説明

レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物及びその複合成形品

【課題】機械的強度が良好で、レーザー溶着特性に優れ、環境保全に配慮されたレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(a)と脂肪族ポリエステル共重合体(b)からなる樹脂成分(A)100重量部に対して、強化充填材(B)0〜100重量部を配合してなる樹脂組成物であって、該脂肪族ポリエステル共重合体(b)が、脂肪族オキシカルボン酸単位0〜20モル%、脂肪族又は脂環式ジオール単位40〜50モル%及び脂肪族ジカルボン酸単位40〜50モル%から成ることを特徴とするレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物に関する。詳しくは、レーザー光透過性に優れレーザー溶着により大きな接着強度が得られ、さらに、成形品の廃棄時の環境保全に配慮された熱可塑性樹脂組成物、レーザー溶着法により溶着された複合成形品及び複合成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、電子・電気機器分野の機構部品や構造部品は、近年、金属製に代わって軽量化可能な樹脂製部品が使われるようになってきた。これらの部品に使用される樹脂としては、不良品のリサイクルが容易という点で、熱可塑性樹脂が広く使用されるようになってきた。これら熱可塑性樹脂の中でも、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等のエンジニアリングプラスチックは、機械的物性、電気的特性、耐熱性、寸法安定性、その他の物理的・化学的特性に優れているため、自動車部品、電気・電子機器部品、精密機器部品等に幅広く使用されている。
【0003】
最近、上記のような多様な用途の中でも、自動車電装部品(コントロールユニット等)、各種センサー部品、コネクター部品等のように、電気回路部分を密封するような精密製品にも、エンジニアリングプラスチックの使用が展開されてきている。このような部品を密封する工法としては、接着剤による接着、超音波溶着、熱板溶着、レーザー溶着等が行われている。しかしながら、接着剤による工法は、硬化するまでの時間ロスに加え周囲の汚染等の環境負荷の問題があり、超音波溶着、熱板溶着等は、振動、熱による製品へのダメージがあったり、摩耗粉やバリの発生により後処理が必要になる等の問題が指摘されている。
これに対し、レーザー溶着は、非接触で摩耗粉やバリの発生が無く、製品へのダメージも少ないという利点がある。しかし、熱可塑性樹脂は、一般にレーザー光の透過率が低いため、製品の肉厚設計に制約を受けるという問題がある。肉厚の部材を溶着するために、レーザー出力を上げると、レーザー入射側の表面での溶融、発煙、接合界面での異常発熱による気泡等の不具合が発生する恐れがあった。さらに、レーザー光による樹脂の劣化物等による異物やヘイズによっても透過率は低減する。
【0004】
また、構造材料として使う場合には、高い剛性を必要とするため、ガラス繊維等のフィラーを添加することによって剛性の改良が可能であるが、ガラス繊維等のフィラーを添加した場合には、透過率が低下するという問題点があった。
【0005】
上記のような問題を解決するため、例えば、ポリブチレンテレフタレート系共重合体を用いて、融点をコントロールして溶着条件幅を広くする方法がある(特許文献1)。この方法だけでは透過率の向上は小さく、製品の肉厚設計の制限は解消されない。また、ポリブチレンテレフタレート系樹脂に非晶性樹脂やエラストマーを配合する方法が開示されている(特許文献2及び3)。この方法は、透過率が向上する場合もあるが、配合や成形条件で透過率が変動しやすいという問題点がある。
【0006】
一方、樹脂の用途が広がり、大量に使用されるにつれ、近年の地球規模における環境保全の観点から、成形品の廃棄時における減容化及び細粒化の容易さや、微生物による生分解性等の性能も要望されるようになってきた。このような観点から、微生物が分解できる生分解性ポリマーを使用することにより、成形品の廃棄時における減容化及び細粒化の促進が試みられている。
【0007】
このような生分解性ポリマーとしては、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルが注目を集めている。しかし、脂肪族ポリエステルは、一般に力学特性が悪く、融点が低いという欠点がある。その様な欠点を補うために、他の樹脂に生分解性ポリマーを配合することにより、生分解性と力学特性を改良した樹脂材料の開発が試みられている。しかし、芳香族ポリエステル樹脂として汎用されているホモポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)やホモポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)は、一般にポリ乳酸との相溶性が低いため、実質的にポリ乳酸とのブレンドは不可能である。このような、芳香族ポリエステルとポリ乳酸の相溶性不足を改善するために、芳香族ポリエステル樹脂の主鎖又は側鎖に脂肪族基を導入することが重要であるとの観点から、例えば、ポリ乳酸に、ジオール成分の炭素原子数が6以上の芳香族ポリエステル又は炭素原子数が6以上のジオール成分及び/又はジカルボン酸成分が共重合された芳香族ポリエステル共重合体を5〜40重量%ブレンドしたポリエステル樹脂組成物が提案されている(特許文献4)。
しかし、このような芳香族ポリエステル共重合体は結晶化速度が遅いため、配合量が多い場合は、射出成形用樹脂としては、成形性が著しく悪いという問題が残る。当該特許文献において、射出成型の例が、実施例12及び比較例11に示されているが、耐熱性の向上効果が示されているだけで、主体的事例は、延伸工程のある繊維又は延伸フィルムへの適用である。
【0008】
また、脂肪族ポリエステル共重合体を、PBT樹脂等の芳香族ポリエステル樹脂(特許文献5)、あるいは芳香族ポリカーボネート樹脂(特許文献6)に配合した樹脂組成物が開示されている。しかし、これらには、レーザー溶着性についての示唆は一切ない。
【0009】
【特許文献1】特許第3510817号公報
【特許文献2】特開2003−292752号公報
【特許文献3】特開2004−315805号公報
【特許文献4】特開2003−171536号公報
【特許文献5】特開2007−9053号公報
【特許文献6】特開2007−211109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、機械的強度が良好で、レーザー溶着特性に優れ、環境保全も配慮された熱可塑性樹脂組成物、ならびにレーザー溶着法により溶着された複合成形品及び複合成形品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂に特定の脂肪族ポリエステルを配合することにより、樹脂成形品の透過率と機械的強度が向上し、レーザー溶着特性に優れた熱可塑性樹脂成形品が得られ、その結果、レーザー溶着により強固に接着した複合成形品が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0012】
本発明の第1の要旨は、
熱可塑性樹脂(a)と脂肪族ポリエステル共重合体(b)からなる樹脂成分(A)100重量部に対して、強化充填材(B)0〜100重量部を配合してなる樹脂組成物であって、該脂肪族ポリエステル共重合体(b)が、下記(I)式で表される脂肪族オキシカルボン酸単位0〜20モル%、下記(II)式で表される脂肪族又は脂環式ジオール単位40〜50モル%及び下記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位40〜50モル%から成ることを特徴とするレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物に存する。
【0013】
【化1】

(式中、Rは2価の脂肪族炭化水素基を示し、Rは2価の脂肪族炭化水素基又は2価の脂環式炭化水素基を示し、Rは直接結合又は2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
【0014】
本発明の第二の要旨は、
前記レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物からなる第一の部材と熱可塑性樹脂組成物からなる第二の部材とを密着させ、前記第一の部材側からレーザー光を照射して溶着させてなる複合成形品に存する。
【0015】
本発明の第三の要旨は、
前記レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物からなる第一の部材と熱可塑性樹脂組成物からなる第二の部材とを密着させ、前記第一の部材側からレーザー光を照射して溶着させる工程を含む複合成形品の製造方法に存する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、機械的強度が良好で、レーザー透過性等のレーザー溶着特性に優れ、環境保全に配慮された熱可塑性樹脂組成物及びレーザー溶着法により溶着された複合成形品を提供することが可能になった。このような成形品は工業的に広く利用され、その利用価値は極めて高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
熱可塑性樹脂(a):
本発明で用いる熱可塑性樹脂(a)は、熱成形可能なものであれば特に限定されるものではなく、後述する脂肪族ポリエステル共重合体(b)以外の既知の熱可塑性樹脂である。例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド7、ポリアミド8、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド611、ポリアミド612、ポリアミド6T等の脂肪族及び芳香族ポリアミド単独重合体、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/6T共重合体、ポリアミド6I/6T共重合体等の脂肪族及び芳香族ポリアミド共重合体、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)等のキシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸との重縮合反応により得られる半芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、液晶ポリマー、ポリスルホン樹脂、ポリメチルアクリレート樹脂等が挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて用いることが可能である。これらの中でも、成形加工温度が低い点で、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等のいわゆる汎用性樹脂が好ましく、機械強度や剛性が高い点で、芳香族ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等のいわゆるエンジニアリングプラスチックが好ましい。このようなエンジニアリングプラスチックの中でも、耐熱性や脂肪族ポリエステル共重合体との相溶性の点から、ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂がより好ましい。
【0018】
芳香族ポリエステル樹脂:
芳香族ポリエステル樹脂とは、その構成成分である、ジカルボン酸又はその誘導体、ジオール、さらに必要に応じて用いられるその他の構成成分のいずれかに芳香環を含有したポリエステル樹脂である。芳香族ポリエステル樹脂としては、公知のものを広く用いることができ、2種以上を併用してもよい。
【0019】
ジカルボン酸又はその誘導体としては、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、及び、脂肪族ジカルボン酸、ならびに、これらの低級アルキル又はグリコールのエステルが好ましく、芳香族ジカルボン酸又はこの低級アルキル(例えば、炭素原子数1〜4)あるいはグリコールのエステルがより好ましく、テレフタル酸又はこの低級アルキルエステルがさらに好ましい。これらのジカルボン酸又はその誘導体は、2種以上を併用してもよい。
【0020】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい例として挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい例として挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸等が好ましい例として挙げられる。
【0021】
ジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオールが好ましく、これらを2種以上併用してもよい。
脂肪族ジオールとしては、好ましくは、炭素原子数2〜20の脂肪族ジオールであり、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及び1,8−オクタンジオールを好ましい例として挙げることができる。
脂環式ジオールとしては、好ましくは、炭素原子数2〜20の脂環式ジオールであり、例えば、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール及び1,4−シクロヘキサンジメチロールを好ましい例として挙げることができる。
芳香族ジオールとしては、好ましくは、炭素原子数6〜14の芳香族ジオールであり、例えば、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンを好ましい例として挙げることができる。
【0022】
芳香族ポリエステル樹脂は、前記成分以外に、ヒドロキシカルボン酸、単官能成分、及び/又は三官能以上の多官能成分を有していてもよい。
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸及びp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸が好ましい例として挙げられる。
単官能成分としては、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸及びベンゾイル安息香酸が好ましい例として挙げられる。
三官能以上の多官能成分としては、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール及びペンタエリスリトールが好ましい例として挙げられる。
【0023】
芳香族ポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)を含有することが好ましく、さらに好ましくはテレフタル酸を唯一のジカルボン酸単位とし、1,4−ブタンジオールを唯一のジオール単位とするポリブチレンテレフタレート単独重合体を含有することがさらに好ましい。本発明でいうPBT樹脂とは、テレフタル酸が全ジカルボン酸成分の50モル%以上を占め、1,4−ブタンジオールが全ジオールの50モル%以上を占めることをいう。PBT樹脂は、さらに、ジカルボン酸単位中のテレフタル酸の割合が70モル%以上のものが好ましく、90モル%以上のものがより好ましい。また、ジオール単位中の1,4−ブタンジオールの割合は、70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。このようなPBT樹脂を用いることにより、機械的性質及び耐熱性がより向上する傾向にあり好ましい。
【0024】
PBT樹脂としては、30℃のフェノールとテトラクロロエタンとの1対1(重量比)混合液中で測定した極限粘度が0.3〜3dl/g、さらには0.3〜1.5dl/g、特に0.5〜1.3dl/gのPBT樹脂であることが好ましい。PBT樹脂の極限粘度が0.3dl/g未満であると、得られる樹脂組成物の機械的性能が低下する場合があり、極限粘度が1.5dl/g以上であると、樹脂組成物の流動性が低下し、成形性が悪化する場合がある。さらに、脂肪族ポリエステル共重合体の分散性も低下する傾向にある。PBT樹脂は、極限粘度の異なる2種以上のPBT樹脂を併用し、上記範囲内の極限粘度としてもよい。
【0025】
芳香族ポリエステル樹脂を製造する場合、公知の方法を広く採用できる。例えば、テレフタル酸成分と1,4−ブタンジオール成分とからなるPBT樹脂の場合、直接重合法及びエステル交換法のいずれの方法も採用できる。直接重合法は、例えば、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを直接エステル化反応させる方法であり、初期のエステル化反応で水が生成する。エステル交換法は、例えば、テレフタル酸ジメチルを主原料として使用する方法であり、初期のエステル交換反応でアルコールが生成する。直接エステル化反応は原料コスト面から好ましい。
また、芳香族ポリエステル樹脂は、原料供給又はポリマーの払い出し形態について、回分法及び連続法のいずれの方法で製造してもよい。さらに、初期のエステル化反応又はエステル交換反応を連続操作で行って、それに続く重縮合を回分操作で行ったり、逆に、初期のエステル化反応又はエステル交換反応を回分操作で行って、それに続く重縮合を連続操作で行う方法もある。
【0026】
また、本発明に用いる熱可塑性樹脂(a)として、芳香族ポリエステル樹脂と他の熱可塑性樹脂を併用する場合は、レーザー透過性、耐久性、成形性、低吸水性、衝撃強度に優れている点から、他の熱可塑性樹脂として、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂及びこれらの樹脂のアロイから選ばれたものを用いるのが好ましい。芳香族ポリエステル樹脂と他の熱可塑性樹脂を併用する場合は、熱可塑性樹脂(a)中の50重量%以上が芳香族ポリエステル樹脂であることが好ましく、60重量%以上がより好ましい。また、成形性の点から、芳香族ポリエステル樹脂はポリブチレンテレフタレート樹脂であることが特に好ましい。
【0027】
ポリカーボネート樹脂:
ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂の何れをも使用できるが、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造できる。また、溶融法によって得られる芳香族ポリカーボネート樹脂を用いる場合、末端基のOH基量を調整して用いてもよい。
【0028】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別称、ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAである。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、2種以上を併用してもよい。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
【0029】
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、分岐剤、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(すなわち、イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
【0030】
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。さらには、上述した芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で10,000〜30,000であり、好ましくは15,000〜25,000である。粘度平均分子量が13,000未満では、耐衝撃性が低下する傾向にあり、30,000を超えると流動性が低下する傾向にある。
【0032】
ポリアミド樹脂:
本発明に用いられるポリアミド樹脂とは、公知のポリアミド樹脂であれば特に制限はなく、すなわち、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を含み加熱溶融できる重合体である。具体的には、ラクタムの重縮合物、ジアミンとジカルボン酸との塩の重縮合物、ω−アミノカルボン酸の重縮合物等の各種タイプのポリアミド樹脂、又はそれ等の共重合ポリアミド樹脂やブレンド物等である。
【0033】
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。
ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、(2,2,4−又は2,4,4−)トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等の脂肪族、脂環式、芳香族のジアミンが挙げられる。
【0034】
ジカルボン酸としては、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂肪族、脂環式、芳香族のジカルボン酸が挙げられる。
ω−アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸等が挙げられる。
本発明においては、これらの原料から誘導される単独重合体もしくは共重合体を各々単独又は混合物の形で用いることができる。
ポリアミド樹脂重合モノマーであるこれらのラクタム、ジカルボン酸、ジアミンの炭素原子数は4以上15以下であることが好ましい。炭素原子数が15より多いと一般的に剛性が低くなる傾向にあり、4個未満であると吸湿性が大きくなる傾向にあり、耐電圧性も低下する場合がある。
【0035】
ポリアミド樹脂の構成単位である塩は、上記のジアミンとジカルボン酸を、加圧下高温度の水溶液中で中和することによって得られる。このようにして得られた塩や上記のラクタム、ω−アミノカルボン酸を加圧、高温度下で縮合させることにより、オリゴマー化反応を進行させ、その後減圧により重合を進行させ、本発明で使用するポリアミド樹脂を製造することができる。
ポリアミド樹脂としては、入手のしやすさ、耐熱性の点から、ポリアミド6、ポリアミド66ならびにポリアミドMXD6が好ましい。
【0036】
また、ポリアミド樹脂としては、特定の見かけの溶融粘度を有するものが好ましい。好ましい見かけの溶融粘度は、キャピラリーレオメーター(東洋精機社製「キャピログラフ1C」)を使用し、キャピラリーのL/Dは30mm/1mm、温度280℃、せん断速度100sec−1にて測定した値が750〜10000ポイズであり、より好ましくは800〜8000であり、さらに好ましくは850〜7000ポイズである。見かけの溶融粘度が750ポイズより低いと、機械的強度が低下する場合があり、10000ポイズより高いと、流動性が低下し、生産性が低下する傾向にある。
【0037】
ポリアセタール樹脂:
ポリアセタール樹脂とは、ホルムアルデヒド又はトリオキサンの重合によって製造される重合体であり、例えば、オキシメチレン基を繰り返し単位とする単独重合体が挙げられる。耐熱性及び化学的抵抗性を増加させるために、末端基をエステル基又はエーテル基に変換することが一般に行われている。
ポリアセタール樹脂はブロック共重合体であってもよい。この種の共重合体は、前記オキシメチレン基を繰り返し単位とする単独重合体ブロックと、他種の重合体ブロックとから構成される。他種の重合体ブロックの具体例としては、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリチオール、ビニルアセテート、アクリル酸共重合体、水素添加ブタジエン、アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
ポリアセタール樹脂はランダム共重合体であってもよい。この種の共重合体では、ホルムアルデヒド及びトリオキサンは、他のアルデヒド、環状エーテル、ビニル化合物、ケテン、環状カーボネート、エポキサイド、イソシアネート、エーテル等と共重合される。共重合される化合物の具体例としては、エチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセペン、エピクロロヒドリン、プロピレンオキサイド、イソブチレンオキサイド及びスチレンオキサイド等が挙げられる。この種の共重合体では、カチオン重合後、重合触媒の失活化、末端安定化などが一般に行われる。また、オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、炭素原子数2以上のオキシアルキレン基を含有する共重合体が汎用される。
【0038】
ポリフェニレンエーテル樹脂:
ポリフェニレンエーテル樹脂は、下記(IV)式で表される構造単位を有する単独重合体又は共重合体である。
【0039】
【化2】

(式中、2つのRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オキシ基を表し、2つのRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オキシ基を表す。ただし、2つのRが共に水素原子になることはない。)
【0040】
、Rとしては、水素原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基が好ましい。第1級アルキル基の好適な例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2,3−ジメチルブチル基、2、3−もしくは4−メチルペンチル基又はヘプチル基等が挙げられる。第2級アルキル基の好適な例としては、例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基又は1−エチルプロピル基等が挙げられる。アリール基の好適な例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。特に、Rは、第1級もしくは第2級の炭素原子数1〜4のアルキル基又はフェニル基であることがより好ましい。Rは水素原子であることがより好ましい。
【0041】
具体的なポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エ−テル等があげられる。共重合体としては、各種2,6−ジアルキルフェノール/2,3,6−トリアルキルフェノール共重合体が挙げられる。これらの中でも、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エ−テルが好ましい。
【0042】
ポリフェニレンエーテル樹脂は、クロロホルム中、温度30℃で測定した固有粘度が0.2〜0.8dl/gのものが好ましく、0.2〜0.7dl/gのものがより好ましく、0.3〜0.6dl/gの範囲のものが特に好ましい。固有粘度が0.2dl/g未満では樹脂組成物の耐衝撃性が不足する場合があり、0.6dl/gを超えると成形性や外観が低下する傾向にあるので、いずれも好ましくない。
【0043】
また、ポリフェニレンエーテル樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂の流動性の改良のため、ポリスチレン系樹脂、あるいはポリアミド樹脂とのアロイ化等の手段により変性されているものが好ましい。変性に使用されるポリスチレン系樹脂、あるいはポリアミド樹脂は、前記に挙げたものが使用され、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂に対し10〜70重量%配合し、変性することができる。
【0044】
脂肪族ポリエステル共重合体(b):
脂肪族ポリエステル共重合体は、下記(I)式で表される脂肪族オキシカルボン酸単位0〜20モル%、下記(II)式で表される脂肪族又は脂環式ジオール単位40〜50モル%及び下記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位40〜50モル%から成る共重合体であり、各単位に対応する脂肪族オキシカルボン酸、脂環式ジオール及び脂肪族ジカルボン酸の所定量を共重合させることにより製造することが出来る。
【0045】
【化3】

(式中、Rは2価の脂肪族炭化水素基を示し、Rは2価の脂肪族炭化水素基又は2価の脂環式炭化水素基を示し、Rは直接結合又は2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
【0046】
上記(I)式の脂肪族オキシカルボン酸単位は、HO−R−COOH(Rは2価の脂肪族炭化水素基を示す。)で示される分子中に1個の水酸基とカルボキシル基を有する脂肪族オキシカルボン酸又はその誘導体(環状単量体、環状二量体、無水物、エステル等)を使用することにより得られる。脂肪族オキシカルボン酸としては、好ましくは、下記(I−I)式で示されるα−オキシカルボン酸である。下記(I−I)式において、nは好ましくは0又は1〜5の整数である。
【0047】
【化4】

(式中、nは0又は1〜10の整数である。)
【0048】
上記(I−I)式の脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等が挙げられ、これらは、2種以上混合して使用することもできる。これら脂肪族オキシカルボン酸に光学異性体が存在する場合には、D体、L体、ラセミ体の何れでもよい。これらの中で好ましいのは乳酸又はグリコール酸であり、特に好ましいのは乳酸である。乳酸は、ポリエステル共重合体製造時の重合速度の増大が特に顕著であり、また、入手が容易である。乳酸は、通常30〜95重量%の水溶液の形状が入手し得る。
【0049】
前記(II)式の脂肪族ジオール単位に対応する脂肪族又は脂環式ジオールは、HO−R−OH(Rは2価の脂肪族又は脂環式炭化水素を示す。)で示されるジオールである。式中、Rで示される2価の脂肪族炭化水素基としては、好ましくは直鎖アルキレン基であり、その炭素原子数は、通常2〜10、好ましくは3〜10、さらに好ましくは4〜6である。また、Rで示される脂環式炭化水素基としては、好ましくはシクロアルキレン基であり、その炭素原子数は通常3〜10、好ましくは4〜6である。
【0050】
上記の様なジオールの具体例としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、これらは2種以上の混合物として使用することもできる。上記のジオールの中では、ポリエステル共重合体の物性、成形性の点から、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。
【0051】
前記(III)式の脂肪族ジカルボン酸単位に対応する脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体は、HOOC−R−COOH(Rは直接結合又は2価の脂肪族炭化水素基を示す。)で示されるジカルボン酸、その低級アルコールエステル又は酸無水物である。式中、Rとしては、直接結合又は直鎖アルキレン基が好ましく、直鎖アルキレンの炭素原子数は通常1〜10、好ましくは1〜6である。
シカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げらる。ジカルボン酸の低級アルコールエステルとしては、例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル等の炭素原子数1〜4程度の脂肪族アルコールのエステルが挙げられる。酸無水物としては、無水コハク酸、無水アジピン酸等が挙げられる。これらは2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中では、ポリエステル共重合体の剛性の面から、コハク酸、無水コハク酸又はこれらの混合物が好ましい。
【0052】
本発明に使用される脂肪族ポリエステル共重合体中の各単位の割合は次の通りである。すなわち、(I)式の単位は0〜20モル%であり、(II)式及び(III)式の単位は、夫々40〜50モル%の範囲から選ばれるが、(II)式及び(III)式の単位の割合は等しいことが好ましい。レーザー溶着性をより向上させるためには、(I)式の単位は0〜15モル%が好ましく、(II)式及び(III)式の単位は、夫々42.5〜50モル%の範囲が好ましく、夫々45〜49.5モル%の範囲がより好ましい。また、(I)式は任意の単位であるが、必須単位として含むのが好ましく、その場合の割合は、通常0.2〜20モル%、好ましくは0.5〜15モル%、さらに好ましくは1〜10モル%の範囲である。(I)式の単位が少なすぎる場合は、得られる共重合体の生分解性の効果が小さくなる傾向にあり、多すぎる場合は、得られる共重合体の結晶性が失われて成形上好ましくない場合がある。
【0053】
脂肪族ポリエステル共重合体は、例えば、特開平8−239461号公報に記載される様に、前記(II)式及び(III)式の単位に対応するジオール及びジカルボン酸又はその誘導体を反応させて脂肪族ポリエステルを製造するに際し、前記(I)式の単位に対応する脂肪族オキシカルボン酸を夫々の単位が所定量となる量で共重合させる方法により製造することが出来る。
【0054】
(II)式に対応するジオールの使用量は、(III)式に対応するジカルボン酸又はその誘導体(ジカルボン酸量基準の値)100モルに対して実質的に等モルであるが、エステル化反応中に留出することを考慮し、通常1〜20モル%過剰に使用される。(I)式に対応する脂肪族オキシカルボン酸の使用量は、(II)式に対応するジカルボン酸又はその誘導体100モルに対して、通常0〜60モル%、好ましくは0.04〜60%、更に好ましくは1〜40モル%、特に好ましくは2〜20モル%である。
【0055】
脂肪族オキシカルボン酸の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に触媒と同時に添加する方法、オキシカルボン酸溶液に予め触媒を溶解させて添加する方法等を採用することができる。
【0056】
脂肪族ポリエステル共重合体の製造においては重合触媒を使用することが好ましい。重合触媒としては、特に限定されないが、ゲルマニウム化合物、例えば、酸化ゲルマニウムが好適である。重合触媒の使用量は、使用するモノマー量に対し、通常0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜1.5重量%である。
【0057】
重合反応温度は、通常150〜260℃、好ましくは180〜230℃、反応時間は、通常2時間以上、好ましくは4〜15時間、反応圧力は、通常10mmHg以下、好ましくは2mmHg以下である。
【0058】
脂肪族ポリエステル共重合体の数平均分子量は、好ましくは10,000〜200,000、より好ましくは30,000〜100,000である。数平均分子量が10,000以下であると機械的強度が低下する傾向があり、200,000を超えると成形性が悪化する場合がある。本発明において、数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、カラムとしては例えば「PLgel−10μ−MIX」を使用し、カラム温度30℃で測定したポリスチレン換算の分子量である。
【0059】
また、脂肪族ポリエステル共重合体には、前記(I)〜(III)式の構成単位以外に、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合成分を導入することができる。他の共重合成分の原料としては、ヒドロキシ安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸、ビスフェノールA等の芳香族ジオール、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多価アルコール、りんご酸等の多価オキシカルボン酸等が挙げられる。
【0060】
本発明の樹脂成分(A)中の脂肪族ポリエステル共重合体(b)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物(a)100重量部に対して、通常1〜99重量部、好ましくは10〜90重量部、さらに好ましくは15〜75重量部である。脂肪族ポリエステル共重合体の量が少なすぎる場合は、得られる樹脂組成物の生分解性が不十分である場合があり、多すぎる場合は、得られる樹脂組成物の耐衝撃性等の機械的特性が低下する傾向にある。
【0061】
強化充填材(B):
強化充填材(B)とは、樹脂組成物の機械的強度の向上の役割を果たすものであれば特に制限されない。例えば、繊維状充填材(ガラス繊維、カーボン繊維、玄武岩繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、ホウ素繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維等)、粉粒状充填材(カオリン、タルク、ワラストナイト等のケイ酸塩等)、板状充填材(マイカ、ガラスフレーク、各種金属箔等)等が例示でき、樹脂組成物に要求される特性に応じて、2種以上併用することができる。これらの充填材のうち、高い強度・剛性を有する点で、繊維状充填材が好ましい。
【0062】
繊維状充填材としては、平均繊維径が1〜100μmのものが好ましく、2〜50μmがより好ましく、2〜30μmがさらに好ましく、5〜20μmが特に好ましい。また、繊維長方向に垂直な断面の形状は、円形に限定されることなく、非円形でもよい。断面が非円形の場合は、断面の長径と短径の比(長径/短径)で表される扁平率が1.5〜10の範囲が好ましい。繊維状充填材としては、レーザー透過性と補強効果の点からガラス繊維が好ましい。ガラス繊維は、例えば、ロービング、チョップドストランド等の形態のものを使用できるが、チョップドストランドで使用する場合は、樹脂組成物の製造時の操作性の点から、繊維長が好ましくは0.1〜20mm、より好ましくは1〜10mmのものを用いる。
【0063】
また、繊維状充填材を用いる場合は、レーザー透過性、機械的強度の観点から、成形品中の繊維状充填材の繊維長をできるだけ長く保つことが好ましい。成形品中の繊維長は、重量平均繊維長で1〜10mmであることが好ましく、1.5〜10mmであることがより好ましく、2〜8mmであることがさらに好ましい。成形品中の繊維長を長く保つためには、少なくとも、成形に使用される樹脂組成物の段階において、樹脂組成物中の繊維長をできるだけ長く保つ必要がある。このような樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、繊維状充填材マットの両側から溶融樹脂シートでプレスし、シートカッターで直方体の粒状物を作成する方法や、引抜き成形法等により、繊維状充填材ロービング表面に樹脂を被覆しストランド状にしてからペレットに切断する方法等が挙げられる。また、溶融混練で樹脂組成物ペレットを製造する場合は、混練時に強化繊維が破損しないような混練条件を選択する必要がある。
【0064】
板状充填材を配合することにより、成形品の異方性及びソリを低減することができる。粒状充填材を配合することにより流動性の向上し、成形品表面の外観等を改善することができる。
【0065】
強化充填材(B)は、熱可塑性樹脂との界面密着性を向上させ、界面での空隙形成による不透明化を抑制するために、一般に表面処理剤で処理することが好ましい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤やチタン系カップリング剤等のカップリング剤、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられ、好ましくはシランカップリング剤、エポキシ樹脂である。
シランカップリング剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系、アリルシラン系、ビニルシラン系等が挙げられる。これらの中では、アミノシラン系が好ましい。アミノシラン系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等の多官能エポキシ樹脂が好ましい。
特に、シランカップリング剤及び/又はエポキシ樹脂を表面処理剤として用いることが好ましく、アミノシラン系カップリング剤及び/又はノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。表面処理剤をこのような構成とすることにより、アミノシラン系カップリング剤の無機官能基は強化充填材(B)表面と、アミノシラン系カップリング剤の有機官能基はエポキシ樹脂のグリシジル基又は樹脂成分(A)と反応し、エポキシ樹脂のグリシジル基は樹脂成分(A)と反応するので、強化充填材(B)と樹脂成分(A)との界面密着力が向上する。その結果、本発明の樹脂組成物の機械的強度が向上し、さらには、界面での空隙形成による不透明化が低減するため、レーザー透過率も向上する。このような効果は、樹脂成分(A)を構成する熱可塑性樹脂(a)として芳香族ポリエステル樹脂を用いた場合に顕著である。
【0066】
表面処理剤にシランカップリング剤を含む場合は、表面処理剤中の0.1〜8重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。また、エポキシ樹脂を含む場合は、表面処理剤中の1〜20重量%が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。また、表面処理剤には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、その他の成分、例えば、帯電防止剤、潤滑剤、撥水剤等を含めることができる。
【0067】
表面処理剤の付着量は、強化充填材(B)に対し0.01〜5重量%が好ましく、0.05〜2重量%がさらに好ましい。付着量が0.01重量%未満では機械的強度の改善効果が小さい場合があり、2重量%を超えても得られる効果はそれほど変わらない。
【0068】
強化充填材(B)の含有量は、樹脂成分(A)100重量部に対し0〜100重量部である。強化充填材の配合は任意であるが、配合する場合は、好ましくは10〜100重量部である。強化充填材の含有量が100重量部を超えると、成形時の流動性が低下したり、繊維/繊維間の相互作用により繊維が破砕され、成形品中の繊維長が短くなり、機械的強度やレーザー透過性が低下する場合がある。
【0069】
着色剤(C):
本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物には、染料、顔料等の着色剤を配合してもよい。着色剤を配合する場合には、レーザー透過性を阻害しないように、用いる着色剤の種類、配合量を調整する必要がある。
染料としては、アントラキノン系、インジゴイド系、ペリレン系、ペリノン系、アゾ系、メチン系、フタロシアニン系等の油溶性染料や分散染料が好ましい。
顔料としては、無機顔料と有機顔料のいずれも用いることができる。無機顔料として、酸化物、硫化物、硫酸塩、カーボンブラック等が挙げられる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系等を挙げられる。
着色剤(C)の含有量は、樹脂成分(A)100重量部に対し、好ましくは0.005〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.03〜0.8重量部である。配合量が5重量部を超えると、樹脂成分への分散性が低下しレーザー透過性や機械的強度が低下したり、成形品表面へ着色剤がブリードする場合がある。
【0070】
その他の添加剤:
本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、難燃剤、耐熱安定剤、離型剤、滑剤、可塑剤、触媒失活剤、結晶核剤、結晶化促進剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、発泡剤、耐衝撃性改良剤等を挙げることができる。これらの添加剤は、熱可塑性樹脂(a)又は脂肪族ポリエステル共重合体(b)の重合途中又は重合後に添加することができる。
【0071】
酸化防止剤は、樹脂組成物の耐熱老化性をより効果的に改良し、色調、引張強度、伸度等の機械的強度保持率をより向上させる効果を有する。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤より選ばれる1種以上の酸化防止剤を配合することが好ましい。これらの酸化防止剤は、特に、熱可塑性樹脂(a)が芳香族ポリエステル樹脂の場合に好適である。
酸化防止剤の配合量は、樹脂成分(A)100重量部に対し、好ましくは0.001〜1.5重量部であり、より好ましくは0.03〜1重量部である。
【0072】
フェノール系酸化防止剤とは、フェノール性ヒドロキシル基を有する酸化防止剤をいい、なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤とは、フェノール性ヒドロキシル基が結合した芳香環の炭素に隣接する1個又は2個の炭素原子が、炭素原子数4以上の置換基により置換されている酸化防止剤をいう。炭素原子数4以上の置換基は、芳香環の炭素原子と炭素−炭素結合により結合していてもよく、炭素以外の原子を介して結合していてもよい。
【0073】
フェノール系酸化防止剤としては、p−シクロヘキシルフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の非ヒンダードフェノール系酸化防止剤、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、スチレン化フェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(1,3,5−トリメチルヘキシル)フェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス[2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル]ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル]ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、チオビス(β−ナフトール)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。特に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、それ自体安定ラジカルとなり易いためにラジカルトラップ剤として好適に使用することができる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3000である。
【0074】
本発明におけるイオウ系酸化防止剤とは、イオウ原子を有する酸化防止剤をいい、例えば、ジドデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン)、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、トリラウリルトリチオホスファイト等が挙げられる。特に、チオエーテル構造を有するチオエーテル系酸化防止剤は、酸化された物質から酸素を受け取って還元するため、好適に使用することができる。イオウ系酸化防止剤の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3000である。
【0075】
本発明におけるリン系酸化防止剤とは、リン原子を有する酸化防止剤をいい、P(OR)構造を有する酸化防止剤であることが好ましい。ここで、Rは、アルキル基、アルキレン基、アリール基、アリーレン基等であり、3個のRは同一でも異なっていてもよく、任意の2個のRが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0076】
酸化防止剤の配合量は、樹脂成分(A)100重量部に対し、好ましくは0.001〜1.5重量部であり、より好ましくは0.03〜1重量部である。フェノール系酸化防止剤の配合量が0.001重量部未満では、酸化防止効果が不十分である場合があり、配合量が1.5重量部を超えると、溶融混練時に樹脂が分解しやすい傾向にある。
【0077】
難燃剤としては、特に制限されず、例えば、有機ハロゲン化合物、アンチモン化合物、リン化合物、その他の有機難燃剤、無機難燃剤等が挙げられる。
有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレートが挙げられる。
アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダが挙げられる。
リン化合物としては、例えば、リン酸エステル、ポリリン酸、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等が挙げられる。
その他の有機難燃剤としては、例えば、メラミン、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等の窒素化合物が挙げられる。
無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ素化合物、ホウ素化合物が挙げられる。
これらの難燃剤は、特に、熱可塑性樹脂(a)が芳香族ポリエステル樹脂の場合に好適である。
難燃剤の配合量は、樹脂成分(A)100重量部に対し、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは0.5〜40重量部である。配合量が0.1重量部未満では、難燃性の改善効果が低い場合があり、50重量部を超えると、機械的強度が低下しやすい傾向にある。
【0078】
また、成形時の樹脂溶融粘度を下げ、成形品の歪みの発生を抑制するために滑剤を配合したり、樹脂流動性を改善するために可塑剤を配合する方法も効果的である。成形時の離型性を向上させ、さらに、成形品の歪の発生を抑制するために離型剤を配合することも好ましい。離型剤としては、例えば、ステアリン酸金属塩やモンタン酸金属塩等の脂肪酸金属塩、脂肪族炭化水素化合物、高級アルコール、アミド化合物、エステル化合物等が挙げられ、これらを機械的物性に影響を与えない範囲で添加することが好ましい。
滑剤、可塑剤、離型剤の配合量は、それぞれ、樹脂成分(A)100重量部に対し0.01〜5重量部が好ましく、0.01〜2重量部がより好ましい。滑剤、可塑剤、離型剤は、樹脂組成物の製造時に添加してもよいし、得られた樹脂組成物にドライブレンドして成形に供してもよい。
【0079】
本発明において、熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を配合することができる。これらの熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。熱硬化性樹脂を配合する場合は、樹脂成分(A)100重量部に対し、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜40重量部である。
【0080】
樹脂組成物の製造は公知の一般的な方法が採用でき、その中でも溶融混練が好ましい。溶融混練には、各種押出機、ブラベンダープラストグラフ、ラボプラストミル、ニーダー、バンバリーミキサー等が使われる。本発明においては、ベント口から脱揮できる設備を有する1軸又は2軸の押出機を混練機として使用する方法がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(a)、脂肪族ポリエステル共重合体(b)、必要に応じて配合される強化充填材(B)及びその他の添加剤を溶融混練機の根元から投入し溶融混練してもよいし、強化充填材(B)を含む場合は、強化充填材をサイドフィードし、溶融混練してもよい。熱可塑性樹脂(a)、脂肪族ポリエステル共重合体(b)、必要に応じて配合される強化充填材(B)及びその他の添加剤は、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、ドラムブレンダー等で予め混合しておいてもよいし、混合しなくてもよい。予め混合する場合は、強化充填材ができるだけ破損しないように、混合時間や回転数を調整することが好ましい。
【0081】
溶融混練時の加熱温度は、通常、熱可塑性樹脂(a)が結晶性の場合は、その融点から30〜100℃高い温度範囲で、熱可塑性樹脂(a)が非晶性樹脂の場合は、そのガラス転移温度から80〜150℃高い温度範囲が採用される。熱可塑性樹脂(a)が前記のエンジニアリングプラスチックの場合は、通常220〜300℃の範囲が採用されるが、溶融混練時の溶融樹脂の圧力を低減するために、溶融樹脂の可塑化温度を通常より高めに設定することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂(a)としてポリブチレンテレフタレート樹脂を使用する場合は、押出機等の溶融混練装置のバレル温度を260〜280℃に設定することが好ましい。
【0082】
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物の成形加工方法は、熱可塑性樹脂について一般に使用されている成形法、すなわち、射出成形、中空成形、押出成形、プレス成形等の成形法を適用することができる。特に好ましい成形方法は、流動性の良さ、ならびに精度のよい溶着部を有する成形品の得やすさから、射出成形又は押出成形であり、特に射出成形が好ましい。
【0083】
本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物は、例えば、厚み1mmの成形品において、波長840nmにおける光線透過率を20%以上とすることにより、他の部材と一体化して種々の成形品に組み立てることが容易となる。このようなレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、少なくとも一方にこのレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を用いた部材同士を強固に溶着させることができ、2以上の樹脂部材を有する成形品を製造するのに好ましく用いることができる。
部材の形状は特に制限されないが、特に、熱可塑性樹脂(a)の主成分が芳香族ポリエステル樹脂の場合に、部材同士をより強固に溶着させることができる。
レーザー溶着では、レーザー透過性のある部材を透過したレーザー光が、レーザー吸収性のある部材に吸収されて、溶融し、両部材が溶着される。本発明で用いるレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物は、レーザー光に対する透過性が高いので、レーザー光が透過する部材として好ましく用いることができる。例えば、レーザー光が透過する部材の厚み(レーザー光が透過する方向の厚み)は、用途、組成物の組成その他を勘案して適宜定めることができるが、例えば5mm以下であり、好ましくは4mm以下である。
【0084】
レーザー溶着に用いるレーザー光源としては、例えば、Arレーザー(510nm)、He−Neレーザー(630nm)、COレーザー(10600nm)等の気体レーザー、色素レーザー(400〜700nm)等の液体レーザー、YAGレーザー(1064nm)等の固体レーザーや、半導体レーザー(655〜980nm)等が利用できる。ビーム品質、コストの点で、半導体レーザーが好ましく用いられる。また、溶着相手材の種類によって、適宜レーザー種を選択することもできる。
【0085】
レーザー溶着に際しては、まず、本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物からなる第一の部材と、熱可塑性樹脂組成物からなる第二の部材の溶着する箇所同士を相互に接触させる。部材の形状は特に制限されないが、部材同士をレーザー溶着により接合するため、通常、少なくとも面接触箇所(平面、曲面)を有する形状である。両部材の溶着箇所は、面で接触していることが好ましいが、平面同士、曲面同士、又は平面と曲面の組み合わせであってもよい。次いで、本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物からなる第一の部材側からレーザー光を照射(好ましくは接着面に垂直に照射)する。この時、必要によりレンズ系を利用して両者の界面にレーザー光を集光させてもよい。その集光ビームはレーザー溶着用樹脂組成物からなる第一の部材中を透過し、熱可塑性樹脂組成物からなる第2の部材の表面近傍で吸収されて発熱し、溶融する。次にその熱は熱伝導によってレーザー溶着樹脂組成物からなる第一の部材側にも伝わってこれを溶融し、両者の界面に溶融プールが形成される。冷却すると、この溶融プールが固化して、両者が接合する。
このようにして部材同士を溶着された複合成形品は、高い接合強度を有する。尚、本発明における複合成形品とは、少なくとも2以上の部材を溶着されたものをいい、完成品や部品の他、これらの一部分を成す部材も含む趣旨である。
【0086】
熱可塑性樹脂組成物からなる第二の部材は、少なくとも熱可塑性樹脂を含み、且つ、レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物からなる第一の部材と溶着可能なものであれば特に制限されない。該熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂としては、第一の部材に用いられる熱可塑性樹脂
(a)に例示されたものを、単独又は2種以上併用できる。また、第二の部材に使用される熱可塑性樹脂組成物に、脂肪族ポリエステル共重合体(b)を配合して用いる場合は、該熱可塑性樹脂組成物の樹脂成分中の40重量%以下であることが好ましい。第二の部材に用いられる熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性樹脂成分は、第一の部材に用いられるレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性樹脂(a)と同種であることがさらに好ましく、また、第一の部材に用いられるレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物と同一であってもよい。第二の部材に用いられる樹脂は、照射するレーザー光波長の範囲内に吸収波長をもつものが好ましい。
【0087】
さらに、第二の部材に用いられる熱可塑性樹脂組成物には、光吸収剤、例えば着色顔料等を添加含有させることにより、レーザー光を吸収するようにしてもよい。このような着色顔料としては、例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック等)等の黒色顔料、酸化鉄赤等の赤色顔料、モリブデートオレンジ等の橙色顔料、酸化チタン等の白色顔料等の無機顔料や、黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料等の有機顔料が挙げられる。なかでも、無機顔料は一般に隠ぺい力が強く、レーザー吸収側の第二の部材に用いられる熱可塑性樹脂組成物により好適に使用できる。これらの光吸収剤は2種以上併用してもよく、その配合量は、樹脂成分100重量部に対し0.01〜1重量部であることが好ましい。
【0088】
本発明で得られた複合成形品は、高い溶着強度を有し、レーザー光照射による樹脂の損傷も少ないため、種々の用途、例えば、電気・電子部品、オフィスオートメート(OA)機器部品、家電機器部品、機械機構部品、自動車機構部品等に適用できる。特に、自動車電装部品(各種コントロールユニット、イグニッションコイル部品等)、モーター部品、各種センサー部品、コネクター部品、スイッチ部品、リレー部品、コイル部品、トランス部品、ランプ部品等のハウジングに好適に用いることができる。
【実施例】
【0089】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例で用いた原料及び得られた樹脂組成物の評価項目の測定方法は次の通りである。
【0090】
[測定方法]
(1)光線透過率
下記記載の方法で得られた光線透過率測定用試験片(長さ128mm、幅13mm、厚さ1mm)について、光線透過率の測定を行った。光線透過率は、可視・紫外分光光度計(島津製作所社製:「UV−3100PC」)を用い、波長840nmにおける光線透過率を測定した。評価結果を表1に示す。
【0091】
(2)レーザー溶着強度
図1に示すように試験片を重ね合わせ、レーザー照射を行った。図1中、(i)は試験片を側面から見た図を、(ii)は試験片を上方から見た図をそれぞれ示している。1は実施例又は比較例のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物からなる試験片(以下「試験片1」とする)を、2は接合する相手材である第二の部材用の熱可塑性樹脂組成物からなる試験片(以下「試験片2」とする)を、3はレーザー照射箇所をそれぞれ示している。それぞれの試験片は、前記(1)光線透過率測定用の試験片の作製条件と同じ条件で作製した。試験片1をレーザー透過側、試験片2をレーザー吸収側として重ね合わせ、透過側からレーザーを照射した。レーザー溶着装置としては、ファインデバイス社製「FD−100」を用い、レーザー光波長は840nm、焦点スポット径は0.6mm、走査速度5mm/sec、実施例4及び比較例4はレーザー出力20W、それ以外の実施例及び比較例はレーザー出力12Wの条件で、試験片幅方向(13mm)に走査しレーザー光を照射した。
溶着された試験片を用い、レーザー溶着強度の測定を行った。溶着強度の測定は、引張試験機(インストロン社製「5544型」)を使用し、溶着して一体化された試験片1と2を、その長軸方向の両端をクランプで挟み、引張速度5mm/minで引張って評価した。レーザー溶着強度は、溶着部の引張せん断破壊強度で示した。評価結果を表1に示す。
【0092】
(3)引張強度
下記記載の方法で得られた引張強度測定用ISO試験片について、ISO527規格に準拠して引張強度を測定した。評価結果を表1に示す。
【0093】
(4)シャルピー衝撃強度
下記記載の方法得られたでシャルピー測定用ISO試験片について、ノッチ付きシャルピー衝撃強度を、ISO179規格に準拠し測定した。評価結果を表1に示す。
【0094】
(5)脂肪族ポリエステル共重合体の分析
ポリマー組成:
H−NMR法により、測定したスペクトルの面積比により組成を計算した。
数平均分子量(Mn):
クロロホルムに脂肪族ポリエステル共重合体を溶解し、東ソー社製「GPC HLC−8020」を使用し、ポリスチレン換算により測定した。カラムは「PLgel−10μ−MIX」を使用し、カラム温度30℃の条件で測定した。
【0095】
[原材料]
(a−1)PBT樹脂:ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「商品名:ノバデュラン(登録商標)5020」
(a−2)PC樹脂:ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「商品名:ユーピロン(登録商標)S−3000FN」
(a−3)PA樹脂:ポリアミド6樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)「商品名:ノバミッド(登録商標)1013J」
(a−4)POM樹脂:ポリアセタール樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「商品名:ユピタール(登録商標)V−20−1」
(a−5)PPE樹脂:ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリキシレノールシンガポール社製「商品名:PX100L」
(a−6)PS樹脂:ポリスチレン樹脂、日本ポリスチレン(株)製、「商品名:HF77」
【0096】
(b−1)脂肪族ポリエステル−1:原料として、コハク酸、1,4−ブタンジオール、乳酸を使用し、以下の製造例1に従って製造した。
【0097】
製造例1:
攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口を供えた容量100mlの反応容器に、コハク酸35.4g、1,4−ブタンジオール28.4g及び酸化ゲルマニウム1重量%を含有する乳酸水溶液2.9gを仕込んだ。攪拌下、反応容器に窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下180℃に昇温し、45分間反応させた後、20mmHgに減圧し、さらに1.75時間反応させた。続いて、220℃、0.5mmHgの条件下で4時間反応させた。得られた共重合体のポリマー組成は、乳酸単位4.6モル%、1,4−ブタンジオール単位及びコハク酸単位は夫々47.7モル%、数平均分子量は58,900であった。
【0098】
(b−2)脂肪族ポリエステル−2:原料として、コハク酸、1,4−ブタンジオール、グリコール酸を使用し、後述の製造例2に従って製造した。
【0099】
製造例2:
攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口を供えた容量300mlの反応容器に、コハク酸118.1g、1,4−ブタンジオール99.1g及び酸化ゲルマニウム1重量%を含有する70重量%グリコール酸水溶液6.3gを仕込んだ。攪拌下、反応容器に窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下185℃に昇温し、0.5時間反応させた後、内温を220℃に昇温し、0.5時間反応させた。続いて、220℃、0.5mmHgの条件下で6時間反応させた。得られた共重合体のポリマー組成は、グリコール酸単位2.4モル%、1,4−ブタンジオール単位及びコハク酸単位は夫々48.8モル%、数平均分子量は42,500であった。
【0100】
(b−3)脂肪族ポリエステル−3:ポリ乳酸(脂肪族オキシカルボン酸単位100モル%)、三井化学社製「商品名:レイシアH−400」
(B)ガラス繊維:チョップドストランド、日本電気硝子社製「商品名:ECT03T−127」、繊維径13μm、カット長3mm
【0101】
(C)着色剤マスターバッチ:フタロシアニン系及びメチン系油溶性染料ベースの着色剤とポリブチレンテレフタレート樹脂を配合して製造された熱可塑性樹脂マスターバッチ(オリヱント化学工業社製「商品名:eBIND LTW−8950C」、着色剤含有量約6重量%
酸化防止剤:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「商品名:Irganox1010」)
【0102】
[実施例1〜8及び比較例1〜8]
熱可塑性樹脂及び脂肪族ポリエステル共重合体を、表1に示される配合比率でドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30HSST、L/D=42」のホッパーに投入し、吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、バレル温度260℃の条件下、溶融混練し、ペレット化して第一の部材用の熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。実施例4及び比較例4においては、ガラス繊維を二軸押出機のサイドフィ−ダーより供給して、同様にペレット化した。
得られた樹脂組成物ペレットを用い、射出成形機(住友重機械工業社製「型式:SE−50D」)にて、光線透過率、レーザー溶着強度測定用の試験片(長さ128mm、幅13mm、厚さ1mm)を作製した。また、射出成形機(住友重機械工業社製「型式:SG−75MIII」)にて、引張強度測定用及びシャルピー衝撃試験用のISO試験片を作製した。なお、これらの射出成形は、シリンダー温度250℃、金型温度80℃で行った。
前記第一の部材にレーザー溶着する第二の部材用の熱可塑性樹脂組成物としては、それぞれの実施例及び比較例の樹脂組成物に、レーザー吸収性を高めるためのカーボンブラック(三菱化学(株)製「商品名:MA600B」)を0.5重量%配合したものを、前記第一の部材用の熱可塑性樹脂組成物と同様の条件で製造したものを使用した。得られた第二の部材用の熱可塑性樹脂組成物を用い、前記(1)光線透過率測定用試験片と同条件で試験片を作製した。
【0103】
【表1】

【0104】
表1より、特定の脂肪族ポリエステル共重合体を使用することにより、レーザー透過率が向上し、レーザー溶着特性に優れ、機械的物性も良好な樹脂組成物が得られることが明らかになった(実施例1〜8)。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を使用することにより、他の部材と容易に強固なレーザー溶着が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、特にレーザー透過性、レーザー溶着特性、機械的物性が向上し、部材同士がより強固に接着した一体成形品を提供することが可能になった。このような成形品は工業的に広く使用され、特に、電気・電子部品、オフィスオートメート(OA)機器部品、家電機器部品、機械機構部品、車両用機構部品、車両用中空部品等に好適であり、その利用価値は極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、本発明の実施例におけるレーザー溶着強度測定方法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0107】
1 試験片1
2 試験片2
3 レーザー照射箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂(a)と脂肪族ポリエステル共重合体(b)からなる樹脂成分(A)100重量部に対して、強化充填材(B)0〜100重量部を配合してなる樹脂組成物であって、該脂肪族ポリエステル共重合体(b)が、下記(I)式で表される脂肪族オキシカルボン酸単位0〜20モル%、下記(II)式で表される脂肪族又は脂環式ジオール単位40〜50モル%及び下記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位40〜50モル%から成ることを特徴とするレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
【化1】

(式中、Rは2価の脂肪族炭化水素基を示し、Rは2価の脂肪族炭化水素基又は2価の脂環式炭化水素基を示し、Rは直接結合又は2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
【請求項2】
前記(II)式で表される脂肪族又は脂環式ジオール単位のモル%と、前記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位のモル%が、夫々45〜49.5モル%の範囲にある、請求項1に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(II)式におけるRが炭素原子数2〜10の直鎖アルキレン基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキレン基であり、前記(III)式におけるRが直接結合又は炭素原子数1〜10の直鎖アルキレン基である、請求項1又は2に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
強化充填材(B)がガラス繊維である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、着色剤(C)を、熱可塑性樹脂(a)と脂肪族ポリエステル共重合体(b)からなる樹脂成分(A)100重量部に対して0.01〜1重量部含有してなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
レーザー透過側の部材に用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物からなる第一の部材と熱可塑性樹脂組成物からなる第二の部材とを密着させ、前記第一の部材側からレーザー光を照射して溶着させてなる複合成形品。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物からなる第一の部材と熱可塑性樹脂組成物からなる第二の部材とを密着させ、前記第一の部材側からレーザー光を照射して溶着させる工程を含む複合成形品の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−126646(P2010−126646A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303034(P2008−303034)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】