高さと、リーチシリンダおよびリンク機構を配置する空間と、を確保した上で決定されるため、運転席の低床化が困難であった。
【0008】
なお、特許文献1の図1および図6に示されているロアリンクの形状は、回動中心となる軸などの配置や、ロアリンクの軽量化などの設計事項を考慮した上で決定されたものであり、上述の運転席の低床化とは無関係に設定されたものである。
【0009】
また、上述のリンク機構のうち、運転席の床面の下側に配置されるロワーリンクは、車両の左右方向に延びて配置されるリンク部材であり、左右方向における中央部分において前後方向に延びる軸部材によって揺動可能に支持されている。ロワーリンクにおける補助輪側の端部には補助輪が配置され、反対側の後輪側の端部には後輪が配置されている。
【0010】
ロワーリンクにおける中央部分から後輪側の端部までは、車両の中央に配置されるため、その下側にリーチシリンダが配置される。その一方で、ロワーリンクにおける補助輪側の端部は、下方に補助輪のみが配置される。そのため、ロワーリンクをクランク状に折り曲げられた形状とし、ロワーリンクにおける補助輪側の端部を路面に接近させて運転席の床面の低床化を図るとともに、後輪側の端部は路面から離れさせて、リーチシリンダを配置する空間を確保する方法も考えられる。
【0011】
しかしながら、ロワーリンクをクランク状に折り曲げた形状とすると、運転席における左右方向の幅が狭くなり、搭乗した作業者が立つ床面積を確保しにくくなるという問題があった。つまり、ロワーリンクにおける補助輪側の端部に相当する領域では、運転席の床面の低床化を図ることができるが、それ以外の領域、例えばロワーリンクをクランク状に折り曲げた部分では、低床化を図ることができない。その結果、運転席の床面における低床化された部分の左右方向の幅が狭くなり、搭乗した作業者が立つ床面積を確保しにくくなっていた。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、運転席の床面積を確保、および、床面の低床化を両立することができるリーチ式フォークリフトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のリーチ式フォークリフトは、車両の左右方向における一方の側面側に配置された駆動輪を有するドライブユニットと、車両の左右方向における他方の側面側に配置された補助輪を有するキャスタユニットと、左右方向に延びると共に、一方の側面側の端部において車両の前後方向に延びる下側揺動軸線まわりに揺動可能に支持され、他方の側面側の端部においてキャスタユニットを車両に対して上下方向に相対移動可能に支持するキャスタアームと、左右方向に延びると共に、一方の側面側の端部において車両の前後方向に延びる上側揺動軸線まわりに車両本体に揺動可能に支持され、他方の側面側の端部においてドライブユニットを車両本体に対して上下方向に相対移動可能に支持する上部アームと、左右方向に延びると共に、中央領域において下側揺動軸線まわりに車両本体に揺動可能に支持され、一方の側面側の端部は連結部を介してドライブユニットとの間でドライブユニットの上下方向の相対移動が相互に伝達され、他方の側面側の端部はキャスタユニットおよびキャスタアームとの間でキャスタユニットおよびキャスタアームの上下方向の相対移動が相互に伝達され、下側揺動軸線まわりに揺動することにより、ドライブユニットとキャスタユニットおよびキャスタアームとの間で上下方向の相対移動が逆方向になるように上下方向の相対移動を相互に伝達する下部アームと、を備え、下部アームにおける他方の端部から下側揺動軸線までの間の少なくとも一部には、上方に向かって凹み、下部アームが揺動した際に、車両の下部中央に配置されるとともに前後方向に延びるリーチシリンダの上端が内部に進入可能な凹部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明のリーチ式フォークリフトによれば、下部アームに凹部を設けたことにより、リーチシリンダが凹部に進入して下部アームとの干渉が回避されると共に、凹部が設けられていない場合と比較して、下部アームをリーチシリンダに接近した位置に配置することができる。言い換えると、下部アームを下方に配置することができる。また、下部アームに凹部を設けることにより、車両の左右方向にわたって、下部アームやリーチシリンダなどを配置する際に必要な空間高さが低くなる。
【0015】
つまり、揺動する下部アームの上側および下側には、リーチシリンダなどの下部アームと隣接する部材との干渉(衝突)を回避する空間(干渉回避空間)を確保する必要がある。下部アームに凹部を設けていない場合には、リーチシリンダの高さ、下側の干渉回避空間、下部アームの厚さ、上側の干渉回避空間を積み上げた長さが、下部アームおよびリーチシリンダを配置する際に必要な空間高さとなる。これに対して、本発明では、下部アームに凹部を設けて、上述の下側の干渉回避空間および下部アームの厚さの一部を重ね合わせることにより、重ね合わせの分だけ、下部アームをリーチシリンダに接近した位置に配置することができ、下部アームやリーチシリンダなどを配置する際に必要な空間高さを低くすることができる。
【0016】
上記発明においてリーチシリンダは、下部アームにおける他方の端部と下側揺動軸線との間の中央よりも、下側揺動軸線側に配置されていることが望ましい。
このようにリーチシリンダが、下部アームにおける他方の端部よりも、下側揺動軸線に接近して配置されることにより、リーチシリンダとの干渉を回避する凹部における凹み深さを浅くすることができる。つまり、下部アームが揺動する範囲は、下部アームの他方の端部よりも、揺動軸に支持されている部分の方が狭い。そのため、リーチシリンダとの干渉を回避する凹部における凹み深さも、リーチシリンダを他方の端部に接近させて配置した場合と比較して、下側揺動軸線に接近させて配置した方が浅くなる。言い換えると、下部アームの厚さを確保しやすくなり、下部アームの強度を確保しやすくなる。
【0017】
上記発明においてリーチシリンダは、下部アームにおける他方の端部と下側揺動軸線との間の中央よりも、他方の端部側に配置されていることが望ましい。
このようにリーチシリンダが、下部アームにおける下側揺動軸線よりも、他方の端部に接近して配置されることにより、リーチシリンダとの干渉を回避する凹部も他方の端部に接近して配置されることになり、凹部における凹み深さを大きくしやすくなり、下部アームとリーチシリンダとの干渉を回避しやすくなる。下部アームの強度を確保するために必要な部材の厚さは、下部アームにおける下側揺動軸線から他方の端部に近づくに伴い薄くなる。そのため、凹部を下部アームにおける下側揺動軸線の近傍に配置する場合と比較して、凹部を他方の端部に配置することで、下部アームの強度を確保しつつ凹部における凹み深さを大きくしやすくなる。
【0018】
上記発明において下部アームは、前後方向に間隔をあけて並んだ一対のアーム本体と、前後方向に延びて一対のアーム本体をつなぐ接続部と、からなり、接続部は、凹部の上端よりも上方の位置でアーム本体と接続されていることが望ましい。
【0019】
このように平行に並んだ一対のアーム本体をつなぐ接続部を、アーム本体に形成された凹部の上端よりも上方に配置することで、下部アームとリーチシリンダとの干渉をより確実に回避することができる。
【0020】
上記発明において車両における下部アームの上側には、車両の前後方向および左右方向に延びる板状のフレームが配置され、フレームには、上方向に揺動した下部アームにおける少なくとも一部の進入を許容し、フレームと下部アームとの干渉を回避する切欠き部が設けられていることが望ましい。
【0021】
このように下部アームの上側に配置されるフレームに切欠き部を設けて、この切欠き部に、上方向に揺動した下部アームの一部、特に他方の端部近傍の上端の進入を可能とし、フレームと下部アームとの干渉を回避することで、下部アームの配置高さが更に低くなる。
【0022】
つまり、揺動する下部アームとフレームとの間には、干渉を回避する上側の回避空間を確保する必要があるが、フレームに切欠き部を設けることにより、上側の干渉回避空間および下部アームの厚さの一部を重ね合わせることができる。その結果、重ね合わせの分だけ、下部アームを配置する高さを、更に低くすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のリーチ式フォークリフトによれば、下部アームに凹部を設けたことにより、リーチシリンダと下部アームとの干渉を回避すると共に、下部アームをリーチシリンダに接近した位置に配置することができる。また、車両の左右方向にわたって、下部アームやリーチシリンダなどを配置する際に必要な空間高さが低くなる。路面からリーチシリンダまでの高さは所定の高さに固定されていることから、下部アームの上側に配置される運転席の床面の面積を確保するとともに、床面の低床化を両立することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係るフォークリフトの全体構成を説明する模式図である。
【図2】図2は、図1のフォークリフトにおけるドライブユニット、キャスタユニット、および、リンク機構の構成を説明する模式図である。
【図3】図2の下部アームの構成を説明する部分拡大背面図である。
【図4】図2の下部アームの構成を説明する上面視図である。
【図5】下部アームとリーチシリンダとの相対配置における他の実施例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の一実施形態に係るフォークリフト(リーチ式フォークリフト)1について、図1から図5を参照して説明する。図1は本実施形態に係るフォークリフト1の全体構成を説明する模式図であり、図1(a)は平面視図であり、図1(b)は側面視図である。
【0026】
本実施形態のフォークリフト1は、荷物の運搬に用いられるものであり、特に工場や、倉庫や、貨物駅や港湾等の構内における荷役作業に用いられるものである。フォークリフト1には、図1に示すように、運転者(乗員)が乗り込む車両本体10と、荷物を取り扱う荷役部20と、が主に設けられている。
【0027】
図2は、図1のフォークリフト1におけるドライブユニット30、キャスタユニット40、および、リンク機構50の構成を説明する模式図である。
車両本体10には、図1に示すように、フォークリフト1の走行に用いられる前輪11や、前輪11が配置されているアウトリガー13や、運転者が搭乗する運転席14が設けられている。さらに車両本体10には、図2に示すように、フォークリフト1の走行に用いられる後輪(駆動輪)31を有するドライブユニット30や、補助輪41を有するキャスタユニット40や、ドライブユニット30およびキャスタユニット40の間をつなぐリンク機構50や、車両本体10に対して荷役部20を前後方向に移動させるリーチシリンダ24などが設けられている。
【0028】
前輪11は、図1(a)および図1(b)に示すように、アウトリガー13の前方端部にそれぞれ配置された一対の車輪である。本実施形態では、前輪11が、車両本体10に対して回転軸の向きが固定された遊動輪である例に適用して説明する。
【0029】
ドライブユニット30は、図2に示すように、車両本体10の内部の左後端に配置され、フォークリフト1を前方向や後方向に走行させると共に、右旋回や左旋回させるものである。ドライブユニット30は、車両本体10に対して上下方向に延びる軸線まわりに回転可能に支持され、かつ、運転席14のハンドル15を回転させることにより、上述の軸線まわりに回転される。このようにドライブユニット30が軸線まわりに回転されることにより、フォークリフト1は右旋回や左旋回を行う。ドライブユニット30には、路面と接触してフォークリフト1を上述のように移動させる後輪31と、後輪31を支持すると共に後輪31を回転駆動させる駆動部本体32と、が主に設けられている。
【0030】
後輪31は、車両本体10の左後端において路面と接地する車輪であり、駆動部本体32に供えられたモータ等の駆動源により回転駆動される駆動輪である。さらに、後輪31は、ドライブユニット30と共に上述の上下方向に延びる軸線まわりに回転することにより、フォークリフト1の進行方向を定める操舵輪でもある。
【0031】
駆動部本体32は、後輪31を回転させる駆動力を発生させるモータ等の駆動源(図示せず)と、当該駆動源において発生した回転駆動力を後輪31に伝達するギヤなどの伝達部(図示せず)などを内部に収納したものである。また、駆動部本体32は、リンク機構50の上部アーム51および連結部53により、車両本体10に対して上下方向に相対移動可能に支持されたものである。
【0032】
キャスタユニット40は、車両本体10の内部の右後端に配置され、運転席14の下方に配置され、前輪11および後輪31と共に車両本体10を走行可能に支持するものである。キャスタユニット40には、路面と接触する車輪である補助輪41と、車両本体10および下部アーム52に対して補助輪41を上下方向に相対移動可能に支持するキャスタアーム42と、補助輪41の相対移動を弾性的に支持するキャスタスプリング43と、が主に設けられている。
【0033】
補助輪41は、フォークリフト1の走行に伴って回転する車輪であり、かつ、キャスタアーム42に対して上下方向に延びる軸線まわりに回転可能に支持されたものである。本実施形態では、補助輪41が一対の車輪の組から構成されている例に適用して説明するが、一つの車輪から構成されていてもよく、特に限定するものではない。
【0034】
キャスタアーム42は、補助輪41を上述の軸線まわりに回転可能に支持するとともに、車両本体10に対して上下方向に相対移動可能に支持するものである。キャスタアーム42は、上面視において、略V字状または略コの字状に形成され、一対の端部に設けられた貫通孔にリンク機構50の揺動軸56が挿通されている。そのため、キャスタアーム42は、揺動軸(下側揺動軸線)56を中心として揺動可能に支持され、キャスタアーム42の揺動により補助輪41が上下方向に移動する。また、補助輪41は、略V字状または略コの字状に形成されたキャスタアーム42の略中央に取り付けられている。
【0035】
キャスタスプリング43は、キャスタアーム42と下部アーム52との間に配置されたコイルばねであり、補助輪41およびキャスタアーム42と、下部アーム52との間で、両者の動きを一方から他方へ、他方から一方へ伝えるものである。さらに、キャスタスプリング43は、この動きを伝える際に伸縮することにより、急激な動きを吸収するものである。
【0036】
具体的には、キャスタスプリング43は、キャスタアーム42における補助輪41が取り付けられた端部と、揺動軸56が挿通された端部との間に配置されている。キャスタスプリング43は、一方の端部がキャスタアーム42の上面に配置され、他方の端部が下部アーム52における端部の下面と接触するように配置されている。また、キャスタスプリング43の内部には、キャスタアーム42から上方に向かって円錐台状に突出する突出部44が配置され、この突出部44によってキャスタスプリング43の配置位置が規定されている。
【0037】
リンク機構50は、ドライブユニット30を車両本体10に対して上下方向に相対移動可能に支持し、かつ、キャスタアーム42と共にキャスタユニット40を車両本体10に対して上下方向に相対移動可能に支持するものである。さらに、リンク機構50は、車両本体10に対するドライブユニット30の上下方向への相対移動と、キャスタユニット40の上下方向への相対移動と、が反対方向への移動になるようにするものである。リンク機構50には、上部アーム51と、下部アーム52と、連結部53と、が主に設けられている。
【0038】
上部アーム51は、リンク機構50の上方に配置されると共に運転席14の側方に配置され、ドライブユニット30を車両本体10に対して上下方向へ相対移動可能に支持する部材である。上部アーム51は、車両本体10の左右方向へ延びると共に、前後方向へ間隔をあけて並んで配置される一対の角柱状の部材から主に構成されている。
【0039】
上部アーム51は、ドライブユニット30側の端部において連結部53を前後方向から挟み、連結部53に対して回動可能に取り付けられている。その一方で、上部アーム51におけるキャスタユニット40側の端部は、上部リンク軸54によって板状に形成された一対の上部ブラケット17Bを介して車両本体10に揺動可能に取り付けられている。言い換えると、上部リンク軸54の両端は、一対の上部ブラケット17Bにより、それぞれ支持されている。上部アーム51は上部リンク軸(上側揺動軸線)54まわりに揺動し、連結部53およびドライブユニット30に対して相対的に回転することにより、ドライブユニット30を上下方向へ相対移動可能に支持する。
【0040】
図3は、図2の下部アーム52の構成を説明する部分拡大背面図である。図4は、図2の下部アーム52の構成を説明する上面視図である。
下部アーム52は、リンク機構50の下方に配置されると共に運転席14の下方に配置され、ドライブユニット30およびキャスタユニット40における上下方向への移動を相互に伝達する部材である。下部アーム52には、図2から図4に示すように、アーム本体52Aと、当接部52Bと、接続部52Cと、凹部52Dと、が主に設けられている。
【0041】
アーム本体52Aは、車両本体10の左右方向へ延びると共に、前後方向へ間隔をあけて並んで配置される一対の角柱状の部材である。一対のアーム本体52A,52Aの内側には、キャスタユニット40および連結部53が配置されている。一対のアーム本体52A,52Aは、その左右方向の略中央が揺動軸56によって、板状に形成された一対の下部ブラケット17Cを介して車両本体10に対して揺動軸(下側揺動軸線)56まわりに揺動可能に支持されている。言い換えると、揺動軸56の両端は、フレーム17よりも下方に配置された一対の下部ブラケット17Cにより、それぞれ支持されている。また、一対のアーム本体52A,52Aにおけるドライブユニット30側の端部(一方の側面側の端部)は、下部リンク軸55によって連結部53に対して回動可能に取り付けられている。
【0042】
一対のアーム本体52A,52Aは、車両本体10の前後方向に延びる当接部52Bおよび接続部52Cによってつながれている。
当接部52Bは、キャスタユニット40側の端部(他方の側面側の端部)において、一対のアーム本体52A,52Aをつなぐ板状に形成された部材である。本実施形態では、当接部52Bが一対のアーム本体52A,52Aにおける上端と接続されている例に適用して説明する。当接部52Bの下面は、キャスタユニット40のキャスタスプリング43の上端が接触する面である。
【0043】
接続部52Cは、揺動軸56と下部リンク軸55との間において、一対のアーム本体52A,52Aをつなぐ板状に形成された部材である。本実施形態では、接続部52Cが一対のアーム本体52A,52Aにおける上下方向の略中央であって、凹部52Dの上端(アーム本体52Aの下面)よりも上方に接続されている例に適用して説明する。
【0044】
このように一対のアーム本体52A,52Aをつなぐ接続部52Cを、アーム本体52Aに形成された凹部52Dの上端よりも上方に配置することで、下部アーム52とリーチシリンダ24との干渉をより確実に回避することができる。なお、接続部52Cがアーム本体52Aと接続される位置は、凹部52Dの上端よりも上方であればよく、特に限定するものではない。
【0045】
接続部52Cとアーム本体52Aとのつなぎ目は、接続部52Cの外面とアーム本体52Aの外面とを滑らかにつなぐ曲面とされている。この曲面の曲率は、凹部52Dが設けられていない従来の下部アームと比較して、大きい値に設定されている。このようにすることで、接続部52Cとアーム本体52Aとのつなぎ目に応力が集中することを抑制できる。特に、本実施形態の下部アーム52のように、アーム本体52Aに凹部52Dを設けた場合、アーム本体52Aにおける凹部52Dが設けられた領域つまり接続部52Cが接続された領域は、特に応力が集中しやすいため、つなぎ目の曲率を大きくすることによる応力集中の緩和効果が表れやすい。
【0046】
凹部52Dは、下部アーム52における一対のアーム本体52A,52Aに形成された凹みであり、接近して配置されたアーム本体52Aとリーチシリンダ24との接触を回避するものである。凹部52Dは、一対のアーム本体52A,52Aの下面における揺動軸56と下部リンク軸55との間に、上方に向かって凹んで形成されたものである。本実施形態では、凹部52Dは、その上端がアーム本体52Aの上下方向における中央に至るように凹んで形成されている例に適用して説明する。
【0047】
凹部52Dの上端の位置、つまり凹みの深さは、下部アーム52がリーチシリンダ24に向かって最も揺動した時(最大揺動時)に、リーチシリンダ24と下部アーム52とが干渉しないように(所定間隔の隙間が残るように)設定される。この最大揺動時とは、ドライブユニット30が車両本体10に対して相対的に下方へ最も移動した時、具体的には、ドライブユニット30の下方への相対移動を制限するストッパにより下方の相対移動が制限された時のことである。ドライブユニット30の相対移動がストッパに制限される場合としては、ドライブユニット30の後輪31が穴にはまった場合や、フォークリフト1が左旋回して車両本体10が右へロールした(右へ傾いた)場合である。また、最大揺動時における下部アーム52の揺動角度は、後輪31および補助輪41の摩耗による角度変化や、交換による取付け位置の誤差による角度変化も考慮された最大の揺動角度が用いられている。
【0048】
また凹部52Dは、キャスタユニット40側の端が揺動軸56の近傍まで、ドライブユニット30側の端が下部リンク軸55の近傍まで延びている例に適用して説明する。なお、凹部52Dの凹みの深さや、キャスタユニット40側の端およびドライブユニット30側の端の配置位置は、下部アーム52に求められる強度の確保と、リーチシリンダ24との接触回避に必要な空間の確保と、が両立する範囲で定められていればよく、特に限定するものではない。
【0049】
連結部53は、図2に示すように、上部アーム51と下部アーム52との間に配置された部材であり、かつ、ドライブユニット30の駆動部本体32に取り付けられるブラケット等の部材でもある。連結部53は、運転席14の側方に配置される部材であると共に、車両本体10の上下方向に延びる板状の部材であり、上側の端部において駆動部本体32を支持可能に取り付けられている。連結部53と上部アーム51とは、連結部53の上端において、車両本体10の前後方向に延びる軸線まわりに回動可能に接続されている。また、連結部53と下部アーム52とは、連結部53の下端において、下部リンク軸55まわりに回動可能に接続されている。
【0050】
連結部53と車両本体10との間には、駆動部スプリング57が配置されている。
駆動部スプリング57は、ドライブユニット30および連結部53に対して上下方向への付勢力、特にドライブユニット30を路面に押し付ける付勢力を加えるものである。駆動部スプリング57は、軸線が上下方向に延びるコイルばねであり、下端が連結部53の上端に接触して配置されている。駆動部スプリング57の上端は、車両本体10に固定された取付部57Aに取り付けられている。取付部57Aには、駆動部スプリング57による付勢力を調整する調整機構が設けられている。
【0051】
リーチシリンダ24は、車両本体10の下面中央に、車両本体10の前後方向に延びて配置された油圧シリンダである。リーチシリンダ24から路面までの距離である高さは、予め定められている所定の高さに固定されている。リーチシリンダ24におけるピストンの端部は荷役部20に取り付けられ、シリンダチューブは車両本体10に固定されている。リーチシリンダ24のシリンダチューブ内はピストンにより2つの空間に仕切られ、油圧ポンプ等の昇圧手段により昇圧された油を供給する上述の空間を選択することにより、リーチシリンダ24のピストンは、シリンダチューブから突出したり、シリンダチューブの内部に引き込まれたりする。このピストンの動きにより荷役部20が車両本体10の前方を押しだされ(リーチアウトされ)たり、車両本体10に引き寄せられ(リーチインされ)たりする。
【0052】
アウトリガー13は、図1(a)および図1(b)に示すように、車両本体10における下方前方に設けられた一対のアーム状の部材であり、車両本体10における前面下端の左右端から、前方に向かって平行に並んで延びて配置されたものである。一対のアウトリガー13,13の間には荷役部20が配置され、荷役部20は一対のアウトリガー13,13の間を前後方向に移動可能とされている。
【0053】
運転席14は、運転者がフォークリフト1に乗り込み、起立した姿勢でフォークリフト1を運転操作する場所である。運転席14は、車両本体10における右後端に設けられ、上述の後輪31を操舵するためのハンドル15が設けられている。その他にも、荷役部20を操作するレバー等の操作部16が運転席14に設けられている。
【0054】
運転席14の下方には、図2に示すように、車両本体10を構成するフレーム17および下部クロスメンバ17Aが配置されている。フレーム17は、運転席14の床面(以下、「フロアプレート14A」と表記する。)のうち、ドライブユニット30側の領域の下方に配置された概ね矩形に形成された板状の部材である。フレーム17における車両本体10の後側の端部は、車両本体10の後端を左右方向に延びる後端フレームに固定されている。また、フレーム17における車両本体10の前側の端部は、車両本体10の中央を左右方向に延びる中央フレームに固定されている。後端フレームおよび中央フレームは、他の構成部材とともに車両本体10を構成するものである。フレーム17におけるドライブユニット30側の縁のうち、下部アーム52のアーム本体52Aと対向する部分には、上方へ揺動したアーム本体52Aが進入する切欠き部18が形成されている。切欠き部18は、フレーム17の縁からキャスタユニット40側に向かって延びるスリット状に形成された凹部である。
【0055】
下部クロスメンバ17Aは、運転席14におけるドライブユニット30側の側面に配置された板状の部材である。下部クロスメンバ17Aは、下端がフロアプレート14Aまで延び、上端は上部ブラケット17Bまで延びている。下部クロスメンバ17Aの上端における前方側の端面、および、後方側の端面には、上部ブラケット17Bが配置されている。フレーム17は、その上方にフロアプレート14Aおよび下部クロスメンバ17Aが配置され、下方に下部ブラケット17Cが配置されている。上方にフロアプレート14Aおよび下部クロスメンバ17Aが配置されているため、フレーム17は、配置位置を上方に移動させることが難しい。
【0056】
荷役部20には、荷物を積むために用いられるフォーク21と、フォーク21が取り付けられる昇降体22と、フォーク21および昇降体22が上下方向に移動するマスト23と、が主に設けられている。
【0057】
フォーク21は、昇降体22の前面に設けられた一対のアーム状の部材であり、昇降体22における前面下端の左右端から、前方に向かって平行に並んで延びて配置されたものである。フォーク21は、荷物が載せられる概ね直方体状に形成されたパレットの挿入孔に差し込まれるものであり、パレットのみ、または、荷物が載せられたパレットを持ち上げたり、降ろしたりするものである。
【0058】
昇降体22は、フォーク21を支持するものであり、かつ、マスト23との間に配置された昇降シリンダ(図示せず)により、マスト23に沿って上下方向に移動可能とされたものである。
【0059】
マスト23は、平行に対向して配置された一対の柱状の部材であり、上下方向に延びて配置されたものである。さらに、一対のマスト23,23は、間に配置されたフォーク21および昇降体22が上下方向に昇降可能に支持するものである。
【0060】
次に、上記の構成からなるフォークリフト1のリンク機構50の働きについて図2を参照しながら説明する。
例えば、フォークリフト1が前進しながら右方向に旋回した場合、車両本体10は左側へロールし、ドライブユニット30は車両本体10の内部へ押しこまれる。言い換えると、ドライブユニット30は、車両本体10に対して相対的に上方向へ移動する。このとき、リンク機構50の上部アーム51は、上部リンク軸54を中心として、ドライブユニット30側の端部が上方向へ揺動しつつ、ドライブユニット30を支持している。
【0061】
また、ドライブユニット30に取り付けられている連結部53は、ドライブユニット30の動きとともに上方へ移動する。すると、連結部53と回動可能に接続された下部アーム52のドライブユニット30側の端部も上方へ移動する。このとき、下部アーム52のアーム本体52Aにおけるドライブユニット30側の上部は、フレーム17の切欠き部18に進入する。
【0062】
下部アーム52における連結部53側の端部が上方向へ移動すると、下部アーム52は揺動軸56を中心として揺動し、下部アーム52のキャスタユニット40側の端部は反対の下方向へ移動する。下部アーム52におけるキャスタユニット40側の端部の下方向への動きは、キャスタスプリング43を介してキャスタアーム42に伝わり、キャスタアーム42は揺動軸56を中心として揺動し、補助輪41が取り付けられた端部は下方向へ移動する。その結果、補助輪41は車両本体10に対して下方向へ相対的に移動する。言い換えると、車両本体10から下方向へ突出し、補助輪41は路面との接触を保ち続けることができる。
【0063】
逆に、フォークリフト1が前進しながら左方向に旋回した場合、車両本体10は右側へロールし、キャスタユニット40は車両本体10の内部へ押しこまれる。言い換えると、キャスタユニット40は、車両本体10に対して相対的に上方向へ移動する。このとき、キャスタアーム42は揺動軸56を中心として揺動し、補助輪41が取り付けられた端部は上方向へ移動する。
【0064】
キャスタアーム42の動きは、キャスタスプリング43を介して下部アーム52のキャスタユニット40側の端部に伝えられる。下部アーム52は揺動軸56を中心として揺動し、キャスタユニット40側の端部は上方向に移動し、ドライブユニット30側の端部は下方向に移動する。このとき、リーチシリンダ24は、少なくともその上端が、下部アーム52の凹部52Dに進入することにより下部アーム52との衝突(干渉)が回避されている。
【0065】
下部アーム52におけるドライブユニット30側の端部が下方向に移動すると、下部アーム52に回動可能につながれた連結部53も下方向に移動する。同時に、連結部53に取り付けられたドライブユニット30も車両本体10に対して下方向へ相対的に移動する。言い換えると、車両本体10から下方へ突出し、後輪31は路面との接触を保ち続けることができる。
【0066】
上記のリンク機構50によれば、下部アーム52に凹部52Dを設けたことにより、リーチシリンダ24と下部アーム52との干渉を回避すると共に、凹部52Dが設けられていない場合と比較して、下部アーム52をリーチシリンダ24に接近した位置に配置することができる。言い換えると、下部リンク軸55および揺動軸56を下方に配置することができる。リーチシリンダ24が配置される高さが予め固定されていることから、下部アーム52の上側に配置される運転席14のフロアプレート14Aを低床化できる。さらに、車両本体10の左右方向にわたって、下部アーム52やリーチシリンダ24などを配置する際に必要な空間高さを低くすることができるため、運転席14のフロアプレート14Aに下部アーム52との干渉を回避する突出部を設ける必要がなくなり、運転席14の床面積を確保することができる。
【0067】
つまり、揺動する下部アーム52の上側および下側には、リーチシリンダ24などの下部アーム52と隣接する部材との干渉(衝突)を回避する干渉回避空間を確保する必要がある。下部アーム52に凹部52Dを設けていない場合には、リーチシリンダ24の高さ、下側の干渉回避空間、下部アーム52の厚さ、上側の干渉回避空間を積み上げた長さが、リンク機構50およびリーチシリンダ24を配置する際に必要な空間高さとなる。これに対して、本実施形態では、下部アーム52に凹部52Dを設けて、上述の下側の干渉回避空間および下部アーム52の厚さの一部を重ね合わせることにより、重ね合わせの分だけ、下部アーム52をリーチシリンダ24に接近した位置に配置することができ、下部アーム52やリーチシリンダ24などを配置する際に必要な空間高さを低くすることができる。
【0068】
リーチシリンダ24が、下部アーム52におけるドライブユニット30側の端部よりも、揺動軸56に接近して配置されているため、リーチシリンダ24との干渉を回避する凹部52Dにおける凹み深さを浅くすることができる。つまり、下部アーム52が揺動する範囲は、下部アーム52におけるドライブユニット30側の端部よりも、揺動軸56の近傍の方が狭い。そのため、リーチシリンダ24との干渉を回避する凹部52Dにおける凹み深さも、リーチシリンダ24をドライブユニット30側の端部に接近させて配置した場合と比較して、揺動軸56に接近させて配置した方が浅くなる。言い換えると、下部アーム52の厚さを確保しやすくなり、下部アーム52の強度確保が容易となる。
【0069】
フレーム17に切欠き部18を設けて、この切欠き部18に、上方向に揺動した下部アーム52の一部、特にアーム本体52Aにおけるドライブユニット30側の端部近傍の上端の進入を可能とし、フレーム17と下部アーム52との干渉を回避することで、フレーム17の配置高さを更に低くすることができる。
【0070】
つまり、下部アーム52とフレーム17との間には、干渉を回避する上側の回避空間を確保する必要があるが、フレーム17に切欠き部18を設けることにより、上側の干渉回避空間および下部アーム52の厚さの一部を重ね合わせることができる。その結果、重ね合わせの分だけ、フレーム17を配置する高さを、更に低くすることができる。
【0071】
図5は、下部アーム52とリーチシリンダ24との相対配置における他の実施例を説明する模式図である。
なお、上述の実施形態のように、リーチシリンダ24が、下部アーム52における揺動軸56の近傍に配置されていてもよいし、図5に示すように、下部アーム52がドライブユニット30側に寄せて配置されることにより、リーチシリンダ24が下部アーム52におけるドライブユニット30側の端部近傍に配置されてもよく、特に限定するものではない。
【0072】
ここで、リーチシリンダ24が揺動軸56の近傍に配置されているとは、下部アーム52におけるドライブユニット30側の端部と揺動軸56との間の中央よりも揺動軸56側にリーチシリンダ24が配置されていることをいう。同様に、リーチシリンダ24がドライブユニット30側の端部近傍に配置されているとは、上述の中央よりもドライブユニット30側にリーチシリンダ24が配置されていることをいう。
【0073】
このようにリーチシリンダ24を、下部アーム52におけるドライブユニット30側の端部に接近して配置することにより、凹部52Dも、少なくとも、ドライブユニット30側の端部の近傍に設ければよく、凹部52Dにおける凹み深さを大きくしやすくなる。つまり、下部アーム52とリーチシリンダ24との干渉を回避しやすくなる。下部アーム52の強度を確保するために必要な部材の厚さは、図5の点線で示すように、下部アーム52における揺動軸56の近傍からドライブユニット30側の端部に近づくに伴い薄くなる。そのため、凹部52Dを下部アーム52における揺動軸56の近傍に設ける場合と比較して、凹部52Dをドライブユニット30側の端部に設けることで、下部アーム52の強度を確保しつつ凹部52Dにおける凹み深さを大きくしやすくなる。
【符号の説明】
【0074】
1…フォークリフト(リーチ式フォークリフト)、10…車両本体、14…運転席、17…フレーム、18…切欠き部、20…荷役部、24…リーチシリンダ、31…後輪(駆動輪)、30…ドライブユニット、40…キャスタユニット、41…補助輪、51…上部アーム、52…下部アーム、52A…アーム本体、52C…接続部、52D…凹部、53…連結部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体の左右方向における一方の側面側に配置された駆動輪を有するドライブユニットと、
前記車両本体の左右方向における他方の側面側に配置された補助輪を有するキャスタユニットと、
前記左右方向に延びると共に、前記一方の側面側の端部において前記車両本体の前後方向に延びる下側揺動軸線まわりに前記車両本体に揺動可能に支持され、前記他方の側面側の端部において前記キャスタユニットを前記車両本体に対して上下方向に相対移動可能に支持するキャスタアームと、
前記左右方向に延びると共に、前記一方の側面側の端部において前記前後方向に延びる上側揺動軸線まわりに前記車両本体に揺動可能に支持され、前記他方の側面側の端部において前記ドライブユニットを前記車両本体に対して上下方向に相対移動可能に支持する上部アームと、
前記左右方向に延びると共に、中央領域において前記下側揺動軸線まわりに前記車両本体に揺動可能に支持され、前記一方の側面側の端部は連結部を介して前記ドライブユニットとの間で前記ドライブユニットの上下方向の相対移動が相互に伝達され、前記他方の側面側の端部は前記キャスタユニットおよび前記キャスタアームとの間で前記キャスタユニットおよび前記キャスタアームの上下方向の相対移動が相互に伝達され、前記下側揺動軸線まわりに揺動することにより、前記ドライブユニットと前記キャスタユニットおよび前記キャスタアームとの間で上下方向の相対移動が逆方向になるように上下方向の相対移動を相互に伝達する下部アームと、
を備え、
前記下部アームにおける前記他方の端部から前記下側揺動軸線までの間の少なくとも一部には、上方に向かって凹み、前記下部アームが揺動した際に、前記車両本体の下部中央に配置されるとともに前記前後方向に延びるリーチシリンダの上端が内部に進入可能な凹部が設けられていることを特徴とするリーチ式フォークリフト。
【請求項2】
前記リーチシリンダは、前記下部アームにおける前記他方の側面側の端部と前記下側揺動軸線との間の中央よりも、前記下側揺動軸線側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のリーチ式フォークリフト。
【請求項3】
前記リーチシリンダは、前記下部アームにおける前記他方の側面側の端部と前記下側揺動軸線との間の中央よりも、前記他方の側面側の端部に配置されていることを特徴とする請求項1記載のリーチ式フォークリフト。
【請求項4】
前記下部アームは、前記前後方向に間隔をあけて並んだ一対のアーム本体と、前記前後方向に延びて前記一対のアーム本体をつなぐ接続部と、からなり、
前記接続部は、前記凹部の上端よりも上方の位置で前記アーム本体と接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のリーチ式フォークリフト。
【請求項5】
前記車両本体における前記下部アームの上側には、前記車両本体の前後方向および左右方向に延びる板状のフレームが配置され、
該フレームには、上方向に揺動した前記下部アームにおける少なくとも一部の進入を許容し、前記フレームと前記下部アームとの干渉を回避する切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のリーチ式フォークリフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−240547(P2012−240547A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112310(P2011−112310)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000183222)住友ナコ マテリアル ハンドリング株式会社 (39)
【Fターム(参考)】