説明

ロボットおよび補間方法

【課題】ロボットを構成する2つの制御ユニットA,Bにおいて、制御ユニットBが制御ユニットA上に設置されている場合に、両方の制御ユニットを同時に動かしながら、制御ユニットBの制御点に対して所望の補間動作ができるようにする。
【解決手段】制御ユニットBのユニットコントローラBに対して、制御ユニットAの制御点ACに対する指令Aも与える。ユニットコントローラBは、指令Aを制御周期ごとに補間計算し、制御ユニットBのユニット座標系Bにおける制御点BCの補間位置を計算することで、制御ユニットBのアクチュエータの補間位置を計算し、アクチュエータを制御するという手順で処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを構成する制御ユニット間の協調制御に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、産業用途においては、主に溶接や搬送といった単一の作業を処理するアームタイプの単機能ロボット(以降、「アームロボット」と言う)が多く用いられてきた。この場合、アームロボットの位置や姿勢を直接制御する装置、いわゆるロボットコントローラが制御すべきサーボモータの数は、多くとも6、7程度であった。
しかしながら今日では、ロボットに求められる作業が複雑化かつ多機能化している。例えば、複数マニピュレータを協調動作させた部品組み立て作業といったものがそうである。さらに、マニピュレータ先端に装着されるエンドエフェクタについても、対象を掴むあるいは放すといった単純な作業以外に、ペットボトルのキャップのような対象を掴みながら回転させるといった作業が要求されるようになってきており、サーボモータが1個装着されたグリッパタイプだけでなく、サーボモータが多数(例えば、9)装着されたハンドタイプのエンドエフェクタも制御する必要がでてきた。
このように、ロボットに求められる作業が複雑化かつ多機能化しているため、ロボットに装着されるサーボモータの数が増大している。例えば、全方向に移動可能な移動機構を備え、ハンドタイプのエンドエフェクタを取り付けた図7に示すような移動型双腕ロボットの場合、使用されるサーボモータの数は
移動機構 3
腕 14(右、左ごとに7)
エンドエフェクタ 18(右、左ごとに9)
--------------------------------------------------
合計 35
となり、コントローラで使用するマイコンの性能上の限界から、1つのコントローラで処理することが困難になってきている。
この一般的な技術課題を解決するために、ロボットを「ユニット」と呼ばれる複数の機能ブロックに分割し、それぞれのユニットには、ユニットを制御するユニットコントローラを内蔵させ、ロボットの処理を、機能単位でこれらユニットコントローラに分散させることが行われている。例えば、前述した双腕アームロボットの場合、移動機能を移動ユニットに、アーム機能はアームユニットに、エンドエフェクタ機能をエンドエフェクタユニットにそれぞれ分割し、すべてのユニットの動作を管理統括する統括コントローラを設けることで、それぞれのユニットコントローラで制御すべきサーボモータの数を軽減し、統括コントローラにより双腕アームロボット全体の制御が可能としている。
【0003】
このロボット全体の機能構成を図3に基づいて説明する。図3は移動ユニット301上にアームユニット302が、さらにアームユニット302上にエンドエフェクタユニット303が設置された移動型アームユニット300の模式図である。
そして、移動ユニット301、アームユニット302、エンドエフェクタユニット303は、それぞれ自ユニットを制御するために必要な機能のみを内蔵している。
例えば、サーボモータで制御される3つの車輪を持つ移動ユニット301は、床面のある一点を原点とする三次元直交座標系(以降、「移動ユニット座標系」と言う)311に対して、移動ユニット制御点322の位置・姿勢(X,Y,θ)を補間制御するためのインタフェース(直線補間指令や円弧補間指令など)を持ち、これらの指令データを3つの車輪の角度データに変換する逆運動学変換処理を内蔵している。これにより移動ユニット301は、統括コントローラから、位置・姿勢に関する補間指令を受信すると、現在位置・姿勢に対して、目標位置・姿勢を計算し、逆運動学変換処理により制御周期ごとの車輪の角度を計算し、サーボモータを制御することができる。
アームユニット302についても同様に、アームユニット内部の一点を原点とする三次元直交座標系(以降、「アームユニット座標系」と言う)312に対して、アームユニット制御点323の位置・姿勢(X,Y,Z, roll, pitch, yaw)を補間制御するためのインタフェース(直線補間指令や円弧補間指令など)を持ち、これらの指令データを各関節の角度データに変換する逆運動学変換処理を内蔵している。これによりアームユニット302は、統括コントローラから、位置・姿勢に関する補間指令を受信すると、現在位置・姿勢に対して、目標位置・姿勢を計算し、逆運動学変換処理により制御周期ごとの各関節の角度を計算し、サーボモータを制御することができる。
エンドエフェクタユニット303についても同様であるため、説明は省略する。
【0004】
このようなユニットの組み合わせにより構成されるロボットのアームユニット制御点の位置・姿勢を補間制御するために、一般的にはいくつかの方法が考えられる。例えば、図4に示すように、移動ユニット301を移動ユニット座標系311上で円弧に沿って移動させながらアームユニット制御点323を直線的に移動させたい場合、従来は以下のような方法がとられていた。
(1)移動ユニット301、アームユニット302の機能分担に応じて、移動ユニット301のコントローラには移動ユニット座標系311上の位置・姿勢指令、アームユニット302のコントローラにはアームユニット座標系312上の位置・姿勢指令をそれぞれ与える方法。
(2) アームユニット302のコントローラに、移動ユニット座標系311上の制御点位置・姿勢指令のためのインタフェースと、移動ユニット301の位置・姿勢情報を入力する通信部を設ける。アームユニット302のコントローラは、統括コントローラから与えられた移動ユニット座標系311上のアームユニット制御点323の位置・姿勢指令と、移動ユニット301のコントローラから受信する制御周期ごとの位置データを元に、アームユニット制御点323のアームユニット座標系312上の位置・姿勢を計算し、制御周期ごとに全関節の角度を計算しサーボモータを制御する方法。
特に、(2)の方法を実施するためには、一般的には、特許文献1に示すように、2つの協調するロボットの制御部間で制御周期ごとに位置データを送受信する必要がある。この従来技術の適用例の模式図を図6に示す。図6において、2つのアームユニット601、602を協調させる場合、アームユニット601をマスタアーム、アームユニット602をスレーブアームとし、マスタアームのユニット制御点621の位置データを、一定周期でマスタアームのアームユニットコントローラ611からスレーブアームのアームユニット602のアームユニットコントローラ612へ送信することで、スレーブアームの制御周期ごとの位置データを計算し、アームユニット602のアクチュエータを制御する。この方法を図3の移動型アームロボット300に適用するならば、移動ユニット301の制御点データをアームユニット302へ一定周期で送信することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3086082号公報(第7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの方法には以下に述べるような課題がある。
まず、(1)の方法では、アームユニットのコントローラに与えるべきアームユニット座標系上の位置・姿勢指令を作成するのが難しく、かつ軌跡精度が悪いという課題がある。一般的に、統括コントローラからアームユニットコントローラへ与える指令は、アームユニット座標系における目標位置・姿勢、および指令速度である。図4に示す移動ユニット301を円弧にそって移動させながらアームユニット制御点323を移動ユニット座標系311に対して直線的に移動させる場合、移動ユニット301の動作に従ってアームユニット座標系原点322も移動するため、アームユニット座標系312から見たアームユニット制御点323の位置・姿勢の動作は、一般的には単純に直線で表されるような軌跡ではなく、例えば図5に示すような複雑な軌跡を描く。しかも、アームユニット座標系312から見たアームユニット制御点323の指令速度も時々刻々と変化する複雑な指令が必要となる。この場合、アームユニットコントローラにアームユニット制御点323の位置・姿勢、指令速度をNURBS曲線やベジエ曲線などの自由曲線で与える方法が考えられるが、自由曲線に対する補間処理は負荷が高く、特に多軸の制御ユニットの場合、制御周期内で補間処理が完了しないといった問題が発生する可能性が高くなる。
(2)の方法では、図3においては、移動ユニット301のコントローラからアームユニット302のコントローラへ、一定周期で制御点の位置データを送信する必要があり、通信負荷が大きくなるという課題がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ユニットコントローラに対する指令を簡略化するとともに、ユニットコントローラ間の通信負荷を高めることなく、複数のユニットを協調して動作させることができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本発明は、次のようにしたのである。
請求項1乃至2に記載の発明は、ロボットを構成する2つの制御ユニットA、Bにおいて、制御ユニットAの制御点ACの移動に伴い、制御ユニットBのローカル座標系であるユニット座標系Bの原点BOが移動する場合に、ユニット座標系Aにおける、制御ユニットBの制御点BCの目標位置、目標位置までの補間形状、指令速度に加えて、ユニット座標系Aにおける、制御ユニットBの原点BOの現在位置、目標位置、目標位置までの補間形状、指令速度を入力して、制御周期ごとの、ユニット座標系Bにおける制御点BCの補間位置を計算することで、アクチュエータの位置を計算し、アクチュエータを制御するという手順をとったのである。
また、請求項3乃至4に記載の発明は、2つの制御ユニット(制御ユニットAおよび制御ユニットB)と、制御ユニットを統括する統括コントローラとをネットワークで接続して構成したロボットにおいて、制御ユニットBに対して、ユニット座標系Aにおける、制御ユニットBのユニット座標系Bの原点BOの補間指令も与え、制御ユニットBのユニットコントローラBは、ユニット座標系Aにおける、制御点BCの補間計算に加え、原点BOの補間計算も実施することで、制御ユニットB自身のユニット座標系Bにおける制御点BCの位置を計算し、アクチュエータを制御するものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1乃至は2乃至は3に記載の発明によると、ロボットを構成する2つの制御ユニットA,Bにおいて、制御ユニットAの制御点ACの移動に伴い、制御ユニットB上のユニット座標系原点BOが移動する場合に、ユニット座標系Aから見て制御ユニットBの制御点BCも原点BOも共にそれぞれの目標位置へ向かって、例えば直線移動する場合に、制御ユニットBの原点BOから見た制御点BCの相対的な軌跡が図5に示すような自由曲線になったとしても、制御ユニットBのユニットコントローラは、自身の制御点BCの直線補間のモーション指令に加えて、制御ユニットAの制御点ACの直線補間のモーション指令を入力することで、制御周期ごとの制御点BC及び原点BOの補間位置を計算することができ、原点BOから見た制御点BCの相対的な位置を制御周期ごとに計算することができるため、制御ユニットBと共に制御ユニットAが移動する場合であっても、制御ユニットBの制御点BCを所望の軌跡に沿って制御することができる。
また、請求項4に記載の発明によると、背景技術の項で説明した移動型双腕ロボットのように、移動ユニット上にアームユニットが設置されている場合にも、移動型双腕ロボットの統括コントローラから、アームユニットには、ユニット座標系A上のアームユニットの制御点に対する指令に加えて、移動ユニットの制御点に対する指令も与えることができるので、移動ユニットとアームユニット間で制御周期ごとの位置データを送受信する必要はなく、通信負荷を高めることにならない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の方法を適用するロボットの構成を示すブロック図
【図2】本発明の方法の処理手順を示すフローチャート
【図3】本発明の適用対象となる移動型アームロボットの模式図
【図4】本発明の適用対象となる移動型アームロボットの動作例
【図5】図4の動作例における従来方法(1)の問題点
【図6】従来方法(2)の処理概要を示す模式図
【図7】移動型双腕ロボットの例
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の方法の具体的実施例について、図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の方法を実施する移動型アームロボットの構成を示すブロック図である。移動型アームロボットの概要は図3に基づいて上述した通りであるので、図3の説明は省略する。なお、図3にはエンドエフェクタユニット303が記載されているが、本実施例の説明においては不要であるため、図1から省いている。
図1において、移動型アームロボットは、移動ユニット120とアームユニット130、およびこれらのユニットを統括制御する統括コントローラ110から構成されている。また、移動ユニット120はユニットコントローラ121およびアクチュエータ122から、アームユニット130はユニットコントローラ131とアクチュエータ132とから構成されており、統括コントローラ110と、移動ユニットのユニットコントローラ121、アームユニットのユニットコントローラ131は通信線140で接続されている。
【0012】
移動型アームロボット100は、予めユーザによって教示され、統括コントローラ110上に保存された、アームユニット制御点323に対する移動ユニット座標系311上のモーション指令112を入力すると、指令生成部111にて、移動ユニット120とアームユニット130に対するモーション指令にそれぞれ分割する。例えば、図4に示すように、アームユニット制御点323に対する移動ユニット座標系311上のモーション指令が直線補間指令、移動ユニット制御点322に対する移動ユニット座標系311上のモーション指令が円弧補間指令の場合には、移動ユニット120およびアームユニット130に対するそれぞれのモーション指令moveCircular 、moveLinearTravelはそれぞれ以下のようなものとなる。
moveCircular:
moveCircular(
移動ユニット制御点322の移動ユニット座標系311上の円弧中心位置、
移動ユニット制御点322の移動ユニット座標系311上の目標位置と姿勢、
移動ユニット制御点322の指令速度

moveLinearTravel:
moveLinearTravel(
アームユニット制御点323の移動ユニット座標系311上の目標位置と姿勢、
アームユニット制御点323の指令速度
アームユニット原点322の補間種別(ここでは「Circular」)、
アームユニット原点322の移動ユニット座標系311上の円弧中心位置、
アームユニット原点322の移動ユニット座標系311上の現在位置と姿勢、
アームユニット原点322の移動ユニット座標系311上の目標位置と姿勢、
アームユニット原点322の指令速度、
)
【0013】
次に、これらのモーション指令を入力する移動ユニット120、アームユニット130の処理概要について説明する。
移動ユニット120のユニットコントローラ121の補間指令入力部123は、統括コントローラ110より出力された上述のモーション指令moveCircularを入力し、移動ユニット制御点322に対するモーション指令を出力する。移動ユニット制御点322に対するモーション指令は、制御点補間処理部126により、制御周期ごとの、移動ユニット座標系311上の移動ユニット制御点322の位置・姿勢OC1に変換される。アクチュエータ補間処理部127は移動ユニット制御点322の移動ユニット座標系311上の位置・姿勢OC1を入力し、移動ユニット120の機構に応じた逆変換処理を施し、アクチュエータ122への指令データに変換する。この指令データをアクチュエータ制御部128が入力し、アクチュエータ122を制御することになる。
【0014】
アームユニット130のユニットコントローラ131の補間指令入力部133は、統括コントローラ110より出力された上述のモーション指令moveLinearTravelを入力し、アームユニット座標系原点322に対するモーション指令と、アームユニット制御点323に対するモーション指令を出力する。アームユニット座標系原点322に対するモーション指令は、移動ユニット座標系原点補間処理部134により、制御周期ごとの補間点に分割され、移動ユニット座標系311上のアームユニット座標系原点322の位置・姿勢O2として出力される。一方、アームユニット制御点323に対するモーション指令は、移動ユニット座標系制御点補間処理部135により、制御周期ごとの補間点に分割され、移動ユニット座標系311上のアームユニット制御点323の位置・姿勢C2として出力される。アームユニット座標系制御点補間処理部136は、上述の原点位置・姿勢O2および制御点位置・姿勢C2を入力し、アームユニット130が持つローカル座標系であるアームユニット座標系312上のアームユニット制御点323の位置・姿勢OC2に変換する。アームユニット座標系原点322、およびアームユニット制御点323の移動ユニット座標系311上の位置・姿勢を表す同時変換行列をそれぞれTO2、TOC2とし、アームユニット制御点323のユニット座標系312上の位置・姿勢を表す同時変換行列をTUC2とすると、
TUC2=(TO2)−1TOC2
となるので、この同時変換行列TUC2に従って、アームユニット制御点323のアームユニット座標系312上の位置・姿勢OC2を計算する。
アクチュエータ補間処理部137はアームユニット制御点323のアームユニット座標系312上の位置・姿勢OC2を入力し、アームユニット130の機構に応じた逆変換処理を施し、アクチュエータ132への指令データに変換する。この指令データをアクチュエータ制御部138が入力し、アクチュエータ132を制御することになる。
また、ユニットコントローラ121、131は互いに同期するための同期制御部129、139を備えている。これらの同期制御部129、139は、通信線140を介して、移動ユニット120の補間処理部(制御点補間処理部126およびアクチュエータ補間処理部127)と、アームユニット130の補間処理部(移動ユニット座標系原点補間処理部134、移動ユニット座標系制御点補間処理部135、アームユニット座標系制御点補間処理部136およびアクチュエータ補間処理部137)との同期のタイミングを調整する。この手段として、通信線140に同期通信プロトコルを使用することもできるし、非同期通信であってもIEEE1588のような時刻同期プロトコルによる同期も可能である。
【0015】
このように、移動ユニット120上に設置されたアームユニット130のユニットコントローラ131が、アームユニット座標系原点322のモーション指令の処理部と、ユニットコントローラ121、131の処理を同期させる同期処理部129、139とをそれぞれ備えており、
移動ユニット120とアームユニット130が同期して、移動ユニット制御点322に対する移動ユニット座標系311上の位置・姿勢と、アームユニット制御点323に対するアームユニット座標系312上の位置・姿勢を計算することができるため、アームユニット制御点323に対する移動ユニット座標系311上の位置・姿勢を計算することができる。
【0016】
図2はアームユニット130に内蔵されたユニットコントローラ131において本発明の方法の処理手順を示すフローチャートである。この図を用いて本発明の方法を順を追って説明する。
【0017】
はじめにステップS200で、アームユニット制御点323に対する移動ユニット座標系311上の目標位置、目標位置までの補間形状、指令速度を入力する。本実施例の場合、上述したmoveLinearTravel()となる。
次に、ステップS201で、アームユニット座標系原点322に対する移動ユニット座標系311上の現在位置・姿勢と、目標位置と姿勢と、目標位置までの補間形状、指令速度を入力する。
ステップS202では、補間計算が完了したか否かを判定し、判定結果がYesならば、補間処理が完了となる。一方、ステップS202の判定結果がNoならば、ステップS203へ移行する。
ステップS203では、アームユニット制御点323に対する、移動ユニット座標系311上の補間位置を補間周期ごとに計算し、続くステップS204では、アームユニット座標系原点322に対する、移動ユニット座標系311上の補間位置を補間周期ごとに計算する。
ステップS205では、ステップS203とステップS204の結果出力される補間位置から、アームユニット制御点323に対する、アームユニット座標系312上の補間位置を計算する。具体的には、上述したように、アームユニット座標系原点322、およびアームユニット制御点323の移動ユニット座標系311上の位置・姿勢を表す同時変換行列をそれぞれTO2、TOC2とし、アームユニット制御点323のユニット座標系312上の位置・姿勢を表す同時変換行列をTUC2とすると、
TUC2=(TO2)−1TOC2
となるので、この同時変換行列TUC2に従って、アームユニット制御点323のアームユニット座標系312上の位置・姿勢OC2が計算できる。
最後に、ステップS206では、アームユニット制御点323のアームユニット座標系312上の位置・姿勢OC2に対して、アームユニット130の機構に応じた逆変換処理を施し、アクチュエータ132の補間位置を制御周期ごとに計算し、ステップS207では、アクチュエータ132を制御周期ごとに制御する。
【0018】
このように、アームユニット130のユニットコントローラ131において、アームユニット座標系原点322の移動を考慮した処理ができるので、アームユニット座標系原点322が移動ユニット120上に設置され、移動ユニット120が移動する場合においても、移動ユニット座標系311から見て、アームユニット制御点323を所望の軌跡に沿って制御することができる。
なお、移動ユニット120の場合は、図2に示したアームユニット130の処理手順のうち、移動ユニット座標系原点が移動することを考慮した処理手順S201およびS203およびS204をスキップした手順となる。
【符号の説明】
【0019】
100、300 移動型アームロボット
110 統括コントローラ
111 指令生成部
112 モーション指令
120、301 移動ユニット
121、131 ユニットコントローラ
122、132 アクチュエータ
123、133 補間指令入力部
134 移動ユニット座標系原点補間処理部
135 移動ユニット座標系制御点補間処理部
126、136 アームユニット座標系制御点補間処理部
127、137 アクチュエータ補間処理部
128、138 アクチュエータ制御部
130、302 アームユニット
140 通信線
303 エンドエフェクタユニット
311 移動ユニット座標系
312 アームユニット座標系
313 エンドエフェクタユニット座標系
321 移動ユニット座標系原点
322 移動ユニット制御点、またはアームユニット座標系原点
323 アームユニット制御点、またはエンドエフェクタユニット座標系原点
601、602 アームユニット
611、612 アームユニットコントローラ
621、622 アームユニット制御点
700 移動型双腕ロボット
701 移動機構
702 右エンドエフェクタ
703 左エンドエフェクタ
704 右腕
705 左腕


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのアクチュエータを制御する制御ユニットAおよび制御ユニットBと、前記制御ユニットAおよび前記制御ユニットBを統括制御する統括コントローラとが互いにネットワークで接続され、前記制御ユニットAおよび前記制御ユニットBには各々ローカル座標系であるユニット座標系Aおよびユニット座標系Bを持ち、前記制御ユニットAの制御点ACの移動に伴い前記ユニット座標系Bの原点BOが移動するように構成されており、前記制御ユニットAは制御点ACに対する補間指令を前記統括コントローラから入力し前記制御ユニットAに属するアクチュエータを移動制御し、前記制御ユニットBは前記ユニット座標系Bにおける前記制御ユニットBの制御点BCに対する補間指令を前記統括コントローラから入力し前記制御ユニットBに属するアクチュエータを前記ユニット座標系Aにおける補間軌道に沿って前記制御点BCを移動制御する補間方法において、
前記制御ユニットBは、
前記ユニット座標系Aにおける前記制御点BCの補間点BCTを計算し、
前記ユニット座標系Aにおける前記原点BOの補間点BOTを計算し、
前記補間点BOTを基準にして前記ユニット座標系Bにおける前記補間点BCTの補間点BOCTを計算し、
前記補間点BOCTに基づいて前記前記制御ユニットBに属するアクチュエータの補間位置を計算し、
前記補間位置に前記アクチュエータを制御する、
という手順で処理することを特徴とする前記制御ユニットBの前記制御点BCの補間方法。
【請求項2】
前記補間点BOTは、前記統括コントローラから入力した前記ユニット座標系Aにおける前記原点BOの現在位置と目標位置と該目標位置までの補間形状と指令速度とから計算し、
前記補間点BCTは、前記統括コントローラから入力した前記ユニット座標系Aにおける前記制御点BCの目標位置と目標位置までの補間形状と指令速度とから計算する、
ことを特徴とする請求項1記載の補間方法。
【請求項3】
2つのアクチュエータを制御する制御ユニットAおよび制御ユニットBと、前記制御ユニットAおよび前記制御ユニットBを統括制御する統括コントローラとが互いにネットワークで接続され、前記制御ユニットAおよび前記制御ユニットBには各々ローカル座標系であるユニット座標系Aおよびユニット座標系Bを持ち、前記制御ユニットAの制御点ACの移動に伴い前記ユニット座標系Bの原点BOが移動するように構成されており、前記制御ユニットAは制御点ACに対する補間指令を前記統括コントローラから入力し前記制御ユニットAに属するアクチュエータを移動制御し、前記制御ユニットBは前記ユニット座標系Bにおける前記制御ユニットBの制御点BCに対する補間指令を前記統括コントローラから入力し前記制御ユニットBに属するアクチュエータを前記ユニット座標系Aにおける補間軌道に沿って前記制御点BCを移動制御するロボットにおいて、
前記制御ユニットBは、
前記ユニット座標系Aにおける前記制御点BCの目標位置と目標位置までの補間形状と指令速度と前記ユニット座標系Aにおける前記ユニット座標系Bの原点BOの現在位置と目標位置と目標位置までの補間形状と指令速度とを前記統括コントローラから入力する補間指令入力部と、
前記ユニット座標系Aにおける前記制御点BCの補間位置を計算するユニット座標系Aにおける制御点補間処理部と、
前記ユニット座標系Aにおける前記ユニット座標系Bの原点BOの補間位置を計算するユニット座標系Aにおける原点補間処理部と、
前記ユニット座標系Bにおける前記制御点BCの補間位置を計算する、ユニット座標系Bにおける制御点補間処理部と、
前記制御ユニットBに属するアクチュエータの補間位置を計算するアクチュエータ補間処理部と、
前記制御ユニットBに属するアクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と、を備え、
前記制御ユニットBに属するアクチュエータの前記制御点BCを補間制御することを特徴とするロボット。
【請求項4】
前記統括コントローラは、
前記制御ユニットAに対して前記ユニット座標系Aにおける前記制御点ACの目標位置と目標位置までの補間形状と指令速度を、と与え、
前記制御ユニットBに対して前記ユニット座標系Aにおける前記制御ユニットAの制御点ACと目標位置と目標位置までの補間形状と指令速度と前記制御ユニットBの制御点BCの目標位置と目標位置までの補間形状と指令速度とを与える指令生成部を備え、
ることを特徴とする請求項3記載のロボット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−45636(P2012−45636A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187457(P2010−187457)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】