説明

レンズアレイ、レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置および読取装置

【課題】素材の収縮および膨張による各部材の相対的な位置ずれや形状の差を抑制し、解像度の低下を防止する。
【解決手段】複数のレンズ素子が光軸に対して略直交する方向に延在する列を形成するように配列されたレンズアレイにおいて、前記レンズ素子が配列された方向の略中央に、遮光部材に係合する位置決め部を配置した。また、複数のレンズ素子が光軸に対して略直交する方向に延在する列を形成するように配列されたレンズアレイと、前記光軸が通過する複数の絞りが前記光軸に対して略直交する方向に延在するように配列された遮光部材とを有するレンズユニットにおいて、略同一形状の複数の前記レンズアレイを、それぞれの前記レンズ素子の光軸が一致するように対向させて配置し、一の前記レンズアレイを、他の前記レンズアレイに対し、前記レンズ素子の配列方向に平行な直線を回転軸として回転した位置に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイ、レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置および読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレンズアレイは、複数のLED(発光ダイオード)を直線状に配列したLEDヘッドを用いた電子写真方式の画像形成装置や複数の受光素子を直線状に配列した受光部に読取り原稿の像を結像させるスキャナやファクシミリ等の読取装置に物体の正立等倍像をライン状に形成することができる光学系として用いられている。
このレンズアレイは、物体の正立等倍像を形成するように複数のレンズからなるレンズ群を構成し、このレンズ群を略直線状に配列して物体の正立等倍像をライン状に形成する光学系として構成することができ、この複数のレンズを射出成型で一体に形成することにより部品点数を少なく構成するようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−92006号公報(段落「0032」〜段落「0039」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術において、光学系を構成する各部材は、レンズの配列方向に長い、長尺な形状となるため、素材の収縮および膨張によって各部材の相対的な位置ずれや形状変化が発生し、その光学系の解像度を低下させてしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、素材の収縮および膨張による各部材の相対的な位置ずれや形状の差を抑制し、解像度の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明によるレンズアレイは、複数のレンズ素子が光軸に対して略直交する方向に延在する列を形成するように配列されたレンズアレイにおいて、前記レンズ素子が配列された方向の略中央に、遮光部材に係合する位置決め部を配置したことを特徴とする。
また、本発明によるレンズユニットは、複数のレンズ素子が光軸に対して略直交する方向に延在する列を形成するように配列されたレンズアレイと、前記光軸が通過する複数の絞りが前記光軸に対して略直交する方向に延在するように配列された遮光部材とを有するレンズユニットにおいて、略同一形状の複数の前記レンズアレイを、それぞれの前記レンズ素子の光軸が一致するように対向させて配置し、一の前記レンズアレイを、他の前記レンズアレイに対し、前記レンズ素子の配列方向に平行な直線を回転軸として回転した位置に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、素材の収縮および膨張による各部材の相対的な位置ずれや形状の差を抑制し、解像度の低下を防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例におけるレンズユニットの分解斜視図
【図2】第1の実施例におけるプリンタの構成を示す概略図
【図3】第1の実施例におけるLEDヘッドの概略側面図
【図4】第1の実施例におけるLEDヘッドの概略断面図
【図5】第1の実施例におけるレンズユニットの平面図
【図6】第1の実施例におけるレンズユニットのBB断面図
【図7】第1の実施例におけるレンズユニットのCC断面図
【図8】第1の実施例におけるレンズアレイの平面図
【図9】第1の実施例における遮光部材の平面図
【図10】第1の実施例における遮光部材の開口部の平面図
【図11】第1の実施例におけるレンズアレイの動作を示す説明図
【図12】第1の実施例におけるレンズユニットの動作を示す説明図
【図13】第1の実施例における画像形成装置の画像評価の説明図
【図14】第2の実施例における読取装置の構成を示す概略図
【図15】第2の実施例における読取装置の読取ヘッドの構成を示す概略図
【図16】第2の実施例における読取装置の読取ヘッドの動作を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明によるレンズアレイ、レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置および読取装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
本実施例の情報処理装置としてのプリンタを図2の第1の実施例におけるプリンタの構成を示す概略図に基づいて説明する。
図2において、プリンタ100は、色材としての顔料を含む樹脂からなるトナーにより、画像データをもとに印字媒体上に画像を形成する。
プリンタ100には、印字媒体としての用紙101を貯留する給紙カセット60が装着され、用紙101を給紙カセット60から取り出す給紙ローラ61を備え、用紙101を給紙して搬送する搬送ローラ62、63が配置される。
【0010】
本発明におけるプリンタ100は、カラー電子写真方式であり、プリンタ100内には画像形成部としてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する静電潜像担持体としての感光体ドラム41、その感光体ドラム41に形成された静電潜像をトナーにより現像し、トナー像を形成する現像器5、その現像器5にトナーを供給するトナーカートリッジ51が用紙101の搬送路に沿って並べて配置されている。
【0011】
また、感光体ドラム41の表面に電荷を供給して帯電させる帯電ローラ42、光学ヘッドとしてのLEDヘッド3が、感光体ドラム41の表面に対向するように配置され、LEDヘッド3は帯電ローラ42で帯電された感光体ドラム41の表面に画像データをもとに選択的に光を照射して静電画像を形成する。
さらに、感光体ドラム41上に形成され、トナーにより静電潜像を可視化した像であるトナー像を用紙101上に転写する転写ローラ80が、転写部で用紙101を搬送する転写ベルト81を挟むように感光体ドラム41に対向して配置され、また用紙101が転写部を通過した後の感光体ドラム41の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード43が感光体ドラム41の表面に接触して配置されている。
【0012】
転写部の下流には用紙101上に形成されたトナー像を熱および圧力で定着させる定着器9が配置され、その定着器9を通過した用紙101を搬送する搬送ローラ64、その搬送ローラ64により搬送され、画像が形成された用紙101を貯留する排出部7へ排出する排出ローラ65が配置される。
また、帯電ローラ42および転写ローラ80には図示しない電源により所定の電圧が印加される。そして、転写ベルト81、感光体ドラム41および各ローラはそれぞれ図示しないモータと図示しない駆動を伝達するギアにより回転駆動される。さらに、現像器5、LEDヘッド3、定着器9、および図示しない各モータには、それぞれ電源および制御装置が接続されている。
【0013】
プリンタ100は、外部装置から印刷データを受信する外部インターフェースを有し、その外部インターフェースで受信した印刷データをもとに印字媒体上に画像を形成する。
このように構成されたプリンタ100は、制御プログラムをメモリ等の記憶部に記憶し、その制御プログラムに基づいて全体を制御する制御手段および演算手段としての制御部を備えている。
【0014】
次に、露光装置としてのLEDヘッド3の構成を図3の第1の実施例におけるLEDヘッドの概略側面図に基づいて説明する。
LEDヘッド3には、レンズユニット1が配置され、そのレンズユニット1はホルダ34によりLEDヘッド3に固定されている。また、発光部としての複数のLED素子30は配線基板33上に略直線に配置されている。
【0015】
レンズユニット1は、長尺であり、略直線に配置されたLED素子30と平行に配置され、またレンズユニット1と静電潜像が形成される感光体ドラム41とは平行に配置される。さらに、レンズユニット1のマイクロレンズの光軸は図における上下方向になるように配置される。
図4は、第1の実施例におけるLEDヘッドの概略断面図であり、図3におけるAA断面図である。
【0016】
図4において、レンズユニット1のマイクロレンズ12の光軸は図における上下方向となるように配置され、またLED素子30およびドライバIC31は配線基板33上に配置されている。LED素子30とドライバIC31はワイヤ32により結線され、発光部としてのLED素子30はドライバIC31により制御されて発光する。また、LED素子30は1列の直線に配列され、間隔PDmm(ミリメートル)で配置されている。
【0017】
このレンズユニット1により、感光体ドラム41にLED素子30の像が結像し、感光体ドラム41の回転に合わせてLED素子30を発光させることにより感光体ドラム41上に静電潜像が形成される。
本実施例においては、LEDヘッド3は600dpi(dots per inch)の解像度であり、LED素子30が1インチ当たり(1インチは約25.4mm)600個配置されている。すなわち、LED素子30が間隔PDを0.0423mmとして配列されている。
【0018】
次に、レンズユニット1の構成を図1の第1の実施例におけるレンズユニットの分解斜視図に基づいて説明する。
図1において、レンズユニット1は、レンズ素子の集合体としてのレンズアレイ10と遮光部材20とからなる。
そのレンズアレイ10には、複数のレンズ素子としてのマイクロレンズ12が配列間隔PYとして略直線状に平行する2列に配列されている。また、レンズユニット1には、2枚の略同一形状のレンズアレイ10が対向して配置されている。すなわち、レンズユニット1は、光軸が一致するように配置された2枚のマイクロレンズ12からなるレンズ群を、光軸に対して略直交する方向に2列に配置した構成となっている。なお、レンズアレイ10は、発光部の光線を透過する素材により形成されている。
【0019】
レンズユニット1において、2枚のレンズアレイ10のうち、一方のレンズアレイ10は、他方のレンズアレイ10に対してマイクロレンズ12の配列方向と平行な直線25を回転軸として180度回転されて配置される。
レンズアレイ10は、マイクロレンズ12が配列された方向に長い、長尺な形状であり、マイクロレンズ12の配列方向の各位置で素材の組成や密度等の特性(素材特性の分布)が僅かに異なっている。したがって、製造工程におけるレンズアレイ10の加熱や冷却および使用環境における温度や湿度の変化により、レンズアレイ10が収縮または膨張するとき、マイクロレンズ12の配列方向の各位置で収縮率または膨張率が異なってくる。
【0020】
本発明とは異なる従来の構成のレンズユニット1、すなわち一方のレンズアレイ10が他方のレンズアレイ10に対してマイクロレンズ12の配列方向と光軸の両方に直交する直線を回転軸として180度回転されて配置されたレンズユニット1においては、温度や湿度の変化によって該レンズアレイ10が収縮または膨張したとき、対向して配置された2枚のレンズアレイ10のそれぞれのマイクロレンズ12の光軸が一致しなくなる不具合が発生する。
【0021】
ところが、本発明による構成のレンズユニット1において、2枚のレンズアレイ10のうち、一方のレンズアレイ10は、他方のレンズアレイ10に対してマイクロレンズ12の配列方向と平行な直線を回転軸として180度回転されて配置されるため、一方のレンズアレイ10の素材特性の分布と他方のレンズアレイ10の素材特性の分布が略一致し、温度や湿度の変化によって該レンズアレイ10が収縮または膨張したときでも、各マイクロレンズ12の光軸は一致する。
【0022】
さらに、レンズユニット1において、一方のレンズアレイ10を他方のレンズアレイ10に対してマイクロレンズ12の配列方向に間隔PY/2ずらして配置することにより、一方のレンズアレイ10のマイクロレンズ12の光軸と他方のレンズアレイ10のマイクロレンズ12の光軸が一致する。
遮光部材20には、絞りとしての開口部22がレンズアレイ10のマイクロレンズ12の配置に対応するように貫通孔として形成されている。その開口部22の配列間隔はレンズアレイ10のマイクロレンズ12の配列と同じであり、マイクロレンズ12の光軸と開口部22の位置が一致するように配置されている。また、開口部22は、その光軸に対して略直交する方向に配列されている。
【0023】
ここで、レンズアレイ10にマイクロレンズ12を偶数列に配置した場合、レンズアレイ10を他方のレンズアレイ10に対してマイクロレンズ12の配列方向にn×間隔PY/2(nは0以外の整数)ずらして配置することにより、一方のレンズアレイ10の各マイクロレンズ12の光軸と他方のレンズアレイ10のマイクロレンズの光軸を一致させることができる。
【0024】
また、レンズアレイ10にマイクロレンズ12を奇数列に配置してレンズユニット1を構成することもできる。この場合、一方のレンズアレイ10を他方のレンズアレイ10に対してマイクロレンズ12の配列方向にずらさずに配置して一方のレンズアレイ10の各マイクロレンズ12の光軸と他方のレンズアレイ10のマイクロレンズの光軸を一致させることができる。
【0025】
さらに、レンズユニット1の2枚のレンズアレイ10を同一形状とすることなく、共通した形状を有する異なる形状の部材を用いて構成することもできる。このとき、2枚のレンズアレイ10の各々のマイクロレンズ12の配列間隔を同間隔とし、2枚のレンズアレイ10の各々のマイクロレンズ12の光軸は一致するように配置されるものとする。
また、2枚以上のレンズアレイ10でレンズユニット1を構成することもできる。
【0026】
さらに、レンズアレイ10には、レンズアレイ10と遮光部材20のマイクレンズ12の配列方向の相対的位置を定めるための位置決め部13が形成され、またレンズアレイ10と遮光部材20のマイクレンズ12の配列方向と直交する方向の位置を定めるための凸部14が形成されている。また、レンズアレイ10には、マイクロレンズ12の配列方向と平行する両側部にリブ11が形成されている。
【0027】
一方、遮光部材20には、開口部22の配列方向と平行する両側部にリブ21が形成され、そのリブ21に、レンズアレイ10の位置決め部13と係合する凹部23およびレンズアレイ10の凸部14に当接する突き当て部24が形成されている。
遮光部材20の凹部23にレンズアレイ10の位置決め部13を挿入することにより、レンズアレイ10と遮光部材20のマイクロレンズ12の配列方向の相対的位置を定め、遮光部材20の突き当て部24にレンズアレイ10の凸部14を突き当てることにより、レンズアレイ10と遮光部材20のマイクロレンズ12の配列方向および光軸方向と直交する方向の位置を定める。
【0028】
図5は、第1の実施例におけるレンズユニットの平面図である。図5(a)は、図4におけるレンズユニット1を上から下方向(マイクロレンズ12の光軸方向)に見た平面図であり、図5(b)は、図4におけるレンズユニット1を下から上方向(マイクロレンズ12の光軸方向)に見た平面図である。図5(b)に示されるレンズユニット1は図5(a)で示されるレンズユニット1をマイクロレンズ12の配列方向と平行な直線を回転軸として180度回転したものとなっている。なお、図における上下方向はマイクロレンズ12が配列されている方向である。
【0029】
図5において、位置決め部13はレンズアレイ10のマイクロレンズ12の配列方向における略中央に配置され、凹部23は遮光部材20の開口部22の配列方向における略中央に配置されている。
レンズユニット1はマイクロレンズ12の配列方向に長い、長尺な形状であるため、本発明と異なる構成のレンズユニット、すなわち位置決め部13および凹部23を該レンズユニットの一方の端部に配置したレンズユニットの場合、該レンズユニットの他方の端部は、位置決め部13および凹部23から離れているため、素材の膨張または収縮によって、光学特性が変化するほどマイクロレンズ12の光軸と絞りとしての開口部22の位置にずれが生じることが考えられる。
【0030】
しかし、本発明のレンズユニット1においては、位置決め部13および凹部23をレンズユニット1の略中央に配置するようにしたことにより、素材の膨張または収縮によるマイクロレンズ12の光軸と絞りとしての開口部22の位置のずれを小さく抑えることができる。
凸部14はレンズアレイ10のマイクロレンズ12の配列方向に沿った複数の位置に配置され、また突き当て部24は凸部14にと当接するように遮光部材20の開口部22の配列方向に沿った複数の位置に配置されている。
【0031】
また、マイクロレンズ12を千鳥状になるようにジグザグに偶数個の列に配置した場合、2枚のレンズアレイ10のマイクロレンズ12の配列方向のズレ量SHを、レンズアレイ10を他方のレンズアレイ10に対してマイクロレンズ12の配列方向にn×間隔PY/2(nは0以外の整数)とすることにより、一方のレンズアレイ10の各マイクロレンズ12の光軸と他方のレンズアレイ10のマイクロレンズ12の光軸を一致させることができる。
【0032】
なお、マイクロレンズ12が千鳥状に偶数個の列に配置された2枚の略同一形状のレンズアレイ10を対向して配置した場合、レンズアレイ10のマイクロレンズ12のうち、端部の少なくともひとつのマイクロレンズ12は、光軸が一致する他方のレンズアレイ10のマイクロレンズ12が存在しなくなり、使用することができなくなる。
図6は第1の実施例におけるレンズユニットの断面図であり、図5のBBの位置におけるマイクロレンズ12の配列方向と直交する平面による断面図である。
【0033】
図6において、レンズユニット1は、2枚のレンズアレイ10のマイクロレンズ12の光軸AX1が一致し、さらに遮光部材20の開口部22の位置が光軸AX1に一致している。
レンズアレイ10の位置決め部13が遮光部材20の凹部23に挿入されてマイクロレンズ12の配列方向におけるレンズアレイ10と遮光部材20との相対的な位置が定められる。
【0034】
図7は第1の実施例におけるレンズユニットの断面図であり、図5のCCの位置におけるマイクロレンズ12の配列方向と直交する平面による断面図である。
図7において、レンズユニット1は、2枚のレンズアレイ10のマイクロレンズ12の光軸AX1が一致し、さらに遮光部材20の開口部22の位置が光軸AX1に一致している。
【0035】
レンズアレイ10の凸部14が遮光部材20の突き当て部24に突き当てられ、マイクロレンズ12の配列方向および光軸AX1の両方向に直交する方向におけるレンズアレイ10と遮光部材20との相対的な位置が定められる。
図8は、第1の実施例におけるレンズアレイの平面図である。
図8において、レンズアレイ10には、複数のマイクロレンズ12が平行する2列の略直線に交互に、すなわち千鳥状になるようにジグザグに配置され、各列で並ぶそれぞれのマイクロレンズ12の間隔はPY、二つの平行する列、すなわちマイクロレンズ12の配列方向と直交する方向の間隔はPXである。
【0036】
2列のマイクロレンズ12の列と図示しない複数のLED素子30が配置された直線は互いに平行であり、また2列のマイクロレンズ12の列と図示しない複数のLED素子30が配置された直線との距離は等しくなるように構成されている。
それぞれのマイクロレンズ12の半径はRLであり、隣接するマイクロレンズ12の中心間を距離PNとして隣接するマイクロレンズ12にオーバーラップするように配置され、隣接するマイクロレンズ12と接する部分は光軸と平行な平面によって切断された形状となって連結さている。また、レンズアレイ10には、マイクロレンズ12の配列方向と平行にリブ11が形成されている。
【0037】
なお、レンズアレイ10は、LED素子30の光線を透過する素材により形成されている。
本実施例では、レンズアレイ10はシクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製、商品名;ZEONEX(ゼオネックス)(登録商標)E48R)を使用し、射出成型により複数のマイクロレンズ12を一体に成型した。
【0038】
マイクロレンズ12の各曲面(マイクロレンズ12と空気層の境界面)は数式1で表される多項式非球面で構成される。Z(r)は、マイクロレンズ12の光軸に平行な方向を軸とし、半径方向の座標をrとした回転座標系を示し、マイクロレンズ12の各曲面の頂点を原点とし、マイクロレンズ12側の方向を正の数で表し、空気層側の方向を負の数で表す。このとき、半径rはX座標、Y座標の値を用いて、数式2で表される。kはコーニック定数、Cは曲率半径、Aは非球面係数、lとmは正の整数である。
【0039】
【数1】

【0040】
【数2】

図9は、第1の実施例における遮光部材の平面図である。
図9において、遮光部材20には、複数の開口部22が略直線に配列され、また開口部22の配列方向と平行にリブ21が形成されている。
【0041】
遮光部材20は、間隔PYで開口部22が形成され、その開口部22の配列方向と直交する方向に間隔PXで2列に配列されている。この配列間隔はマイクロレンズ12の光軸の間隔に一致する。
また、開口部22は、隣接するマイクロレンズ12に対応してその中心間を距離PNとして形成され、さらにマイクロレンズ12の配列方向と直交する方向に間隔TBが保持されるように形成されている。
【0042】
なお、遮光部材20は、LED素子30の光線を遮光する素材により形成されている。
図10は、第1の実施例における遮光部材の開口部の平面図である。
図10において、開口部22は半径RAの円、および半径RAの円の中心から(間隔PX―間隔TB)/2の位置におけるマイクロレンズ12の配列方向と平行する直線からなる形状である。この開口部22の半径RAの円の中心は、マイクロレンズ22の光軸AX1と一致するように配置されている。
【0043】
本実施例の遮光部材20は、ポリカーボネートを用いて射出成型により作成した。
次にレンズユニット1の詳細を図11の第1の実施例におけるレンズアレイの動作を示す説明図に基づいて説明する。図11はレンズアレイ10を含むレンズユニット1および物体面OPならびに結像面IPの断面図であり、隣接する2つのマイクロレンズ12の光軸AX1を含む平面による断面図、すなわち図8および図9における直線DDの位置における断面図である。
【0044】
図11において、レンズユニット1の物体面OPから距離LOの位置に第1のマイクロレンズ12a、第2のマイクロレンズ12bが第1のマイクロレンズ12aと光軸が一致するように対向し、距離LSを隔てて配置される。レンズユニット1の結像面IPは第2のマイクロレンズ12bから光軸方向に距離LIを隔てた位置である。
第1のマイクロレンズ12aは、厚みがLT1であり、光軸AX1方向に距離LO1の位置にある物体30aの像を中間像30bとして、光軸方向に距離LI1離れた中間像面IMPに形成する。
【0045】
第2のマイクロレンズ12bは、厚みがLT2であり、距離LO2の位置にある中間像面IMP上の中間像30bの結像30cを、光軸AX1方向に距離LI2隔てた位置に形成する。
レンズユニット1の物体面OPから第1のマイクロレンズ12aまでの距離LOは距離LO1と等しく設定され、第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bの間隔LSは、(距離LI1+距離LO2)に設定され、第2のマイクロレンズ12bからレンズユニット1の結像面IPまでの距離LIは距離LI2と等しく設定される。
【0046】
また、第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bを同じ構成のレンズとすることができる。このとき、第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bは、ともに厚さがLT1であり、レンズユニット1の物体面から第1のマイクロレンズ12aまでの距離LOは距離LO1と等しく設定される。
さらに、第1のマイクロレンズ12aの物体面側の曲面と同じ形状の面が第2のマイクロレンズ12bの結像面側の曲面となるように対向して配置され、第2のマイクロレンズ12bから中間像面IMPまでの距離LO2はLI1と等しく設定される。
【0047】
第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bの間隔LSは、(2×距離LI1)に設定され、第2のマイクロレンズ12bからレンズユニット1の結像面までの距離LIは距離LO1と等しく設定され、距離LI=距離LOである。
このようにレンズユニット1は、遮光部材20を挟んで2個のレンズアレイ10は表裏が逆となるように対向して結像面に結像できる間隔で保持されている。遮光部材20を挟んで2個のマイクロレンズ12が光軸を一致させて共役の位置に配置され、正立等倍率の光学系が形成される。このように光軸が一致する2個のマイクロレンズ12からなる光学系は、LED素子30の像を感光体ドラム41の表面に正立等倍率で結像することができる。
【0048】
また、遮光部材20は、レンズアレイ10の間にあって光軸が一致する2個のマイクロレンズからなる光学系に他の光学系から入る迷光(一部の光)を遮断するとともに他の光学系に迷光を出さないように遮断している。
上述した構成の作用について説明する。
まず、プリンタ100の動作を図2に基づいて説明する。
【0049】
プリンタ100の感光体ドラム41表面は、図示しない電源装置により電圧が印加された帯電ローラ42により帯電される。続いて、感光体ドラム41が回転することによって帯電された感光体ドラム41表面がLEDヘッド3の付近に到達するとLEDヘッド3によって露光され、感光体ドラム41表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器5により現像され、感光体ドラム41の表面にトナー像が形成される。
【0050】
一方、給紙カセット60にセットされた用紙101が給紙ローラ61によって給紙カセット60から取り出され、搬送ローラ62、63により、転写ローラ80および転写ベルト81の付近に搬送される。
感光体ドラム41が回転することにより、現像によって得られた感光体ドラム41表面上のトナー像が転写ローラ80および転写ベルト81の付近に到達すると図示しない電源装置により電圧が印加されている転写ローラ80および転写ベルト81によって、感光体ドラム41表面上のトナー像は用紙101上に転写される。
【0051】
続いて、表面にトナー像が形成された用紙101は、転写ベルト81の回転により定着器9へ搬送され、用紙101上のトナー像はその定着器9により加圧されながら加熱されることにより溶解し、用紙101上に固定される。トナー像が固定された用紙101は、搬送ローラ64および排出ローラ65により排出部7に排出されてプリンタ100の動作が終了する。
【0052】
次に、露光装置としてのLEDヘッド3の動作を図4に基づいて説明する。
画像データをもとにプリンタ100の制御部によりLEDヘッド3の制御信号が発信されるとドライバIC31はその制御信号に基づき任意の光量でLED素子30を発光させる。そのLED素子30からの光線はレンズユニット1に入射し、感光体ドラム41上に結像が形成される。
【0053】
次に、レンズユニット1の動作を図11に基づいて説明する。
物体30aとしてのLED素子30の光線は第1のマイクロレンズ12aに入射し、その第1のマイクロレンズ12aによって光軸方向に距離LI1隔てた位置にある中間像面MIP上に中間像30bが形成される。さらに、第2のマイクロレンズ12bによってその中間像30bの像である結像30cが結像面IP上に形成されることにより、物体30aの結像30cが結像面IP上に形成される。このとき、結像30cは物体30aの正立等倍像になっている。
【0054】
第1のマイクロレンズ12aによって形成される中間像30bは物体30aの倒立縮小像であり、結像30cはその中間像30bの第2のマイクロレンズ12bによる倒立拡大像である。
また、第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bとの間では物体面上の各点からの光線の主光線が平行である、いわゆるテレセントリックになっている。
【0055】
このようにしてレンズユニット1はLED素子30の正立等倍像を形成する。
また、LED素子30からの光線は第1のマイクロレンズ12aから射出された後、結像に寄与しない光線は遮光部材20により遮光される。
一方、第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bを同じ構成のレンズとした場合もレンズユニット1は物体30aの正立等倍像を形成する。
【0056】
物体30aとしてのLED素子30の光線は第1のマイクロレンズ12aに入射し、その第1のマイクロレンズ12aによって光軸方向に距離(LS/2)隔てた位置にある中間像面MIP上に中間像30bが形成される。さらに、第2のマイクロレンズ12bによってその中間像30bの像である結像30cが結像面IP上に形成される。このとき、結像30cは物体30aの正立等倍像になっている。
【0057】
また、第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bとの間ではテレセントリックになっている。
このようにして第1のマイクロレンズ12aと第2のマイクロレンズ12bを同じ構成のレンズとした場合もレンズユニット1はLED素子30の正立等倍像を形成する。
本発明のレンズユニット1において、2枚のレンズアレイ10のうち、一方のレンズアレイ10は、他方のレンズアレイ10に対してマイクロレンズ12の配列方向と平行な直線を回転軸として180度回転されて配置されるため、一方のレンズアレイ10の素材特性の分布と他方のレンズアレイ10の素材特性の分布が略一致し、温度や湿度の変化によってレンズアレイ10が収縮または膨張しても、各マイクロレンズ12の光軸は一致する。
【0058】
また、本発明のレンズユニット1においては、位置決め部13および凹部23をレンズユニット1の略中央に配置するようにしたことにより、素材の膨張または収縮によるマイクロレンズ12の光軸と絞りとしての開口部22の位置とのずれを小さく抑えることができる。
さらに、レンズユニット1の動作を図11および図12の第1の実施例におけるレンズユニットの動作を示す説明図に基づいて説明する。
【0059】
図12(a)は第1の実施例におけるレンズユニット1であり、図12(a)においてレンズユニット1の2枚のレンズアレイ10の第1のマイクロレンズ12aおよび第2のマイクロレンズ12bは同一の構成のものである。またレンズアレイ10上の第1のマイクロレンズ12aおよび第2のマイクロレンズ12bの倍率はm1、m2となっている。
ここで、倍率m1、m2は、マイクロレンズ12が形成する中間像の大きさの、物体の大きさに対する比であり、詳述すると図11において第1のマイクロレンズ12aから距離LI1離れた中間像面IMP上に形成される中間像30bの大きさの、第1のマイクロレンズ12aから距離LO1離れた物体面OP上の物体30aの大きさに対する比である。
【0060】
また、m1は、図12で第1のマイクロレンズ12a(第2のマイクロレンズ12b)の配列方向における、一方の端部付近の複数の第1のマイクロレンズ12a(第2のマイクロレンズ12b)の倍率であり、m2は、第1のマイクロレンズ12a(第2のマイクロレンズ12b)の配列方向における、他方の端部付近の複数の第1のマイクロレンズ12a(第2のマイクロレンズ12b)の倍率である。なお、レンズアレイ10は長尺な形状であり、長手方向の各位置でマイクロレンズ12の形状や屈折率などの光学特性が異なるため、倍率m1と倍率m2とは僅かに異なり、m1≠m2となっている。
【0061】
図12(a)において、Saを物体30aの大きさ、Sc1を第1のマイクロレンズ12a(第2のマイクロレンズ12b)の配列方向における、一方の端部付近の複数の第1のマイクロレンズ12a(第2のマイクロレンズ12b)により形成される結像30cの大きさ、Sc2を第1のマイクロレンズ12a(第2のマイクロレンズ12b)の配列方向における、他方の端部付近の複数の第1のマイクロレンズ12a(第2のマイクロレンズ12b)により形成される結像30cの大きさとすると、本実施例の構成のレンズユニット1においては、結像30cの大きさSc1、Sc2は、それぞれSc1=Sa×m1/m1=Sa、Sc2=Sa×m2/m2=Saとなる。
【0062】
一方、図12(b)は、一方のレンズアレイ10が他方のレンズアレイ10に対してレンズ素子の配列方向と直交する直線を回転軸として180度回転されて配置されているレンズユニット1を示している。この場合、結像30cの大きさSc1、Sc2は、それぞれSc1=Sa×m1/m2≠Sa、Sc2=Sa×m2/m1≠Saとなり、正立等倍像を形成することができない。
【0063】
このため、一方のレンズアレイ10が他方のレンズアレイ10に対してレンズ素子の配列方向と直交する直線を回転軸として180度回転されて配置されているレンズユニット1の場合、倍率m1=m2となるように長手方向の各位置でのマイクロレンズ12の形状や屈折率などの光学特性の精度を厳密に管理しなければならない。
本実施例では、長手方向の各位置でのマイクロレンズ12の形状や屈折率などの光学特性の精度を緩和することができる。
【0064】
本実施例のレンズアレイ10を用いたLEDヘッド3について、結像の解像度を示すMTF(Modulation Transfer Function:振幅伝達関数)の測定をしたところ80%以上の値を測定した。
ここで、MTFとは、露光装置の解像度を示し、露光装置中で点灯しているLED素子30の結像のコントラストを示す。100%が結像のコントラストが最も大きく、露光装置としての解像度が高いことを示し、小さいほど光量のコントラストは小さく、露光装置の解像度は低い。
【0065】
MTF(%)は、結像の光量の最大値をEMAX、隣り合う2つの結像の間の光量の最小値をEMINとしたとき、
MTF=(EMAX−EMIN)/(EMAX+EMIN)×100(%)
のように定義される。
このMTFの測定においては、LEDヘッド3のレンズユニット1の結像面IMP上、第2のマイクロレンズ12bの結像面側レンズの頂点から距離LI(mm)離れた位置の結像を顕微鏡デジタルカメラにより撮影し、撮影画像よりLED素子30の結像の光量分布を解析し、このMTFを算出した。
【0066】
また、MTFの測定においては、LED素子30の配列間隔PD=0.0423mmであるLEDヘッド3を用いた。
さらに、MTFの値と画像形成装置の画像品質について説明する。
本来、画像形成装置が形成する画像でトナーが乗らない部分は、静電潜像においては電位が十分に高くなければならない。また、LEDヘッドで形成される結像は暗くなければならない。ところが、MTFの値が小さいとLEDヘッドで形成される結像において、暗くなければならない部分にも光線が入射してしまう。
【0067】
光線が入射してしまうと静電潜像においては電位が十分に高くなければならないところの電位が下がってしまい、本来、画像形成装置の画像でトナーが乗らない部分にトナーが付着してしまう。
画像形成装置の画像でトナーが乗らない部分は、本来、用紙の色である白色によって画像が構成されるが、トナーが付着してしまった部分は、トナーの色が混ざって見えるため、画像形成装置の画像品質が低下する。
【0068】
様々な評価を重ねた結果、MTFが80%以上のとき、画像形成装置の画像は筋や濃淡斑のない良好な画像となった。
次に、カラーLEDプリンタを用いて本実施例のレンズユニットを実装した画像形成装置の画像を評価したところ、筋や濃淡斑のない良好な画像が得られた。画像形成装置の画像の評価は、印刷領域全面に図13に示した全画素のうち1つおきにドットを形成する画像を形成し、画像品質の良否を評価した。図13において、301はトナーが乗っているドット、302はトナーが乗っていないドットを示している。
【0069】
なお、本実施例では、マイクロレンズ12は回転対称高次非球面で構成したが、これに限られることなく、球面を形成するようにしてもよい。また、アナモフィック非球面、放物面、楕円面、双曲面、コーニック面等の曲面を形成してもよい。
また、レンズアレイ10は一般射出成型により作成したが、圧縮射出成型等の成型法でもよい。さらに、レンズアレイ10の素材は樹脂を用いているがガラスを用いてもよい。
【0070】
また、遮光部材20はポリカーボネートを用いて射出成型により作成したが、これに限られることなく、切削加工により作成してもよく、また金属をエッチングするなどして作成してもよい。
また、発光部としてLED素子30を複数配置したLEDアレイを用いたが、例えば有機ELを発光部にしてもよく、半導体レーザーを用いてもよく、さらには蛍光灯やハロゲンランプ等の発光部に液晶素子で構成されたシャッタを併用した露光装置でもよい。
【0071】
以上説明したように、第1の実施例では、レンズユニットの2枚のレンズアレイのうち、一方のレンズアレイを他方のレンズアレイに対してマイクロレンズの配列方向と平行な直線を回転軸として180度回転させて配置することにより、一方のレンズアレイの素材特性の分布と他方のレンズアレイの素材特性の分布が略一致し、レンズアレイの収縮または膨張による形状の差を抑制することができ、解像度の低下を防止することができるという効果が得られる。
【0072】
また、レンズアレイの位置決め部および遮光部材の凹部をレンズユニットの略中央に配置するようにしたことにより、素材の膨張または収縮によるマイクロレンズの光軸と絞りとしての開口部の位置とのずれを小さく抑えることができ、解像度の低下を防止することができるという効果が得られる。
その結果、露光装置の結像の良好なコントラストが得られ、画像形成装置で鮮明な画像を得ることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0073】
第1の実施例では、本発明によるレンズユニットを画像形成装置としてのプリンタに適用したものとして説明したが、第2の実施例では読取装置に適用した例を説明する。
第2の実施例の構成を図14の第2の実施例における読取装置の構成を示す概略図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
図14において、500は、原稿を読取って画像データとしての電子データを生成する読取装置としてのスキャナである。
スキャナ500は、読取ヘッド400、ランプ501、原稿台502、レール503、駆動ベルト505、モータ506等で構成されている。
読取ヘッド400は、照明装置としてのランプ501により照射され、原稿の表面で反射した光線を取り込み電子データに変換するものである。ランプ501は、照射した光が原稿の表面で反射し、読取ヘッド400内に取り込まれるように配置されている。
【0075】
原稿台502は、電子データが生成される原稿507を載置するものであり、可視光線を透過する素材で形成されている。
レール503は、原稿台502の下方に配置され、読取ヘッド400を移動可能にするものであり、読取ヘッド400は、その一部が複数の滑車504により張架された駆動ベルト505に接続され、モータ506で駆動された駆動ベルト505によりレール503上を移動可能に構成されている。
【0076】
次に、読取ヘッド400の構成を図15の第2の実施例における読取装置の読取りヘッドの構成を示す概略図に基づいて説明する。
図15において、読取ヘッド400は、レンズユニット1、ラインセンサ401およびミラー402で構成されている。
ミラー402は、原稿503で反射された光線の光路を折り曲げてその光線をレンズユニット1に入射させるものである。
【0077】
ラインセンサ401は、複数の受光素子が間隔PRで直線に配置されており、レンズユニット1により形成された原稿画像の結像を電気信号に変換するものである。
また、図16は本実施例の読取ヘッド400の構成および物体面OP(原稿507)と結像面IPとの位置関係を示している。なお、本実施例のレンズユニット1の構成は第1の実施例と同様である。
【0078】
なお、本実施例では、ラインセンサ401は600dpiの解像度であり、受光素子が1インチ当たり600個配置されている。すなわち、受光素子の間隔PRは0.0423mmである。
上述した構成の作用について説明する。
まず、読取装置の動作を図14に基づいて説明する。
【0079】
ランプ501が点灯し、原稿507の表面を照射することにより、原稿507の表面で反射した光線が読取ヘッド400内に取り込まれる。モータ506により、駆動ベルト505が駆動して読取ヘッド400とランプ501が図14における左右方向に移動し、読取ヘッド400は原稿507の全面から反射した光線を取り込む。
次に、読取ヘッド400の動作を図15に基づいて説明する。
【0080】
原稿507で反射された光線は、原稿台502を透過し、ミラー402で光路が折り曲げられ、レンズユニット1に入射する。レンズユニット1により結像された原稿画像の結像はラインセンサ401上に形成され、ラインセンサ401は形成された原稿画像の結像を電気信号に変換して電子データを生成する。
本実施例による読取装置を用いて原稿から画像データを形成したところ、原稿と同一の良好な画像データが得られた。なお、本実施例の読取装置を用いて読取った原稿は、図13で示すようにドットの間隔PD=0.0423mm、解像度600dpiとしたものである。つまり、間隔PD=0.0423mm、解像度600dpiの全ドットのうち、1つおきにドットを形成した画像を媒体上の印字領域全面に形成した原稿を用いた。
【0081】
なお、本実施例においては、原稿画像を電子データに変換する読取装置としてスキャナを例に説明したが、光学的信号を電気信号に変換するセンサやスイッチ、およびそれらを用いた入出力装置、生体認証装置、通信装置、寸法測定器等であってもよい。
以上説明したように、第2の実施例では、読取装置においても第1の実施例と同様の効果が得られ、原稿と同一の画像データを読取ることができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0082】
1 レンズユニット
3 LEDヘッド
5 現像器
7 排出部
9 定着器
10 レンズアレイ
11 リブ
12 マイクロレンズ
13 位置決め部
14 凸部
20 遮光部材
21 リブ
22 開口部
23 凹部
24 突き当て部
30 LED素子
31 ドライバIC
32 ワイヤ
33 配線基板
34 ホルダ
41 感光体ドラム
42 帯電ローラ
43 クリーニングブレード
51 トナーカートリッジ
60 給紙カセット
61 給紙ローラ
62、63、64 搬送ローラ
65 排出ローラ
80 転写ローラ
81 転写ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズ素子が光軸に対して略直交する方向に延在する列を形成するように配列されたレンズアレイにおいて、
前記レンズ素子が配列された方向の略中央に、遮光部材に係合する位置決め部を配置したことを特徴とするレンズアレイ。
【請求項2】
請求項1のレンズアレイにおいて、
前記レンズ素子は、一体に形成されていることを特徴とするレンズアレイ。
【請求項3】
請求項1または請求項2のレンズアレイを用いたLEDヘッド。
【請求項4】
請求項1または請求項2のレンズアレイを用いた露光装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2のレンズアレイを用いた画像形成装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2のレンズアレイを用いた読取装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2のレンズアレイと、複数の絞りが配列された遮光部材からなるレンズユニットであって、
複数の前記レンズアレイを、それぞれの前記レンズ素子の光軸が一致するように配置し、
前記レンズアレイ間に、それぞれの前記絞りが、それぞれの前記レンズ素子の光軸が通過するように前記光軸に対して略直交する方向に延在する列を形成した前記遮光部材を配置したことを特徴とするレンズユニット。
【請求項8】
複数のレンズ素子が光軸に対して略直交する方向に延在する列を形成するように配列されたレンズアレイと、前記光軸が通過する複数の絞りが前記光軸に対して略直交する方向に延在するように配列された遮光部材とを有するレンズユニットにおいて、
略同一形状の複数の前記レンズアレイを、それぞれの前記レンズ素子の光軸が一致するように対向させて配置し、
一の前記レンズアレイを、他の前記レンズアレイに対し、前記レンズ素子の配列方向に平行な直線を回転軸として回転した位置に配置したことを特徴とするレンズユニット。
【請求項9】
請求項8のレンズユニットにおいて、
前記レンズアレイは、一体に形成されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項10】
請求項8または請求項9のレンズユニットにおいて、
前記レンズアレイは、ふたつのレンズアレイであることを特徴とするレンズユニット。
【請求項11】
請求項8、請求項9または請求項10のレンズユニットにおいて、
前記レンズ素子は、前記レンズ素子の光軸に直交する方向に、複数個の列を形成するように千鳥状に配列され、
前記レンズ素子の各列内の配列間隔をPY、nを0以外の整数としたとき、一の前記レンズユニットを、他の前記レンズユニットに対し、前記レンズ素子の配列方向と平行にn×PY/2ずらして配置したことを特徴とするレンズユニット。
【請求項12】
複数のレンズ素子が千鳥状に配列されている複数のレンズアレイを有し、一方の前記レンズアレイを反転させ、それぞれの前記レンズ素子の光軸が略一致するように配置された少なくともふたつのレンズアレイを有するレンズユニットにおいて、
一の前記レンズユニットを、他の前記レンズユニットに対し、前記レンズ素子の配列方向と平行にずらして配置し、前記レンズ素子のうち、少なくともひとつのレンズ素子が不使用となるように配置したことを特徴とするレンズユニット。
【請求項13】
請求項12のレンズユニットにおいて、
前記ふたつのレンズアレイは、共通した形状を有することを特徴とするレンズユニット。
【請求項14】
請求項7から請求項13のいずれか1項のレンズユニットを用いたLEDヘッド。
【請求項15】
請求項7から請求項13のいずれか1項のレンズユニットを用いた露光装置。
【請求項16】
請求項7から請求項13のいずれか1項のレンズユニットを用いた画像形成装置。
【請求項17】
請求項7から請求項13のいずれか1項のレンズユニットを用いた読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−164717(P2010−164717A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6163(P2009−6163)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】