説明

レーダ装置

【課題】検知範囲の変更が可能で、而も小型化を可能としたレーダ装置を提供する。
【解決手段】中心に設けられる信号処理ユニット2と、該信号処理ユニットに組込まれ、ホーン型送受信アンテナ6を有する少なくとも1つの高周波ユニット3とを具備し、前記信号処理ユニットは円周方向に等角度で順次傾斜する側面を有し、内部に信号処理部を有すると共に前記側面には前記信号処理部に接続されたソケットが設けられ、前記高周波ユニットは上下に縦長の送信用アンテナ開口21と受信用アンテナ開口22とを有すると共に前記ソケットに嵌合するコネクタとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両や歩行者等の移動体の有無を広範囲に亘り検知するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波やミリ波を用いたレーダ装置は、自動車間の衝突防止や、敷地内の侵入者を検知するシステム等に広く使われている。
【0003】
この様な電波を利用したレーダ装置の検知可能範囲は、アンテナの利得と指向性に依存し、広範囲に亘る検知の為には、高利得且つ広いビーム幅を持つアンテナが必要とされる。然し、一般的にアンテナを高利得化する為にはアンテナ開口面積を大きくする必要がある。その為、高利得アンテナを使用した装置では、その小型化が難しくなるという問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−36339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる実情に鑑み、検知範囲の変更が可能で、而も小型化を可能としたレーダ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、中心に設けられる信号処理ユニットと、該信号処理ユニットに組込まれ、ホーン型送受信アンテナを有する少なくとも1つの高周波ユニットとを具備し、前記信号処理ユニットは円周方向に等角度で順次傾斜する側面を有し、内部に信号処理部を有すると共に前記側面には前記信号処理部に接続されたソケットが設けられ、前記高周波ユニットは上下に縦長の送信用アンテナ開口と受信用アンテナ開口とを有すると共に前記ソケットに嵌合するコネクタとを有するレーダ装置に係るものである。
【0007】
又本発明は、前記信号処理部は、前記高周波ユニットを個別に作動させるスイッチング機能を有し、前記高周波ユニットを予め設定した順序、設定したパターンで切替えつつ作動させるレーダ装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記送受信アンテナが、2枚の金属板に上下2段に3角形状の凹部が形成され、2枚の金属板を一体化することで、上下2段に3角形状の送信用アンテナ空洞と受信用アンテナ空洞とが形成され、前記送信用アンテナ空洞、前記受信用アンテナ空洞の底辺部は開口し、又頂部に連通する導波管路がそれぞれ形成されるレーダ装置に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、中心に設けられる信号処理ユニットと、該信号処理ユニットに組込まれ、ホーン型送受信アンテナを有する少なくとも1つの高周波ユニットとを具備し、前記信号処理ユニットは円周方向に等角度で順次傾斜する側面を有し、内部に信号処理部を有すると共に前記側面には前記信号処理部に接続されたソケットが設けられ、前記高周波ユニットは上下に縦長の送信用アンテナ開口と受信用アンテナ開口とを有すると共に前記ソケットに嵌合するコネクタとを有するので、前記信号処理ユニットと高周波ユニットとの組立が簡単であり、又構成の態様の選択、変更が容易であり、使用態様に合わせた装置構成とすることができ、汎用性が向上する。
【0010】
又本発明によれば、前記信号処理部は、前記高周波ユニットを個別に作動させるスイッチング機能を有し、前記高周波ユニットを予め設定した順序、設定したパターンで切替えつつ作動させるので、省電力化が可能である。
【0011】
又本発明によれば、前記送受信アンテナは、2枚の金属板に上下2段に3角形状の凹部が形成され、2枚の金属板を一体化することで、上下2段に3角形状の送信用アンテナ空洞と受信用アンテナ空洞とが形成され、前記送信用アンテナ空洞、前記受信用アンテナ空洞の底辺部は開口し、又頂部に連通する導波管路がそれぞれ形成されるので、送受信アンテナを薄型に構成でき、又送信アンテナと受信アンテナの方向性を正確に一致させることができ正確に受信方向の判別が可能であるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係るレーダ装置の分解斜視図である。
【図2】該レーダ装置に用いられる信号処理ユニットの斜視図である。
【図3】該レーダ装置に用いられる高周波ユニットの斜視図である。
【図4】該高周波ユニットに用いられる送受信アンテナの分解斜視図である。
【図5】該送受信アンテナの展開図である。
【図6】該送受信アンテナの断面図である。
【図7】該送受信アンテナに於けるレーダの広がり角の態様を示す説明図である。
【図8】レーダの広がり角と検知範囲との関係を示す説明図である。
【図9】(A)は本実施例に於ける、信号処理ユニットと高周波ユニットとの組立ての態様の変更例を示す斜視図であり、(B)は該態様に於ける送受信アンテナとレーダの広がり角の態様を示す説明図である。
【図10】前記信号処理ユニット、前記高周波ユニットの概略回路構成図である。
【図11】本発明に係るレーダ装置を用いた監視システムの概略図である。
【図12】該監視システムの概略ブロック図である。
【図13】(A)(B)は該監視システムに於ける送受信アンテナの作動順序を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るレーダ装置の分解斜視図であり、図1中、1はベース、2は信号処理ユニット、3は高周波ユニット、4は筐体を示しており、前記ベース1、前記信号処理ユニット2、前記筐体4は、前記高周波ユニット3の数に対応した形状をしている。即ち、図示では前記高周波ユニット3は6組であるので、前記ベース1、前記信号処理ユニット2、前記筐体4は、それぞれ6角形状をしてユニットとして一体化している。
【0015】
前記ベース1の中央に、6つの側面を有する6角柱形状の信号処理ユニット2が立設される。図2に示される様に、該信号処理ユニット2は柱状であり、例えば同心円状に各側面に前記高周波ユニット3を結合する為のソケット5が設けられ、後述する前記高周波ユニット3のコネクタと嵌合する様になっている。又、前記信号処理ユニット2は電源供給部(図示せず)、信号処理部(図示せず)を具備し、前記高周波ユニット3への電力の供給、該高周波ユニット3との信号の授受を行う。
【0016】
次に、図3〜図7を参照して、前記高周波ユニット3について説明する。
【0017】
該高周波ユニット3は、送受信アンテナ6、回路基板7、高周波送信モジュール8、高周波受信モジュール9、コネクタ10を具備している。
【0018】
前記送受信アンテナ6はホーンアンテナであり、アンテナ形状を掘込んだ金属板11、金属板12の貼合せにより、1組として一体型形成された薄型のホーンアンテナを実現している。
【0019】
図4、図5に示される様に、前記金属板11には先端に向って底面部が拡大して開口部となる3角形状の凹部13a,13bが刻設され、又該凹部13a,13bの頂部に連通する導波管伝送路14a,14bが刻設される。該導波管伝送路14a,14bは前記凹部13a,13bに対して深さが浅くなっており、前記凹部13a,13bと前記導波管伝送路14a,14bとの間には階段部15a,15bが形成されている。又、前記導波管伝送路14a,14bの基端には、図6に示される様に、伝送電力整合の為、少なくとも1つの段差20a,20b若しくはテーパ状の斜面が形成されている。
【0020】
前記金属板12は前記金属板11と同形状であり、前記凹部13a,13bと同形状の凹部16a,16bが刻設され、該凹部16a,16bの頂部には、導波管路の一部を形成する階段部17a,17bが形成されている。該階段部17a,17bより所定距離離れた位置(前記導波管伝送路14a,14bの先端部に対応する位置)に導波管出力口18a及び導波管入力口18bが板厚方向に貫通して設けられている。
【0021】
尚、階段部15a,15b,17a,17bの役割りとして、ミリ波がホーンアンテナからスムーズに出力できる様整合性を取る為のものであり、つまり、ミリ波が遠くまで届く為のものであり、又ゲインの為である。
【0022】
前記金属板11、前記金属板12を隙間なく密着させる為に、前記凹部13a,13bの周囲、前記凹部16a,16bの周囲には所定ピッチで多数の螺子止め用孔19が穿設され、前記金属板11と前記金属板12とは前記螺子止め用孔19に挿通した螺子によって強固に固定され、一体化される。
【0023】
前記金属板11と前記金属板12とが一体化した状態では、前記凹部13a,13bと前記凹部16a,16bとがそれぞれ合致し、前記凹部13aと前記凹部16aとで3角形状の送信用アンテナ空洞21が形成される。該送信用アンテナ空洞21は底辺部は開口し、頂部には前記導波管伝送路14a、前記階段部15aと前記階段部17aによって前記送信用アンテナ空洞21に連通する導波管路23が形成され、該導波管路23に前記導波管出力口18aが連通する。而して、前記導波管路23は、直角に屈曲し、前記金属板12の表面に開口し、前記送信用アンテナ空洞21に連通する(図6参照)。更に、前記導波管路23と前記送信用アンテナ空洞21との接合部分は、前記階段部17a,15aによって段階的に拡大する。尚、前記階段部17a,15aは斜面としてテーパ状に拡大させてもよい。
【0024】
又、同様にして、前記凹部13bと前記凹部16bとで3角形状の受信用アンテナ空洞22が形成され、前記導波管伝送路14b、前記階段部15b及び前記階段部17bによって直角に屈曲した導波管路24が形成され、該導波管路24により前記受信用アンテナ空洞22と前記受信用アンテナ空洞22とが連通される(図6参照)。
【0025】
ここで、前記送信用アンテナ空洞21、前記受信用アンテナ空洞22の開口部の横寸法b、縦寸法a、及び奥行寸法lについては下記の様に求められる。
【0026】
一般にH面ホーンアンテナのゲイン(G)は下記の式で与えられることが知られている。
G=4πabη/λ2
【0027】
ここで、aはアンテナ開口面の長辺方向の長さ、bはアンテナ開口面の短辺方向の長さであり、λは波長である。又、ηは開口面効率でありフレネル積分を含む計算式より別途算出される。式より、アンテナゲインを上げる為には、辺a,bを大きくすればよいが、a,b,ηは互いに関連しており、大きな開口面効率ηを保ったままゲインを大きくしようとすると、アンテナ長lが長くなってしまうことが知られている。ここでlは、図7中、奥行方向の長さを示す。
【0028】
従って、アンテナ形状設計の際には、装置外形寸法を考慮して、先ずアンテナ長lを決定する。又、辺bはビームの広がり角θ0 に関連しているので(図7参照)、必要な広がり角θ0 になる様に辺bを決定する。
【0029】
上記のl,bに基づき、必要なゲイン(G)が得られる開口面効率ηになる様に辺aを選べばよい。この様にして、開口面積に依存する形でゲイン(G)が決定する。
【0030】
更に、好ましくは、ホーンアンテナの開口部形状は、縦細長の形状の方が、より横幅の広いビーム幅を形成することができ、これにより、薄型のホーンアンテナが実現できると共に、漏れのない周方向範囲を網羅することができる。更に、ビーム幅が広くなる為、ホーンアンテナの数がより少なくて済む。
【0031】
前記導波管出力口18aに対して前記高周波送信モジュール8が設けられ、該高周波送信モジュール8の導波管出力口(図示せず)と前記導波管出力口18aとは合致する。又、前記導波管入力口18bに対して前記高周波受信モジュール9が設けられ、該高周波受信モジュール9の導波管入力口(図示せず)と前記導波管入力口18bとは合致する。
【0032】
又、前記金属板12には、前記回路基板7が設けられ、該回路基板7は前記高周波送信モジュール8、前記高周波受信モジュール9と干渉しない様に、該高周波送信モジュール8、高周波受信モジュール9部分が除去されている。前記回路基板7と前記高周波送信モジュール8、前記高周波受信モジュール9とは電気的に接続され、更に前記回路基板7と前記コネクタ10とは電気的に接続されている。而して、該コネクタ10を前記ソケット5に嵌合することで、前記回路基板7は前記信号処理ユニット2内部の信号処理部(図示せず)に接続される様になっている。
【0033】
而して、前記金属板11と前記金属板12とを組合わせることで、上下2段に縦長の送信用アンテナ空洞21、前記受信用アンテナ空洞22が形成される。又、該送信用アンテナ空洞21、前記受信用アンテナ空洞22は、前記金属板11と前記金属板12とで一体に構成されることから、送受信方向が一致したものとなる。又、前記金属板11、前記金属板12に前記回路基板7、前記高周波送信モジュール8、前記高周波受信モジュール9を組込むことで、送受信機能を備えた送受信アンテナ6を高周波ユニット3としてユニット化でき、前記信号処理ユニット2との組合わせで種々の態様を持つレーダ装置を製作することができ、又構成の変更も容易である。
【0034】
図7は送受信アンテナの指向性を示した図である。
【0035】
前記送受信アンテナ6は導波管H面ホーンアンテナとして動作し、アンテナ開口面の短辺方向bのビームの広がり角θは大きく、アンテナ開口面の長辺方向aのビームの広がり角は小さい。
【0036】
上記した高周波ユニット3のコネクタ10を前記ソケット5に嵌合させることで前記信号処理ユニット2と前記高周波ユニット3との組立が完了する。図1は全てのソケット5に前記コネクタ10を嵌合させ、前記高周波ユニット3(送受信アンテナ6)を前記信号処理ユニット2を中心として放射状に組立てたものである。
【0037】
図8に示される様に、各送受信アンテナ6からは、広がり角θ0 (水平方向の広がり角)でレーダが発振されるので、全周をカバーする為には、発振されるレーダ間に空間を生じない様にする。即ち、隣接する送受信アンテナ6,6間の角度は、発振されるレーダの広がり角θ0 で決定される。従って、本実施例では、前記送受信アンテナ6,6間の角度は60°であり、発振されるレーダの広がり角θ0 は、>60゜となる。尚、隣接するレーダは所要角度オーバラップしてもよい。
【0038】
尚、全周を検知する必要がなく、所要角度の範囲で検知すればよい場合は、図9に示される様に、検知したい方向、検知したい範囲分をカバーする様に、前記信号処理ユニット2に前記高周波ユニット3(送受信アンテナ6)を取付ける。図9(A)では前記送受信アンテナ6が3組取付けられた場合を示しており、この状態での検知範囲が図9(B)で示されている。部分的に前記送受信アンテナ6を取付けた場合の検知範囲は、θ×n台(送受信アンテナ6の数)となる。図9(B)では、送受信アンテナ6が3台であり、略180゜の範囲を検知する様になっている。
【0039】
図10は本実施例に係るレーダ装置の回路構成の一例をブロック図で示している。各高周波ユニット3はFMCWレーダ装置(周波数変調連続波レーダ装置)として動作している。前記信号処理ユニット2には複数の高周波ユニット3が接続されている。
【0040】
前記信号処理ユニット2は、ミリ波発振器31と信号処理部32とを有し、前記ミリ波発振器31は信号処理部32により制御され、FM変調信号を出力する。FM変調信号は送信増幅器33で増幅された後、送受信アンテナ6(送信用アンテナ空洞21)から射出される。対象物より反射された反射波は前記送受信アンテナ6(受信用アンテナ空洞22)を介して受信され、受信増幅器37で増幅された後、ミキサ38によって、前記ミリ波発振器31の出力とミキシングされる。ミキシングにより生じるビート信号は、IF増幅器39で増幅された後、前記信号処理部32で検出される。該信号処理部32は検出信号を処理、解析することで対象物を検出し、更に、ミリ波レーダ装置と対象物間の距離及び相対速度を検知する。
【0041】
又、前記信号処理部32はスイッチング機能を有しており、動作させる高周波ユニット3を切替え、個々に所定の順序で動作させる。
【0042】
次に、図11〜図13により、上記実施例に係るレーダ装置を用いた監視システムについて説明する。
【0043】
図11中、40はレーダ装置、41は回転可能に支持された監視カメラ、42はディスプレイ等の表示装置、図12中の43は制御装置である。又、図12中、44は前記監視カメラを所要の向きとなる様に回転させるモータ、45は該モータ44を駆動制御する駆動部45である。尚、前記監視カメラ41の回転中心は、前記レーダ装置40の中心と合致していることが好ましい。
【0044】
前記監視カメラ41、前記表示装置42、前記制御装置43、前記駆動部45は、有線、無線等適宜な手段で電気的に接続される。
【0045】
尚、前記レーダ装置40は、例えば前記高周波ユニット3が放射状に6台設けられ、全周範囲で対象物を検知するものが用いられている。尚、前記監視カメラ41の画角は、前記発振されるレーダの広がり角θと同じか、それ以上となっている。又、前記監視カメラ41をスキャンさせる場合は、前記発振されるレーダの広がり角θよりも小さくてよい。
【0046】
図13(A)は、6台の送受信アンテナ6[(1)〜(6)]が検知する範囲(1)〜(6)を示しており、図13(B)は前記信号処理部32のスイッチングによって動作される高周波ユニット3の動作順序を示しており、各高周波ユニット3の動作時間はΔtとなっている。尚、前記信号処理部32にはスイッチングの順序、パターン等が予め設定されており、設定された順序パターンに従って、前記高周波ユニット3の切替えを行う。
【0047】
例えば、図13(B)では、高周波ユニット3を(1)〜(6)の順序で繰返し切替えている。又、前記高周波ユニット3を(1),(4)→(2),(5)→(3),(6)→(1),(4)→…と、2つの高周波ユニット3を1組として切替えてもよい。尚、複数の高周波ユニット3を1組として、順次切替える場合は、電波が干渉しない様に、隣接する高周波ユニット3,3同士は同時に作動させない様にすることが好ましい。
【0048】
前記信号処理部32がスイッチング作動により、高周波ユニット3を(1)〜(6)へと順次切替え、作動させ、検出範囲(1)〜(6)へと順次レーダを照射して、対象物の検知を行う。
【0049】
前記高周波ユニット3(送受信アンテナ6)の1つが対象物からの反射波を受信し、受信結果が前記信号処理部32に入力されると、該信号処理部32は対象物の検知を行うと共に、どの送受信アンテナ6が反射波を受信したかをスイッチング状態から特定する。
【0050】
前記信号処理部32の検出結果は、前記制御装置43に入力され、特定された送受信アンテナ6の方向が判断される。前記制御装置43は前記駆動部45を介して前記モータ44を駆動し、前記送受信アンテナ6の方向に回転させ、前記監視カメラ41の光軸を、特定された前記送受信アンテナ6の向きに合致させる。ここで、前記監視カメラ41の画角は、前記送受信アンテナ6が照射するレーダの広がり角と同等又は広がり角より大きな画角を有するので、前記監視カメラ41を前記送受信アンテナ6の方向に合致させることで、検知された対象物を映像として捉えることができる。前記監視カメラ41が捉えた映像は、有線、無線により例えば前記表示装置42に伝送され、該表示装置42に表示される。
【0051】
前記制御装置43の前記監視カメラ41の方向制御は、予め設定されている6つの角度(6つの送受信アンテナ6の方向)に向けるだけであるので、簡単な制御となる。
【0052】
又本実施例では、複数台の送受信アンテナ6を同時に作動させないことから、システムとしての消費電力を低減することができる。又、送信アンテナと受信アンテナとが一体となっており、更に送受信の方向が同一であるので、正確な受信方向の判別が可能となる。
【0053】
又、前記信号処理ユニット2に複数の前記送受信アンテナ6を組込む場合、台数の選定、組込む方向の選定等、ユーザの使用状況に応じた種々の態様で検知パターンを作り出すことが可能である。
【0054】
上記実施例に於いて、前記信号処理ユニット2は6角柱形状としたが、柱状であり、円周方向に順次等角度で傾斜する複数の側面を有する形状であり、側面にソケット5が設けられる形状であればよい。
【0055】
本発明によれば、本発明の多方向レーダ装置により、360°全方位に亘る広範囲のレーダ検知を可能とする。
【0056】
又、水平方向に広いビーム幅を持つアンテナを高周波ユニットに採用することにより、少ない個数の高周波ユニットで装置周方向を広範囲に検知することができる。
【0057】
又、装置中央に位置する信号処理ユニットに、任意数の高周波ユニットを自由に接続することで、ユーザの使用状況に応じた様々な検知パターンを作り出すことが可能である。
【0058】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0059】
(付記1)中心に設けられる信号処理ユニットと、該信号処理ユニットに組込まれ、ホーン型送受信アンテナを有する複数の高周波ユニットとを具備し、前記信号処理ユニットは円周方向に等角度で順次傾斜する側面を有し、内部に信号処理部を有すると共に前記側面には前記信号処理部に接続されたソケットが設けられ、前記高周波ユニットは上下に縦長の送信用アンテナ開口と受信用アンテナ開口とを有すると共に前記ソケットに嵌合するコネクタとを有することを特徴とするレーダ装置。
【0060】
(付記2)前記レーダ装置と、該レーダ装置の中心線を中心に回転可能に設けられた監視カメラと、該監視カメラを回転させる駆動部と、表示装置と、前記レーダ装置、前記監視カメラ、前記表示装置、前記駆動部を制御する制御装置とを具備し、前記レーダ装置の送受信アンテナが対象物を検知すると、対象物を検知した送受信アンテナを特定し、前記監視カメラを特定した送受信アンテナの方向に向け、該監視カメラで取得した映像を前記表示装置に表示させることを特徴とするレーダ監視システム。
又、本レーダ監視システムとすることで、共通の信号処理ユニットと、送受信アンテナとでユーザのニーズに対応した装置構成とすることができ、又、信号処理ユニットに対する送受信アンテナの台数、組立の態様も種々選択でき、安価で汎用性の高いレーダ監視システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ベース
2 信号処理ユニット
3 高周波ユニット
4 筐体
5 ソケット
6 送受信アンテナ
7 回路基板
8 高周波送信モジュール
9 高周波受信モジュール
11 金属板
12 金属板
13 凹部
14 導波管伝送路
15 階段部
21 送信用アンテナ空洞
22 受信用アンテナ空洞
23 導波管路
24 導波管路
31 ミリ波発振器
32 信号処理部
40 レーダ装置
41 監視カメラ
42 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に設けられる信号処理ユニットと、該信号処理ユニットに組込まれ、ホーン型送受信アンテナを有する少なくとも1つの高周波ユニットとを具備し、前記信号処理ユニットは円周方向に等角度で順次傾斜する側面を有し、内部に信号処理部を有すると共に前記側面には前記信号処理部に接続されたソケットが設けられ、前記高周波ユニットは上下に縦長の送信用アンテナ開口と受信用アンテナ開口とを有すると共に前記ソケットに嵌合するコネクタとを有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記高周波ユニットを個別に作動させるスイッチング機能を有し、前記高周波ユニットを予め設定した順序、設定したパターンで切替えつつ作動させる請求項1のレーダ装置。
【請求項3】
前記送受信アンテナは、2枚の金属板に上下2段に3角形状の凹部が形成され、2枚の金属板を一体化することで、上下2段に3角形状の送信用アンテナ空洞と受信用アンテナ空洞とが形成され、前記送信用アンテナ空洞、前記受信用アンテナ空洞の底辺部は開口し、又頂部に連通する導波管路がそれぞれ形成される請求項1又は請求項2のレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−167956(P2012−167956A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27550(P2011−27550)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】