説明

ロボットシステム

【課題】動作プログラム内の命令を動作プログラムの変更履歴データを用いて修正する場合、従来はプログラム全体の全ての履歴を時系列に検索していくことになり、所望の変更履歴データを得るまでに多くの時間を要するという課題があった。
【解決手段】表示中の動作プログラムで命令を選択し、選択している命令に関する変更履歴を抽出して表示し、抽出された履歴情報のなかから所望の履歴情報を選択することで、選択している命令の内容を、所望の履歴情報に変更することにより、動作プログラムの変更に掛かる時間を少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの動作結果や加工作業中のデータや動作プログラム等を履歴情報として保存し、動作検証を支援するロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、溶接に用いられるロボットシステムにおいては、従来、教示点の位置データや溶接時の電流や電圧等が履歴情報として保存され、動作検証及び品質管理に利用されている。そして、位置データ等の履歴情報を選択し、教示点データを所望の内容に変更することができ、溶接不良発生時には、不良発生前の位置姿勢に修復することができるロボット制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−217730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のロボット制御装置では、動作プログラムが変更された場合の履歴情報としての履歴データを参照して教示点の位置データを変更する場合には、当該教示点ではなくプログラム全体の履歴情報を用いて当該教示点の位置を参照するため、プログラム全体の履歴情報を時系列に検索していくこととなり、当該教示点の所望の過去位置を取得するまでに多くの時間を要するという課題を有していた。
【0005】
より詳しくは、プログラム全体の全ての履歴情報が部分的に表示部に表示され、画面をスクロールするなどして履歴情報を時系列的に順次確認して所望の履歴データを探す必要があり、多くの画面スクロールが必要といった操作量の増大や、これに関して所望の履歴データを探すまでの所要時間が長く掛かってしまうといった課題を有していた。
【0006】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、履歴データを参照して命令(例えば「教示点を含む命令」や「教示点を含まない命令」)の内容を変更する機能を有するロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のロボットシステムは、動作プログラムに基づいてロボットの動作の制御を行うロボット制御装置と、前記ロボット制御装置と通信を行う教示装置とを備えたロボットシステムであって、前記ロボット制御装置は、前記動作プログラムを記憶するプログラム記憶部と、前記動作プログラムに対して行われた複数の変更に関する複数の履歴情報を記憶する変更履歴記憶部と、前記変更履歴記憶部に記憶されている履歴情報の中から特定の履歴情報を抽出する変更履歴抽出部を備え、前記教示装置は、情報を表示する表示部と、前記表示部に表示された情報のうち少なくとも1つを選択するための情報選択部と、前記ロボット制御装置と通信を行うための通信部を備え、前記表示部に前記動作プログラムが表示された状態で、前記情報選択部により前記動作プログラムを構成する命令が選択されると、前記変更履歴抽出部により前記変更履歴記憶部に記憶されている複数の履歴情報の中から、選択された前記命令に関する全ての履歴情報が抽出され、抽出された履歴情報が履歴情報画面として前記表示部に表示されるものである。
【0008】
そして、この構成により、表示部に動作プログラムが表示された状態で、情報選択部により動作プログラムを構成する命令が選択されると、変更履歴抽出部により変更履歴記憶部に記憶されている複数の履歴情報の中から、選択された前記命令に関する全ての履歴情報を抽出し、履歴情報画面として表示部に表示するものである。
【0009】
また、本発明のロボットシステムは、上記に加えて、表示部に表示されている履歴情報画面の履歴情報の中から、情報選択部により1つの履歴情報を選択すると、動作プログラムを構成する命令を、選択された履歴情報の内容に変更して記憶するものである。
【0010】
また、本発明のロボットシステムは、上記に加えて、動作プログラムと、1つまたは複数の選択された命令に関する1つまたは複数の履歴情報画面とを、同時に表示部に表示するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明は、情報選択部により選択された命令に関する履歴情報を得ることができるので、所望の履歴情報へアクセスするための操作量や所要時間を少なくすることができる。
【0012】
また、複数の履歴情報画面を同時に表示することにより、当該命令以外の命令の変更を平行して円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1におけるロボットシステムの概略構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における動作プログラムの一例を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における変更履歴のフォーマットを示す図
【図4】本発明の実施の形態1における固有識別子を説明するための図
【図5】本発明の実施の形態1における動作プログラムを新規作成してから最初の変更時の変更履歴データを示す図
【図6】本発明の実施の形態1における動作プログラムを新規作成してから複数回変更した後の変更履歴データを示す図
【図7】本発明の実施の形態1における1つの変更履歴画面を表示した例を示す図
【図8】本発明の実施の形態1における変更履歴データを用いた命令内容の変更を説明するための図
【図9】本発明の実施の形態1における複数の変更履歴画面を表示した例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態について、図1から図9を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態におけるロボットシステムの概略構成を示しており、図示しないロボットとしてのマニピュレレータと、マニピュレータの動作を制御するロボット制御装置101と、ロボット制御装置101と情報の通信を行う教示装置107を備えている。
【0016】
ロボット制御装置101は、マニピュレータを動作させるための動作プログラム等を記憶するプログラム記憶部102と、プログラム記憶部102に記憶された情報等を変更した際の変更履歴を記憶する変更履歴記憶部103と、変更履歴記憶部103から変更履歴を抽出する変更履歴抽出部104と、マニピュレータを駆動するための駆動部105と、溶接を行うための電流や電圧を制御して出力する溶接部106を備えている。
【0017】
教示装置107は、情報を表示するための表示部108と、表示部108に表示された情報の中から情報を選択するための情報選択部109と、表示部108に表示されたプログラム等に関する変更された内容をロボット制御装置101の変更履歴記憶部103に伝達する通信部110を備えている。
【0018】
なお、教示装置107は、マニピュレータの動作の教示等を行う一般的に知られた機能を有するものであり、前述の構成要素以外の構成要素も多々備えているが、前述の構成要素以外の構成要素についての説明は省略する。
【0019】
以上のように構成されたロボットシステムについて、その動作を説明する。
【0020】
図2に、マニピュレータの動作プログラムの一例を示しており、この動作プログラムは溶接を行う場合の例である。この動作プログラムは、例えば、教示装置107を用いて作成され、ロボット制御装置101内のプログラム記憶部102に保存される。
【0021】
図2において、201は、動作プログラム名を示している。202は、マニピュレータの移動命令を示している。具体的には、「MOVE」は、ロボット制御装置101による制御によりマニピュレータを所定の位置に移動させる命令であり、直線動作や円弧動作などを指定することができる。なお、ここでは特に動作の区別はしないものとする。
【0022】
また、203は、教示点名を示している。例えば、溶接を行う場合には、溶接箇所に相当する。なお、教示点名203の名称は自由に設定することができるが、ここでは例としてP1、P2、P3、P4と記載した例を示している。
【0023】
また、204は、マニュピュレータを移動させる際の移動速度を示す。
【0024】
上記した、移動命令202と、教示点名203と、移動速度204により移動指令命令205を構成している。なお、図2において、206、210、212、216もマニピュレータを移動させる移動指令命令である。
【0025】
また、図2において、溶接命令(WELD)と電流指令値(120A)と電圧指令値(18.0V)により溶接条件命令207を構成している。図2において、211、213も溶接条件命令である。これら溶接条件命令は、溶接開始時や溶接中や溶接終了時の終端処理の溶接条件として指定される。なお、溶接条件命令207では、電流指令値が120A(アンペア)、電圧指令値が18.0V(ボルト)とした場合の例を示している。
【0026】
また、図2において、溶接の際に使用する溶接ガス(シールドガス)に関するガス命令(GAS)とガスのON/OFF命令(ON)により溶接ガスON/OFF命令208を構成している。図2において、215も溶接ガスON/OFF命令である。これら溶接ガスON/OFF命令は、溶接ガスをON/OFFするための命令であり、ONの場合には図示しないガス調整弁としてのガスバルブが開状態となり図示しないガスボンベ等から溶接ガスが供給される。一方、OFFの場合には、ガスバルブが閉状態となり溶接ガスの供給が停止される。
【0027】
また、図2において、アーク命令(ARC)とアークON/OFF命令(ON)によりアークON/OFF命令209を構成している。図2において、214もアークON/OFF命令である。これらアークON/OFF命令は、溶接ワイヤ等の電極と溶接対象物との間でアークを発生させる(アークON)またはアークを停止させる(アークOFF)ための命令である。アークONであると、マニピュレータに取り付けられた図示しない溶接用トーチを介して図示しない電極に電力が供給され、電極と図示しない溶接対象物との間でアークが発生し、アーク溶接を開始する。一方、アークOFFであると、電極と溶接対象物との間に電力が供給されず、アークが停止し、アーク溶接が終了する。
【0028】
次に、変更履歴記憶部103における、動作プログラムの変更に関する履歴情報の保存処理について図1から図6を用いて説明する。
【0029】
変更履歴記憶部103は、図3に示すフォーマットに従って履歴情報を保存する。図3において、更新順番301は、当該動作プログラム新規作成時からの更新の順番を意味する。固有識別子302は、図4に示すように、当該動作プログラム各行の命令毎に付与する識別子を意味する。更新後内容303は、更新後の内容を意味する。
【0030】
図2や図4に示す動作プログラム名201がProg0001.prgである動作プログラムが新規作成され、その後、このProg0001.prgにおいて教示点P3の位置データが変更された場合の変更履歴を図5に示す。図5において、履歴情報501は、教示点P3の位置データが変更された場合の履歴情報である。
【0031】
動作プログラムの変更として図4に示す移動指令命令210に含まれる教示点P3の位置データが変更されると、図5に示すように、更新順番301として13番が追加登録され、この場合の固有識別子302として、教示点P3を含む移動指令命令210に付与されている6が登録される。また、この場合の更新後内容303として教示点P3の更新後の位置データが登録される。
【0032】
なお、図5において、更新順番301の1番から12番は、動作プログラムが新規に作成された際の情報である。これらの情報も履歴情報として変更履歴記憶部103に記憶される。
【0033】
また、プログラム記憶部102には、変更履歴記憶部103に記憶される履歴情報のうち、各固有識別子302について最も更新順番301が大きいものが現状のプログラムとして記憶される。
【0034】
次に、さらに動作プログラムProg0001.prgの変更が複数回行われた後の変更履歴を図6に示す。
【0035】
変更履歴601は、教示点P4の位置データが変更された場合の履歴情報である。教示点P4の位置データが変更されると、図6に示すように、更新順番301として14番が追加登録され、この場合の固有識別子302として8が登録される。そして、この場合の更新後内容303として教示点P4の更新後の位置データが登録される。
【0036】
変更履歴602は、前記教示点P4の位置データが、更新順番301の14番の後、すなわち、変更履歴601の後に変更された場合の履歴情報である。教示点P4の位置データが変更されると、図6に示すように、更新順番301として15番が追加登録され、この場合の固有識別子302として8が登録される。そして、この場合の更新後内容303として教示点P4の更新後の位置データが登録される。
【0037】
変更履歴603は、溶接条件命令207の命令電圧が、更新順番301の15番の後、すなわち、変更履歴602の後に変更された場合の変更履歴である。溶接条件命令207の指令電圧が18.0Vから18.5Vに変更されると、図6に示すように、更新順番301として16番が追加登録され、この場合の固有識別子302として3が登録される。そして、この場合の更新後内容303として変更後の指令電圧が登録される。
【0038】
また、図6に示す変更履歴604から変更履歴607についても、説明は省略するが、変更履歴601から変更履歴603と同様に、「更新順番301」、「固有識別子302」、「更新後内容303」が登録されて履歴情報として保存される。
【0039】
次に、教示装置107の表示部108や情報選択部109と、ロボット制御装置101の変更履歴抽出部104等による、複数の履歴情報から所望の履歴情報を抽出する処理について、図1と図2と図4および図6から図9を用いて説明する。
【0040】
教示装置107を操作することによりロボット制御装置101のプログラム記憶部102から動作プログラムを読み出し、教示装置107の図示しない一時記憶部に記憶し、また、図7に示すように教示装置107の表示部108に動作プログラムを表示する。
【0041】
そして、図1における情報選択部109の一部としての図7に示すジョグダイアル731を操作することで、カーソル713を移動指令命令708の位置に合わせる。そして、履歴情報表示ボタン728を押すと、通信部110が、移動指令命令708の固有識別子302(値は8)をロボット制御装置101の変更履歴抽出部104に伝達する。
【0042】
教示装置107から固有識別子302(値は8)を受信した変更履歴抽出部104は、変更履歴記憶部103に記憶されている図6に示す履歴情報から、固有識別子302(値は8)に該当する履歴データを全て抽出し、教示装置107に送る。教示装置107は、ロボット制御装置101から受信した履歴データを、図示しない一時記憶部に記憶し、また、変更履歴画面717として表示部108に表示する。なお、図7の変更履歴画面717では、更新順番301を「番号」として表示した例を示している。
【0043】
次に、ロボット制御装置101の変更履歴記憶部103に記憶されている履歴情報を用いて命令の内容を変更する方法について、図8を用いて説明する。なお、図7を用いて上述したように、変更履歴画面717(図8においては変更履歴画面814)を表示部108に表示した状態を前提にして説明する。
【0044】
図8では、動作プログラム表示画面813の移動指令命令808の変更履歴画面814が表示部108に表示されている例を示している。そして、操作可能なアクティブ画面が動作プログラム表示画面813になっているとする。この状態で、図8に示すアクティブ画面切替ボタン827を押すことで、アクティブ画面が変更履歴画面814に切り替わる。この状態でジョグダイアル828を操作して更新順番301の値が14番の履歴にカーソルを移動した状態を表示部108に示している。
【0045】
移動指令命令808の教示点P4の現在値は、図6に示すように更新順番301が19番の更新データである。そして、図8に示す切替ボタン826を押すと、図7に示す履歴情報表示ボタン728が図8に示す履歴反映ボタン825に変わる。
【0046】
この状態で、履歴反映ボタン825が押されると、移動指令命令808の教示点P4の位置データを、「更新順番301が19番の更新データ」から「更新順番301が14番の更新データ」に変更する。すなわち、移動指令命令808の教示点P4の位置データは(123,1100,791)から(123,1091,791)に変更となる。
【0047】
そして、教示装置107の通信部110が、変更内容((123,1100,791)から(123,1091,791)への変更)をロボット制御装置101の変更履歴記憶部103に送信する。
【0048】
変更履歴記憶部103は、変更内容を、保持している変更履歴に追加し(図示していないが、図6において更新順番301の21番として追加記憶される)、追加した変更内容を教示装置107の表示部108に伝達する。
【0049】
変更内容を伝達された表示部108は、この変更内容を表示中の変更履歴画面814の内容に追加反映する。すなわち、図8の変更履歴画面814に図示はしていないが、番号21番として更新データが表示される。
【0050】
次に、表示部108に複数の命令の変更履歴画面を表示した状態で命令の変更を行う場合の例について、図9を用いて説明する。
【0051】
なお、図8を用いて上述したように、移動指令命令908の教示点P4を更新順番301の14番の内容に変更した状態を前提として説明する。すなわち、図9において変更履歴画面として変更履歴画面922の1つが表示部108に表示されていることを前提とする。
【0052】
この状態で、アクティブ画面切替ボタン937が押されると、動作プログラム表示画面925が操作可能なアクティブ画面になる。そして、ジョグダイアル938が操作されて移動指令命令912の位置にカーソル916が合わされる。
【0053】
その後、切替ボタン936が押されて、履歴反映ボタン935が履歴情報表示ボタンに切り替えられ、この履歴情報表示ボタンが押されることで移動指令命令912の変更履歴画面923が表示される。すなわち、変更履歴画面として、変更履歴画面922と変更履歴画面923の2つが表示される状態となる。
【0054】
そして、アクティブ画面切替ボタン937が押されると、動作プログラム表示画面925がアクティブ画面になる。そしてジョグダイアル938が操作されて溶接条件命令903の位置にカーソル919が合わされる。
【0055】
その後、履歴情報表示ボタンが押されることで溶接条件命令903の変更履歴画面924が表示される。すなわち、変更履歴画面として、変更履歴画面922と変更履歴画面923と変更履歴画面924の3つが表示される状態となる。
【0056】
ここで、溶接条件命令903の現在の溶接条件は、更新順番301が18番の更新データ(118A,18.5V)である。そして、ジョグダイアル938が操作されて、変更履歴画面924において更新順番301が16番の位置にカーソルが移動される。
【0057】
この状態で切替ボタン936が押され、履歴情報表示ボタンが履歴反映ボタン935に切り替えられる。そして、この履歴反映ボタン935が押されると、溶接条件命令903の溶接条件が、(118A,18.5V)から(120A,18.5V)に変更となる。
【0058】
そして、教示装置107の通信部110が変更内容((118A,18.5V)から(120A,18.5V)への変更)をロボット制御装置101の変更履歴記憶部103に送信する。
【0059】
変更履歴記憶部103は、変更内容を、保持している変更履歴に追加し(図示していないが、図6において更新順番301の22番として追加記憶される)、追加した変更内容を教示装置107の表示部108に伝達する。
【0060】
変更内容を伝達された表示部108は、変更内容を表示中の変更履歴画面924に追加反映する。すなわち、図9の変更履歴画面924に図示していないが、番号が22番として更新データが表示される。
【0061】
次に、変更履歴を利用して複数の命令を平行して変更する場合について、同じく図9を用いて説明する。
【0062】
上記したように、溶接条件命令903の溶接条件が(118A,18.5V)から(120A,18.5V)に変更された後に、引き続いて、移動指令命令908と移動指令命令912を、変更履歴を利用して平行して変更する例について説明する。
【0063】
アクティブ画面切替ボタン937が押されて、変更履歴画面922がアクティブ画面になる。この状態でジョグダイアル938が操作され、更新順番301が8番の位置にカーソルが移動される。そして、履歴反映ボタン935が押されると、移動指令命令908の教示点P4の位置データが(123,1091,791)から(123,991,791)に変更となる。
【0064】
その後、アクティブ画面切替ボタン937が押されて、変更履歴画面923がアクティブ画面になる。そして、ジョグダイアル938が操作されて、更新順番301が12番の履歴にカーソルが移動される。そして、履歴反映ボタン935が押され、教示点P5の位置データが(123,1200,789)から(123,999,789)に変更となる。
【0065】
なお、移動指令命令908の教示点P4の位置データと、移動指令命令912の教示点P5の位置データを更に調整変更したい場合には、前述と同様の操作を再度行う。
【0066】
また、溶接条件命令903を平行して変更する場合にも、前述と同様の操作を再度行う。
【0067】
以上のように、本実施の形態のロボットシステムによれば、情報選択部109(具体的には、ジョグダイアル731や履歴情報表示ボタン728等)により選択された「教示点名を含む命令」または「教示点名を含まない命令」に関する履歴情報を得ることができることにより、所望の履歴へアクセスするための操作量および所要時間を少なくすることができる。
【0068】
更に、複数の履歴情報画面を同時に表示できることにより、当該『「教示点名を含む命令」または「教示点名を含まない命令」』以外の『「教示点名を含む命令」または「教示点名を含まない命令」』の変更を平行して円滑に行うことができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、ロボット制御装置101と教示装置107が別体の場合を例にして説明した。しかし、ロボット制御装置101と教示装置107とを一体構成としてロボット制御装置101に教示装置107の構成や機能を備える構成とし、ロボット制御装置101単体で本実施の形態を実施するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のロボットシステムは、動作プログラムの変更履歴を保存し、保存した履歴データから所望の履歴を抽出して参照することができ、かつ、抽出した履歴データを用いて動作プログラムの内容を変更することができ、更に、動作プログラム内の複数の命令に対して平行して命令毎の履歴データの抽出および命令内容の変更を行うことができることから、所望の変更履歴へのアクセス操作量および所要時間を少なくすることができ、このとから、動作プログラムにより動作してこの動作プログラムを変更・修正して動作を行うロボットシステムとして産業上有用である。
【符号の説明】
【0071】
101 ロボット制御装置
102 プログラム記憶部
103 変更履歴記憶部
104 変更履歴抽出部
105 駆動部
106 溶接部
107 教示装置
108 表示部
109 情報選択部
110 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作プログラムに基づいてロボットの動作の制御を行うロボット制御装置と、前記ロボット制御装置と通信を行う教示装置とを備えたロボットシステムであって、
前記ロボット制御装置は、
前記動作プログラムを記憶するプログラム記憶部と、
前記動作プログラムに対して行われた複数の変更に関する複数の履歴情報を記憶する変更履歴記憶部と、
前記変更履歴記憶部に記憶されている履歴情報の中から特定の履歴情報を抽出する変更履歴抽出部を備え、
前記教示装置は、
情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示された情報のうち少なくとも1つを選択するための情報選択部と、
前記ロボット制御装置と通信を行うための通信部を備え、
前記表示部に前記動作プログラムが表示された状態で、前記情報選択部により前記動作プログラムを構成する命令が選択されると、前記変更履歴抽出部により前記変更履歴記憶部に記憶されている複数の履歴情報の中から、選択された前記命令に関する全ての履歴情報が抽出され、抽出された履歴情報が履歴情報画面として前記表示部に表示されるロボットシステム。
【請求項2】
表示部に表示されている履歴情報画面の履歴情報の中から、情報選択部により1つの履歴情報を選択すると、動作プログラムを構成する命令を、選択された履歴情報の内容に変更して記憶する請求項1記載のロボットシステム。
【請求項3】
動作プログラムと、1つまたは複数の選択された命令に関する1つまたは複数の履歴情報画面とを、同時に表示部に表示する請求項1または2記載のロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−125889(P2012−125889A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280133(P2010−280133)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】