説明

ロボットの教示装置、及びロボットの制御装置

【課題】部品の種別毎に必要であったロボットの動作範囲や力覚センサ出力の許容範囲に関する作業者の初期設定作業を省略することができ、作業者による教示作業の負担を軽減させることができるロボットの教示装置、及びロボットの制御装置を提供する。
【解決手段】経路教示系127は、被組付ワーク150への組み付けが完了した状態の組付ワーク140をロボットハンド102に把持させ、組付ワーク140に過大な力が作用しないロボットハンド102の位置姿勢を探索しながら、ロボットハンド102に組付ワーク140の引抜動作を実行させる。経路教示系127は、その引抜動作の際に、ロボットハンド102の引抜移動経路を取得する。経路教示系127は、取得した引抜移動経路を時系列逆順に辿る経路を、組付作業経路として生成し、その生成した組付作業経路を動作制御部121に教示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置姿勢を変更可能な多関節型ロボットの作業経路(作業軌道)を取得する機能を有するロボットの教示装置、及びロボットの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ロボットハンドを有するロボットに所望の作業を行わせるには、作業経路の開始姿勢、中間姿勢、及び終了姿勢等のロボットの挙動が変化する場面での位置姿勢(位置、高さ及び傾き)を定義するための教示が必要である。特に、ワーク同士の接触を伴う組付作業では、挿入ミスを低減させるために、各場面での位置姿勢を精確に教示する必要がある。
【0003】
ここで、一般的なロボットの教示作業について説明する。はじめに、作業者が制御装置に接続されたティーチングボックスを用いて、ロボットハンドを所望の位置姿勢に移動させ、その位置姿勢を示すデータをロボットプログラム上に記憶させる。そして、それらの位置姿勢を繋ぐ経路(軌道)を満足する複数のサーボモータへの動作指令を制御装置に計算させる。
【0004】
例えば、組付作業についての一般的な作業定義では、作業員がティーチングボックスを用いて、組付開始位置及び組付終了位置を教示し、ロボットハンドが教示点間を移動する命令を適切に定義することによって、組付作業に関するロボットプログラムが定義される。これらの組付開始位置から組付終了位置までのロボットハンドの移動は、ロボットハンドのフィンガー部(又は組付ワーク)が直線を描くように移動命令を定義するのが一般的である。なお、組付作業の途中で組付ワークの姿勢を変えながら、組付ワークを被組付ワークに組み付ける場合には、組付開始位置姿勢と組付終了位置姿勢との間に経由点を適宜追加する必要がある。
【0005】
上記のようなロボットの教示作業において、作業者による目視での教示作業は、時間のかかる困難なものであり、作業者が良好な視野を確保できない場合も多い。そこで、ロボットの手首部若しくは関節部、又は部品治具等に取り付けられた力覚センサ(力覚検出手段)を介して、制御装置が、ロボットと部品との接触状態を検知し、その検知した接触状態に応じた制御を行う技術が知られている。
【0006】
このような技術の一例として、特許文献1に示すような従来のロボットの教示装置では、作業者が予備教示としての組付作業開始時の位置姿勢の教示を比較的粗めに行った後に、ロボットコントローラが力制御による自動運転を行う。この自動運転の際に、ロボットコントローラが、組付作業が成功した場合の組付開始時及び組付終了時のロボットハンドの位置姿勢の情報を記憶し、これらの位置姿勢の情報が、教示作業によって定義される情報の代わりに用いられる。
【0007】
なお、特許文献1に示す従来装置以外の技術としては、例えば特許文献2に示すような組立ロボットの自動教示方法及びその装置がある。このものでは、駆動装置が、CAD等の幾何データと非接触型センサからの信号とを用いて組付開始位置の近傍までロボットを移動させる。その後、駆動装置が接触型センサからの信号に応じて組付開始位置の最終調整を行う。この最終調整が完了した時点の位置を教示点決定手段が教示点として記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−194521号公報
【特許文献2】特開平9−146624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1に示すような従来装置において、力制御による組付作業を実現するには、センサキャリブレーション(力覚センサの適合作業)や、ロボットを安全に動かすための動作範囲や、力覚センサ出力の許容範囲の設定作業といった初期設定作業が必要である。特に、ロボットの力制御中において、組付方向以外へのロボットの移動量や姿勢の変更量が比較的大きい場合には、組付が成功することを妨げずかつ作業者が意図しない姿勢(作業成功が見込めない途中姿勢や、他機器との干渉の危険がある姿勢)となることを禁止するためのロボットの動作範囲について、初期設定作業を行うことは困難である。
【0010】
また、ワークの押し込みが必要な組付作業では、正常な組付動作中でもノイズと比較して大きな反力がワークに生じるため、正常な組付状態と、噛付き等の異常が発生している組付状態とを区別するための力覚センサ出力の許容範囲を設定することは困難である。
【0011】
従って、特許文献1に示すような従来装置では、初期設定段階で、ロボットの動作範囲や力覚センサ出力の許容範囲を精確に設定する必要があるため、部品の種別毎に異なる初期設定作業は、作業者の経験に依存する部分が大きかった。即ち、この初期設定作業には、作業者が限られるという問題や、経験を有する作業者が長時間拘束されるという問題があった。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、部品の種別毎に必要であったロボットの動作範囲や力覚センサ出力の許容範囲に関する作業者の初期設定作業を省略することができ、作業者による教示作業の負担を軽減させることができるロボットの教示装置、及びロボットの制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明のロボットの教示装置は、ロボットハンドの位置姿勢を検出可能であり、被組付ワークに設けられた被挿入部に組付ワークを挿入して前記被組付ワークに前記組付ワークを組み付ける際の前記ロボットハンドの移動経路である組付作業経路を、前記ロボットハンドの動作を制御する動作制御部に教示する経路教示部を備えるものであって、前記経路教示部は、前記被組付ワークに組み付けられた前記組付ワークを予め把持している前記ロボットハンドに、予め設定された引抜方向への前記組付ワークの引抜動作を実行させ、その引抜動作の際に、前記ロボットハンドの把持によって前記組付ワークに生じる反力が最小となるような引抜移動経路を、前記組付ワークに生じる反力を検出するための力覚検出手段からの信号を用いて探索し、その探索した前記引抜移動経路の時系列逆順を前記組付作業経路として前記動作制御部に教示するものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明のロボットの教示装置によれば、経路教示部が、ロボットハンドによる引抜動作の際に探索した引抜移動経路から組付作業経路を取得して動作制御部に教示するので、引抜動作の最中にロボットハンドが組付作業の失敗する姿勢を取ることがなく、また、引抜方向への組付ワークの反力に基づいて組付作業の完了を判断しないため、ロボットの動作可能範囲や力覚センサ出力の許容範囲に関する作業者の初期設定作業を省略することができ、作業者による教示作業の負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1によるロボットを示す構成図である。
【図2】図1の力覚センサの検出軸を説明するための説明図である。
【図3】図1の制御装置本体をより具体的に示すブロック図である。
【図4】図3の経路教示系の教示処理を示すフローチャートである。
【図5】引抜動作におけるロボットハンドの初期状態を示す断面図である。
【図6】引抜動作におけるロボットハンドの把持状態を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2による被組付ワーク治具及び力覚センサを示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態3によるロボットの制御装置を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態3による組付ワーク及び被組付ワークの組付状態の一例を示す断面図である。
【図10】この発明の実施の形態3による力覚センサの出力の変化を示すグラフである。
【図11】この発明の実施の形態3による組付ワーク及び被組付ワークの組付状態の他の例を示す断面図である。
【図12】この発明の実施の形態4によるロボットの制御装置を示すブロック図である。
【図13】図12のオフラインプログラミング装置で用いられる座標系を説明するための説明図である。
【図14】この発明の実施の形態5による経路教示系の教示処理を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態5による力覚センサの出力の変化を示すグラフである。
【図16】この発明の実施の形態6によるロボットの制御装置を示すブロック図である。
【図17】この発明の実施の形態6による力覚センサの出力の変化を示すグラフである。
【図18】この発明の実施の形態7によるロボットの制御装置が生成した表示情報の表示状態の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるロボットを示す構成図である。
図1において、ロボット100は、垂直多関節型ロボットである。また、ロボット100は、組付ワーク140及び被組付ワーク150の組付作業を行う。この組付作業とは、図2に示すように、被組付ワーク150に設けられた被挿入部150aに組付ワーク140を挿入して、被組付ワーク150に組付ワーク140を組み付ける作業である。
【0017】
また、ロボット100は、ロボットアーム101と、ロボットハンド102とを有している。ロボットハンド102は、ロボットアーム101の手首部に設けられている。ロボットハンド102は、対向配置された一対のフィンガー部を有している。また、ロボットハンド102は、一対のフィンガー部が組付ワーク140をその側方から挟み込むことによって、組付ワーク140を把持(挟持・握持)可能である。
【0018】
ロボットアーム101の複数の関節部のそれぞれには、ロボットアーム101の位置姿勢を変化させるためのサーボモータと、サーボモータの駆動量を検出するためのエンコーダとが取り付けられている(いずれも図示せず)。ロボットアーム101の手首部には、力覚検出手段としての力覚センサ110が取り付けられている。力覚センサ110は、ロボットハンド102に接触した物体に生じる反力(応力・ひずみ)を検出するためのセンサである。
【0019】
具体的に、力覚センサ110は、図2に示すように、並進3軸方向の力成分(X軸,Y軸,Z軸)と、並進3軸の軸回りのモーメント成分(Rx,Ry,Rz)とのそれぞれに応じた信号、即ち6軸成分値の信号を生成する。なお、図2に示す座標系は、ロボット100が設けられた作業空間に対応付けられた(固定された)座標系である。また、図2の例では、図2の上方が引抜方向であり、その引抜方向に沿うZ軸が第1並進軸である。また、Z軸に対して直交するX軸が第2並進軸であり、X軸及びZ軸の両方に対して直交するY軸が第3並進軸である。
【0020】
ロボット100の動作は、制御装置本体120によって制御される。制御装置本体120は、力覚センサ110を介して、ロボットハンド102に接触した物体に生じる反力を検出する。また、制御装置本体120は、ロボットアーム101のエンコーダを介して、ロボットハンド102の位置姿勢(位置、高さ及び傾き)を監視し、ロボットハンド102の位置姿勢を検出可能である。
【0021】
さらに、制御装置本体120は、演算処理部(CPU)、記憶部(ROM、RAM及びハードディスク等)及び信号入出力部を持ったハードウェア(図示せず)により構成することができる。また、制御装置本体120は、所定の動作を定義したロボットプログラムを例えば汎用コンピュータ等(図示せず)から受けて、予め記憶している。
【0022】
さらに、制御装置本体120は、予め記憶しているロボットプログラムに基づいて、ロボット100の動作を制御する。また、制御装置本体120は、ティーチングボックス(手動操作盤)130を介して入力された作業者からの移動命令に従って、ロボット100の動作を制御する。
【0023】
ここで、制御装置本体120に記憶されたロボットプログラムについて説明する。このロボットプログラムは、ロボットハンド102(手先)の位置姿勢を示す具体的な座標値の羅列である。制御装置本体120は、汎用コンピュータから受けたロボットプログラムを、記憶部に一旦記憶した上で、そのロボットプログラムの座標値を先頭から順に読み出す。そして、制御装置本体120は、座標値を順に読み出した後に、ロボットハンド102が順番にその座標値に到達するように、ロボットアーム101のサーボモータを駆動させて、ロボットアーム101をなす複数のリンクを回動させる。
【0024】
なお、このようなロボットプログラムには、例えば、条件分岐、繰り返し、サブルーチン、関数及びプロシージャ等を用いた構造化プログラミング文法により記述され、ロボット100を動作させるための命令語が組み合されたロボット言語による算譜を用いることができる。
【0025】
また、制御装置本体120は、力覚センサ110から6軸成分値の情報(以下、「力覚センサ110の出力」ともいう)を取得し、例えば、その6軸成分値が一定のものとなるようなロボットハンド102の座標値を算出して、ロボットハンド102の次の移動先の座標値を生成する。これにより、制御装置本体120は、力覚センサ110からの6軸成分値の取得、取得した6軸成分値を用いた所定の演算に基づくロボットハンド102の移動量の算出、ロボットハンド102の移動先の座標値の生成、及びロボットハンド102の移動という一連の制御ループ(即ち経路教示系127の一連の動作)を実行可能となっている。
【0026】
次に、図3は、図1の制御装置本体120をより具体的に示すブロック図である。図3において、制御装置本体120は、組付開始位置と、組付終了位置と、必要に応じて組付作業中の姿勢変更位置とを定義することによって、組付作業経路を自動生成する。また、制御装置本体120には、組付ワーク140の引抜方向の情報と、ロボットハンド102の引抜動作に関する目標位置の情報とが予め設定されている。また、制御装置本体120は、動作制御部121、位置姿勢探索部122、引抜位置姿勢生成部123、目標位置到達判定部124、力覚センサ出力判定部125及び作業経路生成部126を有している。
【0027】
位置姿勢探索部122、引抜位置姿勢生成部123、目標位置到達判定部124、力覚センサ出力判定部125及び作業経路生成部126は、経路教示部としての経路教示系127を構成している。経路教示系127は、被組付ワーク150に組付ワーク140を組み付ける際のロボットハンド102の移動経路である組付作業経路を、動作制御部121に教示する。また、経路教示系127は、組付作業経路を動作制御部121に教示する際に、動作制御部121に動作指令を送り、ロボットハンド102の位置姿勢を変更させる。
【0028】
動作制御部121は、制御装置本体120におけるロボット100の動作制御に関する機能を担う。位置姿勢探索部122は、ロボットハンド102の引抜開始位置姿勢(最適な位置姿勢)についての探索処理を実行可能である。この引抜開始位置姿勢とは、組付ワーク140の引抜方向の位置は変化せず、組付ワーク140の引抜方向以外(図2におけるZ方向以外の方向、即ちX、Y、Rx、Ry及びRzの各方向)への力覚センサ110の出力が最小となる(十分に小さい)位置姿勢である。この引抜開始位置姿勢は、引抜移動経路の起点であり、かつ組付作業経路の終点でもある。
【0029】
引抜位置姿勢生成部123は、組付ワーク140をZ方向(引抜方向)のみに一定量移動させるためのロボットハンド102の位置姿勢(位置、高さ及び角度)を算出して、その算出した座標値へ向けてロボットハンド102を移動させる。目標位置到達判定部124は、ロボットハンド102の引抜動作の際に、予め設定された目標位置としての引抜終了位置にロボットハンド102が到達したか否かを判定する。また、目標位置到達判定部124は、ロボットハンド102が到達したことを確認した場合に、その時点のロボットハンド102の位置姿勢を引抜終了位置姿勢として記憶する。この引抜終了位置姿勢は、引抜移動経路の終点であり、かつ組付作業経路の起点でもある。
【0030】
力覚センサ出力判定部125は、ロボットハンド102の引抜動作の際に、初期状態(ロボットハンド102を開いた状態)での力覚センサ110の出力(初期値)を基準値(=0)として設定する。また、力覚センサ出力判定部125は、ロボットハンド102の引抜動作中の力覚センサ110の出力の絶対値、即ち初期状態で設定した基準値からの相対値を監視し、その監視している力覚センサ110の出力の絶対値に基づいて、引抜動作中にロボットハンド102の姿勢変更を行うか否かを判定する。
【0031】
さらに、力覚センサ出力判定部125は、引抜動作中にロボットハンド102の姿勢変更を行うと判定した場合には、位置姿勢探索部122に探索処理を実行させる。作業経路生成部126は、位置姿勢探索部122及び目標位置到達判定部124が記憶したロボットハンド102の位置姿勢を時系列逆順に繋ぎ、ロボットハンド102の組付作業経路を生成する。
【0032】
次に、この位置姿勢探索部122による組付位置姿勢の探索処理の一例について説明する。まず、位置姿勢探索部122は、X軸方向にロボットハンド102を微小量dxだけ動かし、力覚センサ110の出力の変化量ΔFを、Z軸方向以外の5次元ベクトルとして取得する。即ち、変化量ΔFは、X,Y軸方向の力覚センサ110の出力の変化量ΔFx,ΔFyと、各軸のローテーションRx,Ry,Rzの力覚センサ110の出力の変化量ΔMx,ΔMy,ΔMzとの5つの要素により定まる。
【0033】
そして、位置姿勢探索部122は、変化量ΔFの各要素をdxで除したベクトルΔF/dxを算出する。これと同様に、位置姿勢探索部122は、Y,Rx,Ry,Rz方向のそれぞれに、ロボットハンド102を微小量dy,dRx,dRy,dRzのそれぞれだけ移動させて、ベクトルΔF/dy,ΔF/dRx,ΔF/dRy,ΔF/dRzを算出する。
【0034】
即ち、位置姿勢探索部122は、引抜方向に沿うZ軸に対して直交し、かつ互いに直交するX軸及びY軸に沿う並進運動と、X軸、Y軸及びZ軸のそれぞれの軸周りへの回転運動を、組付ワーク140を把持しているロボットハンド102に実行させる。ここで、ロボットハンド102の移動量が比較的少なければ、ΔF/d*(但し、*=x,y,Rx,Ry,Rz)に線形性の特性がある。これにより、位置姿勢探索部122は、現在の力覚センサ110の出力のうちZ方向以外の出力が0となるロボットハンド102の移動量を、5変数の連立1次方程式を解いて算出する。
【0035】
続いて、位置姿勢探索部122は、算出したロボットハンド102の移動量分、ロボットハンド102を移動させる。そして、位置姿勢探索部122は、移動させた後のロボットハンド102の位置姿勢で、力覚センサ110の出力が最小値(≒0)であるか、又は力覚センサ110の出力の絶対値が基準値から増加していない(十分に小さい)ことを確認した場合には、現在のロボットハンド102の位置姿勢を引抜開始位置姿勢として記憶する。
【0036】
従って、位置姿勢探索部122は、探索処理の前段階として、ロボットハンド102を開いた状態で(組付ワーク140を把持していない状態で)力覚センサ110の出力を基準値として設定する。そして、位置姿勢探索部122は、ロボットハンド102が組付ワーク140を把持している状態で、力覚センサ110の出力の絶対値(Z軸方向以外の各軸の出力の絶対値)が基準値と同等になるように(十分に小さくなるように)、組付ワーク140を把持した状態のロボットハンド102を各方向へ移動させる。位置姿勢探索部122は、力覚センサ110の出力が最小となるロボットハンド102の位置姿勢を、引抜開始位置姿勢として記憶する。
【0037】
次に、経路教示系127の教示処理の一連の動作について説明する。図4は、図3の経路教示系127の教示処理を示すフローチャートである。図5は、引抜動作におけるロボットハンド102の初期状態を示す断面図である。図6は、引抜動作におけるロボットハンド102の把持状態(挟持状態)を示す断面図である。
【0038】
まず、図5に示すように、組付ワーク140が被組付ワーク150に組み付けられている状況(ワーク同士の所望の組付作業が完了した状況)が作業者によって予め用意される。そして、ロボットハンド102が、組付ワーク140を把持可能な位置に、作業者のティーチングボックス130の手動操作等によって移動される。このときのロボット100の位置姿勢が教示開始位置姿勢となる。なお、この状態では、ロボットハンド102と組付ワーク140とが正対している必要はない。
【0039】
続いて、作業者による手動操作等によって、ロボットハンド102が、図6に示すように閉状態となり、組付ワーク140を把持する。このとき、力覚センサ110が組付ワーク140に生じる反力に応じた信号を生成する。なお、図6に示す状態では、ロボットハンド102と組付ワーク140の姿勢とが正対していないため、ロボットハンド102と組付ワーク140の姿勢とが正対している場合に比べて、組付ワーク140に生じる反力が大きくなり、力覚センサ110の出力の絶対値が基準値から増加方向に変化する。
【0040】
そして、図4において、位置姿勢探索部122は、力覚センサ110の出力の絶対値が基準値から増加方向へ変化したことを検出する(ステップS101)。この後に、位置姿勢探索部122は、ロボットハンド102に並進運動及び回転運動を実行させる(ステップS102)。
【0041】
このときに、位置姿勢探索部122は、ロボットハンド102の並進運動及び回転運動に伴うZ方向以外の力覚センサ110の出力の変動を監視して、力覚センサ110の出力の絶対値が最小となるロボットハンド102の位置姿勢を探索する(ステップS103)。そして、位置姿勢探索部122は、力覚センサ110の出力の絶対値について基準値(=0)からの相対値が十分に小さいロボットハンド102の位置姿勢を検出すると、そのロボットハンド102の位置姿勢を引抜開始位置姿勢P0として記憶する(ステップS104)。
【0042】
位置姿勢探索部122が引抜開始位置姿勢P0を探索して記憶した後に、引抜位置姿勢生成部123は、組付ワーク140をZ方向のみに一定量移動させるためのロボットハンド102の位置姿勢を計算し、動作制御部121に移動指令を送って、ロボットハンド102をZ方向のみへ一定量移動させる(ステップS105)。
【0043】
ここで、以上の説明では、図2に示す座標系のZ方向を組付ワーク140の引抜方向として定義したが、ロボットハンド102が精確に組付ワーク140を把持している(組付ワーク140の座標系とロボットハンド102の座標系との座標変換が常に一定である)ものとして、ロボットハンド102の座標系の基で組付ワーク140の引抜方向を定義することもできる。
【0044】
また、以降の説明では、引抜開始位置姿勢P0の探索終了後は、ロボットハンド102が組付ワーク140を精確に把持しているものとし、組付ワーク140の座標系とロボットハンド102の座標系との座標変換が常に一定であるものとする。但し、組付ワーク140の姿勢を変更させながら一定方向に引き抜く場合等、必ずしも組付ワーク140の引抜方向がワーク座標系で定義されるとは限らない。この場合には、組付ワーク140の引抜方向は、組付ワーク140の座標系やロボットハンド102の座標系の基では一定方向ではない。
【0045】
引抜位置姿勢生成部123がロボットハンド102をZ方向へ移動させているときに、目標位置到達判定部124は、ロボットハンド102の位置姿勢を監視し、ロボットハンド102が目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS106)。この判定は、例えば、ロボットハンド102が組付ワーク140を引き抜くのに十分な高さに達したか否かにより行う。即ち、目標位置到達判定部124は、ロボットハンド102が組付ワーク140を把持した状態で、被組付ワーク150の上面から、予め設定された高さ(組付ワーク140の高さ寸法以上の高さ)に達したか否かで判定する。
【0046】
そして、目標位置到達判定部124が目標位置に到達していないと判定した場合には(ステップS106のNO方向)、力覚センサ出力判定部125は、Z方向以外の力覚センサ110の出力の絶対値が基準値から増加したか否か(又はセンサ出力の絶対値が十分に小さいか否か)を判定する(ステップS107)。力覚センサ出力判定部125が力覚センサ110の出力が基準値と同等であることを確認した場合には(ステップS107のNO方向)、引抜位置姿勢生成部123は、再度Z方向へロボットハンド102を移動させる(ステップS105)。これとともに、目標位置到達判定部124は、ロボットハンド102が目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS106)。
【0047】
他方、力覚センサ出力判定部125がZ方向以外の力覚センサ110の出力の絶対値が基準値から増加したこと(又はセンサ出力の絶対値が十分に小さくないこと)を確認した場合には(ステップS107のYES方向)、位置姿勢探索部122は、そのときのロボットハンド102の位置において力覚センサ110の出力の絶対値(組付ワーク140に生じる反力)が最小となるロボットハンド102の位置姿勢を探索する(ステップS108)。このときの位置姿勢探索部122の位置姿勢の探索処理については、引抜開始位置姿勢P0についての探索処理と同様である。
【0048】
そして、位置姿勢探索部122は、このときのロボットハンド102の位置において力覚センサ110の出力の絶対値が最小となるロボットハンド102の位置姿勢を検知した場合には、その位置姿勢を中間位置姿勢P1として記憶する(ステップS109)。この後に、位置姿勢探索部122は、ロボットハンド102の位置姿勢を中間位置姿勢P1に変更させて、引抜位置姿勢生成部123は、再度Z方向へロボットハンド102を移動させる(ステップS105)。そして、目標位置到達判定部124は、再度ロボットハンド102が目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS106)。
【0049】
以降、目標位置到達判定部124が目標位置に到達したと判定するまで、位置姿勢探索部122は、中間位置姿勢を探索し、その探索した位置姿勢をP2,P3,P4,・・・,Pk−2,Pk−1として記憶する(ステップS105〜S109の繰り返し)。そして、引抜位置姿勢生成部123は、ロボットハンド102のZ方向への移動を繰り返す。
【0050】
この後、目標位置到達判定部124は、ロボットハンド102が目標位置に到達したと判定した場合には(ステップS106のYES方向)、その時点のロボットハンド102の位置姿勢を引抜完了位置姿勢Pkとして記憶する(ステップS110)。そして、作業経路生成部126は、位置姿勢探索部122及び目標位置到達判定部124が記憶したロボットハンド102の各位置姿勢を繋ぐ経路である引抜移動経路を時系列逆順に繋ぐ経路、即ちPk→Pk−1→Pk−2→・・・→P2→P1→P0のようにロボットハンド102が移動する経路を組付作業経路として記憶する(ステップS111)。この後に、作業経路生成部126は、動作制御部121に組付作業経路を教示して、経路教示系127の教示処理を終了する。
【0051】
従って、経路教示系127は、被組付ワーク150への組み付けが完了した状態の組付ワーク140をロボットハンド102に把持させ、組付ワーク140に過大な力が作用しないロボットハンド102の位置姿勢を探索しながら、ロボットハンド102に組付ワーク140の引抜動作を実行させ、その引抜動作の際に、ロボットハンド102の引抜移動経路を取得する。そして、経路教示系127は、取得した引抜移動経路を時系列逆順に辿る経路を、組付作業経路として生成し、その生成した組付作業経路を動作制御部121に教示する。
【0052】
なお、ロボット100に組付ワーク140の組付作業を行わせるには、取得した組付作業経路上をロボット100に動作させる(ティーチングプレイバック)方式を採用してもよい。又は、取得した組付作業経路を基に、例えばコンプライアンス制御等の力制御による組付動作を採用してもよい。
【0053】
上記のような実施の形態1のロボットの教示装置によれば、経路教示系127が、ロボットハンド102による引抜動作の際に探索した引抜移動経路から組付作業経路を取得する。そして、経路教示系127が、その取得した組付作業経路を動作制御部121に教示する。この構成により、引抜動作の最中にロボットハンド102が組付作業の失敗する姿勢を取ることがなく、また、引抜方向への組付ワーク140の反力に基づいて組付作業の完了を判断しない。この結果、ロボット100の動作可能範囲や力覚センサ110の出力の許容範囲に関する作業者の初期設定作業を省略することができ、作業者による教示作業の負担を軽減させることができる。
【0054】
これに加えて、ロボットプログラム作成の簡素化と生産ラインの立ち上げの迅速化とを図ることができるとともに、力覚センサ110のロボット100への適合作業が不要となることから、作業者による教示作業の作業性をより向上させることができる。
【0055】
また、作業者が組付ワーク140の引抜方向と引抜完了位置(目標位置)とを設定し、ロボットハンド102を組付ワーク140の組付位置付近に移動させれば、経路教示系127は、力覚センサ110の出力に基づいて組付作業経路を自動生成する。この構成により、従来の目視での作業者による教示と比較して、組付ワーク140に対して不必要な力が掛からないロボットハンド102の組付作業経路を得ることができる。
【0056】
さらに、ロボット100の組付作業時に力制御を用いる場合には、得られた作業経路を中心軸とする空間をロボット100の動作可能範囲として設定することによって、過不足のない適切なロボット100の動作可能範囲を設定することができる。
【0057】
ここで、特許文献2に示すような従来装置では、姿勢の調整や、組付動作中の姿勢変更が考慮されていない。このため、姿勢の調整や、組付中に姿勢変更を伴う組付作業には、特許文献2に示すような従来装置を適応できないという問題があった。
これに対して、上記のような実施の形態1のロボットの教示装置によれば、経路教示系127が、ロボットハンド102の引抜動作中に力覚センサ110の出力の絶対値が増加したことを検出した場合に、ロボットハンド102の中間位置姿勢を探索して記憶し、その記憶した中間位置姿勢でロボットハンド102の引抜動作を続行させる。この構成により、姿勢変更を伴うロボットハンド102の引抜動作であっても、経路教示系127が姿勢変更後の最適な位置姿勢を探索する。このため、姿勢の調整や、組付中に姿勢変更を伴う組付作業であっても、変更後の位置姿勢を自動的に検出して、動作制御部121に教示することができ、作業員による中間位置姿勢(経由点)についての教示作業を不要とすることができる。
【0058】
これに加えて、経路教示系127が姿勢変更に必要な位置姿勢のみを記憶するため、動作経路を単位時間毎のロボットハンド102の位置姿勢で定義する手法と比較して、制御装置本体120における必要な記憶領域を抑えることができる。また、組付ワーク140の被組付ワーク150への挿入方向を真直ぐに組付可能な場合等の作業中に姿勢変更(再探索処理)が必要ない場合には、位置姿勢探索は初回(P0)のみに行われるので作業経路の生成が短時間で完了し、かつ必要な記憶領域を抑える効果がある。
【0059】
なお、実施の形態1の引抜開始位置姿勢及び中間位置姿勢の探索方法は、最適な位置姿勢の探索方法の一例であり、引抜開始位置姿勢及び中間位置姿勢の探索方法には、力覚センサ110の出力の統計的データ解析や、接触状態のモデル化等を利用してもよく、本発明は、実施の形態1の探索方法に限られるものではない。
【0060】
実施の形態2.
実施の形態1では、ロボット100のロボットアーム101の手首部(先端部)に力覚センサ110が取り付けられていた。これに対して、実施の形態2では、被組付ワーク150が載置された被組付ワーク治具200の底部に力覚センサ210が取り付けられている。
【0061】
図7は、この発明の実施の形態2による被組付ワーク治具200及び力覚センサ210を示す断面図である。図7において、実施の形態2では、被組付ワーク治具200による固定にがたつきが少なければ、経路教示系127は、実施の形態1と同様の動作で引抜移動経路及び組付作業経路を取得することができる。つまり、経路教示系127は、ロボットハンド102の引抜動作における力覚センサ210の出力の初期値を、基準値として取得することによって、ロボットハンド102の引抜移動経路を探索可能である。これにより、力覚センサ210のロボットハンド102への適合作業は不要である。
【0062】
ここで、実施の形態1のように、ロボット100側に力覚センサ110を取り付けた場合には、ロボット100の稼働中に、力覚センサ110のセンサケーブルが擦れたり、ロボット100の可動部にセンサケーブルが挟まれたりする等、センサケーブルの干渉や取回しが問題となる場合がある。
これに対して、上記のような実施の形態2のロボットの教示装置によれば、被組付ワーク治具200側に力覚センサ210が取り付けられているので、センサケーブルがロボットハンド102から分離されることにより、ロボット100の稼動によるセンサケーブルの干渉や取回しの問題を解消することができる。
【0063】
また、ロボットアーム101の手首部に力覚センサ110を取り付ける場合と比較して、力覚センサ210の取り外しや交換を容易に行うことができる。さらに、ロボット100の衝突等の不測の動作によって、力覚センサ210が損壊する可能性を低減させることができる。
【0064】
なお、実施の形態1では、力覚センサ110がロボットアーム101の手首部に取り付けられ、実施の形態2では、力覚センサ110が被組付ワーク治具200の底部に取り付けられていた。しかしながら、力覚センサ110をロボットアーム101の手首部と被組付ワーク治具200との両方に取り付けてもよい。
【0065】
実施の形態3.
実施の形態3では、力覚センサ出力判定部125は、ロボットハンド102に引抜動作を実行させているときに、力覚センサ110のZ方向への出力の変化を監視し、力覚センサ110のZ方向への出力の絶対値が減少方向へ変化したか否かを検出可能である。そして、力覚センサ出力判定部125は、力覚センサ110のZ方向への出力の絶対値が減少方向へ変化したことを検出した場合に、組付ワーク140の一部分又は全体が被挿入部150aの内壁(ワークの外面同士が接触する箇所)を抜けてテーパ部150bに移動したと判断し、中心位置探索部128にテーパ部150bの開口面における中心位置を探索させる。
【0066】
図8は、この発明の実施の形態3によるロボットの制御装置を示すブロック図である。図8において、実施の形態3の力覚センサ出力判定部125は、ロボットハンド102の引抜動作中における力覚センサ110のZ方向への出力を取得して摩擦対応レベルとして記憶する。また、力覚センサ出力判定部125は、力覚センサ110のZ方向への出力の絶対値が摩擦対応レベルよりもよりも小さくなったか否か、即ち摩擦対応レベルから減少方向へ変化したか否かを監視する。
【0067】
実施の形態3の経路教示系127は、中心位置探索部128をさらに有している。中心位置探索部128は、力覚センサ出力判定部125が力覚センサ110のZ方向への出力の絶対値が摩擦対応レベルから減少方向へ変化したことを検出した場合に、被挿入部150aにおける引抜方向に対する直交面(開口面)の中心位置である挿入中心位置(最適挿入位置)を探索して、その挿入中心位置の情報を記憶する。
【0068】
この挿入中心位置とは、ロボットハンド102のZ方向の位置及び姿勢(並進方向の軸周りモーメント)が同一であり、ロボットハンド102をX軸及びY軸に沿って移動させたときに組付ワーク140と被組付ワーク150とが接触するまでの移動距離が最長となるロボットハンド102の位置である。
【0069】
図9は、この発明の実施の形態3による組付ワーク140及び被組付ワーク150の組付状態の一例を示す断面図である。図9において、実施の形態3の被組付ワーク150における被挿入部150aの開口周縁部には、組付ワーク140との組み付けを容易にするためのテーパ部(切り欠き)150bが設けられている。ここで、実施の形態3では、組付ワーク140の外面が被組付ワーク150の被挿入部150aの内壁に密着状態(嵌め合いがきつい状態)で組み付けられている。他の構成は、実施の形態1,2と同様である。
【0070】
次に、中心位置探索部128による挿入中心位置の探索処理について説明する。引抜位置姿勢生成部123がロボットハンド102の引抜動作を続けて、組付ワーク140の先端(図8の下端)が被挿入部150aのテーパ部150bに達すると、組付ワーク140と被組付ワーク150との接触による摩擦が無くなり、力覚センサ110のZ方向の出力が組付ワーク140の重さ程度になる。即ち、図10に示すように、力覚センサ110のZ方向の出力の絶対値が摩擦対応レベルよりも減少する。
【0071】
そして、力覚センサ出力判定部125が、力覚センサ110のZ方向の出力の絶対値が摩擦対応レベルから減少方向に変化したこと(組付ワーク140の全体に生じる引抜方向への反力が減少方向に変化したこと:立ち下がり)を検出して、その後に、力覚センサ110のZ方向の出力の減少方向への変化が消滅したことを検出すると、中心位置探索部128が挿入中心位置の探索処理を開始する。従って、力覚センサ出力判定部125が、組付ワーク140に生じる引抜方向への反力が減少方向に変化して摩擦による力が消滅したと判定すると、中心位置探索部128が、挿入中心位置の探索処理を開始する。
【0072】
まず、中心位置探索部128は、力覚センサ110を介して組付ワーク140の外面と被挿入部150aの内壁との接触を検出するまで、X軸のプラス側の方向へロボットハンド102を移動させる。そして、中心位置探索部128は、組付ワーク140の外面と被挿入部150aの内壁との接触を検出すると、ロボットハンド102の移動を停止させて、このときのロボットハンド102の位置を位置PX+として記憶する。
【0073】
続いて、中心位置探索部128は、力覚センサ110を介して組付ワーク140の外面と被挿入部150aの内壁との接触を検出するまで、X軸のマイナス側の方向へロボットハンド102を移動させる。そして、中心位置探索部128は、組付ワーク140の外面と被挿入部150aの内壁との接触を検出すると、ロボットハンド102の移動を停止させて、このときのロボットハンド102の位置を位置PX−として記憶する。この後に、中心位置探索部128は、位置PX+と位置PX−との中間地点にロボットハンド102を移動させる。
【0074】
また、中心位置探索部128は、X軸での動作と同様に、力覚センサ110を介して組付ワーク140の外面と被挿入部150aの内壁との接触を検出するまで、Y軸のプラス側及びマイナス側のそれぞれの方向へロボットハンド102を移動させる。そして、中心位置探索部128は、組付ワーク140の外面と被挿入部150aの内壁との接触を検出すると、ロボットハンド102の移動を停止させて、そのときのロボットハンド102の位置を、それぞれ位置PY+及び位置PY−として記憶する。
【0075】
最後に、中心位置探索部128は、位置PX+と位置PX−との中間地点で、かつ位置PY+と位置PY−との中間地点を挿入中心位置として記憶する。これにより、中心位置探索部128による挿入中心位置の探索処理が終了する。
【0076】
中心位置探索部128による挿入中心位置の探索処理の後には、実施の形態1と同様に、目標位置到達判定部124が目標位置に到達したと判定するまで、力覚センサ出力判定部125が力覚センサ110の出力の絶対値が十分に小さいことを確認しながら、引抜位置姿勢生成部123が、ロボットハンド102に引抜動作を繰り返し実行させる。このときに、力覚センサ出力判定部125が、力覚センサ110の出力の絶対値が大きいと判定したときには、組付ワーク140をテーパ部150bまで引き抜いていないと判断して、位置姿勢探索部122が挿入中心位置の探索処理を再度実行する。
【0077】
そして、目標位置到達判定部124が目標位置に到達したと判定した場合には、作業経路生成部126は、位置姿勢探索部122及び目標位置到達判定部124が記憶したロボットハンド102の各位置姿勢を繋いで、引抜移動経路を取得する。続いて、作業経路生成部126は、中心位置探索部128が記憶した挿入中心位置に基づいて、引抜移動経路における位置を調整(補正)する。具体的に、作業経路生成部126は、中心位置探索部128が記憶した挿入中心位置へのX−Y平面上のロボットハンド102の並進移動量を、位置姿勢探索部122が記憶した一部又は全部の位置姿勢に足し加えて調整する。
【0078】
次に、図11に示すように、組付ワーク140が被組付ワーク150の被挿入部150aに遊嵌状態(嵌め合いが緩い状態)で組み付けられている場合の中心位置探索部128による挿入中心位置の探索処理について説明する。ここで、実施の形態3の力覚センサ出力判定部125には、図10に示すように、ロボットハンド102が空中で組付ワーク140を把持している状態の力覚センサ110のZ軸方向の出力(力覚センサ110の信号のレベル)が重量対応レベルとして予め設定されている。この重量対応レベルとは、組付ワーク140の重量に対応する力覚センサ110のZ軸方向の出力である。
【0079】
力覚センサ出力判定部125は、ロボットハンド102に引抜動作をさせているときに、力覚センサ110のZ軸方向の出力の絶対値が重量対応レベルと同等であるかどうかを監視する。そして、力覚センサ出力判定部125が力覚センサ110のZ軸方向の出力が重量対応レベルと同等であることを検出すると、中心位置探索部128が挿入中心位置の探索処理を実行する。この場合の探索処理は、図9に示す場合の探索処理と同様である。
【0080】
上記のような実施の形態3のロボットの教示装置によれば、ロボットハンド102に引抜動作を実行させているときに、経路教示系127は、組付ワーク140に生じる引抜方向への反力が減少方向に変化して摩擦による力が消滅したと判定すると、挿入中心位置を探索して記憶する。そして、経路教示系127は、挿入中心位置に基づいて、引抜移動経路を調整する。この構成により、ロボット100による組付ワーク140及び被組付ワーク150の組付作業の際に、調整後の引抜移動経路に基づく組付作業経路が用いられ、被組付ワーク150の被挿入部150aにおける開口面の中心(テーパ中心)に組付ワーク140を移動させて組付作業を開始する。この結果、組付ワーク140がテーパ部150bに誘い込まれて、組付ワーク140及び被組付ワーク150の引き込みが強くなり、組付作業の成功率を向上させることができる。
【0081】
また、経路教示系127は、力覚センサ110の引抜方向への出力が重量対応レベルと同等であることを検出した際に、ロボット100が被組付ワーク150の被挿入部150aの中心(部品公差の中心)に組付ワーク140を移動させて組み付けを行う。この構成により、ワーク同士の嵌め合いが緩い場合でも、被挿入部150aの開口面においては、組付ワーク140及び被組付ワーク150の引き込みが強くなり、作業成功率を向上させることができる。
【0082】
なお、実施の形態3における図9に示す例の探索処理では、力覚センサ110のZ方向の出力の絶対値が摩擦対応レベルから減少方向に変化したこと、及び、その後に力覚センサ110の出力の減少方向への変化が一定となったことを開始条件としていた。しかしながら、図11に示す例の探索処理のように、組付ワーク140に生じる引抜方向への反力が重量対応レベルと同等となったことを開始条件としてもよい。
【0083】
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、組付ワーク140の引抜方向、及び引抜動作の目標位置に関する初期設定と、組付完了位置(教示開始位置)までロボットハンド102を移動させるといった初期操作とを作業者が行うことを想定していた。これに対して、実施の形態4では、オフラインプログラミング装置300によって、ロボットハンド102による組付ワーク140の引抜方向及び引抜開始位置等を含む初期設定情報が経路教示系127に自動的に与えられる。
【0084】
図12は、この発明の実施の形態4によるロボットの制御装置を示すブロック図である。図12において、実施の形態4の制御装置本体120には、オフラインプログラミング装置300が接続されている。オフラインプログラミング装置300は、組付ワーク140と、被組付ワーク150と、ロボットハンド102と、ロボット100の設置環境とのそれぞれの3次元形状に関する3次元形状情報としてのCADデータを予め記憶している。
【0085】
また、オフラインプログラミング装置300は、組付ワーク140の引抜方向・組付方向と、ロボットハンド102の引抜開始位置と、ロボットハンド102の引抜動作の際の目標位置とを含む初期設定情報について、CADデータに基づく演算処理を行う。さらに、オフラインプログラミング装置300は、CADデータに基づく演算処理結果である初期設定情報を、経路教示系127(位置姿勢探索部122)に与える。実施の形態4の経路教示系127は、オフラインプログラミング装置300によって与えられた初期設定情報を用いて、ロボットハンド102の組付作業経路の探索処理を行う。他の構成は、実施の形態1〜3と同様である。
【0086】
次に、オフラインプログラミング装置300によるCADデータに基づく演算処理について、より具体的に説明する。まず、実施の形態1〜3では、組付ワーク140の引抜方向をZ軸とした図2に示すような座標系で説明したが、実施の形態4では、世界座標系(Xs,Ys,Zs)と、ワーク座標系(Xw,Yw,Zw)と、ロボット座標系(Xr,Yr,Zr)とを、図13に示すように定義して説明する。なお、図13では、各軸周りのローテーションを省略して示す。
【0087】
図13における世界座標系は、ロボット100が設けられた作業空間に対応付けられた(固定された)座標系である。また、ワーク座標系は、組付ワーク140の姿勢に対応付けられた座標系である。さらに、ロボット座標系は、ロボットハンド102の姿勢に対応付けられた座標系である。これらの座標系において、組付ワーク140の姿勢が変更されれば、世界座標系とワーク座標系との関係は変化し、ロボットハンド102の位置姿勢が変化すれば、世界座標系とロボット座標系の関係とは変化する。
【0088】
なお、世界座標系は、被組付ワーク150又は被組付ワーク治具200の姿勢に対応付けられた座標系として扱うこともできる。また、説明を簡単にするため、組付ワーク140をロボットハンド102が正対して把持した(掴んだ)とき、ワーク座標系とロボット座標系との関係は、座標軸の単位ベクトルが同一で原点が異なっているものとする。さらに、以下では、Z方向を引抜方向・組付方向とした例について説明する。
【0089】
ここで、組付ワーク140の組付方式は、ワーク座標系に基づく第1の組付方式と、世界座標系に基づく第2の組付方式との2種に大別される。従って、オフラインプログラミング装置300は、組付ワーク140の組付方式毎に適した定義を行うために、組付ワーク140の姿勢によらず、組付ワーク140の組付方向が、ワーク座標系のZw方向であるか、世界座標系のZs方向であるかを、CADデータから組付作業を分析して判断する。
【0090】
第1の組付方式とは、組付ワーク140の組付方向がワーク座標系のZw方向であり、組付ワーク140の組付進行面が常に一定である方式である。具体的に、組付ワーク140の姿勢を変更せずに世界座標系において直線を描くように組み付ける単純な組付作業や、組付ワーク140の姿勢が変更するにつれ組付ワーク140の進行方向が世界座標系の基では変化する組付作業である。
【0091】
一般的に、第1の組付方式についての引抜方向を正確に定義するためには、引抜位置姿勢生成部123に外部センサ等を用いてワーク座標系を入力して認識させる必要がある。これに対して、経路教示系127がロボットハンド102に引抜動作を実行させる際には、組付ワーク140とロボットハンド102とが正対しているため、ロボット座標系のZr方向を組付ワーク140の引抜方向として問題がない(ロボット座標系は通常では動作制御部121等から取得可能である)。即ち、引抜位置姿勢生成部123にワーク座標系を認識させる必要はない。
【0092】
そして、オフラインプログラミング装置300は、目標位置についてロボット座標系のZrの座標値で指定する。例えば、引抜開始位置としてのワーク把持位置P0−1(引抜開始位置姿勢P0が探索される前の位置)に組付ワーク140の長さLと、適当なオフセット量lとをロボット座標系のZr方向に加えた値が目標位置として指定される。即ち、オフラインプログラミング装置300は、組付ワーク140の引抜量(組付ワーク140の高さ寸法+オフセット量l)で目標位置を設定する。
【0093】
次に、第2の組付方式とは、組付ワーク140の組付方向が世界座標系のZs方向であり、被組付ワーク150や被組付ワーク治具200に対して組付ワーク140の組付方向が一定であるが、組付ワーク140の姿勢を変更させる方式である。この第2の組付方式に関して、オフラインプログラミング装置300は、目標位置を世界座標系のZsの座標値で指定する。例えば、ワーク把持位置P0−1に組付ワーク140の長さLと、適当なオフセット量lとを世界座標系のZs方向に加えた値が目標位置として指定される。
【0094】
上記のような実施の形態4のロボットの教示装置によれば、組付ワーク140の引抜方向、目標位置、及びワーク把持位置までロボットハンド102を移動させるといった初期設定情報がオフラインプログラミング装置300によって自動的に経路教示系127に与えられる。この構成により、作業者の負担をより軽減させることができ、作業者の教示作業効率をより向上させることができる。
【0095】
ここで、一般的には、組付ワーク、被組付ワーク、ロボットハンド及び治具等の3次元形状や法線方向に基づいて、ロボットハンドにおける組付ワークの把持位置や、ロボットハンドにおける組付ワークを把持するまでのアプローチ方向や、組付ワークの組付位置や組付経路等をオフライン(シミュレーション)上で生成する方法が知られている。しかしながら、このような方法では、実環境とオフライン環境との相違によりオフライン上で生成した位置姿勢では、組付作業等の必要精度の高い作業の実現は困難であり、実環境での調整が必要であった。
これに対して、実施の形態4のロボットの教示装置では、引抜動作の際に最初にロボットハンド102が組付ワーク140を把持する位置姿勢は、位置姿勢探索部122によって、ロボットハンド102と組付ワーク140とがほぼ正対する位置姿勢に調整され、引抜開始位置姿勢P0として記憶される。従って、事前に与えられるワーク把持位置P0−1は、ロボットハンド102が組付ワーク140を不完全でも把持できれば精度的に十分であり、実環境とオフライン環境との相違による把持位置のずれは殆ど問題にならない。
【0096】
実施の形態5.
これまでの実施の形態1〜4では、座標系の違いはあれ、組付ワーク140の引抜方向は常に一定であった。これに対して、実施の形態5では、組付ワーク140の引抜方向をロボットハンド102の引抜動作中に変更する。即ち、組付ワーク140の引抜方向・組付方向について、方向転換する。
【0097】
実施の形態5では、ロボットハンド102の引抜動作開始時の組付ワーク140の引抜方向(変更前の引抜方向)を第1引抜方向とし、変更後の組付ワーク140の引抜方向を第2引抜方向として説明する。この第1引抜方向は、2段階からなる組付ワーク140の組付行程のうち、後の行程の組付方向に対応するものである。これに対して、第2引抜方向は、2段階からなる組付ワーク140の組付行程のうち、先の行程の組付方向に対応するものである。また、ロボットハンド102の引抜動作について、第1引抜方向への引抜動作を第1引抜動作とし、第2引抜方向への引抜動作を第2引抜動作として説明する。
【0098】
実施の形態5の力覚センサ出力判定部125は、図15に示すように、力覚センサ110の出力のうち第1引抜方向(Z方向)の出力の絶対値が増加方向に変化したとき(組付ワーク140と被組付ワーク150との摩擦で発生する量と比較して十分に大きくなったとき)に、引抜方向を変更する位置にロボットハンド102が到達したと判定する。
【0099】
ここで、摩擦による組付ワーク140の反力は、ロボットハンド102の引抜移動速度に依存する。このことから、ロボットハンド102の引抜移動速度が一定ならば、組付ワーク140の反力もほぼ一定である。他方、方向転換の際に組付ワーク140に生じる反力(押し付け力)は、組付ワーク140が被挿入部150aの内壁に当ってからのロボットハンド102の第1引抜方向への移動距離に比例する。
【0100】
また、組付ワーク140が被挿入部150aの内壁へ押し付けられた場合に、その押し付けによる組付ワーク140の反力の増加率及び増加量は、被挿入部150aの内壁との摩擦による反力の増加率及び増加量に比べて大きい。このような反力の増加率及び増加量の違いを利用して、力覚センサ出力判定部125は、ロボットハンド102の引抜動作中に、引抜方向を変更する位置にロボットハンド102が到達したと判定する。
【0101】
例えば、一定量引抜後(例えば1,2回引抜動作を実行した後)に、力覚センサ出力判定部125は、第1引抜方向の力の立ち上がりを検出するか、又は反力の絶対量が所定量に達したか否かを検出することにより、ロボットハンド102が組付ワーク140の引抜方向を変更する位置に到達したことを判定可能である。なお、一般的なワークの組付作業において、摩擦による反力は1N以下であり、押し付けによる反力は5N以上である。このことから、摩擦による反力と、押し付けによる反力とを区別して検出可能である。
【0102】
次に、力覚センサ出力判定部125がロボットハンド102について引抜方向の変更位置に到達したことを判定した後に、引抜位置姿勢生成部123は、組付ワーク140の引抜方向を、現在までの第1引抜方向とは異なる向きの第2引抜方向に変更する。
【0103】
この変更後の引抜方向、即ち第2引抜方向は、世界座標系やワーク座標系で予め作業者が与えてもよく、又は実施の形態4におけるオフラインプログラミング装置300のCADデータに基づく演算処理によって自動設定してもよい。引抜方向が変更された際に、位置姿勢探索部122は、引抜方向を変更することになった位置姿勢周りで、第2引抜方向以外の力覚センサ110の出力の絶対値が最小となる位置姿勢を探索し、その探索した位置姿勢を方向変更位置姿勢として記憶する。
【0104】
従って、ロボットハンド102の第1引抜動作において、組付ワーク140を第1引抜方向で被挿入部150aの内壁に押し付けた際の位置姿勢は、引抜移動経路及び組付作業経路から除外される。他の構成は、実施の形態1〜4の構成と同様である。
【0105】
次に、動作について説明する。ここでは、経路教示系127における機能ブロック122〜126,128の個々の動作を一括して、経路教示系127の動作として説明する。図14は、この発明の実施の形態5による経路教示系127の教示処理を示すフローチャートである。
【0106】
なお、図14に示すステップS201,S206の動作は、実施の形態1における図4に示すステップS101〜S104の一連の動作と同様である。また、図14に示すステップS204,S210の動作は、実施の形態1における図4に示すステップS108,S109の一連の動作と同様である。
【0107】
図14において、経路教示系127は、引抜開始位置姿勢P0を探索し、その引抜開始位置姿勢P0を記憶する(ステップS201)。そして、経路教示系127は、第1引抜方向へロボットハンド102を移動させる(ステップS202)。このロボットハンド102の移動中に、経路教示系127は、第1引抜方向以外への力覚センサ110の出力の絶対値が増加したか否かを確認する(ステップS203)。
【0108】
このときに、経路教示系127は、第1引抜方向以外への力覚センサ110の出力の絶対値が増加したことを確認した場合には(ステップS203のYES方向)、第1引抜動作における中間位置姿勢である第1中間位置姿勢P1を探索し、その第1中間位置姿勢P1を記憶する(ステップS204)。そして、経路教示系127は、再度、第1引抜方向へロボットハンド102を移動させる(ステップS202)。
【0109】
また、経路教示系127は、第1引抜方向以外への力覚センサ110の出力の絶対値が増加していないことを確認した場合には(ステップS203のNO方向)、第1引抜方向への力覚センサ110の出力の絶対値が増加したか否かを確認する(ステップS205)。このときに、経路教示系127は、第1引抜方向への力覚センサ110の出力の絶対値が増加していないことを確認した場合には、引き続き、第1引抜方向へロボットハンド102を移動させる(ステップS202)。
【0110】
さらに、経路教示系127は、第1引抜方向への力覚センサ110の出力の絶対値が増加したことを確認した場合には(ステップS205のYES方向)、方向変更位置姿勢Pnを探索し、その方向変更位置姿勢Pnを記憶する(ステップS206)。ここで、方向変更位置姿勢Pnを探索する際に、経路教示系127は、第2引抜方向に沿う第4並進軸に対して直交しかつ互いに直交する第5及び第6並進軸(いずれも図示せず)のそれぞれに沿う並進運動と、第4並進軸、第5並進軸及び第6並進軸のそれぞれの軸周りへの回転運動とを、ロボットハンド102に実行させる。
【0111】
そして、経路教示系127は、ロボットハンド102の位置姿勢を方向変更位置姿勢Pnとさせて、第2引抜方向へロボットハンド102を移動させ(ステップS207)、ロボットハンド102が目標位置に到達したか否かを確認する(ステップS208)。
【0112】
このときに、経路教示系127は、ロボットハンド102が目標位置に到達していないことを確認した場合には(ステップS208のNO方向)、第2引抜方向以外への力覚センサ110の出力の絶対値が増加したか否かを確認する(ステップS209)。この際に、経路教示系127は、第2引抜方向以外への力覚センサ110の出力の絶対値が増加していないことを確認した場合には(ステップS209のNO方向)、再度、第2引抜方向へロボットハンド102を移動させる(ステップS207)。
【0113】
また、経路教示系127は、第2引抜方向以外への力覚センサ110の出力の絶対値が増加したことを確認した場合には(ステップS209のYES方向)、第1引抜動作における中間位置姿勢である第2中間位置姿勢PN1を探索し、その第2中間位置姿勢PN1を記憶する(ステップS210)。そして、経路教示系127は、再度、第2引抜方向へロボットハンド102を移動させる(ステップS207)。
【0114】
さらに、経路教示系127は、ロボットハンド102が目標位置に到達したことを確認した場合には(ステップS208のYES方向)、その時点のロボットハンド102の位置姿勢を引抜完了位置姿勢Pkとして記憶する(ステップS211)。そして、経路教示系127は、記憶したロボットハンド102の各位置姿勢を繋ぐ経路である引抜移動経路を時系列逆順に繋ぐ経路、即ちPk→Pk−1→Pk−2→・・・Pn2→Pn1→Pn→・・・→P2→P1→P0のようにロボットハンド102が移動する経路を組付作業経路として記憶する(ステップS212)。この後に、経路教示系127は、動作制御部121に組付作業経路を教示して、一連の教示処理を終了する。
【0115】
上記のような実施の形態5のロボットの教示装置によれば、経路教示系127は、ロボットハンド102の引抜動作中に、引抜方向を第1引抜方向から第2引抜方向に変更する。この構成により、組付ワーク140の組付方向の変更を伴う組付作業であっても、その作業の組付作業経路を自動生成することができる。
例えば、組付ワーク140の形状がL字状であり、L字の短辺部側から組付ワーク140を被挿入部150aに挿入して、組付ワーク140のL字の短辺部の先端を、被挿入部150aの底部に設けられた溝に嵌め込むような組付作業であっても、その作業の組付作業経路を自動生成することができる。
【0116】
また、経路教示系127は、引抜方向を第1引抜方向から第2引抜方向に変更する際に、方向変更位置姿勢を探索して記憶し、その方向変更位置姿勢をロボットハンド102の引抜移動経路に含める。この構成により、組付ワーク140に対して不必要な力が掛からないロボットハンド102の組付作業経路を得ることができる。
【0117】
なお、実施の形態5では、第1引抜方向と第2引抜方向との2種類の引抜方向が予め設定されていた。しかしながら、この引抜方向は、3種類以上であってもよい。このように引抜方向を追加する場合、例えば、図14におけるステップS202〜S206の一連の動作を、追加する引抜方向に対応させて、図14における全体の動作に追加すればよい。従って、組付ワーク140の組付行程が3段階以上であっても、組付作業経路を自動生成することができる。
【0118】
また、図2に示すようなRx、Ry及びRzのうちのいずれかの方向を第1又は第2引抜方向とした場合には、それらの引抜方向へ組付ワーク140を回転させることができ、ねじ込み動作を伴う組付ワークの組付作業についても適用できる。
【0119】
実施の形態6.
実施の形態6では、力覚センサ110の出力をより精確に扱うために、力覚出力調整部129が、組付ワーク140とロボットハンド102とが正対した姿勢で力覚センサ110の出力(信号レベル)を調整する。
【0120】
ここで、力覚センサ110の姿勢や、ロボットハンド102の重心位置及び重さ等は未知情報である。このため、力覚センサ110の絶対出力から、組付ワーク140に掛かっている力を算出することは困難である。なお、従来技術では、適当な時点での力覚センサの絶対出力が基準値として設定され、その基準値からの力覚センサの出力の相対量が力覚センサの出力として用いられる。
【0121】
ロボットハンド102の引抜動作中に組付ワーク140に掛かっている力を精確に検出するためには、引抜動作中のロボットハンド102の姿勢で組付ワーク140を空中で把持した状態における力覚センサ110の絶対出力を除去するためのオフセット量(開閉対応調整値、及び重量対応調整値)で、力覚センサ110の出力を調整する必要がある。
【0122】
なお、本明細書において、「オフセット量を修正する」とは、その時点での力覚センサ110の絶対出力を除去(相殺)するオフセット量で、力覚センサ110の出力を調整することを指す。つまり、実施の形態6の経路教示系127は、オフセット量を修正することにより、力覚センサ110の出力の絶対値と基準値との相対量を除去して、その修正した後の力覚センサ110の出力の信号レベルを「0」として扱う。
【0123】
図16は、この発明の実施の形態6によるロボットの制御装置を示すブロック図である。図16において、経路教示系127は、力覚出力調整部129をさらに有している。力覚出力調整部129は、ロボットハンド102の引抜動作を実行する際に、オフセット量を取得するとともに、そのオフセット量を修正する。つまり、経路教示系127は、力覚センサ110の出力をオフセット量で調整して、ロボットハンド102の把持によって組付ワーク140に生じる反力を監視する。他の構成は、実施の形態1〜5と同様である。
【0124】
次に、力覚出力調整部129によるオフセット量の取得・修正処理について説明する。まず、力覚出力調整部129は、図17に示すように、位置姿勢探索部122が引抜開始位置姿勢P0を探索した後に、その引抜開始位置姿勢P0でロボットハンド102が組付ワーク140を把持しているときに、力覚センサ110の出力を除去するためのオフセット量を算出して、オフセット量を取得する。そして、力覚出力調整部129は、ロボットハンド102を開状態とさせる(ロボットハンド102を開き、組付ワーク140を放す)。この状態で、力覚出力調整部129は、力覚センサ110の出力が基準値(=0)と同等でない場合には、オフセット量を修正する。
【0125】
その後、力覚出力調整部129は、ロボットハンド102を閉状態とさせ(組付ワーク140を把持させ)、力覚センサ110の出力が基準値と同等である(十分に小さい)ことを確認すると、位置姿勢探索部122に、再度、引抜開始位置姿勢P0を探索させて、新たに探索した位置姿勢で引抜開始位置姿勢P0を上書きする。そして、力覚出力調整部129は、ロボットハンド102の開閉によらず力覚センサ110の出力が一定となる位置姿勢になるまで、ロボットハンド102の開閉と、より最適な引抜開始位置姿勢P0の探索とを位置姿勢探索部122に繰り返し実行させる。
【0126】
ロボットハンド102の開閉によらず力覚センサ110の出力が一定となる引抜開始位置姿勢P0を位置姿勢探索部122が取得すると、力覚出力調整部129は、ロボットハンド102を開状態とさせ、ロボットハンド102の現在の引抜開始位置姿勢P0から、世界座標系で同じ姿勢(位置は異なる)の適当な位置姿勢にロボットハンド102を移動させる。そして、力覚出力調整部129は、ロボットハンド102に組付ワーク140を空中で把持させて、この状態で力覚センサ110の出力が基準値と同等でない場合には、この状態でオフセット量を修正する。
【0127】
ここで、ロボットハンド102に組付ワーク140を空中で把持させるには、組付完了位置からロボットハンド102を移動させた後に、作業者がロボットハンド102に組付ワーク140を把持させてもよい。又は、事前に組付ワーク140の把持・持上げ動作が動作制御部121に定義されている場合には、その把持・持上げ動作を動作制御部121に実行させてもよい。なお、ロボットハンド102における把持・持上げ動作から組付動作は一連の動作であるため、連続して動作させることに支障はなく、組付開始位置(引抜終了位置)の付近ではロボットハンド102の開閉によらず力覚センサ110の出力が一定となる姿勢を取るのが一般的であるため、衝突等の問題は生じない。
【0128】
また、ロボットハンド102に組付ワーク140を空中で把持させた状態でオフセット量を修正した後に、力覚出力調整部129は、ロボットハンド102を開状態とさせて組付ワーク140の把持を解除させ、ロボットハンド102を引抜開始位置姿勢P0の位置に移動させる。これにより、力覚出力調整部129の力覚出力調整部129によるオフセット量の取得・修正処理が終了する。この後に、経路教示系127は、実施の形態1〜5と同様に、引抜動作経路及び組付作業経路の探索を行う。
【0129】
従って、オフセット量の修正後には、位置姿勢変化によるロボットハンド102の重心位置移動の影響や、組付ワーク140の重さの影響が力覚センサ110の出力から除去される。
【0130】
上記のような実施の形態6のロボットの教示装置によれば、経路教示系127は、力覚センサ110の出力をオフセット量で調整して、ロボットハンド102の把持によって組付ワーク140に生じる反力を監視する。この構成により、ロボットハンド102の重さや組付ワーク140の重さによる影響を力覚センサ110の出力から除去することができ、より精度の高い(組付ワーク140に掛かる力が小さい)組付作業経路を得ることができる。
【0131】
なお、実施の形態6では、オフセット量が開閉対応調整値及び重量対応調整値の両方を含んでおり、開閉対応調整値及び重量対応調整値の両方で力覚センサ110の出力を調整した。しかしながら、この例に限定するものではなく、開閉対応調整値及び重量対応調整値のいずれか一方で力覚センサ110の出力を調整してもよい。
【0132】
実施の形態7.
実施の形態7のロボットの制御装置にける制御装置本体120は、例えばロボットハンド102の引抜移動経路の探索処理等の際に、力覚センサ110の出力状況と、組付ワーク140の引抜方向との少なくともいずれか一方を表示するための表示情報を生成する。そして、制御装置本体120は、生成した表示情報をティーチングボックス130に送り、ティーチングボックス130の表示部(表示機器)に図18に示すような画像(グラフ)を表示させる。他の構成は、実施の形態1〜6と同様である。
【0133】
上記のような実施の形態7のロボットの教示装置によれば、ロボットハンド102及び制御装置本体120の動作の過程や、何らかのエラー状態を作業者に表示することができ、作業性をより向上させることができる。
【0134】
なお、実施の形態7の図18の画像において、力覚センサ110の出力状況(縦軸)と、組付ワーク140の引抜方向(横軸)とのいずれか一方を省略し、他方を数値表示してもよい。
【0135】
また、実施の形態1〜7では、垂直多関節型ロボットについて説明したが、この発明は、水平多関節型ロボットについても適用することができる。さらに、実施の形態1〜7では、指部材型(挟持型)のロボットハンドの教示について説明したが、この発明は、真空又は磁力把持型のロボットハンド(吸着把持型のロボットハンド)の教示についても適用することができる。
【0136】
また、実施の形態1〜7では、経路教示系127における機能ブロック122〜126,128,129が制御装置本体120に組み込まれていた。しかしながら、経路教示系127として、制御装置本体120から独立したハードウェアウェアを用いてもよい。例えば、ティーチングボックス130に、その一機能として経路教示系127が組み込まれてもよい。
【0137】
さらに、経路教示系127の機能ブロック121〜126,128,129には、機能的にそれぞれ独立したハードウェア若しくはソフトウェアを用いてもよく、又は一部若しくは全部の機能ブロックを併合させたハードウェア若しくはソフトウェアを用いてもよい。ここで、経路教示系127における機能ブロック122〜126,128,129のうちの少なくともいずれかにソフトウェアを用いた場合には、機械装置の設計が不要となることから、システム構築を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0138】
100 ロボット、102 ロボットハンド、110,210 力覚センサ(力覚検出手段)、120 制御装置本体、121 動作制御部、122 位置姿勢探索部、123 引抜位置姿勢生成部、124 目標位置到達判定部、125 力覚センサ出力判定部、126 作業経路生成部、127 経路教示系(経路教示部)、128 中心位置探索部、129 力覚出力調整部、130 ティーチングボックス、140 組付ワーク、150 被組付ワーク、150a 挿入部、150b テーパ部、200 被組付ワーク治具、300 オフラインプログラミング装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットハンドの位置姿勢を検出可能であり、被組付ワークに設けられた被挿入部に組付ワークを挿入して前記被組付ワークに前記組付ワークを組み付ける際の前記ロボットハンドの移動経路である組付作業経路を、前記ロボットハンドの動作を制御する動作制御部に教示する経路教示部
を備えるロボットの教示装置であって、
前記経路教示部は、
前記被組付ワークに組み付けられた前記組付ワークを予め把持している前記ロボットハンドに、予め設定された引抜方向への前記組付ワークの引抜動作を実行させ、
その引抜動作の際に、前記ロボットハンドの把持によって前記組付ワークに生じる反力が最小となるような引抜移動経路を、前記組付ワークに生じる反力を検出するための力覚検出手段からの信号を用いて探索し、
その探索した前記引抜移動経路の時系列逆順を前記組付作業経路として前記動作制御部に教示する
ことを特徴とするロボットの教示装置。
【請求項2】
前記経路教示部は、前記ロボットハンドに前記引抜動作を実行させる際に、
前記引抜方向に沿う第1並進軸に対して直交しかつ互いに直交する第2及び第3並進軸のそれぞれに沿う並進運動と、前記第1並進軸、前記第2並進軸及び前記第3並進軸のそれぞれの軸周りへの回転運動とを、前記組付ワークを把持している状態の前記ロボットハンドに実行させ、
これらの並進運動及び回転運動によって前記組付ワークに生じる反力が最小となる前記ロボットハンドの位置姿勢を探索し、その探索した位置姿勢を、前記引抜移動経路の起点でありかつ前記組付作業経路の終点である引抜開始位置姿勢として記憶する
ことを特徴とする請求項1記載のロボットの教示装置。
【請求項3】
前記経路教示部は、
前記ロボットハンドに前記引抜動作を実行させているときに、前記組付ワークに生じる反力が前記引抜動作の開始時点から増加したことを検出した際に、
前記第2及び第3並進軸のそれぞれに沿う並進運動、及び前記第1並進軸から第3並進軸までのそれぞれの軸周りへの回転運動を、前記組付ワークを把持している状態の前記ロボットハンドに実行させ、
これらの並進運動及び回転運動によって前記組付ワークに生じる反力が最小となる前記ロボットハンドの位置姿勢を探索し、その探索した位置姿勢を中間位置姿勢として記憶し、その記憶した中間位置姿勢で前記ロボットハンドの前記引抜動作を続行させる
ことを特徴とする請求項2記載のロボットの教示装置。
【請求項4】
前記経路教示部は、
前記ロボットハンドに前記引抜動作を実行させているときに、予め設定された目標位置に前記ロボットハンドが到達したか否かを監視し、
前記目標位置に前記ロボットハンドが到達したことを検出した際に、その際の前記ロボットハンドの位置姿勢を、前記引抜移動経路の終点でありかつ前記組付作業経路の起点である引抜終了位置姿勢として記憶する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のロボットの教示装置。
【請求項5】
前記経路教示部は、
前記ロボットハンドに前記引抜動作を実行させているときに、前記組付ワークに生じる前記引抜方向への反力が減少方向へ変化したことを、前記力覚検出手段を介して検出した場合に、前記被挿入部における前記引抜方向に対する直交面の挿入中心位置を探索して、その挿入中心位置の情報を記憶し、
その記憶した前記挿入中心位置の情報に基づいて、前記引抜移動経路を調整する
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のロボットの教示装置。
【請求項6】
前記経路教示部には、前記引抜方向についての前記力覚検出手段の信号のレベルであり、前記組付ワークの重量に対応する重量対応レベルが予め設定され、
前記経路教示部は、
前記ロボットハンドに前記引抜動作を実行させているときに、前記引抜方向についての前記力覚検出手段の信号のレベルが、前記重量対応レベルであることを、前記力覚検出手段を介して検出した場合に、前記被挿入部における前記引抜方向に対する直交面の挿入中心位置を探索して、その挿入中心位置の情報を記憶し、
その記憶した前記挿入中心位置の情報に基づいて、前記引抜移動経路を調整する
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のロボットの教示装置。
【請求項7】
前記経路教示部は、
前記引抜動作としての第1引抜動作を前記ロボットハンドに実行させているときに、前記組付ワークに生じる反力のうち前記引抜方向としての第1引抜方向への反力が増加方向に変化したことを、前記力覚検出手段を介して検出した場合に、前記第1引抜動作を前記ロボットハンドに停止させ、
前記第1引抜方向とは異なる方向であり予め設定された第2引抜方向へ向けた引抜動作である第2引抜動作を前記ロボットハンドに実行させる
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のロボットの教示装置。
【請求項8】
前記経路教示部は、前記ロボットハンドに前記第2引抜動作を実行させる際に、
前記第2引抜方向に沿う第4並進軸に対して直交しかつ互いに直交する第5及び第6並進軸のそれぞれに沿う並進運動と、前記第4並進軸、前記第5並進軸及び前記第6並進軸のそれぞれに対する軸周りへの回転運動とを、前記組付ワークを把持している前記ロボットハンドに実行させ、
これらの並進運動及び回転運動によって前記組付ワークに生じる反力が最小となる前記ロボットハンドの位置姿勢を探索し、その探索した位置姿勢を方向変更位置姿勢として記憶し、その方向変更位置姿勢を前記引抜移動経路に含める
ことを特徴とする請求項7記載のロボットの教示装置。
【請求項9】
前記経路教示部は、
前記引抜動作の姿勢の前記ロボットハンドに前記組付ワークの把持及び把持解除を繰り返し実行させて、前記引抜動作の姿勢の前記ロボットハンドが前記引抜移動経路の起点で前記組付ワークを把持している状態、及びその把持を解除している状態の両方の状態での前記力覚検出手段の信号レベルを除去するための開閉対応調整値を取得し、
前記力覚検出手段の信号レベルを前記開閉対応調整値で調整して、前記組付ワークに生じる反力を監視する
ことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のロボットの教示装置。
【請求項10】
前記経路教示部は、
前記引抜動作の姿勢の前記ロボットハンドが前記組付ワークを空中で把持しているときに、そのときの前記力覚検出手段の信号レベルを除去するための重量対応調整値を取得し、
前記力覚検出手段の信号レベルを前記重量対応調整値で調整して、前記組付ワークに生じる反力を監視する
ことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のロボットの教示装置。
【請求項11】
前記経路教示部には、前記組付ワーク、前記被組付ワーク及び前記ロボットハンドのそれぞれの3次元形状に関する3次元形状情報を予め記憶しているオフラインプログラミング装置の前記3次元形状情報に基づく演算処理によって、前記組付ワークの引抜方向と前記ロボットハンドの引抜開始位置とを含む初期設定情報が与えられ、
前記経路教示部は、前記初期設定情報に基づいて、前記ロボットハンドに前記引抜開始位置へ移動させて、その後に前記被組付ワークに組み付けられた前記組付ワークを前記ロボットハンドに把持させ、前記ロボットハンドに前記引抜方向への前記引抜動作を実行させる
ことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のロボットの教示装置。
【請求項12】
前記経路教示部は、前記ロボットハンドの移動経路を生成する際に、前記力覚検出手段の信号と、前記引抜方向との少なくともいずれか一方を表示機器に表示するための表示情報を生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のロボットの教示装置。
【請求項13】
前記経路教示部は、前記被組付ワークが載置された被組付ワーク治具と、前記ロボットハンドとの少なくともいずれか一方に取り付けられた前記力覚検出手段を介して、前記組付ワークに生じる反力を監視する
ことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載のロボットの教示装置。
【請求項14】
ロボットハンドの動作を制御する動作制御部と、
請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載のロボットの教示装置の経路教示部と
を備えることを特徴とするロボットの制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−110688(P2011−110688A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272305(P2009−272305)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト 作業知能(生産分野)の開発 機種切り替えが迅速かつ長時間連続操業可能なロボットセル生産システムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】