説明

レジスト剥離液の再生方法及び装置

【課題】レジスト剥離液成分含有水から効率よくレジスト剥離液を回収することができるレジスト剥離液の再生方法及び装置を提供する。
【解決手段】吸着工程では、レジスト剥離液成分含有水(原水)が原水供給ライン11から吸着材充填塔1内に供給され、該原水中のレジスト剥離液成分が吸着材1aに吸着される。レジスト剥離液成分が吸着された処理水は、処理水抜出ライン12から抜き出されて系外に排出される。脱離工程では、過熱水蒸気が過熱水蒸気供給ライン13aから吸着材充填塔1内に供給され、吸着材1aに吸着されたレジスト剥離液成分が脱離される。この脱離したレジスト剥離液成分と過熱水蒸気との混合流体(気体)が、混合流体抜出ライン14aから抜き出され、蒸留塔2に供給される。この蒸留塔2内において、レジスト剥離液成分(アルカノールアミン、有機溶媒等)と水蒸気とが分留される(蒸留工程)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス、フラットパネルディスプレイ、プリント基板等の電子部品の製造工程で発生するレジスト剥離廃液を処理してレジスト剥離液を再生する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、フラットパネルディスプレイ、プリント基板等の電子部品の製造工程では、フォトリソグラフィー工程を行うことがある。このフォトリソグラフィー工程は、基板上にネガ型又はポジ型のフォトレジストの比較を形成する被膜形成工程、パターンマスクを通して光等を照射する照射工程、現像液を用いて不要のフォトレジストを溶解・現像してレジストパターンを形成する溶解・現像工程、エッチング等の処理を行うエッチング工程、基板上のレジスト膜をレジスト剥離液を用いて剥離する剥離工程、及び基板を洗浄水(リンス水)で洗浄する洗浄工程を含んでいる。この剥離工程で使用されるレジスト剥離液は一般に、グリコール系溶剤(ブチルジグリコール等)などの有機溶媒、アルカノールアミン、少量の水(例えば0.5重量%以下)などから構成されている。
【0003】
剥離工程では、このレジスト剥離液が基板上に形成されたレジスト膜を溶解して剥離することにより、溶解レジストを含むレジスト剥離廃液が排出される。また、洗浄工程では、基板上に残留するレジスト剥離液を洗浄水でリンスすることにより、リンス廃水が排出される。
【0004】
この剥離工程で排出されるレジスト剥離廃液を再生処理する方法としては、特許文献1(特開2005−215627号公報)に開示された方法が知られている。この特許文献1では、レジスト剥離廃液を貯留槽から抜き出してナノフィルトレーション膜(NF膜)に通液し、溶解レジストを除去する。この溶解レジストが除去された透過液を、イオン交換樹脂と接触させて金属類及び/又はイオン性不純物を除去し、さらに水分除去剤(乾燥剤)及び/又は脱気膜と接触させて水分を除去することにより、レジスト剥離液を再生する。この再生されたレジスト剥離液は、レジスト剥離工程に再利用される。なお、NF膜を透過しなかった濃縮液は上記貯留槽に返送されて循環される。該貯留槽内のレジスト剥離廃液の性状が再生に適さなくなったときには、その一部又は全量を系外に排出すると共に、再生された透過液に対して新たなレジスト剥離液を補給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−215627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のレジスト剥離液の再生方法によると、レジスト剥離工程で排出された、水分量の少ないレジスト剥離廃液は良好に再処理される。しかしながらこの特許文献1の方法は、洗浄工程で排出されたリンス水や、このリンス水とレジスト剥離工程で排出されたレジスト剥離廃液との混合液のような、水分を多量に含むレジスト剥離液成分含有水からのレジスト剥離液の再生には適さない。
【0007】
すなわち、特許文献1では、水分の除去のために水分除去剤(乾燥剤)及び/又は脱気膜を用いている。
【0008】
このうち水分除去剤(乾燥剤)としては、乾燥イオン交換樹脂やゼオライト等を用いているが、これら水分除去剤に対して多量の水分を含むリンス水等を接触させると水分除去剤が早期に水で飽和してしまうため、水分除去剤を頻繁に取り替える必要が生じて効率が悪い。また、これら水分除去剤が水で飽和されたときの再生方法が開示されておらず、水分除去剤を再生・再利用しないために不経済である。なお、ゼオライトや乾燥イオン交換樹脂はイオン交換能を有しているため、レジスト剥離液成分含有水中の成分が電荷を持っている場合には該成分が該ゼオライト等に吸着してしまい、これらゼオライトや乾燥イオン交換樹脂を再生することができない。
【0009】
また、脱気膜を用いてレジスト剥離液成分含有水から水分を除去する場合、このレジスト剥離液成分含有水中に多量に含まれる水分を水蒸気として脱気膜を透過させる必要があり、著しく非効率である。
【0010】
本発明は、レジスト剥離液成分含有水から効率よくレジスト剥離液を回収することができるレジスト剥離液の再生方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明(請求項1)のレジスト剥離液の再生方法は、レジスト剥離液成分含有水からレジスト剥離液を回収するレジスト剥離液の再生方法において、レジスト剥離液成分含有水を吸着材に通水し、レジスト剥離液成分を該吸着材に吸着させる吸着工程と、前記レジスト剥離液成分を吸着させた吸着材に対して熱媒体を接触させて該吸着材から該レジスト剥離液成分を脱離し、該熱媒体と該レジスト剥離液成分との混合流体を抜き出す脱離工程と、前記混合流体を蒸留して該レジスト剥離液成分を濃縮させる蒸留工程とを有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項2のレジスト剥離液の再生方法は、請求項1において、前記吸着材が疎水性多孔質体であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3のレジスト剥離液の再生方法は、請求項2において、前記疎水性多孔質体が疎水性ゼオライト及び活性炭の少なくとも1つであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4のレジスト剥離液の再生方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記脱離工程において、前記熱媒体が100℃以上の過熱水蒸気であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5のレジスト剥離液の再生方法は、請求項4において、前記脱離工程で使用した過熱水蒸気の熱を前記蒸留工程に使用することを特徴とするものである。
【0016】
本発明(請求項6)のレジスト剥離液の再生装置は、レジスト剥離液成分含有水からレジスト剥離液を回収するレジスト剥離液の再生装置において、吸着材を収容した吸着材充填塔と、該吸着材充填塔に対してレジスト剥離液成分含有水を供給する原水供給手段と、該吸着材充填塔から処理水を抜き出す処理水抜出手段と、該吸着材充填塔に対して、該吸着材に吸着されたレジスト剥離液成分を脱離させるための熱媒体を供給する熱媒体供給手段と、該熱媒体と該レジスト剥離液成分との混合流体を抜き出す混合流体抜出手段と、該混合流体を蒸留して該レジスト剥離液成分を濃縮させる蒸留手段と、前記原水供給手段及び前記処理水抜出手段の使用中には前記熱媒体供給手段及び前記混合流体抜出手段の使用を停止し、前記熱媒体供給手段及び前記混合流体抜出手段の使用中には前記原水供給手段及び前記処理水抜出手段の使用を停止する切替手段とを有することを特徴とするものである。
【0017】
請求項7のレジスト剥離液の再生装置は、請求項6において、前記吸着材が疎水性多孔質体であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項8のレジスト剥離液の再生装置は、請求項7において、前記疎水性多孔質体が疎水性ゼオライト及び活性炭の少なくとも1つであることを特徴とするものである。
【0019】
請求項9のレジスト剥離液の再生装置は、請求項6ないし8のいずれか1項において、前記熱媒体供給手段が供給する前記熱媒体が100℃以上の過熱水蒸気であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明のレジスト剥離液の再生方法及び装置によると、レジスト剥離液成分含有水からレジスト剥離液を効率よく再生することができる。特に、レジスト剥離液成分を蒸留して濃縮することにより、水分含有量の少ない高濃度のレジスト剥離液を再生することができる。また、このレジスト剥離液の再生過程で吸着材も再生されるため、吸着材を繰り返し再生利用することができる。
【0021】
この吸着材が疎水性多孔質体である場合、レジスト剥離液成分含有水中のレジスト剥離液成分を良好に吸着することができる。
【0022】
この疎水性多孔質体が疎水性ゼオライトや活性炭などの無機材料よりなる場合、耐熱性に優れるため、脱離工程で熱により劣化することが防止され、高温の熱媒体を用いて効率よく吸着材からレジスト剥離液成分を脱離することができる。
【0023】
この熱媒体は、100℃以上の過熱水蒸気であることが好ましい。これにより、脱離工程を安全かつ短時間で実施することができる。
【0024】
また、脱離工程で使用した過熱水蒸気の熱を蒸留工程に使用することにより、経済的かつ効率よく蒸留を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態に係るレジスト剥離液の再生装置を示す系統図である。
【図2】変形例に係るレジスト剥離液の再生装置を示す系統図である。
【図3】異なる実施の形態に係るレジスト剥離液の再生装置を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
[第1の実施の形態]
第1図は実施の形態に係るレジスト剥離液の再生装置を示す系統図である。
【0028】
吸着材充填塔1内に吸着材1aが収容されている。この吸着材1aとしては、疎水性多孔質体が好適に用いられる。これにより、レジスト剥離液成分含有水中のレジスト剥離液成分を良好に吸着することができる。この疎水性多孔質体としては、疎水性ゼオライト、活性炭、TiO、ZrO、それらを組み合わせた有機無機ハイブリッド材料等の無機材料、疎水性物質吸着樹脂等の有機材料などが挙げられるが、無機材料よりなる場合、耐熱性に優れるため、脱離工程で熱劣化することが防止され、高温の熱媒体を用いて効率よく吸着材からレジスト剥離液成分を脱離することができる。吸着材の形状としては特に限定はないが、被処理液との接触効率及び圧力損失を考慮して、ペレット状又はハニカム状に成形されたものが好適に用いられる。
【0029】
原水が原水供給ライン11を介して吸着材充填塔1に供給され、処理水抜出ライン12から抜き出される。これら原水供給ライン11及び処理水抜出ライン12には、バルブ11a,12aが設けられている。
【0030】
熱媒体としての過熱水蒸気が、過熱水蒸気供給ライン13を介して吸着材充填塔1に供給される。この過熱水蒸気と吸着材1aから脱離したレジスト剥離液成分との混合流体が、混合流体抜出ライン14から抜き出され、蒸留塔2に供給される。これら過熱水蒸気供給ライン13及び混合流体抜出ライン14には、バルブ13a,14aが設けられている。これらバルブ13a,14aと上記バルブ11a,12aとにより、切替手段が構成されている。
【0031】
この蒸留塔2内に供給された混合流体は、蒸留塔2内でレジスト剥離液成分と水蒸気とに分留され、水蒸気は塔頂の水蒸気ライン21から抜き出され、レジスト剥離液成分は塔底のレジスト剥離液ライン22から抜き出される。
【0032】
この水蒸気ライン21から抜き出された水蒸気は、凝縮器3で凝縮されて凝縮水となった後、回収水タンク4内に回収される。この凝縮器3で凝縮しきれなかった水蒸気は大気に放出される。
【0033】
この回収水タンク4内の回収水は、回収水ポンプ4a及び回収水ライン41を介してリボイラー5に導入され、低圧スチームライン5a内の低圧スチームとの熱交換によって水蒸気とされた後、水蒸気ライン51を介して蒸気過熱器6内に導入され、高圧スチームライン6a内の高圧スチームとの熱交換によって過熱水蒸気とされてから、上記過熱水蒸気供給ライン13を介して吸着材充填塔1内に供給される。高圧スチームの代わりに誘導加熱器で昇温してもよい。なお、水蒸気ライン51内の水蒸気の流量が流量計によって測定され、この測定値が設定値となるように、低圧スチームライン5aに設けられた制御弁5bの開度が制御される。また、過熱水蒸気供給ライン13内の過熱水蒸気の温度が温度計によって測定され、この測定値が設定値となるように、高圧スチームライン6aに設けられた制御弁6bの開度が制御される。リボイラー5内の滞留水の一部は、ブローライン52を介して抜き出される。
【0034】
上記回収水ライン41の回収水ポンプ4aよりも下流側から分岐した還流ライン42が、蒸留塔2の上部に接続されており、回収水の一部を該蒸留塔2に供給して還流することが可能とされている。この還流ライン42内の回収水の流量が流量計によって測定され、この測定値が設定値となるように、還流ライン42に設けられた制御弁42aの開度が制御される。
【0035】
上記の蒸留塔2の塔底から上記レジスト剥離液ライン22を介して抜き出された回収液(レジスト剥離液)は、冷却器23で冷却された後に回収液タンク24内に貯留され、回収液ポンプ25を介して系外に排出される。
【0036】
なお、第1図に破線で囲まれている通り、蒸留装置Aは、蒸留塔2、凝縮器3、回収水タンク4、回収水ポンプ4a、冷却器23、回収液タンク24及び回収液ポンプ25と、それに付随するライン14,21,22,41,42と、バルブ42a及び計器類とから構成されている。また、過熱水蒸気装置Bは、リボイラー5及び蒸気過熱器6と、それに付随するライン41,5a,51,6a,13,52と、バルブ5b,6b及び計器類とから構成されている。
【0037】
次に、このように構成されたレジスト剥離液の再生装置を用いたレジスト剥離液の再生方法について説明する。本再生方法では、以下の吸着工程と、脱離工程・蒸留工程とを交互に実施する。
【0038】
なお、このレジスト剥離液の再生方法で処理されるレジスト剥離液成分含有水(原水)としては、半導体デバイス、フラットパネルディスプレイ、プリント基板等の電子部品の製造におけるフォトリソグラフィー工程中の洗浄工程(リンス工程)で排出されるリンス水や、このリンス水と剥離工程で排出されるレジスト剥離廃液との混合廃液などが用いられる。この剥離工程で使用されるレジスト剥離液としては、アルカノールアミンと有機溶媒を主成分とするものが好適である。アルカノールアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール等を挙げることができる。有機溶媒は上記アルカノールアミンとは異なる有機溶媒であり、その具体例としては、ブチルグリコール等のグリコール系溶剤の他、ジメチルスルホキシド系原液、N−メチルピロリドン系原液、グリコールエーテル系原液などを挙げることができる。また、腐食防止剤、キレート剤、有機酸といった添加剤がレジスト剥離液に混合されていてもよい。このレジスト剥離成分含有水中の水分濃度は60〜0.01重量%特に30〜0.1重量%であるのが好ましく、このレジスト剥離成分含有水中のレジスト剥離液濃度は40〜99.99重量%特に70〜99.9重量%であるのが好ましく、このレジスト剥離成分含有水中のアルカノールアミン濃度は5〜90重量%特に10〜70重量%であるのが好ましく、このレジスト剥離成分含有水中の有機溶媒濃度は10〜90重量%特に30〜70重量%であるのが好ましい。
【0039】
<吸着工程>
吸着工程では、バルブ11a,12aを開とし、バルブ13a,14aを閉とする。このバルブ操作は手動で行ってもよく、これらバルブ11a〜14aを電磁弁とし、バルブ操作を自動的に行うようにしてもよい。
【0040】
これにより、レジスト剥離液成分含有水(原水)が原水供給ライン11から吸着材充填塔1内に供給され、該原水中のレジスト剥離液成分が吸着材1aに吸着される。レジスト剥離液成分が吸着された処理水は、処理水抜出ライン12から抜き出されて系外に排出される。
【0041】
このレジスト剥離液成分含有水(原水)を吸着材充填塔1に通水する際の空間速度SVは、小さい程多くのレジスト剥離液成分を回収できるが吸着材の充填量が多くなることから、1〜100h−1特に5〜20h−1であるのが好ましい。
【0042】
<脱離工程>
上記吸着工程を継続することにより、吸着材1aの吸着能が低下した場合には、以下の脱離工程を実施する。なお、この脱離工程は定期的に実施してもよい。また、上記吸着工程において吸着材充填塔1の圧損を測定し、この測定値が所定値を超えたときに脱離工程を実施してもよい。さらに、上記吸着工程において、原水中及び処理水中のアルカノールアミン濃度、有機溶媒濃度、溶解レジスト濃度等を吸光光度計等で測定し、原水と処理水とのこれら濃度の差が小さくなったときに脱離工程を実施してもよい。
【0043】
この脱離工程では、バルブ11a,12aを閉とし、バルブ13a,14aを開とする。これにより、過熱水蒸気が過熱水蒸気供給ライン13aから吸着材充填塔1内に供給され、吸着材1aに吸着されたレジスト剥離液成分が脱離される。この脱離したレジスト剥離液成分と過熱水蒸気との混合流体(気体)が、混合流体抜出ライン14aから抜き出され、後述する蒸留工程で処理される。
【0044】
このようにして吸着材1aに吸着したレジスト剥離液成分が十分に脱離されて再生された後、バルブ11a,12aを開とし、バルブ13a,14aを閉とする。これにより、上記吸着工程に復帰する。
【0045】
なお、この吸着材充填塔1に供給給される過熱水蒸気の温度は、高い程脱離速度が速くなるがレジスト剥離液成分の分解・発火のおそれが生じるため、100〜250℃特に120〜180℃であるのが好ましいが、酸素ガスが無い状態ならば剥離液成分の沸点以上となる高温の方が好ましい。また、この過熱水蒸気の空間速度SVは10〜10000h−1特に100〜2000h−1であるのが好ましい。
【0046】
<蒸留工程>
上記脱離工程において吸着材充填塔1から混合流体抜出ライン14aを介して抜き出された混合流体は、蒸留塔2に供給される。この蒸留塔2内において、レジスト剥離液成分(アルカノールアミン、有機溶媒等)と水蒸気とが分留される。分留された水蒸気は、塔頂の水蒸気ライン21から抜き出され、凝縮器3で凝縮水とされた後、回収水タンク4に回収される。この回収水の一部は、環流ライン42を介して蒸留塔2に還流される。この回収水の残部は、リボイラー5及び蒸気過熱器6で過熱され、過熱水蒸気として再利用される。なお、リボイラー5に供給される回収水中に、レジスト剥離液成分等の不純物が混入することがある。この不純物はリボイラー5内で濃縮するため、必要に応じてリボイラー5内の滞留水の一部をブローライン52を介して系外に抜き出す。これにより、リボイラー5内における不純物の濃縮が防止され、不純物による脱離効果の低下が防止される。
【0047】
上記蒸留塔2内で凝縮され、濃縮されたレジスト剥離液(液体)は、レジスト剥離液ライン22から抜き出され、冷却器23及び回収液タンク24を介して系外に排出される。この蒸留工程は、上記脱離工程を継続する間にわたり継続して実施される。
【0048】
この蒸留塔2内における蒸留は、レジスト剥離液成分の種類に応じて、減圧下又は常圧下で実施される。この蒸留は、経済性の面からは常圧蒸留が好ましいが、レジスト剥離液成分が高沸点物質である場合には減圧蒸留の方が経済性及び蒸留効率の面から好ましい場合もある。
【0049】
蒸留温度はレジスト剥離液成分の種類及び濃度並びに水の沸点に応じて調整する必要があるため一概には決められないが、100〜200℃特に120〜150℃が好ましい。
【0050】
上記蒸留塔2の塔底からレジスト剥離液ライン22を介して抜き出される回収液(レジスト剥離液)中の水分濃度は30重量%以下特に20〜25重量%とりわけ22〜24重量%であるのが好ましく、レジスト剥離液濃度は75〜80重量%特に76〜78重量%であるのが好ましく、アルカノールアミン濃度は5〜90重量%特に10〜70重量%であるのが好ましく、有機溶媒濃度は10〜90重量%特に30〜70重量%であるのが好ましい。
【0051】
上記蒸留工程によると、脱離工程で使用した過熱水蒸気の熱を蒸留操作に利用するため、過熱水蒸気の余剰の熱を蒸留操作で有効利用することができて経済的である。但し、脱離工程で原水供給ライン11aから抜き出した混合流体を凝縮させて図示しないタンクに貯留しておき、その後、該混合流体を過熱して気化させてから上記蒸留工程を実施してもよい。これにより、脱離工程と蒸留工程を実施するタイミングを変えることができる。
【0052】
[第1の実施の形態の変形例]
なお、第1の実施の形態(第1図)では吸着材充填塔1に対して原水を下向流で通水させ、過熱水蒸気を上向流で流通させているが、これら原水及び過熱水蒸気は、上向流及び下向流のいずれとしてもよい。
【0053】
第2図は、第1図において、吸着材充填塔1に対して過熱水蒸気を下向流に変更したものである。すなわち、第2図では、過熱水蒸気Bで製造した過熱水蒸気を、バルブ13aを備えた過熱水蒸気供給ライン13aを介して吸着材充填塔1に供給し、この過熱水蒸気と吸着材から脱離されたレジスト剥離液成分との混合流体を、バルブ14aを備えた混合流体抜出ライン14aを介して蒸留装置Aに供給するように構成されている。第2図のその他の構成は第1図と同様であり、同一符号は同一部分を示している。なお、第2図の蒸留装置A及び過熱水蒸気装置Bの詳細は、第1図と同様である。
【0054】
[第2の実施の形態]
第3図は、異なる実施の形態に係るレジスト剥離液の再生装置を示す系統図である。以下に説明する通り、この装置では、2基の吸着材充填塔1,1Aに対して、原水をこの順及び逆順に直列に通水することと、原水を1基毎に個別に通水することとが可能な構成とされている。2基以上の吸着材充填塔としても良い。
【0055】
すなわち、バルブ11aを備えた原水供給ライン11が、吸着材充填塔1の上部に接続されている。この原水供給ライン11のバルブ11a設置位置よりも上流側から、バルブ61aを備えた原水供給ライン61が分岐し、吸着材充填塔1Aの上部に接続されている。これら原水供給ライン11,61のバルブ11a,61aよりも吸着材充填塔1,1A側同士が、バルブ71a,71bを備えたライン71によって接続されている。
【0056】
これら吸着材充填塔1と吸着材充填塔1Aの下部に、それぞれ、バルブ12a,12bを備えた処理水抜出ライン12と、バルブ62aを備えた処理水抜出ライン62が接続されており、該ライン62は該ライン12のバルブ12a,12b設置位置よりも下流側に接続されている。この処理水抜出ライン62のバルブ62aよりも上流側と、上記処理水抜出ライン12のうちバルブ12a,12bの間の箇所とが、バルブ73a,73bを備えたライン73を介して接続されている。このライン73のバルブ73a,73b間の箇所と、上記ライン71のバルブ71a,71b間の箇所とが、バルブ72aを備えたライン72によって接続されている。
【0057】
また、これら吸着材充填塔1,1Aの上部に、バルブ13a,64aを備えた過熱水蒸気供給ライン13,64の一端が接続されている。該過熱水蒸気供給ライン13の他端は過熱水蒸気装置Bの蒸気過熱器6(第1図)に接続され、該過熱水蒸気供給ライン13の該バルブ13aよりも過熱水蒸気装置B側の位置に、上記過熱水蒸気供給ライン64の他端が接続されている。これら吸着材充填塔1,1Aの下部に、バルブ14a,65aを備えた混合流体抜出ライン14,65の一端が接続されている。該混合流体抜出ライン14の他端は蒸留装置Aの蒸留塔2(第1図)に接続され、該混合流体抜出ライン14の該バルブ14aよりも蒸留装置A側の位置に、上記混合流体抜出ライン65の他端が接続されている。その他の構成は第1図及び第2図と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0058】
次に、このように構成されたレジスト剥離液の再生装置を用いたレジスト剥離液の再生方法について説明する。
【0059】
<吸着材充填塔1A,1による吸着運転(1A→1)>
吸着材充填塔1,1Aによる吸着運転を実施する場合には、バルブ61a,73a,72a,71b,12a,12bを開とし、バルブ11a,71a,73b,62aを閉とする。また、バルブ13a,14a,64a,65aを閉とする。
【0060】
これにより、レジスト剥離液成分含有水(原水)が、吸着材充填塔1A,1に対してこの順に通水される。すなわち、原水が、原水供給ライン61を介して吸着材充填塔1A内に供給された後、処理水抜出ライン62、ライン73,72,71及び原水供給ライン11を介して吸着材充填塔1内に供給され、処理水抜出ライン12から抜き出される。
【0061】
このように、原水を2つの吸着材充填塔1A,1に対してこの順に直列に通水することにより、1つの吸着材充填塔1に通水する場合と比較して、原水中のレジスト剥離液成分がより良好に吸着・分離される。
【0062】
なお、この運転を継続すると、前段側の吸着材充填塔1Aの方が、吸着能が早期に低下する。そのため、次の運転により、該吸着材充填塔1Aの脱離運転を実施する。
【0063】
<前段側の吸着材充填塔1Aの脱離運転>
後段側の吸着材充填塔1の吸着運転を継続しつつ、前段側の吸着材充填塔1Aの脱離運転を行う場合には、バルブ11a,12a,12bを開とし、バルブ61a,71a,71b,72a,73a,73b,62aを閉とする。また、バルブ64a,65aを開とし、バルブ13a,14aを閉とする。これにより、吸着材充填塔1への原水の通水が継続すると共に、吸着材充填塔1Aの脱離運転が実施される。
【0064】
すなわち、原水が、原水供給ライン11を介して吸着材充填塔1内に供給され、処理水抜出ライン12から抜き出される。これにより、原水中のレジスト剥離液成分が吸着・分離される。
【0065】
また、過熱水蒸気が、過熱水蒸気装置Bから過熱水蒸気供給ライン64を介して吸着材充填塔1A内に供給され、吸着材に吸着されたレジスト剥離液成分が脱離される。この脱離したレジスト剥離液成分と過熱水蒸気との混合流体(気体)が、混合流体抜出ライン65から抜き出される。この混合流体は、第1の実施の形態の蒸留工程と同様の工程を得て過熱水蒸気とされ、再利用される。このようにして、吸着材充填塔1Aが再生される。
【0066】
<吸着材充填塔1A,1による吸着運転(1→1A)>
次いで、以下に説明する通り、再生後の吸着材充填塔1Aを吸着運転に復帰させる。但し、本運転では、吸着材充填塔1A,1に対して、この順とは逆の順序で原水を通水する。
【0067】
すなわち、バルブ11a,12a,73b,72a,71a,62aを開とし、バルブ61a,71b,12b,73aを閉とする。また、バルブ13a,14a,64a,65aを閉とする。
【0068】
これにより、レジスト剥離液成分含有水(原水)が、吸着材充填塔1,1Aに対してこの順に通水される。すなわち、原水が、原水供給ライン11を介して吸着材充填塔1内に供給された後、処理水抜出ライン12、ライン73,72,71及び原水供給ライン61を介して吸着材充填塔1A内に供給され、処理水抜出ライン62から抜き出される。
【0069】
このように、原水を2つの吸着材充填塔1,1Aに対してこの順に直列に通水することにより、1つの吸着材充填塔1に通水する場合と比較して、原水中のレジスト剥離液成分がより良好に吸着・分離される。また、再生された吸着能の高い吸着材充填塔1Aを吸着材充填塔1よりも後段側とするので、吸着効率が向上する。
【0070】
なお、この運転を継続すると、吸着材充填塔1の方が吸着材充填塔1Aよりも、脱離運転を長時間にわたり実施していると共に前段側に位置するため、吸着材充填塔1の方が、吸着能が早期に低下する。そのため、次の運転により、該吸着材充填塔1の脱離運転を実施する。
【0071】
<前段側の吸着材充填塔1の脱離運転>
後段側の吸着材充填塔1Aの吸着運転を継続しつつ、前段側の吸着材充填塔1の脱離運転を行う場合には、バルブ61a,62aを開とし、バルブ11a,71a,71b,12a,72a,73a,73b,12bを閉とする。また、バルブ13a,14aを開とし、バルブ64a,65aを閉とする。
【0072】
これにより、吸着材充填塔1Aへの原水の通水が継続すると共に、吸着材充填塔1の脱離運転が実施される。すなわち、原水が、原水供給ライン61を介して吸着材充填塔1A内に供給され、処理水抜出ライン62から抜き出される。これにより、原水中のレジスト剥離液成分が吸着・分離される。
【0073】
また、過熱水蒸気が、過熱水蒸気装置Bから過熱水蒸気供給ライン13を介して吸着材充填塔1内に供給され、吸着材に吸着されたレジスト剥離液成分が脱離される。この脱離したレジスト剥離液成分と過熱水蒸気との混合流体(気体)が、混合流体抜出ライン14から抜き出される。この混合流体は、第1の実施の形態の蒸留工程と同様の工程を得て過熱水蒸気とされ、再利用される。このようにして、吸着材充填塔1が再生される。
【0074】
次いで、上記<吸着材充填塔1A,1による吸着運転(1A→1)>で説明した通りのバルブ操作を行い、この<吸着材充填塔1A,1による吸着運転(1A→1)>に復帰する。
【0075】
本実施の形態によると、原水の連続通水を行うことができる。また、1つの吸着充填塔を脱離運転して吸着材を再生させてから吸着運転に復帰させるときに、この脱離運転した吸着充填塔が後段側になるようにして2つの吸着充填塔に原水を直列に通水するため、後段側の吸着充填塔の吸着能が前段側の吸着充填塔の吸着能よりも高くなる。これにより、原水中のレジスト剥離液成分を効率よく吸着・除去することができる。
【0076】
[その他の例]
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記脱離工程では、熱媒体として過熱水蒸気を用いたが、熱媒体は窒素や他の不活性ガス等であってもよい。但し、水蒸気は窒素や不活性ガスと比べて熱容量及び熱伝達効率が高いため、水蒸気を用いるのが好ましい。なお、熱媒体として窒素や不活性ガスを用いる場合にあっても、吸着材充填塔1に供給給される熱媒体の温度は、高い程脱離速度が速くなるが酸素ガスが無い条件では、さらに高温としても分解・発火が起こり難いため、効率化のためにはさらなる高温化が好ましい。この熱媒体の温度は有機物の沸点に依存する。この熱媒体の温度は低いほど低コストとなる。この熱媒体の温度は100〜250℃特に120〜180℃であるのが好ましい。
【0077】
上記実施の形態では、吸着材充填塔が1基又は2基であったが、3基以上であってもよい。例えば、3基以上の吸着充填塔に対して、メリーゴーラウンド方式にて脱離・蒸留工程を実施してもよい。すなわち、先ず3基以上の吸着充填塔の総てに対して原水を直列に通水して全基吸着運転を実施する。当該運転の継続により、最後段の吸着充填塔からの流出水がブレイクポイントに達したときに、最前列の吸着充填塔のみに対して脱離・蒸留工程を実施する。その後、この脱離・蒸留工程を行った吸着充填塔を最後段とすること以外は前回の全基吸着運転と同じ順序で、総ての吸着充填塔に原水を直列に通水することにより、全基吸着運転に復帰する。その後、最後段の吸着充填塔からの流出水がブレイクポイントに達したときには、再度最前列の吸着充填塔のみに対して脱離・蒸留工程を実施する。その後、この脱離・蒸留工程を行った吸着充填塔を最後段とすること以外は前回の全基吸着運転と同じ順序で、総ての吸着充填塔に原水を直列に通水することにより、全基吸着運転に復帰する。このようにして、メリーゴーラウンド方式にて脱離・蒸留工程を実施してもよい。
【実施例】
【0078】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより詳細に説明する。なお、原水(レジスト剥離液成分含有水)として、LCD(液晶ディスプレイ)製造工程から排出されたレジスト剥離液排水を用いた。この原水の性状は表1に示す通りであり、BDG(ブチルジグリコール)が0.3重量%、MEA(モノエタノールアミン)が0.03重量%であり、残りはほぼ総て水分である。また、本実施例及び比較例において、BDGは液体クロマトグラフィーにより定量し、MEAは全窒素計により定量し、水分はカールフィッシャー水分計を用いて定量した。
【0079】
[実施例1]
第2図のレジスト剥離液の再生装置を用いて試験を行った。吸着材充填塔1としては、直径21mm、高さ500mmのSUS316製の円筒カラムを用い、この円筒カラム内に、φ1mm、長さ3mmの円筒形ペレット状に成型した疎水性ゼオライト(東ソー社製390HUA)80gを充填した。
【0080】
<吸着工程>
この吸着材充填塔1に対して、原水をSV5h−1で下向流にて通水した。原水及び吸着充填塔1から流出した処理水について、上記BDG、MEA及び水分を定量し、これら原水と処理水の性状が同じになった時点(通水開始から4時間を経過した時点)で、吸着材が破過したと判断して原水の通水を停止し、以下の脱離工程及び蒸留工程に切替えた。
【0081】
<脱離工程及び蒸留工程>
この吸着材充填塔1に対して、180℃の過熱水蒸気を下向流で流量0.5mL/min(水に換算した流量)にて通気した後、蒸留装置Aで蒸留した。この脱離工程及び蒸留工程を3時間継続した。その間、蒸留塔2(第1図)内は140℃に維持した。その後、この蒸留装置Aの回収タンク24内に貯留された回収液の性状を定量した。その結果を表1に示す。
【0082】
[比較例1]
RO膜として、日東電工株式会社製の海水淡水化用平膜SWC5を使用した。このRO膜に対し、運転濾過圧55kgf/cm、透過回収率90%にて原水を3時間通水し、膜分離を行った。得られたRO膜濃縮液の性状を定量した。その結果を表1に示す。
【0083】
[比較例2]
乾燥強塩基性陰イオン交換樹脂(DOW社製、DOWEX 650A(水分含有量10重量%))を120ml充填した第1のカラムと、乾燥強酸性陽イオン交換樹脂(DOW社製、DOWEX 550C(水分含有量0.5重量%))を120ml充填した第2のカラムとに対して、原水をSV5h−1にてこの順に直列に通水した。3時間経過後、第1のカラムから流出した処理液の性状を定量した。その結果を表1に示す。
【0084】
【表1】

[結果]
実施例1では、回収液の水分が30重量%以下となった。このように実施例1によると、原水(レジスト剥離液成分含有水)から、レジスト剥離液成分が十分に濃縮された回収液を再生することができることが確認された。
【0085】
比較例1のRO膜処理によると、レジスト剥離液成分(BDG及びMEA)は濃縮されるものの、水分量を十分に低減することができなかった。また、金属イオン類などの不純物が濃縮した。これにより、RO膜処理では、原水(レジスト剥離液成分含有水)の再生処理が困難であることが確認された。
【0086】
比較例のイオン交換樹脂処理によると、通水当初は水分含有率が30重量%の処理液が得られたものの、数分でイオン交換樹脂の水分含有率が飽和し、処理液の水分濃度が原水と同等となった。これにより、イオン交換樹脂処理によっても、原水(レジスト剥離液成分含有水)の再生処理が困難であることが確認された。
【符号の説明】
【0087】
1,1A 吸着材充填塔
1a 吸着材
2 蒸留塔
3 凝縮器
4 回収水タンク
5 リボイラー
6 蒸気過熱器
11 原水供給ライン
12 処理水抜出ライン
13 過熱水蒸気供給ライン
14 混合流体抜出ライン
11a,12a,13a,14a バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスト剥離液成分含有水からレジスト剥離液を回収するレジスト剥離液の再生方法において、
レジスト剥離液成分含有水を吸着材に通水し、レジスト剥離液成分を該吸着材に吸着させる吸着工程と、
前記レジスト剥離液成分を吸着させた吸着材に対して熱媒体を接触させて該吸着材から該レジスト剥離液成分を脱離し、該熱媒体と該レジスト剥離液成分との混合流体を抜き出す脱離工程と、
前記混合流体を蒸留して該レジスト剥離液成分を濃縮させる蒸留工程と
を有することを特徴とするレジスト剥離液の再生方法。
【請求項2】
請求項1において、前記吸着材が疎水性多孔質体であることを特徴とするレジスト剥離液の再生方法。
【請求項3】
請求項2において、前記疎水性多孔質体が疎水性ゼオライト及び活性炭の少なくとも1つであることを特徴とするレジスト剥離液の再生方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記脱離工程において、前記熱媒体が100℃以上の過熱水蒸気であることを特徴とするレジスト剥離液の再生方法。
【請求項5】
請求項4において、前記脱離工程で使用した過熱水蒸気の熱を前記蒸留工程に使用することを特徴とするレジスト剥離液の再生方法。
【請求項6】
レジスト剥離液成分含有水からレジスト剥離液を回収するレジスト剥離液の再生装置において、
吸着材を収容した吸着材充填塔と、
該吸着材充填塔に対してレジスト剥離液成分含有水を供給する原水供給手段と、
該吸着材充填塔から処理水を抜き出す処理水抜出手段と、
該吸着材充填塔に対して、該吸着材に吸着されたレジスト剥離液成分を脱離させるための熱媒体を供給する熱媒体供給手段と、
該熱媒体と該レジスト剥離液成分との混合流体を抜き出す混合流体抜出手段と、
該混合流体を蒸留して該レジスト剥離液成分を濃縮させる蒸留手段と、
前記原水供給手段及び前記処理水抜出手段の使用中には前記熱媒体供給手段及び前記混合流体抜出手段の使用を停止し、前記熱媒体供給手段及び前記混合流体抜出手段の使用中には前記原水供給手段及び前記処理水抜出手段の使用を停止する切替手段と
を有することを特徴とするレジスト剥離液の再生装置。
【請求項7】
請求項6において、前記吸着材が疎水性多孔質体であることを特徴とするレジスト剥離液の再生装置。
【請求項8】
請求項7において、前記疎水性多孔質体が疎水性ゼオライト及び活性炭の少なくとも1つであることを特徴とするレジスト剥離液の再生装置。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれか1項において、前記熱媒体供給手段が供給する前記熱媒体が100℃以上の過熱水蒸気であることを特徴とするレジスト剥離液の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−215355(P2011−215355A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83135(P2010−83135)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】