説明

ロードロック装置とその方法及び半導体製造装置

【課題】内部容積を小さくでき、真空排気と同時にウェーハのノッチアライメントが可能で、その時間を短縮できるロードロック装置とその方法及び半導体製造装置を提供する。
【解決手段】真空状態が形成可能なチャンバ301と、チャンバ301に設けられウェーハ305の出し入れを行うと共に大気状態と真空状態との双方において各開閉可能なゲートバルブ315と、ウェーハを回転可能に搭載する搭載手段306と、チャンバ内を真空状態にする真空排気手段310と、チャンバ内を大気状態に戻すためのパージ手段308と、搭載手段306搭載されたウェーハ305の中心位置と向きを検出する検出手段320と、搭載手段306を回転させる回転駆動部304と、検出手段320によって検出された出力に基づいて前記向きを所定の向きに配置されるように回転駆動部304を回転させる制御手段319とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハの観察や処理を行う際、半導体ウェーハを大気領域と真空領域の間において受け渡しする新規なロードロック装置とその方法及び半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSIなどの半導体基板(ウェーハ)を製造する半導体製造装置は、ウェーハに各処理を施すために多数の処理装置を使用する必要がある。各処理装置ではそれぞれの装置にウェーハを順次搬送し、装置内で処理が行われる。
【0003】
図5はウェーハ処理装置にウェーハを順次搬送し、ウェーハを処理する半導体製造装置の全体を示す平面図である。図5に示すように、ウェーハ107に各処理を行うためのウェーハ処理装置101には、真空領域と大気領域を繰り返すロードロック装置102が1つ又は2つ以上設けられる。ロードロック装置102には搬送ロボット105によってウェーハ107が搬送されるが、この搬送ロボット105は前後左右上下方向に移動が可能なアーム106を有しており、アーム106の先端部でウェーハ107を保持できる構造となっている。また、搬送ロボット105はウェーハ107をウェーハカセット104より取り出し、搬送ロボット105の動作範囲の中にあるウェーハアライメント装置103へ搬送される。
【0004】
ウェーハアライメント装置103は、ウェーハ搭載手段111に載置されたウェーハ107の向きを大気中にて調整するものであり、ウェーハ107に設けられたVノッチ又はオリフラを光学式や機械式の検出器110によって回転駆動部112によって回転しながら検出し、ウェーハ107の位置が設定される。この半導体製造装置においては、ウェーハ107は所定の角度で各処理装置へ搬送されなければならない。もし、違った角度でウェーハ107が搬送されると、誤った位置に処理がされてしまうことになる。
(1)図5に示すように、大気中にてノッチアライメントを行うには、先ず、カセット104から搬送ロボット105によってウェーハ107を取り出し、ウェーハアライメント装置103へ搬送を行う。ウェーハアライメント装置103ではノッチアライメントを行い、その完了後、搬送ロボット105が常時真空であるウェーハ処理装置101へ入れるために、真空領域と大気領域を繰り返すロードロック装置102へ搬送を行う。ロードロック装置102ではウェーハ107をウェーハ搭載手段111に搭載後、ロードロック装置102に設置されているゲートバルブ113を閉じ、所定の圧力まで真空引きを行い、その後、ウェーハ処理装置101側のゲートバルブ114を開き、ウェーハ処理装置101へウェーハ107の搬送が行なわれる。
(2)特許文献1には真空内にてノッチアライメントを行う真空ノッチアライメント装置が示されている。特許文献1に示すように、真空排気系とノッチアライメントを行うためのノッチを検出する光学系とを有する。また、ウェーハを搬送ロボットより受け取るためのウェーハ搭載手段を有し、ウェーハ搭載手段はノッチアライメントを行うためにウェーハを回転させる回転駆動部に接続されている。真空排気系により、大気状態の内部を真空状態へ移行させることが出来る。
【0005】
以上の構成により、ウェーハをロードロック室の内部にあるウェーハ搭載手段へ受け取った後、真空排気系で真空排気を行い、所定圧力に達した後、真空排気系を停止し、回転駆動部とノッチアライメントにおけるノッチ検出用の光学系とを用いてノッチアライメントを行い、次いで常時真空であるウェーハ処理装置へ真空ロボット等を用いて搬送が行なわれる。
(3)特許文献2には、成膜後のウェーハのオリフラ位置決めする観察・アライメントのための光学照射系を真空チャンバの外部に設置し、対物系を真空チャンバ内に設置した真空中処理基板検査装置が示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−35904号公報
【特許文献2】特開平8−264606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述(1)での大気中でウェーハをノッチアライメントする場合、搬送ロボットとそのウェーハを持つためのハンドリング装置は、ノッチアライメント装置とロードロック装置とに対して、大気中にてウェーハを搬送するため高い位置精度が求められるが、その位置精度には限界がある。
【0008】
又、ロードロック装置内にて真空引きされた後、常時真空になっているウェーハ処理装置内へ真空ロボット等にて搬送する際にも大気中の搬送ロボットと同様に高精度な位置決めが必要になるため、複雑な搬送ロボット等が2台以上必要となり、装置の操作が煩雑となる。
【0009】
更に、大気中での搬送が正確でないと、ウェーハ処理装置ではウェーハがズレた位置に処理を行うか、又、ズレを直すためにウェーハ処理装置からロードロック装置へ戻し、ロードロック装置内を大気へ戻し、搬送ロボットによって再度ノッチアライメント装置へ搬送する処理を繰り返すことになってしまう。大気中でのノッチアライメント装置にてアライメント完了後の搬送のズレを無くすためには搬送ロボットの移動するスピードとウェーハを持つハンドリング装置の力の関係を考慮した設定及び移動中の振動に対する考慮も必要があり、そのため、搬送ロボットでの搬送時間が長くなる。
【0010】
前述(2)の真空ノッチアライメント装置は、搬送ロボットによってカセットからウェーハを搬送する際に大気中にてノッチアライメント装置を通さずにロードロック装置へウェーハを搬送することが出来るが、ロードロック装置内にて真空引きを行った後にノッチアライメントを行うため、ノッチアライメント時間の短縮にあまりなっていない。
【0011】
また、真空排気に際しノッチアライメントを行うための光学系(CCDカメラやセンサ等)から必ずガスが多く放出され、その放出ガスのために真空排気時間が長くなる。このCCDカメラやセンサ等には多数の高分子材料が使用されているため、コンタミネーションが増加し、ウェーハや装置の汚染に繋がると共に、これらの光学系は大きく、装置の内部容積が大きくなり、真空排気時間が長くなる。そのため、ウェーハを装置へ搬送し処理する時間であるスループットが遅くなる。
(3)においては、大気状態と真空状態の双方において基板を受け渡しするロードロック装置は示されていない。
【0012】
本発明の目的は、内部容積を小さくでき、真空排気と同時にウェーハのノッチアライメントが可能で、その時間を短縮できるロードロック装置とその方法及び半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、大気状態と真空状態との双方においてウェーハを受け渡すためのウェーハが搭載されるロードロック装置にあり、真空状態にすることが可能な密封されたチャンバと、チャンバに設けられた大気状態と真空状態との双方にウェーハの出し入れを行う開閉可能なゲートバルブを持ち、ゲートバルブが開いた状態ではウェーハの受け渡しを行うことが可能であり、閉じた状態ではチャンバが密封された状態になり、ウェーハを搭載するウェーハ搭載手段と、チャンバ内を真空状態にする真空排気手段と、チャンバ内を大気状態に戻すためのパージ手段と、搭載されたウェーハの中心位置の検出及びノッチ位置の検出と所定の位置に配置されるように調整するノッチアライメント手段とを有することを特徴とする。
【0014】
具体的には、本発明は、大気状態と真空状態との双方において基板を受け渡しするロードロック装置において、真空状態が形成可能なチャンバと、該チャンバに設けられ前記基板の出し入れを行うと共に大気状態と真空状態との双方において各開閉可能なゲートバルブと、前記基板を回転可能に搭載する搭載手段と、前記チャンバ内を真空状態にする真空排気手段と、前記チャンバ内を大気状態に戻すためのパージ手段と、前記搭載手段に搭載された前記基板の中心位置と向きを検出する検出手段と、前記搭載手段を回転させる回転駆動部と、前記検出手段によって検出された出力に基づいて前記向きを所定の向きに配置されるように前記回転駆動部を回転させる制御手段とを備え、前記検出手段は前記チャンバの外側に設置され前記チャンバに設けられた光学的に透明な部材を介して前記検出が行なわれることを特徴とするロードロック装置にある。
【0015】
本発明は、具体的には、基板として特にIC、LSIなどの半導体基板(ウェーハ)を対象とするものであり、その基板としてのウェーハを搭載するウェーハ搭載手段はノッチアラメントのための回転台を兼ねており、回転駆動手段とウェーハが搭載されたことを確認するためのセンサ、回転中(真空引き中)にウェーハがズレていないかを確認するためのセンサ、ウェーハの位置合せに使用する切り欠きを検出するためのノッチ検出用センサはチャンバの外側に配置されており、ノッチ検出用センサはウェーハの中心位置検出を兼ねている。本発明においては、ウェーハの切り欠きの他、オリフラを検出してその向きを設定するものである。
【0016】
本発明の装置は中心位置へウェーハを移動する手段を持たないが、ウェーハを搭載し搬送する搬送ロボットや、アライメント後のウェーハをウェーハ処理装置へ搬送する真空ロボットは、ウェーハの中心位置情報の提供を受け、その中心位置を合わせた状態のウェーハをロードロック装置やウェーハ処理装置へ搬送することが可能となっている。
【0017】
又、本発明のロードロック装置は、チャンバ内部にはウェーハ搭載手段以外は配置しないため、チャンバ内部はウェーハの受け渡しに必要な最小の容積で製作することができるため、真空排気時間を最短にすること、又、チャンバ内を真空排気しながらウェーハの中心位置と向きを検出することが可能である。
【0018】
前記検出手段は、光源と、該光源からの光を計測するセンサとを有し、前記光源及びセンサが前記チャンバの外側に配置され、前記部材を通して前記向きを検出する。前記光は、その光軸を前記光学的に透明な部材の面に対して法線方向から3次元の任意の角度にずらして照射させる。
【0019】
前記光源とセンサとは前記チャンバの外側に前記部材を介して対向して配置され、前記切り欠きを透過した前記光を前記センサにて検出し、又、前記光源とセンサとは前記チャンバに対して同一面に配置され、前記切り欠きにて反射した前記光を反射光として前記センサにて検出する。
【0020】
前記真空排気手段は前記チャンバの下部に接続され、前記パージ手段は前記チャンバの上部に接続される。前記真空排気手段は、ドライポンプと、ターボ分子ポンプとを有し、前記ターボ分子ポンプによる排気を前記ドライポンプを通して排気する。
【0021】
又、本発明は、大気状態と真空状態との双方において基板を受け渡しするロードロック方法において、前記基板を前記大気状態のチャンバ内の回転可能な搭載手段に搭載し、前記基板を前記搭載手段に搭載した状態で前記大気状態のチャンバ内を真空状態に減圧する最中に前記基板の中心位置とその向きを検出し、該検出の出力に基づいて前記基板を回転させて前記向きを所定の位置に設定することを特徴とする。
【0022】
真空排気の初期をオリフィスの小さいバルブにて行い、次いで所定の圧力に達した状態で前記オリフィスをそれより大きくして排気する。又、真空排気を、ドライポンプによって所定の圧力まで行い、次いで、ターボ分子ポンプとドライポンプとにより行い、ターボ分子ポンプによる排気をドライポンプを通して外部に排気する。
【0023】
本発明は、基板を処理する処理装置と、前記基板を大気領域と真空領域の間において搬送するロードロック装置と、前記基板を搬送する搬送ロボットとを有する半導体製造装置において、前記ロードロック装置が前述に記載のロードロック装置より成ることを特徴とする。
【0024】
前記ウェーハを搭載し搬送する前記搬送ロボットは、前記ウェーハの中心位置情報の提供を受け、前記ウェーハの中心を合わせた状態の前記ウェーハを前記ロードロック装置へ搬送することが可能である。
【0025】
前記ロードロック装置でのアライメント後の前記ウェーハを前記ウェーハ処理装置へ搬送する真空ロボットは、前記ウェーハの中心位置情報の提供を受け、前記ウェーハの中心を合わせた状態の前記ウェーハを前記ウェーハ処理装置へ搬送することが可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ロードロック装置としてその内部容積を小さくでき、真空排気と同時にウェーハのノッチアライメントが可能であるので、その処理時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明に係る半導体製造装置の全体構成図である。IC、LSIなどの半導体基板(ウェーハ)を製造する半導体製造装置は、ウェーハに露光、現像、検査などの各処理を施すために多数の処理装置を使用する必要がある。各処理装置ではそれぞれの装置にウェーハを順次搬送し、装置内で処理が行われる。
【0028】
図1に示すように、ウェーハ処理装置101にウェーハ305を順次搬送し、ウェーハ305の各種処理が行われる。ウェーハ305に各処理を行うためのウェーハ処理装置101には、真空領域と大気領域を繰り返す本発明に係るロードロック装置200、201が1つ又は2つ以上設けられる。ロードロック装置200、201には搬送ロボット105によってウェーハ305が搬送されるが、この搬送ロボット105は前後左右上下方向に移動が可能なアーム106を有しており、アーム106の先端部でウェーハ305を保持できる構造となっている。また、搬送ロボット105はウェーハ305をウェーハカセット104より取り出し、搬送ロボット105の動作範囲の中にあるロードロック装置200、201へ搬送される。
【0029】
ウェーハカセット104は1つ又は2つ以上を有し、ウェーハ305を25枚収納することが出来、各処理装置へ運ぶ際や保管する場合に使用する。
【0030】
ロードロック装置200、201は、ウェーハ搭載手段306に載置されたウェーハ305の中心位置と向きを調整するものであり、ウェーハ305に設けられたVノッチ又はオリフラによってその向きを回転駆動部304によって回転しながら光学式や機械式の検出手段によって検出し、ウェーハ305の向きに設定される。
【0031】
本実施例では、2台のロードロック装置200、201を設置することにより、一方のロードロック装置200からウェーハ305がウェーハ処理装置101に搬送されて処理されている間に次のロードロック装置201ではウェーハ305のアライメントの処理が行われる。ウェーハ処理装置101で処理されたウェーハ305はロードロック装置200に戻され、大気状態にした後別の工程に移送されると同時にロードロック装置201で別のウェーハ305のアライメントの処理が完了し、ウェーハ処理装置101に搬送され、処理が行われる。従って、アライメントの処理の待ち時間無く順次処理することができる。
【0032】
図2は本発明に係るロードロック装置を示す平面断面図(a)及び側面断面図(b)である。図2に示すように、真空内にてノッチアライメントを行うロードロック装置は真空領域内にてノッチアライメントを行うことができ、図5中のノッチアライメント装置103とロードロック装置102が一体化した構造を有する。本発明のロードロック装置は大気領域と真空領域の双方においてウェーハ305を受け渡すためのゲートバルブ314、315をそれぞれ大気側真空側に持ち、ウェーハ305のノッチアライメントを行うための回転台を兼ねたウェーハ305を搭載するためのウェーハ搭載手段306を有する。また、真空排気するための排気系として大気からの排気を行うドライポンプ303と低い圧力領域での排気を行うターボ分子ポンプ310及び大気へ戻すためのパージライン308を持つ。真空チャンバ301内はノッチアライメントのための回転台を兼ねたウェーハ305を搭載するためのウェーハ搭載手段306のみを配置し、ノッチアライメントを行うための光源302と、光源302からの光を計測するセンサ、CCDカメラやセンサ等の光学系からなるノッチ検出用センサ320は真空チャンバ301の上下に光学的に透明な部材からなるセンサ用の窓309を介してそれぞれ配置し、センサ用の窓309越しにて検出を行うように配置されている。
【0033】
制御手段319はノッチ検出用センサ320からの出力に基づいて回転駆動部304を通してウェーハ搭載手段306を回転させ、ウェーハ305に設けられた切り欠き位置を所定の位置に設定することができる。
【0034】
ウェーハ305を回転させるためのウェーハ搭載手段306は真空チャンバ301と外部とを磁性流体シール307等にて回転駆動部304と真空チャンバ301内部を分離し、真空チャンバ301内にはウェーハ搭載手段306以外を配置しないことにより真空チャンバ301内部から発生するアウトガスを最小に抑えることができる。
【0035】
そして、ノッチ検出用センサ320を真空チャンバ301の外へ配置したため、真空チャンバ301の内部容積を最小にすることが可能となり、真空排気時間の短縮を図り、大気側からウェーハ305を受け取り、ゲートバルブが閉じた後、真空引き開始と同時にアライメントを行うことにより、所定圧力まで真空引きを行う間にアライメントを完了させることが可能となっている。アライメントは、ノッチ検出用センサ320によって検出された出力に基づいてウェーハ305の切り欠きを所定の向きに配置されるように制御手段319によって回転駆動部304を回転させる。
【0036】
ノッチ検出用センサ320はウェーハ305の中心位置検出を兼ねている。又、本発明のロードロック装置は中心位置へウェーハ305を移動する手段を持たないが、ウェーハ305を搭載し搬送する搬送ロボット105や、アライメント後のウェーハ305をウェーハ処理装置101へ搬送する真空ロボットは、ウェーハ305の中心位置情報の提供を受け、中心位置を合わせた状態のウェーハ305をウェーハ処理装置101へ搬送することが可能となっている。
【0037】
図3は、本発明のロードロック装置におけるウェーハを受け取ってからアライメントが完了するまでを示すフロー図である。図3のフローに示すように、図1に示すロードロック装置において大気側よりウェーハ305を真空チャンバ301内のウェーハ搭載手段306へ受け取り、大気側のゲートバルブ314が閉じる。その後、回転駆動部304が動作し、磁性流体シール307を介してウェーハ搭載手段306の上に載っているウェーハ305が回転する。このとき、ノッチ検出用センサ320が真空チャンバ301へ取り付いているセンサ用窓309を介してウェーハ305の状態を検出することにより、ノッチの位置を判別し所定の角度へ回転を行う。
【0038】
また、大気側のゲートバルブ314が閉じると、真空チャンバ301内は密閉状態となるため、真空排気系での真空排気が可能となる。真空排気系には大気からの排気を行うドライポンプ303と低い圧力領域での排気を行うターボ分子ポンプ310があり、ゲートバルブ314が閉じた後、ドライポンプ303側のバルブ312を開き、排気を開始する。この時、排気による衝撃によるウェーハ305のズレと真空チャンバ301の振動を回避するために、2段排気を行う。2段排気とは例えば、初めにオリフィスの小さなバルブ312で排気を行い、圧力が5000〜30000Pa程度になった時にバルブ312を閉じ、オリフィスの大きなバルブ321を介して排気を行う方式である。今回この切替は圧力で管理する場合を説明しているが、時間によって管理してもよい(例えば、排気開始から1秒後に切り替える)。
【0039】
以上のように、ドライポンプ303での真空排気を行い、ターボ分子ポンプ310へ切替可能な圧力になったところで、ドライポンプ303側のバルブ312、321を閉じ、ターボ分子ポンプ310側のバルブ311、バルブ313を開き、真空チャンバ301内部をウェーハ305を受け渡すための所定の圧力(例えば0.5Pa程度)まで真空排気を行う。このノッチアライメント動作と真空排気動作を同時に行うことにより、真空排気動作が完了するまでにノッチアライメント動作を完了させ、スループットの向上が可能となる。
【0040】
また、このアライメントと真空排気を同時に行うと、ノッチアライメントのためのノッチ検出用センサ320が真空チャンバ301に取り付いているセンサ用窓309越しに検出を行っているため、真空排気開始部分のデータに歪みが発生する場合があるので、真空排気開始の1秒以下のサンプリングデータは使用せずに、その後の検出データを使用する。
【0041】
ノッチ検出用センサ320はセンサ用窓309越しに検出を行うことと、真空引きしながら検出を行うため、ノッチ検出用センサ320の投光側と受光側を垂直に配置すると、乱反射や真空チャンバ301の変形のため、ノッチ検出が行えなくなる。そこで、ノッチ検出用センサ320はセンサ用窓309に対して法線方向から5〜15°程度ずらし、さらに、接線方向に対しても5〜15°程度角度をずらした状態で取付けと調整を行う。また、この調整は真空に引いた際のセンサ用窓309と真空チャンバ301の変形を考慮するため、真空チャンバ301を真空状態にしてから行う。真空排気系においては大気からの排気開始時の衝撃によってウェーハ305がズレることを防ぐため、各バルブの取付け位置はウェーハの中心から出来るだけ外れた位置に配置を行うようにする。しかし、ターボ分子ポンプ用のバルブ311、313は圧力が下がった状態で切り替えるため、それと同じにする必要は無い。以上のような動作によりノッチアライメントと真空排気が同時に行うことができる構成となっている。
【0042】
図4は、ウェーハ処理装置より回収したウェーハを本発明のロードロック装置に受け取り、大気側の装置へウェーハを受け渡すまでを示すフロー図である。図2に示すロードロック装置においてウェーハ処理装置101の真空側よりウェーハ305を真空チャンバ301内のウェーハ搭載手段306へ受け取り、真空側のゲートバルブ315が閉じる。その後、回転駆動部304が動作し、磁性流体シール307を介してウェーハ搭載手段306の上に載っているウェーハ305が回転し、ウェーハ305を回収するための方向へウェーハ305を回転させる。しかし、この動作はウェーハ305を回収する側のハンドリング装置の都合であったり、ウェーハ305がVノッチのウェーハ305ではなくオリフラの場合などにより発生する可能性がある動作であり、実際には必要としない場合もある。
【0043】
真空側のゲートバルブ315が閉じると、真空チャンバ301は密封状態となるが、大気側の装置へウェーハ305を渡すために、真空チャンバ301内を大気状態へ戻す必要がある。そこで、パージライン308のバルブ318を開いて動作させ、真空チャンバ301内を大気状態へ戻す動作を行う。このパージライン308は導入する気体のゴミを中に持ち込まないようにするためのフィルタ316を有し、導入された気体が直接ウェーハ305へ当たらないための遮蔽板317を持っている。この遮蔽板317を使用することにより、急激な圧力変化により、ウェーハ305が浮き上がり、ズレることを防ぐ構造となっている。以上のような動作により、ロードロック装置は大気状態になり、ゲートバルブ314を開き、ウェーハ305を回収することが可能となる。
【0044】
なお、図2のウェーハ搭載手段306はウェーハ305の中心部分を持つようになっているが、本方法ではウェーハ305の裏面異物の増加に繋がるため、外周部分だけを触るような構造に変更することも可能である。
【0045】
このようなロードロック装置を用いることにより、ノッチアライメント用のノッチ検出用センサ320をロードロック装置の外側に配置するため、コンタミネーションの発生を最小に抑えることが可能となる。また、ウェーハ305の受け渡しに必要な最小の大きさでロードロック装置を作ることが出来、真空排気とノッチアライメントを同時に行うことを可能とするため、搬送時間の短縮も可能となる。真空排気とアライメントを同時に行い、真空排気が完了するまでにアライメントを完了させるため、ウェーハ処理装置が処理を行っている間に次のウェーハを受け渡す準備が可能となるため、スループットの向上に繋がる。また、本装置においてロードロック装置へ搬送する搬送ロボットハンドにエッジグリップ方式使用することによりノッチアライメント装置では回転方向のみを補正するだけで、搬送が可能となるが、それ以外にも、真空ロボット側にウェーハの偏心している情報を渡し、真空ロボットが偏心を補正した受け取りを行うことも可能である。
【0046】
なお、本実施例では、対象となる基板をウェーハとしたが、マスクであっても同様な効果が得られる。
【0047】
以上のように、本発明のアライメント機能を持つロードロック装置は、半導体製造装置においてコスト及び設置スペースの増加をさせることなく、ウェーハを正確な位置決め状態でウェーハ処置装置へ供給することが可能であり、真空引き完了と同時に次の装置への受け渡しを行うことが出来るため、スループット向上に繋がる。また、真空チャンバ内に配置するものはウェーハ搭載手段のみとなるため、真空チャンバの内容積が最小に抑えられ、装置外形も小さくすることが出来る。
【0048】
本実施例では、真空チャンバ内部に高分子材料が用いないため、真空チャンバからのアウトガスや真空中でのコンタミネーションの発生を抑えることが出来る。又、光学系を真空チャンバ外の大気中に配置することにより標準的な機器を使用することが出来、価格を抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る半導体製造装置の正面図である。
【図2】本発明のロードロック装置を示す平面断面図(a)及び側面断面図(b)である。
【図3】本発明のロードロック装置の搬入動作を示すフロー図である。
【図4】本発明のロードロック装置の搬出動作を示すフロー図である。
【図5】従来の半導体製造装置の正面図である。
【符号の説明】
【0050】
101…ウェーハ処理装置、102、200、201…ロードロック装置、103…ウェーハアライメント装置、104…ウェーハカセット、105…搬送ロボット、106…アーム、302…光源、107、305…ウェーハ、111、306…ウェーハ搭載手段、112、304…回転駆動部、303…ドライポンプ、301…真空チャンバ、304…回転駆動部、307…磁性流体シール等、308…パージライン、309…センサ用窓、310…ターボ分子ポンプ、311、312、313、314、318、321…バルブ、113、114、314、315…ゲートバルブ、316…フィルタ、317…遮蔽板、319…制御手段、320…ノッチ検出用センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気状態と真空状態との双方において基板を受け渡しするロードロック装置において、真空状態が形成可能なチャンバと、該チャンバに設けられ前記ウェーハの出し入れを行うと共に前記大気状態と真空状態との双方において各開閉可能なゲートバルブと、前記基板を回転可能に搭載する搭載手段と、前記チャンバ内を真空状態にする真空排気手段と、前記チャンバ内を大気状態に戻すためのパージ手段と、前記搭載手段に搭載された前記基板の中心位置と向きを検出する検出手段と、前記搭載手段を回転させる回転駆動部と、前記検出手段によって検出された出力に基づいて前記向きを所定の向きに配置されるように前記回転駆動部を回転させる制御手段とを備え、前記検出手段は前記チャンバの外側に設置され前記チャンバに設けられた光学的に透明な部材を介して前記検出が行なわれることを特徴とするロードロック装置。
【請求項2】
請求項1において、前記向きは、前記基板の切り欠き位置又はオリフラの検出によって行うことを特徴とするロードロック装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記検出手段は、光源と、該光源からの光を計測するセンサとを有し、前記光源及びセンサが前記チャンバの外側に配置され、前記部材を通して前記検出することを特徴とするロードロック装置。
【請求項4】
請求項3において、前記光は、その光軸を前記光学的に透明な部材の面に対して法線方向から3次元の任意の角度にずらして照射されることを特徴とするロードロック装置。
【請求項5】
請求項3において、前記光源とセンサとは前記チャンバの外側に前記部材を介して対向して配置され、前記切り欠き又はオリフラを透過した前記光を前記センサにて検出することを特徴とするロードロック装置。
【請求項6】
請求項3において、前記光源とセンサとは、前記チャンバに対して同一面に配置され、前記切り欠き又はオリフラにて反射した前記光を反射光として前記センサにて検出することを特徴とするロードロック装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、前記搭載手段と前記回転駆動部とは磁性流体シールを介して前記チャンバに結合されていることを特徴とするロードロック装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、前記真空排気手段は前記チャンバの下部に接続され、前記パージ手段は前記チャンバの上部に接続されていることを特徴とするロードロック装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかにおいて、前記真空排気手段は、ドライポンプと、ターボ分子ポンプとを有し、前記ターボ分子ポンプによる排気を前記ドライポンプを通して外部に排気することを特徴とするロードロック装置。
【請求項10】
大気状態と真空状態との双方において基板を受け渡しするロードロック方法において、前記基板を前記大気状態のチャンバ内の回転可能な搭載手段に搭載し、前記基板を前記搭載手段に搭載した状態で前記大気状態のチャンバ内を真空状態に減圧しながら前記基板の中心位置とその向きを検出し、該検出の出力に基づいて前記基板を回転させて前記向きを所定の位置に設定することを特徴とするロードロック方法。
【請求項11】
請求項10において、前記向きを、前記基板の切り欠き位置又はオリフラによって検出することを特徴とするロードロック方法。
【請求項12】
請求項10又は11において、前記チャンバに設けられた光学的に透明な部材を通して前記チャンバの外側に設けられた光源からの光の照射によるその光を計測することにより前記検出することを特徴とするロードロック方法。
【請求項13】
請求項12において、前記光の光軸を前記部材の面に対して法線方向から3次元の任意の角度にして照射することを特徴とするロードロック方法。
【請求項14】
請求項12又は13において、前記光源と該光源からの光を検出するセンサとを前記チャンバに設けられた光学的に透明な部材を通して前記チャンバの外側に対向して配置させ、前記切り欠き又はオリフラを透過した前記光を検出することを特徴とするロードロック方法。
【請求項15】
請求項12又は13において、前記照射された光を前記基板からの反射光として前記検出することを特徴とするロードロック方法。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれかにおいて、前記真空排気を前記チャンバの下部より行い、前記チャンバの上部より前記大気状態に戻すパージを行うことを特徴とするロードロック方法。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれかにおいて、前記真空排気の初期をオリフィスの小さいバルブにて行い、次いで所定の圧力に達した状態で前記オリフィスをそれより大きくして排気することを特徴とするロードロック方法。
【請求項18】
請求項10〜17のいずれかにおいて、前記真空排気の初期を、ドライポンプにて行い、次いで、ターボ分子ポンプによる排気と該ターボ分子ポンプによる排気を前記ドライポンプを通して外部に排気することを特徴とするロードロック方法。
【請求項19】
基板を処理する処理装置と、前記基板を大気領域と真空領域の間において受け渡しするロードロック装置と、該ロードロック装置に前記基板を搬送する搬送ロボットとを有する半導体製造装置において、前記ロードロック装置が請求項1〜9のいずれかに記載のロードロック装置より成ることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項20】
請求項19において、前記搬送ロボットは、前記基板の中心位置情報の提供を受け、前記基板の中心位置を合わせた状態で前記ロードロック装置へ搬送することが可能であることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項21】
請求項19又は20において、前記ロードロック装置でのアライメント後の前記基板を前記処理装置へ搬送する真空ロボットは、前記基板の中心位置情報の提供を受け、前記基板の中心位置を合わせた状態で前記処理装置へ搬送することが可能であることを特徴とする半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−42929(P2007−42929A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226618(P2005−226618)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】