説明

レバーロックアウト組立体

【課題】効果的なレバーロックアウト組立体を提供すること。
【解決手段】レバー部材24は、切欠き74により隔てられる一対の腕部70,72を有する。ロックアウト滑動部44は、滑動部支持体により滑動可能に支持される。ロックアウト滑動部は、隆起部と凹部とを有する。ロックアウト滑動部44は、隆起部56が切欠き74により受容され且つレバー部材24の回転を防止するために腕部70,72と係合可能であるロックアウト位置へ滑動可能である。ロックアウト滑動部44はまた、凹部が切欠き74と位置合わせされ且つ腕部70,72が凹部により回転可能であるロック解除位置へ滑動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーロックアウト組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタ及び他の実用車には、一般に、選択制御弁(SCV:selective control valve)などの装置の動作を制御する制御レバーが設けられている。多くの市場では、車両が走行中の場合又はSCVが使用されていない場合などに、そのようなレバーをニュートラル位置に固定することができる機構を、規則で義務付けている。そのような機構は、レバーとの偶発的な接触の結果又は振動の結果としてのSCVの作動を防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、効果的なレバーロックアウト組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的及び他の目的は、レバーロックアウト組立体が筐体上に取り付けられる一対のレバー支持体と一対の滑動部支持体とを含む本発明によって、達成される。レバー部材は、レバー支持体により支持される軸に回転可能に取り付けられる。各レバー部材は、切欠きにより隔てられる一対の腕部を有する。ロックアウト滑動部は、滑動部支持体により滑動可能に支持される。ロックアウト滑動部は、隆起部及び凹部を有する。ロックアウト滑動部は、隆起部が切欠きにより受容され且つ各レバー部材の回転を防止するために腕部と係合可能であるロックアウト位置へ滑動可能である。ロックアウト滑動部はまた、凹部が切欠きと位置合わせされ且つ腕部が該凹部により回転可能であるロック解除位置へ滑動可能である。ハンドルが、ロックアウト滑動部の端部から突出する。ロックアウト滑動部は、多角形の横断面形状を有する剛性の棒材である。該棒材の縁部は、隆起部を形成する。ロックアウト滑動部は、その表面に形成される一対の戻り止め凹部を含む。戻り止めローラがロックアウト滑動部に係合し、戻り止め凹部により解除可能に受容されて、ロックアウト滑動部を選択された位置に解除可能に保持する。
【0005】
このレバーロックアウト組立体の構造は、選択制御弁のロックアウトの承認要件に合致する。該構造により、各単一のSCVレバーに対してロックを必要とした以前の構造と比較して、操作者が、全てのSCVレバーを1つの制御装置で、更には全ての弁機能を1つの動作で、ロック又はロック解除することが可能になる。該構造はこれを、滑動部材を使用して、小領域内の最少数の部品で達成する。システムの構成要素は、隣接する部品の固有の機能を活用するように設計されてきた。この特徴の別の利益は、SCVのレバー及び該弁へのケーブルの調節にある。ケーブルが弁及び制御レバーと組み合わされた後、レバーをニュートラル位置にロックすることができる。各制御部のケーブルの長さは、弁のニュートラル位置に適切な長さに調節することができる。調節が完了した後、ケーブル端部固定用クリップが装着される。これにより、最初の組立て又は点検・修理中に必要な調節の反復数が減少する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明を含む車両制御装置の上面斜視図である。
【図2】覆いを取り除いた状態の図1の制御装置の上面斜視図である。
【図3】図2のロックアウト滑動部の斜視図である。
【図4】ロック解除位置にあるロックアウト滑動部を示す、詳細な断面図である。
【図5】ロックアウト位置にあるロックアウト滑動部を示す、詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を参照すると、農業用トラクタ又は実用車などの車両(図示せず)用の制御装置10は、基部又は下部覆い14と上部覆い16とを備えた筐体12を含む。覆い16は、制御レバー24が通って突出する複数のレバー溝穴18を有する。各制御レバー24の下部は、枢動ピン23により従来の連結装置25(図4参照)に枢動可能に連結されることが好ましく、該連結装置25は、従来の選択制御弁(図示せず)などの被制御装置に動作可能に連結される。覆い16はまた、操作者による操作のためのロックアウトハンドル32が通って延出するロックアウトハンドル溝穴30を有する。
【0008】
図2に最も良く示される通り、一対の軸支持ブロック34、36が、基部上に取り付けられ、同様に、一対の滑動部支持ブロック38、40も取り付けられる。レバー軸42は、両端部を、支持ブロック34、36の孔に受容させる。軸42は、軸42のねじ穴にねじ込まれる保持用ボルト43によりブロック34、36内に保持される。各レバー24は、軸42に独立して回転可能に取り付けられる中心部26を含む。ロックアウト滑動部材44は、滑動部支持ブロック38及び40により非回転式に滑動可能に支持される。滑動部材44は、一対の戻り止め凹部46及び48を含む。戻り止めローラ50が、滑動部支持体38の側面に取り付けられるばね腕52の端部に取り付けられる。戻り止めローラ50は、戻り止め凹部46及び48により解除可能に受容されて、滑動部材44をロックアウト位置及びロック解除位置に解除可能に保持する。
【0009】
外側のブロック38は、レバー取付け用軸42が貫通して挿入されるブロック38の壁41の穴39を使用して下部覆い又は底部14に保持される。ブロック38が底部14内に取り付けられ、軸42が挿入されると、ブロック38は、組立体10に保持される。外側のブロック38は、非円形形状又は多角形形状を有する貫通穴又は貫通孔62を含む。嵌合わせ形状は、ロックアウト滑動部44の外側端部58上にある。外側のブロック38が所定の位置に固定され、端部58が孔62を貫通して挿入された状態にあると、ロックアウト滑動部は、ブロック38及び床部14に対して回転することが許されない。ロックアウト滑動部は、外側のブロック38の穴孔の中心線に沿って内側及び外側に移動しながら自由に滑動する。
【0010】
内側のブロック40は、ロックアウト滑動部44の内側端部60を受容する円形の孔64を有する。外側及び内側のブロック38、40が底部14に取り付けられた場合、孔62及び64の中心線は、互いに一直線に合わせられる。これは、ロックが係合及び解放される時に、ロックアウト滑動部44が沿って移動する中心線である。内側のブロック40は、平板45を取付け用ボルト又はねじ43により軸42に取り付けた状態で、所定の位置に固定される。
【0011】
図2〜5に最も良く示される通り、滑動部材44のうち支持ブロック38と40との間にある部分54は、非円形、多角形で、好ましくは長方形又は正方形の横断面形状を有する。該横断面形状は、軸42の方向に配向される角部又は縁部56を形成する。孔貫通端部60は、ハンドル32を受容する。図3〜4に最も良く示される通り、滑動部材44は、軸42に対向する底面68を形成する切取り部又は切欠き66を含む。各切欠き66の中心線は、取付け用軸42を中心とする、対応するレバー24の回転中心と一直線に合わせられる。
【0012】
図4及び5に最も良く示される通り、レバー24の一部は、切欠き74の両側に一対の腕部70及び72を形成する。腕部70及び72は、略内側に向く面又は壁76及び78を形成する。滑動部材44がそのロックアウト位置へ内側に(図2の右側に)移動した場合、図5に最も良く示される通り、壁76及び78は、隆起部56の側面と係合可能であり、それにより、レバー24の回転又は枢動を防止する。滑動部材の位置及び回転は、下部覆い14に対して固定されるので、レバー24は軸42上で回転することができない。レバー24により制御される弁(図示せず)は、滑動部材44がそのロックアウト位置にあると作動することができず、このようにして、ロックアウト機能を発揮する。滑動部材44がそのロック解除位置へ外側に(図2を見て左側に)移動した場合、図2及び4に最も良く示される通り、腕部70及び72は、切欠き66と位置合わせされ、該切欠きにより受容され、滑動部材は、レバー24の回転又は枢動を妨げない。
【0013】
本発明が特定の実施形態と併せて記載されてきたが、前述の記載を踏まえて、多くの代替案、修正、及び変形が当業者に明らかとなるであろうことが理解される。従って、本発明では、添付請求項の精神及び範囲内に入るそのような代替案、修正、及び変形を全て包含することが意図されている。
【符号の説明】
【0014】
10 制御装置
12 筐体
14 下部覆い/底部
16 上部覆い
18 レバー溝穴
23 枢動ピン
24 制御レバー
25 連結装置
26 中心部
30 ロックアウトハンドル溝穴
32 ロックアウトハンドル
34 軸支持ブロック
36 軸支持ブロック
38 滑動部支持ブロック/滑動部支持体
39 穴
40 滑動部支持ブロック
41 壁
42 レバー軸
43 ボルト/ねじ
44 ロックアウト滑動部材/ロックアウト滑動部
45 平板
46 戻り止め凹部
48 戻り止め凹部
50 戻り止めローラ
52 ばね腕
54 部分
56 角部/縁部/隆起部
58 外側端部
60 内側端部
62 貫通穴/貫通孔
64 孔
66 切取り部/切欠き
68 底面
70 腕部
72 腕部
74 切欠き
76 面/壁
78 面/壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に取り付けられるレバー支持体及び滑動部支持体と、
前記レバー支持体により回転可能に支持されるレバー部材であって、前記レバー部材が、その表面に形成される切欠きによって隔てられる一対の腕部を有する、レバー部材と、
前記滑動部支持体により滑動可能に支持されるロックアウト滑動部であって、前記ロックアウト滑動部が、前記レバー部材に対して滑動可能であり、隆起部及び凹部を有し、前記隆起部が、前記凹部に隣接しており且つ前記凹部に対して外側に突出し、前記ロックアウト滑動部が、前記隆起部が前記切欠きにより受容され且つ前記レバー部材の回転を防止するために前記腕部と係合可能であるロックアウト位置へ滑動可能であり、前記ロックアウト滑動部が、前記凹部が前記切欠きと位置合わせされ且つ前記腕部が前記凹部により回転可能であるロック解除位置へ滑動可能である、ロックアウト滑動部と
を含む、レバーロックアウト組立体。
【請求項2】
ハンドルが、前記ロックアウト滑動部の端部から突出し、
前記筐体が、底部と覆いとを含み、前記シャフト支持体及び前記滑動部支持体が、前記底部上に取り付けられ、前記覆いが、前記レバー部材が通って延出するレバー溝穴を有し、前記覆いが、前記ハンドルが通って延出するハンドル溝穴を有する、請求項1に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項3】
前記ロックアウト滑動部が、多角形の横断面形状を有する剛性の棒材を含み、前記棒材の縁部が前記隆起部を形成する、請求項1に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項4】
前記ロックアウト滑動部が、長方形の横断面形状を有する剛性の棒材を含み、前記棒材の縁部が前記隆起部を形成する、請求項1に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項5】
前記組立体が、前記レバーシャフトに取り付けられる複数のレバー部材を含み、各レバー部材が、その表面に形成される切欠きによって隔てられる一対の腕部を有し、
前記ロックアウト滑動部が、対応する複数の隆起部及び凹部を有する、請求項1に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項6】
前記滑動部支持体と前記ロックアウト滑動部とが、協働して前記ロックアウト滑動部の回転を防止する、請求項1に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項7】
前記滑動部支持体が、第1の支持部材と、該第1の支持部材と離間された第2の支持部材とを含み、前記支持部材の少なくとも1つが、多角形の開口部を有し、
前記ロックアウト滑動部が、前記開口部と一致する多角形の外縁形状を有する少なくとも1つの端部を有し、前記端部が、前記開口部により受容され、該開口部と協働して前記ロックアウト滑動部の回転を防止する、請求項6に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項8】
前記ロックアウト滑動部が、その表面に形成される戻り止め凹部を含み、
戻り止め部材が、前記ロックアウト滑動部に係合し、前記戻り止め部材が、前記戻り止め凹部により解除可能に受容されて、前記ロックアウト滑動部を選択された位置に解除可能に保持する、請求項1に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項9】
前記戻り止め部材が、腕木型腕部の端部に取り付けられるローラ部材を含み、前記腕木型腕部が、前記ローラ部材を前記ロックアウト滑動部に当接して弾性的に保持する、請求項8に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項10】
レバー支持体と、
滑動部支持体と、
レバー軸を中心とする回転のために前記レバー支持体により支持されるレバー部材と、
前記滑動部支持体により滑動可能に支持されるロックアウト滑動部材であって、前記ロックアウト滑動部材が、前記レバー軸に平行な方向に滑動可能であり、前記レバー部材及び前記ロックアウト滑動部材のうちの一方が、突出部を有し、前記レバー部材及び前記ロックアウト滑動部材のうちの他方が、一対の腕部を有し、前記ロックアウト滑動部材が、前記突出部が前記腕部の間に受容されるロックアウト位置へ滑動可能であり且つ前記レバー部材の回転を防止するために前記腕部と係合可能であり、前記滑動部材が、前記レバー部材が前記ロックアウト滑動部材の妨げなしに回転可能であるように、前記突出部が前記腕部から位置をずらされるロック解除位置へ滑動可能である、ロックアウト滑動部材と
を含む、レバーロックアウト組立体。
【請求項11】
底部及び覆いを有する筐体であって、前記レバー支持体及び前記滑動部支持体が前記底部に取り付けられ、前記覆いが、そこに形成されるレバー溝穴及びハンドル溝穴を有する、筐体と、
前記ロックアウト滑動部材の端部から突出するハンドルと
を更に含み、前記レバー部材が、前記レバー溝穴を通って延出し、前記ハンドルが前記ハンドル溝穴を通って延出する、請求項10に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項12】
前記ロックアウト滑動部材が、多角形の横断面形状を有する剛性の棒材を含み、前記棒材の縁部が、隆起部を形成する、請求項10に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項13】
前記ロックアウト滑動部材が、前記レバー部材と係合可能である中央部と、前記滑動部支持体により滑動可能に受容される端部とを含む、請求項10に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項14】
前記組立体が、前記レバー支持体により回転可能に支持される複数のレバー部材を含み、各レバー部材が、その表面に形成される切欠きにより隔てられる一対の腕部を有し、
前記ロックアウト滑動部材が、対応する複数の隆起部及び凹部を有する、請求項10に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項15】
前記滑動部支持体と前記ロックアウト滑動部材とが、協働して前記ロックアウト滑動部材の回転を防止する、請求項10に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項16】
前記滑動部支持体が、第1の支持部材と、該第1の支持部材と離間された第2の支持部材とを含み、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材のうちの少なくとも一方が、多角形形状の開口部を有し、
前記ロックアウト滑動部材が、前記開口部と一致する多角形の外縁形状を有する少なくとも1つの端部を有し、前記端部が前記開口部により受容され、該開口部と協働して前記ロックアウト滑動部材の回転を防止する、請求項15に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項17】
前記ロックアウト滑動部材が、その表面に形成される戻り止め凹部を含み、
戻り止め部材が、前記ロックアウト滑動部材に係合し、前記戻り止め部材が、前記戻り止め凹部により解除可能に受容されて、前記ロックアウト滑動部材を選択された位置に解除可能に保持する、請求項10に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項18】
前記戻り止め部材が、腕木型腕部の端部に取り付けられるローラ部材を含み、前記腕木型腕部が、前記ローラ部材を前記ロックアウト滑動部に当接して弾性的に保持する、請求項17に記載のレバーロックアウト組立体。
【請求項19】
前記腕木型腕部が、前記滑動部支持体に取り付けられる、請求項18に記載のレバーロックアウト組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−49683(P2010−49683A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−176010(P2009−176010)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(591005165)ディーア・アンド・カンパニー (109)
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY
【Fターム(参考)】