説明

レトルト遮光容器およびその使用方法

容器は、その中に入れられる低酸性の栄養製品のレトルトまたは加熱滅菌に耐えることを可能にする、把持溝およびパネル構造体を含む。容器は、中間リグラインド層内およびその内側および外側層の少なくとも一方に、二酸化チタンおよび酸化鉄を有する多層材料で形成されることができる。二酸化チタンおよび酸化鉄は、容器を形成するために使用される同じ溶融可能なペレットで共に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に容器の分野に関し、より具体的には、光感受性の低酸性液体栄養製品とともに使用するためのレトルト遮光プラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0002】
低酸性の食品製品は、一般に、光および温度感受性である栄養素を含んでいる。このような液体食品の例は、幼児用の栄養製品、および特定の医療条件または食餌療法の必要性を有する人のための栄養製品である。本明細書および特許請求の範囲で使用されるとき、「低酸性の液体栄養製品」は、4.6よりも大きい最終平衡pHを有する、アルコール飲料以外の液体栄養製品である。果汁などの高酸性の栄養製品は、調理され、その後、無菌の充填エンクロージャ内で滅菌容器内に「加熱充填」されることができるが、低酸性の液体栄養製品は、滅菌容器内に配置され、密封され、その後従来の加熱加圧レトルトプロセスを使用して商業的に滅菌されなければならない。この充填後の加圧加熱滅菌は、摂氏約120度〜130度(℃)、すなわち華氏約248度〜266度(°F)の温度範囲で、バッチモードでしばしば行われる。しかし、レトルト中の高温への長すぎる曝露および光への長すぎる曝露は、製品中の栄養素の生物学的な活性に対する損傷を結果として生じさせることがある。
【0003】
たとえば、低酸性の液体栄養製品は、光に対して感受性である、ビタミンB(リボフラビン)およびビタミンAなどのビタミンを含む栄養素を通常含んでいるが、それらに限定されない。このような食品製品の光への曝露は、これらの栄養素の生物学的な活性への損傷だけでなく、製品の味またはその他の特徴の損傷を結果として生じさせることがある。このことは、このような製品が、たとえば食品製品のビタミン内容物などの栄養素内容物が特に識別されることを必要とする標示要件を有するため、医療用および小児用栄養食品を含む食品製品の包装での特定の課題を示している。列挙された栄養素内容物が光に対して感受性である場合、光への曝露のため時間にわたる食品の1つまたは複数の栄養素内容物の量または活性における減少があり、それによって食品製品が、その標示と整合しないようになるかもしれない。このような状況では、食品製品の保管寿命を短縮することが必要であるかもしれず、したがって食品製品のコストを増加させる。別法として、例えばビタミン強化(fortification)などを用いて、製品の栄養素内容物の量を増加させることが必要であるかもしれないが、このことも製品のコストを増加させる。製品の栄養素内容物が、標示で指定された範囲内に留まるように、耐光性のパッケージが提供され、それによって製品のより長い保管寿命を提供することが好ましい。
【0004】
金属製の缶は、従来、必要とされる不透明性、ビタミン保護、および密封性を提供するために、低酸性の液体栄養製品を中に入れるための好ましい手段であった。しかし、金属製の缶は、通常再密封可能でなく、それらの重量が輸送コストを追加する。金属製の缶は、弾性的に変形可能でなく、顧客は、内容物が実際には無傷であるときでさえも、へこんだ金属缶が、製造業者に戻されるべき「不良品」を示すものと認識する。ある製造業者は、比較的単純な円筒形形状のプラスチック缶を試みたが、このような缶は、レトルトプロセスの結果としてしばしば変形する。上記で議論した顧客の認識の問題に加えて、恒久的なプラスチック容器の変形および結果としての形状の変化は、しばしばかなり自動化されている、後の包装作業中での製造業者の取扱いの問題に至る。
【0005】
Macauley他に対する米国特許第5750226号は、その中に入れられている光感受性の製品に対する保護を提供するように構成されたビンを開示している。米国特許第5750226号は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。Macauley他は、多層の壁構造を有するビンを開示している。壁は、食品用ポリプロピレンの内側層および外側層と、食品用ポリプロピレンの内側層と外側層との間に配置されたリグラインド(rigrind)層と、1対の高温接着層とを備える。壁はさらに、酸素遮蔽層を備える。接着層は、他の層を遮蔽層と接合する働きをする。二酸化チタン(TiO)が、壁を通る光の伝達を減少させるために、食品用ポリプロピレンの層内、およびリグラインド層内に組み込まれている。二酸化チタンは、それが存在する各層に白色を付与する。
【0006】
二酸化チタンは、レトルトおよび滅菌包装技術の両方で使用されることができる不活性材料である。二酸化チタンは、反射性の材料である、すなわち、この二酸化チタンは、製品の内容物から離して光を反射させることによって機能する。二酸化チタンは、約500ナノメートルを超える波長を有する光を効果的に反射するが、ビンの壁面が、かなり多量の二酸化チタンを含む場合、500ナノメートル未満の波長を有する光がいくらか反射されることが見出された。しかし、米国特許第5750226号で議論されるように、高濃度の二酸化チタンは、プラスチック容器の製造で重大な問題を生じさせることがある。また、比較的薄い容器壁面に高い二酸化チタン濃度を達成することが困難であることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、低酸性の液体栄養製品を包装するための改良されたプラスチック容器および方法の必要性がある。本発明の主な目的は、この必要性に対処することである。
【0008】
本発明の別の目的は、顕著な恒久的な変形なしで、約120℃〜130℃(248°F〜266°F)の温度でのレトルトプロセス熱滅菌に耐えることが可能である容器を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、低酸性の栄養製品のための容器の遮光特性を強化するための材料を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、コスト、プロセスの変動性、および工具の摩耗を減少させるために、容器に必要とされる二酸化チタンの重量パーセントを減少させるが、なお容器の遮光特性を維持または強化することである。
【0011】
本発明の別の目的は、美観的に快適であると同時に、自動包装装置および消費者が取り扱うのが容易である容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一般にレトルト容器の分野に関し、より具体的には光感受性の低酸性栄養製品の包装で使用するためのプラスチック容器に関する。
【0013】
本発明の第1の態様は、容器が、内側層、外側層、および内側層と外側層との間に配置されたリグラインド層を含む、遮光性の多層材料で構成されることができることである。リグラインド層、および内側層と外側層のうちの少なくとも1つは、二酸化チタンおよび酸化鉄を含む。任意に、酸素遮蔽層および接着層が必要に応じて含まれてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様は、容器が、レトルトプロセスに耐えることを可能にする側壁および底壁構成で形成される。側壁は、上側部分、中間部分、および下側部分を含む。上側部分は、凸状のドーム形状を有し、中間部分は、容器を把持することをより容易にするための把持溝を備え、下側部分は、対応する複数の長手方向のビームによって分離された複数の鉛直方向に細長いほぼ矩形のくぼみによって画定されたパネル構造体を含む。任意に、くぼみは、中央に配置された隆起した島部をその中に備えることができる。底壁は、レトルトプロセスに耐える容器の能力にさらに貢献する、中央に配置された一次および二次リセスを含むことができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、低酸性の液体栄養製品を包装する新規な方法の提供をすることである。この方法は、本明細書で記載されるような容器を形成するステップと、容器の終端部と密封して対合するためのキャップを提供するステップと、容器およびキャップを滅菌するステップと、低酸性の液体栄養製品で容器を充填するステップと、充填された容器をキャップで密封するステップと、その後レトルトプロセスで密封された容器を加熱滅菌するステップとを含む。
【0016】
本発明の第4の態様は、光感受性の栄養製品を保護する新規な方法の提供をすることである。この方法は、それぞれが二酸化チタンおよび酸化鉄の両方を含む複数の溶融可能なカラーペレットを、ベース材料と混合するステップと、カラーペレットおよびベース材料を加熱するステップと、光感受性の液体栄養製品を保持するように構成された容器の層を形成するために、加熱および混合されたカラーペレットおよびベース材料を成形するステップとを含む。
【0017】
これらおよびその他の目的は、以下の図面、説明、および特許請求の範囲を読めば当業者なら明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の容器またはビンが、図中で一般に符号10によって示されている。容器10は、そのRoss Product Divisionを通じてAbbott Laboratoriesによって製造販売されている製品などの、医療および小児用栄養製品の包装および冷凍または非冷凍保管での使用に特に適している。容器10の遮光特性は、本明細書で詳細に説明するように、このような製品の栄養内容物たとえばビタミン内容物のための保護を強化する。しかし、本発明の容器10は、本発明の範囲から逸脱することなく、包装(レトルトまたはその他の方法によって)および他の光感受性製品の保管に使用されることができることを理解されたい。
【0019】
図1〜図5に示されている半剛性の容器10は、多層の壁材料12から構成された中空の本体を有する。図6Aで最もよくわかるように、壁材料は、外側層14と、内側層16と、外側層14と内側層16との間に配置されたリグラインド層18とを有する。容器10が食品製品を中に入れるように構成されている本発明の実施形態では、外側層14および内側層16は、プラスチック、好ましくは熱硬化性食品用プラスチックで構成されることができることを当業者ならわかるであろう。より具体的には、層14、16は、ポリプロピレンを含むランダムコポリマーで好ましくは構成される。
【0020】
外側層14および内側層16を同一の材料で構成することが好ましいが、必ずしも必要ではない。多くの食品用プラスチック材料で十分であるが、内側および外側層のための基本すなわち一次材料は、最も好ましくは、PP−9122の商標名の下でアメリカ合衆国テキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemical Companyから市販されている、エチレンポリプロピレンランダムコポリマーである。ExxonMobil PP−9122材料(以下PP)は、好ましくは実質的に一様な化学組成の複数の溶融性樹脂ペレットの形態で販売されている。
【0021】
実質的に一様な化学組成の複数の溶融性樹脂着色剤ペレットが、外側および/または内側層14、16を形成するために、一次PP材料とともに混合、溶融、および成形される。着色剤ペレットは、FERRO CH 010742FLBの商標名の下で、アメリカ合衆国オハイオ州インデペンデンスのFerro Corporationによって製造されている。着色剤ペレットは、共通のペレット、すなわち同一ペレット内に二酸化チタン(TiO)および酸化鉄(FeO)の両方を含む。着色剤ペレット全体が、実質的に白色または極めて明るい灰色の色相を有するように、二酸化チタンが、着色剤ペレットに白色の色相を与え、酸化鉄が、わずかな量の黒色の色相を追加する。
【0022】
このようにして、本発明の例示的な実施形態の外側層14および/または内側層16は、二酸化チタンおよび酸化鉄などの遮光性の添加物を含んでもよい。外側層14の二酸化チタンおよび酸化鉄の存在は、美観的に快適である実質的に白色を外側層に付与し、これによって多層材料12を消費者用製品のための容器の製造で有用にする。同様に、内側層16の二酸化チタンおよび酸化鉄の存在は、実質的に白色または灰色がかった色を内側層16に付与する。多層材料12が、食品製品の包装で使用されるとき、パッケージの内部に美観的に快適である外見を与えるために、実質的に白色の内壁を設けることが望ましいことがある。すなわち、顧客が、パッケージの内部を覗き込むとき、顧客は、パッケージ内に入れられた製品を取り囲む薄い灰色の内壁を見る。多層材料は、リグラインド層18と内側層16と外側層14の一方との間に配置された、黒い顔料の化合物樹脂の内層が無い。このことは、材料の複雑性とコストを低減させる。
【0023】
もちろん、外側層14および内側層16の厚さはそれぞれ、対応する必要がある包装に応じて様々であってよい。しかし、連邦規則コードは、内側層16は、容器10が食品製品を入れるために使用されるとき、約0.002インチ(0.0508mm)の最小厚を有することを要求している。本発明の例示的な実施形態では、内側層16は、約0.002インチ(0.0508mm)の最小厚を有する一方、外側層14は、約0.002インチ(0.0508mm)の最小厚を有する。
【0024】
リグラインド層18は、様々な材料から製造されてもよい。たとえば、リグラインド層18の約60重量パーセント(60%)までが、本例の容器10を形成するために使用されるボトルブロー作業のトリム屑からリグラインドされた材料から構成されてもよい。リグラインド層のバランスは、任意に、スクラバ、ろ過または浄化剤として使用される、EVALCA GF―20の3重量パーセント(3%)までの、一次PP材料を含んでもよい。
【0025】
もちろん、リグラインド材料18は、リグラインド材料によって与えられる二酸化チタンおよび酸化鉄着色剤を含む。上記で説明した着色剤ペレットは、また、リグラインド層18内の望ましい平衡着色剤レベルを維持するための必要に応じて、リグラインドに追加される一次PP材料に追加されてもよい。着色剤ペレットが、TiOおよびFeOそれぞれの別個のペレットではなく、二酸化チタンおよび酸化鉄着色剤の両方を、比較的固定された量または比率で含み、1つの着色剤ペレットのみが使用されるため、所望の定常状態の平衡レベルを達成するために、リグラインド層18に追加するための着色剤の量は、計算するのがより容易である。内側層および外側層の混合プロセス、およびその結果としての色は、1つの要素しか可変でないため、制御がより容易である。予期されない結果は、容器10で使用される研磨性の二酸化チタンの総量が、5重量パーセント(5%)未満に、より好ましくは約3.5%まで実際に減少されることができることである。
【0026】
この例示的な実施形態ではまた、リグラインド層18は、約0.007インチ(0.1778mm)の最小厚を有する。容器10の全体の最小厚は、約0.015インチ(0.381mm)である。本発明の範囲から逸脱することなく、他の壁厚が可能であることを当業者なら理解されよう。
【0027】
多層壁材料12は、図6Bに示すような、酸素遮蔽層24を任意に含んでもよい。酸素遮蔽層24は、たとえばエチレンビニルアルコール(EVOH)およびナイロンなどの、酸素遮蔽特性を提供するとして知られている様々な材料で構成されてもよい。本発明の一実施形態では、酸素遮蔽層24は、エチレンビニルアルコールEVOHコポリマー樹脂で構成されている。EVOH樹脂は、好ましくは、日本のクラレ株式会社の子会社である米国のEVAL Company(EVALCA)市販されている、EVALCA EVAL LC F101−AZである。遮蔽層は、好ましくは、0.0005インチ(0.0127mm)の最小連続厚さを有する。しかし、酸素遮蔽層24の厚さは、本発明の範囲から逸脱することなく変更することができることを理解できよう。たとえば、酸素遮蔽層24は、約0.0002インチ〜0.002インチ(0.00508mm〜0.0508mm)の厚さを有することができる。
【0028】
図6Bに示した実施形態では、外側層14の内部表面は、第1の接着層20を用いて酸素遮蔽層24に接合されている。リグラインド層18の外部表面は、第2の接着層22を用いて酸素遮蔽層24の反対側面に接合されている。すなわち、酸素遮蔽層24は、外側層14とリグラインド層18との間に配置されている。酸素遮蔽層24をこの位置に配置することは、酸素遮蔽層24を、それを無効にする湿気から保護する。また、酸素遮蔽層24をこの位置に配置することは、接着層20、22を容器10の内容物からより遠ざける。接着層20、22を容器10の内容物からより遠くに配置することは、接着剤と内容物との間の相互作用が、容器10の内容物にとって有害である場合に望ましいことが理解されよう。酸素遮蔽層24が、内側層16、リグラインド層18、および外側層14に対して他の位置を有することができることを当業者なら認識されよう。
【0029】
第1の接着層20および第2の接着層22は、多層の壁材料12内に含まれるタイプの接合材料で有用であると知られている、様々な知られている接着材料で構成されることができる。たとえば、第1の接着層20および第2の接着層22は、たとえば約0.0001インチ(0.00254mm)の最小厚を有するポリオレフィン層などの、ポリオレフィンから構成されることができる。好ましい実施形態では、第1および第2の接着層は、アメリカ合衆国ニューヨーク州パーチェスのMitsui Chemicals America,Inc.から溶融可能ペレット形態で市販されている、MITSUI ADMER QB−520Aで構成されている。外側、内側、およびリグラインド層の厚さの最小値は、上記で述べたようであり、約0.015インチ(0.381mm)の容器10に対する最小の全体壁厚は、図6Bに示した実施形態でさらに好ましい。この実施形態の容器10は、約8オンスの低酸性栄養製品を中に入れるのに適しており、実質的に恒久的な変形なしで、従来のレトルトプロセスで、130℃(266°F)までの熱滅菌に耐えることが見出された。
【0030】
本発明の容器10は、従来の方式で同時押出しブロー成形され、層のための材料は、上記で説明したようなリグラインドまたはペレット形態で提供され、混合、加熱され、マルチステーションブローホイール成形機の適切な押出し通路へ送られる。成形後、容器は、ねじ付きのキャップまたは蓋による密封のための必要な終端部26を提供するために、余分な材料またはバリを取られ、および仕上げられる。キャップは、本明細書では図示されていないが、参照によって本明細書に組み込まれるGerman他の米国特許第6276543号に開示されている。
【0031】
本発明は、独特であり、従来の方法に対して有利である、低酸性の液体栄養製品を包装する方法を提供する。この方法は、以下で説明する構造特徴を備える容器10を形成するステップと、容器の終端部と密封して対合するように構成されたキャップを提供するステップと、容器およびキャップを滅菌するステップと、低酸性の液体栄養製品で容器を充填するステップと、充填された容器の開いた上部をキャップで密封するステップと、レトルトプロセスで密封された容器を熱滅菌するステップとを含む。たとえばAbbott LaboratoriesのRoss Products Divisionによって製造された、8液体オンス(237ml)のENSURE(登録商標)液体栄養製品を充填された容器10の場合、レトルトプロセスは、以下のように行われる。充填および密封された容器が、室温から約126℃(260°F)の滅菌温度へ約13分間加熱される。滅菌温度は、約6分間保持される。滞在時間の終わりでのピーク圧力は、約2.48バール(36psig)である。滞在後、約20分間の冷却時間がある。有利には、レトルトプロセスは、少なくとも120℃(248°F)、より有利には約130℃(266°F)、最も好ましくは126.1℃から127.2℃(259°F〜262°F)の温度で行われることができる。本方法は、単層の材料または多層材料、および上記で説明した共押出しブロー成形プロセスを使用することができる。
【0032】
図1〜図5を参照すると、本発明の容器10は、底壁28、および開いた上部32を画定するために底壁28と接合された、好ましくは実質的に一様な厚さの側壁30を有する。側壁30は、上側部分34、中間部分36、および下側部分38を有する。上側部分34は、凸状のドーム形状を有し、首部のその上端部およびボトル終端部26を終端とする。中間部分36は、使用者が、容器10を片手の親指と人差し指または中指で容易に把持することを可能にする、円弧状の環状の把持溝40を画定している。約0.3インチから0.5インチ(7.62mm〜12.7mm)、およびより好ましくは約0.328インチ(8.33mm)の全半径が、把持溝40を画定している。大部分の使用者は、使用者のほかの指のいずれかに溝40を係合させることによっても、容器10を快適に把持することができる。溝40はまた、レトルトプロセス中に受ける応力を均一に伝達および/または抵抗する強い構造輪を提供する。
【0033】
下側部分38は、実質的に円筒形である上端部および下端部または端部部分42、44、およびその間のパネル構造体46をそれぞれ有する。パネル構造体46は、対応する複数の長手方向のビーム部材50によって分離された、複数の鉛直方向に細長いより好ましくは矩形のくぼみ48を含む。ビーム部材50それぞれは、実質的に円筒形の上側端部部分42および下側端部部分44と滑らかに融合する、円弧状の、より好ましくは円形の横方向断面を有する。図示した好ましい実施形態では、6個の同一の対向するビーム部材50によって分離された、6個の同一の対向するくぼみ48がある。
【0034】
くぼみ48それぞれは、その中に隆起した島部を有する。好ましくは、島部は、くぼみ48の周縁内の中央に配置され、実質的に矩形の底部を有する。島部52A、52B、および52Cは、それらの位置に応じて異なる形状を有する。1対の対向する島部52Aは、島部52Aの上部で、実質的に矩形の平坦域58Aに向かって4辺ピラミッドの方式で内側に傾斜する、同一の反対側の側面54Aおよび同一の端部56Aを有する。反対側の島部52Aの一方は、実質的に平坦なリセス領域59を有し、このことは、型内のイジェクタピンから残された余分なバリ材料が、容器10の強度または最も外側の輪郭に悪い影響を及ぼすことなく、研磨されて取り除かれることを可能にする。別の1対の対向する島部52Bは、実質的に矩形の平坦域58Bに向かって内向きに傾斜する、反対側の側面54B、54B’および鏡像端部56B、56B’を有する。しかし、側面54Bは、側面54B’よりも鋭い角度で内向きに傾斜している。したがって、側面54B’は、側面54Bよりも大きな表面積を有する。別の1対の対向する島部52Cは、各島部52Cが隣接する島部52Bと鏡像であるように構成されている。したがって、結果としてのピラミッド構造体52Cは、島部52Bと反対方向に歪曲し、側面54C、54C’、端部56C、56C’、および平坦域58Cを有する。くぼみ48それぞれは、下端部分44と結合するようにくぼみの底部から鋭角で外向きおよび下向きに延びる傾斜した平面状の表面60を含む。
【0035】
図5で最もよく見られるように、容器10の底壁28もまた、恒久的な変形に対する抵抗に寄与する形状を有する。底壁の形状は、Abbott Laboratoriesに譲渡され、その全体において参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5269437号に開示されている。好ましい実施形態では、底壁28は、円形または円錐状の一次リセス61と、実質的に平坦な楕円形の二次リセス62とを含み、これらは両方中央に配置されている。二次リセス62は、長軸および短軸を有する。長軸に沿って二次リセス62を横切る距離を、短軸に沿って二次リセス62を横切る距離で割った商は、1よりも大きいが3より大きくはない。実質的に平坦な円形の環状リング64すなわち載置表面が、リセス61、62を包囲している。底壁28は、二次リセス62およびリング64と接合するように、一次リセス61に沿って上向きおよび内向きに傾斜している。
【0036】
本発明は、ある例示的な好ましい実施形態に対して本明細書で説明されてきたが、特許請求の範囲で規定された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正が、多層材料、それから形成される容器、および包装プロセスに行われることができることを当業者なら理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に従って構成されたビンまたは容器の正面立面図である。
【図2】図1の容器の右側立面図である。
【図3】図1の容器の後部立面図である。
【図4】図1の容器の上部平面図である。
【図5】図1の容器の底部平面図である。
【図6A】本発明の一実施形態に従って構成された容器壁材料を示す、図2の線6−6に沿った拡大部分断面図である。
【図6B】本発明の別の実施形態を示す、図6Aと同様の拡大部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側層と、
外側層と、
内側層と外側層との間に配置されたリグラインド層とを備え、
リグラインド層および外側層と内側層のうちの少なくとも1つが、二酸化チタンおよび酸化鉄を含む、多層材料。
【請求項2】
外側層が、二酸化チタンおよび酸化鉄を含む、請求項1に記載の多層材料。
【請求項3】
内側層および外側層が、二酸化チタンおよび酸化鉄を含む、請求項1に記載の多層材料。
【請求項4】
内側層が、エチレンポリプロピレンコポリマーを備える、請求項1に記載の多層材料。
【請求項5】
外側層が、エチレンポリプロピレンコポリマーを備える、請求項1に記載の多層材料。
【請求項6】
内側層および外側層が、同一のエチレンポリプロピレンコポリマーを含む、請求項1に記載の多層材料。
【請求項7】
酸素遮蔽層、第1の接着層、および第2の接着層をさらに備え、第1の接着層が、酸素遮蔽層をリグラインド層の外部表面に接合するように構成され、第2の接着層が、酸素遮蔽層を外側層の内部表面に接合するように構成される、請求項1に記載の多層材料。
【請求項8】
酸素遮蔽層が、エチレンビニルアルコールを備える材料から構成される、請求項7に記載の多層材料。
【請求項9】
内側層と、
内部表面を有する外側層と、
前記内側層と前記外側層との間に配置され、外部表面を有するリグラインド層と、
前記リグラインド層の前記外部表面に隣接して配置された第1の接着層と、
前記外側層の前記内部表面に隣接して配置された第2の接着層と、
前記第1の接着層と前記第2の接着層との間に配置された酸素遮蔽層とを備え、前記第1および第2の接着層が、前記酸素遮蔽層を前記リグラインド層および前記外側層にそれぞれ接合するように構成され、
前記外側層が、二酸化チタンおよび酸化鉄を含み、
前記リグラインド層が、二酸化チタンおよび酸化鉄を含む、
光感受性製品のための容器。
【請求項10】
内側層が、二酸化チタンおよび酸化鉄を含む、請求項9に記載の容器。
【請求項11】
二酸化チタンおよび酸化鉄が、レトルト容器を形成するために、共通の溶融可能な樹脂ペレットで共に提供され、押出しブロー成形される、請求項9に記載の容器。
【請求項12】
内側層および外側層が、同一のエチレンポリプロピレンコポリマーを含む、請求項9に記載の多層材料。
【請求項13】
側壁、底壁、および開いた上部を画定する多層材料を備え、
多層材料が、内側層、外側層、および内側層と外側層との間に配置されたリグラインド層を備え、リグラインド層および外側層と内側層のうちの少なくとも1つが、二酸化チタンおよび酸化鉄を含み、
側壁が、凸状のドーム形状を有し、キャップによって密封されるように構成された終端部の上端部を終端とする上側部分と、底壁と接合された下側部分と、上側部分と下側部分との間に配置された中間部分とを備え、
側壁の中間部分が、円弧状の環状の把持溝を画定し、
下側部分が、上端部および下端部で実質的に円筒形であり、パネル構造体を実質的に円筒形の上端部と下端部との間に含み、該パネル構造体は、それぞれ円弧状の横方向断面を有する対応する複数の長手方向のビーム部材によって分離された、複数の鉛直方向に細長い矩形のくぼみを備える、レトルト処理可能なプラスチックビン。
【請求項14】
矩形のくぼみそれぞれが、鉛直方向に細長いほぼ矩形の底面、反対側の内向きに傾斜した側壁、および反対側の内向きに傾斜した端壁を有する、中央に配置された隆起した島部を含む、請求項13に記載の容器。
【請求項15】
把持溝が、約0.3インチ〜0.5インチ(7.62mm〜12.70mm)の半径を有する、請求項13に記載の容器。
【請求項16】
把持溝が、約0.328インチ(8.33mm)の半径を有する、請求項15に記載の容器。
【請求項17】
低酸性の液体栄養製品を包装する方法であって、
容器を形成するステップを含み、前記容器が、
側壁、底壁、および開いた上部を備え、
側壁が、凸状のドーム形状を有し、かつキャップによって密封されるように構成された終端部の上端部を終端とする上側部分と、底壁と接合された下側部分と、上側部分と下側部分との間に配置された中間部分とを含み、
側壁の中間部分が、円弧状の環状の把持溝を画定し、
側壁の下側部分が、上端部および下端部で実質的に円筒形であり、実質的に円筒形の上端部と下端部との間にパネル構造体を含み、該パネル構造体が、対応する複数の長手方向のビーム部材によって分離された複数の鉛直方向に細長い矩形のくぼみを備え、前記低酸性の液体栄養製品を包装する方法がさらに、
容器の終端部と密封して対合するように構成されたキャップを提供するステップと、
容器およびキャップを滅菌するステップと、
低酸性の液体栄養製品で容器を充填するステップと、
充填された容器の開いた上部をキャップで密封するステップと、
レトルトプロセスで密封された容器を熱滅菌するステップとを含む、低酸性の液体栄養製品を包装する方法。
【請求項18】
容器を形成するステップが、側壁、底壁、および開いた上部を画定する多層材料を共押出しブロー成形することを含み、多層材料が、内側層、外側層、および内側層と外側層との間に配置されたリグラインド層とを備え、リグラインド層および外側層と内側層のうちの少なくとも1つが、二酸化チタンおよび酸化鉄を含む、請求項17に記載の低酸性の液体栄養製品を包装する方法。
【請求項19】
レトルトプロセスが、少なくとも120℃の温度で行われる、請求項17に記載の低酸性の液体栄養製品を包装する方法。
【請求項20】
レトルトプロセスが、約126.1℃〜127.2℃の温度で行われる、請求項18に記載の低酸性の液体栄養製品を包装する方法。
【請求項21】
光感受性の液体栄養製品を保護する方法であって、
それぞれ二酸化チタンおよび酸化鉄の両方を含む複数の溶融可能なカラーペレットを、ベース材料と混合するステップと、
カラーペレットおよびベース材料を加熱するステップと、
光感受性の液体栄養製品を保持するように構成された容器の層を形成するために、加熱および混合されたカラーペレットおよびベース材料を成形するステップとを含む、光感受性の液体栄養製品を保護する方法。
【請求項22】
成形ステップが、押出しブロー成形によって達成され、形成された層が、容器の外側層である、請求項21に記載の光感受性の液体栄養製品を保護する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2006−523155(P2006−523155A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507359(P2006−507359)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/008416
【国際公開番号】WO2004/085268
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】