説明

ローラダイス装置と絶縁コイルの製造方法及び巻き線装置

【課題】圧延素材が圧延部を通過するに伴って、圧延用周溝どうしが圧延部において溝幅方向に相対変位し難いローラダイス装置を提供する。
【解決手段】圧延用周溝17,18を外周面19,20の夫々に形成してある一対の圧延ローラ21,22と、圧延ローラ21,22を互いに平行なローラ軸芯周りで回転可能に支持する支持部とが備えられ、圧延用周溝17,18どうしがローラ径方向で互いに対向している空間が、圧延素材が通過する圧延部28に構成され、圧延ローラ21,22どうしのローラ軸芯に沿う方向での相対変位を規制可能な規制部30が、当該圧延ローラ21,22の外周面19,20に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延用周溝を外周面の夫々に形成してある一対の圧延ローラと、前記一対の圧延ローラを互いに平行なローラ軸芯周りで回転可能に支持する支持部とが備えられ、前記圧延用周溝どうしがローラ径方向で互いに対向している空間が、圧延素材が通過する圧延部に構成されているローラダイス装置と絶縁コイルの製造方法及び巻き線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ローラダイス装置では、一対の圧延ローラの圧延用周溝どうしが溝幅方向に相対変位すると、圧延素材を精度良く圧延加工できない問題がある。
このため、従来のローラダイス装置では、ローラ軸芯に沿う方向でのローラ軸の位置を固定して、圧延用周溝どうしの溝幅方向での相対変位を防止してある (例えば、特許文献1参照。)。
このほか、横断面形状が丸い素線を横断面形状が矩形の所望の四角線に成形するのに、素線径方向で対向する二辺毎に個別のローラ対で圧延して、四角線を製造する技術がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−225713号公報
【特許文献2】特開2007−220490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧延素材が圧延部を通過するに伴う、圧延素材の圧延用周溝に対する接触により、圧延ローラの夫々においてローラ軸芯に沿う方向の分力成分を有する反力が圧延用周溝に作用すると、圧延ローラの外周面どうしをローラ軸芯に沿う方向に相対変位させようとするモーメントが発生し、圧延用周溝どうしが圧延部において溝幅方向に相対変位し易い欠点がある。
また、四角線の各辺の夫々をローラ対を用いて長方形の横断面形状に圧延するときは、長辺側を圧延するローラ対は短辺側に比べて厚さが厚い剛性のあるローラで構成できる。しかし、短辺側の幅が狭い四角線、例えば短辺側の幅が1mm以下の四角線を製造する場合、短辺側を圧延するローラ対は、短辺側の幅に合わせて成形面の幅が狭いローラで構成する必要がある。すると、短辺側を圧延するローラの剛性が不足して四角線の成形精度が低下することが考えられる。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、圧延素材が圧延部を通過するに伴って、圧延用周溝どうしが圧延部において溝幅方向に相対変位し難いローラダイス装置を提供することを目的とする。
また、圧延される四角線の成形精度を向上させることができるローラダイス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、圧延用周溝を外周面の夫々に形成してある一対の圧延ローラと、前記一対の圧延ローラを互いに平行なローラ軸芯周りで回転可能に支持する支持部とが備えられ、前記圧延用周溝どうしがローラ径方向で互いに対向している空間が、圧延素材が通過する圧延部に構成され、前記圧延ローラどうしの前記ローラ軸芯に沿う方向での相対変位を規制可能な規制部が、当該圧延ローラの外周面に設けられている点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
本構成のローラダイス装置は、圧延ローラどうしのローラ軸芯に沿う方向での相対変位を規制可能な規制部が、当該圧延ローラの外周面に設けられている。
よって、圧延素材が圧延部を通過するに伴って、圧延ローラの夫々においてローラ軸芯に沿う方向の分力成分を有する反力が圧延用周溝に作用しても、圧延用周溝どうしが圧延部において溝幅方向に相対変位し難い。
従って、圧延素材が、求める横断面形状となるよう、正確な圧延加工を行うことができる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記一対の圧延ローラが外周面どうしを互いに接触させて回転可能に支持されており、前記圧延用周溝の夫々の横断面形状は、前記圧延素材の通過方向視で矩形孔状に形成されるように、直角三角形状に形成されている点にある。
【0008】
〔作用及び効果〕
本構成であれば、圧延素材を、矩形の横断面形状に加工することができる。
例えば、本構成の装置で得た絶縁電線を用いてコイルを形成したときには、電線を絶縁部材に巻き回した際に、巻き回された電線どうしの間の空間を少なくすることができる、電線の横断面形状が矩形のいわゆる導体占積率の高いコイルを製造することができる。
尚、矩形とは、四つの角が直角の四辺形のことであり、正方形及び長方形を含む。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、一方の外周面を、ローラ軸芯に平行な円筒面と、その円筒面の一側縁に沿ってローラ径方向外方側に向けて傾斜する外向きテーパ面とを備えた形状に形成し、他方の外周面を、ローラ軸芯に平行な円筒面と、その円筒面の一側縁に沿ってローラ径方向内方側に向けて傾斜する内向きテーパ面とを備えた形状に形成して、
前記外向きテーパ面を前記内向きテーパ面に対してローラ軸芯に沿う方向から密接させて、前記相対変位を規制可能に構成されている点にある。
【0010】
〔作用及び効果〕
本構成であれば、圧延素材を、矩形の横断面形状に加工することができる。
このとき一対の圧延ローラを用いて、横断面形状が直角三角形の圧延用周溝で圧延素材を長方形の横断面形状に成形すると、長方形の横断面形状においては、圧延用周溝の夫々の横断面形状が不等辺の直角三角形状に形成されているので、例えば横断面形状が円形の圧延素材が圧延部を通過するに伴って、圧延用周溝の長辺側の溝側面に大きな反力が作用し易いこともある。
このため、圧延用周溝どうしが圧延部において溝底面の角部どうしが近接する方向に相対変位し易い。
また、圧延用周溝の各々の横断面形状が等辺の直角三角形に形成されていても、例えば成形条件や圧延ローラの組付精度によっては、一対の圧延ローラの溝幅方向に沿う相対位置が変位し易くなることが考えられ、圧延用周溝どうしが圧延部において溝底面の角部どうしが近接する方向に相対変位し易いこともある。
そこで、一方の外周面を、ローラ軸芯に平行な円筒面と、その円筒面の一側縁に沿ってローラ径方向外方側に向けて傾斜する外向きテーパ面とを備えた形状に形成し、他方の外周面を、ローラ軸芯に平行な円筒面と、その円筒面の一側縁に沿ってローラ径方向内方側に向けて傾斜する内向きテーパ面とを備えた形状に形成して、外向きテーパ面を内向きテーパ面に対してローラ軸芯に沿う方向から密接させて、相対変位を規制可能な規制部を設けてある。
よって、圧延用周溝どうしの圧延部における溝幅方向への相対変位を防止でき、圧延される圧延素材の矩形横断面形状を精度良く形成できる。
【0011】
本発明の第4特徴構成は、請求項2又は3記載のローラダイス装置を使用する絶縁コイルの製造方法であって、
絶縁コイル用素線を前記圧延部に供給する素線供給工程と、前記圧延部に供給された素線を横断面形状が矩形になるように圧延する圧延工程と、前記圧延工程において横断面形状が矩形になるように圧延された圧延線を絶縁コイルに巻き回す巻き回し工程とを備えている点にある。
【0012】
〔作用及び効果〕
本構成の製造方法であれば、圧延部が矩形孔状に形成されるように、横断面形状が直角三角形の圧延用周溝を有する圧延ローラを用いることで、圧延ローラどうしの接触面を、矩形に圧延された素線の横断面における対角線の延長部分に位置させることができる。
よって、圧延ローラどうしの接触面を、矩形に圧延された素線の角部に位置させて、圧延の力による素線の横断面形状の歪みを抑制できる。
【0013】
本発明の第5特徴構成は、請求項2又は3記載のローラダイス装置を備えた巻き線装置であって、
前記ローラダイス装置と、そのローラダイス装置で横断面形状が矩形になるように圧延された圧延線をボビンに巻き回す巻き回し装置と、前記ローラダイス装置から前記巻き回し装置に移動する圧延線のテンションを調整するテンション調整装置とを備えた点にある。
【0014】
〔作用及び効果〕
本構成の巻き線装置であれば、横断面形状が矩形になるように圧延された圧延線の精度が高く、絶縁コイルに巻き回したときの導体占積率が高いコイルを製造し易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、絶縁コイル用素線(圧延素材)としてのワイヤW1を略長方形の横断面形状のワイヤ(圧延線)W2に圧延成形した後、そのワイヤW2をボビン6に巻き付けて絶縁コイルを製造する巻き線装置Bを示し、本発明によるローラダイス装置Aを装備してある。
【0016】
巻き線装置Bは、ワイヤWの繰出方向における上流側から順に、横断面形状が円形のワイヤW1を繰り出すワイヤ繰出装置であるサーボテンション装置1と、ワイヤW1のテンションを検出するテンション計2と、横断面形状が円形のワイヤW1を略矩形、具体的には略長方形の横断面形状のワイヤ(圧延線)W2に圧延成形する成形装置であるローラダイス装置Aと、ワイヤW2の速度を検出する線速計測装置4と、ワイヤW2を通すノズルユニット5と、ワイヤW2をボビン6に巻き回して絶縁コイルを製造する巻き回し装置としてのスピンドルユニット7と、ローラダイス装置Aからスピンドルユニット7に移動するワイヤW2のテンションを調整するテンション調整装置としての簡易テンション装置3とを備えている。
【0017】
ノズルユニット5とスピンドルユニット7との間には、ワイヤW2をカラゲ処理するカラゲ装置8が設けられている。
但し、本発明の技術的思想は本実施形態に限定されるものではなく、例えば、テンション計2,簡易テンション装置3,カラゲ装置8等々は適宜必要に応じて使用又は不使用を選択することができる。
【0018】
巻き線装置Bのサーボテンション装置1側を前側、スピンドルユニット7側を後側とし、以下に用いる前後左右はこの巻き線装置Bにおける前後左右を言う。
【0019】
巻き線装置Bにより絶縁コイルを製造する製造工程においては、サーボテンション装置1によりワイヤW1を繰り出してローラダイス装置Aに供給する素線供給工程から、ワイヤW1をローラダイス装置Aにより略長方形の横断面形状のワイヤW2に圧延成形する圧延工程、スピンドルユニット7によりワイヤW2をボビン6に巻き付けて絶縁コイルに巻き回す巻き回し工程までが、途中でワイヤW(W1,W2)を外したりセットし直したりすることのない一連の工程で行われる。
但し、本実施形態の態様に限定されるものではなく、繰り出し工程を設置せずに、例えば、所定のテンション以上の場合にだけワイヤW1が出るようにした工程であっても良い。
【0020】
サーボテンション装置1は、図示しないワイヤ供給リールから供給された横断面形状が円形のワイヤW1が巻き掛けられるとともに、図示しないサーボモータでいずれか一方が駆動されることでワイヤW1を繰り出す繰り出しローラ9,10と、これら繰り出しローラ9,10の上側で、繰り出しローラ9,10から繰り出されたワイヤW1が巻き掛けられるテンションローラ11とを有している。
【0021】
テンションローラ11は低摩擦シリンダ12で前後方向に往復移動可能に保持されるとともに、前方に向けて付勢するスプリング13が設けられ、このスプリング13の付勢力でワイヤW1にテンションを付与する。
【0022】
テンションローラ11はその上側から後方に向けてワイヤW1を繰り出す。このサーボテンション装置1は、特に高速巻線時のテンション安定化を図ることができるものとなっている。
【0023】
テンション計2は、サーボテンション装置1のテンションローラ11から繰り出されたワイヤW1が巻き掛けられる三つのローラ14,15,16を有している。前側のローラ14は上側にワイヤW1が巻き掛けられ、中間のローラ15は下側にワイヤW1が巻き掛けられ、後側のローラ16は上側にワイヤW1が巻き掛けられる。
【0024】
サーボテンション装置1の繰り出しローラ9,10及びテンションローラ11と、テンション計2のローラ14,15,16は、横断面形状が円形のワイヤW1を傷付けることなく案内することができるように断面半円状の溝が外周部に形成されている。
【0025】
ローラダイス装置Aは、図2,図3に示すように、圧延用周溝17,18を外周面19,20の夫々に形成してある上下一対の圧延ローラ21,22と、圧延ローラ21,22の夫々が着脱自在にボルト連結されている回転軸23,24と、一対の圧延ローラ21,22の回転軸23,24を、ベアリング25,26を介して、互いに平行な水平方向のローラ軸芯X1,X2周りで回転自在に支持する支持部としての支持フレーム27とが備えられている。
【0026】
一対の圧延ローラ21,22は外周面19,20どうしをローラ径方向で互いに接触させて回転可能に支持されており、図3に示すように、圧延用周溝17,18どうしがローラ径方向で互いに対向している空間が、ワイヤWが通過する圧延部28に構成されている。
【0027】
各圧延ローラ21,22の圧延用周溝17,18には、耐摩耗性と滑り性とを付与するコーティング材がコーティングされている。
【0028】
一対の圧延ローラ21,22のうちの下側の圧延ローラ22は、図示しないサーボモータで駆動回転され、上側の圧延ローラ21は、ワイヤWが圧延部28を通過するに伴って、そのワイヤWとの接触で従動回転するように回転自在に支持されている。
【0029】
一対の圧延ローラ21,22の圧延用周溝17,18夫々の横断面形状は、圧延部28がワイヤWの通過方向視で矩形の孔状に形成されるように、直角三角形状に形成されている。
【0030】
具体的には、圧延部28が通過方向視で長方形の孔状に形成されるように、上側圧延ローラ21の圧延用周溝17の横断面形状と、下側圧延ローラ22の圧延用周溝18の横断面形状とを、溝底面の角部29の位置を溝幅方向で互いずらせて、不等辺の同一の直角三角形状に形成されている。
【0031】
従って、図4(a)に示すように横断面形状が円形のワイヤW1が圧延部28を通過するに伴って、図4(b)に示すように横断面形状が角部が丸い略長方形のワイヤW2に圧延加工される。
【0032】
図3に示すように、一対の圧延ローラ21,22の外周面19,20には、圧延ローラ21,22どうしのローラ軸芯X1,X2に沿う方向での相対変位を規制可能な規制部30が設けられている。
【0033】
規制部30は、圧延部28において、上側圧延ローラ21の外周面19と、下側圧延ローラ22の外周面20とをローラ径方向から嵌合させて、相対変位を規制可能に構成されている。
【0034】
つまり、上側圧延ローラ21の外周面19を、ローラ軸芯X1に平行な円筒面31と、その円筒面31の両側縁の夫々に沿ってローラ径方向外方側に向けて同じ角度で傾斜する左右の外向きテーパ面33とを備えた、横断面形状が台形の溝状に形成してある。
【0035】
下側圧延ローラ22の外周面20を、上側圧延ローラ21における円筒面31と同じ幅でローラ軸芯X2に平行な円筒面32と、その円筒面32の両側縁の夫々に沿って、上側圧延ローラ21における外向きテーパ面33と同じ角度でローラ径方向内方側に向けて傾斜する左右の内向きテーパ面34とを備えた形状に形成して、圧延部28において、上側圧延ローラ21の外周面19に嵌合するように設けてある。
尚、各圧延用周溝17,18は、円筒面31、32に形成してある。
【0036】
図示しないが、左右の外向きテーパ面33に代えて、円筒面31に対して直角の左右の直角面を上側圧延ローラ21に形成し、左右の内向きテーパ面34に代えて、円筒面32に対して直角の左右の直角面を下側圧延ローラ22に形成し、上側圧延ローラ21に形成した左右の直角面の間に、下側圧延ローラ22に形成した左右の直角面で挟まれた部分を嵌合することによって、圧延ローラ21,22どうしのローラ軸芯X1,X2に沿う方向での相対変位を規制する規制部30を設けることもできる。
【0037】
しかしながら、このような直角面を備えた規制部30に比べて、テーパ面33,34を備えた規制部30によれば、駆動負荷を軽減でき、ローラ駆動機構の低出力化等が可能となり、より好適である。
つまり、直角面を備えた規制部30は、上側圧延ローラ21に形成した直角面と、下側圧延ローラ22に形成した直角面とが互いに面接触するので、圧延ローラ21,22の回転に伴う摺動抵抗が大きく、駆動負荷が大きくなるが、テーパ面33,34を備えた規制部30は、外向きテーパ面33と内向きテーパ面34とがローラ径方向に沿って互いに線接触するので、圧延ローラ21,22の回転に伴う摺動抵抗が小さく、駆動負荷を軽減できるからである。
【0038】
〔第2実施形態〕
図5は、規制部30の別実施形態を示す。
上側圧延ローラ21の外周面19を、ローラ軸芯X1に平行な円筒面31と、その円筒面31の一側縁に沿ってローラ径方向外方側に向けて傾斜する外向きテーパ面33とを備えた形状に形成してある。
【0039】
下側圧延ローラ22の外周面20を、上側圧延ローラ21における円筒面31と同じ幅でローラ軸芯X2に平行な円筒面32と、その円筒面32の一側縁に沿って、上側圧延ローラ21における外向きテーパ面33と同じ角度でローラ径方向内方側に向けて傾斜する内向きテーパ面34とを備えた形状に形成してある。
【0040】
そして、圧延部28の溝幅方向の一側方において、外向きテーパ面33を内向きテーパ面34に対してローラ軸芯X1,X2に沿う方向から密接させて、圧延ローラ21,22どうしのローラ軸芯X1,X2に沿う方向での相対変位を規制可能な規制部30が構成されている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0041】
〔その他の実施形態〕
1.本発明によるローラダイス装置は、一対の圧延ローラが外周面どうしを接触させずに回転自在に支持されていてもよい。
2.本発明によるローラダイス装置は、一方の外周面に突設した環状突部を他方の外周面に凹設した環状凹部に入り込ませて、圧延ローラどうしのローラ軸芯に沿う方向での相対変位を規制可能な規制部を設けてあってもよい。
3.本発明によるローラダイス装置は、一方の外周面に周方向に間隔を隔てて突設してある歯部を、他方の外周面に環状に凹設した凹部、或いは、他方の外周面に周方向に間隔を隔てて凹設した凹部に入り込ませて、圧延ローラどうしのローラ軸芯に沿う方向での相対変位を規制可能な規制部を設けてあってもよい。
4.本発明によるローラダイス装置は、金属線材以外の金属製圧延素材を加工するものであってもよい。
5.本発明によるローラダイス装置は、管状の金属製圧延素材を加工するものであってもよい。
6.本発明によるローラダイス装置は、規制部が、一方の外周面を、ローラ軸芯に平行な円筒面と、その円筒面の両側縁に沿ってローラ径方向外方側に向けて傾斜する一対の外向きテーパ面とを備えた形状に形成し、他方の外周面を、ローラ軸芯に平行な円筒面と、その円筒面の一側縁に沿ってローラ径方向内方側に向けて傾斜する一対の内向きテーパ面とを備えた形状に形成して、各圧延ローラの外周面どうしを圧延部においてローラ径方向から嵌合させて、圧延ローラどうしのローラ軸芯に沿う方向での相対変位を規制可能に構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)巻き線装置の平面図 (b)巻き線装置の側面図
【図2】ローラダイス装置の正面図
【図3】要部の拡大図
【図4】(a)圧延前のワイヤの断面図 (b)圧延後のワイヤの断面図
【図5】第2実施形態の要部の拡大図
【符号の説明】
【0043】
3 テンション調整装置
6 ボビン
7 巻き回し装置
17 圧延用周溝
18 圧延用周溝
19 外周面
20 外周面
21 圧延ローラ
22 圧延ローラ
27 支持部
28 圧延部
30 規制部
31 円筒面
32 円筒面
33 外向きテーパ面
34 内向きテーパ面
X1 ローラ軸芯
X2 ローラ軸芯
W1 圧延素材(絶縁コイル用素線)
W2 圧延線
A ローラダイス装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延用周溝を外周面の夫々に形成してある一対の圧延ローラと、
前記一対の圧延ローラを互いに平行なローラ軸芯周りで回転可能に支持する支持部とが備えられ、
前記圧延用周溝どうしがローラ径方向で互いに対向している空間が、圧延素材が通過する圧延部に構成され、
前記圧延ローラどうしの前記ローラ軸芯に沿う方向での相対変位を規制可能な規制部が、当該圧延ローラの外周面に設けられているローラダイス装置。
【請求項2】
前記一対の圧延ローラが外周面どうしを互いに接触させて回転可能に支持されており、
前記圧延用周溝の夫々の横断面形状は、前記圧延素材の通過方向視で矩形孔状に形成されるように、直角三角形状に形成されている請求項1記載のローラダイス装置。
【請求項3】
前記規制部が、
一方の外周面を、ローラ軸芯に平行な円筒面と、その円筒面の一側縁に沿ってローラ径方向外方側に向けて傾斜する外向きテーパ面とを備えた形状に形成し、他方の外周面を、ローラ軸芯に平行な円筒面と、その円筒面の一側縁に沿ってローラ径方向内方側に向けて傾斜する内向きテーパ面とを備えた形状に形成して、
前記外向きテーパ面を前記内向きテーパ面に対してローラ軸芯に沿う方向から密接させて、前記相対変位を規制可能に構成されている請求項2記載のローラダイス装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のローラダイス装置を使用する絶縁コイルの製造方法であって、
絶縁コイル用素線を前記圧延部に供給する素線供給工程と、
前記圧延部に供給された素線を横断面形状が矩形になるように圧延する圧延工程と、
前記圧延工程において横断面形状が矩形になるように圧延された圧延線を絶縁コイルに巻き回す巻き回し工程とを備えている絶縁コイルの製造方法。
【請求項5】
請求項2又は3記載のローラダイス装置を備えた巻き線装置であって、
前記ローラダイス装置と、
そのローラダイス装置で横断面形状が矩形になるように圧延された圧延線をボビンに巻き回す巻き回し装置と、
前記ローラダイス装置から前記巻き回し装置に移動する圧延線のテンションを調整するテンション調整装置とを備えた巻き線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−89099(P2010−89099A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258868(P2008−258868)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】