説明

レーザ利用のためのGAN基板を用いた光学素子構造

光学素子は、(000−1)に向かって約−2度乃至約2度の配向および(11−20)に向かって約0.5度未満の配向を特徴とするm個の面の無極性結晶性表面領域を有する窒化ガリウム基板部材を含んでいる。この素子は、m個の面の無極性結晶性配向表面領域の一部を被覆して形成されるレーザ縞領域も有している。第1の劈開c面が、上記レーザ縞領域の一端に設けられており、第2の劈開c面が、上記レーザ縞領域の他端に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子およびおよび関連方法に関する。より詳細には、本発明は、無極性ガリウム含有基板(例えば、GaN、MN、InN、InGaN、AlGaN、およびAlInGaN)などを用いて電磁放射を出射する方法および素子を提供する。ひとえに例示目的のために、本発明は、光学素子、レーザ、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解および水素発生、光検出器、集積回路およびトランジスタなどに適用可能である。なお、本出願は、米国シリアル番号第61/168,926号(弁理士ドケット番号第027600−000200US)(出願日:2009年4月13日)および米国シリアル番号第61/243,502号(弁理士ドケット番号第027600−001300US)(出願日:2009年9月17日)に対する優先権を主張する。同文献はそれぞれ、同一譲受人に譲渡され、同文献それぞれを参考のため援用する。
【背景技術】
【0002】
1800年代後半において、トーマスエジソンが電球を発明した。従来の電球は「エジソン電球」と呼ばれ、多様な用途(例えば、照明およびディスプレイ)のために百年を超える期間にわたって利用されてきた。従来の電球の場合、タングステンフィラメントがガラス球中に封入され、ガラス球がベース中に密封され、ベースがソケットにねじ込まれている。前記ソケットは、AC電力またはDC電源に接続される。従来の電球は、広く家庭、建物および屋外照明、および他の照明またはディスプレイを必要とするエリアにおいてみられることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のエジソン電球の場合、残念なことに以下のような欠陥が存在する。先ず、従来の電球は効率が悪く、従来の電球によって利用されるエネルギーのうち約90%を超えるエネルギーが、光学エネルギーとしてではなく熱として消散される。次に、従来の電球の場合、実際の能力よりも信頼性が低く、フィラメント要素の熱膨張および熱収縮に起因して故障することが多い。さらに、従来の電球は、広範なスペクトルに渡って発光し、このようなスペクトルのうちほとんどは、明るい照明に利用されず、また、ヒトの目のスペクトル感度に起因して知覚もされない。また、従来の電球は全方向に発光し、高い方向性または集束(例えば、投写型ディスプレー、光学データ保存、または特殊な方向への照明)などの用途には不向きである。
【0004】
1960年、レーザがTheodoreH.Maiman(Hughes Research Laboratories、Malibu)によって初めて実証された。このレーザでは、固体フラッシュランプ励起合成ルビー結晶を用いて、赤色レーザ光が694nmにおいて発生された。1964年までには、アルゴンイオンレーザと呼ばれるガスレーザ設計を用いた青色レーザ出力および緑色レーザ出力が、William Bリッジs(Hughes Aircraft)によって実証された。このAr−ionレーザの場合、活性媒体として希ガスを用いており、UV波長、青色波長および緑色波長(例えば、351nm、454.6nm、457.9nm、465.8nm、476.5nm、488.0nm、496.5nm、501.7nm、514.5nm、および528.7nm)においてレーザ光出力を発生させる。前記Ar−ionレーザの利点として、高方向性および高集束性の光を狭スペクトル出力で発生させることが可能な点があるが、レーザの効率、サイズ、重量およびコストは望ましいものではない。
【0005】
レーザ技術の発展と共に、より効率的なランプ励起固体レーザ設計が赤色波長および赤外波長向けに開発されたが、これらの技術においても、青色レーザおよび緑色レーザおよび青色レーザにおいて問題が残っている。そのため、ランプ励起固体レーザ赤外線において発生され、非線形の光学特性を有する特殊結晶を用いて出力波長が可視波長に変換させれる。緑色ランプ励起固体レーザは、以下の3段階を有する。つまり、電力がランプに供給されると、ランプは利得結晶を励起し、前記利得結晶は1064nmにおいてレーザ出力し、1064nmは周波数変換結晶となり、可視532nmへと変換される。その結果得られた緑色レーザおよび青色レーザは、「第二高調波発生型ランプ励起固体レーザ」(LPSS with SHG)と呼ばれ、Ar−ionガスレーザよりも高効率ではあるものの、それでも、特殊な科学用途および医療用途以外の広範囲の利用を実現するには効率、大きさおよび脆弱性の上で問題がある。その上、固体レーザにおいて用いられる利得結晶は典型的にはエネルギー保存特性を有しているため、レーザ変調を高速で行うのが困難であり、そのため広範な利用が限定される。
【0006】
これらの可視レーザの効率を向上させるため、高出力のダイオード(または半導体)レーザが利用された。これらの「SHG型ダイオード励起固体レーザ」(DPSS with SHG)では、以下の3段階が用いられる。つまり、電力が808nmダイオードレーザに供給されると、808nmが利得結晶を励起し、前記利得結晶が1064nmにおいてレーザを発生させ、1064nmが周波数変換結晶となり、可視光532nmへと変換される。このDPSSレーザ技術は、LPSSレーザの長寿命および高効率を利用しており、さらなる商用化により、ハイエンドの特殊な産業用途、医療用途および科学用途に繋がった。しかし、ダイオード励起への変更に起因して、システムコストが上昇し、温度制御の高精度化も必要となり、その結果、レーザのサイズおよび電力消費が有意となった。よって、上気の技術においても、エネルギー保存問題に対応できておらず、レーザの高速変調が困難となっている。
【0007】
高い出力レーザダイオードの発展および新規の特殊SHG結晶の発展と共に、赤外ダイオードレーザ出力を直接変換して青色レーザ光出力および緑色レーザ光出力を得ることが可能となっている。これらの「直接二倍型ダイオードレーザ」またはSHGダイオードレーザでは、以下の2段階が用いられる。つまり、電力が1064nm半導体レーザに供給され、1064nmが周波数変換結晶となり、周波数変換結晶が可視532nm緑色光となる。これらのレーザ設計は、効率、コストおよびサイズをDPSS−SHGレーザよりも向上させることを意図したものであるものの、特殊なダイオードおよび結晶に起因して、この意図の実現が困難となっている。その上、ダイオード−SHGレーザの場合、直接変調という利点があるものの、温度への感度が高いため、用途が限定されてしまう。

【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、主に光学素子に関連する技術を提供する。より詳細には、本発明は、無極性または半極性のガリウム含有基板(例えば、GaN、MN、InN、InGaN、AlGaN、およびAlInGaNなど)を用いて電磁放射を出射する方法および素子を提供する。特定の実施形態において、前記電磁放射の波長は、405、450、485、500、520ナノメートルである。本発明は、光学素子、レーザ、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解および水素発生、光検出器、集積回路およびトランジスタなどの素子に適用可能である。
【0009】
特定の実施形態において、光学素子が提供される。前記光学素子は、窒化ガリウム基板部材を含む。前記窒化ガリウム基板部材は、m個の面の無極性結晶性表面領域を有する。前記領域は、(000−1)に向かって約−2度〜約2度の配向および(11−20)に向かって約0.5度未満の配向により、特徴付けられる。前記結晶性表面は、ミスカットとして特徴付けられ得、ゼロ度のカット方向を含まない。また、前記素子は、レーザ縞領域を有する。前記レーザ縞領域は、前記m個の面の無極性結晶性配向表面領域の一部を被覆した様態で形成される。好適な実施形態において、前記レーザ縞領域は、キャビティ配向により、特徴付けられる。前記キャビティ配向は、前記c方向に対して実質的に平行であり、前記レーザ縞領域は、第1の端部および第2の端部を有する。前記素子は、前記レーザ縞領域の前記第1の端部上に設けられた第1の劈開c面を含む。前記第1の劈開c面は好適には、レーザスクライブ領域を含む。また、前記素子は、前記レーザ縞領域の前記第2の端部上に設けられた第2の劈開c面を有する。特定の実施形態において、前記第2の劈開c面は、レーザスクライブ領域を含む点によっても特徴付けられる。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記光学素子は、窒化ガリウム基板部材を含む。前記窒化ガリウム基板部材は、m個の面の無極性結晶性表面領域を有する。前記領域は、c面に向かって約−17度〜約17度の配向により、特徴付けられる。前記結晶性表面は、ミスカットとして特徴付けられ得、ゼロ度のカット方向を含まない。また、前記素子は、前記m個の面の無極性結晶性配向表面領域またはあるいは前記半極性結晶性配向表面領域の一部を被覆して形成されたレーザ縞領域を有する。好適な実施形態において、前記レーザ縞領域は、第1の端部および第2の端部を有する。前記素子は、前記レーザ縞領域の前記第1の端部上に設けられた第1の劈開面を含む。特定の実施形態において、前記第1の劈開面は、レーザスクライブ領域によって特徴付けられる。前記素子は、前記レーザ縞領域の前記第2の端部上に設けられた第2の劈開面も有する。特定の実施形態において、前記第2の劈開面は、レーザスクライブ領域によって特徴付けられる。
【0011】
別の特定の実施形態において、本発明は、光学素子の形成方法を提供する。前記方法は、m個の面の無極性結晶性表面領域を有する窒化ガリウム基板部材を提供する工程であって、前記領域は、(000−1)に向かって約−2度〜約2度および(11−20)に向かって約0.5度未満の配向により、特徴付けられる、工程を含む。特定の実施形態において、前記結晶性表面は、ミスカットとして特徴付けられ得、ゼロ度のカット方向を含まない。前記素子は、前記m個の面の無極性結晶性配向表面領域の一部を被覆して形成されたレーザ縞領域も有する。前記方法は、前記m個の面の無極性結晶性配向表面領域の一部を被覆して形成されたレーザ縞領域を形成する工程を含む。特定の実施形態において、前記レーザ縞領域は、前記c方向に対して実質的に平行なキャビティ配向により、特徴付けられる。特定の実施形態において、前記レーザ縞領域は、第1の端部および第2の端部を有する。前記方法は好適には、前記レーザ縞領域の前記第1の端部上に設けられた第1の劈開c面および前記レーザ縞領域の前記第2の端部上に設けられた第2の劈開c面を含む一対の劈開面を形成する。
【0012】
他の実施形態において、本発明は、他のガリウムおよび窒素含有基板配向上に構成された素子および方法を含む。特定の実施形態において、前記ガリウムおよび窒素含有基板は、{20−21}結晶配向を含む複数の面上に構成される。特定の実施形態において、{20−21}は、前記m個の面から14.9度の角度で前記c面(0001)へと向かう。一例として、前記ミスカットまたはオフカット角度は、前記m個の面からc面に向かって+/−17度であるか、あるいは、おおよそ前記{20−21}結晶配向面にある。別の例として、本素子は、前記c方向の投射に配向されたレーザ縞を含み、前記c方向は、前記a方向に対して垂直であるか(または前記m個の面上では前記c方向に構成される)。1つ以上の実施形態において、前記劈開面は、前記ガリウムおよび窒素含有面(例えば、GaN面)であり、前記面は、前記c方向の投射に対して直交方向から+/−5度であり(あるいは、前記m個の面のレーザについては、前記c面である)。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明を用いれば、既存の技術に比して利点が達成される。詳細には、本発明により、レーザ用途のためのコスト効率の良い光学素子が可能となる。特定の実施形態において、本光学素子は、比較的単純かつコスト効率の良い方法で製造が可能である。実施形態に応じて、本装置および方法は、従来の材料を用いてかつ/または当業者に従った方法を用いて、製造が可能である。本レーザ素子は、波長が例えば約400ナノメートルおよび405ナノメートル以上のレーザを達成することが可能な無極性窒化ガリウム材料を用いる。他の実施形態において、前記素子および方法は、約500ナノメートル以上(例えば、520ナノメートル)の波長を達成可能である。実施形態に応じて、上記利点のうち1つ以上が達成可能である。上記および他の利点について、本明細書全体において説明し、以下においてより詳細に説明する。
【0014】
本発明は、公知のプロセス技術の文脈において、上記利点などを達成する。しかし、本明細書の後半部および添付図面を参照すれば、本発明の本質および利点のさらなる理解が達成され得る。

【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施形態による、無極性基板上に作製されたレーザ素子の簡単な斜視図である。
【0016】
【図2】図2は、本発明の実施形態による、無極性基板上に作製されたレーザ素子の詳細な断面図である。
【0017】
【図3】図3は、本発明の実施形態による、レーザ素子のc方向劈開面の断面写真である。
【0018】
【図4】図4は、本発明の実施形態によるレーザ素子の上面図である。
【0019】
【図5】図5は、本発明の1つ以上の実施形態による、レーザ素子の簡単なバックエンド処理方法を示す。
【0020】
【図6】図6は、本発明の1つ以上の実施形態による、レーザ素子の簡単なバックエンド処理方法を示す。
【0021】
【図7】図7は、本発明の1つ以上の実施形態による、レーザ素子の簡単なバックエンド処理方法を示す。
【0022】
【図8】図8は、本発明の1つ以上の実施形態による、レーザ素子の簡単なバックエンド処理方法を示す。
【0023】
【図9】図9は、本発明の1つ以上の実施形態による、レーザ素子の簡単なバックエンド処理方法を示す。
【0024】
【図10】図10は、本発明の1つ以上の実施形態による、レーザ素子の簡単なバックエンド処理方法を示す。
【0025】
【図11】図11は、本発明の1つ以上の実施形態による、レーザ素子の簡単なバックエンド処理方法を示す。
【0026】
【図12】図12は、本発明の1つ以上の実施形態による、レーザ素子の簡単なバックエンド処理方法を示す。
【0027】
【図13】図13は、本発明の1つ以上の例による、レーザ素子の簡単な図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明によれば、主に光学素子に関連する技術が提供される。より詳細には、本発明は、無極性または半極性のガリウム含有基板(例えば、GaN、MN、InN、InGaN、AlGaN、およびAlInGaNなど)を用いて電磁放射を出射する方法および素子を提供する。ひとえに例示目的のために、本発明は、光学素子、レーザ、発光ダイオード、太陽電池、光電気化学水分解および水素発生、光検出器、集積回路およびトランジスタなどに適用可能である。
【0029】
図1は、本発明の実施形態による、無極性基板上に作製されたレーザ素子100の簡単な斜視図である。本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。図示のように、前記光学素子は、無極性結晶性表面領域を有する窒化ガリウム基板部材101を含む。前記領域は、(000−1)に向かって約−2度〜約2度および(11−20)に向かって約0.5度未満の配向により、特徴付けられる。特定の実施形態において、前記窒化ガリウム基板部材は、無極性結晶性表面領域を有することによって特徴付けられるバルクGaN基板であるが、他もあり得る。特定の実施形態において、前記バルク窒化物GaN基板は、窒素を含み、表面転位密度が10cm−2を下回る。前記窒化物結晶またはウェーハは、AlInGa1−x−yNを含み得、ここで、0<x、y、x+y<1である。1つの特定の実施形態において、前記窒化物結晶は、GaNを含む。1つ以上の実施形態において、前記GaN基板は、約10cm−2〜約10cm−2の濃度において、前記表面に対して実質的に直交または斜めの方向において、貫通転位を有する。前記直交または斜め方向の転位に起因して、前記表面転位密度は、約10cm−2を下回る。
【0030】
特定の実施形態において、前記素子は、前記無極性結晶性配向表面領域の一部を被覆して形成されたレーザ縞領域を有する。特定の実施形態において、前記レーザ縞領域は、前記c方向に対して実質的に平行なキャビティ配向により、特徴付けられる。特定の実施形態において、前記レーザ縞領域は、第1の端部107および第2の端部109を有する。
【0031】
好適な実施形態において、前記素子は、前記レーザ縞領域の前記第1の端部上に設けられた第1の劈開c面および前記レーザ縞領域の前記第2の端部上に設けられた第2の劈開c面を有する。1つ以上の実施形態において、前記第1の劈開c面は、前記第2の劈開c面に対して実質的に平行である。前記劈開表面それぞれの上に、鏡表面が形成される。前記第1の劈開c面は、第1の鏡表面を含む。好適な実施形態において、前記第1の鏡表面スクライブプロセスおよび破壊プロセスにより、提供される。前記スクライブプロセスでは、任意の適切な技術(例えば、ダイヤモンドスクライブまたはレーザスクライブまたは組み合わせが利用可能である。特定の実施形態において、前記第1の鏡表面は、反射コーティングを含む。前記反射コーティングは、二酸化ケイ素、ハフニア、およびチタニアタンタル五酸化ジルコニア、その組み合わせなどから選択される。実施形態に応じて、前記第1の鏡表面は、反射防止コーティングも含み得る。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0032】
また、好適な実施形態において、前記第2の劈開c面は、第2の鏡表面を含む。前記第2の鏡表面は、特定の実施形態によるスクライブプロセスおよび破壊プロセスにより、提供される。好適には、前記スクライブは、ダイヤモンドスクライブまたはレーザスクライブなどである。特定の実施形態において、前記第2の鏡表面は、反射コーティング(例えば、二酸化ケイ素、ハフニア、チタニアタンタル五酸化ジルコニア、組み合わせなど)を含む。特定の実施形態において、前記第2の鏡表面は、反射防止コーティングを含む。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0033】
特定の実施形態において、前記レーザ縞は、長さおよび幅を有する。前記長さは、約50ミクロン〜約3000ミクロンの範囲である。前記縞の幅は、約0.5ミクロン〜約50ミクロンの範囲であるが、他の寸法であってもよい。特定の実施形態において、前記幅は実質的に一定の寸法であるが、若干の変動もあり得る。前記幅および長さは、当該分野において一般的に用いられるマスキングおよびエッチングプロセスを用いて形成されることが多い。本素子のさらなる詳細は、本明細書中に記載され、以下により詳細に記載される。
【0034】
特定の実施形態において、前記素子は、自発出射光が、前記c方向に対して実質的に垂直方向に偏光される点によっても特徴付けられる。すなわち、前記素子は、レーザなどとして機能する。好適な実施形態において、前記自発出射光は、前記c方向に対して実質的に垂直方向における偏光比が0.1〜約1よりも大きい点において、特徴付けられる。好適な実施形態において、約405ナノメートルからの波長によって特徴付けられる前記自発出射光により、青色発光、緑色発光などが得られる。好適な実施形態において、前記自発出射光は、大きく偏光し、0.4よりも高い偏光比によって特徴付けられる。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。前記レーザ素子のさらなる詳細は、本明細書中に記載され、以下により詳細に記載される。
【0035】
図2は、本発明の実施形態による、無極性基板上に作製されたレーザ素子200の詳細な断面図である。本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。図示のように、前記レーザ素子は、窒化ガリウム基板203を含む。窒化ガリウム基板203は、下側のn型金属バック接点領域201を有する。特定の実施形態において、前記金属バック接点領域は、適切な材料(例えば、下記に記載のものなど)によって構成される。前記接点領域のさらなる詳細は、本明細書中に記載され、以下により詳細に記載される。
【0036】
特定の実施形態において、前記素子はまた、被覆型のn型窒化ガリウム層205と、活性領域207と、レーザ縞領域209として構築された被覆型のp型窒化ガリウム層とを有する。特定の実施形態において、これらの領域はそれぞれ、少なくとも金属有機化学蒸着(MOCVD)のエピタキシャル蒸着技術、分子線エピタキシー(MBE)、またはGaN成長に適した他のエピタキシャル成長技術を用いて、形成される。特定の実施形態において、前記エピタキシャル層は、高品質のエピタキシャル層被覆型のn型窒化ガリウム層である。いくつかの実施形態において、前記高品質の層は、例えばSiまたは0によってドープされて、n型材料を形成し、その際のドーパント濃度は、約1016cm−3および1020cm−3である。
【0037】
特定の実施形態において、n型AlInGa1ーuーvN層(ここで、0<u、v、u+v<1)が、前記基板上に堆積される。特定の実施形態において、前記キャリア濃度は、約1016cm−3および1020cm−2の範囲内であり得る。前記蒸着は、金属有機化学蒸着(MOCVD)または分子線エピタキシー(MBE)を用いて実行可能である。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0038】
一例として、前記バルクGaN基板は、MOCVDリアクタ中のサセプタ上に配置される。前記リアクタに対して閉口、真空排気および埋め戻しを行って(またはロードロック構成を用い)大気圧にした後、前記サセプタを窒素含有ガスの存在下において約1000〜約1200℃の温度まで加熱する。1つの特定の実施形態において、前記サセプタをアンモニア流動下においておよそ1100℃まで加熱する。ガリウム含有金属有機前駆体(例えば、トリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG))の流動が、キャリアガス中においておよそ1〜50立方センチメートル毎秒(seem)の総速度において開始される。前記キャリアガスは、水素、ヘリウム、窒素、またはアルゴンを含み得る。成長時におけるグループV前駆体(アンモニア)のグループIII前駆体(トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリメチルアルミニウム)に対する流量比は、約2000〜約12000である。キャリアガス中のジシランの流動を約0.1〜10seemの総流量で開始する。
【0039】
特定の実施形態において、前記レーザ縞領域は、前記p型窒化ガリウム層209によって構成される。特定の実施形態において、前記レーザ縞は、ドライエッチングまたはウェットエッチングから選択されたエッチングプロセスにより、提供される。好適な実施形態において、前記エッチングプロセスはドライであるが、他であってもよい。一例として、前記ドライエッチングプロセスは、塩素保有化学種を用いた誘導結合プロセスまたは類似の化学的性質を用いた反応性イオンエッチングプロセスである。やはり一例として、前記塩素保有化学種は、塩素ガスなどから一般的に抽出される。前記素子は、被覆型の誘電領域も有する。前記領域は、213接点領域を露出させる。特定の実施形態において、前記誘電領域は、酸化物(例えば、二酸化ケイ素)または窒化ケイ素であるが、他のものであってもよい。前記接点領域は、被覆型の金属層215に結合される。前記被覆型の金属層は、金および白金(Pt/Au)を含む多層構造であるが、他のものであってもよい。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0040】
特定の実施形態において、前記レーザ素子は、活性領域207を有する。前記活性領域は、1つ以上の実施形態による1個〜20個の量子井戸領域を含み得る。一例として、前記n型AlInGa1−u−vN層の堆積を所定厚さを達成するように所定時間行った後、活性層を堆積させる。前記活性層は、単一の量子井戸または複数の量子井戸(1〜20個の量子井戸)を含み得る。前記量子井戸は、InGaN井戸およびGaN障壁層を含み得る。他の実施形態において、前記井戸層および障壁層は、AlInGa1−w−xNおよびAIInGa1−y−zNをそれぞれ含み、ここで、0<w、x、y、z、w+x、y+z<1であり、w<u、yおよび/またはx>v、zであり、これにより、前記井戸層(単数または複数)のバンドギャップは、前記障壁層(単数または複数)および前記n型層のバンドギャップよりも少なくなる。前記井戸層および障壁層の厚さはそれぞれ、約1nm〜約40nmの範囲であり得る。別の実施形態において、前記活性層はダブルヘテロ構造を含み、ここで、厚さ約10nm〜100nmのInGaNまたはAlInGa1ーw−xN層の周囲にGaNまたはAlInGa1−yーzN層が設けられ、ここでw<u、yおよび/またはx>v、zである。前記活性層の組成および構造は、事前選択された波長において光発光が得られるように、選択される。前記活性層は、非ドープのままであってもよいし(あるいは非意図的にドープしてもよく)、また、n型またはp型ドープであってよい。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0041】
特定の実施形態において、また、前記活性領域は、電子ブロッキング領域と、別個の閉じ込めヘテロ構造とを含み得る。いくつかの実施形態において、電子ブロッキング層が好適には堆積される。前記電子ブロッキング層は、AlInGa1−sーtN(0<s、t、s+t<1)を含み得、バンドギャップが前記活性層よりも高く、p型ドープであり得る。1つの特定の実施形態において、前記電子ブロッキング層は、AlGaNを含む。別の実施形態において、前記電子ブロッキング層は、AlGaN/GaN超格子構造を含む。前記AlGaN/GaN超格子構造において、AlGaN層およびGaN層が交互に積層される。前記AlGaN層およびGaN層の厚さはそれぞれ、約0.2nm〜約5nmである。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0042】
上記したように、前記p型窒化ガリウム構造は、p型ドープAIInGa1−q−1N(0<q、r、q+r<1)層であり得、前記活性層上に堆積される。前記p型層は、Mgによって約1016cm−3〜1022の高さまでドープされ得、厚さ約5nm〜約1000nmであり得る。前記p型層の最外部の1〜50nmは、前記層のその他の部分よりもより強力にドープされ得、これにより、電気接触を向上させることができる。特定の実施形態において、前記レーザ縞は、ドライエッチングまたはウェットエッチングから選択されたエッチングプロセスにより、提供される。好適な実施形態において、前記エッチングプロセスはドライであるが、他のものであってもよい。前記素子は、被覆型の誘電領域も有する。前記被覆型の誘電領域は、213接点領域を露出させる。特定の実施形態において、前記誘電領域は酸化物(例えば、二酸化ケイ素)であるが、他のものであってもよい。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0043】
特定の実施形態において、前記金属接点は、適切な材料によって構成される。前記反射電気接点は、銀、金、アルミニウム、ニッケル、白金、ロジウム、パラジウム、クロムなどのうち少なくとも1つを含み得る。前記電気接点は、熱蒸発、電子ビーム蒸着、電気めっき、スパッタリングまたは別の適切な技術により、蒸着可能である。好適な実施形態において、前記電気接点は、前記光学素子のためのp型電極として機能する。別の実施形態において、前記電気接点は、前記光学素子のためのn型電極として機能する。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。前記劈開面のさらなる詳細は、本明細書中に記載され、以下により詳細に記載される。
【0044】
図3は、本発明の実施形態による、レーザ素子のc方向劈開面の断面写真である。本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。図示のように、前記c方向劈開面は平滑であり、適切な鏡表面を提供する。前記レーザ素子の上面図の詳細を以下に記載する。
【0045】
図4は、本発明の実施形態によるレーザ素子の上面図である。本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。図示のように、前記レーザ縞は前記c方向において構成され、前記c方向に対して垂直方向に投射を有する。図示のように、前記窒化ガリウム基板の上面図は、特定の実施形態による若干のミスカットまたはオフカット表面領域配向のものである。
【0046】
1つ以上の実施形態によるレーザ素子の処理方法の概要を以下に示す。図5も参照されたい。1として、開始。2として、処理後の基板(レーザ素子を含む)にリッジを設ける。3として、基板の薄肉化を後側から行う。4として、後側n接点を形成する。5として、バー構造に構成されたレーザ素子を分離するよう、パターンをスクライブする。6として、スクライブパターンを破壊して、m複数のバー構造を形成する。7として、バー構造を積み重ねる。8として、バー構造をコートする。9として、バー構造を単一化して、レーザ素子を有する個々のダイにする。10として、他の工程を所望に行う。
【0047】
上記一連の工程を用いて、本発明の1つ以上の実施形態による基板構造から、個々のレーザ素子をダイ上に形成する。1つ以上の好適な実施形態において、前記方法は、劈開面を含む。これらの劈開面は、無極性窒化ガリウム基板材料上に構成されたリッジレーザ素子内において、相互に実質的に平行でありかつ相互に対向する。実施形態に応じて、本明細書中の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの工程のうち1つ以上を組み合わせつかまたは除去することができ、あるいは、他の工程を付加することも可能である。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。本方法のさらなる詳細は、本明細書中に記載され、以下により詳細に記載される。
【0048】
図6は、本発明の実施形態による基板薄肉化プロセスを簡単に示す。本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。特定の実施形態において、前記方法は、レーザ素子(好適にはリッジレーザ素子であるが、他のものであってもよい)を含む窒化ガリウム基板材料と共に開始する。前記基板に、特定の実施形態による前側処理が施される。前側処理が完了した後、前記GaN基板のうち1つ以上を、サファイアキャリアウェーハまたは他の適切な部材上に取り付ける。一例として、前記方法は、従来の取り付け用熱可塑性物質である結晶ボンド509を用いる。前記熱可塑性物質は、アセトンまたは他の適切な溶媒中に溶融可能である。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0049】
特定の実施形態において、前記キャリアウェーハを、ラッピングジグ上に取り付ける。このようなラッピングジグの一例は、LogitechLtd.(英国)または他のベンダーにより、製造される。前記ラッピングジグの利用により、特定の実施形態によるラッピングプロセス時における前記基板の平面性の維持が支援される。一例として、前記基板の出発厚さは〜325urn+/−20umであるが、他のものであってもよい。特定の実施形態において、前記方法は、前記基板のラッピングまたは薄肉化を70〜80um厚さになるまで行うが、これよりも厚さを薄くするかまたは若干厚めにしてもよい。好適な実施形態において、前記ラッピングジグは、ラッピングプレートと共に構成される。前記ラッピングプレートは、適切な材料(例えば、平面度が5um未満になるように構成された鋳鉄があるが、他のものであってもよい)によって構成されることが多い。好適には、前記方法は、1部の炭化ケイ素(SiC)および10部の水であるラッピングスラリーを用いるが、他の変更も可能である。特定の実施形態において、前記SiC粒の寸法は約5umである。1つ以上の実施形態において、前記ラッピングプレート速度は、約10回転/分が適している。さらに、前記方法は、1つ以上の実施形態による所望のラッピング速度(例えば、2〜3um/分以上またはこれより若干低め)を達成するようにラッピングジグの圧力ダウンを調整することが可能である。
【0050】
特定の実施形態において、本方法は、ラッピングプロセスを含む。前記ラッピングプロセスは、前記GaN材料中の表面下損傷の発生によって中レベルトラップなどを発生させ得る。前記中レベルトラップにより、ショットキー特性を有する接点を得ることができる。よって、本方法は、1つ以上の研磨プロセスを含み、これにより、前記損傷を有する〜10umの材料を特定の実施形態に従って除去する。一例として、前記方法は、Politex(TM)研磨パッド(Rohm and Haas)を用いるが、他のものであってもよい。このパッドをステンレススチールプレート上に接着する。研磨溶液は、Ultrasol300K(製造元:Eminess Technologies)であるが、他のものであってもよい。前記Ultra−Sol300Kは、高純度のコロイド状シリカスラリーであり、特殊設計のアルカリ分散を含む。前記Ultra−Sol300Kは、70nmコロイド状シリカを含み、pHは10.6である。固形分は30%(重量%)である。特定の実施形態において、前記ラッピングプレート速度は70rpmであり、全重量のラッピングジグが付加される。好適な実施形態において、前記方法における研磨速は度約〜2um/時間であるが、他のものであってもよい。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0051】
他の実施形態において、本発明は、m個の面のGaN基板材料に対する高品質のn型接点を達成する方法を提供する。特定の実施形態において、前記方法は、適切なオーム接点を達成するには粗い接点を提供する。特定の実施形態において、前記粗さに起因して他の結晶面が露出され、その結果良好な接点が得られる。好適な実施形態において、本方法は、ラップ表面を含む。前記ラップ表面のテクスチャは粗いため、2つよりも多くのまたは複数の異なる結晶面が露出される。他の実施形態において、ラッピングの後に、エッチング(例えば、ドライエッチングおよび/またはウェットエッチング)が行われ得る。特定の実施形態において、エッチングにより、前記表面下損傷が除去される。しかし、前記表面が研磨のように平坦化される可能性は低い。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0052】
図7は、1つ以上の実施形態による、後側のn接点方法を示す簡単な図である。本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。前記薄肉化プロセスの完了後、前記方法は、1つ以上の実施形態に従って、前記基板の後側上にn接点を形成する。この時点において、前記薄肉化基板は、未だ前記サファイアウェーハ上に取り付けられかつ維持されている状態である。好適な実施形態において、前記薄肉化基板は、効率および取り扱いの利用のための「バッチプロセス」である。特定の実施形態において、前記バッチ処理を用いた方法により、極めて肉薄の(60〜80um)基板の取り扱いに伴う損傷の完全回避が支援される。
【0053】
一例として、前記後側接点は、約300ÅAl/3000ÅAuまたは他の適切な材料を含む。特定の実施形態において、前記接点は、電子ビーム蒸着または他の適切な技術によって蒸着された金属積層である。好適な実施形態において、前記金属積層蒸着前に、前記方法において、ウェットエッチ(例えば、フッ化水素酸ウェットエッチ)の利用により、前記表面上の酸化物を全て除去する。特定の実施形態において、形成後後の金属積層に対し、好適にはアニーリングまたは高温処理を施す。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0054】
図8は、1つ以上の実施形態による、スクライブおよび破壊動作を示す簡単な図である。本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。前記n接点の形成後、特定の実施形態に従って、前記基板を前記サファイアキャリアウェーハから取り外し、アセトンおよびイソプロピルアルコール中において洗浄する。その後、前記基板をビニールテープ上に取り付けて、実施形態に応じてスクライブおよび破壊プロセスを行う。好適な実施形態において、前記テープは、前記レーザバー上に残留物を全く残さず、このような残留物を実質的に全く含まず、本質的に高分子であるかまたは微粒子であることが多い。
【0055】
次に、前記方法は、1つ以上のスクライブプロセスを含む。特定の実施形態において、前記方法は、パターン形成のために前記基板にレーザをあてる工程を含む。好適な実施形態において、前記パターンは、1つ以上のリッジレーザの対象となる一対の面を形成するように、構成される。好適な実施形態において、前記一対の面は相互に対向し、相互に平行なアライメントをとる。好適な実施形態において、前記方法は、前記レーザバーのスクライブの際に、UV(355nm)レーザを用いる。特定の実施形態において、前記レーザは、システム上に構成される。前記システムにより、1つ以上の異なるパターンおよびプロファイルにおいて構成されたスクライブ線が可能となる。1つ以上の実施形態において、前記スクライブは、用途に応じて、後側、前側または両側において実行可能である。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0056】
特定の実施形態において、前記方法は、後側スクライブなどを用いる。後側スクライブの場合、前記方法は好適には、連続線スクライブを形成する。前記連続線スクライブは、前記GaN基板の後側のレーザバーに対して垂直である。特定の実施形態において、前記スクライブは概して深さ15〜20umまたは他の適切な深さである。好適には、後側スクライブが有利であり得る。すなわち、前記スクライブプロセスは、前記レーザバーまたは他の類似パターンのピッチに依存しない。従って、好適な実施形態に従って、後側スクライブにより、高密度のレーザバーを各基板上に得ることができる。しかし、特定の実施形態において、後側スクライブに起因して、前記面のうち1つ以上の上にテープからの残留物が残る場合がある。特定の実施形態において、後側スクライブにおいては、基板の下面をテープ上にのせる必要がある場合が多い。前側スクライブの場合は、基板の後側はテープと接触する。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0057】
好適な実施形態において、本方法において、前側スクライブの利用により、清浄な面の形成を促進する。特定の実施形態において、前側スクライブプロセスが好適に用いられる。特定の実施形態において、前記方法は、e面粗さまたは他の欠陥が最小である直線状劈開を得るためのスクライブパターンを含む。スクライブののさらなる詳細について、以下に記載する。
【0058】
スクライブパターン:レーザマスクのピッチは約200umであるが、他のものであってもよい。前記方法は、170umスクライブを用い、200umピッチにおいて30umダッシュを用いる。好適な実施形態において、熱感度が高いレーザリッジから離れた熱影響ゾーンを保持しつつ、前記スクライブ長さを最大化または増加させる。
【0059】
スクライブプロファイル:鋸歯状プロファイルの場合、一般的に面粗さは最小となる。前記鋸歯状プロファイルの形状により、材料中のストレス濃度が非常に高まり、その結果、劈開をより容易にかつ/またはより効率的に伝搬させることが可能になると考えられる。
【0060】
特定の実施形態において、本方法は、本レーザ素子の製造に適したスクライブを提供する。一例として、図9は、(1)後側スクライブプロセスおよび(2)前側スクライブプロセスと関連付けられた基板材料の断面を示す。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0061】
ここで図10を参照して、前記方法は、複数のバー構造を形成するための破壊プロセスを含む。本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。前記GaN基板をスクライブした後、前記方法は、破壊器を用いて前記基板をバー状に劈開する。特定の実施形態において、前記破壊器は、金属支持部を有する。前記金属支持部は、900um間隔の空間を有する。前記スクライブ線が中央に来るよう、前記基板を前記支持部上に配置する。次に、適切な形状のセラミックブレードが前記スクライブ線上の直接圧力を付加することで、前記基板は、前記スクライブ線に沿って劈開する。
【0062】
図11は、1つ以上の実施形態による積層およびコーティングプロセスを示す簡単な図である。ここでも、本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。劈開後、前記バーを治具内において積層する。前記治具により、前面および後面のコーティングが可能となる。前記前面および後面は、相互に平行にアライメントをとりかつ相互に対向する。前面コーティングフィルムは、任意の適切な低反射率設計(AR設計)から選択可能である。前記AR設計は、特定の実施形態に従ってHfOの肉薄層によってキャップされたAlの1/4波長コーティングを含む。前記Alコーティングは強靱な誘電であり、HfOは高密度であり、その結果、前記前面の反射率の環境的不動態化および調整が支援される。これらのコーティングフィルムは好適には、電子ビーム蒸着により、蒸着される。特定の実施形態において、前記後面は、高反射率HR設計により、コーティングされる。前記HR設計は、複数対の1/4波長SiO/HfOを含む。特定の実施形態において、およそ6〜7対を用いて、99%を超える反射率を達成することができる。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0063】
好適な実施形態において、前記方法は、真空を破壊することなく前記面それぞれの蒸着を可能にするよう構成された、適切な蒸着システムを用いる。前記蒸着システムは、十分な高さおよび空間体積のドーム構造を含む。前記システムにより、特定の実施形態に従って、前記治具内に構成された複数のバーを片側から他方側へと反転させて、前記後面および前面を露出させることが可能となる。好適な実施形態において、前記方法により、先ず後面が蒸着されて、前記バー治具が再構成されて前面が露出され、次に、真空破壊無く前面が蒸着される。好適な実施形態において、前記方法により、前側および後側上へ1つ以上のフィルムを真空破壊無く蒸着することが可能となり、これにより、時間の節約および効率向上が可能となる。他の実施形態は、真空を破壊し得る。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0064】
図12は、特定の実施形態による、バーを単一化して複数のダイを得る方法を示す。本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。前記バーの面をコーティングした後、前記方法において、前記レーザ素子をバー形態において試験し、その後単一化を行う。特定の実施形態において、前記方法は、スクライブおよび破壊プロセス(面劈開に類似するもの)を行うことにより、バーの単一化を行う。好適には、前記方法は、特定の実施形態に従って、浅い連続線スクライブをレーザバーの上側上に形成する。前記ダイの幅は、約200umであり、これにより、前記支持部空間を300um位まで低減することが可能となる。前記バーを劈開して個々のダイとした後、前記テープを膨張させて、前記ダイそれぞれを前記テープからピックオフする。次に、前記方法は、1つ以上の実施形態に従って、前記ダイそれぞれに対してパッキング動作を行う。
【0065】
図13は、本発明の1つ以上の例による、レーザ素子を示す簡単な図である。本図は単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。本例において、前記光学素子は、窒化ガリウム基板部材を有する。前記窒化ガリウム基板部材は、無極性結晶性表面領域を有する。前記無極性結晶性表面領域は、(000−1)に向かって約1度および(11−20)に向かって約0.3度未満の配向により、特徴付けられる。前記バルク窒化物GaN基板は窒素を含み、表面転位密度は1E−6cm−2未満であり、表面粗さは0.2nm未満である。
【0066】
前記素子は、前記無極性結晶性配向表面領域の一部を被覆して形成されたレーザ縞領域を有する。前記レーザ縞領域は、前記c方向に対して実質的に平行なキャビティ配向によって特徴付けられ、第1の端部および第2の端部を有する。前記素子は、前記レーザ縞領域の前記第1の端部上に設けられた第1の劈開c面と、前記レーザ縞領域の前記第2の端部上に設けられた第2の劈開c面とを有する。前記第1の劈開c面は、前記第2の劈開c面に対して実質的に平行である。前記劈開表面それぞれの上に、鏡表面が形成される。前記第1の劈開c面は、第1の鏡表面を含む。前記第1の鏡表面は、スクライブプロセスおよび破壊プロセス(例えば、本明細書中に記載のもの)により、得られる。前記第1の鏡表面は、反射コーティングを含む。前記反射コーティングは、アルミナおよびハフニアである。前記第2の劈開c面は、第2の鏡表面を含む。前記第2の鏡表面は、スクライブプロセスおよび破壊プロセス(例えば、本明細書中に記載のもの)により、得られる。前記第2の鏡表面は、反射コーティング(例えば、二酸化ケイ素およびハフニア)を含む。特定の実施形態において、前記レーザ縞は、長さおよび幅を有する。前記長さは400〜1000μmであり、前記幅は1.4〜4μmである。前記幅の寸法は実質的に一定である。
【0067】
図示のように、前記素子は、自発出射光が、前記c方向に対して実質的に垂直方向に偏光される点によっても特徴付けられる。すなわち、前記素子は、レーザとして機能する。前記自発出射光は、前記c方向に対して垂直な偏光比により、特徴付けられる。やはり記載のように、前記自発出射光は、約405ナノメートルの波長により青色〜紫色発光を提供する点により、特徴付けられる。他のパラメータを下記に挙げる。つまり、出力cw>350mW、1th<35mA、SE>1.0W/A、およびTo−56ヘッダ上にパッケージングというパラメータである。図示のように、このグラフは、本レーザ素子の約25℃における出力および電流の関係を示す。さらに、本レーザ素子について、約405ナノメートルにおける波長が図示される。ここでも、本素子単に一例であり、本明細書中の特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者であれば、他の変更、改変および代替を認識する。
【0068】
他の実施形態において、本発明は、他のガリウムおよび窒素含有基板配向上に構成された素子および方法を含む。特定の実施形態において、前記ガリウムおよび窒素含有基板は、{20−21}結晶配向を含む複数の面上に構成される。特定の実施形態において、{20−21}は、前記m個の面から前記c面(0001)に向かって14.9度である。一例として、前記ミスカットまたはオフカット角度は、前記m個の面から面に向かって+/−17度であるか、または、およそ{20−21}結晶配向面にある。別の例として、本素子は、前記c方向の投射に配向されるレーザ縞を含む。前記c方向は、a方向に対して垂直であるか(あるいは、前記m個の面上の場合は、前記c方向に構成される)。1つ以上の実施形態において、前記劈開面は、ガリウムおよび窒素含有面(例えば.、GaN面)であり、前記c方向の投射に対して直交方向から+/−5度であるか(あるいは、前記m個の面のレーザについては、前記c面である)。もちろん、他の改変、変更および代替が可能である。
【0069】
上記において特定の実施形態を詳述したが、多様な変更、代替的構造および均等物が利用可能である。よって、上記の記載および図示は、本発明の範囲を限定するものとしてとられるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により、規定される。

【符号の説明】
【0070】
200:レーザ素子
【0071】
201:下側のn型金属バック接点領域
【0072】
203:窒化ガリウム基板
【0073】
205:n型窒化ガリウム層
【0074】
207:活性領域
【0075】
209:レーザ縞領域





【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子であって、
m個の面の無極性結晶性表面領域を有する窒化ガリウム基板部材と、前記m個の面の無極性結晶性表面領域は、(000−1)に向かって、約−2度乃至約2度の配向および(11−20)に向かって約0.5度未満の配向を有する窒化ガリウム基板部材と、
前記m個の面の無極性結晶性配向表面領域の一部を被覆して形成されるレーザ縞領域であって、前記レーザ縞領域は、前記c方向に対して実質的に平行なキャビティ配向を有し、
前記レーザ縞領域は、第1の端部および第2の端部を有する、レーザ縞領域と、前記レーザ縞領域の前記第1の端部上に設けられた第1の劈開c面と、前記レーザ縞領域の前記第2の端部上に設けられた第2の劈開c面と、を含む光学素子。

【請求項2】
前記第1の劈開c面は、前記第2の劈開c面に対して実質的に平行である、請求項1に記載の光学素子。

【請求項3】
前記第1の劈開c面は、レーザスクライブ領域によって特徴付けられる第1の鏡表面を含む請求項1に記載の光学素子。

【請求項4】
前記第1の鏡表面は、前記窒化ガリウム基板部材の前側または後側のいずれかからのスクライブプロセスおよび破壊プロセスによって得られる、請求項1に記載の光学素子。

【請求項5】
前記第1の鏡表面は、反射コーティングを含む、請求項4に記載の光学素子。

【請求項6】
前記反射コーティングは、二酸化ケイ素、ハフニアおよびチタニアから選択される、請求項5に記載の光学素子。

【請求項7】
前記第1の鏡表面は、反射防止コーティングを含む、請求項4に記載の光学素子。

【請求項8】
前記第2の劈開m面は、第2の鏡表面を含み、レーザスクライブ領域によって特徴付けられる、請求項1に記載の光学素子。

【請求項9】
前記第2の鏡表面は、スクライブプロセスおよび破壊プロセスによって得られる、請求項8に記載の光学素子。

【請求項10】
前記第2の鏡表面は、反射コーティングを含む、請求項8に記載の光学素子。

【請求項11】
前記反射コーティングは、二酸化ケイ素、ハフニアおよびチタニアから選択される、請求項10に記載の光学素子。

【請求項12】
前記第2の鏡表面は、反射防止コーティングを含む、請求項8に記載の光学素子。

【請求項13】
前記長さは、約100ミクロン乃至約2000ミクロンの範囲である、請求項1に記載の光学素子。

【請求項14】
約1ミクロン乃至約15ミクロンの範囲の幅をさらに含む請求項1に記載の光学素子。

【請求項15】
前記c方向に対して垂直に偏光される自発出射光をさらに含む請求項1に記載の光学素子。

【請求項16】
約385乃至約420ナノメートルの波長によって特徴付けられる自発出射光をさらに含む請求項1に記載の光学素子。

【請求項17】
約420乃至約460ナノメートルの波長によって特徴付けられる自発出射光をさらに含む請求項1に記載の光学素子。

【請求項18】
約460乃至約500ナノメートルの波長によって特徴付けられる自発出射光をさらに含む請求項1に記載の光学素子。

【請求項19】
約500乃至約550ナノメートルの波長によって特徴付けられる自発出射光をさらに含む、請求項1に記載の光学素子。

【請求項20】
前記レーザ縞は、ドライエッチングまたはウェットエッチングから選択されたエッチングプロセスによって得られることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。

【請求項21】
前記窒化ガリウム基板部材の後側を被覆するn型金属領域と、前記レーザ縞の上部を被覆するp型金属領域とを、さらに含む請求項1に記載の光学素子。

【請求項22】
前記レーザ縞は被覆型の誘電層を含み、前記被覆型の誘電層は、前記レーザ縞の上部を露出させることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。

【請求項23】
前記表面領域を被覆するn型窒化ガリウム領域と、前記n型窒化ガリウム領域を被覆する活性領域と、前記活性領域を被覆する前記レーザ縞領域とを、さらに含む請求項1に記載の光学素子。

【請求項24】
前記活性領域は、1個乃至20個の量子井戸領域を含み、前記1個乃至20個の量子井戸領域は、10オングストローム乃至約40オングストロームの厚さであることを特徴とする請求項23に記載の光学素子。

【請求項25】
前記活性領域は、1個乃至20個の量子井戸領域を含み、前記1個乃至20個の量子井戸領域は、40オングストローム乃至約80オングストロームの厚さであることを特徴とする請求項23に記載の光学素子。

【請求項26】
前記活性領域は、電子ブロッキング領域を含む、請求項23に記載の光学素子。

【請求項27】
前記活性領域は、別個の閉じ込めヘテロ−構造であることを特徴とする請求項23に記載の光学素子。

【請求項28】
光学素子の形成方法であって、
m個の面の無極性結晶性表面領域を有する窒化ガリウム基板部材を提供する工程と、前記領域は、(000−1)に向かって約−2度乃至約2度および(11−20)に向かって約0.5度未満の配向により特徴付けられる工程と、
前記m個の面の無極性結晶性配向表面領域の一部を被覆するレーザ縞領域を形成する工程であって、前記レーザ縞領域は、前記c方向に対して実質的に平行なキャビティ配向を有し、前記レーザ縞領域は、第1の端部および第2の端部を有する工程と、
一対の劈開面を形成する工程であって、前記一対の劈開面は、前記レーザ縞領域の前記第1の端部上に設けられた第1の劈開c面と、前記レーザ縞領域の前記第2の端部上に設けられた第2の劈開c面からなる工程と、を含む光学素子の形成方法。

【請求項29】
前記一対を形成する工程は、前記第1の劈開c面を別個に形成する工程と、前記第2の劈開c面からなる工程とを含む、請求項28に記載の光学素子の形成方法。

【請求項30】
前記第1の劈開c面およびコーティング前記第2のc面をコーティングする工程をさらに含む、請求項28に記載の光学素子の形成方法。

【請求項31】
前記一対の劈開面を形成した後、単一化プロセスが行われることを特徴とする請求項28に記載の光学素子の形成方法。

【請求項32】
光学素子であって、
実質的にm個の面の無極性結晶性表面領域を有する窒化ガリウム基板部材と、
前記実質的にm個の面の無極性結晶性表面領域は、(000−1)に向かって約−2度乃至約2度の配向および(11−20)に向かって約0.5度未満の配向であり、
前記オフカット配向は、(000−1)に向かってゼロ度および(11−200)に向かってゼロ度を含まず、
前記m個の面の無極性結晶性表面領域は、第1の結晶品質を有するオフカット配向であり、m個の面の無極性結晶性表面領域が、第2の結晶品質を有する非オフカット配向であり、
前記第1の結晶品質は、前記第2の結晶品質よりも高い、窒化ガリウム基板部材と、
前記実質的にm個の面の無極性結晶性配向表面領域の一部を被覆して形成されたレーザ縞領域であって、前記レーザ縞領域は、前記c方向に対して実質的に平行なキャビティ配向であり、前記レーザ縞領域は、第1の端部および第2の端部を有する、レーザ縞領域と、
前記レーザ縞領域の前記第1の端部上に設けられた第1の劈開c面と、前記レーザ縞領域の前記第2の端部上に設けられた第2の劈開c面と、を含む光学素子。

【請求項33】
光学素子であって、
m個の面の結晶性表面領域を有する窒化ガリウム基板部材であって、前記m個の面の結晶性表面領域は、c面に向かって約−17度乃至約17度のオフカット配向を有する窒化ガリウム基板部材と、
前記m個の面の結晶性配向表面領域の一部を被覆して形成されたレーザ縞領域であって、前記レーザ縞領域は、第1の端部および第2の端部を有するレーザ縞領域と、
前記レーザ縞領域の前記第1の端部上に設けられた第1の劈開面と、n前記レーザ縞領域の前記第2の端部上に設けられた第2の劈開面と、を含む光学素子。

【請求項34】
前記オフカットによって構成される前記m個の面の結晶性配向表面領域は、{20−21}面であることを特徴とする請求項33に記載の光学素子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−523718(P2012−523718A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506140(P2012−506140)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/030939
【国際公開番号】WO2010/120819
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511026706)ソラア インコーポレーテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】SORAA INC.
【住所又は居所原語表記】United States of America,California 93117,Goleta,485 Pine Avenue
【Fターム(参考)】