説明

レーザーエネルギーによって半導体材料の表面を照射するための方法及び装置

本発明は半導体材料を照射するための方法に関し:半導体材料層の表面領域をレーザー照射パラメータを有する第1のレーザーで、領域の少なくとも一部を融解するように照射するステップと;照射パラメータを構成することによって照射プロセスを制御するステップと;を具え、本方法は更に、融解した領域部分の深度を定量するステップを具える点で特徴づけられている。更に、本発明は半導体材料を照射するための装置に関し:半導体材料層の表面領域を、領域の少なくとも一部を融解するように照射するための第1のレーザーであって、当該レーザーがレーザー照射パラメータを有する第1のレーザーと;レーザー照射パラメータを構成することによって照射プロセスを制御するためのコントローラと;を具え、本装置は更に、融解した領域部分の深度を定量する手段を具える点で特徴づけられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザーによって半導体材料の表面を照射する方法に関する。更に、本発明は半導体材料の表面を照射するためのレーザー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料の表面のレーザー照射は、アモルファスシリコンの熱アニーリングといった、再結晶化及び/又はドーパントの活性化を得る用途で既知である。この技術は加熱処理を非常に迅速にし、加熱領域の深度を浅くできることで、従来の加熱プロセスを超える顕著な利点を提供する。
【0003】
レーザー照射処理の一般的な問題は、高精度での制御が、処理すべき半導体材料における変化、レーザービームエネルギーにおける変化、散乱等といった多数の可変パラメータに依存するため、非常に困難であることである。例えば、いくつかの従来のレーザー照射処理において、レーザーの出力エネルギーは制御されるが、結果的には、この制御型はレーザーと処理すべき半導体材料の表面との間のエネルギーの損失、半導体材料自体における変化、及びレーザーパルスの形状における変化を担わない。この変化によって、処理した異なる表面領域間で不均一性が生じ、電子デバイスの性能が不均一となり、かつ信頼性がなくなる。
【0004】
上述の問題を解決するために、レーザー照射方法が示されており、そのプロセスは半導体材料の表面のレベルでモニタリングされている。例えば、米国特許出願公開第2004/0023418号はアニーリング方法について示しており、処理すべき材料表面でのレーザープレパルスの反射性は測定され、フィードバック回路に入力されて照射源の振幅を制御している。
【0005】
上述のプレパルスのモニタリングの自明な欠点は、照射プロセスの実時間制御ほど有効ではないことである。更には、プレパルスは時間浪費性があり、結果として対費用効果が低くなる。
【0006】
他の実施例はレーザー照射方法であり、材料表面の温度はリアルタイムでモニタリングされている。
【0007】
温度モニタリングの欠点は、1ミリ秒未満のレーザーパルスを用いた照射プロセスの場合に、満足するように精度を得ることがこの技術では非常に難しいことである。
【0008】
後者の困難性を解消するために、米国特許出願公開第2005/0199596号はレーザー結晶化装置について示しており、融解及び結晶化によって数百ナノ秒以下の範囲の期間で、処理した材料領域によって反射される光を観察することによって、実時間でモニタリングされている。処理した領域の反射性の変化は拡大及びイメージングされ、フィードバックするのに用いることができる。
【0009】
上述の方法の自明な欠点は、レーザー照射処理は画像を通して観察及び測定され、マイクロ秒又はナノ秒程度の時間分解測定は不可能である。
【0010】
最先端技術における更なる問題は、レーザー照射処理で用いられるビームの直径寸法は非常に小さく、ひいては探索するのが困難であることである。
【0011】
上述のレーザー照射処理の欠点を考慮して、半導体材料の表面のレベルで実時間モニタリングを精密にするレーザー照射方法及び装置を提供し、処理した異なる表面領域間で均一性が生じ、電子デバイスの性能において均一性及び信頼性が生じるようにすることが本発明の最初の目的である。
【0012】
対費用効果が高く、時間消費がわずかなレーザー照射方法及び装置を提供することが本発明の更なる目的である。
【0013】
本発明の別の目的は、非常に短いレーザーパルス照射の場合における実時間モニタリングに適したレーザー照射方法及び装置を提供することである。
【0014】
フィードバック回路におけるモニタリング結果を容易に用いるのに適したレーザー照射方法及び装置を提供して、照射プロセスの安定性を有効にすることが更なる本発明の目的である。
【0015】
本発明は、半導体層の領域の融解深度を定量することで上述の目的に合致させる。
【発明の概要】
【0016】
本発明は半導体材料を照射するための方法に関し:
半導体材料層の表面領域をレーザー照射パラメータを有する第1のレーザーで、領域の少なくとも一部を融解するように照射するステップと;
照射パラメータを構成することによって照射プロセスを制御するステップと;
を具え、本方法は更に、融解した領域部分の深度を定量するステップを具える点で特徴づけられている。
【0017】
更に、本発明は半導体材料を照射するための装置に関し:
半導体層の表面領域を、領域の少なくとも一部を融解するように照射するための第1のレーザーであって、当該レーザーがレーザー照射パラメータを有する第1のレーザーと;
レーザー照射パラメータを構成することによって照射プロセスを制御するためのコントローラと;
を具え、本装置は更に、融解した領域部分の深度を定量する手段を具える点で特徴づけられている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明による方法のある実施形態を例示する。
【図2A】図2Aは、本発明による方法の好適な実施形態を例示する。
【図2B】図2Bは、本発明による方法の別の好適な実施形態を例示する。
【図3】図3は、融解時間と融解した領域部分の深度との間の関係を例示する。
【図4】図4は、本発明による装置のある実施形態を例示する。
【図5】図5は、本発明による装置の更なる実施形態を例示する。
【図6】図6は、エネルギー密度の関数としての融解時間のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
当該技術分野の当業者は、以下に記載の実施形態が本発明の単なる例示であり、本発明の目的とする範囲を限定しないことを理解するであろう。他の実施形態を更に考慮してもよい。
【0020】
本発明の最初の実施形態によると、半導体材料を照射するための方法が提供され:
半導体材料層の表面領域をレーザー照射パラメータを有する第1のレーザーで、領域の少なくとも一部を融解するように照射するステップと;
照射パラメータを構成することによって照射プロセスを制御するステップと;
を具え、本方法は更に、融解した領域部分の深度を定量するステップを具える点で特徴づけられている。
【0021】
融解した領域部分の深度を定量することによって、レーザー照射処理は半導体材料の表面のレベルで、実時間において正確にモニタリングされ、処理した異なる表面領域間で均一性が生じ、電子デバイスの性能において均一性が生じうる。
【0022】
半導体材料層は限定しないが、非ドープシリコン、ドープシリコン、埋込シリコン(implanted silicon)、結晶シリコン、アモルファスシリコン、シリコンゲルマニウム、窒化ゲルマニウム、窒化ガリウムといったIII−V族の化合物半導体、及び炭化ケイ素等といった半導体用途に好適な任意の材料にできる。
【0023】
本発明によると、レーザー照射方法が提供されており、照射プロセスは定量し融解した領域部分の深度を標的の深度と比較することにより照射パラメータを構成することによって制御してもよい。標的の深度は経験的に、あるいは要求されるデバイス性能に基づいてモデリングすることによって定量してもよい。
【0024】
図1に示したように、定量し融解した領域部分の深度を標的の深度と比較することによって、モニタリング結果をフィードバック回路で容易に用いて、照射プロセスの安定性が有効となる。更に、安定性が有効になることによって、プロセスの均一性、対費用効果、及び時間浪費の点で改善したレーザー照射処理が生じうる。
【0025】
第1のレーザーは、照射した領域が融解しうるような波長、出力エネルギー、及びパルス持続時間となる任意のパルスレーザーにできる。このようなレーザーは例えば、塩化キセノン(Xenon−Chloride)エキシマーレーザーであってもよい。第1のレーザーのレーザー照射パラメータは材料を融解し、かつ要求されたエネルギー密度を得るように構成される。第1のレーザーのエネルギーは一般的には直径寸法が約4cmで約10ジュール(J)であり、約2.5J/cmとなる。第1のレーザーのパルス持続時間は一般的には、融解を実現するために温度勾配上昇が高速であるが、爆発的な沸騰による所望されない欠陥発生を抑制する程度に緩速であることを解決しうる約100nsないし約200nsの範囲にできる。
【0026】
レーザの出力エネルギーを調節することによって、レーザー照射パラメータを構成してもよい。例えば、第1のレーザーがエキシマーレーザーである場合、ガス放電で印加される電圧は変化しうる。
【0027】
レーザー照射パラメータを構成することによって、融解した領域部分の深度が影響を受け、これによって再凝固後のその領域部分の品質に直接的に影響を与える。例えば、レーザー照射パラメータを構成することによって、再凝固した領域部分における結晶の大きさ及び欠陥の数は制御できる。
【0028】
本発明によると、融解した領域部分の深度を定量するステップは照射中の照射した表面の融解時間を測定するステップを具えてもよい。本発明の状況においては、融解時間は融解段階の期間、すなわち照射した領域部分が融解する間の期間として規定される。融解段階の期間は照射した領域の少なくとも一部が再凝固ではなく融解している場合に、屈折率の変化を測定することによって定量してもよい。
【0029】
図2A及び2Bは本発明による2の方法がフィードバック回路を具えることを例示し、融解した領域部分の深度は照射中の照射した表面の融解時間によって定量される。
【0030】
図2Aはフィードバックループについて示し、融解した領域部分の融解深度と標的の深度との差異は第1のレーザーの電圧を印加するための入力として用いられる。第1のレーザーエネルギーが規格外である場合、プロセス又は装置性能における重度の逸脱を示す警告が生成される。
【0031】
図2Bはフィードバックループについて示し、第1のレーザーパルスエネルギーは第1のレーザーの電圧を印加することによって制御される。融解した領域部分の融解深度と標的の深度との差異はそれが規格外である場合に、プロセス又は装置性能における重度の逸脱を示す警告を生成するための入力として用いられる。
【0032】
本発明による更なる方法においては、フィードフォワード制御を行うステップを用いてもよく、処理全体で融解した領域部分の深度が所望の数値又は一連の所望の数値に制御できるように、照射すべき表面領域の総ての処理の前に、第1のレーザーの電圧及びパルス持続時間の関数として定量及び評価される。
【0033】
融解した領域部分の深度は、融解時間と半導体層の表面領域及び第1のレーザーの既知の特性とに基づいて定量される。従って、融解時間、第1のレーザーのパルス形状、ならびに半導体層の表面領域の光学特性及び熱的特性は熱的モデルツールに入力されて、融解深度を定量できる。これは実時間の計算によって、あるいは図3に例示するように、融解時間を融解深度と関連づけ、処理前に規定されるルックアップ表を用いることによってのいずれかでなされうる。
【0034】
融解時間を測定することによって融解した領域部分の深度を定量する代わりとして、融解した領域部分の深度は時間分解式の干渉法又は楕円偏光法を同様に用いることによって定量してもよい。
【0035】
本発明による好適な実施形態においては、半導体材料を照射するための方法が提供され、照射した表面の屈折率の変化を測定するステップは、照射中の照射した表面の反射率を測定するステップを具えてもよく、あるいは偏光解析測定を具えてもよい。反射率を測定するステップは反射強度測定を具えてもよい。
【0036】
反射測定で融解した領域部分の深度を定量することによって、レーザー照射方法は非常に短いレーザーパルスの照射の場合であっても、実時間モニタリングに用いることができる。
【0037】
本発明によると、ある実施形態が提供され、反射率を測定するステップは、照射した表面で第1のレーザーからの反射を検出するステップを具えることができる。照射した表面領域で反射した第1のレーザー由来の照射部分を測定するために、表面に対する第1のレーザーの入射角は0にすべきではない。反射検出器はこの反射をモニタリングできるように配置できる。反射率の変化は、第1のレーザーの反射ビーム及び入射ビームの正規化信号を減算することによって測定できる。
【0038】
本発明による代替的な実施形態においては、反射率を測定するステップは、照射した表面で第2のレーザーからの反射を検出するステップを具えることができる。第2のレーザーは照射した領域部分が固体状態から融解状態及びその逆に変化する場合に、反射率が有意に変化するような波長の任意の連続レーザーにできる。好適には、第2のレーザーは赤色領域の可視スペクトルで放射する連続レーザー、例えば赤色で放射する連続レーザーダイオードであってもよい。第2のレーザーは、第1のレーザーで照射された、照射した領域内の表面でそのビームが反射するように、処理すべき表面の方向に誘導される。
【0039】
反射測定の信号対雑音を改善するために、連続した反射検出を融解時間を定量するために実施かつ使用してもよい。
【0040】
本発明による別の実施形態は半導体材料を照射するための方法を提供しており、照射プロセスを制御するステップは第1のレーザーのパルス形状を検出するステップを具えている。
【0041】
更に本発明によると、半導体材料を照射するための装置が提供され:
半導体層の表面領域を、領域の少なくとも一部を融解するように照射するための第1のレーザーであって、当該レーザーがレーザー照射パラメータを有する第1のレーザーと;
レーザー照射パラメータを構成することによって照射プロセスを制御するためのコントローラと;
を具え、本装置は更に、融解した領域部分の深度を定量する手段を具える点で特徴づけられている。
【0042】
本発明による、ある実施形態においては、半導体材料を照射するための装置が提供されており、定量し融解した領域部分の深度を標的の深度と比較することにより、照射パラメータを構成することによって、コントローラは照射プロセスを制御するように構成できる。
【0043】
本発明によると、融解した領域部分の深度を定量する手段は、照射中の照射した表面の融解時間を測定するための手段を具える。融解時間を測定するための手段は、照射中の照射した表面の屈折率の変化を測定するための手段を具えてもよい。
【0044】
融解時間を測定するための手段の代わりとして、時間分解式の干渉法又は楕円偏光法を同様に用いてもよい。
【0045】
本発明による好適な実施形態においては、照射した表面の屈折率の変化を測定するための手段は、照射中の照射した表面の反射率を測定するための手段、又は偏光解析測定を行うように構成される手段を具えてもよい。反射率を測定するための手段は、反射強度の測定を行うように構成してもよい。
【0046】
更に、本発明により、かつ、図4に例示したように、半導体材料を照射するための装置(e)が提供されており、照射した表面の反射率を測定するための手段(d)は反射検出器(c)を具えてもよい。反射検出器は例えばシリコンフォトダイオードであってもよく、第1のレーザーの反射ビーム(a)又は上述のような第2のレーザー(b)をモニタリングするように配置される。
【0047】
本発明による更なる実施形態においては、照射した表面の反射率を測定するための手段は、第2のレーザーのアレイと反射検出器のアレイとを具えてもよい。このような第2のレーザーのアレイ及び反射検出器のアレイは融解深度の均一性に関する情報を提供でき、あるいは、例えばアモルファスシリコンを再結晶化する際に通常生じるように、別個の融解帯域が半導体材料において同時に、かつ異なる深度で拡がる場合に、融解深度をより確実に分析するのを補助しうる。
【0048】
本発明による別の実施形態において、かつ、図5に例示するように、半導体材料を照射するための装置が提供されており、コントローラは第1のレーザーのパルス形状(a)を測定するためのパルス形状検出器(g)を具えてもよい。パルス形状検出器は例えばシリコンフォトダイオードであってもよい。パルス形状の測定は、第1のレーザーによるビームを照射すべき表面領域(d)に誘導するミラーのうちの1つ(f)を通る光の漏出を検出することによってなされうる。
【0049】
更に本発明による別の実施形態においては、コントローラは第1のレーザーを減衰するための可変減衰器を具えてもよい。このような可変減衰器は、照射した表面領域に入射するビームエネルギーを変化させるように第1のレーザービームに対する角度が調節できる光学プレートで形成してもよい。
【0050】
本方法及び装置は、基板及びデバイスといった半導体材料を生成するのに用いられうる。本方法及び装置は、例えば:
アモルファス半導体材料の再結晶化;
埋込等によって生じる結晶の損傷又は欠陥の修復;
ドーパントの活性化:実施例1参照;
制御した二重埋込の活性化:実施例2参照;
適合しない半導体材料の検出:同一の照射パラメータを維持する間の融解時間又は融解深度のシフトが、半導体層の材料又は材料の品質のシフトを示しうる;
レーザーアニーリングステップの前の適合しないプロセスの検出:融解時間のシフト又は融解深度のシフトがレーザーアニーリングの前のプロセスの品質を制御するのを補助しうる、レーザー照射中の受動的なモニタリングとして用いられうる;
に応用できる。例えば、酸化層又は別の層が融解すべき表面の上面にあり、融解深度を同一に維持する間に融解時間がシフトする傾向にある場合、前記層の均一性を制御でき、所望の場合に警告が得られうる。
【実施例1】
【0051】
〈融解時間の定量〉
処理レーザーは高エネルギーの塩化キセノンエキシマーレーザーであり、308nmで放射する。照射した領域は面積が2ないし4cmの矩形であり、照射した領域のエネルギー密度は2ないし6J/cmである。それらのパラメータはウェハ上の照射した領域の融解を得るために選択される。
【0052】
632nmの赤色領域のスペクトルで連続的に放射するレーザーダイオードである診断用レーザは、計画して照射した領域内の位置のウェハに誘導される。ウェハ表面から外へのレーザビームの反射は検出器、例えばシリコンフォトダイオードによって捕捉される。
【0053】
処理レーザがウェハに照射された場合に、検出器からの信号はデータ収集カード(オシロスコープ又は等価物)によってディジタル化され、ディジタル化信号は制御システムで読み出される。シリコンの反射率の変化のため、信号はシリコンが融解する場合に増加し、凝固する場合に減少する。制御システムは、ディジタル化信号の「半波高全幅値」として融解時間を計算する。計算した融解時間は制御システムによって記録され、レーザーの発射ごとにユーザに利用可能となる。
【0054】
〈プロセスの最適化〉
最初のステップはユーザが要求する処理性能に対応する融解深度を確立することである。これは、埋込型の試験ウェハを照射する一方で、レーザーエネルギー密度を変化させ、融解時間をモニタリングすることによってなされうる。結果として、融解時間は、図6に例示するようにエネルギー密度の関数としてプロットできる。
【0055】
試験ウェハの照射後に、所望の出力、通常は表面抵抗率が測定され、ユーザは標的の融解深度及び標的のエネルギーに対応する所望の動作点を同定できる。別の推定される所望の出力はドーパント拡散であり、融解深度の範囲に正確に従っており、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy:2次イオン質量分析)によって測定できる。
【0056】
〈プロセスのモニタリング及び制御〉
レーザ設備の長時間の動作中に、処理レーザーの出力エネルギーは、ガス放電に送達される電圧を調節することによって標的のエネルギーに等しく維持される。融解時間は制御システムによって記録され、複数の発射にわたってモニタリング及び平均化されて、その変動を最小化する。測定した融解深度とプロセスの最適化中に確立される標的の数値との間の差異が所定の閾値(例えば±5%)よりも大きい場合、制御システムはプロセスの再最適化を始動できる警告を生成する。
【実施例2】
【0057】
一部の用途については、2種のドーパントが別個の深度でシリコンに埋込まれる。典型例は、ホウ素が表面近くに埋込まれてコレクター層pを生成し、かつ、リンが深く埋込まれてn+バッファ層を形成するIGBTデバイス(Insulated−gate bipolar transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)である。
【0058】
本発明は、液体/固体の界面が2の埋込種の間の遷移部にあるように融解深度を制御することが可能であるため、同一のレーザの発射による双方の種の活性の制御が可能となる。
【0059】
この場合においては、ホウ素層は液相でアニーリングされ、要求される高活性を提供する。材料の深部への熱拡散のために、同一のレーザーパルスで、リン層もアニーリングされるが固相に維持される。ホウ素とリンとの界面での融解深度を制御することによって、液体シリコンにおける高い拡散係数のために液相で生じる2の種の混合を実際に回避することは重要である。
【0060】
液相で、シリコンにおける高いドーパントの拡散によって1のレーザーの発射で完全に活性化できる一方、固相での活性化は「熱的な供給」(すなわち、特定の温度での特定の時間)を要求する累積的プロセスであることは既知である。従って、活性化すべきリン原子の密度に依存して、同一の領域に複数の発射を印加する一方、2のドーパント間の界面で融解深度を常に制御することは有効となりうる。この場合においては、リン(固相)における活性は各レーザーの発射によって増加する一方、ホウ素の活性は単一の発射後に得られるレベルで維持される。当業者は更に:融解深度が2のドーパント種の間の界面であるようなエネルギーでの1のレーザーの発射と;リンの活性化を完了させるための融解閾値未満のエネルギーでの更なるレーザーの発射と;を組合わせることを考えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料を照射するための方法であって:
半導体材料層の表面領域をレーザー照射パラメータを有する第1のレーザーで、該領域の少なくとも一部を融解するように照射するステップと;
該照射パラメータを構成することによって照射プロセスを制御するステップと;
を具え、前記方法が該融解した領域部分の深度を定量するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体材料を照射するための方法において、前記照射プロセスが、定量した前記融解した領域部分の深度を標的の深度と比較することにより、前記照射パラメータを構成することによって制御されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体材料を照射するための方法において、前記融解した領域部分の深度を定量するステップが、照射中の前記融解した領域部分の融解時間を測定するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体材料を照射するための方法において、前記融解した領域部分の融解時間を測定するステップが、照射中の該照射した表面の屈折率の変化を測定するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体材料を照射するための方法において、前記融解した領域部分の融解時間を測定するステップが、照射中の前記照射した表面の反射率を測定するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体材料を照射するための方法において、前記反射率を測定するステップが、前記照射した表面での前記第1のレーザーから反射を検出するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5に記載の半導体材料を照射するための方法において、前記反射率を測定するステップが、前記照射した表面での第2のレーザーから反射を検出するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項8】
半導体材料を照射するための装置であって:
半導体層の表面領域を、該領域の少なくとも一部を融解するように照射するための第1のレーザーであって、当該レーザーがレーザー照射パラメータを有する第1のレーザーと;
前記レーザー照射パラメータを構成することによって照射プロセスを制御するためのコントローラと;
を具え、前記装置が該融解した領域部分の深度を定量する手段を更に具えることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体材料を照射するための装置において、前記コントローラが、定量した前記融解した領域部分の深度を標的の深度と比較することにより、前記照射パラメータを構成することによって前記照射プロセスを制御するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の半導体材料を照射するための装置において、前記融解した領域部分の深度を定量する手段が、照射中の前記融解した領域部分の融解時間を測定する手段を具えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体材料を照射するための装置において、前記融解した領域部分の融解時間を測定する手段が、照射中の該照射した表面の屈折率の変化を測定する手段を具えることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体材料を照射するための装置において、前記融解した領域部分の融解時間を測定する手段が、照射中の前記照射した表面の反射率を測定する手段を具えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体材料を照射するための装置において、前記照射した表面の反射率を測定する手段が、第2のレーザーを具えることを特徴とする装置。
【請求項14】
半導体材料を生成するための請求項8ないし13に記載の装置の使用。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−516041(P2012−516041A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546610(P2011−546610)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009180
【国際公開番号】WO2010/083867
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(511177444)エクシコ フランス (4)
【氏名又は名称原語表記】EXCICO FRANCE
【Fターム(参考)】