説明

ロボット関節およびトルク伝達力可変装置

【課題】小型であっても変位量を大きく確保でき、ロボットが人間に接触したときに、接触した人間に対して実際の人間に接触したときと同様に柔らかい動きの感覚を与えることができるロボット関節を提供する。
【解決手段】アクチュエータ30は、電気エネルギーを受けた場合に変形する電歪エラストマー37と、電歪エラストマー37に取り付けられ、電歪エラストマー37の形状に応じて出力部材20に対して接触状態と離間状態とを切り替えるシュー38を備える。トルク制御部40は、電歪エラストマー37に電気エネルギーを与えることにより、基部材10から出力部材20へ伝達するトルクを制御する。さらに、シュー38が出力部材20に接触している状態において、出力部材20が外部から所定トルク以上のトルクを受けた場合に、シュー38が出力部材20に対して擦りながら、出力部材20が基部材10に対して回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基部材に対して出力部材を回転駆動させるロボット関節およびトルク伝達力可変装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、伝達トルクを制御する装置として、特開2004−360841号公報(特許文献1)に開示されたものがある。特許文献1には、自動車のブレーキ装置であって、電気エネルギーによりエラストマーの形状を変化させる電気活性ポリマーについて記載されている。一般に、自動車のブレーキ装置は、回転を確実に停止することが必要であるため、非常に大きな制動力が必要となる。さらに、自動車のブレーキ装置は、停止した場合には、確実に停止した状態を維持する必要がある。
【0003】
ところで、近年、実際の人間に接触することを目的とした人型ロボットの研究が盛んに行われている。この種の人型ロボットの各関節装置においては、人型ロボットが人間に接触したときに、接触した人間に対して実際の人間に接触したときと同様に柔らかい動きの感覚を与えることが望まれる。具体的には、人型ロボットが人間に接触した場合に、人型ロボットは、停止するのではなく、接触した人間に対して衝撃を与えないような動きをすることが求められる。ここで、上述した自動車用のブレーキ装置は、停止した後に停止状態を維持することが必要な装置である。そのため、この自動車用のブレーキ装置を人型ロボットの関節部分にそのまま適用したとしても、上述した人型ロボットの関節装置に要求される構成を達成することはできない。
【0004】
また、伝達トルクを制御する装置として、電磁石を用いた電磁クラッチや圧電素子を用いた電磁クラッチなどを適用することが考えられる。しかし、電磁石や圧電素子は、電圧を印加すると急激な変化をするため、伝達トルクの変化量が大きい。人型ロボットの関節装置には、上述したように柔軟な動きが望まれる。すなわち、人型ロボットの関節装置には、急峻な動きよりも、ソフトに動かすことができることが望まれる。さらに、人型ロボットに適用する場合を考えると、非常に小型なものとしなければならない。つまり、伝達トルクを変化させるために動作する部材の変位量が小さくなる。このように小型な装置の場合に、電磁石や圧電素子を適用すると、中間状態、すなわち、変位量がゼロの状態と変位量が最大となる状態との間において、適切な伝達トルクを制御することが容易ではない。さらに、圧電素子は、変位量が小さいため、他の部材の高精度な加工が必要となり高コスト化を招来する。
【特許文献1】特開2004−360841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、小型であっても変位量を大きく確保でき、ロボットが人間に接触したときに、接触した人間に対して実際の人間に接触したときと同様に柔らかい動きの感覚を与えることができるロボット関節を提供することを目的とする。さらに、小型化を図ることができ、柔らかい動きを実現できるトルク伝達力可変装置を適用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
【0007】
(手段1)手段1に係るロボット関節は、
基部材と、
出力部材と、
前記基部材に対して前記出力部材を回転可能に駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータを駆動することにより、前記基部材から前記出力部材へ伝達するトルクを制御するトルク制御部と、
を備えるロボット関節であって、
前記アクチュエータは、
前記基部材と前記出力部材の一方に取り付けられ、電気エネルギーを受けた場合に変形する電歪エラストマーと、
前記電歪エラストマーに取り付けられ、前記電歪エラストマーの形状に応じて前記基部材と前記出力部材の他方に対して接触状態と離間状態とを切り替えるシューと、
を備え、
前記トルク制御部は、前記電歪エラストマーに電気エネルギーを与えることにより、前記基部材から前記出力部材へ伝達するトルクを制御し、
前記シューが前記基部材と前記出力部材の他方に接触している状態において、前記出力部材が外部から所定トルク以上のトルクを受けた場合に、前記シューが前記基部材と前記出力部材の他方に対して擦りながら、前記出力部材が前記基部材に対して回転することを特徴とする。
【0008】
本手段によれば、電歪エラストマー(いわゆる人工筋肉の一種)を用いることで、大きな変位量を確保できるため、急峻な動きではなく、ソフトな動きを実現できる。さらに、中間状態の自由な制御が可能となる。このことから、圧電素子を適用する場合に比べて、他の部材の高精度な加工が不要となる。
【0009】
さらに、本手段によれば、シューが基部材と出力部材の他方に接触している状態において、出力部材が外部から所定トルク以上のトルクを受けた場合に、シューが基部材と出力部材の他方に対して擦りながら、出力部材が基部材に対して回転する。つまり、本手段は、いわゆる、リミッターカット機能を有している。これにより、ロボットが人間に接触したときに、接触した人間に対して実際の人間に接触したときと同様に柔らかい動きの感覚を与えることができる。つまり、接触した人間に対して衝撃を与えないような動きをすることができる。
【0010】
(手段2)手段1のロボット関節において、前記電歪エラストマーは、薄膜状の電極に挟まれた薄膜状のエラストマーを複数積層した構成からなるとよい。
【0011】
このように、複数積層した構成とすることで、変位量を大きくすることができる。これにより、トルク伝達力を柔軟に調整可能となる。さらに、圧電素子を適用する場合に比べて、部品の加工精度を高くしなくてもよくなる。
【0012】
(手段3)手段1または2のロボット関節において、
前記電歪エラストマーは、前記基部材と前記出力部材の他方に対して、前記基部材と前記出力部材との相対回転軸の径方向に伸縮変形可能であり、
前記シューは、前記基部材と前記出力部材の他方における前記相対回転軸周りの周面に接触可能に配置されるとよい。
これにより、リミッターカット機能を確実に実現できる。
【0013】
(手段4)手段1〜3の何れかのロボット関節において、前記ロボット関節は、人型ロボットの関節装置であるとよい。
人型ロボットの関節装置に適用することで、確実に上記効果を達成できる。
【0014】
(手段5)手段5におけるトルク伝達力可変装置は、
基部材と、
出力部材と、
前記基部材に対して前記出力部材を回転可能に駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータを駆動することにより、前記基部材から前記出力部材へ伝達するトルクを制御するトルク制御部と、
を備えるトルク伝達力可変装置であって、
前記アクチュエータは、
前記基部材と前記出力部材の一方に取り付けられ、電気エネルギーを受けた場合に変形する電歪エラストマーと、
前記電歪エラストマーに取り付けられ、前記電歪エラストマーの形状に応じて前記基部材と前記出力部材の他方に対して接触状態と離間状態とを切り替えるシューと、
を備え、
前記トルク制御部は、前記電歪エラストマーに電気エネルギーを与えることにより、前記基部材から前記出力部材へ伝達するトルクを制御し、
前記シューが前記基部材と前記出力部材の他方に接触している状態において、前記出力部材が外部から所定トルク以上のトルクを受けた場合に、前記シューが前記基部材と前記出力部材の他方に対して擦りながら、前記出力部材が前記基部材に対して回転することを特徴とする。
【0015】
本手段のトルク伝達力可変装置によれば、上述した手段1のロボット関節による効果と同一の効果を発揮できる。また、ロボット関節における他の特徴についても、トルク伝達力可変装置に同様に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のロボット関節を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、ロボット関節1は、人型ロボットハンドの指関節部を例に挙げて説明する。従って、本実施形態におけるロボット関節1は、非常に小型なものである。
【0017】
本実施形態のロボット関節1について、図1〜図7を参照して説明する。図1は、ロボット関節1の正面図である。図2は、ロボット関節1の平面図である。図3は、図1のA−A断面図である。図4は、図3のB−B断面図である。図5は、図3のC−C断面図である。図6は、アクチュエータ30のブレーキ装置32の斜視図である。図7は、アクチュエータ30の電歪エラストマー(人工筋肉)37の模式図である。
【0018】
図1〜図5に示すように、ロボット関節1は、基部材10と、出力部材20と、アクチュエータ30と、トルク制御部40とを備える。基部材10は、指関節部の基端側の部材である。この基部材10は、軸部11と、ハウジング部12と、ガイド部13とから構成される。
【0019】
軸部11は、棒状をなしている。ハウジング部12は、軸部11の端部に一体的に結合されており、内部に空間を有している。ハウジング部12の内部空間は、図3〜図5に示すように、円柱状空間をなしている。つまり、ハウジング部12の内部空間は、周面12aと両端面12b、12cとを有している。さらに、ハウジング部12は、開口部12dを有している。この開口部12dは、ハウジング部12の内部空間の周面12aを開口させるものである。
【0020】
ガイド部13は、図5に示すように、ハウジング部12の周面12aのうち開口部12dの縁部に、周方向に等間隔に、中心軸に向かって突出するように複数形成されている。これらガイド部13の先端面は、円筒内周面状に形成されている。また、ガイド部13の先端側側面は、ハウジング部12の周面12aの中心軸を通る平面上に位置するように形成されている。
【0021】
出力部材20は、支持軸21と、揺動軸部22とから構成される。支持軸21は、ハウジング部12の周面12aの内径より小さな外径からなる円柱状をなす。支持軸21は、ハウジング部12の内部空間を形成する周面12aに、転がり軸受23、24を介して、ハウジング部12の周面12aと同軸状に回転可能に支持されている。支持軸21は、図3の上下方向の軸周りに回転可能に、ハウジング部12に支持されている。
【0022】
揺動軸部22は、棒状をなし、支持軸21の外周面のうち支持軸21の軸方向の中央部に一体的に結合されている。この揺動軸部22の中心軸が支持軸21の軸直交方向に一致するように、揺動軸部22は、支持軸21に結合されている。揺動軸部22は、ハウジング部12の開口部12dから外側に延在している。そして、支持軸21がハウジング部12に対して回転することに伴って、揺動軸部22は、ハウジング部12に対して揺動する。具体的には、揺動軸部22は、その中心軸が基部材10の軸部11の中心軸に一致する状態から、その中心軸が基部材10の軸部11に直交する方向に一致する状態となるまで揺動する。
【0023】
アクチュエータ30は、基部材10に対して出力部材20を回転可能に駆動する。このアクチュエータ30は、駆動部31と、ブレーキ装置32とから構成される。
【0024】
駆動部31は、モータと減速機から構成されている。駆動部31のモータステータがハウジング部12の一方の端面12bに取り付けられ、駆動部31のロータが減速機を介して支持軸21の端部に連結されている。つまり、駆動部31のモータが駆動することで、出力部材20が基部材10に対して回転する。
【0025】
ブレーキ装置32は、ハウジング部12の内部空間に設けられ、隣り合うガイド部13の間にそれぞれ設けられている。各ブレーキ装置32は、支持部材36と、電歪エラストマー37と、シュー38とから構成される。支持部材36は、ハウジング部12の周面12aに結合される、ほぼ矩形角状の部材である。この支持部材36は、金属製または樹脂製からなる。
【0026】
電歪エラストマー37は、いわゆる人工筋肉(ソフトアクチュエータ)からなる。この電歪エラストマー37の一端側は、支持部材36の内側面に固定されている。この電歪エラストマー37は、電気エネルギーを受けた場合に、図5の径方向の長さが伸縮するように変形する。電歪エラストマー37は、図7に示すように、薄膜状の正極側電極37aおよび負極側電極37bに挟まれた薄膜状のエラストマー37cを複数積層した構成からなる。つまり、電極37a、37bに電圧を印加すると、エラストマー37cが、図7の上下方向に収縮変形する。従って、電極37a、37bに電圧を印加した場合には、電圧を印加しない場合に対して、電歪エラストマー37の内側面が、図5の径方向外方へ移動する。この電歪エラストマー37は、ハウジング部12の周面12aの径方向に対して傾く方向への保持力は非常に弱い。
【0027】
ここで、エラストマー37cは、ゴム状の誘電体であって、シリコーンゴム系、アクリル系、NBR系等の材料がよく用いられる。電極37a、37bに挟まれる1つのエラストマー37cの膜厚は、20μm〜100μmである。また、各電極37a、37bの膜厚は、5μm〜20μmである。
【0028】
シュー38は、電歪エラストマー37の他端側、つまり、支持部材36から径方向内方に離隔した位置に設けられている。このシュー38は、電歪エラストマー37の形状に応じて径方向に移動する。そして、シュー38は、周方向に隣り合うガイド部13の間に設けられている。ここで、電歪エラストマー37は、上述したように、ハウジング部12の周面12aの径方向に対して傾く方向への保持力は非常に弱い。そのため、電歪エラストマー37は倒れようとするが、シュー38がガイド部13によりガイドされているため、シューの周方向の位置はそれほど変化しない。シュー38がこのような動作をすることにより、シュー38は、出力部材20の支持軸21の外周面に対して接触状態と離間状態とを切り替える。
【0029】
トルク制御部40は、アクチュエータ30である駆動部31およびブレーキ装置32に電気エネルギーを与えることにより、駆動部31およびブレーキ装置32を駆動する。そして、トルク制御部40は、駆動部31およびブレーキ装置32を駆動することにより、基部材10から出力部材20へ伝達するトルクを制御する。
【0030】
ここで、駆動部31のモータに電流を供給しておらず、ブレーキ装置32を構成する電歪エラストマー37の電極37a、37bに電圧を印加していない場合を考える。この場合、駆動部31によっては出力部材20は動かない。そして、電歪エラストマー37の電極37a、37bに電圧を印加していないため、この場合、電歪エラストマー37の径方向長さが長くなる。そうすると、シュー38の内側面が支持軸21の外周面に対して最も大きな押圧力(ブレーキ力)を付与した状態で、シュー38が支持軸21に接触する。この場合には、出力部材20が基部材10に対して回転することを停止させることになる。
【0031】
次に、駆動部31のモータに電流を供給し、ブレーキ装置32を構成する電歪エラストマー37の電極37a、37bに電圧を印加していない場合を考える。この場合、駆動部31によって出力部材20が基部材10に対して回転するようなトルクが発生する。しかし、電歪エラストマー37が大きなブレーキ力を付与した状態であるため、出力部材20は基部材10に対して停止している状態を維持する。
【0032】
また、駆動部31のモータに電流を供給し、ブレーキ装置32を構成する電歪エラストマー37の電極37a、37bに電圧を僅かに印加した場合を考える。この場合、駆動部31によって出力部材20が基部材10に対して回転するようなトルクが発生する。電歪エラストマー37の径方向長さが、前記の場合に比べて、僅かに短くなる。ただし、シュー38は、支持軸21の外周面に接触した状態である。この場合、シュー38による支持軸21の外周面に対するブレーキ力が僅かに弱まる。そのため、出力部材20は基部材10に対してゆっくりと回転する。
【0033】
駆動部31のモータに電流を供給し、電歪エラストマー37の電極37a、37bに最も大きな電圧を印加した場合には、電歪エラストマー37の径方向長さが最も短くなる。従って、シュー38は、支持軸21の外周面から完全に離間する。そうすると、駆動部31の駆動力により出力部材20は基部材10に対して回転する。
【0034】
ここで、上記に、電歪エラストマー37の電極37a、37bに電圧を印加していない場合には、大きなブレーキ力を有すると記載した。しかし、電歪エラストマー37によるブレーキ力は、それほど大きなものではない。そのため、出力部材20が外部から大きなトルクを受けた場合には、当該ブレーキ力に抗して、出力部材20は基部材10に対して回転する。具体的には、人型ロボット1の指端部(出力部材20)が実際の人間に当たった場合に、当たった人間が実際の人間に接触したような感覚を受けるような動作をさせる。より詳細には、電極37a、37bに電圧を印加していない状態において、出力部材20が外部から所定トルク(例えば、指関節部の場合0.1N・m、腕関節部の場合12N・m)を受けた場合に、シュー38が支持軸21の外周面に対して擦りながら、出力部材20が基部材10に対して回転するように動作する。いわゆる、リミッターカット機能を有する。
【0035】
以上説明した構成によれば、以下の効果を奏する。電歪エラストマー37(いわゆる人工筋肉の一種)を用いることで、大きな変位量を確保できるため、急峻な動きではなく、ソフトな動きを実現できる。さらに、中間状態の自由な制御が可能となる。このことから、圧電素子を適用する場合に比べて、他の部材の高精度な加工が不要となる。
【0036】
さらに、上述したように、リミッターカット機能を有している。これにより、ロボットが人間に接触したときに、接触した人間に対して実際の人間に接触したときと同様に柔らかい動きの感覚を与えることができる。つまり、接触した人間に対して衝撃を与えないような動きをすることができる。
【0037】
また、電歪エラストマー37は、複数積層した構成とすることで、変位量を大きくすることができる。これにより、トルク伝達力を柔軟に調整可能となる。さらに、圧電素子を適用する場合に比べて、部品の加工精度を高くしなくてもよくなる。
【0038】
また、電歪エラストマー37を適用する構成とすることで、消費電力が実質ゼロとなる。さらに、電歪エラストマー37の電極37a、37bに電圧を印加していない場合に、ブレーキ装置32により最大のブレーキ力を発揮する構成とした。ここで、特に、介護用のロボットに適用した場合には、指関節部などは、停止した状態として用いることが多い。つまり、多く使用する停止状態にて、電極37a、37bに電圧を印加しない状態とすることで、消費エネルギーを低減できる。
【0039】
<その他>
上記実施形態においては、本発明のロボット関節を介護ロボットハンドの指関節部に適用した場合について説明した。この他に、ロボットの各関節部に適用することができる。ただし、各関節部に要求されるブレーキ力およびリミッターカットトルク値に応じて、適宜設計変更可能である。
【0040】
また、介護ロボットの他に、上述したような、リミッターカット機能を必要とし、それほど大きなブレーキ力を必要としない部位であれば、同様の構成を適用できる。また、ブレーキ装置としてではなく、トルク伝達力可変装置として適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ロボット関節1の正面図である。
【図2】ロボット関節1の平面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】図3のC−C断面図である。
【図6】アクチュエータ30のブレーキ装置32の斜視図である。
【図7】アクチュエータ30の電歪エラストマー(人工筋肉)37の模式図である。
【符号の説明】
【0042】
1:ロボット関節
10:基部材、 20:出力部材、 30:アクチュエータ、 40:トルク制御部
11:軸部、 12:ハウジング部、 12a:周面、 12d:開口部
13:ガイド部
21:支持軸、 22:揺動軸部
31:駆動部、 32:ブレーキ装置
36:支持部材
37:電歪エラストマー
37a:正極側電極、 37b:負極側電極、 37c:エラストマー
38:シュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部材と、
出力部材と、
前記基部材に対して前記出力部材を回転可能に駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータを駆動することにより、前記基部材から前記出力部材へ伝達するトルクを制御するトルク制御部と、
を備えるロボット関節であって、
前記アクチュエータは、
前記基部材と前記出力部材の一方に取り付けられ、電気エネルギーを受けた場合に変形する電歪エラストマーと、
前記電歪エラストマーに取り付けられ、前記電歪エラストマーの形状に応じて前記基部材と前記出力部材の他方に対して接触状態と離間状態とを切り替えるシューと、
を備え、
前記トルク制御部は、前記電歪エラストマーに電気エネルギーを与えることにより、前記基部材から前記出力部材へ伝達するトルクを制御し、
前記シューが前記基部材と前記出力部材の他方に接触している状態において、前記出力部材が外部から所定トルク以上のトルクを受けた場合に、前記シューが前記基部材と前記出力部材の他方に対して擦りながら、前記出力部材が前記基部材に対して回転することを特徴とするロボット関節。
【請求項2】
前記電歪エラストマーは、薄膜状の電極に挟まれた薄膜状のエラストマーを複数積層した構成からなる請求項1に記載のロボット関節。
【請求項3】
前記電歪エラストマーは、前記基部材と前記出力部材の他方に対して、前記基部材と前記出力部材との相対回転軸の径方向に伸縮変形可能であり、
前記シューは、前記基部材と前記出力部材の他方における前記相対回転軸周りの周面に接触可能に配置される請求項1または2に記載のロボット関節。
【請求項4】
前記ロボット関節は、人型ロボットの関節装置である請求項1〜3の何れか一項に記載のロボット関節。
【請求項5】
基部材と、
出力部材と、
前記基部材に対して前記出力部材を回転可能に駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータを駆動することにより、前記基部材から前記出力部材へ伝達するトルクを制御するトルク制御部と、
を備えるトルク伝達力可変装置であって、
前記アクチュエータは、
前記基部材と前記出力部材の一方に取り付けられ、電気エネルギーを受けた場合に変形する電歪エラストマーと、
前記電歪エラストマーに取り付けられ、前記電歪エラストマーの形状に応じて前記基部材と前記出力部材の他方に対して接触状態と離間状態とを切り替えるシューと、
を備え、
前記トルク制御部は、前記電歪エラストマーに電気エネルギーを与えることにより、前記基部材から前記出力部材へ伝達するトルクを制御し、
前記シューが前記基部材と前記出力部材の他方に接触している状態において、前記出力部材が外部から所定トルク以上のトルクを受けた場合に、前記シューが前記基部材と前記出力部材の他方に対して擦りながら、前記出力部材が前記基部材に対して回転することを特徴とするトルク伝達力可変装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−69565(P2010−69565A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239109(P2008−239109)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】