説明

ロータリー式自動包装機におけるカッター装置

【課題】
包装袋間のサイドシールに切れ込みを簡便に形成することができるロータリー式自動包装機のカッター装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係るロータリー式自動包装機のカッター装置は、中央部分が折り曲げられた包装フィルムの幅方向に複数のサイドシール114を形成するサイドシール装置5と、これを回転作動するターンテーブル4と、出来上がった多数の充填済み包装袋112の上縁を封止するトップシール装置9と有し、サイドシール114をカットして個別包装袋113にする自動包装機1のカッター装置10である。このカッター装置10は、ミシン目カットを施す手段と直線カットを施す手段とを有し、個別包装袋113を切り離さない場合には、ミシン目カットを施す手段を選択して行使し、個別包装袋113を切り離す場合には、直線カットを施す手段を選択して行使する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルムの包装袋に粉剤等の内容物を充填して個別包装袋を製造するロータリー式自動包装機のカッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺樹脂フィルム(包装フィルム)を使用して、定量の粉剤等の内容物を多数の個別包装袋に区分して包装する自動包装機の一つにロータリー式自動包装機がある。このロータリー式自動包装機では、フィルムコイルから巻き戻した長尺の樹脂フィルムを水平方向に移動させながらフィルムガイドで折りたたみ、ターンテーブルへと樹脂フィルムを導入する。ターンテーブル上の周囲に配置した多数のシーリングバー(サイドシール装置)は、この導入された樹脂フィルムに、一定間隔の幅シール(サイドシール)を形成しながら保持する。そして、順次折りたたんだ樹脂フィルムの間に、包装袋が形成される。
【0003】
この包装袋に互いに隣り合うシーリングバーの間で旋回する多数のシュートを挿入して所定量の内容物を充填し、充填後にはシュートを抜き、シーリングバーを外す。内容物が充填された包装袋は、ガイドを通って、予熱シールバーとトップシールロールとからなるトップシール装置に移送される。トップシール装置が充填後の袋フィルムの上縁を熱シール(トップシール)して密封した後、幅シール部分は、切断されたり、ミシン目切れ込みが入れられたりする。これによって、樹脂フィルムは所要の三方シールされた包装形態となる。このような従来のロータリー式自動包装機は、例えば、特許文献1,2等に開示されている。
【0004】
図7に、従来のロータリー式自動包装機におけるカッター装置の一例が示されている。図7に示すように、従来のカッター装置900においては、カッター上刃901が取付けられた駆動軸902と、カッター受刃903が取付けられた駆動軸904とは、平歯車905,906によって連結されている。1つの動力伝達軸907は、カッター受刃903側の駆動軸904を回転駆動させ、平歯車906が平歯車905を回転させる。これによって、両駆動軸902,904とが同期しながら回転し、カッター上刃901、カッター受刃903が同期しながら回転する。カッター上刃901とカッター受刃903とは、この回転にともなって幅シール部分に当接し、挟み込むことによって幅シール部分の当て切りを行う。
【0005】
このような従来のロータリー式自動包装機のカッター装置10では、直線状にカットして包装袋同士を切り離す場合と、包装袋間のサイドシールにミシン目の切れ込みを入れる場合とがある。これら出来上がった包装袋を異なるカット形態にカットする場合には、各々異なるカッター上刃901、カッター受刃903を取り替えて対応している。すなわち、カット形態が変わる度に、カッター装置10のカッター上刃901、カッター受刃903を交換する必要がある。さらに、交換後には、その都度駆動軸902,904間を調整し、カッター上刃901とカッター受刃903との当たり具合を調整する必要がある。そのため、カット形態を変えるごとに、ロータリー式自動包装機の運転を停止する必要があり、稼働率の低下や、交換作業や調整作業等の手間が増える。
【特許文献1】特開2001−199402号公報
【特許文献2】特開2001−122208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来のロータリー式自動包装機のカッター装置では、カット形態ごとにカッター刃を取り替える必要があるため、包装袋間のサイドシールに異なったカット形態の切れ込みを簡便に入れることができないという問題点があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、包装袋間のサイドシールに切れ込みを簡便に形成することができるロータリー式自動包装機のカッター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るロータリー式自動包装機のカッター装置は、水平方向に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して、幅方向に熱シールして複数のサイドシールを形成するサイドシール装置と、当該サイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入するために挿入された充填シュートと、複数配置されたサイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、サイドシール装置及び充填シュートにより出来上がった多数の充填済み包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールして封止するトップシール装置と、サイドシールの中央部分をカットして個別包装袋にするカッター装置とを備えたロータリー式自動包装機のカッター装置であって、前記カッター装置は、ミシン目カットを施す手段と直線カットを施す手段とを備え、個別包装袋を切り離さない場合には、ミシン目カットを施す手段を選択して行使し、個別包装袋を切り離す場合には、直線カットを施す手段を選択して行使するものである。
【0008】
このような構成において、カット形態を変えるごとに、カッター刃の交換作業や調整作業等の手間も省くことができるので、包装袋間のサイドシールに切れ込みを簡便に形成することができる。また、カッター刃の交換作業や調整作業を行うためにロータリー式自動包装機の運転を停止する必要がないので、稼働率が低下するのを防止することができる。
【0009】
さらに、前記カッター装置は、前記カッター装置は、サイドシールの中央部分を挟み込んで所定の切れ込みを形成するカッター受刃及びカッター上刃と、カッター受刃とカッター上刃を回転駆動させる受刃側回転駆動機構及び上刃側回転駆動機構と、前記カッター受刃の回転位相を変えるための位相調整機構とを備え、前記位相調整機構は、サイドシールの中央部分にミシン目カットを施す場合には、カッター受刃のミシン目切れ込み領域とカッター上刃とが当接するように調整し、サイドシールの中央部分に直線カットを施す場合には、カッター受刃の直線切れ込み領域とカッター上刃とが当接するように調整する。
【0010】
好適には、前記カッター受刃は、回転駆動する方向に並設され、サイドシールの幅方向に延在したミシン目切れ込み領域と直線カット領域を備える。さらにまた、前記位相調整機構は、受刃側回転駆動機構に連結され、カッター受刃の回転位相を調整するための遊星ギアを備える。
【0011】
前記カッター装置は、サイドシールの中央部分を挟み込んで所定の切れ込みを形成するカッター受刃及びカッター上刃と、カッター受刃及びカッター上刃を回転駆動させるための受刃側駆動モータ及び上刃側駆動モータと、前記受刃側駆動モータと前記上刃側駆動モータの回転駆動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、サイドシールの中央部分にミシン目カットを施す場合には、カッター受刃のミシン目切れ込み領域とカッター上刃とが当接するように受刃側駆動モータの回転駆動を制御し、サイドシールの中央部分に直線カットを施す場合には、カッター受刃の直線切れ込み領域とカッター上刃とが当接するように受刃側駆動モータの回転駆動を制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、包装袋間のサイドシールに切れ込みを簡便に形成することができるロータリー式自動包装機のカッター装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照して説明する。
本実施形態においては、本発明に係るロータリー式自動包装機におけるカッター装置の好適な例として、二個連なった個別包装袋で切り離すととともに、この二個連なった個別包装袋の間にミシン目切れ込みを入れるカッター装置について説明する。
【0014】
まず、図1及び図2を用いて、本発明に係るロータリー式自動包装機の全体構成について説明する。図1は、本発明に係るロータリー式自動包装機を示す側面模式図である。図2は、本発明に係るロータリー式自動包装機1の要部を示す上面模式図である。
図1において、符号1によって、本発明に係るロータリー式自動包装機(以下、自動包装機と略す)が全体的に示されている。また、図1に示すように、自動包装機1は、巻き戻しリール2、フィルムガイド3、ターンテーブル4、サイドシール装置5、内容物充填装置6、充填シュート7、ガイドローラ8、トップシール装置9、カッター装置10を備えている。
【0015】
図1に示すように、包装フィルム111は、コイル巻き戻しリール2によりバックテンションを掛けられながら、フィルムコイル110から引き出される。引き出された包装フィルム111は、図中上方向に連続的に流れ、フィルムガイド3によって中央部で略U字状に二つに折り曲げられる。この折り曲げられた包装フィルム111は、図2に示すように、ターンテーブル4にその接線方向から導入される。
【0016】
ターンテーブル4上には、サイドシール114を形成するサイドシール装置5のシーリングバーが一定距離だけ離れて配置されている。ターンテーブル4上のサイドシール装置5は、包装フィルム111の幅方向に熱シールを施して局部的にヒートシールフィルムを溶融する。これにより、二つ折りの包装フィルム111の溶融したヒートシールフィルム同士が圧着し、サイドシール114が形成される。このようにして、二つ折りの包装フィルム111には、サイドシール114により挟まれた複数の包装袋112が形成される。
【0017】
内容物充填装置6は、開閉板が充填シュート7上に位置するように、図示しない回転容器を水平回転させる。内容物充填装置6は、この回転容器が所定の場所に配置されると、回転容器の底部下側の開閉板(図示せず)を回転させる。これによって、回転容器内の枡(図示せず)の下端面が開放され、枡内の所定量の内容物が充填シュート7に落下する。充填シュート7が包装袋112上に配置されているので、内容物は、充填シュート7を通って包装袋112に充填される。
【0018】
内容物が充填された包装袋112は、図2に示すように、ターンテーブル4の回転動作により図中反時計回りに回転する。包装袋112は、ガイドローラ8によって移送方向を変更されてトップシール装置9へと直線移送される。トップシール装置9が予熱シールバー90により包装フィルム111の上縁を加熱すると、包装フィルム111上縁のヒートシールフィルムが溶融する。この状態で一対のトップシーラ91がその縁部を加圧することにより、二つ折りの包装フィルム111のヒートシールフィルム同士が圧着する。これにより、トップシール115が形成され、包装袋112が密封される。
【0019】
その後、包装袋112は、一対のトップシーラ91の押し出しによってカッター装置10へと送られる。カッター装置10は、包装フィルム111のサイドシール114を挟み込み、当て切りによってサイドシール114を切断し、包装袋112を二連ごとに切り離す。それとともに、カッター装置10は、この包装袋112同士の間にあるサイドシール114にミシン目を入れる。これにより、複数の二個連なった包装袋112は、内容物を包装したミシン目で繋がった二個連なった個別包装袋113に分包される。
【0020】
続いて、本発明に係る自動包装機1におけるカッター装置10について詳細に説明する。
まず、図3を用いて、カッター装置10の全体構成について説明する。図3は、このカッター装置10の一構成例を示す側面模式図である。この図3は、包装フィルム111が移送される側方から観察した図である。
図3に示すように、カッター装置10は、カッター上刃21、カッター受刃22、上刃側回転駆動機構23、受刃側回転駆動機構24、位相調整機構25、制御装置26を備えている。
【0021】
上刃側回転駆動機構23は、カッター上刃21を回転駆動するための駆動機構であり、カッター駆動モータ230、上刃側駆動軸231、上刃側動力伝達軸232を有する。
カッター上刃21は、上刃側駆動軸231に取付けられている。上刃側駆動軸231は、上下の支持台142,143に回動可能に支持されている。これら上下の支持台142,143は、フレーム141に略水平に突設され、上刃側駆動軸231は、この状態で上下に配設されている。
また、図示しないが、上刃側駆動軸231は、ベアリングを介して支持台142,143に回動可能に取付けられている。これらのベアリングは、上下の位置調整機構144,145に連結され、上刃側駆動軸231の水平方向の位置調整が行われる。
【0022】
上刃側動力伝達軸232のすぐばかさ歯車234は、上刃側駆動軸231下端のすぐばかさ歯車233とが噛み合っている。上刃側動力伝達軸232は、フレーム141に回動可能に貫装され、カッター駆動モータ230に接続されている。上刃側動力伝達軸232は、このカッター駆動モータ230からの動力によって回転し、上刃側駆動軸231を回転させる。
【0023】
受刃側回転駆動機構24は、カッター受刃22を回転駆動するための駆動機構であり、受刃側駆動軸241、受刃側動力伝達軸242、カッター駆動モータ230を有する。
カッター受刃22は、上刃側駆動軸231と同様に、支持台142,143に上下に支持された受刃側駆動軸241に取付けられている。この受刃側駆動軸241のすぐばかさ歯車243は、受刃側動力伝達軸242のすぐばかさ歯車244と噛み合い、受刃側動力伝達軸242は、カッター駆動モータ230からの動力を受刃側駆動軸241に伝える。
【0024】
図4の模式図に、カッター受刃22のカッター上刃21との当接面の一例が示されている。図4に示すように、カッター受刃22には、略平坦な切断領域311と、窪み部分313と平坦部分314が上下に配列されたミシン目領域312とが形成されている。これら切断領域311、ミシン目領域312は、サイドシール114に所定の形状の切れ込みを形成するための切れ込み領域の一例である。具体的には、これら切断領域311、ミシン目領域312は、略線状に連続した切れ込み、ミシン目状に断続した切れ込みを形成する領域である。なお、本明細書におけるミシン目とは、直線状に連続的に切断する切れ込み以外の切れ込み形態を示す。
【0025】
位相調整機構25は、遊星ギア250、位相調整モータ251を有する。
受刃側駆動軸241は、位相調整機構25の遊星ギア250を介して、カッター駆動モータ230に接続されている。位相調整機構25の遊星ギア250は、カッター駆動モータ230とともに、位相調整モータ251に接続されている。
制御装置26は、位相調整モータ251、カッター駆動モータ230に接続され、カッター受刃22の回転位相の調整とともに、駆動軸231,241の駆動制御を行う。制御装置26は、例えば、CPU、ROM、RAM、カッター駆動モータ230を制御するためのコントローラ、位相調整モータ251を制御するためのコントローラ等から構成することができる。
【0026】
さらに続いて、図5を用いて、カッター装置10の位相調整機構25について詳細に説明する。図5は、この位相調整機構25の遊星ギア250の一構成例を示す側面模式図である。
図5に示すように、位相調整機構25の遊星ギア250は、平歯車331,332,333、固定部材334、軸部材335,336、すぐばかさ歯車337,338,339,340を有する。
【0027】
平歯車331、すぐばかさ歯車337は、受刃側動力伝達軸242を軸として回動可能に取付けられている。平歯車331とすぐばかさ歯車337とは、固定されている。平歯車332とすぐばかさ歯車338とは、固定された状態で、受刃側動力伝達軸242を軸として回動可能に取付けられている。平歯車331,332は、離間した状態で配設され、すぐばかさ歯車337,338は、離間した状態で配設されている。
【0028】
固定部材334は、受刃側動力伝達軸242に固定されている。軸部材335,336は、すぐばかさ歯車337,338の間に配設されている。これら軸部材335,336は、固定部材334に固定され、受刃側動力伝達軸242とともに回動することができる。軸部材335,336は、受刃側動力伝達軸242に対して略直角に配設されている。すぐばかさ歯車339,340はそれぞれ、軸部材335,336を軸として回動可能に取付けられている。すぐばかさ歯車339,340は、すぐばかさ歯車337,338と噛み合っている。すぐばかさ歯車339,340が軸部材335,336を軸に回動すると、すぐばかさ歯車337,338は、受刃側動力伝達軸242を軸に回動することができる。
【0029】
平歯車333は、位相調整機構25の位相調整モータ251に連結されている。それとともに、平歯車333は、平歯車331に噛み合っている。これによって、位相調整モータ251の動力は、平歯車331,333を介して、すぐばかさ歯車337,338に伝えられる。また、平歯車332は、図示しないカッター駆動モータ230に連結され、カッターを駆動するための動力が伝えられる。
【0030】
このような位相調整機構25は、次のように位相調整を行う。
位相調整モータ251が停止して平歯車331の停止状態を維持しているとする。カッター駆動モータ230が平歯車332に動力を与えると、すぐばかさ歯車338に動力が加えられる。すぐばかさ歯車338は、この動力をすぐばかさ歯車339,340に伝え、これらすぐばかさ歯車339,340を回転させる。このとき、平歯車331が停止しているので、すぐばかさ歯車337が停止している。そのため、すぐばかさ歯車339,340は、軸部材335,336を軸として回転しながら、軸部材335,336とともに受刃側動力伝達軸242を軸として回転する。これによって、受刃側動力伝達軸242は、受刃側駆動軸241を回転させる。
【0031】
上記のように受刃側駆動軸241、受刃側動力伝達軸242が回転動作を行っている最中に、位相調整モータ251が停止していた平歯車331を回転させる。すると、すぐばかさ歯車337が受刃側動力伝達軸242を軸に回転し、すぐばかさ歯車339,340は、これに応じて軸部材335,336を軸として回転する。これによって、受刃側駆動軸241の回転動作が変化し、受刃側駆動軸241の回転位相が変化する。
具体的には、受刃側駆動軸241が平歯車332の逆方向に回転する場合には、受刃側駆動軸241の速度は遅くなり、受刃側駆動軸241の回転位相が遅れる。受刃側駆動軸241が平歯車332の順方向に回転する場合には、受刃側駆動軸241の速度は速くなり、受刃側駆動軸241の回転位相が進む。
【0032】
次に、本発明に係るカッター装置10による動作について説明する。
本発明に係るカッター装置10は、サイドシール114を当て切りによって切断する切断動作と、当て切りによってサイドシール114にミシン目切れ込みを入れるミシン目切れ込み動作(ミシン目動作)とを自動で行う。詳細には、カッター装置10は、サイドシール114を切断するかサイドシール114にミシン目を形成するかに応じて、カッター受刃22の回転位相を調整し、サイドシール114に当接するカッター受刃22の切断領域311とミシン目領域312とを切替える。
【0033】
図6を用いて、カッター装置10による当て切り動作について説明する。図6は、当て切り動作時におけるカッター上刃21、カッター受刃22の状態を示す断面模式図である。ここで、図4を適宜参照しながら説明する。
カッター駆動モータ230に接続された動力伝達軸232,242は同期しながら回転し、それぞれに連結された駆動軸231,241が同期しながら回転する。これによって、駆動軸231,241それぞれに取付けられた、カッター上刃21、カッター受刃22が同期しながら回転する。図6(a)に示すように、この回転によって、カッター上刃21の刃先211〜214それぞれは、カッター受刃22の刃先221〜224に順に当接し、当て切りが行われる。
【0034】
図6(b)に示すように、カッター受刃22の刃先221の略平坦な切断領域311は、カッター上刃21の刃先211との間でサイドシール114を挟み込むとする。これによって、カッター上刃21の刃先211は、カッター受刃22の刃先221の切断領域311との間で当て切りを行い、サイドシール114を略線状に切断する。
【0035】
サイドシール114の切断後、包装袋112が送られ、駆動軸231,241は、図6(a)の矢印方向(それぞれ左回り、右回り)に回転動作する。このとき、位相調整機構25は、この刃先211,221が当接した状態から刃先212,222が当接する状態までの間に、受刃側駆動軸241の回転動作を遅らせる。位相調整機構25は、カッター受刃22の刃先222のミシン目領域312がカッター上刃21の刃先212に当接するように受刃側駆動軸241の回転位相を遅らせる。例えば、カッター受刃22を回転する方向とは反対方向に約2°回転させる。
【0036】
受刃側駆動軸241の回転位相が遅れることによって、カッター受刃22の当接部分が切断領域311からミシン目領域312に切替えられる。カッター受刃22の刃先222のミシン目領域312は、カッター上刃21の刃先212との間でサイドシール114を挟み込む。このとき、図6(c)に示すように、カッター上刃21の刃先212は、カッター受刃22の刃先222の平坦部分には当接するが、これら以外の窪み部分には当接しない。これによって、平坦部分のサイドシール114は当て切りされ、サイドシール114にミシン目切れ込みが形成される。
【0037】
サイドシール114にミシン目が形成された後、駆動軸231,241は、図6(a)の矢印方向に回転動作する。位相調整機構25は、この間に受刃側駆動軸241の回転動作を速め、受刃側駆動軸241の回転位相を進める。例えば、カッター受刃22を回転する方向に約2°回転させる。これによって、サイドシール114が切断される。このような切断動作、ミシン目動作が継続して行われ、複数の包装袋112が二個連らなった個別包装袋113に切断される。
【0038】
以上のように、本発明に係る自動包装機1においては、受刃側駆動軸241の回転位相を適宜ずらすことによって、カッター受刃22がカッター上刃21と当接する部分を変えることができる。そのため、カッター上刃21がカッター受刃22の切断領域311に当接するのとミシン目領域312に当接するのとを自動で切替えることができる。これによって、カッター上刃21、カッター受刃22の交換作業やカッター上刃21、カッター受刃22の当たり具合の調整作業を行うことなく、出来上がった包装袋112のサイドシール114に対するカット形態を変えることができる。従って、包装袋112の間にミシン目等の種々の切れ込みを簡便に形成することができる。
【0039】
なお、本実施形態においては、包装袋112の間にミシン目切れ込みが入れる場合について説明したが、本発明は、ミシン目切れ込みに限らず、種々の形態の切れ込みに適用することができる。さらに、本発明は、二つ連なった個別包装袋113に限らず、三つ連なった個別包装袋等の複数連なった個別包装袋に適用することができる。この場合には、複数連なった個別包装袋ごとに切断するサイドシール部分の間に配置されたサイドシールに切断以外の切れ込みが形成されるように、カッター上刃21の回転位相が制御される。
【0040】
さらに、本実施形態においては、駆動軸231,241を1つのカッター駆動モータ230によって駆動しているが、これら駆動軸231,241を別個に設けられた二個のモータによって独立に駆動することができる。この場合には、位相調整機構25を設ける必要はなく、受刃側駆動軸241を駆動するモータの回転位相を調整すればよい。
また、本実施形態においては、カッター受刃22の回転位相を調整したが、カッター受刃22に限らず、カッター上刃21の回転位相を調整することによって種々の切れ込みを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るロータリー式自動包装機の全体構成を示す正面模式図である。
【図2】本発明に係るロータリー式自動包装機の要部を示す平面模式図である。
【図3】本発明に係るロータリー式自動包装機におけるカッター装置の一構成例を示す側面模式図である。
【図4】本発明に係るロータリー式自動包装機におけるカッター装置のカッター受刃の一例を示す模式図である。
【図5】本発明に係るロータリー式自動包装機におけるカッター装置の遊星ギアの一例を示す側面模式図である。
【図6】本発明に係るロータリー式自動包装機におけるカッター装置の当て切り動作時におけるカッター上刃、カッター受刃の状態の一例を示す断面模式図である。
【図7】従来のロータリー式自動包装機におけるカッター装置の一構成例を示す側面模式図である。
【符号の説明】
【0042】
1…ロータリー式自動包装機(自動包装機)、2…巻き戻しリール、3…フィルムガイド、
4…ターンテーブル、5…サイドシール装置、6…内容物充填装置、7…充填シュート、
8…ガイドローラ、9…トップシール装置、10…カッター装置
21…カッター上刃、22…カッター受刃、23…上刃側回転駆動機構、
24…受刃側回転駆動機構、25…位相調整機構、26…制御装置
110…フィルムコイル、111…包装フィルム、112…包装袋、
113…二個連なった個別包装袋、114…サイドシール、115…トップシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して、幅方向に熱シールして複数のサイドシールを形成するサイドシール装置と、
当該サイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入するために挿入された充填シュートと、
複数配置されたサイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、
サイドシール装置及び充填シュートにより出来上がった多数の充填済み包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールして封止するトップシール装置と、
サイドシールの中央部分をカットして個別包装袋にするカッター装置とを備えたロータリー式自動包装機のカッター装置であって、
前記カッター装置は、ミシン目カットを施す手段と直線カットを施す手段とを備え、個別包装袋を切り離さない場合には、ミシン目カットを施す手段を選択して行使し、個別包装袋を切り離す場合には、直線カットを施す手段を選択して行使するロータリー式自動包装機のカッター装置。
【請求項2】
前記カッター装置は、サイドシールの中央部分を挟み込んで所定の切れ込みを形成するカッター受刃及びカッター上刃と、
カッター受刃とカッター上刃を回転駆動させる受刃側回転駆動機構及び上刃側回転駆動機構と、
前記カッター受刃の回転位相を変えるための位相調整機構とを備え、
前記位相調整機構は、サイドシールの中央部分にミシン目カットを施す場合には、カッター受刃のミシン目切れ込み領域とカッター上刃とが当接するように調整し、
サイドシールの中央部分に直線カットを施す場合には、カッター受刃の直線切れ込み領域とカッター上刃とが当接するように調整することを特徴とする請求項1記載のロータリー式自動包装機のカッター装置。
【請求項3】
前記カッター受刃は、回転駆動する方向に並設され、サイドシールの幅方向に延在したミシン目切れ込み領域と直線カット領域を備えることを特徴とする請求項2記載のロータリー式自動包装機のカッター装置。
【請求項4】
前記位相調整機構は、受刃側回転駆動機構に連結され、カッター受刃の回転位相を調整するための遊星ギアを備えることを特徴とする請求項2記載のロータリー式自動包装機のカッター装置。
【請求項5】
前記カッター装置は、サイドシールの中央部分を挟み込んで所定の切れ込みを形成するカッター受刃及びカッター上刃と、
カッター受刃及びカッター上刃を回転駆動させるための受刃側駆動モータ及び上刃側駆動モータと、
前記受刃側駆動モータと前記上刃側駆動モータの回転駆動を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、サイドシールの中央部分にミシン目カットを施す場合には、カッター受刃のミシン目切れ込み領域とカッター上刃とが当接するように受刃側駆動モータの回転駆動を制御し、
サイドシールの中央部分に直線カットを施す場合には、カッター受刃の直線切れ込み領域とカッター上刃とが当接するように受刃側駆動モータの回転駆動を制御することを特徴とする請求項1記載のロータリー式自動包装機のカッター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−240680(P2006−240680A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59526(P2005−59526)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】