説明

レジスト組成物

【課題】パターンの解像度及びラインエッジラフネス(LER)が改善されたレジスト組成物を提供する。
【解決手段】式(I)で表される酸発生剤、樹脂および式(II)で表される化合物を含有するレジスト組成物。


[式中、Q及びQは、互いに独立に、F又はペルフルオロアルキル基;Xは、単結合又は飽和炭化水素基を表し、該基に含まれるメチレン基はO又はカルボニル基で置換されていてもよい;Yは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基等、これらの基は置換基を有していてもよく、これらの基に含まれるメチレン基はO又はカルボニル基で置換されていてもよい;Rは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基等、これらの基に含まれるメチレン基は、Oまたはカルボニル基で置換されていてもよい;Z、Z’は有機カチオンを表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物に関し、より詳細には、半導体の微細加工に用いられるレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ技術を用いた半導体の微細加工に用いられるレジスト組成物は、樹脂を含有してなる。
例えば、特許文献1には、モノマーA及びモノマーDに由来する構造単位を有する樹脂と、トリルジフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホナートからなる酸発生剤と、式(C1)で表される塩とを含むレジスト組成物が記載されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−122994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレジスト組成物では、得られるパターンの解像度及びラインエッジラフネス(LER)が必ずしも満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、以下の発明を提供する。
〔1〕式(I)で表される酸発生剤、樹脂および式(II)で表される化合物を含有するレジスト組成物。

[式(I)中、
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基あるいは炭素数6〜36の芳香族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよく、該脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
は、有機カチオンを表す。]

[式(II)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数4〜36の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜36の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜36の複素環基を表す。該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子またはカルボニル基で置換されていてもよい。
Z'は、有機カチオンを表す。]
【0006】
〔2〕Xが、−CO−O−[CH−(hは、0〜10の整数を表す)である〔1〕記載のレジスト組成物。
〔3〕Yが式(Y1)又は式(Y2)で表される基である〔1〕又は〔2〕記載のレジスト組成物。

[式(Y1)及び式(Y2)中、
環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基で置換されていてもよく、環に含まれるメチレン基は、カルボニル基又は酸素原子で置換されていてもよい。
*は、Xとの結合手を表す。]
〔4〕Z'が、式(III)で表されるカチオンである〔1〕〜〔3〕のいずれか記載のレジスト組成物。

[式(III)中、
、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数4〜36の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜36の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜36の複素環基を表す。該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基に含まれる炭素原子は、硫黄原子、酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。R、R及びRのうちの2つが互いに結合して環を形成してもよい。]
【0007】
〔5〕Rが、炭素数1〜8のアルキル基又は式(IV)で表される基である〔1〕〜〔4〕のいずれか記載のレジスト組成物。

[式(IV)中、
環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基で置換されていてもよく、環に含まれるメチレン基は、カルボニル基又は酸素原子で置換されていてもよい。
*は、酸素原子との結合手を表す。]
〔6〕樹脂が、酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解しえる樹脂である〔1〕〜〔5〕のいずれか記載のレジスト組成物。
〔7〕上記〔6〕記載の組成物と塩基性化合物とを含有するレジスト組成物。
〔8〕塩基性化合物が、ジイソプロピルアニリンである〔7〕記載のレジスト組成物。
【0008】
〔9〕(1)上記〔1〕〜〔7〕のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレジスト組成物によれば、得られるパターンの解像度及びLERをより改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のレジスト組成物は、式(I)で表される酸発生剤(以下「酸発生剤(A)」という場合がある)を含有する。

[式(I)中、
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基あるいは炭素数6〜36の芳香族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよく、該脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
は、有機カチオンを表す。]
【0011】
本明細書では、特に断りのない限り、同様の置換基を有するいずれの化学構造式も、炭素数を適宜選択しながら、後述する具体的な各置換基を適用することができる。直鎖状、分岐状又は環状いずれかをとることができるものは、特記ない限りそのいずれをも含み、また、同一の基において、直鎖状、分岐状及び/又は環状の部分構造が混在していてもよい。立体異性体が存在する場合は、それらの立体異性体の全てを包含する。
さらに、「(メタ)アクリル」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有する少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」並びに「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0012】
ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロ−n−プロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロ−n−ブチル基、ペルフルオロ−sec−ブチル基、ペルフルオロ−tert−ブチル基、ペルフルオロ−n−ペンチル基、ペルフルオロ−n−ヘキシル基などが挙げられる。なかでも、ペルフルオロメチル基が好ましい。
【0013】
飽和炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基を含む基が挙げられる。
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、sec−ブチレン基及びtert−ブチレン基などが挙げられる。
【0014】
シクロアルキレン基を含む基としては、式(X−A)〜式(X−C)で表される基が挙げられる。

[式(X−A)〜式(X−C)中、
1A及びX1Bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表す。ただし、式(X−A)〜式(X−C)で表される基の炭素数は1〜17である。]
【0015】
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などの直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、イソボルニル基などのシクロアルキル基が挙げられる。
【0016】
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基;トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。なかでも、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基などが適している。
【0017】
酸発生剤(A)の有効成分となる式(I)で表される塩(以下、塩(I)と記載することがある)のアニオンにおいて、Q1およびQ2は、それぞれ独立にフッ素原子または−CFであることが好ましく、両方ともフッ素原子がより好ましい。
【0018】
炭素数1〜17の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
【0019】
における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、グリシジルオキシ基あるいは炭素数2〜4のアシル基等が挙げられる。
【0020】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、トリチル、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
アシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブチリル等が挙げられる。
【0021】
としては、好ましくは、式(X−1)で表される基が挙げられる。

[式(X−1)中、
a1は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
*は、−C(Q)(Q)−との結合手を表す。]
a1における置換基は、Xにおける置換基と同様のものが挙げられる。
【0022】
としては、具体的には、下記の基が挙げられる。

【0023】
は、−CO−O−X10−、−CO−O−X11−CO−O−、−X11−O−CO−、−X11−O−X12−であることが適しており、−CO−O−X10−、−CO−O−X11−CO−O−が好ましい。ただし、X10、X11及びX12は、互いに独立に、単結合あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜15のアルキレン基を表す。さらに、−CO−O−[CH−(hは、0〜10の整数を表す)がより好ましい。
【0024】
における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、グリシジルオキシ基及び炭素数2〜4のアシル基からなる群から選択される1以上が挙げられる。
【0025】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキトキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、2−エチルヘキトキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。
は、置換基を有してもよい炭素数4〜36の脂環式炭化水素基が適している。
【0026】
式(I)で表される塩のアニオンとしては、以下の式(IA)、式(IB)、式(IC)、式(ID)等が挙げられる。なかでも、式(IA)及び式(IB)で表されるアニオン等が適している。
【0027】

[式(IA)、式(IB)、式(IC)及び式(ID)中、
、Q及びYは、式(I)における定義と同じである。
10、X11及びX12は、互いに独立に、単結合あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜15のアルキレン基を表す。]
【0028】
は、式(Y0)で表される基が好ましい。

[式(Y1)中、
環W’は、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
は、互いに独立に、ハロゲン原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、グリシジルオキシ基あるいは炭素数2〜4のアシル基を表す。
xは、0〜8の整数を表す。xが2以上の場合、複数のRは、同一でも異なってもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6の炭化水素基を表すか、環W’に含まれる炭素原子と互いに結合して環を形成していてもよい。]
【0029】
炭化水素としては、飽和又は不飽和の炭化水素基を含み、上述したように、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アリール、アラルキル基又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。
環としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環又は複素環等が挙げられる。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成してもよい。
xは、好ましくは0〜6の整数、より好ましくは0〜4の整数を表す。
環W’として、式(W1)〜式(W25)などが挙げられる。なかでも、式(W12)、式(W13)で表される基などが好ましい。
【0030】

【0031】
なかでも、Yは、式(Y1)又は式(Y2)で表される基であるものがより好ましい。

[式(Y1)及び式(Y2)中、
環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基で置換されていてもよく、環に含まれるメチレン基は、カルボニル基又は酸素原子で置換されていてもよい。
*は、Xとの結合手を表す。]
【0032】
としては、さらに、環W’に含まれる水素原子が置換されていないか又は炭化水素基のみで置換された基(ただし、該環W’に含まれるメチレン基は、酸素原子で置換されていてもよい。)及び水酸基又は水酸基を含む基で置換された基(ただし、ラクトン構造を有するものを除く)並びに環W’に含まれる隣接する2つのメチレン基が酸素原子とカルボニル基とで置換されたラクトン構造を有する基及び環W’に含まれる1つのメチレン基がカルボニル基で置換されたケトン構造を有する基、環W’に含まれる水素原子が芳香族炭化水素基又は芳香環を有する基で置換された基、環W’に含まれる1つのメチレン基が酸素原子で置換されたエーテル構造を有する基などが挙げられる。
【0033】
環W’に含まれる水素原子が置換されていないか又は炭化水素基のみで置換された(該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子で置換されていてもよい。)Yとしては、例えば、以下の基が挙げられる。

【0034】
環W’に含まれる水素原子が水酸基又は水酸基を含む基で置換されたY(ただし、ラクトン構造を有さない。)としては、例えば、以下の基が挙げられる。

【0035】
環W’に含まれる隣接する2つのメチレン基がカルボニル基と酸素原子とで置換されたラクトン構造を有するYとしては、例えば、以下の基が挙げられる。

【0036】
環W’に含まれる1つのメチレン基がカルボニル基で置換されたケトン構造を有するYとしては、例えば、以下の基が挙げられる。

【0037】
環W’に含まれる水素原子が芳香族炭化水素基又は芳香環を有する基で置換されたYとしては、例えば、以下の基が挙げられる。

【0038】
環W’に含まれる1つのメチレン基が酸素原子で置換されたエーテル構造を有するYとしては、例えば、以下の基が挙げられる。

【0039】
式(IA)で表されるアニオンとしては、例えば、下記のもの等が例示される。
式(IA)中、環W’に含まれる水素原子が炭化水素基のみで置換された(該炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子で置換されていてもよい。)アニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0040】

【0041】

【0042】
式(IA)中、環W’に含まれる水素原子が水酸基又は水酸基を含む基で置換されたアニオン(ただし、ラクトン構造を有さない。)としては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0043】

【0044】

【0045】


【0046】
式(IA)中、環W’に含まれる隣接する2つのメチレン基が酸素原子とカルボニル基とで置換されたラクトン構造を有するアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0047】


【0048】
式(IA)中、環W’に含まれるメチレン基がカルボニル基で置換されたケトン構造を有するアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0049】


【0050】
式(IA)中、環W’に含まれる水素原子が芳香族炭化水素基又は芳香環を有する基で置換されたアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0051】


【0052】
式(IA)中、環W’に含まれるメチレン基が酸素原子で置換されたエーテル構造を有するアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0053】

【0054】
式(IB)で表されるアニオンとして、例えば、下記のもの等が挙げられる。
式(IB)中、環W’に含まれる水素原子が置換されていないか又は炭化水素基のみで置換された(環W’に含まれるメチレン基は酸素原子で置換されていてもよい。)アニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0055】

【0056】

【0057】
式(IB)中、環W’に含まれる水素原子が水酸基又は水酸基を含む基で置換されたアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0058】

【0059】
式(IB)中、環W’に含まれる隣接する2つのメチレン基が酸素原子とカルボニル基とで置換されたラクトン構造を有するアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0060】

【0061】
式(IB)中、環W’に含まれる1つのメチレン基がカルボニル基で置換されたケトン構造を有するアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0062】

【0063】
式(IB)中、環W’に含まれる水素原子が芳香族炭化水素基で置換されたアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0064】


【0065】
式(IC)で表されるアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
式(IC)中、環W’に含まれる水素原子が置換されていないか又は炭化水素基のみで置換された(環W’に含まれるメチレン基は酸素原子で置換されていてもよい。)アニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0066】

【0067】
式(IC)中、環W’に含まれる水素原子が水酸基又は水酸基を含む基で置換されたアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0068】

【0069】
式(IC)中、環W’に含まれる1つのメチレン基がカルボニル基で置換されたケトン構造を有するアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0070】

【0071】
式(ID)で表されるアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0072】
式(ID)中、環W’に含まれる水素原子が置換されていないか又は炭化水素基のみで置換された(環W’に含まれるメチレン基は酸素原子で置換されていてもよい。)アニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0073】

【0074】
式(ID)中、環W’に含まれる水素原子が水酸基又は水酸基を含む基で置換されたアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0075】

【0076】
式(ID)中、環W’に含まれる1つのメチレン基がカルボニル基で置換されたケトン構造を有するアニオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。
【0077】

【0078】
式(I)で表される塩におけるZとしては、例えば、式(IXz)、式(IXb)、式(IXc)又は式(IXd)などのカチオン等が挙げられる。
【0079】

[式(IXz)中、
、P及びPは、互いに独立に、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基あるいは炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。
、P及びPのいずれかがアルキル基である場合、該アルキル基は、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルコキシ基あるいは炭素数3〜12の環式炭化水素基で置換されていてもよく、
、P及びPのいずれかが脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素である場合には、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルコキシ基あるいは炭素数4〜36の脂環式炭化水素を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基あるいは炭素数2〜4のアシル基で置換されていてもよい。
式(IXb)中、P及びPは、互いに独立に、水素原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基あるいは炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
【0080】
式(IXc)中、
及びPは、互いに独立に、直鎖状又は分岐状炭素数1〜12のアルキル基あるいは炭素数3〜12のシクロアルキル基を表すか、PとPとが一緒になって、炭素数3〜12の環を形成してもよい。
は、水素原子を表し、Pは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表すか、PとPとが一緒になって、炭素数3〜12の環を形成してもよい。
【0081】
式(IXd)中、
10〜P21は、互いに独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
Eは、硫黄原子又は酸素原子を表す。
mは、0又は1を表す。]
【0082】
アルキル基、脂環式炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルキル基、環、芳香族炭化水素基等は、上記と同様である。
環式炭化水素基としては、飽和又は不飽和のいずれでもよく、例えば、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。
とPとが一緒になって形成する環としては、硫黄原子を少なくとも1つ含有する複素環が挙げられる。例えば、チイラン、チアン、チイン、チアゾリン、イアゾリジン、オキサチオラン、テトラヒドロチオフェニウム基等が例示される。なかでも、テトラヒドロチオフェニウム基が好ましい。
における芳香族炭化水素基の置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基等が挙げられる。
とPとが一緒になって形成する環としては、以下の基などが挙げられる。

ここで、*は硫黄原子との結合手を示す。
【0083】
前記の式(IXz)で表されるカチオンの中でも、例えば、式(IXa)で表されるカチオン等が好ましい。

【0084】
[式(IXa)中、P〜Pは、互いに独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルコキシ基あるいは炭素数4〜36の脂環式炭化水素を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基あるいは炭素数2〜4のアシル基で置換されていてもよい。]
【0085】
特に、脂環式炭化水素基として、アダマンチル骨格、イソボルニル骨格を含むものが適しており、好ましくは2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキル基及びイソボルニル基等が挙げられる。
【0086】
式(IXa)で表されるカチオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。


【0087】
式(IXa)で表されるカチオンの中でも、式(IXe)で表されるカチオンが、その製造が容易であること等の理由により、好ましく挙げられる。
【0088】

[式(IXe)中、P22、P23及びP24は、互いに独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。]
【0089】
前記式(IXb)で表されるカチオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。

【0090】
前記式(IXc)で表されるカチオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。


【0091】
前記式(IXd)で表されるカチオンとしては、例えば、下記のもの等が挙げられる。


【0092】

【0093】
上述したアニオン及びカチオンは、任意に組合せることができる。
例えば、式(I)で表される塩としては、式(Xa)〜式(Xi)で表される化合物が挙げられる。

【0094】
[式(Xa)〜(Xi)中、
25、P26及びP27は、互いに独立に、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基あるいは炭素数4〜36の脂環式炭化水素基を表す。
28及びP29は、互いに独立に、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基あるいは炭素数4〜36の脂環式炭化水素基を表すか、あるいはP28とP29とが一緒になってSを含んで炭素数2〜6の環を形成してもよい。
30は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜36の脂環式炭化水素基あるいは置換されていてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表すか、あるいはP30とP31とが一緒になって炭素数3〜12の環を形成してもよい。ここで、該環に含まれるメチレン基は、任意に、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
及びQは、上記と同義である。
13は、単結合またはメチレン基を表す。]
【0095】
28とP29とが一緒になって形成する環としては、テトラヒドロチオフェニウム基、チアン−1−イウム環、1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。中でも、好ましくはテトラヒドロチオフェニウム基などである。
30とP31とが一緒になって形成する環としては、上述した式(W13)〜式(W15)の基、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環、オキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0096】
上記の組合せのうち、以下の塩が好ましい。

【0097】
本発明のレジスト組成物では、酸発生剤の含有量は、後述する樹脂100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、さらに1〜15質量部であることがより好ましい。
【0098】
本発明のレジスト組成物は、樹脂(以下「樹脂(B)」という場合がある)を含有する。樹脂(B)は、酸に不安定な基を有し、アルカリ水溶液に不溶又は難溶な樹脂であり、酸と作用した該樹脂はアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂である。
【0099】
酸に不安定な基としては、酸素原子に隣接する炭素原子が4級炭素原子であるアルキルエステルを有する基、脂環式エステルなどのカルボン酸エステルを有する基、酸素原子に隣接する炭素原子が4級炭素原子であるラクトン環を有する基などが挙げられる。
ここで、4級炭素原子とは、水素原子以外の置換基と結合していて水素とは結合していない炭素原子を意味し、酸に不安定な基としては、エーテル結合のα位の炭素原子が3つの炭素原子と結合した4級炭素原子であることが好ましい。
【0100】
酸に不安定な基の1種であるカルボン酸エステルを有する基を−COORのRエステルとして例示(−COO−C(CH33 をtert−ブチルエステルという形式で称する。)すると、
tert−ブチルエステルに代表される酸素原子に隣接する炭素原子が4級炭素原子であるアルキルエステル;
メトキシメチルエステル、エトキシメチルエステル、1−エトキシエチルエステル、1−イソブトキシエチルエステル、1−イソプロポキシエチルエステル、1−エトキシプロピルエステル、1−(2−メトキシエトキシ)エチルエステル、1−(2−アセトキシエトキシ)エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンチルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンタンカルボニルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、テトラヒドロ−2−フリルエステル及びテトラヒドロ−2−ピラニルエステルなどのアセタール型エステル;
イソボルニルエステル及び1−アルキルシクロアルキルエステル、2−アルキル−2−アダマンチルエステル、1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキルエステルなどの酸素原子に隣接する炭素原子が4級炭素原子である脂環式エステルなどが挙げられる。
【0101】
このようなカルボン酸エステルを有する基としては、(メタ)アクリル酸エステル、ノルボルネンカルボン酸エステル、トリシクロデセンカルボン酸エステル、テトラシクロデセンカルボン酸エステルを有する基が挙げられる。
【0102】
本発明の樹脂組成物の樹脂は、酸に不安定な基とオレフィン性二重結合とを有するモノマーを付加重合して製造することができる。
かかるモノマーとしては、酸に不安定な基として、2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル基などのような脂環式構造などの嵩高い基を含むモノマーが、得られるレジストの解像度が優れる傾向があることから好ましい。
【0103】
具体的な嵩高い基を含むモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−アルキル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル、α−クロロアクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、α−クロロアクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキルなどが挙げられる。
【0104】
とりわけ(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルやα−クロロアクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルをモノマーとして用いた場合は、得られるレジストの解像度が優れる傾向があることから好ましい。
【0105】
具体的には、(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルとしては、例えば、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−n−ブチル−2−アダマンチルなどが挙げられ、α−クロロアクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルとしては、例えば、α−クロロアクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、α−クロロアクリル酸2−エチル−2−アダマンチルなどが挙げられる。
【0106】
これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル又は(メタ)アクリル酸2−イソプロピル−2−アダマンチルを用いた場合、得られるレジストの感度が優れ耐熱性にも優れる傾向があることから好ましい。
【0107】
(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルは、通常、2−アルキル−2−アダマンタノール又はその金属塩とアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライドとの反応により製造できる。
【0108】
本発明に用いられる樹脂は、酸に不安定な基を有するモノマーに由来する構造単位に加えて、酸に安定なモノマーに由来する構造単位を含んでいてもよい。ここで、酸に安定なモノマーに由来する構造とは、本発明の酸発生剤(A)によって開裂しない構造を意味する。
具体的には、アクリル酸やメタクリル酸のような遊離のカルボン酸基を有するモノマーに由来する構造単位、無水マレイン酸や無水イタコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物に由来する構造単位、2−ノルボルネンに由来する構造単位、(メタ)アクリロニトリルに由来する構造単位、酸素原子に隣接する炭素原子が2級炭素原子または3級炭素原子のアルキルエステルや1−アダマンチルエステルである(メタ)アクリル酸エステル類に由来する構造単位、p−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーに由来する構造単位、ラクトン環がアルキル基で置換されていてもよい(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンに由来する構造単位などを挙げることができる。尚、1−アダマンチルエステルは、酸素原子に隣接する炭素原子が4級炭素原子であるが、酸に安定な基であり、1−アダマンチルエステルには水酸基などが結合していてもよい。
【0109】
具体的な酸に安定なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル、α−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、式(a)で示される構造単位を導くモノマー、式(b)で示される構造単位を導くモノマー、ヒドロキシスチレン、ノルボルネンなどの分子内にオレフィン性二重結合を有する脂環式化合物、無水マレイン酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸などが例示される。
【0110】
これらの中でも、特に、p−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーに由来する構造単位、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルに由来する構造単位、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルに由来する構造単位、式(a)で示される構造単位、式(b)で示される構造単位のいずれかを含む樹脂から得られるレジストは、基板への接着性及びレジストの解像性が向上する傾向にあることから好ましい。
【0111】

(式中、R1及びR2は、互いに独立に、水素原子又はメチル基を表し、R3及びR4は、互いに独立に水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を表し、i及びjは、1〜3の整数を表す。iが2または3のときには、R3は互いに異なる基であってもよく、jが2または3のときには、R4は互いに異なる基であってもよい。)
【0112】
(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3、5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルなどのモノマーは、市販されているが、例えば対応するヒドロキシアダマンタンを(メタ)アクリル酸又はそのハライドと反応させることにより、製造することもできる。
【0113】
また、(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンなどのモノマーは、ラクトン環がアルキル基で置換されていてもよいα−もしくはβ−ブロモ−γ−ブチロラクトンにアクリル酸もしくはメタクリル酸を反応させるか、又はラクトン環がアルキル基で置換されていてもよいα−もしくはβ−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンにアクリル酸ハライドもしくはメタクリル酸ハライドを反応させることにより製造できる。
【0114】
式(a)、式(b)で示される構造単位を与えるモノマーは、具体的には例えば、次のような水酸基を有する脂環式ラクトンの(メタ)アクリル酸エステル、それらの混合物等が挙げられる。これらのエステルは、例えば対応する水酸基を有する脂環式ラクトンと(メタ)アクリル酸類との反応により製造し得る(例えば、特開2000−26446号公報参照。)。
【0115】

【0116】
ここで、(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンとしては、例えば、α−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0117】
KrFエキシマレーザ露光、EUV露光の場合は、樹脂の構造単位として、p−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーに由来する構造単位を用いても充分な透過率を得ることができる。このような共重合樹脂を得る場合は、該当する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとアセトキシスチレン、及びスチレンをラジカル重合した後、酸によって脱アセチルすることによって得ることができる。
スチレン系モノマーに由来する構造単位を導くモノマーとしては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【0118】

【0119】
以上のモノマーのうち、4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンが特に好ましい。
【0120】
また、2−ノルボルネンに由来する構造単位を含む樹脂は、その主鎖に直接脂環式骨格を有するために頑丈な構造となり、ドライエッチング耐性に優れるという特性を示す。2−ノルボルネンに由来する構造単位は、例えば対応する2−ノルボルネンの他に無水マレイン酸や無水イタコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物を併用したラジカル重合により主鎖へ導入し得る。したがって、ノルボルネン構造の二重結合が開いて形成されるものは式(c)で表すことができ、無水マレイン酸無水物及び無水イタコン酸無水物の二重結合が開いて形成されるものはそれぞれ式(d)及び式(e)で表すことができる。
【0121】

【0122】
ここで、式(c)中のR5及びR6は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、カルボキシル基、シアノ基もしくは−COOU(Uはアルコール残基である)を表すか、あるいは、R5及びR6が結合して、−C(=O)OC(=O)−で示されるカルボン酸無水物残基を表す。
5及びR6が基−COOUである場合は、カルボキシル基がエステル基となったものであり、Uに相当するアルコール残基としては、例えば、置換されていてもよい炭素数1〜8程度のアルキル基、2−オキソオキソラン−3−又は−4−イル基などを挙げることができる。ここで、該アルキル基は、水酸基や脂環式炭化水素残基などが置換基として結合していてもよい。
5及びR6がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられ、水酸基が結合したアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
【0123】
このように、酸に安定な構造単位を与えるモノマーである、式(c)で示されるノルボネン構造の具体例としては、次のような化合物を挙げることができる。
2−ノルボルネン、
2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、
5−ノルボルネン−2−メタノール、
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物。
【0124】
なお、式(c)中のR5及びR6の−COOUのUが、酸素原子に隣接する炭素原子が4級炭素原子である脂環式エステルなどの酸に不安定な基であれば、ノルボルネン構造を有するといえども、酸に不安定な基を有する構造単位である。ノルボルネン構造と酸に不安定な基を含むモノマーとしては、例えば、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−t−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルなどが例示される。
【0125】
さらに、酸に安定な基として、式(b1)で表される構造単位及びフッ素原子を含有す
る構造単位を含有してもよい。
【0126】

【0127】
[式(b1)中、
b’は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
ARは、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子の少なくとも1個以上がフッ素原子に置換されている。該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよく、該炭化水素基に含まれる水素原子は、水酸基あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい。
は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0128】
式(b1)で表される構造単位を導くモノマーとしては、具体的には、以下のモノマー
を挙げることができる。
【0129】

【0130】

【0131】
本発明のレジスト組成物では、樹脂(B)は、パターニング露光用の放射線の種類や酸に不安定な基の種類などによっても変動するが、通常、樹脂における酸に不安定な基を有するモノマーに由来する構造単位の含有量を10〜80モル%の範囲に調整する。
【0132】
そして、酸に不安定な基を有するモノマーに由来する構造単位として、特に、メタクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルメタクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル、アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルメタアクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキルに由来する構造単位を含む場合は、該構造単位が樹脂を構成する全構造単位のうち15モル%以上となると、樹脂が脂環基を有するために頑丈な構造となり、与えるレジストのドライエッチング耐性の面で有利である。
【0133】
なお、分子内にオレフィン性二重結合を有する脂環式化合物及び脂肪族不飽和ジカルボ
ン酸無水物をモノマーとする場合には、これらは付加重合しにくい傾向があるので、この
点を考慮し、これらは過剰に使用することが好ましい。
【0134】
さらに、用いられるモノマーとしてはオレフィン性二重結合が同じでも酸に不安定な基
が異なるモノマーを併用してもよいし、酸に不安定な基が同じでもオレフィン性二重結合
が異なるモノマーを併用してもよいし、酸に不安定な基とオレフィン性二重結合との組合
せが異なるモノマーを併用してもよい。
【0135】
樹脂(B)の重量平均分子量は、好ましくは2,500以上100,000以下であり、より好ましくは2,700以上50,000以下であり、さらに好ましくは3,000以上40,000以下である。
【0136】
本発明のレジスト組成物は、式(II)で表される化合物(以下「化合物(II)」と記載する場合がある)を含有する。

[式(II)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数4〜36の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜36の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜36の複素環基を表す。
Z’は、有機カチオンを表す。]
【0137】
式(II)で表される化合物のアニオンにおいて、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
複素環基としては、ピロール基、フリル基、チエニル基、インドール基、ベンゾフリル基及びカルバゾリル基等が挙げられる。
【0138】
における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基等が挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、特に、フッ素原子が好ましい。
【0139】
としては、炭素数1〜8のアルキル基又は式(IV)で表される基であることが好ましい。

[式(IV)中、
環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基で置換されていてもよく、環に含まれるメチレン基は、カルボニル基又は酸素原子で置換されていてもよい。
*は、酸素原子との結合手を表す。]
【0140】
における置換基としてフッ素原子を含むアニオンとしては、フロロ酢酸、ジフロロ酢酸、トリフロロ酢酸、ペンタフロロプロピオン酸、ヘプタフロロ酪酸、ノナフロロペンタン酸、パーフロロドデカン酸、パーフロロトリデカン酸、パーフロロシクロヘキサンカルボン酸及び2,2−ビストリフロロメチルプロピオン酸に由来するアニオン等が挙げられる。
【0141】
また、アニオンとしては、式(IIA−1)〜式(IIA−18)で表されるアニオン等が挙げられる。

【0142】
式(II)で表される化合物のカチオンとしては、酸発生剤におけるZと同様の有機カチオンが挙げられる。
例えば、式(III)で表されるカチオンが好ましい。

[式(III)中、
、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数4〜36の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜36の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜36の複素環基を表す。これら基に含まれる炭素原子は、硫黄原子、酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。R、R及びRのうちの2つが互いに結合して環を形成してもよい。]
【0143】
、R及びRにおける置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基等が挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、特に、フッ素原子が好ましい。
、R及びRが形成する環としては、硫黄原子を少なくとも1つ含む環であればよく、例えば、チイラン、チアン、チイン、チアゾリン、イアゾリジン、オキサチオラン、テトラヒドロチオフェニウム基等が例示される。
【0144】
具体的には、式(IIB−1)〜式(IIB−96)で表されるカチオンが挙げられる。

【0145】


【0146】

【0147】

【0148】

【0149】

【0150】

【0151】

【0152】
式(II)で表される化合物としては、カルボン酸スルホニウム塩、カルボン酸ヨードニウム塩、カルボン酸とヒドロキシイミド骨格を有する化合物との脱水縮合反応により生成されるカルボキシイミド化合物が好ましい。なかでも、カルボン酸スルホニウム塩を用いることがより好ましい。
【0153】
カルボン酸とヒドロキシイミド骨格を有する化合物との脱水縮合反応により生成されるカルボキシイミド化合物としては、式(IIB−97)〜式(IIB−99)で表されるカチオンが挙げられる。

【0154】
式(II)で表される化合物としては、下記表1に示す化合物が挙げられる。
【0155】
【表1】

【0156】
式(II)で表される化合物は、例えば、スルホニウムヒドロキシド、ヨードニウムヒドロキシド、アンモニウムヒドロキシドとカルボン酸とを適当な溶剤中で、反応させることによって合成できる。スルホニウムヒドロキシド、ヨードニウムヒドロキシド、アンモニウムヒドロキシドは、スルホニウムヨージド、ヨードニウムヨージド、アンモニウムヨージドを、適当な溶剤中で、酸化銀と反応させることによって得られる。
【0157】
式(II)で表される化合物の製造方法としては、例えば、下記の反応式で表される製造方法が挙げられる。

[式中、Z'及びRは、上記と同じ意味を表す。Xはハロゲン原子を表す。]
【0158】
Z'としては、トリフェニルスルホニウムアイオダイド等が挙げられる。
Z'及びR−CO−Agを反応させることによって、式(II)で表される化合物を得ることができる。
【0159】
式(II)で表される化合物の含量は、レジスト組成物の全固形分に対し、0.1〜20重量%が適当であり、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜7重量%である。
【0160】
また、本発明の樹脂組成物をレジスト組成物として用いる場合、塩基性化合物、好ましくは、塩基性含窒素有機化合物、特に好ましくはアミン又はアンモニウム塩を含有させる。塩基性化合物をクエンチャーとして添加することにより、露光後の引き置きに伴う酸の失活による性能劣化を改良することができる。クエンチャーに用いられる塩基性化合物の具体的な例としては、以下の各式で示されるようなものが挙げられる。
【0161】

【0162】
式中、R11、R12及びR17は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。該アルキル基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有し、該アリール基は、好ましくは6〜10個程度の炭素原子を有する。さらに、該アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アミノ基又は1〜6個の炭素数を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に1〜4個の炭素数を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0163】
13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアルコキシ基を表す。該アルキル基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有し、該アリール基は、好ましくは6〜10個程度の炭素原子を有し、該アルコキシ基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。あるいは、R13とR14とが結合して芳香環を形成していてもよい。
さらに、該アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアルコキシ基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アミノ基又は1〜6個程度の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0164】
15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はニトロ基を表す。該アルキル基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有し、該アリール基は、好ましくは6〜10個程度の炭素原子を有し、該アルコキシ基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。
さらに、該アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアルコキシ基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アミノ基又は1〜6個程度の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0165】
16は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有する。さらに該アルキル基又はシクロアルキル基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アミノ基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0166】
18、R19及びR20は、それぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。該アルキル基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有し、該アリール基は、好ましくは6〜10個程度の炭素原子を有する。さらに、該アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アミノ基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0167】
Wは、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、スルフィド基又はジスルフィド基を表す。該アルキレン基は、好ましくは2〜6程度の炭素原子を有する。
また、R11〜R20において、直鎖構造と分岐構造の両方をとり得るものについては、そのいずれでもよい。
芳香環としては、芳香族炭化水素(アリール又はアラルキル等)、芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環としては、芳香族炭化水素の任意の炭素原子が酸素原子、硫黄原子又は窒素原子で置き換わった環等があげられる。好ましくは、芳香族炭化水素である。
【0168】
このような化合物として、具体的には、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、アニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、1−又は2−ナフチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、N−メチルアニリン、ピペリジン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、イミダゾール、ピリジン、4−メチルピリジン、4−メチルイミダゾール、ビピリジン、2,2’−ジピリジルアミン、ジ−2−ピリジルケトン、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ビス(2−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジルオキシ)エタン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、2,2’−ジピコリルアミン、3,3’−ジピコリルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−オクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称:コリン)などを挙げることができる。
【0169】
さらには、特開平11−52575号公報に開示されているような、ピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物をクエンチャーとすることもできる。
【0170】
本発明のレジスト組成物は、その全固形分量を基準に、樹脂を80〜99.9重量%程度、そして酸発生剤を0.1〜20重量%程度の範囲で含有することが好ましい。
また、化学増幅型レジスト組成物としてクエンチャーである塩基性化合物を用いる場合は、レジスト組成物の全固形分量を基準に、0.01〜1重量%程度の範囲で含有するのが好ましい。
レジスト組成物としては、さらに、必要に応じて、増感剤、溶解抑止剤、他の樹脂、界面活性剤、安定剤、染料など、各種の添加物を少量含有することもできる。
【0171】
本発明のレジスト組成物は、通常、上記の各成分が溶剤に溶解された状態でレジスト液組成物とされ、シリコンウェハなどの基体上に、スピンコーティングなどの通常工業的に用いられている方法によって塗布される。ここで用いる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発した後に均一で平滑な塗膜を与えるものであればよく、この分野で通常工業的に用いられている溶剤が使用できる。
【0172】
例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類、γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0173】
本発明のパターン形成方法は、
(1)上述した本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程を含む。
【0174】
レジスト組成物の基体上への塗布は、スピンコーターなど、通常、用いられる装置によって行うことができる。
【0175】
溶剤の除去は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させることにより行われるか、あるいは減圧装置を用いて行われ、溶剤が除去された組成物層が形成される。この場合の温度は、例えば、50〜200℃程度が例示される。また、圧力は、1〜1.0×10Pa程度が例示される。
【0176】
得られた組成物層は、露光機を用いて露光する。ここでの露光機は液浸露光機であってもよい。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。
【0177】
露光後の組成物層は、脱保護基反応を促進するための加熱処理が行われる。加熱温度としては、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
加熱後の組成物層を、現像装置を用いて、通常、アルカリ現像液を利用して現像する。ここで用いられるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水でリンスし、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【実施例】
【0178】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例中、含有量及び使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり質量基準である。また重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8120GPC型、カラムは”TSKgel Multipore HXL−M”3本、溶媒はテトラヒドロフラン)により求めた値である。
【0179】
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3 + guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0180】
また、化合物の構造はNMR(日本電子製GX−270型又はEX−270型)、質量分析(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型又はLC/MSD TOF型)で確認した。
【0181】
式(II)で表される化合物C1の合成
トリフェニルスルホニウムアイオダイド5.00部及びメタノール20.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、酢酸銀2.00部及びイオン交換水100.00部の懸濁液を30分かけて滴下した。さらに、23℃で1時間攪拌し、ろ過した。得られた濾液を濃縮し、イオン交換水100.00部を添加攪拌し、ろ過した。得られた濾液を濃縮し、乾燥することにより、化合物(C1)3.59部を得た。


【0182】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 59.0
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d6、内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)1.49(s,3H)、7.70−7.90(m,15H)
【0183】
式(II)で表される化合物C2の合成

化合物(C2−a)21.25部及びアセトニトリル100.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。その後、酸化銀12.42部を仕込み、23℃で4時間攪拌し、ろ過した。得られた濾物に、tert−ブチルメチルエーテル63.75部を添加し、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。得られた濾物を乾燥することにより、化合物(C2−a)の銀塩30.69部を得た。
【0184】
トリフェニルスルホニウムアイオダイド6.48部及びメタノール50.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、化合物(C2−a)の銀塩5.00部及びイオン交換水150.00部の懸濁液を1時間かけて滴下した。さらに、23℃で5時間攪拌し、ろ過した。得られた濾液を濃縮し、メタノール30.75部を添加攪拌した。その後、濃縮し、さらに、得られた濃縮物に酢酸エチル21.64部を添加した。23℃で1時間攪拌し、析出物をろ過した。得られた濾物を乾燥することにより、白色粉体として、化合物(C2)3.45部を得た。
【0185】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 193.1
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d6、内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)1.70−2.00(m,11H)、2.25−2.30(m,2H)、7.70−7.90(m,15H)
【0186】
式(II)で表される化合物C3の合成

ジフェニルヨードニウムクロライド5.26部及びメタノール50.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、化合物(C2−a)の銀塩5.00部及びイオン交換水150.00部の懸濁液を1時間かけて滴下した。さらに、23℃で3時間攪拌し、ろ過した。得られた濾液を濃縮し、メタノール30.00部を添加攪拌した。その後、濃縮し、さらに、得られた濃縮物に酢酸エチル20.00部及びtert−ブチルメチルエーテル10.00部を添加した。23℃で1時間攪拌し、析出物をろ過することにより、化合物(C3)3.05部を得た。
【0187】
MS(ESI(+)Spectrum):M 281.0
MS(ESI(−)Spectrum):M 193.1
【0188】
式(II)で表される化合物C4の合成

(C4−a)で表される塩4.77部及びメタノール50.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、化合物(C2−a)の銀塩5.00部及びイオン交換水150.00部の懸濁液を1時間かけて滴下した。さらに、23℃で3時間攪拌し、ろ過した。得られた濾液を濃縮し、メタノール30.00部を添加攪拌した。その後、濃縮し、得られた濃縮物に、メチル−tert−ブチルエーテル30部を添加し、攪拌した後、2層に分離した上澄み液を除去して下層を取り出し、これを濃縮した。得られた濃縮液に酢酸エチル30.00部を添加し、攪拌した後、2層に分離した上澄み液を除去し、下層を取り出してこれを濃縮することによって、化合物(C4)1.48部を得た。
【0189】
MS(ESI(+)Spectrum):M 207.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 193.1
【0190】
式(II)で表される化合物C5の合成

(C5−a)で表される塩5.66部及びメタノール50.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、化合物(C2−a)の銀塩5.00部及びイオン交換水150.00部の懸濁液を1時間かけて滴下した。さらに、23℃で3時間攪拌し、ろ過した。得られた濾液を濃縮し、メタノール40.00部を添加攪拌した。その後、濃縮し、さらに、得られた濃縮物に酢酸エチル30.00部を添加した。23℃で1時間攪拌し、析出物をろ過することにより、化合物(C5)3.33部を得た。
【0191】
MS(ESI(+)Spectrum):M 305.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 193.1
【0192】
式(II)で表される化合物C6の合成

化合物(C6−a)13.36部及びアセトニトリル80.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。その後、酸化銀12.42部を仕込み、23℃で4時間攪拌し、ろ過した。得られた濾物に、tert−ブチルメチルエーテル50.00部を添加し、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。得られた濾物を乾燥することにより、化合物(C6−a)の銀塩22.93部を得た。
【0193】
トリフェニルスルホニウムクロライド4.96部及びメタノール50.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、化合物(C6−a)の銀塩3.80部及びイオン交換水100.00部の懸濁液を30分間かけて滴下した。さらに、23℃で5時間攪拌し、ろ過した。得られた濾液を濃縮し、メタノール50.00部を添加攪拌した。その後、濃縮し、得られた濃縮物に、メチル−tert−ブチルエーテル30部を添加し、攪拌した後、2層に分離した上澄み液を除去して下層を取り出し、これを濃縮した。得られた濃縮液に酢酸エチル30.00部を添加し、攪拌した後、2層に分離した上澄み液を除去し、下層を取り出してこれを濃縮することによって、化合物(C6)2.29部を得た。
【0194】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 121.0
【0195】
式(II)で表される化合物C7の合成

化合物(C7−a)15.11部及びアセトニトリル80.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。その後、酸化銀12.42部を仕込み、23℃で4時間攪拌し、ろ過した。得られた濾物に、tert−ブチルメチルエーテル50.00部を添加し、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。得られた濾物を乾燥することにより、化合物(C7−a)の銀塩16.98部を得た。
【0196】
トリフェニルスルホニウムクロライド4.96部及びメタノール50.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、化合物(C7−a)の銀塩4.06部及びイオン交換水100.00部の懸濁液を30分間かけて滴下した。さらに、23℃で5時間攪拌し、ろ過した。得られた濾液を濃縮し、メタノール50.00部を添加攪拌した。その後、濃縮し、得られた濃縮物に、メチル−tert−ブチルエーテル30部を添加し、攪拌した後、2層に分離した上澄み液を除去して下層を取り出し、これを濃縮した。得られた濃縮液に酢酸エチル30.00部を添加し、攪拌した後、2層に分離した上澄み液を除去し、下層を取り出してこれを濃縮することによって、化合物(C7)1.48部を得た。
【0197】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 137.0
【0198】
〔樹脂B1の合成〕
モノマーE、モノマーF、モノマーB、モノマーC、モノマーDをモル比28:14:6:21:31で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とした。そこに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対してそれぞれ1mol%、3mol%添加し、75℃で約5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させる操作を3回行って精製し、重量平均分子量が8.5×10の共重合体を収率74%で得た。この共重合体は、次式の各構造単位を有するものであり、これを樹脂B1とする。

【0199】
〔樹脂B2の合成〕
モノマーA、モノマーB、モノマーDをモル比50:25:25で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とした。そこに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対してそれぞれ1mol%、3mol%添加し、77℃で約5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させる操作を3回行って精製し、重量平均分子量が8.1×10の共重合体を収率55%で得た。この共重合体は、次式の各構造単位を有するものであり、これを樹脂B2とする。

【0200】
[樹脂B3の合成]
メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル 39.7g(0.16モル)とp−アセトキシスチレン 103.8g(0.64モル)をイソプロパノール 265gに溶解して、窒素雰囲気下に75℃まで昇温した。ラジカル開始剤ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)11.05g(0.048モル)をイソプロパノール22.11gに溶解して滴下した。反応溶液を12時間過熱還流した。冷却後、反応液を大量のメタノールに注いで重合物を沈殿ろ過した。得られたメタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルとp−アセトキシスチレンの共重合体は250g(メタノール含有)であった。
【0201】
得られた共重合体250gと4−ジメチルアミノピリジン10.3g(0.084モル)とをメタノール202gに加えて20時間加熱還流した。冷却後、反応液を氷酢酸7.6g(0.126モル)で中和して、大量の水に注いで沈殿させた。析出した重合物をろ別し、アセトンに溶解させ、大量の水に注いで沈殿させる操作を3回繰り返して精製した。得られたメタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルとp−ヒドロキシスチレンの共重合体は95.9gであった。重量平均分子量は約8.6×10(GPCポリスチレン換算)であり、共重合比は約20:80(C13 NMR測定)であった。この樹脂をB3とする。
【0202】
[樹脂B4の合成]
メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル 59.6g(0.24モル)とp−アセトキシスチレン 90.8g(0.56モル)を用いて、樹脂B3の合成と同様の操作を行って、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルとp−ヒドロキシスチレンの共重合体は102.8gを得た。重量平均分子量は約8.2×10(GPCポリスチレン換算)であり、共重合比は約30:70(C13 NMR測定)であった。この樹脂をB4とする。
【0203】
[樹脂B5の合成]
ラジカル開始剤ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)44.20g(0.192モル)を用いて、樹脂B3の合成と同様の操作を行って、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルとp−ヒドロキシスチレンの共重合体は82.4gを得た。重量平均分子量は約3.0×10(GPCポリスチレン換算)であり、共重合比は約20:80(C13 NMR測定)であった。この樹脂をB5とする。
【0204】
[樹脂B6の合成]
ラジカル開始剤ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)44.20g(0.192モル)を用いて、樹脂B3の合成と同様の操作を行って、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチルとp−ヒドロキシスチレンの共重合体は93.6gを得た。重量平均分子量は約3.0×10(GPCポリスチレン換算)であり、共重合比は約30:70(C13 NMR測定)であった。この樹脂をB6とする。
【0205】
[樹脂B7の合成]
メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル 75.00g(0.32モル)とp−アセトキシスチレン 77.85g(0.48モル)をイソプロパノール 285gに溶解して、窒素雰囲気下に75℃まで昇温した。ラジカル開始剤ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)41.44g(0.180モル)をイソプロパノール82.88gに溶解して滴下した。反応溶液を12時間過熱還流した。冷却後、反応液を大量のメタノールに注いで重合物を沈殿ろ過した。得られたメタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルとp−アセトキシスチレンの共重合体は275g(メタノール含有)であった。
【0206】
得られた共重合体275gと4−ジメチルアミノピリジン10.3g(0.084モル)とをメタノール200gに加えて20時間加熱還流した。冷却後、反応液を氷酢酸7.6g(0.126モル)で中和して、大量の水に注いで沈殿させた。析出した重合物をろ別し、アセトンに溶解させ、大量の水に注いで沈殿させる操作を3回繰り返して精製した。得られたメタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルとp−ヒドロキシスチレンの共重合体は88.6gであった。重量平均分子量は約4.0×10(GPCポリスチレン換算)であり、共重合比は約40:60(C13 NMR測定)であった。この樹脂をB7とする。
【0207】
〔樹脂B8の合成〕
モノマーA、モノマーDをモル比55:45で仕込み、全モノマー量の1.5重量倍のジオキサンを加えて溶液とした。そこに開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対してそれぞれ0.9mol%、2.7mol%添加し、70℃で約5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させる操作を3回行って精製し、重量平均分子量が1.1×10の共重合体を収率68%で得た。この共重合体は、次式の各構造単位を有するものであり、これを樹脂B8とする。

【0208】
実施例及び比較例
以下の表2〜表4の各成分を混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0209】
【表2】

【0210】
【表3】

【0211】
【表4】

【0212】
<酸発生剤>
酸発生剤A1

酸発生剤A2

酸発生剤H1:トリルジフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホネート
<樹脂>
樹脂B1〜B8
<塩基性化合物:クエンチャー>
クエンチャーQ1:2,6−ジイソプロピルアニリン
クエンチャーQ2:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 300.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0213】
(フォトレジスト組成物としての評価)
シリコンウェハに、有機反射防止膜用組成物(ARC−29;日産化学(株)製)を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。
次いで、前記の有機反射防止膜の上に、実施例1〜9及び比較例1のレジスト組成物を乾燥後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。
【0214】
レジスト組成物塗布後、得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表2のPB欄に示す温度で60秒間プリベーク(PB)した。このようにしてレジスト膜が形成されたシリコンウェハに、ArFエキシマステッパー〔FPA5000−AS3;(株)キャノン製、NA=0.75、2/3Annular〕用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後、ホットプレート上にて、表2のPB欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行い、さらに2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行った。
【0215】
解像性評価:100nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で露光し、レジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察した。85nmを解像しているものを○、解像していないか、解像しているがトップが丸いか、裾引きがあるか、パターン倒れが観察されるものは×とした。
【0216】
ラインエッジラフネス評価(LER):100nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で露光したソグラフィプロセス後のレジストパターンの壁面を走査型電子顕微鏡で観察した。側壁の凹凸の触れ幅が8nm以下であるものを○、8nmを超えるものを×とした。
これらの結果を表5に示す。
【0217】
【表5】

【0218】
(電子線用レジスト組成物としての評価)
シリコンウェハを、ダイレクトホットプレート上にて、ヘキサメチルジシラザンを用いて90℃で60秒処理した。
次いで、実施例10〜18及び比較例2のレジスト組成物を乾燥後の膜厚が60nmとなるようにスピンコートした。
レジスト組成物塗布後、得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表3のPB欄に示す温度で60秒間プリベークした。このようにしてレジスト膜が形成されたシリコンウェハに、電子線描画機〔(株)日立製作所製の「HL−800D 50keV」〕を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後は、ホットプレート上にて、表3のPEB欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行った。
シリコン基板上のもので現像後のパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、その結果を表6に示した。
【0219】
解像性評価:100nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で露光し、レジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察した。80nmを解像しているものを○、解像していないか、解像しているがトップが丸いか、裾引きがあるか、パターン倒れが観察されるものは×とした。
【0220】
ラインエッジラフネス評価(LER):100nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で露光したリソグラフィプロセス後のレジストパターンの壁面を走査型電子顕微鏡で観察した。側壁の凹凸の触れ幅が8nm以下であるものを○、8nmを超えるものを×とした。
【0221】
【表6】

(EUV用レジスト組成物としての評価)
シリコンウェハを、ダイレクトホットプレート上にて、ヘキサメチルジシラザンを用いて90℃で60秒処理した。
次いで、実施例19〜23のレジスト組成物を、乾燥後の膜厚が50nmとなるようにスピンコートした。
レジスト組成物塗布後、得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表4に示す温度で60秒間プリベークした。このようにしてレジスト膜が形成されたシリコンウェハに、EUV露光機を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後は、ホットプレート上にて、表4に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行った。
シリコン基板上のもので現像後のパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、その結果を表7に示した。
【0222】
解像性評価:50nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で露光した際のパターンを走査型電子顕微鏡で観察した。45nmを解像しているものを○、解像していないか、解像しているがトップが丸いか、裾引きがあるか、パターン倒れが観察されるものは×とした。
【0223】
ラインエッジラフネス評価(LER):50nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で露光したリソグラフィプロセス後のレジストパターンの壁面を走査型電子顕微鏡で観察した。側壁の凹凸の触れ幅が7nm以下であるものを○、7nmを超えるものを×とした。
【0224】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0225】
本発明のレジスト組成物は、高い解像度、良好なラインエッジラフネス(LER)を示すため、ArFやKrFなどのエキシマレーザーリソグラフィならびにArF液浸露光リソグラフィ、EUV露光リソグラフィに好適な化学増幅型フォトレジスト組成として用いることができる。また、液浸露光のほか、ドライ露光などにも用いることができる。さらに、ダブルイメージング用にも用いることができ、工業的に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される酸発生剤、樹脂および式(II)で表される化合物を含有するレジスト組成物。

[式(I)中、
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基あるいは炭素数6〜36の芳香族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよく、該脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
は、有機カチオンを表す。]

[式(II)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数4〜36の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜36の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜36の複素環基を表す。該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子またはカルボニル基で置換されていてもよい。
Z'は、有機カチオンを表す。]
【請求項2】
が、−CO−O−[CH−(hは、0〜10の整数を表す)である請求項1記載のレジスト組成物。
【請求項3】
が式(Y1)又は式(Y2)で表される基である請求項1又は2記載のレジスト組成物。

[式(Y1)及び式(Y2)中、
環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基で置換されていてもよく、環に含まれるメチレン基は、カルボニル基又は酸素原子で置換されていてもよい。
*は、Xとの結合手を表す。]
【請求項4】
Z'が、式(III)で表されるカチオンである請求項1〜3のいずれか記載のレジスト組成物。

[式(III)中、
、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数4〜36の脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜36の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜36の複素環基を表す。該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基に含まれる炭素原子は、硫黄原子、酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。R、R及びRのうちの2つが互いに結合して環を形成してもよい。]
【請求項5】
が、炭素数1〜8のアルキル基又は式(IV)で表される基である請求項1〜4のいずれか記載のレジスト組成物。

[式(IV)中、
環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基で置換されていてもよく、環に含まれるメチレン基は、カルボニル基又は酸素原子で置換されていてもよい。
*は、酸素原子との結合手を表す。]
【請求項6】
樹脂が、酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解しえる樹脂である請求項1〜5のいずれか記載のレジスト組成物。
【請求項7】
請求項6記載の組成物と塩基性化合物とを含有するレジスト組成物。
【請求項8】
塩基性化合物が、ジイソプロピルアニリンである請求項7記載のレジスト組成物。
【請求項9】
(1)請求項1〜7のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2011−39502(P2011−39502A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155700(P2010−155700)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】