説明

レーザ出射装置及びレーザ加工装置

【課題】メンテナンス性を向上させることが可能なレーザ出射装置を提供する。
【解決手段】信号用レーザ光源21を含む第1のユニットU1(信号用光源ユニット)と、レーザダイオード27及び希土類ドープ光ファイバF3をそれぞれ含む第2及び第3のユニットU2,U3(増幅ユニット)と、レーザダイオード37、希土類ドープ光ファイバF6及びレーザダイオード44をそれぞれ含む第5、第6及び第7のユニットU5〜U7(増幅ユニット)とを、ユニット毎で個別に交換可能に備える。そして、CPU17は、各ユニットU1〜U8の異常状態を検出し、検出されたユニットU1〜U8の異常検出情報(異常状態に関するデータ)を表示部16aに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバ型のレーザ出射装置及びそのレーザ出射装置を備えたレーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファイバ型のレーザ出射装置は、信号用レーザ光を出力する信号用レーザ光源と、信号用レーザ光を励起用レーザ光源からの励起レーザ光により希土類ドープ光ファイバ内において所定の増幅率で増幅させて増幅光として出力する増幅手段を備える。このようなレーザ出射装置では、信号用レーザ光源や増幅手段の異常を検出する異常状態検出手段を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。このような構成によれば、レーザ出射装置に例えばレーザ出力が極端に落ちた等の故障が発生したときに、信号用レーザ光源の異常が原因か又は増幅手段の異常が原因か等、どこの箇所の異常であるかを知ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−114628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなレーザ出射装置では、異常が検出された場合、異常発生箇所の特定は可能であるが、その対策としては、構成上レーザ出射装置全体の交換が必要となってしまい、メンテナンス性の向上の点で改善が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、メンテナンス性を向上させることが可能なレーザ出射装置及びレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、信号用レーザ光を出力する信号用レーザ光源と、前記信号用レーザ光を励起用レーザ光源からの励起レーザ光により希土類ドープ光ファイバ内で増幅させて出力する増幅手段とを備えたレーザ出射装置であって、前記信号用レーザ光源を含む信号用光源ユニットと、前記増幅手段の少なくとも一部を含む増幅ユニットとをそれぞれ個別に、且つ交換可能に備え、前記各ユニットの異常状態を検出する異常状態検出手段と、前記異常状態検出手段にて検出された前記ユニットの異常状態に関するデータを出力可能な出力手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、出力手段から出力されたユニットの異常状態に関するデータを例えば表示装置等に表示させることで、どのユニットで異常が生じたかを確認することが可能となり、異常状態が検出されたユニットを個別に交換することができる。これにより、レーザ出射装置に異常が生じたときに装置全体を交換する必要がなくなるため、メンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーザ出射装置において、前記異常状態検出手段にて検出された前記ユニットの異常状態に関するデータを記憶する異常状態記憶手段を備え、前記出力手段は、前記異常状態検出手段にて検出され前記異常状態記憶手段に記憶された前記ユニットの異常状態に関するデータを出力可能であることを特徴とする。
【0009】
この発明では、異常状態検出手段にて検出されたユニットの異常状態に関するデータを記憶する異常状態記憶手段を備える。これにより、例えば、1つのユニットにおける異常状態の検出回数が所定数に達した場合に、そのユニットの異常状態に関するデータを出力手段にて出力するといった制御が可能となるため、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記異常状態記憶手段には、前記異常状態検出手段にて前記ユニットの異常状態を検出した時点での日時データと、そのユニットの異常状態に関するデータとを対応付けて記憶され、前記出力手段は、前記異常状態記憶手段に対応付けて記憶された前記ユニットの異常状態に関するデータと前記日時データとを出力可能であることを特徴とする。
【0011】
この発明では、ユニットの異常状態に関するデータだけでなく、その異常が生じた日時データが出力手段から出力され、それらのデータを例えば表示装置等に表示させることで、ユニットでの異常発生に関するより詳細な情報を確認することが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ出射装置において、前記出力手段から出力された前記ユニットの異常状態に関するデータを表示するための表示手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
この発明では、出力手段から出力されたユニットの異常状態に関するデータを表示するための表示手段を備えるため、ユーザは表示手段の表示からユニットの異常状態を確認することが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ出射装置において、前記信号用レーザ光源及び前記増幅手段のそれぞれにおける、光出力、温度及び駆動電力の内の少なくとも1種類の駆動状態のデータを取得するデータ取得手段を備え、前記異常状態検出手段は、前記データ取得手段にて取得された前記駆動状態のデータに基づいて前記各ユニットの異常状態を検出することを特徴とする。
【0015】
この発明では、信号用レーザ光源及び増幅手段のそれぞれにおける、光出力、温度及び駆動電力の内の少なくとも1種類の駆動状態のデータに基づき各ユニットの異常状態を好適に検出することが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のレーザ出射装置において、前記駆動状態のデータと、その駆動状態から想定される異常要因に関するデータとを対応付けて記憶する駆動状態記憶手段を備え、前記出力手段は、前記駆動状態記憶手段に対応付けて記憶された前記駆動状態のデータと前記異常要因に関するデータとを出力可能であることを特徴とする。
【0017】
この発明では、駆動状態のデータだけでなく、その駆動状態から例えば装置内で異常が発生した場合には想定される異常要因も例えば表示装置に表示させることが可能となるため、より有用な情報を与えることが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザ出射装置において、前記増幅手段は、前記信号用レーザ光を第1励起用レーザ光源からの励起レーザ光により第1希土類ドープ光ファイバ内で増幅させて第1増幅光として出力する第1増幅部と、前記第1増幅光を第2励起用レーザ光源からの励起レーザ光により第2希土類ドープ光ファイバ内で増幅させて第2増幅光として出力する第2増幅部とを備えていることを特徴とする。
【0019】
この発明では、増幅手段は信号用レーザ光を第1及び第2増幅部で段階的に増幅するため、1つの増幅部によって1段階のみで増幅する構成に比べて効率的に高出力の増幅を行うことが可能となる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、レーザ出射装置から出射されたレーザ光を集光レンズにて加工対象に集光させてその加工対象への加工を行うレーザ加工装置において、前記レーザ出射装置には、請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ出射装置が用いられていることを特徴とする。
【0021】
この発明では、レーザ出射装置に異常が生じたときに装置全体を交換する必要がないため、メンテナンス性を向上されたレーザ加工装置を提供できる。
【発明の効果】
【0022】
従って、上記記載の発明によれば、メンテナンス性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態のレーザ加工装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】レーザマーキング装置の概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のレーザ加工装置10は、本体部11と、本体部11にファイバケーブル12及び電気ケーブル13を介して接続されたヘッド部14と、本体部11に電気ケーブル15を介して接続されたコンソール16とを備えている。
【0025】
本体部11のハウジング11a内には、それぞれが個別に交換可能とされた第1〜第8のユニットU1〜U8が収容されている。また、本体部11には、その第1〜第8のユニットU1〜U8と電気的に接続されたCPU17と、CPU17に電気的に接続されたメモリ18及びシステム時計19とが設けられている。本体部11の各ユニットU1〜U8は、本実施形態のレーザ出射装置の構成要素であり、以下にその詳細を説明する。
【0026】
図2に示すように、信号用光源ユニットとしての第1のユニットU1は、信号用レーザ光を出力する信号用レーザ光源21と、CPU17の制御に基づき信号用レーザ光源21を駆動する駆動回路22と、信号用レーザ光源21に接続され該光源21からの信号用レーザ光を伝達する光ファイバF1とを備えている。また、第1のユニットU1は、光ファイバF1に設けられた光分岐部としてのファイバカプラ23と、そのファイバカプラ23を介して光ファイバF1と接続された受光素子としてのフォトダイオード24と、フォトダイオード24から出力された受光信号をA/D変換してCPU17に出力するA/D変換回路25とを備えている。信号用レーザ光源21から出力された信号用レーザ光は、その出力の数パーセントがファイバカプラ23にてフォトダイオード24側に分岐されて該フォトダイオード24にて受光されるようになっている。
【0027】
第2のユニットU2は、図示しないファイバコネクタを介して第1のユニットU1の光ファイバF1の出射側端部と着脱可能に接続される光ファイバF2を備えている。また、第2のユニットU2は、光ファイバF2に設けられた光結合部としてのファイバカプラ26と、そのファイバカプラ26を介して光ファイバF2と接続された第1励起用レーザ光源としてのレーザダイオード27と、CPU17の制御に基づきレーザダイオード27を駆動する駆動回路28とを備えている。
【0028】
第3のユニットU3は、図示しないファイバコネクタを介して第2のユニットU2の光ファイバF1の出射側端部と着脱可能に接続される希土類ドープ光ファイバF3を備えている。希土類ドープ光ファイバF3は、希土類元素である例えばイッテルビウム(Yb)を含む可撓性を有するガラスファイバであり、図示しないボビンに巻回されることで所要の長さの光路が確保されている。希土類ドープ光ファイバF3の出射側端部近傍にはアイソレータ29が設けられている。アイソレータ29は、希土類ドープ光ファイバF3にて伝送される正方向(図2において右方向)の光は通過させる一方、逆方向の光(戻り光)を遮るようになっている。また、第3のユニットU3は、希土類ドープ光ファイバF3の温度を検出するためのサーミスタ31と、サーミスタ31から出力された検出信号をA/D変換してCPU17に出力するA/D変換回路32とを備えている。
【0029】
第4のユニットU4は、図示しないファイバコネクタを介して第3のユニットU3の希土類ドープ光ファイバF3の出射側端部と着脱可能に接続される光ファイバF4を備えている。また、第4のユニットU4は、光ファイバF4に設けられた光分岐部としてのファイバカプラ33と、そのファイバカプラ33を介して光ファイバF4と接続された受光素子としてのフォトダイオード34と、フォトダイオード34から出力された受光信号をA/D変換してCPU17に出力するA/D変換回路35とを備えている。第3のユニットU3の希土類ドープ光ファイバF3から第4のユニットU4の光ファイバF4に入射されるレーザ光(第1増幅光)は、その出力の一部がファイバカプラ33にてフォトダイオード34側に分岐されて該フォトダイオード34にて受光されるようになっている。
【0030】
第5のユニットU5は、図示しないファイバコネクタを介して第4のユニットU4の光ファイバF4の出射側端部と着脱可能に接続される光ファイバF5を備えている。また、第5のユニットU5は、光ファイバF5に設けられた光結合部としてのファイバカプラ36と、そのファイバカプラ36を介して光ファイバF5と接続された第2励起用レーザ光源としてのレーザダイオード37と、CPU17の制御に基づきレーザダイオード37を駆動する駆動回路38とを備えている。
【0031】
第6のユニットU6は、図示しないファイバコネクタを介して第5のユニットU5の光ファイバF5の出射側端部と着脱可能に接続される希土類ドープ光ファイバF6を備えている。希土類ドープ光ファイバF6は、希土類元素である例えばイッテルビウム(Yb)を含む可撓性を有するガラスファイバであり、図示しないボビンに多数回巻回されることで所要の長さの光路(前記希土類ドープ光ファイバF3よりも長い光路)が確保されている。また、第6のユニットU6は、希土類ドープ光ファイバF6の温度を検出するためのサーミスタ41と、サーミスタ41から出力された検出信号をA/D変換してCPU17に出力するA/D変換回路42とを備えている。
【0032】
第7のユニットU7は、図示しないファイバコネクタを介して第6のユニットU6の希土類ドープ光ファイバF6の出射側端部と着脱可能に接続される光ファイバF7を備えている。また、第7のユニットU7は、光ファイバF7に設けられた光結合部としてのファイバカプラ43と、そのファイバカプラ43を介して光ファイバF7と接続された第2励起用レーザ光源としてのレーザダイオード44と、CPU17の制御に基づきレーザダイオード44を駆動する駆動回路45とを備えている。
【0033】
第8のユニットU8は、図示しないファイバコネクタを介して第7のユニットU7の光ファイバF7の出射側端部と着脱可能に接続される光ファイバF8と、光ファイバF8に設けられた光結合部としてのファイバカプラ46とを備えている。また、第8のユニットU8は、ファイバカプラ46からの光を減光するための減光フィルタ47(NDフィルタ)と、減光フィルタ47にて減光された光を受光する受光素子としてのフォトダイオード48と、フォトダイオード48から出力された受光信号をA/D変換してCPU17に出力するA/D変換回路49とを備えている。第7のユニットU7の光ファイバF7から第8のユニットU8の光ファイバF8に入射されるレーザ光(第2増幅光)は、その出力の一部がファイバカプラ46にて減光フィルタ47側に分岐され、該減光フィルタ47を介してフォトダイオード48で受光されるようになっている。第8のユニットU8の光ファイバF8の出射側端部は、前記ファイバケーブル12の入射側端部と図示しないファイバコネクタを介して着脱可能に接続されるようになっている。
【0034】
上記のように構成されたレーザ出射装置(第1〜第8ユニットU1〜U8)における信号用レーザ光の増幅態様について説明する。
上記レーザ出射装置では、第2のユニットU2のレーザダイオード27と第3のユニットU3の希土類ドープ光ファイバF3とが第1増幅部(増幅手段)を構成している。レーザダイオード27から出射された励起レーザ光は、ファイバカプラ26及び光ファイバF2を介して希土類ドープ光ファイバF3に入射する。すると、その励起レーザ光によって希土類ドープ光ファイバF3内の希土類元素が励起状態とされる。この状態で、信号用レーザ光源21から出射された信号用レーザ光が光ファイバF1,F2を介して希土類ドープ光ファイバF3に入射されると、その信号用レーザ光は、希土類ドープ光ファイバF3内において第1増幅率で増幅(予備増幅)される。そして、その予備増幅されたレーザ光は、アイソレータ29を介して希土類ドープ光ファイバF3の出射側端部から第1増幅光として出力される。尚、第1増幅光の光強度は、ワークWへの印字が可能なレベルよりも低く設定されている。
【0035】
また、第5及び第7のユニットU5,U7のレーザダイオード37,44と第6のユニットU6の希土類ドープ光ファイバF6とが第2増幅部(増幅手段)を構成している。レーザダイオード37から出射された励起レーザ光は、ファイバカプラ36及び光ファイバF5を介して希土類ドープ光ファイバF6の入射側端部(図2において左側端部)から入射する。また、レーザダイオード44から出射された励起レーザ光は、ファイバカプラ43を介して希土類ドープ光ファイバF6の出射側端部(図2において右側端部)から入射する。すると、その各レーザダイオード37,44からの励起レーザ光によって希土類ドープ光ファイバF6内の希土類元素が励起状態とされる。この状態で、第3のユニットU3の希土類ドープ光ファイバF3からの第1増幅光が、光ファイバF4,F5を介して希土類ドープ光ファイバF6に入射されると、その第1増幅光は、希土類ドープ光ファイバF6内において前記予備増幅での第1増幅率よりも高い第2増幅率で増幅(主増幅)される。そして、その主増幅されたレーザ光は、希土類ドープ光ファイバF6の出射側端部から第2増幅光として出力される。希土類ドープ光ファイバF6から出力された第2増幅光は、光ファイバF7,F8及びファイバケーブル12を介してヘッド部14に伝達される。
【0036】
ヘッド部14は、ファイバケーブル12から出射されるレーザ光(第2増幅光)を平行光あるいは収束光に絞るコリメータレンズ51を備えている。コリメータレンズ51を通じて絞られたレーザ光は、ヘッド部14に設けられた光走査機構52によって所要の方向に反射される。光走査機構52は、レーザ光を反射する2つのガルバノミラーを有して構成されるものであって、各ガルバノミラーの傾斜角度を変化させることにより、コリメータレンズ51を通じて絞られたレーザ光を所要の方向に走査させるものである。尚、ヘッド部14には、CPU17の制御に基づき光走査機構52を駆動する駆動回路53が設けられている。光走査機構52にて反射されたレーザ光は、集光レンズ54によりスポットレーザ光に絞り込まれる。そして、絞り込まれたレーザ光LがワークW(加工対象)の表面上を走査することにより所望のマーキングが行われる。
【0037】
本体部11に接続されたコンソール16には、CPU17とそれぞれ電気的に接続された表示部16aと操作部16bが設けられている。CPU17には、操作部16bにて設定された加工情報が入力され、CPU17は、その加工情報に基づいて本体部11及びヘッド部14を駆動させる。また、CPU17は、時刻を計っているシステム時計19から日時データを取得可能となっている。
【0038】
上記のように構成されたレーザ加工装置10におけるCPU17の制御態様について説明する。
CPU17は、前記加工情報に基づいて信号用レーザ光源21から信号用レーザ光を出力させる。この信号用レーザ光の出力のタイミングに同期して、CPU17は駆動回路28,38,45を制御して各レーザダイオード27,37,44から励起レーザ光を出力させるとともに、駆動回路22,28,38,45の駆動電力に基づく電力情報Dp1〜Dp4をそれぞれ取得する。尚、この電力情報Dp1〜Dp4は、電圧又は電流の一方から得ることが可能である。CPU17は、取得した各電力情報Dp1〜Dp4と、取得した時点の日時データとを対応付けてメモリ18に記憶させる。そして、CPU17は、駆動回路22,28,38,45の電力情報Dp1〜Dp4に基づき、第1のユニットU1、第2のユニットU2、第5のユニットU5及び第7のユニットU7のそれぞれの異常判定を行う。詳しくは、駆動電力が所定の上限レベルを超えたとき、又は駆動電力が所定の下限レベルを下回ったとき、又は駆動電力の単位時間当たりの変動が所定量を超えたときに異常が生じたと判定する。
【0039】
また、CPU17は、信号用レーザ光の出力のタイミングに同期してサーミスタ31,41から出力された検出信号をそれぞれ取得し、その取得した各検出信号に基づく温度情報Dt1,Dt2と取得した時点の日時データとを対応付けてメモリ18に記憶させる。そして、CPU17は、サーミスタ31,41の温度情報Dt1,Dt2に基づいて第3のユニットU3及び第6のユニットU6のそれぞれの異常判定を行う。詳しくは、検出信号が所定の上限レベルを超えたとき、又は検出信号が所定の下限レベルを下回ったとき、又は検出信号の単位時間当たりの変動が所定量を超えたときに異常が生じたと判定する。
【0040】
また、CPU17は、信号用レーザ光の出力のタイミングに同期して、信号用レーザ光源21から出力された信号用レーザ光の一部を受光するフォトダイオード24から出力された受光信号を取得し、その取得した受光信号に基づく光出力情報Dh1と取得した時点の日時データとを対応付けてメモリ18に記憶させる。そして、CPU17は、フォトダイオード24の光出力情報Dh1に基づいて第1のユニットU1の異常判定を行う。詳しくは、受光信号が所定の上限レベルを超えたとき、又は受光信号が所定の下限レベルを下回ったとき、又は受光信号の単位時間当たりの変動が所定量を超えたときに異常が生じたと判定する。
【0041】
また、CPU17は、信号用レーザ光の出力のタイミングに同期して、第1増幅光の一部を受光するフォトダイオード34及び第2増幅光の一部を受光するフォトダイオード48からそれぞれ出力された受光信号を取得し、その取得した各受光信号に基づく光出力情報Dh2,Dh3と取得した時点の日時データとを対応付けてメモリ18に記憶させる。
【0042】
CPU17は、フォトダイオード34からの受光信号が所定の下限レベルを下回ったとき、又は受光信号が所定の上限レベルを超えたとき、又は受光信号の単位時間当たりの変動が所定量を超えたときに、第1増幅光の出力が異常状態であると判定する。そして、このように第1増幅光の出力異常を検知したとき、CPU17は、フォトダイオード34の光出力情報Dh2だけでなく、駆動回路22,28の電力情報Dp1,Dp2、サーミスタ31の温度情報Dt1及びフォトダイオード24の光出力情報Dh1も複合的に考慮して第1〜第4のユニットU1〜U4の少なくとも1つのユニットに異常が生じたと判定する。
【0043】
また、CPU17は、フォトダイオード48からの受光信号が所定の下限レベルを下回ったとき、又は受光信号が所定の上限レベルを超えたとき、又は受光信号の単位時間当たりの変動が所定量を超えたときに、第2増幅光の出力が異常状態であると判定する。そして、このように第2増幅光の出力異常を検知したとき、CPU17は、フォトダイオード48の光出力情報Dh3だけでなく、駆動回路22,28,38,45の電力情報Dp1〜Dp4、サーミスタ31,41の温度情報Dt1,Dt2及びフォトダイオード24,34の光出力情報Dh1,Dh2も複合的に考慮して第1〜第8のユニットU1〜U8の少なくとも1つのユニットに異常が生じたと判定する。
【0044】
CPU17は、ユニットU1〜U8のいずれかの異常を検出すると、そのユニットに異常が生じた旨を示すデータ(異常状態に関するデータであって、異常検出情報)と、その異常を検出した時点での日時データとを対応付けてメモリ18に記憶させる。そして、CPU17は、メモリ18に対応付けて記憶させた異常検出情報と日時データとを表示部16aに表示させる。
【0045】
これにより、表示部16aに表示された異常検出情報と日時データとから、ユニットU1〜U8のうちのどのユニットで、いつ異常が生じたかを確認することが可能となっている。そして、例えば、それを確認したユーザが、異常状態が検出されたユニットを正常動作する新しいものと交換することが可能となっている。このため、故障時にレーザ出射装置全体を交換する必要がなく、その結果、メンテナンス性の向上、及び交換時の低コスト化が可能となっている。
【0046】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)信号用レーザ光源21を含む第1のユニットU1(信号用光源ユニット)と、レーザダイオード27及び希土類ドープ光ファイバF3をそれぞれ含む第2及び第3のユニットU2,U3(増幅ユニット)と、レーザダイオード37、希土類ドープ光ファイバF6及びレーザダイオード44をそれぞれ含む第5〜第7のユニットU5〜U7(増幅ユニット)とを、ユニット毎で個別に交換可能に備える。CPU17は、各ユニットU1〜U8の異常状態を検出し、検出されたユニットU1〜U8の異常検出情報(異常状態に関するデータ)を表示部16aに出力して、該表示部16aに表示させる。これにより、表示部16aに表示された異常検出情報から、ユニットU1〜U8のうちのどのユニットに異常が生じたかを確認することが可能となる。従って、例えば、それを確認したユーザが、異常状態が検出されたユニットを正常動作する新しいものと交換することが可能となるため、故障時にレーザ出射装置全体を交換する必要がなく、その結果、メンテナンス性の向上、及び交換時の低コスト化が可能となる。
【0047】
(2)CPU17は、駆動状態のデータ(電力情報Dp1〜Dp4、温度情報Dt1,Dt2及び光出力情報Dh1〜Dh3)を取得し、その駆動状態のデータに基づいて各ユニットU1〜U8の異常状態を検出する。このため、駆動状態のデータに基づいて各ユニットU1〜U8の異常状態を好適に検出することが可能となる。
【0048】
(3)CPU17は、ユニットU1〜U8の異常状態を検出した時点の日時データと、そのユニットの異常検出情報とを対応付けてメモリ18に記憶させ、その対応付けて記憶された異常検出情報と日時データとを表示部16aに出力してその両方を表示させる。これにより、ユニットU1〜U8での異常発生に関するより詳細な情報を確認することが可能となる。
【0049】
(4)本実施形態の増幅手段は、信号用レーザ光をレーザダイオード27からの励起レーザ光により希土類ドープ光ファイバF3内で増幅させて第1増幅光として出力する第1増幅部と、第1増幅光をレーザダイオード37,44からの励起レーザ光により希土類ドープ光ファイバF6内で増幅させて第2増幅光として出力する第2増幅部とを備える。即ち、増幅手段は信号用レーザ光を第1及び第2増幅部で段階的に増幅するため、1つの増幅部によって1段階のみで増幅する構成に比べて効率的に高出力の増幅を行うことが可能となる。
【0050】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態における各ユニットU1〜U8の構成は適宜変更してもよい。例えば、第1のユニットU1において、信号用レーザ光源21及び駆動回路22で1つのユニットを構成するとともに、ファイバカプラ23、フォトダイオード24及びA/D変換回路25で1つのユニットを構成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、第1増幅部(予備増幅部)の構成要素を含む箇所を2つのユニット(第2及び第3のユニットU2,U3)で構成しているが、1つ又は3つ以上のユニットで構成してもよい。第2増幅部(主増幅部)についても同様に、その構成要素を含む箇所を3つのユニット(第5〜第7のユニットU5〜U7)で構成しているが、2つ以下又は4つ以上のユニットで構成してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、本体部11に第1〜第8のユニットU1〜U8の全てを設ける構成としたが、これに特に限定されるものではなく、ユニットU1〜U8の一部をヘッド部14側に設けてもよい。
【0053】
例えば、第2増幅部(主増幅部)の構成要素を含む第5〜第7のユニットU5〜U7と、その第2増幅部の光出力を検出するための第8のユニットU8とをヘッド部14側に設ける構成としてもよい。また、第5及び第7のユニットU5,U7のファイバカプラ36,43を第6のユニットU6に設けるとともに、その第6のユニットU6をヘッド部14側に設け、本体部11側のレーザダイオード37,44からの励起レーザ光をヘッド部14側に伝送して、そのヘッド部14側の第6のユニットU6のファイバカプラ36,43に出射するように構成してもよい。
【0054】
これらの構成では、本体部11側では予備増幅のみを行い、その光出力(第1増幅光)をファイバケーブル12を介してヘッド部14に伝達し、最終的なレーザ光の増幅(主増幅)をヘッド部14側で行うことができる。そのため、本体部11において増幅された光がファイバケーブル12でヘッド部14に伝送される際、ラマン散乱が発生することが抑制される。従ってラマン散乱に起因する印字品質の低下を抑制することができる。
【0055】
ここで、ラマン散乱とは、一般に、単色光であるレーザ光をファイバケーブル(伝送用光ファイバ)に入射させた場合に、入射したレーザ光とは異なる波長の散乱光が生じる現象である。この現象のため、ファイバケーブルから出射されたレーザ光は、複数の波長を有するレーザ光となる。そして、ファイバケーブルから出射されたレーザ光が複数の波長を有するレーザ光になると、集光レンズでの屈曲率が波長によって異なるため、ワーク(加工対象)に照射されるレーザ光の焦点がぼけてしまう。因みに、この現象は極めて高い光強度のレーザ光をファイバケーブルにて伝送する場合に特に顕著に現れる。従って、加工可能な高いレベルに増幅したレーザ光(増幅光)をファイバケーブルにて伝送する構成では、ラマン散乱の影響が大きいために、ワークでのレーザ光の焦点ぼけが顕著となってしまい、印字品質が低下するという問題が出てくる。そこで、その対策として、本体部11で予備増幅した印字不能な低パワーのレーザ光(第1増幅光)をファイバケーブル12にてヘッド部14に伝送し、ヘッド部14において印字可能な高パワーのレーザ光(第2増幅光)に増幅する構成がより好ましい。
【0056】
・上記実施形態では、駆動状態のデータ(光出力情報Dh1〜Dh3、電力情報Dp1〜Dp4及び温度情報Dt1,Dt2)に基づき各ユニットU1〜U8の異常状態をCPU17にて判定する構成としたが、これに加えて、駆動状態のデータから想定される異常要因に関するデータをメモリ18に記憶してメモリ18からその異常要因に関するデータを日時データと対応付けて出力可能としてもよい。
【0057】
例えば、CPU17は、検知した各種の駆動状態のデータを個々で考慮、又は各種の駆動状態のデータを複合的に考慮して駆動状態のデータから想定される異常要因をシステム時計19の日時データとともにメモリ18に記憶させる。また、その異常要因をCPU17によりコンソール16の表示部16aに表示させてもよい。
【0058】
ここで、各種の駆動状態のデータ(光出力情報Dh1〜Dh3、電力情報Dp1〜Dp4及び温度情報Dt1,Dt2)から想定される異常要因の想定方法について説明する。
CPU17は、フォトダイオード24の光出力情報Dh1が異常値を示す場合には、信号用レーザ光源21が異常要因であると判定し、その旨を含んだ異常要因のデータがメモリ18に記憶される。
【0059】
また、CPU17は、フォトダイオード34の光出力情報Dh2が異常値を示す場合には、このフォトダイオード34よりも前段側(第1〜第3のユニットU1〜U3)の何かしらに異常要因があると判定する。
【0060】
このとき、例えばフォトダイオード24の光出力情報Dh1が正常範囲内の場合には、CPU17は、第2及び第3のユニットU2,U3が異常要因である可能性が高いと判定し、その旨を含んだ異常要因のデータがメモリ18に記憶される。
【0061】
また、このとき、サーミスタ31の温度情報Dt1及び駆動回路28の電力情報Dp2のいずれか一方が異常値を示す場合、CPU17は更に異常要因を想定してもよい。即ち、光出力情報Dh2及び温度情報Dt1が異常値を示す場合には、CPU17は、希土類ドープ光ファイバF3が異常要因であると想定して、その異常要因に関するデータを駆動状態のデータを取得した日時データとともにメモリ18に記憶させる。また、光出力情報Dh2及び電力情報Dp2が異常値を示す場合には、CPU17は駆動回路28及びレーザダイオード27の少なくとも一方が異常要因であると想定して、その異常要因に関するデータを駆動状態のデータを取得した日時データとともにメモリ18に記憶させる。
【0062】
一方、フォトダイオード24の光出力情報Dh1も異常値を示す場合には、CPU17は、第1〜第3のユニットU1〜U3の少なくとも一部が異常要因であると想定し、その旨を含んだ異常要因に関するデータをメモリ18に記憶させる。
【0063】
CPU17は、フォトダイオード48の光出力情報Dh3が異常値を示す場合には、このフォトダイオード48よりも前段側(第1〜第7のユニットU1〜U7)に何かしらの異常要因があると判定する。
【0064】
このとき、例えば各フォトダイオード24,34の光出力情報Dh1,Dh2が正常範囲内である時には、第5〜第7のユニットU5〜U7の少なくとも一部が異常要因であると想定し、その旨を含んだ異常要因に関するデータをメモリ18に記憶させる。
【0065】
また、このとき、サーミスタ41の温度情報Dt2及び駆動回路38,45の電力情報Dp3,Dp4の少なくとも1つが異常値を示す場合、CPU17は更に異常要因を想定してもよい。即ち、光出力情報Dh3及び温度情報Dt2が異常値を示す場合には、CPU17は、希土類ドープ光ファイバF6が異常要因と想定して、その異常要因に関するデータを駆動状態のデータを取得した日時データとともにメモリ18に記憶させる。また、光出力情報Dh3及び電力情報Dp3が異常値を示す場合には、CPU17は、駆動回路38及びレーザダイオード37の少なくとも一方が異常要因であると想定して、その異常要因に関するデータを駆動状態のデータを取得した日時データとともにメモリ18に記憶させる。更に、光出力情報Dh3及び電力情報Dp4が異常値を示す場合には、CPU17は、駆動回路45及びレーザダイオード44の少なくとも一方が異常要因であると想定して、その異常要因に関するデータを駆動状態のデータを取得した日時データとともにメモリ18に記憶させる。
【0066】
一方、フォトダイオード24,34の光出力情報Dh1,Dh2も異常値を示す時には、CPU17は、第1〜第7のユニットU1〜U7の少なくとも一部が異常要因であると想定し、その旨を含んだ異常要因に関するデータをメモリ18に記憶させる。
【0067】
上述したように、CPU17では、駆動状態のデータ(光出力情報Dh1〜Dh3、電力情報Dp1〜Dp4及び温度情報Dt1,Dt2)から異常要因を想定して、メモリ18に異常要因に関するデータを記憶させることができる。このため、メモリ18に記憶された駆動状態のデータと異常要因に関するデータをCPU17にて表示装置(例えば表示部16a)に表示させてメーカ側で確認することができる。また、ユーザ側でも表示部16aに表示させて確認することが可能となるため、より有用な情報を与えることが可能となる。
【0068】
尚、上記構成では、駆動状態のデータを記憶する駆動状態記憶手段としてのメモリと、ユニットU1〜U8の異常状態に関するデータを記憶する異常状態記憶手段としてのメモリとを同一のメモリ18としたが、これに限らず、それぞれ別のメモリで構成してもよい。
【0069】
・上記実施形態において、ユニットU1〜U8毎の異常状態の検出回数をCPU17にてカウントし、そのカウント数が所定数に達したときにその異常状態の検出回数が所定数に達したユニットの異常状態に関するデータを例えば表示部16aに出力して表示させるようにしてもよい。このような構成によれば、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0070】
・上記実施形態並びに上記構成では、CPU17と電気的に接続されるメモリ18に異常検出情報や日時データ、並びに駆動状態のデータ(光出力情報Dh1〜Dh3、電力情報Dp1〜Dp4及び温度情報Dt1,Dt2)を記憶する構成としたが、メモリ18以外に記憶する構成としてもよい。具体的には、SDカードやCFカード等の着脱可能な外部の記憶媒体に記憶させたり、パソコン等の外部機器を通信ケーブル(USBケーブルやRS−232Cケーブルなど)で接続してパソコン側に記憶させたりする構成としてもよい。要は、少なくとも前記駆動状態のデータや日時データを出力できる構成であればよい。
【0071】
・上記実施形態並びに上記構成では、第2増幅部(第5〜第7のユニットU5〜U7)における第2増幅率が第1増幅部(第2及び第3のユニットU2,U3)における第1増幅率よりも高い設定としたが、これに限らない。例えば、第1増幅率と第2増幅率とが同程度の増幅率としてもよく、又は第1増幅率が第2増幅率よりも高い設定としてもよい。
【0072】
・上記実施形態並びに上記構成では、コンソール16を本体部11に接続する構成としたが、省略する構成を採用してもよい。また、コンソール16の代わりにパソコン等の他の外部機器を接続可能な外部接続部(コネクタ)を本体部11に設けて、この外部接続部に外部機器を接続して外部機器にてコンソール16と同等の役割をさせてもよい。
【0073】
・上記実施形態では、表示手段としての表示部16aをコンソール16に設ける構成としたが、ヘッド部14及び本体部11の少なくとも一方に表示部16a(表示手段)を設ける構成を採用してもよい。また、表示部16aを省略した構成を採用してもよい。
【0074】
・上記実施形態では、システム時計19がレーザ加工装置10に内蔵された構成としたが、これに限らず、例えば生産ラインのコントロール装置やホストコンピュータ等の外部機器のシステム時計から日時データを取得する構成であってもよい。
【0075】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 請求項7に記載のレーザ出射装置において、
前記レーザ出射装置は、前記第2増幅部から出力された前記第2増幅光を集光レンズにて加工対象に集光させてその加工対象への加工を行うレーザ加工装置に用いられるものであり、
前記レーザ加工装置は、前記信号用レーザ光源及び前記第1増幅部を備えた本体部と、前記第2増幅部及び前記集光レンズを備え前記本体部にファイバケーブルを介して接続されたヘッド部と
を備え、前記第1増幅部は、前記加工対象への加工が不能なレベルに増幅した前記第1増幅光を前記ファイバケーブルを介して前記ヘッド部の前記第2増幅部に出力し、
前記第2増幅部は、前記第1増幅光を前記加工対象への加工が可能なレベルまで増幅して前記第2増幅光として出力することを特徴とするレーザ出射装置。
【0076】
これにより、本体部側の第1増幅部で弱い増幅(予備増幅)を行い、その光出力(第1増幅光)をファイバケーブルを介してヘッド部に伝送し、最終的な加工対象への加工が可能なレベルへの増幅(主増幅)をヘッド部側の第2増幅部で行うことができる。そのため、本体部において増幅された光がファイバケーブルでヘッド部に伝送される際、ラマン散乱が発生することが抑制される。従ってラマン散乱に起因する印字品質の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0077】
10…レーザ加工装置、16a…表示部(表示手段)、17…CPU(異常状態検出手段、出力手段及びデータ取得手段)、18…メモリ(異常状態記憶手段及び駆動状態記憶手段)、21…信号用レーザ光源、22,28,38,45…駆動回路(データ取得手段)、24,34,48…フォトダイオード(データ取得手段)、27…第1増幅部(増幅手段)を構成する第1励起用レーザ光源としてのレーザダイオード、31,41…サーミスタ(データ取得手段)、37,44…第2増幅部(増幅手段)を構成する第2励起用レーザ光源としてのレーザダイオード、51…コリメータレンズ、53…集光レンズ、Dh1〜Dh3…光出力情報(駆動状態のデータ)、Dp1〜Dp4…電力情報(駆動状態のデータ)、Dt1,Dt2…温度情報(駆動状態のデータ)、F3…第1増幅部(増幅手段)を構成する希土類ドープ光ファイバ(第1希土類ドープ光ファイバ)、F6…第2増幅部(増幅手段)を構成する希土類ドープ光ファイバ(第2希土類ドープ光ファイバ)、U1…第1のユニット(信号用光源ユニット)、U2,U3…第2及び第3のユニット(増幅ユニット)、U5〜U7…第5〜第7のユニット(増幅ユニット)、L…レーザ光、W…ワーク(加工対象)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号用レーザ光を出力する信号用レーザ光源と、
前記信号用レーザ光を励起用レーザ光源からの励起レーザ光により希土類ドープ光ファイバ内で増幅させて出力する増幅手段と
を備えたレーザ出射装置であって、
前記信号用レーザ光源を含む信号用光源ユニットと、前記増幅手段の少なくとも一部を含む増幅ユニットとをそれぞれ個別に、且つ交換可能に備え、
前記各ユニットの異常状態を検出する異常状態検出手段と、
前記異常状態検出手段にて検出された前記ユニットの異常状態に関するデータを出力可能な出力手段と
を備えていることを特徴とするレーザ出射装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ出射装置において、
前記異常状態検出手段にて検出された前記ユニットの異常状態に関するデータを記憶する異常状態記憶手段を備え、
前記出力手段は、前記異常状態検出手段にて検出され前記異常状態記憶手段に記憶された前記ユニットの異常状態に関するデータを出力可能であることを特徴とするレーザ出射装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ出射装置において、
前記異常状態記憶手段には、前記異常状態検出手段にて前記ユニットの異常状態を検出した時点での日時データと、そのユニットの異常状態に関するデータとを対応付けて記憶され、
前記出力手段は、前記異常状態記憶手段に対応付けて記憶された前記ユニットの異常状態に関するデータと前記日時データとを出力可能であることを特徴とするレーザ出射装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ出射装置において、
前記出力手段から出力された前記ユニットの異常状態に関するデータを表示するための表示手段を備えていることを特徴とするレーザ出射装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ出射装置において、
前記信号用レーザ光源及び前記増幅手段のそれぞれにおける、光出力、温度及び駆動電力の内の少なくとも1種類の駆動状態のデータを取得するデータ取得手段を備え、
前記異常状態検出手段は、前記データ取得手段にて取得された前記駆動状態のデータに基づいて前記各ユニットの異常状態を検出することを特徴することを特徴とするレーザ出射装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザ出射装置において、
前記駆動状態のデータと、その駆動状態から想定される異常要因に関するデータとを対応付けて記憶する駆動状態記憶手段を備え、
前記出力手段は、前記駆動状態記憶手段に対応付けて記憶された前記駆動状態のデータと前記異常要因に関するデータとを出力可能であることを特徴とするレーザ出射装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザ出射装置において、
前記増幅手段は、
前記信号用レーザ光を第1励起用レーザ光源からの励起レーザ光により第1希土類ドープ光ファイバ内で増幅させて第1増幅光として出力する第1増幅部と、
前記第1増幅光を第2励起用レーザ光源からの励起レーザ光により第2希土類ドープ光ファイバ内で増幅させて第2増幅光として出力する第2増幅部と
を備えていることを特徴とするレーザ出射装置。
【請求項8】
レーザ出射装置から出射されたレーザ光を集光レンズにて加工対象に集光させてその加工対象への加工を行うレーザ加工装置において、
前記レーザ出射装置には、請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ出射装置が用いられていることを特徴とするレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−253102(P2012−253102A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122850(P2011−122850)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】