説明

ロータリー式ピックアップ機構及びそれを備えた半導体処理装置

【課題】ピックアップ部材がピックアップカメラの光路を遮るまでのピックアップ部材の回転角度を拡大して、ピックアップ部材の回転速度を速めても、ピックアップカメラによりデバイスの画像を確実に取り込むことができる、動作信頼性及び生産性に優れたロータリー式ピックアップ機構及びそれを備えた半導体処理装置を提供する。
【解決手段】ロータリー式ピックアップ機構6では、ピックアップ部材であるピックアップヘッド61が4本、駆動軸60に対し円周等配位置に、十字状に延びて取り付けられている。各ピックアップヘッド61は、少なくとも中心線が、駆動軸60を中心とした円(図2にて一点鎖線にて図示)の半径の延長線よりも回転方向と逆方向にずらして配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスの画像取り込みによるウエハ位置補正機能を有するロータリー式ピックアップ機構に係り、特に、デバイスのピックアップ部材の配置構成に改良を加えたロータリー式ピックアップ機構及びそれを備えた半導体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品等のデバイスをウエハからテストハンドラに供給し、テストハンドラにて複合的な検査や梱包を実施する半導体処理装置が知られている。通常、デバイスはウエハに電極面を上にして載置されるが、テストハンドラでは各種検査のために電極面を下向きにしなくてはならない。
【0003】
したがって、半導体処理装置として、ウエハからデバイスを受け取り、デバイスの表裏を反転させながら、テストハンドラにデバイスを受け渡すピックアップ機構を備えたものが知られている(例えば特許文献1)。ただし、ピックアップ機構において、ウエハ及びテストハンドラ間で1つのピックアップ部材を往復動させる構成では、デバイスのウエハからの受け取りと、テストハンドラへの受け渡しが順次処理となる。このため、処理時間が長くなるといった不具合が生じた。
【0004】
そこで、デバイスの受け取りと受け渡しを同時並行的に処理可能な機構として、ロータリー式ピックアップ機構が提案されている。以下、ロータリー式ピックアップ機構を備えた半導体処理装置の従来例について、図5〜図7を用いて具体的に説明する。図5の従来の半導体処理装置の概略構成を示す平面図、図6は従来の半導体処理装置における要部側面図、図7は要部断面図を含むロータリー式ピックアップ機構の側面図である。
【0005】
図5に示す半導体処理装置1は、デバイスSをウエハWからテストハンドラ5に供給して、テストハンドラ5にて外観検査及びテープ梱包を行う装置である。テストハンドラ5には間欠回転するターンテーブル51(図5では二点鎖線にて図示)が設けられ、ターンテーブル51の外周部の円周等配位置に吸着ノズル52が複数取り付けられている。ターンテーブル51は、下方に配置されたダイレクトドライブモータの駆動軸で中心が支持されており、ダイレクトドライブモータの駆動に伴って間欠回転がなされる。
【0006】
吸着ノズル52は、ターンテーブル51の外周端に取り付けられた支持部によってターンテーブル51に対して上下動可能となっている。吸着ノズル52の直上には、吸着ノズル52を昇降させる駆動部(図示せず)が配置されている。吸着ノズル52は、ノズル内部が図示しない真空発生装置の空気圧回路と連通しており、負圧の発生によってデバイスSを吸着し、真空破壊によってデバイスSを離脱させる。なお、吸着ノズル52の配置間隔は、ターンテーブル51の1ピッチの回転角度と等しく設定されている。
【0007】
また、ターンテーブル51の外周部にはデバイスSに対し各種の工程処理を施すユニット53〜56が7つ配置されている。工程処理ユニットとしては、ターンテーブル51の回転方向(図5の反時計回転方向)に沿って、不良品排出ユニット53、外観検査ユニット54、方向回転ユニット55、外観検査ユニット54、不良品排出ユニット53、テーピングユニット56、不良品排出ユニット53が配置されている。
【0008】
図5、図6に示すように、テストハンドラ5のターンテーブル51の外周付近の下方にはロータリー式ピックアップ機構4が配置されている。また、ロータリー式ピックアップ機構4に隣接してウエハ移動機構2及びデバイス剥離機構3が設置されている。ウエハ移動機構2は、ウエハリングRを保持すると共に、これをピッチ移動させるものである。ウエハリングRにはウエハWが取り付けられている。ウエハWには粘着面が形成されており、ここに電極面を上にしてデバイスSが複数配置されている。
【0009】
ウエハ移動機構2は、ウエハリングRをピッチ移動させることで、ウエハW上のデバイスSを、予め設定されたデバイス剥離位置Pへ位置させる。デバイス剥離位置Pの背面には、デバイス剥離機構3の突上げピン31が、直線的に往復動するように設置されている。突上げピン31は、ウエハWの背面側からデバイスSを突き上げることで、デバイスSをウエハWから剥がすようになっている。
【0010】
図6、図7に示すように、ロータリー式ピックアップ機構4には、前記突上げピン31の移動方向と直交する方向に延びる駆動軸40が設置されている。この駆動軸40に対し、ピックアップヘッド41が4本、十字状に延びて取り付けられている。ピックアップヘッド41は先端部にピックアップノズル44を備え、このピックアップノズル44にてウエハW上のデバイスSを吸着保持するピックアップ部材である。4つのピックアップノズル44は、駆動軸40を中心とした円(図6にて一点鎖線にて図示)において、円周等配位置に、つまり90度ごとに配置される。
【0011】
ピックアップヘッド41は、図5、図6では、略円筒形状で示しているが、具体的には図7に示す構成を有している。すなわち、ピックアップヘッド41には、駆動軸40に固定されるノズル保持アーム42が設けられており、このノズル保持アーム42先端にノズルホルダ43が取り付けられている。また、ノズルホルダ43を介してピックアップノズル44がノズル保持アーム42に保持されている。
【0012】
ノズル保持アーム42にはシャフト及びベアリング等を有するボールスプライン45が設けられている。ボールスプライン45はピックアップノズル44を軸方向に支持する部分である。なお、ピックアップヘッド41を略円筒形状で示した場合、略円筒形の長手方向に延びる中心軸が、駆動軸40を中心として描く円(図6にて一点鎖線にて図示)における半径と一致するように、配置されている。
【0013】
このようなロータリー式ピックアップ機構4では、ピックアップノズル44がデバイス剥離位置Pに対向する時、突上げピン31にて突き上げられたデバイスSをウエハWから受け取り、これを吸着保持する。そして、駆動軸40の回転に伴って、ピックアップヘッド41が図6、図7中の時計回転方向に270度回転すると、ピックアップノズル44はテストハンドラ5の吸着ノズル52と対向して、吸着ノズル52にデバイスSを受け渡す。
【0014】
以上のようなロータリー式ピックアップ機構4によれば、デバイスSの表裏を反転させながら、デバイスSをウエハWから受け取り、連続的にテストハンドラ5側に供給することができる。しかも、4つのピックアップノズル44が、ウエハWからのデバイスSの受け取り動作と、吸着ノズル52への受け渡動作を、同時並行して行うことができる。したがって、単一のピックアップノズルの往復動によって受け取りと受け渡しを行っていた場合と比べて、処理時間を大幅に短縮化することができる。
【0015】
ところで、ロータリー式ピックアップ機構4には、デバイス剥離位置PのデバイスSの画像取り込んで、ウエハWの位置補正を行う機能が具備されている。この位置補正機能は、ピックアップカメラC及びプリズムPRによって実現される。プリズムPRは、ロータリー式ピックアップ機構4の駆動軸40付近に、デバイス剥離位置Pと対向して配置されている。
【0016】
プリズムPRは光路Lを90度曲げるために、ピックアップヘッド41の中心軸と駆動軸40が交差する点に配置されている。また、プリズムPRはピックアップヘッド41の回転によって動くことが無い様に固定部から支持され、また、ピックアップヘッド41と干渉することのない位置に配置される。但し、ピックアップカメラCと駆動軸40の中心線が一致しない場合も考えられるが(カメラCが斜めに配置等)、その場合はプリズムPRの反射角度が調整される。
【0017】
また、ピックアップカメラCは、プリズムPRとデバイス剥離位置Pとを結ぶ直線と直交する線上で、且つテストハンドラ5のターンテーブル51と干渉しない位置に設けられている。ピックアップカメラCは、プリズムPRが光路Lを90度折り返すことで、ピックアップヘッド41を回転させる際にできる2つのピックアップノズル44間の隙間で、デバイス剥離位置PのデバイスSの画像データを取得するようになっている。
【0018】
ピックアップカメラCの取得したデバイスSの画像データは、ウエハ移動機構2におけるデバイス剥離位置PへのデバイスSの位置決めのためのズレ量、すなわちウエハ位置補正量の算出に利用される。ウエハ移動機構2はウエハ位置補正量を取り込み、このウエハ位置補正量に基づいてウエハリングRを移動させる。このようなウエハWの位置補正を行うことにより、ピックアップ精度を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2009−141025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記ロータリー式ピックアップ機構4においては、あるピックアップノズル44がピックアップ動作を終了してから、次のピックアップノズル44がピックアップ動作を始めるまでの間に、次のような一連の動作を実施している。まず、ピックアップノズル44によりデバイスSのピックアップ動作が終了すると、ロータリーヘッド41が回転を開始する。同時に、ウエハ移動機構2によるウエハリングRのピッチ移動がなされる。
【0021】
次に、2つのピックアップノズル44の隙間からピックアップカメラCがデバイス剥離位置PにあるデバイスSの画像データを取り込んで、ウエハ位置補正量を取得する。続いて、ウエハ移動機構2はウエハ位置補正量に基づいてウエハリングRを移動させる。その後、ロータリーヘッド41が90度回転し終わり、次のロータリーヘッド41におけるピックアップノズル44がデバイスSのピックアップ動作を開始する。
【0022】
このような2回のピックアップ動作の間で、ピックアップヘッド41の回転角度が所定の角度を超えると、ピックアップヘッド41自体がピックアップカメラCの光路Lを遮ることになる。図5〜図7に示したロータリー式ピックアップ機構4を例に取ると、ピックアップヘッド41の回転角度が約65度を超えた時点で、ピックアップヘッド41の回転方向側の縁部がピックアップカメラCの光路Lを遮ることになる(図8参照)。
【0023】
つまり、デバイスの画像取り込みによるウエハ位置補正機能を持つロータリー式ピックアップ機構では、2回のピックアップ動作の間でピックアップカメラCがデバイスSの画像を取り込むといっても、後からのピックアップノズル44がピックアップ動作を開始するまで余裕があるわけではない。実際には、ピックアップヘッド41がピックアップカメラCの光路Lを遮るよりも前に、ピックアップカメラCによりデバイス画像の取り込みを終えなくてはならない。
【0024】
したがって、ピックアップヘッド41の回転速度が速く、ピックアップカメラCの光路Lが確保される時間が少なければ、ピックアップカメラによるデバイスの撮影時間が足りなくなる。このため、撮影データに基づくウエハ位置補正量の取得が間に合わなくなった。
【0025】
ピックアップカメラCが、2つのピックアップノズル44間の隙間で、デバイスの画像データを確実に取得するためには、ロータリーヘッド41の回転速度を遅くすれば問題ないが、これでは、サイクルタイムが長くなり、生産性の低下を招いた。つまり、ロータリー式ピックアップ機構において、デバイスの画像取り込みによるウエハ位置補正を実施する場合、ピックアップ部材の回転速度を速めてサイクルタイムを短縮させることと、デバイスの画像データを確実に取得してデバイスのピックアップ精度を確保することを、両立させることは困難となっていた。
【0026】
本発明は、このような課題を解消するために提案されたものであり、その目的は、ピックアップ部材がピックアップカメラの光路を遮るまでのピックアップ部材の回転角度を拡大して、ピックアップ部材の回転速度を速めても、ピックアップカメラによりデバイスの画像を確実に取り込むことができる、動作信頼性及び生産性に優れたロータリー式ピックアップ機構及びそれを備えた半導体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記の目的を達成するために、本発明に係るロータリー式ピックアップ機構は、ウエハに載置されたデバイスをピックアップする複数のピックアップ部材が、駆動軸に対し、該駆動軸を中心とした円の円周等配位置に取り付けられ、前記ピックアップ部材がピックアップする前のデバイスの画像データを取り込むピックアップカメラが設けられ、前記ピックアップ部材の少なくとも中心線が、前記駆動軸を中心とした円の半径の延長線よりも回転方向と逆方向にずらして配置されたことを特徴としている。
【0028】
また、本発明の他の態様として、上記ロータリー式ピックアップ機構と、前記デバイスを載置するウエハを保持し当該ウエハを所定の方向に移動させるウエハ移動機構と、前記ロータリー式ピックアップ機構からデバイスを受け取りデバイスに各種の工程処理を施す工程処理ユニットにデバイスを順次搬送するテストハンドラが設けられ、前記ウエハ移動機構は、前記ピックアップカメラの取り込んだデバイスの画像データに基づいて前記ウエハの位置補正を行うように構成された半導体処理装置であってもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明のロータリー式ピックアップ機構によれば、ピックアップ部材における回転方向側の少なくとも中心線を、ピックアップ部材の駆動軸を中心とした円の半径の延長線上よりも回転方向と逆方向にずらして、円周等配位置にあるピックアップ部材はいずれも、前記延長線から見て、ピックアップ部材の回転方向に向かって、はみ出す部分は極めて少なくて済む。したがって、ピックアップ部材がピックアップカメラの光路を遮るまでの回転角度を拡大させることができ、これにより、ピックアップ部材の回転速度を速めても、ピックアップカメラがデバイスの画像を確実に取り込むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の代表的な実施形態の要部断面図を含む側面図。
【図2】本実施形態の動作を示す要部側面図。
【図3】本実施形態におけるピックアップ部材がピックアップカメラの光路を遮るまでのピックアップ部材の回転角度を示す説明図。
【図4】本実施形態に係る半導体処理装置の構成を示す側面図。
【図5】従来の半導体処理装置の概略構成を示す平面図。
【図6】従来の半導体処理装置における要部側面図。
【図7】従来のロータリー式ピックアップ機構において要部断面図を含む側面図。
【図8】従来のロータリー式ピックアップ機構においてピックアップ部材がピックアップカメラの光路を遮るまでのピックアップ部材の回転角度を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の代表的な実施形態について、図1〜図4を参照して具体的に説明する。本実施形態は、従来例と同じく、ロータリー式ピックアップ機構を備えた半導体処理装置であり、ロータリー式ピックアップ機構はデバイスの画像取り込みによるウエハ位置補正機能を有している。このため、図5〜図7に示した従来例と同一の部材に関しては、同一符号を付して説明は省略する。
【0032】
[本実施形態におけるロータリー式ピックアップ機構の構成]
図1に示すように、本実施形態に係るロータリー式ピックアップ機構6では、ピックアップ部材であるピックアップヘッド61が4本、駆動軸60に対し円周等配位置に(つまり90度ごとに)、十字状に延びて取り付けられている。各ピックアップヘッド61は、少なくとも中心線が、駆動軸60を中心とした円(図2にて一点鎖線にて図示)の半径の延長線よりも回転方向と逆方向にずらして配置された点に特徴がある。
【0033】
これは、ピックアップヘッド61を略円筒形状で示した場合、略円筒形の縁部(回転方向側)が、駆動軸60を中心として描く円(図2にて一点鎖線にて図示)における半径に近接するように配置されることを意味する。つまり、ピックアップヘッド61を略円筒形と規定すれば、略円筒形の中心軸を前記半径の延長線と一致させていた従来例と比べて、ピックアップヘッド61の回転方向と逆方向に向かってオフセットしたことになる。仮に、ピックアップヘッド61における回転方向側の縁部が駆動軸60を中心とした円の半径の延長線上に配置されたとすれば、略円筒形はピックアップヘッド61を略円筒形の幅方向の半分だけ、オフセットすることになる。
【0034】
このようなピックアップヘッド61は、基本的に従来のピックアップヘッド41と同じく、ノズル保持アーム62と、ノズルホルダ63と、ピックアップノズル64と、ボールスプライン65とから構成されるが、その配置が異なる。すなわち、ピックアップヘッド61に含まれるこれらの部材は、駆動軸60を中心とした円(図2にて一点鎖線にて図示)の半径の延長線上から見て、ピックアップヘッド61の回転方向と逆方向側に寄せて配置されている。
【0035】
また、ロータリー式ピックアップ機構6は、ウエハ位置補正機能を具備するので、ピックアップカメラCと、プリズムPRが設けられている。ピックアップカメラCは、図2には図示しないが、前記図5で示した位置と同様な位置に配置されている。プリズムPRは、ロータリー式ピックアップ機構6の駆動軸60付近に、デバイス剥離位置Pと対向して配置されている(図2に図示)。ウエハWの位置補正機能は、ウエハ移動機構2と組み合わせて用いられているため、ロータリー式ピックアップ機構6は、ウエハ移動機構2を含む半導体処理装置10に組み込まれることを前提としている。
【0036】
[本実施形態における半導体処理装置の構成]
本実施形態に係る半導体処理装置10(図2に図示)は、図5、図6に示した従来例と同じく、ウエハ移動機構2、デバイス剥離機構3及びテストハンドラ5を備えている。本実施形態の半導体処理装置10では、上記ロータリー式ピックアップ機構6にて、ウエハ移動機構2からデバイスSを受け取り、テストハンドラ5の吸着ノズル52に受け渡すようになっている。なお、図2に示すように、テストハンドラ5の各吸着ノズル52の上部には吸着ノズル52を上下動させる吸着ノズル駆動機構50が取り付けられている。ターンテーブル51が間欠回転するとき、吸着ノズル52は上昇位置である搬送ラインに保持される。
【0037】
[本実施形態の動作]
続いて、本実施形態の動作について説明する。ロータリー式ピックアップ機構6では、ピックアップノズル64がデバイス剥離位置Pに対向する時、突上げピン31にて突き上げられたデバイスSをウエハWから受け取り、これを吸着保持する。ピックアップノズル64によるデバイスSのピックアップ動作が終了すると、ピックアップヘッド61が回転を開始する。また、ウエハ移動機構2によるウエハリングRのピッチ移動がなされる。
【0038】
ピックアップヘッド61がピックアップカメラCの光路Lを通過した後(図3の(A)の状態)、ピックアップカメラCはデバイス剥離位置PにあるデバイスSの画像データを撮り込む。ウエハ位置補正量を取得する。続いて、ウエハ移動機構2は、ピックアップカメラCの撮り込んだ画像データに基づき、所定のウエハ位置補正量だけウエハリングRを移動させる。
【0039】
さらにピックアップヘッド61が回転して、回転角度が所定の角度を超えると、ピックアップヘッド61がピックアップカメラCの光路Lを遮る(図3の(B)の状態)。そして、1番目のピックアップヘッド61が図2中の時計回転方向に90度まで回転した時点で、2番目のピックアップノズル64がデバイス剥離位置Pと対向して、突上げピン31にて突き上げられたデバイスSをウエハWから受け取り、これを吸着保持する。その後、ピックアップヘッド61が90度回転するごとに、次のピックアップヘッド61におけるピックアップノズル64がデバイスSのピックアップ動作を開始する。
【0040】
1番目のピックアップノズル64によるピックアップ動作と、2番目のピックアップノズル64によるピックアップ動作との間で、より詳しくは、1番目のピックアップヘッド61がピックアップカメラCの光路Lを通過してから(図3の(A)の状態から)、2番目のピックアップヘッド61がピックアップカメラCの光路Lを遮るまで(図3の(B)の状態まで)、次の一連の動作を行う。
【0041】
すなわち、2回のピックアップ動作の間で、ウエハ移動機構2によるウエハリングRのピッチ移動、 ピックアップカメラCによるデバイスSの画像データ取り込みによるウエハ位置補正量取得、さらに、ウエハ位置補正量に基づいてウエハリングRの位置補正を行っている。
【0042】
ピックアップノズル64によるピックアップ動作が順次進み、4番目のピックアップノズル64がデバイス剥離位置Pと対向する時、1番目のピックアップノズル64は最初の位置から270度回転したことになり、テストハンドラ5の吸着ノズル52と対向する。1番目のピックアップノズル64がテストハンドラ5の吸着ノズル52と対向すると、吸着ノズル駆動機構50が動作して、吸着ノズル52は搬送ラインから下降する。これにより、1番目のピックアップノズル64の吸着保持したデバイスSの上面(非電極面)が吸着ノズル52に接する。
【0043】
吸着ノズル52は電極面を下向きにした状態でデバイスSを吸着保持し、それと同時に、1番目のピックアップノズル64がデバイスSに対する吸着力を解除する。さらに、吸着ノズル駆動機構50が動作して、デバイスSを吸着保持したまま吸着ノズル52は、搬送ラインまで上昇する。このようにして、デバイスSは1番目のピックアップヘッド61からテストハンドラ5側の吸着ノズル52へと受け渡される。
【0044】
1番目のピックアップノズル64はデバイスSを吸着ノズル52に受け渡した後、駆動軸60の回転に伴い、図2中の時計回転方向に90度回転することで、再度デバイス剥離位置Pと対向する。ここで、1番目のピックアップノズル64は、突上げピン31にて突き上げられたデバイスSをウエハWから受け取り、これを吸着保持する。この時には、2番目のピックアップノズル45Bはテストハンドラ5の吸着ノズル52と対向し、デバイスSを吸着ノズル52に受け渡すことになる。
【0045】
[作用効果]
以上のようなロータリー式ピックアップ機構6によれば、デバイスSの表裏を反転させながら、デバイスSをウエハWから受け取り、連続的にテストハンドラ5に供給することができる。しかも、デバイスSの受け取りと受け渡しを並行して処理可能なので、処理時間の短縮化が図れる。
【0046】
これに加えて、本実施形態のロータリー式ピックアップ機構6は、次のような独自の作用効果がある。すなわち、ピックアップヘッド61では駆動軸60を中心とした円(図2にて一点鎖線にて図示)の半径の延長線上から見て、ピックアップヘッド61の回転方向と逆方向側にオフセットして配置している。
【0047】
したがって、ピックアップヘッド61は、駆動軸60を中心とした円の半径の延長線から見て、回転方向に向かって、大きくはみ出すことがない。このため、ピックアップヘッド61がピックアップカメラCの光路Lを遮るまでの回転角度を拡大させることができる。具体的には、従来のピックアップヘッド41の回転角度が65度を超えた時点で、ピックアップヘッド41がピックアップカメラCの光路Lを遮っていたのに対して、本実施形態に係るピックアップヘッド61では回転角度が80度を超えるまで、ピックアップヘッド61の回転方向側の縁部がピックアップカメラCの光路Lを遮ることがない(図4参照)。
【0048】
上述したように、ピックアップノズル64による2回のピックアップ動作の間では、ウエハ位置補正量に基づくウエハリングRの位置補正を行うが、ウエハ位置補正量を求めるためにはピックアップカメラCによるデバイスSの画像データ取り込みが不可欠である。したがって、ピックアップ動作間で時間的なゆとりが少しでも出来れば、ピックアップヘッド61の回転速度を速めつつ、ピックアップカメラCがデバイスの画像を確実に取り込むことが可能である。
【0049】
ピックアップヘッド61の回転角度が80度に達するまでピックアップカメラCの光路Lを遮ることがない本実施形態のロータリー式ピックアップ機構6によれば、従来と比較しても回転角度で15度の違いがある。これは、ピックアップ動作1回当たりのピックアップヘッド61の回転角度が90度であることを考えると、飛躍的に回転角度が拡大したと言える。
【0050】
このような実施形態によれば、ピックアップヘッド61の回転速度を速めつつ、ピックアップカメラCはデバイスSの画像を確実に取り込むことが可能である。したがって、ウエハ位置補正によりピックアップ精度を高めると同時に、サイクルタイムの短縮化を実現することができ、動作信頼性及び生産性の向上を図ることができる。
【0051】
[他の実施形態]
上記の実施形態は、例として提示したものでありそのほかの様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0052】
具体的には、ピックアップ部材の設置数や形状、ピックアップカメラCの配置位置などは適宜変更可能であり、テストハンドラにおける各処理工程ユニットの種類や組合せ、配置順序等も、製品仕様やユーザの目的等に応じて、適宜順序が工程自体の入れ換え、変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1、10…半導体処理装置
2…ウエハ移動機構
3…デバイス剥離機構3
31…突上げピン
4、6…ロータリー式ピックアップ機構
40、60…駆動軸
41、61…ピックアップヘッド
42、62…ノズル保持アーム
43、63…ノズルホルダ
44、64…ピックアップノズル
45、65…ボールスプライン
5…テストハンドラ
50…吸着ノズル駆動機構
51…ターンテーブル
52…吸着ノズル
53…不良品排出ユニット
54…外観検査ユニット
55…方向回転ユニット
56…テーピングユニット
61…ピックアップヘッド
62…ノズル保持アーム
63…ノズルホルダ
64…ピックアップノズル
C…ピックアップカメラ
P…デバイス剥離位置
PR…プリズム
R…ウエハリング
S…デバイス
W…ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハに載置されたデバイスをピックアップする複数のピックアップ部材が、駆動軸に対し、該駆動軸を中心とした円の円周等配位置に取り付けられ、前記ピックアップ部材がピックアップする前のデバイスの画像データを取り込むピックアップカメラが設けられたロータリー式ピックアップ機構において、
前記ピックアップ部材の少なくとも中心線が、前記駆動軸を中心とした円の半径の延長線よりも回転方向と逆方向にずらして配置されたことを特徴とするロータリー式ピックアップ機構。
【請求項2】
請求項1に記載のロータリー式ピックアップ機構と、
前記デバイスを載置するウエハを保持し当該ウエハを所定の方向に移動させるウエハ移動機構と、
前記ロータリー式ピックアップ機構からデバイスを受け取りデバイスに各種の工程処理を施す工程処理ユニットにデバイスを順次搬送するテストハンドラが設けられ、
前記ウエハ移動機構は、前記ピックアップカメラの取り込んだデバイスの画像データに基づいて前記ウエハの位置補正を行うように構成されたことを特徴とする半導体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−119494(P2012−119494A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267931(P2010−267931)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(591048070)上野精機株式会社 (60)
【Fターム(参考)】