説明

レニン阻害剤の製造方法

【課題】薬学的活性化合物、とりわけレニン阻害剤の合成に有用な新規製造方法、新規工程段階および新規中間体の提供。
【解決手段】式IIIのピロリジン環を、ヒドロキシル基をハロゲン置換、又は有機スルホン酸のスルホネートとした後、保護されたアミノ基との反応によって製造することを含む、式III


〔式中、R、R、R、Rは水素等、およびPGはアミノ保護基である。〕の化合物、またはその塩の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的活性化合物、とりわけレニン阻害剤の合成に有用な新規製造方法、新規工程段階および新規中間体に関連する。
【背景技術】
【0002】
レニンは腎臓から血液に移り、その場所でアンギオテンシノーゲンを開裂し、デカペプチドアンギオテンシンIを放出し、それは次いで肺、腎臓および他の臓器で開裂され、オクタペプチドアンギオテンシンIIを形成する。本オクタペプチドは、動脈血管収縮により直接的に、および副腎からナトリウム−イオン−保持ホルモンアルドステロンを放出することにより間接的に血圧を上げ、同時に細胞外液体の容量を増加させ、その増加はアンギオテンシンIIの作用に関与し得る。レニンの酵素活性の阻害剤は、アンギオテンシンIの形成を減少させ、結果的により少ない量のアンギオテンシンIIが産生される。この活性ペプチドホルモンの減少した濃度が、レニン阻害剤の血圧低下効果の直接の原因である。
【0003】
(INN名)アリスキレン((2S,4S,5S,7S)−5−アミノ−N−(2−カルバモイル−2−メチルプロピル)−4−ヒドロキシ−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)ベンジル]−8−メチルノナンアミド)のような化合物により、アンギオテンシンII生合成の最初にレニン−アンギオテンシンを妨害する新規抗高血圧剤が開発されている。
【0004】
本化合物が4個のキラル炭素原子を含むため、エナンチオマー的に純粋な化合物の合成がかなり難しい。故に、この精巧な分子のより簡便な合成を可能にする修正された合成経路は、歓待される。
【0005】
故に本発明により解決すべき課題は、このクラスの化合物の簡便で効率的な処理を可能にする、新規合成経路および新規中間体の提供である。
【発明の概要】
【0006】
発明の要約
下記式Iの2級ベンジル型アルコールのジアステレオマー混合物の還元的脱酸素化の研究中に、還元的工程を促進するために、この基をヒドロキシ以外の基、とりわけハロ、例えばクロロまたはヨード、または有機スルホン酸のスルホネート、例えばメタンスルホネート(メシレート)またはトルオールスルホネート(トシレート)のような脱離基に変える試みを行った。しかしながら、望む化合物は得られなかった。式II
【化1】

〔式中、R、R、R、RおよびPGは以下で式Iの化合物について定義の通りであり、そしてXはヒドロキシ以外の基、とりわけハロ、例えばクロロまたはヨード、または有機スルホン酸のスルホネート、例えばメタンスルホネート(メシレート)またはトルオールスルホネート(トシレート)のような脱離基である。〕(これは、次いで、最初の意図通り、Xの代わりに水素原子が存在する対応する化合物に還元できている)の望む化合物以外に、以下に記載の式IIIのピロリジンが、以下に示す立体化学を有する単一エナンチオマーとして高収率で得られた。この驚くべき発見を、次いで、アリスキレンおよび関連化合物の合成のための完全に新規な経路において使用した。
【0007】
発明の詳細な記載
第一のそして非常に関連する局面において、本発明は式III
【化2】

〔式中、
Rは水素、アルキルまたはアルコキシアルキルであり;
は水素、アルキルまたはアルコキシアルキルであり;
は水素または好ましくはヒドロキシル保護基であり;
は水素または非置換または置換アルキルであり;そして
PGはアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって;
式I
【化3】

〔式中、R、R、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りである。〕
の化合物と、(ここではとりわけベンジル型)ヒドロキシ(とりわけ式I中の波線により結合しているもの)をX(これは、恐らく環形成が起こる前に反応混合物中で上記式IIの化合物に一過性に存在し、ここで、Xはヒドロキシまたは水素以外の基、とりわけ脱離基である)に変換できる試薬と反応させることを含む(好ましくはこれから成る)方法に関する。
【0008】
これらの式(I)の化合物は出発物質として使用される。これらは、(S)ピログルタミン酸から出発する合成を使用して、入手できる。水素化または還元により各アミノアルコールに変換できるケトンアミノ誘導体が製造されているPCT出願WO2006/024501を引用する。
【0009】
ヒドロキシをXに変換できる試薬は、好ましくはベンジル型アルコールのヒドロキシ以外の基、とりわけ脱離基X[例えばここで、Xは(例えば水性)ハロゲン化水素酸、例えば塩酸、チオニルハロゲニド、例えば塩化チオニル、PX、POX、PXまたはPOXである(ここで、Xはハロゲンであり(それによりXは、とりわけクロロまたはブロモとなる))、トリフェニルホスフィン/ハロゲンの組み合わせ、例えばトリフェニルホスフィン/ヨウ素、ここで、Xは有機スルホニルオキシ部分活性誘導体(式XVIの炭酸の活性誘導体の活性化に関して以下に記載のものと同等の条件下で形成でき、またはその場で、とりわけ無水物(例えば炭酸、例えば酢酸との混合無水物、または対称無水物)または有機スルホン酸のハロゲニド、例えばメタンスルホニルクロライド、トリフルオロメタンスルホニルクロライドまたはトシルクロライドから成る群から選択されるハロである]に、塩基、例えば3級窒素塩基、例えばトリエチルアミンなどの存在下で変換できる通常の試薬である。チオニルハロゲニド、PX、POX、PXまたはPOXの場合、本反応は、好ましくは適当な溶媒、例えばトルエン中、3級窒素塩基、例えばピリジン存在下、例えば0から50℃の温度で行う。有機スルホン酸の無水物またはハライド存在下、本反応は、好ましくは適当な溶媒、例えばトルエンおよび/またはジメチルアミノピリジン、および塩基、例えば3級窒素塩基、例えばトリエチルアミン存在下、例えば−30から50℃の温度で行う。トリフェニルホスフィン/ハロゲン存在下、本反応は、好ましくは適当な溶媒、例えばトルエンおよび/またはアセトニトリル中、(好ましくは環状不飽和)窒素塩基、例えばイミダゾール存在下、例えば0から50℃の温度で行う。
【0010】
あるいは、化合物(III)は、化合物(I)からイオン交換樹脂、好ましくは酸性イオン交換樹脂、例えばamberlyst酸性イオン交換樹脂、好ましくはAmberlyst 15(Fluka)を、水除去下に使用して、得ることができる。本反応は、好ましくは適当な溶媒、例えばトルエンおよび/またはアセトニトリル存在下、例えば0から50℃の温度、例えば室温で行う。
【0011】
本発明の他の重要な態様は、上記の式IIIの化合物、またはその塩である。
【0012】
式IIIの化合物は、とりわけ、薬学的活性物質、好ましくはレニン阻害剤、とりわけ以下に記載の通りの、例えばアリスキレンの合成に使用し得る。
【0013】
本発明の好ましいさらなる態様において、この合成は、さらなる工程または独立した合成として、Rがヒドロキシ保護基、とりわけPGの除去に必要な条件以外の脱保護条件により、より好ましくは加水分解により除去可能な基、例えばtert−C−C−アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニルであり、R、R、RおよびPGが上記式Iの化合物について定義の通りである式IIIの化合物(これは、遊離形であるか、または塩としてもそれ自体本発明の好ましい態様である)の、式IV
【化4】

〔式中、R、R、RおよびPGは上記式IIIの下に定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩への保護基Rの(部分的)脱保護を含む。式IVの化合物、またはその塩も、それ自体本発明の好ましい態様である。
【0014】
保護基Rが加水分解により除去可能な場合、例えばtert−C−C−アルコキシカルボニル例えばtert−ブトキシカルボニルの場合、本除去は、好ましくは酸またはより好ましくは塩基、例えば金属水酸化物または好ましくは金属、より好ましくはアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸カリウムの存在下、適当な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールまたはエタノール、水またはそれらの混合物中、例えば0℃から混合物の還流温度で、例えば30から60℃で行う。
【0015】
上記反応工程の別法として、化合物(I) − また粗(I) − を、遊離塩基(IVa)として化合物(IV)に一容器合成により変換でき、それは、中間体式(III)の化合物の単離なしに、抽出により精製し得る。化合物(IVa)を、次いで、塩、例えばマレイン酸塩またはシュウ酸塩として結晶化できる。これは、それがさらなる精製を可能にするため、好ましい。化合物(IVa)は化合物(IV)に容易に変換する。窒素への保護基の挿入は、単純で、選択的で、そしてクリーンである。
【0016】
【化5】

この一連の反応で、保護基RおよびPGは好ましくは加水分解により除去可能であり、そしてより好ましくは、例えばtert−C−C−アルコキシカルボニル例えばtert−ブトキシカルボニルである。本除去は、好ましくは塩基またはより好ましくは酸の存在下、当分野で既知の条件下で、例えば無機酸を、好ましくはその水性またはアルコール性溶液、例えばHCl、トリフルオロ酢酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸などとして、適当な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールまたはエタノール、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルのようなエステル、またはTHFまたはTBMEのようなエーテル、水またはそれらの混合物中、例えば0℃から混合物の還流温度までの温度、例えば50から100℃で行う。
【0017】
化合物(IVa)の結晶化を望むならば、これは典型的結晶化により、そして望む酸例えばマレイン酸またはシュウ酸、好ましくはマレイン酸の添加により行う。
【0018】
ピロリジンアミノ基の保護は、例えば下記実施例に記載の、または引用教本に記載の通りの当分野で既知の方法により行う。好ましくは、boc基を、例えば標準条件下にジ−tert−ブチルジカーボネートを使用して、窒素に挿入する。
【0019】
次いで、式IVの化合物は、さらに、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成における種々の方法に使用できる。
【0020】
本発明の第一のさらなる態様において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、とりわけ上記のように合成された式IVの化合物の、式V
【化6】

〔式中、R、R、RおよびPGは上記式IIIの下に定義の通りである。〕
のオキソ化合物、またはその塩への酸化を含む。この方法自体、ならびに式Vの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。
【0021】
本反応は、とりわけヒドロキシ基からオキソ基への酸化を可能にする通常の条件下で、そして通常の酸化試薬(酸化剤)を使用して行う。
【0022】
式IVの化合物中のRが水素である(好ましい)場合、本反応は、対応する式Vのアルデヒド、またはその塩の式IVの化合物からの直接の入手を可能にする酸化剤を使用でき、または、最初に式XVI
【化7】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について上記で定義の通りである。〕
のカルボキシル化合物、またはその塩に酸化し、次いでそれを還元剤で式Vのアルデヒド(式中、Rは水素であり、そしてR、R、RおよびPGは上記式IIIの下に定義の通りである)、またはその塩に還元することにより得ることができる。これらの方法それ自体、ならびに式XVIの化合物、またはその塩、および式Vの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。式Vのアルデヒドへの直接反応は、例えば、アルコールのアルデヒドへの酸化を、式XVIの酸の過度の形成なしに可能にする酸化剤の存在下、例えばOppenauer条件下で(例えばシクロヘキサノン、桂皮アルデヒドまたはアニスアルデヒドを酸化剤として、アルミニウムアルコラート、例えばアルミニウム−tert.−ブトキシアルコラートを使用して)、好ましくはクロム酸、ジクロメート/硫酸、ピリジニウム−クロロクロメート、ピリジニウムジクロメート、硝酸、二酸化マンガンまたは二酸化セレンと共に、または触媒的脱水素化により行うことができ、またはより好ましくは緩和な反応条件下で有用な酸化剤、例えばTEMPO酸化(TEMPO=2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−ニトロキシル)と漂白剤、例えば亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムを、好ましくはブロマイド塩、例えばカリウムブロマイドの存在下、適当な溶媒、例えば塩化メチレンおよび/または水中、または適当な溶媒、例えば塩化メチレン中ジアセトキシヨードベンゼンで、例えば0から50℃の温度で;Swern条件下、例えばジメチルスルホキシドを塩化オキサリルの存在下、例えば低温、例えば−90から0℃で、好ましくは3級窒素塩基、例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンの存在下で使用して;Corey-Kim条件下、例えばジメチルスルフィドをN−クロロ−スクシンイミドの存在下使用して;Moffat-Pfitzner条件下、例えばジシクロヘキシル−カルボジイミドの存在下ジメチルスルホキシドで酸化して;Dess-Martin−ペルヨージナン(1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン)の存在下、適当な溶媒、例えば塩化メチレン中、例えば0から50℃の温度でDess-Martin酸化して;または適当な溶媒、例えば塩化メチレンの非存在下または存在下、例えば−30から30℃の温度でジメチルスルホキシド中SO/ピリジン複合体を使用して;またはあまり好ましくはないが、例えば、銀、銅、銅クロム酸化物または酸化亜鉛の存在下、触媒的脱水素化を使用して行うことができる。必要なとき、酸化剤の化学量論を、過酸化を避けるために適切に選択する。
【0023】
式IVの化合物(または好ましくは上記の通り得られた式Vのアルデヒド化合物)の式XVIの化合物への酸化は、例えば、Jones試薬(水性硫酸/アセトン中CrO)と、二酸化マンガンと、ピリジニウムジクロメートと、またはとりわけPinnick酸化条件下、例えば亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムでの、弱酸、好ましくはアルカリ金属ジハイドロゲン・ホスフェート、例えばナトリウムジハイドロゲン・ホスフェートの存在下、適当な溶媒または溶媒混合物、例えばアルコール、例えばtert−ブタノール、2−メチル−2−ブテンおよび/または水中、例えば0から50℃の温度で行い得る。次いで、式XVIの酸化合物の還元を、Rが水素であり、そしてR、R、RおよびPGが式IIIの下に定義の通りである式Vのアルデヒドへの選択的還元を可能にする還元剤の使用により行う。本還元剤は、例えば、適当な複合ハイドライドから選択でき、そして式XVIの化合物は、また活性化カルボキシル基を有する形で、例えば酸ハロゲニド、活性エステル、(例えば混合)無水物としてまたは例えば活性形へのその場での活性化により、または式XVIの化合物と式VIの化合物のカップリングについて以下に記載の通りの活性化により、使用できる。例えば、式XVIの化合物の酸クロライドの場合、式Vのアルデヒドへの還元は、適当な溶媒、例えば2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)中、LiAlH(tert−ブトキシ)(リチウム−トリ(tert−ブトキシ)アルミニウムハイドライド)により行い得て、または水素化ホウ素ナトリウムまたはそれらの複合体を使用できる。あるいは、本還元は、部分的に毒性の水素化触媒の存在下、例えばRosenmund還元条件下、パラジウム/バリウムスルフェートおよび適当な溶媒、例えば水、アルコール、例えばメタノールまたはエタノール、ジオキサン、酢酸アセチルまたは2種以上のこのような溶媒の混合物中水素を使用して、一般的な温度、例えば0から80℃での水素化により行うことができる。
【0024】
本発明のこの第一の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成は、直前に定義の通りの式Vの化合物(ただし、その中のRは水素である)を、グリニャールまたはグリニャール様条件下、式VI
【化8】

〔式中、Halはハロ、好ましくはクロロ、ブロモまたはヨードであり、そしてPTはヒドロキシル保護基である。〕
の化合物と金属の反応により製造した試薬と反応させ、式VII
【化9】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの下に定義の通りであり、そしてPTはヒドロキシル保護基、好ましくは保護基PGの除去なしに選択的に除去できる基、例えば1−フェニル−C−C−アルキル、例えばベンジルである。〕
の化合物、またはその塩を製造することを含む。この方法それ自体、ならびに式VIIの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。この反応のジアステレオ選択性は非常に高く、例えば99:1より高いことが可能であり、すなわち、他の可能性のあるジアステレオ異性体が実質的に観察されない。これは、この変換へのピロリジン環系の使用に、故に、またレニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成において非常な利点を示す。
【0025】
本反応は、適当な溶媒、例えばエーテル、例えば環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン、アルキルエーテル、例えばジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、炭化水素、例えばトルエン、またはハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン中、例えば0から70℃の範囲の温度で、好ましくは式VIの化合物と反応して、対応する金属化合物が得られる金属、例えばリチウム、ナトリウム、鉄、亜鉛、スズ、インジウム、マンガン、アルミニウムまたは銅金属化合物、またはMnX、(アルキル)MnLi−、または−CeX(ここで、Xはハロゲン例えばCl、IまたはBr、より好ましくはBrである);またはグリニャール様反応のためのグリニャール様試薬を得るために金属の組み合わせ、例えばMg/Feにより得られるさらなる試薬、またはさらにルイス酸により得られるさらなる、例えばBF.ジエチルエーテル複合体またはMgBrなど、または、グリニャール反応のための金属としてのマグネシウム(Mg)を有する対応するグリニャール試薬を提供するマグネシウムと行う。グリニャールまたはグリニャール様試薬または有機リチウム化合物が好ましく、グリニャールまたはグリニャール様試薬が特に好ましい。
【0026】
式(VI)の化合物は当業者に既知の方法に従い製造でき、例えば、引用により本明細書に包含するHouben-Weyl, Vol. 13/2a, page 53 - 526を参照のこと。
【0027】
本発明のこの第一の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、直前に定義の式VIIの化合物を、ヒドロキシ保護基PTの除去による、例えば水素化により除去できる保護基、例えば1−フェニル−C−C−アルキル、例えばベンジルの場合、触媒的水素化により脱保護して、式VIII
【化10】

〔式中、R、RおよびPGは上記式IIIの下に定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩を得ることを含む。この方法それ自体、ならびに式VIIIの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。本脱保護は、適当な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールまたはエタノール、または非アルコール性溶媒、例えば(これに限定しないが)トルエンまたは酢酸エチル中、例えば0から50℃の適当な温度で、触媒、例えば担体、例えば炭上に存在し得る例えば貴金属触媒、例えばパラジウムの存在下での水素化により行う。
【0028】
本発明のこの第一の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、式VIIIの化合物を1級ヒドロキシ基で酸化して、式IX
【化11】

〔式中、R、RおよびPGは上記式IIIの下に定義の通りである。〕
のアルデヒド化合物、またはその塩を得て、それを次いで自発的に環化して式X
【化12】

のラクトールを得て(これは同じ混合物中であるか(その場)または単離後、および別の工程である)、これはそれ自体本発明の態様を構成し、それを次いで式XI
【化13】

〔式XおよびXI中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について上記で定義の通りである。〕
のラクトンを得ることを含む。式VIIIの化合物から式XIの化合物への反応のこの一連の反応工程それ自体、ならびに式IXの化合物またはとりわけ式Xおよび/またはXIの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。式Xのラクトールをもたらす式VIIIの化合物の酸化は、好ましくは式IVの化合物から式Vのアルデヒドへの酸化に好ましいとして記載の条件下、例えば、適当な溶媒、例えば塩化メチレン中ジメチルスルホキシドの存在下でSO/ピリジンにより、好ましくは3級窒素塩基、例えばトリエチルアミンの存在下、例えば−30から50℃の温度で行う。式XIの化合物へのその後の酸化は、同じ反応条件下で、上記の試薬のいくつかの過剰量を使用して、またはそれを単離し、そしてさらなる試薬、例えば上記の試薬で、より好ましくはTEMPO/ジアセトキシヨードベンゼンを使用して別に酸化できる。
【0029】
あるいは、それはまた、例えば文献、S. Ley et al. Synthesis, 639(1994)に従い、試薬TPAP(テトラ−N−プロピルアンモニウムペルルテナート)により、2級アルコールに影響することなく、1級アルコールの位置で酸化して、化合物XIを取得できる。この方法が特に好ましい。
【0030】
本発明のこの第一の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成は、直前に定義の式XIの化合物、またはその塩と、式XII
【化14】

(ここで、アミド窒素もまた望むならば保護してよく、次いで保護基を対応する保護された式XIIIの化合物において除去する)のアミン、またはその塩を反応させて、式XIII
【化15】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩を得ることを含む。この方法それ自体、ならびに式XIIIの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。
【0031】
本反応は、好ましくはラクトンからアミドを形成するための標準条件下、例えば適当な溶媒または溶媒混合物中、例えばエーテル、例えばtert−ブチルメチルエーテル中、好ましくは弱酸性および弱塩基性基の二機能性触媒、例えば2−ヒドロキシピリジンまたはプロリンの存在下、適当な塩基、例えば3級窒素塩基、例えばトリエチルアミン存在下、例えば0℃から反応混合物の還流温度の範囲の適当な温度、例えば0から85℃で行う。
【0032】
本発明のこの第一の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、式XIIIの化合物の環を還元的または水素化分解的開環により開けて、式XIV
【化16】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩を得ることを含む。本反応工程それ自体また本発明の態様を形成する。
【0033】
本還元的開環は、好ましくは、還元剤として適当な金属を用いた、例えばBirch還元と同等な条件下で、アルカリ金属および液体アンモニアと、例えばナトリウムまたはリチウムと、液体アンモニア(NH)の存在下、適当なさらなる溶媒または溶媒混合物、例えばエーテル、例えばテトラヒドロフラン、および/またはアルコール、例えばエタノールの存在下または非存在下、低温、例えば−90から−20℃で、例えば約−78℃で行う。別の還元法、例えばtert−ブタノール中カルシウムでの還元、アントラセン中のカルシウム、リチウム−ジ−tert−ブチルビフェニリド、マグネシウムでの他の還元法が可能であり、これは液体アンモニアの使用および低温(<−20℃)を必要としない。
【0034】
あるいは、本開環を水素化により行い得る。このような方法は当分野で既知であり、そして例えばHouben-Weyl, Volume 11/1, Stickstoffverbindungen II, page 968 - 971またはD. Tourwe, et al., Tetrahedron, 54, 1753(1998)に記載されている。
【0035】
本発明のこの第一の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、式XIVの化合物を脱保護して、対応する式XV
【化17】

〔これは薬学的に、とりわけレニン阻害剤として活性であり、そしてRおよびRは式Iの化合物について定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩を得て;そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換することを含む。例えば、PGが(これが好ましい)C−C−アルコキシカルボニル基、例えばtert−ブトキシカルボニルであるとき、本除去は通常の条件下、例えば酸、例えばハロゲン化水素酸の存在下、適当な溶媒、例えばジオキサン中、例えば0から50℃の温度で、例えば室温で行う。
【0036】
本発明のとりわけ重要な局面は、上記の式XIIIの化合物における環を、それを選択的に還元して、上記の式XIVの化合物、またはその塩を得て、次いで式XIVの化合物を脱保護して、対応する式XVの化合物、またはその塩を得て、および、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換することを含む、式XVの化合物、またはその塩の製造方法に関する。
【0037】
本発明の第二のさらなる態様において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、上記の式XVIの化合物(上記の通り得ることができるまたは最初にRが水素である式IVの化合物を酸化して、この反応は対応する式Vのアルデヒド、またはその塩に至る酸化剤の使用をし、次いで式Vのアルデヒドをさらに、例えば上記と類似の反応により酸化して式XVIの炭酸、またはその塩を得る)、またはその塩(式XVIの化合物の合成が、最初に記載のときに、上記の通り好ましくは得られる)(式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について上記で定義の通りである)と、カルボキシル基を活性化できる、とりわけそれを酸ハライドに変換できる試薬、混合酸無水物、カルボニルイミダゾリドまたは“Weinrebアミド”を反応させ、次いでそれと上記で定義の式VIの化合物の有機金属誘導体、とりわけ亜鉛、リチウムまたはマグネシウム誘導体を反応させて、式XVII
【化18】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りであり、そしてPTは式VIの化合物について定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩を得ることを含む。この方法それ自体、ならびに式XVIIの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。
【0038】
式XVIの化合物中のカルボキシル基の、その反応性誘導体を形成するための活性化は、好ましくは通常の縮合条件下、とりわけ、式XVIの酸の反応性エステルの誘導体(例えばヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ペンタフルオロフェニル、4−ニトロフェニルまたはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、イミダゾリド、“Weinrebアミド”、酸ハロゲニド(例えば酸クロライドまたはブロマイド)または反応性無水物(例えば混合無水物と低級アルカノイック酸または対称無水物)が好ましい。反応性炭酸誘導体はまたその場で形成できる。本反応は、式XVIの化合物を適当な溶媒、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、塩化メチレン、または2種以上のこのような溶媒の混合物へ溶解することにより、および適当な塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)またはN−メチルモルホリンの、そして式IIの酸の誘導体をその場で形成するとき、式XVIの炭酸の好ましい反応性誘導体をその場で形成する適当なカップリング剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HOBT);ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホニッククロライド(BOPCl);O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU);O−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU);(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリピロリジノホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド/ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは/1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(EDC/HOBTまたはEDC/HOAt)またはHOAtを単独で、または(1−クロロ−2−メチル−プロペニル)−ジメチルアミンの添加により行う。反応混合物を、好ましくは約−20から50℃、とりわけ0℃から30℃の温度で、例えば室温で撹拌する。本反応は、好ましくは不活性ガス、例えば窒素またはアルゴン下に行う。
【0039】
式VIの化合物の有機金属誘導体、とりわけ亜鉛、リチウムまたはマグネシウム誘導体、またはさらにマンガン、アルミニウムまたは銅誘導体との続く反応を、次いで、好ましくは、例えば式VIの化合物と式Vのアルデヒドについて上に記載した、上記のグリニャールまたはグリニャール様に準じて、行う。
【0040】
本発明の該第二の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、式XVIIの化合物を立体選択的条件で還元し、得られる化合物をヒドロキシ保護基PTの除去したに脱保護して、上記の式VIIIの化合物、またはその塩を得ることを含む。
【0041】
立体選択的条件下の本還元は、好ましくは立体選択的還元剤、例えばLiAlH(O−tert−ブチル)、LiBH(sec−ブチル)(Selectride(登録商標))、カリウムselectride、またはボロハイドライド/オキサアザボロリジン(Corey, BakshiおよびShibataらの研究に基づく“CBS−触媒”、その場でアミノアルコールおよびボランから合成可能)の存在下、または、例えば触媒、例えば[RuCl((S−またはR−)BINAP)]NEt存在下の立体選択的水素化により行い;本反応は通常の条件下、例えば適当な溶媒、例えばテトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、または2種以上のこのような溶媒の混合物中、例えば−80から50℃の温度で行う。(例えば, Rueeger et al., Tetrahedron Letters, 2000, 41, 10085参照)。
【0042】
次いで脱保護を標準条件下で行い、例えばPTが保護基であるならば、それは水素化、例えば1−フェニル−C−C−アルキル、例えばベンジルによる、触媒的水素化により、例えば式VIIの化合物の脱保護について上記のものに準じた条件下で除去できる。
【0043】
式VIIIの化合物を、上記の式Xの化合物、またはその塩と反応でき、次いで、それをさらに上記の反応工程を介して反応でき、式XVの化合物、またはその塩を得る。
【0044】
あるいは、本発明の第一のまたは第二の態様のいずれかに従い得られる上記で定義の式VIIIの化合物、またはその塩を、さらに反応させて、ピロリジン環の還元的または水素化分解的開環により、式XVIII
【化19】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩を得ることができる。この方法それ自体、ならびに式XVIIIの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。本還元的または水素化分解的開環は、好ましくは式XIVの化合物における開環について上記の通りの条件下で行う。
【0045】
あるいは、本発明の第一のまたは第二の態様のいずれかに従い得られる上記の式VIIの化合物、またはその塩を、さらに式XVIII
【化20】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩に、直接、別の脱保護工程なしにピロリジン環の還元的または水素化分解的開環により反応させることができる。この方法それ自体、ならびに式XVIIIの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。本還元的または水素化分解的開環は、好ましくは式XIVの化合物における開環について記載の同じ条件下で行う。この方法は、PTが還元的開環の条件下に除去可能な保護基であるとき、特に、PTがフェニル−C−C−アルキル、例えばベンジルであるとき、特に好ましい。
【0046】
次いで、式XVIIIの化合物を、本発明の該第一のまたは第二の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンを得るために酸化して(式VIIIの化合物と同等、開環したピロリジン環を有するアルデヒドを介して、式IXの化合物に準じて、好ましくはその反応について記載の条件下)、式XIX
【化21】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りである。〕
のラクトール、またはその塩を得ることができ(ここで、この反応ならびに式XIXの化合物、またはその塩の両方が、それ自体も、本発明の態様である)、それを、同じ反応混合物中(その場で)または単離後、次いで酸化して、式XX
【化22】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りである。〕
のラクトン、またはその塩(ここで、この反応それ自体も本発明の態様である)を得て、本反応は、好ましくは式Xの化合物から式XIの化合物の酸化について上記のものに準じた反応条件下で行う。式XXのラクトン、またはその塩はまた式XVIIIの化合物から直接得られる。この場合、本反応も、好ましくは酸化式Xの化合物から式XIの化合物への酸化について記載のものに準じた条件下で行い得る。式XXのラクトン、またはその塩もまた本発明の好ましい新規態様である。
【0047】
次いで、式XXの化合物を、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法の本発明の該第一のまたは第二の態様におけるさらなる局面において、上記で定義の式XIIの化合物(保護された形であるならば、その後のアミド窒素の脱保護と共に)と、好ましくはそこに記載のものと類似の反応条件下で反応させて、上記の式XIVの化合物、またはその塩を得ることができる(ここで、本反応それ自体も本発明の態様である)。後者を、次いで、上記の通り脱保護して、上記の式XVの最終生成物、またはその塩を得ることができる。
【0048】
本発明の第三の態様において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、上記で定義の式VIIの化合物、またはその塩(本発明の第一または第二の態様に従い得られる)を、還元的または水素化分解的開環により反応させて、式XXI
【化23】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りであり、そしてPTはヒドロキシ保護基、またはその塩を得ることを含む(ここで、本反応工程それ自体、ならびに式XXIの化合物、またはその塩、とりわけPG=ベンジルオキシカルボニルおよびPTがベンジルであるとき、またはPGが水素であり、そしてPTがベンジルであるときも本発明の態様を構成する)。本還元的または水素化分解的開環は、好ましくは上記で式XIVの化合物の開裂について記載の通りの条件下で行う。次いで、式XXIの化合物、またはその塩を、上記式VIIIの化合物に準じて、保護基の除去のために反応させて、上記の式XVIIIの化合物、またはその塩を得て、次いで、それを化合物XIXおよびXXおよびXIVを介して、そして好ましくは類似の反応条件下、またはいずれの場合もその塩を介して、上記で定義の式XVの化合物、またはその塩を得ることができる。
【0049】
本発明の第四の態様において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、上記で定義の式Xの化合物、またはその塩を、還元的または水素化分解的開環により反応させて、上に示す式XIXの化合物、またはその塩を得ることを含み、この反応それ自体も本発明の態様である。還元的または水素化分解的開環は、好ましくは式XIVの化合物における開環について上記の通りの条件下で行う。
【0050】
本発明の該第四の態様におけるさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、式XIXの化合物、またはその塩を酸化して、上記のラクトン式XXの化合物、またはその塩を得ることを含み(好ましくは上記の式Xの化合物から式XIの化合物の酸化に関するものに準じた反応条件下)、これは、本発明の該第四の態様のさらに別の局面において、次いで、上記の式XIIの化合物、またはその塩と、好ましくは式XIの化合物と式XIIの化合物の反応について上記のものに準じた反応条件下で反応させて、上記の式XIVの化合物、またはその塩を得て次いで、これを、本発明の該第四の態様におけるさらなる局面において、上記の式XVの化合物、またはその塩に、好ましくは式XIVの化合物の脱保護について記載のものに類似の条件下で脱保護する。
【0051】
本発明の第五の態様において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、上記の式XIの化合物、またはその塩を、還元的または水素化分解的開環により反応させて、上記の式XXの化合物、またはその塩を得ることを含む(ここで、この反応それ自体も本発明の態様を形成する)。本還元的または水素化分解的開環は、好ましくは式XIVの化合物における開環について上記の通りの条件下で行う。
【0052】
本発明の該第五の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、式XXの化合物、またはその塩と、上記の式XIIの化合物、またはその塩を、好ましくXIの化合物と式XIIの化合物の反応について上記のものに準じた反応条件下で反応させて、上記の式XIVの化合物、またはその塩を得ることを含み、次いで、それは、本発明の該第五の態様のさらなる局面において、上記の式XVの化合物、またはその塩に、好ましくは式XIVの化合物の脱保護について記載のものに類似の条件下で脱保護する。
【0053】
本発明の第六の態様において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、上記の式Vの化合物、またはその塩(ここで、Rが水素である)と、式XXII
【化24】

〔式中、YはPhまたは(AlkO)P(O)であり、ここで、Alkは好ましくはアルキル、例えばC−C−アルキルであり(この両方とも各々その場で製造できる)、そしてRxはヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アミノまたはNH−CHC(CH)−CONHである。〕
の化合物を反応させて、式XXIII
【化25】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りであり、そしてRxは式XXIIの化合物について定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩を得ることを含む。この方法それ自体、ならびに式XXIIIの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。ここで、本反応は、適当な塩基、例えば、水素化ナトリウム、ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウムまたはリチウムジイソプロピルアミドの存在下、適当な溶媒、例えばエーテル、例えばテトラヒドロフラン、炭化水素、例えばトルエン、またはハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンまたは2種以上のこのような溶媒の混合物中、例えば−78℃から100℃の温度で行い得る。
【0054】
本発明の該第六の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、式XXIIIの化合物、またはその塩を、ピロリジン環の還元的または水素化分解的開環下に反応させて、そして式XXIIIにおけるアジリジノ環を形成して、式XXIV
【化26】

〔式中、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りであり、そしてRxは式XXIIの化合物の化合物について定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩を得ることを含む。この方法それ自体、ならびに式XXIVの化合物、またはその塩も本発明の態様を構成する。本還元的または水素化分解的開環は、好ましくは式XIVの化合物における開環について上記の通りの条件下で行う。
【0055】
本発明の該第六の態様のさらなる局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、式XXIVの化合物、またはその塩を、式Iの化合物におけるRxがOHであるとき(またはそれが保護されたヒドロキシであり、そしてヒドロキシ保護基を最初に除去してOHを得るとき)、開環下に反応させて、式XXの化合物、またはその塩を得る。本開環反応は、例えば、酸性または塩基性条件下、好ましくは適当な溶媒、例えばアルコール、例えばエタノールまたはメタノール、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、炭化水素、例えばトルエン、またはハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン中、例えば0℃から各反応混合物の還流温度の間の温度で行い得る。式XXの化合物、またはその塩を、次いで、本発明の本第六の態様のさらに好ましい局面において、それを上記で定義の式XIIの化合物と上記で定義の式XIVの化合物を好ましくは上記のものに類似の反応条件下反応させることにより、上記の式XIVの化合物、またはその塩に変換し;それは、本発明の本第六の態様のさらに好ましい局面において、次いで、式XVの化合物、またはその塩に、好ましくは式XIVの化合物の脱保護について上記のものに準じた条件下脱保護できる。
【0056】
本発明の該第六の態様のさらに別の局面において、レニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成方法は、式XXIVの化合物、またはその塩(ここで、RxがNH−CHC(CH)−CONHである)と、開環下(好ましくは前段落に記載のものに準じた条件下)反応させて、式XIVの化合物、またはその塩を得る。次いで、後者を、本発明の第六の態様のこの変法のさらなる好ましい局面において、式XVの化合物、またはその塩に、好ましくは式XIVの化合物の脱保護について上記のものに準じた条件下脱保護できる。
【0057】
これらの異なる経路全てが、式IIIの化合物と共に、非常に重要な新規中間体が発見されており、それはとりわけレニン阻害剤、例えばアリスキレンの合成のための多くの可能性のある合成経路の中心的な中間体である。故に、この式IIIの化合物、またはその塩、ならびにその合成は、本発明の非常に好ましい態様を形成する。
【0058】
下記は、本発明の新規中間体および合成法を記載するために使用する種々の用語の定義である。これらの定義は、本開示において使用した一つのまたは一つ以上のもしくは全ての一般的表現または記号を置き換えることにより、故に、本発明の好ましい態様を作成することにより、好ましくはそれらが、本用語が本明細書を通して使用されている限り、個々にまたはより大きな群の一部として具体的な場合に他の方法で限定されていない限り、適用される。
【0059】
用語“低級”または“C−C−”は、最大7個まで(7個を含む)、とりわけ最大4個まで(4個を含む)の炭素原子を含む部分を定義し、該部分は分枝(一箇所以上)または直鎖であり、末端または非末端炭素を介して結合している。低級またはC−C−アルキルは、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシルまたはn−ヘプチルまたは好ましくはC−C−アルキル、とりわけメチル、エチル、n−プロピル、sec−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルである。
【0060】
ハロまたはハロゲンは、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、最も好ましくはフルオロ、クロロまたはブロモであり;ここで、例えばハロ−C−C−アルキル、例えばトリフルオロメチル、2,2−ジフルオロエチルまたは2,2,2−トリフルオロエチルにおいて、ハロが記載されているとき、これは、1個以上(例えば3個までの)ハロゲン原子が存在することを意味し得る。
【0061】
アルキルは、好ましくは20個までの炭素原子を有し、より好ましくはC−C−アルキルである。アルキルは、直鎖または分枝鎖(1箇所または、必要ならばおよび可能ならば、複数箇所)である。非常に好ましくはメチルである。
【0062】
アルコキシアルキルは、炭素、好ましくは末端炭素(ω位)を、アルキルオキシ(=アルコキシ)(ここで、アルキルは上記で定義の通り、好ましくはC−C−アルコキシである)で置換されたアルキル(これは、好ましくは直前に定義の通り)である。アルコキシアルキルとして、3−メトキシプロピルがとりわけ好ましい。
【0063】
保護基が存在し得(また下記“一般的方法条件”参照)、そして、望まない二次反応、例えばアシル化、エーテル化、エステル化、酸化、加溶媒分解、および類似の反応に対して関係する官能基を保護すべきである。それ自体が容易に、すなわち望ましくない二次反応なしに、典型的に加溶媒分解、還元、光分解または酵素活性により、例えば生理学的条件と類似の条件下で除去され、そして、それらが最終生成物に残らないのが、保護基の特徴である。当業者は、どの保護基が上記および後記の反応に適するかを知っており、または容易に確立できる。好ましくは、2個以上の保護基がここに記載の中間体に存在するとき、それらは、それらの基の一方を除去する必要があるとき、それが、選択的に、例えばなし得るように、例えば、異なる条件下で開裂可能な保護基の使用により、例えば一方は緩和な加水分解、他方はより厳しい条件下の加水分解により、一方は酸存在下の加水分解により、他方は塩基存在下の加水分解により、または一方は還元的開裂により(例えば触媒的水素化により)、他方は加水分解により開裂可能であるようになど選択する。
【0064】
ヒドロキシル保護基として、ヒドロキシ基の可逆的保護に適当な全ての基、例えば“一般的方法条件”下の標準的教科書に記載の基が可能である。ヒドロキシル保護基は、数例を記載するのみであるが、シリル保護基、とりわけジアリール−低級アルキル−シリル、例えばジフェニル−tert−ブチルシリル、またはより好ましくはトリ−低級アルキルシリル、例えばtert−ブチルジメチルシリルまたはトリメチルシリル;アシル基、例えば低級アルカノイル、例えばアセチル;ベンゾイル;tert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニル(Boc)、またはフェニル−低級アルコキシカルボニル、例えばベンジルオキシカルボニル;テトラヒドロピラニル;非置換または置換1−フェニル−低級アルキル、例えばベンジルまたはp−メトキシベンジル、およびメトキシメチルを含む(好ましくはこれらから成る)群から選択され得る。Boc(加水分解により選択的に除去可能)およびベンジル(水素化により選択的に除去可能)がとりわけ好ましい。
【0065】
アミノ保護基として、アミノ基の可逆的保護に適当な全ての基、例えば“一般的方法条件”下の標準的教科書に記載の基が可能である。アミノ保護基は、数例を記載するのみであるが、アシル(とりわけカルボニル基を介して結合した有機炭酸またはスルホニル基を介して結合した有機スルホン酸の残基)、アリールメチル、エーテル化メルカプト、2−アシル−低級アルク−1−エニル、シリルまたはN−低級アルキルピロリジニリデン含む(好ましくはこれらから成る)群から選択され得る。好ましいアミノ−保護基は、低級アルコキシカルボニル、とりわけtert−ブトキシカルボニル(Boc)、フェニル−低級アルコキシカルボニル、例えばベンジルオキシカルボニル、フルオレニル−低級アルコキシカルボニル、例えばフルオレニルメトキシカルボニル、2−低級アルカノイル−低級アルク−1−エン−2−イルおよび低級アルコキシカルボニル−低級アルク−1−エン−2−イルであり、最も好ましいのはイソブチリル、ベンゾイル、フェノキシアセチル、4−tert−ブチルフェノキシアセチル、N,N−ジメチルホルムアミジニル、N−メチルピロリジン−2−イリデンまたはとりわけtert−ブトキシカルボニルである。
【0066】
ヒドロキシまたは水素以外の基Xは、好ましくは脱離基、例えばハロ、例えばクロロ、ブロモまたはヨード、または有機スルホン酸由来のアシルオキシ部分、例えばアルカンスルホニルオキシ、とりわけC−C−アルカンスルホニルオキシ、例えばメタンスルホニルオキシ、ハロアルカンスルホニルオキシ、とりわけハロ−C−C−アルカンスルホニルオキシ、例えばトリフルオロメタンスルホニルオキシ、または非置換または置換アリールスルホニルオキシ、例えばトルオールスルホニルオキシ(トシルオキシ)である。
【0067】
非置換または置換アリールは、好ましくは6から22個の炭素原子を有する単または多環式、とりわけ単環式、二環式または三環式アリール部分、とりわけフェニル(非常に好ましい)、ナフチル(非常に好ましい)、インデニル、フルオレニル、アセナフチレニル、フェニレニルまたはフェナントリルであり、非置換であるか、または好ましくはC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、ハロ−C−C−アルキル、例えばトリフルオロメチル、ハロ、とりわけフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、フェニル−またはナフチル−C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルオキシ、フェニル−またはナフチル−C−C−アルカノイルオキシ、アミノ、モノ−またはジ−(C−C−アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−C−C−アルキル、ナフチル−C−C−アルキル、C−C−アルカノイルおよび/またはフェニル−またはナフチル−C−C−アルカノイル)−アミノ、カルボキシ、C−C−アルコキシカルボニル、フェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル、フェニル−C−C−アルキルオキシカルボニル、ナフチル−C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−C−C−アルキルおよび/またはナフチル−C−C−アルキル)−アミノカルボニル、シアノ、スルホ、スルファモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−C−C−アルキルおよび/またはナフチル−C−C−アルキル)−アミノスルホニルおよびニトロから成る群から独立して選択される1個以上、とりわけ1個から三個の部分により置換されている。
【0068】
塩は、とりわけ式XVの化合物の薬学的に許容される塩、またはここに記載の中間体のいずれかの一般的塩であり、化学的理由により塩を除去すべきでないときは、当業者により容易に理解される。それらは、塩形成基、例えば塩基性または酸性基が存在するとき形成でき、それは、例えば水性溶液中4から10のpH範囲で少なくとも部分的に解離された形で存在できるか、またはとりわけ固体、とりわけ結晶形で単離できる。
【0069】
このような塩は、例えば、酸付加塩として、好ましくは有機または無機酸と、式XVの化合物または塩基性窒素原子(例えばイミノまたはアミノ)を有するここに記載の中間体のいずれかから形成され、とりわけ薬学的に許容される塩である。適当な無機酸は、例えば、ハロゲン酸、例えば塩酸、硫酸、またはリン酸である。適当な有機酸は、例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸またはスルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、アミノ酸、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、安息香酸、メタン−またはエタン−スルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−またはN−プロピル−スルファミン酸、または他の有機プロトン酸、例えばアスコルビン酸である。
【0070】
負に荷電したラジカル、例えばカルボキシまたはスルホの存在下、塩はまた塩基と形成でき、例えば金属またはアンモニウム塩、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩、またはアンモニアまたは適当な有機アミン、例えば3級モノアミン、例えばトリエチルアミンまたはトリ(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはヘテロ環式塩基、例えばN−エチル−ピペリジンまたはN,N'−ジメチルピペラジンとのアンモニウム塩である。
【0071】
塩基性基および酸基が同じ分子に存在するとき、式XVの化合物またはここに記載の中間体のいずれかはまた分子内塩を形成できる。
【0072】
式XVの化合物または一般にここに記載の中間体のいずれかの単離または精製目的で、薬学的に許容されない塩、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩も使用可能である。治療的使用のために、薬学的に許容される塩または遊離式XVの化合物のみを用い(適用できるとき、医薬製剤中に含まれて)、そして、これらが故に少なくとも式XVの化合物の場合好ましい。
【0073】
遊離形の、および中間体として、例えば化合物、またはその塩の精製または同定において使用できる塩を含むそれらの塩の形の化合物および中間体の密接な関係の観点から、前記および後記の“化合物”、“出発物質”および“中間体”、とりわけ式XVの化合物への言及は、また1個以上のそれらの塩または対応する遊離化合物、中間体または出発物質の混合物および1個以上のそれらの塩に言及することは理解すべきであり、この各々はまた、適当でありかつ予測され、そして他のことが明確に記載されていない限り、何らかの溶媒和物、代謝前駆体、例えば式XVの化合物のエステルまたはアミド、またはこれらのいずれか1個以上の塩も含むことを意図する。異なる結晶形を得ることができ、次いでそれらも含む。
【0074】
化合物、出発物質、中間体、塩、医薬製剤、疾患、障害などについて複数表現を使用するとき、これは、1個(好ましい)または1個以上の化合物、塩、医薬製剤、疾患、障害などを意味することを意図し、単数表現を使用するとき、これは複数を除去することは意図しないが、単に好ましくは“1個”を意味する。
【0075】
出発物質は、とりわけここに記載の式I、VI、XIIおよび/またはXXIの化合物であり、中間体はとりわけ式III、IV、V、VII、VIII、IX、X、XI、XIII、XIV、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXIIIおよび/またはXXIVの化合物である。
【0076】
本発明はまた(例えば式I、VI、XIIおよび/またはXXIの)出発物質およびとりわけ上記の式III、IV、V、VII、VIII、IX、X、XI、XIII、XIV、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXIIIおよびXXIVの中間体の、式XVの化合物に至る一連の工程の1段階、該合成の1個以上または全段階を含む、上記の通りのそれらの各前駆体からの合成方法および/または式XVの化合物に至る一連の工程の各段階、該合成の1個以上または全段階を含む薬学的活性物質、とりわけレニン阻害剤、最も好ましくはアリスキレンおよび/または薬学的活性物質、および/または薬学的活性化合物、例えばレニン阻害剤、とりわけアリスキレンの合成におけるそれらの使用に関する。
【0077】
一般的方法条件
以下は、一つの反応の場合に、可能な制限に関する当業者の知識に従い、一般に前記および後記の全ての方法に適用されるが、上記および下記に具体的に記載の方法が好ましい:
前記および後記の何らかの反応において、適当であるまたは望むとき、具体的に欠いてないときでさえ、記載の反応に参加することを意図しない官能基を保護するために保護基を使用でき、それらを適当なまたは所望の段階で挿入および/または除去できる。保護基の使用を含む反応は、故に、本明細書に保護および/または脱保護の具体的記載ない反応でも全て、可能であれば包含される。
【0078】
本開示の範囲内で、式XVの特定の望む最終生成物の構成要素ではない容易に除去可能な基のみを、文脈から他の解釈が指示されない限り、“保護基”と呼ぶ。このような保護基による官能基の保護、保護基それら自体、およびそれらの挿入および除去に適当な反応は、例えば標準参考文献、例えばJ. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999、“The Peptides”;Volume 3(editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981、“Methoden der organischen Chemie”(Methods of Organic Chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974、H.-D. Jakubke and H. Jeschkeit, “Aminosaeuren, Peptide, Proteine”(Amino Acids, Peptides, Proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982およびJochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate”(Chemistry of Carbohydrates: Monosaccharides and Derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に記載されている。保護基の特徴は、容易に(すなわち望まない二次反応なしに)、例えば加溶媒分解、還元、光分解により、あるいは生理学的条件下(例えば酵素的開裂により)除去できることである。異なる保護基を、それらが異なる段階で、他方の保護基が無傷のままで選択的に除去できるように選択できる。対応する代替物は、上記の標準参考書に記載のものから、またはここの記載または実施例から、当業者により容易に選択できる。
【0079】
上記の全ての反応は、それ自体既知の反応条件下で、好ましくは具体的に記載の条件下で、溶媒または希釈剤、好ましくは使用する試薬に対して不活性であり、それらを溶解する溶媒または希釈剤の非存在下または慣用的に存在下、触媒、縮合剤または中和剤、例えばイオン交換体、例えばH形の、例えばカチオン交換体の非存在下または存在下、反応および/また反応体の性質に依存して、低温、常温または高温で、例えば約−100℃から約190℃の、好ましくは約−80℃から150℃の温度で、例えば−80から−60℃で、室温で、−20から40℃で、または還流温度で、大気圧下または密封容器中、適当であれば加圧下および/または不活性雰囲気中、例えばアルゴンまたは窒素雰囲気下行い得る。
【0080】
何らかの特定の反応に適した溶媒をそこから選択する溶媒は、具体的に記載のもの、または、例えば、水、エステル、例えば低級アルキル−低級アルカノエート、例えば酢酸エチル、エーテル、例えば脂肪族エーテル、例えばジエチルエーテル、または環状エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、液体芳香族性炭化水素、例えばベンゼンまたはトルエン、アルコール、例えばメタノール、エタノールまたは1−または2−プロパノール、ニトリル、例えばアセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンまたはクロロホルム、酸アミド、例えばジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド、塩基、例えばヘテロ環式窒素塩基、例えばピリジンまたはN−メチルピロリジン−2−オン、カルボン酸無水物、例えば低級アルカノイック酸無水物、例えば酢酸無水物、環状、直鎖状または分枝炭化水素、例えばシクロヘキサン、ヘキサンまたはイソペンタン、または、その方法の記載において特記しない限りこれらの混合物、例えば水性溶液を含む。このような溶媒混合物はまた、例えばクロマトグラフィーまたは分配による後処理にも使用できる。必要であるときまたは望むとき、無水または絶対溶媒を使用できる。
【0081】
必要なとき、とりわけ望む化合物または中間体を単離するための反応混合物の後処理は、例えば抽出、中和、結晶化、クロマトグラフィー、蒸発、乾燥、濾過、遠心などを含むが、これらに限定されない群から選択される、一般的方法および段階に従う。
【0082】
本発明はまた本方法の任意の段階で中間体として得られる化合物を出発物質として使用し、そして残りの方法を行うか、または、出発物質を反応条件下で形成させるかまたは誘導体の形、例えば保護された形または塩の形で使用するか、または本発明の方法により得られる化合物を、本方法条件下で製造し、さらにその場で処理する方法の形にも関する。本発明の方法において、出発物質は、好ましくは、好ましいとして記載した式XVの化合物をもたらすものを使用する。実施例に記載のものと同一のまたはそれらに準じた反応条件が特に好ましい。本発明は、また、ここに記載の新規出発物質および中間体、とりわけ、ここで好ましいとして記載の化合物に至るものに関する。
【0083】
本発明は、とりわけ、アリスキレン、または薬学的に許容されるその塩に至る上記および下記の方法のいずれかに関する。
【0084】
以下の実施例はその範囲を限定することなく本発明を説明するために提供し、それらは一方で反応工程、中間体および/またはアリスキレン、またはその塩の製造法の好ましい態様を代表する。
【0085】
実施例中に記載があるとき、“boc”はtert−ブトキシカルボニルを意味する。
【実施例】
【0086】
I. (1S,3S,5S)−5−tert−ブトキシカルボニルオキシメチル−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル3の合成
【化27】

A 塩化チオニルを用いる変法:2.16gの炭酸(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−[4−メトキシ−3−(4−メトキシ−ブチル)−ベンジル]5−メチル−ヘキシルエステルtert−ブチルエステル1の30mLの乾燥トルエン溶液を、1.07gのピリジンで処理し、0.68gの塩化チオニルを室温で滴下する。混合物を室温で3時間撹拌し、0.22gのエタノールおよび30mLの水を添加する。2相系を抽出し、有機層を除去し、20mLの10%水性硫酸水素ナトリウム溶液、続いて20mLの飽和水性重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。最後に有機相を20mLの水で2回洗浄し、溶媒を真空で除去して、油状物を得る。ヘプタン/酢酸エチル混合物で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーは、例えば1.04gの3を、c=1、CHClで負[a](測定:例えば−39.1)を有する油状物として提供する。
【0087】
【化28】

B メタンスルホニルクロライドを用いる変法:1.98gの炭酸(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−[4−メトキシ−3−(4−メトキシ−ブチル)−ベンジル]5−メチル−ヘキシルエステルtert−ブチルエステル1の20mLの乾燥トルエン溶液を0.044gのジメチルアミノピリジンで0.55gのトリエチルアミンで処理し、0℃に冷却する。メタンスルホニルクロライド(0.43g)を滴下し、反応混合物を室温に暖め、30時間撹拌する。混合物を20mLの水で希釈し、有機層を分離する。有機層を20mLの飽和水性重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、最後に有機相を20mLの水で2回洗浄し、溶媒を真空で除去して、油状物を得る。ヘプタン/酢酸エチル混合物で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーは、例えば1.64gの3を油状物として提供する。生成物は、c=1、CHClで負[a](測定:例えば−39.1)を示す。
【0088】
C トリフェニルホスフィン/ヨウ素を用いる変法:1.48gの炭酸(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−[4−メトキシ−3−(4−メトキシ−ブチル)−ベンジル]5−メチル−ヘキシルエステルtert−ブチルエステル1の15mLの乾燥トルエン/アセトニトリル(85/15)溶液を0.58gのイミダゾールで室温で処理する。トリフェニルホスフィン(1.14g)を添加し、続いて1.11gのヨウ素の15mlのトルエン/アセトニトリル(85/15)を15分以内に滴下する。反応混合物を室温で4時間撹拌し、20mLの5%チオ硫酸ナトリウム溶液でクエンチする。有機相を分離し、20mLの塩水で2回洗浄する。溶媒を真空下除去し、得られる油状物をシリカゲルクロマトグラフィーに付して、例えば1.24gの3を油状物として得る。
【0089】
D イオン交換樹脂を用いる変法:
【化29】

45,70gの炭酸(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−[4−メトキシ−3−(4−メトキシ−ブチル)−ベンジル]5−メチル−ヘキシルエステルtert−ブチルエステル1(HPLC 95,0%b.a.、78,1mmol)をr.t.で390mlのアセトニトリルに溶解する。本溶液に11,6g(55,0mequ)Amberlyst 15(Fluka 06423、4,7mequ/g)を添加する。得られる混合物をr.t.で5時間撹拌する。次いで濾過および50℃で20mbarでの濾液の蒸発により、透明無色油状物として残渣を得る。純度HPLC 97,2%b.a.。
【0090】
出発物質1は、以下の方法に従い製造できる:
アリールケトンのLiBHでの還元に対応する化合物1の製造
350ml 三首フラスコ中、34.5g(62.3mmol)のビス−Boc−アリールケトンを400mlのエタノールおよび3.5mlの水の溶液に溶解する。この溶液に、40.7gのLiBHの32mlのTHF溶液を滴下漏斗を介して15分以内に、室温で添加する。滴下漏斗を8mlのTHFで濯ぎ、反応混合物を室温で一晩撹拌する。次いで10ml THFおよび1mlの水の混合物中のさらなる量の13.6gのLiBHを添加する。反応混合物を40℃で2時間暖め、次いで0℃に冷却する。反応を125ml 酢酸でクエンチし、続いて500mlの水および500mlのTBMEで抽出後処理をする。有機相を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空で蒸発させて、非常に粘性の油状物を得て、それは(8:1)比のエピマーベンジル型アルコールから成る。
【0091】
II. (2R,3S,5S)−5−ヒドロキシメチル−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル6の合成:
【化30】

2.52g ピロリジン3の2.5mLのメタノール溶液を3.87gの炭酸カリウムで処理し、懸濁液を45℃に暖め、その温度で4時間撹拌する。次いで、反応物を60mLのtert−ブチルメチルエーテルおよび20mLの水で希釈し、混合物を抽出する。有機層を分離し、水性層を、40mLのtert−ブチルメチルエーテルのさらなる負荷により洗浄する。合わせた有機層を20mLの水で2回洗浄し、溶媒を真空で除去して、アルコール6を油状物として提供する。負[a]がc=1、CHClで見られる。1H-NMR(d6-DMSO/D2O, 300K)6.90-6.80(3H), 4.03-3.90(3H), 3.80(1H), 3.75(3H), 3.55-3.45(3H), 3.23(3H), 3.05(1H), 2.00-1.80(3H), 1.65(1H), 1.40(9H), 1.20(1H), 0.74(6H)。
【0092】
2R,3S,5S)−5−ヒドロキシメチル−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル6への別経路
【化31】

【0093】
{(2S,4S,5R)−4−イソプロピル−5−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−イル}−メタノール(Z)−ブト−2−エンジオイック酸1/塩6の合成
5.56gの炭酸(2S,4S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−[4−メトキシ−3−(4−メトキシ−ブチル)−ベンジル]5−メチル−ヘキシルエステルtert−ブチルエステル(1)の28ml 無水エタノール、2.5mlの水性塩酸37%(またはエタノール2M中等量の塩酸塩)を0−5℃で添加する。1時間、0−5℃で撹拌後、反応混合物を徐々に78−80℃に1時間以内に暖める。還流温度での撹拌を2−4時間、変換が完了するまで続ける。反応混合物をRTに冷却し、18mlの水を添加する。有機溶媒(エタノール)を真空で除去(stripped off)し、残った水性濃縮物を12ml 酢酸イソプロピルで抽出する。水性層を分離し、30ml 酢酸イソプロピル添加後、約3.2ml 水性水酸化ナトリウム溶液30%を0−5℃で激しい撹拌下、pH11−12が達成されるまでゆっくり添加する。有機層を分離し、約25ml残存量まで濃縮する(残った水の共沸除去)。
【0094】
1.16g マレイン酸の12ml イソプロパノール溶液を、酢酸イソプロピル中の中間体(5)遊離塩基の濃縮物に40℃で添加する。(5)マレエートの結晶化を40℃での種晶添加により開始させ、懸濁液を0−5℃に冷却することにより完了させる。結晶(5)マレエート1/1塩を濾過により回収し、16ml 酢酸イソプロピル/イソプロパノール3/1(v)で洗浄し、真空で乾燥させる。1H-NMR(d6-DMSO, 300 K):7.2(1 H), 6.9-7.1(2H), 6.0(2H), 5.3(1H), 4.1-4.2(1H), 3.9-4.1(2H), 3.8(1H), 3.6-3.7(3H), 3.4-3.5(2H), 3.3(3H), 2.4-2.5(1H), 1.9-2.0(3H), 1.8-1.9(1H), 1.6-1.7(1H), 0.8-0.9(3H), 0.7-0.8(3H)。
【0095】
(2R,3S,5S)−5−ヒドロキシメチル−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(6)の合成
2.27g(5)マレエート1/1塩を10ml メチレンクロライドおよび8ml 水の混合物に溶解する。8ml 水性水酸化ナトリウム溶液2.0Mを0−5℃で激しい撹拌下に添加する。次いで1.14g ジ−tert−ブチル−ジカーボネートの10ml 塩化メチレン溶液を10分以内に添加する。15分、0−5℃後、反応混合物を室温にゆっくり加熱し、さらに約0.5時間撹拌する。
有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムでまたは共沸蒸留により乾燥させ、最後に真空で蒸発させる。残った粗(6) − またはメチレンクロライド中の生成物の濃縮物 − を、下記の特許実施例に従い(7)に直接加工できる。
【0096】
III. (2R,3S,5S)−5−ホルミル−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル7の合成
【化32】

SO/ピリジン複合体の使用:4.7gのアルコール6の58mlの塩化メチレン溶液を33mLのジメチルスルホキシドで処理し、5.67gのトリエチルアミンを添加する。混合物を0℃に冷却し、46mLのジメチルスルホキシドに溶解した6.84gのSO/ピリジン複合体を20分以内に滴下する。反応を0℃で2時間撹拌し、105mLの水および105mLのヘプタンでクエンチする。有機層を分離し、25mLの10%水性硫酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。次いで、有機相を110mLの水、続いて25mLの飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。最後に有機相を水性溶液のpHが7になるまで水で洗浄する。溶媒を除去して、アルデヒド7を油状物として得る。負[a]がc=1、CHClで見られる。1H-NMR(d6-DMSO, 300K)9.75(1H), 6.90-6.80(3H), 4.63-4.30(3H), 4.00(2H), 3.75(3H), 3.50(3H), 3.23(3H), 2.10-1.90(4H), 1.85(1H), 1.60(1H), 1.05(9H), 0.85(6H)。
【0097】
あるいは、1.1gのアルコール6の10mLのジクロロメタン溶液に、0.4gのピリジン、1.1gのジイソプロピルエチルアミンおよび2.0gのジメチルスルホキシドを添加する。混合物を−5℃に冷却し、0.6gの三酸化硫黄−ピリジン複合体を2時間にわたり4回に分けて添加する。反応を2.5mLの水の添加によりクエンチし、1mLの37%塩酸の添加によりクエンチする。相を分離し、有機相を2.5mLの水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空で除去して、例えば0.88gのアルデヒド7を油状物として得る。
【0098】
TEMPOの使用:0.96gのアルコール6、0.044gの炭酸水素ナトリウム、0.026gのカリウムブロマイドおよび0.051gのTEMPOの3mLのジクロロメタンおよび1.2mLの水中の混合物を5℃に冷却する。混合物に、0.13gの10−13%次亜塩素酸ナトリウム溶液を滴下し、混合物を5時間、5℃から20℃で撹拌し、その後0.57gの亜硫酸ナトリウムを添加する。相を次いで分離し、有機相を5mLの水で2回洗浄する。真空での溶媒の蒸発により、例えば0.50gのアルデヒド7を油状物として得る。
【0099】
IV. 2R,3S,5S)−4−イソプロピル−5−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル15の合成(
【化33】

1.7gのアルデヒド7の15mLのtert−ブタノール溶液を3mLの2−メチル−2−ブテンで処理する。0.43gの亜塩素酸ナトリウムおよび1.73gのナトリウムジハイドロゲン・ホスフェートの15mLの水溶液を滴下する。2相混合物を90分、室温で撹拌し、15mLのトルエンおよび15mLの水を添加する。有機層を分離し、20mLの水で洗浄する。溶媒を真空で除去して、酸15を透明油状物として得て、それはゆっくり結晶化する。1H-NMR(d6-DMSO, 354K)12.25(1H), 7.35(1H), 6.90(1H), 6.81(1H), 4.38(1H), 4.25(1H), 4.00(2H), 3.75(3H), 3.45(2H), 3.23(3H), 2.15-1.85(4H), 1.65(1H), 1.25(9H), 0.85(6H)。
【0100】
V. (2R,3S,5S)−5−((1S,3S)−3−ベンジルオキシメチル−1−ヒドロキシ−4−メチル−ペンチル)−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル8の合成
【化34】

1.98gのアルデヒド7の15mLのテトラヒドロフラン溶液を10℃に冷却し、1.23gの((S)−2−ブロモメチル−3−メチル−ブトキシメチル)−ベンゼンを0.12gのマグネシウムで、0.043gの1,2−ジブロモエタン含有ジエチルエーテル中、45℃で調製したグリニャール試薬で処理する。反応物を90分、室温で撹拌し、次いで20mLの塩化アンモニウム25%水性溶液を添加し、続いて20mLのtert−ブチルメチルエーテルを添加する。有機相を分離し、20mLの水で2回洗浄する。有機相を真空で濃縮して、粗アルコール8を油状物として得る。シリカゲルでの精製により、例えば0.97gの純粋8を得る。負[a]がc=1、CHClで見られる。
M+ + H=628, M+ + H + Na=650。
【0101】
あるいは、27gのアルデヒド7の30mLのテトラヒドロフラン溶液を、20gの((S)−2−クロロメチル−3−メチル−ブトキシメチル)−ベンゼンと3.2gのマグネシウムの、1.3gの1,2−ジブロモエタン含有120mLのテトラヒドロフラン中での4時間還流により調製したグリニャール試薬の室温溶液に添加する。反応物を1時間、室温で撹拌し、次いで100mLの2N 硫酸を添加する。混合物を過剰のマグネシウムが溶解するまで撹拌し、次いで相を分離し、有機相を50mLの12%塩化ナトリウム溶液で洗浄する。有機相を真空で濃縮して、例えば42.6gの粗アルコール8を油状物として得る。
【0102】
VI. (2R,3S,5S)−5−((1S,3S)−1−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシメチル−4−メチルペンチル)−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル9の合成:
【化35】

0.48gの8の1.5mLのメタノール溶液を、0.1gの10%パラジウム/炭で処理する。懸濁液を水素雰囲気下、取り込みが安定するまで撹拌する。懸濁液を濾過し、固体を2回にわけた、5mLのメタノールで洗浄する。真空での溶媒の除去により、アルコール9を油状物として得る。負[a](例えば−34.1、−34,6)がc=1、CHClで見られる。
【0103】
VIa. ((1S,2S,4S)−2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−1−{(S)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチル−ブチル}−5−メチル−ヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル9aの合成:
【化36】

a)1gのピロリジン8の17mLのTHF溶液を−78℃に冷却し、17mLのアンモニアをフラスコに凝集させる。混合物に、0.44gのナトリウムを添加し、得られる暗色混合物を一晩−78℃で撹拌する。混合物に、2.6gの塩化アンモニウムを添加する。混合物をr.t.に暖め(アンモニアが蒸発し、未反応ナトリウムが溶解する)、その後40mLのトルエンおよび1.9gの酢酸を添加する。10分後、25mLの水を添加し、相を分離する。水性相を25mLのトルエンで逆抽出し、次いで合わせた有機相を1:1 水−塩水で4回洗浄し、その後硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空で蒸発させる。粗油状生成物(0.86g)の、酢酸エチル−ヘプタンで溶出するシリカゲルでの生成により、例えば0.71gの純粋9aを得る。1H-NMR(CDCl3, 300K):6.8(2H), 6.7(1H), 4.7(1H), 4.1(2H), 3.8(3H), 3.5-3.7(5H), 3.4-3.5(1H), 3.4(3H), 2.7-2.8(1H), 2.4-2.5(3H), 2.0-2.2(2H), 1.5-1.8(8H), 1.4(9H), 0.8-0.9(12H)。
【0104】
b)1.0gのピロリジン8の2.5mLのテトラヒドロフラン溶液を、0.37gのナトリウムの5mLのアンモニアおよび2.5mLのテトラヒドロフラン中の混合物に−50℃で添加する。混合物を3時間撹拌し、次いで2.56gの塩化アンモニウムを添加し、混合物をr.t.に温める。混合物に、次いで40mLのトルエン、1.9gの酢酸および25mLの水を添加する。相を分離し、水性相を25mLのトルエンで逆抽出する。合わせた有機相を次いで4×120mLの1:1水−塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空で除去し、例えば0.76gの生成物9aを油状物として得る。
【0105】
VII. (2R,3S,5S)−5−((2S,4S)−5−ヒドロキシ−4−イソプロピル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル10の合成
【化37】

SO/ピリジンを用いる変法:0.20gのアルコール9の5mLの塩化メチレン溶液を3mLのジメチルスルホキシドおよび0.2gのトリエチルアミンで0℃で処理する。0.24gのSO/ピリジン複合体の4mLのジメチルスルホキシド溶液を15分以内に、0℃で滴下する。反応物を40分、0℃で撹拌し、次いで室温に暖め、さらに2時間撹拌する。
【0106】
水(10mL)およびヘプタン(15mL)を添加し、得られる混合物を抽出する。有機相を15mLの10%硫酸水素ナトリウム水性溶液、続いて水(15mL)および10%水性重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。有機相を真空で除去して、例えば0.18gのラクトール10を得る。M+=536。
【0107】
VIII. (2R,3S,5S)−3−イソプロピル−5−((2S,4S)−4−イソプロピル−5−オキソ−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル11の合成
【化38】

0.16gのアルコール9の3mLの塩化メチレン溶液を0.005gのTEMPOで処理し、続いて0.20gの(ジアセトキシヨード)ベンゼンを少しずつ添加する。混合物を5時間、室温で撹拌し、その後ラクトール10のみが検出できる。さらに0.20gのジアセトキシヨードベンゼンを添加し、反応物をさらに24時間、室温で撹拌する。水性チオ硫酸ナトリウム溶液(5mLの10%)および水(5mL)を添加し、相を分離する。有機相を10mLの水で洗浄し、溶媒を真空で除去して、油状物を得る。シリカゲルクロマトグラフィーにより、例えば0.12gの11を得る。[α]=+28.3°(1%、CHCl)、mp.:70−71.5℃、1H-NMR(CDCl3, 300K):6.6-6.8(3H), 4.3-4.4(2H), 4.0-4.1(2H), 3.7-3.8(4H), 3.5-3.6(2H), 3.3(3H), 2.5-2.6(2H), 2.3-2.4(1H), 2.0-2.2(5H), 1.4-1.7(4H), 1.4(9H), 1.0(3H), 0.9(3H), 0.8(6H)。
【0108】
あるいは、76mgのラクトール10を2mlのアセトニトリルに溶解し、80mgのモレキュラー・シーブを添加する。懸濁液に、21mgのN−メチルモルホリンN−オキシドおよび2.5mgのTPAP(テトラ−N−プロピルアンモニウムペルルテナート)のmlのアセトニトリル溶液を添加する。2時間室温で撹拌後、反応が終了する。溶媒を真空で蒸発させ、残渣を酢酸エチルに溶解し、シリカゲルの短パッドを通して濾過する。濾液を真空で蒸発させて、77mgの化合物11を得る。
【0109】
あるいは、0.68gのアルコール9aの18mLのアセトニトリル溶液(0.7gの4Å粉末モレキュラー・シーブ含有)に、0.59gのN−メチルモルホリン−N−オキシドおよび44mgのテトラプロピルアンモニウムペルルテナートを添加し、および混合物を一晩撹拌する。真空での溶媒除去後、残渣を酢酸エチルに取り込み、シリカゲルを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、溶媒を再び真空で除去する。粗油状生成物(0.72g)の酢酸エチル−ヘプタンで溶出するシリカゲルでの生成により、例えば0.57gの純粋ラクトン11を得る。
【0110】
IX. (2R,3S,5S)−5−[(1S,3S)−3−(2−カルバモイル−2−メチル−プロピルカルバモイル)−1−ヒドロキシ−4−メチル−ペンチル]−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル12の合成
【化39】

0.08gのラクトン11、0.052gの3−アミノ−2,2−ジメチルプロピオンアミドおよび0.014gの2−ヒドロキシピリジンの、0.02gのトリエチルアミン含有0.3mLのtert−ブチルメチルエーテル溶液を18時間、83℃で撹拌する。反応混合物を次いで室温に冷却し、2mLのトルエンでクエンチし、2mLの10%水性硫酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。有機相を分離し、水で洗浄し、溶媒を真空で除去して、油状物を得る。この油状物を5mLのヘキサンに懸濁し、撹拌する。固体を濾過により除去し、ヘキサンを真空で除去して、例えば0.06gのアミド12を泡状物として得る。M−H=648。
【0111】
X. ((1S,2S,4S)−4−(2−カルバモイル−2−メチル−プロピルカルバモイル)−2−ヒドロキシ−1−{(S)−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−ベンジル]−3−メチルブチル}−5−メチル−ヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル13の合成
【化40】

0.037gのアミド12の溶液を1mLのテトラヒドロフランに溶解し、−78℃に冷却する。液体アンモニア、続いて0.0042gのリチウム金属を添加する。深青色溶液を2時間、−78℃で撹拌し、次いで0.35gのエタノールを添加し、混合物を30分、−78℃で撹拌する。塩化アンモニウム(0.15g)を添加し、混合物を室温に暖める。有機相を水および酢酸エチルに分配する。有機相を分離し、溶媒を真空で除去する。残渣をヘプタンと撹拌し、濾過する。ヘプタンの除去により、確実なサンプルと同一の13を得る。M+H=652
【0112】
XI. (2S,4S,5S,7S)−5−アミノ−N−(2−カルバモイル−2−メチルプロピル)−4−ヒドロキシ−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)ベンジル]−8−メチルノナンアミド)
生成物13をジオキサン中の4.0M 塩酸の混合物に溶解する。溶液を24時間、室温で撹拌し、固体重炭酸ナトリウムで中和する。懸濁液を濾過し、溶媒を真空で除去して、生成物を泡状物として得る(特徴付けに関して、例えばEP0678503、実施例137参照)。
【0113】
得られる遊離化合物または塩酸塩から、例えば表題化合物のヘミフマル酸塩が、例えば、引用により、とりわけ塩形成反応に関して本明細書に包含させる、US6,730,798、実施例J1に記載の通り製造できる(フマル酸との混合、エタノールへの溶解、濾過、得られた溶液の蒸発、残渣のアセトニトリルへの溶解、小量の表題化合物のヘミフマル酸塩の接種および沈殿物質の単離を含む)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式III
【化1】

〔式中、
Rは水素、アルキルまたはアルコキシアルキルであり;
は水素、アルキルまたはアルコキシアルキルであり;
は水素または好ましくはヒドロキシル保護基であり;
は水素または非置換または置換アルキルであり;そして
PGはアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって;
該方法が、式I
【化2】

〔式中、R、R、R、RおよびPGは式IIIの化合物について定義の通りである。〕
の化合物と、式IのヒドロキシをX(ここで、Xはヒドロキシまたは水素以外の基、とりわけ脱離基である)に変換できる試薬、とりわけハロゲン化水素酸、チオニルハロゲニド、PX、POX、PX、POX(ここで、Xはハロゲニドである)、トリフェニルホスフィンとハロゲンの組み合わせ、および有機スルホン酸の活性誘導体を反応させることを含む、方法。
【請求項2】
式IIIの化合物および式Iの化合物において、
がC−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;
RがC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;そして
が水素であり、残りは請求項1に定義の通りである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rが水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
が水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;
が水素または好ましくはヒドロキシル保護基であり;
が水素または非置換または置換アルキルであり;そして
PGがアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルである、
請求項1に記載の式IIIの化合物、またはその塩。
【請求項4】
(1S,3S,5S)−5−tert−ブトキシカルボニルオキシメチル−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの名称を有する、請求項3に記載の式IIIの化合物、またはその塩。
【請求項5】
式IV
【化3】

〔式中、R、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式IIIの化合物、またはその塩のヒドロキシ保護基Rを除去することを含む、方法。
【請求項6】
式IV
【化4】

〔式中、
Rは水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
は水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;
は水素または非置換または置換アルキルであり;そして
PGはアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルである。〕
の化合物、またはその塩。
【請求項7】
(2R,3S,5S)−5−ヒドロキシメチル−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの名称を有する、請求項5に記載の式IVの化合物、またはその塩。
【請求項8】
式IVa
【化5】

〔式中、
Rは水素、アルキルまたはアルコキシアルキルであり;
は水素、アルキルまたはアルコキシアルキルであり;
は水素または非置換または置換アルキルであり;そして
PGはアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって;
式I
【化6】

〔式中、
R、R、RおよびRは式IIIの化合物について定義の通りであり、そしてPGはアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルである。〕
の化合物、またはその塩の中の保護基RおよびPGを除去して、ピロリジン環を形成させることを含む、方法。
【請求項9】
式IV
【化7】

〔式中、
Rは水素、アルキルまたはアルコキシアルキルであり;
は水素、アルキルまたはアルコキシアルキルであり;
は水素または非置換または置換アルキルであり;そして
PGはアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって;
式(IVa)
【化8】

〔式中、R、R、RおよびRは式IIIの化合物について定義の通りである。〕
の化合物、またはその塩中のピロリジン窒素を保護基PGで保護することを含む、方法。
【請求項10】
式V
【化9】

〔式中、R、R、RおよびPGは請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
のオキソ化合物、またはその塩を製造する方法であって、請求項5から7のいずれかまたは9に記載の式IVの化合物、またはその塩を酸化することを含む、方法;ここで、式IVの化合物のRが水素であるとき、該酸化は、式Vのオキソ化合物に直接行うことができ、または最初に式XVI
【化10】

〔式中、R、RおよびPGは式Vの化合物について上記で定義の通りである。〕
の酸、またはその塩を酸化し、次いで式Vの対応するアルデヒド(式中、Rは水素であり、他の部分は上記の通りである)に還元剤で還元する。
【請求項11】
Rが水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
が水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;そして
PGがアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルである;
請求項8に記載の式XVIの化合物、またはその塩。
【請求項12】
(2R,3S,5S)−4−イソプロピル−5−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル、またはその塩の名称を有する、請求項11に記載の式XVIの化合物、またはその塩。
【請求項13】
Rが水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
が水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;
が水素または非置換または置換アルキルであり;そして
PGがアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルである;
請求項10に記載の式Vの化合物、またはその塩。
【請求項14】
(2R,3S,5S)−5−ホルミル−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの名称を有する、請求項13に記載の式Vの化合物、またはその塩。
【請求項15】
式VII
【化11】

〔式中、R、RおよびPGは請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りであり、そしてPTはヒドロキシル保護基である。〕
の化合物の製造方法であって、請求項10に記載の式Vの化合物
(式中、Rが水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
が水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;
が水素であり;そして
PGがアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルである)
、またはその塩と、グリニャールまたはグリニャール様条件下に、式VI
【化12】

〔式中、
Halはハロ、好ましくはクロロ、ブロモまたはヨードであり、そしてPTはヒドロキシル保護基である。〕
と金属の反応により製造した試薬を反応させることを含む、方法。
【請求項16】
Rが水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
が水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;
が水素であり;そして
PGがアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルである
請求項15に記載の式VIIの化合物、またはその塩。
【請求項17】
(2R,3S,5S)−5−((1S,3S)−3−ベンジルオキシメチル−1−ヒドロキシ−4−メチル−ペンチル)−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの名称を有する、請求項16に記載の式VIIの化合物、またはその塩。
【請求項18】
式VIII
【化13】

〔式中、
R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、請求項15から17のいずれかに記載の式VIIの化合物を、ヒドロキシ保護基PTの除去下に脱保護することを含む、方法。
【請求項19】
Rが水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
が水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;そして
PGがアミノ保護基である
請求項18に記載の式VIIIの化合物、またはその塩。
【請求項20】
(2R,3S,5S)−5−((1S,3S)−1−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシメチル−4−メチルペンチル)−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの名称を有する、請求項19に記載の式VIIIの化合物、またはその塩。
【請求項21】
式X
【化14】

〔式中、
、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
のラクトール、またはその塩を製造する方法であって、請求項18から20のいずれかに記載の式VIIIの化合物、またはその塩を、1級ヒドロキシ基で酸化して、式IX
【化15】

〔式中、R、RおよびPGは上記式Xの下に定義の通りである。〕
のアルデヒド化合物、またはその塩を得て、その後自発的に環化して式Xのラクトール、またはその塩を得ることを含む、方法。
【請求項22】
Rが水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
が水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;そして
PGがアミノ保護基である、
請求項21に記載の式Xのラクトール、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項23】
(2R,3S,5S)−5−((2S,4S)−5−ヒドロキシ−4−イソプロピル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの名称を有する、請求項22に記載の式Xのラクトール、またはその塩。
【請求項24】
Rが水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
が水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;そして
PGがアミノ保護基である、
請求項21に記載の式IXのアルデヒド化合物、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項25】
(2R,3S,5S)−5−((1S,3S)−3−ホルミル−1−ヒドロキシ−4−メチル−ペンチル)−2−[4−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−3−イソプロピル−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの名称を有する、請求項24に記載の式IXのアルデヒド化合物、またはその塩。
【請求項26】
式XI
【化16】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
のラクトンの製造方法であって、請求項21または23のいずれかに記載の式X化合物を酸化して、式XIの化合物、またはその塩を得ることを含む、方法。
【請求項27】
Rが水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
が水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;そして
PGがアミノ保護基である、
請求項26に記載の式XIの化合物、またはその塩。
【請求項28】
(2R,3S,5S)−3−イソプロピル−5−((2S,4S)−4−イソプロピル−5−オキソ−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの名称を有する、請求項27に記載の式XIの化合物、またはその塩。
【請求項29】
式XIII
【化17】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物の製造方法であって、請求項26から28のいずれかに記載の式XIの化合物、またはその塩と、式XII
【化18】

(ここで、該アミド窒素もまた望むならば保護し、次いで該保護基を対応する保護された式XIIIの化合物において除去できる)
のアミン、またはその塩を反応させることを含む、方法。
【請求項30】
Rが水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
が水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;そしてPGがアミノ保護基である、
請求項29に記載の式XIIIの化合物、またはその塩。
【請求項31】
(2R,3S,5S)−5−[(1S,3S)−3−(2−カルバモイル−2−メチル−プロピルカルバモイル)−1−ヒドロキシ−4−メチル−ペンチル]−3−イソプロピル−2−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)−フェニル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの名称を有する、請求項30に記載の式XIIIの化合物、またはその塩。
【請求項32】
式XIV
【化19】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、請求項29から31のいずれかに記載の式XIIIの化合物の環を還元的または水素化分解的開環により開いて、式XIVの化合物、またはその塩を得て;そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換することを含む、方法。
【請求項33】
式XV
【化20】

〔式中、
R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、請求項29から31のいずれかに記載の式XIIIの化合物の環を還元的または水素化分解的開環により開いて、式XIV、またはその塩を得て、そして保護基PGを除去し;そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換することを含む、方法。
【請求項34】
R、RおよびPGが請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの化合物について定義の通りである請求項31に記載の式XVの製造方法であって、以下の1個以上、例えば全ての工程を含む、方法:
(i)請求項1から3のいずれかに記載の式IIIの化合物、またはその塩の製造、請求項5に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、または
(ii)請求項8に記載の式IVaの化合物、またはその塩の製造、請求項9に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、
請求項10に記載の式Vの化合物、またはその塩の製造(ただし、式IIIおよびIVの出発物質および中間体においてRが水素である)、請求項15に記載の式VIIの化合物、またはその塩の製造、請求項18に記載の式VIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項21に記載の式IXのラクトール、またはその塩の製造、請求項26に記載の式Xのラクトン、またはその塩の製造、請求項29に記載の式XIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項32に記載の式XIVの化合物、またはその塩の製造、および請求項33に従うその脱保護により、式XVの化合物、またはその塩を得て、そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換する。
【請求項35】
式XVの化合物が(2S,4S,5S,7S)−5−アミノ−N−(2−カルバモイル−2−メチルプロピル)−4−ヒドロキシ−2−イソプロピル−7−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)ベンジル]−8−メチルノナンアミドまたは薬学的に許容されるその塩であるとき、対応する置換基を有する出発物質および中間体を使用することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
式XVI
【化21】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式IV
【化22】

〔式中、
Rは水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、好ましくはC−C−アルコキシ、とりわけメトキシであり;
は水素、アルキルまたはアルコキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、とりわけ3−メトキシプロピルであり;
は水素であり;そして
PGはアミノ保護基、とりわけ加水分解により除去可能なもの、例えばtert−ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニルである。〕
の化合物;またはその塩を、酸化剤の存在下で反応させ、式XVIの化合物、またはその塩を得ることを含む、方法。
【請求項37】
式XVII
【化23】

〔式中、
R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式XVI
【化24】

〔式中、
R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩を、最初にカルボキシ基を活性化できる試薬と、次いで式VI
【化25】

〔式中、Halはハロ、好ましくはクロロ、ブロモまたはヨードであり、そしてPTはヒドロキシル保護基である。〕
の有機金属誘導体と反応させることを含む、方法。
【請求項38】
式XVII
【化26】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りであり、そしてPTはヒドロキシル保護基である。〕
の化合物、またはその塩。
【請求項39】
式VIII
【化27】

〔式中、
R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、請求項38に記載の式XVIIの化合物を、立体選択的条件で還元し、そして得られる化合物を、ヒドロキシ保護基PTの除去下に(部分的)脱保護することを含む、方法。
【請求項40】
式XV
【化28】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、以下の1個以上、例えば全ての工程を含む、方法:
(i)請求項1から3のいずれかに記載の式IIIの化合物、またはその塩の製造、請求項5に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、または
(ii)請求項8に記載の式IVaの化合物、またはその塩の製造、請求項9に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、請求項36に記載の式XVIの化合物、またはその塩の製造(ただし、式IIIおよびIVの出発物質および中間体においてRが水素である)、請求項37に記載の式XVIIの化合物、またはその塩の製造、請求項39に記載の式VIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項21に記載の式Xのラクトール、またはその塩の製造、請求項26に記載の式Xのラクトン、またはその塩の製造、請求項29に記載の式XIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項32に記載の式XIVの化合物、またはその塩の製造、および請求項33に従うその脱保護により、式XVの化合物またはその塩を得て、そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換する。
【請求項41】
式XVIII
【化29】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式VIII
【化30】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩を、ピロリジン環の還元的または水素化分解的開環により反応させることを含む、方法。
【請求項42】
式XVIII
【化31】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩。
【請求項43】
式XIX
【化32】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式XVIII
【化33】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩を酸化して、式XIXのラクトール、またはその塩を得ることを含む、方法。
【請求項44】
式XIX
【化34】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
のラクトール、またはその塩。
【請求項45】
式XX
【化35】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
のラクトン、またはその塩の製造方法であって、式XIX
【化36】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
のラクトール、またはその塩を酸化して、式XXの化合物、またはその塩を得ることを含む、方法。
【請求項46】
式XX
【化37】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
のラクトン、またはその塩。
【請求項47】
式XIV
【化38】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式XX
【化39】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩と、式XII
【化40】

の化合物、またはその塩を反応させることを含む、方法。
【請求項48】
式XV
【化41】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、以下の1個以上、例えば全ての工程を含む、方法:
(i)請求項1から3のいずれかに記載の式IIIの化合物、またはその塩の製造、請求項5に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、または
(ii)請求項8に記載の式IVaの化合物、またはその塩の製造、請求項9に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、
次いで
a)請求項10に記載の式Vの化合物、またはその塩の製造、請求項15に記載の式VIIの化合物、またはその塩の製造、および式VIIIの化合物、またはその塩の製造
b)請求項36に記載の式XVIの化合物、またはその塩の製造(ただし、式IIIおよびIVの出発物質および中間体においてRが水素である)、請求項37に記載の式XVIIの化合物、またはその塩の製造、および請求項39に記載の式VIIIの化合物の製造、
その後、方法a)または方法b)のいずれかから式VIIIの化合物、またはその塩から、請求項41に記載の式XVIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項43に記載の式XIXの化合物、またはその塩の製造、請求項45に記載の式XXの化合物、またはその塩の製造、請求項47に記載の式XIVの化合物、またはその塩の製造、および請求項33に従うその脱保護により、式XVの化合物、またはその塩を得て、そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換する。
【請求項49】
式XXI
【化42】

〔式中、R、RおよびPGは請求項1から3のいずれかにおいて式Iの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りであり、そしてPTはヒドロキシ保護基である。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、還元的または水素化分解的開環により、式VII
【化43】

〔式中、R、RおよびPGは式XXIの化合物について定義の通りであり、そしてPTはヒドロキシル保護基である。〕
の化合物にする、製造方法。
【請求項50】
式XXI
【化44】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式Iの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りであり、そしてPTはヒドロキシ保護基である。〕
の化合物、またはその塩、または好ましくはPG=ベンジルオキシカルボニルであり、そしてPTがベンジルであるか、またはPGが水素でありそしてPTがベンジルであり、そしてRおよびRが式Iの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである化合物、またはそれらのそれぞれの塩。
【請求項51】
式XV
【化45】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、以下の1個以上、例えば全ての工程を含む、方法:
(i)請求項1から3のいずれかに記載の式IIIの化合物、またはその塩の製造、請求項5に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、または
(ii)請求項8に記載の式IVaの化合物、またはその塩の製造、請求項9に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、
請求項10に記載の式Vの化合物、またはその塩の製造、請求項15に記載の式VIIの化合物、またはその塩の製造、請求項49に記載の式XXIの化合物、またはその塩の製造、ヒドロキシ保護基PTの除去下の脱保護による式XVIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項43に記載の式XIXの化合物、またはその塩の製造、請求項45に記載の式XXの化合物、またはその塩の製造、請求項47に記載の式XIVの化合物、またはその塩の製造および請求項33に従うその脱保護により、式XVの化合物、またはその塩を得て、そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換する。
【請求項52】
式XIX
【化46】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式X
【化47】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩を還元的または水素化分解的開環下に反応させることを含む、方法。
【請求項53】
式XV
【化48】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、以下の1個以上、例えば全ての工程を含む、方法:
(i)請求項1から3のいずれかに記載の式IIIの化合物、またはその塩の製造、請求項5に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、または
(ii)請求項8に記載の式IVaの化合物、またはその塩の製造、請求項9に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、
請求項10に記載の式Vの化合物、またはその塩の製造、請求項15に記載の式VIIの化合物、またはその塩の製造、請求項18に記載の式VIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項21に記載の式Xの化合物、またはその塩の製造、請求項52に記載の式XIXの化合物、またはその塩の製造、請求項45に記載の式XXの化合物、またはその塩の製造、請求項47に記載の式XIVの化合物、またはその塩の製造、および請求項33に従うその脱保護により、式XVの化合物、またはその塩を得て、そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換する。
【請求項54】
式XX
【化49】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式XI
【化50】

〔式XおよびXI中のR、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩を、還元的または水素化分解的開環下に反応させることを含む、方法。
【請求項55】
式XV
【化51】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、以下の1個以上、例えば全ての工程を含む、方法:
(i)請求項1から3のいずれかに記載の式IIIの化合物、またはその塩の製造、請求項5に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、または
(ii)請求項8に記載の式IVaの化合物、またはその塩の製造、請求項9に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、
請求項10に記載の式Vの化合物、またはその塩の製造、請求項15に記載の式VIIの化合物、またはその塩の製造、請求項18に記載の式VIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項21に記載の式Xの化合物、またはその塩の製造、請求項26に記載の式XIの化合物、またはその塩の製造、請求項53に記載の式XXの化合物、またはその塩の製造、請求項47に記載の式XIVの化合物、またはその塩の製造および請求項33に従うその脱保護により、式XVの化合物、またはその塩を得て、そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換する。
【請求項56】
式XXIII
【化52】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りであり、そしてRxはヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アミノまたはNH−CHC(CH)−CONHである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式V
【化53】

〔式中、R、RおよびPGは、上記で式IIIの下に定義の通りであり、そしてRは水素である。〕
の化合物、またはその塩と、式XXII
【化54】

〔式中、YはPhまたは(AlkO)P(O)であり、ここで、Alkはアルキル、例えばC−C−アルキルであり、そしてRxはヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アミノまたはNH−CHC(CH)−CONHである。〕
の化合物を反応させることを含む、方法。
【請求項57】
式XXIII
【化55】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りであり、そしてRxはヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アミノまたはNH−CHC(CH)−CONHである。〕
の化合物、またはその塩。
【請求項58】
式XXIV
【化56】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りであり、そしてRxはヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アミノまたはNH−CHC(CH)−CONHである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、請求項55に記載の式XXIIIの化合物、またはその塩を、還元的または水素化分解的開環下で反応させることを含む、方法。
【請求項59】
式XXIV
【化57】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りであり、そしてRxはヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アミノまたはNH−CHC(CH)−CONHである。〕
の化合物、またはその塩。
【請求項60】
式XX
【化58】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式XXIV
【化59】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りであり、そしてRxはヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アミノまたはNH−CHC(CH)−CONHである。〕
の化合物、またはその塩を、開環下に反応させることを含む、方法。
【請求項61】
式XV
【化60】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、以下の1個以上、例えば全ての工程を含む、方法:
(i)請求項1から3のいずれかに記載の式IIIの化合物、またはその塩の製造、請求項5に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、または
(ii)請求項8に記載の式IVaの化合物、またはその塩の製造、請求項9に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、
請求項10に記載の式Vの化合物、またはその塩の製造、請求項56に記載の式XXIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項58に記載の式XXIVの化合物、またはその塩の製造、請求項60に記載の式XXの化合物、またはその塩の製造、請求項47に記載の式XIVの化合物、またはその塩の製造および請求項33に従うその脱保護により、式XVの化合物、またはその塩を得て、そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換する。
【請求項62】
式XVIII
【化61】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、式VII
【化62】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りであり、そしてPTはヒドロキシル保護基である。〕
の化合物、またはその塩を、ピロリジン環の還元的または水素化分解的開環により反応させることを含む、方法。
【請求項63】
式XV
【化63】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、以下の1個以上、例えば全ての工程を含む、方法:
(i)請求項1から3のいずれかに記載の式IIIの化合物、またはその塩の製造、請求項5に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、または
(ii)請求項8に記載の式IVaの化合物、またはその塩の製造、請求項9に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、請求項10に記載の式Vの化合物、またはその塩の製造、請求項15に記載の式VIIの化合物、またはその塩の製造、請求項62に記載の式XVIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項43に記載の式XIXの化合物、またはその塩の製造、請求項45に記載の式XXの化合物、またはその塩の製造、請求項47に記載の式XIVの化合物、またはその塩の製造および請求項33に従うその脱保護により、式XVの化合物、またはその塩を得て、そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換する。
【請求項64】
式XX
【化64】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
のラクトン、またはその塩の製造方法であって、式XVIII
【化65】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩を、式XXのラクトン、またはその塩に酸化することを含む、方法。
【請求項65】
式XV
【化66】

〔式中、R、RおよびPGは、請求項1から3のいずれかにおいて式IIIの下に定義の通りまたは請求項4で示される通りである。〕
の化合物、またはその塩の製造方法であって、以下の1個以上、例えば全ての工程を含む、方法:
(i)請求項1から3のいずれかに記載の式IIIの化合物、またはその塩の製造、請求項5に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、または
(ii)請求項8に記載の式IVaの化合物、またはその塩の製造、請求項9に記載の式IVの化合物、またはその塩の製造、請求項10に記載の式Vの化合物、またはその塩の製造、請求項15に記載の式VIIの化合物、またはその塩の製造、請求項62に記載の式XVIIIの化合物、またはその塩の製造、請求項64に記載の式XXの化合物、またはその塩の製造、請求項47に記載の式XIVの化合物、またはその塩の製造および請求項33に従うその脱保護により、式XVの化合物、またはその塩を得て、そして、必要ならば、得られる式XVの遊離化合物を塩に、または得られる塩を式XVの遊離化合物にまたはその異なる塩に変換する。

【公開番号】特開2013−28607(P2013−28607A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−175078(P2012−175078)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【分割の表示】特願2008−515124(P2008−515124)の分割
【原出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】